説明

携帯端末装置

【課題】 非接触ICではない他の通信手段による情報の送受信を選択可能とするとともに、低消費電力で使用することができる携帯端末装置を提供すること。
【解決手段】 携帯電話が一対配置してシステムが構成される。携帯電話装置101は、メモリ102と、制御部103と、無線部104と、電源供給部105と、非接触IC106と、リーダライタ107と、情報選択部108とを備える。携帯電話装置101において送受信されるべき情報(第2の情報)を指定する第1の情報は非接触IC106もしくはリーダライタ107を介して情報選択部108に与えられ、情報選択部108はメモリ102を選択して第2の情報が選択する。選択された第2の情報は、無線部104を介して携帯電話装置151に送信される。制御部103は電源供給部105を介して、第1の情報の送受信に伴い無線部104への電源の供給を開始し、第2の情報の送受信終了に伴い停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触ICを備えた携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、非接触ICを備えた携帯端末装置を用いた電子商取引などが行われているが、非接触ICを用いた情報の送受信では転送スピードが遅いために動画や静止画などの大容量な情報の送受信をすることができなかった。
【0003】
そこで、大容量な情報を送受信するために、非接触ICによる通信を先行させその後大容量の送受信を行う、非接触ICと非接触ICでない他の通信手段とを併用するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−85659号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のシステムにあっては、携帯端末装置内部の非接触ICのリーダライタでは非接触ICの内容を書き換えることができない。従って、特許文献1に記載のシステムでは非接触ICで選定する情報は予め定まっており、携帯端末装置の使用者は、非接触ICの内容を書き換えて、必要とする情報を選択するという便利な利用をすることができなかった。また、特許文献1に記載のシステムでは、選定される情報は予め定まっているので、この選定された情報の容量が多い場合にはその送受信のための時間が長大となり、携帯端末装置の消費電力が大きくなってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、携帯端末装置内の非接触ICの内容を書き換え可能とし、書き換えられた非接触IC内の情報によって、非接触ICではない他の通信手段で情報を送受信する際に送受信する情報を選択することができ、その結果あわせて、非接触ICではない他の通信手段を低消費電力で使用することができる携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明の携帯端末装置は、非接触ICに対し読み書き可能なリーダライタと、第1の情報がプログラム可能に格納される非接触ICと、第2の情報を格納するためのメモリと、前記リーダライタにより送受信された前記第1の情報または前記非接触ICに格納されている前記第1の情報に基づいて前記第2の情報を選択するための情報選択手段と、前記情報選択手段により選択された前記第2の情報を送受信するための無線手段と、前記無線手段に電源を供給するための電源供給手段と、前記リーダライタによる非接触ICに対する読み書きに応動して電源の供給を開始させると共に、前記情報選択手段によって選択された前記メモリについて格納されている前記第2の情報を前記無線手段により送受信し、第2の情報の送受信終了後、前記電源供給手段から前記無線手段への電源の供給を停止させる制御手段とを具備する構成を採る。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、携帯端末装置間での非接触ICによる情報の送受信をするために、非接触ICに格納される第1の情報がプログラム可能であり、この第1の情報により、非接触ICではない他の通信手段で情報を送受信する際に送受信する情報を選択することができ、また、非接触ICではない他の通信手段を低消費電力で使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(実施の形態)
図1は、本発明の一実施の形態の携帯端末装置の構成を示すブロック図である。図1においては、携帯端末装置101および携帯端末装置151を一対左右に図示する。この図において両携帯端末装置101、151は同一の構成を有している。
【0009】
