説明

撮像装置および撮像装置の表示方法

【課題】 消費電力を抑えながら、使い勝手の良い撮像装置および撮像装置の表示方法を提供する。
【解決手段】撮影レンズ11と、撮影レンズ11を介して結像した被写体像を画像データに変換する撮像素子21と、撮像素子21で変換された画像データを表す画像を表示する液晶表示素子23と、撮影レンズ11の焦点距離を検出する焦点距離検出部53と、被写体を観察するための撮影レンズ11とは異なる光学ファインダ32、34と、光学ファインダが有する接眼レンズ34を共用し、液晶表示素子23に表示した画像を観察するための電子ファインダと、光学ファインダを介して観察者の目に導かれる被写体光の通過又は遮断を制御するシャッタ31を有し、焦点距離が所定範囲外のときは、シャッタ31を制御して被写体光を遮断することにより、液晶表示素子23に表示した被写体の画像を観察者の目に導く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置および撮像方法に関し、詳しくは光学ファインダと電子ファインダを有する撮像装置および撮像装置の表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラ等の撮像装置において、被写体像を観察するためのファインダとしては、光学ファインダと電子ファインダのいずれかが用いられている。光学ファインダは、撮影レンズまたはファインダ専用のレンズを通して被写体像を観察する方式であり、電子ファインダは、撮影レンズ等によって結像された被写体像を撮像素子によって画像データを取得し、この画像データに基づく被写体像を表示装置で観察する方式である。
【0003】
光学ファインダと電子ファインダは、それぞれ一長一短がある。そこで、特許文献1には、両ファインダを設け、撮影者の好みに応じて、光学ファインダと電子ファインダのいずれかに切り換えることのできるファインダが開示されている。
【特許文献1】特開平3−292067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子ファインダは、撮影レンズによって結像される被写体像を撮像素子によって取得した画像データに基づいて被写体像を表示することから、撮影レンズを長焦点距離に設定した場合でも、被写体像を観察しやすいという長所がある。しかし、電源消費が大きく、長時間に亘って使用することができない。一方、光学ファインダは電子ファインダに比較し鮮明な画像を観察することができるが、撮影レンズの焦点距離が長くなると、撮影範囲が狭くなり、撮影範囲の被写体像を認識しにくくなるという欠点がある。特許文献1に開示のファインダは、このような問題については考慮されていない。
【0005】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、消費電力を抑えながら、使い勝手の良い撮像装置および撮像装置の表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため第1の発明に係わる撮像装置は、撮影レンズと、上記撮影レンズを介して結像した被写体像を画像データに変換する撮像部と、上記撮像部で変換された上記画像データを表す画像又は上記撮影レンズの撮影範囲を表す視野枠を表示する表示部と、上記撮影レンズの焦点距離を検出する焦点距離検出部と、被写体を光学レンズを介して観察するための上記撮影レンズとは異なる第1ファインダと、上記第1ファインダが有する接眼レンズを共用し、上記表示部に表示した画像を観察するための第2ファインダと、上記第1ファインダを介して上記観察者の目に導かれる被写体光の通過又は遮断を制御するシャッタと、上記焦点距離が第1の値よりも長いときは、上記シャッタを制御して上記被写体光を遮断することにより、上記表示部に表示した上記画像を観察者の目に導くためのシャッタ制御部と、を備える。
【0007】
第2の発明に係わる撮像装置は、上記第1の発明において、上記シャッタ制御部は、さらに、上記焦点距離が第1の値以下のときは、上記シャッタを制御して上記被写体光束を通過させることにより、上記第1ファインダによる上記被写体の像及び上記第2ファインダによる上記視野枠の像を観察者の目に同時に導く。
また、第3の発明に係わる撮像装置は、上記第1の発明において、上記シャッタ制御部は、さらに、上記焦点距離が上記第1の値以下で且つ第2の値より長いときは、上記シャッタを制御して上記被写体光を通過させることにより、上記第1ファインダによる上記被写体の像及び上記第2ファインダによる上記視野枠の像を観察者の目に同時に導き、上記焦点距離が上記第2の値以下のときは、上記シャッタを制御して上記被写体光を遮断することにより、上記表示部に表示した上記画像を観察者の目に導く。
【0008】
