説明

撮像装置及び制御方法

【課題】 画像の解像度が高い場合の対象物の検出精度を保ちながら、電子ズームにより画像の解像度が低くなっても、対象物の検出を行うこと。
【解決手段】 被写体光学像を電気的な画像信号に変換して順次出力する撮像素子(103)と、当該画像信号の一部を、信号補間により拡大する電子ズーム部(136)と、電子ズーム部により拡大された画像信号により表される画像から、予め設定された対象物を表す画像領域を検出すると共に、当該検出した画像領域が対象物を表している確からしさを表す信頼度を含む情報を検出する顔検出部(126)と、前記信頼度を、電子ズーム部のズーム倍率に応じて異なる第1の信頼度と比較する画像処理回路(106)と、比較した結果、前記検出された信頼度が前記第1の信頼度よりも高い場合に、前記情報を記憶する記憶手段とを有し、ズーム倍率が高い場合に、前記ズーム倍率が低い場合よりも、前記第1の信頼度を低くした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及び制御方法に関し、更に詳しくは、撮像して得た画像から任意の対象物の画像領域を検出可能な撮像装置及び制御方法にする。
【背景技術】
【0002】
従来、画像データから所定の条件を満たす対象を繰り返し検出する機能を有する装置がある。そのような装置の一例として、光電変換素子である固体撮像素子にて画像データを得る撮像装置において次のような装置が提案されている。先ず、得られた画像データの中から形状解析等の手法によって所定の対象物(主被写体)を自動的に検出する。そして、主被写体が検出されると画面でその旨を表示すると共に、検出された主被写体に対して焦点検出エリアを表示し、この焦点検出エリアに対して焦点調節動作を行わせる(例えば、特許文献1を参照)。この撮像装置によれば、画像データ全体から対象物の検出を行うことで、対象物が被写界のどこに存在しようとも、対象物に対して焦点調節動作を行うことができる。
【0003】
また、検出した対象物を追尾するためには、形状解析等の手法による対象物の検出動作を周期的に行う必要がある。そこで、撮像装置の電子ビューファインダ(以下、EVFという)等の表示装置にて、被写体の動きを観察するために画像データを連続的に表示する場合は、対象物の動きに合わせて対象物の検出結果も更新することが望まれる。そこで、周期的に行われる対象物の検出結果を随時更新し、最新の対象物の検出結果を常に表示する処理が行われる。例えば、対象物が検出された場合には、その検出された領域に、検出されたことを示す枠を被写体の画像に重畳させて表示する。
【0004】
【特許文献1】特開2003−107335号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電子ズームにより対象物を含むライブ画像の一部が拡大され、低解像度での表示がなされ、高確率で対象物を検出することが困難な場合に、特許文献1のような技術では以下のような問題が想定される。即ち、EVF上でユーザが対象物を認識できるにも関わらず、対象物が検出されず、また検出されたことを示す枠も重畳表示されず、かつ対象物に対して焦点調節動作が行なわれない可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の撮像装置は、被写体光学像を電気的な画像信号に変換して順次出力する撮像手段と、前記撮像手段から出力された画像信号の一部を、信号補間により拡大する電子ズーム手段と、前記電子ズーム手段により拡大された画像信号により表される画像から、予め設定された対象物を表す画像領域を検出すると共に、当該検出した画像領域が対象物を表している確からしさを表す信頼度を含む情報を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された前記信頼度を、前記電子ズーム手段のズーム倍率に応じて異なる第1の信頼度と比較する比較手段と、前記比較手段により比較した結果、前記検出された信頼度が前記第1の信頼度よりも高い場合に、前記情報を記憶する記憶手段とを有し、前記ズーム倍率が高い場合に、前記ズーム倍率が低い場合よりも、前記第1の信頼度を低くしたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の制御方法は、被写体光学像を電気的な画像信号に変換して順次出力する撮像工程と、前記撮像工程で出力された画像信号の一部を、信号補間により拡大する電子ズーム工程と、前記