説明

撮像装置

【課題】フラッシュ発光時の画質制御精度を向上させた撮像装置を提供することを目的とする。
【解決手段】デジタルカメラ100は、被写体に対して閃光を発するフラッシュ160と、被写体像を撮像して画像情報を生成するCCDイメージセンサ120と、画像情報を複数の領域に分割するBM積算回路170と、フラッシュ160が閃光しているときにCCDイメージセンサ120が生成した画像情報からBMデータBM1を取得し、フラッシュ160が閃光していないときにCCDイメージセンサ120が生成した画像情報からBMデータBM0を取得する画像処理部122と、分割された領域において、BMデータBM1とBMデータBM0のそれぞれが示す値の差が所定範囲に含まれる領域が画像情報に占める度合に応じて被写体に対する閃光の到達度を判定するコントローラ130と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置に関し、特にフラッシュ発光する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被写体の明るさを補うためにフラッシュ発光させるフラッシュ発光装置を搭載したカメラが普及している。このようなカメラにおいて例えば、特許文献1は、フラッシュ発光を用いて主要被写体領域を判定するカメラを開示している。特許文献1に開示のカメラは、フラッシュ発光有りとフラッシュ発光なしの2回の撮影を行い、それぞれの画面内の対応する部分の輝度差が予め定められた閾値よりも大きく、かつ所定面積以上の大きさをもつ高輝度領域を調べて、主要被写体領域を判定する。高輝度領域が複数存在する場合には、画面の中心位置に近い領域又は、面積が最も大きい領域を主要被写体領域と判定する。これにより、誤判定が少ない主要被写体領域判定機能をもつカメラを提供できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−135184公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらこのような従来の撮像装置は、主要被写体領域の判定に主眼が置かれており、フラッシュ発光時の画質制御精度については考慮されていなかった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、フラッシュ発光時の画質制御精度を向上させた撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の撮像装置は、被写体に対して閃光を発する閃光部と、被写体像を撮像して画像情報を生成する撮像部と、画像情報を複数の領域に分割する画像分割部と、閃光部が閃光しているときに撮像部が生成した画像情報から第一の情報を取得し、閃光部が閃光していないときに撮像部が生成した画像情報から第二の情報を取得する取得部と、分割された領域において、第一の情報と第二の情報のそれぞれが示す値の差が所定範囲に含まれる領域が画像情報に占める度合に応じて被写体に対する閃光の到達度を判定する判定部と備える。
【0007】
従って、本発明の撮像装置は、閃光部が閃光しているときの撮像部が生成した画像情報から取得した第一の情報と、閃光部が閃光していないときに撮像部が生成した画像情報から取得した第二の情報のそれぞれが示す値の差が所定範囲に含まれる領域が画像情報に占める度合いに応じて被写体に対する閃光の到達度を判定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フラッシュ発光時の画質制御精度を向上させた撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1に係るデジタルカメラ100の前面構成図
【図2】実施の形態1に係るデジタルカメラ100の背面構成図
【図3】実施の形態1に係るデジタルカメラ100の電気的構成図
【図4】実施の形態1に係るBM積算回路170の機能の概要を説明するための図
【図5】実施の形態1に係る発光要否判断フローチャート
【図6】実施の形態1に係るフラッシュ到達判断フローチャート
【図7】実施の形態1に係るブロック毎の重み付けを説明するための図
【図8】実施の形態1に係る主要被写体ブロックを説明するための図
【図9】実施の形態1に係るフラッシュ不到達度算出を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施の形態1〕
実施の形態1のデジタルカメラ100は、フラッシュ発光しているときと、フラッシュ発光していないときとの輝度差が所定範囲に含まれる領域の、全体に占める割合に応じて、被写体に対するフラッシュ到達度判定を行う。以下、デジタルカメラ100の構成および動作を説明する。
【0011】
〔1.構成〕
以下図を用いてデジタルカメラ100の構成を説明する。
