説明

操作装置

【課題】 操作体をほんの少しだけ押すと第1の入力部が確実に動作状態となり、その後にさらに操作体を押すと第2の入力部が動作状態となる「操作装置」を提供することを目的とする。
【解決手段】 操作体11を軽く押すと、それまで操作体11で持ち上げられていた押圧部材17が圧縮コイルばね18の力で下降し、押圧部材17によって第1の入力部であるメンブレンスイッチ21がONになる。メンブレンスイッチ21がONになった後に押圧部11eがアクチュエータ22aに当たり、さらに操作体11を押し込むと第2の入力部であるスイッチ機構22がONになる。メンブレンスイッチ21がONになるまでの操作体11の動作量がわずかであり、そのときの反力は主にトーションばね16で設定されるためにばらつきが少ない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器を操作する操作体を有する操作装置に係り、特に操作体を押すことにより2種の入力部を動作させることができる操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種電子機器に設けられた操作装置として、1つの押釦で2つの入力部を動作させるものがある。通常は、押釦に指を触れたり、または押釦を軽い力で押圧すると第1の入力部が動作し、さらに押釦を押圧すると第2の入力部が動作する。
【0003】
以下の特許文献1に記載されている操作装置は、第1の入力部として静電センサが使用され、第2の入力部として接点を有するスイッチ機構が使用されている。押釦には静電センサを構成する金属板が設けられており、接地電位に近い人体の指が金属板に接近したときの静電容量の変化が検出されて、押釦が指で操作されていることが認識される。押釦がさらに押圧されると、スイッチ機構の接点が接触してONに切換えられ、押圧操作入力が行われたことが認識される。
【0004】
次に、特許文献2と特許文献3に記載された操作装置は、第1の入力部と第2の入力部の双方に、接点を有するスイッチ機構が使用されている。特許文献2と特許文献3に記載された操作装置は、共にゴムなどで形成された弾性変形可能な押釦が設けられている。押釦を押圧して弾性変形させていく過程で、押釦の弾性力で最初に第1の入力部のスイッチ機構が押されてONに切り換わり、押釦をさらに押圧して変形させると、押釦のさらに増強された弾性力によって第2の入力部のスイッチ機構が押されてONに切り換わる。
【特許文献1】特開2007−73506号公報
【特許文献2】特開2000−76959号公報
【特許文献3】特開平1−103225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に記載のように静電センサを使用した操作装置は、静電容量の変化を検出する検出回路が複雑でコストが高くなるとともに、車載用などの乾燥した環境下や温度が急激に変化する環境下では、その感度にばらつきが生じやすく誤動作しやすい。また、押釦に金属板を含ませることが必要であるため、背部から押釦に光を与えて照光する構造を採用しにくい。また、金属板の近くに金属配線を設けると、静電センサで検出される静電容量の変化に影響を与えるため、押釦の近くに金属配線を設けることができないなど、設計上の制約が多くなる。
【0006】
前記特許文献2および特許文献3に記載された操作装置は、押釦を押圧操作して押釦が弾性変形したときの弾性反力によって第1の入力部と第2の入力部のそれぞれのスイッチ機構を動作させる構造である。そのため、押釦の弾性力のばらつきによって、それぞれの入力部のスイッチ機構を動作させる際の押圧操作力にばらつきが発生しやすく、例えば、押釦を軽く触ったときに第1の入力部のスイッチ機構を動作させるなどの動作を実現させることが困難である。
【0007】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、第1の入力部をスイッチ機構で構成しても、操作体の初期の押圧ストロークで第1の入力部を確実に動作させることができ、第1の入力部と第2の入力部を動作させるためのストロークと操作加重を高精度に設定できる操作装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、押圧操作可能な操作体と、前記操作体が押圧されたときに動作する第1の入力部および第2の入力部とを有する操作装置において、
前記第1の入力部を押圧する押圧位置と前記第1の入力部の押圧を解除する押圧解除位置との間で移動する押圧部材と、前記押圧部材を前記押圧位置へ向けて付勢する第1の付勢部材と、前記操作体を初期位置に復帰させるとともに、前記操作体を介して前記押圧部材を前記押圧解除位置へ移動させる第2の付勢部材とを有しており、
