説明

改良された触媒化された煤フィルター

本発明は、触媒化された煤フィルターであって、フィルターの入口被覆部は、白金(Pt)及び任意にパラジウム(Pd)を含む酸化触媒を含み、フィルターの出口被覆部は、Pd及び任意にPtを含む酸化触媒を含み、出口被覆部のPt濃度は、入口被覆部のPt濃度よりも低く、及び出口被覆部中のPt:Pdの質量割合は、0:1〜2:1の範囲であり、及び入口被覆部及び出口被覆部は、壁流基材上に、0.5〜1.5の範囲の被覆積載割合で存在し、該被覆積載割合は、入口被覆部の積載量(in g/inch3(g/(2.54cm)3)):出口被覆部の積載量(in g/inch3(g/(2.54cm)3))の割合として計算される、触媒化された煤フィルターに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煤粒子の濾過を確実なものとし、一酸化炭素の酸化を補助し、及び通常のエンジン運転及び活性再生イベントの間、低NO2放出を生成する区分された設計を有する、触媒化された煤フィルター、特にディーゼルエンジン排ガスを処理するための触媒化された煤フィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン排ガスは、ガス状放出物、例えば一酸化炭素(「CO」)、未燃焼炭化水素(「HC」)、及び窒素酸化物(「NOx」)のみならず、いわゆる粒子状物質、又は粒状物質を構成する凝縮層物質、すなわち液体と固体をも含む異成分から成る混合物である。ディーゼルエンジンのための排ガス処理システムは、世界中の種々の規制機関によって設定された排ガス基準に適合するために、排ガスの全ての成分を処理しなければならない。
【0003】
ディーゼル排ガスの放出粒子状物質の全体は、3種の主たる成分を含んでいる。ある種の成分は固体の乾燥した固体炭素質部分又は煤部分である。この乾燥した炭素部分は、通常ではディーゼル排ガスに付随する可視的な煤放出に寄与する。粒子状物質の第2の成分は、溶解性の有機部分(「SOF」)である。SOFは、ディーゼル排ガスの温度に依存して、蒸気としてでも、又はエアロゾル(液体凝縮物の微細液滴)としてでも存在することができる。標準測定試験、例えばU.S.Heavy Duty Transient Federal Test Procedureに規定されているように、これは通常、希薄排ガス中に、52℃の標準粒子収集温度で、凝縮液として存在する。これらの液体は2種の発生源から由来する:(1)エンジンのシリンダー壁から、ピストンが上下する度に出てくる潤滑油;及び(2)未燃焼又は部分的に燃焼したディーゼル燃料。粒子状物質の第3の成分は、いわゆるサルフェート部分であり、これはディーゼル燃料中に存在する硫黄成分の少量から形成される。
【0004】
代表例では、触媒組成及び触媒組成が配置される基材が、これらの排ガス成分を無害な成分に変換するために、ディーゼル排ガスシステムに設けられる。例えば、白金族金属、卑金属、及びこれらの組合せを含む酸化触媒は、未燃焼炭化水素(HC)及び一酸化炭素(CO)のガス状汚染物質の両方、及び一部の粒子状物質を、これら汚染物質を酸化して二酸化炭素と水にすることによって、ディーゼルエンジン排ガスの処理を容易化する。これらの触媒は通常、種々の基材(例えば、ハニカム流通モノリス基材)上に配置され、このような基材は、ディーゼルエンジンの排ガス中に配置され、排ガスが大気中に放出される前に、排ガスを処理する。所定の酸化触媒は、NOからNO2への酸化をも促進する。
【0005】
酸化触媒の使用に加え、ディーゼル粒子状フィルターが、ディーゼル排ガス処理システム中の粒子状物質を大きく低減するために使用される。粒子状物質をディーゼル排ガスから除去する公知のフィルター構造物は、ハニカム壁流フィルター、又は充填ファイバーフィルター、連続気泡フォーム、焼成金属フィルター等である。しかしながら、以下に記載するセラミック壁流フィルターが最も注目を集めている。これらのフィルターは、ディーゼル排ガスから90%を超える粒子状物質を除去することができる。代表的なセラミック壁流フィルター基材は、耐火材料、例えばコージライト、又はシリコン−カーバイドで構成される。壁流基材は、ディーゼルエンジン排ガスから粒子状物質を濾過するのに特に有用である。一般的な構成は、ハニカム構造の入口と出口側に交互する端部が閉塞された、複数通路ハニカム構造である。この構成は、何れの端部にもチェッカーボード−タイプパターンをもたらす。入口軸端部が閉塞された通路は、出口軸端部で開放している。このことは、粒子状物質が混入している排ガスを、入口部が開放した通路に入れ、多孔性の内部壁を通して流し、及び開放した出口軸端を有する通路を通して排出することを可能にする。これにより粒子状物質は、基材の内部壁で濾過される。ガス圧力は、排ガスを、多孔性構造の壁を通して流し、上流軸端部が閉塞し、及び下流軸端部が開放した通路へと強制する。蓄積する粒子は、エンジン上のフィルターからの背圧を上昇させる。従って、蓄積する粒子を、フィルターから連続的又は定期的に燃焼除去し、許容可能な背圧を維持する必要がある。
【0006】
壁流基材の内壁に沿って堆積された触媒組成物は、蓄積した粒子状物質の燃焼を促進させることによって、フィルター基材の再生を補助する。蓄積した粒子状物質の燃焼は、排ガスシステム内の背圧を許容可能なものに回復させる。これらの工程は、消極的又は積極的再生工程の何れであっても良い。両工程は、粒子状物質を燃焼するために、酸化体(オキシダント)、例えばO2又はNO2を使用する。
【0007】
消極的再生工程は、粒子状物質を、ディーゼル排ガスシステムの通常の運転範囲内の温度で燃焼させる。再生工程で使用される酸化体は、NO2が好ましい。この理由は、O2が酸化体として作用する場合に必要とされる温度よりも相当に低い温度で燃焼するからである。O2は、大気から容易に入手でき、この一方で、NO2は、(排ガス中のNOを酸化する上流酸化触媒を使用することによって)積極的に生成可能である。
【0008】
触媒組成物が存在し、及びNO2を酸化体として提供するにもかかわらず、蓄積した粒子状物質を洗浄除去し、フィルター内の背圧を許容可能なものに回復させるために、通常、再生工程が必要とされる。粒子状物質の煤部分は、酸素豊富(希薄)条件下で燃焼するために、通常、(典型的にはディーゼル排ガス中に存在する温度よりも高い温度である)500℃を超える温度を必要とする。活性再生工程は、通常、エンジンマネジメントを変換し、フィルターの前部の温度を570〜630℃まで上昇させることによって開始される。
【0009】
従来技術の触媒化された煤フィルターでの消極的再生の間、煤の酸化の間に消費されたNO2は、(触媒化された煤フィルターの通路に沿った)触媒の補助下でのNOの酸化によって再度生成可能である。煤を酸化するために十分なNO2を提供し、及び活性な煤の再生の頻発を回避するために、Pt−リッチのワッシュコートが、煤フィルター材料上に施されている。しかしながら、このようなPt−リッチのワッシュコートは、NO2(このNO2は、煤の酸化のために使用されることなく、触媒化された煤フィルターを出てしまう)を大量に生成する危険性のために、懸念が生じる。触媒化された煤フィルターを出るNO2は、その濃度が空気規制の限界の要求を満足させる場合にのみ大気に放出することができ、そうでなければ、更なる下流触媒、例えばNOxトラップ及び/又は(ウレア、アンモニア、又は炭化水素の存在下にNO2を選択的に還元可能な)触媒を使用して、NO2は、その濃度を低減するか、変換しなければならない。NO2の放出を低減することの必要性は、ディーゼルエンジンの通常運転に限られるだけではなく、いわゆる活性再生の間にも該当する。実際、酸素による煤の高温酸化の間、Pt−リッチワッシュコート上で生成されたNO2は、煤との反応で完全に消費することができない。
【0010】
特許文献1(EP−A−1541219)には、(煤フィルター上のNOx貯蔵触媒の組み合わせによって達成される)煤とNOxを同時に除去する触媒化された煤フィルターが開示されている。しかしながらこの解決は、不利な点を有するものである。この理由は、この技術は、追加的に、(貯蔵と変換及び/又はNOxの放出のための、又はNO2の変換を制限する)他の貴金属、例えばAg及び/又は卑金属を使用する必要があり、このことは、構成を複雑にし、そしてコストが増すばかりでなく、硫黄により弱くなったシステムをもたらすからである。実際に、市販されているディーゼル燃料中に存在する硫黄は、Agの活性を汚染し得るものであり、従って、システムは、より頻繁に再生することを余儀なくされ、そして従って、燃料条件がより不利になる。
【0011】
特許文献2(EP1837076A1)及び特許文献3(JSAE20077233)には、触媒化された煤フィルター処方物が開示されている。この煤フィルター処方物は、活性フィルター再生の間、及び通常ディーゼルエンジン運転の間、NO2の形成を抑制するものである。このような抑制は、PGM含有ワッシュコート内に含まれる、混合された卑金属酸化物、例えばCu、La−Cu、Co及びFe酸化物を使用することによって達成される。またこの場合でも、このような卑金属酸化物を使用することで、(システムを硫黄に対してより弱くするか、又はCO及びHCを完全に酸化することができなくなる)不利な点が生じる。
【0012】
エンジンの運転の間に煤及びNOxを除去する替りの方法は、いわゆるSCR(選択的触媒還元)触媒を使用するもので、SCR触媒は、煤フィルターから分離することが可能であり、又は煤フィルターと統合(一体化)することができる。両方の場合において、これらの方法は、広く適用可能な最適の解決を与えるものではない。事実、SCR触媒、及び触媒化された煤フィルターを分離することが、排ガスシステム内の個々の成分の減少をもたらすのに有利であり得る一方で、このようなシステムはコストが増し、そして還元剤が必要であること、及び体積が増加するので、その適用性が制限される。他方で、SCR触媒が触媒化された煤フィルターに備えられた場合、システム体積は減少するが、排ガスライン内に許容不可能な高い背圧が生じる危険性が増し、及びシステムに還元剤を注入する必要性がなお存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】EP−A−1541219
【特許文献2】EP1837076A1
【特許文献3】JSAE20077233
