説明

撮影システム

【課題】専用線がいままでどおりに一本であってヘッド部の構成がいままでどおりの構成であっても、連写撮影モードやセルフタイマモードが指定され撮影が行なわれているときには本体部からヘッド部に対して撮影指示が適時に伝えられる撮影システムを提供する。
【解決手段】レリーズボタン13bと専用線1Aを結ぶ部分にマスキング手段1000bを設ける。連写撮影モードにおける撮影時に、カードI/F106bから満杯であるということを通知する信号が伝達されてきたときには、マスキング手段1000bで撮影指示信号のヘッド部1aへの伝達を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影光学系と撮像素子とを備えたヘッド部と、ヘッド部から画像データを受け取って記録する本体部とを備えた撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
撮影装置にパーソナルコンピュータに接続可能なインターフェースを設けて、そのインターフェースで撮影装置をパーソナルコンピュータに接続しておいて、パーソナルコンピュータからそのインターフェースを通して撮影装置に撮影指示を与えることによって撮影装置に撮影を行なわせる遠隔撮影システムが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、撮影装置の中には、撮影光学系と撮像素子とを備えたヘッド部とシャッタボタンを備えた本体部とを備え、撮影時にヘッド部が本体部に装着されて撮影が行なわれるものがある(例えば特許文献2参照)。この特許文献2の様な撮影装置の多くは、ヘッド部が本体部に装着されたときに特許文献1と同じ様にヘッド部と本体部との双方が備えるインターフェースを通して相互通信により撮影に必要な情報の交換が行なわれて撮影が行なわれる。
【0004】
しかしながら、シャッタボタンの押下を撮影指示として本体部から上記インターフェースを通してヘッド部に伝える構成にするとタイムラグが発生する恐れがあるので、シャッタボタンの押下を撮影指示としてヘッド部に伝える部分にだけは、インターフェースとは別に専用線が設けられているものもある(例えば特許文献3参照)。
【0005】
ところで最近、連写撮影モードを有する撮影装置が増えてきている。この連写モードが指定されると、シャッタボタンが押され続けている間中、連続的に撮影が行なわれてメモリカードなどの記録媒体に画像データが順次に記録されていく。このため、連写モードにおける撮影時には稀に記録媒体への画像データの記録が満杯になってしまうことがある。もしも連写モードにおける撮影時に記録媒体への画像データの記録が満杯になったときには即座に撮影を中断させないと、記録媒体に記録することができないにも拘わらず撮影が行われ続けて余計な電力が消費されてしまう。
【0006】
上記特許文献3の撮影装置では、撮影指示信号をヘッド部に遅れることなく適時に伝えるために専用線を設けシャッタボタンの押下の信号がその専用線を経由してそのまま伝えられるため、シャッタボタンが押され続けたままであると記録媒体への画像データの記録が満杯になったときにはその専用線以外のインターフェースを通して撮影の中断を伝えなければならなくなる。しかし、撮影の中断指示を、インターフェースを通して通知する構成にすると通知が遅れて通知が遅れた分、ヘッド部側で余計な電力が消費されてしまう。
【0007】
このことに対処するために上記専用線とは別に、記録媒体が満杯であることを通知するための専用線をもう一本設けても良いが、そうすると部品点数が増えてしまう。
【0008】
また最近の撮影装置には、セルフタイマモードを有しているものも多い。しかし上記特許文献3の撮影システムにおいては、セルフタイマモードであってもシャッタボタンの押下が撮影指示として即座に専用線を通してヘッド部に伝えられてしまう。インターフェースを介してセルフタイマモードであることを伝えておいて専用線で撮影指示を受けたときにヘッド部側で処理を行なう構成にしても良いが、そうするとヘッド部の構成が複雑になってしまう。
【特許文献1】特開2005−210589号公報
【特許文献1】特開2005−181718号公報
【特許文献1】特開2005−278021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み、専用線の構成およびヘッド部の構成がいままでどおりの構成であっても、連写撮影モードやセルフタイマモードが指定され撮影が行なわれているときには本体部からヘッド部に対して撮影指示および撮影中断の指示が適時に伝えられる撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する本発明の第1の撮影システムは、撮影光学系と撮像素子とを備えたヘッド部と、そのヘッド部から画像データを受け取って記録する本体部とを備えた撮影システムにおいて、
