放射強度の均等性を改善した放射線源および放射線走査システム
経路に沿って移動する荷電粒子源を備えた放射線源を開示する。ビームが衝突すると放射を生成するターゲット材料が、経路に沿って配置されている。ターゲットに衝突する前のビームを偏向させるために磁石が設けられている。この磁石は、時間に対して変化する磁場または定常磁場を生成ことができる。定常磁場は、ビームにかけて空間的に変化する。磁石は電磁石または永久磁石であってよい。或る例では、ビームを偏向させることにより、ビームが複数の軸に沿ってターゲットに衝突する。別の例では、ビームの各部分が異なった形で偏向される。そのため、線源は、走査する対象物を均等な放射線によって照射することができる。荷電粒子は電子または陽子であってよく、また放射はX光線またはガンマ光線放射、または中性子であってよい。このような線源を組み込んだ走査システム、放射の生成方法、および対象物の検査方法も開示している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
物体の内容を検査するための放射線源および放射線走査システムである。
【背景技術】
【0002】
放射線は、空港、公共の建物において隠匿された密輸品を識別するための、荷物、バッグ、ブリーフケース等のような物体の非侵襲性検査に一般的に使用されている。密輸品には、例えば隠匿された銃、ナイフ、爆発装置、および違法薬物が含まれる。犯罪者およびテロリストが密輸品をより独創的に隠蔽するようになるに従い、より効果的な非侵襲性検査技術の必要性が増大してきた。密輸品の密輸出入を航空機の手荷物または機内持ち込み荷物として機内に持ち込むことはよく知られており、尽きない重要問題であるが、しかし、公への報道は少ないが、大型貨物用コンテナに密輸出入品を入れた越境または船舶による密輸出入も同様に重大な脅威である。船舶によりアメリカ合衆国内へ運び込まれる1700万個の貨物用コンテナのうちわずか2〜10%しか検査を受けていない。”Checkpoint Terror”, U.S. News and World Report、52頁、2002年2月11日。
【0003】
図1は、放射線の垂直に発散されたファンビーム16によって対象物14を走査する放射線源12を含む放射線走査システム10の略線図である。検出器18が物体14の背後に配置されており、物体を通って伝播した放射線を検出する。対象物は、搬送システム(図示せず)によって、垂直に広がったファンビーム16を通り、水平方向に(頁外部の場所へ)移動される。対象物14を通過して伝播する放射線は、対象物およびその内容物によって、異なる度合いで減衰される。この放射線の減衰は、放射線が通過する材料の密度および原子組成の関数である。減衰した放射線が検出され、対象物14の内容物の放射線写真画像が、検査の目的で生成される。この画像は、内容物の形状寸法および変化する密度を示す。
【0004】
より大型の対象物(例えば厚さ約5フィート(1.5メートル)以上)を検査するために、放射線源12は、電子20の源と、例えばタングステンのような原子番号が大きい材料のターゲット22とを含む直線加速器であってよい。電子ビーム24は、電子源20とターゲット22を通り、軸Rに沿って発せられている状態で示されているが、この電子ビーム24を中心光線と呼ぶ。電子ビーム24がターゲット22に衝突し、X線放射のビームが生成される。直線加速器については、本発明の譲渡人に譲渡され、参照により本願明細書中に組み込まれる米国特許第6,366,021 B1号、米国特許第4,400,650号、米国特許第4,382,208号にさらに詳細に記載されている。
【0005】
放射ビームは、電子源12の末端部に在るコリメータ(図示せず)によってファンビーム16内に照準される。ファンビーム16は約30°の円弧にかけて発せられる。さらに、ファンビームは対象物14の前面14aを放射する。システム10はラインスキャナと呼ばれる。
【特許文献1】米国特許第6,366,021 B1号明細書等
【特許文献2】米国特許第4,400,650号明細書等
【特許文献3】米国特許第4,382,208号明細書等
【非特許文献1】”Checkpoint Terror”, U.S. News and World Report、52頁、2002年2月11日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
中心光線と整列した、対象物14の上記面の点AにおけるX線ビームの強度は最高値のMである。X線ビーム18の強度は、中心光線Rの角度が拡大するに従って減少する。この強度は、中心光線周囲の最良で数度の角度にかけて実質的に均等である。例えば、9MeV(ピーク強度)のX線ビーム18の場合、約±12°の角度における貨物輸送手段18の面11aの上の点B、Cで示すビームの強度は、中心光線に沿った点Aにおける強度の約50%である。対象物走査のためのより優れた放射線走査システムは、最大約50%までの強度低下を補正することができる。しかし、中心光線Rから、より大きな角度にいては、強度は約50%を越えて低下するので、対象物貫通およびコントラスト感度は著しく低下する。さらに、線源10と対象物14の間の距離が増大するに従い、距離の平方の関数として、放射ビームの強度も低下する。
【0007】
一般に、標準的な貨物コンテナは、長さ20〜50フィート(6.1〜15.2メートル)、高さ8フィート(2.4メートル)、幅6〜9フィート(1.8〜2.7メートル)である。航空機の機体内に収容する複数個の荷物または他の貨物を収容するために使用される航空貨物コンテナの寸法(長さ、高さ、幅)は、約35×21×21インチ(0.89×0.53×0.53メートル)から最大で約240×118×96インチ(6.1×3.0×2.4メートル)の範囲内で異なる。一般に、海運貨物は長さ約40フィート(12.2メートル)、幅8フィート(2.4メートル)、高さ8フィート(2.4メートル)である。さらに、多数の対象物、例えば多数の荷物を1つのパレット上に乗せることができる。支持側壁を具備していてよいパレットは、貨物コンテナに相当する寸法であってよい。本願明細書中で用いている「貨物輸送手段(cargo conveyance)」という用語は、貨物コンテナ、海運コンテナ、およびパレットを包括するものである。
【0008】
大型の貨物輸送手段をX線ビームのより均等な部分(最大で約50%までの範囲内)で放射するためには、線源を貨物輸送手段から非常に遠くに離す必要がある。例えば、高さ約8フィート(2.4メートル)の貨物コンテナを、約24°(中心光線から±12°)の角度にかけて発せられた垂直放射ビームで照射するためには、放射線源は貨物コンテナの面から約19フィート(約5.8メートル)離れていなければならない。これに対して、ビームを約120°(±60°)の角度にかけて発することができる場合は、放射線源は貨物コンテナの面から約2.5フィート(約0.8メートル)離れていればよい。従来のシステムよりも放射線源が対象物に接近しているより小型の放射線操作システムが有利である。これらのシステムは占有面積が狭く、また、線源と対象物の間の距離のために放射強度の低下率が低い。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態によれば、電子のような荷電粒子のビームを複数の中心光線に沿って偏向させて、ターゲット材料に衝突させ、複数の中心光線に沿って放射線を生成することにより、対象物の表面上における放射ビームの強度分布が向上する。対応する中心光線に沿ったビームの本数が多いほど、対象物の表面上における放射線強度の均等性が高くなる。多数の中心光線に沿った荷電粒子の光線を効果的に偏向することで、検査中の対象物の表面上における強度がさらに均等となる実施形態を開示する。
【0010】
本発明の或る実施形態によれば、ハウジングと第1加速室を設けた放射線源を開示しており、上記第1加速室は、荷電粒子のビームを、室の出力部に向けて加速させる。ハウジング内に設けられている。ハウジング内の第2室は、第1室の出力部と整列した、加速する荷電粒子のビームを受けるための入力部を備えている。ターゲット材料は第2室内部に支持されている。加速した荷電粒子がターゲット材料に衝突することで、放射線が生じる。磁石は、加速した荷電粒子のビームがターゲット材料に衝突する前に偏向させるための磁場を提供するために、第2室に隣接した場所において、ハウジングによって支持されている。その結果生じた放射線は、偏向したビームの中心光線に沿って最大強度を有する。ビームを1回またはそれ以上の回数偏向させることにより、または偏向させないことにより、各々が異なる中心光線に沿って最大強度を有する複数の放射ビームを生成することができる。
【0011】
磁石は、時間に対して変化する場を生成することができ、また電磁石であってよい。電磁石は、例えば、第1方向における磁場の生成と、第1方向と反対の第2方向における磁場の生成と、オフとの間で周期的に作動することができる。次に、荷電粒子のビームが各々、第1軸に沿って偏向され、第2軸に沿って偏向され、および無偏向状態で通過させられて、各々第1軸、第2軸、第3の無偏向軸に沿ってターゲットに衝突する。ターゲットに対する、各軸に沿った衝突によって生じた放射線は各軸に沿ってピーク強度を持つ。これにより、生成された放射線により照射されている対象物が、より均等な放射強度に晒される。
【0012】
あるいは、磁石は定常磁場を提供するものであってもよい。この磁石は、荷電粒子のビーム幅にわたって空間的に変化する磁場を生成するように構成することができる。このビームは、その幅にわたって異なる形で偏向される。さらにビームは、例えば集束または分岐することができる。ビームを空間的に変化する磁場に露出させるために、磁石は不定形状の極部分を設けていてよい。この極部分は、例えば三角形である、および/または異なる距離によって分離していてもよい。磁石は永久磁石または電磁石であってよい。偏向されたビームの衝突によって生じた放射線は、或る角度範囲周囲で実質的に均等な強度を有する。ここで使用している「実質的に均等な強度」という用語は、強度が、磁石を含む放射線源の公差内で均等であることを意味する。
【0013】
荷電粒子のビームは、例えば電子ビームであってよい。ターゲットは、例えばタングステンのような耐火金属であってよい。ターゲットへの衝突によって生じる放射線は、例えばX線放射であってよい。
【0014】
本発明の別の実施形態によれば、直線加速器はハウジングを備えるものとして開示される。ハウジング内には、出力部を備えた加速室が設けられている。加速室は、出力部と整列した第1縦軸を有する。電子源は、第1縦軸に沿って電子を放出するべく、ハウジングによって支持されている。第2縦軸を有する通路を備えた管は、加速室の出力部と接続した入力部を備える第1端部を設けており、これにより第2縦軸が第1縦軸と整列する。ターゲット材料は管内に支持されている。ハウジングによって磁石が支持されている。この磁石は、管を部分的に包囲する対向した極を備えており、これにより、電子ビームがターゲットに衝突する前にこれを偏向させる磁場が提供される。
【0015】
本発明の別の実施形態によれば、ハウジングと、ハウジングによって支持された荷電粒子源とを備えた放射線源を開示している。ターゲット材料は、荷電粒子の経路に沿ってハウジングによって支持されている。荷電粒子がターゲットに衝突することで放射線が生じる。放射線源とターゲットの間に、磁石がハウジングによって支持されている。
【0016】
本発明の別の実施形態によれば、対象物を検査するシステムを開示しており、このシステムは、システム内を通過するように対象物を移動させるためのコンベアシステムと放射線源とを備えている。放射線源は、ハウジングと、ハウジングによって支持された荷電粒子の光線源とを備えている。荷電粒子源は、1本の経路に沿ってビームを提供するための出力部を設けている。この経路に沿って、ターゲット材料がハウジングにより支持されている。ターゲット材料にビームが衝突すると、ターゲットが放射線を生成する。ビームがターゲットに衝突する前にビームを偏向させるべく磁場を提供するために、磁石がハウジングによって支持され、縦経路を部分的に包囲している。放射線源は、放射線源から発せられた放射線が搬送システム上で対象物を検査目的で照射できるように、搬送システムに関連して位置決めされている。対象物と相互作用する放射線を受容するべく検出器が位置決めされている。対象物は、実質的に均等な強度で照射することができる。上述したように、ここで使用している「実質的に均等な強度」という用語は、強度が、磁石を含む放射線源の公差の範囲内において均等であることを意味する。
【0017】
放射線源を搬送システムの第1サイドに設け、検出器を搬送システムの第2サイドに設けることで、対象物を通って伝播する放射線を検出することができる。放射線源は、例えば上述したとおりに構成することができる。放射線源は第1の縦軸を備え、放射線は、第1軸と交差する第2軸に沿った中心光線を備えることで、放射線源の縦軸と整列していない対象物を照射できるようにすることが可能である。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、荷電粒子のビームをターゲットの方向へ向け、ビームを偏向させ、偏向されたビームをターゲットに衝突させる、放射線生成方法を開示する。ビームの偏向は、時間に対して変化する磁場または定磁場であってよい磁場により提供できる。この定磁場は、ビームを異なった形で偏向させるべく、荷電粒子のビーム幅にわたって空間的に変化することができる。
