説明

撮影装置、撮影システム、および撮影方法

【課題】 耐久性に優れた撮影装置、撮影システム、および撮影方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 撮影光学系100と、撮影光学系100により結像された被写体光100aの照射を受けて画像信号を生成するCCD301と、CCD301に照射される被写体光100aの光路上に配置され、制御信号に応じて透過率を変化させるNDフィルタ201と、NDフィルタ201の透過率制御用の制御信号を生成して、NDフィルタ201に、撮影時のシャッタ開に相当する透過率調整と撮影終了時のシャッタ閉に相当する透過率調整とを担わせるサブCPU203とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラなどの撮影装置、撮影システム、および撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラに広く用いられているCCD(Charge Coupled Device)などの固体撮像素子には、スミアとよばれる画像ノイズが発生しやすいという問題がある。このスミアは複数の撮像素子からなる受光部に不要な光が混入したり、内部で発生したノイズが隣接する画素や受光部から蓄積電荷を読み出すための電荷転送部に混入することにより発生する画像ノイズであり、強い光が入射した時などに撮影画像に白い縦縞となって現れる。このスミアを防止するために、一般にメカニカルシャッタが広く用いられている。すなわち、CCDの電子シャッタを駆動した直後に、メカニカルシャッタを閉じてCCDを遮蔽することにより撮影後の不要な光がCCDに入射するのを防ぎ、スミアを防止する方法が採用されている。
【0003】
しかし、メカニカルシャッタを用いていても電子シャッタを駆動してからメカニカルシャッタが完全に閉じるまでのタイムラグが大きいと、この間に入射した強い光によってスミアが発生することがある。これを防ぐためには、上記のタイムラグを小さくすればよいが、それには電子シャッタとメカニカルシャッタを高精度で連動させる必要がありコスト高となるという問題がある。
【0004】
この問題に対して、露光時間中にCCDを低速駆動することによりスミア画像が大きく移動するのを防止することにより、タイムラグが大きくてもスミアを目立たないようにする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、例えば、ターレット式の絞り板に連動して開閉する一対の遮蔽板を設け、電荷蓄積時間終了後にCCDを覆うことにより不要な光がCCDに入射するのを防ぐようにした技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
さらに、撮像素子を用いる撮影装置において、画像の輝度判別を行い、画像に高輝度部が含まれている場合には電子シャッタとメカニカルシャッタとを併用し、画像に高輝度部が含まていない場合には電子シャッタのみを使用することにより、メカニカルシャッタの耐久年数の延長を図るという撮影装置が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開平6−078222号公報
【特許文献2】特開平7−111616号公報
【特許文献3】特開2006−005787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1、2で用いられているメカニカルシャッタは、摩耗などの原因による故障が発生しやすく、耐久年数が短いという問題がある。
【0007】
また、上記特許文献3の撮影装置においては、画像に高輝度部が含まていない場合に電子シャッタのみを使用しメカニカルシャッタは使用しないのでメカニカルシャッタの使用頻度は減少し、従ってメカニカルシャッタの耐久年数をある程度は延長させることはできるものの、やはりメカニカルシャッタの耐久性という問題は残るので抜本的な解決策とはいえない。
【0008】
本発明は上記事情に鑑み、耐久性に優れた撮影装置、撮影システム、および撮影方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明の撮影装置は、
撮影光学系と、
上記撮影光学系により結像された被写体光の照射を受けて画像信号を生成する撮像素子と、
上記撮像素子に照射される被写体光の光路上に配置され、制御信号に応じて透過率を変化させる光学フィルタと、
上記光学フィルタの透過率制御用の制御信号を生成して、該光学フィルタに、撮影時のシャッタ開に相当する透過率調整と撮影終了時のシャッタ閉に相当する透過率調整とを担わせる制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