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明の目的は、通常(標準)ディーゼルエンジン運転の間、NO2による煤の酸化を確実にし、及び活性再生の間、NO2の形成反応を抑制する、改良された触媒化煤フィルターを提供することにある。更に、本発明の目的は、空気規制の限界を(好ましくは追加的なNOx還元システムを必要とすることなく)満たすために、触媒された煤フィルターに存在する未反応のNO2の濃度を可能な限り低くする触媒化された煤フィルターを提供することにある。従って、触媒化された煤フィルターは、経済的により好ましいNO2低減を提供するべきである。追加的に、本発明の目的は、NO2形成反応の制御とは別に、COと未燃焼HCの酸化と低減を補助し、及び従って、HCとCOのブレークスルーを最小限にし、及びその煤濾過性能を保持する触媒化された煤フィルターを提供することにある。最後に、本発明の目的は、触媒化された煤フィルターの製造に通常使用される貴金属成分の希少性と従ってコストのために、触媒組成物中の白金の量が低減され、触媒化された煤フィルターのコストを、濾過効率を低下させることなく低減可能とする触媒化された煤フィルターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
要約
本発明は、触媒化された煤フィルターであって、
壁流基材を有し、該壁流基材は、
入口端、及び出口端、前記入口端と前記出口端の間に延びる基材軸長さ、及び壁流フィルター基材の内壁によって規定された複数の通路を含み;
前記複数の通路は、開放した入口端と閉じた出口端を有する入口通路、及び閉じた入口端と開放した出口端を有する出口通路を有し;
前記入口通路の内部壁は、入口被覆部を有し、該入口被覆部は、前記入口端から入口被覆部端まで延び、これにより入口被覆部長さを規定し、及び該入口被覆部長さは、基材軸長さのx%であり、そして0<x≦80であり;
出口通路の内部壁は、出口被覆部を有し、該出口被覆部は、出口端から出口被覆端まで延び、これにより出口被覆部長さを規定し、及び該出口被覆部長さは、基材軸長さの100−x%であり;
入口被覆部長さは、触媒化された煤フィルターの上流領域を規定しており、及び出口被覆部長さは触媒化された煤フィルターの下流領域を規定しており;
前記入口被覆部は、白金(Pt)及び任意にパラジウム(Pd)を含む酸化触媒を含み;
出口被覆部は、Pd及び任意にPtを含む酸化触媒を含み、前記出口被覆部のPt濃度は、入口被覆部中のPt濃度よりも低く、及び前記出口被覆部のPt:Pdの質量割合は、0:1〜2:1の範囲であり;
前記入口被覆部と前記出口被覆部は、壁流基材上に、0.5〜1.5の範囲の被覆積載割合で存在し、該被覆積載割合は、入口被覆部の積載量(in g/inch3(g/(2.54cm)3)):出口被覆部の積載量(in g/inch3(g/(2.54cm)3))の割合として計算される、ことを特徴とする 触媒化された煤フィルターを提供する。
【0016】
更に、本発明は、 以下の工程、
(i)DIN66133に従う水銀多孔率測定で測定して、多孔率が38〜75の範囲であることが好ましい壁流基材を用意する工程、
を含み、ここで、前記壁流基材は、好ましくは、コージライト基材、又はシリコンカーバイド基材であり、前記壁流基材は、入口端及び出口端、前記入口端と前記出口端の間に延びる基材軸長さ、及び壁流フィルターの内壁によって規定された複数の通路を含み、
前記複数の通路は、開放した入口端と閉じた出口端を有する入口通路、及び閉じた入口端と開放した出口端を有する出口通路を有し;
更に以下の工程、
(ii)入口通路の内部壁に入口被覆部を施す工程、
を含み、ここで、前記入口被覆部は、前記入口端から入口被覆部端まで延び、これにより入口被覆部長さを規定し、及び該入口被覆部長さは、基材軸長さのx%であり、そして0<x≦80であり、これにより、入口被覆部の積載量を予め設定された値に調節しており、及び該積載量は、好ましくは0.05〜1(g/inch3(g/(2.54cm)3))の範囲であり、前記入口被覆部は、白金(Pt)及び任意にパラジウム(Pd)を含む酸化触媒を含み;
更に以下の工程、
(iii)工程(ii)の前、又は工程(ii)と同時、又は工程(ii)の後に、出口通路の内部壁に出口被覆部を施す工程、
を含み、ここで、前記出口被覆部は、出口端から出口被覆端まで延び、これにより出口被覆部長さを規定し、及び該出口被覆部長さは、基材軸長さの100−x%であり、これにより、出口被覆部の積載量を予め設定された値に調節しており、及び該積載量は、好ましくは0.05〜1(g/inch3(g/(2.54cm)3))の範囲であり、及び、前記入口被覆部と前記出口被覆部は、壁流基材上に所定の被覆物積載割合で存在しており、該被覆物積載割合は、入口被覆部の積載量(in g/inch3(g/(2.54cm)3)):出口被覆部の積載量(in g/inch3(g/(2.54cm)3))の割合として計算して、0.5:1〜1.5:1の範囲であり、
前記出口被覆部は、Pd及び任意にPtを含む酸化触媒を含み、前記出口被覆部のPt濃度は、入口被覆部中のPt濃度よりも低く、及び前記出口被覆部のPt:Pdの質量割合は、0:1〜2:1の範囲である、ことを特徴とする上記触媒化された煤フィルターを製造するための方法を提供する。
【0017】
本発明は更に、
排ガスマニホルドを介してディーゼルエンジンと流体的に結合している排ガス導管;
上記に定義した触媒化された煤フィルター;及び
触媒化された煤フィルターと流体的に結合した状態の、ディーゼル酸化触媒(DOC)、選択的触媒性還元(SCR)物体、NOx貯蔵、及び還元(NSR)触媒性物体の1つ以上;
を含むディーゼルエンジン排ガス流を処理するためのシステムを提供する。
【0018】
本発明は更に、ディーゼルエンジン排ガス流を処理する方法であって、
前記排ガス流は、煤粒子を含み、
前記方法は、好ましくは、排ガスをディーゼル酸化触媒(DOC)に通した後に、排ガス流を上記に定義した触媒化された煤フィルターと接触させる工程を含み、
前記DOCは、好ましくは、流通基材又は壁流基材を含むことを特徴とする方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】サンプル(A)、(B)、(C)及び(D)に従う触媒化された煤フィルター(実施例1のフィルター)を使用した、ディーゼル排ガスの処理から得られたNO2/NOx割合を示す図である。
【図2】実施例1.1〜1.4に従い製造された、触媒化された煤フィルターサンプル(A)、(B)、(C)及び(D)の概略スケッチを示し、入口及び出口領域のPt:Pd割合、及び入口領域と出口領域の長さを示した図である。
【図3】本発明の実施例(実施例4の触媒)のサンプル(1)、(2)、(3)に従う触媒化された煤フィルターを使用してディーゼル排ガスを処理した場合の、HC及びCOブレークスルーを示した図である。
【図4】実施例(実施例4の触媒)のサンプル(1)、(2)、(3)に従う触媒化された煤フィルターを使用したディーゼル排ガスの処理から得られたNO2/NOx割合を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明の詳細な説明
本発明は、触媒化された煤フィルターであって、
壁流基材を有し、該壁流基材は、
入口端、及び出口端、前記入口端と前記出口端の間に延びる基材軸長さ、及び壁流フィルター基材の内壁によって規定された複数の通路を含み;
前記複数の通路は、開放した入口端と閉じた出口端を有する入口通路、及び閉じた入口端と開放した出口端を有する出口通路を有し;
前記入口通路の内部壁は、入口被覆部を有し、該入口被覆部は、前記入口端から入口被覆部端まで延び、これにより入口被覆部長さを規定し、及び該入口被覆部長さは、基材軸長さのx%であり、そして0<x≦80であり;
出口通路の内部壁は、出口被覆部を有し、該出口被覆部は、出口端から出口被覆端まで延び、これにより出口被覆部長さを規定し、及び該出口被覆部長さは、基材軸長さの100−x%であり;
入口被覆部長さは、触媒化された煤フィルターの上流領域を規定しており、及び出口被覆部長さは触媒化された煤フィルターの下流領域を規定しており;
前記入口被覆部は、白金(Pt)及び任意にパラジウム(Pd)を含む酸化触媒を含み;
出口被覆部は、Pd及び任意にPtを含む酸化触媒を含み、前記出口被覆部のPt濃度は、入口被覆部中のPt濃度よりも低く、及び前記出口被覆部のPt:Pdの質量割合は、0:1〜2:1の範囲であり;
前記入口被覆部と前記出口被覆部は、壁流基材上に、0.5〜1.5の範囲の被覆積載割合で存在し、該被覆積載割合は、入口被覆部の積載量(in g/inch3(g/(2.54cm)3)):出口被覆部の積載量(in g/inch3(g/(2.54cm)3))の割合として計算される、ことを特徴とする 触媒化された煤フィルターに関する。
【0021】
通常、本発明の触媒化された煤フィルターの入口被覆部長さ及び出口被覆部長さに関し、これらが上記に定義した範囲内であれば、特定の制限はない。入口被覆部は、基材軸長さに対して、好ましくは、20〜80%であり、より好ましくは20〜70%、及びより好ましくは20〜60%、より好ましくは20〜50%である。従って、出口被覆部は、基材軸長さに対して、好ましくは、20〜80%であり、より好ましくは30〜80%、及びより好ましくは40〜80%、より好ましくは50〜80%である。
【0022】
従って、本発明は、xが20〜80の範囲、特に20〜50の範囲である、上記に定義した触媒化された煤フィルターにも関する。xの好ましい値は、例えば、20〜30の範囲、又は25〜35、又は30〜40、又は35〜45、又は40〜50の範囲である。
【0023】
本発明に従えば、入口被覆長さは、基材軸長さのx%であり、且つ0<x≦80であり、及び第1の出口被覆部長さは、基材軸長さの100−x%である。その結果、入口被覆部長さと出口被覆部長さの合計は、基材軸長さと等しくなっても良い。しかしながら、製造技術のために、入口被覆部長さと出口被覆部長さは、所定の部分が重なっていても良い(「重なり領域」)。入口被覆部長さと出口被覆部長さの合計が、基材軸長さよりも僅かに短く、この結果、入口被覆部端と出口被覆部端の間に小さな隙間が存在し、与えられた内壁上で、前記内壁の所定の部分が、入口被覆で被覆されておらず、又出口被覆で被覆されてもいない(「隙間領域」)ことも考えられる。与えられた内壁の、このような隙間領域及び/又は重なり領域は、存在する場合、通常、最大で基材軸長さの1%、好ましくは最大で基材軸長さの0.5%、より好ましくは最大で基材軸長さの0.1%である。より好ましくは、本発明の触媒化された煤フィルターは、このような隙間領域を有していない。
