撮像装置および画像再生装置
【課題】フォーカスレンズの駆動頻度を低減しつつ、被写体に焦点の合った画像を適切に得ることができる撮像装置を提供する。
【解決手段】複数のマイクロレンズ111aを二次元状に配列したマイクロレンズアレイ111と、複数のマイクロレンズ111aに対して設けられた複数の光電変換素子112aとを有し、マイクロレンズ111aを介して光学系からの光束を受光して得られる複数の受光信号を出力する受光手段110と、受光信号に基づいて、光学系による像面と受光手段110の受光面とのずれ量を検出する検出手段142と、ずれ量に基づいて、光学系を焦点調節する焦点調節手段150と、ずれ量に対応する像面が、受光信号に基づく画像を生成可能な像面の範囲に含まれる場合に、複数の受光信号のうちずれ量に応じて選択された受光信号に基づいて、ずれ量に対応する像面の画像を生成して、表示する制御手段150と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【解決手段】複数のマイクロレンズ111aを二次元状に配列したマイクロレンズアレイ111と、複数のマイクロレンズ111aに対して設けられた複数の光電変換素子112aとを有し、マイクロレンズ111aを介して光学系からの光束を受光して得られる複数の受光信号を出力する受光手段110と、受光信号に基づいて、光学系による像面と受光手段110の受光面とのずれ量を検出する検出手段142と、ずれ量に基づいて、光学系を焦点調節する焦点調節手段150と、ずれ量に対応する像面が、受光信号に基づく画像を生成可能な像面の範囲に含まれる場合に、複数の受光信号のうちずれ量に応じて選択された受光信号に基づいて、ずれ量に対応する像面の画像を生成して、表示する制御手段150と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置および画像再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、動画撮影が可能な撮像装置が知られている。このような撮像装置において、被写体について焦点の合った画像を連続的に撮影するため、動画撮影中に、フォーカスレンズを駆動して、焦点調節を繰り返し行う技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−287050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術は、焦点調節のために、動画撮影中にフォーカスレンズを常に駆動させる必要があり、フォーカスレンズを常に駆動することで、消費電力が増大し、またレンズ駆動音(異音)が多数発生し、このようなレンズ駆動音がノイズとして多数録音されてしまうという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、フォーカスレンズの駆動頻度を低減しつつ、被写体に焦点の合った画像を適切に得ることができる撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、以下の解決手段によって上記課題を解決する。なお、発明の実施形態を示す図面に対応する符号を付して説明するが、この符号は発明の理解を容易にするためだけのものであって発明を限定する趣旨ではない。
【0007】
[1]本発明に係る撮像装置は、複数のマイクロレンズ(111a)を二次元状に配列したマイクロレンズアレイ(111)と、前記複数のマイクロレンズに対して設けられた複数の光電変換素子(112a)とを有し、前記マイクロレンズを介して光学系からの光束を受光して得られる複数の受光信号を出力する受光手段(110)と、前記受光信号に基づいて、前記光学系による像面と前記受光手段の受光面とのずれ量を検出する検出手段(142)と、前記ずれ量に基づいて、前記光学系を焦点調節する焦点調節手段(150)と、前記ずれ量に対応する像面が、前記受光信号に基づく画像を生成可能な像面の範囲に含まれる場合に、前記複数の受光信号のうち前記ずれ量に応じて選択された受光信号に基づいて、前記ずれ量に対応する像面の画像を生成して、表示する制御手段(150)と、を備えることを特徴とする。
【0008】
[2]上記撮像装置に係る発明において、前記焦点調節手段(150)は、前記ずれ量に対応する像面が、前記画像を生成可能な像面の範囲に含まれない場合に、前記ずれ量に応じて、前記光学系を焦点調節するように構成することができる。
【0009】
[3]上記撮像装置に係る発明において、前記光学系による像のうち、特定の対象の像を認識する認識手段(150)をさらに備え、前記検出手段(150)は、前記認識手段によって認識された像に対する前記ずれ量を検出するように構成することができる。
【0010】
[4]上記撮像装置に係る発明において、前記画像を生成可能な像面の範囲は、前記マイクロレンズ(111a)の有効径、前記マイクロレンズの開放F値、および前記光電変換素子(112a)の大きさに基づくものとであるように構成することができる。
【0011】
[5]上記撮像装置に係る発明において、前記受光信号に基づいて動画を撮像する撮像手段をさらに備えるように構成することができる。
【0012】
[6]本発明に係る画像再生装置は、特定の焦点状態における光学系からの光束を受光して得られる複数の受光信号を入力する入力手段と、前記受光信号に基づいて、特定の焦点状態における前記光学系による像面位置を検出する検出手段と、前記像面位置が、前記受光信号に基づく画像を生成可能な像面の範囲に含まれる場合に、前記複数の受光信号のうち前記像面位置に応じて選択された受光信号に基づいて前記像面位置の画像を生成して表示する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
[7]上記画像再生装置に係る発明において、前記入力手段は、前記像面位置が、前記画像を生成可能な像面の範囲に含まれない場合に、前記前記特定の焦点状態とは異なる焦点状態における前記光学系からの光束を受光して得られた受光信号を入力するように構成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フォーカスレンズの駆動頻度を低減しつつ、被写体に焦点の合った画像を適切に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本実施形態に係るカメラ1の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示す撮像素子110を構成する画素配列の一例を示す平面図である。
【図3】図3は、図2に示すIII部分の拡大図である。
【図4】図4は、撮像素子110の構成を説明するための図である。
【図5】図5は、本実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。
【図6】図6は、ステップS110の被写体認識処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】図7は、マイクロレンズ111aを介して、光電変換素子アレイ112を構成する複数の光電変換素子112aのうち、特定の光電変換素子c1に入射する光束の一例を示す図である。
【図8】図8は、フォーカスレンズ212のレンズ位置と画像合成範囲との関係を説明するための図である。
【図9】図9は、被写体の存在位置に対応する像面が、特定の面(Z=0)であるときの画像合成方法の一例を説明するための図である。
【図10】図10は、被写体の存在位置に対応する像面が、特定の面(Z=h1)であるときの画像合成方法の一例を説明するための図である。
【図11】図11は、被写体の存在位置に対応する像面が、特定の面(Z=h2)であるときの画像合成方法の一例を説明するための図である。
【図12】図12は、他の実施形態におけるフォーカスレンズ212のレンズ位置の決定方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係るカメラ1を示すブロック図であり、本発明の撮像装置に関する構成以外のカメラの一般的構成については、その図示と説明を一部省略する。
【0017】
本実施形態のカメラ1は、図1に示すように、カメラボディ100とレンズ鏡筒200とを備え、静止画および動画の撮影が可能となっている。
【0018】
レンズ鏡筒200には、レンズ211,212,213、および絞り220を含む撮影光学系が内蔵されている。
【0019】
フォーカスレンズ212は、レンズ鏡筒200の光軸L1に沿って移動可能に設けられ、エンコーダ260によってその位置が検出されつつレンズ駆動モータ230によってその位置が調節される。
【0020】
このフォーカスレンズ212の光軸L1に沿う移動機構の具体的構成は特に限定されない。一例を挙げれば、レンズ鏡筒200に固定された固定筒に回転可能に回転筒を挿入し、この回転筒の内周面にヘリコイド溝(螺旋溝)を形成するとともに、フォーカスレンズ212を固定するレンズ枠の端部をヘリコイド溝に嵌合させる。そして、レンズ駆動モータ230によって回転筒を回転させることで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ212が光軸L1に沿って直進移動することになる。なお、レンズ鏡筒200にはフォーカスレンズ212以外のレンズ211,213が設けられているが、ここではフォーカスレンズ212を例に挙げて本実施形態を説明する。
【0021】
上述したようにレンズ鏡筒200に対して回転筒を回転させることによりレンズ枠に固定されたフォーカスレンズ212は光軸L1方向に直進移動するが、その駆動源としてのレンズ駆動モータ230がレンズ鏡筒200に設けられている。レンズ駆動モータ230と回転筒とは、たとえば複数の歯車からなる変速機で連結され、レンズ駆動モータ230の駆動軸を何れか一方向へ回転駆動すると所定のギヤ比で回転筒に伝達され、そして、回転筒が何れか一方向へ回転することで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ212が光軸L1の何れかの方向へ直進移動することになる。なお、レンズ駆動モータ230の駆動軸が逆方向に回転駆動すると、変速機を構成する複数の歯車も逆方向に回転し、フォーカスレンズ212は光軸L1の逆方向へ直進移動することになる。
【0022】
フォーカスレンズ212の位置はエンコーダ260によって検出される。既述したとおり、フォーカスレンズ212の光軸L1方向の位置は回転筒の回転角に相関するので、たとえばレンズ鏡筒200に対する回転筒の相対的な回転角を検出すれば求めることができる。
【0023】
本実施形態のエンコーダ260としては、回転筒の回転駆動に連結された回転円板の回転をフォトインタラプタなどの光センサで検出して、回転数に応じたパルス信号を出力するものや、固定筒と回転筒の何れか一方に設けられたフレキシブルプリント配線板の表面のエンコーダパターンに、何れか他方に設けられたブラシ接点を接触させ、回転筒の移動量(回転方向でも光軸方向の何れでもよい)に応じた接触位置の変化を検出回路で検出するものなどを用いることができる。
【0024】
フォーカスレンズ212は、上述した回転筒の回転によってカメラボディ100側の端部(至近端ともいう)から被写体側の端部(無限端ともいう)までの間を光軸L1方向に移動することができる。ちなみに、エンコーダ260で検出されたフォーカスレンズ212の現在位置情報は、レンズ制御部250を介して後述するカメラ制御部150へ送出される。そして、フォーカスレンズ212の位置情報に基づいて算出されたフォーカスレンズ212の駆動量が、カメラ制御部150からレンズ制御部250を介して送出され、これに基づいて、レンズ駆動モータ230は駆動する。
【0025】
絞り220は、撮影光学系を通過して、カメラボディ100に備えられた撮像素子110に至る光束の光量を制限するとともにボケ量を調整するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。絞り220による開口径の調節は、たとえば自動露出モードにおいて演算された適切な開口径が、カメラ制御部150からレンズ制御部250を介して送出されることにより行われる。また、カメラボディ100に設けられた操作部130を介したマニュアル操作により設定された開口径が、カメラ制御部150からレンズ制御部250に入力される。絞り220の開口径は図示しない絞り開口センサにより検出され、レンズ制御部250で現在の開口径が認識される。
【0026】