ここで、光学フィルタとしては、制御信号に応じて濃度を調整することのできるNDフィルタ(Neutral Density Filter)として用いた光学フィルタを用いることが好ましいが、本発明における光学フィルタは必ずしもNDフィルタのみに限定されるものではなく、多少の波長特性を有するものであってもよい。
【0011】
制御信号に応じて濃度を変化させる素子としては、液晶やエレクトロクロミック素子などを挙げることができるが、必ずしもこれらの素子に限られるものではなく、電気的に濃度を制御することのできる光学フィルタであればどのようなものを用いてもよい。
【0012】
本発明の撮影装置によれば、耐久性に難のあるメカニカルシャッタが不要となるので、耐久性に優れた撮影装置を実現することができる。
【0013】
ここで、上記制御手段は、上記光学フィルタの透過率制御用の制御信号を生成して、該光学フィルタに、撮影時に、シャッタ開と絞りによる光量制御との双方に相当する透過率調整を担わせるものであってもよい。
【0014】
本発明の撮影装置を上記のように構成した場合は、シャッタ開閉に相当する制御のほかに絞りによる光量制御をも行うことができるので、高精度の露光制御が可能となる。
【0015】
また、上記目的を達成する本発明の撮影システムは、
撮影光学系を内蔵した交換レンズと、
被写体光の照射を受けて画像信号を生成する撮像素子を内蔵したカメラボディと、
被写体光の光路上に配置され制御信号に応じて透過率を変化させる光学フィルタを内蔵し、上記カメラボディに着脱自在に装着されるとともに上記交換レンズの着脱自在な装着を受ける変換アダプタとを備え、
さらに、上記光学フィルタの透過率制御用の制御信号を生成して、該光学フィルタに、撮影時のシャッタ開に相当する透過率調整と撮影終了時のシャッタ閉に相当する透過率調整とを担わせる、上記カメラボディ又は上記変換アダプタの一方に備えられ、又は双方で共同して作用する制御手段とを有することを特徴とする。
【0016】
本発明の撮影システムによれば、耐久性に難のあるメカニカルシャッタが不要となるので、耐久性に優れた撮影システムを実現することができる。また、変換アダプタを交換するだけで多様な交換レンズを簡単に使用することができるので、使い勝手の良い撮影システムが得られる。
【0017】
ここで、上記制御手段は、上記光学フィルタの透過率制御用の制御信号を生成して、該光学フィルタに、撮影時に、シャッタ開と絞りによる光量制御との双方に相当する透過率調整を担わせるものであってもよい。
【0018】
本発明の撮影システムを上記のように構成した場合は、シャッタ開閉に相当する制御のほかに絞りによる光量制御をも行うことができるので、高精度の露光制御が可能となる。
【0019】
また、上記目的を達成する本発明の第1の撮影方法は、
撮影光学系と、上記撮影光学系により結像された被写体光の照射を受けて画像信号を生成する撮像素子と、上記撮像素子に照射される被写体光の光路上に配置され、制御信号に応じて透過率を変化させる光学フィルタとを備えた撮影装置における撮影方法であって、
上記光学フィルタの透過率制御用の制御信号を生成して、該光学フィルタに、撮影時のシャッタ開に相当する透過率調整と撮影終了時のシャッタ閉に相当する透過率調整とを担わせることを特徴とする。
【0020】
本発明の第1の撮影方法によれば、耐久性に難のあるメカニカルシャッタを用いない撮影装置によって撮影が行われるので、信頼性の高い撮影を行うことができる。
【0021】
ここで、上記光学フィルタの透過率制御用の制御信号を生成して、該光学フィルタに、撮影時に、シャッタ開と絞りによる光量制御との双方に相当する透過率調整を担わせるようにしてもよい。
【0022】
本発明の第1の撮影方法を上記のように構成した場合は、シャッタ開閉に相当する制御のほかに絞りによる光量制御をも行うことができる撮影装置によって撮影が行われるので、高精度の露光制御が可能となり撮影の自由度を高めることができる。
【0023】
また、上記目的を達成する本発明の第2の撮影方法は、
撮影光学系を内蔵した交換レンズと、
被写体光の照射を受けて画像信号を生成する撮像素子を内蔵したカメラボディと、
被写体光の光路上に配置され制御信号に応じて透過率を変化させる光学フィルタを内蔵し、上記カメラボディに着脱自在に装着されるとともに上記交換レンズの着脱自在な装着を受ける変換アダプタとを備えた撮影システムにおける撮影方法であって、
上記光学フィルタの透過率制御用の制御信号を生成して、該光学フィルタに、撮影時のシャッタ開に相当する透過率調整と撮影終了時のシャッタ閉に相当する透過率調整とを担わせることを特徴とする。
【0024】