【0024】
本発明に従えば、入口被覆部は、Pt及び任意にPdを含む酸化触媒を含む。Pt及び任意にPdに加え、入口被覆部は更に、少なくとも1種の他の酸化触媒、例えば少なくとも1種の更なる白金族金属、例えばルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、及び/又はイリジウム(Ir)を含むことが考えられるが、入口被覆部に含まれる酸化触媒は、Pt及び任意にPdから成ることが特に好ましい。
【0025】
更に、本発明に従えば、出口被覆部は、Pd及び任意にPtを含んだ酸化触媒を含む。特に、出口被覆部中のPt濃度は、入口被覆部のPt濃度よりも低い。Pd及び任意にPtに加え、出口被覆部は更に、少なくとも1種の他の酸化触媒、例えば少なくとも1種の更なる白金族金属、例えばルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、及び/又はイリジウム(Ir)を含むことが考えられるが、出口被覆部に含まれる酸化触媒は、Pd及び任意にPtから成ることが特に好ましい。
【0026】
従って、本発明は、入口被覆部に含まれる酸化触媒が、Pt及び任意にPdから成り、及び出口被覆部に含まれる酸化触媒が、Pd及び任意にPtから成り、及び出口被覆部中のPt濃度が入口被覆部中のPt濃度よりも低いものである、上記に定義した触媒化された煤フィルターにも関する。
【0027】
本発明に従えば、入口被覆部及び出口被覆部は、壁流基材上に所定の被覆物積載割合で存在しており、該被覆物積載割合は、入口被覆部の積載量(in g/inch3(g/(2.54cm)3)):出口被覆部の積載量(in g/inch3(g/(2.54cm)3))の割合として計算して、0.5〜1.5の範囲である。本発明において使用される「入口被覆部」という用語は特に、壁流基材の入口通路の内壁上に適切に施されたワッシュコートに関する。本発明において使用される「出口被覆部」という用語は特に、壁流基材の出口通路の内壁上に適切に施されたワッシュコートに関する。更に、本発明において使用される、与えられた被覆物の「積載量」は、本発明に従い使用される壁流基材の、各被覆物が施される(次いで触媒化された煤フィルターを乾燥させ、及びか焼される)前と後の質量測定によって決定される積載量である。このことについては、後述する。
【0028】
本発明の触媒化された煤フィルターの被覆物積載割合は、好ましくは0.5を超え、1.5未満の範囲、より好ましくは0.6〜1.5の範囲、より好ましくは0.7〜1.3の範囲、より好ましくは0.75〜1.25の範囲、より好ましくは0.8〜1.2の範囲、より好ましくは0.85〜1.15の範囲、より好ましくは0.9〜1.1の範囲、より好ましくは0.95〜1.05の範囲である。従って、被覆物積載割合の代表的に好ましい値は、例えば、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1.00、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05である。
【0029】
従って、本発明は、上記に定義した触媒化された煤フィルターであって、被覆物積載割合が、0.75〜1.25の範囲、好ましくは0.85〜1.15の範囲、より好ましくは0.95〜1.05の範囲である触媒化された煤フィルターに関する。
【0030】
通常、入口被覆部の積載量と出口被覆部の積載量に関しては、特定の制限は存在しない。好ましくは、本発明の触媒化された煤フィルターは、積載量が0.05〜1 g/inch3(g/(2.54cm)3)の範囲の入口被覆部を有する。入口被覆部は、積載量が、好ましくは0.06〜0.9g/inch3(g/(2.54cm)3)の範囲、より好ましくは0.07〜0.8g/inch3(g/(2.54cm)3)の範囲、より好ましくは0.08〜0.7g/inch3(g/(2.54cm)3)の範囲、より好ましくは0.09〜0.6g/inch3(g/(2.54cm)3)の範囲、及び更により好ましくは0.1〜0.5g/inch3(g/(2.54cm)3)の範囲である。更により好ましくは、入口被覆部は、積載量が、0.15〜0.4g/inch3(g/(2.54cm)3)の範囲、より好ましくは0.2〜0.3g/inch3(g/(2.54cm)3)の範囲である。入口被覆部の積載量の代表的な値は、例えば、0.20又は0.22又は0.24又は0.35又は0.26又は0.28又は0.30である。本発明の好ましい実施の形態では、被覆部積載割合は、上述した好ましい範囲であり、入口被覆部の積載量、及び出口被覆部の積載量は、互いに独立して選択することができる。好ましくは、本発明の触媒化された煤フィルターは、出口被覆部が、0.05〜1g/inch3(g/(2.54cm)3)の範囲である。出口被覆部は、積載量が、好ましくは0.06〜0.9g/inch3(g/(2.54cm)3)の範囲、より好ましくは0.07〜0.8g/inch3(g/(2.54cm)3)の範囲、より好ましくは0.08〜0.7g/inch3(g/(2.54cm)3)の範囲、より好ましくは0.09〜0.6g/inch3(g/(2.54cm)3)の範囲、及び更により好ましくは0.1〜0.5g/inch3(g/(2.54cm)3)の範囲である。更により好ましくは、出口被覆部は、積載量が、0.15〜0.4g/inch3(g/(2.54cm)3)の範囲、より好ましくは0.2〜0.3g/inch3(g/(2.54cm)3)の範囲である。出口被覆部の積載量の代表的な値は、例えば、0.20又は0.22又は0.24又は0.35又は0.26又は0.28又は0.30である。更により好ましい実施の形態では、入口被覆部の積載量は、出口被覆部の積載量と基本的に同じであり、より好ましくは、同じである。
【0031】
従って、本発明は、上記に定義した触媒化された煤フィルターであって、入口被覆部(入口被覆物)の積載量が、0.05〜1g/inch3(g/(2.54cm)3)の範囲、好ましくは0.1〜0.5、より好ましくは0.2〜0.3g/inch3(g/(2.54cm)3)の範囲であり、及び出口被覆部(出口被覆物)の積載量が、0.05〜1g/inch3(g/(2.54cm)3)の範囲、好ましくは0.1〜0.5、より好ましくは0.2〜0.3g/inch3(g/(2.54cm)3)の範囲である触媒化された煤フィルターに関する。
【0032】
本発明に従えば、入口被覆部は、白金(Pt)及び任意にパラジウム(Pd)を含む酸化触媒を含む。上述したように、入口被覆部は、好ましくは、Pt及び任意にPdから成る酸化触媒を含むことが好ましい。入口被覆部において、PtのPdに対する好ましい質量割合、Pt:Pdは、1:0(入口被覆部中にPtのみが存在することを意味する)〜2.5:1の範囲である。より好ましくは、入口被覆部におけるPt:Pdの質量割合は、1:0〜2.4の範囲、より好ましくは1:0〜2.3の範囲、より好ましくは1:0〜2.2の範囲、より好ましくは1:0〜2.1の範囲である。従って、本発明は、上記に定義した触媒化された煤フィルターであって、入口被覆部におけるPt:Pdの質量割合が、1:0〜2.5:1の範囲、好ましくは1:0〜2.1:1の範囲である触媒化された煤フィルターに関する。
【0033】
本発明の特定の実施の形態では、入口被覆部に含まれる酸化触媒は、Pt及びPdを含み、そしてPt及びPdから成ることが更に好ましい。これらの実施の形態について、Pt:Pdの質量割合は、好ましくは0.1〜2.5の範囲であり、より好ましくは0.5〜2.4、より好ましくは1.0〜2.3、より好ましくは1.5〜2.2、及びより好ましくは2.0〜2.1の範囲である。
【0034】
本発明の更なる特定の実施の形態に従えば、入口被覆部に含まれる酸化触媒は、Ptに対して、より低い量のPdを含む。特に、入口被覆部が、酸化触媒としてPtのみを含むことが好ましいと考えられる。従って、本発明は、触媒化された煤フィルターであって、入口被覆部で、Pt:Pdの質量割合が、1:0〜2:1の範囲、好ましくは1:0から2:1未満、より好ましくは1:0〜1:1、より好ましくは1:0から1:1未満の範囲であり、Pt:Pdの質量割合が、より好ましくは1:0である触媒化された煤フィルターに関する。
【0035】
通常、本発明の触媒化された煤フィルターの出口被覆部について、Pt:Pdの質量割合は、0:1〜2:1の範囲である。より好ましくは、最大値が、2:1未満、例えば1.8:1又は1.6:1又は1.4:1又は1.2:1又は1:1、好ましくは1:1、より好ましくは1:1未満、例えば0.8:1又は0.6:1又は0.4:1又は0.2:1又は0:1である。本発明の極めて好ましい実施の形態に従えば、酸化触媒としての出口被覆部は、Pdのみを含む。
【0036】
従って、本発明は、上記に定義した触媒化された煤フィルターであって、出口被覆部でのPt:Pdの質量割合が、0:1から2:1未満、より好ましくは0:1〜1:1、より好ましくは0:1から1:1未満の範囲である触媒化された煤フィルターに関する。
【0037】
特に好ましい実施の形態に従えば、本発明は上記に定義した触媒化された煤フィルターであって、Pt:Pdの質量割合が0:1である触媒化された煤フィルターに関する。
【0038】
(一方の)入口被覆部におけるPt及び任意にPdの質量の合計、及び(他方の)出口被覆部におけるPd及び任意にPtの質量の合計の質量割合は通常、適切に選ぶことができ、ここで前提とされるのは、入口被覆部と出口被覆部が、0.5〜1.5の範囲の被覆物積載割合で壁流基材上に存在し、この被覆物積載割合は、入口被覆部の積載量(in g/inch3(g/(2.54cm)3)):出口被覆部の積載量(in g/inch3(g/(2.54cm)3))の割合として計算され、又は上記に定義したそれぞれの好ましい範囲であることであり、そして更に前提とされるのは、出口被覆部のPt濃度が入口被覆部のPt濃度よりも低いことである。本発明の代表的な実施の形態に従えば、入口被覆部におけるPt及び任意にPdの質量の合計の、出口被覆部におけるPd及び任意にPtの質量の合計に対する質量割合が、1:6〜10:1の範囲である。
