説明

放射性医薬品の製造のための方法

本発明は、陽電子放出断層撮影(PET)のための[F−18]標識放射性トレーサの製造のための新規な方法に関する。本発明はまた、これらの方法を用いた放射性医薬品キットを含んで成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陽電子放出断層撮影(PET)のための[F−18]標識放射性トレーサの製造のための新規な方法に関する。本発明はまた、これらの方法を用いた放射性医薬品キットを含んで成る。
【背景技術】
【0002】
F−18は、110分の好適な半減期及び低いβ+エネルギー(635keV)により、現在、陽電子放出断層撮影(PET)のための最も重要なアイソトープである(Wiist, F. (2005) Amino Acids, 29, 323-339)。しかしながら、比較的短い半減期は、F−18標識化合物の迅速な合成及び精製を必要とする。
【0003】
F−18標識放射性トレーサの求核的な製造のための一般的なプロトコルは、以下の段階を含む。
18O(p,n)18F反応によるサイクロトロンにおけるF−18アイソトープの製造。
・陰イオン交換樹脂(例えば、QMA、PS−30)に[F−18]フッ化物水溶液を通過させる。
・塩基/溶媒混合物(クリプトフィクス(登録商標)(KryptofixTM)(4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]−ヘキサコサン)が通常用いられる)、アセトニトリル/水中の炭酸カリウム、又はアセトニトリル/水中のテトラアルキルアンモニウム塩を用いた[F−18]フッ化物の溶出。
・加熱、ガス流及び/又は真空、任意のアセトニトリルの添加や繰り返し乾燥により、上記混合物を乾燥すること。
・有機溶媒中における前駆物質の添加。
・室温〜180℃における、又はマイクロ波照射による求核フッ素化。
・任意的な、その後の反応又は保護基の変換。
【0004】
また、カートリッジにおいて[F−18]フッ化物を捕捉することなく、[F−18]フッ化物水溶液に直接塩基/溶媒混合物を添加することもできる。しかしながら、[F−18]フッ化物水溶液が多量の場合には、乾燥手順は同様であり、長い時間がかかるものと考えられる。
【0005】
上述のとおり、F−18の短い半減期(110分)により、F−18放射性トレーサを製造するための迅速かつ信頼できる方法が必要とされる。共沸乾燥又は蒸発により水分を除去する段階は、[F−18]フッ化物水溶液から出発して標識分子を製造のための全時間の最大30%を必要とする。
【0006】
標的の水から[F−18]フッ化物を分離するために、例えばK. Hamacher, et al.; Appl. Rad. hot. 2002, 519-523; WO/2008/001098 には電気化学的方法が記載されている。[F−18]フッ化物の陽極析出は標的水分からの分離を許容する。無水溶媒で電気化学的セルをリンスすれば、フッ素化プロセスの前に更に共沸乾燥する必要はない。しかしながら、このようなプロトコルにおいては特別な電気化学的セルが必要とされる。
【0007】
求核放射性フッ素化プロセスのためのイオン性液体の使用が報告されている (K. D. Wook et al., Nucl. Med. Biol., 2003, 345-350; WO 2003076366)。典型的な手順は、室温で[F−18]フッ化物水溶液をイオン性液体([bmim][OTf])とH2O中のCs2CO3に添加する段階、120℃でアセトニトリル中の前駆物質を添加する段階、水とアセトニトリルを反応バイアルから逃がすことを許容するキャッピングを伴わずに8分間攪拌する段階、反応を冷却する段階、ジエチルエーテルを用いて抽出する段階、及びクロマトグラフィーにより粗反応混合物を精製する段階を含む。
【0008】
本発明により解決される課題は、前駆物質の添加前に共沸乾燥又は蒸発することなく、有機溶媒中で求核放射性フッ素化を許容する方法を提供することである。
【0009】
発明の詳細な説明
本発明の1つの態様は、放射性フッ素化化合物を製造するための方法であって、以下の段階を含む方法に関する。
・材料Aにおいて[F−18]フッ化物を捕捉するために、材料Aに[F−18]フッ化物水溶液を通過させること。
・任意に、ガス流Gにより、あるいは材料Aに溶媒Sを通過させることより材料Aを乾燥させること。
・塩基/溶媒混合物Bを用いて、材料Aから[F−18]フッ化物を溶出させること。
・任意に、材料Aに塩基/溶媒混合物Bを通過させる前及び/又は後に、材料Cに塩基/溶媒混合物Bを通過させること。
・任意に、材料Cを混合物B又は溶媒Lの別の一部で更に洗浄すること。
・前駆物質Dを添加すること。
・放射性フッ素化化合物R−18Fを合成するために求核フッ素化を行うこと。
・任意に、R−18FをR’−18Fに変換するための反応を行うこと。
・任意に、R−18F又はR’−18Fの精製を行うこと。