本発明の第2の撮影方法によれば、耐久性に難のあるメカニカルシャッタを用いない撮影システムによって撮影が行われるので、信頼性の高い撮影を行うことができる。
【0025】
ここで、上記光学フィルタの透過率制御用の制御信号を生成して、該光学フィルタに、上記光学フィルタの透過率制御用の制御信号を生成して、該光学フィルタに、撮影時に、シャッタ開と絞りによる光量制御との双方に相当する透過率調整を担わせるようにしてもよい。
【0026】
本発明の第2の撮影方法を上記のように構成した場合は、シャッタ開閉に相当する制御のほかに絞りによる光量制御をも行うことができる撮影システムによって撮影が行われるので、高精度の露光制御が可能となり撮影の自由度を高めることができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように本発明によれば、耐久性に優れた撮影装置、撮影システム、および撮影方法を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0029】
図1は、本発明の撮影装置の一実施形態であるデジタルカメラを前面から見た外観図である。
【0030】
デジタルカメラ1の前面には、撮影レンズ11、ファインダ窓12、調光センサ13およびストロボ発光部14が設けられ、デジタルカメラ1の上面にはレリーズボタン15および電源スイッチ16が設けられている。また、デジタルカメラ1の向かって右側面には記録媒体の一つであるメモリカード30を装着するためのカードスロット31およびカードスロット31の開口部を覆う開閉自在の防塵カバー32が取り付けられている。
【0031】
撮影レンズ11にはズームレンズが用いられ、撮影レンズ11の奥にはCCD(図示せず)が配置されている。レリーズボタン15は2段階式に構成されており、レリーズボタン15を浅く押した「半押し」の状態でAF(自動焦点制御)およびAE(自動露出制御)が行われ、AFおよびAEがロックされる。レリーズボタン15を「半押し」からさらに深く押した「全押し」が行われた段階で撮影が実行される。
【0032】
電源スイッチ16は、モード切換スイッチを兼ねており、電源オフとなる「OFF位置」、静止画撮影モードで電源オンとなる「撮影ON位置」、および再生モードで電源オンとなる「再生ON位置」の3ポジションを順次切り換えることができるようになっている。
【0033】
図2は、本発明の撮影装置の一実施形態であるデジタルカメラを背面から見た外観図である。
【0034】
デジタルカメラ1の背面には、LCD(Liquid Crystal Display)モニタ20、ズームスイッチ21、メニューキー22、実行キー23、キャンセルキー24、十字ボタン25、およびファインダ接眼窓26が設けられている。
【0035】
LCDモニタ20は、撮影時に画角確認用の電子ファインダとして使用されるとともに、撮影した画像のプレビュー画やメモリカード30から読み出した再生画像等を表示するものである。また、十字ボタン25を使用したメニュー選択や各メニューにおける各項目の設定などもLCDモニタ20上で行えるようになっている。
【0036】
ズームスイッチ21は、左右方向に操作可能なレバースイッチで構成されており、このレバースイッチを左方向の「TELE」側に押圧することによりズームレンズを望遠側に駆動させることができ、また、右方向の「WIDE」側に押圧することによりズームレンズを広角側に駆動させることができるようになっている。
【0037】
メニューキー22は、静止画撮影モード、動画撮影モード、および再生モードなどの各モード画面からメニュー画面へ遷移させるときに使用される。
【0038】
実行キー23は、選択内容の確定、処理の実行を指示するときなどに使用される。
【0039】
キャンセルキー24は、メニューで選択した項目をキャンセルするときや、一つ前の状態に戻すときなどに使用される。
【0040】
十字ボタン25は、ボタンの上下左右の4方向のうちのいずれか一方向の端部を押圧することにより、4方向のうちの所望の方向を指定するものであり、メニュー画面における各種設定項目の選択や設定内容の変更を指示する操作ボタンであるとともに、ズーム倍率の調整や再生画像のコマ送り/戻しを指示する手段としての機能をも有している。
【0041】
撮影者は、所望のモードに設定した後、LCDモニタ20又はファインダ接眼窓26に映し出される画像を確認しながら、ズームスイッチ21を操作して画角を決定し、レリーズボタン15を押下することにより撮影を行うことができる。
【0042】
次に、上記のデジタルカメラ1の電気的構成について説明する。
【0043】
図3は、本発明の撮影装置の一実施形態であるデジタルカメラの電気的構成を示すブロック図である。
【0044】
