説明

放射線画像変換パネルの製造装置及び放射線画像変換パネルの製造方法

【課題】輝尽性蛍光体の結晶性を均一とし、鮮鋭性の高い放射線画像が得られる放射線画像変換パネルの製造装置及び放射線画像変換パネルの製造方法を提供する。
【解決手段】放射線画像変換パネルの製造装置1において、真空容器2と、真空容器2の内部に設ける支持体ホルダ5と、支持体ホルダ5に保持される支持体4とを設け、さらに輝尽性蛍光体を蒸発させて支持体4に輝尽性蛍光体を蒸着させる複数の蒸発源8を、支持体4の中心から放射状に延びる直線上に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像変換パネルに係り、特に、輝尽性蛍光体層が形成された放射線画像変換パネルの製造装置及びこの放射線画像変換パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、銀塩を使用しないで放射線画像を得る方法として、支持体上に輝尽性蛍光体層を形成した放射線画像変換パネルが開発されている。放射線画像変換パネルは、被写体を透過した放射線を輝尽性蛍光体層に吸収させ、被写体各部の放射線透過密度に対応する放射線エネルギーを蓄積することができる。その後、可視光線、赤外線などの電磁波(励起光)によって輝尽性蛍光体を時系列的に励起することにより、輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギーを輝尽発光として放出させる。そしてこの光の強弱による信号を、例えば光電変換して電気信号とし、ハロゲン化銀写真感光材料などの記録材料、CRTなどの表示装置上に可視像として再生することができる。
【0003】
このような放射線像変換パネルは、気相堆積法などにより支持体上に輝尽性蛍光体層を形成することによって製造される。輝尽性蛍光体には、CsBrなどのハロゲン化アルカリを母体にEuを付活したものが用いられ、特にEuを付活剤とすることで、従来不可能であったX線変換効率の向上が可能になるとされている。
【0004】
また、付活剤濃度と輝度には相関関係があり、付活剤濃度が高いほど放射線画像の感度は高くなることが知られている。そして、画像読取時に励起光が輝尽性蛍光体層内に侵入して蓄積されたエネルギーを放出させることができる限度となる付活剤濃度において、放射線画像の感度は飽和する。したがって、付活剤濃度が不均一なほど感度ムラが現れる。
【0005】
そこで、輝尽性蛍光体層における付活剤濃度を均一にして放射線画像の感度ムラを抑えるため、輝尽性蛍光体の母体成分と付活剤成分とを別々の蒸発源として、それぞれに電子線を照射して蒸発させる放射線画像変換パネル製造装置が知られている(特許文献1)。特許文献1の放射線画像変換パネル製造装置によれば、蒸着中に付活剤成分の蒸着速度が大きく変動した場合でも、電子線の電圧などを制御して付活剤成分の蒸着速度を調整することによって、付活剤濃度を均一にすることができる。
【特許文献1】特開2003−194999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の放射線画像変換パネル製造装置では、付活剤成分の量が微量であるため、逆に輝尽性蛍光体の結晶が不均一となる場合があった。また、輝尽性蛍光体の母体成分と付活剤成分とを別々の蒸発源から同時に蒸発させても、付活剤成分が輝尽性蛍光体層に取り込まれないという問題があった。
【0007】
また、付活剤濃度を均一とした場合でも、各々の蒸発源から蒸発した輝尽性蛍光体の結晶性が均一となるように蒸着しなければ輝尽性蛍光体層の感度ムラを低下させることはできないが、特許文献1においては、各々の蒸発源の配置や蒸発源と支持体との距離については何ら考慮されていなかった。さらに、蒸着効率や膜厚分布についても記載されていなかった。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、輝尽性蛍光体の結晶性を均一にすると共に、蒸着効率の向上と膜厚分布の向上とを両立させて、感度ムラがなく鮮鋭性の高い放射線画像が得られる放射線画像変換パネルの製造装置及び放射線画像変換パネルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決するために請求項1の発明は、放射線画像変換パネルの製造装置であって、真空容器と、前記真空容器内に設けられた支持体ホルダと、前記支持体ホルダに保持された支持体と、前記支持体の中心から放射状に延びる直線上に配置され、下記一般式(1)により表される輝尽性蛍光体を蒸発させて前記支持体に前記輝尽性蛍光体を蒸着させる複数の蒸発源と、を備えることを特徴とする。
一般式(1)
1X・aM2X'2・bM3X"3:eA
[式中、M1はLi、Na、K、Rb及びCsの各原子から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子であり、M2はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Cu及びNiの各原子から選ばれる少なくとも1種の二価金属原子であり、M3はSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInの各原子から選ばれる少なくとも1種の三価金属原子であり、X、X'、X"はF、Cl、Br及びIの各原子から選ばれる少なくとも1種のハロゲン原子であり、AはEu、Tb、In、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、Ag、Cu及びMgの各原子から選ばれる少なくとも1種の金属原子であり、また、a、b、eはそれぞれ0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<e<1.0の範囲の数値を表す。]
【0010】
請求項1の発明によれば、複数の蒸発源を設けることによって各蒸発源の蒸気流が重なり合う部分が整流化され、支持体の表面に蒸着する輝尽性蛍光体の結晶性は均一になる。また、複数の蒸発源を支持体の中心から放射状に延びる直線上に配置することから、複数の蒸発源は互いに狭い間隔で配置されることになり、蒸発源の蒸気流は支持体のうち各蒸発源の上部付近に蒸着するため、蒸発源と支持体との距離を近づけても輝尽性蛍光体の特性は劣化しない。したがって、蒸発源と支持体との距離を近づけて蒸着効率を高めることができる。こうした傾向は、多数の蒸着源を設けるほど顕著になる。また、複数の蒸発源を直線上に配置することから、支持体の表面における膜厚分布を一定にすることができる。これによって、輝尽性蛍光体層の感度ムラを低下させて、放射線画像変換パネルから得られる放射線画像の鮮鋭性を向上させることができる。