図1に示すように、本実施の形態に係る携帯端末装置101(151)は、メモリ102(152)と、制御部103(153)と、無線部104(154)と、電源供給部105(155)と、非接触IC106(156)と、リーダライタ107(157)と、情報選択部108(158)とを備える。
【0010】
非接触IC106はリーダライタ107を介して、第1の情報を非接触で読み書きすることができる。メモリ102は、第2の情報を格納する。情報選択部108はメモリ102に格納する第2の情報を選択する。無線部104は、情報選択部108により選択されたメモリ102に格納された第2の情報を送受信することができる。電源供給部105は、無線部104に電源を供給することができる。制御部103は、無線部104と電源供給部105と非接触IC106とリーダライタ107と情報選択部108を制御する。
【0011】
図2は、携帯端末装置101から携帯端末装置151に第2の情報を送信する方法その1の利用イメージを示す。この図2においては、携帯端末装置101で送信したい第2の情報を選択し、携帯端末装置101と携帯端末装置151を接近させた時にまず第1の情報による通信を携帯端末装置101と携帯端末装置151の間で行い、その後第2の情報を携帯端末装置101から携帯端末装置151に送信する。
【0012】
以下、携帯端末装置101から携帯端末装置151に第2の情報を送信する方法その1について説明する。
【0013】
利用者の設定に応じて、制御部103は、携帯端末装置101から携帯端末装置151に送信する第2の情報を情報選択部108を介して選択する。今図2に示すように、メモリ102にはデータ1ないしデータ4が格納されているとして、データ3が選択されるとする。情報選択部108により選択された第2の情報(この場合は、データ3)を携帯端末装置151に送信する前に、制御部103は、選択された第2の情報(この場合は、データ3)を送信することを指し示す第1の情報を非接触IC106に格納する。
【0014】
次にこの状態で携帯端末装置101と携帯端末装置151を接近させ、携帯端末装置151に備えられたリーダライタ157が非接触IC106に格納された第1の情報を読み込んだときに、電源供給部105により無線部104に電源を供給すると共に、情報選択部108により選択された第2の情報を無線部104により送信する。同様に、携帯端末装置151においては備えられたリーダライタ157が非接触IC106に格納された第1の情報を読み込んだときに、携帯端末装置151に備えられた電源供給部155により無線部154に電源を供給すると共に、情報選択部158により選択された第2の情報を無線部154により受信する。
【0015】
この様にして第2の情報の送信が終了すると、携帯端末装置101の制御部103は電源供給部105から無線部104への電源供給を停止する。同様に、携帯端末装置151は、この第2の情報の受信が終了すると、電源供給部155から無線部154への電源供給を停止する。なおこのとき、第1の情報は、第2の情報を送信することを指し示すための情報だけではなく第2の情報の種類や容量等を含んでもよい。また、第2の情報として、動画、静止画や音楽情報等を送信してもよい。
【0016】
次に、携帯端末装置101から携帯端末装置151に第2の情報を送信する方法その2について説明する。図3は、携帯端末装置101から携帯端末装置151に第2の情報を送信する方法その2の利用イメージを示す。
【0017】
この図3においては、携帯端末装置151で、携帯端末装置101から送信してもらいたい第2の情報を選択し、携帯端末装置101と携帯端末装置151を接近させた時に第1の情報による通信を携帯端末装置101と携帯端末装置151の間で行い、その通信結果に基づき第2の情報を携帯端末装置101から携帯端末装置151に送信する。
【0018】
利用者の設定に応じて、携帯端末装置151の制御部153は、携帯端末装置101から携帯端末装置151に送信してもらいたい第2の情報を情報選択部158を介して選択する。この選択と同時に情報選択部158により選択された第2の情報(図3の場合は、データ3)を指し示す情報を第1の情報として非接触IC156に格納する。すなわち、非接触IC156の内容は、制御部153によってプログラム可能になっている。これによって利用者は携帯電話装置間で送受信する第2の情報を選択することができる。
【0019】
次にこの状態で携帯端末装置101と携帯端末装置151とを接近させると、携帯端末装置101に備えられたリーダライタ107が非接触IC156に格納された第1の情報を読み込む。この第1の情報の読み込みに伴い、制御部103は、携帯端末装置101に備えられた電源供給部105により無線部104に電源を供給させると共に、情報選択部108により選択された第2の情報(図3の場合、データ3)を無線部104により送信する。同様に、この携帯端末装置101に備えられたリーダライタ107が非接触IC156に格納された第1の情報を読み込んだことに応動して、携帯端末装置151の制御部153は、電源供給部155により無線部154に電源を供給させ、無線部154を受信可能状態とする。これに伴い、無線部154は携帯端末装置101から送信される第2の情報を受信する。