電子ズーム工程で拡大された画像信号により表される画像から、予め設定された対象物を表す画像領域を検出すると共に、当該検出した画像領域が対象物を表している確からしさを表す信頼度を含む情報を検出する検出工程と、前記検出工程で検出された前記信頼度を、前記電子ズーム手段のズーム倍率に応じて異なる第1の信頼度と比較する比較工程と、前記比較工程において比較した結果、前記検出された信頼度が前記第1の信頼度よりも高い場合に、前記情報を記憶する記憶工程とを有し、前記ズーム倍率が高い場合に、前記ズーム倍率が低い場合よりも、前記第1の信頼度を低くしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像の解像度が高い場合の対象物の検出精度を保ちながら、電子ズームにより画像の解像度が低くなっても、対象物の検出を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
【0010】
本実施の形態における撮像装置1の概略構成について、図1を参照して説明する。
【0011】
101は、光学ズーム手段の一例であるズームレンズ、フォーカスレンズ等を含む撮影レンズ、102は絞り機能を備えたシャッターである。103は、撮像手段の一例として被写体光学像を電気的な画像信号に変換するCCDやCMOSセンサに代表される撮像素子、104は撮像素子103から出力されるアナログ出力をデジタル信号(デジタル画像データ)に変換するA/D変換器である。
【0012】
105は撮像素子103、A/D変換器104、D/A変換器110にクロック信号や制御信号を供給するタイミング発生回路であり、メモリ制御回路109およびシステム制御部107により制御される。
【0013】
106は画像処理回路であり、A/D変換器104からの画像データ或いはメモリ制御回路109からの画像データに対して所定の画素補間処理や色変換処理を行う。また、画像処理回路106は顔検出部126を含み、画像データから顔の検出及び検出した顔の情報の取得を行う。なお、顔検出部126は検出手段の一例であり、人の顔を検出の対象物とした場合の構成である。
【0014】
顔の検出技術としては、例えば、ニューラルネットワークに代表される学習を用いる方法や、目や鼻といった物理的な形状の特徴のある部位を画像領域からテンプレートマッチングにより検出する手法がある。他にも、肌の色や目の形といった画像特徴量を検出し、統計的解析を用いる手法が挙げられる(例えば、特開平10−232934号公報や特開2000−48184号公報等を参照)。
【0015】
本実施の形態では、一対の目(両目)、鼻、口を検出し、これらの相対位置より人物の顔を示す画像領域(以下、「顔領域」と呼ぶ。)を決定する方法により顔検出処理を行うものとして説明する。この方法では、検出の対象となる人物が片目を閉じていたり、不意に余所見をして横向きになった場合には、基準となる一対の目が存在しないために顔領域の検出ができなくなる。また、顔の情報とは、顔の有無、検出された場合の顔としての確からしさの指標である信頼度、顔の位置、サイズ等が含まれる。図2は、この検出方法における信頼度の基準の一例を示す。図2では、信頼度の数字が少ない方が、より信頼度が高いことを示している。なお、信頼度の基準は図2に示す例に限られるものではないことは言うまでもない。
【0016】
更に、画像処理回路106は、電子ズーム手段の一例として電子ズーム部136を含む。電子ズーム部136は、操作部113を介して撮影者からズームレンズによるズーム倍率の限界を超えてズーム倍率を高くする指示があった場合に、指示されたズーム倍率に応じて画像信号の一部を信号補間して拡大する。
【0017】
また、画像処理回路106においては、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行う。そして、得られた演算結果に基づいてシステム制御部107が、合焦制御としてAF(オートフォーカス)処理、及び、露出制御としてAE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理を行う。更に、AWB(オートホワイトバランス)処理も行う。
【0018】
A/D変換器104から出力されたデジタル画像データが、画像処理回路106及びメモリ制御回路109を介して、或いはA/D変換器104から直接メモリ制御回路109を介して、画像メモリ108、あるいは画像表示メモリ111に書き込まれる。
【0019】
