説明

携帯電話機

【課題】携帯時と使用時の変化に対応して燃料電池の発電をOFFする携帯性に優れた携帯電話機を提供する。
【解決手段】筐体10を、表示部201と燃料電池部202とを備えた表示筐体200と、燃料電池部202で発電された電気を充電するための充電池部302及び操作部301と制御部とを備えたグリップ筐体300とに分割し、この2つの筐体が互いに重なった第1の状態と、この2つの筐体の一端が連結された第2の状態とを取り得るように、連結部400を介して連結し、表示筐体は、前記燃料電池の発電時の水分を排気する排気口を備え、連結部400は、第1の状態または第2の状態を検知する切替スイッチ51を備え、制御部は、第1の状態では燃料電池部302の発電を停止し、第2状態では発電を行うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池を備えた携帯電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機は身近な存在として生活になくてはならない存在となっている。これらの携帯電話機は充電池を内蔵しており、充電時には充電器にセットして繰り返し充電可能である。しかしながら、このような充電器では充電忘れがしばしば起こってしまう。このため、充電を忘れた携帯電話機に充電可能な使い捨ての電池が販売されている。また、携帯電話を折りたたみ可能とし、折りたたんだ状態では主表示部を非表示とし、開いた状態では表示することで節電を行うものが主流となっている。
【0003】
一方、繰り返し充電可能な電池として、燃料電池が環境にやさしいとして脚光を浴びている。この燃料電池と燃料タンクを内蔵し、この燃料タンクにメタノールなどの燃料を充填する携帯電話機も提案されている。また、燃料電池と二次電池の双方を本体内に設け、通話時は燃料電池で駆動し、待機時は二次電池で駆動する携帯電話機も提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−216644号公報
【0005】
【特許文献2】特開2004−247995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来例によれば、充電に際し、メタノールなどの燃料を補給することで、簡単に充電を行うことができる。しかし、燃料電池は発電時に水分が発生する課題がある。このため、常に携帯して使用される携帯電話機では、携帯時に燃料電池を駆動させると、発電時に発生した水分が周囲に発散してしまうことになる。したがって、携帯電話機を収納するポケットやカバンなどが湿気をおびてしまう課題がある。
【0007】
そこで、この発明の目的とするところは、携帯時と使用時の変化に対応して燃料電池の発電をOFFする携帯性に優れた携帯電話機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明に係る携帯電話機では、筐体を、使用時と携帯時に変化可能な構造とし、携帯時には燃料電池の発電を停止し、使用時には燃料電池を駆動して発電を行うようににする。
【0009】
具体的には、その筐体を、表示部と燃料電池部とを備えた表示筐体と、燃料電池部で発電された電気を充電するための充電池部及び操作部と制御部とを備えたグリップ筐体とに分割し、この2つの筐体が互いに重なった第1の状態と、この2つの筐体の一端が連結された第2の状態とを取り得るように、連結部を介して連結し、表示筐体は、前記燃料電池の発電時の水分を排気する排気口を備え、連結部は、第1の状態または第2の状態を検知する切替スイッチを備え、制御部は、第1の状態では燃料電池部の発電を停止し、第2状態では発電を行うようにする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、形態時と使用時の変化に対応して燃料電池の発電を制御する携帯性に優れた携帯電話機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係る携帯電話機を図1から図14を参照して詳細に説明する。図1はこの発明に係る携帯電話機の概略構成を示し、図2から図8には第1の実施例を示し、図9は第2の実施例を示し、図10、図11は第3の実施例を示し、図12、図13が第4の実施例を示し、図14が第5の実施例を示している。なお、同一の部位や方向などは同一符号を持って示し、重複した説明を省略する。