図3に示すように、このデジタルカメラ1は、大別して3つの部分から構成されている。すなわち、撮影光学系100、光量調節部200、および本体部300である。
【0045】
撮影光学系100は、レンズ11および該レンズの絞り機構やズーム機構を駆動するレンズ駆動部101からなる。
【0046】
光量調節部200は、撮影光学系100からCCD301に向けて照射される被写体光100aの光路上に配置され、制御信号に応じて透過率を変化させるNDフィルタ201、NDフィルタ201の透過率制御用の制御信号を生成して、NDフィルタ201に、撮影時のシャッタ開に相当する透過率調整と撮影終了時のシャッタ閉に相当する透過率調整とを担わせるサブCPU203、およびサブCPU203からの制御信号によりNDフィルタ201を駆動するフィルタ駆動部202からなる。
【0047】
NDフィルタ201としては、液晶やエレクトロクロミック素子などを用いることができるが、必ずしもこれらの素子に限られるものではなく、電気的に濃度を制御することのできる光学フィルタであればどのようなものを用いてもよい。
【0048】
本体部300は、撮影光学系100により結像された被写体光100aの照射を受けて画像信号を生成するCCD301、CCD301で生成された画像信号を処理するアナログ信号処理部303、信号処理後のアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D(アナログ/デジタル変換器)304、CCD301の駆動に必要なパルスを生成する回路を含む撮像素子駆動部302、ユーザの操作に応じてサブCPU203を介してカメラの撮影条件や再生条件の設定を行うための操作部306、サブCPU203の制御を含むカメラ全体の制御を担うメインCPU305、ファームウエアやデータ処理に必要な記憶を担うメインメモリ308、メインメモリ308を制御するメモリ制御部307、A/D変換されたデジタル映像信号を処理するデジタル信号処理部309、被写体輝度を判別しシャッタ濃度量を演算する輝度判別部310、映像信号を記録・再生するための処理などを行う圧縮伸張処理部311、撮影した画像の記録媒体313への記録および記録媒体313からの画像の再生を制御する外部メモリ制御部312、ライブビュー画や再生画を表示するLCDモニタ20(図2参照)などの表示部315、表示部315の動作を制御する表示制御部314などからなる。
【0049】
なお、この実施形態におけるCCD301は、本発明にいう撮像素子の一例に相当するものであり、また、この実施形態におけるNDフィルタ201は、本発明にいう光学フィルタの一例に相当するものであり、また、この実施形態におけるサブCPU203は、本発明にいう制御手段の一例に相当するものである。
【0050】
本実施形態のデジタルカメラを上記のように構成することにより、耐久性に難のあるメカニカルシャッタが不要となり、耐久性に優れたデジタルカメラを得ることができる。
【0051】
なお、本実施形態の撮影装置の他の態様として、上記サブCPU203を、NDフィルタ201の透過率制御用の制御信号を生成して、そのNDフィルタ201に、撮影時に、シャッタ開と絞りによる光量制御との双方に相当する透過率調整を担わせるものとして構成してもよい。
【0052】
本実施形態のデジタルカメラを上記のように構成した場合には、シャッタ開閉に相当する制御のほかに絞りによる光量制御をも行うことができるようになるので、高精度の露光制御が可能となる。
【0053】
次に、本発明の第1の撮影方法の一実施形態について説明する。
【0054】
この撮影方法は、撮影光学系100(図3参照)と、撮影光学系100により結像された被写体光の照射を受けて画像信号を生成するCCD301(図3参照)と、CCD301に照射される被写体光の光路100a上に配置され、制御信号に応じて透過率を変化させるNDフィルタ201(図3参照)とを備えたデジタルカメラ1における撮影方法であって、NDフィルタ201の透過率制御用の制御信号を生成して、NDフィルタ201に、撮影時のシャッタ開に相当する透過率調整と撮影終了時のシャッタ閉に相当する透過率調整とを担わせるようになっている。
【0055】
図4は、本発明の撮影方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【0056】
図4に示すように、ユーザが撮影を行うためにデジタルカメラ1(図1参照)のレリーズボタン15を押下すると(ステップS01)、輝度判別部310(図3参照)は被写体輝度を測定し(ステップS02)、サブCPU203は適正露出となるか否かの判定を行う(ステップS03)。判定の結果、適正露出ではないと判定した場合には、NDフィルタ201の濃度修正を行い(ステップS04)、適正露出になった状態で撮影シーケンスを起動して撮影を行う(ステップS05)。
