説明

撮影装置および監視システム

【課題】 多数の監視カメラがネットワーク接続されたシステムであっても、見逃すことなく即時に不審者を検出し、監視者に提示する監視システムを提供する。
【解決手段】 撮影装置10の内部に動的に更新可能な不審者リスト15を保持し、画像から抽出される特徴量13に基づいて不審者検出を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視映像中から不審者の顔画像を検知する撮影装置及び監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
監視カメラの映像から不審者を発見する際、予め登録した不審者に関するデータ(以下、不審者リストと呼ぶ)に基づいて、監視映像中の不審者を自動検知し、監視者に提示することで監視業務の効率向上を図っている。
【0003】
例えば特許文献1には、監視映像中から検知した顔画像と不審者リストに登録された不審者顔画像とを照合することで不審者を検出し、さらに不審者リストと照合しない場合でも、不審行動を検出した際は該当顔画像を不審者リストに登録する防犯システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−59222
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された防犯システムは、監視カメラと、不審者の検出および登録を行う機能が独立したシステム構成となっており、対象とする監視カメラの台数が比較的少ない場合は問題ないが、多数の監視カメラを対象とする場合、映像を伝送する際のネットワーク負荷が大きくなり、伝送する映像フレームレートが小さくなる、伝送遅延を生じる、などの現象が発生する可能性が高い。これにより、不審者の映った監視映像を適切なタイミングで取得することができず、見逃してしまうといった問題が発生する。本発明は、前記した問題を解決すべく創案されたものであり、多数の監視カメラがネットワーク接続されたシステムであっても、見逃すことなく即時に不審者を検出し、監視者に提示する監視システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明の監視システムにおける撮影装置は、撮影される監視画像をリアルタイムに取得する監視画像取得部と、監視映像中の顔画像を検知する顔画像検知部と、当該顔画像の特徴量を生成する特徴量生成部と、予め取得した不審者の顔画像から生成した特徴量が登録された不審者リストと、不審者リストへの更新処理やアクセス管理を行うデータ管理部と、前記特徴量生成部にて生成した特徴量と前記不審者リストに登録された特徴量との類似の度合い(以下、類似度と呼ぶ)から該当顔画像が不審者か否かを判定する不審者判定部と、ネットワークを介して監視映像の記憶や配信を行う監視サーバや他の撮影装置とデータのやり取りを行うデータ入出力部と、を備える構成とした。即ち、撮影装置の内部に動的に更新可能な不審者リストを保持し、画像から抽出される特徴量に基づいて不審者検出を行うことに最大の特徴がある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、撮影装置において検知した全ての人物の中から即時に不審者を検出し、監視者に提示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る撮影装置を備える監視システムを模式的に示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る監視サーバの監視画像一覧表示部を模式的に示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る監視サーバの不審者リスト更新部を模式的に示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る監視サーバの人物検索部を模式的に示す図である。
【図5】実施例で用いられる式を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る撮影装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係る撮影装置の動作の説明をする図である。
【図8】本発明の実施形態に係る撮影装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態に係る撮影装置の動作の説明をする図である。
【図10】本発明の実施形態に係る撮影装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態に係る撮影装置の動作の説明をする図である。