【0012】
先ず、図1を参照してこの発明の概略構造を説明する。図1はこの発明に係る携帯電話機の概略構成図である。
【0013】
本発明に係る携帯電話機の1つの特徴は、その筐体10を、表示部201と燃料電池部202を備えた表示筐体(第1の筺体)200と、前記燃料電池部202で発電された電気を充電するための充電池部302と操作部301とを備えたグリップ筐体(第2の筺体)300とに分割し、この2つの筐体が互いに重なった第1の状態と、この2つの筐体の一端が連結された第2の状態とを取り得るように、この2つの筐体を連結部400で連結した構造を備えた点である。
【0014】
この構造を備えた携帯電話機では、筐体10を少なくとも2つの筐体に分割し、第1の状態では2つの筐体が互いに重なってコンパクトな形態を取り、第2の状態では、2つの筐体の互いの一端が連結された通話状態を取ることができるので、収納性や携帯性を向上させることができる。そして、電源装置を、燃料電池部202と、この燃料電池部202で発電された電気を充電する充電池部302とに分けて構成し、この2つの電源を2つの筐体に分けて設けているので、第2の状態での重量バランスを向上させている。
【0015】
また、前記グリップ筐体300に操作部301を設け、表示部201を表示筐体200に配置しているので、グリップ筐体300を片手で保持した際に、このグリップ筐体300を保持する片手の親指や他の片手の指で操作部301を操作しても、その動作による表示部201の視認性を損なうことが軽減される。
【0016】
そして、何より、この携帯電話機の大きな特徴は、保持されるグリップ筐体300と離れて配置される表示筐体200に燃料電池部202を備えたので、燃料電池部202から発生する水分が保持する片手に触れることを軽減することができる。
そして、この携帯電話機の更なる大きな特徴は、前記連結部400に前記筐体10の形態の変化を検知する内部切替スイッチ51を備え、コンパクトな形態を取る第1の状態では燃料電池部22の発電を停止し、通話状態を取る第2の状態では、燃料電池部202を駆動させて発電するようにした点である。この実施の形態では、この携帯電話機を統括制御する制御部50が前記内部切替スイッチ51の信号をもとに燃料電池部202の運転制御を行う。
【0017】
この実施の形態では、前記筐体10の変化で燃料電池部202の発電を制御する第1の運転モードと、特定のスイッチの運転指示を受け付けて常時、燃料電池部202の運転を行う第2の運転モードを備え、これらの運転モードは制御部50が制御を行う。
【0018】
なお、この発明に係る携帯電話機は、2つの筐体を連結する連結部400を工夫することにより、例えば、矢印A1に示すような折り畳みや、矢印A2に示すような回転や、矢印A3に示すようなスライドなどの多様な形態(動き)を備えた携帯電話機を実現することができる。以下、図2から図14を参照して本発明に係る実施例を説明する。
(第1の実施例)
図2から図8を参照して第1の実施例に係る携帯電話機を説明する。図2は、第1の実施例に係る携帯電話機の外観斜視図である。
【0019】
先ず、図2を参照して、この携帯電話機の概略構造を説明する。図2において、符号1で総括的に示す携帯電話機の筐体10は、表示部201と燃料電池部202を備えた表示筐体200と、操作部301と前記燃料電池部202で発電された電気を充電するための充電池部302を備えたグリップ筐体300とに分割して構成され、この2つの筐体が互いに重なった第1の状態と、この2つの筐体の一端が連結された第2の状態を取り得るように、この2つの筐体を折りたたみ連結部410で連結した構造を備えている。
【0020】
即ち、この実施例では、第2の筺体であるグリップ筐体300と第1の筺体である表示筐体200とを薄形で偏平な形状とし、それぞれの広い面の長手方向の一端を折りたたみ連結部410で折りたたみ可能に連結している。図2は、2つの筐体を開いた第2の状態を示し、この第2の状態から表示筐体200を矢印A1方向に折りたたむことにより、2つの筐体が重なった第1の状態に変化させることができる。
【0021】