【0057】
このように、この実施形態の撮影方法は、電気的に濃度を変化させることのできるNDフィルタ201を用いて、シャッタ開時にはフィルタ濃度を透明とし、シャッタ閉時には、被写体輝度に応じたフィルタ濃度に変更する制御を行うようにしたことにより、NDフィルタ201に、従来のメカニカルシャッタに代わるシャッタ機能を持たせている。
【0058】
なお、シャッタ閉時のNDフィルタ濃度は、被写体輝度に応じて、CCD301でスミアが発生しないレベルに制御される。
【0059】
このように、NDフィルタを用いた電気制御のシャッタおよびCCDによる電子シャッタのみの構成としたことによりメカニカルシャッタが不要となり、メカニカルな摩耗によるトラブルが減少するので、デジタルカメラの耐久性を向上させることができる。
【0060】
なお、NDフィルタによるシャッタ機能はスミア防止が目的であり、完全に遮光する必要はないので実用性が高い。
【0061】
なお、本実施形態の撮影方法の他の態様として、NDフィルタ201の透過率制御用の制御信号を生成して、該NDフィルタ201に、撮影時に、シャッタ開と絞りによる光量制御との双方に相当する透過率調整を担わせるように構成したデジタルカメラを用いて撮影してもよい。
【0062】
次に、本発明の撮影システムの一実施形態について説明する。
【0063】
図5は、本発明の撮影システムの一実施形態の概略構成図である。
【0064】
図5に示すように、この撮影システム2は、撮影レンズ51および撮影レンズ51を駆動するレンズ駆動部52を内蔵した交換レンズ50と、被写体光の照射を受けて画像信号を生成するCCD92および撮影システム全体の動作を制御するメインCPU81を内蔵したカメラボディ60と、被写体光の光路上に配置され制御信号に応じて透過率を変化させるNDフィルタ71および後述のサブCPU82を内蔵し、カメラボディ60に着脱自在に装着されるとともに交換レンズ50の着脱自在な装着を受ける変換アダプタ70とを備えている。
【0065】
サブCPU82は、NDフィルタ71の透過率制御用の制御信号を生成して、NDフィルタ71に、撮影時のシャッタ開に相当する透過率調整と撮影終了時のシャッタ閉に相当する透過率調整とを担わせるものである。
【0066】
なお、本実施形態における撮影レンズ51は、本発明にいう撮影光学系の一例に相当するものであり、本発明の撮影装置の一実施形態のデジタルカメラ1におけるレンズ11に相当する。
【0067】
また、本実施形態におけるCCD92は、本発明にいう撮像素子の一例に相当するものであり、本発明の撮影装置の一実施形態のデジタルカメラ1におけるCCD301に相当する。
【0068】
また、本実施形態におけるNDフィルタ71は、本発明にいう光学フィルタの一例に相当するものであり、本発明の撮影装置の一実施形態のデジタルカメラ1におけるNDフィルタ201に相当する。
【0069】
また、本実施形態におけるCPU81,82は、本発明にいう制御手段の一例に相当するものであり、本発明の撮影装置の一実施形態のデジタルカメラ1におけるCPU203に相当する。
【0070】
図6は、図5に示した撮影システムの内部構造の一例を示す図であり、図7は、従来のレンズ交換式の撮影システムの内部構造の一例を示す図である。
【0071】
図7に示す従来のレンズ交換式の撮影システム9は、いわゆるデジタル一眼レフカメラであって、撮影光学系を内蔵した交換レンズ91と、交換レンズ91により結像された被写体光の照射を受けて画像信号を生成するCCD92、および被写体光をCCD92に向かう方向およびプリズム94を経由してファインダ95に向かう方向のいずれか一方向に切換え自在なミラー93を内蔵し、上記交換レンズ91の着脱自在な装着を受けるマウント98を有するカメラボディ96とからなる。
【0072】
この撮影システム9では、撮影に先立ち、交換レンズ91、ミラー93およびプリズム94を経由してファインダ95に到達した被写体光で画像を確認し、撮影時にはミラー93が跳ね上げられ、被写体光はCCD92上に結像する。なお、この撮影システム9に備えられているLCD97は、撮影された画像を再生するための表示装置であり、撮影時のライブビュー機能を有していない。
【0073】
これに対して、本実施形態の撮影システム2は、図7に示した従来のレンズ交換式の撮影システム9と同様、レンズ交換が可能な撮影システムであり、図6に示すように、撮影光学系を内蔵した交換レンズ50と、被写体光の照射を受けて画像信号を生成するCCD61、画像信号を表示するLCD62、ファインダ窓63、およびファインダ接眼窓64を有するカメラボディ60と、被写体光の光路50a上に配置され制御信号に応じて透過率を変化させるNDフィルタ71を内蔵し、カメラボディ60に着脱自在に装着されるとともに上記交換レンズ50の着脱自在な装着を受ける変換アダプタ70とからなる。
