説明

携帯電話装置

【課題】ユーザがディスプレイ上で三者通話サービスの把握が容易であり、しかも通話モードの変更が容易な携帯電話装置を提供すること。
【解決手段】ディスプレイ42を具備し、このディスプレイ42上に各種の通話情報を表示可能な携帯電話装置において、接続先を示す接続話者識別情報を記憶している接続話者識別情報記憶手段と、2人以上の相手と接続状態にある場合に、接続話者識別情報記憶手段に記憶されている接続話者識別情報であって、当該接続状態である各接続先を示す全員分の接続話者識別情報50,52をディスプレイ42上に表示し、接続状態にある接続話者との接続が非接続になると、該非接続となった接続話者を示す接続話者識別情報52をディスプレイ42より消去する接続話者表示手段と、を具備する携帯電話装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三者通話サービスや切替通話サービスを行うことができる携帯電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話事業者によって提供されるサービスとして、三者通話サービス(マルチパーティ)と呼ばれる同時通話サービスがある。これは、図10に示すように、接続状態にある話者全員と音声通話が可能なサービスであり、現状では自分を含めて3人まで同時に通話が可能である。
【0003】
また、三者通話サービスと類似のサービスとしては、切替通話サービスがある。切替通話サービスは、図11に示すように、複数の話者と接続状態(現状は2人まで)にあるが、通話状態にある話者は自分以外には1人である。そのため、他の話者は接続状態ではあるが保留状態となる。通話対象者を切り替える場合、それまで通話中にあった話者を保留状態にする必要がある。
【0004】
ここで、通話中において切替通話で通話対象者を切り替えたり、切替通話とマルチパーティの通話モード間でのモード変更を行うことが可能なようにする場合、その方法の一つとして、キー操作によりメニュー画面を呼び出すものがある。これは、該メニュー画面の表示項目から、次に通話を開始する話者、マルチパーティの開始や切替通話の開始、といった項目を選択するものが考えられる。
【0005】
上述したような、メニュー画面を利用して通話対象者を切り替える方法では、メニュー画面を見てようやく保留状態者等が判明するため、少ない人数に制限されている現状がある。すなわち、携帯電話事業者が1台の携帯電話に接続可能な話者数を2人までに制限している現状でしか効果を発揮できない。しかしながら、携帯電話事業者が1台の携帯電話に接続可能な話者数を現状以上の人数とするW−CDMA(Wide band-Code Division Multiple Access)を用いる次世代携帯電話機IMT−2000(International Mobile Telecommunication-2000)のように、仕様を変更した場合には、メニュー画面を利用して通話対象者を切り替える方法では、表示画面がメニュー画面に切り替わるまで、ユーザは一体何人の話者を保留状態にしているのか、或いは誰を保留状態としているかを認識することが困難である。
【0006】
これは保留中の話者が多ければ多い程、ユーザが接続状況を把握しきれなくなる可能性が高くなる。また、話者選択のため、或いは通話モード変更のために表示画面を切り替える場合には、接続話者数が増えることによりメニューリストが複雑化する。このため、操作に慣れるまでの間は、ユーザが該操作を理解・把握しきれずに、混乱する可能性がある。
【0007】
なお、現状の三者通話サービスや切替通話サービスにおいても、その両者の切り替え状態が把握しずらいものとなっていると共に、三者通話の場合、二者から三者へ移行する場合、誰が新たに加わったかの把握に混乱を来たす場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このようなことから、ユーザが何人の話者と現在接続状態にあるのか、又誰と接続状態にあるのかを容易に認識でき、通話対象者の切り替えや切替通話とマルチパーティの通話モード変更を容易に行えるように、視覚的に明瞭で、操作がシンプルなユーザインターフェースの開発を行う必要がある。
【0009】
本発明は、上記の事情に基づきなされたもので、その目的とするところは、ユーザがディスプレイ上で三者通話サービスや切替通話サービス等の把握が容易であり、しかも通話モードの変更が容易な携帯電話装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、本発明は、同時に複数の通信接続先と無線通信接続するための複数者通信手段と、通信接続先を識別するための識別情報を記憶している識別情報記憶手段と、複数者通信手段を用いて複数の通信接続先と無線通信接続を行う場合に、各複数の通信接続先の識別情報および、現在の通話者の識別情報を表示させる表示手段と、複数者通信手段を用いて複数の通信接続先と無線通信接続を行う場合に、通信接続内容を記憶する通信接続内容記憶手段と、通信接続先を記憶する電話帳記憶手段と、を備え、通信接続内容記憶手段は、複数の通信接続先の少なくとも通話相手名、電話番号、通話時間のいずれか1つ以上を含む情報を無線通信接続毎に記憶するものとしている。