当該撮影システムは、連写モードを有するとともに、上記本体部から上記ヘッド部へ撮影指示信号を伝える専用線を備えたものであって、
上記本体部は、
上記ヘッド部に上記専用線を介して撮影指示信号を伝達する撮影指示手段と、
上記ヘッド部からの、上記撮影指示信号の受信に応じて行なわれた撮影により得られた画像データを受け取って記録媒体に記録する記録手段と、
連写モードにおける撮影時に上記記録媒体への画像データの記録が満杯になったことを受けて、上記専用線による撮影指示信号の上記ヘッド部への伝達を禁止するマスキング手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
上記本発明の第1の撮影システムによれば、上記連写モードにおける撮影時に上記記録媒体への画像データの記録が満杯になったことを受けて上記マスキング手段によって上記専用線による撮影指示信号のヘッド部への伝達が禁止される。このため上記ヘッド部が上記専用線を介して撮影指示信号を受信することがなくなってヘッド部側での撮影が即座に中断される。こうして連写撮影が即座に中断されると、ヘッド部で無駄に電力が消費されることがなくなる。
【0012】
つまり、上記構成によれば、上記本体部に上記マスキング手段を付加するだけで、後はいままでどおりの構成のままで済む撮影システムが実現する。
【0013】
また上記目的を達成する本発明の第2の撮影システムは、撮影光学系と撮像素子とを備えたヘッド部と、そのヘッド部から画像データを受け取って記録する本体部とを備えた撮影システムにおいて、
当該撮影システムは、セルフタイマモードを有するとともに、上記本体部から上記ヘッド部へ撮影指示信号を伝える専用線を備えたものであって、
上記本体部は、
上記ヘッド部に上記専用線を介して撮影指示信号を伝達する撮影指示手段と、
上記セルフタイマモードにおける撮影時における撮影時刻が到来するまでの間、上記専用線による撮影指示信号の上記ヘッド部への伝達を禁止するマスキング手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
上記本発明の第2の撮影システムによれば、上記セルフタイマモードにおける撮影時における撮影時刻が到来するまでの間、上記マスキング手段によって上記専用線による撮影指示信号のヘッド部への伝達が禁止される。このため撮影時における撮影時刻が到来するまでの間は上記ヘッド部が上記専用線を介して撮影指示信号を受信することがなくなる。
【0015】
しかも撮影時刻が到来したときには上記専用線を通して上記撮影指示信号がヘッド部へ伝達されてくるので、その撮影指示信号にしたがってセルフタイマ撮影が問題なく行なわれる。
【0016】
つまり、上記構成によっても、上記本体部に上記マスキング手段を付加するだけで、後はいままでどおりの構成のままで済む撮影システムが実現する。
【0017】
ここで、上記本体部は、シャッタボタンを備え、上記撮影指示手段は、シャッタボタンの押下を、撮影指示信号として、上記専用線を介して上記ヘッド部に伝達するものであることが好ましい。
【0018】
この好ましい構成であると、いままでの構成をそのまま使用し、上記シャッタボタンと上記専用線とを接続する部分に、低廉であって小型のゲート部品を用いて簡単にマスキング手段を構成することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上、説明したように、専用線の構成およびヘッド部の構成がいままでどおりの構成であっても、連写撮影モードやセルフタイマモードが指定され撮影が行なわれているときには本体部からヘッド部に対して撮影指示および撮影中断の指示が適時に伝えられる撮影システムが実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態である撮影システムを示す図である。
【0022】
図1に示すように本実施形態の撮影システム1は、ヘッド部1aと本体部1bとを備える。図1には、撮影光学系と撮像素子を備えたヘッド部1aと、そのヘッド部1aが着脱自在に装着されヘッド部1aから画像信号を受け取って信号処理を行なう本体部1bとが示されている。
【0023】
ヘッド部1aの外観は従来の交換レンズと同様のものである。
【0024】
