説明

操作入力装置及び操作入力検出装置

【課題】本発明は、操作者の力を3次元で検出し、その検出精度を向上させることができる、操作入力装置の提供を目的とする。
【解決手段】操作者の力を受け付ける操作入力装置であって、一の基準点から等しい点を結んでできる円の円周方向に並べられたコイル21〜24が配置される配置面を有する基板10と、基板10に対して前記力が入力されてくる側に設けられたキー30と、キー30を弾性的に支持するリターンバネ51〜54とを備え、キー30は、前記配置面に対向する対向面と前記力が作用しうる操作面とを有しており、前記力が前記操作面に作用することにより前記対向面が前記配置面に近づくことによって、コイル21〜24の少なくともいずれか一つのインダクタンスを変化させる、操作入力装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作者の力を受け付ける操作入力装置、当該力を検出する操作入力検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電極間の間隔が変化するときの静電容量の変化によって力を検出する検出装置が知られている(例えば、特許文献1,2,3参照)。また、所定の部材のスライドによって生じた共振用コイルの電圧変化に基づいて、移動データを求める座標入力装置が知られている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−148833号公報
【特許文献2】特開平5−118942号公報
【特許文献3】特開2006−179250号公報
【特許文献4】特開平10−247129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1〜3のように静電容量の変化を利用して、操作者の力を検出する場合、操作者が触れることによって静電容量が敏感に変化してしまうため、操作者の力を正しく検出できないことがある。
【0005】
この点、上述の特許文献4のようにコイルの電圧変化を利用して、操作者の力を検出すれば、操作者が触れることによるインダクタンスの変化が生じないという点で、静電容量を利用して操作者の力を検出する場合に比べて、有利である。しかしながら、特許文献4に記載の技術では、2次元のデータが得られるにすぎない。
【0006】
そこで、本発明は、操作者の力を3次元で検出し、その検出精度を向上させることができる、操作入力装置及びその力を検出する操作入力検出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る操作入力装置は、
操作者の力を受け付ける操作入力装置であって、
一の基準点から等しい点を結んでできる円の円周方向に並べられた複数のインダクタが配置される配置面を有する基部と、
前記基部に対して前記力が入力されてくる側に設けられた変位部材であって、前記配置面に対向する対向面と前記力が作用しうる操作面とを有しており、前記力が前記操作面に作用することにより前記対向面が前記配置面に近づくことによって、前記複数のインダクタの少なくともいずれか一つのインダクタンスを変化させる変位部材と、
前記対向面と前記配置面との間隔が弾性的に変化するように前記変位部材を支持する支持部材と、
前記インダクタンスの変化により生じた出力信号を出力する出力部とを備えることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明に係る操作入力検出装置は、
上記の操作入力装置と、
前記基準点と前記円の中心部とを結ぶ直線に直交する平面をXY平面と定義した場合、前記複数のインダクタそれぞれについての前記出力信号に基づいて、インダクタンスのX方向成分の変化とY方向成分の変化とを検知することによって、前記力のベクトルを算出する算出手段とを備えるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操作者の力を3次元で検出し、その検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例である操作入力装置1の分解図である。
【図2】操作入力装置1の断面図である。
【図3】リターンバネ51〜54が設けられた操作入力装置1の分解図である。
【図4】リターンバネが設けられた操作入力装置1の断面図である。
【図5】キー30がリターンバネに載っている状態を示した操作入力装置1の斜視図である。
【図6】キー30に操作者の手指が載った状態を示した操作入力装置1の断面図である。
【図7】キー30の中心を押し下げた状態を示した操作入力装置1の断面図である。
【図8】キー30のX(−)方向の位置を押し下げた状態を示した操作入力装置1の断面図である。
【図9】XY平面の45°方向の位置に指が載った操作入力装置1の平面図である。
【図10】XYZ空間における力のベクトル図である。
【図11】XY平面における力のベクトル図である。
【図12】XYZ空間における力のベクトル図である。
【図13】XY平面における力のベクトル図である。
【図14】XZ平面における力のベクトル図である。
【図15】インダクタンスの変化を検出する第1の検出回路例のブロック図である。
【図16】駆動回路66と受信回路67のブロック図である。
【図17】図16の各点における波形を示した図である。
【図18】インダクタンスの変化を検出する第2の検出回路例のブロック図である。
【図19】駆動回路66と受信回路67のブロック図である。
【図20】図19の各点における波形を示した図である。
【図21】本発明の第2の実施例である操作入力装置2の分解図である。
【図22】操作入力装置2の断面図である。
【図23】リターンバネ51〜54の配置図である。
【図24】センターキー31に操作者の指が載った状態を示した操作入力装置2の断面図である。
【図25】センターキー31の中心を押し下げた状態を示した操作入力装置2の断面図である。
【図26】センターキー31のX(−)方向の位置を押し下げた状態を示した操作入力装置2の断面図である。
【図27】インダクタンスの変化を検出する第3の検出回路例のブロック図である。
【図28】クリックバネ70の配置例である。
【図29】クリックバネ70の配置例である。
【図30】本発明の第3の実施例である操作入力装置3の分解図である。
【図31】キー30にコアが設けられた図である。
【図32】各構成部品の位置関係を示した図である。
【図33】キー30に操作者の指が載った状態を示した操作入力装置3の断面図である。
【図34】キー30のX(−)方向の位置を押し下げた状態を示した操作入力装置3の断面図である。
【図35】コイル21〜24の第1の配置例である。
【図36】コイル21〜24の第2の配置例である。
【図37】樹脂のホルダー11にコイルが配置された例である。
【図38】樹脂のホルダー12にコイルが配置された例である。
【図39】本発明の第4の実施例である操作入力装置4の分解図である。
【図40】操作入力装置4の断面図である。
【図41】ハウジング41の構造図である。
【図42】ハウジング41の断面図である。
【図43】ハウジング41に配置された接点部71の配置図である。
【図44】ハウジング41に配置されたクリックバネ70と接点部72の配置図である。
【図45】クリックバネ70を断面形状で表した図である。
【図46】リターンバネ55の搭載状態を示した斜視図である。
【図47】リターンバネ55の搭載状態を示した断面図である。
【図48】操作者の力が加えられていない初期状態を示した操作入力装置4の断面図である。
【図49】センターボタン33を押し下げた状態を示した操作入力装置4の断面図である。
【図50】キー32のX(−)方向の位置を押し下げた状態を示した操作入力装置4の断面図である。
【図51】インダクタがパターンで形成された例である。
【図52】本発明の第5の実施例である操作入力装置5の分解図である。
【図53】操作入力装置5の断面図である。
【図54】コアが無い構成を単純化した解析モデルの断面斜視図である。
【図55】図54の解析モデルにおける、上ヨーク211の上下方向のストローク量に対するコイル200のインダクタンスの変化を示した図である。
【図56】コアが有る構成を単純化した解析モデルの断面斜視図である。
【図57】コア220が無い場合と有る場合の、上ヨーク211の上下方向のストローク量に対するコイル200のインダクタンスの変化を示した図である。
【図58】各コイルに対向する円筒状コアが上ヨーク211に形成された解析モデルの断面斜視図である。
【図59】図58の構成において、4つのコアが有る場合と無い場合の、上ヨーク211をXY平面に対してコイル201側に傾けたときの上ヨーク211のストローク量に対するコイル201のインダクタンスの変化を示した図である。
【図60】絞り形状のコア225を有する解析モデルの断面斜視図である。
【図61】バーリング形状のコア226を有する解析モデルの断面斜視図である。
【図62】円柱形状のコア220、絞り形状のコア225、バーリング形状のコア226の各場合の、上ヨーク211のストローク量に対するコイル200のインダクタンスの変化を示した図である。
【図63】本発明の第6の実施例である操作入力装置6の上斜め方向から見た分解図である。
【図64】操作入力装置6の下斜め方向から見た分解図である。
【図65】操作入力装置6の外観斜視図である。
【図66】操作入力が付与されていない初期状態での操作入力装置6の断面図である。
【図67】キー240をXY平面に対してコイル271側に傾ける操作入力が付与された傾動状態での操作入力装置6の断面図である。
【図68】キー240をZ方向に平行移動させる操作入力が付与された押し下げ状態での操作入力装置6の断面図である。
【図69】本発明の第7の実施例である操作入力装置7に構成されるクリックバネ311〜314の配置を示した図である。
【図70】操作入力が付与されていない初期状態での操作入力装置7の断面図である。
【図71】キー240をXY平面に対してコイル273側に傾ける操作入力が付与された傾動状態での操作入力装置7の断面図である。
【図72】本発明の第8の実施例である操作入力装置8の断面図である。
【図73】本発明の第9の実施例である操作入力装置9の断面図である。
【図74】カバー330の開口部335に設けられた切り欠き431〜434を示した図である。
