説明

撮像装置

【課題】シーンに適した高精度な露出制御を行えるようにする。
【解決手段】被写界を撮像する画像用の受光素子と、被写界からの光を測光する測光用の受光素子とを備える撮像素子と、複数の測光用の受光素子の信号から、撮像の際の測光に用いる測光用の受光素子からの信号を選択する選択回路と、選択回路からの出力を加算平均して1つの信号を出力する第1の加算平均回路と、第1の加算平均回路からの出力をリセット信号が入力されるまで蓄積して、蓄積された電荷に応じた電圧値を出力する積分回路とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラッシュ撮影を行う場合の撮像装置の制御技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンパクトデジタルカメラにおけるフラッシュ撮影では、撮像素子の出力を使用してプリ発光が照射されたときの被写体輝度を測光し、適正輝度を得るための発光量を求め、撮影時に発光させて撮影を行う方式(プリ発光方式)が主流となっている。通常のキセノン管の放電現象等を利用したフラッシュには発光量にばらつきがあり、一定の発光時間での発光を行っても輝度は一定とはならない。そのため、発光量の制御を発光時間で制御する方式では、精度の高い調光を行うことは困難である。
【0003】
この問題に対し、撮像素子で画像撮影のための露光を行いながら測光センサによってフラッシュ発光量を測光し、測光センサの測光値が所定値に達した時点で発光または露光を停止する方法がある。しかし、測光センサを撮像素子とは別途に備えるとコストも掛かり、実装上の制約も大きい。
【0004】
それに対し特許文献1は、撮像素子の一部の画素を非破壊的に読み出すことのできる構成とし、測光センサとして使用している。撮像素子の露光中に非破壊読み出しを行い、A/D変換後の信号をCPUで読み取り、露光時間や発光継続の判断を行っている。露光中の撮像素子の一部の画素を非破壊読み出しし、露光制御や調光制御に信号を使用することは、撮像素子と別の測光センサを備えることなく、撮像素子の露光量をリアルタイムに制御できるという利点がある。また撮像素子とは別の測光センサを備える場合と比べ、撮像素子と全く同じ光学系を通り、実際に撮像素子が露光している光の一部を測光できる点において、より高精度の制御を行うことが期待できる。さらに、連続して複数回発光させることのできるフラッシュ発光装置を備えて1回発光するごとに一部の画素を非破壊読み出しし、光量が不足していたら続けて発光を繰り返す方式によりリアルタイム調光制御も実現している。
【0005】
特許文献2も特許文献1と同様に、連続して複数回発光させることのできるフラッシュ発光装置と、一部の画素を調光用測光センサとして使用する撮像素子により、リアルタイム調光制御を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−78484号公報
【特許文献2】特許第3682906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
高精度なフラッシュ発光制御を行うには、発光量をリアルタイムに監視し、所定の発光量に達した時点で発光を停止することが望ましい。しかし発光量監視のために撮像素子とは別に測光センサを備える場合、露光する光は撮像素子で受光されているものとは別の経路を辿る光であり、調光領域の指定など高機能な調光制御を適用することは困難である。
【0008】
特許文献1では撮像素子の一部を非破壊読み出しすることでリアルタイムに近い発光制御を行っているが、その構成上A/D変換を行った信号をCPUで読み取って処理を行っている。そのため、リアルタイム制御を行うことが精度に大きく関係する微小発光においては適用が困難である。
【0009】
また撮像素子の画像信号を解析して調光領域を設定し、そのときのシーンに適した調光を行うことは、プリ発光方式では一般的であるが測光センサを使用してリアルタイムに発光制御を行う調光方式においては実現できていない。