本体部1bの中央には、多数のマウント接点を持つヘッドマウント10bが配備されている。ヘッド部1a側にも同様のマウント部が構成されており、双方のマウント接点の位置がそれぞれあうように図中の一点鎖線に沿ってヘッド部1aが本体部1bに装着されると、多数のマウント接点同士が各々接続されてヘッド部1aと本体部1bとが電気的に接続される。
【0025】
この多数のマウント接点の中のそれぞれが通信用、電力供給用にそれぞれ割り当てられていて本体部1b側からヘッド部1a側への通信が行なわれたり、またヘッド部1a側から本体部1b側への通信が行なわれたり、さらに本体部1b側からヘッド部1a側への電力の供給が行なわれたりする。なお詳細は後述するが、本実施形態のカメラシステム1においては、撮影指示信号を本体部1bからヘッド部1aに即時に伝えるために専用線1Aが用いられており、その撮影指示信号以外の制御信号の本体部からヘッド部への伝達あるいはヘッド部から本体部への伝達については低速インターフェースが用いられ、ヘッド部から本体部への画像信号の伝達については、高速インターフェースが用いられている。
【0026】
また上記ヘッドマウント10bの上方にはAWBセンサ11bが配備され、そのAWBセンサ11bにより撮影時の光源種が検出される。この光源種とは、例えば太陽光であるか蛍光灯であるかといったようなものであり、この光源種がAWBセンサにより検出され後述するデジタル信号処理部に適正な色温度が設定されて最適なホワイトバランスの調整が行なわれる。そのAWBセンサ11bの横には、閃光発光窓12bが配備されており、その閃光発光窓12bを通して閃光を発光する閃光発光装置が本体部1b内に配備されている。さらに本体部1bのボディ上面にはレリーズ釦13bとモードダイヤル14bが配備されていて、このモードダイヤル14bによって撮影モードと再生モードとが選択される。さらに撮影モードにあっては、さらに静止画撮影モードであるとか、動画撮影モードであるとかが選択され、静止画撮影モードの中にはさらに連写モードも配備されている。
【0027】
ここで図2を参照して図1に示す撮影システムの内部の構成を説明する。
【0028】
図2はヘッド部1aが本体部1bに装着された状態にあるときの撮影システムの内部構成を示すブロック図である。
【0029】
図2の上方側にはヘッド部1aの構成が、また図2の下方側には本体部1bの構成がそれぞれ示されている。
【0030】
まず、この撮影システムの電源廻りの構成を簡単に説明しておく。
【0031】
ヘッド部1a側のDC/DCコンバータ101aと本体側のDC/DCコンバータ141bは、本体部の電池の電力供給を受けて動作するものであって、ヘッド部側の電源制御部100a,本体部側の電源制御部140bによってそれぞれ制御される。
【0032】
ヘッド部1aが本体部1bに装着された状態にあるときにモードダイヤル14bが操作されることによって電源投入の合図がユーザ操作により行なわれると、本体部側の電源制御部140bからDC/DCコンバータ141bに指示が出されて本体部1b内の各部に電池からの電力が供給される。このようにして電池からの電力が本体部各部に供給されたら、本体部1b側の電源制御部140b、さらにラッチ部160b、I/O部161bを経てヘッド部1a側の電源制御部100aにも電力供給の指示が伝達され電池の電力がDC/DCコンバータ101aを介してヘッド部1a側の各部に供給される。
【0033】
なお、ヘッド部1aが本体部1bに装着された状態になったときには、本体部1b側の電源制御部140bにヘッド部1a側からロー信号(グランドレベル)が供給される。ここでモードダイヤル14bの操作により電源投入の指示が行なわれたら、これを受けて本体部1b側の電源制御部140bによりラッチ部160bがローからハイへ、もしくはハイからローへ切り替えられそのままラッチされてI/O部161bにラッチ信号が供給される。さらにI/O部161bからヘッド部1b側の電源制御部140bへ向けてこのラッチ信号が電源オン指示となって伝達される。つまりモードダイヤルが操作され電源スイッチ14bが投入されたときには、本体部1b側のDC/DCコンバータ140b、またヘッド部1a側のDC/DCコンバータ101aから各部に電力が供給されてこの撮影システム全体が撮影システムとして立ち上がり動作するようになっている。
【0034】
次に、電源が投入され、この撮影システム1が動作して撮影が行なわれたときにヘッド部1aから本体部1bへ送信される画像信号の流れを説明する。
【0035】
まず、ヘッド部1a側の構成を説明する。
【0036】
