放射線検出装置、放射線画像撮影システム及び放射線画像撮影方法
【課題】再撮影の発生を防止すると共に、撮影効率を向上して高精度の放射線画像情報を取得する。
【解決手段】放射線画像撮影システム10では、被写体14に対する放射線Xの照射開始を通知する撮影要求信号を撮影装置22が出力した際に(ステップS2のYES)、放射線検出器40を駆動するバッテリ44のバッテリ残量が所定の閾値以上であるか否かを判定し(ステップS3)、バッテリ残量が閾値未満であるときに(ステップS3のNO)、撮影装置22による放射線Xの照射を禁止する(ステップS4)。
【解決手段】放射線画像撮影システム10では、被写体14に対する放射線Xの照射開始を通知する撮影要求信号を撮影装置22が出力した際に(ステップS2のYES)、放射線検出器40を駆動するバッテリ44のバッテリ残量が所定の閾値以上であるか否かを判定し(ステップS3)、バッテリ残量が閾値未満であるときに(ステップS3のNO)、撮影装置22による放射線Xの照射を禁止する(ステップS4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を透過した放射線を検出して放射線画像情報に変換する放射線検出器を備えた放射線検出装置、該放射線検出装置を備えた放射線画像撮影システム、及び、放射線画像撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、被写体に放射線を照射し、該被写体を透過した前記放射線を放射線変換パネルに導いて放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置が広汎に使用されている。前記放射線変換パネルとしては、放射線画像が露光記録される従来からの放射線フイルムや、蛍光体に放射線画像としての放射線エネルギを蓄積し、励起光を照射することで当該放射線画像を輝尽発光光として取り出すことのできる蓄積性蛍光体パネルが知られている。これらの放射線変換パネルは、放射線画像が記録された放射線フイルムを現像装置に供給して現像処理を行い、あるいは、蓄積性蛍光体パネルを読取装置に供給して読取処理を行うことで、可視画像としての放射線画像を得ることができる。
【0003】
一方、手術室等においては、患者に対して迅速且つ的確な処置を施すため、撮影後の放射線変換パネルから直ちに放射線画像を読み出して表示することが必要である。また、乳幼児、小児や高齢者、病気や怪我などで長時間自立できない患者の撮影においても、同様に迅速な撮影が求められる。このような要求に対応可能な放射線変換パネルとして、放射線を直接電気信号に変換し、あるいは、放射線をシンチレータで可視光に変換した後、電気信号に変換して読み出す固体検出素子を用いた放射線検出器が開発されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、放射線検出器を駆動するバッテリのバッテリ残量が撮影可能な量に到達している場合には、撮影待機状態から撮影可能状態に切り替え、一方で、前記バッテリ残量が撮影可能な量に到達していない場合には、撮影待機状態を維持する放射線検出装置(電子カセッテ)及び放射線画像撮影システムが提案されている。
【0005】
【特許文献1】国際公開第2006/080377号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、特許文献1の技術は、バッテリ残量に応じて撮影の許可(撮影可能状態)又は禁止(撮影待機状態)を判断するものであり、該バッテリ残量と、撮影の許可又は禁止と、充電装置からバッテリへの充電動作との関係について、何ら提案されていない。
【0007】
例えば、撮影に必要なバッテリ残量まで充電されているバッテリに対して、さらに充電を行っている最中に撮影が行われると、前記充電に起因したノイズが前記撮影により得られる放射線画像に混入するので、該放射線画像が医師による読影診断に適さない画像となり、再撮影が必要となる。
【0008】
また、バッテリ残量が撮影に必要な量まで到達していない場合に、撮影可能状態から撮影待機状態に切り替えても、速やかに、充電装置からバッテリへの充電が開始されるとは限らない。そのため、撮影に必要な量までバッテリ残量が到達していない状態で該撮影を行うと、前記バッテリ残量の不足により放射線検出装置が誤動作するので、所望の放射線画像が得られず、再撮影が必要となる。
【0009】
特に、充電装置から非接触でバッテリを充電する非接触充電方式では、該バッテリに対する充電が短時間で完了する場合は少なく、撮影開始の直前まで充電を行うことが望ましい。また、前記非接触充電方式により充電されるバッテリを備えた放射線検出装置では、装置全体の軽量化を図るために、比較的小さなバッテリを搭載するので、大きなバッテリを搭載して余裕を持って充電することはできない。従って、当該放射線検出装置では、上述した課題を惹起しやすい。
【0010】
本発明は、上記の課題を考慮してなされたものであり、再撮影の発生を防止すると共に、撮影効率を向上して高精度の放射線画像情報を取得することができる放射線検出装置、放射線画像撮影システム及び放射線画像撮影方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る放射線検出装置は、
外部の撮影装置から照射されて被写体を透過した放射線を検出して放射線画像情報に変換する放射線検出器と、前記放射線検出器を駆動するバッテリと、前記バッテリのバッテリ残量が所定の閾値以上であるか否かを判定するバッテリ残量判定部と、前記撮影装置による前記放射線の照射を制御する撮影制御部とを有し、
前記バッテリ残量判定部は、前記被写体に対する前記放射線の照射開始を通知する撮影要求信号を前記撮影装置が出力した際に、前記バッテリ残量が前記閾値以上であるか否かを判定し、
前記撮影制御部は、前記バッテリ残量が前記閾値未満であると前記バッテリ残量判定部が判定したときに、前記撮影装置による前記放射線の照射を禁止することを特徴としている。
【0012】
また、本発明に係る放射線画像撮影システムは、
被写体に放射線を照射する撮影装置と、
前記被写体を透過した前記放射線を検出して放射線画像情報に変換する放射線検出器、及び、前記放射線検出器を駆動するバッテリを備える放射線検出装置と、
前記撮影装置及び前記放射線検出装置を制御する制御装置と、
前記バッテリのバッテリ残量が所定の閾値以上であるか否かを判定するバッテリ残量判定部と、
前記撮影装置による前記放射線の照射を制御する撮影制御部と、
を有し、
前記バッテリ残量判定部は、前記被写体に対する前記放射線の照射開始を通知する撮影要求信号を前記撮影装置が出力した際に、前記バッテリ残量が前記閾値以上であるか否かを判定し、
前記撮影制御部は、前記バッテリ残量が前記閾値未満であると前記バッテリ残量判定部が判定したときに、前記撮影装置による前記放射線の照射を禁止することを特徴としている。
【0013】
さらに、本発明に係る放射線画像撮影方法は、
撮影装置から被写体に放射線を照射し、該放射線を放射線検出装置に搭載した放射線検出器で検出して放射線画像情報に変換する放射線画像撮影方法であって、
前記被写体に対する前記放射線の照射開始を通知する撮影要求信号を前記撮影装置が出力した際に、前記放射線検出器を駆動するバッテリのバッテリ残量が所定の閾値以上であるか否かを判定し、
前記バッテリ残量が前記閾値未満であるときに、前記撮影装置による前記放射線の照射を禁止することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被写体に対する放射線の照射開始を通知する撮影要求信号を撮影装置が出力したときに、バッテリのバッテリ残量が閾値以上であるか否かを判定し、前記バッテリ残量が前記閾値未満であるときに、前記撮影装置による前記放射線の照射を禁止する。
【0015】
これにより、前記バッテリ残量の不足に起因した放射線検出装置の誤動作を回避することができ、再撮影の発生を防止することができる。また、前記放射線の照射の禁止によって、前記バッテリ残量が不足している前記バッテリへの充電が可能となるので、撮影効率が向上して、高精度の放射線画像情報を取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る放射線画像撮影システム及び放射線画像撮影方法について、このシステムに用いられる放射線検出装置との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る放射線画像撮影システム10(以下、「撮影システム10」ともいう)が設置された手術室12には、患者14が横臥するベッドである手術台16と、医師18が手術に使用する各種器具を載置する器具台20とが配置されている。また、手術台16の周りには、図示しない麻酔器、吸引器、心電計、血圧計等、手術に必要な様々な機器が配置される。
【0018】
撮影システム10は、撮影条件に従った線量の放射線Xを被写体である患者14に照射する撮影装置(放射線照射装置)22と、患者14を透過した放射線Xを検出する放射線検出器40(図2参照)を内蔵した放射線検出装置である電子カセッテ24と、電子カセッテ24に内蔵されたバッテリ44(図2参照)へと電力を無線(非接触)で供給する給電装置(充電装置、無線給電装置)25と、放射線検出器40で検出された放射線Xに基づく放射線画像を表示する表示装置26と、当該撮影システム10を総合的に制御するコンソール(制御装置)28とを備える。撮影システム10において、撮影装置22、電子カセッテ24、給電装置25、表示装置26及びコンソール28間は、例えば、UWB(Ultra Wide Band)を用いた無線通信により信号の送受信を行うことができる。
【0019】
撮影装置22は、天井から延びた自在アーム30に連結され、患者14の撮影部位に応じた所望の位置に移動可能であると共に、医師18による手術の邪魔とならない位置に待避可能である。同様に、給電装置25は自在アーム31に連結され、電子カセッテ24の配置に応じた所望の位置に移動可能である。表示装置26は自在アーム32に連結され、表示される放射線画像を医師18が容易に確認できる位置に移動可能である。自在アーム30〜32は、壁や床又は移動可能なワゴン等に設けてもよく、給電装置25や表示装置26は、自在アームを介さずに天井や壁、床等に固定しておいてもよい。なお、給電装置25は、放射線検出装置(電子カセッテ24等)へ印加する磁場Mが患者14を避けるように、例えば、当該放射線検出装置の側面水平方向(図1及び図11参照)や底面下方(図12参照)等に配置されることが好ましい。
【0020】
図2は、図1の電子カセッテ24の一部切断斜視説明図である。電子カセッテ24は、放射線Xを透過させる材料からなる箱状のケーシング34を備える。ケーシング34の内部には、放射線Xが照射される照射面36側から順に、患者14による放射線Xの散乱線を除去するグリッド38と、患者14を透過した放射線Xを検出する放射線検出器(放射線変換パネル)40と、放射線Xのバック散乱線を吸収する鉛板42とが層状に配設される。ケーシング34の照射面36をグリッド38として構成することもできる。
【0021】
また、電子カセッテ24には、電源部として機能するバッテリ44と、バッテリ44からの電力によって放射線検出器40の駆動制御等を行うカセッテ制御部46と、放射線検出器40で検出した放射線Xの情報(放射線画像情報)を含む信号をコンソール28との間で無線によって送受信する送受信機48とが備えられる。バッテリ44、カセッテ制御部46及び送受信機48には、放射線Xが照射されることによる損傷を回避するため、照射面36側に鉛板等を配設しておくことが好ましい。さらに、電子カセッテ24には、給電装置25で電気エネルギから変換され、無線によって印加される磁場(磁界、磁束)Mを受電し、該磁場Mを電気エネルギに再変換する無線受電部49等が設けられる。
【0022】
図3は、放射線検出器40の回路構成ブロック図である。放射線検出器40は、放射線Xを感知して電荷を発生させるアモルファスセレン(a−Se)等の物質からなる光電変換層51を行列状の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)52のアレイの上に配置した構造を有し、発生した電荷を蓄積容量(蓄積部)53に蓄積した後、各行毎にTFT52を順次オンにして、電荷を画像信号として読み出す。図3では、光電変換層51及び蓄積容量53からなる1つの画素50と1つのTFT52との接続関係のみを示し、その他の画素50の構成については省略している。なお、アモルファスセレンは、高温になると構造が変化して機能が低下してしまうため、所定の温度範囲内で使用する必要がある。従って、電子カセッテ24内に放射線検出器40を冷却する手段を配設することが好ましい。
【0023】
各画素50に接続されるTFT52には、行方向と平行に延びるゲート線54と、列方向と平行に延びる信号線56とが接続される。各ゲート線54は、ライン走査駆動部58に接続され、各信号線56は、読取回路を構成するマルチプレクサ66に接続される。
【0024】
ゲート線54には、行方向に配列されたTFT52をオンオフ制御する制御信号Von、Voffがライン走査駆動部58から供給される。この場合、ライン走査駆動部58は、ゲート線54を切り替える複数のスイッチSW1と、スイッチSW1の1つを選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ60とを備える。アドレスデコーダ60には、カセッテ制御部46からアドレス信号が供給される。
【0025】
また、信号線56には、列方向に配列されたTFT52を介して各画素50の蓄積容量53に保持されている電荷が流出する。この電荷は、増幅器62によって増幅される。増幅器62には、サンプルホールド回路64を介してマルチプレクサ66が接続される。マルチプレクサ66は、信号線56を切り替える複数のスイッチSW2と、スイッチSW2の1つを選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ68とを備える。アドレスデコーダ68には、カセッテ制御部46からアドレス信号が供給される。マルチプレクサ66には、A/D変換器70が接続され、該A/D変換器70によってデジタル信号に変換された放射線画像情報がカセッテ制御部46に供給される。
【0026】
さらに、スイッチング素子として機能するTFT52は、CMOS(Complementary Metal−Oxside Semiconductor)イメージセンサ等、他の撮像素子と組み合わせて実現してもよい。さらにまた、TFTで言うところのゲート信号に相当するシフトパルスにより電荷をシフトしながら転送するCCD(Charge−Coupled Device)イメージセンサに置き換えることも可能である。
【0027】
図4は、撮影装置22、電子カセッテ24、給電装置25、表示装置26及びコンソール28からなる撮影システム10のブロック説明図である。
【0028】
コンソール28には、病院内の放射線科で取り扱われる放射線画像情報やその他の情報、例えば、患者14毎の撮影回数(撮影枚数、曝射回数)等のオーダ情報(オーダリング情報)を記憶すると共に、これら各情報を統括的に管理する放射線科情報システム(RIS、情報管理システム)29が接続される。さらに、RIS29には、病院内の医事情報を統括的に管理する医事情報システム(HIS)33が接続される。HIS33にRIS29の機能を統合的に付与した総合的なシステムとして構成することもできる。
【0029】
撮影装置22は、撮影スイッチ72と、放射線源74と、送受信機76と、線源制御部78とを有する。送受信機76は、無線通信によってコンソール28から撮影条件を受信する一方、コンソール28に対して撮影完了信号及び撮影開始信号等を送信する。線源制御部78は、撮影スイッチ72から供給される撮影開始信号(撮影要求信号)及びコンソール28から供給される撮影条件に基づき放射線源74を駆動制御する。放射線源74は、線源制御部78からの制御に基づき放射線Xを出力する。
【0030】
給電装置25は、図示しない外部電源等に接続された電源80と、無線通信によってコンソール28から給電許可信号(給電開始信号、充電許可信号)等を受信する一方、コンソール28に対して当該給電装置25のID情報(識別データ)等を送信する送受信機82と、電源80からの電気エネルギを磁場Mに変換して電子カセッテ24へと無線で送電するLC共振器(送電部)84と、コンソール28から供給される給電許可信号に基づきLC共振器84を駆動制御する給電制御部86とを備える。
【0031】
図5は、本実施形態に係る放射線検出装置としての電子カセッテ24の構成をより具体的に示した撮影システム10のブロック説明図である。
【0032】
図4及び図5に示すように、電子カセッテ24は、放射線検出器40と、バッテリ44と、無線受電部49と、カセッテ制御部46と、送受信機(送受信手段、無線送受信機)48とを備える。
【0033】
バッテリ44は、リチウムイオン電池等の充電可能な2次電池で構成され、放射線検出器40、カセッテ制御部46及び送受信機48等、電子カセッテ24の各部に電力を供給する電源である。バッテリ44としては、2次電池以外にも、例えば、電気二重層コンデンサ等の蓄電素子を使用することもでき、要は、充電可能であり且つ電子カセッテ24の電源として適切に機能するものであればよい。
【0034】
無線受電部49は、給電装置25から無線で供給される電力を受電し、バッテリ44へと供給(充電)する機能を奏する。該無線受電部49は、給電装置25のLC共振器84から印加される磁場Mを受けて電気エネルギに再変換するLC共振器88と、LC共振器88で再変換された電気エネルギを所望の電力に変換してバッテリ44へ供給する充電回路90とを有する。充電回路90は、LC共振器88で発生した電流を整流して、例えば、所定の定電流でバッテリ44を充電する。