一方、カメラボディ100には、被写体からの光束を受光する撮像素子110が、光軸L1上であって、撮影光学系の予定焦点面に設けられている。撮像素子110は二次元CCDイメージセンサ、MOSセンサまたはCIDなどのデバイスから構成され、受光した光信号を受光信号に変換する。ここで、図2は撮像素子110を構成する画素配列の一例を示す平面図であり、図3は図2に示すIII部分の拡大図である。図2に示すように、撮像素子110は、複数のマイクロレンズ111aを二次元状に稠密に配列したマイクロレンズアレイ111を備えており、マイクロレンズアレイ111は、撮影光学系の予定焦点面となる位置またはその近傍に設定される。また、図3に示すように、撮像素子110は、各マイクロレンズ111aに対して、複数の光電変換素子112aから構成される各光電変換素子アレイ112を有している。なお、図3において、光電変換素子アレイ112を構成する光電変換素子112aの数(画素密度)は、縦方向および横方向ともに5個となっているが、これらの数は、特に限定されるものではない。
【0027】
さらに、図4は、撮像素子110の構成を説明するための図であり、図3と同様に、図2のIII部分を拡大した斜視図である。図4に示すように、光電変換素子アレイ112は、マイクロレンズアレイ111の後方に配置されおり、マイクロレンズアレイ111と光電変換素子アレイ112との間には、マイクロレンズ111aの焦点距離に対応する間隔が設けられている。被写体からの光束(光軸L1)は、まずマイクロレンズ111aへと入射され、マイクロレンズ111aを通過して光電変換素子112aで受光される。そして、各光電変換素子112aにより受光された光束に基づく受光信号は、センサ制御部141に送信される。なお、撮像素子110からセンサ制御部141に送信される受光信号は、センサ制御部141からカメラ制御部150に送信され、画像データに変換されてメモリ160に保存される他、デフォーカス演算部142によるデフォーカス演算に用いられる。
【0028】
センサ制御部141は、光電変換素子アレイ112を構成する各光電変換素子112aによる受光信号の受光の制御や、各光電変換素子112aにより受光する受光信号が適切なものとなるように、ゲインや蓄積時間を制御する。また、センサ制御部141は、撮像素子110から受光信号を受信し、受信した受光信号をカメラ制御部150およびデフォーカス演算部142に送信する。
【0029】
デフォーカス演算部142は、センサ制御部141から受光信号を受信し、受信した受光信号の一部を焦点検出用の信号として読み出す。本実施形態では、撮影画像中の全ての領域のうち、後述する撮影画像中の主要な被写体について焦点検出を行うため、デフォーカス演算部142は、撮影画像中の全ての領域ではなく、主要な被写体に対応する撮影画像中の領域(以下、被写体領域ともいう。)に相当するマイクロレンズ111aに対応する各光電変換素子112aから出力された受光信号を、焦点検出用の信号として読み出す。
【0030】
ここで、上述したようにマイクロレンズアレイ111(各マイクロレンズ111a)は、撮影光学系の予定焦点面となる位置またはその近傍に配置されており、このマイクロレンズアレイ111(各マイクロレンズ111a)の後ろ側に配置されている光電変換素子アレイ112(各光電変換素子112a)には、各マイクロレンズ111aによって撮影光学系の瞳像が結像される。そして、光電変換素子アレイ112を構成する各光電変換素子112aは、瞳の各部分に対応することから、マイクロレンズ111aごとに光電変換素子112aを選択してその出力を合成すれば、光電変換素子112aに対応する絞りで撮影された画像が得られることになる。したがって、本実施形態においては、デフォーカス演算部142により、瞳の各部分に対応する光電変換素子112aの出力を合成し、得られた画像を用いて、主要な被写体に対応する被写体領域について、瞳分割位相差検出方式による像ズレ量の演算を行うことで、被写体領域における像ズレ量をデフォーカス量dfとして求めることができる。そして、デフォーカス演算部142は、求めたデフォーカス量dfをカメラ制御部150およびレンズ駆動量演算部143に送信する。
【0031】
レンズ駆動量演算部143は、デフォーカス演算部142から送られてきたデフォーカス量dfに基づいて、フォーカスレンズ212の駆動量ΔWの演算を行い、これをカメラ制御部150へ出力する。
【0032】
液晶モニタ120は、カメラボディ100の背面に設けられ、撮像素子110により得られた受光信号に基づく画像を、液晶モニタ120が備えるディスプレイに表示する。
【0033】
操作部130は、シャッターレリーズボタン、および撮影者がカメラ1の各種動作モードを設定するための入力スイッチを備えており、操作部130により、静止画撮影モード/動画撮影モード、オートフォーカスモード/マニュアルフォーカスモードの切換が行えるようになっている。また、動画撮影モードが選択されている場合に、撮影者によりシャッターレリーズボタンが押されることで、動画撮影の開始動作および終了動作が行なわれるようになっている。
【0034】
カメラ制御部150は、マイクロプロセッサとメモリなどの周辺部品から構成され、撮像素子110から送信された受光信号を取得し、取得した受光信号に基づき、スルー画像の生成や、後述する画像合成方法より、撮影画像の合成を行う。さらに、カメラ制御部150は、被写体に合焦する像面位置の検出を行い、検出結果に基づいて、レンズ制御部250を介して、フォーカスレンズ212の駆動を制御する。なお、合成された撮像画像は、カメラ制御部150から液晶モニタ120に送信され、液晶モニタ120のディスプレイに表示されるとともに、メモリ160へと送信され、メモリ160に保存される。
【0035】
また、カメラ制御部150は、撮像素子110で得られた受光信号に基づいて、撮影シーンを認識し、認識されたシーンに基づいて、撮影画像中の主要な被写体の認識を行う。そして、カメラ制御部150は、撮影画像中の主要な被写体を認識した場合に、主要な被写体に対応する撮影画像中の領域を被写体領域として設定する。
【0036】
次に、本実施形態に係るカメラ1の動作例を説明する。以下においては、図5に示すフローチャートに基づいて、撮影者により操作部130を介して、動画撮影モードが選択されている場合における処理について説明する。図5は、本実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。
【0037】
まず、ステップS101では、センサ制御部141からの信号に基づき、撮像素子110により、撮影光学系からの光束の受光が行われ、スルー画像表示用の撮影が行われる。そして、撮像素子110から、各光電変換素子112aに応じた信号が、センサ制御部141に送信され、センサ制御部141に送信された信号が、カメラ制御部150により読み出される。
【0038】
ステップS102では、カメラ制御部150により、レンズ制御部250からレンズ情報が取得される。レンズ情報には、フォーカスレンズ212のレンズ位置、焦点距離、および開放F値などの情報が含まれる。続くステップS103では、カメラ制御部150により、撮影情報の取得が行われる。撮影情報は、撮影時の撮影条件などの情報であり、例えば、絞り値、ISO感度、ゲイン、ホワイトバランスなどの情報が含まれる。カメラ制御部150は、例えば、センサ制御部141からISO感度、ゲイン、ホワイトバランスなどの情報を取得し、また、カメラ制御部150が備えるメモリから絞り値を取得することができる。これらレンズ情報および撮影情報は、カメラ制御部150による受光信号の読み出し(ステップS101)、およびカメラ制御部150によるスルー画像の生成(ステップS104)に用いられる。
【0039】
ステップS104では、カメラ制御部150により、ステップS101で取得した受光信号に基づき、スルー画像が生成される。なお、カメラ制御部150は、ステップS104においてスルー画像を生成する際に、ステップS102,S103で取得したレンズ情報および撮影情報を用いることができる。例えば、絞り値が最大(開口サイズ最小)に設定されている場合、カメラ制御部150は、ステップS103において、最大(開口サイズ最小)に設定されている絞り値を取得し、ステップS104において、この絞り値に基づいて、焦点深度の深いパンフォーカス画像をスルー画像として生成する。
【0040】
続くステップS105では、生成されたスルー画像が、液晶モニタ120に送信され、液晶モニタ120の備えるディスプレイに表示される。なお、ステップS105においては、スルー画像を表示することに加えて、ステップS104で生成されたスルー画像をメモリ160に記憶する構成としてもよい。
【0041】
ステップS106では、カメラ制御部150により、動画撮影を開始するか否か判断される。例えば、動画撮影モードにおいて、撮影者により操作部130のシャッターレリーズボタンが押された場合、動画撮影を開始すると判断され、ステップS107に進む。一方、撮影者により操作部130のシャッターレリーズボタンが押されていない場合は、動画撮影を開始しないと判断され、ステップS101に戻り、現在のフォーカスレンズ212のレンズ位置で、再度、受光信号の取得が行われ(ステップS101)、取得された受光信号に基づいて、スルー画像の生成および表示が繰り返し行われる(ステップS104,S105)。
【0042】
ステップS107では、現在のフォーカスレンズ212のレンズ位置で、センサ制御部141の制御に基づき、撮像素子110による画像の撮影が行われる。そして、現在のフォーカスレンズ212のレンズ位置で得られた受光信号が、カメラ制御部150およびセンサ制御部141へと送信される。続くステップS108では、ステップS102と同様に、フォーカスレンズ212の現在のレンズ位置などのレンズ情報が取得され、さらに、ステップS109では、ステップS103と同様に、絞り値などの撮影情報が取得される。
【0043】
ステップS110では、カメラ制御部150により、被写体認識処理が行われる。ここで、図6は、本実施形態に係る被写体認識処理を示すフローチャートである。以下においては、図6を参照して、ステップS110の被写体認識処理について説明する。
【0044】
まず、ステップS201では、カメラ制御部150により、ステップS107で得られた受光信号に基づいて、パンフォーカス画像が生成される。例えば、各マイクロレンズ111aの中心に対応する光電変換素子112aの位置を、撮像光学系の光軸に対するマイクロレンズ111aの位置(像高)と、マイクロレンズ111aからフォーカスレンズ212の瞳までの距離とから求め、各マイクロレンズ111aの中心または中心周辺に対応する光電変換素子112aの受光信号を抽出する。このように抽出された受光信号は、光電変換素子112aに対応する絞りで撮像された信号であり、各マイクロレンズ111aの中心または中心周辺に対応する光電変換素子112aから抽出した受光信号を積算することで、パンフォーカス画像を生成することができる。
【0045】
ステップS202では、カメラ制御部150により、ステップS201で生成されたパンフォーカス画像に基づいて、撮影シーンが認識され、認識されたシーンに基づいて、撮影画像中の主要な被写体が認識される。例えば、カメラ制御部150は、テンプレートマッチングなどにより、人物の顔を検出した場合、人物を撮影しているシーンと認識し、その人物の顔部分を主要な被写体として認識する。なお、シーンを認識する方法は、特に限定されず、上述した顔検出の他、パターンマッチング、あるいは色抽出などの公知の方法で行ってもよい。
【0046】
ステップS203では、カメラ制御部150により、認識された被写体に対応する撮影画像中の領域が、被写体領域として検出される。例えば、カメラ制御部150は、ステップS202で人物の顔を主要な被写体と認識した場合に、この人物の顔部分に対応する撮影画像中の領域を被写体領域として検出する。これにより、ステップS110の被写体認識処理が終了する。
【0047】
続いて、図5に戻り、ステップS111では、デフォーカス演算部142により、センサ制御部141から、ステップS107で得られた受光信号が取得され、取得された受光信号の中から、焦点検出用の信号が読み出される。ここで、デフォーカス演算部142は、撮影画像中の主要な被写体について焦点検出を行うため、撮影画像中の全ての領域のうち、ステップS110で設定された被写体領域に対応する受光信号を、焦点検出用の信号として読み出す。そして、デフォーカス演算部142により、被写体領域に対応する焦点検出用の信号に基づいて、瞳分割位相差検出方式による像ズレ量の演算が行われ、デフォーカス量dfが算出される。
【0048】
ステップS112では、カメラ制御部150により、ステップS111で算出されたデフォーカス量dfに対応する像面位置、すなわち、デフォーカス量dfに応じてフォーカスレンズ212を駆動した場合の駆動後のフォーカスレンズ212のレンズ位置における像面位置が求められる。そして、カメラ制御部150により、デフォーカス量dfに対応する像面位置が、以下に説明する画像合成範囲内に存在するか否か判断される。
