説明

操作孔付き観測窓及び環境試験装置。

【課題】 環境試験装置等に採用される操作孔付き観測窓を改良するものであり、操作孔の直近部分についても曇ったり霜が付くことのない操作孔付き観測窓を提供することを課題とする。
【解決手段】 透明基材6には、操作孔15,16が設けられている。操作孔を除く全域に導電発熱層20が設けられている。透明基材6の左右の両端には、母線(主電極)21,22が設けられている。操作孔15,16の近傍には、補助電極25,26が設けられている。補助電極25,26は、一方側補助電極片27と他方側補助電極片28によって構成されている。一方側と他方側の補助電極片27,28は対称形であり、いずれも円弧状をしている。補助電極片27,28は、いずれも操作孔15,16に対して同心的に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境試験装置等に装備される操作孔付き観測窓に関するものである。また本発明は、恒温恒湿器等の環境試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被試験物を高温環境や低温環境等に曝して耐久性等を試験する環境試験装置が知られている。環境試験装置には、被試験物の状態を目視観察できる様にガラス製の観測窓を有するものがある。さらに装置の扉を開くことなく被試験物を操作できるように、観測窓に手を挿入するための操作孔が設けられた環境試験装置も知られている。
【0003】
ところで環境試験装置は、内部の温度や湿度を広範囲に渡って変化させるものであるから、装置内部の温度や湿度の条件によって、前記した観測窓が曇ったり観測窓に霜が付くことがある。そこで環境試験装置では、内部の温湿度条件によるガラス面の曇りや霜付きを防止するため、観測窓のガラスに酸化錫系等の導電膜付きガラスを用い、導電膜に通電して発熱させている。上記した方策は、観測窓の両端に電極部を設け、当該電極部を介して導電膜に通電し、導電膜を発熱させてガラス面の曇りや霜付きを防止するものである。
【0004】
ところが操作孔を有する観測窓に上記した様な導電膜付きガラスと給電用の電極を設けた構成を採用すると、操作孔の周辺の電流密度が他の部位と異なることとなり、局部的に過度に温度が上昇してガラスが歪んだり、逆に昇温が不十分となる部位が生じて曇り取りが不完全となるという問題があった。即ち操作孔の部位には導電膜を設けることができないので、当該操作孔の部位には通電が無い。そのため電流は操作孔の部位を避けて流れ、操作孔近傍の電流密度が局部的に上昇する。また操作孔は両手を挿入するために2個設けられることが普通であるが、一方の操作孔と他方の操作孔との間は、電流が流れにくく電流密度が低下する。そのため操作孔同士の間の部分は、昇温が不十分となって曇り取りが不完全となる。
そこで本出願人は、先にこの問題を解決するための発明を完成させ、下記の特許出願を行った。
【0005】
【特許文献1】特開平9−86965号公報
【0006】
図10は、特許文献1に開示した操作孔付き観測窓の正面図である。図11は、図10の操作孔近傍の拡大図である。
特許文献1に開示された発明は、操作孔100の両側部に直線状の補助電極101、102を設け、この補助電極101、102同士を抵抗線103で接続したものである。特許文献1に記載の構造によると、操作孔100の一方側の補助電極101と、他方側の補助電極102が導通するので、操作孔100の近傍においても他の部位と同様に通電される。その結果、他の部位の電流密度が均一化し、観測窓の温度分布が一様となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された操作孔付き観測窓では、補助電極101,102が直線状であるため、補助電極101,102と操作孔100との間に大きな空隙が生じ、当該部位の温度調節ができないという不満があった。即ち操作孔100は、一般的に円形か楕円形であって円基調であるのに対し、補助電極101,102が直線であるから、補助電極101,102の形状が操作孔100に沿わず、両者の間隔に広狭が生じる。すなわち、図11にハッチングを付した部分に大きな空隙が生じる。そしてハッチングを付した空隙部分は、電流を流すことができないので温度調節ができず、曇ったり霜が付く。