【0035】
さらに、無線受電部49には、LC共振器88と並設され、該LC共振器88より小型の検出用LC共振器94と、検出用LC共振器94で再変換された電気エネルギを検出するエネルギ検出部96とが備えられる。エネルギ検出部96は、前記電気エネルギを検出することにより、当該電子カセッテ24が給電装置25の給電可能エリア内にあることを検出し、カセッテ制御部46へと給電エリア検出信号を送信する。
【0036】
上記のように、給電装置25から電子カセッテ24に対しては、コイルとコンデンサとを有するLC共振回路で構成されたLC共振器84からLC共振器88への磁場Mの共鳴を利用する公知の電力送信技術を用い、無線による給電(充電)を行うことができる。
【0037】
図5に示すように、カセッテ制御部46は、アドレス信号発生部98と、画像メモリ100と、運転管理部102と、カセッテIDメモリ104と、データ管理部106とを備える。アドレス信号発生部98は、放射線検出器40を構成するライン走査駆動部58のアドレスデコーダ60及びマルチプレクサ66のアドレスデコーダ68に対して、アドレス信号を供給する。画像メモリ100は、放射線検出器40によって検出された放射線画像情報を記憶する。すなわち、画像メモリ100には、放射線検出器40に照射され、信号電荷として蓄積された後、読み出されてデジタル信号に変換された放射線画像情報が保存される。
【0038】
運転管理部102は、無線受電部49及びバッテリ44を駆動制御すると共に、当該電子カセッテ24全体の駆動も制御する。さらに、運転管理部102には、バッテリ残量判定部107と、充電制御部108と、撮影制御部109とが設けられる。
【0039】
バッテリ残量判定部107は、バッテリ44の残量(バッテリ残量)が所定の閾値以上であるか否かを判定する。具体的に、バッテリ残量判定部107は、バッテリ残量が閾値以上であれば、該バッテリ残量が放射線画像の撮影に必要な量にまで到達しており、バッテリ44が十分に充電されていると判定する。また、バッテリ残量判定部107は、バッテリ残量が閾値未満であれば、該バッテリ残量が放射線画像の撮影に必要な量にまで到達しておらず、バッテリ44が充電不足であると判定する。なお、上述した判定処理は、患者14に対する放射線Xの照射開始(撮影開始)を通知する撮影開始信号を、撮影装置22からコンソール28を介して送受信機48が受信したときに行う。なお、前記判定処理は、送受信機48における撮影開始信号の受信時に限らず、放射線画像の撮影前又は撮影後に適宜行ってもよい。
【0040】
撮影制御部109は、送受信機48が撮影開始信号を受信し、且つ、バッテリ残量判定部107が上記の判定処理を行ってバッテリ残量が閾値以上であると判定したときに、撮影装置22による撮影(放射線Xの照射)を許可する制御信号(撮影許可信号)を発生する。また、撮影制御部109は、送受信機48が撮影開始信号を受信し、バッテリ残量判定部107が上記の判定処理を行って、バッテリ残量が閾値未満であると判定したときに、撮影装置22による撮影を禁止する制御信号(撮影禁止信号)を発生する。
【0041】
充電制御部108は、バッテリ残量が閾値以上であるとバッテリ残量判定部107が判定し、且つ、撮影制御部109が撮影許可信号を発生した場合に、給電装置25から当該電子カセッテ24への給電(充電)を禁止する信号(給電禁止信号、充電禁止信号)を発生する。また、充電制御部108は、バッテリ残量が閾値未満であるとバッテリ残量判定部107が判定し、且つ、撮影制御部109が撮影禁止信号を発生した場合に、給電装置25から当該電子カセッテ24への給電(充電)を許可する信号(給電許可信号、給電開始信号、充電許可信号)を発生する。このように、バッテリ残量判定部107での判定結果や、撮影制御部109からの信号を受けて、給電禁止信号や給電許可信号を発生する充電制御部108は、給電禁止信号や給電許可信号にそれぞれ対応する複数の制御部(信号発生部)として構成することもできる。
【0042】
充電制御部108で発せられた給電禁止信号や給電許可信号、撮影制御部109で発せられた撮影許可信号や撮影禁止信号は、送受信機48を介してコンソール28へと送信される。コンソール28では、これら各信号を受信すると、給電装置25からの無線給電の禁止(停止)制御や開始(再開)制御、及び、撮影装置22からの撮影の許可(開始)制御や禁止(停止)制御を実施する。なお、コンソール28を介さず、給電禁止(許可)信号や撮影許可(禁止)信号を電子カセッテ24から給電装置25へと直接的に送信し、例えば、給電制御部86や線源制御部78によって給電禁止(開始)制御や撮影開始(禁止)制御を行うように構成してもよい。
【0043】
カセッテIDメモリ104は、電子カセッテ24を特定するためのカセッテID情報を記憶する。データ管理部106は、当該電子カセッテ24の給電に対応する給電装置25を特定するためのID情報(識別データ)及びエネルギ検出部96からの給電エリア検出信号等を管理する。
【0044】
送受信機48は、無線通信によりコンソール28から送信要求信号、撮影開始信号及び給電装置25のID情報を受信する一方、コンソール28に対して、放射線画像情報、カセッテID情報、無線給電可能信号、給電禁止信号、給電許可信号、撮影許可信号及び撮影禁止信号等を送信する。
【0045】
図4に示すように、表示装置26は、コンソール28から放射線画像情報を受信する受信機110と、受信した放射線画像情報の処理を行う表示制御部112と、表示制御部112で処理された放射線画像情報を表示する表示部114とを備える。
【0046】
コンソール28は、送受信機116と、撮影条件管理部118と、画像処理部120と、画像メモリ122と、患者情報管理部124と、カセッテ情報管理部126と、給電情報管理部128とを備える。なお、コンソール28は、撮影装置22、電子カセッテ24、給電装置25及び表示装置26に対して信号の送受信を確実に行うことができるのであれば、手術室12の外部に設置してもよい。
【0047】
送受信機116は、当該コンソール28と、撮影装置22、電子カセッテ24、給電装置25及び表示装置26との間で、放射線画像情報や給電禁止(許可)信号、撮影許可(禁止)信号を含む必要な情報を無線通信によって送受信する。撮影条件管理部118は、撮影装置22による撮影に必要な撮影条件を管理すると共に、さらに、撮影制御部109からの撮影許可信号や撮影禁止信号に基づく撮影装置22の撮影開始制御や撮影禁止制御を行う。画像処理部120は、電子カセッテ24から受信した放射線画像情報に対し、所定の画像処理を行う。画像メモリ122は、画像処理部120で処理された放射線画像情報を記憶する。患者情報管理部124は、撮影対象である患者14の患者情報を管理する。カセッテ情報管理部126は、電子カセッテ24から受信した無線給電可能信号やカセッテID情報を含むカセッテ情報を管理する。給電情報管理部128は、給電装置25の運転制御や給電装置25から送信されたID情報等の管理等を行うと共に、さらに、充電制御部108からの給電禁止信号や給電許可信号に基づく給電装置25の給電禁止制御や給電開始制御(給電再開制御)を行う。
【0048】
なお、前記撮影条件とは、患者14の撮影部位に対して、適切な線量からなる放射線Xを照射するための管電圧、管電流、照射時間等を決定するための条件であり、例えば、撮影部位、撮影方法等の条件を挙げることができる。さらに、撮影条件としては、例えば、RIS29からのオーダ情報として、撮影回数等の条件が挙げられる。前記患者情報とは、患者14の氏名、性別、患者ID番号等、患者14を特定するための情報である。これらの撮影条件及び患者情報を含む撮影のオーダ情報は、コンソール28で直接設定し、あるいは、RIS29を介してコンソール28に外部から供給することができる。また、前記カセッテ情報には、電子カセッテ24を特定するためのカセッテID情報等に加え、データ管理部106からの無線給電可能信号も含まれる。
【0049】
第1の実施形態に係る撮影システム10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作について図6のフローチャートを参照して説明する。
【0050】
ここでは、撮影枚数が1枚の場合における撮影システム10の動作について説明する。
【0051】
撮影システム10は、手術室12に設置されており、例えば、手術中に放射線画像の撮影が必要となった際に使用される。そのため、撮影対象である患者14の患者情報や撮影枚数等は、撮影に先立ち、コンソール28の患者情報管理部124に予め登録しておく。また、撮影部位や撮影方法が事前に決まっている場合には、これらの撮影条件を撮影条件管理部118に予め登録しておく。これらの登録は、RIS29から情報を取得して行うことができる。以上の準備作業が終了した状態で患者14に対する手術が遂行される。
【0052】
先ず、図6のステップS1において、手術中に放射線画像の撮影を行う際には、医師18又は担当する放射線技師は照射面36を撮影装置22側に向けた状態で、患者14と手術台16との間の所望の位置に電子カセッテ24を設置する。
【0053】
ここで、コンソール28の運転開始と連動して、又は図示しない運転開始スイッチの操作等により、給電装置25が所定の運転条件(低出力運転)で駆動される。従って、電子カセッテ24は、無線受電部49の検出用LC共振器94及びエネルギ検出部96により、当該電子カセッテ24が給電装置25の給電可能エリア内に配置されたことを検出することができる。すなわち、エネルギ検出部96が、電子カセッテ24が給電装置25から受電可能なエリアにあるか否かを検出する受電可否検出部として機能する。この際、給電装置25の給電制御部86は、電子カセッテ24の検出用LC共振器94及びエネルギ検出部96がLC共振器84からの磁場Mの有無を検出できる程度の弱い磁場Mを印加する低出力運転を行い、電力消費量を有効に抑えている。
【0054】
一方、電子カセッテ24では、エネルギ検出部96からデータ管理部106へと給電エリア検出信号が供給される。給電エリア検出信号を受けたデータ管理部106は、給電情報管理部128に記憶された給電装置25のID情報をコンソール28から受信する一方、無線給電可能信号をコンソール28のカセッテ情報管理部126へと送信する。
【0055】
さらに、前記給電エリア検出信号は、エネルギ検出部96から運転管理部102にも伝達される。給電エリア検出信号を受けた運転管理部102では、当該電子カセッテ24を使用可能な状態へと電源ONし、これにより撮影準備が完了される。勿論、電子カセッテ24の側面等に、医師18等が操作する図示しない電源スイッチを設けることもできる。
【0056】
次に、医師18又は放射線技師が撮影スイッチ72を操作すると、撮影装置22の線源制御部78は、撮影スイッチ72からの撮影開始信号をコンソール28の撮影条件管理部118に送信し、該コンソール28に対して撮影条件の送信を要求すると共に、放射線源74を所定の管電流等で起動して照射準備を行い、撮影装置22を撮影開始待機状態とする。撮影条件管理部118は、受信した撮影開始信号を電子カセッテ24の送受信機48に転送する。
【0057】
運転管理部102では、送受信機48が撮影開始信号を受信したか否かを監視しており(ステップS2)、送受信機48が撮影開始信号を受信した場合に(ステップS2のYES)、バッテリ残量判定部107は、バッテリ44のバッテリ残量が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS3)。なお、送受信機48が撮影開始信号を受信しない場合(ステップS2のNO)、運転管理部102は、送受信機48による撮影開始信号の受信の有無を引き続き監視する。
【0058】
ステップS3において、バッテリ残量判定部107は、バッテリ残量が閾値未満であれば(ステップS3のNO)、該バッテリ残量が放射線画像の撮影に必要な量にまで到達しておらず、バッテリ44が充電不足であると判定する。この場合、撮影制御部109は、バッテリ残量判定部107における上記の判定結果に基づいて、撮影装置22による撮影を禁止する撮影禁止信号を発生し、一方で、充電制御部108は、バッテリ残量判定部107での前記判定結果と、撮影禁止信号の発生とに基づいて、給電装置25から電子カセッテ24への給電を許可する給電許可信号を発生する(ステップS4)。
【0059】
送受信機48は、撮影禁止信号をコンソール28の撮影条件管理部118に送信すると共に、給電装置25のID情報及び給電許可信号をコンソール28の給電情報管理部128に送信する。
【0060】
撮影条件管理部118は、受信した撮影禁止信号を撮影装置22に転送し、撮影装置22は、受信した撮影禁止信号に基づいて撮影開始待機状態を維持する。
【0061】
一方、給電情報管理部128は、受信した給電装置25のID情報及び給電許可信号を給電装置25に転送し、給電装置25の給電制御部86は、受信した給電許可信号に基づいて、所望の電力量及びタイミングでの電子カセッテ24への給電(充電)を行う(ステップS5)。なお、手術中、バッテリ44の残量が不足した際等には、電子カセッテ24を所定の撮影位置に配置した状態のまま適宜充電することができる。勿論、撮影準備中(電子カセッテ24の設置作業中)や撮影開始前であっても、バッテリ44の残量が不足している場合には、手術開始前や手術開始後において、すぐに無線充電を実行し、迅速に撮影準備を完了することができる。
【0062】
ステップS5において、電子カセッテ24への無線給電に際しては、LC共振器84から電子カセッテ24へと印加される磁場Mを、前記低出力運転よりも十分に強い磁場に変更した所定の運転条件(高出力運転、給電運転)で給電装置25を駆動制御するとよい。また、電子カセッテ24では、LC共振器88と共に、検出用LC共振器94で受けた電力も充電回路90からバッテリ44への充電に使用して、バッテリ44の一層急速な充電を行うこともできる。
【0063】
撮影システム10では、上記のようにコンソール28を介して電子カセッテ24と給電装置25との間で対応する給電装置25のID情報を確認できる。このため、例えば、給電装置を複数台設置した場合にも、対応する所望の給電装置から電子カセッテ24へと適切に且つ選択的に給電運転を行うことができ、無駄な電力消費や誤動作等を回避することができる。
【0064】
ステップS3において、給電装置25から電子カセッテ24への給電によりバッテリ残量が閾値以上となったときに、バッテリ残量判定部107は、該バッテリ残量が放射線画像の撮影に必要な量にまで到達しており、従って、バッテリ44が十分に充電されたと判定する(ステップS3のYES)。これにより、撮影制御部109は、バッテリ残量判定部107における上記の判定結果に基づいて、撮影装置22による撮影を許可する撮影許可信号を発生し(ステップS6)、一方で、充電制御部108は、バッテリ残量判定部107での前記判定結果と、撮影許可信号の発生とに基づいて、給電装置25から電子カセッテ24への給電を禁止する給電禁止信号を発生する(ステップS7)。
【0065】
送受信機48は、撮影許可信号を撮影条件管理部118に送信すると共に、給電装置25のID情報及び給電禁止信号をコンソール28の給電情報管理部128に送信する。
【0066】
給電情報管理部128は、受信した給電装置25のID情報及び給電禁止信号を給電装置25に転送し、給電装置25の給電制御部86は、受信した給電禁止信号に基づいて、給電装置25から電子カセッテ24への給電を停止し、給電装置25を給電禁止状態とする。
【0067】
一方、撮影条件管理部118は、受信した撮影許可信号に基づいて、撮影条件管理部118に登録されている当該患者14の撮影部位に係る撮影条件や撮影枚数と、前記撮影許可信号とを撮影装置22へと送信する。撮影装置22は、受信した撮影許可信号に基づいて、撮影開始待機状態から放射線Xの照射が可能な撮影状態へと移行し、次に、受信した撮影条件等に基づいて放射線源74を制御し、所定の線量からなる放射線Xを患者14に照射(曝射)する(ステップS8)。勿論、前記撮影条件は、予めコンソール28から線源制御部78の図示しないメモリ等に送信されていてもよい。
【0068】
これにより、放射線画像の撮影中での無線給電が禁止されるので、例えば、バッテリ44から放射線検出器40に供給される電圧等が不安定となって大きく変動することを有効に回避することができる。また、給電装置25から印加される磁場M等に起因したノイズが放射線検出器40側に影響を及ぼすことで、撮影された放射線画像にノイズが混入して、放射線画像の品質が低下することも有効に回避することができる。
【0069】
患者14を透過した放射線Xは、電子カセッテ24のグリッド38によって散乱線が除去された後、放射線検出器40に照射され、放射線検出器40を構成する各画素50の光電変換層51によって電気信号に変換された後、蓄積容量53に電荷として保持される(図3参照)。次いで、各蓄積容量53に保持された患者14の放射線画像情報である電荷情報(信号電荷)は、カセッテ制御部46を構成するアドレス信号発生部98からライン走査駆動部58及びマルチプレクサ66に供給されるアドレス信号に従って読み出される。
【0070】
すなわち、ライン走査駆動部58のアドレスデコーダ60は、アドレス信号発生部98から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW1の1つを選択し、対応するゲート線54に接続されたTFT52のゲートに制御信号Vonを供給する。一方、マルチプレクサ66のアドレスデコーダ68は、アドレス信号発生部98から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW2を順次切り替え、ライン走査駆動部58によって選択されたゲート線54に接続された各画素50の蓄積容量53に保持された電荷情報である放射線画像情報を信号線56を介して順次読み出す。
