説明

操作パターン切換装置

【課題】パイロット方式の操作パターン切換装置でありながら、コンパクトに構成できるとともに操作パターンの切換を電気的に簡単に行なうことができる操作パターン切換装置を提供する。
【解決手段】1つの装置本体に軸方向作動型のスプール24〜27をそれぞれ設ける。これらのスプール24〜27を2つの電磁切換弁35,36への電気入力信号のオン・オフにより作動し、軸方向のオン位置およびオフ位置に変位させる。これらの電磁切換弁35,36のオン・オフの組合わせによりスプール24〜27を経て連通する複数のパイロット圧通路41〜46を変化させることで、複数の入口ポートA〜Hと複数の出口ポート1〜8との接続関係を4通りに変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械の操作レバーとパイロット操作式コントロール弁との間の接続関係を、複数の操作パターンの中から選択された1つの操作パターンに切り換える操作パターン切換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルは左右2本の操作レバーでブーム、スティック、バケット、旋回の操作が行われるが、操作パターンが油圧ショベルの製造メーカで異なっていたため、国際標準化機構(ISO)により操作パターンが統一された。
【0003】
したがって、現在の油圧ショベルは、ISOの統一パターンで出荷されているが、熟練のオペレータは、自分が旧来から用いている操作パターンで操作したいという要望が強い。
【0004】
そのため、図8に示されるように、パイロットポンプ10Pから供給されたパイロット1次圧を操作レバー10R,10Lの操作量に応じたパイロット2次圧に減圧して出力する操作弁11R,11Lと、操作弁11R,11Lからのパイロット2次圧によりパイロット操作されるコントロール弁12との間に、パイロット方式の操作パターン切換装置13を介在させて、この操作パターン切換装置13により、操作弁11R,11Lとコントロール弁12との接続関係を、複数の操作パターンの中から選択された1つの操作パターンに切り換えることができるようにしている。
【0005】
上記操作パターン切換装置13は、いわゆるパターンチェンジャと呼ばれるロータリ式の切換通路形成シャフトを手動で回動操作して、入口ポートA,B,C,D,E,F,G,Hと、出口ポート1,2,3,4,5,6,7,8との間の接続関係を、複数の操作パターンの中から選択した任意の操作パターンに切り換える操作パターン切換手段である(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
この操作パターン切換装置13は、油圧ショベル14のキャブ15内のオペレータにより操作レバー10R,10Lを介し操作されるいわゆるリモコン弁と呼ばれる操作弁11R,11Lと、油圧ショベル14に搭載されたパイロット操作式のコントロール弁12との間のパイロットライン中に挿入されて、操作弁11R,11Lとコントロール弁12との間の接続関係を切り換え、延いては操作弁11R,11Lと油圧ショベル14の車載エンジン16で駆動されるメインポンプ17によって油タンク18より加圧供給されコントロール弁12により方向制御された作動油により作動する各種油圧アクチュエータ(ブームシリンダ19bm、スティックシリンダ19st、バケットシリンダ19bkおよび旋回モータ19sw)との間の対応関係を、4方式の操作パターンの中から任意の操作パターンに切り換えられるようにしている。
【0007】
また、操作レバーの操作方向および操作量を電気信号に切り換え、この操作電気信号を、パターン切換回路により電気的に切り換えてコントローラに入力し、このコントローラから出力された電気信号により電磁比例弁などの電気式コントロール弁(メインバルブ)を制御するようにして、操作レバーと電気式コントロール弁との間の接続関係を複数の操作パターンの中から任意の操作パターンに切り換えられるようにしたものもある(例えば、特許文献2,3参照)。
【0008】
操作パターンは、4方式が一般的であり、ユーザに応じて4方式の中から選択したいずれか1つの方式に切り換えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−333075号公報
【特許文献2】実開平7−10054号公報およびそのCD−ROM