さらに、第4の発明に係わる撮像装置は、上記第1の発明において、上記焦点距離が上記第1の値よりも長いときに、撮影準備の指示がなされた場合には、上記第1ファインダから上記第2ファインダによる表示に切り換える。
さらに、第5の発明に係わる撮像装置は、上記第1の発明において、上記第1ファインダの光路中にハーフミラーを配置し、上記表示部よる上記視野枠を、上記第1ファインダによって形成される被写体像に重畳させる。
【0009】
さらに、第6の発明に係わる撮像装置は、上記第1の発明において、上記第1ファインダを実像式光学ファインダで構成し、この第1ファインダの結像位置近傍に上記表示部を配置する。
さらに、第7の発明に係わる撮像装置は、上記第6の発明において、上記シャッタのカメラ本体側に、上記表示部の照明用の照明素子を配置する。
【0010】
第8の発明に係わる撮像装置の表示方法は、撮影レンズの焦点距離を検出し、上記焦点距離が所定範囲内の場合には、ファインダ光学系に被写体光束を入射させ、被写体像を光学的に観察させる光学ファインダに切り換え、上記焦点距離が所定範囲外の場合には、上記撮影レンズによって結像した被写体像を撮像素子によって取得した画像データを表示部に表示させ、この表示部に表示した被写体像を上記光学ファインダの光路を介して観察させる電子ファインダに切り換える。
【0011】
第9の発明に係わる撮像装置の表示方法は、上記第8の発明において、上記焦点距離が所定範囲内の場合、上記光学ファインダで表示中に撮影準備の指示がなされた場合には、上記電子ファインダに切り換える。
【0012】
第10の発明に係わる撮像装置は、撮影レンズと、上記撮影レンズを介して結像した被写体像を画像データに変換する撮像部と、上記撮像部で変換された上記画像データを表す画像を表示する表示部と、被写体を光学レンズを介して観察するための上記撮影レンズとは異なる第1ファインダと、上記第1ファインダが有する接眼レンズを共用し、上記表示部に表示した画像を観察するための第2ファインダと、撮影準備状態を指示する操作部材と、上記操作部材の操作により上記撮影準備状態が指示されたときに、上記被写体光を上記第1ファインダへの入射を遮断し、上記表示部に表示した上記画像を観察者の目に導く制御部と、を備える。
【0013】
第11の発明に係わる撮像装置は、上記第10の発明において、上記撮影レンズの焦点距離を検出する焦点距離検出部を有し、上記制御部は、上記焦点距離が所定範囲外であることが判定された場合には、上記被写体光を上記第1ファインダへの入射を遮断し、上記表示部に表示した上記画像を観察者の目に導く。
【0014】
第12の発明に係わる撮像装置の表示方法は、撮影準備状態が指示されたかを判定し、上記撮影準備状態が指示されていない場合には、ファインダ光学系に被写体光束を入射させ、被写体像を光学的に観察させる光学ファインダに切り換え、上記撮影準備状態が指示された場合には、撮影レンズによって結像した被写体像を撮像素子によって取得した画像データを表示部に表示させ、この表示部に表示した被写体像を上記光学ファインダの光路を介して観察させる電子ファインダに切り換える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、消費電力を抑えながら、使い勝手の良い撮像装置および撮像装置の表示方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に従って本発明を適用した撮像装置を用いて好ましい実施形態について説明する。本発明の第1実施形態に係る撮像装置は、いわゆるコンパクトタイプのデジタルカメラであり、このデジタルカメラは、撮影レンズによって結像された被写体像を撮像素子によって光電変換し、この光電変換信号に基づく画像データを記録媒体に記録可能である。また、撮影レンズとは別にファインダ用の光学系を有し、このファインダ光学系によって被写体像を観察することができる。さらに、撮像素子によって取得した画像データに基づく画像をファインダにおいて観察することができる。
【0017】
以下、第1実施形態に係わるデジタルカメラについて詳述する。図1は、本発明の第1実施形態に係わるデジタルカメラを一部透視した平面図である。このデジタルカメラは、レンズ鏡筒10とカメラ本体20から構成されている。レンズ鏡筒10内には、変倍レンズ(ズームレンズ)で構成された撮影レンズ11が配置されている。
【0018】
撮影レンズ11は被写体を結像するための光学系であり、この撮影レンズ11を保持するためのレンズ鏡筒10は交換式であり、カメラ本体20に対して着脱自在である。なお、本実施形態においては、レンズ鏡筒10は交換レンズタイプのズームレンズであるが、固定焦点の交換レンズでもよく、またカメラ本体20と一体に構成されたズームレンズでも良い。撮影レンズ11の焦点距離情報は、カメラ本体20に伝達される。
【0019】
