説明

撮影装置、および撮影方法、ならびに撮影プログラム

【課題】生体認証画像を撮影するカメラを監視カメラとして使用するとともに、生体認証に有効な生体特徴を含まない画像を監視画像として管理することにより、生体特徴を含む画像の流出を防ぐと共に生体認証における不正行為を監視する撮影装置、および撮影方法、ならびに撮影プログラムを提供する。
【解決手段】撮影装置は、撮影領域全体を照明して撮影を行い得られた第1撮影画像と、前記撮影領域全体と共に、前記撮影領域全体よりも狭い前記カメラ近傍領域を照明して撮影を行い得られた第2撮影画像との差分画像を取得する差分画像取得部と、前記差分画像における輝度が所定値以上である領域を抽出し、前記第1撮影画像又は前記第2撮影画像から、前記輝度が所定値以上である領域の撮像物を除去して監視画像を得る監視画像取得部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体認証画像を撮影するカメラを監視カメラとして使用し、生体認証に有効な生体特徴を含まない画像を監視画像として出力することにより、生体特徴を含む画像の流出を防ぐと共に生体認証における不正行為を監視する撮影装置、および撮影方法、ならびに撮影プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、セキュリティシステムにおいて、生体認証は金融機関のATMやマンションの入退室管理等で利用されているが、生体認証装置やその周辺の装置に対して様々な不正が行なわれる可能性がある。例えば、顔認証において、顔認証装置の登録者以外の人間が登録者の顔写真を顔認証装置のカメラに見せることで認証を行おうとする不正認証行為が行われる可能性がある。また、入退室管理において、生体認証装置の非登録者が登録者である人に続いてドアに入ってしまうような可能性がある。また、認証に生体認証を用いているATMにおいても、暗証番号が覗き見される可能性がある。このような不正行為を防ぐために、生体認証と監視カメラを組み合わせた技術が知られている。
【0003】
このような生体認証と監視カメラを組み合わせたセキュリティシステムとして、集合住宅の入館者を撮像する監視カメラと顔画像を検出する画像検出部と居住者の顔が予め登録されているデータベースを持ち、監視カメラに写った顔画像がデータベース内の顔画像と照合されるによって入館者が居住者かどうかを認証し、不審者を通報する不審者通報システムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、本発明の関連ある従来技術として、指紋識別器の光学系で指紋画像のみを撮像するのではなく、人物画像も撮像できるようにすることでセキュリティ性を高める指紋識別器の光学系を利用した人物像撮像が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2006-120084号公報
【特許文献2】特開平6−309447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、生体認証装置が撮影した画像をそのまま出力してしまうと、生体特徴が流出するおそれがある。認証に用いられる生体特徴情報の流出は、悪意を持つ第三者のみでなく、監視画像を目にすることができる内部の人間によって行なわれる可能性がある。例えば、内部の人間によってなされる生体特徴の流失の可能性としては監視画像を見ている警備員が監視画像を記録してしまうこと、システムを管理するシステムエンジニア等が生体認証装置に記録されている監視画像を容易に取り出せてしまうことなどが考えられる。
【0006】
また、生体特徴は暗証番号と異なり、変えることができないため、生体特徴情報が一旦流出してしまうと、その後の生体認証によるセキュリティは保証されない。
【0007】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、生体認証画像を撮影するカメラを監視カメラとして使用するとともに、生体認証に有効な生体特徴を含まない画像を監視画像として管理することにより、生体特徴を含む画像の流出を防ぐと共に生体認証における不正行為を監視する撮影装置、および撮影方法、ならびに撮影プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の撮影装置は、撮影領域全体を照明して撮影を行い得られた第1撮影画像と、前記撮影領域全体と共に、前記撮影領域全体よりも狭い前記カメラ近傍領域を照明して撮影を行い得られた第2撮影画像との差分画像を取得する差分画像取得部と、前記差分画像における輝度が所定値以上である領域を抽出し、前記第1撮影画像又は前記第2撮影画像から、前記輝度が所定値以上である領域の撮像物を除去して監視画像を得る監視画像取得部とを含む。
