説明

携帯電子機器

【課題】落下等の衝撃を受けた際に、カードが接点不良を起こすことのない携帯電子機器を提供する。
【解決手段】カード27を挿脱するための開口26の縁部26aから筐体22の内側に突出して設けた当接リブ37と、筐体22に対する相対位置が爪部38により固定された枠体31との間に回路基板29が挟持されている。このため、携帯電子機器10に落下等の衝撃が加わっても従来のように回路基板29の反り、位置ずれが生じず、カード27が接点不良を起こすことがない。また、当接リブ37が回路基板29の表面の一部を覆うため、回路基板29の縁部に沿って形成された回路パターンが露出せず、短絡等のおそれが少ない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、識別カードを有する携帯端末機などの携帯電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯端末機は、携帯端末機のケース内に設けられたカード装着部に固定されたカードコネクタに、識別カードであるSIM(Subscriber Identification Module:加入者識別モジュール)カードをスライドさせて装着するものが一般的である(例えば特許文献1参照)。
【0003】
前述した特許文献1に記載の携帯端末機では、内部筐体は外部筐体に固定される。内部筐体と外部筐体との間には、回路基板が設けられており、回路基板にはカードコネクタが実装されている。内部筐体には電池兼カバーを取り付けるために電池保持用凹部が形成されており、電池保持用凹部にはカバーを取り外した状態でカードを装着するためのカード挿入口が設けられている。カード挿入口には一端が筐体に固定された短形の弾性片からなるスロープ兼ストッパが設けられている。
【0004】
従って、カードを取り付ける際には、カードをスロープ兼ストッパの上をスライドさせてカード挿入口から挿入すると、カードコネクタのカード保持部に取り付けられて保持される。
【0005】
また、図5に示すように、回路基板がメイン基板とサブ基板の2層構造となっている携帯端末機100では、下筐体のケース101と下筐体のカバー102を組み合わせて下筐体103が形成されている。ケース101には電池104を収容する電池収容部105が開口して設けられており、電池104を収容して電池カバー101aが取り付けられる。また、ケース101には、電池収容部105に連続して、カード106を出し入れするカード出し入れ口107が設けられている。
【0006】
カバー102には、メイン基板108が固定されており、メイン基板108の上には、枠体109を介して、カードホルダ111が実装されたサブ基板110が積層されている。
【0007】
従って、電池カバー101aを開け、電池104を外し、電池収容部105に連続するカード出し入れ口107からカード106を挿入すると、サブ基板110上のカードホルダ111に取り付けられる。
【特許文献1】特開2004−126877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図5に示したような従来の携帯端末機100においては、サブ基板110はケース101とカバー102との間に挟まれていて固定されていないため、携帯端末機100を落下等して衝撃を加えた際に、サブ基板110が反ったり変形したりするおそれがある。このため、カード106が反ったりカードホルダ111に対する位置がずれて、接点不良を起こすおそれがあるという問題があった。
【0009】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、落下等の衝撃を受けた際に、カードが接点不良を起こすことのない携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の携帯電子機器は、カードホルダが実装された回路基板と、前記回路基板を収容するとともに、前記回路基板の端面に対して対面する第1壁部と、前記回路基板における前記カードホルダが実装された表面側に対面する第2壁部とを有する筐体と、前記カードホルダに対して前記筐体の外側からカードを挿脱するために前記第1壁部に設けられた開口と、前記回路基板における前記表面とは反対側の裏面を支持する枠体と、前記開口の縁部から前記筐体の内側に突出し、前記回路基板の前記表面に当接する当接リブと、前記枠体に設けられて前記開口の前記縁部に係合する爪部とを備えた構成を有している。
【0011】
この構成により、カードを挿脱するための開口の縁部から筐体の内側に突出して設けた当接リブと、筐体に対する相対位置が爪部により固定された枠体との間に回路基板が挟持されている。すなわち、回路基板は筐体の一部である当接リブと、筐体に固定されている枠体との間に挟持されることになる。
このため、携帯電子機器に落下等の衝撃が加わって回路基板が筐体から浮く方向に力が作用した場合や、回路基板が筐体から浮く方向に反りがあった場合でも、位置ずれを防ぎ、カードの接点不良を防止することができる。また、成形によるケースの反り・膨らみにより、ケースが基板から離れる方向への作用がある場合でも、爪部の係合による引き込みでケースの浮きを防ぐことで位置ずれを防止し、カードの接点不良を防止することができる。さらに、当接リブが回路基板の表面の一部を覆うため、回路基板の縁部に沿って形成された回路パターンが露出せず、短絡等のおそれが少ない。