前記表示筐体200は、前記第1の状態で隠蔽され、第2の状態では露出する配置面203に表示画面部204を備えている。一方、前記グリップ筐体300は、前記第1の状態で隠蔽され、第2の状態では露出する配置面303に、文字や数値を入力するためのテンキー部305と、カーソル移動キーや機能キーを備えたファンクションキー部306とからなる操作部304が配置されている。そして、前記2つの配置面203、303は、前記折りたたみ連結部410が配置される一端と対向する他の一端側にスピーカ部205とマイク部307が分けて配置される。
【0022】
この構造によれば、第2の状態では、グリップ筐体300を片手で保持した場合には使用者の耳と口に合った良好な通話姿勢を取ることが可能であり、また、この第2の状態はグリップ筐体を片手で保持した場合、前記表示画面部204を見ながら入力操作を行うことができる。
【0023】
なお、図示していないが、グリップ筺体300の外周部分に、例えば、薄いゴム板等の滑り止め部材を取り付けるようにしてもよい。これにより、グリップ筺体300の保持性をより良好にすることができる。
【0024】
一方、第1の状態では、表示画面部204や操作部304が2つの筐体で隠蔽/保護されるコンパクトな形態を取ることができるので、携帯性が向上する。
【0025】
そして、この実施例の1つの特徴は、燃料電池部202をグリップ筐体300から離れた表示筐体200に備えた点である。しかも、この燃料電池部202の発電した電気を充電する充電池部302をグリップ筐体300に配置した点である。この構造によれば、第2の状態での重量バランスや前記表示筐体200に設けた排気穴206から排気される水分が直接グリップ筐体300を保持する片手に触れることを軽減できるので、発電時に水分が発生するという燃料電池の使用上の欠点を軽減することができる。
【0026】
次に、図3を参照して、この携帯電話機1の装置構成を説明する。図3は携帯電話機の装置ブロック図である。図3において、この携帯電話機1を統括的に制御する制御部50にはバスを介して各種装置やスイッチ類が接続される。
【0027】
内部切替スイッチ51は、グリップ筐体300の内部または連結部400に設けられており、表示筐体200の開閉動作に対応して信号を発信する。メモリ52は各種プログラムやデータを格納し、制御部50がプログラムにしたがってこの携帯電話機1を制御する。高周波回路部53は通信装置となるものであり、主アンテナ54とサブアンテナ55が接続される。この実施の形態では、前記したように、電源部を燃料電池部202と充電池部302とから構成している。また、前記燃料電池部202は、ガバナー56により制御部50を介して発電量が制御される。カメラ部57はカメラ回路部58を介してバスに接続される。
【0028】
駆動回路部59には、着信時に振動を発生させる振動部60と、メールや通話の着信あるいはアラームなどを光で知らせる状態ランプ部61が接続されており、制御部50からの制御に基づいて、これらの動作量と動作パターンが制御される。また、音声回路部62は、スピーカ部205と、音響スピーカ部67と、マイク部307とが接続されている。
【0029】
更に、この実施の形態では、操作部304と任意設定キー部63とモード切替スイッチ64などが設けられており、これらの操作スイッチ類により、利用者がこの携帯電話機1を操作することができる。加えて、この実施の形態では、外部接続部65が設けてあり、コードを介して外部のパーソナルコンピュータなどと接続して、通信やデータ交換を行なうことができる。
【0030】
次に、図4を参照して、2つの筐体の内蔵される装置の配置構造を説明する。図4は携帯電話機の内部レイアウト図であり、(a)図が配置面と対向する後方から見た表示筐体の内部レイアウト図、(b)図が配置面側からみたグリップ筐体の内部レイアウト図を示している。
【0031】
図4の(a)図において、前記表示筐体200の表示画面部204を構成する薄形の表示部201の後方には薄形偏平な燃料電池部202の発電部207が配置され、前記折りたたみ連結部410の一端側に前記発電部207に燃料を供給するためのボンベ208と、このボンベ208から発電部207に供給される燃料を供給するためのガバナー56とカメラ部57が配置され、他の一端にはスピーカ部205とサブ表示部66が対向して配置される。
【0032】
