説明

携帯電子機器

【課題】携帯電子機器において、発光手段からの光を均一に操作キーに導きながら、操作キーを感触のよいものとする。
【解決手段】複数の固定接点16をプリント基板15に設け、プリント基板15を覆う表面側キャビネットのキー用貫通孔内に複数の固定接点16に対応させて複数の操作キー7を配置する。その内面側に複数の固定接点16に対応する位置にプリント基板15側へ突出する複数の突出部23を有する弾性シート22を設ける。プリント基板15側に、光を発するLEDと、このLEDからの光を受けて複数の操作キー7に光を導く導光シート21とを設ける。導光シート21よりもプリント基板15側に複数の固定接点16に対応するように複数の導電性可動接点20を設ける。押圧用シート24を、各操作キー7が押し下げたときに突出部23に押圧されるように設け、導電性可動接点20を固定接点16に導通させるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯通信機器等の、暗闇でも見ることのできる操作キーを備えた携帯電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯性が重視される携帯電子機器においては、その操作キーの高さを抑えながらも、その操作性をよくしたものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、トップを押圧することで動作するキースイッチを有する携帯電子機器において、キースイッチのキーベース部を厚さが均一な樹脂製フィルムシートにて構成したものが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、樹脂で形成したキーと、弾性材で形成し、キーの直下に設けたストローク部材と、キーを押下することでストローク部材を介して押下される接触子及びこれが接触する基板上の電極を有するキースイッチとで構成した操作ボタンを備えた携帯端末装置が記載されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、上ケースと下ケースを有する筐体内に複数のキーボタンが形成されたキーシート及びプリント基板を実装し、且つ複数のキーボタンの操作部を露出させる開口部が上ケースに形成されている携帯用通信機器のキー入力装置構造が開示されている。このキー入力装置構造では、開口部に対するキーシートの相対的な位置ずれを規制する規制部材をキーシートに近接する固定部位からキーシートに向けて突出させている。
【特許文献1】特開平11−329149号公報
【特許文献2】特開2003−281965号公報
【特許文献3】特開2006−66157号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、携帯電子機器を暗いところで使用するときのために、操作キーを明るく照らすものが知られている。このような場合には、少ない発光手段(例えば、LEDランプ)で複数の操作キーの全てを照らすために、発光手段の光を各操作キーに導く導光シートが用いられている。この導光シートは、光を導きやすい材料を使用するため、剛性が比較的高く、従来技術のような樹脂製フィルムシート等に比べて撓みにくいものとなっている。
【0007】
このため、例えば、特許文献2のストローク部材の内面側にこの導光シートを配置すると、操作キーを押圧したときに導光シートが撓みにくく、操作キーの動きが悪いという問題がある。
【0008】
一方、この問題を解決するために、各操作キーに対応する部分の導光シートに開口を設けると、その開口部分から光が多く漏れすぎ、光むらができるという問題がある。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、発光手段からの光を均一に操作キーに導きながら、操作キーを感触のよいものとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、この発明では、各操作キーを押し下げたときに弾性シートの突出部に押圧され、導電性可動接点を固定接点に導通させる押圧手段を設けた。
【0011】
具体的には、第1の発明では、複数の固定接点が設けられた基板と、
上記基板を表面側から覆い、キー用貫通孔を有する筐体本体と、
上記キー用貫通孔内に上記複数の固定接点に対応して配置される複数の操作キーと、
上記複数の操作キーの内面側に設けられ、上記複数の固定接点に対応する位置に上記基板側へ突出する複数の突出部を有する弾性シートと、
上記弾性シートよりも上記基板側に設けられ、光を発する発光手段と、
上記弾性シートよりも上記基板側に設けられ、上記発光手段からの光を受けて上記複数の操作キーに光を導く導光シートと、
上記導光シートよりも上記基板側に上記複数の固定接点に対応するように設けられた複数の導電性可動接点と、