【0019】
本発明の別の実施形態によれば、荷電粒子のビームを縦経路に沿ってターゲットへと向け、ビームを偏向させ、偏向されたビームをターゲットに衝突させることで放射線を生成する放射線源により対象物の内容を検査する方法を開示する。この方法はさらに、対象物を放射線で照射し、対象物と相互作用している放射線を検出する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図2は、本発明の在る実施形態による放射線源100の一例の略軸断面図であり、この放射線源100では、荷電粒子のビームが加速し、ターゲットへ向けられて放射線が生成される。この荷電粒子は電子または陽子であってよい。その結果の放射線は、例えばX線放射、ガンマ線放射、または中性子であってよい。
【0021】
或る実施形態では、放射線源100は、X線放射を生成する直線加速器のような粒子加速器である。直線加速器100は、例えば荷電粒子定在波加速装置であってもよい。直線加速器100は、本体部分100bと末端部分100cを具備したハウジング100aを備えている。本体部分100bは、電磁結合したドーナツ型の共振空洞の鎖102,104を、整列した中央ビーム孔106と共に含んでいる。空洞の鎖の一端に設けられた電子銃108が、孔106を通って電子ビーム110を発する。放射線源100はベータトロンまたはサイクロトロンであってもよい。
【0022】
末端部分100c内において、ドリフト管114の第1端部が空洞の鎖の第2端部に接続している。例えばタングステンのターゲット112がドリフト管114の第2端部に提供される。ターゲット112は、以降でさらに述べるようにディスク型または楕円形であってよい。ターゲット材料は、例えば耐熱性材料のような、これ以外の、原子番号が大きい材料および融点が高い材料であってよい。ドリフト管114の周囲には磁石116が配設されている。例えばタングステンの遮蔽材料118が磁石116とドリフト管114の周囲を被覆している。空洞102、104は、瞳122によって隣接した空洞の各対と結合された「側部」または「結合」空洞120を介して、相互に電磁結合している。空洞は真空状態にある。電子ビーム110を加速するために、マイクロ波パワーが、絞り124を介して、鎖に沿った空洞の1つに侵入する。直線加速器本体110aがその共振周波数に近い周波数、例えば約1000〜約10,000MHzの周波数のマイクロ波パワーによって励起される。加速後に、電子ビーム110がターゲット112に衝突し、X線放射を発する。
【0023】
エネルギーの異なる複数の放射を発生するべく加速電子のエネルギーを変更するために、可動プランジャまたは短針126が結合空洞128の1つ内に半径方向に延びている。図2に1本のプローブ122を示している。空洞124内の短針122の背後にこれに対応する短針が設けられているが、この図からは見ることができない。短針122は、空洞内の磁場を変化させるために、コンピュータプログラムの制御下で移動されている。これにより、電子ビーム110がターゲットに衝突した際に電子によって生成される放射線のエネルギーが変更される。このような直線加速器100は、本発明の譲渡人に譲渡され、本願明細書中で参照によって援用している米国特許第6,366,021 B1号においてより詳細に記述されている。直線加速器は、やはり本発明の譲渡人に譲渡され、本願明細書中で援用している米国特許第4,400,650号、米国特許第4,382,208号においても説明されている。
【0024】
本発明の或る実施形態によれば、時間変化する磁場または定常磁場を発することができる磁石116が、電子ビーム110を、最初のビーム58の中心軸から変位した1つまたはそれ以上の場所にてターゲット112に衝突するように選択的に偏向させ、その結果生じる放射ビームの中心光線を変更するが、これについては以降でより詳しく説明する。磁石116は、時間変化する磁場または定常磁場を生成する電磁石、あるいは定常磁場を生成する永久磁石、もしくはこれらの組み合わせであってよい。
【0025】
図3は、直線加速器100の末端部分100cに設けることができる電磁石150の略正面図である。電磁石は、強磁性体または常磁性材料から成る馬蹄形のコア152を備えていてよい。例えば、鉄、ニッケルまたはアルミニウム・ニッケル・コバルト合金、例えばアルニコを使用できる。コア152は、対向する極面154、156を画定している。コイル158がコア152の周囲に巻着しており、電流源160と接続している。電流源の動作を制御するために、制御装置162が電流源と接続している。制御装置162は電流源160の一部分であっても、電流源とは別個であってもよい。時間によって変更する電流を生成するために、制御装置162はプロセッサであってよい。定電流を生成する場合には、制御装置162は、例えばオン・オフスイッチであるか、または可変設定を有するものであってよい。コイル158を流れる電流は、コア152内の極面154、156の間に磁場を誘導する。極面154、156の間の磁場の方向と大きさは、コイル内の電流の方向の変化に従って変わる。極面152、154の間に電子ビーム110が示されている。
【0026】
図4は、図3の矢印4に沿った極154の側面図である。極156は、極154の直ぐ後ろに位置しているため、この図では表示していない。ターゲット112も図示している。コイル158に電流は流れておらず、また極面間に磁場は生成されていない。加速器本体110a(この図には図示なし)による加速後に、電子ビーム110が中心光線R0に沿って移動し、ターゲット112に衝突する。放射ビーム170が生成され、中心光線R0の周囲に集中する。放射ビーム170を、例えば約20°のような望ましい角度のファンビームに照準してもよい。図7に示すように、放射ビーム170は、中心光線R0に沿ったピーク強度Mを有する。
【0027】
図5は、交流がコイル158を第1方向に向かって流れる場合の、図3の矢印に沿った極154の側面図である。図3では、磁場が極156から極154へ流れている。電子ビーム110が磁場によって、第1偏向中心光線R1に沿って、中心光線R0に対して或る角度+αの角度で偏向される。電子ビーム110は第1偏向中心光線に沿ってターゲット112に衝突し、第1偏向中心光線の周りに集中する放射ビーム172が生成される。放射ビーム172は、例えば約20°のような望ましい角度のファンビームに照準することができる。図7に示すように、放射ビーム172は、第1偏向中心光線R1に沿ってピーク強度Mを有する。
【0028】
図6は、交流が第2方向(第1方向とは反対の)に流れている場合の、図3の矢印4に沿った極154の側面図である。図3では、磁場は極154から極156へ流れている。電子ビームは磁場によって、第2偏向中心光線R2に沿い、中心光線ROに対する角度αにて偏向される。電子ビーム110が、第2偏向光線R2に沿ってターゲット112に衝突し、放射ビーム174が生成され、第2偏向中心光線R2の周囲に集中する。放射ビーム174は、例えば約20°のような望ましい角度でファンビームに照準できる。やはり図7に示すように、放射ビーム174のピーク強度Mは第2偏向中心光線R2に沿っている。
【0029】
図7は、本発明のこの実施形態に従って線源100により生成された3本の中心光線R0、R1、R2の各々の周囲に集中した放射ビーム170、172、174を示しており、これらのビームは貨物輸送手段176の面176aを放射している。各々のビームは、例えば約20°の角度にわたって広がっている。これらのビームの各々が面176aを網羅する範囲が重なり合うことで、面が完全に放射されるようにすることが好ましい。各ビーム170、172、174は、貨物輸送手段176の面176aの一部分を照射すればよいので、各ビームは図1の従来技術のように単一ビームの場合に比べてより小さい角度で放射されればよい。これにより、各々対応する中央光線からの角度が増加するに従って各々のビームにかけて低下する強度は、シングルビームを用いる場合よりも弱くなる。面176a上の3つの点D、E、Fの各々が放射のピーク強度Mを受け、また同面のこれ以外の、従来技術よりもピーク強度の点に近い部分もやはりより強度の高い放射を受ける。さらに、複数のビームを用いて対象物面を放射する場合には、単一源が対象物面全体を照射しなければならない場合よりも、線源を対象物により接近させることができる。これにより、距離による強度の低下も少なくなる。
【0030】
図4〜図6では、例証を容易化する目的で、電子ビーム110の直径D1とターゲット112の幅W2を拡大表示している。電子ビーム110の典型的な直径D1は約1〜3mmである。ディスク型ターゲットの典型的な幅W2は約2〜5mmである。ターゲット112は、電子ビーム110の偏向に対応するべく、図8に示すように楕円形に形成してもよい。例えば、電子ビーム110の直径D1が約1mmである場合、楕円形は約5〜6mmの長軸E1と、約2mmの短軸を有する。中心光線R0、R1、R2に沿った電子ビーム110の衝突位置の例を示す。衝突位置は重なっていても、重なっていなくてもよい。
【0031】
磁場は、プロセッサ162の制御の下、図4のオフ状態から、図5に示すように正の偏向を生じるために極156から極154への磁場の生成へと、そして、図6に示すように負の偏向を生じるために極154から極156への磁場の生成へと、その後、オフ状態へとすみやかに循環させることができる。例えば、1循環(オフ‐正の偏向‐負の偏向‐オフ)は約20ミリ秒を要する。そのため、サイクルの周波数は約50ヘルツであってよい。
【0032】
図9は、時間(T)に対する電流(I)のグラフであり、図3中の制御装置162の制御下で電流源160によって生成された、正弦的に時間に対して変化する電流180の一例を示している。電流180の曲線の最大点182、最少点184、ゼロ点186は、これら各々の点にて電子ビームを生成するために、例えばLINAC(登録商標)のような直線加速器の対応するパルスと合わせることができる。例えばこのような電子ビームは、それぞれ点186(図4)にて偏向されず、点182にて正的に偏向され(図5)、点184にて負的に偏向される(図6)。例えばLINAC(登録商標)は、20ミリ秒毎に、周波数50ヘルツにてパルスを発することができる。パルスは電流曲線の最大点、最小点、ゼロ点にて発せられる必要はない。またパルスは、曲線に沿った任意の所望点にて発さられることができる。
【0033】
電子ビーム110を迅速に偏向して、その結果生じる放射ビームの中心光線R0、R1、R2を迅速に偏向することにより、貨物輸送手段176の面176aまたはその他の同様の物体がより広範囲にわたって最高強度の放射線に露出され、また総体的に、図1の従来技術に示したシングル放射ビームを使用して全体面を放射する場合よりも高い放射強度に同面を露出することもできる。
【0034】
一般に3つのビームで十分であるが、特により大型の物体の場合には、これ以上の数のビームを使用することも可能である。例えば、5つのビームを使用し、垂直ファンビームによって高さ約8フィート(2.4メートル)の貨物輸送手段を照射できる。例えば、図9の曲線上の点192、194の各々にて、中心光線R0とR1の間に1つ、中心光線R0とR2の間に1つというように追加の2つの放射ビームを生成することができる。2つのビームは、特により小型の対象物に対して何らかの改善を提供することができる。貨物輸送手段176の面上の、放射強度が最大放射強度の50%内となる角度範囲を、偏向されたビームの数に従い、この実施形態によって2倍またはそれ以上に増加することができる。これにより、貨物輸送手段176の全面を、従来技術のように放射線源100を貨物輸送手段から遠くに離す必要もなく、最大放射の50%内の放射線で照射することができるようになる。
【0035】
電子ビームの角度も、プロセッサ162の制御下において、時間に対して変化する電流をコイル158に付加して、時間に対して変化する磁場を生成することにより、最大正偏向+αと最小負偏向−αの間で連続的にシフトすることが可能である。時間に対して変化する電流と、その結果の時間に対して変化する磁場は例えば正弦関数であってよい。次に、貨物輸送手段176の面176aの各点を最大強度Mに対して露出することができる。
【0036】
磁石116はさらに、不変(一定)磁場を生成する永久磁石であってよい。この場合、電子ビームの偏向に差分変化を生じさせるために、生成される磁場は電子ビーム110にわたって空間的に異なる。永久磁石は、例えば図3中のコア152と同形または類似形をした馬蹄形の磁石であってよい。この磁石は他の形状であってもよい。図10は、対向する局面202a、204aを有する極部分202、204を具備したこのような永久磁石200の一例の正面図である。永久磁石116は、対向する極部分を有する1対または複数対の永久磁石を備えていてもよい。永久磁石は、例えば鉄、コバルト、ニッケルのような強磁性材料であってよい。
【0037】
ビーム110にわたって空間的に変化する磁場は様々な方法で生成することができる。例えば、不定形の極を備えた永久磁石によって、空間的に非一様な磁場を生成することができる。図11は、図4〜図6の側面図に類似した、馬蹄形永久磁石の極に沿った側面図であり、三角形の極202を示している。この図では、極204の背後に位置するこれと対向した極を見ることはできない。図11は、電子ビーム110、ターゲット112、貨物輸送手段206も示している。
【0038】