ハッチングを付した部分の面積割合は、観測窓全体の面積からすれば僅かであるが、当該部位は、操作孔100の直近の位置であり、作業者にとって手元部分であるため、当該部位が曇ると被試験物の操作に支障が生じる。
【0008】
そこで本発明は、操作孔の直近部分についても曇ったり霜が付くことのない操作孔付き観測窓を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための、請求項1の発明は、操作孔が設けられた透明基材と、透明基材の両端部側に設けられた主電極部と、透明基材の操作孔を除く部位に設けられた導電発熱層を備え、前記両端部側の主電極部を介して導電発熱層に通電し、導電発熱層を発熱させる操作孔付き観測窓において、前記操作孔の周囲に弧状部を有する補助電極が設けられ、当該補助電極を介して操作孔の主電極部側同士が導通されることを特徴とする操作孔付き観測窓である。
【0010】
本発明の操作孔付き観測窓で採用する補助電極は、弧状部を有するから補助電極は操作孔に沿う。そのため本発明の構成によると、補助電極と操作孔との間の隙間は小さく、操作孔の近傍についても温度調整することができる。従って本発明の操作孔付き観測窓は作業者の手元部分が曇らず、被試験物を目視しながら当該被試験物を操作することができる。
【0011】
また請求項2に記載の発明は、補助電極は、操作孔を環状に取り巻くことを特徴とする請求項1に記載の操作孔付き観測窓である。
【0012】
請求項2に記載の発明では、補助電極が操作孔を環状に取り巻いているから、操作孔の近傍に死角が生じない。
【0013】
また請求項3に記載の発明は、補助電極は一端側の主電極部に向く一方側補助電極片と、他方側の主電極部に向く他方側補助電極片によって構成され、前記一方側補助電極片と、他方側補助電極片は導電手段によって導通されていることを特徴とする請求項1に記載の操作孔付き観測窓である。
【0014】
本発明の操作孔付き観測窓では、補助電極が一方側補助電極片と他方側補助電極片によって構成されており、両者の間が導通手段によって導通されている。そのため一方側補助電極片から他方側、あるいはその逆方向に通電を許し、結果的に主電極部同士を通電させて導電発熱層に給電することができる。
【0015】
また請求項4に記載の発明は、導通手段は電気抵抗を有することを特徴とする請求項3に記載の操作孔付き観測窓である。
【0016】
本発明の操作孔付き観測窓では導通手段が抵抗値を持つので、操作孔近傍の電気抵抗を他の領域の抵抗値に近づけることができ、各領域の発熱のばらつきを少なくすることができる。
【0017】
また請求項5に記載の発明は、操作孔が設けられた透明基材と、透明基材の両端部側に設けられた主電極部と、透明基材の操作孔を除く部位に設けられた導電発熱層を備え、前記両端部側の主電極部を介して導電発熱層に通電し、導電発熱層を発熱させる操作孔付き観測窓において、前記操作孔の周囲を環状に取り巻く補助電極が設けられ、当該補助電極を介して操作孔の主電極部側同士が導通されることを特徴とする操作孔付き観測窓である。
【0018】
本発明では、補助電極が操作孔を環状に取り巻いているから、操作孔の近傍に死角が生じない。
【0019】
また請求項6に記載の発明は、温度検知手段と温度制御手段を備え、前記温度検知手段によって透明基材又は導電発熱層の温度を検知し、前記温度制御手段によって、前記温度が所定の範囲となる様に導電発熱層に供給する電力を制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の操作孔付き観測窓である。
【0020】
本発明の操作孔付き観測窓では、透明基材の温度を制御することができるので、透明基材の温度が高すぎてやけどをしたり、逆に温度が低すぎて曇るといった不具合が生じない。
【0021】