【0011】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、複数者通信手段を用いて複数の通信接続先との無線通信接続を行っている際に、新たな無線通信接続の呼び出しがあった場合、表示手段は、当該無線通信接続の呼び出しを行っている通信接続先の識別情報を現在表示されている複数の通信接続先を識別するための識別情報に加えて表示させるようにしても良い。
【0012】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、複数者通信手段を用いて複数の通信接続先との無線通信接続を行っている際に、現在の通信接続先以外と新たに無線通信接続が確立された場合、当該無線通信接続の通信先の識別情報を現在表示されている複数の通信接続先を識別するための識別情報に加えて表示させるようにしても良い。
【0013】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、複数者通信手段を用いて複数の通信接続先との無線通信接続を行っている際に、当該複数の通信接続先の中の任意の通信接続先が非接続になった場合、表示手段は、当該非接続になった通信接続先の識別情報を示す表示を消去するようにしても良い。
【0014】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、複数者通信手段を用いて複数の通信接続先との無線通信接続を行っている際に、表示手段は、複数の通信接続先の識別情報を電話帳記憶手段に登録されている順に並べて表示させるようにしても良い。
【0015】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、複数者通信手段を用いて複数の通信接続先との無線通信接続を行っている際に、表示手段は、当該無線通信接続している時間を表示させるようにしても良い。
【0016】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、複数者通信手段を用いて複数の通信接続先との無線通信接続を行っている際に、当該複数の通信接続先の中に電話帳記憶手段に記憶されていない通信接続先がある場合、表示手段は、電話帳記憶手段に記憶されていない通信接続先であることを示す表示を行うようにしても良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、接続話者識別情報がディスプレイで表示されるので、現在通話中の相手を、ディスプレイを見るだけで容易に確認することが可能となる。しかも、現在接続状態にある相手がディスプレイ上に表示され、さらに接続話者識別情報がディスプレイ上に表示されるため、ユーザは接続話者が誰であるか等の認識を、即座に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態について、図1から図9に基づいて説明する。図1は、本発明の携帯電話装置10の構成を示す概略図である。この図において、携帯電話装置10は、ユーザが各種操作を行う操作パネル11を有している。この操作パネル11は、ユーザが通話相手の電話番号を入力するテンキー12を有している。このテンキー12を操作してユーザが電話番号の入力を行い発信すると、CPU20での処理により、W−CDMA処理回路21、送受信回路22及びアンテナ32を介して発呼が行われる。そして、該携帯電話装置10の周辺に位置しているいずれかの基地局(不図示)と通信プロトコルを確立する。
【0019】
なお、図2(a)に示すように、操作パネル11には、テンキー12以外にも通話キー13や、電話帳機能を呼び出すための機能ボタン14や、特に図示しないが終話キーや方向ボタンや決定ボタン等が設けられている。
【0020】
また、相手先から着呼があると、CPU20は電子音発生回路24を駆動し、スピーカ25から着信音を発生させる。また、振動モードに設定している場合には、CPU20が振動パターン制御回路26に信号を出して、振動モータ27を制御駆動させて、振動を発生させる。そして、ユーザが通話キー13を押すと、CPU20は周辺のいずれかの基地局と通信プロトコルを確立する。このようにして、相手方との通話が可能になる。
【0021】