極面202a、202b間に生成された磁場は一様である。しかし、空間を通過する電子ビーム110のそれぞれの部分は、磁場を通る経路長は異なる。例えば図11では、電子ビーム110の最上部分110aの磁場を通る経路長は最下部分110bの経路長よりも短い。さらに、最上部分110aの中心光線R3、最下部分R4の中心光線R4を示している。磁場による電子ビーム110の偏向の角度は磁場を通る経路長にある程度依存するため、電子ビーム110の最上部分110aの(偏向した中心光線R5に沿った)偏向は、最下部分110の(中心光線R6に沿った)偏向よりも短い。磁場を通る経路長は、空間内の極面202a、204a(図10を参照)の間において、極面202a、204aの頂点204、205から極面の下方面206、207へと、矢印Aに沿って増えるため、電子ビーム110の偏向の程度も、矢印Aに沿って、電子ビーム110の直径”D”にわたって(電子ビームの上方点110aからビームの下方点まで)増加する。例えば、上方部分110aは約5°の角度で偏向していてよく、最下部分110bは約20°の角度で偏向していてよい。この形状では偏向は上方に向いている。したがって、部分110a、110bは一点に集まっている。電子ビームの最上部分と最下部分の間の部分は、対応する経路長に従って中間の角度に偏向している。
【0039】
ターゲット112上における電子ビームの最上部分110aと最下部分110bの衝突により、偏向した中心光線R5、R6と整列した、偏向した中心光線R7、R8を各々有する放射ビームを生成する。中心光線R7、R8の周囲に集中した放射ビームはピーク強度Mを有する。中心光線R7、R8に沿った放射の各々は、貨物輸送手段206の側面210、212、またはその付近において、貨物輸送手段206の面208に衝突することが好ましい。電子ビーム110の中間部分も、中心光線R7、R8の間の位置にて貨物輸送手段206の面208に衝突する放射の中心光線(図示せず)を生成する。これにより、面208全面を、実質的に均等な強度のMで放射することができる。ここで、「実質的に均等な強度」とは、貨物輸送手段206の面208における強度が、磁石を含む放射線源の公差内で均等であることを意味する。
【0040】
図11の形状では、中心光線R7、R8が、貨物輸送手段203を放射する前に相互に交差し合っている。この偏向により、図12に示すように、磁場の相対強度、経路長、極面202、ターゲット112、貨物輸送手段203の相対位置に従って、電子110の上方部分110aと下方部分110bがターゲット112に衝突する前に交差できる。別の配置では、電子ビーム110の部分110a、110bも、放射線R7、R8の中心光線も交差しない。
【0041】
ターゲットの燃焼を防止するために、集束する電子ビームがターゲット112上の1つの点に集中しないことが好ましい。ターゲット112の燃焼を防止するために、集束するビームが、例えば約1〜2mmの長さでターゲット112の焦点上に集束できる。図13に示すように、ターゲット112は、より幅広の焦点を収容するべく細長形状であってよい。図13では、ターゲット112は焦点Pと同様に楕円形である。ターゲットは、これ以外の、矩形のような形状であってもよい。さらに焦点Pを示している。焦点Pは例えば楕円形であってよい。
【0042】
焦点Pは細長形状であってよく、面208によって受けられるX線放射は焦点Pの一部分のみから発せられる。例えば、光線R8に沿って発せられ、面208の上方部分に衝突する放射線は、主に、光線R6に沿って電子ビーム110bの一部分が衝突する焦点スポットPの上方部分P1から発せられる。同様に、光線R7に沿って発せられる放射線は、焦点Pの下方部分P2上で光線R5に沿った電子ビーム110の一部分110aとの衝突によって主に生成される。そのため、焦点スポットが磁場による電子ビームの発散によって広がっている場合でも、面208の各区画は、焦点のより小さい部分から発せられた放射線によって放射されるに過ぎない。したがって、放射ビームの部分に対する実効的な焦点は実焦点Pよりも小さく、またビームで照射される貨物輸送手段206の画像の空間解像が劣化することがない。
【0043】
図14に示すように、磁石200の極性が反転した場合、電子ビーム110が下方に偏向して発散する。電子ビーム110の最上部分110a、横断中心光線R9が、最下部分110b、横断中心光線R10よりは高い位置へと下方に向かって偏向する。最上部分110aは、例えば、偏向した中心光線R11に沿って−α1°度の角度で偏向することができ、一方で最下部分110bは、例えば、偏向した中心光線R12に沿って−α度の角度で偏向することができる。電子ビームの、中心光線R11に沿ったターゲット112への衝突により、中心光線R13を有する放射ビームを生成する。中心光線R12に沿う電子ビームの衝突により、中心光線R14を有する放射ビームを生成する。この図には線源100と貨物輸送手段206を示していないが、しかし、図10に示すように、中心光線R13、R14周囲に集中した放射ビームが輸送機関の側壁の前面、またはその付近の前面を放射するよう、線源を輸送機器に対して位置決めできることが明白である。最上部分110aと最下部分110bの間の電子ビーム110部分は、その最上部分から最下部分までにわたるに従い、徐々に拡大する角度に偏向されながら、貨物輸送手段206の面208の残りの部分を放射する。図11に示すように、ターゲット112は、細長い焦点スポットを収容するべく細長形状であることが好ましい。上述したように、放射ビームを生成する電子ビーム110の効果的な衝突の焦点は、ターゲット112上の実焦点よりも小さく、これにより、ビームで照射された貨物輸送手段206の画像の空間解像への悪影響が最小化される。
【0044】
極面間の距離を変えることにより、非一様な磁場も生成される。図15は、対向する極面302a、304aを各々有する極部分302、304を設けた永久磁石300の正面図である。極面は相互の方向に向かって先細りしている。この先細りは、図15中の矢印に沿って、各面302、304の上方部分から下方部分へ向かう内方先細りである。先細りは逆方向に向かう先細りであってもよい。
【0045】
極面302a、304aが近い程、磁場は強くなる。図13では、電子ビーム110aの上方部分がより弱い磁場に露出され、さらに、ビームの下方部分110bよりも小さく偏向する。磁場の方向により、電子ビーム110は上方に偏向して集束するか、または下方に偏向して発散する。上述したように、電子ビーム110は、ビームの非一様な曲がりによって、焦点スポットを拡大しながら分散する。これにより、焦点スポットの一部分のみによってX線放射が発せられる。したがって、効果的な焦点は実焦点スポットよりも小さい。
【0046】
不整形の極と、極間の異なる距離の両方を使用して、電子ビームの偏向を制御することも可能である。
【0047】
図10、図15の磁石200、300は、図3中の電磁石150のような電磁石であってもよい。この場合には、制御装置162の制御下で、電流源160が定電流を生成する。例えば図10〜図15に関連して上述したように、極面202a、204、および302a、304aの間の空間に磁場の空間的変化を作成することができる。
【0048】
さらに、図3中の磁石150は永久磁石であってもよい。永久磁石150によって確立された定常磁場は、定常磁場の上に時間に対して変化する磁場を重ねることで変えることができる。例えば、電流源160は、定常磁場の大きさの周囲で変化する磁場を誘発するコイル158(図9を参照)に、時間に対して変化する電流を供給できる。
【0049】
放射ビームの平均方向を移動することができる。図16は、貨物輸送手段350の面350aを放射ビーム352で放射している線源100の平面図であり、ここで、線源の縦軸Rは貨物輸送手段と整列しておらず、さらにはこれを横断していなくてもよい。放射ビーム352の中心光線R15は、縦軸Rと交差する軸に沿って、貨物輸送手段350の方向へと向けられる。これは、スペース上の制限がこのような整列を妨げる場合に有利である。例えば、ある構成では、中心光線R15の約30度の偏向が有用である。
【0050】
永久磁石コアを備えた電磁石を使用して、平均ビーム方向を移動し、物体の面にわたっての放射ビーム強度の均等性を向上させることができる。永久磁石によって生成された永久磁場は磁場の平均方向を移動でき、一方、時間に対して変化する磁場は、放射ビームの平均方向周囲で放射ビームの中心光線を移動することができる。
【0051】
上述の実施形態では、例えば、磁場を通る約1cmの経路長で、電子ビーム(またはその一部分)に20度の偏向を生じるためには、約1800ガウスの磁場強度が必要である。経路長が約2cmである場合には、必要な磁場強度は約900ガウスとなる。標準的な永久磁石を使用することができる。
【0052】
図17は、本発明の或る実施形態によるX線走査システム400の一例の正面図である。被検査物である貨物輸送手段402または他の物体が、本発明の或る実施形態による放射線源406と固定検出器アレイ408の間の遮蔽されたトンネル404内を搬送システム410によって移動される。放射線源406は、上述した放射線源のいずれであってもよい。放射ビームは垂直ファンビーム412内に照準される。トンネル404の壁には窓414、416が設けられ、放射線が、線源406から貨物輸送手段402へ、さらに貨物輸送機器402から検出器アレイ408へと通過できるようになっている。さらに検出器アレイ408を、遮蔽されたトンネル404内にも設置することができ、この場合には1つの窓414aのみが必要となる。搬送システム410は、放射線を低減衰させる材料から成る機械駆動式ベルトを備えることもできる。さらに搬送システム410は、放射線が通過できる隙間が形成された機械駆動式ローラを設けることができる。遮蔽壁418が線源406、検出器408及び搬送システム410の一部を包囲している。遮蔽壁418には、搬送システム410により貨物輸送手段406を走査システム400内へ、さらに走査システム400外へ搬送するための開口部(図示せず)が設けられている。物体10を別の角度から検査するために、本発明による第2固定源(図示せず)を搬送システム410の上に設け、第2固定検出器(図示せず)を搬送システムの下に設けてもよい(またはこの逆も可)。所望であれば、放射線源406は複数のエネルギーの放射線を発することができる。所望であれば、検出器アレイ408の代わりに、またはこれへの追加として、検出器を貨物輸送手段402に対して別の場所に配置して、散乱した放射線を検出することもできる。
【0053】
検出器408は、アナログ/デジタル変換器422を介して、コンピュータのようなプロセッサ420と電気接続している。プロセッサ420は、検出器アレイ408により出力されたデータを、その場または別の場所に在るモニタ424上に表示可能な画像に再構成する。この画像を分析することにより、例えば銃、ナイフ、爆発材料、核材料、薬品のような密輸品を検出できる。画像は、運搬貨物目録の確認にも使用できる。1つのプロセッサ420とA/D変換器420を示したが、技術上知られているとおりに、プロセッサ、A/D変換器、これ以外の信号処理回路をさらに追加することもできる。
【0054】
ファンビームを検出するために、検出器408は、技術上知られているように、検出器要素のモジュールを装備した1次元検出器アレイであってよい。各々の1次元検出器モジュールは、1列に並んだ複数の検出器要素を備えることができる。検出器要素は、従来技術において知られているとおり、シンチレータのような感放射線検出器、光電管またはフォトダイオードのような感光検出器を備えていてよい。カドミウム・タングステン・シンチレータのような高密度シンチレータを使用することができる。カドミウム・タングステン・シンチレータは、例えば米国オハイオ州ソロンに在るSaint Gobain Crystals社、また、Spectra-Physics社、英国ケント州に在るHilger Crystals社から、8g/cm3の密度のものが市販されている。放射ビーム412の放射スペクトルに従って、約10〜80%またはそれ以上の検出効率を有する検出器モジュールを使用することが好ましい。複数の、近接して設置された平行ファンビームも、1つまたはそれ以上のコリメータによって画定することができる。この場合には、各々のファンビームにつき1列の1次元検出器を設けることができる。
【0055】
ファンビームの代わりに、放射ビームをコーンビームに照準することができるが、この場合は、検出器408は2次元検出器モジュールを備えた検出器アレイであってよい。
【0056】
或る例では、線源406は貨物輸送手段402の面402aから、約2.5フィート(0.8メートル)の距離W1で離れている。貨物輸送手段402の高さは約8フィート(2.4メートル)である。放射線の垂直ファンビーム412は、輸送手段が垂直ファンビームを通過する際に、貨物輸送手段402の面402aを照射する目的で、線源406によって約120°の角度θにかけて発せられる。上述したように、貨物輸送手段の高さにわたっての強度変化は、放射線源406の構成に従って、約50%未満、および/または実質的に均等であってよい。システム400の幅W2は、例えば16.5フィート(約5.03メートル)であってよい。放射線源のピークエネルギーは、貨物輸送手段の寸法に依存するものであってよい。例えば、貨物コンテナの厚さが約8フィート(2.4メートル)である場合には、ピークエネルギーは6MeVまたはこれ以上であってよい。従来技術の同等のシステムでは、約34フィート(10.4メートル)またはこれ以上の幅となるだろう。