また、前記ボンベ208は、その軸方向に長い円柱形状を備えており、前記ガバナー56はこのボンベ208の長手方向の一端側に配置される。そして、前記ボンベ208は、前記ガバナー56に対して着脱可能に取り付けられる。これにより、ボンベ208を交換することにより、充電池部302のみ有するものに比べ、充電台に設置することなくいつでも充電が可能である。
なお、この実施の形態では、図2で示すように、ボンベ208を表示筺体(第1の筺体)200の側面から着脱するようになっている。
【0033】
一方、図4の(b)図において、グリップ筐体300は、その内部に操作基板68と制御基板69と充電池部302が前後に積層され、折りたたみ連結部410側に音響スピーカ部67が配置され、他の片側にマイク部307が配置される。
【0034】
なお、2つの筐体の間の信号配線や電源配線は前記折りたたみ連結部410を介して配線される。
【0035】
次に、図5、図6を参照して携帯電話機1の外観構造を説明する。図5は携帯電話機の第2の状態の外観図であり、(a)図が背面図、(b)図が左側面図、(c)図が正面図、(d)図が上面図、(e)図が底面図である。図6は携帯電話機の第1の状態の外観図であり、(a)図が上面図、(b)図が正面図、(c)図が右側面図を示している。なお、これら図5、図6の各図は図5の(c)図を正面として表記している。
【0036】
図5、図6において、この実施の形態では、表示筐体200の両側面及び前記配置面203と対向する筐体面209に排気穴206を設けている。これにより、燃料電池部202から発生する水分を排気することができる。また、筐体面209に設けた排気穴206は上方に片寄って配置され、第2の状態で水分が保持する手に触れないように配慮している。この排気穴206の中央にはサブ表示部66が配置され、筐体面209の下方には、カメラ部57とフラッシュ70及び状態ランプ部61が設けられている。
【0037】
また、この実施の形態では、表示筐体200に側方から装着可能なボンベ208を設けている。このボンベ208は筐体面209の一部を僅かに隆起させて形成される図示しない収納部に装着される。
【0038】
一方、グリップ筐体300の配置面303と対向する筐体面308には折りたたみ連結部410側に音響スピーカ部67の放音部67aが設けられ、他方には着脱可能な充電池部302が設けられている。この充電池部302は充電端子71を備え、充電台からの充電も可能である。
【0039】
次に、図7及び図8を参照して、携帯電話機1の使用状態を説明する。図7は使用状態の参考図である。図8は筐体10の形態の変化で燃料電池部202の運転を制御する動作フロー図である。前記したように、この実施の形態の携帯電話機1は、第2の状態の姿勢を取ると前記グリップ筐体300を片手で保持することができる。この保持姿勢によれば、グリップ筐体300は片手の中にスッポリ納まり、表示筐体200は片手で保持されるグリップ筐体300の上方に張り出して配置される。このため、保持する片手の指で前記操作部301を操作しても、あるいは他の手の指で前記操作部301を操作しても、上方に張り出した表示筐体200の表示画面部204の視認性を損なうことが軽減される。しかも、表示筐体200に設けた排気穴206から排出される水分は、矢印A4で示す上方に排出されるので、保持する片手に水分が接触することを軽減することができる。
【0040】
また、前記ボンベ208は、上方に張り出した表示筐体200の側面から着脱できるので、取扱いが容易である。
【0041】
図8において、この実施の形態では、前記燃料電池部202の運転を制御する複数の運転モードを備えている。この複数の運転モードは、カーソル移動キーや機能キーを備えたファンクションキー部306で設定することができる。例えば、機能キーで表示部201にメニュー画面を表示し、このメニュー画面から各種設定画面をカーソル移動キーで選択して行うことができる。
【0042】
この実施の形態では、燃料電池部202を内部切替スイッチ51の信号を介して筐体10の形態の変化を検知して制御する第1の運転モードと、特定のスイッチを介して燃料電池部202のON、OFFを制御する第2の運転モードと、充電池部302からの電源供給を停止して燃料電池部202から直接電源供給を受ける第3の運転モードと、燃料電池部202の運転を常時停止させる第4の運転モードを設定し、選択することができる。
【0043】
