説明

撮像装置、発光装置、及び焦点検出方法

【課題】焦点検出において用いられる光の波長領域に合致した補助光を被写体に照射し、正確な焦点検出を行う。
【解決手段】撮像装置100は、第1及び第2の波長領域の光を受けて撮像光学系の焦点状態を検出する第1の焦点検出手段8と、第2の波長領域の光を受けて撮像光学系の焦点状態を検出する第2の焦点検出手段14と、第1及び第2の焦点検出手段のうち検出動作を行う焦点検出手段による焦点状態の検出が不能な場合に、被写体に対して補助光を照射する発光手段409,401を発光させる発光制御手段50とを有する。発光制御手段は、第1の焦点検出手段により焦点状態の検出が不能な場合には発光手段に第1の波長領域の補助光を発光させ、第2の焦点検出手段により焦点状態の検出が不能な場合には発光手段に第1の波長領域の補助光を発光させずに第2の波長領域の補助光を発光させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートフォーカス(AF)機能を有するデジタルカメラ等の撮像装置、その撮像装置に対して着脱可能な発光装置及び焦点検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の撮像装置におけるAF方式の1つとして、位相差検出方式がある。一眼レフデジタルカメラで採用されることが多い位相差検出方式では、撮像光学系からの光束をクイックリターンミラーによって専用の(つまりは画像記録用の撮像素子とは別に設けられた)焦点検出ユニットに導く。焦点検出ユニットでは、入射した光束が複数に分割され、該複数の光束により形成された複数の像が複数の受光素子列(ラインセンサ)によって光電変換される。これらラインセンサからの信号により検出された複数の像の位相差に基づいて、撮像光学系の焦点状態(デフォーカス量)が算出される。
【0003】
また、コンパクトデジタルカメラでも、特許文献1〜3にて開示されているように、位相差検出方式が採用される場合がある。具体的には、撮像素子の画素内に、一対又は二対の受光部を、二次元的に配列したマイクロレンズアレイ毎に設け、このマイクロレンズによって受光部を撮像光学系の瞳に投影する。そして、撮像光学系の瞳の異なる部分を通過した複数の光束による像の位相差を検出して撮像光学系のデフォーカス量を得る。撮像光学系の瞳の異なる部分を通過する光束を得るために、特許文献1及び3では、マイクロレンズより後方の受光部に対してオフセットした絞りを配置している。また、特許文献2では、マイクロレンズと受光部を互いにシフトさせている。
【特許文献1】特開平1−216306号公報
【特許文献2】特開平4−267211号公報
【特許文献3】特開2000−156823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、撮像素子を用いた位相差検出方式では、撮像素子の高画素化によって画素自体が小さくなると、斜めからマイクロレンズに入射する光束は撮像素子の前に配置された遮光絞りに到達できなくなる。すなわち、デフォーカス量が大きいと光束の多くがけられてしまう。このため、検出できるデフォーカス範囲が小さく制限されてしまい、専用のAFセンサを用いる場合と同等なデフォーカス検出能力を得られない。
【0005】
したがって、大きなデフォーカス量が発生するマクロ撮像を行う場合や、焦点距離の長い望遠レンズを用いる場合には、専用の焦点検出ユニットを用いた位相差検出方式を用いることが好ましい。そこで、専用の焦点検出ユニットを用いた位相差検出方式でのAF機能と撮像素子を用いた位相差検出方式でのAF機能とを選択的に使用できる撮像装置が考えられる。
【0006】
一方、撮像素子に用いられているフォトダイオードの検出波長領域は、300nm〜1000nm程度まで感度を持っている。ただし、人間の目の視感度特性に合わせるために、約650nmの波長よりも長波長側の成分は、光学フィルタとしての赤外カットフィルタによって遮断している。
【0007】
図15には、一般的な撮像素子の分光感度特性と撮像素子の前に配置された赤外カットフィルタの分光感度特性を示している。
【0008】
同図において、横軸は波長であり、縦軸は相対感度を示している。また、Aは撮像素子に使われているフォトダイオードの分光感度特性を示す。さらに、Bは赤外カットフィルタの分光感度特性を示している。
【0009】
また、位相差検出方式において、暗所で撮像する場合やコントラストが少ない被写体を撮像する場合に、被写体に対して補助光を照射して焦点検出を可能にすることが広く行われている。補助光の光源は、撮像装置に内蔵されたり、撮像装置に対して着脱可能なフラッシュ装置に設けられたりする。
【0010】
補助光の光源としては、被写体である人物が眩しさを感じないように、一般的には近赤外域に発光波長を持つLEDが用いられる。該LEDの発光スペクトル特性を、図15にCで示す。
【0011】
図15のB,Cの比較から分かるように、近赤外域の補助光は、赤外カットフィルタによってカットされ、撮像素子にほとんど到達しない。このため、撮像素子を用いた位相差検出方式AFを行う場合に、補助光として近赤外域の光を被写体に照射しても、誤動作が生じたり、焦点検出を行うことができなかったりする。
【0012】
本発明は、焦点検出において用いられる光の波長領域に合致した補助光を被写体に照射し、正確な焦点状態の検出(焦点検出)を行うことができる撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一側面としての撮像装置は、第1及び第2の波長領域の光を受けて撮像光学系の焦点状態を検出する第1の焦点検出手段と、第2の波長領域の光を受けて撮像光学系の焦点状態を検出する第2の焦点検出手段と、第1及び第2の焦点検出手段のうち検出動作を行う焦点検出手段による焦点状態の検出が不能な場合に、被写体に対して補助光を照射する発光手段を発光させる発光制御手段とを有する。そして、発光制御手段は、第1の焦点検出手段により焦点状態の検出が不能な場合には発光手段に第1の波長領域の補助光を発光させ、第2の焦点検出手段により焦点状態の検出が不能な場合には発光手段に第1の波長領域の補助光を発光させずに第2の波長領域の補助光を発光させることを特徴とする。