・任意に、R−18FをR’−18Fを製剤化すること。
前駆物質Dの添加前に共沸乾燥/蒸発段階を伴わない。
【0010】
Aは[F−18]フッ化物を捕捉することができる樹脂又は固形物である。
任意には、Aから成るカートリッジ又はカラムを使用することができる。
好ましい実施形態において、Aは陰イオン交換材料である。
より好ましい実施形態において、AはQMA又はPS−30カートリッジである。
【0011】
Gはガスである。
好ましい実施形態において、Gは空気、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素から選択される。
【0012】
Sは溶媒又は溶媒混合物である。
好ましい実施形態において、Sは無水溶媒又は溶媒混合物である。
より好ましい実施形態において、Sは、アセトニトリル、DMF、DMSO、DMAA、THF、アルコール、トルエン、ベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、キシレン、スルホラン、及びこれらの混合物を含んで成る群から選択される。
【0013】
Bは塩基Eと有機溶媒の混合物又は有機溶媒Lの混合物である。
任意には、Bは錯化剤又は相間移動触媒(例えば、クリプトフィクス、クラウンエーテル)を含有する。
任意には、Bは水を含有する。
【0014】
Eは無機又は有機塩基である。
好ましい実施形態において、Eは、カリウム塩、セシウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩、テトラアルキルホスホニウム塩を含んで成る群から選択される。
より好ましい実施形態において、Eは、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、シュウ酸カリウム、スルホン酸カリウム、アルコキシル化カリウム、水酸化カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、アルコキシル化セシウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、炭酸水素テトラアルキルアンモニウム、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム、スルホン酸テトラアルキルアンモニウム、水酸化テトラアルキルホスホニウム、炭酸水素テトラアルキルホスホニウム、ハロゲン化テトラアルキルホスホニウム、スルホン酸テトラアルキルホスホニウムを含んで成る群から選択される。
さらにより好ましい実施形態において、Eは、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、シュウ酸カリウム、メシル酸カリウム、tert−ブチル化カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、炭酸水素テテトラブチルアンモニウム、メシル酸テトラブチルアンモニウムを含んで成る群から選択される。
【0015】
Lは有機溶媒又は有機溶媒の混合物である。
Lはイオン性液体ではない。
好ましい実施形態において、Lは、アセトニトリル、DMF、DMSO、DMAA、THF、アルコール、トルエン、ベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、キシレン、スルホラン、及びこれらの混合物を含んで成る群から選択される。
より好ましい実施形態において、Lは、アセトニトリル、DMF、DMSO、スルホラン、THF、tert−ブタノール、アミルアルコール、DMAA又はこれらの混合物を含んで成る群から選択される。
【0016】
Cは、溶媒又は溶媒混合物から水を除去するために適当な材料である。
任意には、Cから成るカートリッジ又はカラムを使用することができる。
好ましい実施形態において、Cは、無機塩、無機酸化物、樹脂、分子篩又はこれらの混合物を含んで成る群から選択される。
より好ましい実施形態において、Cは、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カリウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜リン酸、水酸化カリウム、炭酸セシウム、水酸化セシウム、分子篩又はこれらの混合物を含んで成る群から選択される。
【0017】
Dは求核放射性フッ素化のための前駆物質である。
任意には、Dは、上述のとおり、溶媒L中に溶解される。
好ましい実施形態において、DはR−Qを含んで成る群から選択される。
【0018】
Qは[F−18]フッ化物による置換に好適な離脱基である。
好ましい実施形態において、Qは、ヨウ化物、臭化物、塩化物、スルホン酸塩、トリアルキルアンモニア塩、ニトロ、アリールヨードニウム塩、ヘテロアリールヨードニウム塩を含んで成る群から選択される。