【0057】
当業者は、ここで記述した実施形態に、特許請求の範囲によって定義されている本発明の範囲から逸脱しない範囲内の変更を加えることが可能であることを理解するだろう。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】対象物を放射線の垂直発散ファンビームによって走査する放射線源を含んだ従来技術の放射線走査システムの略線図である。
【図2】本発明の或る実施形態による直線加速器のような放射線源の一例の略軸断面図である。
【図3】図2の直線加速器の末端部分に設けることができる電磁石の略図の正面図である。
【図4】矢印4に沿った図3の電磁石の極の側面図であり、電磁石が電流によって駆動されていない場合の放射ビームを示している。
【図5】図4に示した極の、また、電磁石を電流によって第1方向に駆動する場合に得られた放射ビームの側面図である。
【図6】図4に示した極の、また、電磁石を電流によって第2方向へ(第1方向と反対)駆動した結果得られた変更された放射ビームの側面図である。
【図7】貨物輸送手段の表面を放射する、図3の実施形態による放射線源第2よって生成された図4〜図6の放射ビームを示す。
【図8】図3の実施形態で使用されるターゲットの正面図である。
【図9】正弦的に時間に対して変化する電流の一例を示す、時間(T)に対する電流(I)のグラフである。
【図10】本発明の別の実施形態で使用される永久磁石の一例を示す正面図である。
【図11】図10の実施形態の永久磁石の極に沿った側面図であり、三角形の極と、結果得られる偏向された電子ビームとを示している。
【図12】図11と同様な側面図であり、ターゲットに衝突する前に互いに交差する電子ビームの最上部と最下部を示している。
【図13】図10の実施形態で使用する細長いターゲットの正面図である。
【図14】磁石の極性を反転させた状態の図11、図12に示した側面図であり、下方へ偏向し、発散した電子ビームを示している。
【図15】対向し、内方へ傾斜した極面を有する極部分を備えた永久磁石の正面図である。
【図16】貨物輸送手段貨物の表面を放射ビームで放射する放射線源の平面図であり、この場合、上記放射線源の軸は貨物輸送手段と整列していない。
【図17】本発明の或る実施形態によるX線走査システムの正面図である。
【技術分野】
【0001】
物体の内容を検査するための放射線源および放射線走査システムである。
【背景技術】
【0002】
放射線は、空港、公共の建物において隠匿された密輸品を識別するための、荷物、バッグ、ブリーフケース等のような物体の非侵襲性検査に一般的に使用されている。密輸品には、例えば隠匿された銃、ナイフ、爆発装置、および違法薬物が含まれる。犯罪者およびテロリストが密輸品をより独創的に隠蔽するようになるに従い、より効果的な非侵襲性検査技術の必要性が増大してきた。密輸品の密輸出入を航空機の手荷物または機内持ち込み荷物として機内に持ち込むことはよく知られており、尽きない重要問題であるが、しかし、公への報道は少ないが、大型貨物用コンテナに密輸出入品を入れた越境または船舶による密輸出入も同様に重大な脅威である。船舶によりアメリカ合衆国内へ運び込まれる1700万個の貨物用コンテナのうちわずか2〜10%しか検査を受けていない。”Checkpoint Terror”, U.S. News and World Report、52頁、2002年2月11日。
【0003】
図1は、放射線の垂直に発散されたファンビーム16によって対象物14を走査する放射線源12を含む放射線走査システム10の略線図である。検出器18が物体14の背後に配置されており、物体を通って伝播した放射線を検出する。対象物は、搬送システム(図示せず)によって、垂直に広がったファンビーム16を通り、水平方向に(頁外部の場所へ)移動される。対象物14を通過して伝播する放射線は、対象物およびその内容物によって、異なる度合いで減衰される。この放射線の減衰は、放射線が通過する材料の密度および原子組成の関数である。減衰した放射線が検出され、対象物14の内容物の放射線写真画像が、検査の目的で生成される。この画像は、内容物の形状寸法および変化する密度を示す。
【0004】
より大型の対象物(例えば厚さ約5フィート(1.5メートル)以上)を検査するために、放射線源12は、電子20の源と、例えばタングステンのような原子番号が大きい材料のターゲット22とを含む直線加速器であってよい。電子ビーム24は、電子源20とターゲット22を通り、軸Rに沿って発せられている状態で示されているが、この電子ビーム24を中心光線と呼ぶ。電子ビーム24がターゲット22に衝突し、X線放射のビームが生成される。直線加速器については、本発明の譲渡人に譲渡され、参照により本願明細書中に組み込まれる米国特許第6,366,021 B1号、米国特許第4,400,650号、米国特許第4,382,208号にさらに詳細に記載されている。
【0005】
放射ビームは、電子源12の末端部に在るコリメータ(図示せず)によってファンビーム16内に照準される。ファンビーム16は約30°の円弧にかけて発せられる。さらに、ファンビームは対象物14の前面14aを放射する。システム10はラインスキャナと呼ばれる。
【特許文献1】米国特許第6,366,021 B1号明細書等
【特許文献2】米国特許第4,400,650号明細書等
【特許文献3】米国特許第4,382,208号明細書等
【非特許文献1】”Checkpoint Terror”, U.S. News and World Report、52頁、2002年2月11日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
中心光線と整列した、対象物14の上記面の点AにおけるX線ビームの強度は最高値のMである。X線ビーム18の強度は、中心光線Rの角度が拡大するに従って減少する。この強度は、中心光線周囲の最良で数度の角度にかけて実質的に均等である。例えば、9MeV(ピーク強度)のX線ビーム18の場合、約±12°の角度における貨物輸送手段18の面11aの上の点B、Cで示すビームの強度は、中心光線に沿った点Aにおける強度の約50%である。対象物走査のためのより優れた放射線走査システムは、最大約50%までの強度低下を補正することができる。しかし、中心光線Rから、より大きな角度にいては、強度は約50%を越えて低下するので、対象物貫通およびコントラスト感度は著しく低下する。さらに、線源10と対象物14の間の距離が増大するに従い、距離の平方の関数として、放射ビームの強度も低下する。
【0007】
一般に、標準的な貨物コンテナは、長さ20〜50フィート(6.1〜15.2メートル)、高さ8フィート(2.4メートル)、幅6〜9フィート(1.8〜2.7メートル)である。航空機の機体内に収容する複数個の荷物または他の貨物を収容するために使用される航空貨物コンテナの寸法(長さ、高さ、幅)は、約35×21×21インチ(0.89×0.53×0.53メートル)から最大で約240×118×96インチ(6.1×3.0×2.4メートル)の範囲内で異なる。一般に、海運貨物は長さ約40フィート(12.2メートル)、幅8フィート(2.4メートル)、高さ8フィート(2.4メートル)である。さらに、多数の対象物、例えば多数の荷物を1つのパレット上に乗せることができる。支持側壁を具備していてよいパレットは、貨物コンテナに相当する寸法であってよい。本願明細書中で用いている「貨物輸送手段(cargo conveyance)」という用語は、貨物コンテナ、海運コンテナ、およびパレットを包括するものである。
【0008】
大型の貨物輸送手段をX線ビームのより均等な部分(最大で約50%までの範囲内)で放射するためには、線源を貨物輸送手段から非常に遠くに離す必要がある。例えば、高さ約8フィート(2.4メートル)の貨物コンテナを、約24°(中心光線から±12°)の角度にかけて発せられた垂直放射ビームで照射するためには、放射線源は貨物コンテナの面から約19フィート(約5.8メートル)離れていなければならない。これに対して、ビームを約120°(±60°)の角度にかけて発することができる場合は、放射線源は貨物コンテナの面から約2.5フィート(約0.8メートル)離れていればよい。従来のシステムよりも放射線源が対象物に接近しているより小型の放射線操作システムが有利である。これらのシステムは占有面積が狭く、また、線源と対象物の間の距離のために放射強度の低下率が低い。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態によれば、電子のような荷電粒子のビームを複数の中心光線に沿って偏向させて、ターゲット材料に衝突させ、複数の中心光線に沿って放射線を生成することにより、対象物の表面上における放射ビームの強度分布が向上する。対応する中心光線に沿ったビームの本数が多いほど、対象物の表面上における放射線強度の均等性が高くなる。多数の中心光線に沿った荷電粒子の光線を効果的に偏向することで、検査中の対象物の表面上における強度がさらに均等となる実施形態を開示する。
【0010】
本発明の或る実施形態によれば、ハウジングと第1加速室を設けた放射線源を開示しており、上記第1加速室は、荷電粒子のビームを、室の出力部に向けて加速させる。ハウジング内に設けられている。ハウジング内の第2室は、第1室の出力部と整列した、加速する荷電粒子のビームを受けるための入力部を備えている。ターゲット材料は第2室内部に支持されている。加速した荷電粒子がターゲット材料に衝突することで、放射線が生じる。磁石は、加速した荷電粒子のビームがターゲット材料に衝突する前に偏向させるための磁場を提供するために、第2室に隣接した場所において、ハウジングによって支持されている。その結果生じた放射線は、偏向したビームの中心光線に沿って最大強度を有する。ビームを1回またはそれ以上の回数偏向させることにより、または偏向させないことにより、各々が異なる中心光線に沿って最大強度を有する複数の放射ビームを生成することができる。
【0011】
磁石は、時間に対して変化する場を生成することができ、また電磁石であってよい。電磁石は、例えば、第1方向における磁場の生成と、第1方向と反対の第2方向における磁場の生成と、オフとの間で周期的に作動することができる。次に、荷電粒子のビームが各々、第1軸に沿って偏向され、第2軸に沿って偏向され、および無偏向状態で通過させられて、各々第1軸、第2軸、第3の無偏向軸に沿ってターゲットに衝突する。ターゲットに対する、各軸に沿った衝突によって生じた放射線は各軸に沿ってピーク強度を持つ。これにより、生成された放射線により照射されている対象物が、より均等な放射強度に晒される。
【0012】
あるいは、磁石は定常磁場を提供するものであってもよい。この磁石は、荷電粒子のビーム幅にわたって空間的に変化する磁場を生成するように構成することができる。このビームは、その幅にわたって異なる形で偏向される。さらにビームは、例えば集束または分岐することができる。ビームを空間的に変化する磁場に露出させるために、磁石は不定形状の極部分を設けていてよい。この極部分は、例えば三角形である、および/または異なる距離によって分離していてもよい。磁石は永久磁石または電磁石であってよい。偏向されたビームの衝突によって生じた放射線は、或る角度範囲周囲で実質的に均等な強度を有する。ここで使用している「実質的に均等な強度」という用語は、強度が、磁石を含む放射線源の公差内で均等であることを意味する。
【0013】
荷電粒子のビームは、例えば電子ビームであってよい。ターゲットは、例えばタングステンのような耐火金属であってよい。ターゲットへの衝突によって生じる放射線は、例えばX線放射であってよい。
【0014】
本発明の別の実施形態によれば、直線加速器はハウジングを備えるものとして開示される。ハウジング内には、出力部を備えた加速室が設けられている。加速室は、出力部と整列した第1縦軸を有する。電子源は、第1縦軸に沿って電子を放出するべく、ハウジングによって支持されている。第2縦軸を有する通路を備えた管は、加速室の出力部と接続した入力部を備える第1端部を設けており、これにより第2縦軸が第1縦軸と整列する。ターゲット材料は管内に支持されている。ハウジングによって磁石が支持されている。この磁石は、管を部分的に包囲する対向した極を備えており、これにより、電子ビームがターゲットに衝突する前にこれを偏向させる磁場が提供される。
【0015】
本発明の別の実施形態によれば、ハウジングと、ハウジングによって支持された荷電粒子源とを備えた放射線源を開示している。ターゲット材料は、荷電粒子の経路に沿ってハウジングによって支持されている。荷電粒子がターゲットに衝突することで放射線が生じる。放射線源とターゲットの間に、磁石がハウジングによって支持されている。
【0016】
本発明の別の実施形態によれば、対象物を検査するシステムを開示しており、このシステムは、システム内を通過するように対象物を移動させるためのコンベアシステムと放射線源とを備えている。放射線源は、ハウジングと、ハウジングによって支持された荷電粒子の光線源とを備えている。荷電粒子源は、1本の経路に沿ってビームを提供するための出力部を設けている。この経路に沿って、ターゲット材料がハウジングにより支持されている。ターゲット材料にビームが衝突すると、ターゲットが放射線を生成する。ビームがターゲットに衝突する前にビームを偏向させるべく磁場を提供するために、磁石がハウジングによって支持され、縦経路を部分的に包囲している。放射線源は、放射線源から発せられた放射線が搬送システム上で対象物を検査目的で照射できるように、搬送システムに関連して位置決めされている。対象物と相互作用する放射線を受容するべく検出器が位置決めされている。対象物は、実質的に均等な強度で照射することができる。上述したように、ここで使用している「実質的に均等な強度」という用語は、強度が、磁石を含む放射線源の公差の範囲内において均等であることを意味する。