また、相手方との通話が可能になった状態において、ユーザがマイク31から入力した音声信号は、音声処理回路30及びW−CDMA処理回路21で所定の処理が為される。ここから出力された音声信号は、モデム23で変調され、変調信号が送受信回路22を介して、アンテナ32に与えられる。この結果、音声信号が通信プロトコルを確立した基地局に送信される。
【0022】
また、通話相手の音声信号は、同じ基地局から出力され、アンテナ32によって捉えられる。捉えられた音声信号は、送受信回路22に与えられる。そして、送受信回路22の出力がモデム23によって復調される。復調信号は、W−CDMA処理回路21及び音声処理回路30を介してスピーカ35に与えられる。このようにして、通信相手の音声が聞き取れる。
【0023】
ここで、CPU20にはRAM40やROM43が接続されている。このうち、ROM43は、描画回路41を介してディスプレイ42上に表示させる壁紙等を記憶し、また、携帯電装置10を操作させるためのOS等のプログラムを記憶しているものである。また、ROM43にはディスプレイ42上で表示させる、各種の接続話者アイコン50が記憶されている。接続話者アイコン50は、例えば図2(b)に示すようなものがある。この接続話者アイコン50は、予めROM43に記憶されているものを用いても良いが、ユーザがデジタルカメラで撮影した画像、或いはユーザがインターネット等で取り込んだ画像を用いても構わない。
【0024】
ここで、RAM40内への接続話者アイコン50の記憶例を、図3に示す。この図に示すように、例えば接続話者アイコン50の記憶例には、電話帳機能の内部に、表形式で記憶されるものがある。表形式に記憶される項目としては、何番目の列に登録されているかを示すNo.や、名前、電話番号、メールアドレスと共に、接続話者アイコン50を示すアイコンの項目がある。これらの各項目が夫々の行毎に分類され、また、1つのNo.には夫々1つずつの名前や電話番号、メールアドレス、接続話者アイコン50の行が設けられている。このようにして、接続話者アイコンデータベースが構成されている。
【0025】
なお、接続話者アイコン50は、全て異なるものとせず、他の列に登録されたものと同じものを用いても差し支えない。また、電話帳に接続話者アイコン50が未登録な相手と通信プロトコルを確立している場合を考慮して、電話帳未登録者用アイコンを設けても良い。さらに、相手が公衆電話から通話している場合も考慮して、公衆電話用アイコンを設けても良い。
【0026】
さらに、アイコンは、電話帳に対応づけなくても、単に「第1話者」、「第2話者」、「第3話者」等が分かるように示した図形とし、電話帳とは別にRAM40若しくはROM43に記憶しておいて、接続話者毎に通話開始順に応じて用いるようにしても良い。
【0027】
接続話者アイコン50は、図2(b)に示すように、1人以上の通話相手と通信プロトコルが確立されている場合に、全員分の接続話者アイコン50がディスプレイ42上に表示される。そして、通話中の相手の接続話者アイコン50は、例えば拡大表示されたり、或いは反転表示される等の表示が為される。それによって、ディスプレイ42上に並列された接続話者アイコン50のうち、現在通話中の相手と、それ以外の保留中の相手とを容易に区別することを可能としている。
【0028】
ここで、接続話者アイコン50は、1人以上の通話相手と通信プロトコルが確立されている場合には、接続話者アイコン表示手段としての表示プログラムが起動されて自動的にディスプレイ42上に表示される。この表示プログラムでは、一般的には最初に通信プロトコルが確立された順番から、例えばディスプレイ42の左隅に並べて表示するようにしている。
【0029】
しかしながら、電話帳へ登録されている際のNo.順に左隅に並べて表示するようにしたり、ディスプレイ42の上部等、他の位置に表示させるようにする等、種々変更可能である。なお、この表示プログラムはROM43内に記憶されているが、起動された場合にはRAM40内に存する状態となる。また、接続話者表示アイコン50も、表示に当たってはROM43からRAM40に引き出される。
【0030】
ここで、他者への話者の切り替えを行う場合、この実施の形態では、図2(b)に示すような、接続話者アイコン選択手段としての選択枠51を用いる。選択枠51は、例えば特に図示しない方向ボタンの操作によって接続話者アイコン50間を移動可能としており、そのまま決定ボタンを押せば、選択枠51が現在位置している接続話者アイコン50によって表示されている相手に通話が切り替えられる。
【0031】