【0071】
放射線検出器40の選択されたゲート線54に接続された各画素50の蓄積容量53から読み出された放射線画像情報は、各増幅器62によって増幅された後、各サンプルホールド回路64によってサンプリングされ、マルチプレクサ66を介してA/D変換器70に供給され、デジタル信号へとA/D変換される。デジタル信号に変換された放射線画像情報は、カセッテ制御部46の画像メモリ100に一旦記憶される。
【0072】
同様にして、ライン走査駆動部58のアドレスデコーダ60は、アドレス信号発生部98から供給されるアドレス信号に従ってスイッチSW1を順次切り替え、各ゲート線54に接続されている各画素50の蓄積容量53に保持された電荷情報である放射線画像情報を信号線56を介して読み出し、マルチプレクサ66及びA/D変換器70を介してA/D変換し、カセッテ制御部46の画像メモリ100に記憶させる。
【0073】
画像メモリ100に記憶された放射線画像情報は、無線通信によってコンソール28へと送信される。コンソール28に送信された放射線画像情報は、画像処理部120において所定の画像処理が施された後、患者情報管理部124に登録されている患者14の患者情報と関連付けられた状態で画像メモリ122に記憶される。
【0074】
画像処理の施された放射線画像情報は、コンソール28から表示装置26へと送信される。放射線画像情報を受信した表示装置26は、表示制御部112によって表示部114を制御しつつ画像表示処理を行い、放射線画像を表示する。このため、医師18は、表示部114に表示された放射線画像を確認しながら手術を遂行することができる。
【0075】
なお、A/D変換器70でのA/D変換が終了した、つまり、今回の撮影で得られた放射線画像情報のデジタル信号化が全て完了した場合には、次のステップS9において、充電制御部108から給電許可信号が発せられる。
【0076】
給電装置25のID情報及び給電許可信号は、電子カセッテ24からコンソール28へと送信され、例えば、給電情報管理部128の管理下に、給電装置25による給電を開始する制御、又は、給電をすぐに開始できるように給電装置25を給電開始待機状態(給電再開待機状態)にする制御が行われる(ステップS11)。これにより、撮影後、取得した放射線画像情報のA/D変換が終了すると、迅速にバッテリ44への無線給電を実施することができる(ステップS12)。なお、前記の給電開始待機制御を実施する場合には、例えば、コンソール28が前記給電許可信号を受信した状態で、ステップS10に示すように、カセッテ制御部46やカセッテ情報管理部126によるバッテリ44の残量を考慮した上で、続いて給電開始制御を実施するとよい。また、前記給電許可信号は、電子カセッテ24から給電装置25へとコンソール28を介さずに直接的に送信され、給電装置25の給電制御部86や電子カセッテ24のカセッテ制御部46によって給電開始制御や給電開始待機制御が実行されてもよい。
【0077】
なお、A/D変換後の放射線画像情報の画像メモリ100への保存終了の時点をA/D変換の終了時点とみなせば、A/D変換ほどではないが、多少はノイズの影響を受けると考えられる画像メモリ100へのデータ転送時に、無線給電によるノイズの影響が及ぶことを有効に避けることができ、データ化け等を惹起することを防止することができる。勿論、画像メモリ100から送受信機48、116によるコンソール28へのデータ送信完了時をA/D変換の終了時点とみなすことにより、無線給電によるノイズの影響を一層確実に回避するように制御することもできる。
【0078】
また、上記ステップS9での給電許可信号の発生は、A/D変換終了後であれば、例えば、当該デジタル信号の電子カセッテ24からコンソール28への送信が完了した後等、所定のタイミングで実施可能であることは言うまでもない。
【0079】
このように、撮影システム10では、撮影前から給電禁止制御を実施した場合であっても(ステップS7)、ノイズの影響が比較的少ないA/D変換終了後には、迅速にバッテリ44への給電を開始(再開)することができる(ステップS9)。このため、例えば、撮影で使用されてバッテリ44の残量が大幅に減り、次回の撮影前に迅速に充電をしておきたい場合等に、特に有効である。なお、上記したステップS1〜S12による撮影や給電が終了した後、再び撮影を行う予定がある場合等には、ステップS12(ステップS10)の終了後、ステップS1等の各手順へと戻ればよい。
【0080】
なお、このような撮影システム10では、バッテリ44への充電は、コンソール28の制御下に、撮影時以外に適宜行うように構成してもよいことは言うまでもない。
【0081】
また、上記の動作説明では、撮影枚数が1枚の場合における撮影システム10の動作について説明したが、複数の撮影枚数である場合には、全ての撮影(ステップS8)及びA/D変換が終了したときに、充電制御部108から給電許可信号が発せられる(ステップS9)。
【0082】
以上のように、第1の実施形態に係る撮影システム10では、患者14に対する放射線Xの照射開始を通知する撮影開始信号を撮影装置22が出力したときに、バッテリ44のバッテリ残量が閾値以上であるか否かを判定し、該バッテリ残量が閾値以上であるときに、給電装置25から電子カセッテ24内のバッテリ44への充電を禁止する。あるいは、バッテリ残量が閾値未満であるときに、給電装置25からバッテリ44への充電を許可すると共に、撮影装置22による放射線Xの照射を禁止する。
【0083】
これにより、バッテリ残量が閾値以上である場合には、バッテリ44への充電が禁止されるので、撮影装置22から患者14に放射線Xを照射しても、該充電に起因したノイズの放射線画像情報への混入が回避され、この結果、再撮影の発生を防止することができると共に、高精度の放射線画像情報を取得することができる。
【0084】
また、バッテリ残量が閾値未満である場合には、給電装置25からバッテリ44への充電が許可されると共に、撮影装置22による放射線Xの照射が禁止されるので、バッテリ残量の不足に起因した電子カセッテ24の誤動作を回避することができ、再撮影の発生を防止することができる。
【0085】
この場合、撮影制御部109は、バッテリ残量が閾値以上であるとバッテリ残量判定部107が判定したときに、撮影装置22による放射線Xの照射を許可する撮影許可信号を発生し、あるいは、バッテリ残量が閾値未満であるとバッテリ残量判定部107が判定したときに、撮影装置22による放射線Xの照射を禁止する撮影禁止信号を発生する。
【0086】
また、充電制御部108は、バッテリ残量が閾値以上であるとバッテリ残量判定部107が判定し、且つ、撮影制御部109が撮影許可信号を発生した場合に、給電装置25から電子カセッテ24への給電を禁止する給電禁止信号を発生し、あるいは、バッテリ残量が閾値未満であるとバッテリ残量判定部107が判定し、且つ、撮影制御部109が撮影禁止信号を発生した場合に、給電装置25から電子カセッテ24への給電を許可する給電許可信号を発生する。
【0087】
さらに、電子カセッテ24の送受信機48は、コンソール28から撮影開始信号を受信し、一方で、撮影許可信号及び給電禁止信号、又は、撮影禁止信号及び給電許可信号をコンソール28に送信する。
【0088】
これにより、バッテリ44への充電禁止及び撮影装置22に対する撮影許可や、バッテリ44への充電許可及び撮影装置22に対する撮影禁止の情報を、電子カセッテ24からコンソール28に確実に報知することができると共に、該コンソール28を介して撮影装置22、給電装置25及び表示装置26にも報知することが可能となる。この結果、前記ノイズの放射線画像情報への混入や再撮影の発生を確実に防止することができると共に、バッテリ残量の不足に起因した電子カセッテ24の誤動作や再撮影の発生を確実に回避することができる。
【0089】
なお、ステップS3〜S5でも述べたように、第1の実施形態に係る撮影システム10では、バッテリ残量が十分でない場合に、電子カセッテ24からコンソール28に撮影禁止及び給電許可が報知されるが、これに代えて、バッテリ残量が十分であるか否かに関わりなく、電子カセッテ24からコンソール28に給電許可信号を適宜送信して、バッテリ44への充電要求を報知してもよい。
【0090】
また、上述した説明では、バッテリ残量が十分でない場合に、電子カセッテ24からコンソール28に撮影禁止及び給電許可が報知されるが、これに代えて、電子カセッテ24からコンソール28に撮影禁止信号のみ送信してもよい。これにより、コンソール28等は、撮影禁止信号を受信したときに、バッテリ44への充電が可能と判断することが可能となる。
【0091】
さらに、給電装置25は、無線(非接触)により電子カセッテ24のバッテリ44に給電するので、該電子カセッテ24を患者14に対して所望の撮影位置に設置した状態であっても、給電装置25によって当該電子カセッテ24への給電を容易に行うことができる。このため、手術中に電子カセッテ24のバッテリ44への充電が必要となった場合であっても、当該電子カセッテ24を移動等させることなく充電を行うことができ、当該電子カセッテ24及び撮影システム10全体の取り扱い性を向上させることができる。さらに、電子カセッテ24のバッテリ44の残量不足による撮影及び手術の中断・延長を有効に回避することができる。
【0092】
また、撮影システム10(電子カセッテ24)では、撮影許可信号が発せられると給電禁止信号が発せられると共に、A/D変換が終了すると給電許可信号が発せられる。従って、少なくとも、撮影の開始から放射線検出器40で検出された放射線画像情報のデジタル信号への変換が完了するまでの時間帯では、無線給電が禁止されるため、特にノイズの影響を受け易いアナログ信号での放射線画像情報に、給電装置25からの無線送電に起因したノイズが影響を及ぼすことを防止して、高品質な放射線画像の取得が可能になる。
【0093】
さらに、前記ノイズの影響を比較的受けにくいA/D変換終了後には、充電制御部108からの給電許可信号の発生により迅速に給電を開始(再開)できることから、例えば、撮影で使用されてバッテリ44の残量が大幅に減った場合であっても、撮影終了後に迅速に充電を行い、次の撮影に備えることができる。
【0094】
撮影システム10では、対応する給電装置25の給電可能エリア内に電子カセッテ24が配置されると、コンソール28を介して自動的に電子カセッテ24と給電装置25との間での情報の送受信が行われ、電子カセッテ24が撮影可能な状態に駆動制御される。従って、電子カセッテ24に手動の電源スイッチ等を設けることを省略することができ、操作スイッチの操作忘れ等による撮影ミスの発生を防止することができる。このため、電子カセッテ24及び撮影システム10の取り扱い性を一層向上させることができる。この場合、電子カセッテ24のエネルギ検出部96で所望の磁場Mが検出されない場合には、例えば、無線給電不能信号をデータ管理部106からカセッテ情報管理部126に送信し、さらに、前記の無線給電不能信号を表示装置26へと送信することにより、表示部114にて医師等にその旨を通知することができる。
【0095】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る放射線画像撮影システム10aのブロック説明図である。
【0096】
本実施形態に係る撮影システム10aは、コンソール28にRIS29及びHIS33が接続されていない以外は基本的に上記第1の実施形態に係る撮影システム10(図4及び図5参照)と同様であるが、RIS29やHIS33が接続されないシステム、例えば、RIS29等を所有しない病院や回診用の撮影システム等に好適に用いられる。
【0097】
なお、この撮影システム10aにおいて、第1の実施形態に係る撮影システム10と同じ構成要素については、同じ参照符号を付けて、その詳細な説明を省略し、以下同様とする。
【0098】
この撮影システム10aにおいても、電子カセッテ24が運転管理部102を有することにより、第1の実施形態に係る撮影システム10と同様の効果を得ることができる。
【0099】
図8は、図4に示す放射線画像撮影システム10の第1の変形例に係る放射線画像撮影システム10bのブロック説明図である。
【0100】
撮影システム10bは、バッテリ残量判定部107a、充電制御部108a及び撮影制御部109aをコンソール28に設けた点で、上記した撮影システム10、10a(図4、図5及び図7参照)とは異なる。
【0101】
撮影システム10bにおいて、バッテリ残量判定部107aは、例えば、バッテリ残量が電子カセッテ24からコンソール28へと送信された場合等に、バッテリ残量に対する判定処理を行い、判定結果を充電制御部108aや撮影制御部109aに通知することにより、図6等に示される撮影手順に基づく動作を実施する。なお、電子カセッテ24に設けられたバッテリ残量判定部107、充電制御部108及び撮影制御部109については、コンソール28の制御下に、その機能を使用しないように設定しておけばよい。勿論、撮影システム10bでは、バッテリ残量判定部107、充電制御部108及び撮影制御部109を省略した、簡易型の電子カセッテを用いることもできる。
【0102】
また、図8に示すように、撮影システム10bでは、バッテリ残量判定部107a、充電制御部108a及び撮影制御部109aに加えて、又は代えて、撮影装置22にバッテリ残量判定部107b、充電制御部108b及び撮影制御部109bを設け、給電装置25にバッテリ残量判定部107c、充電制御部108c及び撮影制御部109cを設けてもよい。すなわち、バッテリ残量判定部、充電制御部及び撮影制御部は、少なくともコンソール28、撮影装置22、給電装置25及び電子カセッテ24のいずれかに設けられていれば、上記撮影システム10、10aと同様な動作を行うことができ、当然、別途専用のコンソール等を設置してもよい。複数の機器にバッテリ残量判定部、充電制御部及び撮影制御部が設けられている場合には、例えば、コンソール28の制御下に任意の機器に搭載されたバッテリ残量判定部、充電制御部及び撮影制御部を選択的に使用するように設定し、他の機器のバッテリ残量判定部、充電制御部及び撮影制御部の機能を使用しないように構成すればよい。
【0103】
なお、電子カセッテ24では、上記のようにバッテリ残量判定部107、充電制御部108及び撮影制御部109を搭載しているため、例えば、既設の放射線画像撮影システムに対しても、コンソール28の制御プログラム等を多少変更するだけで、上記の判定処理のような制御機能等を容易に付加することができる利点がある。
【0104】
上記した放射線画像撮影システム10、10a、10bでは、手術中に使用される放射線画像を表示装置26に表示するものとしたが、手術中以外において通常の放射線画像の撮影のみを行う場合にも適用可能であることは言うまでもない。同様に、電子カセッテ24は、手術室12で使用される場合に限られるものではなく、例えば、検診や病院内での回診にも適用することができる。
【0105】
また、給電装置25は、電子カセッテ24に対して無線(非接触)による給電が可能であればよく、例えば、LC共振器84、88及び検出用LC共振器94に代えて、それぞれを誘電体で構成すると共に磁場Mの代わりに電場を用いるものとしてもよく、前記のようないわゆる共鳴型の無線給電装置以外のものであってもよい。すなわち、給電装置25から電子カセッテ24に供給される電気エネルギを変換した供給エネルギとしては、例えば、光エネルギや熱エネルギ等も適用可能である。
【0106】
さらに、放射線画像撮影システム10、10a、10bでは、例えば、電子カセッテ24に収容される放射線検出器40は、入射した放射線Xの線量を光電変換層51によって直接電気信号に変換する直接変換方式の放射線検出器であるが、これに代えて、入射した放射線Xをシンチレータによって一旦可視光に変換した後、この可視光をアモルファスシリコン(a−Si)等の固体検出素子を用いて電気信号に変換するように構成した間接変換方式の放射線検出器を用いてもよい(特許第3494683号公報参照)。
【0107】
さらにまた、光読出方式の放射線検出器を利用して放射線画像情報を取得することもできる。この光読出方式の放射線検出器では、マトリクス状に配列された各固体検出素子に放射線が入射すると、その線量に応じた静電潜像が固体検出素子に蓄積記録される。静電潜像を読み取る際には、放射線検出器に読取光を照射し、発生した電流の値を放射線画像情報として取得する。なお、放射線検出器は、消去光を放射線検出器に照射することで、残存する静電潜像である放射線画像情報を消去して再使用することができる(特開2000−105297号公報参照)。
【0108】
さらに、例えば、撮影装置22、給電装置25、表示装置26及びコンソール28間等での信号の送受信を有線通信によって行うこともできる。電子カセッテ24と外部機器との間での無線通信は、通常の電波による通信に代えて、赤外線等を用いた光無線通信で行うようにしてもよい。
【0109】
図9は、電子カセッテ24の変形例に係る電子カセッテ500の構成図である。電子カセッテ500には、ケーシング502の放射線照射面側に、撮影領域及び撮影位置の基準となるガイド線504が形成される。このガイド線504を用いて、電子カセッテ500に対する被写体(患者14)の位置決めを行い、また、放射線Xの照射範囲を設定することにより、放射線画像情報を適切な撮影領域に記録することができる。
【0110】