【図12】撮影装置における不審者リストのデータ構造を示す図である。
【図13】撮影装置における監視データのデータ構造を示す図である。
【図14】制御データのデータ構造を示す図である。
【図15】監視サーバにおける不審者リストのデータ構造を示す図である。
【図16】画面データ生成部による画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。同様の部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図1は、本発明の実施形態に係る撮影装置を備える監視システムを模式的に示す図である。
【0010】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る検視システム1は、所定の監視領域を撮影した監視映像をユーザ(監視者)に提示するシステムであり、複数の撮影装置10、10、・・・と、監視者用装置20と、監視サーバ30と、を備えている。複数の撮影装置10、10、・・・、監視者用装置20及び監視サーバ30は、ネットワークNWによって互いに通信可能に接続されている。
【0011】
<撮影装置10>
撮影装置10は、所定の監視領域を撮影し、撮影した監視画像中の不審者を検出するための装置であり、監視画像取得部11と、顔画像検知部12と、特徴量生成部13と、不審者判定部14と、不審者リスト15と、監視データ17と、データ管理部16と、データ入出力部18と、制御部19と、制御データ19aと、を備えている。
【0012】
監視画像取得部11は、リアルタイムに監視画像をデジタルデータとして取り込むことができるものであり、例えば、カラーCCD(Charge-Couple device)である。取り込まれた監視画像はユニークな監視画像IDと関連付けられ、顔画像検知部12及び監視データ17に出力される。監視データ17へは、前記監視画像及び監視画像IDに加えて、該当監視画像の撮影時刻及び撮影装置IDが関連付けられ、出力される。
【0013】
顔画像検知部12は、監視画像取得部11から出力された監視画像中の人物顔を抽出し顔画像を生成する。即ち、監視画像内の肌色の部分の大きさ、形状等から顔の位置を認識し、認識された顔の位置から顔画像を生成する。生成した顔画像はユニークな顔IDと関連付けられ、さらに前記監視画像IDとも関連付けられ、特徴量生成部13及び監視データ17に出力される。
【0014】
特徴量生成部13は、顔画像検知部12から出力された顔画像の特徴量を生成するものである。前記特徴量の算出には公知の手法が挙げられる。例えば、特許文献2では、画像データの対象画素とその周辺領域内の各画素との輝度勾配と勾配方向を求め、既定の方向毎にヒストグラム化し、そのピーク値をとる方向を対象画素の特徴量としている。前記周辺領域は、単純に対象画素の8近傍としても構わない。
【0015】
【特許文献2】特開2008−257649生成した特徴量は、前記監視画像ID及び前記顔IDと関連付けられ、不審者判定部14及び監視データ17に出力される。
【0016】
不審者判定部14は、データ管理部16を介して予め保持していた不審者リスト15の特徴量を取得し、前記不審者リスト15内の特徴量と、特徴量生成部13から出力された特徴量との類似度を算出し、類似性の高い特徴量が存在するか否かによって対象顔画像が不審者か否かを判定する。本発明において、類似度は、二つの特徴量が類似しているほど小さくなるパラメータである。類似度の算出には公知の手法が挙げられる。例えば、特徴量に前記輝度勾配を用いた場合、二つの顔画像にて求められる特徴量間の平均2乗距離を用いることができる。ここで、二つの特徴量をf(x,y)、f(x,y)とする時、その平均2乗距離dは図5の式に示す通り、√(x−x+(y−yとなる。そして、前記類似度が予め設定した閾値よりも小さい場合、二つの顔画像は同一人物の画像と判定する。即ち、対象顔画像は不審者であると判定する。また、ここで、閾値は、該当撮影装置において、同一人物と判定されるべき顔画像における平均類似度によって定められる。前記判定結果は、前記監視画像ID及び前記顔IDと関連付けられ、データ入出力部18に出力される。
【0017】