【0012】
〔1−1.デジタルカメラ100の構成〕
図1は、デジタルカメラ100の前面構成図である。デジタルカメラ100は前面に光学系110を納める鏡筒や、フラッシュ160を備える。また、デジタルカメラ100は上面にレリーズ釦201やズームレバー202、電源釦203などの操作釦を備える。
【0013】
図2は、デジタルカメラ100の背面構成図である。デジタルカメラ100は背面に液晶モニタ123や、中央釦204や十字釦205などの操作釦を備える。
【0014】
図3は、デジタルカメラ100の電気的構成図である。デジタルカメラ100は、光学系110を介して形成された被写体像をCCDイメージセンサ120で撮像する。CCDイメージセンサ120は撮像した被写体像に基づく画像情報を生成する。撮像により生成された画像情報は、AFE(アナログ・フロント・エンド)121や画像処理部122において各種処理が施される。生成された画像情報はフラッシュメモリ142やメモリカード140に記録される。フラッシュメモリ142やメモリカード140に記録された画像情報は、使用者による操作部150の操作を受け付けて液晶モニタ123上に表示される。以下で、図1から図3に示す各構成の詳細を説明する。
【0015】
光学系110は、フォーカスレンズ111やズームレンズ112、絞り113、シャッタ114等により構成される。図示していないが、光学系110は、光学式手ぶれ補正レンズOIS(Optical Image Stabilizer)を含んでいてもよい。なお、光学系110を構成する各種レンズは何枚から構成されるものでも、何群から構成されるものでもよい。
【0016】
フォーカスレンズ111は被写体のフォーカス状態の調節に用いられる。ズームレンズ112は被写体の画角の調節に用いられる。絞り113は、CCDイメージセンサ120に入射する光量の調節に用いられる。シャッタ114は、CCDイメージセンサ120に入射する光の露出時間を調節する。フォーカスレンズ111、ズームレンズ112、絞り113、シャッタ114は、それぞれに対応したDCモータやステッピングモータ等の駆動手段により、コントローラ130から通知された制御信号に従って駆動される。
【0017】
CCDイメージセンサ120は、光学系110を通して形成された被写体像を撮像して画像情報を生成する。CCDイメージセンサ120の受光面には多数のフォトダイオードが2次元的に配列されている。また、各フォトダイオードに対応してR、G、Bの原色カラーフィルターが所定の配列構造で配置されている。撮像対象となる被写体からの光は、光学系110を通過した後に、CCDイメージセンサ120の受光面に結像される。結像された被写体像は、各フォトダイオードへ入射した光量に応じてR、G、Bに仕分けられたそれぞれの色情報に変換される。その結果、被写体像を示す全体の画像情報が生成される。各フォトダイオードは、CCDイメージセンサ120の画素に対応する。しかし、各フォトダイオードから実際に出力される色情報は、R、G、Bのいずれかの原色情報である。そのため、各画素のそれぞれで発現させるべき色は、後段の画像処理部122において、各画素に対応するフォトダイオードおよび、その周辺のフォトダイオードから出力される原色情報(色、光量)に基づき生成される。なお、CCDイメージセンサ120は、デジタルカメラ100が撮影モードにあるとき、一定時間ごとに新しいフレームの画像情報を生成することができる。
【0018】
AFE121では、CCDイメージセンサ120から読み出された画像情報に対して相関二重サンプリングによる雑音抑圧、アナログゲインコントローラによるA/Dコンバータの入力レンジ幅への増幅、A/DコンバータによるA/D変換が施される。その後、AFE121は画像情報を画像処理部122に出力する。
【0019】
画像処理部122は、AFE121から出力された画像情報に対して各種の処理を施す。各種処理としては、BM(ブロックメモリ)積算、スミア補正、ホワイトバランス補正、ガンマ補正、YC変換処理、電子ズーム処理、圧縮処理、伸張処理等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。画像処理部122は、ハードワイヤードな電子回路で構成してもよいし、プログラムを用いたマイクロコンピュータなどで構成してもよい。またコントローラ130などとともに1つの半導体チップで構成してもよい。
【0020】