【0010】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、シーンに適した高精度な露出制御を行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係わる撮像装置は、被写界を撮像する画像用の受光素子と、前記被写界からの光を測光する測光用の受光素子とを備える撮像素子と、複数の前記測光用の受光素子の信号から、撮像の際の測光に用いる測光用の受光素子からの信号を選択する選択回路と、前記選択回路からの出力を加算平均して1つの信号を出力する第1の加算平均回路と、前記第1の加算平均回路からの出力を所定の信号が入力されるまで蓄積して、蓄積された電荷に応じた電圧値を出力する積分回路と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シーンに適した高精度な露出制御を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るデジタルカメラの構成を示す図。
【図2】撮像素子の調光用画素の配置を示す図。
【図3】撮像素子の調光用画素の構成を示す図。
【図4】撮像素子の調光用画素の出力回路のブロック図。
【図5】撮像素子の調光用画素の信号選択回路を示す図。
【図6】撮像装置の撮影までの動作を示すフローチャート。
【図7】調光領域の選択を説明する図。
【図8】プリ発光を行う場合の動作を示すフローチャート。
【図9】プリ発光を行う場合のタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。 図1は、本発明の撮像装置の一実施形態であるデジタルカメラの構成を示す図である。
【0015】
図1において、100はデジタルカメラである。10は撮影レンズ、12は絞り機能を備える機械式シャッタ、14は光学像を電気信号に変換する撮像素子であり、一部の受光素子が調光用(測光用)の受光素子とされる構成となっている。16は撮像素子14の画像信号出力(調光用の受光素子出力ではない)をデジタル信号に変換するA/D変換器である。
【0016】
18は撮像素子14、 A/D変換器16、 D/A変換器26にクロック信号や制御信号を供給するタイミング発生回路であり、メモリ制御回路22及びシステム制御回路50により制御される。機械式シャッタ12以外にも、撮像素子14のリセットタイミングの制御によって、電子シャッタとして、蓄積時間を制御することが可能であり、動画撮影などに使用可能である。
【0017】
20は画像処理回路であり、A/D変換器16からのデータ或いはメモリ制御回路22からのデータに対して所定の画素補間処理や色変換処理を行う。また画像処理回路20によって画像の切り出し、変倍処理を行うことで電子ズーム機能が実現される。また、画像処理回路20においては、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてシステム制御回路50が露光制御部40、測距制御部42に対して制御を行う、TTL方式のAF処理、AE処理、EF処理を行っている。さらに、画像処理回路20においては、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行っている。
【0018】
22はメモリ制御回路であり、A/D変換器16、タイミング発生回路18、画像処理回路20、画像表示メモリ24、D/A変換器26、メモリ30、圧縮・伸長回路32を制御する。A/D変換器16のデータが画像処理回路20、メモリ制御回路22を介して、或いはA/D変換器16のデータが直接メモリ制御回路22を介して、画像表示メモリ24或いはメモリ30に書き込まれる。
【0019】
24は画像表示メモリ、26はD/A変換器、28はTFT,LCD等から成る画像表示部であり、画像表示メモリ24に書き込まれた表示用の画像データはD/A変換器26を介して画像表示部28により表示される。画像表示部28を用いて撮像した画像データを逐次して所謂ライブ画表示をすれば、電子ファインダー機能を実現することが可能である。また、画像表示部28は、システム制御回路50の指示により任意に表示をON/OFFすることが可能であり、表示をOFFにした場合にはデジタルカメラ100の電力消費を大幅に低減することが出来る。
【0020】
30は撮影した静止画像や動画像を格納するためのメモリであり、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像を格納するのに十分な記憶容量を備えている。これにより、複数枚の静止画像を連続して撮影する連射撮影やパノラマ撮影の場合にも、高速かつ大量の画像書き込みをメモリ30に対して行うことが可能となる。また、メモリ30はシステム制御回路50の作業領域としても使用することが可能である。