【0009】
また、開示の撮影装置は、所定の撮影領域を撮影することができるカメラから撮影画像を取得し、該取得された撮影画像を監視画像又は認証画像のいずれかに用いる撮影装置であって、所定のタイミングにおいて撮影を行って得られた撮影画像を登録された生体特徴と比較する比較部と、前記比較部の比較結果に基づいて、前記撮影画像が前記登録された生体特徴に一致しないと判断された場合、前記撮影画像を監視画像として処理すると共に、前記比較部の比較結果に基づいて、前記撮影画像が前記登録された生体特徴に一致すると判断された場合、前記撮影画像を監視画像として処理しない監視画像選択処理部とを含む。
【発明の効果】
【0010】
開示の撮影装置、および撮影方法、ならびに撮影プログラムによれば、生体認証画像を撮影するカメラを監視カメラとして使用するとともに、生体認証に有効な生体特徴を含まない画像を監視画像として管理することにより、生体特徴を含む画像の流出を防ぐと共に生体認証における不正行為を監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1の全体構成の一例を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1の認証装置が適用されるオートロックを示す図である。
【図3】実施の形態1の認証装置の操作部の一例を示す図である。
【図4】実施の形態1の全体動作を示すフローチャート(その1)である。
【図5】実施の形態1の全体動作を示すフローチャート(その2)である。
【図6】実施の形態1における監視画像取得タイミングを示す図である。
【図7】実施の形態1における監視画像適合チェック処理を示す図である。
【図8】実施の形態1における制御部の監視画像取得処理を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態2の認証装置によるATMを示す図である。
【図10】実施の形態2の認証装置による作用を示す図である。
【図11】実施の形態2の全体構成の一例を示すブロック図である。
【図12】実施の形態2の監視画像の撮影方法を示す図(その1)である。
【図13】実施の形態2の監視画像の取得方法を示す図(その2)である。
【図14】実施の形態2の監視画像生成動作を示すフローチャートである。
【図15】実施の形態3の全体構成の一例を示す図である。
【図16】実施の形態3における監視画像出力選択の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について本発明の撮影装置を適用した認証装置について図面を参照しつつ説明する。
実施の形態1.
【0013】
図1は実施の形態1の全体構成の一例を示すブロック図である。
【0014】
実施の形態1における認証装置10は、撮影装置(本発明の撮影装置)10Aと認証処理装置10Bとから構成され、認証結果に基づいてドアを開閉制御するドア制御部30を駆動する。
【0015】
撮影装置10Aは、キー入力部101、撮影部108、制御部105、メモリ部106、通信部107を備える。ここで制御部105は本発明の制御部に対応している。また、撮影部108は照明部102、カメラ103、距離センサ104を備える。
【0016】
認証処理装置10Bは認証処理制御部201、記録部202、認証処理部203、通信部204を備える。なお、認証処理装置10Bは撮影装置10Aとは別の場所、例えば管理センタなどに設置されていることが望ましい。
【0017】
照明部102はカメラ103が撮影する被写体を照らす。なお、照明部102はLED、白熱灯など認証の為の撮影に適したものを便宜備えるものとする。
【0018】
本実施の形態では、カメラ103で撮像される画像は、認証画像または監視画像として用いられる。なお、カメラ103はCCDであってもCMOSであっても構わない。
【0019】
距離センサ104は赤外線を投射し、被写体までの距離を測る。なお、測定方法は被写体までの距離が測定できるものであれば他の手段であっても構わない。この距離センサは本発明の被写体検出部に対応している。
【0020】
制御部105は、後述するように撮影部108の制御を行う。また、制御部105は取得したIDと、カメラ103で撮影した画像のうち監視画像をメモリ部106に格納させる。また、認証結果に基づいてドア制御部30にドアを開けるよう指示を出す。
【0021】
情報提示部109は認証を行う利用者に対して情報を提示する。なお、この情報は視覚情報によって提示されても、音声によって提示されても構わない。