108は撮影した静止画像や動画像を格納するための画像メモリであり、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像を格納するのに十分な記憶容量を備えている。これにより、複数枚の静止画像を連続して撮影する連射撮影やパノラマ撮影の場合にも、高速かつ大量の画像書き込みをメモリ108に対して行うことが可能となる。また、メモリ108はシステム制御部107の作業領域としても使用することが可能である。
【0020】
111は画像表示メモリであり、画像表示メモリ111に書き込まれた表示用の画像データはD/A変換器110を介して表示部112に表示される。表示部112は、システム制御部107の指示により任意に表示をON/OFFすることが可能であり、表示をOFFにした場合には撮像装置1の電力消費を大幅に低減することができる。
【0021】
113は、シャッターボタンに代表される各種スイッチ、モードダイヤルやスライダ等の操作部材、ズーム倍率を指示するための操作部材、表示部112を利用したソフトスイッチなどを含む操作部である。操作部113を用いて入力されたユーザーの指示がシステム制御部107に送られる。なお、本実施の形態ではシャッターボタンは公知の2段式のシャッターボタンとし、シャッターボタンの第1ストローク(例えば半押し)によりシャッタースイッチSW1がONとなり、AF処理、AE処理、AWB処理、EF処理等の動作開始が指示される。また、シャッターボタンの第2ストローク(例えば全押し)によりシャッタースイッチSW2がONとなり、露光処理、現像処理、及び記録処理からなる一連の処理の動作開始が指示される。また、操作部113により、撮像された画像から顔の検出を行う顔検出モードを設定することができる。
【0022】
<第1の実施形態>
次に、本願発明の第1の実施形態における上記構成を有する撮像装置1の撮像モード時の動作について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0023】
ステップS101において電池投入により電源を入れた後、システム制御部107は撮像装置1が動作可能な各種モードの内、設定されているモードを確認し(ステップS102)、撮像モードが設定されているかどうかを判断する(ステップS103)。撮像モード以外のモードでは以下に説明する処理は行わないので、本第1の実施形態ではステップS102に戻って設定されているモードの確認及び撮像モードが設定されたかどうかの判断を繰り返す。
【0024】
撮像モードが設定されると、表示部112がOFFであればONにし(ステップS104)、ライブ画像の表示(EVF表示)を開始する(ステップS105)。なお、ライブ画像の表示は、所定周期でフレーム画像を撮像素子103から読み込み、順次表示部112に表示することにより行われる。
【0025】
次に、システム制御部107は操作部113により顔検出モードが設定されているか否かを判別する(ステップS106)。顔検出モードが設定されている場合、顔検出部126は、ライブ画像の表示用に所定周期で撮影されたフレーム画像に顔が存在するか否かを定期的に調べる(ステップS107)。顔検出は、ライブ画像用に撮影された全てのフレーム画像に対して行う必要は無く、任意に設定された周期で行う。そして、フレーム画像を調べる度に、顔の有無も含め、顔が検出された場合には検出された顔に関する情報を出力し、記憶し、随時更新する(ステップS108)。
【0026】
フレーム画像内に顔が検出された場合、顔領域を枠で表示させることができるが、本第1の実施形態では、検出された顔領域の枠を表示する条件が設定されている。その条件とは、ステップS108で取得した顔の情報(顔の有無、信頼度、位置、サイズ等)の内の所定の値が予め設定された閾値内に包含されていることである。ここで、顔領域を枠で表示させる条件の一例について説明する。
【0027】
顔検出時に出力される信頼度は、ズームレンズによる光学ズーム時と電子ズーム部136による電子ズーム時とではかなり異なる。これは、電子ズーム時は光学ズーム時に比べ解像度が低くなる関係で高い信頼度での顔検出が困難であるためで、いかなるズーム倍率でも顔領域を枠で表示させる条件を一律にしてしまうと、以下のようなことが起こる。
【0028】