【0039】
本発明の特定の実施の形態に従えば、入口被覆部におけるPt及び任意にPdの質量の合計の、出口被覆部におけるPd及び任意にPtの質量の合計に対する質量割合は、1:6〜2:1の範囲である。より好ましくは、この質量範囲は、1:5〜1.7:1の範囲、より好ましくは1:4〜1.3:1の範囲、より好ましくは1.3〜1.1の範囲である。従って、本発明は、上記に定義した触媒化された煤フィルターであって、入口被覆部におけるPt及び任意にPdの質量の合計の、出口被覆部におけるPd及び任意にPtの質量の合計に対する質量割合が、1:6〜2:1の範囲、好ましくは1:3〜1:1の範囲である触媒化された煤フィルターに関する。
【0040】
特に、この特定の実施の形態に関して、酸化触媒がPtから成る入口被覆部を有する(すなわち入口被覆部がPdを含まず、及びPt以外の白金族金属を含まない)触媒化された煤フィルターが好ましい。更に、この特定の実施の形態に関し、酸化触媒がPdから成る出口被覆部を有する(すなわち出口被覆部がPtを含まず及びPd以外の白金族金属を含まない)触媒化された煤フィルターが好ましい。
【0041】
この特定の実施の形態の入口被覆部中のPt濃度を限定するものではないが、Pt濃度は、好ましくは0.3〜2g/ft3の範囲、より好ましくは0.4〜1.5g/ft3(g/(30.48cm)3)の範囲、より好ましくは0.5〜1g/ft3(g/(30.48cm)3)の範囲である。この特定の実施の形態の出口被覆部中のPd濃度を限定するものではないが、Pd濃度は、好ましくは0.3〜5g/ft3の範囲、より好ましくは0.4〜4g/ft3(g/(30.48cm)3)の範囲、より好ましくは0.5〜3g/ft3(g/(30.48cm)3)の範囲である。
【0042】
従って、本発明は、上記に定義した触媒化された煤フィルターであって、入口被覆部で、Pt:Pdの質量割合が1:0であり、及びPtの濃度が0.5〜1g/ft3(g/(30.48cm)3)の範囲であり、及び出口被覆部で、Pt:Pdの質量割合が0:1であり、及びPdの濃度が0.5〜3g/ft3(g/(30.48cm)3)の範囲である触媒化された煤フィルターに関する。
【0043】
本発明の更なる特定の実施の形態に従えば、入口被覆部におけるPt及び任意にPdの質量の合計の、出口被覆部におけるPd及び任意にPtの質量の合計に対する質量割合は、2.4:1〜10:1の範囲である。この質量割合は、より好ましくは2.5:1〜9.5:1の範囲、より好ましくは3:1〜9:1の範囲、より好ましくは4:1〜8.5:1の範囲、より好ましくは5:1〜8:1の範囲である。従って、本発明は、上記に定義した触媒化された煤フィルターであって、入口被覆部におけるPt及び任意にPdの質量の合計の、出口被覆部におけるPd及び任意にPtの質量の合計に対する質量割合が、2.4:1〜1〜10:1の範囲、好ましくは5:1〜8:1の範囲の触媒化された煤フィルターにも関する。
【0044】
特に、この特定の実施の形態について、Pt:Pdの質量割合が1:0〜1:1の範囲、例えば50:1〜1:1、又は20:1〜1:1、又は10:1〜1:1、又は5:1〜1:1、又は2:1〜1:1の入口被覆物を有する、触媒化された煤フィルターが好ましい。この特定の実施の形態について、Pt:Pdの質量割合が0:1〜2:1の範囲、例えば1:50〜1:1、又は1:20〜1:1、又は1:10〜1:1、又は1:5〜1:1、又は1:2〜1:1の出口被覆物を有する、触媒化された煤フィルターが好ましい。最も好ましくは、この特定の実施の形態について、出口被覆部におけるPt:Pdの質量割合は0:1である。
【0045】
この特定の実施の形態の入口被覆部中のPt濃度を限定するものではないが、Pt濃度は、好ましくは5〜100g/ft3の範囲、より好ましくは10〜60g/ft3(g/(30.48cm)3)の範囲、より好ましくは15〜40g/ft3(g/(30.48cm)3)の範囲、例えば20〜40g/ft3又は25〜30g/ft3の範囲である。
【0046】
この特定の実施の形態の出口被覆部中のPd濃度を限定するものではないが、Pd濃度は、好ましくは1〜10g/ft3(g/(30.48cm)3)の範囲、より好ましくは2〜8g/ft3(g/(30.48cm)3)の範囲、より好ましくは4〜6g/ft3(g/(30.48cm)3)の範囲である。
【0047】
従って、本発明は、上記に定義した触媒化された煤フィルターであって、入口被覆部で、Pt:Pdの質量割合が1:0〜1:1の範囲、好ましくは1:0〜0:4の範囲であり、及びPtの濃度が5〜100g/ft3(g/(30.48cm)3)の範囲、好ましくは10〜60g/ft3(g/(30.48cm)3)の範囲、より好ましくは15〜40g/ft3(g/(30.48cm)3)の範囲であり、及び出口被覆部で、Pt:Pdの質量割合が0:1〜1:1の範囲、好ましくは0:1の範囲であり、及びPdの濃度が1〜10g/ft3(g/(30.48cm)3)の範囲、好ましくは2〜8g/ft3(g/(30.48cm)3)の範囲、より好ましくは4〜6g/ft3(g/(30.48cm)3)の範囲である触媒化された煤フィルターに関する。
【0048】
本発明において特に好ましい触媒化された煤フィルターは、出口被覆部が酸化触媒を含み、該酸化触媒がPdから成り、及びPtを含まず、及びPd及びPt以外の白金族金属を含まないことを特徴とする。入口被覆部について、Pt及び任意にPdとは別に、Pt及び任意にPd以外の白金族金属を含まないことが好ましい。従って、本発明は、上記に定義した触媒化された煤フィルターであって、入口被覆部に含まれる酸化触媒がPt及び任意にPdから成り、及び出口被覆部に含まれる酸化触媒がPdから成る触媒化された煤フィルターに関する。
【0049】
本発明の好ましい実施の形態に従えば、入口被覆部は、少なくとも1種の多孔性担体材料を含む。特定の限定をなすものではないが、多孔性担体材料は、耐火性金属酸化物であることが好ましい。より好ましくは、入口被覆部の多孔性材料は、アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニア、希土類金属酸化物、例えば、セリウム、プラセオジム、ランタン、ネオジム、及びサマリウムの酸化物、シリカ−アルミナ、アルミノ−シリケート、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−クロミア、アルミナ−希土類金属酸化物、チタニア−シリカ、チタニア−ジルコニア、チタニア−アルミナ、及びこれらの2種以上の混合物から成る群から選ばれる。より好ましくは、少なくとも1種の多孔性担体材料は、Al23、ZrO2、CeO2、SiO2及びこれらの2種以上の混合物から成る群から選ばれる。
【0050】
本発明の好ましい実施の形態に従えば、出口被覆部は、少なくとも1種の多孔性担体材料を含む。特定の限定をなすものではないが、多孔性の担体材料が耐火性の金属酸化物であることが好ましい。より好ましくは、出口被覆部の多孔性担体材料は、アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニア、希土類金属酸化物、例えば、セリウム、プラセオジム、ランタン、ネオジム、及びサマリウムの酸化物、シリカ−アルミナ、アルミノ−シリケート、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−クロミア、アルミナ−希土類金属酸化物、チタニア−シリカ、チタニア−ジルコニア、チタニア−アルミナ、及びこれらの2種以上の混合物から成る群から選ばれる。より好ましくは、少なくとも1種の多孔性担体材料は、Al23、ZrO2、CeO2、SiO2及びこれらの2種以上の混合物から成る群から選ばれる。
【0051】
従って、本発明は、上記に定義した触媒化された煤フィルターであって、入口被覆部及び出口被覆部が、少なくとも1種の多孔性材料を含み、入口被覆部の少なくとも1種の多孔性担体材料が、Al23、ZrO2、CeO2、SiO2及びこれらの2種以上の混合物から成る群から選ばれ、及び出口被覆部の少なくとも1種の多孔性担体材料が、Al23、ZrO2、CeO2、SiO2及びこれらの2種以上の混合物から成る群から選ばれる触媒化された煤フィルターにも関する。
【0052】
好ましい実施の形態に従えば、入口被覆部及び/又は出口被覆部の耐火性金属酸化物は、基本的に、アルミナでできており、より好ましくはガンマアルミナ又は活性アルミナ、例えばガンマ又はエータアルミナでできている。好ましくは、活性化アルミナは、比表面積が、BET表面積測定に従い測定して、60〜300m2/g、好ましくは90〜200m2/g、最も好ましくは100〜180m2/gである。従って、本発明は、上記に定義した触媒化された煤フィルターであって、入口被覆部の担体材料が、Al23、好ましくはガンマ−Al23であり、及び出口被覆部の担体材料が、Al23、好ましくはガンマ−Al23である触媒化された煤フィルターにも関する。
【0053】
本発明の触媒化された煤フィルターのために有用な壁流基材は、複数の微細な、(基材の長さ方向に沿って延びている)実質的に平行な流通通路を有している。各通路は、基材本体の一端で閉塞され、及び交互する通路が対向する端部‐面で閉塞されている。このようなモノリス担体は、断面1平方インチ((2.54cm)2)当たり約400個までの流通通路(又は「セル」)を有していても良いが、これよりも大きく下回る数であっても良い。例えば、担体は、1平方インチ当たり(“cpsi”)、7〜400個、好ましくは100〜400個のセルを有していても良い。セルは、長方形、正方形、円、長円、三角形、六角形、又は他の多角形の形状を有することができる。
【0054】
好ましい壁流基材は、セラミック状材料、例えばコージライト、アルファ−アルミナ、シリコンカーバイド、シリコンニトリド、ジルコニア、ムライト、リシア輝石、アルミナ−シリカ−マグネシア、又はジルコニウムシリケートでできており、又は耐火性金属、例えばステンレススチールでできている。好ましい壁流基材は、コージライト及びシリコンカーバイドでできている。このような材料は、排ガスの処理中に遭遇する環境、特に高温に耐えることができる。セラミック壁流基材は、典型的には、多孔率が約40〜70の材料で形成される。ここで、「多孔率」という用語は、DIN66133に従う水銀多孔率測定に従い測定されると理解される。本発明に従えば、壁流基材は、多孔率が38〜75であることが好ましい。