また請求項7に記載の発明は、内部の環境を制御することができる環境試験室を有し、当該環境試験室の一部に請求項1乃至6に記載の操作孔付き観測窓が設けられたことを特徴とする環境試験装置である。
【0022】
本発明の環境試験装置は、操作孔付き観測窓を有するので、被試験物を観察しつつ、これを操作することができる。また本発明の環境試験装置は、観察窓が曇ることがない。
【発明の効果】
【0023】
請求項1乃至7に記載の発明によると、操作孔の近傍においても観測窓が曇らず、作業者の手元部分に死角が生じない。そのため、本発明の操作孔付き観測窓、或いはこれを備えた環境試験装置は、使い勝手がよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、本発明の実施形態の操作孔付き観測窓を備えた環境試験装置の斜視図である。図2は、図1に示す環境試験装置で採用する操作孔付き観測窓の正面図である。図3は、図2のA−A断面図である。
【0025】
図1に示す環境試験装置1は、恒温恒湿槽からなる環境試験室2を主体とするものである。環境試験室2自体は公知のそれと何ら変わるものではなく、内部の温度や湿度等の環境を任意に変更し、これを維持することができるものである。環境試験室2の正面には開閉扉3が設けられている。そして開閉扉3には、操作孔付き観測窓5が設けられている。
本実施形態では、操作孔付き観測窓5は、開閉扉3の大部分の面積を占める。
【0026】
操作孔付き観測窓5は、環境試験室2の内部が観察できるように透明基材6によって作られている。本実施形態では、透明基材6はいわゆるペアガラスであり、表面側(外面側)のガラス本体10と環境試験室2側の強化ガラス11が、スペーサ12を介して重ねられたものである。
【0027】
そして透明基材6には、操作孔15,16が設けられている。操作孔15,16は、丸孔であり、高さ方向には透明基材の中央よりもやや下にあり、二つの操作孔15,16の高さは等しい。また操作孔15,16は横方向には中央部に位置する。本実施形態では、操作孔付き観測窓5は、グローブボックスとしても機能するものであり、その場合は、前記した操作孔15,16は、グローブポートとして機能する。グローブボックスとして使用する場合は、操作孔15,16には図示しないグローブが装着され、作業者は当該グローブの中に手を入れて環境試験室2内の被試験物を操作する。
【0028】
またガラス本体10の裏面側、即ちガラス本体10の一面であって、強化ガラス11と面する側に導電発熱層20が形成されている。導電発熱層20は、例えばITO膜〔(SnO2 +In2 3 )膜〕、アルミニウムをドーピングした酸化亜鉛膜等の通常導電膜と呼ばれている狭義の導電膜や、例えば酸化錫系膜が常用される通常EC膜と呼ばれている膜によって構成されている。本実施形態では、導電発熱層20としてEC膜が採用されている。本実施形態で採用するEC膜は、一定の厚みtを持つ一様な膜で、その抵抗値は例えば202Ω/m2 である。
本実施形態では、導電発熱層20は、操作孔を除く全域に設けられている。なお導電発熱層20は、必ずしも全域に設けられている必要はない。
【0029】
また、導電発熱層20と同一の面であって透明基材6の左右の両端には、母線(主電極)21,22が設けられている。すなわち透明基材の一端側には一端側母線21が設けられ、他端側には他端側母線22が設けられている。各母線21,22は、透明基材6の左右両端の辺の全域に垂直方向に延び、各辺の全域に渡って設けられており、前記した導電発熱層20と接している。従って各母線21,22は導電発熱層20と電気的に導通している。
【0030】
操作孔15,16の近傍には、補助電極25,26が設けられている。補助電極25,26についても導電発熱層20と接しており、両者の間は電気的に導通している。
二つの操作孔15,16に属する補助電極25,26は同一構造であるから、代表して図面左側の操作孔15に属する補助電極25の構造を説明し、他方の補助電極26については図面に同一の番号を付して説明を省略する。
【0031】