【0074】
この撮影システム2は、図7に示す撮影システム9との対比でいうと、撮影時にはCCD61とLCD62によるライブビューで確認画像を行うため、図7に示した撮影システム9におけるミラー93およびプリズム94は不必要となるので、その空きスペースに、各社製の交換レンズ50の着脱自在な装着を受ける変換アダプタ70が納められている。
【0075】
さらに、この撮影システム2は、上記NDフィルタ71の透過率制御用の制御信号を生成して、NDフィルタ71に、撮影時のシャッタ開に相当する透過率調整と撮影終了時のシャッタ閉に相当する透過率調整とを担わせる、上記カメラボディ60又は上記変換アダプタ70の一方に備えられ、又は双方で共同して作用するメインCPU81,サブCPU82とを備えている。
【0076】
なお、本実施形態の撮影システムの他の態様として、上記メインCPU81およびサブCPU82が、上記NDフィルタ71の透過率制御用の制御信号を生成して、NDフィルタ71に、撮影時に、シャッタ開と絞りによる光量制御との双方に相当する透過率調整を担わせるように構成してもよい。
【0077】
以上説明したように、交換レンズをカメラボディに取り付けるための変換アダプタにシャッタ機能を持たせることにより、次のような効果を得ることができる。すなわち、従来の撮影システムでは、適正露出でない場合に、シャッタスピード、絞り値を変更して適正露出となるように修正を行っているが、本発明におけるように、NDフィルタ使用による第3の修正方法によって、従来とは違う表現の撮影を行うことが可能となる。また、シャッタスピードと絞りだけでは適正露出が得られないシーンについても撮影が可能となり、ユーザに新しい価値を提供することができる。
【0078】
次に、本発明の第2の撮影方法の一実施形態について説明する。
【0079】
この撮影方法は、図5に示した交換レンズ50と、カメラボディ60と、変換アダプタ70とを備えた撮影システム2における撮影方法であって、カメラボディ60又は変換アダプタ70の一方に備えられ、又は双方で共同して作用するメインCPU81およびサブCPU82が、NDフィルタ71の透過率制御用の制御信号を生成して、NDフィルタ71に、撮影時のシャッタ開に相当する透過率調整と撮影終了時のシャッタ閉に相当する透過率調整とを担わせるようになっている。
【0080】
上記撮影システム2における撮影方法では、図4に示すフローチャートと同様の手順により撮影が行われる。
【0081】
なお、本実施形態の撮影方法の他の態様として、図5を参照して説明した撮影システム2、すなわち、サブCPU82が、NDフィルタ71の透過率制御用の制御信号を生成して、NDフィルタ71に、撮影時に、シャッタ開と絞りによる光量制御との双方に相当する透過率調整を担わせるように構成した撮影システムを用いて撮影を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の撮影装置の一実施形態であるデジタルカメラを前面から見た外観図である。
【図2】本発明の撮影装置の一実施形態であるデジタルカメラを背面から見た外観図である。
【図3】本発明の撮影装置の一実施形態であるデジタルカメラの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の撮影方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【図5】本発明の撮影システムの一実施形態の概略構成図である。
【図6】図5に示した撮影システムの内部構造の一例を示す図である。
【図7】従来のレンズ交換式の撮影システムの内部構造の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0083】
1 デジタルカメラ
2 撮影システム
11 撮影レンズ
12 ファインダ窓
13 調光センサ
14 ストロボ発光部
15 レリーズボタン
16 電源スイッチ
20 LCDモニタ
21 ズームスイッチ
22 メニューキー
23 実行キー
24 キャンセルキー
25 十字ボタン
26 ファインダ接眼窓
30 メモリカード
31 カードスロット
32 防塵カバー
50 交換レンズ
51 撮影レンズ
52 レンズ駆動部
60 カメラボディ
61 CCD
62 LCD
63 ファインダ窓
64 ファインダ接眼窓
70 変換アダプタ
71 NDフィルタ
81 メインCPU
82 サブCPU
91 交換レンズ
92 CCD
93 ミラー