図2に示すようにこの撮影システム1を構成するヘッド部1aには、撮影光学系11aと撮像素子(ここではCCD固体撮像素子が用いられているので以下CCDという)12aとが備えられている。その撮影光学系11a内には撮影レンズや絞りなどが配備されている。その撮影光学系11a内の撮影レンズで被写体をCCD12aに結像させて、CCD12aで画像データの生成を行なっている。このCCD12aで生成された画像データがアナログ信号処理部13aに出力されそのアナログ信号処理部13aでノイズ低減の処理などが行なわれた後、後段のA/D部14aでアナログ信号の画像信号がデジタル信号の画像信号に変換される。さらにその画像信号が高速シリアルI/F150aに供給され、この高速シリアルI/F150aおよび本体部の高速シリアルI/F150aを経由してカメラ1b本体側にデジタル信号になった画像信号が送信される。
【0037】
この本体部側に送信される画像信号の中には、モードダイヤル14bによっていずれかの撮影モードが選択された状態にあるときに撮影光学系内の撮影レンズが捉えた被写体をLCDパネル(図示せず)上に表示するためのスルー画用の画像信号(以下スルー画信号という)やその撮影モードの中の静止画撮影モードが選択された状態にあるときにレリーズ釦13bの操作により得られる静止画像を表す画像信号(以下静止画信号という)やその撮影モードの中の動画モードが選択された状態にあるときにレリーズ釦13bの操作により得られる動画を表す画像信号(以下動画信号という)の3通りの画像信号がある。
【0038】
またA/D部14aでデジタル信号に変換された画像信号はA/D部14aの後段に設けられた積算回路16aにも供給されている。この積算回路16aはAF機能(以下AFという)およびAE機能(以下AEという)を果たすものであって、この積算回路16aによってAE機能を働かせるための被写界輝度の測定やAF機能を働かせるための被写体距離の測定が行なわれている。その積算回路16aで測定された被写体距離や被写界輝度がデータバス192aを介して絞り/フォーカス/ズーム制御部17aに供給され、その絞り/フォーカス/ズーム制御部17aによって撮影光学系内の絞りの径が調節されたり、撮影光学系内のフォーカスレンズの位置が調節されたりする。このようにしておくとこのヘッド部1aが備える撮影光学系内のレンズが異なる被写体に向けられる度にAFやAEが働きすぐにピントや輝度の調整が行なわれてピントの合った被写体を表す画像データがCCD12aで生成されCCD12aから出力される。
【0039】
以上がヘッド部1a側の構成である。
【0040】
次に本体部1bの構成を説明する。
【0041】
まず、スルー画信号がヘッド部側の高速シリアルI/F150a,本体部側の高速シリアルI/F150bを経由して供給されてきたら、そのスルー画信号にデジタル信号処理部103bで処理が施されその処理が施された画像信号がフレームメモリ104bを経由してLCD制御部105b、さらにLCD1050bに供給されLCD表示画面上にスルー画信号に基づくスルー画が表示される。LCD制御部105bにはOSD(On Screen Display)1051b側からの情報も供給されているのでスルー画に重ねて選択メニューなども表示される。
【0042】
また、そのスルー画を見ながらレリーズ釦13bが押されたら、CCD12aで生成された静止画信号が高速シリアルI/F150bを経由して本体部1bに送信されデジタル信号処理部103bで信号処理が施され、さらにカードI/F106bを経由してメモリカードスロット107bに装填されているメモリカード108bにJPEG圧縮された静止画信号が記録される。なお、本体部1bには、画像信号の処理を行なう部分のほか、OSD1051bを経由してLCD画面上に時刻や日付情報を表示するためのデータを作成するタイマ110bやカレンダ時計111bなどや外部機器との接続用のUSBI/F131bおよびUSBコネクタ130bやこの撮影システムに操作指示を与えたり簡易表示を行なったりするスイッチ/LED等132bなども配備されている。このスイッチ/LEDのスイッチ側の操作指示は、I/O133bを介して本体CPU100bに供給され、本体CPU100bによってその操作指示に応じた処理が行なわれ、その操作指示に応じて処理が行なわれていることが上記スイッチ/LEDのLED等により表示される。またレリーズ釦13bは本体CPU100bおよびヘッドCPU19aの双方の割り込み端子に双方とも専用線1Aで接続されていてレリーズ釦13bが押されたときには、双方のCPU19a,100bに割り込みがかけられて静止画処理プログラムもしくは動画プログラムが起動されるようになっている。
【0043】
また上記静止画信号のほかに動画像信号がヘッド部1aから本体部1bに高速シリアルI/Fを経由して供給されてきたら、動画信号にデジタル信号処理部103bで処理が施されカードI/F106bを経由してメモリカードスロット107bに装填されているメモリカード108bに例えばMPEG圧縮された画像信号が記録される。