【0017】
放射線源を搬送システムの第1サイドに設け、検出器を搬送システムの第2サイドに設けることで、対象物を通って伝播する放射線を検出することができる。放射線源は、例えば上述したとおりに構成することができる。放射線源は第1の縦軸を備え、放射線は、第1軸と交差する第2軸に沿った中心光線を備えることで、放射線源の縦軸と整列していない対象物を照射できるようにすることが可能である。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、荷電粒子のビームをターゲットの方向へ向け、ビームを偏向させ、偏向されたビームをターゲットに衝突させる、放射線生成方法を開示する。ビームの偏向は、時間に対して変化する磁場または定磁場であってよい磁場により提供できる。この定磁場は、ビームを異なった形で偏向させるべく、荷電粒子のビーム幅にわたって空間的に変化することができる。
【0019】
本発明の別の実施形態によれば、荷電粒子のビームを縦経路に沿ってターゲットへと向け、ビームを偏向させ、偏向されたビームをターゲットに衝突させることで放射線を生成する放射線源により対象物の内容を検査する方法を開示する。この方法はさらに、対象物を放射線で照射し、対象物と相互作用している放射線を検出する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図2は、本発明の在る実施形態による放射線源100の一例の略軸断面図であり、この放射線源100では、荷電粒子のビームが加速し、ターゲットへ向けられて放射線が生成される。この荷電粒子は電子または陽子であってよい。その結果の放射線は、例えばX線放射、ガンマ線放射、または中性子であってよい。
【0021】
或る実施形態では、放射線源100は、X線放射を生成する直線加速器のような粒子加速器である。直線加速器100は、例えば荷電粒子定在波加速装置であってもよい。直線加速器100は、本体部分100bと末端部分100cを具備したハウジング100aを備えている。本体部分100bは、電磁結合したドーナツ型の共振空洞の鎖102,104を、整列した中央ビーム孔106と共に含んでいる。空洞の鎖の一端に設けられた電子銃108が、孔106を通って電子ビーム110を発する。放射線源100はベータトロンまたはサイクロトロンであってもよい。
【0022】
末端部分100c内において、ドリフト管114の第1端部が空洞の鎖の第2端部に接続している。例えばタングステンのターゲット112がドリフト管114の第2端部に提供される。ターゲット112は、以降でさらに述べるようにディスク型または楕円形であってよい。ターゲット材料は、例えば耐熱性材料のような、これ以外の、原子番号が大きい材料および融点が高い材料であってよい。ドリフト管114の周囲には磁石116が配設されている。例えばタングステンの遮蔽材料118が磁石116とドリフト管114の周囲を被覆している。空洞102、104は、瞳122によって隣接した空洞の各対と結合された「側部」または「結合」空洞120を介して、相互に電磁結合している。空洞は真空状態にある。電子ビーム110を加速するために、マイクロ波パワーが、絞り124を介して、鎖に沿った空洞の1つに侵入する。直線加速器本体110aがその共振周波数に近い周波数、例えば約1000〜約10,000MHzの周波数のマイクロ波パワーによって励起される。加速後に、電子ビーム110がターゲット112に衝突し、X線放射を発する。
【0023】
エネルギーの異なる複数の放射を発生するべく加速電子のエネルギーを変更するために、可動プランジャまたは短針126が結合空洞128の1つ内に半径方向に延びている。図2に1本のプローブ122を示している。空洞124内の短針122の背後にこれに対応する短針が設けられているが、この図からは見ることができない。短針122は、空洞内の磁場を変化させるために、コンピュータプログラムの制御下で移動されている。これにより、電子ビーム110がターゲットに衝突した際に電子によって生成される放射線のエネルギーが変更される。このような直線加速器100は、本発明の譲渡人に譲渡され、本願明細書中で参照によって援用している米国特許第6,366,021 B1号においてより詳細に記述されている。直線加速器は、やはり本発明の譲渡人に譲渡され、本願明細書中で援用している米国特許第4,400,650号、米国特許第4,382,208号においても説明されている。
【0024】
本発明の或る実施形態によれば、時間変化する磁場または定常磁場を発することができる磁石116が、電子ビーム110を、最初のビーム58の中心軸から変位した1つまたはそれ以上の場所にてターゲット112に衝突するように選択的に偏向させ、その結果生じる放射ビームの中心光線を変更するが、これについては以降でより詳しく説明する。磁石116は、時間変化する磁場または定常磁場を生成する電磁石、あるいは定常磁場を生成する永久磁石、もしくはこれらの組み合わせであってよい。
【0025】
図3は、直線加速器100の末端部分100cに設けることができる電磁石150の略正面図である。電磁石は、強磁性体または常磁性材料から成る馬蹄形のコア152を備えていてよい。例えば、鉄、ニッケルまたはアルミニウム・ニッケル・コバルト合金、例えばアルニコを使用できる。コア152は、対向する極面154、156を画定している。コイル158がコア152の周囲に巻着しており、電流源160と接続している。電流源の動作を制御するために、制御装置162が電流源と接続している。制御装置162は電流源160の一部分であっても、電流源とは別個であってもよい。時間によって変更する電流を生成するために、制御装置162はプロセッサであってよい。定電流を生成する場合には、制御装置162は、例えばオン・オフスイッチであるか、または可変設定を有するものであってよい。コイル158を流れる電流は、コア152内の極面154、156の間に磁場を誘導する。極面154、156の間の磁場の方向と大きさは、コイル内の電流の方向の変化に従って変わる。極面152、154の間に電子ビーム110が示されている。
【0026】
図4は、図3の矢印4に沿った極154の側面図である。極156は、極154の直ぐ後ろに位置しているため、この図では表示していない。ターゲット112も図示している。コイル158に電流は流れておらず、また極面間に磁場は生成されていない。加速器本体110a(この図には図示なし)による加速後に、電子ビーム110が中心光線R0に沿って移動し、ターゲット112に衝突する。放射ビーム170が生成され、中心光線R0の周囲に集中する。放射ビーム170を、例えば約20°のような望ましい角度のファンビームに照準してもよい。図7に示すように、放射ビーム170は、中心光線R0に沿ったピーク強度Mを有する。
【0027】
図5は、交流がコイル158を第1方向に向かって流れる場合の、図3の矢印に沿った極154の側面図である。図3では、磁場が極156から極154へ流れている。電子ビーム110が磁場によって、第1偏向中心光線R1に沿って、中心光線R0に対して或る角度+αの角度で偏向される。電子ビーム110は第1偏向中心光線に沿ってターゲット112に衝突し、第1偏向中心光線の周りに集中する放射ビーム172が生成される。放射ビーム172は、例えば約20°のような望ましい角度のファンビームに照準することができる。図7に示すように、放射ビーム172は、第1偏向中心光線R1に沿ってピーク強度Mを有する。
【0028】
図6は、交流が第2方向(第1方向とは反対の)に流れている場合の、図3の矢印4に沿った極154の側面図である。図3では、磁場は極154から極156へ流れている。電子ビームは磁場によって、第2偏向中心光線R2に沿い、中心光線ROに対する角度αにて偏向される。電子ビーム110が、第2偏向光線R2に沿ってターゲット112に衝突し、放射ビーム174が生成され、第2偏向中心光線R2の周囲に集中する。放射ビーム174は、例えば約20°のような望ましい角度でファンビームに照準できる。やはり図7に示すように、放射ビーム174のピーク強度Mは第2偏向中心光線R2に沿っている。
【0029】
図7は、本発明のこの実施形態に従って線源100により生成された3本の中心光線R0、R1、R2の各々の周囲に集中した放射ビーム170、172、174を示しており、これらのビームは貨物輸送手段176の面176aを放射している。各々のビームは、例えば約20°の角度にわたって広がっている。これらのビームの各々が面176aを網羅する範囲が重なり合うことで、面が完全に放射されるようにすることが好ましい。各ビーム170、172、174は、貨物輸送手段176の面176aの一部分を照射すればよいので、各ビームは図1の従来技術のように単一ビームの場合に比べてより小さい角度で放射されればよい。これにより、各々対応する中央光線からの角度が増加するに従って各々のビームにかけて低下する強度は、シングルビームを用いる場合よりも弱くなる。面176a上の3つの点D、E、Fの各々が放射のピーク強度Mを受け、また同面のこれ以外の、従来技術よりもピーク強度の点に近い部分もやはりより強度の高い放射を受ける。さらに、複数のビームを用いて対象物面を放射する場合には、単一源が対象物面全体を照射しなければならない場合よりも、線源を対象物により接近させることができる。これにより、距離による強度の低下も少なくなる。
【0030】
図4〜図6では、例証を容易化する目的で、電子ビーム110の直径D1とターゲット112の幅W2を拡大表示している。電子ビーム110の典型的な直径D1は約1〜3mmである。ディスク型ターゲットの典型的な幅W2は約2〜5mmである。ターゲット112は、電子ビーム110の偏向に対応するべく、図8に示すように楕円形に形成してもよい。例えば、電子ビーム110の直径D1が約1mmである場合、楕円形は約5〜6mmの長軸E1と、約2mmの短軸を有する。中心光線R0、R1、R2に沿った電子ビーム110の衝突位置の例を示す。衝突位置は重なっていても、重なっていなくてもよい。
【0031】
磁場は、プロセッサ162の制御の下、図4のオフ状態から、図5に示すように正の偏向を生じるために極156から極154への磁場の生成へと、そして、図6に示すように負の偏向を生じるために極154から極156への磁場の生成へと、その後、オフ状態へとすみやかに循環させることができる。例えば、1循環(オフ‐正の偏向‐負の偏向‐オフ)は約20ミリ秒を要する。そのため、サイクルの周波数は約50ヘルツであってよい。
【0032】
図9は、時間(T)に対する電流(I)のグラフであり、図3中の制御装置162の制御下で電流源160によって生成された、正弦的に時間に対して変化する電流180の一例を示している。電流180の曲線の最大点182、最少点184、ゼロ点186は、これら各々の点にて電子ビームを生成するために、例えばLINAC(登録商標)のような直線加速器の対応するパルスと合わせることができる。例えばこのような電子ビームは、それぞれ点186(図4)にて偏向されず、点182にて正的に偏向され(図5)、点184にて負的に偏向される(図6)。例えばLINAC(登録商標)は、20ミリ秒毎に、周波数50ヘルツにてパルスを発することができる。パルスは電流曲線の最大点、最小点、ゼロ点にて発せられる必要はない。またパルスは、曲線に沿った任意の所望点にて発さられることができる。
【0033】
電子ビーム110を迅速に偏向して、その結果生じる放射ビームの中心光線R0、R1、R2を迅速に偏向することにより、貨物輸送手段176の面176aまたはその他の同様の物体がより広範囲にわたって最高強度の放射線に露出され、また総体的に、図1の従来技術に示したシングル放射ビームを使用して全体面を放射する場合よりも高い放射強度に同面を露出することもできる。
【0034】
一般に3つのビームで十分であるが、特により大型の物体の場合には、これ以上の数のビームを使用することも可能である。例えば、5つのビームを使用し、垂直ファンビームによって高さ約8フィート(2.4メートル)の貨物輸送手段を照射できる。例えば、図9の曲線上の点192、194の各々にて、中心光線R0とR1の間に1つ、中心光線R0とR2の間に1つというように追加の2つの放射ビームを生成することができる。2つのビームは、特により小型の対象物に対して何らかの改善を提供することができる。貨物輸送手段176の面上の、放射強度が最大放射強度の50%内となる角度範囲を、偏向されたビームの数に従い、この実施形態によって2倍またはそれ以上に増加することができる。これにより、貨物輸送手段176の全面を、従来技術のように放射線源100を貨物輸送手段から遠くに離す必要もなく、最大放射の50%内の放射線で照射することができるようになる。
【0035】
電子ビームの角度も、プロセッサ162の制御下において、時間に対して変化する電流をコイル158に付加して、時間に対して変化する磁場を生成することにより、最大正偏向+αと最小負偏向−αの間で連続的にシフトすることが可能である。時間に対して変化する電流と、その結果の時間に対して変化する磁場は例えば正弦関数であってよい。次に、貨物輸送手段176の面176aの各点を最大強度Mに対して露出することができる。