データ入出力部18は、不審者判定部14から出力された情報に基づいて、監視データ17から該当データを取得し、出力データを生成する。ここで、監視データ17には、監視画像取得部11から出力された監視画像、監視画像ID、撮影時刻、撮影装置ID、また顔画像検知部12から出力された顔画像、顔ID、そして特徴量生成部13から出力された特徴量が記憶されている。そして、前記出力データは、ネットワークNWを介して監視サーバ30、監視者用装置20、あるいは他の撮影装置10に出力される。ここで、監視サーバ30、及び監視者用装置20への出力データは、優先度、不審者ID、そして前記監視データ17となる。前記優先度は、不審者判定部14から出力される情報に基づくものであり、対象顔画像が不審者であると判定した場合は優先度を高く設定する。そして、前記不審者IDは、不審者を特定するために設定されたユニークな番号であり、監視システム全体で共通化され、不審者リスト15内の各特徴量と関連付けられ保持されている。また、他の撮影装置10への出力データは、優先度、不審者ID、撮影時刻、撮影装置ID、顔画像、特徴量となる。ただし、システムの仕様によって、前記出力データの内容は変更可能である。データ入出力部18は、前記優先度の高い監視データについては、即時に必ず伝送するように制御される。一方、データ入出力部18は、監視サーバ30、監視者用装置20、及び他の撮影装置10からデータを受信すると、データ管理部16へ出力する。データ管理部16は、データ入出力部18から出力されたデータに基づいて、不審者リスト15のデータ更新、制御データ19aのデータ更新、あるいは制御部19へ撮影時刻、撮影装置IDを出力する。制御部19は、データ管理部16から出力された前記データに基づいて、制御データ19aから撮影装置10の制御方法を取得し、それに従って制御を行う。
【0018】
<監視者用装置20>
監視者用装置20は、例えばパーソナルコンピュータであり、入力部21と、出力部23と、制御部22と、を備えている。
【0019】
入力部21は、マウス、キーボード等であり、監視者の操作に基づく入力データを制御部22に出力する。
【0020】
制御部22は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、入出力回路等を備えて構成されており、入力部21及び出力部23の動作を制御したり、ネットワークNWを介してデータを送受信したりする。本実施形態において、制御部22は、監視者による入力部22の入力操作に基づいて、顔画像データや、顔画像選択データを生成してネットワークNWを介して監視サーバ30、あるいは撮影装置10に出力する。
【0021】
出力部23は、ディスプレイであり、監視サーバ30から出力された監視画面、または撮影装置10から出力された不審者に関するデータ等を表示する。
【0022】
<監視サーバ30>
監視サーバ30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、入出力回路等を備えて構成されており、機能部として、監視画像一覧表示部31と、不審者リスト更新部32と、人物検索部33と、顔画像検知部34と、特徴量生成部35と、不審者リスト36と、監視データ記憶部37と、画面データ生成部38と、を備えている。
【0023】
図2は、監視画像一覧表示部31の模式図であり、図3は、不審者リスト更新部32の模式図、そして図4は人物検索部33の模式図である。
【0024】
図2に示すように、監視画像一覧表示部31は、複数の撮影装置10からネットワークNWを介して取得した最新の監視画像を一覧表示し、監視者に提示する機能であり、監視データ取得部31aと、提示優先度選択部31bと、不審者判定部31cと、を備えている。
【0025】
監視データ取得部31aは、ネットワークNWを介して、複数の撮影装置10から出力された監視データ17、及び優先度、不審者IDを取得し、提示優先度選択部31b、及び監視データ記憶部37に出力する。ここで、監視データ取得部31にて取得したデータに、顔画像情報や特徴量が含まれていない場合、あるいは新たに顔画像の特徴量を生成する場合は、顔画像検知部34に対象監視画像を出力し、特徴量生成部35、不審者判定部31cを経て得た画像データが提示優先度選択部31bに出力される。顔画像検知部34での処理内容は、前記顔画像検知部12と同じであり、監視画像IDと、ユニークな顔IDが関連付けられた顔画像が生成される。ただし、顔検知方法は同じでなくても構わない。同様に、特徴量生成部35の処理内容は、前記特徴量生成部13と同じであり、また、不審者判定部31cの処理内容は、前記不審者判定部14と同じである。また、監視データ記憶部37には、過去の監視データが保持されており、その保持期間は監視業務で規定された期間、あるいは記憶領域がなくなるまでとなる。
【0026】
提示優先度選択部31bは、監視データ取得部31a、あるいは不審者判定部31cから出力された監視データのうち優先度、撮影時刻、撮影装置から、提示する監視画像を選択し、画面データ生成部38に出力する。選択する際のルールは、監視者用装置20によって異なり、監視者用装置20から設定することができる。
【0027】