【特許文献3】実開平2−70224号公報およびそのマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に示されるロータリ式の操作パターン切換装置13は、1つのロータリ型のシャフトに4通りもの操作パターンを有する切換通路を形成するので、サイズが大きくなり、また、装置本体の全周面に入口ポートA〜Hと出口ポート1〜8とを設けるので、配管の接続、操作性などを考慮すると、機体への配置に苦心する。特に小型機では、全周面での配管接続が可能で、かつ手動による回動操作が可能な場所は限られ、この操作パターン切換装置13の設置スペースを確保することは容易でない。
【0011】
また、特許文献2,3に示されるパターン切換回路により電気的にパターン切換を行なうものは、電気式操作レバーにより電磁比例弁などの電気式コントロール弁を制御するものに限られ、一般的な油圧ショベルに採用されている油圧式操作レバー(いわゆるリモコン弁)によりパイロット操作式コントロール弁を制御するパイロット方式には適用できない問題がある。さらに、操作パターンが複雑であり、多数のリレーなどの電気部品を必要とするため、信頼性に欠けるなどの理由で実用化されていない。
【0012】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、パイロット方式に適用できる操作パターン切換装置でありながら、コンパクトに構成できるとともに操作パターンの切換を電気的に簡単に行なうことができる操作パターン切換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載された発明は、操作量に応じたパイロット圧を出力する操作弁とこの操作弁からのパイロット圧によりパイロット操作されるコントロール弁との間の接続関係を複数の操作パターンの中から選択された1つに切り換えるパイロット方式の操作パターン切換装置において、1つの装置本体と、この装置本体内に設けられた軸方向作動型の複数のスプールと、これらのスプールを電気入力信号のオン・オフにより作動して軸方向のオン位置およびオフ位置に変位させる複数のスプール作動部と、これらの複数のスプール作動部のオン・オフの組合わせにより複数のスプールを経て連通する通路を変化させることで複数の入口ポートと複数の出口ポートとの接続関係を変化させる複数のパイロット圧通路とを具備した操作パターン切換装置である。
【0014】
請求項2に記載された発明は、請求項1記載の操作パターン切換装置における複数のスプールが、第1のスプール、第2のスプール、第3のスプールおよび第4のスプールにより構成され、複数のスプール作動部は、パイロット油圧源および油タンクのいずれか一方を第1のスプールの端部と第2のスプールの端部とに連通する第1の電磁切換弁と、パイロット油圧源および油タンクのいずれか一方を第3のスプールの端部とオン位置にある第1のスプールを経て第4のスプールの端部とに連通する第2の電磁切換弁とを備え、複数のパイロット圧通路は、第1のスプールと第4のスプールとを経て構成される第1の通路群と、第2のスプールと第3のスプールとを経て構成される第2の通路群とに分かれた構成の操作パターン切換装置である。
【0015】
請求項3に記載された発明は、請求項2記載の操作パターン切換装置における第1の電磁切換弁および第2の電磁切換弁が、装置本体の一側面とこの一側面に対して反対側に位置する他側面とにそれぞれ設置されたソレノイドと、これらのソレノイドと対応する位置で装置本体内にそれぞれ設置され各ソレノイドにより軸方向に作動される可動弁部とを備えた操作パターン切換装置である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、1つの装置本体内に軸方向作動型の複数のスプールを設け、これらのスプールを電気入力信号のオン・オフにより作動する複数のスプール作動部により軸方向のオン位置およびオフ位置に変位させ、これらの複数のスプール作動部のオン・オフの組合わせにより複数のスプールを経て連通される複数のパイロット圧通路を変化させることで、複数の入口ポートと複数の出口ポートとの接続関係を変化させる操作パターン切換装置であるので、操作量に応じたパイロット圧を出力する操作弁と、この操作弁からのパイロット圧によりパイロット操作されるコントロール弁との間の接続関係を切り換えるパイロット方式に適用できるとともに、装置本体内に設けられた軸方向作動型の複数