説明

携帯電子機器

【課題】僅かな開閉動作であっても十分な誘導起電力を得ることができる携帯電子機器を提供することである。
【解決手段】第1の位置状態において、永久磁石15とコイル16が近接状態となり、第1の位置状態から前記第2の位置状態となるのに従い、第1筐体2の永久磁石15と第2筐体3のコイルが近接状態から離間状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話機、PDA、携帯型ゲーム機、携帯用テレビ、携帯用ラジオ等の携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、開閉動作をスライド動作に変換する開閉/スライド変換手段を設け、この開閉/スライド変換手段のスライドにより磁石とコイルとを相対移動させてコイル内に起電力を誘起させて発電する、折り畳み式携帯電子機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007―235562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のヒンジ部の回動と連動した磁石の相対移動では、開閉動作を完全に行わないと十分な誘導起電力を得ることができない。
【0005】
本発明の目的は、僅かな開閉動作であっても十分な誘導起電力を得ることができる携帯電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の携帯電子機器は、永久磁石が配設された第1の筐体と、コイルが配設され、前記第1の筐体と相対移動可能な第2の筐体と、前記第1の筐体又は前記第2の筐体内に配設され、前記永久磁石と前記コイルとの相対移動に伴う電磁誘導によって発電された電力を蓄電するバッテリ部と、を有し、前記第1の筐体と第2の筐体は第1の位置状態と第2の位置状態との間で相対移動可能であり、前記第1の位置状態において、前記永久磁石と前記コイルが近接状態となり、前記第1の位置状態から前記第2の位置状態となるのに従い、前記第1の筐体の前記永久磁石と前記第2の筐体のコイルが前記近接状態から離間状態となる。
【0007】
好適には、前記第1の筐体と前記第2の筐体は蝶番状のヒンジ部によって連結されており、前記第1の筐体の前記ヒンジ部と対向する縁辺側にはスピーカが配設され、前記第2の筐体の前記ヒンジ部と対向する縁辺側にはマイクロフォンが配設され、前記スピーカの近傍に前記永久磁石が配設され、前記マイクロフォンの近傍に前記コイルが配設されている。
【0008】
好適には、前記第1の筐体及び前記第2の筐体は、摺動によって前記第1の位置状態と前記第2の位置状態をとり、前記第1の筐体の摺動方向の一端側に前記永久磁石が配設され、前記第2の筐体の摺動方向の一端側で、前記第1の筐体において前記永久磁石が配設されている側と同一の側に前記コイルが配設されており、前記永久磁石は、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが接合している面側に配設され、前記コイルは、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが接合している面側に配設されている。
【0009】
好適には、前記永久磁石は、平形形状であって、磁力線を一方の方向に集中させるコの字形のヨークを有する。
【0010】
好適には、制御部は、前記コイルに発生する起電力を検出して、前記第1の位置状態であるか前記第2の位置状態であるかを検出する。
【0011】
好適には、マイクロフォン又はスピーカに組み込まれているコイル又は永久磁石のうち少なくともいずれか1つは、前記コイル又は前記永久磁石として作用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、僅かな開閉動作であっても十分な誘導起電力を得ることができる携帯電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯電話機の外観を開状態で示す斜視図である。
【図2】永久磁石及びコイルの働き及び位置の説明図である。
【図3】図1及び図2の携帯電話機の信号処理系を示すブロック図である。
【図4】バッテリ部とコイルとの間の回路構成の説明図である。
【図5】スライド式の携帯電話機へ本発明を適用した第1の変形例の説明図である。
【図6】第2の変形例の説明図である。
【図7】第4の変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る携帯電話機1の外観を開状態で示す斜視図である。
【0015】
携帯電話機1は、折り畳み式として構成されている。
携帯電話機1は第1筐体2及び第2筐体3とで構成されている。
第1筐体2は、第2筐体3と対向する部分を構成する第1筐体フロントケース4と、第2筐体3とは反対側部分を構成する第1筐体リアケース5とを有している。