【0012】
また、本発明の携帯電子機器は、前記枠体が前記筐体に固定された構成を有している。
【0013】
この構成により、枠体が筐体に固定されるため、衝撃が加わっても筐体を構成するケースがカバーから離れるように隆起変形することがなく、初期形状を長期間維持できる。
【0014】
さらに、本発明の携帯電子機器は、前記当接リブにおける前記回路基板に当接しない表面に設けられた複数の突条を備え、前記各突条が前記カードホルダに対する前記カードの挿脱方向に沿った構成を有している。
【0015】
この構成により、当接リブにおける回路基板に当接しない表面、すなわちカードを摺接させる面に複数の突条を設けたので、この突条に沿ってカードを挿入することにより、カードにキズ付かず、円滑な挿脱可能となる。
【0016】
さらに、本発明の携帯電子機器は、前記当接リブと、前記爪部の係合箇所とが隣り合った構成を有している。
【0017】
この構成により、当接リブおよび爪部の係合箇所を製作する際の金型の製作が容易になり、製作コストの低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、携帯電子機器に落下等の衝撃が加わった場合、成形による筐体(ケース)の反りや膨らみが合った場合、回路基板の反りがあった場合などにおいて、筐体と基板の位置ずれを防ぎ、カードの接点不良を防止する携帯電子機器を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態の携帯電子機器について、図面を用いて説明する。
図1は本発明の第1実施形態にかかる携帯端末機を下筐体側から見た斜視図、図2は下筐体の分解斜視図、図3(A)は下筐体のケースの斜視図、図3(B)は(A)中B部の拡大斜視図、図4(A)は下筐体のケースの正面図、図4(B)は(A)中B−B位置の断面図、図4(C)は(A)中C−C位置の断面図である。
【0020】
図1に示すように、本発明の実施形態にかかる携帯電子機器としての携帯端末機10は、下筐体20と、上筐体40と、下筐体20と上筐体40とを回動可能に支持する連結部50を有している。下筐体20は上筐体40と対面する側に操作部20a(図4(B)、(C)参照)を有し、上筐体40は下筐体20と対面する側に表示部(図示省略)を有する。
【0021】
図2にも示すように、下筐体20は、上筐体40と対面する側のカバー21と、反対側のケース22とを有する。
ケース22には電池23を収容する電池収容部24が設けられており、電池カバー25が着脱可能に設けられている。電池収容部24には、SIMカード(以後、「カード」という。)27の挿脱を行うための開口であるカード挿脱口26が、電池カバー25および電池23を外した状態で露出する。
また、カバー21の内面(ケース22側面)には、メイン基板28が固定されており、メイン基板28上にはチップ28a等の電子部品が実装されている。
【0022】
カバー21とケース22との間には、回路基板であるサブ基板29およびサブ基板29のカバー21側面を支持する枠体31が設けられている。サブ基板29には、カード27を装着するカードホルダ32が設けられている。サブ基板29および枠体31は積層されて、カバー21に設けられてメイン基板29から露出しているネジ取付部33にネジ34によって固定されている。
すなわち、カバー21とケース22は最終的に一体的に結合されるので、枠体31はカバー21を介してケース22に固定されることになる。また、枠体31には、カード挿脱口26の縁部26aに設けられている係合箇所26bに係合する爪部38が設けられている。
【0023】
図3および図4に示すように、筐体としてのケース22は、サブ基板29の端面29aに対して対面する第1壁部35と、サブ基板29におけるカードホルダ32が実装された表面29b側に対面する第2壁部36とを有する。第1壁部35に、前述したカード挿脱口26が設けられている。カード挿脱口26の縁部には、ケース22の内側に突出し、裏面がサブ基板29の表面29bに当接する当接リブ37が設けられている。
また、カード挿脱口26の縁部26aには、当接リブ37に隣接して、枠体31の爪部38が係合する係合箇所26bが設けられている。このため、枠体31のケース22に対する相対位置が確定される。
【0024】
当接リブ37におけるサブ基板29に当接しない表面37aには、複数の突条37bが、カードホルダ32に対するカード27の挿脱方向に沿って設けられている。突条37bは、カード挿入口26の中心に対して対称な位置に設けて、カード27を均等に保持するのが望ましい。
【0025】
従って、組み立てる際は、カバー21のメイン基板28上に、枠体31を載せ、枠体31の上にサブ基板29を載せて、ネジ34により枠体31およびサブ基板29をカバー21のネジ取付部33に固定する。その後、サブ基板29を覆うようにケース22を被せる。