初期位置の前記操作体が押されると、前記第1の付勢部材の付勢力によって前記押圧部材が前記押圧位置へ移動して前記第1の入力部が動作させられるとともに、前記操作体の押圧力によって前記第2の入力部が動作させられることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の操作装置は、初期位置の操作体を押圧すると、第1の付勢部材の付勢力で押圧部材が移動して第1の入力部が動作させられる。このとき、操作体に作用する押圧反力とは無関係に、操作体を所定ストローク移動させるだけで第1の入力部を動作させることができるため、第1の入力部を動作させるための操作体の押圧ストロークを微細に且つ高精度に管理できる。また、第1の入力部は第1の付勢部材の付勢力で動作させられるため、この付勢力を適正に設定しておくことにより第1の入力部を確実に動作させることができる。その後は、第1の付勢部材の付勢力で第1の入力部を動作状態に維持したまま、操作体の押圧操作によって、第2の入力部を動作させることができる。
【0010】
本発明は、初期位置の前記操作体が押されたときに、最初に前記第1の入力部が前記押圧部材で押されて動作し、その後の前記操作体の押圧ストロークで前記第2の入力部が押圧されて動作させられる。
【0011】
上記のように、第1の入力部を動作状態としてから第2の入力部を動作状態にすると、例えば操作体を軽く押すことで、ディスプレイに、操作しようとしている操作体の種別が表示され、またはその操作体で実行されるメニューなどが表示され、この表示を確認してからその操作体をさらに強く押すと、メニューの実行などが行われる入力動作が可能になる。
【0012】
なお、本発明は、初期位置の操作体を押したときに、第1の入力部と第2の入力部がほぼ同時に動作状態になったり、または、先に第2の入力部が動作状態となり、その直後に第1の入力部が動作状態となってもよい。
【0013】
本発明は、初期位置から前記操作体を押圧して前記第1の入力部を動作させるまでの前記操作体の押圧ストロークよりも、前記第1の入力部が動作してから前記第2の入力部を動作させるまでの前記操作体の押圧ストロークの方が長いことが好ましい。
【0014】
また本発明は、初期位置から前記操作体を押圧して前記第1の入力部を動作させるまでの間に前記操作体に作用する押圧反力よりも、前記第1の入力部が動作してから前記第2の入力部を動作させるまでの間に前記操作体に作用する押圧反力の方が大きいことが好ましい。
【0015】
上記のように構成すると、操作体をきわめて軽い力で押したときに第1の入力部が動作状態となり、その後、操作体を強めに押すことで第2の入力部が動作状態となる操作入力が可能になる。
【0016】
さらに本発明は、前記操作体が初期位置にあるときに、前記操作体が前記第2の入力部から離れており、前記第2の入力部を押圧操作するときの反力が、初期位置の前記操作体に作用していないものであり、すなわち、初期位置の前記操作体が押されたときに、前記第1の入力部が動作した後に、前記第2の入力部を押圧操作するときの反力が前記操作体に作用する構造が好ましい。
【0017】
上記構成では、初期位置の操作体を押圧して第1の入力部を動作させるまでのストロークでは、操作体を押圧する際の反力が主に第2の付勢部材(および第1の付勢部材)で決められ、第2の入力部の反力が操作体の押圧反力として作用しない。そのため、複数の操作体を設けたときに、それぞれの操作体を操作する際の初期反力のばらつきが小さくなる。
【0018】
上記構成は、第2の入力部に設けられて操作反力を生じさせる付勢部材とは別の付勢部材が、第2の付勢部材として使用される。なお、本発明は、第2の入力部において操作反力を発生する付勢部材が第2の付勢部材として兼用される構造であってもよい。
【0019】
本発明は、前記操作体は、初期位置から押圧されたときに、第1の側に位置する支点を中心として回動する構造にできる。
【0020】
操作体を片持ちで回動する構造にすると、操作体を押圧して動作させる際の抵抗力が主に支点の部分のみとなるため、軽負荷で操作体を押圧動作させることができる。なお、前記支点は、操作体を回動自在に支持する軸であってもよいし、または前記支点が、操作体と一体の薄肉部の変形で操作体を回動させるヒンジであってもよい。
【0021】
また、操作体が回動方式の場合に、前記操作体によって前記第1の入力部が押圧される第1の押圧作用点と前記支点との距離が、前記操作体によって前記第2の入力部が押圧される第2の押圧作用点と前記支点との距離よりも長いことが好ましい。
【0022】
上記構成では、操作体を押圧する押圧ストロークが短くても、第1の入力部を長いストロークで動作させることができる。よって、初期位置の操作体を指でわずかなストロークだけ押したときに、第1の入力部を確実に動作させることができる。