上記各操作キーを押し下げたときに上記突出部に押圧され、上記導電性可動接点を上記固定接点に導通させる押圧手段とを備えたものとする。
【0012】
上記の構成によると、導光シートが、発光手段からの光を受けて複数の操作キーに光を導くので、暗いところでも操作キーの操作が容易である。この導光シートは、光を導きやすくするために比較的剛性が高く撓みにくいが、各操作キーを押し下げたときに、押圧手段が弾性シートの突出部に押圧され、押圧力が導電性可動接点に集中して固定接点に導通させるので、操作キーの操作性が悪化することはない。このため、各操作キーに対応する部分の導光シートに開口を設ける必要がなく、開口部分から光が多く漏れて光むらができることはない。
【0013】
第2の発明では、第1の発明において、
上記押圧手段は、上記導光シートの裏面側に上記各導電性可動接点に対応する位置にそれぞれ貼り付けられた押圧用シートよりなるものとする。
【0014】
上記の構成によると、各導電性可動接点の表面に位置する導光シートの裏面側に押圧用シートを貼り付けることで、各操作キーを押し下げたときに、その押圧力が押圧用シートに集まり、導電性可動接点が確実に固定接点に導通される。特に剛性の高い導光シートに対してこの導光シートよりも剛性の低い押圧用シートを貼り付けることで、クッション機能が果たされ、操作キーを押したときの感触が向上する。
【0015】
第3の発明では、第2の発明において、
上記導光シートは、ポリカーボネイトよりなり、
上記押圧用シートは、ポリカーボネイトよりも剛性の低い材料に接着剤が塗布されたものよりなる。
【0016】
上記の構成によると、ポリカーボネイト(PC)は、透明性が高いため、発光手段からの光を各操作キーに導きやすい。また、押圧用シートをポリカーボネイトよりも剛性の低いもの(例えば、ポリエチレンテレフタレート)とすることで、操作キーを押圧したときの感触が柔らかくなる。さらに、押圧用シートは、接着剤により容易に導光シートに貼り付けられる。
【0017】
第4の発明では、第1の発明において、
上記押圧手段は、上記導光シートの裏面側に上記各導電性可動接点に対応する位置にそれぞれ一体に設けられた押圧用突起よりなるものとする。
【0018】
上記の構成によると、各導電性可動接点の表面に位置する導光シートの裏面側に押圧用突起を一体に設けることで、各操作キーを押し下げたときに、その押圧力が押圧用突起に集まり、導電性可動接点が確実に固定接点に導通される。また、押圧手段を導光シートに一体に成形することで部品点数が減ると共に組立工数が削減される。
【0019】
第5の発明では、第4の発明において、
上記導光シートは、ポリカーボネイトよりなり、
上記押圧用突起は、紫外線硬化樹脂が硬化したものよりなる。
【0020】
上記の構成によると、ポリカーボネイトは、透明性が高いため、発光手段からの光を各操作キーに導きやすい。また、押圧用突起は、紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して一体に形成されるので、極めて成形が容易である。また、押圧用突起をポリカーボネイトよりも剛性の低いものとすることで、操作キーを押圧したときの感触が柔らかくなる。
【0021】
第6の発明では、第2乃至第5のいずれか1つの発明において、
上記各導電性可動接点は、スイッチ用シートの裏面側にそれぞれ貼り付けられ、
上記各導電性可動接点の中心部分に対応する上記スイッチ用シートには、接点用開口が形成されている。
【0022】
上記の構成によると、各導電性可動接点をスイッチ用シートの裏面側にそれぞれ貼り付けることで、導電性可動接点と固定接点との位置決めが容易となり、また、接点用開口を設けることで、各導電性可動接点の中心部分に押圧手段の押圧力がかかりやすくなりので、操作キーの感触が良くなる。さらに、接点用開口を設けることで、スイッチ用シートの厚さ分だけ高さが削減される。
【0023】
第7の発明では、第1の発明において、
上記各導電性可動接点は、スイッチ用シートの裏面側にそれぞれ貼り付けられ、
上記押圧手段は、上記スイッチ用シートの表面側に上記各導電性可動接点に対応する位置にそれぞれ一体に設けられた押圧用突起よりなるものとする。
【0024】
上記の構成によると、各導電性可動接点をスイッチ用シートの裏面側にそれぞれ貼り付けることで、導電性可動接点と固定接点との位置決めが容易となる。また、各導電性可動接点の表面に位置するスイッチ用シートの表面側に押圧用突起を一体に成形することで、部品点数が減り、組立工数が削減されると共に、各操作キーを押し下げたときに、その押圧力が突出部から押圧用突起に集中して伝わりやすく、導電性可動接点が確実に固定接点に導通される。
【0025】
第8の発明では、第7の発明において、
上記導光シートは、ポリカーボネイトよりなり、
上記スイッチ用シートは、ポリエチレンテレフタレートよりなる。