【0014】
なお、上記撮像装置に対して着脱が可能な発光装置であって、第1の波長領域の光を発光する第1の発光部と、第2の波長領域の光を発光する第2の発光部とを有する発光装置も本発明の他の側面を構成する。
【0015】
さらに、本発明の他の側面としての焦点検出方法は、第1及び第2の波長領域の光を用いて撮像光学系の焦点状態を検出する第1の焦点検出ステップと、第2の波長領域の光を用いて前記撮像光学系の焦点状態を検出する第2の焦点検出ステップと、第1及び第2の焦点検出ステップのうち検出処理を実行するステップにおいて焦点状態の検出が不能な場合に、被写体に対して補助光を照射する発光手段を発光させる発光制御ステップとを有する。そして、発光制御ステップにおいて、第1の焦点検出ステップで焦点状態の検出が不能な場合には発光手段に第1の波長領域の補助光を発光させ、第2の焦点検出ステップで焦点状態の検出が不能な場合には発光手段に第1の波長領域の補助光を発光させずに第2の波長領域の補助光を発光させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第1の焦点検出手段により検出動作を行う場合には、第1の波長領域の補助光を利用して正確な焦点検出を行うことができる。また、第2の焦点検出手段により検出動作を行う場合には、それに利用されない第1の波長領域の補助光を無駄に発光することを回避しつつ、第2の波長領域の補助光を用いた正確な焦点検出を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1には、それぞれ本発明の実施例である撮像装置としての一眼レフデジタルカメラ及び発光装置であるフラッシュ装置と、交換レンズとを含む撮像システムの構成を示す。
【0019】
図1において、100は一眼レフデジタルカメラ(以下、カメラという)であり、200はカメラ100に対して着脱可能な交換レンズである。また、400はカメラ100に対して着脱可能な発光装置としてのフラッシュ装置である。
【0020】
カメラ100において、1は主ミラーであり、ファインダ観察状態では、後述する撮像光学系からの光路(撮像光路)内に斜めに配置され(以下、この位置をダウン位置という)、撮像状態では撮像光路外に退避する(以下、この位置をアップ位置という)。主ミラー1はハーフミラーにより構成されており、ダウン位置では撮像光学系からの光束の一部を反射して後述するファインダ光学系に導き、他の光束を透過させる。
【0021】
ファインダ光学系は以下のように構成されている。2はピント板であり、撮像光学系からの光束による像が形成される。4はペンタプリズムであり、5はアイピースである。ピント板2からの光束は、ペンタプリズム4で反射されてアイピース5を通して撮像者の眼に導かれる。撮像者は、アイピース5を通してピント板2を観察することで、撮像範囲内の被写体を観察することができる。
【0022】
このようにファインダ光学系を通して被写体を観察できるモードを、以下、光学ファインダ(OVF)モードという。
【0023】
3はサブミラーであり、主ミラー1とともに、ファインダ観察状態では撮像光路内に斜めに配置され、撮像状態では撮像光路外に退避する。ファインダ観察状態において、主ミラー1を透過した光束は、サブミラー3で反射されて焦点検出ユニット8に導かれる。焦点検出ユニット8は、位相差検出方式での焦点検出と該焦点検出結果に基づくフォーカス制御を行うための専用のユニットである。
【0024】
焦点検出ユニット8は、一対又は複数対のレンズ部を有する二次結像レンズ8aと、該レンズ部により形成される一対又は複数対の像をそれぞれ光電変換する受光センサとしての一対又は複数対のラインセンサ8bとを有する。ラインセンサ8bは、図15にAで示す波長領域、すなわち同図にBで示す可視波長領域と同図にCで示す近赤外波長領域及びこれよりも長波長側の赤外波長領域の光に対する感度を有する。
【0025】
なお、赤外波長領域(近赤外波長領域も含む)は第1の波長領域に相当し、可視波長領域は第2の波長領域に相当する。
【0026】
6と7はそれぞれ、ファインダ光学系から一部の光束を取り込んで被写体輝度を測定するための結像レンズと測光センサである。測光センサ7は、その内部に対数圧縮回路を持つため、測光センサ7からの出力は対数圧縮されたものとなる。
【0027】
9は後述する撮像素子の露出量を制御するためのフォーカルプレンシャッタである。
【0028】
14はCCDセンサやCMOSセンサ等により構成される撮像素子である。撮像素子14の前面(撮像素子14とシャッタ9との間)には、撮像光学系から撮像素子14に向かう光のうち赤外波長領域の成分を遮断し、可視波長領域の光を透過する赤外カットフィルタ19が配置されている。この結果、撮像素子14は、図15にBで示す可視波長領域の光に対して感度を有するが、同図にC及びこれより長波長側である赤外波長領域の光に対しては感度を持たないことになる。
【0029】
16は撮像素子14からのアナログ撮像信号をデジタル信号に変換するA/D変換器である。
【0030】
18はタイミング発生回路であり、撮像素子14、 A/D変換器16及びD/A変換器26にクロック信号を供給する。該タイミング発生回路18は、メモリ制御回路22及び後述するシステムコントローラ50により制御される。
【0031】
20は画像処理回路であり、A/D変換器16又はメモリ制御回路22からのデジタル撮像信号に対して、画素補間処理、色変換処理、AWB(オートホワイトバランス)処理等の各種画像処理を行う。これにより、画像信号が生成される。
【0032】
メモリ制御回路22は、A/D変換器16、タイミング発生回路18、画像処理回路20、画像表示メモリ24、D/A変換器26、メモリ30及び圧縮・伸長回路32を制御する。
【0033】
画像処理回路20からの画像信号又はA/D変換器16からのデジタル撮像信号は、メモリ制御回路22を介して画像表示メモリ24又はメモリ30に書き込まれる。