【0019】
Rは有機分子である。
R’は有機分子である。
【0020】
本発明の他の態様は、放射性フッ素化化合物を製造するための方法であって、以下の段階を含む方法に関する。
・[F−18]フッ化物水溶液と塩基/溶媒混合物Bとを混合すること。
・材料CにBと[F−18]フッ化物の混合物を通過させること。
・任意に、材料Cを混合物B又は溶媒Lの他の一部で更に洗浄すること。
・前駆物質Dを添加すること。
・放射性フッ素化化合物R−18Fを合成するために求核フッ素化を行うこと。
・任意に、R−18FをR’−18Fに変換するための反応を行うこと。
・任意に、R−18F又はR’−18Fの精製を行うこと。
・任意に、R−18FをR’−18Fを製剤化すること。
前駆物質Dの添加前に共沸乾燥/蒸発段階を伴わない。
【0021】
Bは塩基Eと有機溶媒の混合物又は有機溶媒Lの混合物である。
任意には、Bは錯化剤又は相間移動触媒(例えば、クリプトフィクス、クラウンエーテル)を含有する。
任意には、Bは水を含有する。
【0022】
Eは無機又は有機塩基である。
好ましい実施形態において、Eは、カリウム塩、セシウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩、テトラアルキルホスホニウム塩を含んで成る群から選択される。
より好ましい実施形態において、Eは、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、シュウ酸カリウム、スルホン酸カリウム、アルコキシル化カリウム、水酸化カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、アルコキシル化セシウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、炭酸水素テトラアルキルアンモニウム、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム、スルホン酸テトラアルキルアンモニウム、水酸化テトラアルキルホスホニウム、炭酸水素テトラアルキルホスホニウム、ハロゲン化テトラアルキルホスホニウム、スルホン酸テトラアルキルホスホニウムを含んで成る群から選択される。
さらにより好ましい実施形態において、Eは、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、シュウ酸カリウム、メシル酸カリウム、tert−ブチル化カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、炭酸水素テテトラブチルアンモニウム、メシル酸テトラブチルアンモニウムを含んで成る群から選択される。
【0023】
Lは有機溶媒又は有機溶媒の混合物である。
Lはイオン性液体ではない。
好ましい実施形態において、Lは、アセトニトリル、DMF、DMSO、DMAA、THF、アルコール、トルエン、ベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、キシレン、スルホラン、及びこれらの混合物を含んで成る群から選択される。
より好ましい実施形態において、Lは、アセトニトリル、DMF、DMSO、スルホラン、THF、tert−ブタノール、アミルアルコール、DMAA又はこれらの混合物を含んで成る群から選択される。
【0024】
Cは、溶媒又は溶媒混合物から水を除去するために適当な材料である。
任意には、Cから成るカートリッジ又はカラムを使用することができる。
好ましい実施形態において、Cは、無機塩、無機酸化物、樹脂、分子篩又はこれらの混合物を含んで成る群から選択される。
より好ましい実施形態において、Cは、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カリウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜リン酸、水酸化カリウム、炭酸セシウム、水酸化セシウム、分子篩又はこれらの混合物を含んで成る群から選択される。
【0025】
Dは求核放射性フッ素化のための前駆物質である。
任意には、Dは、上述のとおり、溶媒L中に溶解される。
好ましい実施形態において、DはR−Qを含んで成る群から選択される。
【0026】
Qは[F−18]フッ化物による置換に好適な離脱基である。
好ましい実施形態において、Qは、ヨウ化物、臭化物、塩化物、スルホン酸塩、トリアルキルアンモニア塩、ニトロ、アリールヨードニウム塩、ヘテロアリールヨードニウム塩を含んで成る群から選択される。
【0027】
さらに、本発明の他の態様は、本発明の求核置換を行うためのキットに関する。
【実施例】
【0028】
例1:Na2SO4充填クロマフィクス・ドライカートリッジの使用、K2CO3/クリプトフィクスによるアセトニトリル中における2−(2−[F−18]フルオロ−エチル)−ナフタレンの合成
【化1】

