撮像装置及びプログラム
【課題】様々な方向から入射する有害光を効果的に遮光することで、撮像画像上に出現するフレア等を低減するための技術を提供する。
【解決手段】レンズ10と、レンズ10から投射される被写体の像を受け、画像信号に変換する撮像部11と、被写体とレンズ10との間に介在し、撮像部11による撮像範囲の任意部分を遮光し、かつ、その遮光区域を変更可能な遮光部12と、遮光部12を介して撮像範囲上の遮光区域を変化させ、撮像部11に遮光区域の異なる複数の画像フレームを撮像させる遮光制御部13を備える。遮光部12による遮光区域を様々に変化させて画像を撮像することで、過剰光が撮像範囲に入射する位置に遮光区域が重なったときに過剰光を遮光した状態で撮像した画像を得ることができる。過剰光を遮光した状態で撮像された画像においては、画像上に出現するフレア等を低減することができ、本来の被写体の視認性が向上する。
【解決手段】レンズ10と、レンズ10から投射される被写体の像を受け、画像信号に変換する撮像部11と、被写体とレンズ10との間に介在し、撮像部11による撮像範囲の任意部分を遮光し、かつ、その遮光区域を変更可能な遮光部12と、遮光部12を介して撮像範囲上の遮光区域を変化させ、撮像部11に遮光区域の異なる複数の画像フレームを撮像させる遮光制御部13を備える。遮光部12による遮光区域を様々に変化させて画像を撮像することで、過剰光が撮像範囲に入射する位置に遮光区域が重なったときに過剰光を遮光した状態で撮像した画像を得ることができる。過剰光を遮光した状態で撮像された画像においては、画像上に出現するフレア等を低減することができ、本来の被写体の視認性が向上する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像信号を出力する撮像装置において、撮像画像に出現するフレアやゴースト等を低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に撮像装置を搭載し、その撮像装置によって撮像された車両周辺の画像を表示装置に表示させることにより、運転者による視認を支援するシステムが実現している。この種のシステムに用いられる撮像装置は、レンズを通した映像を撮像素子に結像させ、それを電気信号である画像信号として出力する。また、このような撮像装置は、車載用に限らず、静止画像を撮影するデジタルスチールカメラや動画像を撮影するデジタルビデオカメラ等にも用いられている。
【0003】
ところで、上述のような撮像装置によって画像を撮像する際、太陽や対向車両のヘッドライトといった極めて明るい光源がレンズに向けられていると、レンズから結像面へ至る光学系における内面反射によって生じる迷光の影響により、撮像された画像にフレアやゴースト(以下、単に「フレア等」とも表記する)といった光の像が出現することが知られている。このようなフレア等は、一種の映像効果として肯定的に用いられる場合もある一方で、本来の被写体の視認性を低下させるものであるため、撮像された画像から正確な情報を得る必要がある場合には、望ましくないものである。例えば、車載用の撮像装置等の場合、画像上にフレア等が出現することで歩行者や障害物といった運転者が注意すべき被写体の視認性が低下するおそれがある。すなわち、撮像装置の用途によっては、フレア等を低減することで本来の被写体の視認性を向上させることが重要な課題となる。
【0004】
一方、特許文献1には、レンズの絞り近傍に配置されたレンズ郡の下側にマスク部材を貼り付けることで、撮影画角外の上方から入射した有害光を遮光し、フレア等の発生を防止する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平8−234072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されている技術は、撮影画角外の上方から入射した有害光を遮光する位置にマスク部材を設置することでフレア等の発生を防止するものであり、撮影画角外の上方以外から入射してくる有害光を想定したものではない。しかしながら、フレア等の原因となる有害光は、必ずしも撮影画角外の上方のみから入射してくるとは限らず、例えは、車載用の撮像装置における対向車両のヘッドライトの光や、日の出又は日没付近における低い角度からの太陽光のように、撮像範囲に対してほぼ水平方向に入射してくるものもある。そのため、特許文献1に記載の従来技術のように、上方から入射してくる有害光のみを遮光しただけでは、様々な方向から入射してくる有害光に対してフレア等を十分に防止することはできない。また、有害光を遮光するためのマスク部材の位置や大きさが固定された状態では、有害光の規模に対して遮光区域が過大、あるいは過小となる場合もある。
【0006】
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、様々な方向から入射する有害光を効果的に遮光することで、撮像画像上に出現するフレア等を低減するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の撮像装置は、レンズと、レンズから投射される被写体の像を受け、これを画像信号に変換することで画像を撮像する撮像手段と、被写体とレンズとの間に介在し、撮像手段による撮像範囲の任意部分を遮光し、かつ、その遮光区域を変更可能に構成された遮光手段と、遮光手段を介して撮像手段による撮像範囲上の遮光区域を変化させ、撮像手段に遮光区域のそれぞれ異なる複数の画像フレームを撮像させる遮光制御手段と、遮光制御手段による制御に基づいて撮像された画像フレームの画像信号を外部に出力する画像出力手段とを備えることを特徴とする。なお、遮光手段が形成する遮光区域は、レンズに入射する光を完全に遮断するもの(すなわち、透過率0)であってもよいし、光を完全に遮断しないものであっても透過率が十分に低いものであればよい。
【0008】
撮像画像上のフレア等は、太陽や車両のヘッドライトといった光源からの過剰光がレンズに入射することで生じる。そして、このような過剰光は、撮像範囲に対して常に一定の方向から入射してくるとは限らず、光源の位置によって様々な方向から入射してくる。
【0009】
したがって、本発明の撮像装置によれば、遮光区域の位置や大きさを変化可能に構成することで、単一方向だけでなく様々な方向から入射する過剰光を遮光できるようになる。そして、遮光区域を様々に変化させながら複数の画像を撮像することで、過剰光が撮像範囲に入射する位置に遮光区域が重なったときに過剰光を遮光した状態で撮像した画像を得ることができる。このように、過剰光を遮光した状態で撮像することで、撮像された画像上に出現するフレア等を低減することができ、本来の被写体の視認性が向上する。
【0010】
つぎに、請求項2に記載の撮像装置は、以下のような特徴を有する。遮光手段は、撮像手段の撮像範囲における所定部分を遮光する第1の遮光パターンと、第1の遮光パターンによる遮光区域の配置と互い違いとなる範囲を遮光する第2の遮光パターンとをそれぞれ形成可能に構成されている。そして、遮光制御手段は、第1の遮光パターンで撮像範囲の一部を遮光した状態で撮像する第1の画像フレームと、第2の遮光パターンで撮像範囲の一部を遮光した状態で撮像する第2の画像フレームとを撮像手段に撮像させる。さらに、画像合成手段は、第1の画像フレーム及び第2の画像フレームの両画像フレームから、それぞれの遮光パターンによる遮光区域以外の撮像範囲に相当する部分画像をそれぞれ抽出し、この抽出した部分画像を対応する位置に組み合わせて合成画像フレームを生成する。そして、画像出力手段は、画像合成手段により生成された合成画像フレームを出力する。
【0011】
遮光区域の配置を互い違いにした2つの遮光パターンでそれぞれ画像フレームを撮像することで、2つ画像フレームのうち、少なくとも何れか一方で過剰光源を遮光した状態の画像を撮像できるはずである。すなわち、少なくとも一方の画像フレーム、あるいは両方の画像フレームにおいてフレア等を低減することができる。しかしながら、このようにして撮像された各画像フレームでは、遮光された部分の映像が欠落することになる。そこで、遮光区域を互い違いにして撮像された2つの画像フレーム間で、それぞれ遮光されていない部分の画像同士を対応する位置に組み合わせて1つの合成画像フレームを合成することで、それぞれの画像フレームにおける映像の欠落部分を互いに補完することができる。このようにすることで、フレア等を低減し、かつ遮光区域による画像の欠落のない合成画像フレームを得ることができ、被写体の視認性が向上する。
【0012】
つぎに、請求項3に記載の撮像装置は以下のような特徴を有する。すなわち、遮光制御手段は、撮像手段から出力される画像信号に基づいて当該画像上において過剰輝度の部分を検出し、撮像手段の撮像範囲における当該過剰輝度部分の位置に対応する部分を遮光させるように遮光手段の遮光区域を制御する。
【0013】
このように構成することで、撮像範囲に入射してくる過剰光の方向や規模に応じて、その過剰光を遮光する位置に遮光区域を形成できるので、フレア等を効率的に低減できる。また、入射してくる過剰光の光束の大きさに応じて遮光区域の大きさを変えることができ、過剰光の規模に対して遮光区域が過大あるいは過小になることがなく、適切な範囲を遮光できる。
【0014】
つぎに、請求項4に記載の撮像装置は以下のような特徴を有する。すなわち、遮光制御手段は、撮像範囲全域を遮光選択範囲の初期設定とし、下記の(1)〜(3)の処理を順次繰り返すことで遮光区域を段階的に絞り込む。
(1)遮光選択範囲を二等分した各範囲のうちの一方に該当する範囲を遮光した状態で撮像する第1の画像フレームと、他方に該当する範囲を遮光した状態で撮像する第2の画像フレームとを撮像手段に撮像させる。
(2)当該撮像された第1の画像フレームと第2の画像フレームと間で画像の明るさを比較する。
(3)上記(2)における比較の結果に基づき、何れか暗い方の画像フレームに該当する遮光区域を新たな遮光選択範囲として設定する。
【0015】
そして、画像出力手段は、第1の画像フレーム及び第2の画像フレームのうち、遮光制御手段による上記(2)における比較結果から、何れか暗い方の画像フレームの画像信号を外部に出力する。
【0016】
フレア等の原因となる過剰光源を含む範囲を二等分し、この二等分した各範囲を個々に遮光した状態で撮像した2つの画像フレームでは、少なくとも何れか一方の画像フレームにおける遮光区域によって過剰光源が遮光されることになる。そして、このようにして撮像された2つの画像フレーム同士の明るさを比較した場合、過剰光源が遮光されていない状態で撮像された画像フレームの方が全体的に明るくなり、過剰光源が遮光された状態で撮像された画像フレームの方が全体的に暗くなる。そこで、このようにして撮像された2つの画像フレームのうち、暗いほうの画像フレームにおける遮光区域を更に二等分し、同じように二等分した各範囲を個々に遮光した状態で撮像した2つの画像フレーム同士の明るさを比較する、といった処理を繰り返すことで、撮像範囲中の過剰光源を遮光したまま、遮光区域を徐々に絞り込むことができるのである。このようにすることで、遮光区域が過大になるのを防ぎ、被写体の視認性をより向上させることができる。
【0017】
ところで、遮光手段による遮光区域の変更を行うタイミングについては、例えば、請求項5に記載のように、撮像手段が動画像を撮像する際のフレームレートに同期したタイミングとすることが考えられる。このようにすることで、フレームレートに沿って連続して撮像される個々の画像フレームに対して確実に遮光を行うことができる。
【0018】
つぎに、請求項6に記載の撮像装置は、以下のような特徴を有する。すなわち、画像出力手段により出力された画像信号に基づく画像を表示する表示手段と、遮光手段によって遮光すべき位置を表示手段に表示された画像に対して指示するための指示入力手段とを更に備える。そして、遮光制御手段は、指示入力手段において遮光すべき位置を指示された場合、その指示された画像上の位置に対応する撮像範囲上の所定範囲を遮光手段に遮光させる。
【0019】
このようにすることで、画面上に表示された画像をユーザが視認し、その画像上で過剰光源の位置をユーザが直接指示することができる。そして、ユーザにより指示された部分を遮光することで効果的にフレア等を低減することができる。
【0020】
なお、ユーザの指示により遮光位置を特定する場合、更に請求項7に記載のようにしてもよい。すなわち、遮光制御手段は、指示入力手段において指示された画像上の位置に対応する撮像範囲上の所定範囲に対する遮光を開始してから、所定時間経過後に当該遮光状態を解除する。このようにすることで、ユーザの指示により過剰光源を遮光した状態で被写体を視認した後、ユーザ自らその遮光区域を解除する手間を省くことができ、好適である。
【0021】
ところで、本発明における遮光手段には、例えば、透明なパネル上に個々に遮光状態と透光状態を切り替え可能な複数の液晶セグメント(画素)が格子状に配列した液晶パネルを用いることが考えられる(請求項8)。このような液晶パネルを本発明の遮光手段として用いて、液晶パネルの個々の画素ごとに遮光状態のオン/オフを制御することで、遮光区域の位置、形状、面積等を自由に変更できるようになり、必要に応じて様々な遮光状態を実現できる。また、遮光手段として用いる液晶パネルの画素と、撮像手段により撮像される画像の画素とを個々に対応させることで、撮像素子の画素レベルで遮光を施すことも可能である。
【0022】
一方、本発明における遮光手段には、上述の液晶パネルの他に、遮光部材をレンズ面に沿って機械的に駆動する装置を用いることもできる(請求項9)。より具体的には、遮光部材をレンズ面に対して平行に回転あるいは並進移動させて任意の範囲を遮光するような構成が挙げられる(請求項10)。このような装置を本発明の遮光手段として用いた場合、遮光部材を過剰光が入射する位置に配置させることで過剰光を遮光できる。
【0023】