BM積算回路170は、入力された画像情報に対してBMデータを生成するために、画像処理部122が有する回路である。図4は、BM積算回路170の機能の概要を説明する図である。図4(a)に示すように、BM積算回路170は、入力された同一フレームの画像情報を、例えば、縦12×横12の144個のブロックに分割する。ここで、図4(b)に示すように、分割された各ブロックは、R,G,Bの各原色情報をブロック内に含まれる画素数分有する。続いて、BM積算回路170は、各ブロックにおいて、ブロック内に含まれる画素数分のR,G,Bの各チャネルの値を積算し、ブロック内のR,G、Bの平均値を算出する。この算出されたブロック内のR,G、Bの平均値を、以下の説明においてBMデータと呼ぶことにする。算出されたBMデータは、ブロック毎にメモリ(不図示)に格納され、必要に応じて取り出される。以上のようにして、BM積算回路170は、分割した144個のブロックのそれぞれにおいてBMデータを生成する。
【0021】
液晶モニタ123は、デジタルカメラ100の背面に備わる。液晶モニタ123は、画像処理部122にて処理された画像情報に基づく画像を表示する。液晶モニタ123が表示する画像には、スルー画像や記録画像がある。スルー画像は、CCDイメージセンサ120により一定時間ごとに生成される新しいフレームの画像を連続して表示する画像である。通常は、デジタルカメラ100が撮影モードにあるときに、画像処理部122がCCDイメージセンサ120の生成した画像情報からスルー画像を生成する。使用者は、液晶モニタ123に表示されるスルー画像を参照することにより、被写体の構図を確認しながら撮影できる。記録画像は、デジタルカメラ100が再生モードにあるときに、メモリカード140等に記録された高画素の画像を液晶モニタ123に表示するために低画素に縮小した画像である。メモリカード140に記録される高画素の画像情報は、使用者によるレリーズ釦201の操作を受け付けた後に、CCDイメージセンサ120が生成した画像情報に基づいて画像処理部122により生成される。
【0022】
コントローラ130は、デジタルカメラ100全体の動作を統括制御する。コントローラ130は、プログラム等の情報を格納するROMや、プログラム等の情報を処理するCPUなどにより構成される。ROMは、オートフォーカス制御(AF制御)や自動露出制御(AE制御)、フラッシュ160の発光制御に関するプログラムの他、デジタルカメラ100全体の動作を統括制御するためのプログラムを格納している。
【0023】
コントローラ130は、ハードワイヤードな電子回路で構成してもよいし、マイクロコンピュータなどで構成してもよい。また、画像処理部122などと共に1つの半導体チップで構成してもよい。また、ROMはコントローラ130の内部構成である必要はなく、コントローラ130の外部に備わったものでもよい。
【0024】
バッファメモリ124は、画像処理部122やコントローラ130のワークメモリとして機能する記憶手段である。バッファメモリ124はDRAM(Dynamic Random Access Memory)などで実現できる。また、フラッシュメモリ142は、画像情報等を記録するための内部メモリとして機能する。
【0025】
カードスロット141は、メモリカード140を着脱可能な接続手段である。カードスロット141は、メモリカード140を電気的及び機械的に接続可能である。また、カードスロット141は、メモリカード120を制御する機能を備えてもよい。
【0026】
メモリカード140は、内部にフラッシュメモリ等の記録部を備えた外部メモリである。メモリカード140は、画像処理部122で処理される画像情報などのデータを記録可能である。
【0027】
操作部150は、デジタルカメラ100の外装に備わっている操作釦や操作ダイヤルの総称であり、使用者による操作を受け付ける。例えば図1や図2に示したレリーズ釦201や、ズームレバー202、電源釦203、中央釦204、十字釦205などがこれにあたる。操作部150は使用者による操作を受け付けると、コントローラ130に種々の動作指示信号を通知する。
【0028】
レリーズ釦201は、半押し状態と全押し状態の二段階押下式釦である。レリーズ釦201が使用者により半押しされると、コントローラ130は、AF(Auto Focus)制御や、AE(Auto Exposure)制御を実行し撮影条件を決定する。続いて、レリーズ釦201が、使用者により全押しされると、コントローラ130は、全押しのタイミングに撮像された画像情報を記録画像としてメモリカード140等に記録する。
【0029】
ズームレバー202は画角調節についての広角端と望遠端を有する中央位置自己復帰式のレバーである。ズームレバー202は、使用者により操作されるとコントローラ130にズームレンズ112を駆動するための動作指示信号を通知する。すわなち、ズームレバー202が広角端に操作されると、コントローラ130は、被写体を広角で捉えられるようにズームレンズ112を駆動する。同様に、ズームレバー201が望遠端に操作されると、コントローラ130は、被写体を望遠で捉えられるようにズームレンズ112を駆動する。
【0030】