【0034】
28はLCD等により構成される画像表示部である。画像表示メモリ24に書き込まれた表示用画像データは、D/A変換器26を介して画像表示部28に送られる。
【0035】
主ミラー1及びサブミラー3がアップ位置に退避し、シャッタ9が開いた状態で、画像処理回路20により生成されて画像表示メモリ24に書き込まれた表示用画像データが画像表示部28で表示されることにより、電子ファインダ機能が実現される。このように電子ファインダを通じて被写体画像を観察できる状態を電子ファインダ(EVF)モードという。
【0036】
メモリ30は、生成された静止画像や動画像を格納する。また、メモリ30は、システムコントローラ50の作業領域としても使用される。
【0037】
32は適応離散コサイン変換(ADCT)等により画像データを圧縮伸長する圧縮・伸長回路であり、メモリ30に格納された画像を読み込んで圧縮処理或いは伸長処理を行い、処理を終えたデータを再びメモリ30に書き込む。
【0038】
40はシャッタ9を制御するシャッタ制御回路、41は主ミラー1をアップ及びダウン動作させるミラー制御回路であり、それぞれモータとその駆動回路により構成される。
【0039】
システムコントローラ50は、カメラ100全体の動作を制御する。また、システムコントローラ50は、焦点検出ユニット8の一対又は複数対のラインセンサ8b上に形成された像(像信号)の位相差を検出する検出処理を行い、該位相差から撮像光学系のデフォーカス量(焦点状態)を演算する。そして、デフォーカス量から後述するフォーカシングレンズの合焦を得るための駆動量を算出する。このように、焦点検出ユニット8を用いてデフォーカス量及びフォーカスレンズ駆動量を求めるAF方式を、以下、検出ユニット位相差AFという。
【0040】
また、システムコントローラ50は、撮像素子14に設けられたAF画素(これについては後述する)上に形成された像の位相差を検出する検出処理を行い、該位相差から撮像光学系のデフォーカス量を演算する。そして、デフォーカス量からフォーカシングレンズの合焦を得るための駆動量を算出する。このように、撮像素子14を用いてデフォーカス量及びフォーカスレンズ駆動量を求めるAF方式を、以下、撮像素子位相差AFという。
【0041】
さらに、発光制御手段及び露出制御手段の一例であるシステムコントローラ50は、フラッシュ装置400における補助光の発光を制御したり、撮像動作時における照明光の発光を制御したりする。
【0042】
52はシステムコントローラ50の動作用の定数、変数、コンピュータプログラム等のデータを記憶するメモリである。
【0043】
54は情報出力部であり、文字、画像、音声等を用いてカメラ100の動作状態やメッセージ等を示す情報を出力する。情報出力部54は、液晶表示素子やスピーカ等により構成されている。情報出力部54は、一部の情報をファインダ光学系を介してファインダ画面内に表示する。
【0044】
56は電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリであり、EEPROM等が用いられる。
【0045】
60はモードダイアルスイッチであり、電源のON/OFF、撮像モード(静止画撮像モードや動画撮像モード)、再生モード等の各機能を切り替え設定するために操作される。
【0046】
62は撮像準備スイッチ(SW1)であり、不図示のシャッタボタンの第1ストローク操作(半押し)によりONとなり、測光(AE処理)及びAF処理等の撮像準備動作を開始させる。
【0047】
64は撮像スイッチ(SW2)であり、シャッタボタンの第2ストローク操作(全押し)によりONとなり、撮像動作を開始させる。ここにいう撮像動作は、主ミラー1及びサブミラー3のアップ動作、シャッタ9の開閉動作、撮像素子14からの撮像信号に基づいて画像処理回路20にて画像信号を生成する動作、画像信号をメモリ制御回路22を介してメモリ30に書き込む動作を含む。また、メモリ30から画像データを読み出して、圧縮・伸長回路32で圧縮し、記録媒体120に記録する動作も含む。これら一連の撮像動作は、記録用画像の取得動作ということもできる。以下、記録用画像の取得時を、撮像動作時という。記録媒体120は、半導体メモリや光ディスク等により構成される。
【0048】
66はファインダモード設定スイッチであり、OVFモードとEVFモードを選択するために操作される。EVFモードが選択されると、主ミラー1及びサブミラー3が撮像光路から退避し、シャッタ9が開かれる。そして、撮像素子14を用いて生成された動画像が画像表示部28にて表示される。
【0049】
68はクイックレビューON/OFFスイッチであり、取得した記録用画像を所定時間の間、画像表示部28に表示させるか否かを選択するために操作される。
【0050】
70は各種ボタンやタッチパネル等を含む操作部であり、カメラ100の機能選択や各種設定を行うためのメニュー画面を表示させたり、メニュー項目を決定したりするために操作される。
【0051】
80は電源制御回路であり、電池残量の検出を行う電池検出回路、電池からの電源電圧を所定の動作電圧に変換するDC−DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等を含む。
【0052】
86は電池であり、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池が使用される。82,84は電池86とカメラ100との電気的接続を行うためのコネクタである。
【0053】
90は記録媒体120との通信を行うためのインタフェースであり、92は記録媒体120に接続されるコネクタである。98はコネクタ92に記録媒体120が装着されているか否かを検知する記録媒体着脱検知器である。
【0054】
72は通信部であり、RS232C、USB、IEEE1394、無線通信等の通信機能を有する。
【0055】
73は通信部72を介してカメラ100に他の機器を接続するコネクタであり、無線通信を行う場合はアンテナが接続される。