以上で説明した撮像装置における遮光制御手段、あるいは遮光制御手段及び画像合成手段をコンピュータシステムで実現するには、請求項11,12に記載のようにコンピュータシステム上で稼動するプログラムとして備えればよい。このようなプログラムは、例えばROM、RAM、磁気/光/光磁気ディスク、ハードディスク等のコンピュータにて読取可能な記憶媒体に記録し、必要に応じてコンピュータにロードすることにより、上記各手段としての機能を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。
[撮像装置1の構成の説明]
図1(a)は、実施形態の撮像装置1の概略構成を示すブロック図である。
【0025】
撮像装置1は、動画像を撮像するためのものであり、レンズ10、撮像部11、遮光部12、遮光制御部13、画像処理部14、画像表示部15を備える。
レンズ10は、被写体の像を撮像素子に投影するためのものであり、単体のレンズや、レンズそのものを取り付ける鏡筒等からなる。
【0026】
撮像部11は、レンズ10によって投影された被写体の像を受け、これを電気信号に変換する撮像素子と、撮像素子から得られた電気信号を画像信号に変換し、これを出力する画像エンジンとからなる。撮像部11は、所定のフレームレート(例えば、30〜60fps)で画像フレームを連続的に生成することで動画像を撮像することができる。
【0027】
遮光部12は、図1(b)の右図に示すように、レンズ10の被写体側の正面に設けられ、レンズ面に沿って遮光区域を展開することで撮像部11による撮像範囲の任意部分を遮光するためのものである。なお、図1(b)の左図には、遮光部12において市松模様の遮光区域を形成している事例を示している。この遮光部12には、例えば、透明なパネル上に液晶によって任意の遮光区域を表示する液晶パネルや、種々の形状の遮光部材を機械的に駆動する装置等を用いることが考えられる。遮光部12についての更なる詳細な説明は後述する。
【0028】
遮光制御部13は、周知のマイコンから構成され、ROM等に記憶されたプログラムに基づいて処理を実行する。具体的には、撮像部11により撮像される動画像のフレームレートに同期して遮光部12を駆動させることで種々の遮光パターンを形成し、この遮光パターンでレンズ10を遮光した状態で画像を撮像させる。
【0029】
画像処理部14は、周知のマイコンから構成され、ROM等に記憶されたプログラムに基づいて処理を実行する。具体的には、撮像部11から出力される動画像の各画像フレームに対して所定の画像処理を行い、その画像信号を出力する。
【0030】
画像表示部15は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置によって構成され、画像処理部14から出力される動画像の画像信号に基づいて映像を表示する。
[遮光部12の具体例]
つぎに、遮光部12の様々なバリエーションについて、図2〜4に基づき説明する。
【0031】
図2は、遮光部12として液晶パネルを用いた場合の遮光パターンの一例を模式的に示す説明図である。
液晶パネルで構成された遮光部12は、撮像部11による撮像範囲全部をカバーする透光率の高い無色透明のパネル全体に、個々に遮光状態と透光状態を切り替え可能な多数の液晶セグメント(遮光素子)が格子状に配列されており、個々の画素ごとに遮光状態のオン/オフを制御することで、パネル上に表示される遮光区域の位置、形状、面積等を自由に変更できる。
【0032】
そして、図2(a)は、遮光部12に遮光区域が何も表示されていない状態を示している。この状態においては、被写体からの光は全く遮光されないままレンズ10へ入射する。
【0033】
図2(b)は、液晶パネルによる遮光パターンの一例として、撮像範囲の2分の1領域あるいは4分の1領域に矩形の遮光区域を表示した状態を示している。このように、撮像範囲を2等分、4等分、8等分…といった具合に区切った個々の領域ごとに遮光区域を表示し、その領域からレンズ10へ入射する光を遮光することができる。
【0034】
図2(c)は、液晶パネルによる遮光パターンの一例として、円形あるいは方形のスポット状の遮光区域を表示した状態を示している。このようなスポット状の遮光区域を任意の位置に表示することで、視界を極力妨げることなく必要な部分のみを遮光することができる。
【0035】
図2(d)は、液晶パネルによる遮光パターンの一例として、方形の遮光区域とこの遮光区域と同じ形の透明区域とを交互に配置した市松模様の遮光パターンを表示した状態を示している。なお、図2(d)における左右2つの市松模様の遮光パターン同士は、遮光区域が互い違いになるように配置されており、この互い違いの2つの遮光パターンを撮像部11のフレームレートに同期して交互に切り替えて画像を撮像させることができる。
【0036】
つぎに、図3,4は、遮光部12として遮光部材を機械的に駆動する装置を用いた場合の遮光パターンの一例を模式的に示す説明図である。
図3(a)は、機械的に駆動される遮光部材により形成される遮光パターンの一例として、透明の円板上に扇形の遮光区域が配置された遮光パターンを示している。このような遮光パターンを有する円板状の遮光部材をレンズ10の前面側に平行に配置し、円板の中心を軸に回転させる。このとき、回転角を調整して扇状の遮光区域を撮像範囲上の任意の位置へ移動させることで、その位置を遮光することができる。
【0037】
図3(b)は、機械的に駆動される遮光部材により形成される遮光パターンの一例として、透明の円板上に、この円板上の同心円とこの円板を等分する扇形とで囲まれた領域に遮光区域を交互に配置した遮光パターンを示している。このような遮光パターンを有する円板状の遮光部材をレンズ10の前面側に平行に配置し、円板の中心を軸に回転させる。このとき、撮像部11のフレームレートに同期して、円板上に描かれた扇形と同じ角度ずつ一方向に回転、あるいは左右に往復回転させながら画像を撮像することで、画像フレームごとに遮光区域の配置が互い違いとなる状態で撮像された画像を得ることができる。
【0038】
つぎに、図4(a)は、機械的に駆動される遮光部材により形成される遮光パターンの一例として、撮像部11の撮像範囲のおよそ2倍の幅を有する透明の板の中央部に撮像範囲より幅の狭い帯状の遮光区域が配置された遮光パターンを示している。このような遮光パターンを有する遮光部材をレンズ10の前面側に左右に並進移動可能に配置する。そして、この遮光部材を撮像範囲に対して左右に並進移動させて遮光区域の位置を撮像範囲上の任意の位置へ移動させることで、その位置を遮光することができる。
【0039】
つぎに、図4(b)は、機械的に駆動される遮光部材により形成される遮光パターンの一例として、撮像範囲を囲む枠組み内に、この枠組みに沿って左右に並進移動する撮像範囲より幅の狭い帯状の遮光部材が配置された遮光パターンを示している。このような遮光パターンを有する遮光部材をレンズ10の前面側に配置し、帯状の遮光部材自体を撮像範囲に対して左右に並進移動させて撮像範囲上の任意の位置へ移動させることで、その位置を遮光することができる。
【0040】
つぎに、図4(c)は、機械的に駆動される遮光部材により形成される遮光パターンの一例として、方形の遮光区域と、この遮光区域と同じ形の透明区域とを交互に配した市松模様の遮光パターンで撮像範囲を覆う事例を示している。この遮光部材は、撮像範囲の横幅に相当する長さよりも市松模様が横に1列分多く配されおり、撮像部11のフレームレートに同期して遮光部材をこの1列分の幅に相当する距離だけ左右に並進移動させながら画像を撮像することで、画像フレームごとに遮光区域の配置が互い違いとなる画像を得ることができる。
【0041】
[撮像装置1の動作の説明]
つぎに、撮像装置1の動作について、複数の事例を説明する。
(1)フレームレートに同期して遮光区域を連続的に変化させる処理
図5は、フレームレートに同期して遮光区域を連続的に変化させることによって、撮像画像上に出現するフレア等を低減する動作の一連の流れを模式的に示す説明図である。
【0042】
図5(a)は、遮光部12による遮光が行われていない状態で撮像された場合の表示画像の一例を示している。この表示画像上には、例えば車両のヘッドライトや太陽等といった過剰光源が写り込んでおり、その過剰光源の周辺にフレア等が出現している。そして、このフレア等が画像中央付近に存在する人物の像に被っていることで、画像上にて人物の視認性が低下している。
【0043】
図5(b)は、遮光部12における遮光区域の分割例を示す図である。ここでは、遮光部12は、図5(b)に示す(1)〜(8)の各分割区域に対してそれぞれ個別に遮光を施すことができるように構成されている。そして、遮光制御部13は、撮像部11のフレームレートに同期したタイミングにて遮光区域を(1)〜(8)の順に切り替えながら撮像部11に画像を撮像させる。
【0044】
図5(c)は、遮光制御部13による制御によって遮光区域(1)〜(8)を順次切り替えながら撮像された連続する画像フレームの一例を示している。この図5(c)に示すように、N番目の画像フレーム(Nフレーム)では、遮光区域(1)が遮光されており、次のN+1フレームでは、遮光されている部分が遮光区域(1)から(2)へと切り替わっている。以降、N+2番目,N+3番目,N+4番目…と、フレーム番号が進むごとに各画像フレームで遮光されている部分が遮光区域(3),(4),(5)…と順次切り替わっている。
【0045】
ここで、N+3フレームにおいては、遮光区域(4)と過剰光源の位置とがちょうど重なっており、遮光区域(4)によって過剰光源が遮光されているため、画像上にフレア等が出現していない。その結果、本来の被写体である人物の像が、他のフレーム画像よりも鮮明に写っており、視認性が向上している。このように、フレームレートに同期しながら遮光区域を順次切り替えながら複数の画像を撮像することで、過剰光が撮像範囲に入射する位置に遮光区域が重なったときに過剰光を遮光した状態で撮像した画像を得ることができる。
【0046】
(2)遮光区域の配置が互い違いとなる画像フレーム同士を合成する処理
図6は、遮光区域の配置が互い違いとなる2種類の遮光パターンの画像フレーム同士を合成することによって、撮像画像上に出現するフレア等を低減する動作の一連の流れを模式的に示す説明図である。
【0047】
図6(a)は、遮光部12による遮光が行われていない状態で撮像された場合の表示画像の一例を示している。この表示画像上には、例えば車両のヘッドライトや太陽等といった過剰光源が写り込んでおり、その過剰光源の周辺にフレア等が出現している。そして、このフレア等が画像中央付近に存在する人物の像に被っていることで、画像上にて人物の視認性が低下している。
【0048】
図6(b)は、遮光区域の配置が互い違いとなる2種類の市松模様の遮光パターン1,2によってそれぞれ撮像された連続する2つの画像フレーム(Nフレーム、N+1フレーム)の一例を示している。このような連続する画像フレームは、遮光制御部13が、撮像部11のフレームレートに同期したタイミングにて、遮光パターン1,2を交互に切り替えながら撮像部11に画像を撮像させることで得られる。
【0049】
この図6(b)に示すように、遮光パターン1で撮像されたNフレームでは、遮光区域と過剰光源の位置とがちょうど重なっており、この遮光区域によって過剰光源が遮光されているため、画像上にフレア等が出現していない。一方、遮光パターン2で撮像されたN+1フレームでは、Nフレームとは反対に遮光されていない部分に過剰光源が写り込んでおり、その過剰光源の周辺にフレア等が出現している。
【0050】
そして、画像処理部14が実行する後述の画像合成処理によって、この撮像されたNフレームとN+1フレームとを合成することで、図6(c)に示す画像が生成される。具体的には、画像処理部14は、Nフレーム及びN+1フレームから、それぞれの遮光パターンによって遮光されていない部分に該当する分割領域を抽出し、2つの画像から抽出した分割領域をそれぞれ対応する位置に配置した1つの画像を生成する。すなわち、Nフレームから抽出した分割領域とN+1フレームとから抽出した分割領域とを対応する位置に交互に組み合わせることで、2つの画像フレームから遮光領域を除いた画像を合成することができるのである。そして、この合成された画像には、過剰光源を遮光した状態で撮像されたNフレームから抽出した画像が含まれているので、過剰光源を遮光しない状態で撮像した画像と比べてフレア等が低減しており、本来の被写体である人物の視認性が向上している。
【0051】
なお、連続して撮像された画像フレーム同士で画像合成を行うことで、合成対象の画像フレームの撮像間隔が十分に短ければ、この短い撮像間隔における被写体の状況の差異は小さくなるので、合成後の画像上で被写体の歪みを軽減でき、見る者にとって違和感のない画像合成を実現できる。
【0052】
つぎに、図7は、画像処理部14が実行する上述の画像合成処理の手順を示すフローチャートである。
この処理は、画像処理部14が合成対象である2つの連続する画像フレーム(Nフレーム,N+1フレーム)同士を合成する処理であり、撮像部11によって撮像される動画像のフレームレートに同期して、合成対象の画像フレームを順次代えながら繰り返し実行される処理である。
【0053】
画像処理部14は、まず、分割領域番号のカウンタkの値を1にセットする(S101)。なお、本実施形態では、図6(b)に示す市松模様の遮光パターンの個々の升目(すなわち、遮光区域の方形及び遮光されていない範囲の方形)に相当する分割領域の画像フレーム上での位置を分割領域番号によって特定している。また、異なる画像フレーム間で互いに位置が対応する分割領域には同じ分割領域番号が付されている。
【0054】
つぎに、Nフレームにおける分割領域番号kに対応する分割領域DN,Kを参照し、この分割領域DN,KがNフレームにおける遮光区域に該当する領域MNであるか否かを判定する(S102)。ここで、分割領域DN,Kが遮光区域MNであると判定した場合(S102:YES)、N+1フレームから分割領域DN+1,Kを抽出する(S103)。一方、分割領域DN,Kが遮光区域MNでないと判定した場合(S102:NO)、Nフレームから分割領域DN,Kを抽出する(S104)。