のスプールにより操作パターン切換装置をコンパクトに構成でき、かつ、操作パターンの切換を電気入力信号のオン・オフにより遠隔操作可能な複数のスプール作動部により電気的に簡単に行なうことができるので、この操作パターン切換装置の設置スペースを容易に確保できる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、パイロット油圧源および油タンクのいずれか一方を第1および第2のスプールの端部に連通する第1の電磁切換弁と、第3のスプールの端部およびオン位置にある第1のスプールを経て第4のスプールの端部に連通する第2の電磁切換弁とを備え、複数のパイロット圧通路を、第1および第4のスプールを経て構成される第1の通路群と、第2および第3のスプールを経て構成される第2の通路群とに分けたので、2つの電磁切換弁と4つのスプールを経た2つの通路群とにより、4方式の操作パターンの切換を電気的に行なうことができる操作パターン切換装置を容易に構成できる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、第1および第2の電磁切換弁が、装置本体の一側面とこの一側面に対して反対側に位置する他側面とにそれぞれ設置されたソレノイドと、これらのソレノイドと対応する位置で装置本体内にそれぞれ設置された可動弁部とを備えたので、コンパクトに形成された装置本体にも2つの電磁切換弁のソレノイドおよび可動弁部を装着できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る操作パターン切換装置の一実施の形態を示す第1パターン回路図である。
【図2】同上切換装置の正面図である。
【図3】同上切換装置の図2III−III線断面図である。
【図4】同上切換装置の図2IV−IV線断面図である。
【図5】同上切換装置の第2パターン回路図である。
【図6】同上切換装置の第3パターン回路図である。
【図7】同上切換装置の第4パターン回路図である。
【図8】従来の操作パターン切換装置の適用例を示す油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を、図1乃至図7に示された一実施の形態に基いて詳細に説明する。
【0021】
図1乃至図4に示された操作パターン切換装置21は、図8に示された従来の操作パターン切換装置13と同様に、油圧ショベル14のパイロットポンプ10Pから供給されたパイロット1次圧を操作レバー10R,10Lによる操作量に応じたパイロット2次圧(以下、単にパイロット圧という)に減圧して出力する操作弁(いわゆるリモコン弁)11R,11Lと、操作弁11R,11Lからのパイロット圧によりパイロット操作されるコントロール弁12との間の接続関係を複数の操作パターンの中から選択された1つの操作パターンに切り換えるパイロット方式で共通するが、図8に示された従来の操作パターン切換装置13がロータリ式のシャフトを手動で回動操作して操作パターンを他の操作パターンに切り換えるものであるのに対して、図1乃至図4に示された操作パターン切換装置21は、電気的に操作弁11R,11Lとコントロール弁12との間のパイロット通路による接続関係を4通りに切り換えることができる構造とする。
【0022】
図3および図4に示されるように、この操作パターン切換装置21は、ブロック状に形成された装置本体22の内部に4本のスプール孔23が貫通して穿設され、これらの各スプール孔23内にそれぞれ軸方向作動型の第1のスプール24、第2のスプール25、第3のスプール26および第4のスプール27が軸方向摺動自在に嵌合されている。
【0023】
これらのスプール24,25,26,27の一端部には、装置本体22の側面に一体化されたスプリング受け部31がそれぞれ配置され、これらのスプリング受け部31の内部には各スプール24,25,26,27を反対方向に付勢するリターンスプリング32と、漏出油を油タンク18に回収するためのドレンポート33がそれぞれ設けられている。
【0024】
図1および図3に示されるように、これらのスプール24,25,26,27を電気入力信号のオン・オフにより作動して軸方向のオン位置およびオフ位置に変位させる複数のスプール作動部として、車載エンジンにより駆動されるパイロットポンプなどのパイロット油圧源34および油タンク18のいずれか一方を第1のスプール24の端部と第2のスプール25の端部とに連通する第1の電磁切換弁35と、パイロット油圧源34および油タンク18のいずれか一方を第3のスプール26の端部とオン位置にある第1のスプール24を経て第4のスプール27の端部とに連通する第2の電磁切換弁36とを備えている。