【0022】
通信部107は認証処理装置10Bの通信部204とデータの送受信を行い、認証結果に基づいてドア制御部30に制御部105からの指示を送信する。また、通信部107は通信部204にデータを送信する際、データを暗号化する。なお、通信部107と通信部204、ドア制御部30とを接続するネットワークはデータの送受信が行えるものであればTCP/IP、USB、LAN、無線LANのいずれであっても構わない。
【0023】
認証処理装置10Bの通信部204は撮影装置10Aの通信部107とデータの送受信を行う。また、通信部204は通信部107からデータを受信する際、データを復号化する。
【0024】
認証処理装置10Bの記録部202は生体特徴画像、IDを対応付けて記録する。また、認証が行われた時間、認証の結果、監視画像もIDと対応付けて記録する。
【0025】
認証処理装置10Bの認証処理部203は認証処理制御部201から撮影装置10Aから受信した生体特徴画像(認証画像)を取得し、記録部202内に登録された生体特徴画像(登録画像)との比較処理をする。なお、この認証画像と登録画像との比較処理においては、認証処理部203はそれぞれの画像から、認証画像と登録画像が同一の生体特徴を有しているか否かの判断基準とするための情報(例えば特徴点)を抽出し、この生体特徴情報を用いて処理を行なうものとする。
【0026】
認証処理制御部201は通信部204を通じて撮影装置10AからID及び画像データを受信する。また、IDを引数として記録部202から該当する登録画像を取得し、認証処理部203に認証画像との比較処理を行わせる。
【0027】
図2は、本実施の形態の認証装置が適用される一例としての認証装置によるオートロックを示す図である。このオートロックはサーバルームやマンションルームの入り口等のセキュリティが要求される部屋の入り口に設けられ、認証装置10(又は撮影装置10A)と、認証装置10の認証結果によりドアDを開閉するドア制御部30を備える。
【0028】
なお、図2に示す認証装置10はスタンドアローンの形態として構築されても、撮影操作部と認証処理部とが通信回線で接続されるシステムとして構築されていてもよい。実施の形態1の認証装置は不審者の侵入を防ぐために、認証装置10により、事前にシステムに登録された登録者の認証がなされると、ドア制御部30にドアのロックを解除させる。なお、実施の形態1において、生体認証は静脈認証を想定しているが、実施の形態1の構成及び動作は他の生体特徴画像に基づく認証においても有効である。
【0029】
図3は撮影装置10Aの概観構成の一例を示す図である。この撮影装置10Aは登録者が操作を行って例えばIDを入力するキー入力部101と、撮影画像を取得するカメラを有する撮影部108と、情報を提示する情報提示部109とを備えている。
【0030】
次に、実施の形態1の全体動作について図4及び図5のフローチャートを用いて説明する。
【0031】
まず、撮影装置10Aの制御部105はキー入力部101でIDが入力されたか否かを判断する(S101)。
【0032】
IDが入力された場合(S101,YES)、制御部105は通信部107を介して、入力されたID(入力ID)と共に認証要求を認証処理装置10Bへ送信し(S102)、またカメラ103には監視画像を撮影させ取得する(S103)。
【0033】
次に、認証処理装置10Bの認証処理制御部201は、通信部204を介して受信した入力IDが記録部202に記録されているID(登録ID)のいずれかと一致するか否かを判断する(S104)。
【0034】
ステップS104の判断において、入力IDと登録IDが一致した場合(S104,YES)、認証処理制御部201は制御部105に認証画像要求を送信し、認証画像要求を受信した制御部105はカメラ103に認証画像を撮影させ、認証画像を取得する(S106)。
【0035】
次に、制御部105は認証画像を通信部107に暗号化させ(S107)、通信部107は認証処理装置10Bの通信部204に認証画像を送信する(S108)。この動作は本発明の制御ステップの動作の一部である。
【0036】
認証画像を受信した通信部204は暗号化された認証画像を復号化し、通信部204から認証画像を取得した認証処理制御部201は、認証処理部203に入力IDに対応する登録画像202との比較処理をさせ、認証処理制御部201は撮影装置10Aの制御部105に認証結果を送信する(S109)。なお、この認証結果は認証画像と登録画像が一致するか否か(OKまたはNG)を示す情報である。
【0037】