【0055】
つぎに、現在のカウンタkの値がAであるか否かを判定する(S105)。ここで、Aとは、画像フレームにおける分割領域の全数である。ここで、カウンタkの値がAではないと判定した場合(S105:NO)、kの値を1つカウントアップし(S106)、S102の処理へ戻る。以降、S102〜S106の処理を順次繰り返すことで、カウンタkの値をカウントアップする。そして、S105でカウンタkの値がAであると判定した場合(S105:YES)、S103及びS104においてそれぞれ抽出した分割領域を分割領域番号順に合成してN´フレームを生成し、このN´フレームの画像信号を出力する(S107)。
【0056】
(3)過剰光源の位置に遮光区域を形成する処理
図8は、撮像画像上に写り込んだ過剰光源の位置に相当する箇所に遮光区域を形成することによって、撮像画像上に出現するフレア等を低減する動作の一連の流れを模式的に示す説明図である。
【0057】
図8(a)は、遮光部12による遮光が行われていない状態で撮像された場合の表示画像の一例を示している。この表示画像上には、例えば車両のヘッドライトや太陽等といった過剰光源が写り込んでおり、その過剰光源の周辺にフレア等が出現している。そして、このフレア等が画像中央付近に存在する人物の像に被っていることで、画像上にて人物の視認性が低下している。
【0058】
そして、遮光制御部13が実行する後述の遮光区域形成処理によって、画像上に写り込んだ過剰光源の位置に該当する箇所に遮光部12(液晶パネル)の液晶セグメント(遮光素子)による遮光区域を形成することで、図8(b)に示す画像が撮像される。具体的には、遮光制御部13は、撮像部11によって撮像された画像フレームを解析し、その画像上に輝度の閾値(上限)を超える部分があれば、遮光部12(液晶パネル)を制御して該当部分に遮光区域を形成させる。このように、フレア等の原因となる過剰光源の位置を特定し、その位置を直接遮光することで、過剰光がレンズ10へ入射するのを防止できる。その結果、過剰光源を遮光しない状態で撮像した画像と比べてフレア等が低減しており、本来の被写体である人物の視認性が向上している。
【0059】
つぎに、図9は、遮光制御部13が実行する上述の遮光区域形成処理の手順を示すフローチャートである。
この処理は、遮光制御部13が撮像部11から出力された画像フレーム上における過剰光源の位置を特定し、その位置に該当する部分に遮光区域を形成する処理であり、撮像部11によって撮像される動画像のフレームレートに同期して、解析対象の画像フレームを順次代えながら繰り返し実行される処理である。
【0060】
遮光制御部13は、まず、画素番号のカウンタj,kの値をそれぞれ1にセットする(S201)。本実施形態では、画像フレームの画素の位置を示すのに二次元座標で示される画素番号を用いている。そして、jは画像フレームの縦方向の画素番号を示し、kは画像フレームの横方向の画素番号を示している。すなわち、カウンタj,kの値がそれぞれ1である場合、画素番号(1,1)の画素を指していることになる。
【0061】
つぎに、解析対象の画像フレームにおける画素番号(j,k)に対応する画素(j,k)を参照し、この画素(j,k)の輝度IJ,Kを検出する(S202)。そして、この検出した輝度IJ,Kと輝度の閾値Imaxとを比較し、IJ,KがImaxよりも大きいか否かを判定する(S203)。なお、輝度の上限となる閾値Imaxは、例えば、レンズ10の特性に応じてフレア等が生じる可能性が高くなる程度の明るさとすることが考えられる。
【0062】
S203で、IJ,KがImaxよりも大きいと判定した場合(S203:YES)、画素(j,k)に対応する遮光部12(液晶パネル)の遮光素子(j,k)を遮光状態にし(S204)、S205の処理へ移行する。なお、本実施形態では、遮光部12(液晶パネル)の遮光素子と、撮像部11の撮像素子の画素(すなわち、画像フレームの画素)とが個々に対応しており、遮光部12(液晶パネル)のある座標の遮光素子を遮光状態にすることで、その座標に対応する撮像素子の画素に対して遮光を施すことができるようになっている。
【0063】
一方、S203で、IJ,KがImax以下であると判定した場合(S203:NO)、S205の処理へ移行する。
つぎに、S205では、現在のカウンタjの値がAであるか否かを判定する。ここで、Aとは、画像フレームの縦方向の画素数である。カウンタjの値がAではないと判定した場合(S205:NO)、jの値を1つカウントアップし(S206)、S202の処理へ戻る。以降、S202〜S206の処理を順次繰り返すこととで、カウンタjの値をカウントアップする。そして、S205でカウンタjの値がAであると判定した場合(S205:YES)、現在のカウンタkの値がBであるか否かを判定する(S208)。ここで、Bとは、画像フレームの横方向の画素数である。カウンタkの値がBではないと判定した場合(S208:NO)、jの値を1にリセットすると共にkの値を1つカウントアップし(S209)、S202の処理へ戻る。
【0064】
以降、S202〜S209の処理を順次繰り返し、その後、S208でカウンタkの値がBであると判定した場合(S208:YES)、当該画像フレームに対する遮光区域形成処理を終了する。
【0065】
(4)遮光区域を徐々に絞り込む処理
図10は、広い範囲を遮光した状態から徐々に遮光区域を絞り込むことによって、撮像画像上に出現するフレア等を低減しつつ可視範囲も確保する動作の一連の流れを模式的に示す説明図である。
【0066】
遮光制御部13は、まず、図10(a)に示すように、撮像範囲全域を中央で左右に2等分した2つの範囲のうち、右側に遮光を施した状態で撮像する画像フレームと、左側に遮光を施した状態で撮像する画像フレームとを、撮像部11のフレームレートに同期して連続して撮像させる。
【0067】
図10(a)に示す事例では、撮像範囲の中央より左側に遮光を施した左図の画像フレームについては、過剰光源が遮光されておりフレア等は出現していない。一方、撮像範囲の中央より右側に遮光を施した右図の画像フレームについては、画像の左上部に過剰光源が写り込んでおり、画像上にフレア等が出現している。ここで、これら2つの画像フレーム同士で画像の明るさを比較すると、必然的に、過剰光源が遮光されている10(a)左図の画像がより暗く、画像上に過剰光源が写り込んでフレア等が出現している図10(a)右図の画像が明るいと判定される。
【0068】
つぎに、図10(a)に示す2つの画像フレームのうち、暗い方の画像フレーム(左図)を撮像したときに施した遮光区域を上下に2等分した2つの範囲のうち、上側に遮光を施した状態で撮像する画像フレームと、下側に遮光を施した状態で撮像する画像フレームとを、撮像部11のフレームレートに同期して連続して撮像させる。このようにして撮像された2つの画像フレームの一例を図10(b)に示す。
【0069】
図10(b)に示す事例では、撮像範囲の左側上部に遮光を施した左図の画像フレームについては、過剰光源が遮光されておりフレア等は出現していない。一方、撮像範囲の左側下部に遮光を施した右図の画像フレームについては、画像の左上部に過剰光源が写り込んでおり、画像上にフレア等が出現している。ここで、これら2つの画像フレーム同士で画像の明るさを比較すると、必然的に、過剰光源が遮光されている図10(b)左図の画像がより暗く、過剰光源が写り込んでフレア等が出現している図10(b)右図の画像が明るいと判定される。
【0070】
つぎに、図10(b)に示す2つの画像フレームのうち、暗い方の画像フレーム(左図)を撮像したときに施した遮光区域を左右に2等分した2つの範囲のうち、左端側に遮光を施した状態で撮像する画像フレームと、左側中央寄りに遮光を施した状態で撮像する画像フレームとを、撮像部11のフレームレートに同期して連続して撮像させる。このようにして撮像された2つの画像フレームの一例を図10(c)に示す。
【0071】
図10(c)に示す事例では、撮像範囲の上部左端側に遮光を施した左図の画像フレームについては、過剰光源が遮光されておりフレア等は出現していない。一方、撮像範囲の上部左側中央寄りに遮光を施した右図の画像フレームについては、画像の左上部に過剰光源が写り込んでおり、画像上にフレア等が出現している。ここで、これら2つの画像フレーム同士で画像の明るさを比較すると、必然的に、過剰光源が遮光されている図10(c)左図の画像がより暗く、過剰光源が写り込んでフレア等が出現している図10(c)右図の画像が明るいと判定される。
【0072】
ここで、図10(c)に示す2つの画像フレームのうち、暗い方の画像フレーム(左図)を画像表示部15に出力すると、画像表示部15に表示される画像は図10(d)に示すようなものになる。この図10(d)の表示画像では、遮光区域によって過剰光源を上手く遮光していると共に、この遮光区域が十分に絞り込まれており、表示画像上で本来の被写体である人物の像を十分に視認可能な程度の視界が確保されている。
【0073】
つぎに、図11は、遮光制御部13が実行する上述の遮光区域絞り込み処理の手順を示すフローチャートである。
この処理は、遮光制御部13が、撮像部11によって撮像される動画像のフレームレートに同期して遮光区域を徐々に絞り込みながら、撮像部11に画像を撮像させる処理である。
【0074】
遮光制御部13は、まず、選択領域Aを全撮像範囲に設定する(S301)。つぎに、最小輝度IMINの初期値を所定の過大値に設定する(S302)。そして、現在の選択領域Aを2等分したうちの一方の領域を、N番目の画像フレーム(以下、Nフレーム)に施す遮光区域MNに設定し、この遮光区域MNを遮光部12に形成させた状態で撮像部11にNフレームを撮像させる(S303)。つづいて、撮像部11によって撮像されたNフレームにおける個々の画素ごと輝度の総和INを算出する(S304)。
【0075】
つぎに、現在の選択領域Aから遮光区域MNを差し引いた残りの領域を、N+1番目の画像フレーム(以下、N+1フレーム)に施す遮光区域MN+1に設定し、この遮光区域MN+1を遮光部12に形成させた状態で撮像部11にN+1フレームを撮像させる(S305)。つづいて、撮像部11によって撮像されたN+1フレームにおける個々の画素ごと輝度の総和IN+1を算出する(S306)。
【0076】
そして、S304及びS306でそれぞれ算出した輝度の総和INとIN+1とを比較し、IN+1がINよりも大きいか否かを判定する(S307)。ここで、IN+1がINよりも大きいと判定した場合(S307:YES)、すなわち、N+1フレームよりもNフレームの方が暗い画像である場合、つぎに、INがIMINよりも小さいか否かを判定する(S308)。INがIMINよりも小さいと判定した場合(S308:YES)、最小輝度IMINの値をINの値に、選択領域AをMNにそれぞれ更新する(S309)。そして、Nの値を2つカウントアップし(S312)、S303の処理へ戻る。以降、新たに設定した選択領域Aを対象に、更に遮光区域を絞り込んで繰り返し撮像を行う。
【0077】
一方、S307でIN+1がIN以下であると判定した場合(S307:NO)、すなわち、NフレームよりもN+1フレームの方が暗い画像である場合、つぎに、IN+1がIMINよりも小さいか否かを判定する(S310)。IN+1がIMINよりも小さいと判定した場合(S310:YES)、最小輝度IMINの値をIN+1の値に、選択領域AをMN+1にそれぞれ更新する(S311)。そして、Nの値を2つカウントアップし(S312)、S303の処理へ戻る。以降、新たに設定した選択領域Aを対象に、更に遮光区域を絞り込んで繰り返し撮像を行う。
【0078】
上述のように、S303〜S312の処理を順次繰り返すことで、遮光区域が徐々に絞り込まれていく。そして、S308でINがIMIN以上であると判定した場合(S308:NO)、Nフレームの画像を出力し(S313)、遮光区域絞り込み処理を終了する。また、S310でIN+1がIMIN以上であると判定した場合(S310:NO)、N+1フレームの画像を出力し(S314)、遮光区域絞り込み処理を終了する。
【0079】
[撮像装置2の構成の説明]
図12は、実施形態の変形例である撮像装置2の概略構成を示すブロック図である。
撮像装置2は、上述の撮像装置1(図1参照)における各部構成に加え、ユーザからの指示を入力するための操作部16を更に備えることを特徴とする。なお、この撮像装置2において、上述の撮像装置1と共通する構成については同じ符号を付し、その説明については省略する。
【0080】
操作部16は、画像表示部15の表示面上に一体に構成されるタッチパネルで構成されており、画像表示部15の表示面の任意の箇所にユーザが触れることで、その位置を遮光制御部13に入力する。遮光制御部13は、操作部16から入力された位置に該当する撮像範囲に対して、遮光部12による遮光を施す。
【0081】
[撮像装置2の動作の説明]
つぎに、撮像装置2の動作について説明する。
図13は、ユーザによって表示画像上で指示された箇所に遮光区域を配置することによって、撮像画像上に出現するフレア等を低減する動作の一連の流れを模式的に示す説明図である。
【0082】
図13(a)は、遮光部12による遮光が行われていない状態で撮像された場合の表示画像の一例を示している。この表示画像上には、例えば車両のヘッドライトや太陽等といった過剰光源が写り込んでおり、その過剰光源の周辺にフレア等が出現している。そして、このフレア等が画像中央付近に存在する人物の像に被っていることで、画像上にて人物の視認性が低下している。
【0083】
ここで、表示画像上に写り込んでいる過剰光源の位置をユーザがタッチパネル上で押下すると、遮光制御部13は、その指示位置に該当する撮像範囲に対して遮光部12による遮光を施す(ユーザ指示による遮光区域形成処理)。