撮影レンズ11の光路上のカメラ本体20内であって、撮影レンズ11によって被写体像が結像される位置に撮像素子21が配置されている。撮像素子21としては、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)等の二次元光電変換素子が用いられる。この撮像素子21によって光電変換された画像は、後述する液晶表示素子23に表示され、また、レリーズ操作に応じて取得された画像データは記録媒体に記録される。
【0020】
カメラ本体20の前面側には、ファインダ窓を覆う位置(図1の(ア)の位置)と退避位置((イ)の位置)の間で摺動可能なファインダ用のシャッタ31が配置されている。このシャッタ31は、図示しないモータ等によって摺動自在に駆動される。カメラ本体20内であって、ファインダ窓の近傍には、ファインダ用の対物レンズ32が配置されている。また、カメラ本体20の背面側の接眼部には、接眼レンズ34が配置されている。
【0021】
対物レンズ32および接眼レンズ34によって、いわゆるアルバタ式のファインダ光学系を構成する。なお、ファインダ光学系としては、アルバタ式のような虚像を観察するファインダ以外にも実像ファインダ光学系を採用しても勿論かまわない。接眼レンズ34の後方であって、撮影者の目Eの位置からファインダ光学系を見ると、被写体像を観察することができる。
【0022】
対物レンズ32と接眼レンズ34の間であって、ファインダ光路に対して45度の角度をなすように偏光ハーフミラー33が配置されている。この偏光ハーフミラー33は、対物レンズ32を通過した被写体光束を通過させると共に、後述する液晶表示素子23の画像を接眼レンズ34側に反射する。
【0023】
対物レンズ32によるファインダ光路に対して直交する光路上にレンズ35が配置されている。このレンズ35の光路上であって後方には、液晶表示素子23が配置されている。液晶表示素子23には、前述した撮像素子21によって取得された画像が表示される。なお、図示しないが、この液晶表示素子23の背面には照明用のバックライトが配置されている。
【0024】
液晶表示素子23による被写体像は、レンズ35によって集光され、偏光ハーフミラー33によって反射され、接眼レンズ34を通り、撮影者の目Eによって観察することができる。液晶表示素子23には、偏光フィルタが設けられており、この偏光フィルタの偏光方向と偏光ハーフミラー33の偏光方向を一致させておくと、光量のロスがない。なお、偏光ハーフミラー33に代えて、通常のハーフミラーを配置しても良い。
【0025】
次に、本実施形態におけるファインダの表示について説明する。図2は撮影者の目Eからみたファインダ表示40を示し、(a)は撮影レンズ11の焦点距離(以下、「焦点距離」の数値は35mmフィルム換算で表記する)が28mmの場合の光学ファインダの表示を示し、(b)は焦点距離が50mmの場合の光学ファインダの表示を示し、(c)は焦点距離が200mmの場合における光学ファインダでの表示を示し、(d)は焦点距離が200mmにおける電子ファインダでの表示を示し、(e)は焦点距離が18mmの場合における光学ファインダでの表示を示し、(f)は焦点距離が18mmにおける電子ファインダでの表示を示す。
【0026】
まず、所定焦点距離の範囲においては、ファインダ用のシャッタ31はファインダ窓から退避した位置にあり(図1の(イ)の位置)、被写体光束は対物レンズ32、偏光ハーフミラー33、接眼レンズ34を通り、撮影者は被写体像を観察することができる。この場合、本実施形態における光学ファインダ系は固定焦点であるため、撮影レンズ11の焦点距離が変更しても、これに連動してファインダ光学系によって形成される像は変化しない。
【0027】
そこで、撮影レンズ11の焦点距離に応じて、液晶表示素子23は画枠41の像を形成し、偏光ハーフミラー33において、被写体像に画枠41を重畳させ、図2(a)(b)に示すように表示する。画枠41の中が撮影範囲であり、焦点距離が長焦点距離側に変更されると、画枠41は図2(b)に示すように小さくなる。
【0028】
撮影レンズ11の焦点距離が、例えば、200mm程度の長焦点側に変化すると、画枠41は図2(c)に示すように非常に小さくなり、撮影される画像の詳細を観察することができなくなる。そこで、本実施形態においては、図2(d)に示すように、光学ファインダから電子ファインダに自動的に切り替えを行う。
【0029】
電子ファインダへの切り替えは、まず、ファインダ用のシャッタ31を、ファインダ窓を覆う位置(図1の(ア)の位置)に移動させ、被写体光束がファインダ光学系に入射するのを遮断する。撮像素子21を駆動し、それによって取得された被写体の画像を液晶表示素子23に表示させ、この被写体画像を偏光ハーフミラー33によって反射させ、接眼レンズ33を通して射出させる。これによって、被写体像を光学ファインダに対し拡大して観察することができ、便利である。
【0030】