第2筐体3は、第1筐体2と対向する部分を構成する第2筐体フロントケース6と、第1筐体2とは反対側部分を構成する第2筐体リアケース7とを有している。
【0016】
第1筐体フロントケース4及び第1筐体リアケース5はネジ等により互いに固定され、第1筐体フロントケース4及び第1筐体リアケース5の間に形成された空間に種々の電子部材を収容する収容空間を構成する。
第2筐体フロントケース6及び第2筐体リアケース7もネジ等により互いに固定され、第2筐体フロントケース6及び第2筐体リアケース7の間に形成された空間に種々の電子部材を収容する収容空間を構成する。
これらの第1筐体フロントケース4、第1筐体リアケース5、第2筐体フロントケース6及び第2筐体リアケース7は、例えば、樹脂により形成されている。
【0017】
なお、方向を示すときは、第1筐体リアケース5から第1筐体フロントケース4に向かう方向を表面方向(図1においては、紙面手前の方向)といい、第1筐体フロントケース4から第1筐体リアケース5に向かう方向を裏面方向(図1においては、紙面奥手の方向)という。
同様に第2筐体リアケース7から第2筐体フロントケース6に向かう方向を表面方向(図1においては、紙面手前の方向)といい、第2筐体フロントケース6から第2筐体リアケース7に向かう方向を裏面方向(図1においては、紙面奥手の方向)という。
【0018】
また、第1筐体2においてヒンジ部9に向かう方向を連結部方向(図1の第1筐体2においては、紙面下の方向)といい、その逆を連結部反対方向(図1の第1筐体2においては、紙面上方向)という。
同様に、第2筐体3においても、ヒンジ部9に向かう方向を連結部方向(図1の第2筐体3においては、紙面上の方向)といい、その逆を連結部反対方向(図1の第2筐体3においては、紙面下の方向)という。
【0019】
さらに、図1のように第1筐体2を上にし、第2筐体3を下にした状態とした時に、右側に来る側面を右側面11とし、左側に来る側面を左側面12という。
そして、右側面11側に向かう方向を右側面方向(図1においては、紙面右の方向)といい、左側面12面に向かう方向を左側面方向(図1においては、紙面左の方向)という。
【0020】
図1のように、第1筐体フロントケース4には表示部8が配置されている。
この表示部8は、携帯電話機1の状態、ユーザの操作内容、発信先電話番号、電子メールの内容の表示、ゲーム画面等の様々な情報を表示するためのものである。
【0021】
また、図1のように、第2筐体フロントケース6の表面方向には、入力部10が配置されている。この入力部10をユーザが操作することによって、携帯電話機1に命令の入力、文字の入力等がなされる。
【0022】
第1筐体2のヒンジ部9と反対側かつ表面側の位置には、スピーカ13が配置されている。
このスピーカ13は、通話時に通話の相手方の音声を出力する。
さらに、このスピーカ13は、携帯電話機1から出力される通話の相手方の音声以外の音声も出力してもよい。
【0023】
第21筐体のヒンジ部9と反対側かつ表面側の位置にはマイクロフォン14が配置されている。
このマイクロフォン14は、通話時にユーザの音声を電気信号に変換する。
さらに、このマイクロフォン14は、通話時以外に音声を電気信号に変換する場合に携帯電話機1に入力されるユーザの音声以外の音声を電気信号に変換してもよい。
【0024】
図2は、永久磁石15及びコイル16の働き及び位置の説明図である。
【0025】
図2(a)のように、第1筐体2のヒンジ部9と反対側かつ表面側の位置には、永久磁石15が配置されている。
永久磁石15とスピーカ13とは近接して配置されている。
また、図2(a)の様に、第2筐体3のヒンジ部9と反対側かつ表面側の位置には、コイル16が配置されている。
コイル16とマイクロフォン14とは近接して配置されている。
なお、永久磁石15及びコイル16の位置は、図2(a)の位置に限定されるわけではなく、たとえばヒンジ部9側の位置に配置されていてもよいし、第1筐体2及び第2筐体3の中間位置等に配置されていてもよい。
つまり、携帯電話機1の開状態と閉状態において、永久磁石15とコイル16を近接・離間させられる位置であればどのような位置であってもよい。
もっとも、図2(a)のように、ヒンジ部9から離間した位置の方が、第1筐体2と第2筐体の開角度が小さくても、永久磁石15とコイル16との相対的位置を大きく変えられるのでより有利である。
【0026】
図2(b)のように、閉状態においては永久磁石15とコイル16とは近接して配置されることになる。
このような閉状態から開状態に変化させると、コイル16内を貫く永久磁石15によって発生させられている磁力線の本数が変化する。
これによって、コイル16には起電力が発生する。
逆に、開状態から閉状態とする場合にも、起電力が発生する。
なお、閉状態から開状態に変化させた場合に発生する起電力と、開状態から閉状態に変化させた場合に発生する起電力とは、反対向きに発生している。