本実施形態では、操作孔15に属する補助電極25は、一方側補助電極片27と他方側補助電極片28によって構成されている。前記した一方側と他方側の補助電極片27,28は対称形であり、いずれも円弧状をしている。また二つの補助電極片27,28は、いずれも操作孔15に対して同心的に配置され、且つ、二つの補助電極片(一方側と他方側)27,28は、操作孔15の垂直方向中心軸(図示せず)に対して対称の位置に配置されている。そのため、一方側補助電極片27の凸側は、一端側の母線21側を向き、他方側補助電極片28は、他端側母線22側を向く。なお本実施形態では、操作孔15,16が水平に2個並べて設けられ、主電極たる母線21,22は、透明基材6の左右側に設けられているから、一個の操作孔15,16に注目すると、一方側又は他方側補助電極片27,28の一方は、母線21,22と直接的に向き合い、他方の補助電極片27,28は、隣接する操作孔15,16に属する補助電極片27,28と向き合う。
【0032】
操作孔15に属する補助電極片27,28の間には抵抗30が設けられ、補助電極片27,28及び抵抗30は、導線31で接続されている。抵抗30の抵抗値は、補助電極片27,28で囲まれるエリアにEC膜を設けたと仮定した場合における当該エリアの抵抗値に近いものが選定される。
【0033】
また透明基材6には温度センサー32が設けられている。温度センサー32の取り付け位置は、ガラス本体10上でも、導電発熱層20上であってもよい。
【0034】
本実施形態の環境試験装置1は、環境試験室2内の温度調節装置とは別に、図2の様に透明基材6の温度調節装置(温度制御手段)35を備える。そして温度調節装置35に前記した温度センサー32の信号が入力される。また温度調節装置35から主電極たる母線21,22に電力が供給される。温度調節装置35から母線21,22に供給される電力は、温度センサー32の検知温度によって制御される。具体的には、温度センサー32の検知温度が一定の範囲となる様に供給電力がオンオフ制御される。
【0035】
本実施形態の環境試験装置1では、従来技術と同様に両端の母線21,22を介して導電発熱層20に給電され、導電発熱層20が発熱してガラス本体10等の曇りや霜付きを防止する。この時の電流の流れを図2を参照しつつ説明するが、説明を容易にするために、操作孔付き観測窓5を操作孔15,16が存在するエリアbと操作孔15,16が存在しないエリアa,cに分けて説明する。
【0036】
操作孔15,16が存在しないエリアa,cについては、母線21,22を介して導電発熱層20の該当エリア全域に給電され、当該エリアが発熱して曇り等の発生を防ぐ。
操作孔15,16が存在するエリアbについて、例えば図面左側の母線21から右側の母線22に電流が流れる場合を想定すると、左側の母線21から図2のdエリア(母線21と一方側補助電極片27に挟まれた領域)にある導電発熱層20に電流が流れる。その結果、母線21と一方側補助電極片27に挟まれた領域に設けられた導電発熱層20が発熱し、曇り等を除去する。
【0037】
ここで本実施形態では、一方側補助電極片27は円弧状であり、操作孔15に対して同心的に配置されている。そのため一方側補助電極片27は操作孔15に沿って設けられており、一方側補助電極片27と操作孔15の間の距離はいずれの位置も同一であって両者の間の隙間は小さい。従って本実施形態では、操作孔15の間際の位置にも導電発熱層20が存在し、当該部位の導電発熱層20にも通電されて発熱する。そのため本実施形態の操作孔付き観測窓5は、操作孔15の間際に死角ができにくい。
【0038】
またさらに一方側補助電極片27から他方側補助電極片28に導線(導通手段)31を通じて電流が流れる。なお本実施形態では、一方側補助電極片27と他方側補助電極片28の間に抵抗30が介在されているので、両者の間には所定の電気抵抗が存在する。
そして他方側補助電極片28から、図2のfエリア(操作孔15に属する他方側補助電極片28と操作孔16に属する一方側補助電極片27に挟まれた領域)にある導電発熱層20に電流が流れる。