図8は、第1の運転モードの動作フローを示している。制御部50は、第1の運転モードが設定されると、内部切替スイッチ51を介して筐体10の形態の変化を監視している(ステップ500)。制御部50は、筐体10が開かれて内部切替スイッチ51からの信号を受信すると、燃料電池部202に発電の指示を行う(ステップ510)。燃料電池部202は、制御部50からの発電指示を受け付けると発電を開始し、発電された電力は充電池302に供給される。
【0044】
そして、制御部50は、内部切替スイッチ51を介して筐体10が閉じられたか否かを監視し(ステップ520)、閉じられれば、ステップ540に移行して発電停止の指示を行い、閉じられなければ発電を継続する。更に、制御部50は、充電池部302の電力状態も監視しており(ステップ530)、充電池部302が充電しすぎの状態(満杯)に成った場合は燃料電池部202の発電を停止する(ステップ540)。
【0045】
このように、この第1の運転モードでは、筐体10が開閉したか否かにより燃料電池部202の運転が制御される。したがって、筐体10が折りたたまれた第1の状態では、燃料電池部202は発電を行わない。このため、この第1の状態の携帯電話機をポケットやカバンなどに収納しても、発電に伴う水分の発散が行われないので携帯性が向上する。
【0046】
一方、筐体10が開かれた図7の第2の状態では、表示筐体200は片手で保持されるグリップ筐体300の上方に張り出して配置される。このため、表示筐体200に設けた排気穴206から排出される水分は上方に排出されるので、保持する片手に水分が接触することを軽減することができる。
【0047】
しかも、燃料電池部202は第2の状態で自動的に発電される。したがって、電力が特に必要な使用状態で常時電力が供給されるので、充電忘れが軽減される。一方、携帯時の第1の状態では、受信待ち受け状態であるので、表示部201を通電させる第2の状態に比べて消費電力量が小さいので、この第1の状態で常時発電しなくとも悪影響を受けることが軽減される。
【0048】
また、この実施の形態では、前記第1の運転モードの他に、他の運転モードを備えているので、必要により、この運転モードの設定を変更することができる。例えば、充電池部302の充電量が特に少なくなっていれば、燃料電池部202を常時運転させることが可能な第2の運転モードに設定することもできる。
(第2の実施例)
次に、図9を参照して、この発明に係る第2実施例を説明する。図9は折りたたみ連結部の他の応用例を示す説明図である。
【0049】
図9において、この前記第1の実施例では、表示筐体200にボンベ208を設ける構造としたが、この第2の実施例では折りたたみ連結部410にボンベを配置する構造としている。この場合、折りたたみ連結部410の回転中心軸Pと、前記ボンベ208の中心軸を一致させることにより、ボンベ208をコンパクトに筐体10内に収めることができる。
(a)図に示す折りたたみ連結部410は、グリップ筐体300の一端の中央に幅広く形成される第1連結部411と、前記表示筐体200の一端の両側に形成される一対の第2連結部412とで構成され、この一対の第2連結部412が前記第1連結部411の両側に支持される構造としている。この実施例では、前記第1連結部411にボンベ208を配置する。また、ガバナー56は第1連結部411または、第2連結部412の何れか一方に配置する。この場合、ガバナー56が表示筐体200に配置されない場合は、折りたたみ連結部410の回転軸Pを通過するように前記ガバナー56と発電部207とを連結するパイプ(図示省略)を配置する。
(b)図に示す折りたたみ連結部410は、(a)図の実施例を逆転させた構造である。即ち、この折りたたみ連結部410は、表示筐体200の一端の中央に幅広く形成される第1連結部413と、前記グリップ筐体300の一端の両側に形成される一対の第2連結部414とで構成され、この一対の第2連結部414が前記第1連結部413の両側に支持される構造としている。この実施例では、前記第1連結部413にボンベ208を配置する。また、ガバナー56は第1連結部413または、第2連結部414の何れか一方に配置する。この場合、ガバナー56がグリップ筐体300に配置されない場合は、折りたたみ連結部410の回転軸Pを通過するように前記ガバナー56と発電部207とを連結するパイプ(図示省略)を配置する。