【0023】
また、本発明は、前記操作体は、初期位置から押圧されたときに直線的に移動するものであってもよい。
【0024】
本発明は、前記第1の入力部はメンブレンスイッチであることが好ましい。第1の入力部をメンブレンスイッチとすることで、初期位置の操作体をほんの少しだけ押して押圧部材を少しだけ移動させることで第1の入力部を動作状態とすることができる。
【0025】
また、本発明は、前記第2の入力部はON−OFFスイッチである。すなわち、第2の入力部は、接点どうしが対向しており、操作体によって押されると接点どうしが接触して導通状態になりOFFからONに切換えられるものである。
【0026】
あるいは、第2の入力部は、両端に電圧が印加された抵抗体と、前記抵抗体よりも抵抗値の低い低抵抗体とが対向している可変抵抗器であって、操作体の押圧力が弾性部材を介して作用するものであってもよい。この場合に、操作体の押圧力の大小に応じて低抵抗体と抵抗体との接触面積が変化して、抵抗体の電圧降下量が変化する。また、第2の入力部は、他の構造の可変抵抗器またはエンコーダなどであってもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の操作装置は、初期位置の操作体を押圧したときに、押圧部材が第1の付勢部材の付勢力によって動作して第1の入力部を動作させる構造であるため、初期位置の操作体を押したときに第1の入力部が確実に動作するようになる。また、第1の入力部を動作させる際の操作体の押圧ストロークや操作体を押圧するときの反力などをばらつきを少なく設定しやすい。
【0028】
そのため、例えば、初期位置の操作体を少し押すと第1の入力部が動作し、さらに操作体を押圧すると第2の入力部が動作する操作方式を設定しやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は本発明の第1の実施の形態の操作装置を示す断面図、図2は図1をII−II線で切断した拡大断面図である。
【0030】
図1には電子機器の筐体1が示されている。筐体1は操作面となるパネル2と側面3および背面4を有している。電子機器は、車載用電子機器または家庭用電子機器などである。
【0031】
筐体1のパネル2に操作装置10が設置されている。パネル2には開口部2aが形成され、この開口部2a内に、押釦として使用される操作体11が動作自在に設けられている。
【0032】
操作体11は、押圧操作部11aが開口部2aから外側へ突出している。操作体11は、光を透過できる合成樹脂材料で形成されている。筐体1の内部に設けられた基板12に、発光ダイオードパッケージなどの発光素子13が設けられており、夜間など必要に応じて発光素子13から発せられる光が操作体11の内側に与えられる。押圧操作部11aの表面に塗装膜などの遮光層が設けられ、遮光層の一部を除去した指示表示が形成されている。この指示表示は文字や記号などで操作体11の種別を区別できる表示となっている。光が操作体11に与えられると、指示表示が明るく照らされる。
【0033】
操作体11の一方の側端部に、パネル2の内側に延びる軸受部11bが一体に形成されている。パネル2の内側にブラケット14が一体に突出形成されている。ブラケット14に軸15が固定されており、軸受部11bは軸15に回動自在に支持されている。
【0034】
軸15には、第2の付勢部材として機能するトーションばね16が装着されている。トーションばね16から延びる一方の腕部16aがパネル2に掛止され、他方の腕部16bが操作体11に掛止されて、操作体11が時計方向へ付勢されている。操作体11には、押圧操作部11aの基部の周囲にフランジ部11cが形成されており、トーションばね16の付勢力を受けた操作体11は、外力を与えてないときに、フランジ部11cが開口部2aの周囲でパネル2の内面に当接し、押圧操作部11aが開口部2aから突出している。この状態が操作体11の初期位置である。
【0035】
筐体1の内部では、開口部2aを挟んでブラケット14と反対側の位置に、パネル2の内面から垂直に延びる支持ホルダ5が一体に形成されている。支持ホルダ5内に、押圧部材17が上下動できるように摺動自在に保持されている。支持ホルダ5の内部に第1の付勢部材として機能する圧縮コイルばね18が収納されており、圧縮コイルばね18によって押圧部材17が常に下方向へ付勢されている。押圧部材17の下端には、先端が球面形状の押圧子17aが一体に形成されている。
【0036】