【0021】
32は適応離散コサイン変換(ADCT)等により画像データを圧縮伸長する圧縮・伸長回路であり、メモリ30に格納された画像を読み込んで圧縮処理或いは伸長処理を行い、処理を終えたデータをメモリ30に書き込む。
【0022】
40は絞り機能を備えるシャッタ12を制御する露光制御部であり、フラッシュ48と連携することによりフラッシュ調光機能も有するものである。42は撮影レンズ10のフォーカシングを制御する測距制御部、44は撮影レンズ10のズーミングを制御するズーム制御部、46はバリアである保護装置102の動作を制御するバリア制御手段である。48は被写界を照明するフラッシュであり、AF補助光の投光機能、フラッシュ調光機能も有する。フラッシュ調光機能に関しては後述する。
【0023】
露光制御部40、測距制御部42はTTL方式を用いて制御されており、撮像した画像データを画像処理回路20によって演算した演算結果に基づき、システム制御回路50が露光制御部40、測距制御部42に対して制御を行う。
【0024】
50はデジタルカメラ100全体を制御するシステム制御回路、52はシステム制御回路50の動作用の定数、変数、プログラム等を記憶するメモリである。54はシステム制御回路50でのプログラムの実行に応じて、文字、画像、音声等を用いて動作状態やメッセージ等を表示する液晶表示装置、スピーカー等の表示部である。表示部54は、デジタルカメラ100の操作部近辺の視認し易い位置に設置され、例えばLCDやLED、発音素子等の組み合わせにより構成されている。また、表示部54は、その一部の機能が光学ファインダ104内に設置されている。
【0025】
表示部54の表示内容のうち、LCD等に表示するものとしては、シングルショット/連写撮影表示、セルフタイマー表示、圧縮率表示、記録画素数表示、記録枚数表示、残撮影可能枚数表示などがある。また、シャッタスピード表示、絞り値表示、露出補正表示、フラッシュ表示、赤目緩和表示、マクロ撮影表示などもある。また、ブザー設定表示、電池残量表示、エラー表示、複数桁の数字による情報表示、記録媒体200及び210の着脱状態表示、通信I/F動作表示等も可能である。また、表示部54の表示内容のうち、光学ファインダ104内に表示するものとしては、合焦表示、手振れ警告表示、フラッシュ充電表示、シャッタスピード表示、絞り値表示、露出補正表示、等がある。56は電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリであり、例えばEEPROM等が用いられる。

60、62、64、66、70、72及び74は、システム制御回路50の各種の動作指示を入力するための操作部であり、スイッチやダイヤル、タッチパネル、視線検知によるポインティング、音声認識装置等の単数或いは複数の組み合わせで構成される。
【0026】
ここで、これらの操作部の具体的な説明を行う。60はモードダイヤルスイッチで、電源オフ、自動撮影モード、撮影モード、パノラマ撮影モード、動画撮影モード、再生モード、マルチ画面再生・消去モード、PC接続モード、テレビ受信モード等の各機能モードを切り替え設定することができる。
【0027】
62はシャッタスイッチSW1で、シャッタボタンの操作途中でONとなり、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理等の動作開始を指示する。64はシャッタスイッチSW2で、シャッタボタンの操作完了でONとなる。撮像素子14から読み出した信号をA/D変換器16、メモリ制御回路22を介してメモリ30に書き込む露光処理、画像処理回路20やメモリ制御回路22での演算を用いた現像処理、メモリ30から画像データを読み出し、圧縮・伸長回路32で圧縮を行い、記録媒体200或いは210に書き込む記録処理という一連の処理の動作開始を指示する。
【0028】
66は表示切替スイッチで、画像表示部28の表示切替をすることができる。この機能により、光学ファインダ104を用いて撮影を行う際に、TFT、LCD等から成る画像表示部への電流供給を遮断することにより、省電力を図ることが可能となる。
【0029】
70は各種ボタンやタッチパネル等からなる操作部で、メニューボタン、セットボタン、マクロボタン、マルチ画面再生改ページボタン、フラッシュ設定ボタン、単写/連写/セルフタイマー切り替えボタン等がある。またメニュー移動+(プラス)ボタン、メニュー移動−(マイナス)ボタン、再生画像移動+(プラス)ボタン、再生画像移動−(マイナス)ボタン、撮影画質選択ボタン、露出補正ボタン、日付/時間設定ボタン等もある。