認証結果を受信した制御部105は認証結果がOKか否かを判断し(S110)、認証結果がOKである場合(S110,YES)、制御部105は通信部107を介してドア制御部30にドアを開けさせ(S117)、カメラ103に再び監視画像を撮影させ、監視画像を取得する(S112)。
【0038】
そして、さらに認証処理制御部201は制御部105に監視画像要求を送信し(S113)、監視画像要求を受信した制御部105は通信部107に監視画像を暗号化させ(S114)、認証処理装置10Bの通信部204へ送信させる(S115)。
【0039】
監視画像を受信した通信部204は暗号化された監視画像を復号化し、通信部204から監視画像を取得した認証処理制御部201は、記録部202に認証が行われた時間、認証の結果、監視画像をIDと対応付けて格納させる(S118)。
【0040】
また、ステップS110の判断において、認証結果がNGである場合(S110,NO)、制御部105は情報提示部109に認証エラーを提示させ(S111)、カメラ103に再び監視画像を撮影させ、監視画像を取得する(S112)。
【0041】
また、図4におけるステップS104の判断において、入力IDと登録IDが一致しなかった場合(S104,NO)、認証処理制御部201は制御部105に不正ID通知を送信し(S105)、不正ID通知を受信した制御部105は情報提示部109にIDエラーを提示させる(S116)。
【0042】
なお、ステップS107とステップS114における暗号化の暗号アルゴリズムについて、認証画像は監視画像よりも高いセキュリティを求められるため、例えば、通信部107が監視画像をセキュリティよりも処理速度優先の暗号化アルゴリズムで暗号化し、認証画像を処理速度よりもセキュリティ重視の暗号化アルゴリズムで暗号化することにより、信頼性と処理速度を両立することができる。
【0043】
次に、撮影装置10Aの制御部が監視画像を取得するタイミングについて、図6を用いて説明する。
【0044】
制御部105はキー入力部101にキー入力がなされた時点でカメラ108に監視画像(1)を取得させ、認証処理後に再び監視画像(2)を取得させる。また、制御部105によって取得された監視画像は認証処理装置10Bに送信されるまでメモリ部106に一時格納される。
【0045】
次に、撮影装置10Aの制御部105の監視画像撮影適合チェック処理について図7を用いて説明する。
【0046】
撮影部108の距離センサ104は監視画像取得の際、被写体までの距離を測定し、距離が所定の値よりも大きい場合は、制御部105はカメラ103による撮影画像を監視用画像として扱うよう処理する。一方、距離が所定の値よりも小さい場合は、制御部105はカメラ103による監視用画像の撮影を停止させる。実施の形態1において、生体認証は細い線状の生体特徴である手の静脈によってなされる。手の静脈が一定の距離以上離れて撮影された画像は認証には使用できない為、距離による監視画像適合チェックがなされることで、認証に有効な生体特徴が監視画像として撮影されることがない。
【0047】
次に、図4に示したステップS103及び図5に示したステップS112における制御部105の監視画像取得動作(本発明の制御ステップの一部)について図8を用いて説明する。
【0048】
まず、制御部105は距離センサ104に被写体までの距離(D)を測定させ(被写体検出ステップ)、その値を取得し(S201)、Dが予め設定された閾値以下である場合(S202,NO)、撮影画像(監視画像)に生体特徴部分が含まれると判断し、制御部105は監視画像取得処理を終了する。一方、Dが予め設定された閾値より大きい場合(S202,YES)、制御部105はカメラ103に撮影を続行させ、監視画像を取得する(S203)。
【0049】
なお、図8の動作において、カメラ103による監視画像の撮影は、撮影条件として、認証画像の撮影よりも長い露出時間で撮影する。監視画像の露出時間を認証画像の露出時間よりも長くすることによって、カメラ103の絞り値を上げることができ、鮮明な監視画像を得ることができる。また、監視画像の被写体よりも認証画像の被写体の方が照明部102に近いため、生体特徴が映ったとしても、露出オーバーにより生体特徴部分は白トビを起こす。よって、監視画像に認証可能な生体特徴が映ることはない。
【0050】
また、ステップS103での監視画像取得処理において、認証処理が開始されるまで制御部105が一定の間隔で監視画像を取得しても良いし、ステップS112での監視画像取得処理において、制御部105が所定の時間内に一定の間隔で監視画像を取得しても構わない。
【0051】
以上の構成、動作によって、実施の形態1の認証監視システムは認証画像と監視画像を同じカメラで撮影し、なおかつ認証画像の漏洩を防ぐことができる。
【0052】
実施の形態2.