【図75】カバー330に設けられたスリット441〜444を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態の説明を行う。本発明の一実施形態である操作入力装置は、操作者の手指等による力を受けて、その受けた力に応じて変化する出力信号を出力する操作インターフェイスである。その出力信号に基づいて操作者による操作入力が検出される。操作入力の検出によって、その検出された操作入力に対応する操作内容をコンピュータに把握させることができる。
【0012】
例えば、家庭用又は携帯可能なゲーム機、携帯電話や音楽プレーヤーなどの携帯端末、パーソナルコンピュータ、電化製品などの電子機器において、そのような電子機器に備えられるディスプレイの画面上の表示物(例えば、カーソルやポインタなどの指示表示や、キャラクターなど)を、操作者が意図した操作内容に従って、移動させることができる。また、操作者が所定の操作入力を与えることにより、その操作入力に対応する電子機器の所望の機能を発揮させることができる。
【0013】
一方、通常、コイル(巻線)等のインダクタのインダクタンスLは、係数をK、透磁率をμ、コイルの巻数をn、断面積をS、磁路長をlとした場合、
L=KμnS/l
という関係式が成り立つ。この関係式から明らかなように、コイルの巻数や断面積といった形状に依存するパラメータを固定した場合、周囲の透磁率を変化させるか、又は磁路長を変化させるかによって、インダクタンスが変化する。
【0014】
このインダクタンスの変化を利用する操作入力装置及び操作入力検出装置の実施例について以下説明する。この操作入力装置は、X,Y,Z軸によって定まる直交座標系のZ軸方向側から入力される操作者の力を受け付けるものである。Z軸方向とは、Z軸に平行な方向のことをいう。操作入力検出装置は、操作入力装置からの信号に基づいて(すなわち、インダクタンスの大きさに応じて変化する所定の信号に基づいて)、操作者の操作入力により変位する部材の動きを検知することにより、その操作入力を検出するものである。
【0015】
図1は、本発明の第1の実施例である操作入力装置1の分解図である。図2は、操作入力装置1の断面図である。
【0016】
操作入力装置1は、複数のインダクタ(図1の場合、4個のコイル21,22,23,24)が配置される配置面を有する基板10を備える。基板10は、XY平面に平行な配置面を有する基部である。三次元の直交座標系の基準点である原点Oは、その配置面から操作者の力が入力されてくる側(図1の場合、基板10に対して上側)に所定距離離れた位置に設定されている。基板10は、樹脂性の基板でもよいが、ヨークの役目を持たせるために鋼板や珪素鋼板などを基材にした鉄板基板でもよい。
【0017】
コイル21〜24は、原点Oとの距離が等しい点を結んでできる仮想的な円の円周方向に並べられている。コイル21〜24は、操作者の力のベクトルを算出しやすくするという点で、その円周方向に等間隔に配置されることが好ましい。各コイルが互いに同特性の場合、隣接する2つのコイルの重心間の距離が等しければよい。コイル21〜24は、X(+),X(−),Y(+),Y(−)の4方向に同心円状に90°毎に配置されている。X(−)方向は、XY平面上でX(+)方向に対して180°反対向きの方向であり、Y(−)方向は、XY平面上でY(+)方向に対して180°反対向きの方向である。コイル21は、原点Oに対して正側のX軸上に配置され、コイル22は、原点Oに対して正側のY軸上に配置され、コイル23は、原点Oに対して負側のX軸上に配置され、コイル24は、原点Oに対して負側のY軸上に配置されている。
【0018】
また、操作入力装置1は、基板10に対して操作者の力が入力されてくる側に設けられた変位部材であるキー30を備える。板状のキー30が、基板10に設けられたコイル21〜24の上側に配置されている。キー30は、コイル21〜24が配置された配置面に対向する対向面(図1において、下側の面)と、操作者の力が作用しうる操作面(図1において、上側の面)とを有している。キー30は、操作者の力が操作面に作用することにより、対向面がコイル21〜24が配置される配置面に近づくことによって、4個のコイル21〜24の少なくともいずれか一つのインダクタンスを変化させる。キー30は、コイル21〜24のインダクタンスを変化させるため、少なくとも空気より透磁率の高い材質で生成されていればよい。キー30の比透磁率は、1.001以上あると好適である。キー30は、磁性体であってもよい。例えば、鉄やフェライトなどが挙げられる。フェライトなどの粉末を配合した樹脂などでもよい。
【0019】
キー30は、ケース40によってZ軸方向に移動可能に支持されている。ケース40は、操作者の力が操作面に作用されていない待機状態(初期状態)でのキー30の位置を待機位置として、操作者の力が操作面に作用することによって待機位置から基板10に近づく方向に移動できるように支持する。ケース40は、基板10に固定されている。
【0020】
また、操作入力装置1は、キー30の対向面と基板10の配置面との間隔が弾性的に変化するように、対向面と配置面との対向方向にキー30を弾性的に支持する弾性支持部材を備える。例えば、この弾性支持部材として、図3,4,5に示されるように、キー30を待機位置に戻すためのリターンバネ51,52,53,54が、コイル21〜24の外側の基板10の配置面に設置されるとよい。リターンバネ51〜54は、板状の弾性体である。
【0021】
弾性支持部材は、基板10の配置面とキー30の対向面との間に設置されるとよい。弾性支持部材は、キー30とコイル21〜24が操作者の力が作用しても接触しないように、キー30を弾性的に支持する。弾性支持部材は、Z軸に直交するXY平面に対して傾き可能にキー30を支持し、Z軸方向に移動可能に移動可能に支持する。また、弾性支持部材は、キー30の対向面が基板10の配置面から離れる方向に付勢された状態でキー30を支持してもよい。
【0022】
弾性支持部材は、操作者の力が作用していない状態でキー30の操作面がXY平面に平行になるように、キー30を弾性的に支持する。キー30の操作面は、平らな面でもよいし、XY平面に対して凹状に形成された面でもよいし、XY平面に対して凸状に形成された面でもよい。操作面を所望の形状に変更することによって、操作者の操作性を向上させることができる。また、キー30の操作面は、円状でもよいし、楕円状でもよいし、多角形状でもよい。
【0023】
また、操作入力装置1は、コイル21〜24の少なくともいずれか一つのインダクタンスの変化により生じた出力信号を所定の操作入力検出装置に出力するための出力部を備える。この出力部は、コイルの端部に電気的に接続される。出力部は、コイルに生じたインダクタンスの変化をコイル毎に検知できるように、コイル毎に設けられる。例えば、この出力部として、図41(その詳細は後述)に示されるように、各コイルの一端に接続された配線(111a,111b〜114a,114b)及び配線(111a,111b〜114a,114b)に接続された端子(101a,101b〜104a,104b)が設けられるとよい。
【0024】
図6,7,8は、操作者が操作入力装置1を操作するときの操作入力装置1の状態を説明するための図である。図6,7,8内の右下の図は、キー30の操作面上の指の位置を示したものである。
【0025】
図6は、キー30の背面である操作面に操作者が力を加えずに指を載せている状態を示している。操作者が指でキー30を下方向に押しつけていない図6の待機状態では、各コイル21〜24のインダクタンスは、変化しない。
【0026】
図7は、キー30の操作面の中心部を押し下げた状態を示している。図7の状態では、キー30と各コイル21〜24との距離(図中、D1,D2)が縮まることによって、各コイル21〜24のインダクタンスが増加する。距離D1は、X軸正側方向であるX(+)方向側のZ軸方向の距離を示し、距離D2は、X軸負側方向であるX(−)方向側のZ軸方向の距離を示す。コイル21のインダクタンスとコイル23のインダクタンスとの差分に基づいて、キー30のX方向の位置における押し下げ量を検知することができ、コイル22のインダクタンスとコイル24のインダクタンスとの差分に基づいて、キー30のY方向の位置における押し下げ量を検知することができる。この押し下げ量は、アナログ値として検知可能である。図7の状態では、X方向とY方向のインダクタンスの差分は、零、又はあらかじめ設定された検出閾値以下であるため、零である。しかしながら、同時に各コイル21〜24のインダクタンスの総和も演算することにより、キー30の操作面のZ軸上の中心部が押し下げられていることが検知できる。キー30の操作面の中心部が押し下げられた状態での押し下げ量も、アナログ値として検知可能である。
【0027】
図8は、キー30のX(−)方向側を押し下げた状態(D2<D1)を示している。図8の状態では、コイル21のインダクタンスとコイル23のインダクタンスとの差分に基づいて、キー30の操作面上のX(−)方向の位置に押し下げの作用点があることを検知することができる。
【0028】
図9〜15に従って、原点Oに対する力の入力方向(XY平面における入力位置)とその力の大きさ(Z軸方向の押し込み量)の演算方法の2つの具体例について説明する。所定の操作入力検出装置(例えば、図15参照。その詳細は後述)が、インダクタンスのX方向成分の変化を表す評価値とインダクタンスのY方向成分の変化を表す評価値とに基づいて、XY平面における力の入力位置とZ軸方向の押し込み量を算出する。
【0029】
図9に示されるように、XY平面の45°方向の位置P(キー30の操作面上の作用点)を指で押して操作した場合、インダクタンスの変化(差分)は、X方向成分とY方向成分の両方の成分に発生する。
【0030】
予め、操作者の力の作用によるインダクタンスの変化量を補正又は正規化しておくと、演算精度を高めたり演算時間を短縮したりすることができる。そこで、XY平面のすべての方向の押し込みをしていない状態(待機状態)とフルストロークの状態における、4個のコイルそれぞれのインダクタンスが、メモリに予め記憶されている。メモリに記憶されるインダクタンスは、設計値に基づき予め設定された値でもよいし、製造時に実測された値でもよいし、ユーザが使用する際にユーザからの指示信号に基づいて測定されてもよいし、使用中の各インダクタンスの最大値を学習してもよい。このような方法で得られた待機状態での最小値とフルストローク状態での最大値との間で、インダクタンスの検出値は変化する。XY平面における各方向のインダクタンスを測定する際、コイル毎のインダクタンスを評価してもよいし、対向する一対のコイルのインダクタンスの差分を評価してもよい。この最小値と最大値を使用して、操作者の押し込みに対する各コイルのインダクタンスの変化量を補正又は正規化する。