(c)図に示す折りたたみ連結部410は、グリップ筐体300の両側に形成される一対の第1連結部415と、前記表示筐体200の一端の両側に形成される一対の第2連結部416とで構成され、この一対の第2連結部416が前記第1連結部415の両側に支持される構造としている。この実施例では、1対の連結部415、416の間に、ボンベ208の収納空間417を構成する。この場合、ガバナー56を両側の何れか一方の連結部に配置する。
(d)図に示す折りたたみ連結部410は、グリップ筐体300と表示筐体200の一端の片側に片寄って形成された第1連結部418と第2連結部419とからなり、他の開放された空間をボンベ収納空間417とする。
【0050】
この発明では、前記4つの実施例に限定さえるものではなく、2つの筐体を回転可能に連結する他の連結部でも応用可能である。
【0051】
また、上記の実施例ではボンベ208を回転軸P方向から装着することが有効である。この場合、ボンベ208の長手方向の両端に連結部がある場合は、挿入側の連結部にボンベ挿入用の開口部を形成し、他の連結部にこの連結部の回転角度や動きを規制するバネなどを配置するようにする。
【0052】
また、ボンベ208の両側に連結部があるものについては、配置面側から挿入するようにしてもよい。この構造によれば、ボンベ208を固定するための固定手段を簡素化できる。
(第3の実施例)
次に、図10と図11を参照して、本発明に係る第3の実施例を説明する。図10は第3実施例の使用状態と部分断面図である。図11は第1の状態における外観図であり、(a)が平面図、(b)図が左側面図、(c)図が正面図である。
【0053】
図10および図11において、この第3の実施例は、ボンベ208を備えない燃料電池部202aを表示筐体200に設けたものである。なお、グリップ筐体300や折りたたみ連結部410については、前記第1の実施例と同様のため説明を省略する。
【0054】
この第3の実施例に係る燃料電池部202aは、着脱可能なボンベ208を備えておらず、その代わりに、小容量の固定ボンベまたは燃料を一時的に蓄える一次燃料貯蔵部250を備えている。したがって、燃料の供給を外部から受けないと発電を長時間行うことができない。そこで、この実施の形態では、燃料供給用アダプタ260を備えている。この燃料供給用アダプタ260はタンク部261と供給部262とから構成される。燃料供給部262はスポンジ材などからなり、この燃料供給部262を一次燃料貯蔵部250の注入口251に矢印で示す方向から押し当てることにより、タンク部261から供給される燃料がこの燃料供給部262を介して一次燃料貯蔵部250に供給される。
【0055】
図10において、この実施の形態では、表示筐体200の内部を、配置面203側に形成される第1配置空間252と、この第1配置空間252と対向して形成される第2配置空間253と、連結部400側に形成される第3配置空間254に分割している。この内部分割構造によれば、発電時に水分が発生する燃料電池部202aを、表示部201を収める第1配置空間252と、カメラ部57やカメラ回路部58及び燃料電池基板255などを収める第3配置空間254と分離して、他の水分を嫌う装置への影響を軽減することができる。特に、この第2配置空間253は、第2の状態(使用状態)である保持姿勢では携帯電話機の上部位置となるので、その前記効果を向上させることができる。しかも、第1配置空間252と第3配置空間254は連結部400側に近いためグリップ筐体300との配線が容易となる。
【0056】
図11において、この実施の形態では、第1の状態において、表示筐体200の外側に露出する筐体面に複数の小さな穴からなる排気穴206aを備えている。注入口251は通常、シャッタ251aで覆われており、燃料を注入する際にはシャッタ251aを上方(カメラ部57側)へスライドさせて注入口251を露出させ、燃料供給用アダプタ260を押し当てるようになっている。
この実施の形態では、この排気穴206aの一方側に前記注入口251が配置され、これと対向する他方にカメラ部57が配置される。また、この実施の形態では、第1の状態の通常の保持姿勢では、注入口251側を手首側に来る位置で手のひらの中に保持することができる。この保持姿勢によれば、注入口251が手首側の位置に置くことができるので、前記燃料供給用アダプタ260を無理な姿勢を強いることなく押し付けて燃料を補給することができるし、しかも、この保持姿勢から表示筐体200を開けば、前記図7に示す使用状態で良好な保持姿勢を取ることができる。