【0049】
ここで、図7は、受光信号に基づいて合成可能な像面の範囲である画像合成範囲を説明するための図であり、光電変換素子アレイ112を構成する複数の光電変換素子112aのうち特定の光電変換素子c1に対してマイクロレンズ111aを介して入射する光束を示す図である。なお、図7においては、光電変換素子アレイ112を構成する各光電変換素子112aをa1,b1,c1,d1,e1で示した。本実施形態に係る撮像装置によって得られる像の分解能は、画素の単位であるマイクロレンズ1つ分に相当する。そのため、分解能を保ったまま像を合成できる像面の範囲は、図7に示すように、光電変換素子112aのマイクロレンズ111aによる逆投影像の大きさが、マイクロレンズ111aの有効径Dとほぼ同じになるマイクロレンズ111aからの距離Lとすることができる。すなわち、マイクロレンズ111aの有効径D(配列ピッチP>D)と同じ大きさの範囲からの光がマイクロレンズ111aを通過して1つの光電変換素子c1に入射すれば、画素の単位であるマイクロレンズの大きさに相当する分解能を得ることができる。ここで、マイクロレンズ111aを通過して1つの光電変換素子c1に入射する光束の広がりが小さいほど距離L(画素の単位であるマイクロレンズの大きさに相当する分解能を得ることができる範囲)は大きくなる。光電変換素子c1に入射する光束の広がりは、フォーカスレンズ212の瞳上の所定の領域を通過した光束の広がりに対応する。すなわち、光電変換素子c1に入射する光束の広がりは、フォーカスレンズ212の開放F値に応じた値となる。そのため、画素の単位であるマイクロレンズの大きさに相当する分解能を得ることができる距離Lは、マイクロレンズ111aの有効径D、フォーカスレンズ212の開放F値、および光電変換素子112aの大きさに応じて決定される。本実施形態において、この距離Lを画像合成範囲し、この画像合成範囲内の像面位置であれば、撮影画像を合成することが可能となる。
【0050】
そのため、ステップS112では、カメラ制御部150は、この画像合成範囲内に、デフォーカス量dfに対応する像面位置が存在するか否かを判断し、この画像合成範囲内に、デフォーカス量dfに対応する像面位置が存在すると判断した場合には、フォーカスレンズ212の現在のレンズ位置で得られた受光信号に基づいて、デフォーカス量dfに対応する像面に焦点の合った撮影画像を合成することができるものと判断し、ステップS113に進む。一方、この画像合成範囲内に、デフォーカス量dfに対応する像面位置が存在しないと判断した場合には、フォーカスレンズ212の現在のレンズ位置で得られた受光信号に基づいて、デフォーカス量dfに対応する像面に焦点の合った撮影画像を合成することができないものと判断し、ステップS114に進む。
【0051】
ここで、図8は、フォーカスレンズ212のレンズ位置と画像合成範囲との関係を説明するための図であり、フォーカスレンズ212の現在のレンズ位置に対応する像面位置を像面位置a0で、デフォーカス量dfに対応する像面位置(主要な被写体に合焦する像面位置)を像面位置b0で示している。図8に示す例において、フォーカスレンズ212が像面位置a0に対応するレンズ位置にある場合、合成可能な像面の範囲は画像合成範囲Aとなる。すなわち、フォーカスレンズ212が像面位置a0に対応するレンズ位置にある場合、画像合成範囲A内の像面位置であれば、後述する画像合成方法に従って、撮影画像を合成することができる。そのため、デフォーカス量dfに対応する像面位置(主要な被写体に合焦する像面位置)が、画像合成範囲A内に存在する場合、主要な被写体について焦点の合った画像を合成することができるものと判断され、ステップS113に進む。一方、フォーカスレンズ212が像面位置a0に対応するレンズ位置にある場合に、デフォーカス量dfに対応する像面位置(主要な被写体に合焦する像面位置)が画像合成範囲A内に存在しない場合(例えば、デフォーカス量dfに対応する像面位置が図8中の像面位置b0に存在する場合)は、主要な被写体について焦点の合った画像を合成することができないと判断され、ステップS114に進む。
【0052】
ステップS113では、フォーカスレンズ212を駆動することなく、カメラ制御部150により、ステップS107で得られた受光信号に基づいて、デフォーカス量dfに対応する像面位置に応じた画像が撮影画像として合成される。以下において、デフォーカス量dfに対応する像面に焦点の合った画像を合成する方法について、図9〜図11を参照しながら説明する。図9〜図11は、本実施形態における画像合成方法の一例を説明するための図である。
【0053】
図9に示す場面例では、マイクロレンズアレイ111からの像面の高さ(マイクロレンズアレイ111から距離)をZとした場合に、像面の高さZ=0である位置に画像合成の対象となる被写体が存在する場合である。図9においては、撮像素子110の各光電変換素子アレイ112について、各光電変換素子アレイ112を構成する光電変換素子112aのうち、5つの光電変換素子112aに入射する各光線(マイクロレンズアレイ111を構成するマイクロレンズアレイ111aの中心を通る主光線のみ)を示した。また、図9中においては、各光電変換素子112aを識別するために、それぞれの光電変換素子112aを、a1〜e1、a2〜e2、a3〜e3、a4〜e4、a5〜e5で示すとともに、像面の高さZ=0における各座標X1、X2、X3、X4、X5のうち、X3からの射出光束(光線r1、r2、r3、r4、r5)を実線で示し、それ以外のX1、X2、X4、X5からの射出光束を点線で示した(以下、図10、図11においても同様。)。
【0054】
図9に示すように、像面の高さZ=0における座標X3からの射出光束(光線r1、r2、r3、r4、r5)は、各光電変換素子a3、b3、c3、d3、e3、にそれぞれ入射する。そのため、像面の高さZ=0における座標X3における画素値L(Z=0、X3)は、これら光電変換素子a3、b3、c3、d3、e3における出力を合成することにより求めることができる(下記式(1)参照)。
L(Z=0、X3)=Out(a3)+Out(b3)+Out(c3)+Out(d3)+Out(e3) …(1)
【0055】
また、同様に、座標X3に隣接する座標X4における画素値L(Z=0、X4)は、下記式(2)に従って求めることができる。
L(Z=0、X4)=Out(a4)+Out(b4)+Out(c4)+Out(d4)+Out(e4) …(2)
【0056】
したがって、座標Xiにおける画素値L(Z=0、Xi)は、下記式(3)に従って、それぞれ求めることができる。
L(Z=0、Xi)=Out(ai)+Out(bi)+Out(ci)+Out(di)+Out(ei) …(3)
【0057】
なお、上記式(3)は、撮影者による指定絞り値が開放(開口サイズ最大)であったときに採用される式である。そのため、仮に、撮影者による指定絞り値が最大(開口サイズ最小)であったときには、光線r1、r2、r3、r4、r5からなる光束を、光線r3のみからなる光束に制限すればよいので、上記式(3)に代えて下記式(4)を採用すればよい(後述する図10、図11に示す場合においても同様。)。
L(Z=0、Xi)=Out(ci) …(4)
【0058】
また、撮影者による指定絞り値が中間値(開口サイズ中間)であったときには、光線r1、r2、r3、r4、r5からなる光束を、光線r2、r3、r4のみからなる光束に制限すればよいので、上記式(3)に代えて下記式(5)を採用すればよい(後述する図10、図11に示す場合においても同様。)。
L(Z=0、Xi)=Out(bi)+Out(ci)+Out(di) …(5)
【0059】
なお、上記説明においては、或る1方向に並ぶ5つの光電変換素子a3、b3、c3、d3、e3のみに着目し、それら5つの光電変換素子の出力値の和をとったが、実際は、2方向に並ぶ25個の光電変換素子の出力値の和をとる必要がある(後述する図10、図11に示す場合においても同様。)。
【0060】
次いで、図10に示すように、像面の高さZ=h1である位置に画像合成の対象となる被写体が存在する場合について説明する。図10に示すように、像面の高さZ=h1における座標X3からの射出光束(光線r1、r2、r3、r4、r5)は、図9の場合と異なり、各光電変換素子a1、b2、c3、d4、e5にそれぞれ入射する。そのため、像面の高さZ=h1における座標X3における画素値L(Z=h1、X3)は、これら光電変換素子a1、b2、c3、d4、e5における出力を合成することにより求めることができる(下記式(6)参照)。
L(Z=h1、X3)=Out(a1)+Out(b2)+Out(c3)+Out(d4)+Out(e5) …(6)
【0061】
さらに、図11に示すように、像面の高さZ=h2である位置に合成対象となる被写体が存在する場合について説明する。図11に示すように、像面の高さZ=h2における座標X3からの射出光束(光線r1、r2、r3、r4、r5)は、図9、図10の場合と異なり、複数の光電変換素子にまたがって入射することとなる。具体的には、図11に示すように、光線r1は光電変換素子a1、b1に、光線r2は光電変換素子b2、c2に、光線r4は光電変換素子c4、d4に、光線r5は光電変換素子d5、e5に、それぞれまたがって入射する。なお、光線r3は、図11に示すように光電変換素子c3にのみ入射する。そのため、光線r1に着目すると、光線r1の光量は、光電変換素子a1の出力値Out(a1)と、光電変換素子b1の出力値Out(b1)との重み付け和によって求めることができる(下記式(7)参照)。ここで、下記式(7)において、w11、w12は、重み係数であり、マイクロレンズアレイ111からの像面の高さZに応じて決まる係数である。
Out(a1)×w11+Out(b1)×w12 …(7)
【0062】
そして、光線r2、光線r4、光線r5の光量も、同様に重み付け和によって求めることができるため、像面の高さZ=h2における座標X3における画素値L(Z=h2、X3)は、下記式(8)に従って求めることができる。なお、下記式(8)において、w21、w22、w41、w42、w51、w52は、重み係数であり、マイクロレンズアレイ111からの像面の高さZに応じて決まる係数である。
L(Z=h2、X3)=〔Out(a1)×w11+Out(b1)×w12〕+〔Out(b2)×w21+Out(c2)×w22〕+Out(c3)+〔Out(c4)×w41+Out(d4)×w42〕+〔Out(d5)×w51+Out(e5)×w52〕 …(8)
【0063】
このように、画像合成の対象となる被写体が存在する像面位置Zに応じて、被写体からの光束の入射する光電変換素子112a、および画像合成に必要な重み付け係数の値が決まってくることとなる。なお、各像面位置Zに対応する、被写体からの光束の入射する光電変換素子112a、および画像合成に必要な重み付け係数の値は、たとえば、カメラ制御部150に備えるメモリなどに予め記憶させておき、これを利用するような構成とすればよい。
【0064】
以上のように、カメラ制御部150は、複数の光電変換素子112aから得られた受光信号に基づいて、デフォーカス量dfに対応する像面(像面位置Z)に焦点の合った撮影画像を合成することができる。そこで、ステップS113において、カメラ制御部150は、上述した画像合成方法に従って、デフォーカス量dfに対応する像面(像面位置Z)に焦点の合った撮影画像を合成する。
【0065】
一方、ステップS112において、画像合成範囲内に、デフォーカス量dfに対応する像面位置が存在しないと判断された場合は、ステップS114に進む。ステップS114では、レンズ駆動量演算部143により、デフォーカス演算部142から送信されたデフォーカス量dfの取得が行われ、取得されたデフォーカス量dfに基づいて、フォーカスレンズ212のレンズ駆動量ΔW(レンズ目標位置に相当する)の演算が行われる。そして、レンズ駆動量ΔWが、レンズ駆動量演算部143からカメラ制御部150に出力される。
【0066】
ステップS115では、レンズ駆動量演算部143により決定されたレンズ駆動量ΔWが、カメラ制御部150からレンズ制御部250に送信される。そして、レンズ制御部250は、レンズ駆動量ΔWに応じて、レンズ駆動モータ230を駆動させ、これにより、フォーカスレンズ212を駆動させる。
【0067】
ステップS116では、駆動後のフォーカスレンズ212のレンズ位置で、センサ制御部141の制御に基づき、撮像素子110による画像の撮影が行われる。そして、駆動後のフォーカスレンズ212のレンズ位置で得られた受光信号が、カメラ制御部150へと送信される。続くステップS117では、ステップS102と同様に、駆動後のフォーカスレンズ212のレンズ位置などのレンズ情報が取得され、さらに、ステップS118では、ステップS103と同様に、絞り値などの撮影情報が取得される。