【0031】
XY平面における押された方向(押された位置)と押し込み量を検出する演算を、図9に示されるように、X(+)方向とY(+)方向の両成分が有する状態で押された場合を例に挙げて説明する。
【0032】
インダクタンスのX方向成分の変化量は、上記の補正又は正規化された、X(+)方向に配置されたコイル21のインダクタンスの変化量とX(−)方向に配置されたコイル23のインダクタンスの変化量との差であるX方向差分値に基づいて、検知される。インダクタンスY方向成分の変化量についても、同様に、Y(+)方向に配置されたコイル22のインダクタンスの変化量とY(−)方向に配置されたコイル24のインダクタンスの変化量との差であるY方向差分値に基づいて、検知される。すなわち、X方向差分値がインダクタンスのX方向成分の変化量を表す評価値に相当し、Y方向差分値がインダクタンスのY方向成分の変化量を表す評価値に相当する。
【0033】
例えば、X方向差分値の最大値とY方向差分値の最大値が共に「1」になるように上記の補正又は正規化が行われた場合、図9の状態では、X方向差分値が「0.5」であると演算され、Y方向差分値が「0.5」であると演算されたとする。この2つの評価値を各X,Y座標のベクトルとする。そして、図10に示されるように、XY平面に、その2つのベクトルを合成した合成ベクトルを演算する。図11に示されるように、このXY平面上の合成ベクトルが基準方向(例えば、X軸方向)となす角度をΘXYとする。つまり、合成ベクトルのベクトル長が押し込み量に相当し、ベクトル角度ΘXYが力の入力方向に相当する。
【0034】
この例の場合、合成ベクトルのベクトル長は0.707(=√(0.5+0.5))であり、ベクトル角度ΘXYは45°(=tan−1(0.5/0.5))である。このような方法により、360°全方位の検知と押し込み量の検知が可能となる。また、Z方向に押し込まれた場合を検知するために、各インダクタンスの総和を演算し、キー30全体の押し込み量の評価値とすることで、Z方向の押し込み量を検知することができる。
【0035】
次に、原点Oに対する力の入力方向(XY平面における入力位置)とその力の大きさ(Z軸方向の押し込み量)の演算方法のもう一つの具体例について説明する。各方向のインダクタンスの検出までは上述の演算方法の具体例と同様であるが、図12に示されるように、Z方向のベクトルを各コイルのインダクタンスの総和から求め、その総和をXYZ空間におけるZ方向のベクトル成分とする。そして、合成ベクトルは、XYZ空間上で評価する。
【0036】
例えば、X方向差分値の最大値とY方向差分値の最大値が共に「1」になるように上記の補正又は正規化が行われた場合、フルストローク時の4つのコイルのインダクタンスの総和が4であることから、Z方向の評価値は、インダクタンスの総和を1/4倍にすることによって正規化する。図9の状態では、X方向差分値が「0.5」であると演算され、Y方向差分値が「0.5」であると演算される。Z方向の総和は1であるため、1/4倍の「0.25」に正規化される。この3つの評価値を各座標のベクトルとする。そして、図12に示されるように、XYZ空間に各ベクトルから合成された合成ベクトルを演算する。指先で入力した方位は、3方向の合成ベクトルをXY平面上に投影して得られた合成ベクトルの角度ΘXYによって求められる(図13参照)。また、押し込み量は3軸空間上の合成ベクトル長で評価する。また、キー30全体の押し込み量を評価する場合には、3方向の合成ベクトルをXZ平面に投影した合成ベクトルがなす角度ΘXZで評価する。
【0037】
図15は、インダクタンスの変化を検出する第1の検出回路例のブロック図である。インダクタンス検出回路は、コイル21〜24それぞれのインダクタンスの変化を検出する算出手段である。インダクタンス検出回路は、演算手段であるCPU60と、CPU60の第1の出力ポート61に接続された駆動回路66と、一方の端部がグランドに接続されたコイル21〜24のもう一方の端部に接続されるマルチプレクサ(MUX)68と、CPU60の第2の出力ポート62とADポート63とに接続された受信回路67とを備える。基板10上の各コイルは、マルチプレクサ68によって、共通の受信回路67及び駆動回路66を介して、CPU60に接続される。マルチプレクサ68の接続先の切り替えは、アドレスバス64を介して、CPU60からのアドレス指定によって一意に選択される。したがって、各コイルのインダクタンスの検知は、その検知タイミングを各コイルでずらして、コイル毎に逐次行われる。
【0038】
図16は、図15における駆動回路66と受信回路67のブロック図である。駆動回路66は、CPU60の出力ポート61からの出力信号に応じて定電流源66aの出力電流をコントロールすることによって、コイル21〜24それぞれに電流を流す。受信回路67は、コイル21等に電流を流すことに伴い発生する電圧を、アンプ67aを通してピークホールド回路67bに入力する(ボトムホールド回路に入力されてもよい)。ピークホールド回路67bによってピークホールドされたピーク値(アナログ値)は、ADポート63に入力されて、ADコンバータによって、デジタル値に変換される。
【0039】
図17は、図16の各点における波形を示した図である。CPU60の出力ポート61から矩形波の電圧波形が出力される。この電圧によって、定電流回路66aは、コイルに一定の電流を流す。これにより、コイルは微分波形の電圧V2を発生させる。電圧波形V2として、電圧波形V1の立ち上がりに同期した波形2−1が得られるとともに、電圧波形V1の立下りに同期した波形2−2が得られる。波形2−2は、波形2−1に対して正負が逆側の波形である。アンプ67aは、電圧波形V2を、ADコンバータのダイナミックレンジに適した大きさに増幅する。電圧波形V2をピークホールドするか又はボトムホールドするかによって、そのホールドした値がADコンバータ(ADポート63)に取り込まれる。波形2−1,2−2の振幅値は、各コイルのインダクタンスの大きさに比例して大きくなるため、この振幅値を検出することによって、各コイルのインダクタンスの大きさを評価できる。
【0040】
図18は、インダクタンスの変化を検出する第2の検出回路例のブロック図である。インダクタンス検出回路は、コイル21〜24それぞれのインダクタンスの変化を検出する算出手段である。インダクタンス検出回路は、演算手段であるCPU60と、CPU60のDAポート65に接続された駆動回路66と、一方の端部がグランドに接続されたコイル21〜24のもう一方の端部に接続されるマルチプレクサ(MUX)68と、ADポート63とに接続された受信回路67とを備える。基板10上の各コイルは、マルチプレクサ68によって、共通の受信回路67及び駆動回路66を介して、CPU60に接続される。マルチプレクサ68の接続先の切り替えは、アドレスバス64を介して、CPU60からのアドレス指定によって一意に選択される。したがって、各コイルのインダクタンスの検知は、その検知タイミングを各コイルでずらして、コイル毎に逐次行われる。
【0041】
図19は、図18における駆動回路66と受信回路67のブロック図である。駆動回路66は、CPU60のDAポート65からの出力信号に応じて定電流源66aの出力電流をコントロールすることによって、コイル21〜24それぞれに電流を流す。受信回路67は、コイル21等に電流を流すことに伴い発生する電圧を、アンプ67aを通して、ADポート63に入力する。ADポート63に入力されたアナログ値は、ADコンバータによって、デジタル値に変換される。
【0042】
図20は、図19の各点における波形を示した図である。CPU60のDAポート66から三角波の電圧波形が出力される。三角波は、立ち上がりの傾きが一定である(つまり、立ち上がりが直線である)。この例では、立ち上がりと立ち下がりの双方の傾きが同一である。この電圧によって、定電流回路66aは、電圧V1の増加とともに増加し、電圧V1の減少とともに減少する電流I1を流す。これにより、コイルは電流I2に示す波形の微分であるV2に示す電圧を発生させる。V2の波形はV1の波形が直線で増加減少しているために、V2に示すようなそれぞれ一定の定電圧区間を伴う矩形波となる。出力波形V2として、三角波の立ち上がりに対応して2−1のような電圧が得られるとともに、三角波の立下りに対応した2−2のような電圧が得られる。波形2−2は、波形2−1に対して正負が逆側の波形である。アンプ67aは、電圧波形V2を、ADコンバータのダイナミックレンジに適した大きさに増幅する。ADコンバータは、駆動出力タイミングに基づく同期タイミングで、電圧波形V3の電圧が一定である期間に、電圧波形V3の振幅値を取り込む。波形3−1,3−2の振幅値は、各コイルのインダクタンスの大きさに比例して大きくなるため、この振幅値を検出することによって、各コイルのインダクタンスの大きさを評価できる。
【0043】
また、インダクタンスの変化中に、図17に示した電流I1を流すと、図20に示した電圧V2の定電圧区間に、傾きを持った電圧V2が発生する。この傾きを持った電圧V2を、駆動出力タイミングに基づく同期タイミングで、サンプルホールド回路を用いてホールドし、そのホールドした値をADコンバータで取り込んでもよい。また、波形3−1,3−2の期間内をそれぞれADコンバータで取り込んで、その取り込んだ値の絶対値を加算または平均した値が、インダクタンスの大きさの評価に用いられてもよい。
【0044】
図21は、本発明の第2の実施例である操作入力装置2の分解図である。図22は、操作入力装置2の断面図である。上述の実施例と同様の部分については、その説明を省略する。
【0045】
操作入力装置2は、コイル21〜24に囲まれるZ軸上の中心部に設けられたクリックバネ70を、基板10の配置面に備える。クリックバネ70は、操作面を指で押した操作者にクリック感を与える、ドーム状の弾性部材である。
【0046】
また、操作入力装置2は、キー30とクリックバネ70との間に挟まれることによって保持されるセンターキー31をZ軸上に備える。センターキー31は、クリックバネ70に接した状態で支持される。これにより、接しない状態で支持される場合に比べて、操作入力装置全体のZ軸方向の薄肉化が可能である。センターキー31は、キー30の操作面に露出した露出面をZ軸上に有する押下部である。
【0047】