電源釦203は、デジタルカメラ100を構成する各部への電力供給をON/OFFするための押下式釦である。電源OFF時に電源釦203が使用者により押下されると、コントローラ130はデジタルカメラ100を構成する各部に電力を供給し、起動させる。また、電源ON時に電源釦203が使用者により押下されると、コントローラ130は各部への電力供給を停止する。
【0031】
中央釦204は、押下式釦である。デジタルカメラ100が撮影モードあるいは再生モードにあるときに、中央釦204が使用者により押下されると、コントローラ130は液晶モニタ123にメニュー画面を表示する。メニュー画面は、撮影/再生のための各種条件を設定するための画面である。各種条件の設定項目が選択されているときに押下されると、中央釦204は決定釦としても機能する。
【0032】
十字釦205は、上下左右方向に設けられた押下式釦である。使用者は、十字釦205のいずれかの方向を押下することにより、液晶モニタ123に表示される各種条件項目を選択することができる。
【0033】
フラッシュ160は、キセノン管と、コンデンサと、昇圧回路と、発光トリガ回路などから構成される。昇圧回路は、コントローラ130からの制御信号に従って、コンデンサに高電圧を印加する。発光トリガ回路は、コントローラ130からの制御信号に従って、印加充電されたコンデンサの高電圧を放電させて、キセノン管内のキセノンガスを瞬間的に発光させる。発光トリガ回路は、コンデンサの高電圧を撮影と同期して放電させる。これにより、デジタルカメラ100は、発光された被写体を撮影することができる。すなわち、フラッシュ113が被写体に対して撮像時に瞬間的に発光することによって、被写体の明るさを補った撮影ができる。なお、フラッシュ160の発光には、プリ発光と本発光がある。プリ発光は、フラッシュ発光による被写体からの反射光量の度合(以下、反射レベルと称す)に基づいて被写体までの距離を判定し、判定結果に応じて撮影時のフラッシュ113の発光量を求めるための、撮影事前の発光である。本発光は、プリ発光により求められた発光量により、撮影のタイミングと同期して実行される発光である。
【0034】
〔1−2.本発明との対応関係〕
フラッシュ160は、本発明の閃光部の一例である。CCDイメージセンサ120は、本発明の撮像部の一例である。BM積算回路170は、本発明の画像分割部の一例である。画像処理部122は、本発明の取得部の一例である。コントローラ130は、本発明の判定部の一例である。画像処理部122は、本発明のホワイトバランス調節部の一例である。デジタルカメラ100は、本発明の撮像装置の一例である。
【0035】
〔2.動作〕
続いて、本実施の形態1に係るデジタルカメラ100のフラッシュ発光時の動作について説明する。デジタルカメラ100は、撮像した画像情報の露出値に基づいてフラッシュ発光の要否を判断する。フラッシュ発光が必要と判断した場合には、さらに被写体へフラッシュが到達するかどうかを判断し、到達するかどうかの判断結果に基づいて、撮像した画像情報に対する画質制御を行う。以下ではまずフラッシュ発光要否の判断について説明し、次にフラッシュ発光到達の判断とその判断結果に基づいた画質制御について、ホワイトバランス制御を例にとって説明する。
【0036】
〔2−1.フラッシュ発光要否の判断〕
まず、デジタルカメラ100のフラッシュ発光要否判断について説明する。図5は、デジタルカメラ100の発光要否判断フローチャートである。デジタルカメラ100は、画像の撮像の際に発光が必要か否かを判断する。
【0037】
コントローラ130は、デジタルカメラ100が撮影モードにあるとき、使用者によるレリーズ釦201の半押し操作の有無を監視している(S300)。コントローラ130は、使用者によるレリーズ釦201の半押し操作を検知すると、撮影している画像中のフォーカス枠に含まれる被写体に合焦するようオートフォーカス制御を実行する(S301)。フォーカス枠は、合焦対象とする被写体を指定するために液晶モニタ123上に表示される枠である。使用者は合焦対象としたい被写体をフォーカス枠に入れレリーズ釦201を半押し操作すると、その被写体に合焦させることができる。
【0038】
また、コントローラ130は、自動露出制御を常時実行し、CCDイメージセンサ120によって撮像される画像データに基づいて撮影する際の露出値を算出している。露出値は、被写体が暗いときほど低い値を取る。コントローラ130は、使用者によるレリーズ釦201の半押し操作を受け付けたタイミングに応じて算出された露出値を、メモリカード140に記録する画像を撮像する際の露出値として固定する(S301)。このとき、コントローラ130は、固定した露出値と発光要否の閾値とを比較することにより撮影に発光が必要か否かを判断する(S303)。発光要否の閾値は、フラッシュ160により発光させるか否かを判断するための露出値の基準値である。一般に、発光要否の閾値は比較的露出値の低い値に設定される。つまり、発光要否の閾値は、撮影環境が暗いときに発光するように設定される。コントローラ130の固定した露出値が、発光要否の閾値よりも高いときは、コントローラ130は発光しないと判断する。一方、コントローラ130の固定した露出値が、発光要否の閾値よりも低いときは、コントローラ130は発光すると判断する。