【0057】
更に、この実施の形態の第1の運転モードでは、燃料を補給する前記第1の状態では、燃料電池部202aの発電が行われず、表示筐体200を開いて第2の状態に変化させることで発電が行われるので、燃料の補給が良好と成る。
(第4の実施例)
次に、図12と図13を参照して、本発明に係る第4の実施例を説明する。図12は第1の状態の外観図であり、(a)が正面図、(b)図が右側面図、(c)図が背面図、(d)図が平面図、(e)図が底面図である。図13は第2の状態の外観図であり、(a)図が左側面図、(b)図が正面図、(c)図が背面図である。
【0058】
図12および図13において、この第4の実施例は、グリップ筐体300と表示筐体200をスライド連結部420で摺動可能に連結したものである。つまり、この実施の形態では、グリップ筐体200の配置面303と表示筐体200の配置面202に、互いに嵌合して上下方向(図面上)に摺動可能に連結されるスライド連結部420が設けられる。
【0059】
前記配置面303にはテンキー部305とマイク部307が設けられ、筐体配置面308には着脱可能な充電池部302が設けられる。一方、前記表示筐体200の筐体面209には、表示画面部204とスピーカ部205とファンクションキー部306とが設けられる。
【0060】
このスライド連結部420を採用した携帯電話機では、前記表示筐体200の筐体面209がどの状態でも常に露出しているので、表示画面部204とスピーカ部205とファンクションキー部306が常に露出して設けられる。一方、グリップ筐体300の配置面303は第2の状態でのみ露出するので、必要な時にのみテンキー部305とマイク部307を露出させることができる。
【0061】
また、このスライド連結部420を採用した携帯電話機でも前記実施例と同様な内部レイアウトを取ることができる。ただ、このスライド連結部420の場合、このスライド連結部420側はファンクションキー部306が配置されるため、前記ボンベ208はスピーカ部205側に設けると良い。
【0062】
なお、着脱可能なボンベ208を搭載しない燃料電池部202aの場合は、前記ボンベ208の装着位置あるいは図12(c)図の点線で示した位置に注入口251を設けると良い。
(第5の実施例)
次に、図14を参照して、本発明に係る第5の実施例を説明する。図14は概略構造を示す概念図である。図14において、この第5の実施例は、グリップ筐体300の一端と表示筐体200の一端を互いに重ねて配置し、この重なった配置面303に、この配置面303と直交する回転軸Pを備えた回転連結部430で回転可能に連結したものである。
【0063】
前記配置面303にはテンキー部305とマイク部307が設けられ、筐体配置面308には着脱可能な充電池部302が設けられる。一方、前記表示筐体200の筐体面209には、表示画面部204とスピーカ部205とファンクションキー部306とが設けられる。
【0064】
この回転連結部430を採用した携帯電話機では、前記表示筐体200の筐体面209がどの状態でも常に露出しているので、表示画面部204とスピーカ部205とファンクションキー部306が常に露出して設けられる。一方、グリップ筐体300の配置面303は第2の状態でのみ露出するので、必要な時にのみテンキー部305とマイク部307を露出させることができる。
【0065】
なお、この第5の実施例も、前記第4の実施例と同様なボンベ208やガバナー56はスピーカ部205側に配置すると良い。また、燃料電池部202aを採用する場合は、第1実施例と同様な考え方を採用すると良い。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】この発明に係る携帯電話機の概略構成図である。
【図2】第1の実施例に係る携帯電話機の外観斜視図である。
【図3】第1の実施例に係る携帯電話機の装置ブロック図である。
【図4】第1の実施例に係る携帯電話機の内部レイアウト図である。
【図5】第1の実施例に係る携帯電話機の第2の状態の外観図である。
【図6】第1の実施例に係る携帯電話機の第1の状態の外観図である。
【図7】第1の実施例に係る携帯電話機の使用状態図である。
【図8】第1の運転モードにおける制御部の動作フロー図である。