撮影レンズ11の焦点距離が短焦点側に変化すると、対物レンズ32、接眼レンズ34によるファインダ光学系の短焦点側を超えるため、図2(e)に示すように全範囲を示すことができなくなる。そこで、本実施形態においては、図2(f)に示すように、長焦点の場合と同様にして、光学ファインダから電子ファインダに自動的に切り替えを行う。これによって、撮影範囲の全範囲を観察することができ、便利である。
【0031】
このように、本発明の第1実施形態においては、撮影レンズ11が所定の焦点距離の範囲においては、光学ファインダによって被写体像を観察し、所定の焦点距離の範囲外となると、電子ファインダによって被写体像を観察するように、自動的に切り換えている。このため、消費電力を抑えながら、使い勝手の良い撮像装置とすることができる。すなわち、光学ファインダで観察し難い長焦点側や短焦点側では電子ファインダで撮影される通りの画像を観察することができ、これ以外の場合には、光学ファインダで観察することにより消費電力が抑えられる。
【0032】
次に、本発明の第2実施形態について、図3乃至図6を用いて説明する。図3は、本発明の第2実施形態に係わるデジタルカメラを一部透視した平面図である。図1と同一の部材については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0033】
ファインダ用のシャッタ31Aは、ファインダ窓を覆う位置(図3の(ア)の位置)と、退避した位置((イ)の位置)の間を摺動する点は、第1実施形態と同様である。このシャッタ31Aの裏面、すなわち、対物レンズ32側には、照明用の白色EL(エレクトロルミネセンス:Electroluminescence)素子を設けている。なお、照明用として使用できれば白色EL以外の発光素子でも勿論かまわない。
【0034】
対物レンズ32の後方の光路上には、変倍光学系36を配置し、光学ファインダによる被写体像の観察にあたって、撮影レンズ11のズーミングに応じて変倍した被写体像を表示するようにしている。ただし、この変倍光学系36による変倍範囲は、全てのレンズ鏡筒10の焦点距離に対応できる必要はない。
【0035】
変倍光学系36の後方には、プリズム37、38が配置されており、対物レンズ32による光路を曲げる。また、プリズム37、38の間には、液晶表示素子25が配置されている。プリズム38によって反射された被写体光束は、接眼レンズ34を介して、撮影者の目Eに射出する。
【0036】
本実施形態におけるファインダ光学系は、実像式であり、ファインダ光学系の結像位置付近に液晶表示素子25が配置されている。このため、第1実施形態と同様に、液晶表示素子25に画枠41を表示させると、対物レンズ32を通過した被写体像に、画枠41が重畳して表示される。なお、この画枠41は、撮影レンズ11の焦点距離と変倍光学系36を考慮して決定される。
【0037】
また、撮影レンズ11が所定範囲の焦点距離以外に設定されている場合には、第1実施形態と同様に、シャッタ31Aがファインダ窓を覆う位置に移動し、光学ファインダから電子ファインダに切り替えがなされる。
【0038】
次に、本実施形態における電気的構成について、図4に示すブロック図を用いて説明する。レンズ鏡筒10にはズーミングを指示するための操作部51が設けられ、この操作部51の操作量は、レンズCPU52伝達される。レンズCPU52は、カメラ本体20内のカメラCPU61の指示の元に、レンズ鏡筒10の全体制御行う。
【0039】
レンズ駆動状態検出部53は、レンズCPU52の指示の下に撮影レンズ11の駆動を行うと共に、撮影レンズ11の焦点距離や撮影距離等の情報を検出し、レンズCPU52に送信する。レンズCPU52は、焦点距離等の情報をカメラCPU61に送信する。
【0040】
カメラ本体20内の撮像部65は撮像素子21を含み、カメラCPU61の制御の下で撮像素子21から被写体像の光電変換信号を読み出し、画像処理部66に出力する。画像処理部66は、読み出された光電変換信号について、γ補正、ホワイトバランス、色補正等の種々の画像処理を行う。画像処理部66内には、AF検出部67が設けられており、AF検出部67は、光電変換信号の高周波成分を抽出し、この高周波成分がピークとなるように撮影レンズ11を制御する所謂コントラストAFによって焦点検出を行う。
【0041】
表示部68は画像処理部66の出力に接続されており、液晶表示素子25を含む。前述したように、液晶表示素子25には、撮像素子21で取得した光電変換信号による画像が表示される。メモリカード69も画像処理部66の出力に接続されており、画像処理部66によって圧縮処理された画像データをレリーズ釦の操作に応じて記録する。なお、メモリカード69は、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリで構成される。
【0042】