【0039】
コントローラ130が発光不要と判断した場合、デジタルカメラ100は、フラッシュ160を発光しない通常の撮影を実行する(S305)。また、コントローラ130が発光必要と判断した場合、デジタルカメラ100は、発光撮影を実行する(S304)。
【0040】
〔2−2.フラッシュ発光到達の判断とそれに基づくホワイトバランス制御〕
デジタルカメラ100がフラッシュ160を発光させる発光撮影を行う場合には、さらに被写体へフラッシュ発光が到達するかどうかを判断し、到達するかどうかの判断結果に基づいて、撮像した画像情報に対する画質制御を行う。
【0041】
まず、デジタルカメラ100のフラッシュ発光到達度判断について説明する。図6は、デジタルカメラ100のフラッシュ到達判断とそれに基づくホワイトバランス制御のフローチャートである。デジタルカメラ100は、被写体に対してフラッシュ160の閃光が到達したか否かを次のように判断し、判断結果に応じてホワイトバランス調節を行う。
【0042】
コントローラ130はデジタルカメラ100全体を制御し、まずフラッシュ発光なしで撮像動作を行わせ、画像情報を生成する。そしてBM積算回路170がこの画像情報からBMデータを算出する。このようにフラッシュ発光なしの撮像により得られたBMデータをBM0とする(S401)。
【0043】
次にコントローラ130はデジタルカメラ100全体を制御し、フラッシュをプリ発光させて撮像動作を行わせ、画像情報を生成する。そしてBM積算回路170がこの画像情報からBMデータを算出する。このようにプリ発光時の撮像により得られたBMデータをBM1とする(S402)。
【0044】
次にコントローラ130は、得られたBM0およびBM1に基づいて、画像情報中の主要被写体の領域をブロック単位で認定する。具体的には、まず144個の各ブロックについてBMデータの差、すなわちBM1−BM0を算出する(S403)。そしてこの差が閾値以上であるブロックを、主要被写体領域を含むブロック(主要被写体ブロック)であると認定する(S404)。閾値は本実施の形態では固定値とするが、BMデータのヒストグラムを作成し、その分布状況に基づいて閾値を決定するようにしてもよい。図8は、主要被写体ブロックを説明するための図である。図において着色されたブロックは主要被写体ブロックを示している。図のように、144個のブロックのうちBMデータの差が閾値以上であるブロックを主要被写体ブロックと認定する。
【0045】
次にコントローラ130は、主要被写体ブロックが全ブロックに占める割合を算出する(S405)。割合の算出は、各ブロックに重み付けをした上で行う。図7は、ブロック毎の重み付けを説明するための図である。図のように、144個のブロックの中央の縦2×横2ブロックは、重み付けがWAである。この外周のブロックの重み付けはWBであり、さらにその外周のブロックの重み付けはWCである。そしてその他のブロックの重み付けはWDである。ここで、WA>WB>WC>WDである。このように、画像全体のうち中央寄りであるほど重み付けが高くなっている。主要被写体ブロックが全ブロックに占める割合Rは、各ブロックの重み付けの総和を分母とし、全ての主要被写体ブロックの重み付けの和を分子とした割合として算出される。
【0046】
次にコントローラ130は、フラッシュが主要被写体に到達するかどうかの指標となるフラッシュ不到達度Xを求める(S406)。本実施の形態ではフラッシュ不到達度Xは0〜100の値を取り、数値が大きいほどフラッシュが主要被写体に到達していないと判断する。フラッシュ不到達度Xは、フラッシュ不到達度Aとフラッシュ不到達度Bの和として求められる。
【0047】
フラッシュ不到達度Aは、次のようにして算出する。図9は、フラッシュ不到達度算出を説明するための図である。図9(a)は、フラッシュ不到達度A算出を説明するための図である。図の横軸は上記で算出した割合Rであり、縦軸はフラッシュ不到達度Aである。このグラフに基づいて、割合Rからフラッシュ不到達度Aを求める。図によれば、割合Rが所定の値RAよりも低い場合は、フラッシュ(プリ発光)が到達したブロックが少ないため、主要被写体にはフラッシュが到達していないものと判断し、フラッシュ不到達度Aを最大の50とする。割合RがRAからRBまでの範囲内である場合は、主要被写体にフラッシュが到達している可能性が割合Rに応じて徐々に高まると判断し、フラッシュ不到達度Aは徐々に減少する。そして割合RがRB以上である場合にはフラッシュ不到達度Aは0とする。
【0048】