【0030】
72はユーザーが撮像画像の倍率変更指示を行うズーム操作手段としてのズームスイッチ部である。以下、ズームスイッチ72ともいう。このズームスイッチ72は、撮像画角を望遠側に変更させるテレスイッチと、広角側に変更させるワイドスイッチからなる。このズームスイッチ72を用いることにより、ズーム制御部44に撮影レンズ10の撮像画角の変更を指示し光学ズーム操作を行うトリガとなる。また、画像処理回路20による画像の切り出しや、画素補間処理などによる撮像画角の電子的な変更のトリガともなる。74は被写体検出部で、被写界から特定の被写体を検出する素子などがある。特定の被写体として、顔検出する場合も考えられる。
【0031】
80は電源制御部で、電池検出回路、DC−DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成されており、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行う。また検出結果及びシステム制御回路50の指示に基づいてDC−DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体を含む各部へ供給する。
【0032】
82はコネクタ、84はコネクタ、86はアルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Liイオン電池等の二次電池、ACアダプター等からなる電源部である。
【0033】
90及び94はメモリカードやハードディスク等の記録媒体とのインタフェース、92及び96はメモリカードやハードディスク等の記録媒体と接続を行うコネクタである。なお、本実施形態では記録媒体を取り付けるインターフェース及びコネクタを2系統持つものとして説明している。もちろん、記録媒体を取り付けるインターフェース及びコネクタは、単数或いは複数、いずれの系統数を備える構成としても構わない。また、異なる規格のインターフェース及びコネクタを組み合わせて備える構成としても構わない。インターフェース及びコネクタとしては、SDカードやCF(コンパクトフラッシュ(登録商標))カード等の規格に準拠したものを用いて構成して構わない。
【0034】
さらに、インタフェース90及び94、そしてコネクタ92及び96をPCMCIAカードやCFカード等の規格に準拠したものを用いて構成することも可能である。すなわちLANカードやモデムカード、USBカード、IEEE1394カード、SCSIカード、PHS等の通信カード、等の各種通信カードを接続することにより、他のコンピュータやプリンタ等の周辺機器との間で画像データや画像データに付属した管理情報を転送し合うことが出来る。
【0035】
102は、デジタルカメラ100のレンズ10を含む撮像部を覆うことにより、撮像部の汚れや破損を防止するバリアである保護装置である。104は光学ファインダであり、画像表示部28による電子ファインダ機能を使用すること無しに、光学ファインダのみを用いて撮影を行うことが可能である。また、光学ファインダ104内には、表示部54の一部の機能、例えば、合焦表示、手振れ警告表示、フラッシュ充電表示、シャッタスピード表示、絞り値表示、露出補正表示などが設置されている。
【0036】
110は通信部でUSB、IEEE1394、LAN、無線通信、等の各種通信機能を有する。112は通信部110により画像処理装置100を他の機器と接続するコネクタ或いは無線通信の場合はアンテナである。
【0037】
200はメモリカードやハードディスク等の記録媒体である。記録媒体200は、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される記録部202、デジタルカメラ100とのインタフェース204、デジタルカメラ100と接続を行うコネクタ206を備えている。
【0038】
210はメモリカードやハードディスク等の記録媒体である。記録媒体210は、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される記録部212、デジタルカメラ100とのインタフェース214、デジタルカメラ100と接続を行うコネクタ216を備えている。
【0039】