なお、選択枠51は、接続話者アイコン選択手段としての機能のみならず、モード変更アイコン選択手段としての機能をも有している。この選択枠51を所定の接続話者アイコン50上、又は後述する通話モード変更アイコンとしてのマルチパーティ化アイコン52上に移動させ、操作キー11に存する図示しない決定ボタン等でクリックすることにより、通話相手の切り替えが為されたり、切替通話モードからマルチパーティモードへの通話モードの変更が為される。すなわち、選択枠51及び決定ボタン等は、接続話者切替手段、及び通話モード切替手段としての機能を果たしている。
【0032】
また、他者との通話において、2人以上との間に通信プロトコルを確立している場合には、CPU20はその状態を検出して、マルチパーティが実行可能と判断した場合、通話モード変更アイコンとしてのマルチパーティ化アイコン52を表示する。このマルチパーティ化アイコン52は、例えば図2等において、「MP」と表示されるものであるが、切替通話の状態からマルチパーティの状態への通話モードの切り替えを容易に行うものである。
【0033】
また、切替通話からマルチパーティへの通話モードの切替を行う時も、上述した選択枠51を用いる。この場合、マルチパーティ化アイコン52上に選択枠51を位置させ、決定ボタン(特に図示しない)を押すことにより、切り替え通話の状態からマルチパーティ通話の状態へと、通話モードが切り替えられる。
【0034】
また、通話相手の切り替えや切替通話モードからマルチパーティモードへのモード切替が為されると、この実施の形態では、図2(b)や図4等に示すように、切り替えられた接続話者アイコン50から矢印的な吹き出し53が吹き出されているような表示を行うようにしている。この表示によって、選択枠51の合わせられた接続話者アイコン50に応じた通話相手名及びその電話番号を確実に把握することが可能となる。これと共に、選択枠51が合わせられた接続話者アイコン50の接続状態(通話中/保留中等)や、通話時間等を表示するようにすれば、これらの接続状態、及び通話時間等の把握も確実に行える。
【0035】
なお、通話相手名や電話番号及び通話に関する時間情報は、当該通話の開始された時点で接続話者アイコン50と対応づけてRAM40内に記憶され、その接続状態はユーザによる通話相手の切り替え操作や、通話モードの切り替え操作がなされる度に、接続話者アイコン50ごとに更新され記憶される。
【0036】
ここで、上述の接続状態(通話中/保留中等)や通話時間の表示においては、選択枠51を接続話者アイコン50上に位置させるだけで表示させるようにしても構わない。また、決定ボタンを押すか、所定時間経過すれば、選択枠51が合わせられている通話相手への通話の切替等を実行するようにしても構わない。
【0037】
なお、このマルチパーティ化アイコン52も、ROM43内であって上述した電話帳と別に記憶されている。また、かかるROM43内に記憶されているマルチパーティ化アイコン52は、2人以上の通信相手と通信プロトコルが確立されると、モード変更アイコン表示手段としての表示プログラムが起動されて自動的にディスプレイ42上に表示される。
【0038】
また、マルチパーティ化アイコン52に選択枠51が合わせられた際には、上述したRAM40に接続話者アイコン50に対応づけて記憶された情報に基づき、通話相手名や電話番号や通話時間およびマルチパーティモードである事等を表示させる。
【0039】
ここで、以下の説明においては、呼の確立手順について図4及び図5に基いて説明する。なお、以下の説明に対応する図面中においては、特定の動作を行ったときのディスプレイ42の表示の様子を示している。また、以下の説明においては、特に呼を2つ以上保持できる、第3世代携帯電話機であるW−CDMA方式のIMT−2000を念頭において説明する。
【0040】
まず、最初の手順としては、図4(a)に示すように、ユーザがAさんに発信する。そして、Aさんとユーザとの間に呼が確立される。次に、図4(b)に示すように、ユーザがAさんと通話中の状態において、Aさんとの呼を保留状態にする。
【0041】
続いて、図4(c)に示すように、保留状態のまま、メニュー表示を行い、電話帳を呼び出してディスプレイ42上に表示させる。また、電話帳を呼び出さなくても、ユーザが独自に電話番号の入力を行っても構わない。そして、Aさんを保留状態のまま、例えばBさんを指定した後に発信する。すると、図5(a)に示すように、Aさんとの呼を保留状態にしたまま、Bさんとの呼が確立されて、Bさんとの通話が開始される。
【0042】
なお、このときに通信網側でAさんの音声とBさんの音声をミックスし、ユーザとの間で完全に同時通話を行うマルチパーティモードへの移行もできるようになるため、接続話者アイコン50と共に「MP」のようなマルチパーティ化アイコン52も表示させる。
【0043】