【0025】
図3および図4に示されるように、第1の電磁切換弁35および第2の電磁切換弁36は、装置本体22の一側面とこの一側面に対して反対側に位置する他側面とにそれぞれ設置されたソレノイド37と、これらのソレノイド37と対応する位置で図4に示されるように装置本体22内にそれぞれ設置され各ソレノイド37により軸方向に作動されるスプール形の可動弁部38とを備えている。
【0026】
第1および第2の電磁切換弁35,36の各ソレノイド37はスイッチを介して電源(車載バッテリ)に接続されている。そのスイッチは、油圧ショベル14のキャブ15内に設けれられた入力機能を有するモニタ上または運転席近傍に配置された操作盤上で操作可能とする。
【0027】
第1の電磁切換弁35から出力されたパイロット圧は、通路39を経て第1のスプール24と第2のスプール25の反スプリング側の端部に導かれ、また、第2の電磁切換弁36から出力されたパイロット圧は、通路40aを経て第3のスプール26の反スプリング側の端部に導かれるとともに、通路40aと第1のスプール24の変位により連通可能な通路40bを経て第4のスプール27の反スプリング側の端部に導かれる。
【0028】
装置本体22内には、図1、図5乃至図7に示されるように、第1の電磁切換弁35および第2の電磁切換弁36のオン・オフの組合わせにより複数のスプール24,25,26,27を経て連通する通路を変化させることで複数の入口ポートA,B,C,D,E,F,G,Hと複数の出口ポート1,2,3,4,5,6,7,8との接続関係を変化させる複数のパイロット圧通路41,42,43,44,45,46が形成されている。
【0029】
これらのパイロット圧通路41,42,43,44,45,46は、第1のスプール24と第4のスプール27とを経て構成される第1の通路群41〜43と、第2のスプール25と第3のスプール26とを経て構成される第2の通路群44〜46とに分かれている。
【0030】
図3および図4に示されるように、パイロット圧通路41,44,46,43は、各スプール孔23の内周面に設けられた複数の環状凹溝と各スプール24,25,26,27の外周面に設けられた複数の環状凹溝とのオーバラップ状態によって形成され、また、パイロット圧通路42は、第1のスプール24と第4のスプール27の各スプール孔23,23間に穿設された通孔によって形成され、また、パイロット圧通路45は、第2のスプール25と第3のスプール26の各スプール孔23,23間に穿設された通孔によって形成されている。
【0031】
そして、各スプール24,25,26,27が軸方向に変位すると、各スプール孔23の内周面の環状凹溝と各スプール24,25,26,27の外周面の環状凹溝とのオーバラップ状態が変化して、図1、図5乃至図7に示されるように、複数の入口ポートA,B,C,D,E,F,G,Hと複数の出口ポート1,2,3,4,5,6,7,8との接続関係が変化する。
【0032】
これらの入口ポートA,B,C,D,E,F,G,Hおよび出口ポート1,2,3,4,5,6,7,8は、各スプール孔23の内周面に設けられた環状凹溝から径方向に穿設された通路が外部に開口する配管接続口である。入口ポートA,B,C,D,E,F,G,Hは、図2に示されるように装置本体22の正面に設けられ、出口ポート1,2,3,4,5,6,7,8は、装置本体22の背面(図示せず)に設けられている。
【0033】
このように、操作パターンを他の操作パターンに切り換えるパターン切換手段として、2個の電磁切換弁35,36により4個のスプール24,25,26,27を作動する構造を採用した操作パターン切換装置21において、各操作パターンでの入口ポートA,B,C,D,E,F,G,Hと出口ポート1,2,3,4,5,6,7,8との接続関係を下記の表1に示す。
【0034】
【表1】

【0035】
次に、図示された実施の形態の作用効果を説明する。
【0036】
上記表1に示されるように、2個の電磁切換弁35,36の各ソレノイド37をオン・オフすることで、第1パターン、第2パターン、第3パターンおよび第4パターンの4方式の操作パターン切換が電気的に可能となるので、具体的に説明する。
【0037】