【0026】
上記の構成によると、ポリカーボネイトは、透明性が高いため、発光手段からの光を各操作キーに導きやすい。また、押圧用突起を有するスイッチ用シートをポリカーボネイトよりも剛性の低いポリエチレンテレフタレートとしているので、操作キーを押圧したときの感触が柔らかくなる。さらに、ポリエチレンテレフタレートであれば、反射効率アップに有利な白色シートが手配しやすい。
【0027】
第9の発明では、第1乃至第8のいずれか1つの発明において、
上記複数の操作キーの周縁部は、上記弾性シートに貼り付けられたステンレスシートで支持されている。
【0028】
上記の構成によると、弾性シートの剛性が向上すると共に、操作キー周縁からの光漏れが確実に防止される。
【0029】
第10の発明では、第1乃至第9のいずれか1つの発明において、
携帯電子機器を携帯電話機とする。
【0030】
上記の構成によると、発光手段からの光が均一に操作キーに導かれて見やすく、且つ押したときの感触のよい操作キーを備えた携帯電話機が得られる。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように、上記第1の発明によれば、弾性シートよりも基板側に発光手段からの光を受けて複数の操作キーに光を導く導光シートを設けると共に、導光シートに操作性をよくするための開口を設けることなく、各操作キーを押し下げたときに、その押圧力を押圧手段によって導電性可動接点に集中させて導電性可動接点を固定接点に導通させるようにした。このため、発光手段からの光を均一に操作キーに導きながら、操作キーを感触のよいものとすることができるので、極めて見映えがよく、操作性のよい携帯電子機器が得られる。
【0032】
上記第2の発明によれば、押圧用シートを導光シートの裏面側に各導電性可動接点に対応する位置にそれぞれ貼り付け、各操作キーを押し下げたときの押圧力を押圧用シートに集めて導電性可動接点を固定接点に導通させるようにしている。このため、簡単な構成で発光手段からの光を均一に操作キーに導きながら、操作キーを感触のよいものとすることができる。
【0033】
上記第3の発明によれば、押圧用シートをポリカーボネイト製の導光シートよりも剛性の低い材料にして接着剤で導光シートの裏面側に貼り付けている。このため、容易に押圧用シートを導光シートに貼り付けることができると共に、操作キーを押圧したときの感触が柔らかくなるので、さらに操作性を向上させることができる。
【0034】
上記第4の発明によれば、押圧用突起を導光シートの裏面側に各導電性可動接点に対応する位置にそれぞれ一体に設け、各操作キーを押し下げたときの押圧力を押圧用シートに集めて導電性可動接点を固定接点に導通させるようにしている。このため、部品点数を減らして組立工数を削減することができると共に、簡単な構成で発光手段からの光を均一に操作キーに導きながら、操作キーを感触のよいものとすることができる。
【0035】
上記第5の発明によれば、押圧用突起を紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して導光シートに一体に形成している。このため、押圧用突起を極めて簡単に形成することができる。
【0036】
上記第6の発明によれば、導電性可動接点をスイッチ用シートの裏面側に貼り付けてユニット化したので、導電性可動接点と固定接点との位置決めを正確且つ確実に行うことができる。また、スイッチ用シートに接点用開口を設けたことにより、各導電性可動接点の中心部分に押圧手段の押圧力がかかりやすくなるようにして操作キーの感触をよくすると共に、操作キーの高さを削減することができる。このため、操作性のよいコンパクトな携帯電子機器が得られる。
【0037】
上記第7の発明によれば、導電性可動接点をスイッチ用シートの裏面側に貼り付けてユニット化したので、導電性可動接点の位置決めを正確且つ確実に行うことができる。また、導電性可動接点の表面のスイッチ用シートに押圧用突起を一体に成形して各操作キーを押し下げたときの押圧力を押圧用突起に集めて導電性可動接点を固定接点に導通させるようにしている。このため、部品点数を減らして組立工数を削減することができると共に、簡単な構成で発光手段からの光を均一に操作キーに導きながら、操作キーを感触のよいものとすることができる。
【0038】
上記第8の発明によれば、透明性が高いポリカーボネイトを導光シートとし、スイッチ用シートをポリカーボネイトよりも剛性の低いポリエチレンテレフタレートとしている。このため、見映えがよく感触の柔らかい操作キーが得られる。
【0039】
上記第9の発明によれば、複数の操作キーの周縁部を弾性シートに貼り付けられたステンレスシートで支持して弾性シートの剛性を向上させると共に、発光手段からの光漏れを防止している。このため、壊れにくく見映えのよい携帯電子機器が得られる。