以下、本発明の撮影装置を認証装置によるATMに適用した実施の形態2について説明する。図9は実施の形態2の認証装置によるATMを示す図である。
【0053】
実施の形態1では認証装置によるオートロックを想定していたが、実施の形態2では認証装置によるATMを想定している。新たに設けられたICカード読み取り部110は、口座情報などと共に生体特徴情報が保存されたキャッシュカードを読み取る。また、実施の形態2におけるキー入力部101は例えばタッチパネルであっても構わない。また、実施の形態2の撮影装置10Aには、距離センサ104は備えられておらず、実施の形態2の撮影装置10Aは照明部102の照明の有無に基づく撮影画像の輝度差を利用することにより、生体特徴が撮影された領域を除去し、生体特徴を含む監視画像が流失することを防ぐようにしたものである。
【0054】
なお、実施の形態2によれば、例えば、図10に示すように、銀行のATMにおいて、生体認証を行う撮影装置10A(撮影部108)が生体認証を行わない時に監視カメラとして機能することにより、例えば暗証番号を覗き見るためのカメラCがATM近くに備え付けられるなどの不正行為を監視することによって、そのような不正行為を未然に防ぐことができる。
【0055】
図11は実施の形態2の全体構成の一例を示すブロック図である。図11において、図3と同一符号は図3に示された対象と同一又は相当物を示しており、実施の形態1と機能が変わらない部分についてはここでの説明を省略する。
【0056】
実施の形態1の全体構成と異なるのは実施の形態1の撮影装置10Aと認証処理装置10Bとが一つの筐体内に認証装置10として備えられていること、認証装置10(撮影装置10A)内に距離センサ104が備えられていないこと、ICカード読み取り部110及び監視画像生成部111が新たに設けられていること、記録部202に相当するデータベース40が設けられていることである。また、実施の形態2において、予め保存されている生体特徴情報である登録画像はICカード読み取り部110によって読み取られるキャッシュカード内に保存されている為、データベース40は登録画像を保持していない。また、監視画像は監視画像生成部111によって、不正行為が行なわれていないかを監視する監視ルームへ送信される為、データベース40は監視画像も保持しておらず、認証が行われた時間、認証の結果、ID、そしてキャッシュカードの暗証番号を対応付けて記録している。また、認証装置10の外部に外部照明114が新たに設けられている。この外部照明114は例えば室内照明である。なお、照明部102と波長が異なる光を発するものであればより好ましい。
【0057】
なお、監視画像生成部111から出力される監視画像は、映像であってもよく、その際、監視画像生成部111が映像データを非可逆圧縮しても構わない。また、監視画像生成部111の映像出力方式はデジタル出力であってもアナログ出力であっても構わない。
【0058】
次に実施の形態1と異なる実施の形態2の動作について説明する。
【0059】
実施の形態2では認証処理部203が認証装置10内に備えられているため、制御部105は実施の形態1の認証処理制御部201の通信部204以外の動作をも行う。また、制御部105が認証処理部203に認証処理を行わせる際、制御部105が登録画像をキャッシュカードから取得し、認証画像と登録画像が同一の生体特徴を有しているか否かの判断基準とするための情報(例えば特徴点)を抽出し、この生体特徴情報を用いて処理を行なう動作、及び制御部105がキャッシュカードの暗証番号をデータベース40に格納された暗証番号と照合する動作が実施の形態1の動作と異なる。また、距離センサ104が備えられておらず、新たに監視画像生成部111が設けられたことにより、監視画像に認証画像が含まれてしまうことを防ぐための動作が実施の形態1と異なっている。
【0060】
図12及び図13は実施の形態2の認証画像及び監視画像の撮影方法を示す図である。
【0061】
実施の形態2では、図12に示すように、例えばATMが設置された部屋に備え付けられた外部照明114の光の下で、認証装置10の照明部102の光の有無により生じる撮影画像の輝度の差を利用して、監視画像生成部111は撮影画像から被写体を削除する処理を行い、監視画像を得る。監視画像生成部111は照明部102が被写体を照らしている状態(照明ON)、及び被写体を照らしていない状態(照明OFF)、それぞれの状態の被写体をカメラ103に撮影させる。
【0062】
そして、図13に示すように、監視画像生成部111は照明ON画像及び照明OFF画像の同じ座標における輝度値を比較し、照明ON画像と照明OFF画像とで輝度が同じ領域を抽出し、監視画像とすることで認証可能な生体特徴が映っていない監視画像を得ることができる。なお、監視画像生成部111は本発明の差分画像取得部及び監視画像取得部を構成している。
【0063】
なお、ATMが設置された部屋に外部照明がない場合は、認証装置10の外部、または認証装置10の近くに外部照明114を設けても構わない。