(第1パターン)
図1に示されるように、第1および第2の電磁切換弁35,36の両方のソレノイド37をオフとした場合は、全てのスプール24,25,26,27が共に変位しないため、入口ポートA,B,C,D,E,F,G,Hと、出口ポート1,2,3,4,8,5,6,7とが上記パイロット圧通路41〜46を経て連通する。
【0038】
(第2パターン)
図5に示されるように、第1の電磁切換弁35のソレノイド37をオンとし、第2の電磁切換弁36のソレノイド37をオフとした場合は、切り換わった第1の電磁切換弁35の可動弁部38を経たパイロット圧により第1および第2のスプール24,25が共に変位するため、入口ポートA,B,C,D,E,F,G,Hと、出口ポート8,7,6,5,3,2,1,4とが上記パイロット圧通路を経て連通する。
【0039】
(第3パターン)
図6に示されるように、第1の電磁切換弁35のソレノイド37をオフとし、第2の電磁切換弁36のソレノイド37をオンとした場合は、切り換わった第2の電磁切換弁36の可動弁部38を経たパイロット圧により第3のスプール26のみが変位するため、入口ポートA,B,C,D,E,F,G,Hと、出口ポート1,2,3,4,5,6,7,8とが上記パイロット圧通路を経て連通する。
【0040】
(第4パターン)
図7に示されるように、第1および第2の電磁切換弁35,36の両方のソレノイド37をオンとした場合は、切り換わった第1および第2の電磁切換弁35,36の可動弁部38を経たパイロット圧により全てのスプール24,25,26,27が変位するため、入口ポートA,B,C,D,E,F,G,Hと、出口ポート6,7,8,5,3,2,1,4とが上記パイロット圧通路を経て連通する。
【0041】
このように、ブロック状に形成された1つの装置本体22内に軸方向作動型の複数のスプール24〜27を設け、これらのスプール24〜27を電気入力信号のオン・オフにより作動する第1および第2の電磁切換弁35,36により軸方向のオン位置およびオフ位置に変位させ、これらの電磁切換弁35,36のオン・オフの組合わせにより複数のスプール24〜27を経て連通される複数のパイロット圧通路41〜46を変化させることで、複数の入口ポートA〜Hと複数の出口ポート1〜8との接続関係を変化させる操作パターン切換装置21であるので、操作量に応じたパイロット圧を出力する操作弁(リモコン弁)11R,11Lと、操作弁11R,11Lからのパイロット圧によりパイロット操作されるコントロール弁12との間の接続関係を切り換えるパイロット方式に適用できるとともに、装置本体22内に設けられた軸方向作動型の複数のスプール24〜27により操作パターン切換装置21をコンパクトに構成でき、かつ、操作パターンの切換を電気入力信号のオン・オフにより遠隔操作可能な第1および第2の電磁切換弁35,36により電気的に簡単に行なうことができるので、この操作パターン切換装置の設置スペースを容易に確保できる。
【0042】
例えば、小型の油圧ショベルの手が届き難い場所に操作パターン切換装置21を設置した場合でも、キャブ15内に設けれられたスイッチ入力機能を有するモニタや操作盤などから操作パターンの切換を簡単に行なうことができる。
【0043】
また、パイロット油圧源34および油タンク18のいずれか一方を第1および第2のスプール24,25の端部に連通する第1の電磁切換弁35と、第3のスプール26の端部およびオン位置にある第1のスプール24を経て第4のスプール27の端部に連通する第2の電磁切換弁36とを備え、複数のパイロット圧通路41〜46を、第1および第4のスプール24,27を経て構成される第1の通路群41〜43と、第2および第3のスプール25,26を経て構成される第2の通路群44〜46とに分けたので、2つの電磁切換弁35,36と4つのスプール24〜27を経た2つの通路群41〜43,44〜46とにより、4方式の操作パターンの切換を電気的に行なうことができる操作パターン切換装置21を容易に構成できる。
【0044】
さらに、第1および第2の電磁切換弁35,36が、装置本体22の一側面とこの一側面に対して反対側に位置する他側面とにそれぞれ設置されたソレノイド37と、これらのソレノイド37と対応する位置で装置本体22内にそれぞれ設置された可動弁部38とを備えたので、コンパクトに形成された装置本体22にも2つの電磁切換弁35,36の各ソレノイド37および各可動弁部38を装着できる。