【0055】
従って、本発明は、上記に定義した触媒化された煤フィルターであって、壁流基材が、DIN66133に従う水銀多孔率測定に従い測定して、38〜75の範囲の多孔率(porosity)を有し、及び壁流基材が、好ましくはコージライト基材、又はシリコンカーバイド基材である触媒化された煤フィルターにも関する。
【0056】
例えば、ある構造(形態)では、多孔性が60であり、及び平均孔径が約15〜25ミクロンの壁流基材が適切な排ガス流を提供する。他の特定の実施の形態では、構造に、例えば17mil壁(1milは、0.0254mmに相当する)を有する、及び100cpsiを有する壁流基材、及び12〜14mil壁を有する、及び300cpsiを有する壁流基材が使用される。
【0057】
通常、本発明の触媒化された煤フィルターの基材軸長さについて制限はない。基材軸方向長さは、主として、本発明の触媒化された煤フィルターの意図された使用に依存する。使用される触媒化された煤フィルターの代表的な基材軸長さは、例えば自動車分野では、4〜10in(10.16cm〜25.4cm)、好ましくは6〜8in(15.24cm〜20.32cm)の範囲である。
【0058】
壁流基材上に存在する本発明の各被覆物は、上述した多孔性担体材料を少なくとも1種含む、それぞれのワッシュコート組成物から形成される。他の添加剤、例えばバインダー及び安定化剤もワッシュコート組成物中に含むことができる。このような安定化剤は、第1の入口被覆部内にでも、又は第1の出口被覆部にでも、又は後述する更なる出口被覆部にでも含めることができる。米国特許No.4727052に開示されているように、多孔性担体材料、例えば活性化アルミナを熱的に安定化させ、昇温下でのガンマからアルファへの望ましくないアルミナ相変態を抑制することができる。安定化剤は、マグネシウム、バリウム、カルシウム、及びストロンチウム、好ましくはストロンチウム及びバリウムから成る群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属成分から選ぶことができる。存在する場合、安定化剤材料は、約0.01g/in3(g/(2.54cm)3))〜0.15g/in3(g/(2.54cm)3))の量で被覆物中に加えられる。
【0059】
与えられる被覆物は、内壁の表面に配置される。更に、与えられる被覆物が(内壁の表面上、又は更に他の被覆物上に施された)他の被覆物の上に配置されることが考えられる。更に、与えられる被覆物は、多孔性の内壁、又は(上記与えられる被覆物が施される)被覆物に部分的に浸透しても良い。
【0060】
壁流基材の内壁上に施されるワッシュコート組成物を製造するために、適切なPt及び/又はPd成分前駆体を、適切な多孔性担体材料、好ましくは(以下に記載するように)上述した耐火性金属酸化物に分散させることが好ましい。より好ましくは、水溶性又は水分散性Pt及び/又はPd成分前駆体が、適切な多孔性担体材料、好ましくは適切な耐火性金属酸化物に含浸され、次に乾燥工程と固定(固着)工程が行われる。適切なPt及び/又はPd成分前駆体は、例えば、カリウム白金クロリド、アンモニウム白金チオシアネート、アミン溶解白金ヒドロキシド、塩化白金酸、パラジウムニトレート、及びこれらに類似するものを含む。他の適切な前駆体は、この技術分野の当業者にとって明白である。含浸された担体材料は、好ましくはその上に固定(固着)されたPt及び/又はPd成分と一緒に乾燥される。通常、乾燥温度は、60〜250℃、好ましくは90〜210℃、より好ましくは100〜150℃である。乾燥は、適切な雰囲気内で、N2又は好ましくは空気を使用して行うことができる。乾燥の後、適切なか焼によって、及び/又は他の適切な方法、例えば酢酸での処理によって、最終的にPt及び/又はPd成分を担体材料上に固定させることが好ましい。通常、水溶性の状態のPt及び/又はPd成分を使用した方法が適切である。通常、か焼温度は、250〜800℃の範囲、好ましくは350〜700℃の範囲、より好ましくは400〜600℃の範囲である。か焼は、任意の適切な雰囲気内で行うことができ、N2又は空気が好ましい。例えば、か焼によって、触媒的に活性な元素Pt及び/又はPd、又はそれぞれの酸化物が得られる。本発明において使用される、最終的に得られた触媒化された煤フィルター中に存在する「Pt成分」又は「Pd成分」という用語は、触媒的に活性なPt及び/又はPdの状態のPt及び/又はPd成分、又はこれらの酸化物、又は元素Pt及び/又はPdの混合物、及びこれらの酸化物を意味すると理解される。
【0061】
従って本発明は、以下の工程、
(i)DIN66133に従う水銀多孔率測定で測定して、多孔率が38〜75の範囲であることが好ましい壁流基材を用意する工程、
を含み、ここで、前記壁流基材は、好ましくは、コージライト基材、又はシリコンカーバイド基材であり、前記壁流基材は、入口端及び出口端、前記入口端と前記出口端の間に延びる基材軸長さ、及び壁流基材の内壁によって規定された複数の通路を含み、
前記複数の通路は、開放した入口端と閉じた出口端を有する入口通路、及び閉じた入口端と開放した出口端を有する出口通路を有し;
更に以下の工程、
(ii)入口通路の内部壁に入口被覆部を施す工程、
を含み、ここで、前記入口被覆部は、前記入口端から入口被覆部端まで延び、これにより入口被覆部長さを規定し、及び該入口被覆部長さは、基材軸長さのx%であり、そして0<x≦80であり、これにより、入口被覆部の積載量を予め設定された値に調節しており、及び該積載量は、好ましくは0.05〜1(g/inch3(g/(2.54cm)3))の範囲であり、前記入口被覆部は、白金(Pt)及び任意にパラジウム(Pd)を含む酸化触媒を含み;
更に以下の工程、
(iii)工程(ii)の前、又は工程(ii)と同時、又は工程(ii)の後に、出口通路の内部壁に出口被覆部を施す工程、
を含み、ここで、前記出口被覆部は、出口端から出口被覆端まで延び、これにより出口被覆部長さを規定し、及び該出口被覆部長さは、基材軸長さの100−x%であり、これにより、出口被覆部の積載量を予め設定された値に調節しており、及び該積載量は、好ましくは0.05〜1(g/inch3(g/(2.54cm)3))の範囲であり、及び、前記入口被覆部と前記出口被覆部は、壁流基材上に所定の被覆物積載割合で存在しており、該被覆物積載割合は、入口被覆部の積載量(in g/inch3(g/(2.54cm)3)):出口被覆部の積載量(in g/inch3(g/(2.54cm)3))の割合として計算して、0.5:1〜1.5:1の範囲であり、
前記出口被覆部は、Pd及び任意にPtを含む酸化触媒を含み、前記出口被覆部のPt濃度は、入口被覆部中のPt濃度よりも低く、及び前記出口被覆部のPt:Pdの質量割合は、0:1〜2:1の範囲である、ことを特徴とする上記に記載の触媒化された煤フィルターを製造するための方法にも関する。
【0062】
本発明の触媒化された煤フィルターについての長さ、濃度等の好ましい値の範囲は、上記に定義した。
【0063】
本発明の触媒化された煤フィルターは、特にディーゼル排ガス放出の処理のための1種以上の追加的な成分を含む排ガス導管内の、統合(一体化)された排ガス処理システムに使用することができる。例えば、(最も好ましくは、ディーゼルエンジンと流体的に結合している)このような排ガス導管は、本発明に従う触媒化された煤フィルターを含んでいても良く、及び更にディーゼル酸化触媒(DOC)物体及び/又は選択的触媒性還元(SCR)物体、及び/又はNOx貯蔵及び還元(NSR)触媒物体を含んでいても良い。最も好ましくは、DOC物体及び/又はSCR物体及び/又はNSR物体は、触媒化煤フィルターと流体的に結合している。ディーゼル酸化触媒は、触媒化された煤フィルター及び/又は選択的触媒性還元成分の上流又は下流に配置することができる。より好ましくは、本発明の触媒化された煤フィルターは、DOC物体の下流に配置される。更に好ましくは、本発明の触媒化された煤フィルターは、SCR物体(SCR article)の上流又は下流に配置される。
【0064】
従って、本発明は、上記に定義した触媒化された煤フィルターであって、ディーゼルエンジン排ガス流を処理するためのシステムに含まれ、及び該システムは更に、排ガスマニホルドを介してディーゼルエンジンと流体的に結合している排ガス導管を含み、及び更に、以下の:ディーゼル酸化触媒(DOC)、選択的触媒性還元(SCR)物体、NOx貯蔵、及び還元(NSR)触媒性物体(reduction (NSR)catalytic article)の1つ以上を、触媒化された煤フィルターと流体的に結合した状態で含むことを特徴とする触媒化された煤フィルターに関する。
【0065】
更に好ましくは、本発明の触媒化された煤フィルターの下流には、システムに含まれるNOx還元触媒性物体が存在せず、好ましくはNOx貯蔵、及び還元(NSR)触媒性物体が存在しない。
【0066】
排ガス導管内に使用するための適切なSCR物体は、典型的には、O2と任意の過剰のNH3〜N2及びH2Oとの反応に触媒作用を及ぼすことができ、これにより、NH3が大気に放出されない。排ガス導管内に使用される有用なSCR触媒組成物は、650℃を超える温度に対して耐熱性をも有しているべきである。このような高温は、上流の触媒化された煤フィルターの再生の間に遭遇しても良いものである。適切なSCR物体は、例えば、US4961917及びUS5516497に記載されている。適切なSCR物体は、鉄及び銅の促進剤(助触媒)の一方又は両方を、典型的には、ゼオライト中に、促進剤とゼオライトの合計質量に対して、約0.1〜30質量%、好ましくは約1〜5質量%で含む。典型的なゼオライトは、CHAフレームワーク構造を示す。
【0067】
本発明の特に好ましい実施の形態に従えば、本発明の触媒化された煤フィルターは、DOCの下流に配置される。このような配置では、本発明の触媒化された煤フィルターは、煤の燃焼の間、HC及びCOが低減される(このことは、本発明のフィルターの上流領域で達成されることが最も好ましい)という有利性を有する。更に、後部領域の特定の設計は、触媒化された煤フィルターの下流領域において、生成されるNOxを可能な限り低くすることを確実化する。従って、DOCの下流で、本発明の触媒化された煤フィルターは、ディーゼル排ガスの処理について、その浄化機能において非常に有利であることがわかった。