【0068】
そして、ステップS119では、駆動後のフォーカスレンズ212のレンズ位置で得られた受光信号に基づいて、ステップS113と同様の画像合成方法に従って、ステップS111で演算されたデフォーカス量dfに対応する像面位置、すなわち、主要な被写体に合焦する像面位置の画像が、撮影画像として合成される。
【0069】
例えば、図8に示す例において、フォーカスレンズ212が像面位置a0に対応するレンズ位置にあり、かつ、主要な被写体に合焦する像面位置(デフォーカス量dfに対応する像面位置)が画像合成範囲A内に存在しない場合(ステップS112=NO)、例えば、主要な被写体に合焦する像面位置(デフォーカス量dfに対応する像面位置)が像面位置b0に存在する場合には、次のように動作することとなる。すなわち、まず、主要な被写体に合焦する像面位置b0(デフォーカス量dfに対応する像面位置b0)に対応するレンズ位置までフォーカスレンズ212が駆動され(ステップS115)、駆動後のレンズ位置で、画像の撮影が行なわれ(ステップS116)、その結果得られた受光信号に基づいて、主要な被写体に合焦する像面(像面位置b0)に焦点の合った撮影画像の合成が行なわれる(ステップS119)。このように本実施形態においては、主要な被写体に合焦する像面位置が画像合成範囲Aにないと判断された場合には(ステップS112=NO)、フォーカスレンズ212を像面位置b0に対応するレンズ位置まで駆動し、駆動後のレンズ位置で、画像の撮影を行なうことにより、撮影の結果得られた受光信号に基づく画像合成範囲を、図8に示す画像合成範囲Bとすることができ、これにより、像面位置b0を含む画像合成範囲Bの任意の像面位置に対応する画像の合成が可能となる。
【0070】
ステップS120では、ステップS119で合成された撮影画像が、液晶モニタ120のディスプレイに表示されるとともに、メモリ160に記録される。これにより、撮影者は、主要な被写体について焦点の合った撮影画像を得ることができる。
【0071】
そして、ステップS121では、カメラ制御部150により、動画撮影を終了するか判断される。例えば、動画撮影中に、撮影者により操作部130のシャッターレリーズボタンが押された場合、動画撮影を終了すると判断され、この処理が終了される。一方、動画撮影中に、操作部130のシャッターレリーズボタンが押されていない場合、動画撮影を継続すると判断され、ステップS106に戻り、画像の撮影および撮影画像の合成が繰り返し行われる。
【0072】
このように、本実施形態においては、例えば、動画撮影モードで動画撮影を行っている間、画像合成範囲内に被写体に合焦する像面位置が存在するか否かを判断し、画像合成範囲内に被写体に合焦する像面位置が存在する場合には(ステップS112=YES)、フォーカスレンズ212を駆動させることなく、被写体に合焦する像面位置において撮影画像の合成を行う(ステップS113)。一方、被写体に合焦する像面位置が画像合成範囲内に存在しない場合には、デフォーカス量dfに応じてフォーカスレンズ212を駆動させ(ステップS114)、駆動後のフォーカスレンズ位置で得られた受光信号に基づいて、被写体に合焦する像面位置の撮影画像の合成を行う(ステップS114)。そして、これらの処理を動画撮影中繰り返し行う。これにより、本実施形態では、画像合成範囲内に被写体に合焦する像面位置が存在する場合であっても、また、被写体までの撮影距離が変化し、被写体に合焦する像面位置が画像合成範囲内から外れる場合であっても、被写体に対応する像面に焦点の合った撮像画像の合成を行うことができるため、被写体について焦点の合った撮影画像を連続的に得ることができる。
【0073】
以上のように、本実施形態では、画像合成範囲内に被写体に合焦する像面位置が存在する場合には、フォーカスレンズ212を駆動することなく、被写体に合焦する像面位置に対応する撮像画像の合成を行うことで、被写体について焦点の合った画像を得ることができる。また、被写体に合焦する像面位置が画像合成範囲内に存在しない場合には、フォーカスレンズ212の駆動を行い、駆動後のフォーカスレンズ位置で得られた受光信号に基づいて、被写体に合焦する像面位置の撮影画像の合成を行うことで、被写体について焦点の合った画像を得ることができる。このように、本実施形態では、被写体について焦点の合った画像を適切に得られることを可能としつつ、被写体に合焦する像面位置が画像合成範囲内に存在しない場合のみ、フォーカスレンズ212の駆動を行うことで、フォーカスレンズ212の駆動頻度を低減し、これにより、フォーカスレンズ212の駆動による消費電力や、レンズ駆動音の発生を低減することができる。
【0074】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0075】
例えば、本実施形態のステップS115では、デフォーカス量dfに応じたレンズ駆動量ΔWだけ、フォーカスレンズ212を駆動しているが、フォーカスレンズ212を駆動する位置はデフォーカス量dfに応じたレンズ位置に限られず、例えば、以下に説明するように、主要な被写体に合焦する像面位置が存在し、かつ、主要な被写体以外の他の被写体に合焦する像面位置も多く存在する画像合成範囲をとるレンズ位置に、フォーカスレンズ212を駆動する構成としてもよい。
【0076】
図12は、他の実施形態におけるフォーカスレンズ212のレンズ位置の決定方法を説明するための図である。なお、図12においては、図8と同様に、フォーカスレンズ212の現在のレンズ位置に対応する像面位置を像面位置a0で、主要な被写体に合焦する像面位置を像面位置b0で示している。例えば、図12に示す例では、撮影画面中の被写体領域以外の複数の領域についてもデフォーカス量dfが算出され、撮影画像中の各領域におけるデフォーカス量dfの分布が求められる。ここで、図12において、撮像画像中の各領域において算出されたデフォーカス量dfに対応する像面位置を、白抜きの丸印で示している。すなわち、図12中の白抜きの丸印は、撮影画像中の各領域において算出したデフォーカス量dfの分布を示している。図12に示す例では、このデフォーカス量dfの分布に基づいて、図12において像面位置c0に対応するレンズ位置が、主要な被写体に合焦する像面位置b0が存在し、かつ、主要な被写体以外の被写体に合焦する像面位置が最も多く存在する画像合成範囲をとるレンズ位置として求められる。そして、この像面位置c0に対応するレンズ位置に、フォーカスレンズ212が駆動される。図12に示すように、フォーカスレンズ位置を撮影画像中の各領域のデフォーカス量dfの分布に基づいて決定された像面位置c0に対応するレンズ位置とすることで、主要な被写体に合焦する像面位置b0に加えて、主要な被写体以外の他の被写体に合焦する像面位置が多く存在する画像合成範囲(図12中の画像合成範囲C)を得ることができる。よって、撮影画像中の各領域のデフォーカス量dfの分布に基づく像面位置c0に対応するレンズ位置に、フォーカスレンズ212を駆動することで、主要な被写体について焦点の合った撮影画像が得られることに加えて、これら主要な被写体以外の多数の被写体について焦点の合った撮影画像も得ることも可能となる。
【0077】
また、本実施形態のステップS115では、デフォーカス量dfに応じたレンズ駆動量ΔWだけ、フォーカスレンズ212を駆動しているが、デフォーカス量dfに応じた像面位置が画像合成範囲内となる任意のレンズ位置にフォーカスレンズ212を駆動する構成としてもよい。例えば、レンズ駆動速度が比較的速いフォーカスレンズ212では、デフォーカス量dfに対応するレンズ位置までフォーカスレンズ212を駆動させ、一方、レンズ駆動速度が比較的遅いフォーカスレンズ212では、デフォーカス量dfに対応する像面位置が画像合成範囲に存在し、かつ、現在のフォーカスレンズ212のレンズ位置からのレンズ駆動量ΔWが最も小さいレンズ位置までフォーカスレンズ212を駆動する構成としてもよい。
【0078】
加えて、本実施形態では、動画撮影中に撮像画像の合成を行う構成としているが、これに限定されるものではなく、例えば、動画撮影中には、受光信号の取得と、取得した受光信号の記憶のみ行い、動画撮影後に撮像画像を再生する際に、記憶された受光信号に基づいて、デフォーカス量dfを算出し、デフォーカス量dfに対応する像面位置における撮像画像を合成して、動画像として再生する構成としてもよい。
【0079】
また、本実施形態では、カメラ1において撮影画像の合成を行っているが、撮影画像の合成を行うのはカメラに限定されるものではなく、例えば、カメラ1において、受光信号を取得し、取得した受光信号を出力するとともに、カメラ1以外の他の装置、例えば、画像を再生するための画像再生装置において、カメラ1により出力された受光信号を取得し、取得した受光信号基づいて、デフォーカス量dfを算出し、デフォーカス量dfに対応する像面位置における再生画像の合成を行う構成としてもよい。さらに、カメラ1において、所定のフレームレートで撮像された複数の受光信号が出力され、カメラ1以外の他の装置において、所定のフレームレートで撮像された複数の受光信号が取り込まれた場合に、あるフレームに対応する受光信号に基づく画像合成範囲において、デフォーカス量dfに対応する像面位置が存在しないと判断した場合には、次のフレームに対応する受光信号に基づく画像合成範囲内に、デフォーカス量dfに対応する像面位置が存在しないか判断し、画像合成範囲内にデフォーカス量dfに対応する像面位置が存在すると判断された場合に、撮影画像の合成を行う構成としてもよい。
【0080】
なお、本実施形態のカメラ1は特に限定されず、例えば、デジタルビデオカメラ、一眼レフデジタルカメラ、レンズ一体型のデジタルカメラ、携帯電話用のカメラなどのその他の光学機器に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…カメラ
100…カメラボディ
110…撮像素子
111…マイクロレンズアレイ
111a…マイクロレンズ
112…光電変換素子アレイ
112a…光電変換素子
120…液晶モニタ
130…操作部
141…センサ制御部
142…デフォーカス演算部
143…レンズ駆動量演算部
150…カメラ制御部
160…メモリ
200…レンズ鏡筒
212…フォーカスレンズ
220…絞り
230…レンズ駆動モータ
240…絞り駆動部
250…レンズ制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置および画像再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、動画撮影が可能な撮像装置が知られている。このような撮像装置において、被写体について焦点の合った画像を連続的に撮影するため、動画撮影中に、フォーカスレンズを駆動して、焦点調節を繰り返し行う技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−287050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術は、焦点調節のために、動画撮影中にフォーカスレンズを常に駆動させる必要があり、フォーカスレンズを常に駆動することで、消費電力が増大し、またレンズ駆動音(異音)が多数発生し、このようなレンズ駆動音がノイズとして多数録音されてしまうという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、フォーカスレンズの駆動頻度を低減しつつ、被写体に焦点の合った画像を適切に得ることができる撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、以下の解決手段によって上記課題を解決する。なお、発明の実施形態を示す図面に対応する符号を付して説明するが、この符号は発明の理解を容易にするためだけのものであって発明を限定する趣旨ではない。
【0007】
[1]本発明に係る撮像装置は、複数のマイクロレンズ(111a)を二次元状に配列したマイクロレンズアレイ(111)と、前記複数のマイクロレンズに対して設けられた複数の光電変換素子(112a)とを有し、前記マイクロレンズを介して光学系からの光束を受光して得られる複数の受光信号を出力する受光手段(110)と、前記受光信号に基づいて、前記光学系による像面と前記受光手段の受光面とのずれ量を検出する検出手段(142)と、前記ずれ量に基づいて、前記光学系を焦点調節する焦点調節手段(150)と、前記ずれ量に対応する像面が、前記受光信号に基づく画像を生成可能な像面の範囲に含まれる場合に、前記複数の受光信号のうち前記ずれ量に応じて選択された受光信号に基づいて、前記ずれ量に対応する像面の画像を生成して、表示する制御手段(150)と、を備えることを特徴とする。