フラッシュ不到達度Bは、次のようにして算出する。フラッシュ不到達度Bを算出するにあたり、まず輝度差Y1−Y0を算出する。ただし、全ての主要被写体ブロックのBM0の和を輝度情報Y0、BM1の和を輝度情報Y1とする。図9(b)は、フラッシュ不到達度B算出を説明するための図である。図の横軸は輝度差であり、縦軸はフラッシュ不到達度Bである。このグラフに基づいて、輝度差Y1−Y0からフラッシュ不到達度Bを求める。図によれば、輝度差Y1−Y0が所定の値EVAよりも低い場合は、フラッシュなしとプリ発光ありとで主要被写体の明るさの差が小さいため、主要被写体にはフラッシュが到達していないものと判断し、フラッシュ不到達度Bを最大の50とする。輝度差Y1−Y0がEVAからEVBまでの範囲内である場合は、主要被写体にフラッシュが到達している可能性が輝度差Y1−Y0に応じて徐々に高まると判断し、フラッシュ不到達度Bは徐々に減少する。そして輝度差Y1−Y0がEVB以上である場合にはフラッシュ不到達度Bは0とする。
【0049】
以上のようにしてフラッシュ不到達度Xを求めた後、コントローラ130はフラッシュ不到達度Xに基づいてフラッシュが主要被写体に到達するかどうかを判断する(S407)。具体的には、フラッシュ不到達度Xが所定の閾値、例えば40を超えるときは不到達、40以下のときは到達すると判断する。この判断結果に基づいて、コントローラ130は、フラッシュを本発光させると共に撮像動作を行う。
【0050】
フラッシュが到達しないと判断するときは、フラッシュを本発光させて撮像動作を行い(S408)、撮像した画像情報に対して画像処理部122が、通常のホワイトバランス調節、すなわちフラッシュを発光させないときと同様の、フラッシュとは独立したホワイトバランス調節を行う(S409)。
【0051】
フラッシュが到達すると判断するときは、フラッシュを本発光させて撮像動作を行い(S410)、撮像した画像情報に対して画像処理部122が、フラッシュ発光に応じたホワイトバランス調節を行う(S411)。
【0052】
〔1−3.まとめ〕
以上のように、実施の形態1に係るデジタルカメラ100は、被写体に対して閃光を発するフラッシュ160と、被写体像を撮像して画像情報を生成するCCDイメージセンサ120と、画像情報を複数の領域に分割するBM積算回路170と、フラッシュ160が閃光しているときにCCDイメージセンサ120が生成した画像情報からBMデータBM1を取得し、フラッシュ160が閃光していないときにCCDイメージセンサ120が生成した画像情報からBMデータBM0を取得する画像処理部122と、分割された領域において、BMデータBM1とBMデータBM0のそれぞれが示す値の差が所定範囲に含まれる領域が画像情報に占める度合に応じて被写体に対する閃光の到達度を判定するコントローラ130と、を備える。
【0053】
このような構成とすることにより、フラッシュが発光しているときとしていないときの画像情報の差から主要被写体を判定し、主要被写体の画像情報全体に占める度合いに応じて被写体に対する閃光の到達度を判定できるため、その判定結果を用いて後段での画質制御処理の精度を向上させることができる。
【0054】
また、上記実施の形態1に係るデジタルカメラ100において、コントローラ130は、分割された領域において、BMデータBM1とBMデータBM0のそれぞれが示す値の差が所定範囲に含まれる領域の、値の差に更に応じて被写体に対する閃光の到達度を判定する。
【0055】
このような構成とすることにより、フラッシュが閃光しているときとしていないときの主要被写体の画像情報の差に応じて被写体に対する閃光の到達度を判定できるため、その判定結果を用いて後段での画質制御処理の精度を向上させることができる。
【0056】
また、上記実施の形態1に係るデジタルカメラ100は、被写体に対して閃光が到達していると判定されたときは、画像情報に対してフラッシュ160に対応したホワイトバランス調節を行い、被写体に対して閃光が到達していないと判定されたときは、画像情報に対してフラッシュ160とは独立したホワイトバランス調節を行う画像処理部122を更に備える。
【0057】
このような構成とすることにより、被写体に対する閃光の到達度判定結果を用いてホワイトバランス調節を行うことにより、画質制御処理の精度を向上させることができる。
【0058】
〔2.他の実施の形態〕
本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の実施形態が考えられる。以下、本発明の他の実施の形態についてまとめて記載する。
【0059】
上記実施の形態においてBMデータは、各ブロックにおいて、ブロック内に含まれる画素数分のR,G,Bの各チャネルの値を積算し、ブロック内のR,G、Bの平均値を算出したものとしたが、R、G、Bの各チャネルの積算値から輝度値を求め、これをBMデータとしてもよい。
【0060】