QMAカートリッジ(QMAライト;LOT#023336307A;水;10mlの0.5M K2CO3溶液及び10mlの水で予め調整)に、[F−18]フッ化物水溶液を通過させた。QMAカートリッジの測定された活性は105MBqであった。10mlの空気、10mlのアセトニトリル、10mlの空気をQMAカートリッジの通過物とした。クロマフィクス・ドライカートリッジ (Chromafix Dry S Lot# 88.071; Macherey-Nagel) をQMAカートリッジに接続した。最初に、クロマフィクス・ドライカートリッジに1mlのK2CO3/クリプトフィクス−溶液(1mgのK2CO3、5mgのクリプトフィクス、950μlのアセトニトリル、50μlの水)を通過させ、その後QMAカートリッジに通過させた。QMAカートリッジにおける残存活性は18MBqであり、溶液の活性は83MBqであった。5mgのメタンスルホン酸2−ナフタレン−2−イル−エチル−エステルをK2CO3/クリプトフィクス/[F−18]フッ化物溶液に添加した。当該混合物を密封したバイアル中100℃で10分間加熱した。室温まで冷却した後、放射性TLC(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=9/1、非放射活性2−(2−フルオロ−エチル)−ナフタレンを標準として使用した)により変換を測定した:
【化2】

2−(2−[F−18]フルオロ−エチル)−ナフタレン/[F−18]フッ化物の比は93:7であった。
【0029】
例2:Na2SO4充填クロマフィクス・ドライカートリッジの使用、K2CO3/クリプトフィクスによるアセトニトリル/t−BuOH中における2−(2−[F−18]フルオロ−エチル)−ナフタレンの合成
【化3】

QMAカートリッジ(QMAライト;LOT#023336307A;水;10mlの0.5M K2CO3溶液及び10mlの水で予め調整)に、[F−18]フッ化物水溶液を通過させた。QMAカートリッジの測定された活性は92MBqであった。10mlの空気、10mlのアセトニトリル、10mlの空気をQMAカートリッジの通過物とした。クロマフィクス・ドライカートリッジ (Chromafix Dry S Lot# 88.071; Macherey-Nagel) をQMAカートリッジに接続した。最初に、クロマフィクス・ドライカートリッジに、1mlのK2CO3/クリプトフィクス−溶液(1mgのK2CO3、5mgのクリプトフィクス、750μlのt−BuOH、200μlのアセトニトリル、50μlの水)を通過させ、その後QMAカートリッジに通過させた。QMAカートリッジにおける残存活性は11MBqであり、溶液の活性は78MBqであった。5mgのメタンスルホン酸2−ナフタレン−2−イル−エチル−エステルをK2CO3/クリプトフィクス/[F−18]フッ化物溶液に添加した。当該混合物を密封したバイアル中100℃で10分間加熱した。室温まで冷却した後、放射性TLC(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=9/1、非放射活性2−(2−フルオロ−エチル)−ナフタレンを標準として使用した)により変換を測定した:
【化4】

2−(2−[F−18]フルオロ−エチル)−ナフタレン/[F−18]フッ化物の比は90:10であった。
【0030】
例3:Na2SO4充填クロマフィクス・ドライカートリッジの使用、Bu4NOHによるアセトニトリル中における2−(2−[F−18]フルオロ−エチル)−ナフタレンの合成
【化5】

QMAカートリッジ(QMAライト;LOT#023336307A;水;10mlの0.5M K2CO3溶液及び10mlの水で予め調整)に、[F−18]フッ化物水溶液を通過させた。QMAカートリッジの測定された活性は206MBqであった。10mlの空気、10mlのアセトニトリル、10mlの空気をQMAカートリッジの通過物とした。クロマフィクス・ドライカートリッジ (Chromafix Dry S Lot# 88.071; Macherey-Nagel) をQMAカートリッジに接続した。最初に、クロマフィクス・ドライカートリッジに、1mlのBu4NOH溶液(10μlの水中40%Bu4NOH、990μlのアセトニトリル)を通過させ、その後QMAカートリッジに通過させた。QMAカートリッジにおける残存活性は31MBqであり、溶液の活性は175MBqであった。5mgのメタンスルホン酸2−ナフタレン−2−イル−エチル−エステルをK2CO3/クリプトフィクス/[F−18]フッ化物溶液に添加した。当該混合物を密封したバイアル中100℃で10分間加熱した。室温まで冷却した後、放射性TLC(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=9/1、非放射活性2−(2−フルオロ−エチル)−ナフタレンを標準として使用した)により変換を測定した:
【化6】