【0084】
例えば、遮光部12が液晶パネルで構成されている場合、図13(b)に示すように、ユーザによって指示された過剰光源の位置にスポット状の遮光区域を形成することが考えられる。このように、ユーザにより指示された位置に遮光区域を形成した画像においては、過剰光源が遮光されておりフレア等は出現していない。なお、遮光部12が形成する遮光区域の大きさは、一定としてもよいし、ユーザの操作に応じて可変としてもよい。遮光区域の大きさ可変とする場合、例えば、ユーザによるタッチパネルの押下が継続した時間に応じて大きさを変化することが考えられる。すなわち、タッチパネルの押下が長く継続した場合、その位置を中心とする大きな遮光区域を形成し、タッチパネルの押下時間が短い場合、その位置を中心とする小さな遮光区域を形成する。あるいは、ユーザがタッチパネル上において指で描いた軌跡で囲まれる領域に相当する撮像範囲に遮光区域を形成するような構成であってもよい。
【0085】
一方、遮光部材を機械的に駆動する装置によって遮光部12が構成されている場合、ユーザによって指示された過剰光源の位置に遮光部材を移動させて遮光を施す。図13(c)に示す事例では、撮像範囲の上下方向に帯状に形成された遮光部材を過剰光源の位置に移動させることで過剰光源を遮光しており、この画像上ではフレア等は出現していない。
【0086】
つぎに、図14は、遮光制御部13が実行するユーザ指示による遮光区域形成処理の手順を示すフローチャートである。
遮光制御部13は、まず、操作部16を介して遮光すべき位置の指示入力があるか否か判定する(S401)。そして、操作部16を介して遮光すべき位置の指示入力があると判定した場合(S401:YES)、指示された位置に該当する撮像範囲に遮光区域を配置する(S402)。具体的には、遮光部12が液晶パネルで構成されている場合、ユーザによって指示された位置に該当する範囲の遮光素子を遮光状態にすることで、スポット状の遮光区域を形成する。あるいは、遮光部材を機械的に駆動する装置によって遮光部12が構成されている場合、ユーザによって指示された過剰光源の位置に遮光部材を移動させて遮光を施す。
【0087】
つぎに、S402で遮光区域を配置してから、所定時間が経過したか否かを判定する(S403)。ここで、所定時間が経過していないと判定した場合(S403:NO)、現状の遮光区域を維持する。そして、所定時間が経過したと判定した場合(S403:YES)、現状の遮光区域を解除し(S404)、ユーザ指示による遮光区域形成処理を終了する。
【0088】
[効果]
上記実施形態の撮像装置によれば、以下のような効果を奏する。
(1)遮光部12によって形成される遮光区域の位置や大きさを変化可能に構成することで、単一方向だけでなく様々な方向から入射する過剰光を遮光できるようになる。そして、図5に示すように、フレームレートに同期して遮光区域を順次変化させながら画像を撮像することで、過剰光が撮像範囲に入射する位置に遮光区域が重なったときに過剰光を遮光した状態で撮像した画像を得ることができる。このように、過剰光を遮光した状態で撮像することで、撮像された画像上に出現するフレア等を低減することができ、本来の被写体の視認性が向上する。
【0089】
(2)図6に示す事例では、遮光区域の配置が互い違いとなる2つの市松模様の遮光パターンを交互に切り替えながら連続する画像フレームを撮像し、このようにして撮像された2つの連続する画像フレーム間で、それぞれ遮光されていない分割領域を対応する位置に組み合わせて1つの合成画像フレームを合成する。このようにすることで、それぞれの画像フレームにおける映像の欠落部分を互いに補完することができる。これにより、フレア等を低減し、かつ遮光区域による画像の欠落のない合成画像フレームを得ることができ、被写体の視認性が向上する。
【0090】
(3)図8に示す事例では、撮像された画像上において過剰輝度の部分を検出し、この検出した過剰輝度部分の位置に対応する撮像範囲上の位置に遮光を施す。このようにすることで、撮像範囲に入射してくる過剰光の方向や規模に応じて、その過剰光を遮光する位置に遮光区域を形成できるので、フレア等を効率的に低減できる。また、遮光部12として液晶パネルを用いる場合、入射してくる過剰光の光束の大きさに応じて遮光区域の大きさを変えることができ、過剰光の規模に対して遮光区域が過大あるいは過小になることがなく、適切な範囲を遮光できる。
【0091】
(4)図10に示す事例では、2等分された遮光区域でそれぞれ撮像された連続する2つの画像フレーム同士で明るさを比較し、より暗い方の画像フレームにおける遮光区域を更に2等分する、といった手順を繰り返すことで、遮光区域を徐々に絞り込む。このようにすることで、撮像範囲中の過剰光源を遮光したまま、遮光区域を徐々に絞り込むことができ、遮光区域が過大になるのを防ぐと共に、被写体の視認性をより向上させることができる。
【0092】
(5)図13に示す事例では、操作部16のタッチパネル上で指示された位置に対応する遮光範囲上の範囲に遮光区域を形成する。このようにすることで、画面上に表示された画像をユーザが視認し、その画像上で過剰光源の位置をユーザが直接指示することができる。そして、ユーザにより指示された部分を遮光することで効果的にフレア等を低減することができる。また、ユーザの指示により遮光区域を形成した後、所定時間経過後に当該遮光区域を解除する。このようにすることで、ユーザの指示により過剰光源を遮光した状態で被写体を視認した後、ユーザ自らその遮光区域を解除する手間を省くことができ、好適である。
【0093】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、様々な態様にて実施することが可能である。
【0094】
例えば、上述の各実施形態においては、本発明を動画像を撮像するための撮像装置(いわゆるデジタルビデオカメラ)に適用した事例について説明した。これ以外にも本発明は、静止画像を撮影するデジタルスチールカメラ等にも適用可能である。
【0095】
また、上記実施形態の撮像装置を車両に搭載する場合、遮光部12に用いられる遮光部材にレンズ面に付着した雨滴を除去する機能を付与し、レンズ用のワイパーとして兼用するような構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】(a)は、撮像装置1の概略構成を示すブロック図であり、(b)は、遮光部12の配置状況を模式的に示す説明図である。
【図2】遮光部12として液晶パネルを用いた場合の遮光パターンの具体例を模式的に示す説明図である。
【図3】遮光部12として遮光部材を機械的に駆動する装置を用いた場合の遮光パターンの一例を模式的に示す説明図である。
【図4】遮光部12として遮光部材を機械的に駆動する装置を用いた場合の遮光パターンの一例を模式的に示す説明図である。
【図5】撮像画像上に出現するフレア等を低減する動作の一連の流れを模式的に示す説明図である。
【図6】遮光区域の配置が互い違いとなる2種類の遮光パターンの画像フレーム同士を合成することによって、撮像画像上に出現するフレア等を低減する動作の一連の流れを模式的に示す説明図である。
【図7】画像合成処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】撮像画像上に写り込んだ過剰光源の位置に相当する箇所に遮光区域を形成することによって、撮像画像上に出現するフレア等を低減する動作の一連の流れを模式的に示す説明図である。
【図9】遮光区域形成処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】広い範囲を遮光した状態から徐々に遮光区域を絞り込むことによって、撮像画像上に出現するフレア等を低減しつつ可視範囲も確保する動作の一連の流れを模式的に示す説明図である。
【図11】遮光区域絞り込み処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】撮像装置2の概略構成を示すブロック図である。
【図13】ユーザによって表示画像上で指示された箇所に遮光区域を配置することによって、撮像画像上に出現するフレア等を低減する動作の一連の流れを模式的に示す説明図である。
【図14】ユーザ指示による遮光区域形成処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0097】
1,2…撮像装置、10…レンズ、11…撮像部、12…遮光部、13…遮光制御部、14…画像処理部、15…画像表示部、16…操作部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像信号を出力する撮像装置において、撮像画像に出現するフレアやゴースト等を低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に撮像装置を搭載し、その撮像装置によって撮像された車両周辺の画像を表示装置に表示させることにより、運転者による視認を支援するシステムが実現している。この種のシステムに用いられる撮像装置は、レンズを通した映像を撮像素子に結像させ、それを電気信号である画像信号として出力する。また、このような撮像装置は、車載用に限らず、静止画像を撮影するデジタルスチールカメラや動画像を撮影するデジタルビデオカメラ等にも用いられている。
【0003】
ところで、上述のような撮像装置によって画像を撮像する際、太陽や対向車両のヘッドライトといった極めて明るい光源がレンズに向けられていると、レンズから結像面へ至る光学系における内面反射によって生じる迷光の影響により、撮像された画像にフレアやゴースト(以下、単に「フレア等」とも表記する)といった光の像が出現することが知られている。このようなフレア等は、一種の映像効果として肯定的に用いられる場合もある一方で、本来の被写体の視認性を低下させるものであるため、撮像された画像から正確な情報を得る必要がある場合には、望ましくないものである。例えば、車載用の撮像装置等の場合、画像上にフレア等が出現することで歩行者や障害物といった運転者が注意すべき被写体の視認性が低下するおそれがある。すなわち、撮像装置の用途によっては、フレア等を低減することで本来の被写体の視認性を向上させることが重要な課題となる。
【0004】
一方、特許文献1には、レンズの絞り近傍に配置されたレンズ郡の下側にマスク部材を貼り付けることで、撮影画角外の上方から入射した有害光を遮光し、フレア等の発生を防止する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平8−234072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されている技術は、撮影画角外の上方から入射した有害光を遮光する位置にマスク部材を設置することでフレア等の発生を防止するものであり、撮影画角外の上方以外から入射してくる有害光を想定したものではない。しかしながら、フレア等の原因となる有害光は、必ずしも撮影画角外の上方のみから入射してくるとは限らず、例えは、車載用の撮像装置における対向車両のヘッドライトの光や、日の出又は日没付近における低い角度からの太陽光のように、撮像範囲に対してほぼ水平方向に入射してくるものもある。そのため、特許文献1に記載の従来技術のように、上方から入射してくる有害光のみを遮光しただけでは、様々な方向から入射してくる有害光に対してフレア等を十分に防止することはできない。また、有害光を遮光するためのマスク部材の位置や大きさが固定された状態では、有害光の規模に対して遮光区域が過大、あるいは過小となる場合もある。
【0006】
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、様々な方向から入射する有害光を効果的に遮光することで、撮像画像上に出現するフレア等を低減するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の撮像装置は、レンズと、レンズから投射される被写体の像を受け、これを画像信号に変換することで画像を撮像する撮像手段と、被写体とレンズとの間に介在し、撮像手段による撮像範囲の任意部分を遮光し、かつ、その遮光区域を変更可能に構成された遮光手段と、遮光手段を介して撮像手段による撮像範囲上の遮光区域を変化させ、撮像手段に遮光区域のそれぞれ異なる複数の画像フレームを撮像させる遮光制御手段と、遮光制御手段による制御に基づいて撮像された画像フレームの画像信号を外部に出力する画像出力手段とを備えることを特徴とする。なお、遮光手段が形成する遮光区域は、レンズに入射する光を完全に遮断するもの(すなわち、透過率0)であってもよいし、光を完全に遮断しないものであっても透過率が十分に低いものであればよい。
【0008】
撮像画像上のフレア等は、太陽や車両のヘッドライトといった光源からの過剰光がレンズに入射することで生じる。そして、このような過剰光は、撮像範囲に対して常に一定の方向から入射してくるとは限らず、光源の位置によって様々な方向から入射してくる。
【0009】
したがって、本発明の撮像装置によれば、遮光区域の位置や大きさを変化可能に構成することで、単一方向だけでなく様々な方向から入射する過剰光を遮光できるようになる。そして、遮光区域を様々に変化させながら複数の画像を撮像することで、過剰光が撮像範囲に入射する位置に遮光区域が重なったときに過剰光を遮光した状態で撮像した画像を得ることができる。このように、過剰光を遮光した状態で撮像することで、撮像された画像上に出現するフレア等を低減することができ、本来の被写体の視認性が向上する。
【0010】