【0064】
図14は実施の形態2の監視画像生成部の動作を示すフローチャートである。
【0065】
まず、監視画像生成部111は照明ON画像と照明OFF画像を取得し(S301)。取得する座標を示す変数X及びYに0を代入し、それぞれ初期化し(S302)、照明ON画像ピクセル(X,Y)の輝度値V1及び照明OFF画像ピクセル(X,Y)の輝度値V2をそれぞれ取得する(S303)。そして監視画像生成部111はV1からV2を差し引いた差分画像を生成取得し(差分画像生成ステップ)、この差分画像において、輝度値が所定の閾値より大きいか否かを判断する(S304)。
【0066】
ステップS304の判断において、V1からV2を差し引いた値が所定の閾値より大きい(又は所定の閾値以上である)場合(S304,YES)、監視画像生成部111は監視画像ピクセル(X,Y)の輝度を0にし(S306)、XにX+1を代入し(S307)、Xが監視画像の横サイズのピクセル数以上であるか否かを判断する(S308)。
【0067】
ステップS308の判断において、Xが監視画像の横サイズのピクセル数以上である場合(S308,YES)、監視画像生成部111はXに0を代入し、YにY+1を代入し(S309)、Yが監視画像の縦サイズのピクセル数以上であるか否かを判断する(S310)。
【0068】
ステップS310の判断において、Yが監視画像の縦サイズのピクセル数以上である場合(S310,YES)、監視画像生成部111は処理を終了する。
【0069】
一方、Yが監視画像の縦サイズのピクセル数より小さい場合(S310,NO)、監視画像生成部111は、再び照明ON画像ピクセル(X,Y)の輝度値V1及び照明OFF画像ピクセル(X,Y)の輝度値V2をそれぞれ取得する(S303)。
【0070】
また、ステップS308の判断において、Xが監視画像の横サイズのピクセル数より小さい場合(S308,NO)、監視画像生成部111は、再び照明ON画像ピクセル(X,Y)の輝度値V1及び照明OFF画像ピクセル(X,Y)の輝度値V2をそれぞれ取得する(S303)。
【0071】
また、ステップS304の判断において、V1からV2を差し引いた値が所定の閾値以下である場合(S304,NO)、監視画像生成部111は監視画像ピクセル(X,Y)の輝度をV2にし(S305)、XにX+1を代入する(S307)。
【0072】
なお、この処理におけるステップS306の動作により、監視画像に映った認証特徴部分は黒く塗りつぶされる。また、ステップS305の動作により、監視画像に映った認証特徴部分以外の部分の輝度は処理前と同じ状態で維持される。また、ステップS307〜ステップS310の動作により、監視画像の全てのピクセルにおいて、輝度=0の代入、または輝度=V2の代入がなされることにより、認証に利用可能な認証特徴部分は全て黒く塗りつぶされる。また、監視画像生成部111が映像を出力する場合、この処理は映像の全てのフレームに対して行われる。
【0073】
以上の動作により実施の形態2の監視画像生成部111は認証特徴を流出することなく、監視画像または監視映像を出力することができる。
【0074】
実施の形態3.
以下、本発明の撮影装置を認証装置に適用した実施の形態3について説明する。図15は実施の形態3の全体構成の一例を示す図である。
【0075】
実施の形態3における認証装置10は、ICカード読み取り部110、キー入力部101、監視画像出力部113が備えられていないこと、認証開始スイッチ112、監視画像出力部113が新たに設けられていることが実施の形態2の認証装置10と異なる。実施の形態3では、生体認証のみで認証を行なう1:N認証によってID、暗証番号などを使用せずに個人の認証を行なう。よって、暗証番号やIDを入力するキー入力部101が監視装置10に備わっていないので、認証開始スイッチ112が押されることによって、生体認証が開始される。なお、生体認証が静脈認証によって行なわれる場合は、認証開始スイッチ112は被撮影者が指先で押せる位置に配置され、生体認証が顔認証によって行なわれる場合には、認証開始スイッチ112は被撮影者の足元に配置される。
【0076】
なお、データベース40には認証が行われた時間、認証の結果、予め保存された生体特徴画像である登録画像が格納されている。また、監視画像出力部113は監視画像を監視ルームへ送信する。
【0077】
次に、実施の形態3の動作を説明する。
【0078】
実施の形態3の認証装置10では、認証処理部203が監視画像として撮影された画像に認証特徴が含まれていないか否かを確認する。制御部105は認証開始スイッチ112が押されていなくても、カメラ103に一定時間間隔おきに画像を撮影させ、撮影画像を取得し、取得した画像を認証処理部203に送信し、認証処理部203はデータベース40を参照して、登録された全登録画像と撮影された全撮影画像との照合を行い、最も生体特徴が一致している登録画像との類似度を返す。なお、この認証画像と全登録画像との照合においては、認証処理部203はそれぞれの画像から、認証画像と登録画像が同一の生体特徴を有しているか否かの判断基準とするための情報(例えば特徴点)を抽出し、この生体特徴情報を用いて比較処理を行ない、類似度を算出するものとする。