ここで、上述したようなAさん及びBさんと呼がそれぞれ確立された状態で、通話モードの切替を行う具体例について、以下に説明する。まず、切替通話モードからマルチパーティモードへの変更の実際について、図6に基づいて説明する。この図6(a)においては、この携帯電話装置10を使用するユーザはAさんと通話状態にあるが、Bさんとは保留状態にある。このとき、ディスプレイ42では、Aさんを示す接続話者アイコン50(この例ではコインのマーク)が選択枠51によって選択されていて、しかも例えば点滅表示、網かけ或いは反転表示等の特有の表示が為されている。また、吹き出し53は、Aさんを示す接続話者アイコン50から吹き出している状態を表示している。
【0044】
ここで、図6(b)に示すように、キー操作で後述するタイマ等のタイムアップ前に、選択枠51をマルチパーティ化アイコン52上に移動させる。すると、ディスプレイ42上では、通話中であるAさんの通話時間が表示されると共に、Bさんが保留中であることとその保留時間が表示される。また、その吹き出し53は、マルチパーティ化アイコン52から吹き出している状態を表示する。なお、Aさんとの間で切替通話モードでの通話は継続しているため、Aさんを示す接続話者アイコン50は点滅表示や網かけ、反転表示等がなされたままである。
【0045】
さらに、図6(b)の状態から、決定ボタンでクリックしたり、一定時間が経過等すると、図6(c)に示すようにマルチパーティモードに変更され、この携帯電話装置10を使用するユーザは、Aさん及びBさん双方と同時通話可能な状態となる。このとき、マルチパーティ化アイコン52には、点滅表示や網かけ、反転表示等が為され、Aさんを示す接続話者アイコン50の点滅表示、網かけや反転表示等は解除される。
【0046】
また、マルチパーティモードから切替通話モードへの変更の実際について、図7に基づいて説明する。この図7(a)においては、この携帯電話装置10を使用するユーザは、Aさん及びBさんと両方通話可能なマルチパーティモードにある状態を示している。このとき、ディスプレイ42は、Aさん及びBさんとの夫々の通話時間を示している。また、選択枠51は、マルチパーティ化アイコン52を囲む状態となっていると共に、吹き出し53は、このマルチパーティ化アイコン52から吹き出しているような状態を表示する。
【0047】
ここで、キー操作等によって図7(b)に示すように、選択枠51をBさんを示す接続話者アイコン50(この例では、犬のマーク)上に移動させる。すると、ディスプレイ42上では、Bさんとの通話時間が表示される。また、吹き出し53の先端は、Bさんを示す接続話者アイコン50へ移動する。なお、マルチパーティモードは継続されているため、マルチパーティ化アイコン52の点滅表示、網かけや反転表示等はなされたままである。
【0048】
さらに、図7(b)の状態(この状態ではまだマルチパーティモードである。)において、決定ボタンでクリックしたり、一定時間経過したりする等の操作を行うと、図7(c)に示すように、切替通話モードへと切り替えられ、Bさんとのみ通話している状態となると共に、Aさんとは保留状態となる。このとき、選択されたBさんを示す接続話者アイコン50(この例では、犬のマーク)には点滅表示や網かけ、反転表示等が為され、マルチパーティ化アイコン52の反転表示、網かけや反転表示等は解除される。
【0049】
また、切替通話モードにおいて、AさんからBさんへと通話を切り替える場合について、図8に基いて説明する。この図8(a)においては、Aさんとのみ通話している状態を示している。このとき、ディスプレイ42上には、Aさんとのみの通話時間が示されていると共に、その吹き出し53は、Aさんの接続話者アイコン50から吹き出されている状態を表示する。また、Aさんの接続話者アイコン50(この例では、コインのマーク)には、点滅表示や網かけ、反転表示等が為される。
【0050】
ここで、キー操作によって、図8(b)に示すように、選択枠51をBさんを示す接続話者アイコン50上に移動させる。すると、ディスプレイ42上の表示が、Bさんの通話状態(保留状態)を表示すると共に、保留時間を表示する。また、吹き出し53の先端は、Bさんを示す接続話者アイコン50を指し示すこととなる。なお、Aさんとの間で切替通話モードの通話は継続しているため、Aさんを示す接続話者アイコン50は点滅表示、網かけや反転表示等がなされたままである。
【0051】
さらに、図8(b)の状態において、決定ボタンでクリックしたり、一定時間経過したりする等の操作を行うと、図8(c)に示すように、Aさんとのみ通話している状態から、Bさんとのみ通話している状態へと切り替えられる。このとき、Bさんを示す接続話者アイコン50には、点滅表示、網かけや反転表示等がなされ、Aさんを示す接続話者アイコン50の点滅表示、網かけや反転表示は解除される。このようにして、AさんからBさんへの通話が切り替えられる。