【0040】
上記第10の発明によれば、携帯電子機器を携帯電話機としたことにより、操作キーが見やすくて操作性のよい商品性の高い携帯電話機が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0042】
図1は本発明の実施形態にかかる携帯電話機の第1の筐体を開いた状態を示す斜視図である。図2は携帯電話機の第1の筐体を閉じた状態を示す斜視図である。図3は、基板ユニットを示す斜視図である。図4は、基板ユニットの分解斜視図である。図5は、図3のV−V線拡大断面図である。図6は、ステンレスシートの平面図である。
【0043】
図1に示すように、携帯電話機1は、上下方向に長い第1の筐体2と第2の筐体3とを備えている。
【0044】
第1の筐体2は、その表面に上下方向に長い縦長の表示部5を有し、その表示部5の上側に受話部6が設けられている。表示部5は、液晶ディスプレイでも、有機ELディスプレイでもよい。
【0045】
第2の筐体3は、携帯電話機1の操作をするための複数の操作キー7を備えた操作部8を有している。操作部8の下側に受話部9が設けられている。操作キーは、光を通しやすい樹脂材料に数字や文字等が印刷されたものよりなる。
【0046】
第2の筐体3は、筐体本体としての表面側キャビネット3aと裏面側キャビネット3bとを備えている。これら表面側キャビネット3aと裏面側キャビネット3bとの間に操作部8が設けられた基板ユニット10が挟み込まれる構成となっている。
【0047】
上記表面側キャビネット3aには、複数の(本実施形態では、3つの)キー用貫通孔11,12,13が形成されている。例えば、上側キー用貫通孔11には、ファンクションキーよりなる複数の操作キー7が配置され、中央側キー用貫通孔12には、番号キーよりなる複数の操作キー7が配置されている。下側キー用貫通孔13には、1つの操作キー7が配置されている。
【0048】
図4及び図5に示すように、上記基板ユニット10は、剛性フレームとしてマグネシウムフレーム14を備えている。このマグネシウムフレーム14の裏面側には、携帯電話機1の制御を行うメイン基板25が設けられている。表面側には、プリント基板15が設けられている。このプリント基板15は、複数の固定接点16が設けられ、裏面側のメイン基板25に接続されている。各固定接点16の真上に上記各操作キー7が配置されるようになっている。プリント基板15の上下端部には、それぞれ一対の発光手段としてのLED17が設けられている。
【0049】
上記プリント基板15の表面側には、スイッチ用シート18が貼り付けられている。このスイッチ用シート18は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)よりなる。ポリエチレンテレフタレートであれば、反射効率アップに有利な白色シートが手配しやすいという長所もある。なお、LED17の光を遮断しないようにするために、LED17の表面側は、スイッチ用シート18で覆われていない。スイッチ用シート18には、上記各固定接点16に対応する位置に接点用開口19が形成されている。各接点用開口19内に導電性可動接点20が配置されている。この導電性可動接点20は、ドーム形状を有し、表面側から押圧すると変形し、固定接点16に導通するようになっている。接点用開口19を設けることで、各導電性可動接点20の中心部分に操作キー7からの押圧力がかかりやすくなりので、操作キー7の感触が良くなっている。また、接点用開口19を設けることで、スイッチ用シート18の厚さ分だけ高さが削減されている。
【0050】
このスイッチ用シート18の表面側には、LED17からの光を受けて複数の操作キー7に光を導く導光シート21が設けられている。この導光シート21は、ポリカーボネイト(PC)よりなる。ポリカーボネイトは、透明性が高いため、LED17からの光を各操作キー7に導きやすくなっている。導光シート21の裏面側周縁には、接着剤が塗布されている。このことで、導光シート21は、プリント基板15に容易に貼り付けられるようになっている。
【0051】
導光シート21の表面側には、シリコンやエラストマーからなる弾性シート22が設けられている。この弾性シート22の表面側には各固定接点16に対応して上記操作キー7がそれぞれ貼り付けられている。各操作キー7と弾性シート22との間には、弾性シート22の剛性を上げると共に、LED17からの光漏れを防ぐためにステンレスシート26(図6に示す)が設けられている。例えば、このステンレスシート26は、上下に二分割され、それぞれが弾性シート22に貼り付けられている。各ステンレスシート26の上側から中心にのみ接着剤が塗布された上記各操作キー7が貼り付けられている。このことで、操作キー7が押圧されたときには、その周縁部に掛かる荷重をステンレスシート26の開口部26a周縁で支持するとともに、その開口部26aから適度に光が操作キー7に導かれている。