画面データ生成部38は、提示優先度選択部31bの結果を出力する監視画像の一覧出力の一例であり、不審者の映っている監視画像以外にも、複数の撮影装置からの監視画像を表示するための画面データを生成する。図16に、前記画面データ生成部38の画面例を示す。図16の上図は、監視映像一覧画面であり、各撮影装置の監視画像41a〜41jが表示されている。不審者を検出すると、図16の下図のように監視画像一覧画面とは別の画面43が表示され、不審者の映った監視画像43b、不審者の顔画像43a、そして撮影時刻や撮影装置の情報が表示される。
【0028】
図3に示すように、不審者リスト更新部32は、監視装置10、あるいは監視者用装置20からネットワークNWを介して取得したコマンドに従って、不審者リスト36を更新する機能であり、不審者データ取得部32aと、データ管理部32bと、更新完了通知部32cと、を備えている。ここで、図15に、不審者リスト36のデータ構造を示す。また、図17に、不審者リスト15のデータ構造を示す。不審者リスト36は、撮影装置の不審者リスト15のデータ項目に加え、撮影装置IDが関連付けられており、各撮影装置の不審者リスト15が纏められた形となっている。ただし、各項目の値は監視サーバ独自の値であり、不審者リスト15と同じではない。また、不審者リスト15のデータ全てが不審者リスト36に含まれている必要もない。
【0029】
不審者データ取得部32aは、ネットワークNWを介して、撮影装置10、および監視者用装置20から出力された処理コマンド、撮影装置ID、優先度、不審者ID、顔画像、特徴量といったデータを取得し、データ管理部32bに出力する。ここで、不審者データ取得部32aにて取得したデータに、監視データ記憶部37の監視画像IDが含まれておらず、かつ顔画像情報や特徴量が含まれていない場合、あるいは新たに顔画像の特徴量を生成する場合は、顔画像検知部34にも対象監視画像を出力し、特徴量生成部35を経て顔画像、および特徴量を取得し、データ管理部32bに出力される。
【0030】
データ管理部32bは、不審者データ取得部32a、あるいは特徴量生成部35から出力された処理コマンドに従って不審者リストの更新を行う。処理コマンドが「追加」あるいは「更新」であった場合は、不審者データ取得部32a、あるいは特徴量生成部35から出力された撮影装置ID、優先度、不審者ID、顔画像、特徴量といったデータを不審者リスト36に登録あるいは更新する。また、前記処理コマンドが「削除」であった場合は、不審者データ取得部32a、あるいは特徴量生成部35から出力された不審者リスト登録IDに該当するデータを不審者リストから削除する。また、不審者データ取得部32aから出力するデータに、監視データ記憶部37に記憶されたデータを示す監視データ登録IDが含まれている場合は、監視データ記憶部37に記憶された特徴量を不審者リストに登録することができる。
【0031】
更新完了通知部32c、データ管理部32bから処理完了情報を取得し、不審者リスト更新の要求元である撮影装置10、あるいは監視者用装置20に、前記処理完了情報を送信する。
【0032】
図4に示すように、人物検索部33は、監視者用装置20からネットワークNWを介して取得した検索クエリ顔画像の特徴量を用いた類似画像検索により、監視データ記憶部37から前記検索クエリ顔画像と同一人物を検索する機能であり、検索クエリ取得部33aと、類似度算出部33bと、ソート部33cと、を備えている。
【0033】
検索クエリ取得部33aは、ネットワークNWを介して、監視者用装置20から出力された検索クエリを取得し、類似度算出部33bに出力する。ここで、検索クエリが監視画像であった場合、あるいは新たに顔画像の特徴量を生成する場合は、顔画像検知部34に対象監視画像を出力し、特徴量生成部35を経て顔画像、および特徴量を取得し、類似度算出33bに出力される。
【0034】
類似度算出部33bは、検索クエリ取得部33a、あるいは特徴量生成部35から出力された特徴量と、監視データ記憶部37に記憶された特徴量の類似度を算出する。本発明において、類似度は、二つの特徴量が類似しているほど小さくなるパラメータである。類似度の算出には公知の手法が挙げられる。例えば、特徴量に前記輝度勾配を用いた場合、2つの顔画像にて求められる特徴量間の平均2乗距離を用いることができる。ここで、2つの特徴量をf(x,y)、 f(x,y)とする時、その平均2乗距離dは図5の式に示す通り、√(x−x+(y−yとなる。算出された類似度は、ソート部33cに出力される。ここで、検索クエリには、監視データ記憶部37の監視データ登録IDを用いることも出来る。その場合は、監視データ記憶部37から該当する前記IDの特徴量を取得し、この特徴量と監視データ記憶部37に記憶された、他の特徴量との類似度を算出することになる。