【0008】
[2]上記撮像装置に係る発明において、前記焦点調節手段(150)は、前記ずれ量に対応する像面が、前記画像を生成可能な像面の範囲に含まれない場合に、前記ずれ量に応じて、前記光学系を焦点調節するように構成することができる。
【0009】
[3]上記撮像装置に係る発明において、前記光学系による像のうち、特定の対象の像を認識する認識手段(150)をさらに備え、前記検出手段(150)は、前記認識手段によって認識された像に対する前記ずれ量を検出するように構成することができる。
【0010】
[4]上記撮像装置に係る発明において、前記画像を生成可能な像面の範囲は、前記マイクロレンズ(111a)の有効径、前記マイクロレンズの開放F値、および前記光電変換素子(112a)の大きさに基づくものとであるように構成することができる。
【0011】
[5]上記撮像装置に係る発明において、前記受光信号に基づいて動画を撮像する撮像手段をさらに備えるように構成することができる。
【0012】
[6]本発明に係る画像再生装置は、特定の焦点状態における光学系からの光束を受光して得られる複数の受光信号を入力する入力手段と、前記受光信号に基づいて、特定の焦点状態における前記光学系による像面位置を検出する検出手段と、前記像面位置が、前記受光信号に基づく画像を生成可能な像面の範囲に含まれる場合に、前記複数の受光信号のうち前記像面位置に応じて選択された受光信号に基づいて前記像面位置の画像を生成して表示する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
[7]上記画像再生装置に係る発明において、前記入力手段は、前記像面位置が、前記画像を生成可能な像面の範囲に含まれない場合に、前記前記特定の焦点状態とは異なる焦点状態における前記光学系からの光束を受光して得られた受光信号を入力するように構成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フォーカスレンズの駆動頻度を低減しつつ、被写体に焦点の合った画像を適切に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本実施形態に係るカメラ1の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示す撮像素子110を構成する画素配列の一例を示す平面図である。
【図3】図3は、図2に示すIII部分の拡大図である。
【図4】図4は、撮像素子110の構成を説明するための図である。
【図5】図5は、本実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。
【図6】図6は、ステップS110の被写体認識処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】図7は、マイクロレンズ111aを介して、光電変換素子アレイ112を構成する複数の光電変換素子112aのうち、特定の光電変換素子c1に入射する光束の一例を示す図である。
【図8】図8は、フォーカスレンズ212のレンズ位置と画像合成範囲との関係を説明するための図である。
【図9】図9は、被写体の存在位置に対応する像面が、特定の面(Z=0)であるときの画像合成方法の一例を説明するための図である。
【図10】図10は、被写体の存在位置に対応する像面が、特定の面(Z=h1)であるときの画像合成方法の一例を説明するための図である。
【図11】図11は、被写体の存在位置に対応する像面が、特定の面(Z=h2)であるときの画像合成方法の一例を説明するための図である。
【図12】図12は、他の実施形態におけるフォーカスレンズ212のレンズ位置の決定方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係るカメラ1を示すブロック図であり、本発明の撮像装置に関する構成以外のカメラの一般的構成については、その図示と説明を一部省略する。
【0017】
本実施形態のカメラ1は、図1に示すように、カメラボディ100とレンズ鏡筒200とを備え、静止画および動画の撮影が可能となっている。
【0018】
レンズ鏡筒200には、レンズ211,212,213、および絞り220を含む撮影光学系が内蔵されている。
【0019】
フォーカスレンズ212は、レンズ鏡筒200の光軸L1に沿って移動可能に設けられ、エンコーダ260によってその位置が検出されつつレンズ駆動モータ230によってその位置が調節される。
【0020】
このフォーカスレンズ212の光軸L1に沿う移動機構の具体的構成は特に限定されない。一例を挙げれば、レンズ鏡筒200に固定された固定筒に回転可能に回転筒を挿入し、この回転筒の内周面にヘリコイド溝(螺旋溝)を形成するとともに、フォーカスレンズ212を固定するレンズ枠の端部をヘリコイド溝に嵌合させる。そして、レンズ駆動モータ230によって回転筒を回転させることで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ212が光軸L1に沿って直進移動することになる。なお、レンズ鏡筒200にはフォーカスレンズ212以外のレンズ211,213が設けられているが、ここではフォーカスレンズ212を例に挙げて本実施形態を説明する。
【0021】
上述したようにレンズ鏡筒200に対して回転筒を回転させることによりレンズ枠に固定されたフォーカスレンズ212は光軸L1方向に直進移動するが、その駆動源としてのレンズ駆動モータ230がレンズ鏡筒200に設けられている。レンズ駆動モータ230と回転筒とは、たとえば複数の歯車からなる変速機で連結され、レンズ駆動モータ230の駆動軸を何れか一方向へ回転駆動すると所定のギヤ比で回転筒に伝達され、そして、回転筒が何れか一方向へ回転することで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ212が光軸L1の何れかの方向へ直進移動することになる。なお、レンズ駆動モータ230の駆動軸が逆方向に回転駆動すると、変速機を構成する複数の歯車も逆方向に回転し、フォーカスレンズ212は光軸L1の逆方向へ直進移動することになる。
【0022】
フォーカスレンズ212の位置はエンコーダ260によって検出される。既述したとおり、フォーカスレンズ212の光軸L1方向の位置は回転筒の回転角に相関するので、たとえばレンズ鏡筒200に対する回転筒の相対的な回転角を検出すれば求めることができる。
【0023】
本実施形態のエンコーダ260としては、回転筒の回転駆動に連結された回転円板の回転をフォトインタラプタなどの光センサで検出して、回転数に応じたパルス信号を出力するものや、固定筒と回転筒の何れか一方に設けられたフレキシブルプリント配線板の表面のエンコーダパターンに、何れか他方に設けられたブラシ接点を接触させ、回転筒の移動量(回転方向でも光軸方向の何れでもよい)に応じた接触位置の変化を検出回路で検出するものなどを用いることができる。
【0024】
フォーカスレンズ212は、上述した回転筒の回転によってカメラボディ100側の端部(至近端ともいう)から被写体側の端部(無限端ともいう)までの間を光軸L1方向に移動することができる。ちなみに、エンコーダ260で検出されたフォーカスレンズ212の現在位置情報は、レンズ制御部250を介して後述するカメラ制御部150へ送出される。そして、フォーカスレンズ212の位置情報に基づいて算出されたフォーカスレンズ212の駆動量が、カメラ制御部150からレンズ制御部250を介して送出され、これに基づいて、レンズ駆動モータ230は駆動する。
【0025】
絞り220は、撮影光学系を通過して、カメラボディ100に備えられた撮像素子110に至る光束の光量を制限するとともにボケ量を調整するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。絞り220による開口径の調節は、たとえば自動露出モードにおいて演算された適切な開口径が、カメラ制御部150からレンズ制御部250を介して送出されることにより行われる。また、カメラボディ100に設けられた操作部130を介したマニュアル操作により設定された開口径が、カメラ制御部150からレンズ制御部250に入力される。絞り220の開口径は図示しない絞り開口センサにより検出され、レンズ制御部250で現在の開口径が認識される。
【0026】
一方、カメラボディ100には、被写体からの光束を受光する撮像素子110が、光軸L1上であって、撮影光学系の予定焦点面に設けられている。撮像素子110は二次元CCDイメージセンサ、MOSセンサまたはCIDなどのデバイスから構成され、受光した光信号を受光信号に変換する。ここで、図2は撮像素子110を構成する画素配列の一例を示す平面図であり、図3は図2に示すIII部分の拡大図である。図2に示すように、撮像素子110は、複数のマイクロレンズ111aを二次元状に稠密に配列したマイクロレンズアレイ111を備えており、マイクロレンズアレイ111は、撮影光学系の予定焦点面となる位置またはその近傍に設定される。また、図3に示すように、撮像素子110は、各マイクロレンズ111aに対して、複数の光電変換素子112aから構成される各光電変換素子アレイ112を有している。なお、図3において、光電変換素子アレイ112を構成する光電変換素子112aの数(画素密度)は、縦方向および横方向ともに5個となっているが、これらの数は、特に限定されるものではない。
【0027】
さらに、図4は、撮像素子110の構成を説明するための図であり、図3と同様に、図2のIII部分を拡大した斜視図である。図4に示すように、光電変換素子アレイ112は、マイクロレンズアレイ111の後方に配置されおり、マイクロレンズアレイ111と光電変換素子アレイ112との間には、マイクロレンズ111aの焦点距離に対応する間隔が設けられている。被写体からの光束(光軸L1)は、まずマイクロレンズ111aへと入射され、マイクロレンズ111aを通過して光電変換素子112aで受光される。そして、各光電変換素子112aにより受光された光束に基づく受光信号は、センサ制御部141に送信される。なお、撮像素子110からセンサ制御部141に送信される受光信号は、センサ制御部141からカメラ制御部150に送信され、画像データに変換されてメモリ160に保存される他、デフォーカス演算部142によるデフォーカス演算に用いられる。
【0028】
センサ制御部141は、光電変換素子アレイ112を構成する各光電変換素子112aによる受光信号の受光の制御や、各光電変換素子112aにより受光する受光信号が適切なものとなるように、ゲインや蓄積時間を制御する。また、センサ制御部141は、撮像素子110から受光信号を受信し、受信した受光信号をカメラ制御部150およびデフォーカス演算部142に送信する。
【0029】
デフォーカス演算部142は、センサ制御部141から受光信号を受信し、受信した受光信号の一部を焦点検出用の信号として読み出す。本実施形態では、撮影画像中の全ての領域のうち、後述する撮影画像中の主要な被写体について焦点検出を行うため、デフォーカス演算部142は、撮影画像中の全ての領域ではなく、主要な被写体に対応する撮影画像中の領域(以下、被写体領域ともいう。)に相当するマイクロレンズ111aに対応する各光電変換素子112aから出力された受光信号を、焦点検出用の信号として読み出す。
【0030】
ここで、上述したようにマイクロレンズアレイ111(各マイクロレンズ111a)は、撮影光学系の予定焦点面となる位置またはその近傍に配置されており、このマイクロレンズアレイ111(各マイクロレンズ111a)の後ろ側に配置されている光電変換素子アレイ112(各光電変換素子112a)には、各マイクロレンズ111aによって撮影光学系の瞳像が結像される。そして、光電変換素子アレイ112を構成する各光電変換素子112aは、瞳の各部分に対応することから、マイクロレンズ111aごとに光電変換素子112aを選択してその出力を合成すれば、光電変換素子112aに対応する絞りで撮影された画像が得られることになる。したがって、本実施形態においては、デフォーカス演算部142により、瞳の各部分に対応する光電変換素子112aの出力を合成し、得られた画像を用いて、主要な被写体に対応する被写体領域について、瞳分割位相差検出方式による像ズレ量の演算を行うことで、被写体領域における像ズレ量をデフォーカス量dfとして求めることができる。そして、デフォーカス演算部142は、求めたデフォーカス量dfをカメラ制御部150およびレンズ駆動量演算部143に送信する。
【0031】