【0052】
弾性シート22の裏面側には、複数の固定接点16に対応する位置にプリント基板15側へ突出する複数の突出部23が形成されている。
【0053】
そして、本発明の特徴として、導光シート21の裏面側には、各導電性可動接点20に対応する位置に押圧手段としての押圧用シート24が接着剤等により貼り付けられている。押圧用シート24は、各操作キー7を押し下げたときに導電性可動接点20を固定接点16に導通させるように、突出部23に伝わる押圧力を導電性可動接点20に伝えやすくする役割を果たす。押圧用シート24は、ポリカーボネイトよりも剛性の低い材料(例えば、ポリエチレンテレフタレート)を円形に形成したものよりなる。押圧用シート24をポリカーボネイトよりも剛性の低いポリエチレンテレフタレートとすることで、操作キー7を押圧したときの感触が柔らかくなっている。
【0054】
−携帯電話機1の組立手順−
まず、プリント基板15に固定接点16、LED17等を設けておく。
【0055】
次いで、このプリント基板15に導電性可動接点20が貼り付けられたスイッチ用シート18を接着剤等により貼り付ける。このとき、各導電性可動接点20は、スイッチ用シート18の裏面側にそれぞれ貼り付けられているので、導電性可動接点20と固定接点16との位置決めが容易である。
【0056】
次いで、導光シート21に押圧用シート24を貼り付ける。例えば、図示しないが、押圧用シート24の両面に接着剤を塗布し、押圧用シート24を樹脂製シートの定位置に貼り付けてフィルムで覆ったものを用意する。このフィルムをはがして導光シート21に位置決めし、押し付けると、接着剤により押圧用シート24が定位置に正確且つ容易に貼り付けられる。
【0057】
次いで、導光シート21をプリント基板15に貼り付ける。
【0058】
次いで、プリント基板15をマグネシウムフレーム14に取り付け、メイン基板25に接続する。
【0059】
次いで、ステンレスシート26及び操作キー7を貼り付けた弾性シート22をプリント基板15の上からマグネシウムフレーム14に取り付け、基板ユニット10が完成する。
【0060】
最後に基板ユニット10の上側から、そのキー用貫通孔11,12,13を操作キー7に位置決めして表面側キャビネット3aで覆い、下側から裏面側キャビネット3bで挟み込む。
【0061】
−押圧用シートの作用ー
導光シート21が、LED17からの光を受けて複数の操作キー7に光を導くので、暗いところでも操作キー7の操作が容易である。この導光シート21は、光を導きやすくするために比較的剛性が高く撓みにくいが、各操作キー7を押し下げたときに、押圧用シート24が弾性シート22の突出部23に押圧され、押圧力が導電性可動接点20に集中して固定接点16に導通させるので、操作キー7の操作性が悪化することはない。このため、各操作キー7に対応する部分の導光シート21に開口を設ける必要がなく、開口部分から光が多く漏れて光むらができることはない。
【0062】
各導電性可動接点20の表面に位置する導光シート21の裏面側に押圧用シート24を貼り付けることで、各操作キー7を押し下げたときに、その押圧力が押圧用シート24に集まり、導電性可動接点20が確実に固定接点16に導通される。特に剛性の高い導光シート21に対してこの導光シート21よりも剛性の低い押圧用シート24を貼り付けることで、クッション機能が果たされ、操作キー7を押したときの感触が向上する。
【0063】
−実施形態の効果−
したがって、本実施形態にかかる携帯電子機器によると、上記第1の発明によれば、弾性シート22よりもプリント基板15側にLED17からの光を受けて複数の操作キー7に光を導く導光シート21を設けると共に、導光シート21に操作性をよくするための開口を設けることなく、各操作キー7を押し下げたときに、その押圧力を押圧手段によって導電性可動接点20に集中させて導電性可動接点20を固定接点16に導通させるようにした。このため、LED17からの光を均一に操作キー7に導きながら、操作キー7を感触のよいものとすることができるので、極めて見映えがよく、操作性のよい携帯電話機1が得られる。
【0064】
押圧用シート24を導光シート21の裏面側に各導電性可動接点20に対応する位置にそれぞれ貼り付け、各操作キー7を押し下げたときの押圧力を押圧用シート24に集めて導電性可動接点20を固定接点16に導通させるようにしている。このため、簡単な構成でLED17からの光を均一に操作キー7に導きながら、操作キー7を感触のよいものとすることができる。
【0065】
押圧用シート24をポリカーボネイト製の導光シート21よりも剛性の低いポリエチレンテレフタレートにして接着剤で導光シート21の裏面側に貼り付けている。このため、容易に押圧用シート24を導光シート21に貼り付けることができると共に、操作キー7を押圧したときの感触が柔らかくなるので、さらに操作性を向上させることができる。