【0035】
ソート部33cは、類似度算出部33bから出力される全類似度を小さい順に並べる。即ち、検索クエリの顔画像に似ている順に、監視データ記憶部37にある特徴量を並べる。そして、類似度の小さい順に並べた特徴量のうち、予め設定された上位件数分を画面データ生成部38に出力する。
【0036】
画面データ生成部38は、人物検索部33の結果を出力する検索結果出力部の一例であり、ソート部33cからの出力結果に基づいて、監視データ記憶部37の監視画像を表示するための検索結果表示画面データを生成する。
【0037】
また、画面データ生成部38は、監視データ記憶部に記憶された監視画像、あるいは監視者用装置20に保持された顔画像に基づいて、監視者に人物検索に用いるクエリ画像を監視者用装置20の出力部23に表示させるためのクエリ顔画像指定用画面データを生成することもできる。生成された検索結果表示画面データ、及びクエリ顔画像指定用画面データは、ネットワークNWを介して監視者用装置20に出力される。
【0038】
続いて、本発明の実施形態に係る撮影装置10の第一の動作例について、図6、図7を参照して説明する(適宜図1参照)。図6は、本発明の実施形態に係る撮影装置10の動作例を説明するためのフローチャートであり、図7にて前記動作時におけるデータの流れを示している。また、図12に、不審者リスト15のデータ構造、図13に、監視データ17のデータ構造、そして図14に、制御データ19aのデータ構造を示す。
【0039】
図6、及び図7に示すように、まず、撮影装置10の監視画像取得部11が、監視領域を撮影し監視画像を取得し(ステップS601)、ユニークな監視画像IDと共に顔画像検知部12、及び監視データ17に出力する。監視データ17には、前記監視画像、監視画像IDの他に撮影装置ID、撮影時刻も出力され、保持される。顔画像検知部12は、監視画像中の顔領域を検知し切り出すことで顔画像を生成し(ステップS603)、ユニークな顔IDと共に特徴量生成部13、及び監視データ17に出力する。ここで、監視画像から顔領域を検知しなかった場合は、その監視画像への処理は終了する。また、監視画像から複数の顔領域が検知された場合は、顔画像毎に顔IDを割振り、順次特徴量生成部13に出力する。特徴量生成部13は、顔画像の特徴量を生成し(ステップS604)、顔IDと特徴量を不審者判定部14、及び監視データ17に出力する。不審者判定部14は、特徴量生成部13から取得した特徴量と、データ管理部16を介して取得した不審者リストに登録された特徴量との類似度を算出する(ステップS605)。そして、類似度について予め設定した閾値を比較することで、対象特徴量の優先度を決定し(ステップS606)、データ入出力部18に出力する。データ入出力部18は、不審者判定部14から取得した優先度に基づいて監視サーバ30への出力制御を行う。優先度が高い場合は、即時にネットワークNWを介して、監視データ17と優先度を監視サーバ30へ出力する(ステップS608)。優先度が高くない場合は、対象監視システムのルールに基づいて、監視サーバ30への出力に対する可否判断を行う(ステップS609)。ルールとしては、例えば優先度が閾値より大きく、かつ一定時間内に監視サーバ30へ出力した特徴量と類似している場合は出力しない、といったものが考えられる。また、同時に、制御部19は、図14の制御データ19aのデータ構造に従って、撮影装置のパンやチルトの制御を行う。
【0040】
続いて、本発明の実施形態に係る撮影装置10の第二の動作例について、図8、図9を参照して説明する(適宜図1参照)。図8は、本発明の実施形態に係る撮影装置10の動作例を説明するためのフローチャートであり、図9にて前記動作時におけるデータの流れを示している。
【0041】
図8、図9に示すように、ネットワークNWを介して、データ入出力部18は、監視サーバ30、あるいは他の撮影装置10から、不審者リスト15に対する処理コマンドと処理データを取得し(ステップS801)、データ管理部16に出力する。データ管理部16は、前記処理コマンドに従って、不審者リスト15の更新を行う。処理コマンドが「追加」であった場合、処理データは不審者IDと特徴量であり、これらのデータを不審者リスト15に追加登録する(ステップS803)。また、処理コマンドが「特徴量更新」であった場合、処理データは不審者リスト登録IDと不審者IDと特徴量であり、不審者リスト15中の前記不審者リスト登録IDに関連付けられている不審者IDと特徴量を更新する(ステップS805)。そして、処理コマンドが「削除」であった場合、処理データは不審者リスト登録IDであり、不審者リスト15中の前記不審者登録IDに該当するデータを削除する(ステップS807)。前記処理コマンドによる不審者リスト15の変更を行ったら、その処理完了通知をデータ入出力部18に出力する。データ入出力部18は、前記処理完了通知を、前記処理コマンドの要求元である監視サーバ30、あるいは他の撮影装置10に出力する(ステップS808)。