【0056】
記録媒体120には、カメラ100との通信を行うためのインタフェース124と、カメラ100との電気的接続を行うコネクタ126とを有する。記録部122には、カメラ100から出力される圧縮画像データが書き込まれる。
【0057】
399は交換レンズ200とシステムコントローラ50との通信を行うための通信線であり、499はフラッシュ装置400とシステムコントローラ50との通信を行うための通信線である。
【0058】
交換レンズ200において、201は光軸方向に移動してフォーカス調整を行うフォーカシングレンズ、202はフォーカシングレンズ201を光軸方向に駆動するフォーカス駆動アクチュエータである。211はレンズ制御マイクロコンピュータ206からの指令に基づいてフォーカス駆動アクチュエータ202を制御するフォーカス制御回路である。
【0059】
207は光軸方向に移動して変倍を行うズーミングレンズ、208はズーミングレンズ207を光軸方向に駆動するズーム駆動アクチュエータである。212はズーム駆動アクチュエータ208を制御するズーム制御回路である。
【0060】
203はフォーカシングレンズ201やズーミングレンズ207の位置を検出するエンコーダと該エンコーダからの出力に基づいて被写体距離を算出する被写体距離検出器である。
【0061】
204は撮像素子14に到達する光量を調節する絞りである。250は絞り駆動アクチュエータであり、205はレンズ制御マイクロコンピュータ206からの指令に基づいて絞り駆動アクチュエータ250を制御する絞り制御回路である。
【0062】
レンズ制御マイクロコンピュータ206は、前述したフォーカス駆動や絞り駆動等を制御するとともに、カメラ100のシステムコントローラ50と通信を行う。レンズ制御マイクロコンピュータ206は、コネクタ210を介してカメラ100(システムコントローラ50に電気的に接続される。また、コネクタ210は、電池86からの電源電圧を交換レンズ200内に供給する。
【0063】
次に、フラッシュ装置400について図2を用いて説明する。401はキセノン管等により構成される第2の発光部としての光源であり、電流エネルギを発光エネルギに変換する。本実施例では、光源401としてキセノン管を用いている。402,403はフレネルレンズと反射板であり、それぞれキセノン管401からの光を効率良く被写体に向けて集光する役目を持つ。本実施例のキセノン管401は、撮像動作時に被写体に照明光を照射する光源であるとともに、AF時に被写体にAF補助光を照射する第2の発光部としても用いられる。
【0064】
448,445は、キセノン管401の発光量をモニタするために設けられた、フォトダイオード等の第1及び第2の受光素子である。第1の受光素子448には、キセノン管401から発せられた光の一部がライトガイド406及びグラスファイバー407を介して導かれる。また、第2の受光素子445には、キセノン管401から発せられた光の一部がライトガイド406を介して導かれる。
【0065】
フラッシュ制御マイクロコンピュータ450は、第1の受光素子448からの出力に基づいて、キセノン管401の予備発光及び本発光での発光量を制御する。予備発光は、撮像動作時に被写体を照明する閃光を発する本発光における発光量を決定するために行われる。また、フラッシュ制御マイクロコンピュータ450は、第2の受光素子445からの出力に基づいて、キセノン管401を所定の発光量で所定時間継続して発光させるフラット発光制御を行う。
【0066】
409は被写体に照射されるAF補助光の光源となる第1の発光部としての近赤外発光ダイオードである。近赤外発光ダイオード409の発光動作は、フラッシュ制御マイクロコンピュータ450により制御される。近赤外発光ダイオード409から発せられるAF補助光は、第1の波長領域としての近赤外波長領域(図15のCで示す領域)の光である。
【0067】
410はAF動作時にAF補助光により被写体に対して縞状のパターン像を投影するために、近赤外発光ダイオード409の前面に配置されたパターン原版である。411はパターン原版410を通過したAF補助光を被写体に向けて投影する投影レンズである。
【0068】
図3には、AF補助光により被写体に投影されるパターン像を示す。Dは被写体が存在する撮像範囲であり、Eは撮像範囲Dの一部に投影されるパターン像である。
【0069】
420はカメラ100(システムコントローラ50)とフラッシュ制御マイクロコンピュータ450との通信インタフェースとなる接点群である。
【0070】
図4には、接点群420を介してカメラ100に接続されるフラッシュ装置400の電気的な構成を示している。なお、図3に示した構成要素には、図3中と同符号を付して説明に代える。
【0071】
421は電池である。422はDC−DCコンバータであり、電池421からの電圧を数100Vに昇圧する。
【0072】
423は電気エネルギを蓄積するメインコンデンサである。424,425は抵抗であり、メインコンデンサ423の電圧を所定比に分圧する。
【0073】
426はキセノン管401への通電電流を制限するためのコイル、427はキセノン管401の発光停止時に発生する逆起電圧を吸収するためのダイオードである。431はキセノン管401に放電を開始させるトリガ信号を発生するトリガ発生回路であり、432はIGBT等の発光制御回路である。
【0074】
440はデータセレクタであり、入力ポートY0,Y1への入力の組み合わせにより、データポートD0,D1,D2を選択し、選択したデータポートからの信号をポートYに出力する。
【0075】
441はフラット発光の発光レベル制御するためのコンパレータであり、その出力データはデータポートD2に入力される。また、442は閃光発光の発光量を制御するためのコンパレータであり、その出力データはデータポートD1に入力される。
【0076】
444は第2の受光素子445に流れる微少電流を増幅すると共に光電流を電圧に変換する測光回路であり、その出力はコンパレータ441に入力される。
【0077】