操作部71は、レリーズ釦、撮影モードダイヤル等、撮影者によって操作される操作部材である。ファインダシャッタ駆動部72は、シャッタ31Aを摺動させるための駆動部であり、モータ等によって構成される。
【0043】
カメラCPU61は、CPU(Central Processing Unit)によって構成されており、前述のレンズCPU52、撮像部65、画像処理部66、表示部68、メモリカード69、操作部71、およびファインダシャッタ駆動部72に接続され、これらから情報を入力すると共にこれらの制御を行う。
【0044】
カメラCPU61は、レンズ状態検出部およびレンズ駆動部62の機能を果たしており、レンズ状態検出部はレンズCPU52から送信されてくる焦点距離情報や撮影距離情報等に基づいて撮影レンズ11の状態を検出する。またレンズ駆動部は、AF検出部67とレンズ駆動状態検出部53の出力に基づいて、撮影レンズ11を合焦位置に駆動する等のレンズ駆動制御を行う。
【0045】
また、レンズCPU61は、表示制御部63の機能も果たす。すなわち、レンズCPU52から送信されてくる撮影レンズ11の焦点距離情報に基づいて、所定焦点距離の範囲内の場合にはシャッタ31Aを開放し、表示部68に画枠41を表示させる。また、所定焦点距離の範囲外の場合には、シャッタ31Aを閉じ、表示部68に撮像部65で取得した画像を表示させる。
【0046】
次に、このように構成された本実施形態の動作について、図5および図6に示すフローチャートを用いて説明する。カメラ本体20のパワースイッチがオンされると、図5に示すフローがスタートする。まず、図示しない電源電池から各電気回路に電源が供給され、リセット動作がなされる(S1)。
【0047】
続いて、レンズ駆動状態検出部53によって検出された撮影レンズ11の焦点距離をf1として記憶する(S3)。次に、この焦点距離f1が、短焦点側所定焦点距離xと長焦点側所定焦点距離yの間の焦点距離か否かの判定を行う(S5)。ここで所定焦点距離x、yは、光学ファインダから電子ファインダに切り換える焦点距離であり、予め設計事項として決めておく。
【0048】
ステップS5における判定の結果、焦点距離f1が所定範囲内にある場合には、光学ファインダにより被写体像を観察するために、ファインダ用のシャッタ31Aを開き、対物レンズ32を通して被写体光束をファインダ光学系に導く(S31)。続いて、液晶表示素子25に、撮影レンズ11の焦点距離f1に合わせて画枠41を表示する(S33)。これにより、ファインダ内には、図2(a)(b)に示したように、被写体像に重畳して画枠41が表示され、撮影者は撮像範囲を認識することができる。
【0049】
画枠41を表示すると、次に、レリーズ釦の半押しに応じてオンとなるスイッチS1(以下、S1と省略する)がオンか否かの判定を行う(S35)。ステップS35における判定の結果、オフであった場合には、撮影レンズ11の焦点距離を検出し、変化したか否かを判定する(S51)。ステップS51における判定の結果、変化していない場合には、ステップS35に戻る。一方、ステップS51における判定の結果、変化していた場合には、焦点距離f3を記憶し、この焦点距離f3が、短焦点側所定焦点距離xと長焦点側所定焦点距離yの間の焦点距離か否かの判定を行う(S53)。
【0050】
ステップS53における判定の結果、所定範囲内にあった場合には、ステップS33に戻り、新たな焦点距離f3に合わせて、画枠41を表示する。一方、ステップS53における判定の結果、所定範囲外にあった場合には、撮像素子21の駆動を開始する(S55)。すなわち、電子ファインダによる被写体像表示の準備を行う。撮像素子21の駆動を開始すると、ステップS9にジャンプする。
【0051】
ステップS35における判定の結果、レリーズ釦の半押しがなされた場合、すなわち、S1がオンとなった場合には、ステップS55と同様に、撮像素子21の駆動を開始する(S37)。続いて、液晶表示素子25に撮像画像の表示を開始し(S39)、シャッタ31Aを閉じる(S41)。これによって、対物レンズ32から入射していた被写体光束が遮断され、液晶表示素子25に表示された撮像画像を、接眼レンズ34を通して観察することができる。
【0052】
続いて、AF動作を開始し合焦駆動を行う(S43)。このステップでは、AF検出部67の検出出力に基づいて撮影レンズ11が合焦位置となるように自動焦点調節を行う。合焦すると、次に、レリーズ釦の全押しに応じてオンとなるスイッチS2(以下、S2と省略する)がオンか否かの判定を行う(S45)。
【0053】
ステップS45における判定の結果、S2がオフであった場合には、S1がオフか否か判定し(S57)、S1がオンの場合にはステップS45に戻り、S1がオフの場合には、撮像素子21の駆動を停止し(S59)、ステップS31に戻る。S1がオフとなった場合には、電子ファインダから光学ファインダに切り換えている。
【0054】