レンズ駆動量演算部143は、デフォーカス演算部142から送られてきたデフォーカス量dfに基づいて、フォーカスレンズ212の駆動量ΔWの演算を行い、これをカメラ制御部150へ出力する。
【0032】
液晶モニタ120は、カメラボディ100の背面に設けられ、撮像素子110により得られた受光信号に基づく画像を、液晶モニタ120が備えるディスプレイに表示する。
【0033】
操作部130は、シャッターレリーズボタン、および撮影者がカメラ1の各種動作モードを設定するための入力スイッチを備えており、操作部130により、静止画撮影モード/動画撮影モード、オートフォーカスモード/マニュアルフォーカスモードの切換が行えるようになっている。また、動画撮影モードが選択されている場合に、撮影者によりシャッターレリーズボタンが押されることで、動画撮影の開始動作および終了動作が行なわれるようになっている。
【0034】
カメラ制御部150は、マイクロプロセッサとメモリなどの周辺部品から構成され、撮像素子110から送信された受光信号を取得し、取得した受光信号に基づき、スルー画像の生成や、後述する画像合成方法より、撮影画像の合成を行う。さらに、カメラ制御部150は、被写体に合焦する像面位置の検出を行い、検出結果に基づいて、レンズ制御部250を介して、フォーカスレンズ212の駆動を制御する。なお、合成された撮像画像は、カメラ制御部150から液晶モニタ120に送信され、液晶モニタ120のディスプレイに表示されるとともに、メモリ160へと送信され、メモリ160に保存される。
【0035】
また、カメラ制御部150は、撮像素子110で得られた受光信号に基づいて、撮影シーンを認識し、認識されたシーンに基づいて、撮影画像中の主要な被写体の認識を行う。そして、カメラ制御部150は、撮影画像中の主要な被写体を認識した場合に、主要な被写体に対応する撮影画像中の領域を被写体領域として設定する。
【0036】
次に、本実施形態に係るカメラ1の動作例を説明する。以下においては、図5に示すフローチャートに基づいて、撮影者により操作部130を介して、動画撮影モードが選択されている場合における処理について説明する。図5は、本実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。
【0037】
まず、ステップS101では、センサ制御部141からの信号に基づき、撮像素子110により、撮影光学系からの光束の受光が行われ、スルー画像表示用の撮影が行われる。そして、撮像素子110から、各光電変換素子112aに応じた信号が、センサ制御部141に送信され、センサ制御部141に送信された信号が、カメラ制御部150により読み出される。
【0038】
ステップS102では、カメラ制御部150により、レンズ制御部250からレンズ情報が取得される。レンズ情報には、フォーカスレンズ212のレンズ位置、焦点距離、および開放F値などの情報が含まれる。続くステップS103では、カメラ制御部150により、撮影情報の取得が行われる。撮影情報は、撮影時の撮影条件などの情報であり、例えば、絞り値、ISO感度、ゲイン、ホワイトバランスなどの情報が含まれる。カメラ制御部150は、例えば、センサ制御部141からISO感度、ゲイン、ホワイトバランスなどの情報を取得し、また、カメラ制御部150が備えるメモリから絞り値を取得することができる。これらレンズ情報および撮影情報は、カメラ制御部150による受光信号の読み出し(ステップS101)、およびカメラ制御部150によるスルー画像の生成(ステップS104)に用いられる。
【0039】
ステップS104では、カメラ制御部150により、ステップS101で取得した受光信号に基づき、スルー画像が生成される。なお、カメラ制御部150は、ステップS104においてスルー画像を生成する際に、ステップS102,S103で取得したレンズ情報および撮影情報を用いることができる。例えば、絞り値が最大(開口サイズ最小)に設定されている場合、カメラ制御部150は、ステップS103において、最大(開口サイズ最小)に設定されている絞り値を取得し、ステップS104において、この絞り値に基づいて、焦点深度の深いパンフォーカス画像をスルー画像として生成する。
【0040】
続くステップS105では、生成されたスルー画像が、液晶モニタ120に送信され、液晶モニタ120の備えるディスプレイに表示される。なお、ステップS105においては、スルー画像を表示することに加えて、ステップS104で生成されたスルー画像をメモリ160に記憶する構成としてもよい。
【0041】
ステップS106では、カメラ制御部150により、動画撮影を開始するか否か判断される。例えば、動画撮影モードにおいて、撮影者により操作部130のシャッターレリーズボタンが押された場合、動画撮影を開始すると判断され、ステップS107に進む。一方、撮影者により操作部130のシャッターレリーズボタンが押されていない場合は、動画撮影を開始しないと判断され、ステップS101に戻り、現在のフォーカスレンズ212のレンズ位置で、再度、受光信号の取得が行われ(ステップS101)、取得された受光信号に基づいて、スルー画像の生成および表示が繰り返し行われる(ステップS104,S105)。
【0042】
ステップS107では、現在のフォーカスレンズ212のレンズ位置で、センサ制御部141の制御に基づき、撮像素子110による画像の撮影が行われる。そして、現在のフォーカスレンズ212のレンズ位置で得られた受光信号が、カメラ制御部150およびセンサ制御部141へと送信される。続くステップS108では、ステップS102と同様に、フォーカスレンズ212の現在のレンズ位置などのレンズ情報が取得され、さらに、ステップS109では、ステップS103と同様に、絞り値などの撮影情報が取得される。
【0043】
ステップS110では、カメラ制御部150により、被写体認識処理が行われる。ここで、図6は、本実施形態に係る被写体認識処理を示すフローチャートである。以下においては、図6を参照して、ステップS110の被写体認識処理について説明する。
【0044】
まず、ステップS201では、カメラ制御部150により、ステップS107で得られた受光信号に基づいて、パンフォーカス画像が生成される。例えば、各マイクロレンズ111aの中心に対応する光電変換素子112aの位置を、撮像光学系の光軸に対するマイクロレンズ111aの位置(像高)と、マイクロレンズ111aからフォーカスレンズ212の瞳までの距離とから求め、各マイクロレンズ111aの中心または中心周辺に対応する光電変換素子112aの受光信号を抽出する。このように抽出された受光信号は、光電変換素子112aに対応する絞りで撮像された信号であり、各マイクロレンズ111aの中心または中心周辺に対応する光電変換素子112aから抽出した受光信号を積算することで、パンフォーカス画像を生成することができる。
【0045】
ステップS202では、カメラ制御部150により、ステップS201で生成されたパンフォーカス画像に基づいて、撮影シーンが認識され、認識されたシーンに基づいて、撮影画像中の主要な被写体が認識される。例えば、カメラ制御部150は、テンプレートマッチングなどにより、人物の顔を検出した場合、人物を撮影しているシーンと認識し、その人物の顔部分を主要な被写体として認識する。なお、シーンを認識する方法は、特に限定されず、上述した顔検出の他、パターンマッチング、あるいは色抽出などの公知の方法で行ってもよい。
【0046】
ステップS203では、カメラ制御部150により、認識された被写体に対応する撮影画像中の領域が、被写体領域として検出される。例えば、カメラ制御部150は、ステップS202で人物の顔を主要な被写体と認識した場合に、この人物の顔部分に対応する撮影画像中の領域を被写体領域として検出する。これにより、ステップS110の被写体認識処理が終了する。
【0047】
続いて、図5に戻り、ステップS111では、デフォーカス演算部142により、センサ制御部141から、ステップS107で得られた受光信号が取得され、取得された受光信号の中から、焦点検出用の信号が読み出される。ここで、デフォーカス演算部142は、撮影画像中の主要な被写体について焦点検出を行うため、撮影画像中の全ての領域のうち、ステップS110で設定された被写体領域に対応する受光信号を、焦点検出用の信号として読み出す。そして、デフォーカス演算部142により、被写体領域に対応する焦点検出用の信号に基づいて、瞳分割位相差検出方式による像ズレ量の演算が行われ、デフォーカス量dfが算出される。
【0048】
ステップS112では、カメラ制御部150により、ステップS111で算出されたデフォーカス量dfに対応する像面位置、すなわち、デフォーカス量dfに応じてフォーカスレンズ212を駆動した場合の駆動後のフォーカスレンズ212のレンズ位置における像面位置が求められる。そして、カメラ制御部150により、デフォーカス量dfに対応する像面位置が、以下に説明する画像合成範囲内に存在するか否か判断される。
【0049】
ここで、図7は、受光信号に基づいて合成可能な像面の範囲である画像合成範囲を説明するための図であり、光電変換素子アレイ112を構成する複数の光電変換素子112aのうち特定の光電変換素子c1に対してマイクロレンズ111aを介して入射する光束を示す図である。なお、図7においては、光電変換素子アレイ112を構成する各光電変換素子112aをa1,b1,c1,d1,e1で示した。本実施形態に係る撮像装置によって得られる像の分解能は、画素の単位であるマイクロレンズ1つ分に相当する。そのため、分解能を保ったまま像を合成できる像面の範囲は、図7に示すように、光電変換素子112aのマイクロレンズ111aによる逆投影像の大きさが、マイクロレンズ111aの有効径Dとほぼ同じになるマイクロレンズ111aからの距離Lとすることができる。すなわち、マイクロレンズ111aの有効径D(配列ピッチP>D)と同じ大きさの範囲からの光がマイクロレンズ111aを通過して1つの光電変換素子c1に入射すれば、画素の単位であるマイクロレンズの大きさに相当する分解能を得ることができる。ここで、マイクロレンズ111aを通過して1つの光電変換素子c1に入射する光束の広がりが小さいほど距離L(画素の単位であるマイクロレンズの大きさに相当する分解能を得ることができる範囲)は大きくなる。光電変換素子c1に入射する光束の広がりは、フォーカスレンズ212の瞳上の所定の領域を通過した光束の広がりに対応する。すなわち、光電変換素子c1に入射する光束の広がりは、フォーカスレンズ212の開放F値に応じた値となる。そのため、画素の単位であるマイクロレンズの大きさに相当する分解能を得ることができる距離Lは、マイクロレンズ111aの有効径D、フォーカスレンズ212の開放F値、および光電変換素子112aの大きさに応じて決定される。本実施形態において、この距離Lを画像合成範囲し、この画像合成範囲内の像面位置であれば、撮影画像を合成することが可能となる。
【0050】
そのため、ステップS112では、カメラ制御部150は、この画像合成範囲内に、デフォーカス量dfに対応する像面位置が存在するか否かを判断し、この画像合成範囲内に、デフォーカス量dfに対応する像面位置が存在すると判断した場合には、フォーカスレンズ212の現在のレンズ位置で得られた受光信号に基づいて、デフォーカス量dfに対応する像面に焦点の合った撮影画像を合成することができるものと判断し、ステップS113に進む。一方、この画像合成範囲内に、デフォーカス量dfに対応する像面位置が存在しないと判断した場合には、フォーカスレンズ212の現在のレンズ位置で得られた受光信号に基づいて、デフォーカス量dfに対応する像面に焦点の合った撮影画像を合成することができないものと判断し、ステップS114に進む。
【0051】
ここで、図8は、フォーカスレンズ212のレンズ位置と画像合成範囲との関係を説明するための図であり、フォーカスレンズ212の現在のレンズ位置に対応する像面位置を像面位置a0で、デフォーカス量dfに対応する像面位置(主要な被写体に合焦する像面位置)を像面位置b0で示している。図8に示す例において、フォーカスレンズ212が像面位置a0に対応するレンズ位置にある場合、合成可能な像面の範囲は画像合成範囲Aとなる。すなわち、フォーカスレンズ212が像面位置a0に対応するレンズ位置にある場合、画像合成範囲A内の像面位置であれば、後述する画像合成方法に従って、撮影画像を合成することができる。そのため、デフォーカス量dfに対応する像面位置(主要な被写体に合焦する像面位置)が、画像合成範囲A内に存在する場合、主要な被写体について焦点の合った画像を合成することができるものと判断され、ステップS113に進む。一方、フォーカスレンズ212が像面位置a0に対応するレンズ位置にある場合に、デフォーカス量dfに対応する像面位置(主要な被写体に合焦する像面位置)が画像合成範囲A内に存在しない場合(例えば、デフォーカス量dfに対応する像面位置が図8中の像面位置b0に存在する場合)は、主要な被写体について焦点の合った画像を合成することができないと判断され、ステップS114に進む。