つぎに、請求項2に記載の撮像装置は、以下のような特徴を有する。遮光手段は、撮像手段の撮像範囲における所定部分を遮光する第1の遮光パターンと、第1の遮光パターンによる遮光区域の配置と互い違いとなる範囲を遮光する第2の遮光パターンとをそれぞれ形成可能に構成されている。そして、遮光制御手段は、第1の遮光パターンで撮像範囲の一部を遮光した状態で撮像する第1の画像フレームと、第2の遮光パターンで撮像範囲の一部を遮光した状態で撮像する第2の画像フレームとを撮像手段に撮像させる。さらに、画像合成手段は、第1の画像フレーム及び第2の画像フレームの両画像フレームから、それぞれの遮光パターンによる遮光区域以外の撮像範囲に相当する部分画像をそれぞれ抽出し、この抽出した部分画像を対応する位置に組み合わせて合成画像フレームを生成する。そして、画像出力手段は、画像合成手段により生成された合成画像フレームを出力する。
【0011】
遮光区域の配置を互い違いにした2つの遮光パターンでそれぞれ画像フレームを撮像することで、2つ画像フレームのうち、少なくとも何れか一方で過剰光源を遮光した状態の画像を撮像できるはずである。すなわち、少なくとも一方の画像フレーム、あるいは両方の画像フレームにおいてフレア等を低減することができる。しかしながら、このようにして撮像された各画像フレームでは、遮光された部分の映像が欠落することになる。そこで、遮光区域を互い違いにして撮像された2つの画像フレーム間で、それぞれ遮光されていない部分の画像同士を対応する位置に組み合わせて1つの合成画像フレームを合成することで、それぞれの画像フレームにおける映像の欠落部分を互いに補完することができる。このようにすることで、フレア等を低減し、かつ遮光区域による画像の欠落のない合成画像フレームを得ることができ、被写体の視認性が向上する。
【0012】
つぎに、請求項3に記載の撮像装置は以下のような特徴を有する。すなわち、遮光制御手段は、撮像手段から出力される画像信号に基づいて当該画像上において過剰輝度の部分を検出し、撮像手段の撮像範囲における当該過剰輝度部分の位置に対応する部分を遮光させるように遮光手段の遮光区域を制御する。
【0013】
このように構成することで、撮像範囲に入射してくる過剰光の方向や規模に応じて、その過剰光を遮光する位置に遮光区域を形成できるので、フレア等を効率的に低減できる。また、入射してくる過剰光の光束の大きさに応じて遮光区域の大きさを変えることができ、過剰光の規模に対して遮光区域が過大あるいは過小になることがなく、適切な範囲を遮光できる。
【0014】
つぎに、請求項4に記載の撮像装置は以下のような特徴を有する。すなわち、遮光制御手段は、撮像範囲全域を遮光選択範囲の初期設定とし、下記の(1)〜(3)の処理を順次繰り返すことで遮光区域を段階的に絞り込む。
(1)遮光選択範囲を二等分した各範囲のうちの一方に該当する範囲を遮光した状態で撮像する第1の画像フレームと、他方に該当する範囲を遮光した状態で撮像する第2の画像フレームとを撮像手段に撮像させる。
(2)当該撮像された第1の画像フレームと第2の画像フレームと間で画像の明るさを比較する。
(3)上記(2)における比較の結果に基づき、何れか暗い方の画像フレームに該当する遮光区域を新たな遮光選択範囲として設定する。
【0015】
そして、画像出力手段は、第1の画像フレーム及び第2の画像フレームのうち、遮光制御手段による上記(2)における比較結果から、何れか暗い方の画像フレームの画像信号を外部に出力する。
【0016】
フレア等の原因となる過剰光源を含む範囲を二等分し、この二等分した各範囲を個々に遮光した状態で撮像した2つの画像フレームでは、少なくとも何れか一方の画像フレームにおける遮光区域によって過剰光源が遮光されることになる。そして、このようにして撮像された2つの画像フレーム同士の明るさを比較した場合、過剰光源が遮光されていない状態で撮像された画像フレームの方が全体的に明るくなり、過剰光源が遮光された状態で撮像された画像フレームの方が全体的に暗くなる。そこで、このようにして撮像された2つの画像フレームのうち、暗いほうの画像フレームにおける遮光区域を更に二等分し、同じように二等分した各範囲を個々に遮光した状態で撮像した2つの画像フレーム同士の明るさを比較する、といった処理を繰り返すことで、撮像範囲中の過剰光源を遮光したまま、遮光区域を徐々に絞り込むことができるのである。このようにすることで、遮光区域が過大になるのを防ぎ、被写体の視認性をより向上させることができる。
【0017】
ところで、遮光手段による遮光区域の変更を行うタイミングについては、例えば、請求項5に記載のように、撮像手段が動画像を撮像する際のフレームレートに同期したタイミングとすることが考えられる。このようにすることで、フレームレートに沿って連続して撮像される個々の画像フレームに対して確実に遮光を行うことができる。
【0018】
つぎに、請求項6に記載の撮像装置は、以下のような特徴を有する。すなわち、画像出力手段により出力された画像信号に基づく画像を表示する表示手段と、遮光手段によって遮光すべき位置を表示手段に表示された画像に対して指示するための指示入力手段とを更に備える。そして、遮光制御手段は、指示入力手段において遮光すべき位置を指示された場合、その指示された画像上の位置に対応する撮像範囲上の所定範囲を遮光手段に遮光させる。
【0019】
このようにすることで、画面上に表示された画像をユーザが視認し、その画像上で過剰光源の位置をユーザが直接指示することができる。そして、ユーザにより指示された部分を遮光することで効果的にフレア等を低減することができる。
【0020】
なお、ユーザの指示により遮光位置を特定する場合、更に請求項7に記載のようにしてもよい。すなわち、遮光制御手段は、指示入力手段において指示された画像上の位置に対応する撮像範囲上の所定範囲に対する遮光を開始してから、所定時間経過後に当該遮光状態を解除する。このようにすることで、ユーザの指示により過剰光源を遮光した状態で被写体を視認した後、ユーザ自らその遮光区域を解除する手間を省くことができ、好適である。
【0021】
ところで、本発明における遮光手段には、例えば、透明なパネル上に個々に遮光状態と透光状態を切り替え可能な複数の液晶セグメント(画素)が格子状に配列した液晶パネルを用いることが考えられる(請求項8)。このような液晶パネルを本発明の遮光手段として用いて、液晶パネルの個々の画素ごとに遮光状態のオン/オフを制御することで、遮光区域の位置、形状、面積等を自由に変更できるようになり、必要に応じて様々な遮光状態を実現できる。また、遮光手段として用いる液晶パネルの画素と、撮像手段により撮像される画像の画素とを個々に対応させることで、撮像素子の画素レベルで遮光を施すことも可能である。
【0022】
一方、本発明における遮光手段には、上述の液晶パネルの他に、遮光部材をレンズ面に沿って機械的に駆動する装置を用いることもできる(請求項9)。より具体的には、遮光部材をレンズ面に対して平行に回転あるいは並進移動させて任意の範囲を遮光するような構成が挙げられる(請求項10)。このような装置を本発明の遮光手段として用いた場合、遮光部材を過剰光が入射する位置に配置させることで過剰光を遮光できる。
【0023】
以上で説明した撮像装置における遮光制御手段、あるいは遮光制御手段及び画像合成手段をコンピュータシステムで実現するには、請求項11,12に記載のようにコンピュータシステム上で稼動するプログラムとして備えればよい。このようなプログラムは、例えばROM、RAM、磁気/光/光磁気ディスク、ハードディスク等のコンピュータにて読取可能な記憶媒体に記録し、必要に応じてコンピュータにロードすることにより、上記各手段としての機能を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。
[撮像装置1の構成の説明]
図1(a)は、実施形態の撮像装置1の概略構成を示すブロック図である。
【0025】
撮像装置1は、動画像を撮像するためのものであり、レンズ10、撮像部11、遮光部12、遮光制御部13、画像処理部14、画像表示部15を備える。
レンズ10は、被写体の像を撮像素子に投影するためのものであり、単体のレンズや、レンズそのものを取り付ける鏡筒等からなる。
【0026】
撮像部11は、レンズ10によって投影された被写体の像を受け、これを電気信号に変換する撮像素子と、撮像素子から得られた電気信号を画像信号に変換し、これを出力する画像エンジンとからなる。撮像部11は、所定のフレームレート(例えば、30〜60fps)で画像フレームを連続的に生成することで動画像を撮像することができる。
【0027】
遮光部12は、図1(b)の右図に示すように、レンズ10の被写体側の正面に設けられ、レンズ面に沿って遮光区域を展開することで撮像部11による撮像範囲の任意部分を遮光するためのものである。なお、図1(b)の左図には、遮光部12において市松模様の遮光区域を形成している事例を示している。この遮光部12には、例えば、透明なパネル上に液晶によって任意の遮光区域を表示する液晶パネルや、種々の形状の遮光部材を機械的に駆動する装置等を用いることが考えられる。遮光部12についての更なる詳細な説明は後述する。
【0028】
遮光制御部13は、周知のマイコンから構成され、ROM等に記憶されたプログラムに基づいて処理を実行する。具体的には、撮像部11により撮像される動画像のフレームレートに同期して遮光部12を駆動させることで種々の遮光パターンを形成し、この遮光パターンでレンズ10を遮光した状態で画像を撮像させる。
【0029】
画像処理部14は、周知のマイコンから構成され、ROM等に記憶されたプログラムに基づいて処理を実行する。具体的には、撮像部11から出力される動画像の各画像フレームに対して所定の画像処理を行い、その画像信号を出力する。
【0030】
画像表示部15は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置によって構成され、画像処理部14から出力される動画像の画像信号に基づいて映像を表示する。
[遮光部12の具体例]
つぎに、遮光部12の様々なバリエーションについて、図2〜4に基づき説明する。
【0031】
図2は、遮光部12として液晶パネルを用いた場合の遮光パターンの一例を模式的に示す説明図である。
液晶パネルで構成された遮光部12は、撮像部11による撮像範囲全部をカバーする透光率の高い無色透明のパネル全体に、個々に遮光状態と透光状態を切り替え可能な多数の液晶セグメント(遮光素子)が格子状に配列されており、個々の画素ごとに遮光状態のオン/オフを制御することで、パネル上に表示される遮光区域の位置、形状、面積等を自由に変更できる。
【0032】
そして、図2(a)は、遮光部12に遮光区域が何も表示されていない状態を示している。この状態においては、被写体からの光は全く遮光されないままレンズ10へ入射する。
【0033】
図2(b)は、液晶パネルによる遮光パターンの一例として、撮像範囲の2分の1領域あるいは4分の1領域に矩形の遮光区域を表示した状態を示している。このように、撮像範囲を2等分、4等分、8等分…といった具合に区切った個々の領域ごとに遮光区域を表示し、その領域からレンズ10へ入射する光を遮光することができる。
【0034】
図2(c)は、液晶パネルによる遮光パターンの一例として、円形あるいは方形のスポット状の遮光区域を表示した状態を示している。このようなスポット状の遮光区域を任意の位置に表示することで、視界を極力妨げることなく必要な部分のみを遮光することができる。
【0035】
図2(d)は、液晶パネルによる遮光パターンの一例として、方形の遮光区域とこの遮光区域と同じ形の透明区域とを交互に配置した市松模様の遮光パターンを表示した状態を示している。なお、図2(d)における左右2つの市松模様の遮光パターン同士は、遮光区域が互い違いになるように配置されており、この互い違いの2つの遮光パターンを撮像部11のフレームレートに同期して交互に切り替えて画像を撮像させることができる。
【0036】
つぎに、図3,4は、遮光部12として遮光部材を機械的に駆動する装置を用いた場合の遮光パターンの一例を模式的に示す説明図である。
図3(a)は、機械的に駆動される遮光部材により形成される遮光パターンの一例として、透明の円板上に扇形の遮光区域が配置された遮光パターンを示している。このような遮光パターンを有する円板状の遮光部材をレンズ10の前面側に平行に配置し、円板の中心を軸に回転させる。このとき、回転角を調整して扇状の遮光区域を撮像範囲上の任意の位置へ移動させることで、その位置を遮光することができる。
【0037】
図3(b)は、機械的に駆動される遮光部材により形成される遮光パターンの一例として、透明の円板上に、この円板上の同心円とこの円板を等分する扇形とで囲まれた領域に遮光区域を交互に配置した遮光パターンを示している。このような遮光パターンを有する円板状の遮光部材をレンズ10の前面側に平行に配置し、円板の中心を軸に回転させる。このとき、撮像部11のフレームレートに同期して、円板上に描かれた扇形と同じ角度ずつ一方向に回転、あるいは左右に往復回転させながら画像を撮像することで、画像フレームごとに遮光区域の配置が互い違いとなる状態で撮像された画像を得ることができる。
【0038】
つぎに、図4(a)は、機械的に駆動される遮光部材により形成される遮光パターンの一例として、撮像部11の撮像範囲のおよそ2倍の幅を有する透明の板の中央部に撮像範囲より幅の狭い帯状の遮光区域が配置された遮光パターンを示している。このような遮光パターンを有する遮光部材をレンズ10の前面側に左右に並進移動可能に配置する。そして、この遮光部材を撮像範囲に対して左右に並進移動させて遮光区域の位置を撮像範囲上の任意の位置へ移動させることで、その位置を遮光することができる。
【0039】
つぎに、図4(b)は、機械的に駆動される遮光部材により形成される遮光パターンの一例として、撮像範囲を囲む枠組み内に、この枠組みに沿って左右に並進移動する撮像範囲より幅の狭い帯状の遮光部材が配置された遮光パターンを示している。このような遮光パターンを有する遮光部材をレンズ10の前面側に配置し、帯状の遮光部材自体を撮像範囲に対して左右に並進移動させて撮像範囲上の任意の位置へ移動させることで、その位置を遮光することができる。
【0040】