【0044】
また、上記構成の撮影システム1においては、連写モードが指定されてシャッタボタンが撮影者により押し続けられたときには、専用線1Aを介して所定の間隔ごとに撮影指示信号がヘッド部1aに伝達され、ヘッド部1aで生成された画像信号がヘッド部から高速I/Fを通して本体部1bに順次に送られてくる。なお図2のシャッタボタン13bの部分には不図示のスイッチ回路が構成されていて、本体CPU100bから連写モードが指定されたことが伝えられると、シャッタボタン13bが押され続けている限り、操作により設定されたとおりの回数までの撮影指示信号が所定の間隔ごとにそのスイッチ回路から出力される構成になっている。本実施形態においては、図2のシャッタボタン13bと不図示のスイッチ回路とが本発明にいう撮影指示手段に該当する。
【0045】
ヘッド部1aから画像信号が高速シリアルI/F150a,150bを通して順次に送信されてきたら、本体部1bでは一枚の静止画撮影が行なわれたときと同様の処理が連続的に行なわれ所定の間隔ごとに撮影された静止画信号が次々と圧縮され圧縮された静止画信号が本発明にいう記録手段に該当するカードI/Fによってメモリカード108bに記録される。
【0046】
ここで前述した様に、従来においてはカードI/F106bによるメモリカード108bへの記録が満杯になってもシャッタボタン13bが押し続けられていた場合には、低速シリアルI/F151b、151aを通して撮影の中断を指示する信号をヘッド部1aに供給していたため、通知が遅れて少しの間ヘッド部1aが動作し続けてヘッド部1aの電力が無駄に消費されてしまっていた。
【0047】
そこで、本実施形態では、撮影指示信号をヘッド部1aへ伝えることを禁止するマスキング手段1000bをシャッタボタン13bと専用線1Aとの間に設けて、連写モードにおける撮影時に記録媒体であるメモリカード108bへの画像データの記録が満杯になったことを本体CPU100bがカードI/F106bから受けたときには本体CPU100bがそのマスキング手段1000bに指示して上記専用線1Aによる撮影指示信号の上記ヘッド部1aへの伝達を禁止して、ヘッド部1a側の撮影処理を即座に中断させている。こうしておくと、ヘッド部1aで撮影処理が続行され電力が無駄に消費されることがなくなる。
【0048】
図3は、上記マスキング手段1000bの構成を示す図である。
【0049】
また図4は、図3の各部の論理を表わす真理値表である。
【0050】
本実施形態においては、本発明にいうマスキング手段1000bは、インバータN1,N2とアンドゲートAND1とNPNトランジスタ(オープンコレクタ)Q1で構成されている。
【0051】
図3に示す様に、本体CPU100bは、通常マスク端子MKからローの信号を出力していてアンドゲードAND1の一方の入力端子をハイにすることで、アンドゲートAND1の他方の端子にレリーズボタン13Bの操作に応じた信号が入力されてきたときにはその信号をそのままヘッドCPU19aに撮影指示信号として伝達することができる様にしている。
【0052】
その一方で連写モードにおける撮影時に記録媒体であるメモリカード108Bへの画像データの記録が満杯になったことをメモリカードI/F106bから受けたときには、本体CPU100bは、マスク端子MKからハイ信号を出力してアンドゲートAND1の一方の入力端子をローにすることでアンドゲートAND1の他方の入力端子(レリーズボタン13b)側にどのような論理の信号が入力されようともアンドゲートAND1からは同じ信号(ロー信号)が出力される様にして専用線1Aによる撮影指示信号のヘッド部1aへの伝達を禁止している。なお、図3にはレリーズボタン13bが操作されたときに単一のパルスが出力されるだけの構成が示されているが、実際には、最初のパルスのタイミングを受けて連続的にパルスを発生する不図示のスイッチ回路が構成されている。
【0053】
ここで、図3の回路図を参照しながら、詳細に回路動作を説明する。
【0054】
通常時には、つまり記録媒体であるメモリカード108bへの記録が満杯であることを通知する信号がカードI/F106bから供給されていないときに本体CPU100bは、まず、マスク端子MKからロー信号を出力する。そうするとインバータN1を通ってアンドゲートAND1の入力端子にハイ信号が入力される。
【0055】
アンドゲートAND1がこの状態にあるときにレリーズボタン13bが押されていなければ、アンドゲートAND1の出力はローに引き下げられトランジスタがオフ状態になって、ヘッドCPU19aにはハイ信号が伝えられたままになる。