【0052】
ステップS113では、フォーカスレンズ212を駆動することなく、カメラ制御部150により、ステップS107で得られた受光信号に基づいて、デフォーカス量dfに対応する像面位置に応じた画像が撮影画像として合成される。以下において、デフォーカス量dfに対応する像面に焦点の合った画像を合成する方法について、図9〜図11を参照しながら説明する。図9〜図11は、本実施形態における画像合成方法の一例を説明するための図である。
【0053】
図9に示す場面例では、マイクロレンズアレイ111からの像面の高さ(マイクロレンズアレイ111から距離)をZとした場合に、像面の高さZ=0である位置に画像合成の対象となる被写体が存在する場合である。図9においては、撮像素子110の各光電変換素子アレイ112について、各光電変換素子アレイ112を構成する光電変換素子112aのうち、5つの光電変換素子112aに入射する各光線(マイクロレンズアレイ111を構成するマイクロレンズアレイ111aの中心を通る主光線のみ)を示した。また、図9中においては、各光電変換素子112aを識別するために、それぞれの光電変換素子112aを、a1〜e1、a2〜e2、a3〜e3、a4〜e4、a5〜e5で示すとともに、像面の高さZ=0における各座標X1、X2、X3、X4、X5のうち、X3からの射出光束(光線r1、r2、r3、r4、r5)を実線で示し、それ以外のX1、X2、X4、X5からの射出光束を点線で示した(以下、図10、図11においても同様。)。
【0054】
図9に示すように、像面の高さZ=0における座標X3からの射出光束(光線r1、r2、r3、r4、r5)は、各光電変換素子a3、b3、c3、d3、e3、にそれぞれ入射する。そのため、像面の高さZ=0における座標X3における画素値L(Z=0、X3)は、これら光電変換素子a3、b3、c3、d3、e3における出力を合成することにより求めることができる(下記式(1)参照)。
L(Z=0、X3)=Out(a3)+Out(b3)+Out(c3)+Out(d3)+Out(e3) …(1)
【0055】
また、同様に、座標X3に隣接する座標X4における画素値L(Z=0、X4)は、下記式(2)に従って求めることができる。
L(Z=0、X4)=Out(a4)+Out(b4)+Out(c4)+Out(d4)+Out(e4) …(2)
【0056】
したがって、座標Xiにおける画素値L(Z=0、Xi)は、下記式(3)に従って、それぞれ求めることができる。
L(Z=0、Xi)=Out(ai)+Out(bi)+Out(ci)+Out(di)+Out(ei) …(3)
【0057】
なお、上記式(3)は、撮影者による指定絞り値が開放(開口サイズ最大)であったときに採用される式である。そのため、仮に、撮影者による指定絞り値が最大(開口サイズ最小)であったときには、光線r1、r2、r3、r4、r5からなる光束を、光線r3のみからなる光束に制限すればよいので、上記式(3)に代えて下記式(4)を採用すればよい(後述する図10、図11に示す場合においても同様。)。
L(Z=0、Xi)=Out(ci) …(4)
【0058】
また、撮影者による指定絞り値が中間値(開口サイズ中間)であったときには、光線r1、r2、r3、r4、r5からなる光束を、光線r2、r3、r4のみからなる光束に制限すればよいので、上記式(3)に代えて下記式(5)を採用すればよい(後述する図10、図11に示す場合においても同様。)。
L(Z=0、Xi)=Out(bi)+Out(ci)+Out(di) …(5)
【0059】
なお、上記説明においては、或る1方向に並ぶ5つの光電変換素子a3、b3、c3、d3、e3のみに着目し、それら5つの光電変換素子の出力値の和をとったが、実際は、2方向に並ぶ25個の光電変換素子の出力値の和をとる必要がある(後述する図10、図11に示す場合においても同様。)。
【0060】
次いで、図10に示すように、像面の高さZ=h1である位置に画像合成の対象となる被写体が存在する場合について説明する。図10に示すように、像面の高さZ=h1における座標X3からの射出光束(光線r1、r2、r3、r4、r5)は、図9の場合と異なり、各光電変換素子a1、b2、c3、d4、e5にそれぞれ入射する。そのため、像面の高さZ=h1における座標X3における画素値L(Z=h1、X3)は、これら光電変換素子a1、b2、c3、d4、e5における出力を合成することにより求めることができる(下記式(6)参照)。
L(Z=h1、X3)=Out(a1)+Out(b2)+Out(c3)+Out(d4)+Out(e5) …(6)
【0061】
さらに、図11に示すように、像面の高さZ=h2である位置に合成対象となる被写体が存在する場合について説明する。図11に示すように、像面の高さZ=h2における座標X3からの射出光束(光線r1、r2、r3、r4、r5)は、図9、図10の場合と異なり、複数の光電変換素子にまたがって入射することとなる。具体的には、図11に示すように、光線r1は光電変換素子a1、b1に、光線r2は光電変換素子b2、c2に、光線r4は光電変換素子c4、d4に、光線r5は光電変換素子d5、e5に、それぞれまたがって入射する。なお、光線r3は、図11に示すように光電変換素子c3にのみ入射する。そのため、光線r1に着目すると、光線r1の光量は、光電変換素子a1の出力値Out(a1)と、光電変換素子b1の出力値Out(b1)との重み付け和によって求めることができる(下記式(7)参照)。ここで、下記式(7)において、w11、w12は、重み係数であり、マイクロレンズアレイ111からの像面の高さZに応じて決まる係数である。
Out(a1)×w11+Out(b1)×w12 …(7)
【0062】
そして、光線r2、光線r4、光線r5の光量も、同様に重み付け和によって求めることができるため、像面の高さZ=h2における座標X3における画素値L(Z=h2、X3)は、下記式(8)に従って求めることができる。なお、下記式(8)において、w21、w22、w41、w42、w51、w52は、重み係数であり、マイクロレンズアレイ111からの像面の高さZに応じて決まる係数である。
L(Z=h2、X3)=〔Out(a1)×w11+Out(b1)×w12〕+〔Out(b2)×w21+Out(c2)×w22〕+Out(c3)+〔Out(c4)×w41+Out(d4)×w42〕+〔Out(d5)×w51+Out(e5)×w52〕 …(8)
【0063】
このように、画像合成の対象となる被写体が存在する像面位置Zに応じて、被写体からの光束の入射する光電変換素子112a、および画像合成に必要な重み付け係数の値が決まってくることとなる。なお、各像面位置Zに対応する、被写体からの光束の入射する光電変換素子112a、および画像合成に必要な重み付け係数の値は、たとえば、カメラ制御部150に備えるメモリなどに予め記憶させておき、これを利用するような構成とすればよい。
【0064】
以上のように、カメラ制御部150は、複数の光電変換素子112aから得られた受光信号に基づいて、デフォーカス量dfに対応する像面(像面位置Z)に焦点の合った撮影画像を合成することができる。そこで、ステップS113において、カメラ制御部150は、上述した画像合成方法に従って、デフォーカス量dfに対応する像面(像面位置Z)に焦点の合った撮影画像を合成する。
【0065】
一方、ステップS112において、画像合成範囲内に、デフォーカス量dfに対応する像面位置が存在しないと判断された場合は、ステップS114に進む。ステップS114では、レンズ駆動量演算部143により、デフォーカス演算部142から送信されたデフォーカス量dfの取得が行われ、取得されたデフォーカス量dfに基づいて、フォーカスレンズ212のレンズ駆動量ΔW(レンズ目標位置に相当する)の演算が行われる。そして、レンズ駆動量ΔWが、レンズ駆動量演算部143からカメラ制御部150に出力される。
【0066】
ステップS115では、レンズ駆動量演算部143により決定されたレンズ駆動量ΔWが、カメラ制御部150からレンズ制御部250に送信される。そして、レンズ制御部250は、レンズ駆動量ΔWに応じて、レンズ駆動モータ230を駆動させ、これにより、フォーカスレンズ212を駆動させる。
【0067】
ステップS116では、駆動後のフォーカスレンズ212のレンズ位置で、センサ制御部141の制御に基づき、撮像素子110による画像の撮影が行われる。そして、駆動後のフォーカスレンズ212のレンズ位置で得られた受光信号が、カメラ制御部150へと送信される。続くステップS117では、ステップS102と同様に、駆動後のフォーカスレンズ212のレンズ位置などのレンズ情報が取得され、さらに、ステップS118では、ステップS103と同様に、絞り値などの撮影情報が取得される。
【0068】
そして、ステップS119では、駆動後のフォーカスレンズ212のレンズ位置で得られた受光信号に基づいて、ステップS113と同様の画像合成方法に従って、ステップS111で演算されたデフォーカス量dfに対応する像面位置、すなわち、主要な被写体に合焦する像面位置の画像が、撮影画像として合成される。
【0069】
例えば、図8に示す例において、フォーカスレンズ212が像面位置a0に対応するレンズ位置にあり、かつ、主要な被写体に合焦する像面位置(デフォーカス量dfに対応する像面位置)が画像合成範囲A内に存在しない場合(ステップS112=NO)、例えば、主要な被写体に合焦する像面位置(デフォーカス量dfに対応する像面位置)が像面位置b0に存在する場合には、次のように動作することとなる。すなわち、まず、主要な被写体に合焦する像面位置b0(デフォーカス量dfに対応する像面位置b0)に対応するレンズ位置までフォーカスレンズ212が駆動され(ステップS115)、駆動後のレンズ位置で、画像の撮影が行なわれ(ステップS116)、その結果得られた受光信号に基づいて、主要な被写体に合焦する像面(像面位置b0)に焦点の合った撮影画像の合成が行なわれる(ステップS119)。このように本実施形態においては、主要な被写体に合焦する像面位置が画像合成範囲Aにないと判断された場合には(ステップS112=NO)、フォーカスレンズ212を像面位置b0に対応するレンズ位置まで駆動し、駆動後のレンズ位置で、画像の撮影を行なうことにより、撮影の結果得られた受光信号に基づく画像合成範囲を、図8に示す画像合成範囲Bとすることができ、これにより、像面位置b0を含む画像合成範囲Bの任意の像面位置に対応する画像の合成が可能となる。
【0070】
ステップS120では、ステップS119で合成された撮影画像が、液晶モニタ120のディスプレイに表示されるとともに、メモリ160に記録される。これにより、撮影者は、主要な被写体について焦点の合った撮影画像を得ることができる。
【0071】
そして、ステップS121では、カメラ制御部150により、動画撮影を終了するか判断される。例えば、動画撮影中に、撮影者により操作部130のシャッターレリーズボタンが押された場合、動画撮影を終了すると判断され、この処理が終了される。一方、動画撮影中に、操作部130のシャッターレリーズボタンが押されていない場合、動画撮影を継続すると判断され、ステップS106に戻り、画像の撮影および撮影画像の合成が繰り返し行われる。
【0072】
このように、本実施形態においては、例えば、動画撮影モードで動画撮影を行っている間、画像合成範囲内に被写体に合焦する像面位置が存在するか否かを判断し、画像合成範囲内に被写体に合焦する像面位置が存在する場合には(ステップS112=YES)、フォーカスレンズ212を駆動させることなく、被写体に合焦する像面位置において撮影画像の合成を行う(ステップS113)。一方、被写体に合焦する像面位置が画像合成範囲内に存在しない場合には、デフォーカス量dfに応じてフォーカスレンズ212を駆動させ(ステップS114)、駆動後のフォーカスレンズ位置で得られた受光信号に基づいて、被写体に合焦する像面位置の撮影画像の合成を行う(ステップS114)。そして、これらの処理を動画撮影中繰り返し行う。これにより、本実施形態では、画像合成範囲内に被写体に合焦する像面位置が存在する場合であっても、また、被写体までの撮影距離が変化し、被写体に合焦する像面位置が画像合成範囲内から外れる場合であっても、被写体に対応する像面に焦点の合った撮像画像の合成を行うことができるため、被写体について焦点の合った撮影画像を連続的に得ることができる。
【0073】