電子カセッテ500の撮影領域外の部位には、当該電子カセッテ500に係る各種情報を表示する表示部506を配設する。この表示部506には、電子カセッテ500に記録される患者14のID情報、電子カセッテ500の使用回数、累積曝射線量、電子カセッテ500に内蔵されているバッテリ44の充電状態(残容量)、放射線画像情報の撮影条件、患者14の電子カセッテ500に対するポジショニング画像等を表示させる。この場合、放射線技師は、例えば、表示部506に表示されたID情報に従って患者14を確認すると共に、当該電子カセッテ500が使用可能な状態にあることを事前に確認し、表示されたポジショニング画像に基づいて患者14の所望の撮影部位を電子カセッテ500に位置決めして、最適な放射線画像情報の撮影を行うことができる。
【0111】
また、電子カセッテ500に取手部508を形成することにより、当該電子カセッテ500の取り扱い、持ち運びが容易になる。
【0112】
電子カセッテ500の側部には、ACアダプタの入力端子510と、USB(Universal Serial Bus)端子512と、メモリカード514を装填するためのカードスロット516とを配設すると好適である。
【0113】
入力端子510は、電子カセッテ500に内蔵されているバッテリ44の充電機能が低下しているとき、あるいは、バッテリ44を充電するのに十分な時間を確保できないとき、ACアダプタを接続して外部から電力を供給することにより、当該電子カセッテ500を直ちに使用可能な状態とすることができる。
【0114】
USB端子512又はカードスロット516は、電子カセッテ500がコンソール28等の外部機器との間で無線通信による情報の送受信を行うことができないときに利用することができる。すなわち、USB端子512にケーブルを接続することにより、外部機器との間で有線通信による情報の送受信を行うことができる。また、カードスロット516にメモリカード514を装填し、このメモリカード514に必要な情報を記録した後、メモリカード514を取り出して外部機器に装填することにより、情報の送受信を行うことができる。
【0115】
手術室12や病院内の必要な箇所には、図10に示すように、電子カセッテ24が装填され、内蔵されるバッテリ44の充電を行うクレードル518を配置すると好適である。この場合、クレードル518は、上記の給電装置25に類似した図示しない非接触の給電装置によるバッテリ44の充電だけでなく、クレードル518の無線通信機能又は有線通信機能を用いて、RIS29、HIS33、コンソール28等の外部機器との間で必要な情報の送受信を行うようにしてもよい。送受信する情報には、クレードル518に装填された電子カセッテ24に記録された放射線画像情報を含めることができる。
【0116】
また、クレードル518に表示部520を配設し、この表示部520に対して、装填された当該電子カセッテ24の充電状態や、電子カセッテ24から取得した放射線画像情報を含む必要な情報を表示させるようにしてもよい。
【0117】
さらに、複数のクレードル518をネットワークに接続し、各クレードル518に装填されている電子カセッテ24の充電状態をネットワークを介して収集し、使用可能な充電状態にある電子カセッテ24の所在を確認できるように構成することもできる。
【0118】
図11は、図4に示す放射線画像撮影システム10の第2の変形例に係る放射線画像撮影システム10cの説明図である。
【0119】
上記した撮影システム10等では、照射された放射線Xを検出し、放射線画像情報を取得する放射線検出装置として電子カセッテ24を用いた構成を説明した。これに対して、当該撮影システム10cでは、電子カセッテ24の代わりに、患者14が横臥するベッドである撮影台150にビルトインされた放射線検出装置152を用いて臥位撮影を行う構成を説明する。
【0120】
撮影システム10cにおいて、放射線検出装置152は上記の電子カセッテ24と略同様な構成及び構造からなり、放射線検出器40、バッテリ44、無線受電部49、制御部46a及び送受信機48等を備え、これら各機器が放射線Xを透過させる材料で形成された箱状のケーシング154内に収納されている。制御部46aは、電子カセッテ24を構成するカセッテ制御部46と略同様に機能するものであり、バッテリ残量判定部107、充電制御部108及び撮影制御部109等を有する。
【0121】
また、撮影台150の下面には、その長手方向に沿って図示しないレールが設けられており、放射線検出装置152は、ケーシング154に設けられたスライダ機構(図示せず)により、前記レールに沿って矢印X方向(水平方向)の所望の位置に移動可能である。従って、撮影台150に横臥した患者14の所望の撮影部位へと放射線検出装置152を容易に移動させることができる。
【0122】
以上より、撮影システム10cでは、放射線検出装置152を移動可能とする一方、当該放射線検出装置152には上記の電子カセッテ24と略同様にバッテリ44及び無線受電部49を内蔵しているため、放射線検出装置152への電源ケーブル等が不要である。従って、ケーブル類の影響を受けることなく放射線検出装置152を円滑に移動させることができ、取り扱い性を向上させることができる。また、上記の撮影システム10等と同様に、給電装置25からバッテリ44への無線給電と撮影装置22による撮影とを適宜制御することができ、品質の高い放射線画像の取得が可能である。
【0123】
なお、図11に示すように、撮影システム10cでは、撮影台150の脚部に車輪158を設けた構成としてもよい。この場合、撮影台150自体を室内の所望の位置に容易に移動可能であり、必要に応じて前記レールをなくし、放射線検出装置152を撮影台150に固定した構成とすることもできる。
【0124】
図12は、図4に示す放射線画像撮影システム10の第3の変形例に係る放射線画像撮影システム10dの説明図である。
【0125】
撮影システム10dは、上記の撮影システム10cと同様に電子カセッテ24を用いず、図示しない床面及び壁面160に固定されて起立した支柱162に対して着脱自在な放射線検出装置164を用いて立位撮影を行うシステムである。
【0126】
放射線検出装置164は、上記の電子カセッテ24や放射線検出装置152と略同様な構成及び構造からなり、放射線検出器40、バッテリ44、無線受電部49、制御部46a及び送受信機48等を備え、これら各機器が放射線Xを透過させる材料で形成された箱状のケーシング154内に収納されている。
【0127】
この場合、立位撮影台として機能する放射線検出装置164の背面には、鉛直方向に離間した一対のフック部材166、168が設けられている。一方、支柱162の放射線検出装置164に対向する側面には装着凹部170が形成され、該装着凹部170内には、水平方向(患者14の肩幅方向)に延び、前記フック部材166、168に対応して鉛直方向に離間した一対のシャフト172、174が固定されている。また、下方のフック部材168は図示しないばね機構により、支軸176を支点として上方に揺動可能である(図12中の2点鎖線参照)。
【0128】
従って、フック部材168の揺動動作を利用して、フック部材166、168をシャフト172、174へと容易に且つ確実に装着可能且つ離脱可能であり、つまり、放射線検出装置164を支柱162に容易に且つ確実に着脱することができる。さらに、放射線検出装置164は、支柱162に装着された状態で図示しないスライド機構によって矢印Y方向(鉛直方向)にも移動可能とされている。
【0129】
なお、図12中の参照符号178は、ケーシング154の両幅方向に固定されたフレームであり、撮影台である放射線検出装置164に対して患者14が所望の撮影姿勢をした際に当該撮影姿勢を維持するために把持する棒部材である。
【0130】
以上より、撮影システム10dでは、放射線検出装置164を支柱162に対して着脱可能且つ移動可能とする一方、当該放射線検出装置164には上記の電子カセッテ24や放射線検出装置152と略同様にバッテリ44及び無線受電部49を内蔵しているため、電源ケーブル等が不要である。従って、ケーブル類の影響を受けることなく放射線検出装置164を容易に移動及び着脱することができる。また、上記の撮影システム10等と同様に、給電装置25からバッテリ44への無線給電と撮影装置22による撮影とを適宜制御することができ、品質の高い放射線画像の取得が可能である。
【0131】
以上のように、本実施形態に係る撮影システム10、10a〜10dでは、放射線検出装置である電子カセッテ24や放射線検出装置152、164が移動可能であるが、これらが所望の撮影位置に設定された場合であっても、給電装置25によって当該電子カセッテ24への給電を容易に行うことができる。しかも、バッテリ残量判定部、充電制御部及び撮影制御部を備えていることから、少なくとも検出された放射線画像情報のA/D変換が終了するまでは無線による給電が実施されることがない。このため、当該無線送電に起因したノイズによる影響を回避して高品質な画像を撮影及び取得可能である一方、非撮影中(撮影終了)には迅速な充電を行うことができる。
【0132】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る放射線画像撮影システムが設置された手術室の説明図である。
【図2】図1に示す電子カセッテの一部切断斜視説明図である。
【図3】図2の放射線検出器の回路構成ブロック図である。
【図4】図1に示す放射線画像撮影システムのブロック説明図である。
【図5】図4に示す電子カセッテの構成をより具体的に示したブロック説明図である。
【図6】図4に示す放射線画像撮影システムの撮影手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る放射線画像撮影システムのブロック説明図である。
【図8】図4に示す放射線画像撮影システムの第1の変形例に係る放射線画像撮影システムのブロック説明図である。
【図9】電子カセッテの他の構成図である。
【図10】電子カセッテの充電を行うクレードルの構成図である。
【図11】図4に示す放射線画像撮影システムの第2の変形例に係る放射線画像撮影システムの説明図である。
【図12】図4に示す放射線画像撮影システムの第3の変形例に係る放射線画像撮影システムの説明図である。
【符号の説明】
【0134】
10、10a〜10d…放射線画像撮影システム
22…撮影装置 24、500…電子カセッテ
25…給電装置 26…表示装置
28…コンソール 40…放射線検出器
44…バッテリ 46…カセッテ制御部
46a…制御部 49…無線受電部
70…A/D変換器 72…撮影スイッチ
107、107a〜107c…バッテリ残量判定部
108、108a〜108c…充電制御部 109、109a〜109c…撮影制御部
152、164…放射線検出装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を透過した放射線を検出して放射線画像情報に変換する放射線検出器を備えた放射線検出装置、該放射線検出装置を備えた放射線画像撮影システム、及び、放射線画像撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、被写体に放射線を照射し、該被写体を透過した前記放射線を放射線変換パネルに導いて放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置が広汎に使用されている。前記放射線変換パネルとしては、放射線画像が露光記録される従来からの放射線フイルムや、蛍光体に放射線画像としての放射線エネルギを蓄積し、励起光を照射することで当該放射線画像を輝尽発光光として取り出すことのできる蓄積性蛍光体パネルが知られている。これらの放射線変換パネルは、放射線画像が記録された放射線フイルムを現像装置に供給して現像処理を行い、あるいは、蓄積性蛍光体パネルを読取装置に供給して読取処理を行うことで、可視画像としての放射線画像を得ることができる。
【0003】
一方、手術室等においては、患者に対して迅速且つ的確な処置を施すため、撮影後の放射線変換パネルから直ちに放射線画像を読み出して表示することが必要である。また、乳幼児、小児や高齢者、病気や怪我などで長時間自立できない患者の撮影においても、同様に迅速な撮影が求められる。このような要求に対応可能な放射線変換パネルとして、放射線を直接電気信号に変換し、あるいは、放射線をシンチレータで可視光に変換した後、電気信号に変換して読み出す固体検出素子を用いた放射線検出器が開発されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、放射線検出器を駆動するバッテリのバッテリ残量が撮影可能な量に到達している場合には、撮影待機状態から撮影可能状態に切り替え、一方で、前記バッテリ残量が撮影可能な量に到達していない場合には、撮影待機状態を維持する放射線検出装置(電子カセッテ)及び放射線画像撮影システムが提案されている。
【0005】
【特許文献1】国際公開第2006/080377号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、特許文献1の技術は、バッテリ残量に応じて撮影の許可(撮影可能状態)又は禁止(撮影待機状態)を判断するものであり、該バッテリ残量と、撮影の許可又は禁止と、充電装置からバッテリへの充電動作との関係について、何ら提案されていない。
【0007】
例えば、撮影に必要なバッテリ残量まで充電されているバッテリに対して、さらに充電を行っている最中に撮影が行われると、前記充電に起因したノイズが前記撮影により得られる放射線画像に混入するので、該放射線画像が医師による読影診断に適さない画像となり、再撮影が必要となる。
【0008】
また、バッテリ残量が撮影に必要な量まで到達していない場合に、撮影可能状態から撮影待機状態に切り替えても、速やかに、充電装置からバッテリへの充電が開始されるとは限らない。そのため、撮影に必要な量までバッテリ残量が到達していない状態で該撮影を行うと、前記バッテリ残量の不足により放射線検出装置が誤動作するので、所望の放射線画像が得られず、再撮影が必要となる。
【0009】
特に、充電装置から非接触でバッテリを充電する非接触充電方式では、該バッテリに対する充電が短時間で完了する場合は少なく、撮影開始の直前まで充電を行うことが望ましい。また、前記非接触充電方式により充電されるバッテリを備えた放射線検出装置では、装置全体の軽量化を図るために、比較的小さなバッテリを搭載するので、大きなバッテリを搭載して余裕を持って充電することはできない。従って、当該放射線検出装置では、上述した課題を惹起しやすい。
【0010】
本発明は、上記の課題を考慮してなされたものであり、再撮影の発生を防止すると共に、撮影効率を向上して高精度の放射線画像情報を取得することができる放射線検出装置、放射線画像撮影システム及び放射線画像撮影方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る放射線検出装置は、
外部の撮影装置から照射されて被写体を透過した放射線を検出して放射線画像情報に変換する放射線検出器と、前記放射線検出器を駆動するバッテリと、前記バッテリのバッテリ残量が所定の閾値以上であるか否かを判定するバッテリ残量判定部と、前記撮影装置による前記放射線の照射を制御する撮影制御部とを有し、
前記バッテリ残量判定部は、前記被写体に対する前記放射線の照射開始を通知する撮影要求信号を前記撮影装置が出力した際に、前記バッテリ残量が前記閾値以上であるか否かを判定し、
前記撮影制御部は、前記バッテリ残量が前記閾値未満であると前記バッテリ残量判定部が判定したときに、前記撮影装置による前記放射線の照射を禁止することを特徴としている。
【0012】
また、本発明に係る放射線画像撮影システムは、
被写体に放射線を照射する撮影装置と、
前記被写体を透過した前記放射線を検出して放射線画像情報に変換する放射線検出器、及び、前記放射線検出器を駆動するバッテリを備える放射線検出装置と、
前記撮影装置及び前記放射線検出装置を制御する制御装置と、
前記バッテリのバッテリ残量が所定の閾値以上であるか否かを判定するバッテリ残量判定部と、
前記撮影装置による前記放射線の照射を制御する撮影制御部と、
を有し、
前記バッテリ残量判定部は、前記被写体に対する前記放射線の照射開始を通知する撮影要求信号を前記撮影装置が出力した際に、前記バッテリ残量が前記閾値以上であるか否かを判定し、
前記撮影制御部は、前記バッテリ残量が前記閾値未満であると前記バッテリ残量判定部が判定したときに、前記撮影装置による前記放射線の照射を禁止することを特徴としている。
【0013】
さらに、本発明に係る放射線画像撮影方法は、
撮影装置から被写体に放射線を照射し、該放射線を放射線検出装置に搭載した放射線検出器で検出して放射線画像情報に変換する放射線画像撮影方法であって、
前記被写体に対する前記放射線の照射開始を通知する撮影要求信号を前記撮影装置が出力した際に、前記放射線検出器を駆動するバッテリのバッテリ残量が所定の閾値以上であるか否かを判定し、
前記バッテリ残量が前記閾値未満であるときに、前記撮影装置による前記放射線の照射を禁止することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被写体に対する放射線の照射開始を通知する撮影要求信号を撮影装置が出力したときに、バッテリのバッテリ残量が閾値以上であるか否かを判定し、前記バッテリ残量が前記閾値未満であるときに、前記撮影装置による前記放射線の照射を禁止する。
【0015】