センターキー31は、キー30の操作面と露出面の少なくともいずれか一方の面に操作者の力が作用することにより、クリックバネ70をZ軸方向側から変形させる。操作者の力が操作面に作用することによりキー30及びセンターキー31が共に押し下がることによって、クリックバネ70は変形する。また、操作者の力が操作面に作用せずに露出面に作用することにより、キー30は押し下がらずにセンターキー31が押し下がることによって、クリックバネ70が変形する。センターキー31は、操作面と基板10の配置面に対向する対向面とを貫通する穴に嵌合して位置決めされている。センターキー31は、円状でも、楕円状でも、多角形状でもよい。
【0048】
例えば、センターキー31の周縁部にはフランジ31aが形成されている。フランジ31aは、センターキー31の周縁部に鍔(つば)状に張り出した段差部である。センターキー31は、キー30に設けられた中心穴(貫通穴)の周縁部にフランジ31aが当接した状態で、キー30の下側の対向面とクリックバネ70の頂点部との間に挟まれることによって保持される。センターキー31の露出面を有する嵌合部は、キー30の中心穴がガイドの役目を果たすことによっては保持される。露出面は、操作者が触れることが可能である。キー30の操作面とセンターキー31の露出面の待機状態でのZ軸方向の位置は、同じであってもよいし、操作面の位置が露出面の位置より基板10に近い側にあってもよい。操作者の力がキー30の操作面に作用せずにセンターキー31の露出面に作用することにより、操作面のZ軸方向の位置はそのままに、露出面のZ軸方向の位置が操作面に対してその力の作用方向に移動する。
【0049】
図23に示されるように、キー30を待機位置に戻すためのリターンバネ51,52,53,54が、コイル21〜24の外側の基板10の配置面に設置されるとよい。
【0050】
図24〜26は、操作者が操作入力装置2を操作するときの操作入力装置2の状態を説明するための図である。
【0051】
図24,25において、センターキー31は、クリックバネ70の頂点部と接しており、キー30の中央の穴で保持されている。キー30は、リターンバネ51〜54によって下方に落ちないように保持されている。そのため、センターキー31を指先などで押すとセンターキー31が単独で下降し、クリックバネ70を変形させ、指先にクリック感を与えるとともに、後述するように接点を短絡させる。すなわち、スイッチ機能として働く。
【0052】
図26において、キー30をセンターキー31が嵌合している穴の周辺で押すと、リターンバネを変形させながら、下降する。このとき、センターキー31にはフランジ31aが形成されているため、キー30の下降に連動してセンターキー31も下降する。キー30が下降すると、上述の通り、ヨーク材の機能を有するキー30が近づくことによりコイル周辺の透磁率と磁路長が短くなることによりインダクタンスが増加する。このインダクタンスの変化を検出回路で検出する。一方、キー30に連動して下降したセンターキー31により、クリックバネ70が変形し、クリック感を指先へ与え、且つ、スイッチが短絡する。
【0053】
ここで、センターキー31の下降によりクリックバネ70が短絡した際に、予め設定された短絡時のインダクタンスと実際のインダクタンスとを比較することによって、温度や周囲環境変化に伴うインダクタンスの変化を差分として認識でき、この差分を利用してインダクタンスの検出値の補正を行ってもよい。
【0054】
図27は、インダクタンスの変化を検出する第3の検出回路例のブロック図である。このインダクタンス検出回路は、コイル21〜24それぞれのインダクタンスの変化を検出する算出手段であって、且つ、クリックバネ70の変形により生じた変形検知信号に基づいて操作者の力が入力されたことを判断する判断手段である。図15に示した第1の検出回路のCPU60に、クリックバネ70による短絡を検知するための入力ポート69が追加されている。入力ポート69は、図18に示した第2の検出回路のCPU60に設けられてもよい。
【0055】
図28,29は、クリックバネ70の構造を説明するための図である。操作入力装置3は、クリックバネ70の変形により生じた変形検知信号を出力するための検知部を備える。この検知部として、例えば、図28の場合には接点部71が設けられ、図29の場合には接点部71及び72が設けられている。
【0056】
図28において、パターン等の導体である接点部71が、基板10の配置面上に形成されている。クリックバネ70に、入力ポート69に接続されたリード線やパターン等の導体部が接続される。接点部71に、グランドに接続されたリード線やパターン等の導体部が接続される。クリック時の変形によって、クリックバネ70は接点部71と接する。
【0057】
図29において、パターン等の導体である接点部71及び72が、基板10の配置面上に形成されている。接点部71の周囲に、リング形状をした接点部72が形成されている(後述の図45を参照)。接点部72に、入力ポート69に接続されたリード線やパターン等の導体部が接続される。接点部71に、グランドに接続されたリード線やパターン等の導体部が接続される。クリック時の変形によって、クリックバネ70は接点部71と接点部72とを短絡する。
【0058】
図30は、本発明の第3の実施例である操作入力装置3の分解図である。図31は、キー30の基板10との対向面に、基板10の配置面に配置されたコイルと同数のコアが設けられていることを示した図である。図32は、ケース40、キー30、コア81〜84、コイル21〜24、センターキー31のZ軸方向から見た位置関係を示した図である。上述の実施例と同様の部分については、その説明を省略する。
【0059】
図30〜32に示されるように、4個のコア81〜84は、キー30の上下動と同じ方向に連動して上下動するようにキー30の対向面側に接続されている。コアは、コイル21〜24の少なくともいずれか一つのインダクタンスの絶対値を増加させるインダクタンス増加部材である。コア81〜84は、コイルと対向する位置に配置される。コア81〜84の外径は、各コアに対向するコイルの内径よりも小さい。
【0060】
図33,34は、操作者が操作入力装置3を操作するときの操作入力装置3の状態を説明するための図である。図33に示されるように、キー30を押していない状態では、コア81〜84はコイル21〜24の上方に位置している。そして、図34に示されるように、キー30が押し下げられると、キー30の下降に伴って、コア81〜84がコイル21〜24に接触しないようにコイル21〜24の内部に進入する。コイルの内部にコアが進入することによって、コイル周辺の透磁率が上昇し、インダクタンスが増加する。特に、コイル23の上方の操作面に力が加えられているため、4つのコイルの中でコイル23の周辺の透磁率が上昇し、コイル23のインダクタンスが増加する。
【0061】
したがって、第3の実施例によれば、操作者が力を加えていない状態での透磁率を、コアがない場合に比べて高くできるため、インダクタンスの絶対値が上げられる。この効果によって、コイルの高さを低くして、操作入力装置をZ軸方向で薄くすることができ、コイルに流す電流も小さくできる。また、コイル内にコアが入るときのインダクタンスの上昇傾きは、ヨークが近づくだけの場合より大きく、操作面の押し量に対する感度が上げられる。また、コアの移動によりインダクタンスに変化をもたらせられるので、キー30にヨークの機能を持たせなくても、インダクタンスの変化を容易に検出することが可能となる。したがって、非磁性材料でキー30を形成することができる。また、コアはヨークのように薄い形状ではなく、また応力のかからない構造のため、フェライトなどの脆い材料を使用できる。
【0062】
また、コアをインダクタンス増加部材として備える第3の実施例によれば、コアが無い構成(例えば、上述の第1及び第2の実施例)に比べて、キー30の各方向へのストローク量を精度良く検知できる範囲を広げることができる。この効果について、図54〜図62を参照しながら説明する。
【0063】
図54は、コアが無い構成を単純化した解析モデルの断面斜視図である。図54は、円状の解析モデルの左側半分を省略して示したものである。この解析モデルは、コイル200の上側に上下動可能な上ヨーク211を備え、コイル200の下側に固定された下ヨーク212を備えたものである。Hは、コイル200の高さを表す。
【0064】
図55は、図54の解析モデルにおける、上ヨーク211の上下方向のストローク量に対するコイル200のインダクタンスの変化を示した図である。上ヨーク211とコイル200との位置関係が初期状態のときのストローク量が、零に相当し、上ヨーク211がコイル200に最も近づいたときのストローク量が、1.2mmに相当する。コイル200の仕様は、外径がφ3、内径がφ2、線径がφ0.025である。高さHが0.3mmの場合のコイル200の巻数が130回、高さHが0.6mmの場合のコイル200の巻数が260回である。
【0065】
図55に示されるように、上ヨーク211のストローク量が大きい範囲(約0.6mm以上)では、上ヨーク211のストローク量に対するインダクタンスの変化が大きいため、インダクタンスの大きさを検出することによって、上ヨーク211のストローク量を比較的精度良く検知できる。これに対し、上ヨーク211のストローク量が小さい初動範囲(0〜0.6mm程度)では、上ヨーク211のストローク量に対するインダクタンスの変化が小さいため、上ヨーク211のストローク量が大きい範囲に比べて、上ヨーク211のストローク量を精度良く検知しにくい。
【0066】
図56は、コアが有る構成を単純化した解析モデルの断面斜視図である。図56も、円状の解析モデルの左側半分を省略して示したものである。この解析モデルは、図54の解析モデルに対して、上ヨーク211の下面にコイル200の中空部に挿入可能に形成された円柱状コア220を追加したものである。
【0067】
コイル200で発生した磁界(磁束)は、コア220、上ヨーク211、下ヨーク212により形成されている磁気回路中をループする。コイルのインダクタンスは、その周囲の平均の比透磁率により決定される。コア220、上ヨーク211、下ヨーク212によって形成される磁気回路の磁路長によって定まる磁気抵抗によって、コイル周辺の平均の比透磁率が決まる。
【0068】