【0056】
ここで、レリーズボタン13bが押されることにより撮影開始が合図されると図中の1の部分の論理がハイからローに反転するのでインバータN2の入力端子がローに引き下げられアンドゲートAND1の他方の入力端子にハイ信号が入力される。そうするとアンドゲートAND1の双方の入力端子ともハイになるのでアンドゲートからはハイ信号が出力される。そうしたらいままでオフしていたトランジスタQ1がオンして、トランジスタQ1のコレクタ電位がローにまで引き下げられそのロー信号が撮影指示信号としてヘッドCPU19aに伝えられる。なお、図3には示されていないが、レリーズボタン13bの押下されたときのタイミングを最初のパルス発生タイミングとして所定の間隔ごとにハイからローそしてハイに反転するパルス信号が連続的に出力されると、連続的に出力されたパルス信号が次々とヘッドCPU19aに伝えられる。
【0057】
ここで、カードI/F106bからメモリカード108bへの記録が満杯であることが通知されてきたときに本体CPU100bは、マスク端子MKからハイ信号を出力する。そうするとインバータN1を通ってアンドゲートAND1の一方の入力端子にロー信号が入力される。
【0058】
アンドゲートAND1がこの状態にあるときにレリーズボタン13bが押し続けられていて、パルスが出力されていても、アンドゲートAND1の出力はローに引き下げられたままになって、トランジスタQ1がオフしたままになるので、ヘッドCPU19aには撮影指示が伝えられなくなる。つまり、マスク端子からハイ信号が出力されたときには、撮影指示信号がマスクされヘッド部への伝達が禁止される。
【0059】
ここで、図4を参照して本体CPU100bによってマスクが行なわれたときとマスクが行なわれないときとの回路の動作状態の違いを説明する。
【0060】
図4には、図3中にある符号1〜5までの番号が示す位置の論理が示されている。
【0061】
図4の符号3の欄の左側(ハッチング部分)に示す様にアンドゲートAND1のマスク端子側の入力端子(符号3で示すところ)がハイ(H)になっているときには、符号1で示すところの論理の反転がそのままヘッドCPU19a(符号5で示すところ)に伝えられる。つまり、アンドゲートAND1が通過ゲートになってヘッドCPU19aにレリーズボタンが押されている間中、所定の間隔ごとに撮影開始指示が伝えられる。
【0062】
これに対して図4の符号3の欄の右側(丸で囲まれている部分)に示す様にアンドゲートAND1のマスク端子側の入力端子(符号3で示すところ)がロー(L)になっているときには、符号1で示すところの論理が反転してもヘッドCPU19a(符号5で示すところ)には論理の反転が伝えられずにハイ信号が伝えられたままになる。つまり、アンドゲートのマスク端子側の入力端子がローになるとアンドゲートAND1が遮断ゲートになってレリーズボタン13bが押し続けられていて不図示のスイッチ回路からパルス信号が出力されていたとしてもヘッドCPU19aへは伝達されなくなる。
【0063】
この様なマスキング手段1100bを設けておくと、メモリカード108bへの記録の満杯が本体CPU100bに通知されたときにすぐにヘッド部1aへの撮影指示信号の伝達を禁止してヘッド部の撮影処理を即座に中断させることができる。
【0064】
図5(a)は、本体CPU100bが行なう連写モード時の撮影処理の手順を示すフローチャートである。またず5(b)は、ヘッドCPUが行なう連写モード時の撮影処理の手順を示すフローチャートである。
【0065】
連写モードが指定されたらこのフローの処理が開始される。
【0066】
ステップS501で、レリーズボタン13bが押されているかどうかを判定する。ステップS501でレリーズボタン13bが押されていると判定したらYes側へ進み、ステップS501でレリーズボタン13bが押されていないと判定したらNo側へ進んでステップに進む。
【0067】
ステップS501でNo側に進んだらステップS502で連写モードを終了するかどうかを判定し連写モードを終了しないと判定したらステップS501に戻ってレリーズボタン13bが押されるのを待ち、ステップS502で連写モードを終了すると判定したら連写を終了してこのフローの処理を終了する。
【0068】
ステップS501でYes側へ進んだらステップS503でメモリカード108bの空き容量が2枚以上あるかどうかを判定する。このステップS503で2枚以上あると判定したらYes側へ進んでステップS504でヘッド部へ撮影指示信号を専用線を通して伝達してヘッド部に撮影処理を行なわせる。ステップS501に戻ってレリーズボタン13bがまだ押されていたら、連写が続けられていると判定してステップS503、ステップS504の処理を繰り返し行なう。