【0027】
以上のような方法によって、携帯電話機1の開閉動作によって起電力を発生させる。そして、発生した電力を後述するバッテリ部60に蓄電することができる。
バッテリ部60に蓄えられた電力は、携帯電話機1の通話やその他の各種機能を作動させることに使用することができる。
携帯電話機1の開閉動作は、どのような場合においても可能であるから、充電機がない場合や電力が供給されない環境下であっても携帯電話機1のバッテリ部60に充電できる。
このことは、災害時で電力供給が停止された状態においては特に威力を発揮する。
また、太陽電池パネルを携帯電話機1に設けることでは、地下や夜間などでは用いることができないが、本発明においてはそのような制約はない。
【0028】
また、携帯電話機1を閉状態から開状態に変化させた場合と、閉状態から開状態に変化させた場合とでは、コイル16に発生する起電力は逆となるのであるから、この起電力を検出することによって携帯電話機1が開状態であるのか閉状態であるのかを検出することができる。
このように、発電機能のための永久磁石15とコイル16とに、開閉検出機能を持たせることができる。
そして、永久磁石15とコイル16とに、開閉検出機能を持たせることができるのであるから、従来開閉検出のために用いられていたホール素子を設ける必要がなくなる。
【0029】
永久磁石15は、コイル16と近接する側にのみ磁力線が発生する方が都合がよいのであるから、一方面側にのみ磁力を発生させるコの字型のヨーク61を有しているとより好適である(図4参照のこと)。
このようにすることによって、より強い磁力を発生させることができるのであるから、発生する起電力も多くすることができる。
また、永久磁石の形状も、図2のように、平形形状としてより多くの磁力線が発生するようにした方が好適である。
【0030】
図3は、図1及び図2の携帯電話機1の信号処理系を示すブロック図である。
【0031】
図3に示されるように、携帯電話機1は、制御・処理の中枢である制御部57と、電源制御部50と、通信部51と、操作部52と、音声入出力部53と、表示部8と、記憶部56のそれぞれが、アドレス、データ、コントロールのためのラインが複数本からなるシステムバス58に共通に接続され、構成される。
【0032】
電源制御部50は、携帯電話機1が携帯して使用されている場合には、携帯電話機1内の、表示部8及び制御部57等が実装される回路基板等への電力の供給を制御している。
また、充電時には充電回路を制御して、バッテリ部60への充電開始及び停止、並びに充電の速度等を制御している。
本発明では、電源制御部50は、コイル16に発生した電力をバッテリ部60に供給する役割も有している。
また、電源制御部50は、コイル16に発生した起電力を検出して、その値情報信号を制御部57に出力する。
そして制御部57は、起電力の方向によって携帯電話機1が開状態であるのか、それとも閉状態にあるのかを判断する。
【0033】
通信部51は、無線通信システムを捕捉し、通信ネットワークに接続される基地局との間で無線通信を行い、各種データの送受信を行う。各種データとは、Web上のダウンロードサイトのからダウンロードされるファイルのデータ、音声通話時の音声データ、メール送受信時のメールデータ、ウェブ閲覧時のウェブページデータ、等である。
【0034】
操作部52は、入力部10及びその他の部分から入力されるユーザの指示を受け付ける。
入力部10には、例えば、電源キー、通話キー、数字キー、文字キー、方向キー、決定キー、発信キー、ファンクションキーなど、各種の機能が割り当てられたキーが配置されている。
そして、これらのキーがユーザによって操作された場合に、その操作内容に対応する信号を発生し、これをユーザの指示として制御部57に出力する。
【0035】
音声入出力部53は、スピーカ13から出力される音声信号やマイクロフォン14において入力される音声信号の入出力処理を行う。
すなわち、音声入出力部53は、マイクロフォン14から入力された音声を増幅し、アナログ/デジタル変換を行い、更に符号化等の信号処理を施し、デジタルの音声データに変換して制御部57に出力する。
また、音声入出力部53は、制御部57から供給される音声データに復号化、デジタル/アナログ変換、増幅等の信号処理を施し、アナログの音声信号に変換してスピーカ13に出力する。
【0036】
表示部8は、例えばLCD(液晶ディスプレイ)やOLED(Organic light-emitting diode(有機EL))を用いて構成されており、制御部57から供給される映像信号に応じた画像を表示する。
表示部8は、例えば、通信部51による無線発信時における発信先の電話番号、着信時における発信元の電話番号、受信メールや送信メールの内容、日付、時刻、電池残量、発信成否、待ち受け画面等を表示する。
【0037】