つぎに、図4(c)は、機械的に駆動される遮光部材により形成される遮光パターンの一例として、方形の遮光区域と、この遮光区域と同じ形の透明区域とを交互に配した市松模様の遮光パターンで撮像範囲を覆う事例を示している。この遮光部材は、撮像範囲の横幅に相当する長さよりも市松模様が横に1列分多く配されおり、撮像部11のフレームレートに同期して遮光部材をこの1列分の幅に相当する距離だけ左右に並進移動させながら画像を撮像することで、画像フレームごとに遮光区域の配置が互い違いとなる画像を得ることができる。
【0041】
[撮像装置1の動作の説明]
つぎに、撮像装置1の動作について、複数の事例を説明する。
(1)フレームレートに同期して遮光区域を連続的に変化させる処理
図5は、フレームレートに同期して遮光区域を連続的に変化させることによって、撮像画像上に出現するフレア等を低減する動作の一連の流れを模式的に示す説明図である。
【0042】
図5(a)は、遮光部12による遮光が行われていない状態で撮像された場合の表示画像の一例を示している。この表示画像上には、例えば車両のヘッドライトや太陽等といった過剰光源が写り込んでおり、その過剰光源の周辺にフレア等が出現している。そして、このフレア等が画像中央付近に存在する人物の像に被っていることで、画像上にて人物の視認性が低下している。
【0043】
図5(b)は、遮光部12における遮光区域の分割例を示す図である。ここでは、遮光部12は、図5(b)に示す(1)〜(8)の各分割区域に対してそれぞれ個別に遮光を施すことができるように構成されている。そして、遮光制御部13は、撮像部11のフレームレートに同期したタイミングにて遮光区域を(1)〜(8)の順に切り替えながら撮像部11に画像を撮像させる。
【0044】
図5(c)は、遮光制御部13による制御によって遮光区域(1)〜(8)を順次切り替えながら撮像された連続する画像フレームの一例を示している。この図5(c)に示すように、N番目の画像フレーム(Nフレーム)では、遮光区域(1)が遮光されており、次のN+1フレームでは、遮光されている部分が遮光区域(1)から(2)へと切り替わっている。以降、N+2番目,N+3番目,N+4番目…と、フレーム番号が進むごとに各画像フレームで遮光されている部分が遮光区域(3),(4),(5)…と順次切り替わっている。
【0045】
ここで、N+3フレームにおいては、遮光区域(4)と過剰光源の位置とがちょうど重なっており、遮光区域(4)によって過剰光源が遮光されているため、画像上にフレア等が出現していない。その結果、本来の被写体である人物の像が、他のフレーム画像よりも鮮明に写っており、視認性が向上している。このように、フレームレートに同期しながら遮光区域を順次切り替えながら複数の画像を撮像することで、過剰光が撮像範囲に入射する位置に遮光区域が重なったときに過剰光を遮光した状態で撮像した画像を得ることができる。
【0046】
(2)遮光区域の配置が互い違いとなる画像フレーム同士を合成する処理
図6は、遮光区域の配置が互い違いとなる2種類の遮光パターンの画像フレーム同士を合成することによって、撮像画像上に出現するフレア等を低減する動作の一連の流れを模式的に示す説明図である。
【0047】
図6(a)は、遮光部12による遮光が行われていない状態で撮像された場合の表示画像の一例を示している。この表示画像上には、例えば車両のヘッドライトや太陽等といった過剰光源が写り込んでおり、その過剰光源の周辺にフレア等が出現している。そして、このフレア等が画像中央付近に存在する人物の像に被っていることで、画像上にて人物の視認性が低下している。
【0048】
図6(b)は、遮光区域の配置が互い違いとなる2種類の市松模様の遮光パターン1,2によってそれぞれ撮像された連続する2つの画像フレーム(Nフレーム、N+1フレーム)の一例を示している。このような連続する画像フレームは、遮光制御部13が、撮像部11のフレームレートに同期したタイミングにて、遮光パターン1,2を交互に切り替えながら撮像部11に画像を撮像させることで得られる。
【0049】
この図6(b)に示すように、遮光パターン1で撮像されたNフレームでは、遮光区域と過剰光源の位置とがちょうど重なっており、この遮光区域によって過剰光源が遮光されているため、画像上にフレア等が出現していない。一方、遮光パターン2で撮像されたN+1フレームでは、Nフレームとは反対に遮光されていない部分に過剰光源が写り込んでおり、その過剰光源の周辺にフレア等が出現している。
【0050】
そして、画像処理部14が実行する後述の画像合成処理によって、この撮像されたNフレームとN+1フレームとを合成することで、図6(c)に示す画像が生成される。具体的には、画像処理部14は、Nフレーム及びN+1フレームから、それぞれの遮光パターンによって遮光されていない部分に該当する分割領域を抽出し、2つの画像から抽出した分割領域をそれぞれ対応する位置に配置した1つの画像を生成する。すなわち、Nフレームから抽出した分割領域とN+1フレームとから抽出した分割領域とを対応する位置に交互に組み合わせることで、2つの画像フレームから遮光領域を除いた画像を合成することができるのである。そして、この合成された画像には、過剰光源を遮光した状態で撮像されたNフレームから抽出した画像が含まれているので、過剰光源を遮光しない状態で撮像した画像と比べてフレア等が低減しており、本来の被写体である人物の視認性が向上している。
【0051】
なお、連続して撮像された画像フレーム同士で画像合成を行うことで、合成対象の画像フレームの撮像間隔が十分に短ければ、この短い撮像間隔における被写体の状況の差異は小さくなるので、合成後の画像上で被写体の歪みを軽減でき、見る者にとって違和感のない画像合成を実現できる。
【0052】
つぎに、図7は、画像処理部14が実行する上述の画像合成処理の手順を示すフローチャートである。
この処理は、画像処理部14が合成対象である2つの連続する画像フレーム(Nフレーム,N+1フレーム)同士を合成する処理であり、撮像部11によって撮像される動画像のフレームレートに同期して、合成対象の画像フレームを順次代えながら繰り返し実行される処理である。
【0053】
画像処理部14は、まず、分割領域番号のカウンタkの値を1にセットする(S101)。なお、本実施形態では、図6(b)に示す市松模様の遮光パターンの個々の升目(すなわち、遮光区域の方形及び遮光されていない範囲の方形)に相当する分割領域の画像フレーム上での位置を分割領域番号によって特定している。また、異なる画像フレーム間で互いに位置が対応する分割領域には同じ分割領域番号が付されている。
【0054】
つぎに、Nフレームにおける分割領域番号kに対応する分割領域DN,Kを参照し、この分割領域DN,KがNフレームにおける遮光区域に該当する領域MNであるか否かを判定する(S102)。ここで、分割領域DN,Kが遮光区域MNであると判定した場合(S102:YES)、N+1フレームから分割領域DN+1,Kを抽出する(S103)。一方、分割領域DN,Kが遮光区域MNでないと判定した場合(S102:NO)、Nフレームから分割領域DN,Kを抽出する(S104)。
【0055】
つぎに、現在のカウンタkの値がAであるか否かを判定する(S105)。ここで、Aとは、画像フレームにおける分割領域の全数である。ここで、カウンタkの値がAではないと判定した場合(S105:NO)、kの値を1つカウントアップし(S106)、S102の処理へ戻る。以降、S102〜S106の処理を順次繰り返すことで、カウンタkの値をカウントアップする。そして、S105でカウンタkの値がAであると判定した場合(S105:YES)、S103及びS104においてそれぞれ抽出した分割領域を分割領域番号順に合成してN´フレームを生成し、このN´フレームの画像信号を出力する(S107)。
【0056】
(3)過剰光源の位置に遮光区域を形成する処理
図8は、撮像画像上に写り込んだ過剰光源の位置に相当する箇所に遮光区域を形成することによって、撮像画像上に出現するフレア等を低減する動作の一連の流れを模式的に示す説明図である。
【0057】
図8(a)は、遮光部12による遮光が行われていない状態で撮像された場合の表示画像の一例を示している。この表示画像上には、例えば車両のヘッドライトや太陽等といった過剰光源が写り込んでおり、その過剰光源の周辺にフレア等が出現している。そして、このフレア等が画像中央付近に存在する人物の像に被っていることで、画像上にて人物の視認性が低下している。
【0058】
そして、遮光制御部13が実行する後述の遮光区域形成処理によって、画像上に写り込んだ過剰光源の位置に該当する箇所に遮光部12(液晶パネル)の液晶セグメント(遮光素子)による遮光区域を形成することで、図8(b)に示す画像が撮像される。具体的には、遮光制御部13は、撮像部11によって撮像された画像フレームを解析し、その画像上に輝度の閾値(上限)を超える部分があれば、遮光部12(液晶パネル)を制御して該当部分に遮光区域を形成させる。このように、フレア等の原因となる過剰光源の位置を特定し、その位置を直接遮光することで、過剰光がレンズ10へ入射するのを防止できる。その結果、過剰光源を遮光しない状態で撮像した画像と比べてフレア等が低減しており、本来の被写体である人物の視認性が向上している。
【0059】
つぎに、図9は、遮光制御部13が実行する上述の遮光区域形成処理の手順を示すフローチャートである。
この処理は、遮光制御部13が撮像部11から出力された画像フレーム上における過剰光源の位置を特定し、その位置に該当する部分に遮光区域を形成する処理であり、撮像部11によって撮像される動画像のフレームレートに同期して、解析対象の画像フレームを順次代えながら繰り返し実行される処理である。
【0060】
遮光制御部13は、まず、画素番号のカウンタj,kの値をそれぞれ1にセットする(S201)。本実施形態では、画像フレームの画素の位置を示すのに二次元座標で示される画素番号を用いている。そして、jは画像フレームの縦方向の画素番号を示し、kは画像フレームの横方向の画素番号を示している。すなわち、カウンタj,kの値がそれぞれ1である場合、画素番号(1,1)の画素を指していることになる。
【0061】
つぎに、解析対象の画像フレームにおける画素番号(j,k)に対応する画素(j,k)を参照し、この画素(j,k)の輝度IJ,Kを検出する(S202)。そして、この検出した輝度IJ,Kと輝度の閾値Imaxとを比較し、IJ,KがImaxよりも大きいか否かを判定する(S203)。なお、輝度の上限となる閾値Imaxは、例えば、レンズ10の特性に応じてフレア等が生じる可能性が高くなる程度の明るさとすることが考えられる。
【0062】
S203で、IJ,KがImaxよりも大きいと判定した場合(S203:YES)、画素(j,k)に対応する遮光部12(液晶パネル)の遮光素子(j,k)を遮光状態にし(S204)、S205の処理へ移行する。なお、本実施形態では、遮光部12(液晶パネル)の遮光素子と、撮像部11の撮像素子の画素(すなわち、画像フレームの画素)とが個々に対応しており、遮光部12(液晶パネル)のある座標の遮光素子を遮光状態にすることで、その座標に対応する撮像素子の画素に対して遮光を施すことができるようになっている。
【0063】
一方、S203で、IJ,KがImax以下であると判定した場合(S203:NO)、S205の処理へ移行する。
つぎに、S205では、現在のカウンタjの値がAであるか否かを判定する。ここで、Aとは、画像フレームの縦方向の画素数である。カウンタjの値がAではないと判定した場合(S205:NO)、jの値を1つカウントアップし(S206)、S202の処理へ戻る。以降、S202〜S206の処理を順次繰り返すこととで、カウンタjの値をカウントアップする。そして、S205でカウンタjの値がAであると判定した場合(S205:YES)、現在のカウンタkの値がBであるか否かを判定する(S208)。ここで、Bとは、画像フレームの横方向の画素数である。カウンタkの値がBではないと判定した場合(S208:NO)、jの値を1にリセットすると共にkの値を1つカウントアップし(S209)、S202の処理へ戻る。
【0064】
以降、S202〜S209の処理を順次繰り返し、その後、S208でカウンタkの値がBであると判定した場合(S208:YES)、当該画像フレームに対する遮光区域形成処理を終了する。
【0065】
(4)遮光区域を徐々に絞り込む処理
図10は、広い範囲を遮光した状態から徐々に遮光区域を絞り込むことによって、撮像画像上に出現するフレア等を低減しつつ可視範囲も確保する動作の一連の流れを模式的に示す説明図である。
【0066】
遮光制御部13は、まず、図10(a)に示すように、撮像範囲全域を中央で左右に2等分した2つの範囲のうち、右側に遮光を施した状態で撮像する画像フレームと、左側に遮光を施した状態で撮像する画像フレームとを、撮像部11のフレームレートに同期して連続して撮像させる。
【0067】
図10(a)に示す事例では、撮像範囲の中央より左側に遮光を施した左図の画像フレームについては、過剰光源が遮光されておりフレア等は出現していない。一方、撮像範囲の中央より右側に遮光を施した右図の画像フレームについては、画像の左上部に過剰光源が写り込んでおり、画像上にフレア等が出現している。ここで、これら2つの画像フレーム同士で画像の明るさを比較すると、必然的に、過剰光源が遮光されている10(a)左図の画像がより暗く、画像上に過剰光源が写り込んでフレア等が出現している図10(a)右図の画像が明るいと判定される。
【0068】
つぎに、図10(a)に示す2つの画像フレームのうち、暗い方の画像フレーム(左図)を撮像したときに施した遮光区域を上下に2等分した2つの範囲のうち、上側に遮光を施した状態で撮像する画像フレームと、下側に遮光を施した状態で撮像する画像フレームとを、撮像部11のフレームレートに同期して連続して撮像させる。このようにして撮像された2つの画像フレームの一例を図10(b)に示す。
【0069】