2−(2−[F−18]フルオロ−エチル)−ナフタレン/[F−18]フッ化物の比は93:7であった。
【0031】
例4:KOtBuによるアセトニトリル/t−BuOH中のトルエン−4−スルホン酸2−[F−18]フルオロ−エチルエステルの合成
【化7】

QMAカートリッジ(QMAライト;LOT#023336307A;水;10mlの0.5M K2CO3溶液及び10mlの水で予め調整)に、[F−18]フッ化物水溶液を通過させた。QMAカートリッジの測定された活性は163MBqであった。10mlの空気、10mlのアセトニトリル、10mlの空気をQMAカートリッジに通過させた。QMAカートリッジに、1mlのクリプトフィクス/tert−ブチル化カリウム溶液(5mgのクリプトフィクス、800μlのt−BuOH中0.8mgのKOtBu、200μlのアセトニトリル)を通過させた。QMAカートリッジにおける残存活性は24MBqであり、溶液の活性は132MBqであった。5mgのエチレンジトシレートを当該溶液に添加した。当該混合物を密封したバイアル中100℃で10分間加熱した。室温まで冷却した後、放射性HPLC(C18、水/アセトニトリル=100/0−5/95)により変換を測定した:
【化8】

F−18の組み込み:48%。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の段階:
a.材料Aにおける[F−18]フッ化物の捕捉、
b.溶液Bを用いた、材料Aからの[F−18]フッ化物の溶出、
c.前駆物質Dの添加、
d.求核置換、
を含んでなるフッ素18標識化合物の調製方法であって、
ここで、
溶液Bは有機溶媒L又は有機溶媒Lと塩基Eとの混合物から成り、そして
溶媒Lはイオン性液体ではなく、そして
該方法は、材料Mからの[F−18]フッ化物の溶出後、前駆物質Dの添加前において、共沸乾燥又は蒸発を含まないことを特徴とする、方法。
【請求項2】
[F−18]フッ化物の捕捉後、溶液Bを用いた溶出前に、材料AにガスG及び/又は溶媒Sを通過させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ガスG及び/又は溶媒Sが材料Aを通過することにより材料Aから水が除去される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ガスGが、空気、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素及びこれらの混合物を含んで成る群から選択される、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記溶媒Sが、空気、アセトニトリル、DMF、DMSO、THF、アルコール、トルエン、ベンゼン、スルホラン及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記材料Aが、陰イオン交換材料、又は陰イオン交換材料で作製されたカートリッジもしくはカラムである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記前記材料AがQMA又はPS−30カートリッジである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記有機溶媒Lが、アセトニトリル、DMF、DMSO、スルホラン、THF、tert−ブタノール、アミルアルコール、DMAA又はこれらの混合物から成る、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記溶液Bが水を含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記溶液Bが水を含有しない、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記溶液Bが錯化剤又は相間移動触媒を含有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記溶液Bがクリプトフィクス又はクラウンエーテルを含有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記塩基Eが:
a.カリウム塩、
b.セシウム塩、
c.ルビジウム塩、
d.テトラアルキルアンモニウム塩、
e.テトラアルキルホスホニウム塩、
を含んで成る群から選択される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記塩基Eが:
a.炭酸カリウム、
b.炭酸水素カリウム、
c.シュウ酸カリウム、
d.スルホン酸カリウム、
e.tert−アルコキシル化カリウム、
f.炭酸セシウム、
g.炭酸水素セシウム、
h.水酸化テトラブチルアンモニウム、
i.炭酸水素テトラブチルアンモニウム、
j.メシル酸テトラブチルアンモニウム
を含んで成る群から選択される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
材料Aからの[F−18]フッ化物の溶出前に、材料Cに溶液Bを通過させ、ここで材料Cが有機溶媒から水を除去するために適当な材料であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
材料Aからの[F−18]フッ化物の溶出後に、材料Cに溶液Bを通過させ、ここで材料Cが有機溶媒から水を除去するために適当な材料であることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