【0045】
以上のように、本発明の4方式パターンチェンジャは、2個の電磁切換弁35,36により4個のシンプルな構造のスプール24〜27を動かして、操作弁11R,11L(いわゆるリモコン弁)とパイロット操作式コントロール弁12との間のパイロット配管による接続関係を、電気的に簡単に切り換えることができる構造に特徴があり、少ない部品点数で4方式の操作パターンに対応できる。
【0046】
本発明は、油圧ショベルのみに限定されず、油圧ショベルのベースマシンを応用した農業機械、林業機械、破砕機などの特殊機械にも適用できる。また、上記実施の形態では、スプール作動部として電磁切換弁35,36を例示し、パイロット圧に変換してスプール24〜27を駆動しているが、本発明は、スプール作動部としてのソレノイド式アクチュエータ(図示せず)によりスプール24〜27を直接駆動する方式も含む。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、上記操作パターン切換装置を業として製造、販売、貸与などする者にとって、産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0048】
A,B,C,D,E,F,G,H 入口ポート
1,2,3,4,5,6,7,8 出口ポート
11R,11L 操作弁
12 コントロール弁
18 油タンク
21 操作パターン切換装置
22 装置本体
24,25,26,27 スプール
34 パイロット油圧源
35,36 スプール作動部としての電磁切換弁
37 ソレノイド
38 可動弁部
41,42,43,44,45,46 パイロット圧通路
41〜43 第1の通路群
44〜46 第2の通路群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作量に応じたパイロット圧を出力する操作弁とこの操作弁からのパイロット圧によりパイロット操作されるコントロール弁との間の接続関係を複数の操作パターンの中から選択された1つに切り換えるパイロット方式の操作パターン切換装置において、
1つの装置本体と、
この装置本体内に設けられた軸方向作動型の複数のスプールと、
これらのスプールを電気入力信号のオン・オフにより作動して軸方向のオン位置およびオフ位置に変位させる複数のスプール作動部と、
これらの複数のスプール作動部のオン・オフの組合わせにより複数のスプールを経て連通する通路を変化させることで複数の入口ポートと複数の出口ポートとの接続関係を変化させる複数のパイロット圧通路と
を具備したことを特徴とする操作パターン切換装置。
【請求項2】
複数のスプールは、
第1のスプール、第2のスプール、第3のスプールおよび第4のスプールにより構成され、
複数のスプール作動部は、
パイロット油圧源および油タンクのいずれか一方を第1のスプールの端部と第2のスプールの端部とに連通する第1の電磁切換弁と、
パイロット油圧源および油タンクのいずれか一方を第3のスプールの端部とオン位置にある第1のスプールを経て第4のスプールの端部とに連通する第2の電磁切換弁とを備え、
複数のパイロット圧通路は、
第1のスプールと第4のスプールとを経て構成される第1の通路群と、
第2のスプールと第3のスプールとを経て構成される第2の通路群とに分かれた
ことを特徴とする請求項1記載の操作パターン切換装置。
【請求項3】
第1の電磁切換弁および第2の電磁切換弁は、
装置本体の一側面とこの一側面に対して反対側に位置する他側面とにそれぞれ設置されたソレノイドと、
これらのソレノイドと対応する位置で装置本体内にそれぞれ設置され各ソレノイドにより軸方向に作動される可動弁部とを備えた
ことを特徴とする請求項2記載の操作パターン切換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−113311(P2013−113311A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257099(P2011−257099)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(505236469)キャタピラー エス エー アール エル (144)
【出願人】(591043260)明石機械工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】