ステップS45における判定の結果、S2がオンであった場合には、撮影動作と記録動作を行う(S47)。このステップでは、撮影レンズ11によって結像された被写体像を撮像部65の撮像素子21によって光電変換し、画像信号を取得する。ここで得た画像信号は画像処理部66において画像処理した後、メモリカード69に記録する。
【0055】
撮影・記録動作が終わると、パワースイッチがオフされていない等に基づいて、次の撮影があるか否かを判定する(S49)。判定の結果、次の撮影がある場合には、ステップS51にジャンプし、一方、次の撮影がない場合には、ステップS21にジャンプし、電源をオフしたのち、フローを終了する。
【0056】
ステップS5における判定の結果、撮影レンズ11の焦点距離f1が、短焦点側所定焦点距離xと長焦点側所定焦点距離yの間になかった場合、すなわち、所定範囲外であった場合には、光学ファインダではなく、電子ファインダによって被写体像を表示する。
【0057】
電子ファインダによる表示を行うため、撮像素子21の駆動を開始し(S7)、液晶表示素子25に撮像素子21によって取得した撮像画像の表示を開始する(S9)。ステップS9において、シャッタ31Aが開放されている場合には、シャッタ31Aの閉じ駆動を行う。これによって、対物レンズ32から入射していた被写体光束が遮断され、液晶表示素子25に表示された撮像画像を、接眼レンズ34を通して観察することができる。
【0058】
電子ファインダで被写体像を表示すると、続いて、S1がオンか否かの判定を行う(S11)。ステップS11における判定の結果、オフであった場合には、撮影レンズ11の焦点距離を検出し、変化したか否かを判定する(S23)。ステップS23における判定の結果、変化していない場合には、ステップS11に戻る。一方、ステップS23における判定の結果、変化していた場合には、焦点距離f2を記憶し、この焦点距離f2が、短焦点側所定焦点距離xと長焦点側所定焦点距離yの間の焦点距離か否かの判定を行う(S25)。
【0059】
ステップS25における判定の結果、所定範囲外にあった場合には、ステップS11に戻る。一方、ステップS25における判定の結果、所定範囲内にあった場合には、撮像素子21の駆動を停止する(S27)。すなわち、電子ファインダによる被写体像表示を停止し、光学ファインダによる表示の準備を行う。撮像素子21の駆動を停止すると、ステップS31にジャンプする。
【0060】
ステップS11における判定の結果、S1がオンとなると、ステップS43と同様にAF開始・合焦動作を行う(S13)。続いて、レリーズ釦が全押しされたか、すなわち、S2がオンとなったかを判定する(S15)。ステップS15における判定の結果、オフの場合には、ステップS23にジャンプし、一方、S2がオンとなった場合には、ステップS47と同様に、撮影・記録動作を行う(S17)。
【0061】
撮影・記録動作が終わると、次の撮影があるかを判定する(S19)。ステップS19における判定の結果、次の撮影が有る場合には、ステップS23にジャンプし、一方、次の撮影がない場合には、電源をオフして(S21)、このフローを終了する。
【0062】
本実施形態のフローの説明において、変倍レンズ36における焦点距離の変化について言及しなかったが、撮影レンズ11に変倍レンズ36が連動する範囲においては、画枠41を表示せず、連動範囲外において撮影レンズ11の焦点距離と変倍レンズ36による焦点距離を考慮して、画枠41の枠位置を決定し、液晶表示素子25に表示すれば良い。
【0063】
このように、本発明の各実施形態によれば、撮影レンズの焦点距離が所定範囲内にあれば(第2実施形態においては、S5→S31)、光学ファインダによって被写体像を表示し(第2実施形態においてはS31)、一方、焦点距離が所定範囲外にあると(第2実施形態においては、S5→S7)、電子ファインダによって、光学ファインダに被写体光束を導入しない状態で、撮像素子21によって取得した被写体像を液晶表示素子25によって表示している。このため、消費電力を抑えながら、使い勝手の良い撮像装置とすることができる。
【0064】
また、レリーズ釦の半押しに応じて撮影準備状態となると(S35→S37)、光学ファインダで被写体像を表示している状態であっても、電子ファインダに切り換えている。すなわち、電子ファインダは、パララックスの影響がなく、また視野率が高いことから、撮影のためのフレーミングを行う場合には都合が良い。また、最近の撮像素子では、VGA規格での読み出し速度は高速であることから、被写体が移動している場合でも十分追従することができる。さらに、レリーズ釦が半押しされる以前から電子ファインダによる表示を行う場合に比較し、電源の消耗を防止することができる。
【0065】
なお、電子ファインダによる被写体像の表示を行うためのステップS39、S41は省略することができる。すなわち、焦点距離が所定範囲内にある場合には、レリーズ釦の半押し動作がなされた場合でも、電子ファインダに切り換えることなく、光学ファインダによる表示を続行するようにしても良い。