【0066】
導電性可動接点20をスイッチ用シート18の裏面側に貼り付けてユニット化したので、導電性可動接点20と固定接点16との位置決めを正確且つ確実に行うことができる。また、スイッチ用シート18に接点用開口19を設けたことにより、各導電性可動接点20の中心部分に押圧用シート24の押圧力がかかりやすくなるようにして操作キー7の感触をよくすると共に、操作キー7の高さを削減することができる。このため、操作性のよいコンパクトな携帯電話機1が得られる。
【0067】
−実施形態の変形例1−
上記実施形態では、押圧手段は、押圧用シート24として、導光シート21と別体のものとしたが、図7に示すように、導光シート21の裏面側に各導電性可動接点20に対応する位置にそれぞれ一体に設けられた押圧用突起124よりなるものとしてもよい。
【0068】
具体的には、押圧用突起124は、弾性シート22の突出部23に対応する位置の導光シート21に紫外線硬化樹脂を塗布し、紫外線によって硬化させて形成される。
【0069】
押圧用突起124をポリカーボネイトよりも剛性の低いものとすることにより、操作キー7を押圧したときの感触が柔らかくなる。
【0070】
このように、各導電性可動接点20の表面に位置する導光シート21の裏面側に押圧用突起124を一体に設けることで、各操作キー7を押し下げたときに、その押圧力が押圧用突起124に集まり、導電性可動接点20が確実に固定接点16に導通される。また、押圧用突起124を導光シート21に一体に成形することで部品点数が減ると共に組立工数が削減される。
【0071】
したがって、本変形例にかかる携帯電話機1によると、押圧用突起124を紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して導光シート21に一体に形成したことにより、押圧用突起124を極めて簡単に形成することができる。
【0072】
また、押圧用突起124を導光シート21の裏面側に各導電性可動接点20に対応する位置にそれぞれ一体に設け、各操作キー7を押し下げたときの押圧力を押圧用シート24に集めて導電性可動接点20を固定接点16に導通させるようにしている。このため、部品点数を減らして組立工数を削減することができると共に、簡単な構成でLED17からの光を均一に操作キー7に導きながら、操作キー7を感触のよいものとすることができる。
【0073】
なお、本変形例では、紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して導光シート21に一体に形成したが、ポリウレタン(PU)を一体成形してもよい。
【0074】
−実施形態の変形例2−
本変形例では、図8に示すように、押圧手段を上記スイッチ用シート18の表面側に上記各導電性可動接点20に対応する位置にそれぞれ一体に設けた押圧用突起224よりなるものとする。
【0075】
各導電性可動接点20の表面に位置するスイッチ用シート18の表面側に押圧用突起224を一体に成形することで、部品点数が減り、組立工数が削減されると共に、各操作キー7を押し下げたときに、その押圧力が押圧用突起224に集まり、導電性可動接点20が確実に固定接点16に導通される。
【0076】
また、導電性可動接点20の表面のスイッチ用シート18に押圧用突起224を一体に成形して各操作キー7を押し下げたときの押圧力を押圧用突起224に集めて導電性可動接点20を固定接点16に導通させるようにしている。このため、部品点数を減らして組立工数を削減することができると共に、簡単な構成でLED17からの光を均一に操作キー7に導きながら、操作キー7を感触のよいものとすることができる。
【0077】
また、押圧用突起224を有するスイッチ用シート18をポリカーボネイトよりも剛性の低いポリエチレンテレフタレートとしているので、操作キー7を押圧したときの感触が柔らかくなる。
【0078】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0079】
すなわち、上記実施形態では、携帯電子機器は、携帯電話機としたが、PHS、PDA、PC、モバイルツール、電子辞書、電卓、複写機等であってもよい。
【0080】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上説明したように、本発明は、携帯通信機器等の、発光手段からの光を操作キーに導かれて暗闇でも操作可能な携帯電子機器について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施形態にかかる携帯電話機の第1の筐体を開いた状態を示す斜視図である。
【図2】携帯電話機の第1の筐体を閉じた状態を示す斜視図である。