図2に示すように、押圧部材17には、図1の紙面の前後方向に延びる掛止部17b,17bが一体に設けられている。支持ホルダ5には上下に延びるスリット5aが形成されており、掛止部17b,17bはスリット5a,5aの内部を経て支持ホルダ5の外へ突出している。図1に示すように、操作体11には、軸受部11bが設けられているのと逆側の側端部に持ち上げ部11d,11dが一体に形成されている。図2に示すように、押圧部材17の掛止部17b,17bは持ち上げ部11d,11dによって持ち上げられる。
【0037】
第2の付勢部材であるトーションばね16によって操作体11に作用する時計回りのモーメントは、圧縮コイルばね18の付勢力が押圧部材17を介して操作体11に与える反時計回りのモーメントよりも大きい。そのため、図1に示すように、操作体11がフランジ部11cがパネル2の内面に当たる初期位置にあるとき、持ち上げ部11d,11dで掛止部17b,17bが持ち上げられ、押圧部材17は圧縮コイルばね18の弾性力に対抗して基板12から離れる押圧解除位置に設定されている。
【0038】
基板12には、第1の入力部であるメンブレンスイッチ21と第2の入力部であるスイッチ機構22が設けられている。メンブレンスイッチ21は、基板12の上に固定された支持フィルムの上に隙間を空けて変形フィルムが重ねられており、支持フィルムと変形フィルムとに互いに対向する接点が設けられている。接点は、押圧部材17の押圧子17aの真下に位置している。第1の入力部であるメンブレンスイッチ21は、押圧部材17が下降するときの短いストロークでOFFからONに切換えられる。押圧部材17が操作体11によって持ち上げられて押圧解除位置にあるときは、接点が離れてスイッチがOFFの状態であり、押圧部材17が圧縮コイルばね18の力で下降して押圧位置に至ると、押圧子17aの押圧力で接点どうしが接触し、スイッチがONの状態になる。
【0039】
第2の入力部であるスイッチ機構22はいわゆるタクトスイッチであり、押釦式のアクチュエータ22aが上方へ突出し、内部にはアクチュエータ22aを上方へ突出させる付勢部材としてばね(図示せず)が収納されている。スイッチ機構22の内部には対向する接点が設けられており、アクチュエータ22aが上方へ突出しているときは接点が離れてスイッチがOFFであり、アクチュエータ22aが押されると、接点が接触してスイッチがONに切換えられる。
【0040】
操作体11の下面には押圧部11eが突出しており、押圧部11eがスイッチ機構22のアクチュエータ22aに対向している。図1に示すように、操作体11に外力が与えられておらず操作体11が初期位置にあるとき、押圧部11eとアクチュエータ22aとの間に隙間δが形成されている。初期位置にある操作体11が押されたときに、最初に押圧部材17が下降し押圧子17aによってメンブレンスイッチがONになるまでの間に、押圧部11eがアクチュエータ22aに当たらないように、隙間δの距離が決められている。
【0041】
図1と図2に示す操作装置10の動作について説明する。
操作体11に外力が作用しておらず、操作体11が初期位置にあるとき、操作体11の持ち上げ部11d,11dによって押圧部材17が押圧解除位置に持ち上げられている。よって、第1の入力部であるメンブレンスイッチ21はOFFである。また、操作体11の押圧部11eが第2の入力部であるスイッチ機構22のアクチュエータ22aから隙間δだけ離れており、スイッチ機構22もOFFである。
【0042】
押圧操作部11aを軽い力で押して、操作体11をほんの少しだけ反時計方向へ回動させると、操作体11の持ち上げ部11d,11dによる押圧部材17の持ち上げ力が解除され、押圧部材17が第1の付勢部材である圧縮コイルばね18の付勢力で下降して押圧位置に至り、押圧子17aでメンブレンスイッチ21が押され、メンブレンスイッチ21がONになる。
【0043】
操作体11が軽く押されてメンブレンスイッチ21がONに切り換わった直後に、押圧部11eがアクチュエータ22aに当たる。その後に押圧操作部11aを押圧して操作体11を反時計方向へ回動させると、押圧部11eによってアクチュエータ22aが押されて、第2の入力部であるスイッチ機構22がONに切換えられる。
【0044】
図1に示す初期位置にある操作体11が押されると、押圧部材17は圧縮コイルばね18の弾性力によって押圧位置まで下降させられる。よって、操作体11を少し反時計方向へ回動させる間に、押圧部材17は押圧位置まで確実に下降し、押圧子17aによってメンブレンスイッチ21が確実に押されてONに切換えられる。その後に操作体11が押し込まれると、持ち上げ部11d,11dが掛止部17b,17bから下方へ離れ、圧縮コイルばね18の弾性力で、押圧部材17が下方へ押圧される状態が継続する。そのため、さらに操作体11が押し込まれるときは、メンブレンスイッチ21がONとなる状態を安定して継続できる。
【0045】