これにより、前記バッテリ残量の不足に起因した放射線検出装置の誤動作を回避することができ、再撮影の発生を防止することができる。また、前記放射線の照射の禁止によって、前記バッテリ残量が不足している前記バッテリへの充電が可能となるので、撮影効率が向上して、高精度の放射線画像情報を取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る放射線画像撮影システム及び放射線画像撮影方法について、このシステムに用いられる放射線検出装置との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る放射線画像撮影システム10(以下、「撮影システム10」ともいう)が設置された手術室12には、患者14が横臥するベッドである手術台16と、医師18が手術に使用する各種器具を載置する器具台20とが配置されている。また、手術台16の周りには、図示しない麻酔器、吸引器、心電計、血圧計等、手術に必要な様々な機器が配置される。
【0018】
撮影システム10は、撮影条件に従った線量の放射線Xを被写体である患者14に照射する撮影装置(放射線照射装置)22と、患者14を透過した放射線Xを検出する放射線検出器40(図2参照)を内蔵した放射線検出装置である電子カセッテ24と、電子カセッテ24に内蔵されたバッテリ44(図2参照)へと電力を無線(非接触)で供給する給電装置(充電装置、無線給電装置)25と、放射線検出器40で検出された放射線Xに基づく放射線画像を表示する表示装置26と、当該撮影システム10を総合的に制御するコンソール(制御装置)28とを備える。撮影システム10において、撮影装置22、電子カセッテ24、給電装置25、表示装置26及びコンソール28間は、例えば、UWB(Ultra Wide Band)を用いた無線通信により信号の送受信を行うことができる。
【0019】
撮影装置22は、天井から延びた自在アーム30に連結され、患者14の撮影部位に応じた所望の位置に移動可能であると共に、医師18による手術の邪魔とならない位置に待避可能である。同様に、給電装置25は自在アーム31に連結され、電子カセッテ24の配置に応じた所望の位置に移動可能である。表示装置26は自在アーム32に連結され、表示される放射線画像を医師18が容易に確認できる位置に移動可能である。自在アーム30〜32は、壁や床又は移動可能なワゴン等に設けてもよく、給電装置25や表示装置26は、自在アームを介さずに天井や壁、床等に固定しておいてもよい。なお、給電装置25は、放射線検出装置(電子カセッテ24等)へ印加する磁場Mが患者14を避けるように、例えば、当該放射線検出装置の側面水平方向(図1及び図11参照)や底面下方(図12参照)等に配置されることが好ましい。
【0020】
図2は、図1の電子カセッテ24の一部切断斜視説明図である。電子カセッテ24は、放射線Xを透過させる材料からなる箱状のケーシング34を備える。ケーシング34の内部には、放射線Xが照射される照射面36側から順に、患者14による放射線Xの散乱線を除去するグリッド38と、患者14を透過した放射線Xを検出する放射線検出器(放射線変換パネル)40と、放射線Xのバック散乱線を吸収する鉛板42とが層状に配設される。ケーシング34の照射面36をグリッド38として構成することもできる。
【0021】
また、電子カセッテ24には、電源部として機能するバッテリ44と、バッテリ44からの電力によって放射線検出器40の駆動制御等を行うカセッテ制御部46と、放射線検出器40で検出した放射線Xの情報(放射線画像情報)を含む信号をコンソール28との間で無線によって送受信する送受信機48とが備えられる。バッテリ44、カセッテ制御部46及び送受信機48には、放射線Xが照射されることによる損傷を回避するため、照射面36側に鉛板等を配設しておくことが好ましい。さらに、電子カセッテ24には、給電装置25で電気エネルギから変換され、無線によって印加される磁場(磁界、磁束)Mを受電し、該磁場Mを電気エネルギに再変換する無線受電部49等が設けられる。
【0022】
図3は、放射線検出器40の回路構成ブロック図である。放射線検出器40は、放射線Xを感知して電荷を発生させるアモルファスセレン(a−Se)等の物質からなる光電変換層51を行列状の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)52のアレイの上に配置した構造を有し、発生した電荷を蓄積容量(蓄積部)53に蓄積した後、各行毎にTFT52を順次オンにして、電荷を画像信号として読み出す。図3では、光電変換層51及び蓄積容量53からなる1つの画素50と1つのTFT52との接続関係のみを示し、その他の画素50の構成については省略している。なお、アモルファスセレンは、高温になると構造が変化して機能が低下してしまうため、所定の温度範囲内で使用する必要がある。従って、電子カセッテ24内に放射線検出器40を冷却する手段を配設することが好ましい。
【0023】
各画素50に接続されるTFT52には、行方向と平行に延びるゲート線54と、列方向と平行に延びる信号線56とが接続される。各ゲート線54は、ライン走査駆動部58に接続され、各信号線56は、読取回路を構成するマルチプレクサ66に接続される。
【0024】
ゲート線54には、行方向に配列されたTFT52をオンオフ制御する制御信号Von、Voffがライン走査駆動部58から供給される。この場合、ライン走査駆動部58は、ゲート線54を切り替える複数のスイッチSW1と、スイッチSW1の1つを選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ60とを備える。アドレスデコーダ60には、カセッテ制御部46からアドレス信号が供給される。
【0025】
また、信号線56には、列方向に配列されたTFT52を介して各画素50の蓄積容量53に保持されている電荷が流出する。この電荷は、増幅器62によって増幅される。増幅器62には、サンプルホールド回路64を介してマルチプレクサ66が接続される。マルチプレクサ66は、信号線56を切り替える複数のスイッチSW2と、スイッチSW2の1つを選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ68とを備える。アドレスデコーダ68には、カセッテ制御部46からアドレス信号が供給される。マルチプレクサ66には、A/D変換器70が接続され、該A/D変換器70によってデジタル信号に変換された放射線画像情報がカセッテ制御部46に供給される。
【0026】
さらに、スイッチング素子として機能するTFT52は、CMOS(Complementary Metal−Oxside Semiconductor)イメージセンサ等、他の撮像素子と組み合わせて実現してもよい。さらにまた、TFTで言うところのゲート信号に相当するシフトパルスにより電荷をシフトしながら転送するCCD(Charge−Coupled Device)イメージセンサに置き換えることも可能である。
【0027】
図4は、撮影装置22、電子カセッテ24、給電装置25、表示装置26及びコンソール28からなる撮影システム10のブロック説明図である。
【0028】
コンソール28には、病院内の放射線科で取り扱われる放射線画像情報やその他の情報、例えば、患者14毎の撮影回数(撮影枚数、曝射回数)等のオーダ情報(オーダリング情報)を記憶すると共に、これら各情報を統括的に管理する放射線科情報システム(RIS、情報管理システム)29が接続される。さらに、RIS29には、病院内の医事情報を統括的に管理する医事情報システム(HIS)33が接続される。HIS33にRIS29の機能を統合的に付与した総合的なシステムとして構成することもできる。
【0029】
撮影装置22は、撮影スイッチ72と、放射線源74と、送受信機76と、線源制御部78とを有する。送受信機76は、無線通信によってコンソール28から撮影条件を受信する一方、コンソール28に対して撮影完了信号及び撮影開始信号等を送信する。線源制御部78は、撮影スイッチ72から供給される撮影開始信号(撮影要求信号)及びコンソール28から供給される撮影条件に基づき放射線源74を駆動制御する。放射線源74は、線源制御部78からの制御に基づき放射線Xを出力する。
【0030】
給電装置25は、図示しない外部電源等に接続された電源80と、無線通信によってコンソール28から給電許可信号(給電開始信号、充電許可信号)等を受信する一方、コンソール28に対して当該給電装置25のID情報(識別データ)等を送信する送受信機82と、電源80からの電気エネルギを磁場Mに変換して電子カセッテ24へと無線で送電するLC共振器(送電部)84と、コンソール28から供給される給電許可信号に基づきLC共振器84を駆動制御する給電制御部86とを備える。
【0031】
図5は、本実施形態に係る放射線検出装置としての電子カセッテ24の構成をより具体的に示した撮影システム10のブロック説明図である。
【0032】
図4及び図5に示すように、電子カセッテ24は、放射線検出器40と、バッテリ44と、無線受電部49と、カセッテ制御部46と、送受信機(送受信手段、無線送受信機)48とを備える。
【0033】
バッテリ44は、リチウムイオン電池等の充電可能な2次電池で構成され、放射線検出器40、カセッテ制御部46及び送受信機48等、電子カセッテ24の各部に電力を供給する電源である。バッテリ44としては、2次電池以外にも、例えば、電気二重層コンデンサ等の蓄電素子を使用することもでき、要は、充電可能であり且つ電子カセッテ24の電源として適切に機能するものであればよい。
【0034】
無線受電部49は、給電装置25から無線で供給される電力を受電し、バッテリ44へと供給(充電)する機能を奏する。該無線受電部49は、給電装置25のLC共振器84から印加される磁場Mを受けて電気エネルギに再変換するLC共振器88と、LC共振器88で再変換された電気エネルギを所望の電力に変換してバッテリ44へ供給する充電回路90とを有する。充電回路90は、LC共振器88で発生した電流を整流して、例えば、所定の定電流でバッテリ44を充電する。
【0035】
さらに、無線受電部49には、LC共振器88と並設され、該LC共振器88より小型の検出用LC共振器94と、検出用LC共振器94で再変換された電気エネルギを検出するエネルギ検出部96とが備えられる。エネルギ検出部96は、前記電気エネルギを検出することにより、当該電子カセッテ24が給電装置25の給電可能エリア内にあることを検出し、カセッテ制御部46へと給電エリア検出信号を送信する。
【0036】
上記のように、給電装置25から電子カセッテ24に対しては、コイルとコンデンサとを有するLC共振回路で構成されたLC共振器84からLC共振器88への磁場Mの共鳴を利用する公知の電力送信技術を用い、無線による給電(充電)を行うことができる。
【0037】
図5に示すように、カセッテ制御部46は、アドレス信号発生部98と、画像メモリ100と、運転管理部102と、カセッテIDメモリ104と、データ管理部106とを備える。アドレス信号発生部98は、放射線検出器40を構成するライン走査駆動部58のアドレスデコーダ60及びマルチプレクサ66のアドレスデコーダ68に対して、アドレス信号を供給する。画像メモリ100は、放射線検出器40によって検出された放射線画像情報を記憶する。すなわち、画像メモリ100には、放射線検出器40に照射され、信号電荷として蓄積された後、読み出されてデジタル信号に変換された放射線画像情報が保存される。
【0038】
運転管理部102は、無線受電部49及びバッテリ44を駆動制御すると共に、当該電子カセッテ24全体の駆動も制御する。さらに、運転管理部102には、バッテリ残量判定部107と、充電制御部108と、撮影制御部109とが設けられる。
【0039】
バッテリ残量判定部107は、バッテリ44の残量(バッテリ残量)が所定の閾値以上であるか否かを判定する。具体的に、バッテリ残量判定部107は、バッテリ残量が閾値以上であれば、該バッテリ残量が放射線画像の撮影に必要な量にまで到達しており、バッテリ44が十分に充電されていると判定する。また、バッテリ残量判定部107は、バッテリ残量が閾値未満であれば、該バッテリ残量が放射線画像の撮影に必要な量にまで到達しておらず、バッテリ44が充電不足であると判定する。なお、上述した判定処理は、患者14に対する放射線Xの照射開始(撮影開始)を通知する撮影開始信号を、撮影装置22からコンソール28を介して送受信機48が受信したときに行う。なお、前記判定処理は、送受信機48における撮影開始信号の受信時に限らず、放射線画像の撮影前又は撮影後に適宜行ってもよい。
【0040】
撮影制御部109は、送受信機48が撮影開始信号を受信し、且つ、バッテリ残量判定部107が上記の判定処理を行ってバッテリ残量が閾値以上であると判定したときに、撮影装置22による撮影(放射線Xの照射)を許可する制御信号(撮影許可信号)を発生する。また、撮影制御部109は、送受信機48が撮影開始信号を受信し、バッテリ残量判定部107が上記の判定処理を行って、バッテリ残量が閾値未満であると判定したときに、撮影装置22による撮影を禁止する制御信号(撮影禁止信号)を発生する。
【0041】
充電制御部108は、バッテリ残量が閾値以上であるとバッテリ残量判定部107が判定し、且つ、撮影制御部109が撮影許可信号を発生した場合に、給電装置25から当該電子カセッテ24への給電(充電)を禁止する信号(給電禁止信号、充電禁止信号)を発生する。また、充電制御部108は、バッテリ残量が閾値未満であるとバッテリ残量判定部107が判定し、且つ、撮影制御部109が撮影禁止信号を発生した場合に、給電装置25から当該電子カセッテ24への給電(充電)を許可する信号(給電許可信号、給電開始信号、充電許可信号)を発生する。このように、バッテリ残量判定部107での判定結果や、撮影制御部109からの信号を受けて、給電禁止信号や給電許可信号を発生する充電制御部108は、給電禁止信号や給電許可信号にそれぞれ対応する複数の制御部(信号発生部)として構成することもできる。
【0042】
充電制御部108で発せられた給電禁止信号や給電許可信号、撮影制御部109で発せられた撮影許可信号や撮影禁止信号は、送受信機48を介してコンソール28へと送信される。コンソール28では、これら各信号を受信すると、給電装置25からの無線給電の禁止(停止)制御や開始(再開)制御、及び、撮影装置22からの撮影の許可(開始)制御や禁止(停止)制御を実施する。なお、コンソール28を介さず、給電禁止(許可)信号や撮影許可(禁止)信号を電子カセッテ24から給電装置25へと直接的に送信し、例えば、給電制御部86や線源制御部78によって給電禁止(開始)制御や撮影開始(禁止)制御を行うように構成してもよい。
【0043】
カセッテIDメモリ104は、電子カセッテ24を特定するためのカセッテID情報を記憶する。データ管理部106は、当該電子カセッテ24の給電に対応する給電装置25を特定するためのID情報(識別データ)及びエネルギ検出部96からの給電エリア検出信号等を管理する。
【0044】
送受信機48は、無線通信によりコンソール28から送信要求信号、撮影開始信号及び給電装置25のID情報を受信する一方、コンソール28に対して、放射線画像情報、カセッテID情報、無線給電可能信号、給電禁止信号、給電許可信号、撮影許可信号及び撮影禁止信号等を送信する。
【0045】
図4に示すように、表示装置26は、コンソール28から放射線画像情報を受信する受信機110と、受信した放射線画像情報の処理を行う表示制御部112と、表示制御部112で処理された放射線画像情報を表示する表示部114とを備える。
【0046】
コンソール28は、送受信機116と、撮影条件管理部118と、画像処理部120と、画像メモリ122と、患者情報管理部124と、カセッテ情報管理部126と、給電情報管理部128とを備える。なお、コンソール28は、撮影装置22、電子カセッテ24、給電装置25及び表示装置26に対して信号の送受信を確実に行うことができるのであれば、手術室12の外部に設置してもよい。
【0047】
送受信機116は、当該コンソール28と、撮影装置22、電子カセッテ24、給電装置25及び表示装置26との間で、放射線画像情報や給電禁止(許可)信号、撮影許可(禁止)信号を含む必要な情報を無線通信によって送受信する。撮影条件管理部118は、撮影装置22による撮影に必要な撮影条件を管理すると共に、さらに、撮影制御部109からの撮影許可信号や撮影禁止信号に基づく撮影装置22の撮影開始制御や撮影禁止制御を行う。画像処理部120は、電子カセッテ24から受信した放射線画像情報に対し、所定の画像処理を行う。画像メモリ122は、画像処理部120で処理された放射線画像情報を記憶する。患者情報管理部124は、撮影対象である患者14の患者情報を管理する。カセッテ情報管理部126は、電子カセッテ24から受信した無線給電可能信号やカセッテID情報を含むカセッテ情報を管理する。給電情報管理部128は、給電装置25の運転制御や給電装置25から送信されたID情報等の管理等を行うと共に、さらに、充電制御部108からの給電禁止信号や給電許可信号に基づく給電装置25の給電禁止制御や給電開始制御(給電再開制御)を行う。
【0048】
なお、前記撮影条件とは、患者14の撮影部位に対して、適切な線量からなる放射線Xを照射するための管電圧、管電流、照射時間等を決定するための条件であり、例えば、撮影部位、撮影方法等の条件を挙げることができる。さらに、撮影条件としては、例えば、RIS29からのオーダ情報として、撮影回数等の条件が挙げられる。前記患者情報とは、患者14の氏名、性別、患者ID番号等、患者14を特定するための情報である。これらの撮影条件及び患者情報を含む撮影のオーダ情報は、コンソール28で直接設定し、あるいは、RIS29を介してコンソール28に外部から供給することができる。また、前記カセッテ情報には、電子カセッテ24を特定するためのカセッテID情報等に加え、データ管理部106からの無線給電可能信号も含まれる。
【0049】
第1の実施形態に係る撮影システム10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作について図6のフローチャートを参照して説明する。