図2は、本実施形態における、一部の受光素子が調光用の受光素子となされる撮像素子の受光部を図示した図である。受光素子を含む画素が隙間なく配列されている中に図2のように調光用受光素子として利用される画素(調光用画素)が配置されている。
【0040】
図3は、画像用画素中に配置された調光用画素の回路の略図である。画像用画素が信号読み出し用の回路構成にされているのに対し、調光用画素では受光素子出力がそのまま出力されるようになっている。
【0041】
図4は、調光用画素の出力の先の回路構成を示した図である。4−1は増幅回路であり、調光用画素の出力信号を増幅している。4−2は信号選択回路であり、予め与えられた信号選択指示により選択された信号のみを出力する。4−3は第1の加算平均回路であり、信号選択回路4−2の出力信号を全て加算平均する処理を行い1つの信号を出力する。4−4は積分回路であり、リセット入力部を備えている。リセット信号の入力がなされてから次のリセット信号の入力がなされるまで入力信号電荷を蓄積して蓄積電荷に応じた電圧値を出力する。4−5は比較回路であり、与えられた目標電圧値と入力される積分回路4−4の出力電圧値を比較し、2値の出力がなされる。この信号をフラッシュ48の発光停止トリガに使用することで、フラッシュ48の発光量のリアルタイム制御が可能となる。4−6はサンプルホールド回路であり、積分回路4−4の出力電圧値を任意のタイミングでサンプルホールドすることができる。4−7はA/D変換器であり、サンプルホールド回路4−6でサンプルホールドされた電圧値をデジタル信号に変換し、デジタル変換された信号は露光制御部40で読み込むことができる構成となっている。
【0042】
図5は、信号選択回路の概要を説明する図であり、調光用画素を明示した受光部の図と信号選択回路から成る。調光用画素の出力が信号選択回路に入力される前に、図のように複数の信号毎に第2の加算平均回路に入力され、信号が領域毎に加算平均された後に信号選択回路に入力される。第2の加算平均回路の処理は、入力信号が加算されるだけでもよく、同時に信号増幅されるような回路構成でもよい。信号選択回路は図5のようにSelectorとスイッチから成り、Selectorには予め与えられた信号選択指示が入力され、その指示に従ってスイッチのON/OFFを決定している。信号選択指示は信号選択回路が備えるシリアル信号受信部でシリアル通信を受けて与えられる構成となっている。
【0043】
なお、第2の加算平均回路は、複数の調光用の受光素子を複数のグループごとに分け、その複数のグループごとに信号を加算平均または加算して、複数のグループのそれぞれにつき1つの信号を生成し、生成された信号を信号選択回路に出力する。また、複数のグループは、図5に示すように、撮像素子の受光部を複数の合同な長方形で区切った領域に含まれる測光用の受光素子のグループである。さらに、複数の測光用の受光素子は、撮像素子の受光部に均一な密度で配置されている。
【0044】
図6は、フラッシュ撮影処理のフローチャートである。デジタルカメラ100の撮影モードがPowerOnされると、S601に示すシステム起動が行われる。これはシステム制御回路50を初め、撮像素子14やメモリ30など、デジタルカメラシステムの動作開始を示す。システム起動が終了した時点で、画像表示部28にはライブ画が表示され、操作部70からの記録開始トリガ入力を待機する状態(撮影待機状態)となる。この段階で、操作部70の操作部材操作により、デジタルカメラの撮影に関する設定を行うことが可能となっている。ユーザーはフラッシュ撮影の許可/禁止、フラッシュ強制発光などの設定を行うことが可能である。S602は、撮影待機状態におけるフラッシュ設定の確認を示している。即ち、ユーザーによるフラッシュ設定に従い、フラッシュ撮影が行われる可能性のある状態であるならばS603へと進み、フラッシュ48では発光に必要なエネルギーを蓄えるメインコンデンサの充電制御が開始される。S604、S605、S606はそれぞれ、AE、AF、WB処理を表し、ライブ画を適正な露出、ピント、色で表示できるようにフィードバック制御を繰り返すものである。S607で操作部70からの撮影準備指示入力であるSW1の有無を確認し、入力が無い場合にS602に戻っているのはそのフィードバック制御を示している。S607でSW1入力を検知すると、撮影準備が行われる。まずS608で撮影用のAEが行われ、続いてS609で撮影用のAFが行われる。S610では発光判断が行われる。