【0066】
また、焦点距離に係わらず、光学ファインダで被写体像の表示を行い、レリーズ釦の半押し操作等、撮影準備状態になった際に、電子ファインダに切り換えるようにしても良い。この場合でも、電源消耗を防止し、使い勝手よい撮像装置を提供することができる。
【0067】
すなわち、電子ファインダは、撮影レンズによって結像される被写体像を撮像素子によって取得した画像データに基づいて被写体像を表示することから、撮影レンズが近距離にピントがあった状態でもパララッスクの影響を受けず、また視野率が高いという長所がある。しかし、電源消費が大きく、長時間に亘って使用することができない。一方、光学ファインダは電子ファインダに比較し鮮明な画像を観察することができるが、撮影レンズのピントが近距離の場合にはパララックスの影響を受け、また視野率が低いという欠点がある。前述の特許文献1に開示のファインダは、このような問題については考慮されていなかったが、本実施形態では、この問題を解決することができる。
【0068】
また、本発明の各実施形態においては、シャッタ31、31Aはカメラ本体20の前面に摺動するように配置したが、ファインダ光学系の光路中であって、図1の偏光ハーフミラー33や、図3における液晶表示素子25より対物レンズ32側の位置で、摺動・回動等によってファインダ光を遮断するようにしてもよく、また透過率を制御できる液晶シャッタ等を配置するようにしてもよい。
【0069】
また、本発明の各実施形態においては、デジタルカメラを用いて説明したが、デジタルカメラ以外にも、携帯電話や携帯情報端末(PDA Personal Digital Assist)等に内蔵される撮像装置でも勿論構わない。
【0070】
なお、本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1実施形態に係わるデジタルカメラを一部透視した平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係わるデジタルカメラにおけるファインダ表示を示し、(a)は撮影レンズの焦点距離が28mmの場合、(b)は焦点距離が50mmの場合、(c)は焦点距離が200mmの場合における光学ファインダでの表示を示し、(d)は焦点距離が200mmにおける電子ファインダでの表示を示し、(e)は焦点距離が18mmの場合における光学ファインダでの表示を示し、(f)は焦点距離が18mmにおける電子ファインダでの表示を示す。
【図3】本発明の第2実施形態に係わるデジタルカメラを一部透視した平面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係わるデジタルカメラの電気的構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係わるデジタルカメラの動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態に係わるデジタルカメラの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
10・・・レンズ鏡筒、11・・・撮影レンズ、20・・・カメラ本体、21・・・撮像素子、23・・・液晶表示素子、25・・・液晶表示素子、31・・・シャッタ、31A・・・シャッタ、32・・・対物レンズ、33・・・偏光ハーフミラー、34・・・接眼レンズ、35・・・レンズ、36・・・変倍光学系、37・・・プリズム、38・・・プリズム、40・・・ファインダ表示、41・・・画枠、51・・・操作部、52・・・レンズCPU、53・・・レンズ駆動状態検出部、61・・・カメラCPU、62・・・レンズ状態検出部・レンズ駆動部、63・・・表示制御部、71・・・操作部、72・・・ファインダシャッタ駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズと、
上記撮影レンズを介して結像した被写体像を画像データに変換する撮像部と、
上記撮像部で変換された上記画像データを表す画像又は上記撮影レンズの撮影範囲を表す視野枠を表示する表示部と、
上記撮影レンズの焦点距離を検出する焦点距離検出部と、
被写体を光学レンズを介して観察するための上記撮影レンズとは異なる第1ファインダと、
上記第1ファインダが有する接眼レンズを共用し、上記表示部に表示した画像を観察するための第2ファインダと、
上記第1ファインダを介して上記観察者の目に導かれる被写体光の通過又は遮断を制御するシャッタと、
上記焦点距離が第1の値よりも長いときは、上記シャッタを制御して上記被写体光を遮断することにより、上記表示部に表示した上記画像を観察者の目に導くためのシャッタ制御部と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