例えば、電子ズーム時を基準とした低い信頼度でも顔領域を枠で表示させるように設定した場合、高解像度でライブ画像が表示される光学ズーム時に、顔領域の枠表示条件を満たす低信頼度の領域が顔ではないという状況が起こり得る。逆に、光学ズーム時を基準とした高い信頼度をもって顔領域が検出された場合にのみ顔領域の枠表示を実行するように設定すると、電子ズーム時にはほとんど顔領域の枠が表示されなくなる。例えば、図5(a)に示すような顔検出結果が得られた場合、図5(b)に示すように光学ズーム時には高信頼度(信頼度1)の顔領域の回りに枠が表示されるが、低信頼度(信頼度8)の顔領域の回りには枠が表示されない。更に低信頼度(信頼度8)の顔領域を中心に電子ズームを行った場合、図5(c)に示すように、低信頼度(信頼度8)の顔領域の回りには枠が表示されない。
【0029】
そこで、本第1の実施形態では、ズーム倍率に応じて、顔領域の枠表示条件を異なるものとし、ズーム倍率が高い場合ほど低い信頼度であっても検出された顔領域の枠表示を実行するようにする。なお、ズームレンズによる光学ズームと電子ズーム部136による電子ズームとでは光学ズームを優先するものとする。例えばズーム倍率を上げる場合には、先ず光学ズームによるズームを行い、光学ズームで指定されたズーム倍率を達成できない場合に、電子ズームによるズームに移行する。この条件設定の一例を図4に示すが、本発明はこれに限られるものではない。
【0030】
このようにズーム倍率に応じて顔領域の枠表示条件を変えることにより、適した顔領域の枠表示を行うことが可能となる。例えば、図6(a)に示すように低信頼度(信頼度8)の顔領域を中心に電子ズームを行った場合、電子ズーム倍率が所定倍率(図4では5倍)を超えていれば、図6(c)に示すように、信頼度が低くても、図6(c)のように、顔領域の枠が表示される。電子ズームにより被写体を拡大する場合には、撮影者は撮影対象の被写体を拡大することを目的としていると考えられ、顔検出モードに設定されている状況において、拡大された画像内に被写体である顔が存在している可能性は高い。従って、電子ズームによるズーム倍率が高い場合に枠表示条件として信頼度を低くすることにより、より適した枠表示を行うことが可能となる。
【0031】
図3の動作シーケンスに戻り、画像処理回路106は、ステップS108で取得した信頼度及び現在のズーム倍率から、ステップS109で図4に示す枠表示条件を満たしているかどうかを、信頼度と枠表示条件との比較により判断する。図4に示すように、枠表示条件は光学ズーム及び電子ズームの倍率によって異なる信頼度の閾値(それぞれ、第2の信頼度及び第1の信頼度)を示しており、画像処理回路106はここでは比較手段としての役割も果たす。条件を満たしている(即ち、信頼度が枠表示条件として規定された信頼度よりも高い)場合には、ライブ画像が表示されているEVF上に、検出された顔領域を示す枠を重畳表示する(ステップS110)と共に、顔が検出された旨を表示する。更に、枠表示を行った顔領域の情報は、撮像装置1内の不図示の記憶手段に記憶、更新される。
【0032】
一方、ステップS109で図4に示す枠表示条件を満たしていない(即ち、信頼度が枠表示条件として規定された信頼度よりも低い)と判断されると枠の表示は行わず、そのままステップS111に進む。
【0033】
また、ステップS107において顔が存在しないと判断された場合には、上述したステップS107からS110の処理は行わずに、ステップS111に直接進む。
【0034】
ステップS111では、シャッタースイッチSW1が押下されたかどうかを判断する。押下されていなければステップS106に戻り、顔検出モードが設定されていれば、ライブ画像用に所定周期で新たに読み込まれたフレーム画像に対して上述した処理を実行する。
【0035】
シャッタースイッチSW1が押下されると(ステップS111でYES)、随時更新されてきた顔領域の情報の内、最新のものを用いて顔領域を示す枠を表示するか否かを判別する(ステップS112)。図4に示す枠表示条件を満たしていない場合は、撮像素子103から読み取った全画素の画像信号を用いたAF処理、TTL方式のAE処理、EF処理を実行する(ステップS114)。
【0036】
一方、枠表示条件を満たしている場合は、ライブ画像上(EVF表示中)に顔領域を示す枠を表示する(ステップS113)。そして、枠表示された顔領域に焦点を合わせるAF処理及び、顔領域をもとに絞り値及びシャッター速度を決定するTTL方式のAE処理、EF処理を実行する(ステップS115)。
【0037】