図1に示すように、押圧部11eとアクチュエータ22aとの間に隙間δが形成され、押圧部材17が下降してメンブレンスイッチ21がONに切換えられるまでの間、押圧部11eとアクチュエータ22aとが当たらない。したがって、メンブレンスイッチ21がONに切換えられるまでの間、スイッチ機構22においてアクチュエータ22aを突出させているばねの反力が操作体11に作用しない。すなわち、第1の入力部であるメンブレンスイッチ21をONにするまでの間に、操作体11を押す指が感じる反力は、主にトーションばね16によって設定される。さらに詳しくは、トーションばね16から操作体11に作用する時計回りのモーメントから、圧縮コイルばね18から操作体11に作用する反時計回りのモーメントを減じたモーメントが反力となる。そのため、初期位置の操作体11を押圧してメンブレンスイッチ21がONになるまでの間の操作体11の負荷が安定し、操作感触のばらつきが生じにくくなる。
【0046】
図1に示すように、操作体11の回動支点である軸15の中心から、押圧部材17の押圧作用点までの距離L1は、軸15の中心から、押圧部11eの押圧作用点までの距離L2よりも長い。そのため、隙間δを短く設定して、押圧操作部11aをほんの少しだけ押した時点で押圧部11eがアクチュエータ22aに当たるように設定しても、押圧部材17を下降させるストロークを比較的長く確保でき、押圧部材17によってメンブレンスイッチ21を確実にONに切換えることができる。
【0047】
上記操作装置10では、押圧操作部11aに指を触れて操作体11をほんの少しだけ押し込むことでメンブレンスイッチ21をONにでき、メンブレンスイッチ21がONになった後に、押圧操作部11aを押して操作体11を長いストロークで押し込む間にスイッチ機構22をONに切換えることができる。また、押圧部材17でメンブレンスイッチ21をONに切換える間に、押圧部11eがアクチュエータ22aに当たらないように隙間δが設けられているため、押圧操作部11aを指で押すときの反力は、メンブレンスイッチ21がONになるまでは、操作者がほとんど認識できない程度の軽い反力となり、その後にスイッチ機構22をONさせるまでのストロークでは、反力が重くなり、操作していることを明らかに認識させることができる。
【0048】
図3は本発明の第2の実施の形態の操作装置110を示す断面図、図4は図3をIV−IV線で切断した断面図である。
【0049】
この操作装置110は合成樹脂材料で形成された操作体111を有している。図3に示すように、操作体111の両側部111f,111fは、パネル2の内側に設けられた支持ローラ102に支持されて、上下方向へ直線的に移動できるように支持されている。なお、パネル2の内側にガイド壁面が形成され、両側部111f,111fがガイド壁面に摺動自在に案内されるものであってもよい。
【0050】
操作体111には、パネル2の内方に延びる突起111bが一体に形成されている。突起111bには、第2の付勢部材として機能する圧縮コイルばね116が装着されている。パネル2の内側には支持ブラケット114が固定されて設けられており、圧縮コイルばね116の下端は支持ブラケット114の上面に支持されている。圧縮コイルばね116の付勢力によって、操作体111が図示上方へ付勢されている。外力が作用していないときの初期位置の操作体111は、押圧操作部111aが、パネル2の開口部2aよりも外側に位置しており、図4に示すように、操作体111に形成されたフランジ部111cがパネル2の内面に当たっている。
【0051】
図3と図4に示すように、支持ブラケット114には支持ホルダ115が一体に形成されており、支持ホルダ115の内部に押圧部材117が上下動自在に支持されている。支持ホルダ115の内部には、第1の付勢部材として機能する圧縮コイルばね118が収納されており、この圧縮コイルばね118によって押圧部材117が常に下方向へ付勢されている。
【0052】
図4に示すように、押圧部材117には、図3の紙面に直交する向きに突出する掛止部117b,117bが設けられている。図3と図4に示すように、操作体111が初期位置にあるときに、操作体111と一体の持ち上げ部111d,111dによって押圧部材117が押圧解除位置まで持ち上げられている。
【0053】
パネル2の内側に基板112が設けられており、基板112の上に第1の入力部であるメンブレンスイッチ121が設置されており、押圧部材117の下端の押圧子117aがメンブレンスイッチ121に対向している。押圧部材117が押圧解除位置に持ち上げられているとき、メンブレンスイッチ121が加圧されておらずに、スイッチがOFFである。圧縮コイルばね118によって押圧部材117が下降させられて押圧位置に至ると、押圧子117aでメンブレンスイッチ121が押されてONに切換えられる。