【図9】第2の実施例に係る携帯電話機の折りたたみ連結部の他の応用例を示す説明図である。
【図10】第3の実施例に係る携帯電話機の使用状態と部分断面図である。
【図11】第3の実施例に係る携帯電話機の第1の状態の外観図である。
【図12】第4の実施例に係る携帯電話機の第1の状態の外観図である。
【図13】第4の実施例に係る携帯電話機の第2の状態の外観図である。
【図14】第5の実施例に係る携帯電話機の概念図である。
【符号の説明】
【0067】
10…筐体、50…制御部、51…内部切替スイッチ、56…ガバナー、200…表示筐体、201…表示部、202…燃料電池部、202a…燃料電池部、203…配置面、204…表示画面部、205…スピーカ部、206、206a…排気穴、207…発電部、208…ボンベ、209…筐体面、250…一次燃料貯蔵部、251…注入口、251a…シャッタ、252…第1配置空間、253…第2配置空間、254…第3配置空間、255…燃料電池基板、260…燃料供給用アダプタ、261…タンク部、262…供給部、300…グリップ筐体、301…操作部、302…充電池部、303…配置面、304…操作部、305…テンキー部、306…ファンクションキー部、307…マイク部、308…筐体面、400…連結部、410…折りたたみ連結部、411…第1連結部、412…第2連結部、420…スライド連結部、430…回転連結部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その筐体を、表示部と燃料電池部とを備えた表示筐体と、前記燃料電池部で発電された電気を充電するための充電池部及び操作部と制御部とを備えたグリップ筐体とに分割し、
前記表示筐体と前記グリップ筐体とが互いに重なった第1の状態と、前記表示筐体と前記グリップ筐体との互いの一端が連結された第2の状態とを取り得るように、前記表示筐体と前記グリップ筐体とを連結部を介して連結し、
前記表示筐体は、前記燃料電池の発電時の水分を排気する排気口を備え、
前記連結部は、前記第1の状態または第2の状態を検知する切替スイッチを備え、
前記制御部は、前記第1の状態では前記燃料電池部の発電を停止し、前記第2の状態では発電を行う
ことを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
前記請求項1記載の携帯電話機において、
前記切替スイッチを介して前記燃料電池部の運転を制御する第1の運転モードと、前記第1の運転モードに代えて他の特定スイッチの操作指示に基づいて前記燃料電池の運転を制御する他の運転モードとを備え、この何れかの運転モードを選択可能とした
ことを特徴とする携帯電話機。
【請求項3】
前記請求項1または2記載の携帯電話機において、
前記連結部は前記グリップ筐体と前記表示筐体を折りたたみ可能に連結する構造を備え、
前記表示筐体は、前記第1の状態で隠蔽され、前記第2の状態で露出する配置面に表示画面部を備え、
前記グリップ筐体は、前記第1の状態で隠蔽され、前記第2の状態で露出する配置面に、文字や数値を入力するためのテンキー部と、カーソル移動キーや機能キーを備えたファンクションキー部とからなる操作部が配置され、
前記2つの配置面は、前記連結部が配置される一端と対向する他の一端側にスピーカ部とマイク部が分けて配置される
ことを特徴とする携帯電話機。
【請求項4】
前記請求項1または2記載の携帯電話機において、
前記連結部は前記グリップ筐体と前記表示筐体をスライド可能に連結する構造を備え、
前記表示筐体は、スライドの如何にかかわらず露出する配置面に表示画面部を備え、
前記グリップ筐体は、前記第1の状態で隠蔽され、前記第2の状態で露出する配置面に、少なくと文字や数値を入力するためのテンキー部を含む操作部を備え、
前記2つの配置面は、前記連結部が配置される一端と対向する他の一端側にスピーカ部とマイク部が分けて配置される
ことを特徴とする携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−88804(P2007−88804A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274886(P2005−274886)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】