【0068】
従って、本発明は、上記に定義した触媒化された煤フィルターであって、ディーゼルエンジン排ガス流を処理するためのシステムに含まれ、及び該システムは更に、排ガスマニホルドを介してディーゼルエンジンと流体的に結合している排ガス導管を含み、及び更に、ディーゼル酸化触媒を含み、そして触媒化された煤フィルターがDOCの下流に配置されている触媒化された煤フィルターに関する。
【0069】
本発明はまた、ディーゼルエンジン排ガス流を処理するための方法に使用するための触媒化された煤フィルターであって、前記排ガス流は、煤粒子を含み、前記方法は、好ましくは排ガスをディーゼル酸化触媒(DOC)に通した後に、排ガス流を触媒化された煤フィルターと接触させる工程を含み、前記DOCは、好ましくは、流通基材又は壁流基材を含むことを特徴とする触媒化された煤フィルターに関する。同様に、本発明は、上記に定義した触媒化された煤フィルターを、ディーゼルエンジン排ガス流を処理するために使用する方法であって、上記排ガス流は、煤粒子を含み、上記方法は、好ましくは、排ガスをディーゼル酸化触媒(DOC)に通した後に、排ガス流を触媒化された煤フィルターと接触させる工程を含み、上記DOCは、好ましくは、流通基材又は壁流基材を含むことを特徴とする方法に関する。
【0070】
更に本発明は、ディーゼルエンジン排ガス流を処理するためのシステムであって、
排ガスマニホルドを介してディーゼルエンジンと流体的に結合している排ガス導管;
上記に定義した触媒化された煤フィルター;及び
触媒化された煤フィルターと流体的に結合した状態の、以下の:ディーゼル酸化触媒(DOC)、選択的触媒性還元(SCR)物体、NOx貯蔵、及び還元(NSR)触媒性物体の1つ以上を含むことを特徴とするシステムに関する。
【0071】
好ましくは、このシステムで、触媒化された煤フィルターは、DOCの下流に配置される。より好ましくは、システムは、NOx還元触媒物体を含まず、及びより好ましくは、システムはNOx貯蔵、及び還元(NSR)触媒物体を含まない。
【0072】
従って、本発明は、ディーゼルエンジン排ガス流を処理する方法であって、
上記排ガス流は、煤粒子を含み、
上記方法は、好ましくは、排ガスをディーゼル酸化触媒(DOC)に通した後に、排ガス流を上記に定義した触媒化された煤フィルターと接触させる工程を含み、
上記DOCは、好ましくは、流通基材又は壁流基材を含むことを特徴とする方法に関する。
【0073】
本発明の任意的な実施の形態に従えば、この方法は更に、DOCから、又は触媒化された煤フィルターから得られた排ガス流を、選択的触媒性還元(SCR)物体に通す工程を含む。
【0074】
以下に実施例を使用して本発明を更に説明する。
【実施例】
【0075】
1.触媒の製造
1.1 Pd−後部出口被覆部−長さの50%を有する区分化された触媒化された煤フィルター(サンプルA)
入口被覆部のために、0.25g/in3のガンマ−アルミナをパラジウムニトレートの水溶液で含浸させ、13g/ft3の最終的な乾燥Pd含有量を得、次にアミン安定化Pt錯体としての白金を有する白金溶液で含浸させ、Pt27g/ft3の乾燥含有量を得た。得られた粉を水中に分散させた。次に、得られたスラリーを、コージライトフィルター基材の入口側から合計フィルター長さの50%までを被覆するために使用した。110℃の空気で乾燥させ、及び空気中450℃でか焼させた後、フィルター基材の50%入口上のワッシュコートの量は、約0.27g/in3であった。
【0076】
出口被覆部のために、0.25g/in3のガンマ−アルミナをパラジウムニトレートの水溶液で含浸させ、5g/ft3の最終的な乾燥Pd含有量を得た。得られた粉を水中に分散させた。次に、得られたスラリーを、コージライトフィルター基材の出口側から合計フィルター長さの50%までを被覆するために使用した。110℃の空気で乾燥させ、及び空気中450℃でか焼させた後、フィルター基材の50%出口上のワッシュコートの量は、約0.26g/in3であった。
【0077】
1.2 Pd−後部出口被覆部−長さの25%を有する区分化された触媒化された煤フィルター(サンプルB)
入口被覆部のために、0.25g/in3のガンマ−アルミナをパラジウムニトレートの水溶液で含浸させ、13g/ft3の最終的な乾燥Pd含有量を得、次にアミン安定化Pt錯体としての白金を有する白金溶液で含浸させ、Pt27g/ft3の乾燥含有量を得た。得られた粉を水中に分散させた。次に、得られたスラリーを、コージライトフィルター基材の入口側から合計フィルター長さの75%までを被覆するために使用した。110℃の空気で乾燥させ、及び空気中450℃でか焼させた後、フィルター基材の75%入口上のワッシュコートの量は、約0.27g/in3であった。
【0078】
出口被覆部のために、0.25g/in3のガンマ−アルミナをパラジウムニトレートの水溶液で含浸させ、5g/ft3の最終的な乾燥Pd含有量を得た。得られた粉を水中に分散させた。次に、得られたスラリーを、コージライトフィルター基材の出口側から合計フィルター長さの25%までを被覆するために使用した。110℃の空気で乾燥させ、及び空気中450℃でか焼させた後、フィルター基材の25%出口上のワッシュコートの量は、約0.26g/in3であった。
【0079】
1.3 Pd−後部出口被覆部−長さの75%を有する区分化された触媒化された煤フィルター(サンプルC)
入口被覆部のために、0.25g/in3のガンマ−アルミナをパラジウムニトレートの水溶液で含浸させ、13g/ft3の最終的な乾燥Pd含有量を得、次にアミン安定化Pt錯体としての白金を有する白金溶液で含浸させ、Pt27g/ft3の乾燥含有量を得た。得られた粉を水中に分散させた。次に、得られたスラリーを、コージライトフィルター基材の入口側から合計フィルター長さの25%までを被覆するために使用した。110℃の空気で乾燥させ、及び空気中450℃でか焼させた後、フィルター基材の25%入口上のワッシュコートの量は、約0.27g/in3であった。
【0080】
出口被覆部のために、0.25g/in3のガンマ−アルミナをパラジウムニトレートの水溶液で含浸させ、5g/ft3の最終的な乾燥Pd含有量を得た。得られた粉を水中に分散させた。次に、得られたスラリーを、コージライトフィルター基材の出口側から合計フィルター長さの75%までを被覆するために使用した。110℃の空気で乾燥させ、及び空気中450℃でか焼させた後、フィルター基材の75%出口上のワッシュコートの量は、約0.26g/in3であった。
【0081】
1.4 Pt/Pd入口部及び出口部を有する区分化された触媒化された煤フィルター、比較例:(サンプルD)
入口被覆部のために、0.25g/in3のガンマ−アルミナをパラジウムニトレートの水溶液で含浸させ、13g/ft3の最終的な乾燥Pd含有量を得、次にアミン安定化Pt錯体としての白金を有する白金溶液で含浸させ、Pt27g/ft3の乾燥含有量を得た。得られた粉を水中に分散させた。次に、得られたスラリーを、コージライトフィルター基材の入口側から合計フィルター長さの50%までを被覆するために使用した。110℃の空気で乾燥させ、及び空気中450℃でか焼させた後、フィルター基材の50%入口上のワッシュコートの量は、約0.27g/in3であった。
【0082】
出口被覆部のために、0.25g/in3のガンマ−アルミナをパラジウムニトレートの水溶液で含浸させ、3g/ft3の最終的な乾燥Pd含有量を得、次にアミン安定化Pt錯体としての白金を有する白金溶液で含浸させ、Pt7g/ft3の乾燥含有量を得た。得られた粉を水中に分散させた。次に、得られたスラリーを、コージライトフィルター基材の出口側から合計フィルター長さの50%までを被覆するために使用した。110℃の空気で乾燥させ、及び空気中450℃でか焼させた後、フィルター基材の50%出口上のワッシュコートの量は、約0.26g/in3であった。
【0083】
2.従来の触媒技術と本発明の技術の状態比較(点火試験)
試験サンプル:
2.1 サンプルA:
5g/ft3のPd出口被覆−基材長さの50%を有する区分化された触媒化された煤フィルター:
−入口被覆:27g/ft3Pt、13g/ft3Pd−長さの50%
−出口被覆:5g/ft3Pd−長さの50%の50%
【0084】
2.2 サンプルB:
5g/ft3のPd出口被覆−基材長さの25%を有する区分化された触媒化された煤フィルター:
−入口被覆:27g/ft3Pt、13g/ft3Pd−長さの75%
−出口被覆:5g/ft3Pd−長さの25%の50%
【0085】
2.3 サンプルC:
5g/ft3のPd出口被覆−基材長さの75%を有する区分化された触媒化された煤フィルター:
−入口被覆:27g/ft3Pt、13g/ft3Pd−長さの25%
−出口被覆:5g/ft3Pd−長さの75%の50%
【0086】
2.4 サンプルD(比較例):
Pt/Pd入口及び出口被覆部を有する区分化された触媒化された煤フィルター:
−入口被覆:27g/ft3Pt、13g/ft3Pd−長さの50%
−出口被覆:7g/ft3Pt、3g/ft3Pd−長さの50%
【0087】
3.NO2/NOx点火試験の試験手順
サンプルA、B、C及びDをNO2点火性能について試験した。試験の前に、排気量が2.7Lの4シリンダーライトデューティーディーゼルエンジンの排ガス中で、25時間にわたり、サンプルを老化させた(aged)。上流バーナーDOCを使用して、排ガスの温度を750℃、定常状態に上昇させた。
【0088】
点火試験のために、各サンプルを、排気量が2Lの4シリンダーライトデューティーコモンレールディーゼルエンジンの排気ライン中の下流に置いた。排ガス中のCO、HC、NOx及びNO濃度は、180ppm、18ppm、(C3ベーシス)、570ppm及び540ppmであった。標準状態下のガス流は、約80m3/hであった。温度傾斜は5K/minであった。300℃、CSF前温度におけるNO2/NOx割合を評価のために使用した。300℃でのより低いNO2/NOx割合は、駆動の間のより低いNO2形成に関連している。
【0089】
点火の間の、300℃におけるサンプル(A)〜(D)のNO2/NOx割合を図1に示す。
【0090】