【0050】
ここでは、撮影枚数が1枚の場合における撮影システム10の動作について説明する。
【0051】
撮影システム10は、手術室12に設置されており、例えば、手術中に放射線画像の撮影が必要となった際に使用される。そのため、撮影対象である患者14の患者情報や撮影枚数等は、撮影に先立ち、コンソール28の患者情報管理部124に予め登録しておく。また、撮影部位や撮影方法が事前に決まっている場合には、これらの撮影条件を撮影条件管理部118に予め登録しておく。これらの登録は、RIS29から情報を取得して行うことができる。以上の準備作業が終了した状態で患者14に対する手術が遂行される。
【0052】
先ず、図6のステップS1において、手術中に放射線画像の撮影を行う際には、医師18又は担当する放射線技師は照射面36を撮影装置22側に向けた状態で、患者14と手術台16との間の所望の位置に電子カセッテ24を設置する。
【0053】
ここで、コンソール28の運転開始と連動して、又は図示しない運転開始スイッチの操作等により、給電装置25が所定の運転条件(低出力運転)で駆動される。従って、電子カセッテ24は、無線受電部49の検出用LC共振器94及びエネルギ検出部96により、当該電子カセッテ24が給電装置25の給電可能エリア内に配置されたことを検出することができる。すなわち、エネルギ検出部96が、電子カセッテ24が給電装置25から受電可能なエリアにあるか否かを検出する受電可否検出部として機能する。この際、給電装置25の給電制御部86は、電子カセッテ24の検出用LC共振器94及びエネルギ検出部96がLC共振器84からの磁場Mの有無を検出できる程度の弱い磁場Mを印加する低出力運転を行い、電力消費量を有効に抑えている。
【0054】
一方、電子カセッテ24では、エネルギ検出部96からデータ管理部106へと給電エリア検出信号が供給される。給電エリア検出信号を受けたデータ管理部106は、給電情報管理部128に記憶された給電装置25のID情報をコンソール28から受信する一方、無線給電可能信号をコンソール28のカセッテ情報管理部126へと送信する。
【0055】
さらに、前記給電エリア検出信号は、エネルギ検出部96から運転管理部102にも伝達される。給電エリア検出信号を受けた運転管理部102では、当該電子カセッテ24を使用可能な状態へと電源ONし、これにより撮影準備が完了される。勿論、電子カセッテ24の側面等に、医師18等が操作する図示しない電源スイッチを設けることもできる。
【0056】
次に、医師18又は放射線技師が撮影スイッチ72を操作すると、撮影装置22の線源制御部78は、撮影スイッチ72からの撮影開始信号をコンソール28の撮影条件管理部118に送信し、該コンソール28に対して撮影条件の送信を要求すると共に、放射線源74を所定の管電流等で起動して照射準備を行い、撮影装置22を撮影開始待機状態とする。撮影条件管理部118は、受信した撮影開始信号を電子カセッテ24の送受信機48に転送する。
【0057】
運転管理部102では、送受信機48が撮影開始信号を受信したか否かを監視しており(ステップS2)、送受信機48が撮影開始信号を受信した場合に(ステップS2のYES)、バッテリ残量判定部107は、バッテリ44のバッテリ残量が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS3)。なお、送受信機48が撮影開始信号を受信しない場合(ステップS2のNO)、運転管理部102は、送受信機48による撮影開始信号の受信の有無を引き続き監視する。
【0058】
ステップS3において、バッテリ残量判定部107は、バッテリ残量が閾値未満であれば(ステップS3のNO)、該バッテリ残量が放射線画像の撮影に必要な量にまで到達しておらず、バッテリ44が充電不足であると判定する。この場合、撮影制御部109は、バッテリ残量判定部107における上記の判定結果に基づいて、撮影装置22による撮影を禁止する撮影禁止信号を発生し、一方で、充電制御部108は、バッテリ残量判定部107での前記判定結果と、撮影禁止信号の発生とに基づいて、給電装置25から電子カセッテ24への給電を許可する給電許可信号を発生する(ステップS4)。
【0059】
送受信機48は、撮影禁止信号をコンソール28の撮影条件管理部118に送信すると共に、給電装置25のID情報及び給電許可信号をコンソール28の給電情報管理部128に送信する。
【0060】
撮影条件管理部118は、受信した撮影禁止信号を撮影装置22に転送し、撮影装置22は、受信した撮影禁止信号に基づいて撮影開始待機状態を維持する。
【0061】
一方、給電情報管理部128は、受信した給電装置25のID情報及び給電許可信号を給電装置25に転送し、給電装置25の給電制御部86は、受信した給電許可信号に基づいて、所望の電力量及びタイミングでの電子カセッテ24への給電(充電)を行う(ステップS5)。なお、手術中、バッテリ44の残量が不足した際等には、電子カセッテ24を所定の撮影位置に配置した状態のまま適宜充電することができる。勿論、撮影準備中(電子カセッテ24の設置作業中)や撮影開始前であっても、バッテリ44の残量が不足している場合には、手術開始前や手術開始後において、すぐに無線充電を実行し、迅速に撮影準備を完了することができる。
【0062】
ステップS5において、電子カセッテ24への無線給電に際しては、LC共振器84から電子カセッテ24へと印加される磁場Mを、前記低出力運転よりも十分に強い磁場に変更した所定の運転条件(高出力運転、給電運転)で給電装置25を駆動制御するとよい。また、電子カセッテ24では、LC共振器88と共に、検出用LC共振器94で受けた電力も充電回路90からバッテリ44への充電に使用して、バッテリ44の一層急速な充電を行うこともできる。
【0063】
撮影システム10では、上記のようにコンソール28を介して電子カセッテ24と給電装置25との間で対応する給電装置25のID情報を確認できる。このため、例えば、給電装置を複数台設置した場合にも、対応する所望の給電装置から電子カセッテ24へと適切に且つ選択的に給電運転を行うことができ、無駄な電力消費や誤動作等を回避することができる。
【0064】
ステップS3において、給電装置25から電子カセッテ24への給電によりバッテリ残量が閾値以上となったときに、バッテリ残量判定部107は、該バッテリ残量が放射線画像の撮影に必要な量にまで到達しており、従って、バッテリ44が十分に充電されたと判定する(ステップS3のYES)。これにより、撮影制御部109は、バッテリ残量判定部107における上記の判定結果に基づいて、撮影装置22による撮影を許可する撮影許可信号を発生し(ステップS6)、一方で、充電制御部108は、バッテリ残量判定部107での前記判定結果と、撮影許可信号の発生とに基づいて、給電装置25から電子カセッテ24への給電を禁止する給電禁止信号を発生する(ステップS7)。
【0065】
送受信機48は、撮影許可信号を撮影条件管理部118に送信すると共に、給電装置25のID情報及び給電禁止信号をコンソール28の給電情報管理部128に送信する。
【0066】
給電情報管理部128は、受信した給電装置25のID情報及び給電禁止信号を給電装置25に転送し、給電装置25の給電制御部86は、受信した給電禁止信号に基づいて、給電装置25から電子カセッテ24への給電を停止し、給電装置25を給電禁止状態とする。
【0067】
一方、撮影条件管理部118は、受信した撮影許可信号に基づいて、撮影条件管理部118に登録されている当該患者14の撮影部位に係る撮影条件や撮影枚数と、前記撮影許可信号とを撮影装置22へと送信する。撮影装置22は、受信した撮影許可信号に基づいて、撮影開始待機状態から放射線Xの照射が可能な撮影状態へと移行し、次に、受信した撮影条件等に基づいて放射線源74を制御し、所定の線量からなる放射線Xを患者14に照射(曝射)する(ステップS8)。勿論、前記撮影条件は、予めコンソール28から線源制御部78の図示しないメモリ等に送信されていてもよい。
【0068】
これにより、放射線画像の撮影中での無線給電が禁止されるので、例えば、バッテリ44から放射線検出器40に供給される電圧等が不安定となって大きく変動することを有効に回避することができる。また、給電装置25から印加される磁場M等に起因したノイズが放射線検出器40側に影響を及ぼすことで、撮影された放射線画像にノイズが混入して、放射線画像の品質が低下することも有効に回避することができる。
【0069】
患者14を透過した放射線Xは、電子カセッテ24のグリッド38によって散乱線が除去された後、放射線検出器40に照射され、放射線検出器40を構成する各画素50の光電変換層51によって電気信号に変換された後、蓄積容量53に電荷として保持される(図3参照)。次いで、各蓄積容量53に保持された患者14の放射線画像情報である電荷情報(信号電荷)は、カセッテ制御部46を構成するアドレス信号発生部98からライン走査駆動部58及びマルチプレクサ66に供給されるアドレス信号に従って読み出される。
【0070】
すなわち、ライン走査駆動部58のアドレスデコーダ60は、アドレス信号発生部98から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW1の1つを選択し、対応するゲート線54に接続されたTFT52のゲートに制御信号Vonを供給する。一方、マルチプレクサ66のアドレスデコーダ68は、アドレス信号発生部98から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW2を順次切り替え、ライン走査駆動部58によって選択されたゲート線54に接続された各画素50の蓄積容量53に保持された電荷情報である放射線画像情報を信号線56を介して順次読み出す。
【0071】
放射線検出器40の選択されたゲート線54に接続された各画素50の蓄積容量53から読み出された放射線画像情報は、各増幅器62によって増幅された後、各サンプルホールド回路64によってサンプリングされ、マルチプレクサ66を介してA/D変換器70に供給され、デジタル信号へとA/D変換される。デジタル信号に変換された放射線画像情報は、カセッテ制御部46の画像メモリ100に一旦記憶される。
【0072】
同様にして、ライン走査駆動部58のアドレスデコーダ60は、アドレス信号発生部98から供給されるアドレス信号に従ってスイッチSW1を順次切り替え、各ゲート線54に接続されている各画素50の蓄積容量53に保持された電荷情報である放射線画像情報を信号線56を介して読み出し、マルチプレクサ66及びA/D変換器70を介してA/D変換し、カセッテ制御部46の画像メモリ100に記憶させる。
【0073】
画像メモリ100に記憶された放射線画像情報は、無線通信によってコンソール28へと送信される。コンソール28に送信された放射線画像情報は、画像処理部120において所定の画像処理が施された後、患者情報管理部124に登録されている患者14の患者情報と関連付けられた状態で画像メモリ122に記憶される。
【0074】
画像処理の施された放射線画像情報は、コンソール28から表示装置26へと送信される。放射線画像情報を受信した表示装置26は、表示制御部112によって表示部114を制御しつつ画像表示処理を行い、放射線画像を表示する。このため、医師18は、表示部114に表示された放射線画像を確認しながら手術を遂行することができる。
【0075】
なお、A/D変換器70でのA/D変換が終了した、つまり、今回の撮影で得られた放射線画像情報のデジタル信号化が全て完了した場合には、次のステップS9において、充電制御部108から給電許可信号が発せられる。
【0076】
給電装置25のID情報及び給電許可信号は、電子カセッテ24からコンソール28へと送信され、例えば、給電情報管理部128の管理下に、給電装置25による給電を開始する制御、又は、給電をすぐに開始できるように給電装置25を給電開始待機状態(給電再開待機状態)にする制御が行われる(ステップS11)。これにより、撮影後、取得した放射線画像情報のA/D変換が終了すると、迅速にバッテリ44への無線給電を実施することができる(ステップS12)。なお、前記の給電開始待機制御を実施する場合には、例えば、コンソール28が前記給電許可信号を受信した状態で、ステップS10に示すように、カセッテ制御部46やカセッテ情報管理部126によるバッテリ44の残量を考慮した上で、続いて給電開始制御を実施するとよい。また、前記給電許可信号は、電子カセッテ24から給電装置25へとコンソール28を介さずに直接的に送信され、給電装置25の給電制御部86や電子カセッテ24のカセッテ制御部46によって給電開始制御や給電開始待機制御が実行されてもよい。
【0077】
なお、A/D変換後の放射線画像情報の画像メモリ100への保存終了の時点をA/D変換の終了時点とみなせば、A/D変換ほどではないが、多少はノイズの影響を受けると考えられる画像メモリ100へのデータ転送時に、無線給電によるノイズの影響が及ぶことを有効に避けることができ、データ化け等を惹起することを防止することができる。勿論、画像メモリ100から送受信機48、116によるコンソール28へのデータ送信完了時をA/D変換の終了時点とみなすことにより、無線給電によるノイズの影響を一層確実に回避するように制御することもできる。
【0078】
また、上記ステップS9での給電許可信号の発生は、A/D変換終了後であれば、例えば、当該デジタル信号の電子カセッテ24からコンソール28への送信が完了した後等、所定のタイミングで実施可能であることは言うまでもない。
【0079】
このように、撮影システム10では、撮影前から給電禁止制御を実施した場合であっても(ステップS7)、ノイズの影響が比較的少ないA/D変換終了後には、迅速にバッテリ44への給電を開始(再開)することができる(ステップS9)。このため、例えば、撮影で使用されてバッテリ44の残量が大幅に減り、次回の撮影前に迅速に充電をしておきたい場合等に、特に有効である。なお、上記したステップS1〜S12による撮影や給電が終了した後、再び撮影を行う予定がある場合等には、ステップS12(ステップS10)の終了後、ステップS1等の各手順へと戻ればよい。
【0080】
なお、このような撮影システム10では、バッテリ44への充電は、コンソール28の制御下に、撮影時以外に適宜行うように構成してもよいことは言うまでもない。
【0081】
また、上記の動作説明では、撮影枚数が1枚の場合における撮影システム10の動作について説明したが、複数の撮影枚数である場合には、全ての撮影(ステップS8)及びA/D変換が終了したときに、充電制御部108から給電許可信号が発せられる(ステップS9)。
【0082】
以上のように、第1の実施形態に係る撮影システム10では、患者14に対する放射線Xの照射開始を通知する撮影開始信号を撮影装置22が出力したときに、バッテリ44のバッテリ残量が閾値以上であるか否かを判定し、該バッテリ残量が閾値以上であるときに、給電装置25から電子カセッテ24内のバッテリ44への充電を禁止する。あるいは、バッテリ残量が閾値未満であるときに、給電装置25からバッテリ44への充電を許可すると共に、撮影装置22による放射線Xの照射を禁止する。
【0083】
これにより、バッテリ残量が閾値以上である場合には、バッテリ44への充電が禁止されるので、撮影装置22から患者14に放射線Xを照射しても、該充電に起因したノイズの放射線画像情報への混入が回避され、この結果、再撮影の発生を防止することができると共に、高精度の放射線画像情報を取得することができる。
【0084】
また、バッテリ残量が閾値未満である場合には、給電装置25からバッテリ44への充電が許可されると共に、撮影装置22による放射線Xの照射が禁止されるので、バッテリ残量の不足に起因した電子カセッテ24の誤動作を回避することができ、再撮影の発生を防止することができる。
【0085】
この場合、撮影制御部109は、バッテリ残量が閾値以上であるとバッテリ残量判定部107が判定したときに、撮影装置22による放射線Xの照射を許可する撮影許可信号を発生し、あるいは、バッテリ残量が閾値未満であるとバッテリ残量判定部107が判定したときに、撮影装置22による放射線Xの照射を禁止する撮影禁止信号を発生する。
【0086】
また、充電制御部108は、バッテリ残量が閾値以上であるとバッテリ残量判定部107が判定し、且つ、撮影制御部109が撮影許可信号を発生した場合に、給電装置25から電子カセッテ24への給電を禁止する給電禁止信号を発生し、あるいは、バッテリ残量が閾値未満であるとバッテリ残量判定部107が判定し、且つ、撮影制御部109が撮影禁止信号を発生した場合に、給電装置25から電子カセッテ24への給電を許可する給電許可信号を発生する。
【0087】
さらに、電子カセッテ24の送受信機48は、コンソール28から撮影開始信号を受信し、一方で、撮影許可信号及び給電禁止信号、又は、撮影禁止信号及び給電許可信号をコンソール28に送信する。
【0088】
これにより、バッテリ44への充電禁止及び撮影装置22に対する撮影許可や、バッテリ44への充電許可及び撮影装置22に対する撮影禁止の情報を、電子カセッテ24からコンソール28に確実に報知することができると共に、該コンソール28を介して撮影装置22、給電装置25及び表示装置26にも報知することが可能となる。この結果、前記ノイズの放射線画像情報への混入や再撮影の発生を確実に防止することができると共に、バッテリ残量の不足に起因した電子カセッテ24の誤動作や再撮影の発生を確実に回避することができる。
【0089】
なお、ステップS3〜S5でも述べたように、第1の実施形態に係る撮影システム10では、バッテリ残量が十分でない場合に、電子カセッテ24からコンソール28に撮影禁止及び給電許可が報知されるが、これに代えて、バッテリ残量が十分であるか否かに関わりなく、電子カセッテ24からコンソール28に給電許可信号を適宜送信して、バッテリ44への充電要求を報知してもよい。