コア220を上ヨーク211の下面にコイル200の内部に挿入可能に形成することによって、コイル200で発生した磁束をコイル200からの距離が離れた位置(すなわち、上ヨーク211の位置)へ誘導する磁路を形成できる。そのため、コイル200の中空部を通る磁束が、上ヨーク211に達する前にコイル200の外側に向けてループすることを抑制できるので、上ヨーク211がコイル200から離れていても、上ヨーク211が動くことによってコイル200のインダクタンスに変化を与えることができる。したがって、コア220が無い場合に比べて、上ヨーク211のストローク量を精度良く検出できる範囲を広げることができる。
【0069】
図57は、コア220が無い場合(図54)と有る場合(図56)の、上ヨーク211の上下方向のストローク量に対するコイル200のインダクタンスの変化を示した図である。上ヨーク211がコア220と共にコイル200に近づくことにより磁路長が短くなる(ストローク量が長くなる)ことによって、コイル200のインダクタンスが増加する方向に変化する。したがって、上ヨーク211のスライド量とコイル200のインダクタンスとの対応関係を予め測定しておくことによって、所定の操作入力検知装置は、予め測定されたその対応関係に従って、計測されたインダクタンスに対応する上ヨーク211のスライド量を精度良く検知できる。
【0070】
また、図57に示されるように、コア220が有る場合、上ヨーク211のストローク量が大きい範囲に限らず、上ヨーク211のストローク量が小さい初動範囲でも、上ヨーク211のストローク量に対するインダクタンスの変化が大きいため、上ヨーク211のストローク量を広い範囲にわたって精度良く検知できる。
【0071】
図58は、各コイルに対向する円筒状コアが上ヨーク211に形成された解析モデルの断面斜視図である。図58は、4組のコイル201〜204とコア221〜224を有する円状の解析モデルの手前側半分を省略して示したものである。図59は、図58の構成において、4つのコアが有る場合と無い場合の、上ヨーク211をXY平面に対してコイル201側に傾けたとき(図58(b))の上ヨーク211のストローク量に対するコイル201のインダクタンスの変化を示した図である。
【0072】
図59に示されるように、コアが有る場合、上ヨーク211のストローク量が大きい範囲に限らず、上ヨーク211のストローク量が小さい初動範囲でも、上ヨーク211のストローク量に対するインダクタンスの変化が大きいため、上ヨーク211のストローク量を広い範囲にわたって精度良く検知できる。
【0073】
図60は、絞り形状のコア225を有する解析モデルの断面斜視図である。図61は、バーリング形状のコア226を有する解析モデルの断面斜視図である。コア225は、上ヨーク211を筒状に絞り加工することによって形成され、コア226は、上ヨーク211を筒状にバーリング加工することによって形成される。上ヨーク211の加工によってコアを形成することにより、上ヨークとコアを一体化でき、部品点数を削減できる。
【0074】
図62は、円柱形状のコア220、絞り形状のコア225、バーリング形状のコア226の各場合の、上ヨーク211のストローク量に対するコイル200のインダクタンスの変化を示した図である。コアの直径は2.5mm、コアの厚さは0.4mm、コアの高さは1.9mmである。図62に示されるように、コアの形状に限定されることなく、上ヨーク211のストローク量が大きい範囲に限らず、上ヨーク211のストローク量が小さい初動範囲でも、上ヨーク211のストローク量に対するインダクタンスの変化が大きいため、上ヨーク211のストローク量を広い範囲にわたって精度良く検知できる。
【0075】
このように、コイルの上下にコアをインダクタンス増加部材として備えることによって、コアが無い構成(例えば、上述の第1及び第2の実施例)に比べて、ヨークとしても機能するキー30(又は、ヨーク材を取り付けたキー30)の各方向へのストローク量を精度良く検知できる範囲を広げることができる。また、ストローク可能な全範囲にわたって、ストローク量の変化に対して直線的にインダクタンスが変化するので、キー30のストローク量のアナログ値をリニアに検知できる。
【0076】
図35,36は、コイル21〜24のZ軸方向から見た配置位置を示した図である。図35に示されるように、コイル21,23をX軸上に配置し、コイル22,24をY軸上に配置してもよいし、図36に示されるように、XY平面の第1象限にコイル21を配置し、第2象限にコイル22を配置し、第3象限に23を配置し、第4象限にコイル24を配置してもよい。
【0077】
図36の場合、正側のY方向成分Y(+)のインダクタンスは、コイル21とコイル22のインダクタンスの和に応じて検知され、正側のX方向成分X(+)のインダクタンスは、コイル21とコイル24のインダクタンスの和に応じて検知される。負側のY方向成分Y(−)のインダクタンスは、コイル23とコイル24のインダクタンスの和に応じて検知され、負側のX方向成分X(−)のインダクタンスは、コイル22とコイル23との和に応じて検知される。これらの4方向の和に基づいて、上述の演算方法の具体例に従えば、操作者の力のベクトルが演算される。
【0078】
したがって、図36の配置例によれば、XY平面内の360°方向の検知が可能であることはもちろんであるが、携帯電話やゲーム機などで頻繁に操作される十字キー(X、Y軸方向)の感度が、コイル2個分の和で検出することができるので、検出感度を高くすることができる。したがって、この操作入力装置の出力を受け取る機器がXY方向のみを利用するものである場合、感度は2倍となり、同じ感度に設計すれば、小型化が可能となる。
【0079】
図37は、樹脂のホルダー11にコイルが配置された例である。コイルの保護のため、コイルが樹脂で覆われている。例えば、コイルが樹脂に接着されている。ホルダー11が、コイルが配置される配置面を有する基部に相当する。樹脂とコイルは、インサート成型で一体となるように形成されてもよく、コイルを樹脂に圧入して形成されてもよい。また、インダクタンスの絶対値を増加させるために、透磁率の高い粉末を配合した樹脂を使用してもよい。
【0080】
図38は、樹脂のホルダー12にコイルが配置された例である。コイルの保護のため、コイルが樹脂で覆われている。例えば、コイルが樹脂に接着されている。ホルダー12の下面に、ヨークの役目をする鋼板を接着等によって取り付ける。樹脂とコイルは、インサート成型で一体となるように形成されてもよく、コイルを樹脂に圧入して形成されてもよい。鋼板は一体成型でもよい。また、銅箔パターンを設けている鋼板基板でもよい。
【0081】
図39は、本発明の第4の実施例である操作入力装置4の分解図である。図40は、操作入力装置4の断面図である。上述の実施例と同様の部分については、その説明を省略する。
【0082】
操作入力装置4では、ヨークの一部をバネ形状に成型することによって、ヨークの機能とキー32を弾性的に支持する弾性支持機能が兼ねられている。つまり、変位部材であるキー32をZ方向に弾性的に支持する弾性支持部材であるリターンバネ55は、ヨークの役目も兼ねている。リターンバネ55の一部に、板バネ部55a〜55fが形成されている。
【0083】
リターンバネ55は、ハウジング41内に配置されている。鋼材で形成されたリターンバネ55の面形状の部分がコイル91〜94に対向することによって、ヨークの役目を果たしている。リターンバネ55の中心には、穴が開いている。その穴の周囲に、下方のハウジング41へと伸びる板バネ部55a〜55fが同心円状に等角度で配置されている。板バネ部の数は実施例では6個であるが、3個以上あればよい。リターンバネ55は、弾性を有していることと、透磁率が空気より高いことが条件である。この条件を満たせば、その材質は特に規定しない。
【0084】
リターンバネ55にはキー32が載っており、キー32に指先などで力を加えるとその部分がたわんで下降する。平板状のリターンバネ55の中心の穴をZ軸方向に貫通するようにセンターボタン33が配置されている。操作入力装置4は、キー32とクリックバネ70との間に挟まれることによって保持されるセンターボタン33をZ軸上に備える。センターボタン33は、クリックバネ70に接した状態で支持される。これにより、接しない状態で支持される場合に比べて、操作入力装置全体のZ軸方向の薄肉化が可能である。センターボタン33は、キー32の操作面に露出した露出面をZ軸上に有する押下部である。センターボタン33の周縁部には、キー32の中心穴に嵌合した状態で位置決めされるように、フランジが形成されている。センターボタン33は、キー32に設けられた中心穴(貫通穴)の周縁部にフランジが当接した状態で、キー32の下側の対向面とクリックバネ70の頂点部との間に挟まれることによって保持される。したがって、センターボタン33は単独で下降することも可能であるし、キー32を下方へ押し下げた場合にもキー32の動きに沿うように下降する。センターボタン33は、ハウジング41上に配置されているクリックバネ70の頂点部に接触している。
【0085】
センターボタン33は、キー32の操作面とセンターボタン33の露出面の少なくともいずれか一方の面に操作者の力が作用することにより、クリックバネ70をZ軸方向側から変形させる。操作者の力がキー32の操作面に作用することにより、キー32、センターボタン33及びリターンバネ55が共に押し下がることによって、クリックバネ70が変形する。また、操作者の力がキー32の操作面に作用せずにセンターボタン33の露出面に作用することにより、キー32及びリターンバネ55は押し下がらずにセンターボタン33が押し下がることによって、クリックバネ70が変形する。
【0086】
ハウジング41には、4個のコイル91〜94が組み込まれている。導線が三角状に巻かれた三角型コイル91〜94が、方形状のハウジング41の四隅に配置されている。ハウジング41は、多角形状でも、円状でもよい。
【0087】
また、ハウジング41には、導体パターンで形成された2極の接点部71,72が設けられる。接点部71,72上に、ドーム状のクリックバネ70が配置されている。
【0088】
キーカバー43は、柔軟性に富んだゴムなどで出来ており、キー32の操作面の上部を覆う。キーカバー43を搭載することによって、内部への水分やごみの侵入を防ぎ、外観のつなぎ目を目隠しすることができる。ただし、本実施例では機能上、必須の物ではない(以降は省略する)。
【0089】
ケースカバー42は、ハウジング4に組み付けられることによって、キー32、センターボタン33、リターンバネ55を保持する。
【0090】