その結果、当該部位(fエリア)の導電発熱層20が発熱し、曇り等を除去する。fエリアに隣接する補助電極片28,27についてもその形状が円弧状であり、操作孔15,16に対して同心的に配置されているので補助電極片28,27と操作孔15,16の間の距離はいずれの位置も同一であって両者の間の隙間は小さい。従って操作孔15,16の間際に死角ができにくい。
【0039】
また前記した操作孔15に属する補助電極25と同様に、右側の操作孔16に属する補助電極26についても、一方側補助電極片27から他方側補助電極片28に導線31を通じて電流が流れる。また他方側補助電極片28からhエリア(操作孔16に属する他方側補助電極片28と右側の母線22に挟まれた領域)に電流が流れ、当該領域内の導電発熱層20が発熱する。
このように操作孔15,16が存在するエリアbについても電流が流れ、当該エリア内の導電発熱体20が発熱して曇り等を防ぐ。また操作孔15,16に属する補助電極片27,28は、いずれも円弧状であり、操作孔15,16に対して同心的に配置されているから操作孔15,16の間際の位置にも導電発熱層20が存在し、当該部位の導電発熱層20にも通電されて発熱し、操作孔15,16の間際に死角ができにくい。
そのため本実施形態の環境試験装置1は使い勝手がよい。
【0040】
次に本発明の他の実施形態について説明する。
以上説明した実施形態では、一方側補助電極片27と他方側補助電極片28の間に抵抗30を介在させた。この構成は、操作孔15,16が存在しない領域との抵抗値の均衡を図ることができ、推奨される構成であるが、抵抗30は必ずしも必須ではない。また補助電極27,28自体が相当の電気抵抗を持っていれば別途の抵抗は不要である。さらに補助電極27,28が電気抵抗を持ち、その作用で発熱するものであってもよい。即ち補助電極27,28が例えばシリコンヒータ等のヒータであってもよい。
【0041】
図4は、本発明の他の実施形態の操作孔付き観測窓を示す正面図であり、当該実施形態では、抵抗が略されている。
なお他の構成は、先の実施形態と同一であるから、同一の部材に同一の番号を付して、詳細な説明に代える。
【0042】
また先の実施形態では、二つの補助電極片によって操作孔15,16を囲み、両者の間を導線等で接続したが、図5、6に示す補助電極40,41,52,53の様な環状のものを採用することもできる。即ち図5、図6は、本発明の他の実施形態の操作孔付き観測窓の操作孔近傍を示す正面図である。
【0043】
図5(a)に示す補助電極40は円環状である。上記した様な環状構造の補助電極を採用する場合、補助電極40自体に抵抗値を持たせて操作孔15,16が存在しない領域との抵抗値の均衡を図ることが望ましい。以下の実施形態についても同様である。
すなわち補助電極40は、別途の抵抗を持たないが補助電極40自体が抵抗値を有する。これに対して、同図(b)に示す補助電極51は、中間部に二個、抵抗52が挿入されている。
【0044】
図6(a)に示す実施形態では操作孔43が四角形であり、これに合わせて補助電極41は四角形の環状形状が採用されている。本実施形態では、補助電極41は、抵抗を持たない。これに対して同(b)に示す補助電極53は、中間部に二個、抵抗52が挿入されている。
【0045】
図7,図8、図9は、本発明のさらに他の実施形態の操作孔付き観測窓の操作孔近傍を示す正面図である。
即ち補助電極の形状としては、図7に示すような馬蹄形も考えられる(補助電極44)。
さらに図8に示すように、操作孔45が長孔形状である場合は、直線部分と円弧状部分を有する補助電極46を採用してもよい。図8に示す補助電極では円弧状部分が弧状部を構成している。
またさらに、図9に示す補助電極47の様に波形であって全体的に円弧状となっていてもよい。図9に示す補助電極47では全体が弧状部を構成している。
上記した実施形態では、導電発熱層はいずれも面状に広がるものであったが、線状に延びるものであってもよい。
【0046】