【0052】
以上が、通話モードの切替の具体例である。そして、通話を終了する場合には、例えばAさんとの通話が済んでAさんと終話する場合、このときの操作としては、Aさんの方から終話する、若しくは切替通話モードにしてAさんとの通話状態とし、その後に終話キー(図示しない)を押す。その結果、Aさんの通話が終了し、残るBさんの通話保留状態に強制的に移行する。そして、Bさんの保留状態を解除すれば、以後はBさんとのみの通話となる。
【0053】
このようにして、Aさんとの通話を終了すると、図5(b)に示すように、Aさんを表示する接続話者アイコン50がディスプレイ42から消える。また、Bさんのみと呼を確立している状態となるため、「MP」等のマルチパーティ化アイコン52もディスプレイ42から消える。そして、以後はBさんとのみの通話に移行する。
【0054】
なお、ここでさらにユーザが別のCさんに発信する場合には、上述の図4及び図5に基づく説明に準じる。すなわち、まずBさんとの呼を保留状態としてからCさんを指定して発信する。すると、Cさんとの間に呼が確立される。以後、BさんとCさんとの間の通話モードの切り替えやBさんとCさんとの間の通話の切り替えは、上述したAさんとBさんとの間の場合と同様である。
【0055】
以上のような携帯電話装置10によれば、切替通話モードにおいては、現在通話中の相手、及び保留中の相手を、ディスプレイ42を見るだけで容易に確認することが可能となる。しかも、接続話者アイコン50により、現在通信プロトコルが確立されている相手が全てディスプレイ42上に表示され、さらに相手毎に異なる接続話者アイコン50がディスプレイ42上に表示される。このため、ユーザは誰と接続しているか、また、通話者が誰であり、しかも誰を保留にしているかの認識を、即座に行うことが可能となる。
【0056】
すなわち、接続話者アイコン50を見ることにより、ユーザは直感的に全ての接続相手を把握可能となる。また、選択枠51で囲まれた接続話者アイコン50を見ることで、ユーザは直感的に通話中の相手を把握可能となる。
【0057】
また、切替通話モードからマルチパーティモードへの通話モード変更は、マルチパーティ化アイコン52に選択枠51を位置させ、該マルチパーティ化アイコン52を決定ボタン等でクリックするだけで行える。このため、従来のようにメニュー画面を呼び出したりする等の面倒な画面操作が発生せず、マルチパーティ化アイコン52の選択のみという簡単な操作のみでマルチパーティモードへの変更が行える。
【0058】
なお、マルチパーティモードから切替通話モードへの通話モード変更も同様に簡単に行え、切替通話を行いたい接続話者アイコン50上に選択枠51を位置させ、その後に決定ボタン等を押すだけで行える。
【0059】
また、従来では同時に2人までしか接続できなかったが、仮に3人以上の相手と接続できるようになったとしても、本発明では1人以上の全ての通話相手をディスプレイ42上に並べて表示することができる。それによって、より沢山の相手とマルチパーティや切り替え通話を容易に行うことができ、しかも通話状況を容易に把握することが可能となる。また、接続話者アイコン50の表示を接続状態となってから表示するのではなく、かけたとき又はかかってきたときに即時にディスプレイ42に表示するようにしても良い。
【0060】
次に、切替通話モードにおける通話対象者の切り替え時のCPU20が行う処理プログラムについて、図9のフローチャートに基いて説明する。なお、この図7は、Aさんとの通話からBさんへの通話に切り替える場合を示している。
【0061】
現状は、Aさんと通話中でBさんは保留中である(ステップS101)。次に、CPU20は、対象話者切り替えボタンの押下検出や切替用のキー操作等の検出をする(ステップS102)。すると、CPU20は、選択枠51を対象の接続話者アイコン50上へ移動する(ステップS103)。そして、決定ボタンを押すか、タイマを起動させる(ステップS104)。タイマを用いる場合には、選択枠51を他の接続話者アイコン50上に移動させた場合に、移動の度にタイマを作動させる。そして、その移動開始から所定の時間が満了した場合でも、まだ移動させた接続話者アイコン50上に選択枠51が存する場合には、その接続話者アイコン50によって特定される相手方との通話に切り替えられる。
【0062】
すなわち、タイマが満了したか、若しくは決定ボタンが押し下げられたかを検出し(ステップS105)、当該条件を満足すると、CPU20はAさんの接続話者アイコン50に選択枠51が存在するか否かを検出する(ステップS106)。そして、この判断が肯定的な場合には、Aさんとの通話、及びBさんとの保留状態を継続する(ステップS107)。
【0063】