この際、ケース22の当接リブ37によりサブ基板29を押さえ、さらに枠体31の爪部38を当接リブ37に隣接するカード挿脱口26の縁部26aに係合させて固定する。すなわち、サブ基板29はケース22の一部である当接リブ37と、爪部38を介してケース22に固定される枠体31との間に挟持されることになる。そして、ケース22とカバー21を一体的に取り付けて、下筐体20を形成する。
【0026】
この構成により、カード挿脱口26の縁部26aからケース22の内側に突出して設けたケース22の一部である当接リブ37と、ケース22に対する相対位置が爪部38により固定された枠体31との間にサブ基板29が挟持される。このため、携帯端末機10に落下等の衝撃が加わってサブ基板29が枠体31から浮く方向に力が作用した場合や、サブ基板29が枠体31から浮く方向に反りがあった場合でも、位置ずれを防ぎ、カード27の接点不良を防止することができる。また、成形によるケース22の反り・膨らみにより、ケース22がサブ基板29から離れる方向への作用がある場合でも、爪部38の係合による引き込みでケース22の浮きを防ぐことで位置ずれを防止し、カード27の接点不良を防止することができる。
また、当接リブ37がサブ基板29の一部を覆うため、サブ基板29の縁部に沿って形成された回路パターンが露出せず、手で触れたり埃等が付着して短絡等を起こすのを防止する。
【0027】
また、枠体31が爪部38によりケース22に固定されるため、衝撃が加わっても筐体を構成するケース22がカバー21から離れるように隆起変形することがなく、初期形状を長期間維持できる。
【0028】
また、当接リブ37におけるサブ基板29に当接しない表面29b、すなわちカード27を摺接させる面に複数の突条37bを設けたので、この突条37bに沿ってカード27を挿入することにより、カード27にキズ付かず、円滑な挿脱可能となる。
【0029】
さらに、当接リ37と爪部38の係合箇所26bとが隣り合っているので、当接リブ37および爪部38の係合箇所26bを製作する際の金型の製作が容易になり、製作コストの低減を図ることができる。
【0030】
なお、本発明の携帯電子機器は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
例えば、前述した実施形態においては、携帯電子機器として携帯端末機10を例示したが、この他、PDA、ノートパソコン、ゲーム機等の持ち運び可能な電子機器にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、識別カードを有する携帯端末機などの携帯電子機器への適用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる携帯端末機を下筐体側から見た斜視図
【図2】下筐体の分解斜視図
【図3】(A)は下筐体のケースの斜視図、(B)は(A)中B部の拡大斜視図
【図4】(A)は下筐体のケースの正面図、(B)は(A)中B−B位置の断面図、(C)は(A)中C−C位置の断面図
【図5】従来の携帯電子機器における下筐体の分解斜視図
【符号の説明】
【0033】
10 携帯端末機(携帯電子機器)
22 ケース(筐体)
26 カード挿脱口(開口)
26a 縁部
26b 係合箇所
27 カード
29 サブ基板(回路基板)
29a 端面
29b 表面
31 枠体
32 カードホルダ
35 第1壁部
36 第2壁部
37 当接リブ
37b 突条
38 爪部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードホルダが実装された回路基板と、
前記回路基板を収容するとともに、前記回路基板の端面に対して対面する第1壁部と、前記回路基板における前記カードホルダが実装された表面側に対面する第2壁部とを有する筐体と、
前記カードホルダに対して前記筐体の外側からカードを挿脱するために前記第1壁部に設けられた開口と、
前記回路基板における前記表面とは反対側の裏面を支持する枠体と、
前記開口の縁部から前記筐体の内側に突出し、前記回路基板の前記表面に当接する当接リブと、
前記枠体に設けられて前記開口の前記縁部に係合する爪部とを備える携帯電子機器。
【請求項2】
前記枠体が前記筐体に固定されている請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記当接リブにおける前記回路基板に当接しない表面に設けられた複数の突条を備え、
前記各突条が前記カードホルダに対する前記カードの挿脱方向に沿っている請求項1または請求項2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記当接リブと、前記爪部の係合箇所とが隣り合っている請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−108293(P2010−108293A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−280233(P2008−280233)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】