446は第1の受光素子448に流れる光電流を対数圧縮するとともに、キセノン管401の発光量を圧縮積分する積分測光回路である。積分測光回路446の出力は、コンパレータ442に入力される。
【0078】
フラッシュ装置400内の上記各部の動作は、フラッシュ制御マイクロコンピュータ450によって制御される。
【0079】
451は近赤外発光ダイオード409への通電をON/OFFするトランジスタであり、452は該発光ダイオード409に流れる電流を制限するための抵抗である。453はトランジスタ451のベース電流を制限するための抵抗である。
【0080】
フラッシュ装置400内の上記各部の動作は、フラッシュ制御マイクロコンピュータ450によって制御される。
【0081】
次に、フラッシュ制御マイクロコンピュータ450のポート(端子)について説明する。CNTは、DC/DCコンバータ422の充電を制御する制御出力ポート、CLKはカメラ100とのシリアル通信のための同期クロック信号の入力ポートである。DOは同期クロックに同期して、フラッシュ制御マイクロコンピュータ450からシステムコントローラ50にシリアルデータを転送するためのシリアル出力ポートである。DIは同期クロックに同期して、システムコントローラ50からフラッシュ制御マイクロコンピュータ450にシリアルデータを転送するためのシリアルデータ入力ポートである。
【0082】
INTは積分測光回路446の積分動作を制御するための制御信号出力ポートであり、AD0は積分測光回路446の発光量を示す積分電圧を読み込むためのA/D入力ポートである。DA0はコンパレータ441,442のコンパレート電圧を出力するためのD/A出力ポートである。
【0083】
Y0,Y1は前述したデータセレクタ430への出力ポートであり、TRIGはトリガ発生回路431にトリガ信号を発生させる信号を出力するトリガポートである。AUXは補助光点灯用のトランジスタ451を制御するための点灯ポートである。
【0084】
図5には、撮像素子14の受光面の一部を示している。撮像素子14の各画素の前面には、ベイヤー配列のカラーフィルタが規則的に配置されている。Gは緑、Rは赤、Bは青のカラーフィルタを示す。また、受光面のうち水平方向及び垂直方向の所定画素毎に、AF用画素SA及びSBが配置されている。
【0085】
図6には、AF画素SAの構造を示す。また、図7には、AF画素SBの構造を示す。これらの図において、上側の図はAF画素を上部から見た図であり、下側の図はAF画素のb−b’断面を示す。AF画素はフィルタ層を有さず、最上部にマイクロレンズ301が配置される。302はマイクロレンズ301が搭載される平面を構成する平坦層である。
【0086】
AF画素では、混色防止用の遮光メタルと同一平面上に、AF画素の光電変換エリアの中心(画素中心)から一方に偏った(オフセットした)開口部303a,303bを有する遮光層(遮光絞り)303を有する。遮光層303は、アルミ配線層で形成されている。304は光電変換層である。
【0087】
ここで、AF画素SA側の遮光層303の開口部303aとAF画素SB側の遮光層303の開口部303bは、画素中心に対して互いに反対側にオフセットしている。これにより、AF画素SAとAF画素SBには、撮像光学系の瞳のうち異なる部分を通った光束が入射する。304は光電変換層である。
【0088】
AF画素を用いて行うAF動作を、図8を用いて説明する。同図において、310は撮像光学系を模式的に示したものであり、311はAF画素SAを、312はAF画素SBである。AF画素SAにおいては、遮光絞り303の右側にオフセットした開口部303aを通じて、L1〜L3及びこれらの間の光束のみが光電変換部304に入射する。つまり、AF画素SAには、撮像光学系310の光軸AXLよりも右側の光束のみが入射する。
【0089】
一方、AF画素312においては、遮光絞り303の左側にオフセットした開口部303bを通じて、L4〜L6及びこれらの間の光束のみが光電変換部304に入射する。つまり、AF画素SBには、撮像光学系310の光軸AXLよりも左側の光束のみが入射する。
【0090】
以下、AF画素SAに入射する光束の重心とAF画素SBに入射する光束の重心との間の距離をLとする。
【0091】
このようなAF画素SA,SBが多数並んだ場合の結像の状態について、図9A〜図9Bを用いて説明する。
【0092】
図9Aは、フォーカシングレンズ201が合焦位置よりも被写体側に位置する状態、すなわち前ピン状態を示す。図9Bはフォーカシングレンズ201が合焦位置に位置する合焦状態を示す。また、図9Cは、フォーカシングレンズ201が合焦位置よりも像面側に位置する状態、すなわち後ピン状態を示す。
【0093】
図9Aの前ピン状態では、AF画素SA上に形成される像(A像)の位置と、AF画素SB上に形成される像(B像)の位置との間の撮像素子14上での差Lは負の値となり、図9Bの合焦状態では、上記差Lは0となる。また、図9Cの後ピン状態では、上記差Lは正の値となる。したがって、AF画素SA上に形成されるA像とAF画素SB上に形成されるB像との間隔を測定することによって、前ピン状態、合焦状態及び後ピン状態といった焦点状態を検出することができる。
【0094】
実際のAF画素SA,SBはそれぞれ、図5に示したように、撮像素子14上に離散的に複数配置されている。このため、A像は複数のAF画素SAからの信号を繋げて像信号として読み出し、B像は複数のAF画素SBからの信号を繋げて像信号として読み出す。
【0095】
次に、図10から図14を用いて、本実施例の撮像システムの動作について説明する。まず、図10及び図11には、カメラ100に搭載されたシステムコントローラ50により、コンピュータプログラムに従って実行されるメインルーチンのフローチャートを示している。なお、「S」はステップを示す。また、丸囲みの文字が同じ部分は、互いに繋がっていることを示す。
【0096】
カメラ100におけるモードダイアルスイッチ60による電源の投入(ON)により、システムコントローラ50は、フラグや制御変数等を初期化する(S101)。
【0097】