【0042】
続いて、本発明の実施形態に係る撮影装置10の第三の動作例について、図10、図11を参照して説明する(適宜図1参照)。図10は、本発明の実施形態に係る撮影装置10の動作例を説明するためのフローチャートであり、図11にて前記動作時におけるデータの流れを示している。
【0043】
図10、図11に示すように、ネットワークNWを介して、データ入出力部18は、監視サーバ30、あるいは他の撮影装置10から、制御部19に対する処理コマンドと制御データ登録IDを取得し(ステップS1001)、データ管理部16に出力する。処理コマンドが「撮影装置制御」である場合、データ管理部16は、制御データ登録IDを制御部19へ出力する(ステップS1002)。制御部19は、制御データ登録IDを制御データ19aに出力し、制御データ19aから該当する制御方法を取得する(ステップS1003)。そして、制御方法に従って、撮影装置を制御する(ステップS1004)。制御部19は、前記制御方法に基づく制御が終了すると、制御完了通知をデータ管理部16、データ入出力部18を介して、前記処理コマンドの要求元である監視サーバ30、あるいは他の撮影装置10に出力する(ステップS1005)。
【符号の説明】
【0044】
1 監視システム
10 撮影装置
11 監視画像取得部
12 顔画像検知部
13 特徴量生成部
14 不審者判定部
15 不審者リスト
16 データ管理部
17 監視データ
18 データ入出力部
19 制御部
19a 制御データ
20 監視者用装置
30 監視サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域を撮影し監視画像を取得する監視画像取得部と、
監視画像中の顔画像を検知する顔画像検知部と、
当該顔画像の特徴量を生成する特徴量生成部と、
不審者の顔画像の特徴量を記憶する不審者リストと、
前記監視画像中の特徴量と前記不審者リスト中の特徴量の類似の度合いを算出し、前記監視画像中の顔画像が不審者か否かを判定する不審者判定部と、
を備えることを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
更に、外部装置から送信されるデータを取得するデータ入力部を備え、
前記送信されるデータは、前記不審者リストの更新情報であることを特徴とする請求項1記載の撮影装置。
【請求項3】
前記更新情報は、前記不審者リストへのデータの追加、特徴量の更新、データの削除の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項2記載の撮影装置。
【請求項4】
更に、前記撮影装置のパン及びチルト制御を行う制御部と、
前記制御部への動作指示手順を記憶した制御データと、を備え、
外部装置からの指示により、前記制御データ内の動作指示手順を選択することによって前記撮影装置を制御することを特徴とする請求項1記載の撮影装置。
【請求項5】
更に、前記不審者判定部は、前記類似の度合いから優先度を決定する手段と、
監視サーバへデータを送信するためのデータ出力部を備え、
前記優先度に基づいて、前記監視サーバへの送信順序を制御することを特徴とする請求項1記載の撮影装置。
【請求項6】
監視領域を撮影し監視画像を取得する監視画像取得部と、
監視画像中の顔画像を検知する顔画像検知部と、
当該顔画像の特徴量を生成する特徴量生成部と、
不審者の顔画像の特徴量を記憶する不審者リストと、
前記監視画像中の特徴量と前記不審者リスト中の特徴量の類似の度合いを算出し、前記監視画像中の顔画像が不審者か否かを判定する不審者判定部と、
外部装置から送信されるデータを取得するデータ入力部と
を備えた撮影装置と、
不審者リストを記憶したデータベースと、
前記不審者リストを更新する不審者リスト更新部と、
を備えた監視サーバとを有し、
前記監視サーバの更新された不審者情報を、前記撮影装置の前記データ入力部に送信し、前記撮影装置内の前記不審者リストを更新することを特徴とする監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−60058(P2011−60058A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209956(P2009−209956)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】