【0020】
携帯端末装置101は、携帯端末装置151から要求された第2の情報の送信が終了すると、制御部103により電源供給部105を介して無線部104への電源供給を停止する。これにより携帯端末装置101の消費電力は削減ないし最小化される。同様に、携帯端末装置151では、第2の情報の受信が終了すると、電源供給部155から無線部154への電源供給を停止され、その消費電力は削減ないし最小化される。
【0021】
次に図4に示す例について説明する。図4は、携帯端末装置101が携帯端末装置151から第2の情報を受信する方法その1の利用イメージを示す。この図4において、携帯端末装置101で受信したい第2の情報を選択し、携帯端末装置101と携帯端末装置151を接近させた時に第1の情報による通信を携帯端末装置101と携帯端末装置151の間で行い、図2や図3の場合同様この通信結果に基づき、第2の情報を携帯端末装置101が携帯端末装置151から受信する。
【0022】
利用者の設定に応じて、携帯端末装置101の制御部103は、携帯端末装置151から受信しようとする第2の情報を情報選択部108により選択する。これと同時に制御部103は、受信をしたい携帯端末装置151の第2の情報を指し示す第1の情報を非接触IC106に格納する。このように非接触IC106の内容を書き換えること、すなわち非接触IC106の内容はプログラム可能とすることによって、携帯端末装置101の利用者は、携帯端末装置151から所望の情報ないしデータである第2の情報を受信する準備が整う。
【0023】
次にこの状態で携帯端末装置101と携帯端末装置151とを接近させると、携帯端末装置151に備えられたリーダライタ157が、携帯端末装置101の非接触IC106に格納された第1の情報を読み込む。この第1の情報の読み込みに伴い、携帯端末装置151は、携帯端末装置101から送信を要求されている第2の情報を知ることになる。
【0024】
これに伴い、携帯端末装置151の制御部153は、電源供給部155により無線部154に電源を供給させると共に、携帯電話端末101が送信を要求する第2の情報を無線部154により送信する。同様に、携帯端末装置151に備えられたリーダライタ157が非接触IC106に格納された第1の情報を読み込んだときに、携帯端末装置101の制御部103は、備えられた電源供給部105により無線部104に電源を供給し、受信可能状態を確立する。その結果、携帯端末装置101は、携帯端末装置151が送信してくる選択された第2の情報を無線部104により受信する。この第2の情報の受信が終了すると携帯端末装置101の制御部103は、電源供給部105から無線部104への電源供給を停止する。これによって不要な消費電力は最小限に抑えられる。同様に、携帯端末装置151は、第2の情報の送信が終了すると、電源供給部155から無線部154への電源供給を停止して、消費電力を押さえる。
【0025】
次に、携帯端末装置101が携帯端末装置151から第2の情報を受信する方法その2について説明する。図5は、携帯端末装置101が携帯端末装置151から第2の情報を受信する方法その2の利用イメージを示す。
【0026】
この図5においては、携帯端末装置151で、携帯端末装置101に受信させたい携帯端末装置151の第2の情報を選択し、携帯端末装置101と携帯端末装置151を接近させた時に第1の情報による通信を携帯端末装置101と携帯端末装置151の間で行い、第2の情報を携帯端末装置101が携帯端末装置151から受信する。
【0027】
利用者の設定に応じて、携帯端末装置151の制御部153は、携帯端末装置101にて受信させたい携帯端末装置151からの第2の情報を情報選択部158によって選択する。この選択と同時に情報選択部158により選択された第2の情報を携帯端末装置101が受信することを指し示す第1の情報として非接触IC156に格納する。すなわち、このように非接触IC156の内容が更新されることにより、第2の情報の選定が確定する。
【0028】
次にこの状態で携帯端末装置101と携帯端末装置151とを接近させると、携帯端末装置101に備えられたリーダライタ107が、携帯端末装置151側の非接触IC156に格納された第1の情報を読み込む。このリーダライタ107の読み込みのタイミングに同期して、携帯端末装置151の制御部153は、その中に備えられた電源供給部155により無線部154に電源を供給させ無線部154を確立させると共に、情報選択部158を介して選択された第2の情報を無線部154により送信する。同様に、携帯端末装置101に備えられたリーダライタ107が非接触IC156に格納された第1の情報を読み込んだときに、携帯端末装置101に備えられたその制御部103は、電源供給部155により無線部104に電源を供給させ、無線部104を受信可能状態とする。これに伴い、無線部104は、携帯端末装置151の情報選択部158により選択した第2の情報を受信する。