次に、モードダイアルスイッチ60の設定位置を判断し(S102)、モードダイアルスイッチ60が電源OFFに設定されていたときは、画像表示部28や情報出力部54の動作を終了する。このとき、フラグや制御変数等のパラメータや設定値、設定モードを不揮発性メモリ56に記録する。そして、電源制御回路80により画像表示部28を含むカメラ100の各部の不要な電源を遮断する等の所定の終了処理を行う(S103)。その後、S102に戻る。
【0098】
S102において、モードダイアルスイッチ60が静止画撮像モード等の撮像モードに設定されていたときは、S104に進む。
【0099】
S104では、電源制御回路80を通じて電池86の残容量を判断する。残容量が所定レベルよりも少ないときは、情報出力部54を用いて表示や音声により警告を行った後(S106)、S102に戻る。また、電池86の残容量が所定レベル以上ある場合は、記録媒体120の空き容量を判断する(S105)。空き容量が所定レベルよりも少ないときは、情報出力部54を用いて表示や音声により警告を行った後(S106)、S102に戻る。記録媒体120の空き容量が所定レベル以上ある場合は、情報出力部54にカメラ100の各種設定状態の表示を行う(S107)。
【0100】
続いて、システムコントローラ50は、ファインダモード設定スイッチ66の設定状態を判断し(S108)、OVFモードに設定されていた場合はステップ120に進む。EVFモードに設定されていた場合は、主ミラー1及びサブミラー3をアップ動作させ(S111)、シャッタ9を開き(S112)、画像処理回路20に撮像素子14からの撮像信号に基づいて画像信号を生成させる。そして、メモリ制御回路22を介して画像表示メモリ24に書き込まれた画像信号を、画像表示部28に表示させる(S113)。これにより、いわゆるライブビュー表示(動画表示)が行われ、電子ファインダによる被写体観察が可能となる。
【0101】
次に、システムコントローラ50は、撮像準備スイッチ(SW1)62の状態を判断し(S120)、SW1がOFFの場合はS102に戻る。SW1がONである場合は、測光(AE)処理を行って絞り値及びシャッタ秒時を決定する(S121)。また、AF処理を行って、撮像光学系の焦点検出及びその結果に基づくフォーカシングレンズ201の駆動を行う(S121)。なお、測光・AF処理(S121)の詳細は後述する。
【0102】
測光・AF処理を終えると、システムコントローラ50は、撮像スイッチ(SW2)64の状態を判断し(S122)、SW2がOFFであればS102に戻り、ONであれば記録用画像の撮像動作のための撮像処理を実行する(S123)。撮像処理の詳細は後述する。
【0103】
撮像処理の終了後、システムコントローラ50は、再度SW2の状態を判断し(S124)、SW2がOFFであれば、今回取得した記録用画像を画像表示部28に表示させる(S126)。これをクイックレビュー表示という。そして、所定時間(レビュー時間)の間記録用画像を表示した後(S127)、ステップ102に戻って、一連の処理を繰り返す。
【0104】
一方、S124でSW2がONであれば、システムコントローラ50は、連写モードか否かを判断し(S125)、連写モードの場合はS121に戻る。また、連写モードではない場合は、S124に戻る。
【0105】
次に、図12を用いて、図11のS122における測光・AF処理のうち測光処理について説明する。
【0106】
S221において、システムコントローラ50は、ファインダモード設定スイッチ66により選択されているファインダモードを判断する。OVFモードが設定されている場合は、測光センサ7を用いて被写体輝度を測定し(S222)、撮像処理における露光量を演算する(S223)。
【0107】
一方、ファインダモードがEVFモードの場合は(S221)、システムコントローラ50は、撮像素子14からの信号に基づいて生成された画像を読み込む(S230)。次に、画像処理回路20に、画像全体を所定数に分割し、それぞれの分割領域での輝度値を画像信号から演算する(S231)。
【0108】
次に、S231で得られた輝度値が適正な露出状態を示しているか否かを判断する(S232)。適正でない場合は、撮像素子14の電荷蓄積時間(電子シャッタ秒時)を変更しつつ、絞り204の絞り値を変更して、電子ファインダに表示される画像が適正な輝度となるように露出を制御する(S233)。一方、S231で得られた輝度値が適正である場合には、ISO感度に基づいて撮像動作時の露光量(絞り値及びシャッタ秒時)を演算する(S234)。
【0109】
さらに、システムコントローラ50は、画像信号からホワイトバランスが適正か否かを判断する(S235)。適正でない場合は、ホワイトバランス演算を行い、適切なホワイトバランスとなるようにRGB各色のゲインを制御する(S236)。一方、適正である場合は、S230に戻る。
【0110】
次に、図13を用いてAF処理を説明する。S301において、システムコントローラ50は、ファインダモード設定スイッチ66の設定を判断する。OVFモードが設定されている場合は、焦点検出ユニット8内のラインセンサ8bの電荷蓄積を行う(S302)。
【0111】
そして、所定時間の電荷蓄積にもかかわらず必要な像信号レベルが得られない場合、具体的には被写体輝度(S303)又は被写体のコントラスト(S304)が低い場合は、焦点検出が不能であるとして赤外補助光の点灯指令を出力する(S305)。該点灯指令は、フラッシュ制御マイクロコンピュータ450に送信される。
【0112】
補助光発光指令を受けたフラッシュ制御マイクロコンピュータ450は、図4に示したAUX(点灯)ポートをハイレベルに設定し、トランジスタ451をオンにする。これにより、近赤外発光ダイオード409を点灯させて、被写体に対して図3に示す近赤外補助光(第1の波長領域の補助光)のパターン像を投影する(S305)。そして、S302に戻って、ラインセンサ8bの電荷蓄積を再度行う。
【0113】