【0090】
また、上述した説明では、バッテリ残量が十分でない場合に、電子カセッテ24からコンソール28に撮影禁止及び給電許可が報知されるが、これに代えて、電子カセッテ24からコンソール28に撮影禁止信号のみ送信してもよい。これにより、コンソール28等は、撮影禁止信号を受信したときに、バッテリ44への充電が可能と判断することが可能となる。
【0091】
さらに、給電装置25は、無線(非接触)により電子カセッテ24のバッテリ44に給電するので、該電子カセッテ24を患者14に対して所望の撮影位置に設置した状態であっても、給電装置25によって当該電子カセッテ24への給電を容易に行うことができる。このため、手術中に電子カセッテ24のバッテリ44への充電が必要となった場合であっても、当該電子カセッテ24を移動等させることなく充電を行うことができ、当該電子カセッテ24及び撮影システム10全体の取り扱い性を向上させることができる。さらに、電子カセッテ24のバッテリ44の残量不足による撮影及び手術の中断・延長を有効に回避することができる。
【0092】
また、撮影システム10(電子カセッテ24)では、撮影許可信号が発せられると給電禁止信号が発せられると共に、A/D変換が終了すると給電許可信号が発せられる。従って、少なくとも、撮影の開始から放射線検出器40で検出された放射線画像情報のデジタル信号への変換が完了するまでの時間帯では、無線給電が禁止されるため、特にノイズの影響を受け易いアナログ信号での放射線画像情報に、給電装置25からの無線送電に起因したノイズが影響を及ぼすことを防止して、高品質な放射線画像の取得が可能になる。
【0093】
さらに、前記ノイズの影響を比較的受けにくいA/D変換終了後には、充電制御部108からの給電許可信号の発生により迅速に給電を開始(再開)できることから、例えば、撮影で使用されてバッテリ44の残量が大幅に減った場合であっても、撮影終了後に迅速に充電を行い、次の撮影に備えることができる。
【0094】
撮影システム10では、対応する給電装置25の給電可能エリア内に電子カセッテ24が配置されると、コンソール28を介して自動的に電子カセッテ24と給電装置25との間での情報の送受信が行われ、電子カセッテ24が撮影可能な状態に駆動制御される。従って、電子カセッテ24に手動の電源スイッチ等を設けることを省略することができ、操作スイッチの操作忘れ等による撮影ミスの発生を防止することができる。このため、電子カセッテ24及び撮影システム10の取り扱い性を一層向上させることができる。この場合、電子カセッテ24のエネルギ検出部96で所望の磁場Mが検出されない場合には、例えば、無線給電不能信号をデータ管理部106からカセッテ情報管理部126に送信し、さらに、前記の無線給電不能信号を表示装置26へと送信することにより、表示部114にて医師等にその旨を通知することができる。
【0095】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る放射線画像撮影システム10aのブロック説明図である。
【0096】
本実施形態に係る撮影システム10aは、コンソール28にRIS29及びHIS33が接続されていない以外は基本的に上記第1の実施形態に係る撮影システム10(図4及び図5参照)と同様であるが、RIS29やHIS33が接続されないシステム、例えば、RIS29等を所有しない病院や回診用の撮影システム等に好適に用いられる。
【0097】
なお、この撮影システム10aにおいて、第1の実施形態に係る撮影システム10と同じ構成要素については、同じ参照符号を付けて、その詳細な説明を省略し、以下同様とする。
【0098】
この撮影システム10aにおいても、電子カセッテ24が運転管理部102を有することにより、第1の実施形態に係る撮影システム10と同様の効果を得ることができる。
【0099】
図8は、図4に示す放射線画像撮影システム10の第1の変形例に係る放射線画像撮影システム10bのブロック説明図である。
【0100】
撮影システム10bは、バッテリ残量判定部107a、充電制御部108a及び撮影制御部109aをコンソール28に設けた点で、上記した撮影システム10、10a(図4、図5及び図7参照)とは異なる。
【0101】
撮影システム10bにおいて、バッテリ残量判定部107aは、例えば、バッテリ残量が電子カセッテ24からコンソール28へと送信された場合等に、バッテリ残量に対する判定処理を行い、判定結果を充電制御部108aや撮影制御部109aに通知することにより、図6等に示される撮影手順に基づく動作を実施する。なお、電子カセッテ24に設けられたバッテリ残量判定部107、充電制御部108及び撮影制御部109については、コンソール28の制御下に、その機能を使用しないように設定しておけばよい。勿論、撮影システム10bでは、バッテリ残量判定部107、充電制御部108及び撮影制御部109を省略した、簡易型の電子カセッテを用いることもできる。
【0102】
また、図8に示すように、撮影システム10bでは、バッテリ残量判定部107a、充電制御部108a及び撮影制御部109aに加えて、又は代えて、撮影装置22にバッテリ残量判定部107b、充電制御部108b及び撮影制御部109bを設け、給電装置25にバッテリ残量判定部107c、充電制御部108c及び撮影制御部109cを設けてもよい。すなわち、バッテリ残量判定部、充電制御部及び撮影制御部は、少なくともコンソール28、撮影装置22、給電装置25及び電子カセッテ24のいずれかに設けられていれば、上記撮影システム10、10aと同様な動作を行うことができ、当然、別途専用のコンソール等を設置してもよい。複数の機器にバッテリ残量判定部、充電制御部及び撮影制御部が設けられている場合には、例えば、コンソール28の制御下に任意の機器に搭載されたバッテリ残量判定部、充電制御部及び撮影制御部を選択的に使用するように設定し、他の機器のバッテリ残量判定部、充電制御部及び撮影制御部の機能を使用しないように構成すればよい。
【0103】
なお、電子カセッテ24では、上記のようにバッテリ残量判定部107、充電制御部108及び撮影制御部109を搭載しているため、例えば、既設の放射線画像撮影システムに対しても、コンソール28の制御プログラム等を多少変更するだけで、上記の判定処理のような制御機能等を容易に付加することができる利点がある。
【0104】
上記した放射線画像撮影システム10、10a、10bでは、手術中に使用される放射線画像を表示装置26に表示するものとしたが、手術中以外において通常の放射線画像の撮影のみを行う場合にも適用可能であることは言うまでもない。同様に、電子カセッテ24は、手術室12で使用される場合に限られるものではなく、例えば、検診や病院内での回診にも適用することができる。
【0105】
また、給電装置25は、電子カセッテ24に対して無線(非接触)による給電が可能であればよく、例えば、LC共振器84、88及び検出用LC共振器94に代えて、それぞれを誘電体で構成すると共に磁場Mの代わりに電場を用いるものとしてもよく、前記のようないわゆる共鳴型の無線給電装置以外のものであってもよい。すなわち、給電装置25から電子カセッテ24に供給される電気エネルギを変換した供給エネルギとしては、例えば、光エネルギや熱エネルギ等も適用可能である。
【0106】
さらに、放射線画像撮影システム10、10a、10bでは、例えば、電子カセッテ24に収容される放射線検出器40は、入射した放射線Xの線量を光電変換層51によって直接電気信号に変換する直接変換方式の放射線検出器であるが、これに代えて、入射した放射線Xをシンチレータによって一旦可視光に変換した後、この可視光をアモルファスシリコン(a−Si)等の固体検出素子を用いて電気信号に変換するように構成した間接変換方式の放射線検出器を用いてもよい(特許第3494683号公報参照)。
【0107】
さらにまた、光読出方式の放射線検出器を利用して放射線画像情報を取得することもできる。この光読出方式の放射線検出器では、マトリクス状に配列された各固体検出素子に放射線が入射すると、その線量に応じた静電潜像が固体検出素子に蓄積記録される。静電潜像を読み取る際には、放射線検出器に読取光を照射し、発生した電流の値を放射線画像情報として取得する。なお、放射線検出器は、消去光を放射線検出器に照射することで、残存する静電潜像である放射線画像情報を消去して再使用することができる(特開2000−105297号公報参照)。
【0108】
さらに、例えば、撮影装置22、給電装置25、表示装置26及びコンソール28間等での信号の送受信を有線通信によって行うこともできる。電子カセッテ24と外部機器との間での無線通信は、通常の電波による通信に代えて、赤外線等を用いた光無線通信で行うようにしてもよい。
【0109】
図9は、電子カセッテ24の変形例に係る電子カセッテ500の構成図である。電子カセッテ500には、ケーシング502の放射線照射面側に、撮影領域及び撮影位置の基準となるガイド線504が形成される。このガイド線504を用いて、電子カセッテ500に対する被写体(患者14)の位置決めを行い、また、放射線Xの照射範囲を設定することにより、放射線画像情報を適切な撮影領域に記録することができる。
【0110】
電子カセッテ500の撮影領域外の部位には、当該電子カセッテ500に係る各種情報を表示する表示部506を配設する。この表示部506には、電子カセッテ500に記録される患者14のID情報、電子カセッテ500の使用回数、累積曝射線量、電子カセッテ500に内蔵されているバッテリ44の充電状態(残容量)、放射線画像情報の撮影条件、患者14の電子カセッテ500に対するポジショニング画像等を表示させる。この場合、放射線技師は、例えば、表示部506に表示されたID情報に従って患者14を確認すると共に、当該電子カセッテ500が使用可能な状態にあることを事前に確認し、表示されたポジショニング画像に基づいて患者14の所望の撮影部位を電子カセッテ500に位置決めして、最適な放射線画像情報の撮影を行うことができる。
【0111】
また、電子カセッテ500に取手部508を形成することにより、当該電子カセッテ500の取り扱い、持ち運びが容易になる。
【0112】
電子カセッテ500の側部には、ACアダプタの入力端子510と、USB(Universal Serial Bus)端子512と、メモリカード514を装填するためのカードスロット516とを配設すると好適である。
【0113】
入力端子510は、電子カセッテ500に内蔵されているバッテリ44の充電機能が低下しているとき、あるいは、バッテリ44を充電するのに十分な時間を確保できないとき、ACアダプタを接続して外部から電力を供給することにより、当該電子カセッテ500を直ちに使用可能な状態とすることができる。
【0114】
USB端子512又はカードスロット516は、電子カセッテ500がコンソール28等の外部機器との間で無線通信による情報の送受信を行うことができないときに利用することができる。すなわち、USB端子512にケーブルを接続することにより、外部機器との間で有線通信による情報の送受信を行うことができる。また、カードスロット516にメモリカード514を装填し、このメモリカード514に必要な情報を記録した後、メモリカード514を取り出して外部機器に装填することにより、情報の送受信を行うことができる。
【0115】
手術室12や病院内の必要な箇所には、図10に示すように、電子カセッテ24が装填され、内蔵されるバッテリ44の充電を行うクレードル518を配置すると好適である。この場合、クレードル518は、上記の給電装置25に類似した図示しない非接触の給電装置によるバッテリ44の充電だけでなく、クレードル518の無線通信機能又は有線通信機能を用いて、RIS29、HIS33、コンソール28等の外部機器との間で必要な情報の送受信を行うようにしてもよい。送受信する情報には、クレードル518に装填された電子カセッテ24に記録された放射線画像情報を含めることができる。
【0116】
また、クレードル518に表示部520を配設し、この表示部520に対して、装填された当該電子カセッテ24の充電状態や、電子カセッテ24から取得した放射線画像情報を含む必要な情報を表示させるようにしてもよい。
【0117】
さらに、複数のクレードル518をネットワークに接続し、各クレードル518に装填されている電子カセッテ24の充電状態をネットワークを介して収集し、使用可能な充電状態にある電子カセッテ24の所在を確認できるように構成することもできる。
【0118】
図11は、図4に示す放射線画像撮影システム10の第2の変形例に係る放射線画像撮影システム10cの説明図である。
【0119】
上記した撮影システム10等では、照射された放射線Xを検出し、放射線画像情報を取得する放射線検出装置として電子カセッテ24を用いた構成を説明した。これに対して、当該撮影システム10cでは、電子カセッテ24の代わりに、患者14が横臥するベッドである撮影台150にビルトインされた放射線検出装置152を用いて臥位撮影を行う構成を説明する。
【0120】
撮影システム10cにおいて、放射線検出装置152は上記の電子カセッテ24と略同様な構成及び構造からなり、放射線検出器40、バッテリ44、無線受電部49、制御部46a及び送受信機48等を備え、これら各機器が放射線Xを透過させる材料で形成された箱状のケーシング154内に収納されている。制御部46aは、電子カセッテ24を構成するカセッテ制御部46と略同様に機能するものであり、バッテリ残量判定部107、充電制御部108及び撮影制御部109等を有する。
【0121】
また、撮影台150の下面には、その長手方向に沿って図示しないレールが設けられており、放射線検出装置152は、ケーシング154に設けられたスライダ機構(図示せず)により、前記レールに沿って矢印X方向(水平方向)の所望の位置に移動可能である。従って、撮影台150に横臥した患者14の所望の撮影部位へと放射線検出装置152を容易に移動させることができる。
【0122】
以上より、撮影システム10cでは、放射線検出装置152を移動可能とする一方、当該放射線検出装置152には上記の電子カセッテ24と略同様にバッテリ44及び無線受電部49を内蔵しているため、放射線検出装置152への電源ケーブル等が不要である。従って、ケーブル類の影響を受けることなく放射線検出装置152を円滑に移動させることができ、取り扱い性を向上させることができる。また、上記の撮影システム10等と同様に、給電装置25からバッテリ44への無線給電と撮影装置22による撮影とを適宜制御することができ、品質の高い放射線画像の取得が可能である。
【0123】
なお、図11に示すように、撮影システム10cでは、撮影台150の脚部に車輪158を設けた構成としてもよい。この場合、撮影台150自体を室内の所望の位置に容易に移動可能であり、必要に応じて前記レールをなくし、放射線検出装置152を撮影台150に固定した構成とすることもできる。
【0124】
図12は、図4に示す放射線画像撮影システム10の第3の変形例に係る放射線画像撮影システム10dの説明図である。
【0125】
撮影システム10dは、上記の撮影システム10cと同様に電子カセッテ24を用いず、図示しない床面及び壁面160に固定されて起立した支柱162に対して着脱自在な放射線検出装置164を用いて立位撮影を行うシステムである。
【0126】
放射線検出装置164は、上記の電子カセッテ24や放射線検出装置152と略同様な構成及び構造からなり、放射線検出器40、バッテリ44、無線受電部49、制御部46a及び送受信機48等を備え、これら各機器が放射線Xを透過させる材料で形成された箱状のケーシング154内に収納されている。
【0127】
この場合、立位撮影台として機能する放射線検出装置164の背面には、鉛直方向に離間した一対のフック部材166、168が設けられている。一方、支柱162の放射線検出装置164に対向する側面には装着凹部170が形成され、該装着凹部170内には、水平方向(患者14の肩幅方向)に延び、前記フック部材166、168に対応して鉛直方向に離間した一対のシャフト172、174が固定されている。また、下方のフック部材168は図示しないばね機構により、支軸176を支点として上方に揺動可能である(図12中の2点鎖線参照)。
【0128】
従って、フック部材168の揺動動作を利用して、フック部材166、168をシャフト172、174へと容易に且つ確実に装着可能且つ離脱可能であり、つまり、放射線検出装置164を支柱162に容易に且つ確実に着脱することができる。さらに、放射線検出装置164は、支柱162に装着された状態で図示しないスライド機構によって矢印Y方向(鉛直方向)にも移動可能とされている。
【0129】
なお、図12中の参照符号178は、ケーシング154の両幅方向に固定されたフレームであり、撮影台である放射線検出装置164に対して患者14が所望の撮影姿勢をした際に当該撮影姿勢を維持するために把持する棒部材である。
【0130】
以上より、撮影システム10dでは、放射線検出装置164を支柱162に対して着脱可能且つ移動可能とする一方、当該放射線検出装置164には上記の電子カセッテ24や放射線検出装置152と略同様にバッテリ44及び無線受電部49を内蔵しているため、電源ケーブル等が不要である。従って、ケーブル類の影響を受けることなく放射線検出装置164を容易に移動及び着脱することができる。また、上記の撮影システム10等と同様に、給電装置25からバッテリ44への無線給電と撮影装置22による撮影とを適宜制御することができ、品質の高い放射線画像の取得が可能である。
【0131】