以上説明した様に、本発明の各実施形態の操作孔付き観測窓は、作業者の手元近傍に死角が生じず、中が見やすくて使い勝手がよいという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態の操作孔付き観測窓を備えた環境試験装置の斜視図である。
【図2】図1に示す環境試験装置で採用する操作孔付き観測窓の正面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態の操作孔付き観測窓を示す正面図であ
【図5】本発明の他の実施形態の操作孔付き観測窓の操作孔近傍を示す正面図である。
【図6】本発明の他の実施形態の操作孔付き観測窓の操作孔近傍を示す正面図である
【図7】本発明のさらに他の実施形態の操作孔付き観測窓の操作孔近傍を示す正面図である。
【図8】本発明のさらに他の実施形態の操作孔付き観測窓の操作孔近傍を示す正面図である。
【図9】本発明のさらに他の実施形態の操作孔付き観測窓の操作孔近傍を示す正面図である。
【図10】特許文献1に開示した操作孔付き観測窓の正面図である。
【図11】図10の操作孔近傍の拡大図である。
【符号の説明】
【0048】
1 環境試験装置
2 環境試験室
3 開閉扉
5 操作孔付き観測窓
6 透明基材
15,16 操作孔
20 導電発熱層
21,22 母線(主電極)
25,26 補助電極
27 一方側補助電極片
28 他方側補助電極片
30,52 抵抗
31 導線(導通手段)
32 温度センサー
35 温度調節装置(温度制御手段)
40,41 補助電極
43,45 操作孔
44,46,47 補助電極
51,53 補助電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作孔が設けられた透明基材と、透明基材の両端部側に設けられた主電極部と、透明基材の操作孔を除く部位に設けられた導電発熱層を備え、前記両端部側の主電極部を介して導電発熱層に通電し、導電発熱層を発熱させる操作孔付き観測窓において、前記操作孔の周囲に弧状部を有する補助電極が設けられ、当該補助電極を介して操作孔の主電極部側同士が導通されることを特徴とする操作孔付き観測窓。
【請求項2】
補助電極は、操作孔を環状に取り巻くことを特徴とする請求項1に記載の操作孔付き観測窓。
【請求項3】
補助電極は一端側の主電極部に向く一方側補助電極片と、他方側の主電極部に向く他方側補助電極片によって構成され、前記一方側補助電極片と、他方側補助電極片は導電手段によって導通されていることを特徴とする請求項1に記載の操作孔付き観測窓。
【請求項4】
導通手段は、電気抵抗を有することを特徴とする請求項3に記載の操作孔付き観測窓。
【請求項5】
操作孔が設けられた透明基材と、透明基材の両端部側に設けられた主電極部と、透明基材の操作孔を除く部位に設けられた導電発熱層を備え、前記両端部側の主電極部を介して導電発熱層に通電し、導電発熱層を発熱させる操作孔付き観測窓において、前記操作孔の周囲を環状に取り巻く補助電極が設けられ、当該補助電極を介して操作孔の主電極部側同士が導通されることを特徴とする操作孔付き観測窓。
【請求項6】
温度検知手段と温度制御手段を備え、前記温度検知手段によって透明基材又は導電発熱層の温度を検知し、前記温度制御手段によって、前記温度が所定の範囲となる様に導電発熱層に供給する電力を制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の操作孔付き観測窓。
【請求項7】
内部の環境を制御することができる環境試験室を有し、当該環境試験室の一部に請求項1乃至6に記載の操作孔付き観測窓が設けられたことを特徴とする環境試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−208328(P2006−208328A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−24191(P2005−24191)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(000108797)エスペック株式会社 (282)
【Fターム(参考)】