【0079】
この類似度は登録画像と一致しているほど高く、一致していないほど低いスコアである。つまり、このスコアが低い撮影画像は、監視画像として使用されても不正な照合に利用される可能性が低い。以下、監視画像取得の動作を説明する。なお、実施の形態3における制御部105は、本発明の監視画像選択処理部を構成している。また認証処理部203は本発明の比較部を構成している。
【0080】
図16は実施の形態3における監視画像取得の動作を示すフローチャートである。
【0081】
まず、制御部105は認証開始スイッチ112が押されたか否かを判断する(S401)。
【0082】
ステップS401の判断において、認証開始スイッチ401が押された場合(S401,YES)、制御部105はカメラ103に被写体を撮影させ、画像を取得し(S407)、認証処理部203にデータベース40内の登録画像との照合処理をさせ(S408)、認証処理部203は照合の結果算出された最大類似度スコアが閾値以上であるか否かを判断する(S409)。
【0083】
ステップS409の判断において、最大類似度スコアが閾値以上である場合(S409,YES)、認証処理部203は撮影画像が登録画像と一致すると判断し、照合OKという結果を制御部105に返す(S410)。
【0084】
一方、最大類似度スコアが閾値より小さい場合(S409,NO)、認証処理部203は撮影画像が登録画像と一致しないと判断し、照合NGという結果を制御部105に返す(S411)。
【0085】
また、ステップS401の判断において、認証開始スイッチが押されていない場合(S401,NO)、制御部105は前回の監視画像取得から一定時間が経過している否かを判断する(S402)。
【0086】
ステップS402の判断において、前回の監視画像取得から一定時間が経過している場合(S402,YES)、制御部105はカメラ103に被写体を撮影させ、画像を取得し(S403)、認証処理部203にデータベース40内の登録画像との照合処理をさせ(S404)、認証処理部203は照合の結果算出された最大類似度スコアが閾値以上であるか否かを判断する(S405:比較ステップ)。
【0087】
ステップS405の判断において、最大類似度スコアが閾値以上である場合(S405,YES)、認証処理部203は処理を終了する。
【0088】
一方、最大類似度スコアが閾値より小さい場合(S405,NO)、認証処理部203の認証結果に基づき制御部105は撮影画像を監視画像として監視画像出力部113へ撮影画像を送信する(S406:監視画像選択処理ステップ)。
【0089】
なお、ステップS402の判断において、前回の監視画像取得から一定時間が経過していない場合(S402,NO)、制御部105は再び認証開始スイッチ112が押されたか否かを判断する(S401)。
【0090】
以上の動作によって、認証装置10は生体認証に有効な生体特徴を含まない監視画像を出力することができる。
【0091】
なお、本実施の形態で図示したフローチャートやステップに示された各動作をコンピュータにより実行させるプログラムを提供することにより、本発明の撮影プログラムを提供することができる。これらプログラムはコンピュータにより読取可能な媒体に記録されてコンピュータにより実行させることができる。コンピュータは、パーソナルコンピュータのようなホスト装置、試験装置のコントローラ、記憶装置のMPUやCPUのようなコントローラなどを含む。ここで、コンピュータにより読取可能な媒体としては、CD−ROMやフレキシブルディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカード等の可搬型記憶媒体や、コンピュータプログラムを保持するデータベース、或いは、他のコンピュータ並びにそのデータベースや、更に回線上の伝送媒体をも含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上説明したように、本発明によれば、生体認証画像を撮影するカメラを防犯カメラとして使用し、生体認証に有効な生体特徴を含まない監視画像を出力することにより、生体特徴の流出を防ぐと共に生体認証における不正行為を監視することが可能になる。
【符号の説明】
【0093】
10 認証装置、10A 撮影装置、10B 認証処理装置、30 ドア制御部、40 データベース、101 キー入力部、102 照明部、103 カメラ、104 距離センサ、105 制御部、106 メモリ部、107 通信部、108 撮影部、109 情報提示部、110 ICカード読み取り部、111 監視画像生成部、112 認証開始スイッチ、113 監視画像出力部、114 外部照明、201 認証処理制御部、202 記録部、203 認証処理部、204 通信部、C カメラ、D ドア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影領域全体を照明して撮影を行い得られた第1撮影画像と、前記撮影領域全体と共に、前記撮影領域全体よりも狭い前記カメラ近傍領域を照明して撮影を行い得られた第2撮影画像との差分画像を取得する差分画像取得部と、