ステップS114またはS115におけるAF、AE処理後、シャッタースイッチSW2が押下されたか否か判別する(ステップS116)。押下されていない場合は再びシャッタースイッチSW1が押下された状態か否かを判別する(ステップS119)。押下されていない場合はステップS106に戻って、上述した一連の動作を繰り返す。シャッタースイッチSW2が押下された場合は、撮像素子103が光学像を電気的な画像信号に変換し、後段の各構成により上述した処理が実行され(ステップS117)、画像が生成されて出力される(ステップS118)。その後、ステップS106に戻る。
【0038】
なお、ステップS106にて顔検出モードが設定されていない場合は、顔の検出を行わずに、ライブ画像の表示を行い(ステップS120)、ユーザがシャッタースイッチSW1を押下していなければ(ステップS121でNO)ステップS106に戻る。ユーザがシャッタースイッチSW1を押下すると(ステップS121でYES)、撮像素子103から画像信号を読み出し、読み出した全画素の画像信号を用いて、AF処理、TTL方式のAE処理、EF処理を実行する(ステップS114)。その後、上述したステップS116へ進む。
【0039】
なお、上記説明では、枠表示条件に基づいて、検出した顔領域を示す枠を表示するかどうかを判断すると共に、枠表示した顔領域をAF処理、AE処理等の処理に用いるかどうかについて説明した。即ち、ここで言う枠表示条件は、検出した顔領域が実際に顔であるかどうかを判定するための基準を示すものである。従って、本第1の実施形態の特徴は検出した顔領域の枠を表示するか否かというよりも、むしろ、検出した顔領域を、その後の処理において顔として扱うかどうかを、ズーム倍率と信頼度に応じて判断するところにある。
【0040】
上記の通り本第1の実施形態によれば、ズーム倍率と検出された顔領域の信頼度とから、検出された顔領域をその後の処理に用いるか否かをより的確に判断することが可能となる。
【0041】
また、枠表示条件を満たす顔領域に枠を表示することにより、撮影者は顔領域の検出の有無が一目で分かるため、顔領域に適したAF処理やAE処理等が行われる、または行われたか否かを知ることが可能となる。
【0042】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態おける撮像装置1の撮像時の動作について、図7のフローチャートを参照して説明する。なお、図7において、図3と同様の処理には同じ参照番号を付して説明を省略し、第1の実施形態と異なる部分について主に説明を行う。
【0043】
ステップS211おいて電子ズームがオンの状態になるまで、ステップS111を介して第1の実施形態で上述したステップS106〜S110の処理を繰り返す。ここでは先ず、参照する枠表示条件の初期条件として、第1の実施形態で説明した図4に示すものとする。そして、撮影者の操作部113によりズーム倍率が変更され、光学ズームから電子ズームに移行する倍率になったかどうかを判定する(ステップS211)。移行する場合には(電子ズームON)、電子ズームがオンになる直前に光学ズームによるズーム倍率で得られたフレーム画像で顔が検出されたか否かを、顔の検出結果を随時記憶した記憶手段から判別する(ステップS212)。
【0044】
顔の存在が確認された場合にはステップS213に進んで、枠検出条件として図4に示す条件を設定する。一方、確認されなかった場合はステップS214に進み、例えば、図8に示す枠検出条件を設定する。
【0045】
上述した第1の実施形態では、ズーム倍率が高くなるにつれ、顔としての確からしさの指標である信頼度がより低い場合でもライブ画像上(EVF表示中)に顔領域を示す枠を表示することを説明した。しかし、この方法では、電子ズーム領域であって、かつフレーム画像内に顔が存在しない場合に、顔でないものを顔として判断し、枠表示をしてしまう可能性がある。
【0046】
そこで、本第2の実施形態では、電子ズームがオンになる直前のフレーム画像内に顔が存在していないことが顔の検出結果から確認された場合、顔領域の枠表示条件をズーム倍率に関わらず、例えば図8に示すように一律にする。このとき、光学ズーム時、電子ズーム時とも顔としての確からしさの指標である信頼度がかなり高い場合にのみ、ライブ画像上(EVF表示中)に顔領域の枠を表示する。
【0047】
顔領域の枠表示条件の切り替え後は、ステップS111を介して、ステップS106に戻り、参照する枠表示条件が異なる(図4か図8か)以外は、上述した処理を繰り返す。
【0048】