材料Cから成る乾燥カートリッジ又はカラムが使用される、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記材料Cが:
a.無機塩、
b.無機酸化物、
c.樹脂、
d.分子篩
又はこれらの混合物、を含んで成る群から選択される、請求項15〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記材料Cが:
a.硫酸ナトリウム、
b.硫酸マグネシウム、
c.炭酸カリウム、
d.塩化カルシウム、
e.硫酸カルシウム、
f.酸化バリウム、
g.酸化マグネシウム、
h.酸化カルシウム、
i.酸化亜リン酸、
j.水酸化カリウム、
k.炭酸セシウム、
1.水酸化セシウム、
m.分子篩、
又はこれらの混合物、を含んで成る群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
以下の段階:
a.水性[F−18]フッ化物と溶液Bとの混合、
b.材料Cに水性[F−18]フッ化物と溶液Bとの混合物を通過させること、
c.前駆物質Dの添加、
d.求核置換、
を含んでなるフッ素18標識化合物の調製方法であって、
ここで、
溶液Bは、有機溶媒L又は有機溶媒Lと塩基Eとの混合物から成り、
任意に、溶液Bは錯化剤又は相間移動触媒を含有し、
任意に、溶液Bは水を含有し、そして
溶媒Lはイオン性液体ではなく、そして
材料Cは有機溶媒から水を除去するために適当な材料であり、そして
該方法は、前駆物質Dの添加前において、共沸乾燥又は蒸発を含まないことを特徴とする、方法。
【請求項21】
前記有機溶媒Lが、アセトニトリル、DMF、DMSO、スルホラン、THF、tert−ブタノール、アミルアルコール、DMAA又はこれらの混合物から成る、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記溶液Bが水を含有する、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記溶液Bが水を含有しない、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項24】
前記溶液Bが錯化剤又は相間移動触媒を含有する、請求項20〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記溶液Bがクリプトフィクス又はクラウンエーテルを含有する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記塩基Eが:
a.カリウム塩、
b.セシウム塩、
c.ルビジウム塩、
d.テトラアルキルアンモニウム塩、
e.テトラアルキルホスホニウム塩、
を含んで成る群から選択される、請求項20〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記塩基Eが:
a.炭酸カリウム、
b.炭酸水素カリウム、
c.シュウ酸カリウム、
d.スルホン酸カリウム、
e.tert−アルコキシル化カリウム、
f.炭酸セシウム、
g.炭酸水素セシウム、
h.水酸化テトラブチルアンモニウム、
i.炭酸水素テトラブチルアンモニウム、
j.メシル酸テトラブチルアンモニウム
を含んで成る群から選択される、請求項20〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
材料Aからの[F−18]フッ化物の溶出前に、材料Cに溶液Bを通過させ、ここで材料Cが有機溶媒から水を除去するために適当な材料であることを特徴とする、請求項20〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
材料Aからの[F−18]フッ化物の溶出後に、材料Cに溶液Bを通過させ、ここで材料Cが有機溶媒から水を除去するために適当な材料であることを特徴とする、請求項20〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
材料Cから成る乾燥カートリッジ又はカラムが使用される、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
前記材料Cが:
a.無機塩、
b.無機酸化物、
c.樹脂、
d.分子篩
又はこれらの混合物、を含んで成る群から選択される、請求項28〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記材料Cが:
a.硫酸ナトリウム、
b.硫酸マグネシウム、
c.炭酸カリウム、
d.塩化カルシウム、
e.硫酸カルシウム、
f.酸化バリウム、
g.酸化マグネシウム、
h.酸化カルシウム、
i.酸化亜リン酸、
j.水酸化カリウム、
k.炭酸セシウム、
1.水酸化セシウム、
m.分子篩、
又はこれらの混合物、を含んで成る群から選択される、請求項31に記載の方法。

【公表番号】特表2011−526932(P2011−526932A)
【公表日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516990(P2011−516990)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004536
【国際公開番号】WO2010/003548
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(300049958)バイエル・シエーリング・ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】