記憶部56では、携帯電話機1の各種処理に利用される各種データを記憶する。記憶部56は、例えば制御部57が実行するコンピュータのプログラム、通信相手の電話番号や電子メールアドレス等の個人情報を管理するアドレス帳、着信音やアラーム音を再生するための音声ファイル、待ち受け画面用の画像ファイル、各種の設定データ、プログラムの処理過程で利用される一時的なデータが記憶される。
なお、記憶部56は、例えば、不揮発性の記憶デバイス(不揮発性半導体メモリ、ハードディスク装置、光ディスク装置など)やランダムアクセス可能な記憶デバイス(例えばSRAM、DRAM)などによって構成される。
【0038】
制御部57は、携帯電話機1の全体的な動作を統括的に制御する。
すなわち、制御部57は、携帯電話機1の各種処理(回線交換網を介して行われる音声通話、電子メールの作成と送受信、インターネットのWeb上のダウンロードサイトの閲覧など)が操作部52の操作に応じて適切な手順で実行されるように、上述した各ブロックの動作(通信部51における信号の送受信、表示部8における画像の表示等)を制御する。
さらに、制御部57は、記憶部56に格納されるプログラム(オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行するコンピュータ(マイクロプロセッサ)を備えており、このプログラムにおいて指示された手順に従って上述した処理を実行する。
すなわち、制御部57は、記憶部56に格納されるオペレーティングシステムやアプリケーションプログラム等のプログラムから命令コードを順次受け取って処理を実行する。
【0039】
図4は、バッテリ部60とコイル16との間の回路構成の説明図である。
【0040】
永久磁石15の近接・離間によってコイル16には起電力が生ずる。
そして、発生した起電力は、コイル側コンデンサ17に一時的に蓄えられる。これは、起電力は大きく変化するため、平準化するためである。
第1コンデンサ17に蓄えられた電力、及び、電磁誘導によって発生した起電力は、順方向第1ダイオード19及び順方向第2ダイオード20を通じてバッテリ側コンデンサ18に蓄えられる。
また、逆方向に起電力が生じた場合には、逆方向第1ダイオード20及び逆方向第2ダイオード22を通じてバッテリ側コンデンサ18に蓄えられる。
この順方向第1ダイオード19、順方向第2ダイオード20、逆方向第1ダイオード20及び逆方向第2ダイオード22によって、交流的に発生する起電力を直流電力に変換している。
バッテリ側コンデンサ18に蓄えられた電力の電圧を電源制御部50は検出する。そして、電源制御部50は、バッテリ側コンデンサ18に蓄えられた電力が一定程度以上に達した段階で、充電制御回路23に充電指令を出す。
充電制御回路23は、バッテリ側コンデンサ18とバッテリ60とを直結することによって、バッテリ側コンデンサ18に蓄えられた電力をバッテリ60に充電している。
【0041】
<第1の変形例>
以上説明してきた本発明の実施態様は、折り畳み式の携帯電話機1であった。
しかし、本発明は折り畳み式以外の携帯電話機1にも適用可能である。
つまり、可動部分のある携帯電話機1であればどのようなものに対しても適用可能である。
【0042】
図5は、スライド式の携帯電話機1へ本発明を適用した第1の変形例の説明図である。
【0043】
図5の様に、第1筐体2と第2の筐体は縦方向にスライド(摺動)する。永久磁石15は、第2筐体3と接する側かつ摺動方向に摺動させて開状態としたときに第2筐体3側となる位置に配置される。
コイル16は、第1筐体2と接する側かつ摺動方向に摺動させて開状態としたときに第1筐体2側となる位置に配置される。
このように配置したことによって、スライドして開閉状態にすることによってコイル16に起電力が発生し、バッテリ部60に充電することができる。
【0044】
<第2の変形例>
図6は、第2の変形例の説明図である。
【0045】
図6のように、第1筐体2と第2筐体3とが、回転式に相対移動可能なものであっても、第1筐体2と第2筐体3との対向面に永久磁石15及びコイル16を配置可能である。
以上のように、第1筐体2と第2筐体3とが相対移動可能であればどのようなものであっても本発明は適用可能である。
【0046】
<第3の変形例>
ところで、スピーカ13及びマイクロフォン14は、永久磁石及びコイルから構成されている。
したがって、スピーカ13又はマイクロフォン14の永久磁石を本発明の永久磁石15として用いることも可能である。
また、スピーカ13又はマイクロフォン14のコイルを、本発明のコイル16として用いることも可能である。
さらに、スピーカ13又はマイクロフォン14の永久磁石又はコイルのいずれか一方を、本発明のコイル16又は永久磁石15の一部として用いることも可能である。
このようにすると、スピーカ13又はマイクロフォン14の部品を発電目的にも使用できるため、1つの部品が2つの機能を有することになり部品点数の節約、設置スペースの節約となる。