発光判断基準は様々であり、強制発光ならば常にYes、それ以外の発光許可状態であれば、露光時間、逆光判定などの条件に従い、発光を行うかどうかを判断する。S610での発光判定でNo(非発光)であった場合、S614の、操作部70からの撮影指示トリガ入力(SW2)を待機する状態へと移行する。S610での発光判定がYesだった場合、撮影時の発光に備えて再度のメインコンデンサ117の充電状態チェックが行われる(S613)。この時点で充電電圧が目標充電レベルに達しているならばそのままS614のSW2待機状態へと移行するが、目標充電レベルに達していない場合はS612で補充電を行い、目標充電レベルに達してからS614へと進む。SW2が入力されると、S615へと進み、非発光の場合はS621の非発光撮影が行われ、発光の場合はS616へと進む。
【0045】
S616では、撮像素子14の調光用画素の信号選択回路に対して調光領域を設定する。調光領域としては、被写体検出部74の機能を用いて撮影シーンに適した領域を選択することが可能である。図7は、被写体検出部74の機能である顔検出機能を用いて調光領域選択を行う場合を例示したものである。7−1は画像データであり、撮像素子14の画像用画素信号をタイミング発生回路の発生する信号に基づいて読み出した画像信号を示している。画像データは画像処理回路20にて画素補間や変倍処理が施された後、画像表示部28でのライブ画表示に使用されると同時に被写体検出部74などの回路でも使用されている。画像処理回路20では、撮像素子の欠陥画素の信号を補間する画素補間処理も施されるが、画素信号が読み出されない調光用画素のデータも欠陥画素として補間される。7−1のような画像データに被写体検出部74の顔検出機能を適用すると、7−2に示すように顔が検出されて顔領域が枠として抽出される。7−3は検出された顔枠だけを図示したものである。この顔枠情報は、画像センサ(撮像素子)の画像用画素出力信号から得られた画像データに基づいて得られたものであるが、調光用画素も画像センサ上に配置されたものであり、顔枠情報は調光用画素の調光選択領域として適用することができる。7−4では、7−3で図示した枠情報に対応した選択データを信号選択回路に設定していることを示している。このような構成により、7−5のように、被写体検出部74の出力に応じた調光領域を選択することが可能となる。
【0046】
図6の説明に戻り、S617へと進む。S617では撮像素子14の調光用画素の比較回路に、画像用画素出力から得られた画像データの目標輝度値に対応する、調光用画素出力の積分電圧値を設定する。このとき、S606のWB演算結果や被写体検出部74により検出された被写体の種類や距離あるいは逆光や夜景など撮影シーンに応じて、目標輝度値を変更している。
【0047】
S618でフラッシュ48の発光開始トリガを設定する。フラッシュ発光タイミングには、撮影用露光開始タイミングと同期して発光開始する先幕シンクロ、撮影用露光終了タイミングに近いタイミングで発光する後幕シンクロがある。ユーザーからの操作やシステム制御部50での設定により先幕シンクロが指示されていた場合は、露光開始タイミングと同期して発光開始するようにフラッシュ48に設定する。後幕シンクロが指示されていた場合は、露光開始からS608でAEにより決められた露光時間経過したタイミングで発光開始するようにフラッシュ48に設定する。このとき、機械式シャッタ12はS608でAEにより決められた時間では閉じず、調光用画素信号の積分値がS617で設定した比較回路の目標電圧値に達したときにアサートされる信号をトリガとしてフラッシュ48の発光を停止すると同時に機械式シャッター12を閉じる。所定時間経過しても積分値が目標電圧値に達しない場合も機械式シャッター12を閉じる。この方式によれば、S608でAEにより決められた露出値よりも露出オーバーとなるが、後幕シンクロ設定を許可する露光時間を想定されるフラッシュ発光時間よりも十分に長い時間(例えば1/80秒くらい)に設定することで、後幕シンクロが行われるシーンにおいては露出オーバー分は誤差範囲内の軽微なものとなる。
【0048】
S619では、調光用画素の積分回路の積分値を露光開始タイミングと同期してリセットする設定を行う。S620では、フラッシュ撮影を行う。なお、調光用画素の積分回路の信号は、画像用の受光素子からの信号の読み出しとは独立したタイミングで読みだすことができる。
【0049】