上記の通り本第2の実施形態によれば、電子ズームがオンになった時にフレーム画像に顔領域が存在しない可能性が高い場合に、枠表示条件を甘くしたために起こる顔領域の誤判断を削減することが可能となる。更に、検出された顔領域の信頼度が十分に高い場合には、顔領域として判定することができるため、顔領域の判断をより適切に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態における撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における、顔検出結果の信頼度の基準を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における撮像時の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態における枠表示条件を示す図である。
【図5】従来の電子ズームがオン時のEVF表示例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態における、電子ズームがオン時のEVF表示例を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態における撮像時の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態における枠表示条件を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 撮像装置
101 撮影レンズ
102 シャッター
103 撮像素子
104 A/D変換器
105 タイミング発生回路
106 画像処理回路
107 システム制御部
108 画像メモリ
109 メモリ制御回路
110 D/A変換器
111 メモリ
112 表示部
113 操作部
126 顔検出部
136 電子ズーム部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体光学像を電気的な画像信号に変換して順次出力する撮像手段と、
前記撮像手段から出力された画像信号の一部を、信号補間により拡大する電子ズーム手段と、
前記電子ズーム手段により拡大された画像信号により表される画像から、予め設定された対象物を表す画像領域を検出すると共に、当該検出した画像領域が対象物を表している確からしさを表す信頼度を含む情報を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記信頼度を、前記電子ズーム手段のズーム倍率に応じて異なる第1の信頼度と比較する比較手段と、
前記比較手段により比較した結果、前記検出された信頼度が前記第1の信頼度よりも高い場合に、前記情報を記憶する記憶手段とを有し、
前記ズーム倍率が高い場合に、前記ズーム倍率が低い場合よりも、前記第1の信頼度を低くしたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記情報は、前記画像領域の位置及びサイズを更に含み、前記比較手段により比較した結果、前記検出された信頼度が前記第1の信頼度よりも高い場合に、前記情報に基づいて、前記検出した画像領域を示す枠を、前記撮像手段から出力された画像信号の画像に重畳して表示する表示手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
ズームレンズを用いて画角を変更する光学ズーム手段を更に有し、
前記電子ズーム手段により拡大が行われていない場合に、
前記検出手段は、前記撮像手段から出力された画像信号により表わされる画像から、予め設定された対象物を表す画像領域を検出すると共に、当該検出した画像領域が対象物を表している確からしさを表す信頼度を含む情報の検出を行い、
前記比較手段は前記検出手段により検出された前記信頼度を、予め設定された第2の信頼度と比較し、
前記第2の信頼度は、前記第1の信頼度よりも高いことを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記光学ズーム手段から前記電子ズーム手段にズーム倍率の制御を移行する場合に、前記移行後に用いる前記第1の信頼度を決定する決定手段を更に有し、