【0047】
<第4の変形例>
以上の実施例、変形例では、永久磁石15は携帯電話機1に配設されている物のみを説明してきたが、永久磁石15は必ずしも携帯電話機1に実装されている必要はない。
【0048】
図7は、第4の変形例の説明図である。
【0049】
図7のように、永久磁石15を別に設け、携帯電話機1にはコイル16のみが実装されているようにしてもよい。
この場合には、携帯電話機1又は永久磁石15を動かすことによって発電することができる。
携帯電話機1に永久磁石15を実装しなくて済むため、スペースの節約になるという効果がある。
【0050】
以上の実施形態によれば、永久磁石15が配設された第1筐体2と、コイル16が配設され、第1筐体2と相対移動可能な第2筐体3と、を有している。
そして、第1筐体2又は第2筐体3内に配設され、永久磁石15とコイル16との相対移動に伴う電磁誘導によって発電された電力を蓄電するバッテリ部60と、を有している。
また、第1筐体2と第2筐体3は第1の位置状態(閉状態)と第2の位置状態(閉状態)との間で相対移動可能である。
その上、第1の位置状態において、永久磁石15とコイル16が近接状態となり、第1の位置状態から前記第2の位置状態となるのに従い、第1筐体2の永久磁石15と第2筐体3のコイルが近接状態から離間状態となる。
このような構成によって、携帯電話機1の開閉動作によって起電力を発生させる。そして、発生した電力を後述するバッテリ部60に蓄電することができる。
また、バッテリ部60に蓄えられた電力は、携帯電話機1の通話やその他の各種機能を作動させることに使用することができる。
携帯電話機1の開閉動作は、どのような場合においても可能であるから、充電機がない場合や電力が供給されない環境下であっても携帯電話機1のバッテリ部60に充電できる。
このことは、災害時で電力供給が停止された状態においては特に威力を発揮する。
また、太陽電池パネルを携帯電話機1に設けることでは、地下や夜間などでは用いることができないが、本発明においてはそのような制約はなくなる。
【0051】
また、第1筐体2と第2筐体3は蝶番状のヒンジ部9によって連結されており、第1筐体2のヒンジ部9と対向する縁辺側にはスピーカ13が配設されている。
そして、第2筐体3のヒンジ部9と対向する縁辺側にはマイクロフォン14が配設され、スピーカ13の近傍に永久磁石15が配設され、マイクロフォン14の近傍にコイル16が配設されている。
このような構成によって、折り畳み式の携帯電話機1に本発明の発電機構である永久磁石15及びコイル16を設置できる。
さらに、このような構成としたことによって、第1筐体2と第2筐体の開角度が小さくても、永久磁石15とコイル16との相対的位置を大きく変えられるのでより有利である。
【0052】
また、第1筐体2及び第2筐体3は、摺動によって第1の位置状態と第2の位置状態をとり、第1筐体2の摺動方向の一端側に永久磁石15が配設されている。
そして、第2筐体3の摺動方向の一端側で、第1の筐体において永久磁石15が配設されている側と同一の側にコイル16が配設されている。
その上、永久磁石15は、第1筐体2と第2筐体3とが接合している面側に配設され、コイル16は、第1筐体2と第2筐体3とが接合している面側に配設されている。
このような構成によって、スライド式の携帯電話機1に本発明の発電機構である永久磁石15及びコイル16を設置できる。
【0053】
永久磁石15は、平形形状であって、磁力線を一方の方向に集中させるコの字形のヨーク61を有する。
このような構成によって、より強い磁力を発生させることができるのであるから、発生する起電力も多くすることができる。
また、平形形状としたことによって、より多くの磁力線を発生させることができる。
【0054】
制御部57は、コイル16に発生する起電力を検出して、第1の位置状態であるか第2の位置状態であるかを検出する。
この様に構成したことによって、永久磁石15とコイル16とに、開閉検出機能を持たせることができるのであるから、従来開閉検出のために用いられていたホール素子を設ける必要がなくなる。
【0055】
マイクロフォン14又はスピーカ13に組み込まれているコイル又は永久磁石のうち少なくともいずれか1つは、コイル16又は永久磁石15として作用する。
このような構成としたことによって、スピーカ13又はマイクロフォン14の部品を発電目的にも使用できるため、1つの部品が2つの機能を有することになり部品点数の節約、設置スペースの節約となる。
【0056】
なお、以上の実施形態において、第1筐体2及び第2筐体3は本発明の筐体の一例である。つまり、筐体とは、携帯電子機器を収容する容器に該当するものであればどのようなものであってもよい。さらに、容器の一部、例えば、第1筐体フロントケース4、第1筐体リアケース5、第2筐体フロントケース6及び第2筐体リアケース7であっても筐体に該当する。