図10(b)に示す事例では、撮像範囲の左側上部に遮光を施した左図の画像フレームについては、過剰光源が遮光されておりフレア等は出現していない。一方、撮像範囲の左側下部に遮光を施した右図の画像フレームについては、画像の左上部に過剰光源が写り込んでおり、画像上にフレア等が出現している。ここで、これら2つの画像フレーム同士で画像の明るさを比較すると、必然的に、過剰光源が遮光されている図10(b)左図の画像がより暗く、過剰光源が写り込んでフレア等が出現している図10(b)右図の画像が明るいと判定される。
【0070】
つぎに、図10(b)に示す2つの画像フレームのうち、暗い方の画像フレーム(左図)を撮像したときに施した遮光区域を左右に2等分した2つの範囲のうち、左端側に遮光を施した状態で撮像する画像フレームと、左側中央寄りに遮光を施した状態で撮像する画像フレームとを、撮像部11のフレームレートに同期して連続して撮像させる。このようにして撮像された2つの画像フレームの一例を図10(c)に示す。
【0071】
図10(c)に示す事例では、撮像範囲の上部左端側に遮光を施した左図の画像フレームについては、過剰光源が遮光されておりフレア等は出現していない。一方、撮像範囲の上部左側中央寄りに遮光を施した右図の画像フレームについては、画像の左上部に過剰光源が写り込んでおり、画像上にフレア等が出現している。ここで、これら2つの画像フレーム同士で画像の明るさを比較すると、必然的に、過剰光源が遮光されている図10(c)左図の画像がより暗く、過剰光源が写り込んでフレア等が出現している図10(c)右図の画像が明るいと判定される。
【0072】
ここで、図10(c)に示す2つの画像フレームのうち、暗い方の画像フレーム(左図)を画像表示部15に出力すると、画像表示部15に表示される画像は図10(d)に示すようなものになる。この図10(d)の表示画像では、遮光区域によって過剰光源を上手く遮光していると共に、この遮光区域が十分に絞り込まれており、表示画像上で本来の被写体である人物の像を十分に視認可能な程度の視界が確保されている。
【0073】
つぎに、図11は、遮光制御部13が実行する上述の遮光区域絞り込み処理の手順を示すフローチャートである。
この処理は、遮光制御部13が、撮像部11によって撮像される動画像のフレームレートに同期して遮光区域を徐々に絞り込みながら、撮像部11に画像を撮像させる処理である。
【0074】
遮光制御部13は、まず、選択領域Aを全撮像範囲に設定する(S301)。つぎに、最小輝度IMINの初期値を所定の過大値に設定する(S302)。そして、現在の選択領域Aを2等分したうちの一方の領域を、N番目の画像フレーム(以下、Nフレーム)に施す遮光区域MNに設定し、この遮光区域MNを遮光部12に形成させた状態で撮像部11にNフレームを撮像させる(S303)。つづいて、撮像部11によって撮像されたNフレームにおける個々の画素ごと輝度の総和INを算出する(S304)。
【0075】
つぎに、現在の選択領域Aから遮光区域MNを差し引いた残りの領域を、N+1番目の画像フレーム(以下、N+1フレーム)に施す遮光区域MN+1に設定し、この遮光区域MN+1を遮光部12に形成させた状態で撮像部11にN+1フレームを撮像させる(S305)。つづいて、撮像部11によって撮像されたN+1フレームにおける個々の画素ごと輝度の総和IN+1を算出する(S306)。
【0076】
そして、S304及びS306でそれぞれ算出した輝度の総和INとIN+1とを比較し、IN+1がINよりも大きいか否かを判定する(S307)。ここで、IN+1がINよりも大きいと判定した場合(S307:YES)、すなわち、N+1フレームよりもNフレームの方が暗い画像である場合、つぎに、INがIMINよりも小さいか否かを判定する(S308)。INがIMINよりも小さいと判定した場合(S308:YES)、最小輝度IMINの値をINの値に、選択領域AをMNにそれぞれ更新する(S309)。そして、Nの値を2つカウントアップし(S312)、S303の処理へ戻る。以降、新たに設定した選択領域Aを対象に、更に遮光区域を絞り込んで繰り返し撮像を行う。
【0077】
一方、S307でIN+1がIN以下であると判定した場合(S307:NO)、すなわち、NフレームよりもN+1フレームの方が暗い画像である場合、つぎに、IN+1がIMINよりも小さいか否かを判定する(S310)。IN+1がIMINよりも小さいと判定した場合(S310:YES)、最小輝度IMINの値をIN+1の値に、選択領域AをMN+1にそれぞれ更新する(S311)。そして、Nの値を2つカウントアップし(S312)、S303の処理へ戻る。以降、新たに設定した選択領域Aを対象に、更に遮光区域を絞り込んで繰り返し撮像を行う。
【0078】
上述のように、S303〜S312の処理を順次繰り返すことで、遮光区域が徐々に絞り込まれていく。そして、S308でINがIMIN以上であると判定した場合(S308:NO)、Nフレームの画像を出力し(S313)、遮光区域絞り込み処理を終了する。また、S310でIN+1がIMIN以上であると判定した場合(S310:NO)、N+1フレームの画像を出力し(S314)、遮光区域絞り込み処理を終了する。
【0079】
[撮像装置2の構成の説明]
図12は、実施形態の変形例である撮像装置2の概略構成を示すブロック図である。
撮像装置2は、上述の撮像装置1(図1参照)における各部構成に加え、ユーザからの指示を入力するための操作部16を更に備えることを特徴とする。なお、この撮像装置2において、上述の撮像装置1と共通する構成については同じ符号を付し、その説明については省略する。
【0080】
操作部16は、画像表示部15の表示面上に一体に構成されるタッチパネルで構成されており、画像表示部15の表示面の任意の箇所にユーザが触れることで、その位置を遮光制御部13に入力する。遮光制御部13は、操作部16から入力された位置に該当する撮像範囲に対して、遮光部12による遮光を施す。
【0081】
[撮像装置2の動作の説明]
つぎに、撮像装置2の動作について説明する。
図13は、ユーザによって表示画像上で指示された箇所に遮光区域を配置することによって、撮像画像上に出現するフレア等を低減する動作の一連の流れを模式的に示す説明図である。
【0082】
図13(a)は、遮光部12による遮光が行われていない状態で撮像された場合の表示画像の一例を示している。この表示画像上には、例えば車両のヘッドライトや太陽等といった過剰光源が写り込んでおり、その過剰光源の周辺にフレア等が出現している。そして、このフレア等が画像中央付近に存在する人物の像に被っていることで、画像上にて人物の視認性が低下している。
【0083】
ここで、表示画像上に写り込んでいる過剰光源の位置をユーザがタッチパネル上で押下すると、遮光制御部13は、その指示位置に該当する撮像範囲に対して遮光部12による遮光を施す(ユーザ指示による遮光区域形成処理)。
【0084】
例えば、遮光部12が液晶パネルで構成されている場合、図13(b)に示すように、ユーザによって指示された過剰光源の位置にスポット状の遮光区域を形成することが考えられる。このように、ユーザにより指示された位置に遮光区域を形成した画像においては、過剰光源が遮光されておりフレア等は出現していない。なお、遮光部12が形成する遮光区域の大きさは、一定としてもよいし、ユーザの操作に応じて可変としてもよい。遮光区域の大きさ可変とする場合、例えば、ユーザによるタッチパネルの押下が継続した時間に応じて大きさを変化することが考えられる。すなわち、タッチパネルの押下が長く継続した場合、その位置を中心とする大きな遮光区域を形成し、タッチパネルの押下時間が短い場合、その位置を中心とする小さな遮光区域を形成する。あるいは、ユーザがタッチパネル上において指で描いた軌跡で囲まれる領域に相当する撮像範囲に遮光区域を形成するような構成であってもよい。
【0085】
一方、遮光部材を機械的に駆動する装置によって遮光部12が構成されている場合、ユーザによって指示された過剰光源の位置に遮光部材を移動させて遮光を施す。図13(c)に示す事例では、撮像範囲の上下方向に帯状に形成された遮光部材を過剰光源の位置に移動させることで過剰光源を遮光しており、この画像上ではフレア等は出現していない。
【0086】
つぎに、図14は、遮光制御部13が実行するユーザ指示による遮光区域形成処理の手順を示すフローチャートである。
遮光制御部13は、まず、操作部16を介して遮光すべき位置の指示入力があるか否か判定する(S401)。そして、操作部16を介して遮光すべき位置の指示入力があると判定した場合(S401:YES)、指示された位置に該当する撮像範囲に遮光区域を配置する(S402)。具体的には、遮光部12が液晶パネルで構成されている場合、ユーザによって指示された位置に該当する範囲の遮光素子を遮光状態にすることで、スポット状の遮光区域を形成する。あるいは、遮光部材を機械的に駆動する装置によって遮光部12が構成されている場合、ユーザによって指示された過剰光源の位置に遮光部材を移動させて遮光を施す。
【0087】
つぎに、S402で遮光区域を配置してから、所定時間が経過したか否かを判定する(S403)。ここで、所定時間が経過していないと判定した場合(S403:NO)、現状の遮光区域を維持する。そして、所定時間が経過したと判定した場合(S403:YES)、現状の遮光区域を解除し(S404)、ユーザ指示による遮光区域形成処理を終了する。
【0088】
[効果]
上記実施形態の撮像装置によれば、以下のような効果を奏する。
(1)遮光部12によって形成される遮光区域の位置や大きさを変化可能に構成することで、単一方向だけでなく様々な方向から入射する過剰光を遮光できるようになる。そして、図5に示すように、フレームレートに同期して遮光区域を順次変化させながら画像を撮像することで、過剰光が撮像範囲に入射する位置に遮光区域が重なったときに過剰光を遮光した状態で撮像した画像を得ることができる。このように、過剰光を遮光した状態で撮像することで、撮像された画像上に出現するフレア等を低減することができ、本来の被写体の視認性が向上する。
【0089】
(2)図6に示す事例では、遮光区域の配置が互い違いとなる2つの市松模様の遮光パターンを交互に切り替えながら連続する画像フレームを撮像し、このようにして撮像された2つの連続する画像フレーム間で、それぞれ遮光されていない分割領域を対応する位置に組み合わせて1つの合成画像フレームを合成する。このようにすることで、それぞれの画像フレームにおける映像の欠落部分を互いに補完することができる。これにより、フレア等を低減し、かつ遮光区域による画像の欠落のない合成画像フレームを得ることができ、被写体の視認性が向上する。
【0090】
(3)図8に示す事例では、撮像された画像上において過剰輝度の部分を検出し、この検出した過剰輝度部分の位置に対応する撮像範囲上の位置に遮光を施す。このようにすることで、撮像範囲に入射してくる過剰光の方向や規模に応じて、その過剰光を遮光する位置に遮光区域を形成できるので、フレア等を効率的に低減できる。また、遮光部12として液晶パネルを用いる場合、入射してくる過剰光の光束の大きさに応じて遮光区域の大きさを変えることができ、過剰光の規模に対して遮光区域が過大あるいは過小になることがなく、適切な範囲を遮光できる。
【0091】
(4)図10に示す事例では、2等分された遮光区域でそれぞれ撮像された連続する2つの画像フレーム同士で明るさを比較し、より暗い方の画像フレームにおける遮光区域を更に2等分する、といった手順を繰り返すことで、遮光区域を徐々に絞り込む。このようにすることで、撮像範囲中の過剰光源を遮光したまま、遮光区域を徐々に絞り込むことができ、遮光区域が過大になるのを防ぐと共に、被写体の視認性をより向上させることができる。
【0092】
(5)図13に示す事例では、操作部16のタッチパネル上で指示された位置に対応する遮光範囲上の範囲に遮光区域を形成する。このようにすることで、画面上に表示された画像をユーザが視認し、その画像上で過剰光源の位置をユーザが直接指示することができる。そして、ユーザにより指示された部分を遮光することで効果的にフレア等を低減することができる。また、ユーザの指示により遮光区域を形成した後、所定時間経過後に当該遮光区域を解除する。このようにすることで、ユーザの指示により過剰光源を遮光した状態で被写体を視認した後、ユーザ自らその遮光区域を解除する手間を省くことができ、好適である。
【0093】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、様々な態様にて実施することが可能である。
【0094】
例えば、上述の各実施形態においては、本発明を動画像を撮像するための撮像装置(いわゆるデジタルビデオカメラ)に適用した事例について説明した。これ以外にも本発明は、静止画像を撮影するデジタルスチールカメラ等にも適用可能である。
【0095】
また、上記実施形態の撮像装置を車両に搭載する場合、遮光部12に用いられる遮光部材にレンズ面に付着した雨滴を除去する機能を付与し、レンズ用のワイパーとして兼用するような構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】(a)は、撮像装置1の概略構成を示すブロック図であり、(b)は、遮光部12の配置状況を模式的に示す説明図である。
【図2】遮光部12として液晶パネルを用いた場合の遮光パターンの具体例を模式的に示す説明図である。
【図3】遮光部12として遮光部材を機械的に駆動する装置を用いた場合の遮光パターンの一例を模式的に示す説明図である。
【図4】遮光部12として遮光部材を機械的に駆動する装置を用いた場合の遮光パターンの一例を模式的に示す説明図である。
【図5】撮像画像上に出現するフレア等を低減する動作の一連の流れを模式的に示す説明図である。
【図6】遮光区域の配置が互い違いとなる2種類の遮光パターンの画像フレーム同士を合成することによって、撮像画像上に出現するフレア等を低減する動作の一連の流れを模式的に示す説明図である。