上記シャッタ制御部は、さらに、上記焦点距離が第1の値以下のときは、上記シャッタを制御して上記被写体光束を通過させることにより、上記第1ファインダによる上記被写体の像及び上記第2ファインダによる上記視野枠の像を観察者の目に同時に導くことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
上記シャッタ制御部は、さらに、上記焦点距離が上記第1の値以下で且つ第2の値より長いときは、上記シャッタを制御して上記被写体光を通過させることにより、上記第1ファインダによる上記被写体の像及び上記第2ファインダによる上記視野枠の像を観察者の目に同時に導き、上記焦点距離が上記第2の値以下のときは、上記シャッタを制御して上記被写体光を遮断することにより、上記表示部に表示した上記画像を観察者の目に導くことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
上記焦点距離が上記第1の値よりも長いときに、撮影準備の指示がなされた場合には、上記第1ファインダから上記第2ファインダによる表示に切り換えることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
上記第1ファインダの光路中にハーフミラーを配置し、上記表示部よる上記視野枠を、上記第1ファインダによって形成される被写体像に重畳させることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
上記第1ファインダを実像式光学ファインダで構成し、この第1ファインダの結像位置近傍に上記表示部を配置したことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
上記シャッタのカメラ本体側に、上記表示部の照明用の照明素子を配置したことを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
撮影レンズの焦点距離を検出し、
上記焦点距離が所定範囲内の場合には、ファインダ光学系に被写体光束を入射させ、被写体像を光学的に観察させる光学ファインダに切り換え、
上記焦点距離が所定範囲外の場合には、上記撮影レンズによって結像した被写体像を撮像素子によって取得した画像データを表示部に表示させ、この表示部に表示した被写体像を上記光学ファインダの光路を介して観察させる電子ファインダに切り換える、
ことを特徴とする撮像装置の表示方法。
【請求項9】
上記焦点距離が所定範囲内の場合、上記光学ファインダで表示中に撮影準備の指示がなされた場合には、上記電子ファインダに切り換えることを特徴とする請求項8に記載の撮像装置の表示方法。
【請求項10】
撮影レンズと、
上記撮影レンズを介して結像した被写体像を画像データに変換する撮像部と、
上記撮像部で変換された上記画像データを表す画像を表示する表示部と、
被写体を光学レンズを介して観察するための上記撮影レンズとは異なる第1ファインダと、
上記第1ファインダが有する接眼レンズを共用し、上記表示部に表示した画像を観察するための第2ファインダと、
撮影準備状態を指示する操作部材と、
上記操作部材の操作により上記撮影準備状態が指示されたときに、上記被写体光を上記第1ファインダへの入射を遮断し、上記表示部に表示した上記画像を観察者の目に導く制御部と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
上記撮影レンズの焦点距離を検出する焦点距離検出部を有し、上記制御部は、上記焦点距離が所定範囲外であることが判定された場合には、上記被写体光を上記第1ファインダへの入射を遮断し、上記表示部に表示した上記画像を観察者の目に導くことを特徴とする請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
撮影準備状態が指示されたかを判定し、
上記撮影準備状態が指示されていない場合には、ファインダ光学系に被写体光束を入射させ、被写体像を光学的に観察させる光学ファインダに切り換え、
上記撮影準備状態が指示された場合には、撮影レンズによって結像した被写体像を撮像素子によって取得した画像データを表示部に表示させ、この表示部に表示した被写体像を上記光学ファインダの光路を介して観察させる電子ファインダに切り換える、
ことを特徴とする撮像装置の表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−200552(P2009−200552A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−36938(P2008−36938)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】