また、閉状態は本発明における第1の位置状態に該当し、開状態は本発明の第2の位置状態に該当する。
【0057】
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0058】
携帯電子機器は、携帯電話機1に限定されない。例えば、携帯電子機器は、ノートパソコン、PDA、ゲーム機、カメラであってもよい。また、携帯電子機器は、折り畳み式のものに限定されない。ケースが一体的に構成されたもの(1つのみのケース)であってもよい。
さらにまた、本発明の第1の筐体及び第2の筐体は、携帯電話機1の本体である必要はなく、必要な時に取り付けられる添付部品であってもよい。
【0059】
本発明の実施態様において、永久磁石15とコイル16との位置関係は逆に配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…携帯電話機、2…第1筐体(第1の筐体)、3…第2筐体(第2の筐体)、4…第1筐体フロントケース、5…第1筐体リアケース、6…第2筐体フロントケース、7…第2筐体リアケース、8…表示部、9…ヒンジ部、10…入力部、11…右側面、12…左側面、13…スピーカ、14…マイクロフォン、15…永久磁石、16…コイル、17…コイル側コンデンサ、18…バッテリ側コンデンサ、19…順方向第1ダイオード、20…順方向第2ダイオード、21…逆方向第1ダイオード、22…逆順方向第2ダイオード、23…充電制御回路、50…電源制御部、51…通信部、52…操作部、53…音声入出力部、55…撮像部、56…記憶部、57…制御部、60…バッテリ部、61…ヨーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久磁石が配設された第1の筐体と、
コイルが配設され、前記第1の筐体と相対移動可能な第2の筐体と、
前記第1の筐体又は前記第2の筐体内に配設され、前記永久磁石と前記コイルとの相対移動に伴う電磁誘導によって発電された電力を蓄電するバッテリ部と、を有し、
前記第1の筐体と第2の筐体は第1の位置状態と第2の位置状態との間で相対移動可能であり、
前記第1の位置状態において、前記永久磁石と前記コイルが近接状態となり、前記第1の位置状態から前記第2の位置状態となるのに従い、前記第1の筐体の前記永久磁石と前記第2の筐体の前記コイルが前記近接状態から離間状態となる
携帯電子機器。
【請求項2】
前記第1の筐体と前記第2の筐体は蝶番状のヒンジ部によって連結されており、
前記第1の筐体の前記ヒンジ部と対向する縁辺側にはスピーカが配設され、
前記第2の筐体の前記ヒンジ部と対向する縁辺側にはマイクロフォンが配設され、
前記スピーカの近傍に前記永久磁石が配設され、
前記マイクロフォンの近傍に前記コイルが配設されている
請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記第1の筐体及び前記第2の筐体は、摺動によって前記第1の位置状態と前記第2の位置状態をとり、
前記第1の筐体の摺動方向の一端側に前記永久磁石が配設され、
前記第2の筐体の摺動方向の一端側で、前記第1の筐体において前記永久磁石が配設されている側と同一の側に前記コイルが配設されており、
前記永久磁石は、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが接合している面側に配設され、
前記コイルは、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが接合している面側に配設されている
請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記永久磁石は、平形形状であって、磁力線を一方の方向に集中させるコの字形のヨークを有する
請求項2又は3いずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
制御部は、前記コイルに発生する起電力を検出して、前記第1の位置状態であるか前記第2の位置状態であるかを検出する
請求項2〜4いずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
マイクロフォン又はスピーカに組み込まれているコイル又は永久磁石のうち少なくともいずれか1つは、前記コイル又は前記永久磁石として作用する
請求項2〜5いずれか1項に記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−49903(P2011−49903A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197464(P2009−197464)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】