サンプルA、B及びCは、サンプルDと比較して、最大NO2/NOx割合が低いものであり、従って、駆動の間、NO2テイルパイプ排出が低いものであった。最も低いNO2/NOx割合は、サンプルCに見られた(サンプルCは、サンプル(A)、(B)及び(C)の中で、Pdのみの後部領域が最も長い)。
【0091】
4.触媒の製造
4.1全長さに渡ってPt被覆を有し、及びPd後部領域を有さない、均一に触媒化された煤フィルター(サンプル1−比較)
ガンマ−アルミナの0.05g/in3をアミン安定化されたPt錯体としての白金を有する白金溶液の水溶液を使用して含浸させ、5g/ft3のPt含有量を得た。得られた粉を水中に分散させた。次に、得られたスラリーを、入口側から合計フィルター長さにわたりフィルター基材(サイズ:132.1×203.2mm;多孔率が42%のシリコンカーバイド)を被覆するために使用した。110℃の空気での乾燥、及び空気中で450℃でのか焼の後、フィルター基材の入口上のワッシュコートの量は約0.053であった。
【0092】
4.2全長さに渡ってPt被覆を有し、及びPd後部領域を有さない、均一に触媒化された煤フィルター(サンプル2−比較)
ガンマ−アルミナの0.05g/in3をアミン安定化されたPt錯体としての白金を有する白金溶液の水溶液を使用して含浸させ、1g/ft3のPt含有量を得た。得られた粉を水中に分散させた。次に、得られたスラリーを、入口側から合計フィルター長さにわたりフィルター基材(サイズ:132.1×203.2mm;多孔率が42%のシリコンカーバイド)を被覆するために使用した。110℃の空気での乾燥、及び空気中で450℃でのか焼の後、フィルター基材の入口上のワッシュコートの量は約0.051g/in3であった。
【0093】
4.3Pd後部出口被覆部‐長さの50%の、区分化された触媒化された煤フィルター(サンプル3−本発明)
入口被覆部のために、0.3g/in3のガンマ−アルミナをアミン安定化されたPt錯体としての白金を有する白金の水溶液を使用して含浸させ、1g/ft3の乾燥Pt含有量を得た。得られた粉を水中に分散させた。次に、得られたスラリーを、入口側からフィルターの合計長さの50%にわたりコージライトフィルター基材(サイズ:143.8×152.4mm;多孔率が50%のコージライト)を被覆するために使用した。110℃の空気での乾燥、及び空気中で450℃でのか焼の後、フィルター基材の50%入口上のワッシュコートの量は約0.301g/in3であった。
【0094】
出口被覆部のために、0.3g/in3のガンマ−アルミナをパラジウムニトレートの水溶液を使用して含浸させ、3g/ft3の最終乾燥Pd含有量を得た。得られた粉を水中に分散させた。次に、得られたスラリーを、出口側からフィルターの合計長さの50%にわたりコージライトフィルター基材を被覆するために使用した。110℃の空気での乾燥、及び空気中で450℃でのか焼の後、フィルター基材の50%出口上のワッシュコートの量は約0.302g/in3であった。
【0095】
4.4 NO2/NOx点火試験の試験手順
サンプル1、2、及び3をNO2点火性能について試験した。試験の前に、排気量が2.7Lの4シリンダーライトデューティーディーゼルエンジンの排ガス流中で、20時間にわたり、サンプルを老化させた。上流バーナーDOCを使用して、排ガスの温度を750℃、定常状態に上昇させた。サンプル1を12時間にわたり、オーブン内で800℃で熱水的に老化させた。サンプル2を5時間にわたり、オーブン内で750℃で熱水的に老化させた。
【0096】
点火試験のために、各サンプルを、排気量が2Lの4シリンダーライトデューティーコモンレールディーゼルエンジンの排気ライン中の下流に置いた。排ガス流中のCO、HC、NOx及びNO濃度は、それぞれ180ppm、18ppm、(C3ベーシス)、570ppm及び540ppmであった。標準状態下のガス流は、約80m3/hであった。温度傾斜は5K/minであった。300℃、CSF前温度におけるNO2/NOx割合を評価のために使用した。300℃でのより低いNO2/NOx割合は、駆動の間のより低いNO2形成に関連している。
【0097】
4.5 HC及びCOのブレークスルーの試験手順
CO及びHCブレークスルーの評価:煤再生試験
煤の再生の間に形成されるHCとCOの両方を変換することによる、クリーンな煤燃焼工程を保証することは、触媒化された煤フィルターの課題の一つである。望ましくないCOとHCの評価を煤再生試験を使用して行った。
【0098】
触媒化された煤フィルター(CSF)を、(CSFの前に配置された)ディーゼル酸化触媒と一緒にエンジン試験スタンドに取り付けた。DOC及びCSFを排気量が2Lの4シリンダーライトデューティーコモンレイルディーゼルエンジンの排ガスライン中の下流に配置した。最初に、シミュレートした駆動サイクルを行うことによって、6g煤/dm3CSFがCFS上に蓄積された。次に、DOC上での発熱反応を形成することによって、煤をエンジン上で燃焼させた。コモンレイルインジェクションシステムを使用して、燃焼室への追加的な燃料注入を行い、排ガス温度を、DOCへの入口で250℃から500℃に上昇させ、そしてDOC上で130℃の温度上昇を形成した。煤を燃焼させるために、CSFへの入口温度を630℃で10分間、維持した。排ガス流を150m3/h(20℃で)に設定した。CSFへの入口でのHC濃度は200ppm(C3ベーシス)、CO濃度は、100ppmであった。煤燃焼工程の間、追加的なCOが形成され、これをCSF上の触媒が同様に燃焼しなければならなかった。この追加的なCO濃度は、フィルター上の煤積載量に依存し、及びここで、最大700ppmであった。図3に示した濃度は、HCについてはCSFへの出口での平均濃度であり、及びCSFへの出口での最大CO濃度である。
【0099】
4.6結果
点火の間の300℃でのNO2/NOx割合(サンプル(1)〜(3))を図4に示す。後部領域にPdを有し、及び入口領域にPtを有するサンプル3が、NO2/NOx割合が断然として最も低く、サンプル2と比較して割合が1/4、及びサンプル1と比較して1/8の割合である。
【0100】
同時に、本発明の触媒化された煤フィルターは、サンプル1及び2に従う触媒化された煤フィルターのそれぞれのHCブレークスルーよりも低いHCブレークスルーをもたらし、そしてCOブレークスルーは、サンプル1及び2のCOブレークスルーと基本的に同じである。従って、Pdのみを後部領域に有する本発明の区分化された、触媒化された煤フィルターは、Ptのみの触媒化された煤フィルターのHC及びCOブレークスルー特性を得るか、又は僅かに改良し、及び同時にフィルターから出るガス流のNO2/NOx割合を相当に低減させる。
【0101】
同時に、サンプル3の本発明の触媒化された煤フィルターは、サンプル1及び2と比較して、Pt含有量が実質的に減少しており、例えばPdと比較してPtのコストが高いために、大きな改良になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒化された煤フィルターであって、
壁流基材を有し、該壁流基材は、
入口端、及び出口端、前記入口端と前記出口端の間に延びる基材軸長さ、及び壁流フィルター基材の内壁によって規定された複数の通路を含み;
前記複数の通路は、開放した入口端と閉じた出口端を有する入口通路、及び閉じた入口端と開放した出口端を有する出口通路を有し;
前記入口通路の内部壁は、入口被覆部を有し、該入口被覆部は、前記入口端から入口被覆部端まで延び、これにより入口被覆部長さを規定し、及び該入口被覆部長さは、基材軸長さのx%であり、そして0<x≦80であり;
出口通路の内部壁は、出口被覆部を有し、該出口被覆部は、出口端から出口被覆端まで延び、これにより出口被覆部長さを規定し、及び該出口被覆部長さは、基材軸長さの100−x%であり;
入口被覆部長さは、触媒化された煤フィルターの上流領域を規定しており、及び出口被覆部長さは触媒化された煤フィルターの下流領域を規定しており;
前記入口被覆部は、白金(Pt)及び任意にパラジウム(Pd)を含む酸化触媒を含み;
出口被覆部は、Pd及び任意にPtを含む酸化触媒を含み、前記出口被覆部のPt濃度は、入口被覆部中のPt濃度よりも低く、及び前記出口被覆部のPt:Pdの質量割合は、0:1〜2:1の範囲であり;
前記入口被覆部と前記出口被覆部は、壁流基材上に、0.5〜1.5の範囲の被覆積載割合で存在し、該被覆積載割合は、入口被覆部の積載量(g/inch3(g/(2.54cm)3)):出口被覆部の積載量(g/inch3(g/(2.54cm)3))の割合として計算される、ことを特徴とする触媒化された煤フィルター。
【請求項2】
xが20〜80の範囲、好ましくは20〜50の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の触媒化された煤フィルター。
【請求項3】
被覆部積載割合が、0.75〜1.25の範囲、好ましくは0.85〜1.15の範囲、より好ましくは0.95〜1.05の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の触媒化された煤フィルター。
【請求項4】
入口被覆部の積載量は、0.05〜1 g/inch3(g/(2.54cm)3)の範囲、好ましくは0.1〜0.5 g/inch3(g/(2.54cm)3)の範囲、より好ましくは0.2〜0.3 g/inch3(g/(2.54cm)3)の範囲であり、及び
出口被覆部の積載量は、0.05〜1g/inch3(g/(2.54cm)3)の範囲、好ましくは0.1〜0.5 g/inch3(g/(2.54cm)3)の範囲、より好ましくは0.2〜0.3 g/inch3(g/(2.54cm)3)の範囲であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の触媒化された煤フィルター。
【請求項5】
前記入口被覆部で、Pt:Pdの質量割合は、1:0〜2.5:1、好ましくは1:0〜2.1:1の範囲であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の触媒化された煤フィルター。
【請求項6】
前記入口被覆部で、Pt:Pdの質量割合は、1:0〜2:1の範囲、好ましくは1:0から2:1未満の範囲であり、より好ましくは1:0〜1:1の範囲、より好ましくは1:0から1:1未満の範囲であり、Pt:Pdの質量割合は、より好ましくは1:0であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の触媒化された煤フィルター。