S303,S304において、被写体輝度及びコントラストがともに適正である場合は、一対又は複数対のラインセンサ8bからの像信号の位相差を検出し、該位相差に基づいてデフォーカス量を演算する(S306)。
【0114】
次に、デフォーカス量が所定範囲内か否かを判断し(S307)、所定範囲外であれば、デフォーカス量に基づいてフォーカシングレンズ201の合焦状態を得るための駆動量を演算する。そして、該駆動量の情報を含む駆動命令を交換レンズ200に対して送信する(S308)。
【0115】
上記駆動指令を受けたレンズ制御マイクロコンピュータ206は、フォーカス制御回路211を介して上記駆動量に応じてフォーカス駆動アクチュエータ202を駆動する。そして、S302に戻り、焦点検出(S302〜S306)と合焦判定(S307)を再度行う。デフォーカス量が所定範囲内である場合は(S307)、AF処理を終了する。このようにして検出ユニット位相差AFによる合焦状態が得られる。
【0116】
また、S301において、ファインダモード設定スイッチ66によりEVFモードが設定されている場合は、システムコントローラ50は、S312にて、図12中のS230〜S236のAE処理とともに、複数のAF画素SA,SBでの電荷蓄積を行う。
【0117】
そして、所定時間の電荷蓄積によって必要な像信号レベルが得られない場合、具体的には被写体輝度(S313)又は被写体のコントラスト(S314)が低い場合は、焦点検出が不能であるとして可視光補助光の点灯指令を出力する(S315)。該点灯指令は、フラッシュ制御マイクロコンピュータ450に送信される。
【0118】
S315において、システムコントローラ50は、近赤外補助光の点灯指令は出力しない。近赤外補助光は、撮像素子14の前に配置された赤外カットフィルタ19によりそのほとんどが遮断され、撮像素子14にはほとんど到達しないからである。つまり、近赤外発光ダイオード409による発光は、電力を無駄に消費することになるので、行わない。このため、本実施例では、可視光補助光(第2の波長領域の補助光)として、キセノン管401から所定時間の間発せられる光を用いる。そして、キセノン管401を発光させながら、S312に戻り、再度AF画素SA,SBでの電荷蓄積を行う。
【0119】
S313,S314において、被写体輝度及びコントラストがともに適正である場合は、AF画素SA,SBからの像信号の位相差を検出し、該位相差に基づいてデフォーカス量を演算する(S316)。
【0120】
次に、デフォーカス量が所定範囲内か否かを判断し(S317)、所定範囲外であれば、デフォーカス量に基づいてフォーカシングレンズ201の合焦状態を得るための駆動量を演算する。そして、該駆動量の情報を含む駆動命令を交換レンズ200に対して送信する(S318)。
【0121】
上記駆動指令を受けたレンズ制御マイクロコンピュータ206は、フォーカス制御回路211を介して上記駆動量に応じてフォーカス駆動アクチュエータ202を駆動する。そして、S312に戻り、焦点検出(S312〜S316)と合焦判定(S317)を再度行う。デフォーカス量が所定範囲内である場合は(S317)、AF処理を終了する。このようにして撮像素子位相差AFによる合焦状態が得られる。
【0122】
次に、図14を用いて、撮像処理(S123)について説明する。S331において、ファインダモード設定スイッチ66によりOVFモードが設定されている場合は、システムコントローラ50は、フラッシュを使用して撮像を行うフラッシュモードか否かを判定する(S332)。
【0123】
フラッシュモードの場合は、フラッシュ装置400に対して所定光量でのプリ発光を指示する(S333)。キセノン管401によりプリ発光が行われている間に、測光センサ7により被写体からの反射光の輝度を測定し(S334)、該測光結果、S233で演算した絞り値及びISO感度設定に基づいて本発光での発光量を演算する(S335)。その後、主ミラー1及びサブミラー3をアップ動作させて撮像光路外に退避させる。
【0124】
一方、S331にてEVFモードが設定されている場合は、システムコントローラ50は、フラッシュモードか否かを判定する(S340)。フラッシュモードの場合は、フラッシュ装置400に対して所定光量でのプリ発光を指示する(S341)。キセノン管401によりプリ発光が行われている間に、撮像素子14の電荷蓄積と信号読み出しを行い、S230と同様に、生成された画像から被写体からの反射光の輝度を測定する(S342)。そして、該測光結果、S234で演算した絞り値及びISO感度設定に基づいて本発光での発光量を演算する(S343)。その後、シャッタ9を閉じる(S344)。
【0125】
続いて、OVFモード及びEVFモードのいずれにおいても、システムコントローラ50は、絞り204をS233又はS234で演算した絞り値に駆動する(S345)。その後、撮像素子14の電荷蓄積を開始するとともに、シャッタ9を開き、撮像素子14の露光を開始する(S346)。
【0126】
次に、システムコントローラ50は、フラッシュモードか否かを再度判定する(S347)。フラッシュモードである場合には、シャッタ9の全開とタイミングを合わせて、S335又はS343で求めた発光量でのキセノン管401の本発光を行わせる(S348)。
【0127】
こうして所定のシャッタ秒時が経過すると、システムコントローラ50は、シャッタ9を閉じ(S349)、撮像素子14から撮像信号を読み出して(S350)、画像処理回路20に画像を生成させる(現像)(S351)。さらに、生成された画像をメモリ30に保存し、圧縮・伸長回路32でメモリ30に格納された画像を読み込んで圧縮処理或いは伸長処理を行って、該処理を終えた画像データを記録媒体120に書き込む。これにより、撮像処理が終了する。
【0128】
なお、本実施例では、検出ユニット位相差AFと撮像素子位相差AFとを選択可能な撮像装置について説明した。しかし、本発明の実施例は、検出ユニット位相差AFと撮像素子を用いて生成された画像の高周波成分(コントラスト)のピーク値を合焦位置とするいわゆるコントラストAFとを選択可能とする場合を含む。コントラストは撮像素子上での被写体像の結像状態により変化するので、撮像光学系の焦点状態により変化すると言える。つまり、コントラストを検出することは、撮像光学系の焦点検出を行うことである。