【0069】
レリーズボタン13bが押され続けて連写が行なわれている最中にステップS503でメモリカードの空き容量が2枚以上ないと判定したらNo側へ進んでステップS505でマスク端子MK(図3参照)からロー信号を出力してレリーズボタン13bの押下を撮影指示信号としてヘッド部に伝達するのを禁止してこのフローの処理を終了する。
【0070】
図5(b)は、ヘッドCPU19aが、本体CPU側の図5(a)のステップS504の処理を受けて行なう撮影処理の手順を示すフローチャートである。
【0071】
なお、本体部1bから低速シリアルI/F151b,151aを介して連写モードであることが通知されてきたらこの図5(b)のフローの処理が開始される。
【0072】
ステップS5041で本体部1bが備えるレリーズボタン13bが押し続けられていることにより撮影指示信号が専用線1Aを通して伝達されてきたかどうかを判定する。このステップS5041で撮影指示信号が専用線1Aを通して伝達されてきたと判定したら、Yes側へ進んでステップS5042で撮影処理を実行する。撮影処理が終了したらステップS5043で高速I/F150a、150bを通して画像信号を送信する。ステップS5041に戻ってステップS5041でレリーズボタンがまだ押され続けていて撮影指示信号が伝達されてきたと判定したら、ステップS5042からステップS5041までの処理を繰り返し行う。ステップS5042からステップS5041の処理が繰り返し行なわれている最中にステップS5041で撮影指示信号が伝達されてこないと判定したらステップS5041で撮影指示信号が伝達されてくるのを待ち受ける待ち受け状態に移行する。
【0073】
以上、説明したように、専用線がいままでどおりに一本であってヘッド部の構成がいままでどおりの構成であっても、連写撮影モードが指定され撮影が行なわれているときには本体部からヘッド部に対して撮影指示および撮影中断の指示が適時に伝えられる撮影システムが実現する。
【0074】
図6は、第2実施形態を説明する図である。
【0075】
第2実施形態の撮影システムも図1の外観と図2の内部構成を持つものであるとする。
【0076】
ただし、図3のマスキング手段1000bの構成が、連写モードの代わりにセルフタイマモードにおける撮影時における撮影時刻が到来するまでの間、専用線1Aによる撮影指示信号のヘッド部への伝達を禁止するとともにセルフタイマの秒時後に専用線により撮影指示信号をヘッド部1aへ伝達する構成のマスキング手段1000b´に変更されている。
【0077】
ヘッド部1aへの撮影指示信号の伝達を禁止する部分の構成は図3の構成と同じであり、その図3の構成に加えてセルフタイマ秒時後にタイマ端子TMから撮影指示信号を出力する部分を加えてある。
【0078】
図6の構成であると、タイマ端子TMからセフルタイマ秒時後にローからハイに反転する信号が供給されるのでそのときに始めてトランジスタQ2のコレクタ電位がロー電位に引き下げられることによりヘッドCPU19aに撮影指示信号が伝達される。
【0079】
図7(a)は、本体CPUが行なうセルフタイマ撮影処理の手順を示すフローチャートである。
【0080】
セルフタイマモードが指定されたらこのフローの処理が開始される。
【0081】
ステップS701でレリーズボタン13bが押されたかどうかを判定する。ステップS701で押されていないと判定したらNo側へ進んでステップS701の処理を繰り返す。ステップS701でレリーズボタン13bが押されたと判定したらYes側へ進んでステップS702でタイマを作動させてカウントダウンを開始し、次のステップS703で、カウント値が0になったかどうかを判定する。カウント値が0になるまでステップS703の処理を繰り返し行ってカウント値が0になったらYes側へ進んでステップS704でタイマ端子TMから撮影指示信号を出力してヘッド部1aに伝達する。ステップS705でヘッド部1aに撮影を行なわせて高速シリアルI/F150a、150bを介して画像信号を取得したらこのフローの処理を終了する。
【0082】
図7(a)のステップS704の処理が本体側で行なわれたら、その処理を受けてヘッドCPU19aは撮影処理が開始される。
【0083】
図7(b)は、ヘッドCPU19aが行なうセルフタイマ撮影処理の手順を示すフローチャートである。
【0084】