【請求項7】
前記出口被覆部で、Pt:Pdの質量割合は、0:1から2:1未満の範囲、より好ましくは0:1〜1:1の範囲、より好ましくは0:1〜1:1未満の範囲であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の触媒化された煤フィルター。
【請求項8】
前記出口被覆部で、Pt:Pdの質量割合は、0:1であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の触媒化された煤フィルター。
【請求項9】
前記入口被覆部でのPt及び任意にPdの質量の合計の、前記出口被覆部でのPd及び任意にPtの質量の合計に対する質量割合は、1:6〜10:1の範囲であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の触媒化された煤フィルター。
【請求項10】
前記入口被覆部でのPt及び任意にPdの質量の合計の、前記出口被覆部でのPd及び任意にPtの質量の合計に対する質量割合は、1:6〜2:1の範囲、好ましくは1:3〜1:1の範囲であることを特徴とする請求項9に記載の触媒化された煤フィルター。
【請求項11】
前記入口被覆部で、Pt:Pdの質量割合が1:0であり、及びPtの濃度が0.5〜1g/ft3(g/(30.48cm)3)の範囲であり、及び前記出口被覆部で、Pt:Pdの質量割合が0:1であり、及びPdの濃度が0.5〜3g/ft3(g/(30.48cm)3)の範囲であることを特徴とする請求項10に記載の触媒化された煤フィルター。
【請求項12】
前記入口被覆部でのPt及び任意にPdの質量の合計の、前記出口被覆部でのPd及び任意にPtの質量の合計に対する質量割合は、2.4:1〜10:1の範囲、好ましくは5:1〜8:1の範囲であることを特徴とする請求項9に記載の触媒化された煤フィルター。
【請求項13】
前記入口被覆部で、Pt:Pdの質量割合は、1:0〜1:1の範囲、好ましくは1:0〜0:4の範囲であり、及びPtの濃度が5〜100g/ft3(g/(30.48cm)3)、好ましくは10〜60g/ft3(g/(30.48cm)3)の範囲、より好ましくは15〜40g/ft3(g/(30.48cm)3)の範囲であり、及び前記出口被覆部で、Pt:Pdの質量割合が0:1〜1:1の範囲、好ましくは0:1であり、及びPdの濃度が1〜10g/ft3(g/(30.48cm)3)の範囲、好ましくは2〜8g/ft3(g/(30.48cm)3)の範囲、より好ましくは4〜6g/ft3(g/(30.48cm)3)の範囲であることを特徴とする請求項12に記載の触媒化された煤フィルター。
【請求項14】
前記入口被覆部に含まれる酸化触媒は、Pt及び任意にPdから成り、及び前記出口被覆部に含まれる酸化触媒は、Pdから成ることを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の触媒化された煤フィルター。
【請求項15】
前記入口被覆部と、前記出口被覆部が、少なくとも1種の多孔性担体材料を含み、及び前記入口被覆部の少なくとも1種の多孔性担体材料が、好ましくは、Al23、ZrO2、CeO2、SiO2及びこれらの2種以上の混合物から成る群から選ばれ、及び前記出口被覆部の少なくとも1種の多孔性担体材料が、好ましくは、Al23、ZrO2、CeO2、SiO2及びこれらの2種以上の混合物から成る群から選ばれることを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載の触媒化された煤フィルター。
【請求項16】
前記入口被覆部の担体材料がAl23、好ましくはガンマ−Al23であり、及び前記出口被覆部の担体材料がAl23、好ましくはガンマ−Al23であることを特徴とする請求項15に記載の触媒化された煤フィルター。
【請求項17】
壁流基材は、DIN66133に従う水銀多孔率測定で測定して、多孔率が38〜75の範囲であり、及び壁流基材が、好ましくはコージライト基材、又はシリコンカーバイド基材であることを特徴とする請求項1〜16の何れか1項に記載の触媒化された煤フィルター。
【請求項18】
ディーゼルエンジン排ガス流を処理するためのシステムに含まれ、及び該システムは更に、排ガスマニホルドを介してディーゼルエンジンと流体的に結合している排ガス導管を含み、及び更に、以下の:ディーゼル酸化触媒(DOC)、選択的触媒性還元(SCR)物体、NOx貯蔵、及び還元(NSR)触媒性物体の1つ以上を、触媒化された煤フィルターと流体的に結合した状態で含むことを特徴とする請求項1〜17の何れか1項に記載の触媒化された煤フィルター。
【請求項19】
DOCの下流に配置されていることを特徴とする請求項18に記載の触媒化された煤フィルター。
【請求項20】
ディーゼルエンジン排ガス流を処理するための方法に使用するための触媒化された煤フィルターであって、
前記排ガス流は、煤粒子を含み、
前記方法は、好ましくは、排ガス流をディーゼル酸化触媒(DOC)に通した後に、排ガス流を触媒化された煤フィルターと接触させる工程を含み、
前記DOCは、好ましくは、流通基材又は壁流基材を含むことを特徴とする請求項1〜19の何れか1項に記載の触媒化された煤フィルター。
【請求項21】
以下の工程、
(i)DIN66133に従う水銀多孔率測定で測定して、多孔率が38〜75の範囲であることが好ましい壁流基材を用意する工程、
を含み、ここで、前記壁流基材は、好ましくは、コージライト基材、又はシリコンカーバイド基材であり、前記壁流基材は、入口端及び出口端、前記入口端と前記出口端の間に延びる基材軸長さ、及び壁流基材の内壁によって規定された複数の通路を含み、
前記複数の通路は、開放した入口端と閉じた出口端を有する入口通路、及び閉じた入口端と開放した出口端を有する出口通路を有し;
更に以下の工程、
(ii)入口通路の内部壁に入口被覆部を施す工程、
を含み、ここで、前記入口被覆部は、前記入口端から入口被覆部端まで延び、これにより入口被覆部長さを規定し、及び該入口被覆部長さは、基材軸長さのx%であり、そして0<x≦80であり、これにより、入口被覆部の積載量を予め設定された値に調節しており、及び該積載量は、好ましくは0.05〜1(g/inch3(g/(2.54cm)3))の範囲であり、前記入口被覆部は、白金(Pt)及び任意にパラジウム(Pd)を含む酸化触媒を含み;
更に以下の工程、
(iii)工程(ii)の前、又は工程(ii)と同時、又は工程(ii)の後に、出口通路の内部壁に出口被覆部を施す工程、
を含み、ここで、前記出口被覆部は、出口端から出口被覆端まで延び、これにより出口被覆部長さを規定し、及び該出口被覆部長さは、基材軸長さの100−x%であり、これにより、出口被覆部の積載量を予め設定された値に調節しており、及び該積載量は、好ましくは0.05〜1(g/inch3(g/(2.54cm)3))の範囲であり、及び、前記入口被覆部と前記出口被覆部は、壁流基材上に所定の被覆物積載割合で存在しており、該被覆物積載割合は、入口被覆部の積載量(in g/inch3(g/(2.54cm)3)):出口被覆部の積載量(in g/inch3(g/(2.54cm)3))の割合として計算して、0.5:1〜1.5:1の範囲であり、
前記出口被覆部は、Pd及び任意にPtを含む酸化触媒を含み、前記出口被覆部のPt濃度は、前記入口被覆部中のPt濃度よりも低く、及び前記出口被覆部のPt:Pdの質量割合は、0:1〜2:1の範囲である、ことを特徴とする請求項1〜17の何れか1項に記載の触媒化された煤フィルターを製造するための方法。
【請求項22】
ディーゼルエンジン排ガス流を処理するためのシステムであって、
排ガスマニホルドを介してディーゼルエンジンと流体的に結合している排ガス導管;
請求項1〜17の何れかに記載の触媒化された煤フィルター;及び
触媒化された煤フィルターと流体的に結合した状態の、以下の:ディーゼル酸化触媒(DOC)、選択的触媒性還元(SCR)物体、NOx貯蔵、及び還元(NSR)触媒性物体の1つ以上を含むことを特徴とするシステム。
【請求項23】
前記触媒化された煤フィルターは、DOCの下流に配置されていることを特徴とする請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
ディーゼルエンジン排ガス流を処理する方法であって、
前記排ガス流は、煤粒子を含み、
前記方法は、好ましくは、排ガスをディーゼル酸化触媒(DOC)に通した後に、排ガス流を請求項1〜17の何れかに記載の触媒化された煤フィルターと接触させる工程を含み、
前記DOCは、好ましくは、流通基材又は壁流基材を含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
DOCから得られた、又は触媒化された煤フィルターから得られた排ガス流を、選択的触媒性還元(SCR)物体に通す工程を含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2(A)】
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【図2(B)】
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【図2(C)】
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【図2(D)】
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【図4】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−520311(P2013−520311A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554458(P2012−554458)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【国際出願番号】PCT/IB2011/050732
【国際公開番号】WO2011/104666
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【出願人】(505470786)ビー・エイ・エス・エフ、コーポレーション (81)
【Fターム(参考)】