【0054】
図3に示すように、基板112の上には第2の入力部であるスイッチ機構122が設けられており、スイッチ機構122のアクチュエータ122aが上方へ突出している。操作体111の下端には押圧部111eが取り付けられており、操作体111が初期位置にあるとき、押圧部111eとアクチュエータ122aとの間に隙間δが空けられている。
【0055】
第2の実施の形態の操作装置110は、操作体111が上下に直進的に移動する点において、回動動作を基本とする第1の実施の形態の操作装置10と相違している。しかし、操作装置110の入力動作は操作装置10と実質的に同じである。
【0056】
図3と図4に示す初期位置にある操作体111の押圧操作部111aが押され、図4に示す持ち上げ部111d,111dが下降すると、押圧部材117が圧縮コイルばね118の付勢力で下降させられて、押圧子117aでメンブレンスイッチ21が押されて、第1の入力部のメンブレンスイッチ21がONに切換えられる。
【0057】
初期位置からメンブレンスイッチ21がONに切り換わるまでの操作体111の下降距離はわずかであり、その間は、押圧部111eがアクチュエータ122aに当たらない。メンブレンスイッチ21がONになった後に押圧部111eがアクチュエータ122aに当たるが、その後に、さらに指で押圧操作部111aが押し込まれると、押圧部111eでアクチュエータ122aが押し込まれてスイッチ機構122がONに切換えられる。
【0058】
第2の実施の形態の操作装置110も押圧操作部111aを軽い反力に対抗してほんの少しだけ押すと、第1の入力部であるメンブレンスイッチ121がONになり、その後に押圧操作部111aを比較的大きな反力に対抗して長いストローク押圧することで、第2の入力部であるスイッチ機構122がONに切換えられる。
【0059】
図5は、本発明の第3の実施の形態の操作装置の一部を示す拡大断面図である。
この実施の形態は、第2の入力部としてスイッチ機構を構成する弾性体222が設けられている。基板212には接点が、弾性体222の下端にも接点224が設けられている。操作体211の下端に設けられた押圧部211eは常に弾性体222に接触しており、弾性体222から操作体211に対して上方への付勢力が作用している。
【0060】
したがって、操作体211に押圧力が作用していない初期位置では、弾性体222の弾性力によって操作体211が直接に上方へ押し上げられている。すなわち、第2の入力部を構成する弾性体222が第2の付勢部材としての機能を有しており、図1に示すトーションばね16または図3と図4に示す圧縮コイルばね116を省略できる。
【0061】
この操作装置は、初期位置の操作体211を押圧すると、弾性体222の弾性力に対抗して操作体211が下降し、この間に押圧部材17,117が下降して第1の入力部であるメンブレンスイッチ21,121がONに切換えられる。
【0062】
その後さらに、操作体211を押すと、操作体の持ち上げ部11d,111dが押圧部材17,117の掛止部17b、117bから下方へ離れて、押圧部材17,117がメンブレンスイッチ21,121をONにしている状態を維持しながら、さらに弾性体211が押しつぶされて、第2の入力部である接点223,223と接点224が接触してスイッチがONになる。
【0063】
操作装置10,110は例えば次のようにして使用される。
図6は、例えば車載用の電子機器の操作パネル部を示している。この操作パネル部では、操作体11または111の押圧操作部11a,111aが複数並んで配置されている。
【0064】
操作者が、操作パネル部に目を向けることなくいずれかの押圧操作部11a,111aに指を触れて軽く押すと、第1の入力部であるメンブレンスイッチ21,121がONになり、前方のディスプレイにどの操作体に指が触れているかが表示され、または指が触れている操作体11,111で実施されるメニューの種別などが表示される。この表示を確認し、目的の操作を行える操作体11,111に指が触れていることを確認してその操作体11,111を押し込んで第2の入力部であるスイッチ機構22,122をONにすることで、目的とする入力操作を完了することができる。
【0065】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、例えば操作体が指で押されたときに第1の入力部と第2の入力部がほぼ同時にONに切換えられてもよい。また、第2の入力部はON−OFFスイッチに限られず、可変抵抗器などの可変出力を得るものやエンコーダなどであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1の実施の形態の操作装置を示す断面図、