以上のように、本実施形態に係る撮影システム10、10a〜10dでは、放射線検出装置である電子カセッテ24や放射線検出装置152、164が移動可能であるが、これらが所望の撮影位置に設定された場合であっても、給電装置25によって当該電子カセッテ24への給電を容易に行うことができる。しかも、バッテリ残量判定部、充電制御部及び撮影制御部を備えていることから、少なくとも検出された放射線画像情報のA/D変換が終了するまでは無線による給電が実施されることがない。このため、当該無線送電に起因したノイズによる影響を回避して高品質な画像を撮影及び取得可能である一方、非撮影中(撮影終了)には迅速な充電を行うことができる。
【0132】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る放射線画像撮影システムが設置された手術室の説明図である。
【図2】図1に示す電子カセッテの一部切断斜視説明図である。
【図3】図2の放射線検出器の回路構成ブロック図である。
【図4】図1に示す放射線画像撮影システムのブロック説明図である。
【図5】図4に示す電子カセッテの構成をより具体的に示したブロック説明図である。
【図6】図4に示す放射線画像撮影システムの撮影手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る放射線画像撮影システムのブロック説明図である。
【図8】図4に示す放射線画像撮影システムの第1の変形例に係る放射線画像撮影システムのブロック説明図である。
【図9】電子カセッテの他の構成図である。
【図10】電子カセッテの充電を行うクレードルの構成図である。
【図11】図4に示す放射線画像撮影システムの第2の変形例に係る放射線画像撮影システムの説明図である。
【図12】図4に示す放射線画像撮影システムの第3の変形例に係る放射線画像撮影システムの説明図である。
【符号の説明】
【0134】
10、10a〜10d…放射線画像撮影システム
22…撮影装置 24、500…電子カセッテ
25…給電装置 26…表示装置
28…コンソール 40…放射線検出器
44…バッテリ 46…カセッテ制御部
46a…制御部 49…無線受電部
70…A/D変換器 72…撮影スイッチ
107、107a〜107c…バッテリ残量判定部
108、108a〜108c…充電制御部 109、109a〜109c…撮影制御部
152、164…放射線検出装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の撮影装置から照射されて被写体を透過した放射線を検出して放射線画像情報に変換する放射線検出器と、
前記放射線検出器を駆動するバッテリと、
前記バッテリのバッテリ残量が所定の閾値以上であるか否かを判定するバッテリ残量判定部と、
前記撮影装置による前記放射線の照射を制御する撮影制御部と、
を有し、
前記バッテリ残量判定部は、前記被写体に対する前記放射線の照射開始を通知する撮影要求信号を前記撮影装置が出力した際に、前記バッテリ残量が前記閾値以上であるか否かを判定し、
前記撮影制御部は、前記バッテリ残量が前記閾値未満であると前記バッテリ残量判定部が判定したときに、前記撮影装置による前記放射線の照射を禁止することを特徴とする放射線検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
外部と信号の送受信を行う送受信手段をさらに有し、
前記撮影制御部は、前記バッテリ残量が前記閾値以上であると前記バッテリ残量判定部が判定したときに、前記撮影装置による前記放射線の照射を許可する撮影許可信号を発生し、あるいは、前記バッテリ残量が前記閾値未満であると前記バッテリ残量判定部が判定したときに、前記撮影装置による前記放射線の照射を禁止する撮影禁止信号を発生し、
前記送受信手段は、前記撮影許可信号又は前記撮影禁止信号を外部に送信することを特徴とする放射線検出装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置において、
前記送受信手段は、無線通信により外部と信号の送受信を行う無線送受信機であることを特徴とする放射線検出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置において、
外部の充電装置から前記バッテリへの充電を制御する充電制御部をさらに有し、
前記充電制御部は、前記バッテリ残量が前記閾値以上であると前記バッテリ残量判定部が判定したときに、前記充電装置から前記バッテリへの充電を禁止するか、あるいは、前記バッテリ残量が前記閾値未満であると前記バッテリ残量判定部が判定したときに、前記充電装置から前記バッテリへの充電を許可することを特徴とする放射線検出装置。
【請求項5】
請求項4記載の装置において、
前記充電装置は、無線給電装置であり、
前記放射線検出装置は、前記無線給電装置から無線で供給される電力を受電して前記バッテリに供給する無線受電部をさらに有することを特徴とする放射線検出装置。
【請求項6】
請求項4又は5記載の装置において、
前記放射線画像情報をA/D変換するA/D変換器をさらに有し、
前記充電制御部は、前記撮影装置からの前記放射線の照射が停止され、且つ、前記A/D変換器によるA/D変換が終了したときに、前記充電装置から前記バッテリへの充電を許可することを特徴とする放射線検出装置。
【請求項7】
被写体に放射線を照射する撮影装置と、
前記被写体を透過した前記放射線を検出して放射線画像情報に変換する放射線検出器、及び、前記放射線検出器を駆動するバッテリを備える放射線検出装置と、
前記撮影装置及び前記放射線検出装置を制御する制御装置と、
前記バッテリのバッテリ残量が所定の閾値以上であるか否かを判定するバッテリ残量判定部と、
前記撮影装置による前記放射線の照射を制御する撮影制御部と、
を有し、
前記バッテリ残量判定部は、前記被写体に対する前記放射線の照射開始を通知する撮影要求信号を前記撮影装置が出力した際に、前記バッテリ残量が前記閾値以上であるか否かを判定し、
前記撮影制御部は、前記バッテリ残量が前記閾値未満であると前記バッテリ残量判定部が判定したときに、前記撮影装置による前記放射線の照射を禁止することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項8】
請求項7記載のシステムにおいて、
前記撮影制御部は、前記バッテリ残量が前記閾値以上であると前記バッテリ残量判定部が判定したときに、前記撮影装置による前記放射線の照射を許可する撮影許可信号を発生し、あるいは、前記バッテリ残量が前記閾値未満であると前記バッテリ残量判定部が判定したときに、前記撮影装置による前記放射線の照射を禁止する撮影禁止信号を発生することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項9】
請求項8記載のシステムにおいて、
前記バッテリを充電可能な充電装置と、前記充電装置から前記バッテリへの充電を制御する充電制御部をさらに有し、
前記充電制御部は、前記バッテリ残量が前記閾値以上であると前記バッテリ残量判定部が判定したときに、前記充電装置から前記バッテリへの充電を禁止するか、あるいは、前記バッテリ残量が前記閾値未満であると前記バッテリ残量判定部が判定したときに、前記充電装置から前記バッテリへの充電を許可することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項10】
請求項9記載のシステムにおいて、
前記バッテリ残量判定部、前記充電制御部及び前記撮影制御部は、前記放射線検出装置、前記制御装置、前記撮影装置及び/又は前記充電装置に設けられていることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項11】
請求項10記載のシステムにおいて、
前記バッテリ残量判定部、前記充電制御部及び前記撮影制御部が設けられている前記放射線検出装置、前記制御装置、前記撮影装置及び/又は前記充電装置には、前記撮影要求信号を受信し、一方で、前記撮影許可信号又は前記撮影禁止信号を外部に送信する送受信手段がさらに設けられていることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項12】
請求項11記載のシステムにおいて、
前記送受信手段は、無線通信により外部と信号の送受信を行う無線送受信機であることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記充電装置は、無線給電装置であり、
前記放射線検出装置は、前記無線給電装置から無線で供給される電力を受電して前記バッテリに供給する無線受電部をさらに有することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項14】
請求項9〜13のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記放射線検出装置は、前記放射線画像情報をA/D変換するA/D変換器をさらに有し、
前記充電制御部は、前記撮影装置からの前記放射線の照射が停止され、且つ、前記A/D変換器によるA/D変換が終了したときに、前記充電装置から前記バッテリへの充電を許可することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項15】
撮影装置から被写体に放射線を照射し、該放射線を放射線検出装置に搭載した放射線検出器で検出して放射線画像情報に変換する放射線画像撮影方法であって、
前記被写体に対する前記放射線の照射開始を通知する撮影要求信号を前記撮影装置が出力した際に、前記放射線検出器を駆動するバッテリのバッテリ残量が所定の閾値以上であるか否かを判定し、
前記バッテリ残量が前記閾値未満であるときに、前記撮影装置による前記放射線の照射を禁止することを特徴とする放射線画像撮影方法。
【請求項1】
外部の撮影装置から照射されて被写体を透過した放射線を検出して放射線画像情報に変換する放射線検出器と、
前記放射線検出器を駆動するバッテリと、
前記バッテリのバッテリ残量が所定の閾値以上であるか否かを判定するバッテリ残量判定部と、
前記撮影装置による前記放射線の照射を制御する撮影制御部と、
を有し、
前記バッテリ残量判定部は、前記被写体に対する前記放射線の照射開始を通知する撮影要求信号を前記撮影装置が出力した際に、前記バッテリ残量が前記閾値以上であるか否かを判定し、
前記撮影制御部は、前記バッテリ残量が前記閾値未満であると前記バッテリ残量判定部が判定したときに、前記撮影装置による前記放射線の照射を禁止することを特徴とする放射線検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
外部と信号の送受信を行う送受信手段をさらに有し、
前記撮影制御部は、前記バッテリ残量が前記閾値以上であると前記バッテリ残量判定部が判定したときに、前記撮影装置による前記放射線の照射を許可する撮影許可信号を発生し、あるいは、前記バッテリ残量が前記閾値未満であると前記バッテリ残量判定部が判定したときに、前記撮影装置による前記放射線の照射を禁止する撮影禁止信号を発生し、
前記送受信手段は、前記撮影許可信号又は前記撮影禁止信号を外部に送信することを特徴とする放射線検出装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置において、
前記送受信手段は、無線通信により外部と信号の送受信を行う無線送受信機であることを特徴とする放射線検出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置において、
外部の充電装置から前記バッテリへの充電を制御する充電制御部をさらに有し、
前記充電制御部は、前記バッテリ残量が前記閾値以上であると前記バッテリ残量判定部が判定したときに、前記充電装置から前記バッテリへの充電を禁止するか、あるいは、前記バッテリ残量が前記閾値未満であると前記バッテリ残量判定部が判定したときに、前記充電装置から前記バッテリへの充電を許可することを特徴とする放射線検出装置。
【請求項5】
請求項4記載の装置において、
前記充電装置は、無線給電装置であり、
前記放射線検出装置は、前記無線給電装置から無線で供給される電力を受電して前記バッテリに供給する無線受電部をさらに有することを特徴とする放射線検出装置。
【請求項6】
請求項4又は5記載の装置において、
前記放射線画像情報をA/D変換するA/D変換器をさらに有し、
前記充電制御部は、前記撮影装置からの前記放射線の照射が停止され、且つ、前記A/D変換器によるA/D変換が終了したときに、前記充電装置から前記バッテリへの充電を許可することを特徴とする放射線検出装置。
【請求項7】
被写体に放射線を照射する撮影装置と、
前記被写体を透過した前記放射線を検出して放射線画像情報に変換する放射線検出器、及び、前記放射線検出器を駆動するバッテリを備える放射線検出装置と、
前記撮影装置及び前記放射線検出装置を制御する制御装置と、
前記バッテリのバッテリ残量が所定の閾値以上であるか否かを判定するバッテリ残量判定部と、
前記撮影装置による前記放射線の照射を制御する撮影制御部と、
を有し、
前記バッテリ残量判定部は、前記被写体に対する前記放射線の照射開始を通知する撮影要求信号を前記撮影装置が出力した際に、前記バッテリ残量が前記閾値以上であるか否かを判定し、
前記撮影制御部は、前記バッテリ残量が前記閾値未満であると前記バッテリ残量判定部が判定したときに、前記撮影装置による前記放射線の照射を禁止することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項8】
請求項7記載のシステムにおいて、
前記撮影制御部は、前記バッテリ残量が前記閾値以上であると前記バッテリ残量判定部が判定したときに、前記撮影装置による前記放射線の照射を許可する撮影許可信号を発生し、あるいは、前記バッテリ残量が前記閾値未満であると前記バッテリ残量判定部が判定したときに、前記撮影装置による前記放射線の照射を禁止する撮影禁止信号を発生することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項9】
請求項8記載のシステムにおいて、
前記バッテリを充電可能な充電装置と、前記充電装置から前記バッテリへの充電を制御する充電制御部をさらに有し、
前記充電制御部は、前記バッテリ残量が前記閾値以上であると前記バッテリ残量判定部が判定したときに、前記充電装置から前記バッテリへの充電を禁止するか、あるいは、前記バッテリ残量が前記閾値未満であると前記バッテリ残量判定部が判定したときに、前記充電装置から前記バッテリへの充電を許可することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項10】
請求項9記載のシステムにおいて、
前記バッテリ残量判定部、前記充電制御部及び前記撮影制御部は、前記放射線検出装置、前記制御装置、前記撮影装置及び/又は前記充電装置に設けられていることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項11】
請求項10記載のシステムにおいて、
前記バッテリ残量判定部、前記充電制御部及び前記撮影制御部が設けられている前記放射線検出装置、前記制御装置、前記撮影装置及び/又は前記充電装置には、前記撮影要求信号を受信し、一方で、前記撮影許可信号又は前記撮影禁止信号を外部に送信する送受信手段がさらに設けられていることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項12】
請求項11記載のシステムにおいて、
前記送受信手段は、無線通信により外部と信号の送受信を行う無線送受信機であることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記充電装置は、無線給電装置であり、
前記放射線検出装置は、前記無線給電装置から無線で供給される電力を受電して前記バッテリに供給する無線受電部をさらに有することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項14】
請求項9〜13のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記放射線検出装置は、前記放射線画像情報をA/D変換するA/D変換器をさらに有し、
前記充電制御部は、前記撮影装置からの前記放射線の照射が停止され、且つ、前記A/D変換器によるA/D変換が終了したときに、前記充電装置から前記バッテリへの充電を許可することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項15】
撮影装置から被写体に放射線を照射し、該放射線を放射線検出装置に搭載した放射線検出器で検出して放射線画像情報に変換する放射線画像撮影方法であって、
前記被写体に対する前記放射線の照射開始を通知する撮影要求信号を前記撮影装置が出力した際に、前記放射線検出器を駆動するバッテリのバッテリ残量が所定の閾値以上であるか否かを判定し、
前記バッテリ残量が前記閾値未満であるときに、前記撮影装置による前記放射線の照射を禁止することを特徴とする放射線画像撮影方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−154912(P2010−154912A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334094(P2008−334094)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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