【0036】
磁石116はさらに、不変(一定)磁場を生成する永久磁石であってよい。この場合、電子ビームの偏向に差分変化を生じさせるために、生成される磁場は電子ビーム110にわたって空間的に異なる。永久磁石は、例えば図3中のコア152と同形または類似形をした馬蹄形の磁石であってよい。この磁石は他の形状であってもよい。図10は、対向する局面202a、204aを有する極部分202、204を具備したこのような永久磁石200の一例の正面図である。永久磁石116は、対向する極部分を有する1対または複数対の永久磁石を備えていてもよい。永久磁石は、例えば鉄、コバルト、ニッケルのような強磁性材料であってよい。
【0037】
ビーム110にわたって空間的に変化する磁場は様々な方法で生成することができる。例えば、不定形の極を備えた永久磁石によって、空間的に非一様な磁場を生成することができる。図11は、図4〜図6の側面図に類似した、馬蹄形永久磁石の極に沿った側面図であり、三角形の極202を示している。この図では、極204の背後に位置するこれと対向した極を見ることはできない。図11は、電子ビーム110、ターゲット112、貨物輸送手段206も示している。
【0038】
極面202a、202b間に生成された磁場は一様である。しかし、空間を通過する電子ビーム110のそれぞれの部分は、磁場を通る経路長は異なる。例えば図11では、電子ビーム110の最上部分110aの磁場を通る経路長は最下部分110bの経路長よりも短い。さらに、最上部分110aの中心光線R3、最下部分R4の中心光線R4を示している。磁場による電子ビーム110の偏向の角度は磁場を通る経路長にある程度依存するため、電子ビーム110の最上部分110aの(偏向した中心光線R5に沿った)偏向は、最下部分110の(中心光線R6に沿った)偏向よりも短い。磁場を通る経路長は、空間内の極面202a、204a(図10を参照)の間において、極面202a、204aの頂点204、205から極面の下方面206、207へと、矢印Aに沿って増えるため、電子ビーム110の偏向の程度も、矢印Aに沿って、電子ビーム110の直径”D”にわたって(電子ビームの上方点110aからビームの下方点まで)増加する。例えば、上方部分110aは約5°の角度で偏向していてよく、最下部分110bは約20°の角度で偏向していてよい。この形状では偏向は上方に向いている。したがって、部分110a、110bは一点に集まっている。電子ビームの最上部分と最下部分の間の部分は、対応する経路長に従って中間の角度に偏向している。
【0039】
ターゲット112上における電子ビームの最上部分110aと最下部分110bの衝突により、偏向した中心光線R5、R6と整列した、偏向した中心光線R7、R8を各々有する放射ビームを生成する。中心光線R7、R8の周囲に集中した放射ビームはピーク強度Mを有する。中心光線R7、R8に沿った放射の各々は、貨物輸送手段206の側面210、212、またはその付近において、貨物輸送手段206の面208に衝突することが好ましい。電子ビーム110の中間部分も、中心光線R7、R8の間の位置にて貨物輸送手段206の面208に衝突する放射の中心光線(図示せず)を生成する。これにより、面208全面を、実質的に均等な強度のMで放射することができる。ここで、「実質的に均等な強度」とは、貨物輸送手段206の面208における強度が、磁石を含む放射線源の公差内で均等であることを意味する。
【0040】
図11の形状では、中心光線R7、R8が、貨物輸送手段203を放射する前に相互に交差し合っている。この偏向により、図12に示すように、磁場の相対強度、経路長、極面202、ターゲット112、貨物輸送手段203の相対位置に従って、電子110の上方部分110aと下方部分110bがターゲット112に衝突する前に交差できる。別の配置では、電子ビーム110の部分110a、110bも、放射線R7、R8の中心光線も交差しない。
【0041】
ターゲットの燃焼を防止するために、集束する電子ビームがターゲット112上の1つの点に集中しないことが好ましい。ターゲット112の燃焼を防止するために、集束するビームが、例えば約1〜2mmの長さでターゲット112の焦点上に集束できる。図13に示すように、ターゲット112は、より幅広の焦点を収容するべく細長形状であってよい。図13では、ターゲット112は焦点Pと同様に楕円形である。ターゲットは、これ以外の、矩形のような形状であってもよい。さらに焦点Pを示している。焦点Pは例えば楕円形であってよい。
【0042】
焦点Pは細長形状であってよく、面208によって受けられるX線放射は焦点Pの一部分のみから発せられる。例えば、光線R8に沿って発せられ、面208の上方部分に衝突する放射線は、主に、光線R6に沿って電子ビーム110bの一部分が衝突する焦点スポットPの上方部分P1から発せられる。同様に、光線R7に沿って発せられる放射線は、焦点Pの下方部分P2上で光線R5に沿った電子ビーム110の一部分110aとの衝突によって主に生成される。そのため、焦点スポットが磁場による電子ビームの発散によって広がっている場合でも、面208の各区画は、焦点のより小さい部分から発せられた放射線によって放射されるに過ぎない。したがって、放射ビームの部分に対する実効的な焦点は実焦点Pよりも小さく、またビームで照射される貨物輸送手段206の画像の空間解像が劣化することがない。
【0043】
図14に示すように、磁石200の極性が反転した場合、電子ビーム110が下方に偏向して発散する。電子ビーム110の最上部分110a、横断中心光線R9が、最下部分110b、横断中心光線R10よりは高い位置へと下方に向かって偏向する。最上部分110aは、例えば、偏向した中心光線R11に沿って−α1°度の角度で偏向することができ、一方で最下部分110bは、例えば、偏向した中心光線R12に沿って−α度の角度で偏向することができる。電子ビームの、中心光線R11に沿ったターゲット112への衝突により、中心光線R13を有する放射ビームを生成する。中心光線R12に沿う電子ビームの衝突により、中心光線R14を有する放射ビームを生成する。この図には線源100と貨物輸送手段206を示していないが、しかし、図10に示すように、中心光線R13、R14周囲に集中した放射ビームが輸送機関の側壁の前面、またはその付近の前面を放射するよう、線源を輸送機器に対して位置決めできることが明白である。最上部分110aと最下部分110bの間の電子ビーム110部分は、その最上部分から最下部分までにわたるに従い、徐々に拡大する角度に偏向されながら、貨物輸送手段206の面208の残りの部分を放射する。図11に示すように、ターゲット112は、細長い焦点スポットを収容するべく細長形状であることが好ましい。上述したように、放射ビームを生成する電子ビーム110の効果的な衝突の焦点は、ターゲット112上の実焦点よりも小さく、これにより、ビームで照射された貨物輸送手段206の画像の空間解像への悪影響が最小化される。
【0044】
極面間の距離を変えることにより、非一様な磁場も生成される。図15は、対向する極面302a、304aを各々有する極部分302、304を設けた永久磁石300の正面図である。極面は相互の方向に向かって先細りしている。この先細りは、図15中の矢印に沿って、各面302、304の上方部分から下方部分へ向かう内方先細りである。先細りは逆方向に向かう先細りであってもよい。
【0045】
極面302a、304aが近い程、磁場は強くなる。図13では、電子ビーム110aの上方部分がより弱い磁場に露出され、さらに、ビームの下方部分110bよりも小さく偏向する。磁場の方向により、電子ビーム110は上方に偏向して集束するか、または下方に偏向して発散する。上述したように、電子ビーム110は、ビームの非一様な曲がりによって、焦点スポットを拡大しながら分散する。これにより、焦点スポットの一部分のみによってX線放射が発せられる。したがって、効果的な焦点は実焦点スポットよりも小さい。
【0046】
不整形の極と、極間の異なる距離の両方を使用して、電子ビームの偏向を制御することも可能である。
【0047】
図10、図15の磁石200、300は、図3中の電磁石150のような電磁石であってもよい。この場合には、制御装置162の制御下で、電流源160が定電流を生成する。例えば図10〜図15に関連して上述したように、極面202a、204、および302a、304aの間の空間に磁場の空間的変化を作成することができる。
【0048】
さらに、図3中の磁石150は永久磁石であってもよい。永久磁石150によって確立された定常磁場は、定常磁場の上に時間に対して変化する磁場を重ねることで変えることができる。例えば、電流源160は、定常磁場の大きさの周囲で変化する磁場を誘発するコイル158(図9を参照)に、時間に対して変化する電流を供給できる。
【0049】
放射ビームの平均方向を移動することができる。図16は、貨物輸送手段350の面350aを放射ビーム352で放射している線源100の平面図であり、ここで、線源の縦軸Rは貨物輸送手段と整列しておらず、さらにはこれを横断していなくてもよい。放射ビーム352の中心光線R15は、縦軸Rと交差する軸に沿って、貨物輸送手段350の方向へと向けられる。これは、スペース上の制限がこのような整列を妨げる場合に有利である。例えば、ある構成では、中心光線R15の約30度の偏向が有用である。
【0050】
永久磁石コアを備えた電磁石を使用して、平均ビーム方向を移動し、物体の面にわたっての放射ビーム強度の均等性を向上させることができる。永久磁石によって生成された永久磁場は磁場の平均方向を移動でき、一方、時間に対して変化する磁場は、放射ビームの平均方向周囲で放射ビームの中心光線を移動することができる。
【0051】
上述の実施形態では、例えば、磁場を通る約1cmの経路長で、電子ビーム(またはその一部分)に20度の偏向を生じるためには、約1800ガウスの磁場強度が必要である。経路長が約2cmである場合には、必要な磁場強度は約900ガウスとなる。標準的な永久磁石を使用することができる。
【0052】
図17は、本発明の或る実施形態によるX線走査システム400の一例の正面図である。被検査物である貨物輸送手段402または他の物体が、本発明の或る実施形態による放射線源406と固定検出器アレイ408の間の遮蔽されたトンネル404内を搬送システム410によって移動される。放射線源406は、上述した放射線源のいずれであってもよい。放射ビームは垂直ファンビーム412内に照準される。トンネル404の壁には窓414、416が設けられ、放射線が、線源406から貨物輸送手段402へ、さらに貨物輸送機器402から検出器アレイ408へと通過できるようになっている。さらに検出器アレイ408を、遮蔽されたトンネル404内にも設置することができ、この場合には1つの窓414aのみが必要となる。搬送システム410は、放射線を低減衰させる材料から成る機械駆動式ベルトを備えることもできる。さらに搬送システム410は、放射線が通過できる隙間が形成された機械駆動式ローラを設けることができる。遮蔽壁418が線源406、検出器408及び搬送システム410の一部を包囲している。遮蔽壁418には、搬送システム410により貨物輸送手段406を走査システム400内へ、さらに走査システム400外へ搬送するための開口部(図示せず)が設けられている。物体10を別の角度から検査するために、本発明による第2固定源(図示せず)を搬送システム410の上に設け、第2固定検出器(図示せず)を搬送システムの下に設けてもよい(またはこの逆も可)。所望であれば、放射線源406は複数のエネルギーの放射線を発することができる。所望であれば、検出器アレイ408の代わりに、またはこれへの追加として、検出器を貨物輸送手段402に対して別の場所に配置して、散乱した放射線を検出することもできる。
【0053】
検出器408は、アナログ/デジタル変換器422を介して、コンピュータのようなプロセッサ420と電気接続している。プロセッサ420は、検出器アレイ408により出力されたデータを、その場または別の場所に在るモニタ424上に表示可能な画像に再構成する。この画像を分析することにより、例えば銃、ナイフ、爆発材料、核材料、薬品のような密輸品を検出できる。画像は、運搬貨物目録の確認にも使用できる。1つのプロセッサ420とA/D変換器420を示したが、技術上知られているとおりに、プロセッサ、A/D変換器、これ以外の信号処理回路をさらに追加することもできる。
【0054】
ファンビームを検出するために、検出器408は、技術上知られているように、検出器要素のモジュールを装備した1次元検出器アレイであってよい。各々の1次元検出器モジュールは、1列に並んだ複数の検出器要素を備えることができる。検出器要素は、従来技術において知られているとおり、シンチレータのような感放射線検出器、光電管またはフォトダイオードのような感光検出器を備えていてよい。カドミウム・タングステン・シンチレータのような高密度シンチレータを使用することができる。カドミウム・タングステン・シンチレータは、例えば米国オハイオ州ソロンに在るSaint Gobain Crystals社、また、Spectra-Physics社、英国ケント州に在るHilger Crystals社から、8g/cm3の密度のものが市販されている。放射ビーム412の放射スペクトルに従って、約10〜80%またはそれ以上の検出効率を有する検出器モジュールを使用することが好ましい。複数の、近接して設置された平行ファンビームも、1つまたはそれ以上のコリメータによって画定することができる。この場合には、各々のファンビームにつき1列の1次元検出器を設けることができる。