前記決定手段は、前記移行の直前に検出された画像領域の信頼度が前記第2の信頼度よりも低い場合、または、前記検出手段により対象物を表す画像領域が検出できなかった場合に、前記電子ズーム手段によるズーム倍率に関わらず、前記第1の信頼度を前記第2の信頼度と同じ信頼度に決定することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記比較手段により比較した結果、前記検出された信頼度が前記第1の信頼度よりも高い場合に、前記画像領域の画像信号を用いて合焦制御及び露出制御を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記比較手段により比較した結果、前記検出された信頼度が前記第2の信頼度よりも高い場合に、前記画像領域の画像信号を用いて合焦制御及び露出制御を行うことを特徴とする請求項3または4に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記対象物は、人の顔であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
被写体光学像を電気的な画像信号に変換して順次出力する撮像工程と、
前記撮像工程で出力された画像信号の一部を、信号補間により拡大する電子ズーム工程と、
前記電子ズーム工程で拡大された画像信号により表される画像から、予め設定された対象物を表す画像領域を検出すると共に、当該検出した画像領域が対象物を表している確からしさを表す信頼度を含む情報を検出する検出工程と、
前記検出工程で検出された前記信頼度を、前記電子ズーム手段のズーム倍率に応じて異なる第1の信頼度と比較する比較工程と、
前記比較工程において比較した結果、前記検出された信頼度が前記第1の信頼度よりも高い場合に、前記情報を記憶する記憶工程とを有し、
前記ズーム倍率が高い場合に、前記ズーム倍率が低い場合よりも、前記第1の信頼度を低くしたことを特徴とする制御方法。
【請求項9】
前記情報は、前記画像領域の位置及びサイズを更に含み、前記比較工程において比較した結果、前記検出された信頼度が前記第1の信頼度よりも高い場合に、前記情報に基づいて、前記検出した画像領域を示す枠を、前記撮像工程で出力された画像信号の画像に重畳して表示する表示工程を更に有することを特徴とする請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
ズームレンズを用いて画角を変更する光学ズーム工程と、
前記電子ズーム手段により拡大が行われていない場合に、前記撮像工程で出力された画像信号により表わされる画像から、予め設定された対象物を表す画像領域を検出すると共に、当該検出した画像領域が対象物を表している確からしさを表す信頼度を含む情報を検出する第2の検出工程と、
前記第2の検出工程で検出された前記信頼度を、予め設定された第2の信頼度と比較する第2の比較工程とを有し、
前記第2の信頼度は、前記第1の信頼度よりも高いことを特徴とする請求項8または9に記載の制御方法。
【請求項11】
前記光学ズーム工程から前記電子ズーム工程にズーム倍率の制御を移行する場合に、前記移行後に用いる前記第1の信頼度を決定する決定工程を更に有し、
前記決定工程では、前記移行の直前に前記第2の検出工程で検出された画像領域の信頼度が前記第2の信頼度より低い場合、または、前記第2の検出工程により対象物を表す画像領域が検出できなかった場合に、前記電子ズーム工程でのズーム倍率に関わらず、前記第1の信頼度を前記第2の信頼度と同じ信頼度に決定することを特徴とする請求項10に記載の制御方法。
【請求項12】
前記比較工程において比較した結果、前記検出された信頼度が前記第1の信頼度よりも高い場合に、前記画像領域の画像信号を用いて合焦制御及び露出制御を行うことを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項13】
前記第2の比較工程において比較した結果、前記検出された信頼度が前記第2の信頼度よりも高い場合に、前記画像領域の画像信号を用いて合焦制御及び露出制御を行うことを特徴とする請求項10または11に記載の制御方法。
【請求項14】
前記対象物は、人の顔であることを特徴とする請求項8乃至13のいずれか1項に記載の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−211528(P2008−211528A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−46297(P2007−46297)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】