【図7】画像合成処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】撮像画像上に写り込んだ過剰光源の位置に相当する箇所に遮光区域を形成することによって、撮像画像上に出現するフレア等を低減する動作の一連の流れを模式的に示す説明図である。
【図9】遮光区域形成処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】広い範囲を遮光した状態から徐々に遮光区域を絞り込むことによって、撮像画像上に出現するフレア等を低減しつつ可視範囲も確保する動作の一連の流れを模式的に示す説明図である。
【図11】遮光区域絞り込み処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】撮像装置2の概略構成を示すブロック図である。
【図13】ユーザによって表示画像上で指示された箇所に遮光区域を配置することによって、撮像画像上に出現するフレア等を低減する動作の一連の流れを模式的に示す説明図である。
【図14】ユーザ指示による遮光区域形成処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0097】
1,2…撮像装置、10…レンズ、11…撮像部、12…遮光部、13…遮光制御部、14…画像処理部、15…画像表示部、16…操作部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズと、
前記レンズから投射される被写体の像を受け、これを画像信号に変換することで画像を撮像する撮像手段と、
被写体と前記レンズとの間に介在し、前記撮像手段による撮像範囲の任意部分を遮光し、かつ、その遮光区域を変更可能に構成された遮光手段と、
前記遮光手段を介して前記撮像手段による撮像範囲上の遮光区域を変化させ、前記撮像手段に遮光区域のそれぞれ異なる複数の画像フレームを撮像させる遮光制御手段と、
前記遮光制御手段による制御に基づいて撮像された画像フレームの画像信号を外部に出力する画像出力手段とを備えること
を特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記遮光手段は、前記撮像手段の撮像範囲における所定部分を遮光する第1の遮光パターンと、前記第1の遮光パターンによる遮光区域の配置と互い違いとなる範囲を遮光する第2の遮光パターンとをそれぞれ形成可能に構成されており、
前記遮光制御手段は、前記第1の遮光パターンで撮像範囲の一部を遮光した状態で撮像する第1の画像フレームと、前記第2の遮光パターンで撮像範囲の一部を遮光した状態で撮像する第2の画像フレームとを前記撮像手段に撮像させ、
さらに、前記第1の画像フレーム及び第2の画像フレームの両画像フレームから、それぞれの遮光パターンによる遮光区域以外の撮像範囲に相当する部分画像をそれぞれ抽出し、この抽出した部分画像を対応する位置に組み合わせて合成画像フレームを生成する画像合成手段を備え、
前記画像出力手段は、前記画像合成手段により生成された合成画像フレームを出力すること
を特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記遮光制御手段は、前記撮像手段から出力される画像信号に基づいて当該画像上において過剰輝度の部分を検出し、前記撮像手段の撮像範囲における当該過剰輝度部分の位置に対応する部分を遮光させるように前記遮光手段の遮光区域を制御すること
を特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記遮光制御手段は、撮像範囲全域を遮光選択範囲の初期設定とし、
(1)前記遮光選択範囲を二等分した各範囲のうちの一方に該当する範囲を遮光した状態で撮像する第1の画像フレームと、他方に該当する範囲を遮光した状態で撮像する第2の画像フレームとを前記撮像手段に撮像させ、
(2)当該撮像された前記第1の画像フレームと前記第2の画像フレームと間で画像の明るさを比較し、
(3)上記(2)における比較の結果に基づき、何れか暗い方の画像フレームに該当する遮光区域を新たな前記遮光選択範囲として設定して、
上記(1)〜(3)の処理を順次繰り返すことで、遮光区域を段階的に絞り込み、
前記画像出力手段は、前記第1の画像フレーム及び前記第2の画像フレームのうち、前記遮光制御手段による上記(2)における比較結果から、何れか暗い方の画像フレームの画像信号を外部に出力すること
を特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の撮像装置において、
前記撮像手段は、所定のフレームレートに沿って連続的に画像を撮像するように構成されており、
前記遮光制御手段は、前記遮光手段による遮光区域の変更を前記フレームレートに同期したタイミングで行うこと
を特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記画像出力手段により出力された画像信号に基づく画像を表示する表示手段と、
前記遮光手段によって遮光すべき位置を前記表示手段に表示された画像に対して指示するための指示入力手段とを更に備え、
前記遮光制御手段は、前記指示入力手段において遮光すべき位置を指示された場合、その指示された画像上の位置に対応する撮像範囲上の所定範囲を前記遮光手段に遮光させること
を特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像装置において、
前記遮光制御手段は、前記指示入力手段において指示された画像上の位置に対応する撮像範囲上の所定範囲に対する遮光を開始してから、所定時間経過後に当該遮光状態を解除すること
を特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載の撮像装置において、
前記遮光手段は、電圧により液晶の偏光角度を変えることで個々に遮光状態と透光状態とを切り替え可能な複数の液晶セグメントが透明なパネル上に格子状に配列した液晶パネルで構成されていること
を特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載の撮像装置において、
前記遮光手段は、遮光部材をレンズ面に沿って機械的に駆動することで任意の範囲を遮光するように構成されていること
を特徴とする撮像装置。
【請求項10】
請求項9に記載の撮像装置において、
前記遮光手段は、前記遮光部材をレンズ面に対して平行に回転あるいは並進移動させて任意の範囲を遮光するように構成されていること
を特徴とする撮像装置。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10の何れか1項に記載の撮像装置に用いられるコンピュータを制御するためのプログラムであって、当該コンピュータを前記遮光制御手段として機能させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項2に記載の撮像装置に用いられるコンピュータを制御するためのプログラムであって、当該コンピュータを前記遮光制御手段及び前記画像合成手段として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
レンズと、
前記レンズから投射される被写体の像を受け、これを画像信号に変換することで画像を撮像する撮像手段と、
被写体と前記レンズとの間に介在し、前記撮像手段による撮像範囲の任意部分を遮光し、かつ、その遮光区域を変更可能に構成された遮光手段と、
前記遮光手段を介して前記撮像手段による撮像範囲上の遮光区域を変化させ、前記撮像手段に遮光区域のそれぞれ異なる複数の画像フレームを撮像させる遮光制御手段と、
前記遮光制御手段による制御に基づいて撮像された画像フレームの画像信号を外部に出力する画像出力手段とを備えること
を特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記遮光手段は、前記撮像手段の撮像範囲における所定部分を遮光する第1の遮光パターンと、前記第1の遮光パターンによる遮光区域の配置と互い違いとなる範囲を遮光する第2の遮光パターンとをそれぞれ形成可能に構成されており、
前記遮光制御手段は、前記第1の遮光パターンで撮像範囲の一部を遮光した状態で撮像する第1の画像フレームと、前記第2の遮光パターンで撮像範囲の一部を遮光した状態で撮像する第2の画像フレームとを前記撮像手段に撮像させ、
さらに、前記第1の画像フレーム及び第2の画像フレームの両画像フレームから、それぞれの遮光パターンによる遮光区域以外の撮像範囲に相当する部分画像をそれぞれ抽出し、この抽出した部分画像を対応する位置に組み合わせて合成画像フレームを生成する画像合成手段を備え、
前記画像出力手段は、前記画像合成手段により生成された合成画像フレームを出力すること
を特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記遮光制御手段は、前記撮像手段から出力される画像信号に基づいて当該画像上において過剰輝度の部分を検出し、前記撮像手段の撮像範囲における当該過剰輝度部分の位置に対応する部分を遮光させるように前記遮光手段の遮光区域を制御すること
を特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記遮光制御手段は、撮像範囲全域を遮光選択範囲の初期設定とし、
(1)前記遮光選択範囲を二等分した各範囲のうちの一方に該当する範囲を遮光した状態で撮像する第1の画像フレームと、他方に該当する範囲を遮光した状態で撮像する第2の画像フレームとを前記撮像手段に撮像させ、
(2)当該撮像された前記第1の画像フレームと前記第2の画像フレームと間で画像の明るさを比較し、
(3)上記(2)における比較の結果に基づき、何れか暗い方の画像フレームに該当する遮光区域を新たな前記遮光選択範囲として設定して、
上記(1)〜(3)の処理を順次繰り返すことで、遮光区域を段階的に絞り込み、
前記画像出力手段は、前記第1の画像フレーム及び前記第2の画像フレームのうち、前記遮光制御手段による上記(2)における比較結果から、何れか暗い方の画像フレームの画像信号を外部に出力すること
を特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の撮像装置において、
前記撮像手段は、所定のフレームレートに沿って連続的に画像を撮像するように構成されており、
前記遮光制御手段は、前記遮光手段による遮光区域の変更を前記フレームレートに同期したタイミングで行うこと
を特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記画像出力手段により出力された画像信号に基づく画像を表示する表示手段と、
前記遮光手段によって遮光すべき位置を前記表示手段に表示された画像に対して指示するための指示入力手段とを更に備え、
前記遮光制御手段は、前記指示入力手段において遮光すべき位置を指示された場合、その指示された画像上の位置に対応する撮像範囲上の所定範囲を前記遮光手段に遮光させること
を特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像装置において、
前記遮光制御手段は、前記指示入力手段において指示された画像上の位置に対応する撮像範囲上の所定範囲に対する遮光を開始してから、所定時間経過後に当該遮光状態を解除すること
を特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載の撮像装置において、
前記遮光手段は、電圧により液晶の偏光角度を変えることで個々に遮光状態と透光状態とを切り替え可能な複数の液晶セグメントが透明なパネル上に格子状に配列した液晶パネルで構成されていること
を特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載の撮像装置において、
前記遮光手段は、遮光部材をレンズ面に沿って機械的に駆動することで任意の範囲を遮光するように構成されていること
を特徴とする撮像装置。
【請求項10】
請求項9に記載の撮像装置において、
前記遮光手段は、前記遮光部材をレンズ面に対して平行に回転あるいは並進移動させて任意の範囲を遮光するように構成されていること
を特徴とする撮像装置。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10の何れか1項に記載の撮像装置に用いられるコンピュータを制御するためのプログラムであって、当該コンピュータを前記遮光制御手段として機能させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項2に記載の撮像装置に用いられるコンピュータを制御するためのプログラムであって、当該コンピュータを前記遮光制御手段及び前記画像合成手段として機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図7】
【図9】
【図11】
【図12】
【図14】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図10】
【図13】
【図2】
【図3】
【図7】
【図9】
【図11】
【図12】
【図14】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図10】
【図13】
【公開番号】特開2010−4450(P2010−4450A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163178(P2008−163178)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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