上記実施の形態において、フラッシュ不到達度Xは、フラッシュ不到達度Aとフラッシュ不到達度Bの和として求めたが、フラッシュ不到達度Aおよびフラッシュ不到達度Bの重み付け和としてもよいし、フラッシュ不到達度Aのみをフラッシュ不到達度Xとしてもよい。
【0061】
上記実施の形態において、画像処理部122およびコントローラ130は、各々上記のような機能および構成を有するものとして説明したが、各々の持つ機能および構成の一部が他方に含まれるような構成としてもよい。
【0062】
上記実施の形態において、CCDイメージセンサ120を、撮像部の一例として説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、CMOSイメージセンサや、NMOSイメージセンサなど他の撮像素子であっても本発明に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明によれば、フラッシュ発光時の画質制御精度を向上させた撮像装置を提供することができるため、デジタルカメラ、ムービーカメラ、カメラ付き携帯電話など、撮像時にフラッシュ発光を行う撮像装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0064】
100 デジタルカメラ
111 フォーカスレンズ
112 ズームレンズ
113 絞り
114 シャッタ
120 CCDイメージセンサ
121 AFE(アナログ・フロント・エンド)
122 画像処理部
123 液晶モニタ
124 バッファメモリ
130 コントローラ
140 メモリカード
141 カードスロット
142 フラッシュメモリ
150 操作部
160 フラッシュ
170 BM積算回路
201 レリーズ釦
202 ズームレバー
203 電源釦
204 中央釦
205 十字釦

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体に対して閃光を発する閃光部と、
被写体像を撮像して画像情報を生成する撮像部と、
前記画像情報を複数の領域に分割する画像分割部と、
前記閃光部が閃光しているときに前記撮像部が生成した画像情報から第一の情報を取得し、前記閃光部が閃光していないときに前記撮像部が生成した画像情報から第二の情報を取得する取得部と、
前記分割された領域において、前記第一の情報と前記第二の情報のそれぞれが示す値の差が所定範囲に含まれる領域が前記画像情報に占める度合に応じて前記被写体に対する閃光の到達度を判定する判定部と、
を備えた撮像装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記分割された領域において、前記第一の情報と前記第二の情報のそれぞれが示す値の差が所定範囲に含まれる領域の、前記値の差に更に応じて前記被写体に対する閃光の到達度を判定する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記被写体に対して閃光が到達していると判定されたときは、前記画像情報に対して前記閃光部に対応したホワイトバランス調節を行い、前記被写体に対して閃光が到達していないと判定されたときは、前記画像情報に対して前記閃光部とは独立したホワイトバランス調節を行うホワイトバランス調節部を更に備えた、
請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
被写体に対して閃光を発する閃光部と、
被写体像を撮像して画像情報を生成する撮像部と、
前記画像情報を複数の領域に分割する画像分割部と、
前記閃光部が閃光しているときに前記撮像部が生成した画像情報から第一の情報を取得し、前記閃光部が閃光していないときに前記撮像部が生成した画像情報から第二の情報を取得する取得部と、
前記分割された領域において、前記第一の情報と前記第二の情報のそれぞれが示す値の差が所定範囲に含まれる領域が前記画像情報に占める度合に応じて、前記画像情報のホワイトバランス調節を行うホワイトバランス調節部と、
を備えた撮像装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記分割された領域において、前記第一の情報と前記第二の情報のそれぞれが示す値の差が所定範囲に含まれる領域の、前記値の差に更に応じて前記被写体に対する閃光の到達度を判定する、
請求項4に記載の撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−146961(P2011−146961A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6604(P2010−6604)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】