以上のように、本実施形態では、画像合成範囲内に被写体に合焦する像面位置が存在する場合には、フォーカスレンズ212を駆動することなく、被写体に合焦する像面位置に対応する撮像画像の合成を行うことで、被写体について焦点の合った画像を得ることができる。また、被写体に合焦する像面位置が画像合成範囲内に存在しない場合には、フォーカスレンズ212の駆動を行い、駆動後のフォーカスレンズ位置で得られた受光信号に基づいて、被写体に合焦する像面位置の撮影画像の合成を行うことで、被写体について焦点の合った画像を得ることができる。このように、本実施形態では、被写体について焦点の合った画像を適切に得られることを可能としつつ、被写体に合焦する像面位置が画像合成範囲内に存在しない場合のみ、フォーカスレンズ212の駆動を行うことで、フォーカスレンズ212の駆動頻度を低減し、これにより、フォーカスレンズ212の駆動による消費電力や、レンズ駆動音の発生を低減することができる。
【0074】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0075】
例えば、本実施形態のステップS115では、デフォーカス量dfに応じたレンズ駆動量ΔWだけ、フォーカスレンズ212を駆動しているが、フォーカスレンズ212を駆動する位置はデフォーカス量dfに応じたレンズ位置に限られず、例えば、以下に説明するように、主要な被写体に合焦する像面位置が存在し、かつ、主要な被写体以外の他の被写体に合焦する像面位置も多く存在する画像合成範囲をとるレンズ位置に、フォーカスレンズ212を駆動する構成としてもよい。
【0076】
図12は、他の実施形態におけるフォーカスレンズ212のレンズ位置の決定方法を説明するための図である。なお、図12においては、図8と同様に、フォーカスレンズ212の現在のレンズ位置に対応する像面位置を像面位置a0で、主要な被写体に合焦する像面位置を像面位置b0で示している。例えば、図12に示す例では、撮影画面中の被写体領域以外の複数の領域についてもデフォーカス量dfが算出され、撮影画像中の各領域におけるデフォーカス量dfの分布が求められる。ここで、図12において、撮像画像中の各領域において算出されたデフォーカス量dfに対応する像面位置を、白抜きの丸印で示している。すなわち、図12中の白抜きの丸印は、撮影画像中の各領域において算出したデフォーカス量dfの分布を示している。図12に示す例では、このデフォーカス量dfの分布に基づいて、図12において像面位置c0に対応するレンズ位置が、主要な被写体に合焦する像面位置b0が存在し、かつ、主要な被写体以外の被写体に合焦する像面位置が最も多く存在する画像合成範囲をとるレンズ位置として求められる。そして、この像面位置c0に対応するレンズ位置に、フォーカスレンズ212が駆動される。図12に示すように、フォーカスレンズ位置を撮影画像中の各領域のデフォーカス量dfの分布に基づいて決定された像面位置c0に対応するレンズ位置とすることで、主要な被写体に合焦する像面位置b0に加えて、主要な被写体以外の他の被写体に合焦する像面位置が多く存在する画像合成範囲(図12中の画像合成範囲C)を得ることができる。よって、撮影画像中の各領域のデフォーカス量dfの分布に基づく像面位置c0に対応するレンズ位置に、フォーカスレンズ212を駆動することで、主要な被写体について焦点の合った撮影画像が得られることに加えて、これら主要な被写体以外の多数の被写体について焦点の合った撮影画像も得ることも可能となる。
【0077】
また、本実施形態のステップS115では、デフォーカス量dfに応じたレンズ駆動量ΔWだけ、フォーカスレンズ212を駆動しているが、デフォーカス量dfに応じた像面位置が画像合成範囲内となる任意のレンズ位置にフォーカスレンズ212を駆動する構成としてもよい。例えば、レンズ駆動速度が比較的速いフォーカスレンズ212では、デフォーカス量dfに対応するレンズ位置までフォーカスレンズ212を駆動させ、一方、レンズ駆動速度が比較的遅いフォーカスレンズ212では、デフォーカス量dfに対応する像面位置が画像合成範囲に存在し、かつ、現在のフォーカスレンズ212のレンズ位置からのレンズ駆動量ΔWが最も小さいレンズ位置までフォーカスレンズ212を駆動する構成としてもよい。
【0078】
加えて、本実施形態では、動画撮影中に撮像画像の合成を行う構成としているが、これに限定されるものではなく、例えば、動画撮影中には、受光信号の取得と、取得した受光信号の記憶のみ行い、動画撮影後に撮像画像を再生する際に、記憶された受光信号に基づいて、デフォーカス量dfを算出し、デフォーカス量dfに対応する像面位置における撮像画像を合成して、動画像として再生する構成としてもよい。
【0079】
また、本実施形態では、カメラ1において撮影画像の合成を行っているが、撮影画像の合成を行うのはカメラに限定されるものではなく、例えば、カメラ1において、受光信号を取得し、取得した受光信号を出力するとともに、カメラ1以外の他の装置、例えば、画像を再生するための画像再生装置において、カメラ1により出力された受光信号を取得し、取得した受光信号基づいて、デフォーカス量dfを算出し、デフォーカス量dfに対応する像面位置における再生画像の合成を行う構成としてもよい。さらに、カメラ1において、所定のフレームレートで撮像された複数の受光信号が出力され、カメラ1以外の他の装置において、所定のフレームレートで撮像された複数の受光信号が取り込まれた場合に、あるフレームに対応する受光信号に基づく画像合成範囲において、デフォーカス量dfに対応する像面位置が存在しないと判断した場合には、次のフレームに対応する受光信号に基づく画像合成範囲内に、デフォーカス量dfに対応する像面位置が存在しないか判断し、画像合成範囲内にデフォーカス量dfに対応する像面位置が存在すると判断された場合に、撮影画像の合成を行う構成としてもよい。
【0080】
なお、本実施形態のカメラ1は特に限定されず、例えば、デジタルビデオカメラ、一眼レフデジタルカメラ、レンズ一体型のデジタルカメラ、携帯電話用のカメラなどのその他の光学機器に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…カメラ
100…カメラボディ
110…撮像素子
111…マイクロレンズアレイ
111a…マイクロレンズ
112…光電変換素子アレイ
112a…光電変換素子
120…液晶モニタ
130…操作部
141…センサ制御部
142…デフォーカス演算部
143…レンズ駆動量演算部
150…カメラ制御部
160…メモリ
200…レンズ鏡筒
212…フォーカスレンズ
220…絞り
230…レンズ駆動モータ
240…絞り駆動部
250…レンズ制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のマイクロレンズを二次元状に配列したマイクロレンズアレイと、前記複数のマイクロレンズに対して設けられた複数の光電変換素子とを有し、前記マイクロレンズを介して光学系からの光束を受光して得られる複数の受光信号を出力する受光手段と、
前記受光信号に基づいて、前記光学系による像面と前記受光手段の受光面とのずれ量を検出する検出手段と、
前記ずれ量に基づいて、前記光学系を焦点調節する焦点調節手段と、
前記ずれ量に対応する像面が、前記受光信号に基づく画像を生成可能な像面の範囲に含まれる場合に、前記複数の受光信号のうち前記ずれ量に応じて選択された受光信号に基づいて、前記ずれ量に対応する像面の画像を生成して、表示する制御手段と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記焦点調節手段は、前記ずれ量に対応する像面が、前記画像を生成可能な像面の範囲に含まれない場合に、前記ずれ量に応じて、前記光学系を焦点調節することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像装置において、
前記光学系による像のうち、特定の対象の像を認識する認識手段をさらに備え、
前記検出手段は、前記認識手段によって認識された像に対する前記ずれ量を検出することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記画像を生成可能な像面の範囲は、前記マイクロレンズの有効径、前記マイクロレンズの開放F値、および前記光電変換素子の大きさに基づくものであることを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記受光信号に基づいて動画を撮像する撮像手段をさらに備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
特定の焦点状態における光学系からの光束を受光して得られる複数の受光信号を入力する入力手段と、
前記受光信号に基づいて、特定の焦点状態における前記光学系による像面位置を検出する検出手段と、
前記像面位置が、前記受光信号に基づく画像を生成可能な像面の範囲に含まれる場合に、前記複数の受光信号のうち前記像面位置に応じて選択された受光信号に基づいて前記像面位置の画像を生成して表示する制御手段と、を備えることを特徴とする画像再生装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像再生装置において、
前記入力手段は、前記像面位置が、前記画像を生成可能な像面の範囲に含まれない場合に、前記特定の焦点状態とは異なる焦点状態における前記光学系からの光束を受光して得られた受光信号を入力することを特徴とする画像再生装置。
【請求項1】
複数のマイクロレンズを二次元状に配列したマイクロレンズアレイと、前記複数のマイクロレンズに対して設けられた複数の光電変換素子とを有し、前記マイクロレンズを介して光学系からの光束を受光して得られる複数の受光信号を出力する受光手段と、
前記受光信号に基づいて、前記光学系による像面と前記受光手段の受光面とのずれ量を検出する検出手段と、
前記ずれ量に基づいて、前記光学系を焦点調節する焦点調節手段と、
前記ずれ量に対応する像面が、前記受光信号に基づく画像を生成可能な像面の範囲に含まれる場合に、前記複数の受光信号のうち前記ずれ量に応じて選択された受光信号に基づいて、前記ずれ量に対応する像面の画像を生成して、表示する制御手段と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記焦点調節手段は、前記ずれ量に対応する像面が、前記画像を生成可能な像面の範囲に含まれない場合に、前記ずれ量に応じて、前記光学系を焦点調節することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像装置において、
前記光学系による像のうち、特定の対象の像を認識する認識手段をさらに備え、
前記検出手段は、前記認識手段によって認識された像に対する前記ずれ量を検出することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記画像を生成可能な像面の範囲は、前記マイクロレンズの有効径、前記マイクロレンズの開放F値、および前記光電変換素子の大きさに基づくものであることを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記受光信号に基づいて動画を撮像する撮像手段をさらに備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
特定の焦点状態における光学系からの光束を受光して得られる複数の受光信号を入力する入力手段と、
前記受光信号に基づいて、特定の焦点状態における前記光学系による像面位置を検出する検出手段と、
前記像面位置が、前記受光信号に基づく画像を生成可能な像面の範囲に含まれる場合に、前記複数の受光信号のうち前記像面位置に応じて選択された受光信号に基づいて前記像面位置の画像を生成して表示する制御手段と、を備えることを特徴とする画像再生装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像再生装置において、
前記入力手段は、前記像面位置が、前記画像を生成可能な像面の範囲に含まれない場合に、前記特定の焦点状態とは異なる焦点状態における前記光学系からの光束を受光して得られた受光信号を入力することを特徴とする画像再生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−133714(P2011−133714A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293944(P2009−293944)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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