したがって、操作入力装置4によれば、リターンバネ55に、弾性支持部材の役目とヨークの役目を与えることができるので、部品点数を削減することができる。また、リターンバネ55がヨークを兼ねており、且つその上にキー32が配置されているため、キー32は材料を磁性体にしなくてもよく、キー32の材質として樹脂などを選択することができる。また、リターンバネ55の平面が広く確保できる四隅にコイル91〜94を配置することによって、また、コイルを三角形にすることによって、コイルの大きさを最大にでき、スペースを有効利用できる。また、リターンバネ55の中央穴周辺に同心円状に多数個のバネ部を均等に配置することにより、どの方向に押しても均一なリターン力が得られる。
【0091】
図41は、ハウジング41のZ軸方向から見た構造図である。ハウジング41は、4個のコイル91〜94、2極の接点部71,72、10個の端子101a等とそれぞれを接続する内部配線111a等を備えている。ハウジング41は、樹脂で成型される。また、透磁率を上げるためにフェライトなどの粉末を配合した樹脂でもよい。接点部、内部配線及び端子は、電気的に導通する材質(例えば、銅や鉄、金、銀など)であればよい。
【0092】
コイル91〜94の一方の端部に接続された内部配線111a〜114aは、所定の操作入力検出装置(例えば、図15に示したマルチプレクサ68等を内蔵した検出装置)に結線される端子101a〜104aに接続される。コイル91〜94のもう一方の端部に接続された内部配線111b〜114bは、グランドに結線される端子101b〜104bに接続される。接点部71に接続された内部配線115は、グランドに結線される端子105に接続される。接点部72に接続された内部配線116は、所定の操作入力装置(例えば、図27に示したCPU60等を内蔵した検出装置)に結線される端子106に接続される。
【0093】
図42は、ハウジング41にクリックバネ70を搭載した状態の断面図である。また、この状態を分かりやすく図解するため、図43〜45を示す。図43は、ハウジング41上に配置された接点部2極の形状を示す。図44は、接点部上のクリックバネ70を搭載した図である。図45は、クリックバネ70のみを断面にした図である。クリックバネ70は接点部72に電気的に接続された状態で接点部の上方を覆っている。クリックバネ70はドーム型をしているため、その中に配置された接点部71には短絡していない。上方から押されたクリックバネ70が変形することによって、クリックバネ70内部の接点部71と接点部72とが短絡する。
【0094】
図46は、リターンバネ55の搭載状態を示した斜視図である。図47は、リターンバネ55の搭載状態を示した断面図である。リターンバネ55の板バネ部55a〜55fを中央の穴の周辺に設けることによって、リターンバネ55の四隅に平面的なスペースを確保することができる。この四隅の平面部が、ハウジング41に配置されたコイル91〜94と対向している。
【0095】
図48〜50は、操作者が操作入力装置4を操作するときの操作入力装置4の状態を説明するための図である。図48は、操作者の力が加えられていない待機状態を示した操作入力装置4の断面図である。図49は、センターボタン33のみを押し下げた状態を示した操作入力装置4の断面図である。図50は、キー32のX(−)方向の位置を押し下げた状態を示した操作入力装置4の断面図である。
【0096】
センターボタン33のみを押した場合、センターボタン33はキー32の穴で保持されているため、キー32の下降を伴わずに(キー32のZ方向の位置は待機状態から変わらずに)、単独で下降して、クリックバネ70を変形させる。これにより、クリック操作感を与えるとともに、クリックバネ70の変形によって、接点部71,72同士を短絡させる。
【0097】
また、キー32を押し下げた場合、リターンバネ55に力がかかり、板バネ部を変形させる。ヨークの機能を有するリターンバネ55の下降により、インダクタンスの変化をもたらす。この際、センターボタン33は、フランジによりキー32と共に下降し、クリックバネ70を変形させる。これにより、クリック操作感を与えるとともに、クリックバネの変形によって接点部71,72同士を短絡させる。
【0098】
図51は、インダクタがパターンで形成された例である。コイルが、基板14上の銅箔パターンによって形成される。パターン121,122は渦巻状に形成される。スルーホール131a,131b又は132a,132bによって、巻線パターンの内側端部からの信号を外部に取り出しやすくすることができる。また、一巻きのパターン123,124でもよい。積層基板により、巻数を増やしてもよい。このようにパターンで形成することによって、薄型化できるとともに部品点数を削減できる。また、組み立て工数も削減することができる。
【0099】
図52は、本発明の第5の実施例である操作入力装置5の分解図である。図53は、操作入力装置5の断面図である。
【0100】
キー34及びケース44は鋼板又は透磁率の高い板状の材質としている。これにより、磁力線を突き通さない、つまり、外部へ漏らさない構造にできる。キー34は、ケース44の中央の貫通穴から突出する部分を有し、この部分が操作面になる。また、ケース44の貫通穴の周辺部に対向するキー34の平面状部分は、その平面状部分に対向するコイル141〜144に対してヨークの効果を有している。キー34の中央にはガイド形状を有した穴がある。この穴でセンターボタン35が位置決めされている。キー34と基板15の間には円錐コイルバネ56が設置されている。コイルバネ56は、センターボタン35の周囲を覆うように設けられている。キー34が操作されて降下したときに待機状態の高さ(位置)に戻す力を、キー34に常時付与している。基板15には4個のコイル141〜144とクリックバネ70が配置されている。また、ラミネートフィルム150が、基板15上に粘着または接着剤にて接着されている。ラミネートフィルム150は、クリックバネ70の固定とリターンバネ56による擦れに対する基板15の保護を目的とする。リターンバネ56を円錐コイルバネ56にすることで、バネの耐久性を向上できる。
【0101】
図63は、本発明の第6の実施例である操作入力装置6の上斜め方向から見た分解図である。図64は、操作入力装置6の下斜め方向から見た分解図である。図65は、操作入力装置6の外観斜視図である。上述の実施例と同様の部分については、その説明を省略する。操作入力装置6は、インダクタンス増加部材として、コイル271〜274の上側に、上ヨーク260及びコア261〜264を備え、コイル271〜274の下側に、下ヨーク280を備える。
【0102】
図66は、操作入力が付与されていない初期状態での操作入力装置6の断面図である。操作入力装置6は、コイル271〜274の上側(すなわち、キー240の基板290との対向面側)に配置される第1のヨークとして、上ヨーク260を備え、コイル271〜274の下側(すなわち、基板290の配置面側)に配置される第2のヨークとして、下ヨーク280を備える。
【0103】
キー240は、ケース230の開口部231との嵌合により、X方向及びY方向で保持され、Z方向に移動可能に支持されている。キー240は、コイル状のリターンバネ250によりZ方向へ初期荷重が与えられた状態で、ケース230の上側内面232に当接している。
【0104】
リターンバネ250は、その一方の端がキー240の下面中央部に当接し、もう一方の端が基板290の上面に設置される下ヨーク280の上面中央部に当接する。リターンバネ250は、キー240の下面に設置される上ヨーク260の中央部に設けられた孔を貫通している。
【0105】
上ヨーク260は、磁性体(例えば、鋼板、フェライト)によって成形され、キー240と同一の動きを伴う。上ヨーク260の下面には、XY平面の原点を中心とする円周方向に、上ヨーク260をバーリング加工して形成されたコア261〜264が設けられている。コア261〜264は、上ヨーク260と同一部材でもよいし、上ヨーク260と異なる磁性部材でもよい。コア261〜264は、上ヨーク260及びキー240と同一の動きを伴い、その下方の下ヨーク280に配置されたコイル271〜274の内部をZ方向に変位するように構成されている。コア及びコイルは、最低2個あればよく、3個、4個、それ以上の個数あってもよい。上ヨーク260と下ヨーク280を構成することによって、インダクタンスの変化が検出しやすくなり、操作入力装置の製品としての特性・性能が向上する。
【0106】
下ヨーク280の下面には、コイル271〜274の配線を容易に行うためのガラスエポキシ樹脂などを材料とした基板290が配置されている。基板290は、ヨークと基板を兼ねた鋼板基板でもよい。また、コイル271〜274は下ヨーク280の上面に配置されているため、基板290は無くてもよい。
【0107】
また、キー240は、樹脂で構成されてもよいが、磁性材料(例えば、プラスチックマグネット)で構成されてもよい。これにより、キー240は、上ヨーク260及びコア261〜264として兼用できる。また、上ヨーク260及び下ヨーク280を省略して、コア261〜264のみをキー240に配設しても、インダクタンスの変化を検出することによって、キー240の動きを検知できる。
【0108】
図67は、キー240をXY平面に対してコイル271側に傾ける操作入力が付与された傾動状態での操作入力装置6の断面図である。キー240が下ヨーク280の上面中央部に形成された支点部281を支点に傾動することにより、上ヨーク260及びコア261がコイル271に近接する。コイル271への近接によって、コイル271を取り巻く周辺の透磁率が上昇し、コイル271の自己インダクタンスが増加する。他の方向に傾けた場合も同様に考えることができる。したがって、各コイルのインダクタンスを評価することによって、キー240の傾倒方向と傾倒量が検出できる。
【0109】
図68は、キー240をZ方向に平行移動させる操作入力が付与された押し下げ状態での操作入力装置6の断面図である。図68に示されるように、キー240全体がその中央部を押されることによりZ方向に下降することによって、上ヨーク260及びコア261〜264がコイルに近接し、コイルを取り巻く周辺の透磁率が上昇するので、コイルの自己インダクタンスが増加する。キー240全体がZ方向に下降した場合、全コイルのインダクタンスが全体的に略等しく上昇しているため、各コイルのインダクタンスを評価することにより、キーがZ方向に押し込まれていることとその押し込み量を検出できる。
【0110】