【図3】基板ユニットを示す斜視図である。
【図4】基板ユニットの分解斜視図である。
【図5】図3のV−V−線拡大断面図である。
【図6】ステンレスシートの平面図であり、(a)が上側のステンレスシートを示し、(b)が下側のステンレスシートを示す。
【図7】実施形態の変形例1にかかる図5相当図である。
【図8】実施形態の変形例2にかかる図5相当図である。
【符号の説明】
【0083】
1 携帯電話機(携帯電子機器)
3a 表面側キャビネット(筐体本体)
7 操作キー
11 上側キー用貫通孔
12 中央側キー用貫通孔
13 下側キー用貫通孔
15 プリント基板
16 固定接点
17 LED(発光手段)
18 スイッチ用シート
19 接点用開口
20 導電性可動接点
21 導光シート
22 弾性シート
23 突出部
24 押圧用シート(押圧手段)
26 ステンレスシート
124 押圧用突起(押圧手段)
224 押圧用突起(押圧手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の固定接点が設けられた基板と、
上記基板を表面側から覆い、キー用貫通孔を有する筐体本体と、
上記キー用貫通孔内に上記複数の固定接点に対応して配置される複数の操作キーと、
上記複数の操作キーの内面側に設けられ、上記複数の固定接点に対応する位置に上記基板側へ突出する複数の突出部を有する弾性シートと、
上記弾性シートよりも上記基板側に設けられ、光を発する発光手段と、
上記弾性シートよりも上記基板側に設けられ、上記発光手段からの光を受けて上記複数の操作キーに光を導く導光シートと、
上記導光シートよりも上記基板側に上記複数の固定接点に対応するように設けられた複数の導電性可動接点と、
上記各操作キーを押し下げたときに上記突出部に押圧され、上記導電性可動接点を上記固定接点に導通させる押圧手段とを備えている
ことを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯電子機器において、
上記押圧手段は、上記導光シートの裏面側に上記各導電性可動接点に対応する位置にそれぞれ貼り付けられた押圧用シートよりなる
ことを特徴とする携帯電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯電子機器において、
上記導光シートは、ポリカーボネイトよりなり、
上記押圧用シートは、ポリカーボネイトよりも剛性の低い材料に接着剤が塗布されたものよりなる
ことを特徴とする携帯電子機器。
【請求項4】
請求項1に記載の携帯電子機器において、
上記押圧手段は、上記導光シートの裏面側に上記各導電性可動接点に対応する位置にそれぞれ一体に設けられた押圧用突起よりなる
ことを特徴とする携帯電子機器。
【請求項5】
請求項4に記載の携帯電子機器において、
上記導光シートは、ポリカーボネイトよりなり、
上記押圧用突起は、紫外線硬化樹脂が硬化したものよりなる
ことを特徴とする携帯電子機器。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれか1つに記載の携帯電子機器において、
上記各導電性可動接点は、スイッチ用シートの裏面側にそれぞれ貼り付けられ、
上記各導電性可動接点の中心部分に対応する上記スイッチ用シートには、接点用開口が形成されている
ことを特徴とする携帯電子機器。
【請求項7】
請求項1に記載の携帯電子機器において、
上記各導電性可動接点は、スイッチ用シートの裏面側にそれぞれ貼り付けられ、
上記押圧手段は、上記スイッチ用シートの表面側に上記各導電性可動接点に対応する位置にそれぞれ一体に設けられた押圧用突起よりなる
ことを特徴とする携帯電子機器。
【請求項8】
請求項7に記載の携帯電子機器において、
上記導光シートは、ポリカーボネイトよりなり、
上記スイッチ用シートは、ポリエチレンテレフタレートよりなる
ことを特徴とする携帯電子機器。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1つに記載の携帯電子機器において、
上記複数の操作キーの周縁部は、上記弾性シートに貼り付けられたステンレスシートで支持されている
ことを特徴とする携帯電子機器。
【請求項10】
携帯電話機である
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1つに記載の携帯電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−159346(P2008−159346A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−345370(P2006−345370)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】