CPU20の判断が否定的な場合、携帯電話装置10は通信網の基地局との間でプロトコルメッセージをやり取りする(ステップS108)。このメッセージは、例えば、まず携帯電話装置10から基地局へAさんとの通話を保留にしたい、との要求と、Bさんの保留を解除(通話状態とする)したい、との要求を行う。これに対して基地局は、各要求を受け入れた旨の返信を携帯電話装置10に送信する。これによって、Aさんとは保留となり、Bさんとの通話が可能となる(ステップS109)。
【0064】
また、マルチパーティモードで通話中に他のものからさらに通話接続要求が来た場合、マルチパーティモードで受け入れることを可能にしても良いし、その新たな人は、切替通話モードでの受入としても良い。いずれにしても、接続状態となったとき、又は呼び出し状態の際に、接続話者アイコンデータベースから検索し、対応するアイコンをディスプレイ42に表示させる。
【0065】
なお、図9においては、AさんからBさんへ通話を切り替える場合について説明しているが、切替通話モードとマルチパーティモードとの間で通話モードを切り替える場合にも、同様に決定ボタンやタイマを用いることができる。なお、マルチパーティモードの開始時のプロトコルメッセージのシーケンスは、マルチパーティ化要求を基地局に送信し、基地局から要求を受け入れる旨の返信によって切替通話モードからマルチパーティモードに切り替わる。逆の場合は、切替通話モード化要求を基地局に送信し、基地局から要求を受け入れる旨の返信が行われることによってなされる。
【0066】
また、接続話者アイコン50が登録されていない相手方との通話を行う場合や未登録者が切替通話モードやマルチパーティモードでの通話の際に含まれている場合、不明者を示す初期設定のマーク等を接続話者アイコン50として用いたり、接続話者アイコン50の代わりに「未登録」という文字を、該接続話者アイコン50が映し出される部分に表示させても良い。また、吹き出し53上の画面中に、「未登録者2名」等の表示をさせても良い。
【0067】
また、電話帳に接続話者アイコン50を対応づけて登録せずとも、単に「(1)」、「(2)」、「(3)」等と第1話者、第2話者、第3話者の判断がつくように、電話帳とは別に記憶しておき、通話を開始した順に話者毎の管理を行えるようにしても良い。また、マルチパーティモードの場合、特別なマルチパーティ化アイコン52を設けず、携帯電話装置10側の決定ボタン等によってマルチパーティモード化した場合に、全ての接続話者アイコン50が選択枠51によって囲まれ、点滅表示、網かけや反転表示等するようにしても良い。
【0068】
なお、上述の発明では、接続話者アイコンがディスプレイで表示されるので、現在通話中の相手、及び保留中の相手又はマルチパーティを行っている相手を、ディスプレイを見るだけで容易に確認することが可能となる。しかも、現在通信プロトコルが確立されている相手がディスプレイ上に表示され、さらに相手毎に異なる接続話者アイコンがディスプレイ上に表示されるため、ユーザは接続話者が誰であり、しかも誰を保留にしているか等の認識を、即座に行うことが可能となる。また、切替通話モードとマルチパーティモードの間の通話モード変更も、通話モード変更アイコン上にモード変更アイコン選択手段を位置させ、その後に通話モード切替手段によって通話モードを容易に切り替えられる。このため、従来のようにメニュー画面を呼び出したりする等の面倒な画面操作が発生せず、簡単な操作のみで通話モード変更が行える。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、携帯電話に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施の形態に係る携帯電話装置の構成の概略を示す図である。
【図2】図1の携帯電話装置において、(a)は携帯電話装置の外観及び操作キーの様子を示す図であり、(b)は携帯電話装置のディスプレイに表示される内容を示す図である。
【図3】図1の携帯電話装置において、接続話者アイコンの登録の様子を示す図である。
【図4】図1の携帯電話装置において、呼の確立手順について説明するものであり、(a)はAさんとの呼を確立した様子を示す図、(b)はAさんを保留状態にした様子を示す図、(c)は保留状態のまま電話帳を呼び出した様子を示す図である。
【図5】図1の携帯電話装置において、呼の確立手順及び通話終了について説明するものであり、(a)はAさんを保留状態にしたままBさんとの呼を確立した様子を示す図、(b)はAさんとの通話を終了してBさんとのみの通話を行っている様子を示すものである。
【図6】図1の携帯電話装置において、切替通話モードからマルチパーティモードへの変更を行う様子を示す図である。
【図7】図1の携帯電話装置において、マルチパーティモードから切替通話モードへの変更を行う様子を示す図である。