図69は、本発明の第7の実施例である操作入力装置7に構成されるクリックバネ311〜314の配置を示した図である。クリックバネ311は、コイル271の中空部に位置するように、下ヨーク280に設置される。他のクリックバネ312〜314についても同様である。
【0111】
図70は、操作入力が付与されていない初期状態での操作入力装置7の断面図である。図71は、キー240をXY平面に対してコイル273側に傾ける操作入力が付与された傾動状態での操作入力装置7の断面図である。コア261〜264のZ方向の長さは、キー240が傾動した状態で、クリックバネを押し切ることが可能な(すなわち、クリックバネがクリック動作することが可能な)長さにする。また、コア261〜264の先端部(すなわち、クリックバネとの当接部)にゴム等の弾性体を設けてよい。これにより、クリック時の触感を和らげることができる。また、その先端部に樹脂材を設けてもよい。これにより、クリックバネとの接触による摩擦を軽減できる。
【0112】
図71に示されるように、キー240が傾動すると、上ヨーク260がコア263と共に下方に移動し、その下方に配設されるコイル273のインダクタンスが増加する。さらに、傾倒動作を続けると、コア263の先端がクリックバネ313と接触し、クリックバネ313の変形により、キー240の操作者にクリック感を与えることができる。
【0113】
図72は、本発明の第8の実施例である操作入力装置8の断面図である。上述の実施例と同様の構成についてはその説明を省略する。操作入力装置8も、上述の実施例と同様に、方向キー340の動きに応じて変化する4つのコイルのインダクタンスを検出することによって、キー340の動き(言い換えれば、キー340に付与される操作入力の方向とその操作入力量)を検知するものである。
【0114】
操作入力装置8は、キー340に設置されたヨークに対向するように基板390に設置された複数のコイルのインダクタンスを検出することによって、キー340が操作入力によって下方に変位したときのストローク量とその操作入力のXY平面における方向を検知可能にするものである。
【0115】
基板390は、4個のコイル371〜374(372,374については、不図示)が配置される配置面を有する基部である。
【0116】
キー340は、基板390に対して操作者の力が入力されてくる側に設けられた操作部材である。キー340は、板状に形成され、基板390に設けられたコイル371〜374の上側に配置されている。キー390は、コイル371〜374が配置された配置面に対向する対向面(図1において、下側の面)と、操作者の力が作用しうる操作面(図1において、上側の面)とを有している。
【0117】
キー340には、フランジ341が設けられている。キー340の基板390との対向面(フランジ341の下面)には、基板390の配置面に配置された複数のコイルと同数のヨーク(361〜364)が設けられている(362,364については、不図示)。ヨークとコイルは、一対一で、互いに対向する位置に配置される。ヨークは、比透磁率が1よりも高い材質であればよい。例えば、比透磁率は1.001以上あると好適であり、具体的には、鋼板(比透磁率5000)などが好ましい。ヨークは、キー340と別部品にするのではなく、フェライトなどで一体にすることもできる。
【0118】
リターンバネ350は、キー340を下方に変位可能に支持する支持部材である。リターンバネ350は、キー340のフランジ341の下面に配置されたヨークと基板390に配置されたコイルとの間隔が弾性的に変化するように、フランジ341の下面と基板390の上面との対向方向にキー340を弾性的に支持する弾性支持部材である。
【0119】
リターンバネ350は、Z軸に直交するXY平面に対して傾き可能にキー340を支持し、Z軸方向に移動可能に支持する。また、リターンバネ350は、キー340の下面が基板390から離れる方向に付勢された状態で、キー340を支持する付勢支持部材である。
【0120】
操作入力装置8は、キー340がカバー330の内側に付勢して接触された状態で、カバー330に取り付けられる。すなわち、キー340は、カバー330の開口部335に設けられたリブaに、リターンバネ350の反力によって支持されている。
【0121】
カバー330は、操作入力装置8が取り付けられる電子機器(例えば、カメラ、AV用リモコン、携帯電話など)の筐体である。操作入力装置8自体が、かばー330を備えていてもよい。カバー330は、キー340を下方に変位可能に支持する支持部材である。開口部335の形状は、円状であるが、キー340の形状に合うように形成されていればよく、四角形や八角形などの多角形状であってもよい。
【0122】
キー340及びヨーク361〜364が、カバー330の開口部335に設けられたリブaを支点に傾動し、コイルにヨークが近づくと、コイル周辺の透磁率が増加し、コイルのインダクタンスが増加する。これを電気的に検出することによって、キー340の傾動動作が検出可能となる。
【0123】
ここで、コイルとヨークの間に非磁性体が配設されていても、インダクタンスの検知にはほとんど影響しない。そこで、図72に示されるように、ケース400の内側に、コイルを配設し、ケース400の外側に、キー340、カバー330、ヨーク361〜364、リターンバネ350を配設することで、容易に防水構造を実現できる。
【0124】
ケース400は、水が浸入可能な密閉されていない浸水空間S1と水が浸入不可能な密閉された防水空間S2とを隔てるための隔離部材としての防水ケースである。浸水空間S1は、キー340とカバー330とケース400とによって囲まれた空間である。防水空間S2は、ケース400によって囲まれた空間である。
【0125】
水圧をカバー330の内外で略同一にするために、カバー330にスリット等の孔331,333を設けることによって、水圧によるリターンバネ350の復帰力の減少現象を防ぐことができる。例えば、図74に示されるように、カバー330の開口部335に切り欠き431〜434を設けてもよい。これにより、開口部335にキー340が勘合した状態でも、カバー330の外部からの水が、切り欠き431〜434を通って空間S1に流入することが可能となる。また、図75に示されるように、カバー330にスリット441〜444を設けてもよい。これにより、カバー330の外部からの水が、スリット441〜444を通って空間S1に流入することが可能となる。
【0126】
このとき、カバー330内に浸入した水が空間S1を満たしても、空気(1.0000004)と水(0.999991)の比透磁率は略同一とみなせるため、インダクタンスの検出誤差は極めて小さい。その検出誤差が、要求される許容範囲を超えていても、微小且つ適度な不感帯を設けることによって、誤検出を容易に回避できる。また、カバー330の内外で水圧が変わらないため、空間S1が水で充満しているときとしていないときとの操作感が変わらない。
【0127】
キー340の動きをインダクタンスではなく静電容量で検出する方式(例えば、図72の構成において、コイルを固定電極に、ヨークを可動電極に置き換えた方式)の場合、電極間に水が浸入すると、空気と水の比誘電率は大きく異なるため、キー340の動きを正確に検出することは難しい。この点、本発明に係るインダクタンスの変化によってキー340の動きを検出する方式は優位である。
【0128】
また、例えば、図72の構成において、コイルをMR素子又はホール素子、ヨークを永久磁石に置き換えた構成でキー340の動きを検出する方式が考えられるが、海や川で使用した場合に、磁性を含んだ砂鉄などの粒子が、永久磁石に吸引され、カバー330内に堆積することを防ぐ対策が必要である。この点、本発明に係るインダクタンスの変化によってキー340の動きを検出する方式は、磁性体を吸引する部位が存在しないため、優位である。
【0129】
図73は、本発明の第9の実施例である操作入力装置9の断面図である。上述の実施例と同様の構成については、その説明を省略する。操作入力装置9も、浸水空間S1と防水空間S2とを隔てるための隔離部材として、ケース410を備える。
【0130】
本実施例では、ケース410に、円筒状の筒部411,412が絞り加工によって形成されている。コイル371が、その内周が筒部411の外側面に沿うように設置される。他のコイルも同様である。また、コア381が、筒部411の中空部に進入できるように、ヨーク361に設けられている。他のコアも同様である。キー340の動きに連動するヨーク及びコアが、キー340の傾動運動によって、コイル(筒部)の中空部を往復運動する。これにより、コイルのインダクタンスが増減する。
【0131】
このように、操作入力装置9によれば、コイルが筒部に位置決めされるため、コアとコイルの相対的な位置決めが容易になる。また、コアの追加により、キー340の傾動運動に伴うインダクタンスの変化率を大きくすることができるので、防水機能を備えつつ、キー340のストローク量を広い範囲にわたって精度良く検知できる。
【0132】
次に、本実施例のインダクタンスの変化によって力を検出する場合と従来の静電容量の変化によって力を検出する場合とを比較する。コイルの占有面積とキャパシタの占有面積を同一に揃えて比較を行う。
【0133】
直径10mmの空芯コイルの片側に鋼板(ヨーク)を設け、コイルとの距離を変化させた場合のインダクタンスの変化は、
【0134】
【表1】

となる。
【0135】
一方、従来技術において、電極間の空隙を変化させた場合の静電容量の変化は、
【0136】
【表2】

となる。
【0137】
インダクタンスの変化を検出する場合、透磁率が非常に高い物質が磁気回路に影響を与える範囲に入ることによって、インダクタンスの検出精度が悪化することがある。しかしながら、上述の実施例では、ヨーク材が磁気シールドを形成しているため、そのような透磁率の高い物質がヨークの背面に近接したとしても、インダクタンスの変化を検出することには影響がない。つまり、そのような物質は、外乱となりえない。
【0138】
また、静電容量の変化を検出する場合、上記の表からも明らかなように、検出できる容量の絶対値が低い。この絶対値は、静電容量の検出部の周囲に取り巻く浮遊容量(例えば、電極に指を近づけた場合、おおよそ数百pF。ICのピン間容量でおおよそ1pF)に比べても、非常に小さいことがわかる。
【0139】
したがって、本実施例のようなインダクタンスの変化を検出する場合は、外乱となりえるものの影響が少なく、従来技術に比べ、検出精度が高くできる。
【0140】