【0029】
このように第2の情報の受信が終了すると、携帯端末装置101は、制御部103の制御により、電源供給部105からの無線部104への電源供給を停止する。同様に、携帯端末装置151は、第2の情報の送信が終了すると、電源供給部155から無線部154への電源供給を停止する。この様にして、両携帯端末装置101および151は送受信が終了すると、消費電力が極小化することができる。
【0030】
なお、上の説明で分かるように、両携帯端末装置101(151)は、非接触IC106(156)と対応するリーダライタ157(107)の送受信が確立したことを条件に、上述の電源供給・停止のタイミングを同期化している。この送受信確立を検出する技術は、周知・慣用の技術を採用することができる。
【0031】
また、先に述べたことと同様、図5における第1の情報は、第2の情報を受信することを指し示すための情報だけではなく第2の情報の種類や容量等を含んでもよい。また、第2の情報として、動画、静止画や音楽情報等を送信してもよい。
【0032】
以上説明したように、本実施の形態に係る携帯端末装置によれば、携帯端末装置間での非接触ICによる情報の送受信ができ、また、非接触ICではない他の通信手段で情報を送受信する際に送受信する情報を選択することができ、また、非接触ICではない他の通信手段を低消費電力で使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の携帯端末装置は、携帯端末装置間での非接触ICによる情報の送受信ができ、また、非接触ICではない他の通信手段で情報を送受信する際に送受信する情報を選択することができ、また、非接触ICではない他の通信手段を低消費電力で使用することができる効果を有し、携帯電話等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施の形態の携帯端末装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の一実施の形態における第2の情報を送信する方法その1の利用イメージ図
【図3】本発明の一実施の形態における第2の情報を送信する方法その2の利用イメージ図
【図4】本発明の一実施の形態における第2の情報を受信する方法その1の利用イメージ図
【図5】本発明の一実施の形態における第2の情報を受信する方法その2の利用イメージ図
【符号の説明】
【0035】
101、151 携帯端末装置
102、152 メモリ
103、153 制御部
104、154 無線部
105、155 電源供給部
106、156 非接触IC
107、157 リーダライタ
108、158 情報選択部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触ICに対し読み書き可能なリーダライタと、
第1の情報がプログラム可能に格納される非接触ICと、
第2の情報を格納するためのメモリと、
前記リーダライタにより送受信された前記第1の情報または前記非接触ICに格納されている前記第1の情報に基づいて前記第2の情報を選択するための情報選択手段と、
前記情報選択手段により選択された前記第2の情報を送受信するための無線手段と、
前記無線手段に電源を供給するための電源供給手段と、
前記リーダライタによる非接触ICに対する読み書きに応動して電源の供給を開始させると共に、前記情報選択手段によって選択された前記メモリについて格納されている前記第2の情報を前記無線手段により送受信し、第2の情報の送受信終了後、前記電源供給手段から前記無線手段への電源の供給を停止させる制御手段と、
を具備することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記リーダライタは、他の携帯端末装置に接近した際当該他の携帯端末装置の前記非接触ICと前記第1の情報の送受信を行うことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−163925(P2006−163925A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−355595(P2004−355595)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】