ステップS7041で撮影指示信号が専用線1Aを通して伝達されてきたかどうかを判定する。このステップS7041で撮影指示信号が伝達されてきていないと判定したらステップS7041の処理を繰り返す。ステップS7041で撮影指示信号が伝達されてきたと判定したら、Yes側へ進んでステップS7042で撮影処理を実行する。次のステップS7043で画像信号を本体部1bへ高速I/F150aを使って伝達したらステップS7041に戻って撮影指示信号が伝達されてくるのを待ち受ける。
以上説明した様に、以上、説明したように、専用線がいままでどおりに一本であってヘッド部の構成がいままでどおりの構成であっても、連写撮影モードやセルフタイマモードが指定され撮影が行なわれているときには本体部からヘッド部に対して撮影指示および撮影中断の指示が適時に伝えられる撮影システムが実現する。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の一実施形態である撮影システムを示す図である。
【図2】ヘッド部1aが本体部1bに装着された状態にあるときの撮影システムの内部構成を示すブロック図である。
【図3】マスキング手段の構成を示す図である。
【図4】図3の各部の論理を表わす真理値表である。
【図5(a)】本体CPU100bが行なう連写撮影処理の手順を示すフローチャートである。
【図5(b)】ヘッドCPUが行なう連写撮影処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態を説明する図である。
【図7(a)】本体CPUが行なうセルフタイマ撮影処理の手順を示すフローチャートである。
【図7(b)】ヘッドCPU19aが行なうセルフタイマ撮影処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0086】
1 撮影システム
1a ヘッド部
19a ヘッドCPU
1b 本体部
13b レリーズボタン
100b 本体CPU
1000b 1000b´ マスキング手段
N1 N2 インバータ
AND1 アンドゲート
Q1 Q2 トランジスタ(オープンコレクタ)
1A 専用線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系と撮像素子とを備えたヘッド部と、該ヘッド部から画像データを受け取って記録する本体部とを備えた撮影システムにおいて、
当該撮影システムは、連写モードを有するとともに、前記本体部から前記ヘッド部へ撮影指示信号を伝える専用線を備えたものであって、
前記本体部は、
前記ヘッド部に前記専用線を介して撮影指示信号を伝達する撮影指示手段と、
前記ヘッド部からの、前記撮影指示信号の受信に応じて行なわれた撮影により得られた画像データを受け取って記録媒体に記録する記録手段と、
連写モードにおける撮影時に前記記録媒体への画像データの記録が満杯になったことを受けて、前記専用線による撮影指示信号の前記ヘッド部への伝達を禁止するマスキング手段とを備えたことを特徴とする撮影システム。
【請求項2】
撮影光学系と撮像素子とを備えたヘッド部と、該ヘッド部から画像データを受け取って記録する本体部とを備えた撮影システムにおいて、
当該撮影システムは、セルフタイマモードを有するとともに、前記本体部から前記ヘッド部へ撮影指示信号を伝える専用線を備えたものであって、
前記本体部は、
前記ヘッド部に前記専用線を介して撮影指示信号を伝達する撮影指示手段と、
前記セルフタイマモードにおける撮影時における撮影時刻が到来するまでの間、前記専用線による撮影指示信号の前記ヘッド部への伝達を禁止するマスキング手段とを備えたことを特徴とする撮影システム。
【請求項3】
前記本体部が、シャッタボタンを備え、前記撮影指示手段は、シャッタボタンの押下を、撮影指示信号として、前記専用線を介して前記ヘッド部に伝達するものであることを特徴とする請求項1又は2記載の撮影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図6】
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【図7(a)】
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【図7(b)】
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【公開番号】特開2008−79083(P2008−79083A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−257160(P2006−257160)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】