S616での調光領域設定において、被写体検出部74により調光の対象とすべき被写体が検出できていない場合、プリ発光を行うことで被写体の検出を行う。図8は、プリ発光を行う場合のフローチャートを示したものである。S815は、図6のS615と同じであり、S822〜S824は図6のS622〜S624と同じである。プリ発光の反射率による被写体検出を行うためのフローが、S825からS828までである。
【0050】
図9はこのフローに対応するタイミングチャートである。S825ではS822同様、画像用画素の露光開始タイミングで調光用画素の積分回路がリセットされるよう設定する。続いてS826で、調光用画素の比較回路に、画像用画素出力から得られる画像データが飽和しない程度の輝度値に相当する積分電圧値を設定する。また設定した積分電圧値に達しなくても所定のプリ発光量が発光されたら発光を停止するように発光時間設定も行っておく。S827で、画像用画素の露光と同時に調光用画素の積分回路がリセットされて新たに積分が開始され、画像用画素の露光終了タイミングから上記の発光時間設定の時間だけ手前のタイミングでフラッシュ48を発光(プリ発光)させる。プリ発光は設定した積分電圧値に達したタイミングまたは露光期間終了タイミングにおいて発光停止される制御となる。この方法をとることにより、被写体が非常に至近にあった場合であってもやや距離のある場所にあった場合であっても、白飛びしてしまうことや発光が届かないことを防ぐことができる。
【0051】
S828の調光領域演算は、画像用画素から読み出した画像データに基づいて演算を行う。外光のみによる画像データと、外光+プリ発光反射光による画像データの輝度比較から、反射率の大きな領域、その中で全反射はしていないと判断できる領域などを抽出し、画像データの中心近傍に分布している領域を調光すべき被写体と判断する。外光量が非常に小さいために被写体検出部74で被写体検出ができなかった場合を考慮して、プリ発光反射光を含む画像データから被写体検出部74で再度被写体検出処理を行っても良い。S816の調光領域設定の後、再度調光領域だけの外光量を取得して図6のように発光制御してもよいが、S823で取得された画像用画素出力に基づく画像データから所望の発光停止積分電圧値を算出しても良い。S817以降は図6のS617以降と同じである。
【0052】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写界を撮像する画像用の受光素子と、前記被写界からの光を測光する測光用の受光素子とを備える撮像素子と、
複数の前記測光用の受光素子の信号から、撮像の際の測光に用いる測光用の受光素子からの信号を選択する選択回路と、
前記選択回路からの出力を加算平均して1つの信号を出力する第1の加算平均回路と、
前記第1の加算平均回路からの出力を所定の信号が入力されるまで蓄積して、蓄積された電荷に応じた電圧値を出力する積分回路と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記積分回路の出力を、前記画像用の受光素子からの信号の読み出しとは独立したタイミングで読み出す読み出し手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
複数の前記測光用の受光素子を複数のグループに分け、該複数のグループごとに前記測光用の受光素子の信号を加算平均または加算して、前記複数のグループのそれぞれにつき1つの信号を生成し、生成された信号を前記選択回路に出力する第2の加算平均回路をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記複数のグループは、前記撮像素子の受光部を複数の合同な長方形で区切った領域に含まれる前記測光用の受光素子のグループであることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
複数の前記測光用の受光素子は、前記撮像素子の受光部に均一な密度で配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−249195(P2012−249195A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120987(P2011−120987)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】