また、コイルのインダクタンスは、上述の関係式で表すことができる。したがって、コイルの背高を倍にし、巻数を2倍とすれば、各コイルのインダクタンスは2倍になる。つまり、同じ投影面積(占有面積)でも必要な検出値の絶対値を大きくすることが容易に可能であり、製品の面積が限られるような場合に有効である。静電容量を検出する場合、その検出値の絶対値を大きくしようとすると、キャパシタの面積を大きくするか電極間の誘電率を上げるしかない。したがって、静電容量の変化で検出する場合には、検出精度を落とさずに検出値の絶対値を大きくすることが困難である。
【0141】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形、改良及び置換を加えることができる。
【0142】
すなわち、上述の実施例を組み合わせることによって、本発明に係る操作入力装置と操作入力検出装置の他の実施例が考えられる。
【0143】
また、手指に限らず、手のひらで操作するものあってもよい。また、足指や足の裏で操作するものであってもよい。また、キーの操作面は、平面でも、凹面でも、凸面でもよい。
【0144】
また、例えば図6において、操作者の力の作用によりキー30自体がたわむことによって、キー30の対向面と基板10の配置面との間隔が弾性的に変化してもよい。また、操作者の力の作用によりケース40自体がたわむことによって、キー30の対向面と基板10の配置面との間隔が弾性的に変化してもよい。
【符号の説明】
【0145】
1,2,3,4,5 操作入力装置
10,13,14,15 基板
11,12 ホルダー
21,22,23,23 コイル
30,32,34 キー
31 センターキー
31a フランジ(鍔)
33,35 センターボタン
40,44 ケース
41 ハウジング
42 ケースカバー
43 キーカバー
51,52,53,54,55,56 リターンバネ
55a〜55f 板バネ部
60 CPU
61,62 出力ポート
63 ADポート
64 アドレスバス
65 DAポート
66 駆動回路
67 受信回路
68 マルチプレクサ
69 入力ポート
70 クリックバネ
71,72 接点部
73 検出回路
74 抵抗
81,82,83,84 コア
91,92,93,94 コイル
101,102,103,104,105,106 端子
111,112,113,114,115,116 配線
121,122,123,124 コイル
131,132 スルーホール
141,142,143,144 コイル
150 ラミネートフィルム
200,201,202,203 コイル
211 上ヨーク
212 下ヨーク
220,221,223,225,226 コア
230,400,410 ケース
240,340 キー
250,350 リターンバネ
260,361〜364 上ヨーク
261〜264,381〜384 コア
271〜274,371〜374 コイル
280 下ヨーク
290,390 基板
311〜314 クリックバネ
S1 浸水空間
S2 防水空間
a リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者の力を受け付ける操作入力装置であって、
一の基準点から等しい点を結んでできる円の円周方向に並べられた複数のインダクタが配置される配置面を有する基部と、
前記基部に対して前記力が入力されてくる側に設けられた変位部材であって、前記配置面に対向する対向面と前記力が作用しうる操作面とを有しており、前記力が前記操作面に作用することにより前記対向面が前記配置面に近づくことによって、前記複数のインダクタの少なくともいずれか一つのインダクタンスを変化させる変位部材と、
前記対向面と前記配置面との間隔が弾性的に変化するように前記変位部材を支持する支持部材と、
前記インダクタンスの変化により生じた出力信号を出力する出力部とを備える、操作入力装置。
【請求項2】
前記円の中心部に設けられた弾性部材と、
前記変位部材と前記弾性部材との間に設けられた押下部であって、前記操作面に露出した露出面を前記基準点と前記中心部とを結ぶ直線上に有しており、前記操作面と前記露出面の少なくともいずれか一方の面に前記力が作用することにより前記弾性部材を変形させる押下部と、
前記弾性部材の変形により生じた変形検知信号を出力する検知部とを備える、請求項1に記載の操作入力装置。
【請求項3】
前記力が前記操作面に作用することにより前記変位部材及び前記押下部が共に押し下がることによって、前記弾性部材が変形し、
前記力が前記操作面に作用せずに前記露出面に作用することにより前記変位部材は押し下がらずに前記押下部が押し下がることによって、前記弾性部材が変形する、請求項2に記載の操作入力装置。
【請求項4】
前記押下部が、前記操作面と前記対向面とを貫通する穴に嵌合する、請求項2又は3に記載の操作入力装置。
【請求項5】
前記押下部が、前記弾性部材に接した状態で支持される、請求項2から4のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項6】
前記支持部材が、前記押下部の周囲に設けられた、請求項2から5のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項7】
前記弾性部材は、クリックバネである、請求項2から6のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項8】
前記変位部材が、前記基準点と前記円の中心部とを結ぶ直線に直交する平面に対して傾き可能に且つ前記直線に平行な方向に移動可能に前記支持部材によって支持される、請求項1から7のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項9】
前記変位部材が、前記対向面が前記配置面から離れる方向に付勢されて前記支持部材によって支持される、請求項1から8のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項10】
前記操作面が、前記力が作用していない状態で、前記基準点と前記円の中心部とを結ぶ直線に直交する平面に平行になるように前記支持部材によって支持される、請求項1から9のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項11】
前記変位部材が、前記複数のインダクタの少なくともいずれか一つのインダクタンスの絶対値を増加させるインダクタンス増加部材を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項12】
前記インダクタンス増加部材が、前記複数のインダクタのそれぞれに対向するように前記対向面に備えられた、請求項11に記載の操作入力装置。
【請求項13】
前記複数のインダクタが、コイルであって、
前記インダクタンス増加部材が、前記コイルのコアである、請求項12に記載の操作入力装置。
【請求項14】
前記コイルの前記対向面側にヨークを備える、請求項13に記載の操作入力装置。
【請求項15】
前記コアが、前記第1のヨークに形成された筒状のコアである、請求項14に記載の操作入力装置。
【請求項16】
前記コアによって押されるクリックバネを備える、請求項13から15のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項17】
浸水空間と防水空間とを隔てるための隔離部材を備え、
前記インダクタンス増加部材が前記浸水空間に配置され、前記複数のインダクタが前記防水空間に配置される、請求項11から16のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項18】
前記支持部材が、前記対向面と前記配置面との間に配置される、請求項1から17のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項19】
前記力が前記操作面に作用することにより、前記変位部材、前記押下部及び前記支持部材が共に押し下がることによって、前記弾性部材が変形し、
前記力が前記操作面に作用せずに前記露出面に作用することにより、前記変位部材及び前記支持部材は押し下がらずに前記押下部が押し下がることによって、前記弾性部材が変形する、請求項18に記載の操作入力装置。
【請求項20】
前記複数のインダクタが、前記円の円周方向に等間隔に並べられた、請求項1から19のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項21】
前記配置面が多角形の形状であって、
前記複数のインダクタが、前記配置面の角部に配置される、請求項20に記載の操作入力装置。
【請求項22】
前記複数のインダクタの巻線が、三角状に巻かれる、請求項21に記載の操作入力装置。
【請求項23】
前記複数のインダクタが、導体パターンによって形成された、請求項1から22のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項24】
請求項1から23のいずれか一項に記載の操作入力装置と、
前記基準点と前記円の中心部とを結ぶ直線に直交する平面をXY平面と定義した場合、前記複数のインダクタそれぞれについての前記出力信号に基づいて、インダクタンスのX方向成分の変化とY方向成分の変化とを検知することによって、前記力のベクトルを算出する算出手段とを備える、操作入力検出装置。
【請求項25】
前記算出手段は、前記X方向成分の変化を表す評価値と前記Y方向成分の変化を表す評価値とに基づいて、XY平面上の合成ベクトルを算出することによって、前記力の大きさと向きを算出する、請求項24に記載の操作入力装置。
【請求項26】
請求項2から7のいずれか一項に記載の操作入力装置と、
前記基準点と前記円の中心部とを結ぶ直線に直交する平面をXY平面と定義した場合、前記複数のインダクタそれぞれについての前記出力信号に基づいて、インダクタンスのX方向成分の変化とY方向成分の変化とを検知することによって、前記力のベクトルを算出する算出手段と
前記変形検知信号に応じて、前記力が入力されたことを判断する判断手段とを備える、操作入力検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【公開番号】特開2011−3536(P2011−3536A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114581(P2010−114581)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】