【図2】図1の操作装置のII−II線での断面を示す拡大断面図、
【図3】本発明の第2の実施の形態の操作装置を示す断面図、
【図4】図3の操作装置のIV−IV線での断面を示す拡大断面図、
【図5】第3の実施の形態の操作装置の第2の入力部を示す部分拡大断面図、
【図6】操作体の配列例を示す平面図、
【符号の説明】
【0067】
1 筐体
2 パネル
2a 開口部
10 操作装置
11 操作体
11a 押圧操作部
11d 持ち上げ部
11e 押圧部
12 基板
13 発光素子
15 軸
16 トーションばね(第2の付勢部材)
17 押圧部材
17a 押圧子
17b 掛止部
18 圧縮コイルばね(第1の付勢部材)
21 メンブレンスイッチ(第1の入力部)
22 スイッチ機構(第2の入力部)
110 操作装置
111 操作体
111a 押圧操作部
111d 持ち上げ部
111e 押圧部
116 圧縮コイルばね(第2の付勢部材)
117 押圧部材
118 圧縮コイルばね(第1の付勢部材)
121 メンブレンスイッチ(第1の入力部)
122 スイッチ機構(第2の入力部)
222 弾性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧操作可能な操作体と、前記操作体が押圧されたときに動作する第1の入力部および第2の入力部とを有する操作装置において、
前記第1の入力部を押圧する押圧位置と前記第1の入力部の押圧を解除する押圧解除位置との間で移動する押圧部材と、前記押圧部材を前記押圧位置へ向けて付勢する第1の付勢部材と、前記操作体を初期位置に復帰させるとともに、前記操作体を介して前記押圧部材を前記押圧解除位置へ移動させる第2の付勢部材とを有しており、
初期位置の前記操作体が押されると、前記第1の付勢部材の付勢力によって前記押圧部材が前記押圧位置へ移動して前記第1の入力部が動作させられるとともに、前記操作体の押圧力によって前記第2の入力部が動作させられることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
初期位置の前記操作体が押されたときに、最初に前記第1の入力部が前記押圧部材で押されて動作し、その後の前記操作体の押圧ストロークで前記第2の入力部が押圧されて動作させられる請求項1記載の操作装置。
【請求項3】
初期位置から前記操作体を押圧して前記第1の入力部を動作させるまでの前記操作体の押圧ストロークよりも、前記第1の入力部が動作してから前記第2の入力部を動作させるまでの前記操作体の押圧ストロークの方が長い請求項2記載の操作装置。
【請求項4】
初期位置から前記操作体を押圧して前記第1の入力部を動作させるまでの間に前記操作体に作用する押圧反力よりも、前記第1の入力部が動作してから前記第2の入力部を動作させるまでの間に前記操作体に作用する押圧反力の方が大きい請求項2または3記載の操作装置。
【請求項5】
前記操作体が初期位置にあるときに、前記操作体が前記第2の入力部から離れており、前記第2の入力部を押圧操作するときの反力が、初期位置の前記操作体に作用していない請求項4記載の操作装置。
【請求項6】
初期位置の前記操作体が押されたときに、前記第1の入力部が動作した後に、前記第2の入力部を押圧操作するときの反力が前記操作体に作用する請求項5記載の操作装置。
【請求項7】
前記操作体は、初期位置から押圧されたときに、第1の側に位置する支点を中心として回動する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項8】
前記操作体によって前記第1の入力部が押圧される第1の押圧作用点と前記支点との距離が、前記操作体によって前記第2の入力部が押圧される第2の押圧作用点と前記支点との距離よりも長い請求項7記載の操作装置。
【請求項9】
前記操作体は、初期位置から押圧されたときに直線的に移動する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項10】
前記第1の入力部はメンブレンスイッチである請求項1ないし9のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項11】
前記第2の入力部はON−OFFスイッチである請求項1ないし10のいずれか1項に記載の操作装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−161000(P2010−161000A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3242(P2009−3242)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】