前記差分画像における輝度が所定値以上である領域を抽出し、前記第1撮影画像又は前記第2撮影画像から、前記輝度が所定値以上である領域の撮像物を除去して監視画像を得る監視画像取得部と
を備える撮影装置。
【請求項2】
所定の撮影領域を撮影することができるカメラから撮影画像を取得し、該取得された撮影画像を監視画像又は認証画像のいずれかに用いる撮影装置であって、
所定のタイミングにおいて撮影を行って得られた撮影画像を登録された生体特徴と比較する比較部と、
前記比較部の比較結果に基づいて、前記撮影画像が前記登録された生体特徴に一致しないと判断された場合、前記撮影画像を監視画像として処理すると共に、前記比較部の比較結果に基づいて、前記撮影画像が前記登録された生体特徴に一致すると判断された場合、前記撮影画像を監視画像として処理しない監視画像選択処理部と
を備えている撮影装置。
【請求項3】
所定の撮影領域を撮影することができるカメラから撮影画像を取得し、該取得された撮影画像を監視画像又は認証画像のいずれかに用いる撮影方法であって、
前記撮影領域全体を照明し前記カメラにより撮影を行う第1撮影ステップと、
前記撮影領域全体の照明と共に、前記撮影領域全体よりも狭い前記カメラ近傍領域を照明し、前記カメラにより撮影を行う第2撮影ステップと、
前記第1撮影ステップにより得られた第1撮影画像と、前記第2撮影ステップにより得られた前記第2撮影画像との差分画像を取得する差分画像取得ステップと、
前記差分画像における輝度が所定値以上である領域を抽出し、前記第1撮影画像又は前記第2撮影画像から前記輝度が所定値以上である領域の撮像物を除去して監視画像を得る監視画像取得ステップと
を備える撮影方法。
【請求項4】
所定の撮影領域を撮影することができるカメラから撮影画像を取得し、該取得された撮影画像を監視画像又は認証画像のいずれかに用いる撮影方法であって、
所定のタイミングにおいて撮影を行って得られた撮影画像を登録された生体特徴と比較する比較ステップと、
前記比較ステップの比較結果に基づいて、前記撮影画像が前記登録された生体特徴に一致しないと判断された場合、前記撮影画像を監視画像として処理すると共に、前記比較部の比較結果に基づいて、前記撮影画像が前記登録された生体特徴に一致すると判断された場合、前記撮影画像を監視画像として処理しない監視画像選択処理ステップと
を備えている撮影方法。
【請求項5】
所定の撮影領域を撮影することができるカメラから撮影画像を取得し、該取得された撮影画像を監視画像又は認証画像のいずれかに用いる撮影方法をコンピュータに実行させる撮影プログラムであって、
前記撮影領域全体を照明し前記カメラにより撮影を行う第1撮影ステップと、
前記撮影領域全体の照明と共に、前記撮影領域全体よりも狭い前記カメラ近傍領域を照明し、前記カメラにより撮影を行う第2撮影ステップと、
前記第1撮影ステップにより得られた第1撮影画像と、前記第2撮影ステップにより得られた前記第2撮影画像との差分画像を取得する差分画像取得ステップと、
前記差分画像における輝度が所定値以上である領域を抽出し、前記第1撮影画像又は前記第2撮影画像から前記輝度が所定値以上である領域の撮像物を除去して監視画像を得る監視画像取得ステップと
をコンピュータに実行させる撮影プログラム。
【請求項6】
所定の撮影領域を撮影することができるカメラから撮影画像を取得し、該取得された撮影画像を監視画像又は認証画像のいずれかに用いる撮影方法をコンピュータに実行させる撮影プログラムであって、
所定のタイミングにおいて撮影を行って得られた撮影画像を登録された生体特徴と比較する比較ステップと、
前記比較ステップの比較結果に基づいて、前記撮影画像が前記登録された生体特徴に一致しないと判断された場合、前記撮影画像を監視画像として処理すると共に、前記比較部の比較結果に基づいて、前記撮影画像が前記登録された生体特徴に一致すると判断された場合、前記撮影画像を監視画像として処理しない監視画像選択処理ステップと
をコンピュータに実行させる撮影プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−9051(P2012−9051A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171932(P2011−171932)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【分割の表示】特願2009−507383(P2009−507383)の分割
【原出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】