【0055】
ファンビームの代わりに、放射ビームをコーンビームに照準することができるが、この場合は、検出器408は2次元検出器モジュールを備えた検出器アレイであってよい。
【0056】
或る例では、線源406は貨物輸送手段402の面402aから、約2.5フィート(0.8メートル)の距離W1で離れている。貨物輸送手段402の高さは約8フィート(2.4メートル)である。放射線の垂直ファンビーム412は、輸送手段が垂直ファンビームを通過する際に、貨物輸送手段402の面402aを照射する目的で、線源406によって約120°の角度θにかけて発せられる。上述したように、貨物輸送手段の高さにわたっての強度変化は、放射線源406の構成に従って、約50%未満、および/または実質的に均等であってよい。システム400の幅W2は、例えば16.5フィート(約5.03メートル)であってよい。放射線源のピークエネルギーは、貨物輸送手段の寸法に依存するものであってよい。例えば、貨物コンテナの厚さが約8フィート(2.4メートル)である場合には、ピークエネルギーは6MeVまたはこれ以上であってよい。従来技術の同等のシステムでは、約34フィート(10.4メートル)またはこれ以上の幅となるだろう。
【0057】
当業者は、ここで記述した実施形態に、特許請求の範囲によって定義されている本発明の範囲から逸脱しない範囲内の変更を加えることが可能であることを理解するだろう。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】対象物を放射線の垂直発散ファンビームによって走査する放射線源を含んだ従来技術の放射線走査システムの略線図である。
【図2】本発明の或る実施形態による直線加速器のような放射線源の一例の略軸断面図である。
【図3】図2の直線加速器の末端部分に設けることができる電磁石の略図の正面図である。
【図4】矢印4に沿った図3の電磁石の極の側面図であり、電磁石が電流によって駆動されていない場合の放射ビームを示している。
【図5】図4に示した極の、また、電磁石を電流によって第1方向に駆動する場合に得られた放射ビームの側面図である。
【図6】図4に示した極の、また、電磁石を電流によって第2方向へ(第1方向と反対)駆動した結果得られた変更された放射ビームの側面図である。
【図7】貨物輸送手段の表面を放射する、図3の実施形態による放射線源第2よって生成された図4〜図6の放射ビームを示す。
【図8】図3の実施形態で使用されるターゲットの正面図である。
【図9】正弦的に時間に対して変化する電流の一例を示す、時間(T)に対する電流(I)のグラフである。
【図10】本発明の別の実施形態で使用される永久磁石の一例を示す正面図である。
【図11】図10の実施形態の永久磁石の極に沿った側面図であり、三角形の極と、結果得られる偏向された電子ビームとを示している。
【図12】図11と同様な側面図であり、ターゲットに衝突する前に互いに交差する電子ビームの最上部と最下部を示している。
【図13】図10の実施形態で使用する細長いターゲットの正面図である。
【図14】磁石の極性を反転させた状態の図11、図12に示した側面図であり、下方へ偏向し、発散した電子ビームを示している。
【図15】対向し、内方へ傾斜した極面を有する極部分を備えた永久磁石の正面図である。
【図16】貨物輸送手段貨物の表面を放射ビームで放射する放射線源の平面図であり、この場合、上記放射線源の軸は貨物輸送手段と整列していない。
【図17】本発明の或る実施形態によるX線走査システムの正面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線源であり:
ハウジングを備え;
荷電粒子のビームを加速するための、前記ハウジング内に設けられた第1加速チャンバをさらに備え、前記第1チャンバが出力部を有し;
前記ハウジング内に設けられた第2チャンバをさらに備え、前記第2チャンバが、加速した荷電粒子のビームを受けるための、第1チャンバの出力部と整列した入力部を有し、
第2チャンバ内に支持されているターゲット材料をさらに備え、この場合、加速された荷電粒子によるターゲット材料の衝突により放射線が生成され;さらに、
ターゲット材料への衝突前に加速した電荷粒子のビームを偏向するべく磁場を提供するために、第2チャンバ付近に、ハウジングによって支持されている磁石をさらに備えている放射線源。
【請求項2】
動作中に、前記磁石が時間に対して変化する磁場を提供する、請求項1に記載の放射線源。
【請求項3】
前記磁石が電磁石である、請求項2に記載の放射線源。
【請求項4】
前記電磁石が:
第1、第2の対向する極面を画定するコアを備え、前記コアが、内部に磁場を誘発できる材料を備えており;
前記コアの少なくとも一部分に巻着したコイルをさらに備え;
前記コイルと接続した電流源をさらに備え;さらに、
前記電流源と接続した制御装置をさらに備えている、請求項3に記載の放射線源。
【請求項5】
前記コアが磁気材料を備えている、請求項4に記載の放射線源。
【請求項6】
前記制御装置が、ビームを第1軸に沿って偏向させるべく磁場を提供するために、少なくとも第1方向に向かう電流の流れを選択的に生じさせる、請求項4に記載の放射線源。
【請求項7】
前記制御装置が、ビームを第2軸に沿って偏向させるべく第2磁場を生成するために、第1方向と反対の第2方向に向かう電流の流れを選択的に生じさせる、請求項6に記載の放射線源。
【請求項8】
前記制御装置が、ビームが第3軸に沿って偏向されずに移動できるようにするために、電流の流れを選択的に生じさせない、請求項7に記載の放射線源。
【請求項9】
制御装置が、第1方向への電流の流れを生じるべく、第2方向への電流の流れを生じるべく、また電流の流れを生じないように繰り返し循環するようプログラムされている、請求項8に記載の放射線源。
【請求項10】
ビームが第2軸に沿って偏向されずに移動できるようにするため、前記制御装置が電流の流れを選択的に生じさせない、請求項6に記載の放射線源。
【請求項11】
磁石が定常磁場を提供する、請求項1に記載の放射線源。
【請求項12】
前記磁石が対向する極部分を有し;
前記荷電粒子のビームが対向する極部分間の経路に沿って移動し;
前記荷電粒子のビームが或る幅を有し;さらに、
前記極部分が、ビーム部分が、極部分間に提供された磁場を通る、ビーム幅にわたって異なる経路長を有するように構成されている、請求項11に記載の放射線源。
【請求項13】
前記極部分が不整形形状を有する、請求項12に記載の放射線源。
【請求項14】
前記極部分が三角形である、請求項13に記載の放射線源。
【請求項15】
前記極部分が、異なる距離で離間している、請求項14に記載の放射線源。
【請求項16】
前記磁石が永久磁石である、請求項11に記載の放射線源。
【請求項17】
前記磁石が電磁石である、請求項11に記載の放射線源。
【請求項18】
前記第1チャンバと第2チャンバが整列した縦軸を有し、この軸に沿ってビームが移動し;さらに、
ターゲットが前記縦軸と整列している、請求項1に記載の放射線源。
【請求項19】
第1チャンバ内へビームを発するために、ハウジングによって支持された荷電粒子のビームの源を備えている、請求項1に記載の放射線源。
【請求項20】
荷電粒子の源が電子のビームの源であり;さらに、
ビームがターゲットに衝突することで、X線放射が生成される、請求項19に記載の放射線源。
【請求項21】
ターゲットがタングステンである、請求項1に記載の放射線源。
【請求項22】
ターゲットが、ビームの偏向の方向に沿った細長形状を有する、請求項1に記載の放射線源。
【請求項23】
前記ハウジングが縦軸を有し;さらに、
縦軸を横切る中心光線に沿って放射線が発せられる、請求項1に記載の放射線源。
【請求項24】
直線加速器であり:
ハウジングを備え;
前記ハウジング内に配置された加速チャンバをさらに備え、前記チャンバが出力部と、前記出力部と整列した第1縦軸とを有し;
前記第1縦軸に沿って電子を発するための、前記ハウジングによって支持された電子源をさらに備え;
第2縦軸を有する通路を具備した管をさらに備え、前記管が、チャンバの出力部に接続した入力部を有する第1端部を設け、第2縦軸が第1縦軸と整列し;
前記管内に、電子経路に沿って支持されたターゲット材料をさらに備え、前記ターゲットに電子が衝突することで、X線放射が生成され;さらに、
前記ハウジング内に支持された磁石をさらに備え、前記磁石が、ターゲットに衝突する前に電子を偏向させるべく、管を通る磁場を提供するために、管と対面した対向する極部分を有する、直線加速装置。
【請求項25】
動作中に、前記磁石が、時間に対して変化する磁場を提供する、請求項24に記載の直線加速器。
【請求項26】
動作中に、磁石が定常磁場を提供する、請求項24に記載の直線加速器。
【請求項27】
前記ターゲット材料が耐熱性材料を備えている、請求項25に記載の直線加速器。
【請求項28】
放射線源であり:
ハウジングを備え;
ビームを経路に沿って発するための、前記ハウジングによって支持された荷電粒子ビーム源をさらに備え;
前記ビームの経路に沿ってハウジングにより支持されたターゲット材料をさらに備え、ビームがターゲットに衝突することで放射線が生成され;さらに、
前記源とターゲットの間で前記ハウジングによって支持された磁石をさらに備えている放射線源。
【請求項29】
前記磁石が定常磁場を提供する、請求項28に記載の放射線源。
【請求項30】
前記磁場がビーム幅にわたって空間的に変化する、請求項29に記載の放射線源。
【請求項31】
前記磁石が、時間に対して変化する磁場を提供する、請求項28に記載の放射線源。
【請求項32】
対象物を検査するためのシステムであって:
前記システムにかけて前記対象物を移動させる搬送システムを備え;
放射線源をさらに備え、前記放射線源が;
ハウジングと;
ビームを経路に沿って発するための、前記ハウジングによって支持された荷電粒子のビーム源と;
経路に沿って前記ハウジングにより支持されたターゲット材料とを備え、ビームがターゲットに衝突することで放射線が生成され;さらに、
ターゲットに衝突する前にビームを偏向させるべく磁場を提供するために、前記源とターゲットの間で前記ハウジングによって支持された磁石をさらに備えており;
前記システムがさらに、対象物との相互作用した後の放射線を受けるための検出器を備え;
ここで:
検査のために、放射線源から発せられた放射線が搬送システム上で対象物を照射するように、放射線源が前記搬送システムに対して位置決めされているシステム。
【請求項33】
前記放射線源が搬送システムの第1サイドに設けられており、前記システムがさらに:
前記対象物を通過して伝播した放射線を検出するために、前記搬送システムの第2サイドに設けられた検出器を備えている、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記磁石が、動作中に時間に対して変化する磁場を提供する、請求項32に記載のシステム。
【請求項35】
前記磁石が定常磁場を提供する、請求項32に記載のシステム。
【請求項36】
前記磁石が、ビーム幅にわたって空間的に変化する磁場を提供する、請求項32に記載のシステム。
【請求項37】
前記放射線が、実質的に一様な強度で対象物を照射する、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記荷電粒子源が電子源であり;さらに、
前記ターゲット材料が、電子によって衝突されるとX線放射を生成する、請求項32に記載のシステム。
【請求項39】
前記放射線源が第1縦軸を有し;さらに、
中心光線に沿って対象物を照射するために、前記放射線が、縦軸を横切る中心光線に沿って発せられる、請求項32に記載のシステム。
【請求項40】
放射線を生成する方法であり:
荷電粒子のビームをターゲットに向け;
前記ビームを偏向し;さらに、
前記ターゲットに前記偏向されたビームを衝突させる方法。
【請求項41】
磁場を提供することで前記ビームを偏向させる、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
時間に対して変化する磁場を提供することにより前記ビームを偏向させる、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
定常磁場を提供することにより前記ビームを偏向させる、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
ビームに、ビームの幅に沿って空間的に変化する磁場を通過させることで前記ビームを偏向させる、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記電子ビームを軸に沿って偏向させ;
前記軸に沿って前記ターゲットに衝突させ;さらに、
前記軸に沿って中心光線を有する放射を生成する、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
前記ビームがターゲットに衝突するとX線放射を生成する、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
放射線源によって対象物の内容を検査する方法であり、前記方法が:
荷電粒子のビームを、経路に沿ってターゲットに向け;
前記ビームを偏向させ;
前記ターゲットに偏向されたビームを衝突させて放射線を提供し;
前記対象物を前記放射線で照射し;さらに、