【図8】図1の携帯電話装置において、切替通話モードにおいて、通話者を変更する時の様子を示す図である。
【図9】図1の携帯電話装置において、切替通話モードにおいて、通話者を変更する時のフローチャートを示すものである。
【図10】従来のマルチパーティ通話の様子を示す概略図である。
【図11】従来の切替通話の様子を示す概略図である。
【符号の説明】
【0071】
10…携帯電話装置
11…操作パネル
14…機能ボタン(接続話者切替手段、通話モード切替手段)
20…CPU
40…RAM
42…ディスプレイ
43…ROM
50…接続話者アイコン
51…選択枠(接続話者アイコン選択手段、モード変更アイコン選択手段)
52…マルチパーティ化アイコン(通話モード変更アイコン)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同時に複数の通信接続先と無線通信接続するための複数者通信手段と、
前記通信接続先を識別するための識別情報を記憶している識別情報記憶手段と、
前記複数者通信手段を用いて複数の前記通信接続先と前記無線通信接続を行う場合に、各複数の通信接続先の前記識別情報および、現在の通話者の識別情報を表示させる表示手段と、
前記複数者通信手段を用いて複数の前記通信接続先と前記無線通信接続を行う場合に、通信接続内容を記憶する通信接続内容記憶手段と、
前記通信接続先を記憶する電話帳記憶手段と、を備え、
前記通信接続内容記憶手段は、複数の前記通信接続先の少なくとも通話相手名、電話番号、通話時間のいずれか1つ以上を含む情報を前記無線通信接続毎に記憶する、
ことを特徴とする携帯電話装置。
【請求項2】
前記複数者通信手段を用いて複数の前記通信接続先との前記無線通信接続を行っている際に、新たな前記無線通信接続の呼び出しがあった場合、
前記表示手段は、当該無線通信接続の呼び出しを行っている前記通信接続先の前記識別情報を現在表示されている複数の前記通信接続先を識別するための前記識別情報に加えて表示させることを特徴とする請求項1記載の携帯電話装置。
【請求項3】
前記複数者通信手段を用いて複数の前記通信接続先との前記無線通信接続を行っている際に、現在の前記通信接続先以外と新たに前記無線通信接続が確立された場合、
当該無線通信接続の通信先の前記識別情報を現在表示されている複数の前記通信接続先を識別するための前記識別情報に加えて表示させることを特徴とする請求項1または請求項2記載の携帯電話装置。
【請求項4】
前記複数者通信手段を用いて複数の前記通信接続先との前記無線通信接続を行っている際に、当該複数の前記通信接続先の中の任意の通信接続先が非接続になった場合、
前記表示手段は、当該非接続になった前記通信接続先の前記識別情報を示す表示を消去することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の携帯電話装置。
【請求項5】
前記複数者通信手段を用いて複数の前記通信接続先との前記無線通信接続を行っている際に、前記表示手段は、複数の前記通信接続先の前記識別情報を前記電話帳記憶手段に登録されている順に並べて表示させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の携帯電話装置。
【請求項6】
前記複数者通信手段を用いて複数の前記通信接続先との前記無線通信接続を行っている際に、前記表示手段は、当該無線通信接続している時間を表示させることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の携帯電話装置。
【請求項7】
前記複数者通信手段を用いて複数の前記通信接続先との前記無線通信接続を行っている際に、当該複数の前記通信接続先の中に前記電話帳記憶手段に記憶されていない通信接続先がある場合、前記表示手段は、前記電話帳記憶手段に記憶されていない通信接続先であることを示す表示を行うことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の携帯電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−306756(P2008−306756A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−194875(P2008−194875)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【分割の表示】特願2006−60331(P2006−60331)の分割
【原出願日】平成13年5月22日(2001.5.22)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】