94 プリズム
95 ファインダ
96 カメラボディ
97 LCD
98 マウント
100 撮影光学系
100a 被写体光
101 レンズ駆動部
200 光量調節部
201 NDフィルタ
202 フィルタ駆動部
203 サブCPU
300 本体部
301 CCD
302 撮像素子駆動部
303 アナログ信号処理部
304 A/D
305 メインCPU
306 操作部
307 メモリ制御部
308 メインメモリ
309 デジタル信号処理部
310 輝度判別部
311 圧縮伸張処理部
312 外部メモリ制御部
313 記録媒体
314 表示制御部
315 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系と、
前記撮影光学系により結像された被写体光の照射を受けて画像信号を生成する撮像素子と、
前記撮像素子に照射される被写体光の光路上に配置され、制御信号に応じて透過率を変化させる光学フィルタと、
前記光学フィルタの透過率制御用の制御信号を生成して、該光学フィルタに、撮影時のシャッタ開に相当する透過率調整と撮影終了時のシャッタ閉に相当する透過率調整とを担わせる制御手段とを備えたことを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記光学フィルタの透過率制御用の制御信号を生成して、該光学フィルタに、撮影時に、シャッタ開と絞りによる光量制御との双方に相当する透過率調整を担わせるものであることを特徴とする請求項1記載の撮影装置。
【請求項3】
撮影光学系を内蔵した交換レンズと、
被写体光の照射を受けて画像信号を生成する撮像素子を内蔵したカメラボディと、
被写体光の光路上に配置され制御信号に応じて透過率を変化させる光学フィルタを内蔵し、前記カメラボディに着脱自在に装着されるとともに前記交換レンズの着脱自在な装着を受ける変換アダプタとを備え、
さらに、前記光学フィルタの透過率制御用の制御信号を生成して、該光学フィルタに、撮影時のシャッタ開に相当する透過率調整と撮影終了時のシャッタ閉に相当する透過率調整とを担わせる、前記カメラボディ又は前記変換アダプタの一方に備えられ、又は双方で共同して作用する制御手段とを有することを特徴とする撮影システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記光学フィルタの透過率制御用の制御信号を生成して、該光学フィルタに、撮影時に、シャッタ開と絞りによる光量制御との双方に相当する透過率調整を担わせるものであることを特徴とする請求項3記載の撮影システム。
【請求項5】
撮影光学系と、前記撮影光学系により結像された被写体光の照射を受けて画像信号を生成する撮像素子と、前記撮像素子に照射される被写体光の光路上に配置され、制御信号に応じて透過率を変化させる光学フィルタとを備えた撮影装置における撮影方法であって、
前記光学フィルタの透過率制御用の制御信号を生成して、該光学フィルタに、撮影時のシャッタ開に相当する透過率調整と撮影終了時のシャッタ閉に相当する透過率調整とを担わせることを特徴とする撮影方法。
【請求項6】
前記光学フィルタの透過率制御用の制御信号を生成して、該光学フィルタに、撮影時に、シャッタ開と絞りによる光量制御との双方に相当する透過率調整を担わせることを特徴とする請求項5記載の撮影方法。
【請求項7】
撮影光学系を内蔵した交換レンズと、
被写体光の照射を受けて画像信号を生成する撮像素子を内蔵したカメラボディと、
被写体光の光路上に配置され制御信号に応じて透過率を変化させる光学フィルタを内蔵し、前記カメラボディに着脱自在に装着されるとともに前記交換レンズの着脱自在な装着を受ける変換アダプタとを備えた撮影システムにおける撮影方法であって、
前記光学フィルタの透過率制御用の制御信号を生成して、該光学フィルタに、撮影時のシャッタ開に相当する透過率調整と撮影終了時のシャッタ閉に相当する透過率調整とを担わせることを特徴とする撮影方法。
【請求項8】
前記光学フィルタの透過率制御用の制御信号を生成して、該光学フィルタに、前記光学フィルタの透過率制御用の制御信号を生成して、該光学フィルタに、撮影時に、シャッタ開と絞りによる光量制御との双方に相当する透過率調整を担わせることを特徴とする請求項7記載の撮影方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−242230(P2008−242230A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−84821(P2007−84821)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】