前記対象物と相互作用する放射線を検出する方法。
【請求項48】
時間に対して変化する磁場によって前記ビームを偏向させる、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
定常磁場によって前記ビームを偏向させる、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記ビーム幅にわたって空間的に変化する磁場によって前記ビームを偏向させる、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記ビームが電子ビームであり、前記方法が、
前記ターゲットに電子ビームを衝突させてX線放射を生成することにより、磁場を提供する、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
第1縦軸を備えた源から前記放射を発し;さらに、
前記放射によって、前記対象物を、前記第1軸を横切る第2軸に沿って照射する、請求項47に記載の方法。
【請求項1】
放射線源であり:
ハウジングを備え;
荷電粒子のビームを加速するための、前記ハウジング内に設けられた第1加速チャンバをさらに備え、前記第1チャンバが出力部を有し;
前記ハウジング内に設けられた第2チャンバをさらに備え、前記第2チャンバが、加速した荷電粒子のビームを受けるための、第1チャンバの出力部と整列した入力部を有し、
第2チャンバ内に支持されているターゲット材料をさらに備え、この場合、加速された荷電粒子によるターゲット材料の衝突により放射線が生成され;さらに、
ターゲット材料への衝突前に加速した電荷粒子のビームを偏向するべく磁場を提供するために、第2チャンバ付近に、ハウジングによって支持されている磁石をさらに備えている放射線源。
【請求項2】
動作中に、前記磁石が時間に対して変化する磁場を提供する、請求項1に記載の放射線源。
【請求項3】
前記磁石が電磁石である、請求項2に記載の放射線源。
【請求項4】
前記電磁石が:
第1、第2の対向する極面を画定するコアを備え、前記コアが、内部に磁場を誘発できる材料を備えており;
前記コアの少なくとも一部分に巻着したコイルをさらに備え;
前記コイルと接続した電流源をさらに備え;さらに、
前記電流源と接続した制御装置をさらに備えている、請求項3に記載の放射線源。
【請求項5】
前記コアが磁気材料を備えている、請求項4に記載の放射線源。
【請求項6】
前記制御装置が、ビームを第1軸に沿って偏向させるべく磁場を提供するために、少なくとも第1方向に向かう電流の流れを選択的に生じさせる、請求項4に記載の放射線源。
【請求項7】
前記制御装置が、ビームを第2軸に沿って偏向させるべく第2磁場を生成するために、第1方向と反対の第2方向に向かう電流の流れを選択的に生じさせる、請求項6に記載の放射線源。
【請求項8】
前記制御装置が、ビームが第3軸に沿って偏向されずに移動できるようにするために、電流の流れを選択的に生じさせない、請求項7に記載の放射線源。
【請求項9】
制御装置が、第1方向への電流の流れを生じるべく、第2方向への電流の流れを生じるべく、また電流の流れを生じないように繰り返し循環するようプログラムされている、請求項8に記載の放射線源。
【請求項10】
ビームが第2軸に沿って偏向されずに移動できるようにするため、前記制御装置が電流の流れを選択的に生じさせない、請求項6に記載の放射線源。
【請求項11】
磁石が定常磁場を提供する、請求項1に記載の放射線源。
【請求項12】
前記磁石が対向する極部分を有し;
前記荷電粒子のビームが対向する極部分間の経路に沿って移動し;
前記荷電粒子のビームが或る幅を有し;さらに、
前記極部分が、ビーム部分が、極部分間に提供された磁場を通る、ビーム幅にわたって異なる経路長を有するように構成されている、請求項11に記載の放射線源。
【請求項13】
前記極部分が不整形形状を有する、請求項12に記載の放射線源。
【請求項14】
前記極部分が三角形である、請求項13に記載の放射線源。
【請求項15】
前記極部分が、異なる距離で離間している、請求項14に記載の放射線源。
【請求項16】
前記磁石が永久磁石である、請求項11に記載の放射線源。
【請求項17】
前記磁石が電磁石である、請求項11に記載の放射線源。
【請求項18】
前記第1チャンバと第2チャンバが整列した縦軸を有し、この軸に沿ってビームが移動し;さらに、
ターゲットが前記縦軸と整列している、請求項1に記載の放射線源。
【請求項19】
第1チャンバ内へビームを発するために、ハウジングによって支持された荷電粒子のビームの源を備えている、請求項1に記載の放射線源。
【請求項20】
荷電粒子の源が電子のビームの源であり;さらに、
ビームがターゲットに衝突することで、X線放射が生成される、請求項19に記載の放射線源。
【請求項21】
ターゲットがタングステンである、請求項1に記載の放射線源。
【請求項22】
ターゲットが、ビームの偏向の方向に沿った細長形状を有する、請求項1に記載の放射線源。
【請求項23】
前記ハウジングが縦軸を有し;さらに、
縦軸を横切る中心光線に沿って放射線が発せられる、請求項1に記載の放射線源。
【請求項24】
直線加速器であり:
ハウジングを備え;
前記ハウジング内に配置された加速チャンバをさらに備え、前記チャンバが出力部と、前記出力部と整列した第1縦軸とを有し;
前記第1縦軸に沿って電子を発するための、前記ハウジングによって支持された電子源をさらに備え;
第2縦軸を有する通路を具備した管をさらに備え、前記管が、チャンバの出力部に接続した入力部を有する第1端部を設け、第2縦軸が第1縦軸と整列し;
前記管内に、電子経路に沿って支持されたターゲット材料をさらに備え、前記ターゲットに電子が衝突することで、X線放射が生成され;さらに、
前記ハウジング内に支持された磁石をさらに備え、前記磁石が、ターゲットに衝突する前に電子を偏向させるべく、管を通る磁場を提供するために、管と対面した対向する極部分を有する、直線加速装置。
【請求項25】
動作中に、前記磁石が、時間に対して変化する磁場を提供する、請求項24に記載の直線加速器。
【請求項26】
動作中に、磁石が定常磁場を提供する、請求項24に記載の直線加速器。
【請求項27】
前記ターゲット材料が耐熱性材料を備えている、請求項25に記載の直線加速器。
【請求項28】
放射線源であり:
ハウジングを備え;
ビームを経路に沿って発するための、前記ハウジングによって支持された荷電粒子ビーム源をさらに備え;
前記ビームの経路に沿ってハウジングにより支持されたターゲット材料をさらに備え、ビームがターゲットに衝突することで放射線が生成され;さらに、
前記源とターゲットの間で前記ハウジングによって支持された磁石をさらに備えている放射線源。
【請求項29】
前記磁石が定常磁場を提供する、請求項28に記載の放射線源。
【請求項30】
前記磁場がビーム幅にわたって空間的に変化する、請求項29に記載の放射線源。
【請求項31】
前記磁石が、時間に対して変化する磁場を提供する、請求項28に記載の放射線源。
【請求項32】
対象物を検査するためのシステムであって:
前記システムにかけて前記対象物を移動させる搬送システムを備え;
放射線源をさらに備え、前記放射線源が;
ハウジングと;
ビームを経路に沿って発するための、前記ハウジングによって支持された荷電粒子のビーム源と;
経路に沿って前記ハウジングにより支持されたターゲット材料とを備え、ビームがターゲットに衝突することで放射線が生成され;さらに、
ターゲットに衝突する前にビームを偏向させるべく磁場を提供するために、前記源とターゲットの間で前記ハウジングによって支持された磁石をさらに備えており;
前記システムがさらに、対象物との相互作用した後の放射線を受けるための検出器を備え;
ここで:
検査のために、放射線源から発せられた放射線が搬送システム上で対象物を照射するように、放射線源が前記搬送システムに対して位置決めされているシステム。
【請求項33】
前記放射線源が搬送システムの第1サイドに設けられており、前記システムがさらに:
前記対象物を通過して伝播した放射線を検出するために、前記搬送システムの第2サイドに設けられた検出器を備えている、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記磁石が、動作中に時間に対して変化する磁場を提供する、請求項32に記載のシステム。
【請求項35】
前記磁石が定常磁場を提供する、請求項32に記載のシステム。
【請求項36】
前記磁石が、ビーム幅にわたって空間的に変化する磁場を提供する、請求項32に記載のシステム。
【請求項37】
前記放射線が、実質的に一様な強度で対象物を照射する、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記荷電粒子源が電子源であり;さらに、
前記ターゲット材料が、電子によって衝突されるとX線放射を生成する、請求項32に記載のシステム。
【請求項39】
前記放射線源が第1縦軸を有し;さらに、
中心光線に沿って対象物を照射するために、前記放射線が、縦軸を横切る中心光線に沿って発せられる、請求項32に記載のシステム。
【請求項40】
放射線を生成する方法であり:
荷電粒子のビームをターゲットに向け;
前記ビームを偏向し;さらに、
前記ターゲットに前記偏向されたビームを衝突させる方法。
【請求項41】
磁場を提供することで前記ビームを偏向させる、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
時間に対して変化する磁場を提供することにより前記ビームを偏向させる、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
定常磁場を提供することにより前記ビームを偏向させる、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
ビームに、ビームの幅に沿って空間的に変化する磁場を通過させることで前記ビームを偏向させる、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記電子ビームを軸に沿って偏向させ;
前記軸に沿って前記ターゲットに衝突させ;さらに、
前記軸に沿って中心光線を有する放射を生成する、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
前記ビームがターゲットに衝突するとX線放射を生成する、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
放射線源によって対象物の内容を検査する方法であり、前記方法が:
荷電粒子のビームを、経路に沿ってターゲットに向け;
前記ビームを偏向させ;
前記ターゲットに偏向されたビームを衝突させて放射線を提供し;
前記対象物を前記放射線で照射し;さらに、
前記対象物と相互作用する放射線を検出する方法。
【請求項48】
時間に対して変化する磁場によって前記ビームを偏向させる、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
定常磁場によって前記ビームを偏向させる、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記ビーム幅にわたって空間的に変化する磁場によって前記ビームを偏向させる、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記ビームが電子ビームであり、前記方法が、
前記ターゲットに電子ビームを衝突させてX線放射を生成することにより、磁場を提供する、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
第1縦軸を備えた源から前記放射を発し;さらに、
前記放射によって、前記対象物を、前記第1軸を横切る第2軸に沿って照射する、請求項47に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2006−526268(P2006−526268A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−513240(P2006−513240)
【出願日】平成16年4月23日(2004.4.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/012511
【国際公開番号】WO2004/097337
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(303064178)ヴァリアン メディカル システムズ テクノロジーズ インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年4月23日(2004.4.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/012511
【国際公開番号】WO2004/097337
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(303064178)ヴァリアン メディカル システムズ テクノロジーズ インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】
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