【0129】
以上のように、本実施例によれば、焦点状態の検出動作に用いられる受光素子(焦点検出ユニット8内のラインセンサ8b及び撮像素子14)の感度特性に合致した補助光を用いる。これにより、無駄な補助光点灯や合焦判定動作を回避しつつ、高速かつ高精度なAF制御を行うことができる。
【0130】
なお、上記実施例は例にすぎず、本発明の実施例はこれらに限定されない。各実施例の様々な変更や変形も可能である。
【0131】
例えば、上記実施例では、カメラに着脱可能なフラッシュ装置に補助光の光源を設けた場合について説明したが、補助光の光源はカメラに内蔵されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】本発明の実施例であるカメラ及びフラッシュ装置を含む撮像システムの構成を示すブロック図。
【図2】実施例のフラッシュ装置の構成を示す模式図。
【図3】実施例のフラッシュ装置から被写体に投影される補助光パターン像の例を示す図。
【図4】実施例のフラッシュ装置の電気回路構成を示す図。
【図5】実施例のカメラに用いられる撮像素子の構成を示す部分拡大図。
【図6】上記撮像素子内に設けられたAF画素の上面図及び側面図。
【図7】上記撮像素子内に設けられた他のAF画素の上面図及び側面図。
【図8】AF画素を用いた焦点検出原理を説明する図。
【図9A】AF画素を用いた焦点検出状態(前ピン状態)を説明する図。
【図9B】AF画素を用いた焦点検出状態(合焦状態)を説明する図。
【図9C】AF画素を用いた焦点検出状態(後ピン状態)を説明する図。
【図10】実施例のカメラで行われる処理のメインルーチンを示すフローチャート。
【図11】実施例のカメラで行われる処理のメインルーチンを示すフローチャート。
【図12】実施例のカメラで行われる測光処理を示すフローチャート。
【図13】実施例のカメラで行われるAF処理を示すフローチャート。
【図14】実施例のカメラで行われる撮像処理を示すフローチャート。
【図15】赤外カットフィルタと補助光の分光感度特性を示す図。
【符号の説明】
【0133】
100 カメラ
8 焦点検出ユニット
14 撮像素子
20 画像処理回路
50 システムコントローラ
200 交換レンズ
201 フォーカシングレンズ
204 絞り
400 フラッシュ装置
401 キセノン管
409 近赤外発光ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の波長領域の光を受けて撮像光学系の焦点状態を検出する第1の焦点検出手段と、
前記第2の波長領域の光を受けて前記撮像光学系の焦点状態を検出する第2の焦点検出手段と、
前記第1及び第2の焦点検出手段のうち検出動作を行う焦点検出手段による前記焦点状態の検出が不能な場合に、被写体に対して補助光を照射する発光手段を発光させる発光制御手段とを有し、
前記発光制御手段は、前記第1の焦点検出手段により前記焦点状態の検出が不能な場合には前記発光手段に前記第1の波長領域の補助光を発光させ、前記第2の焦点検出手段により前記焦点状態の検出が不能な場合には前記発光手段に前記第1の波長領域の補助光を発光させずに前記第2の波長領域の補助光を発光させることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮像光学系により形成された被写体像を光電変換して記録用画像を生成するための信号を出力する撮像素子を有し、
前記第1の焦点検出手段は、前記撮像素子とは異なる受光センサを用いて前記撮像光学系からの光により形成された複数の像の位相差を検出し、
前記第2の焦点検出手段は、前記撮像素子を用いて前記撮像光学系からの光により形成された複数の像の位相差を検出することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像光学系から前記撮像素子に向かう光のうち前記第1の波長領域の成分を遮断し、前記第2の波長領域の成分を透過させるフィルタを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
記録用画像の取得時に前記発光手段に前記第1の波長領域の光を発光させる露出制御手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の撮像装置に対して着脱が可能であり、
前記第1の波長領域の光を発光する第1の発光部と、
前記第2の波長領域の光を発光する第2の発光部とを有することを特徴とする発光装置。
【請求項6】
第1及び第2の波長領域の光を用いて撮像光学系の焦点状態を検出する第1の焦点検出ステップと、
前記第2の波長領域の光を用いて前記撮像光学系の焦点状態を検出する第2の焦点検出ステップと、
前記第1及び第2の焦点検出ステップのうち検出処理を実行するステップにおいて焦点状態の検出が不能な場合に、被写体に対して補助光を照射する発光手段を発光させる発光制御ステップとを有し、
前記発光制御ステップにおいて、前記第1の焦点検出ステップで前記焦点状態の検出が不能な場合には前記発光手段に前記第1の波長領域の補助光を発光させ、前記第2の焦点検出ステップで前記焦点状態の検出が不能な場合には前記発光手段に前記第1の波長領域の補助光を発光させずに前記第2の波長領域の補助光を発光させることを特徴とする焦点検出方法。


【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図12】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−287123(P2008−287123A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−133642(P2007−133642)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】