【0011】
また、本発明においては各蒸発源の間隔が狭く、蒸発源の蒸気流は支持体のうち各蒸発源の上部付近に蒸着するので、支持体に到達する輝尽性蛍光体の入射角のばらつきは少なく、結晶性は均一となる。このような傾向も多数の蒸着源を設けるほど顕著になる。ここで、入射角とは、支持体のうち輝尽性蛍光体層が形成される面と輝尽性蛍光体の入射方向とが成す鋭角θをいう。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載の放射線画像変換パネルの製造装置であって、前記支持体ホルダは、前記蒸着源から前記輝尽性蛍光体を蒸着させる際に前記支持体を回転させる支持体回転機構を備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明によれば、支持体回転機構によって支持体を回転しながら輝尽性蛍光体の蒸着を行うことによって、支持体の表面全体に均一に輝尽性蛍光体を蒸着させることができる。
【0014】
請求項3の発明は、放射線画像変換パネルの製造方法であって、真空容器内において、支持体を支持体ホルダによって保持する工程と、前記支持体の中心から放射状に延びる直線上に下記一般式(1)により表される輝尽性蛍光体を蒸発させる複数の蒸発源を配置する工程と、前記複数の蒸発源から蒸発する前記輝尽性蛍光体を前記支持体に蒸着させて輝尽性蛍光体層を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
一般式(1)
1X・aM2X'2・bM3X"3:eA
[式中、M1はLi、Na、K、Rb及びCsの各原子から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子であり、M2はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Cu及びNiの各原子から選ばれる少なくとも1種の二価金属原子であり、M3はSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInの各原子から選ばれる少なくとも1種の三価金属原子であり、X、X'、X"はF、Cl、Br及びIの各原子から選ばれる少なくとも1種のハロゲン原子であり、AはEu、Tb、In、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、Ag、Cu及びMgの各原子から選ばれる少なくとも1種の金属原子であり、また、a、b、eはそれぞれ0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<e<1.0の範囲の数値を表す。]
【0015】
請求項3の発明によれば、複数の蒸発源を設けることによって各蒸発源の蒸気流が重なり合う部分が整流化され、支持体の表面に蒸着する輝尽性蛍光体の結晶性は均一になる。また、複数の蒸発源を前記支持体の中心から放射状に延びる直線上に配置することから、複数の蒸発源は互いに狭い間隔で配置されることになり、蒸発源の蒸気流は支持体のうち各蒸発源の上部付近に蒸着するため、蒸発源と支持体との距離を近づけても輝尽性蛍光体の特性は劣化しない。したがって、蒸発源と支持体との距離を近づけて蒸着効率を高めることができる。こうした傾向は、多数の蒸着源を設けるほど顕著になる。また、複数の蒸発源を直線上に配置することから、支持体の表面における膜厚分布を一定にすることができる。これによって、輝尽性蛍光体層の感度ムラを低下させて、放射線画像変換パネルから得られる放射線画像の鮮鋭性を向上させることができる。
【0016】
また、本発明においては各蒸発源の間隔が狭く、蒸発源の蒸気流は支持体のうち各蒸発源の上部付近に蒸着するので、支持体に到達する輝尽性蛍光体の入射角のばらつきは少なく、結晶性は均一となる。このような傾向も多数の蒸着源を設けるほど顕著になる。ここで、入射角とは、支持体のうち輝尽性蛍光体層が形成される面と輝尽性蛍光体の入射方向とが成す鋭角θをいう。
【0017】
請求項4の発明は、請求項3に記載の放射線画像変換パネルの製造方法であって、前記支持体ホルダは、前記蒸着源から前記輝尽性蛍光体を蒸着させる際に前記支持体を回転させる支持体回転機構を備えていることを特徴とする。
【0018】
請求項4の発明によれば、支持体回転機構によって支持体を回転しながら輝尽性蛍光体の蒸着を行うことによって、支持体の表面全体に均一に輝尽性蛍光体を蒸着させることができる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、輝尽性蛍光体の結晶性を均一にすると共に、蒸着効率の向上と膜厚分布の向上とを両立させて、輝尽性蛍光体層の感度ムラを低下させ、放射線画像変換パネルから得られる放射線画像の鮮鋭性を向上させることができる。
また、複数の蒸発源の間隔を狭くすることにより輝尽性蛍光体の入射角のばらつきが少なくなることから、所定の入射角で支持体に到達する輝尽性蛍光体を遮蔽する遮蔽板などをシャッタと別に設けることなく、結晶性を均一にして放射線画像の鮮鋭性を向上させることができる。
【0020】
請求項2の発明によれば、支持体の表面全体に均一に輝尽性蛍光体を蒸着させることによって、放射線画像変換パネルから得られる放射線画像の鮮鋭性を向上させることができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、輝尽性蛍光体の結晶性を均一にすると共に、蒸着効率の向上と膜厚分布の向上とを両立させて、輝尽性蛍光体層の感度ムラを低下させ、放射線画像変換パネルから得られる放射線画像の鮮鋭性を向上させることができる。
また、複数の蒸発源の間隔を狭くすることにより輝尽性蛍光体の入射角のばらつきが少なくなることから、所定の入射角で支持体に到達する輝尽性蛍光体を遮蔽する遮蔽板などをシャッタと別に設けることなく、結晶性を均一にして放射線画像の鮮鋭性を向上させることができる。
【0022】
請求項4の発明によれば、支持体の表面全体に均一に輝尽性蛍光体を蒸着させることによって、放射線画像変換パネルから得られる放射線画像の鮮鋭性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
まず、本発明に係る放射線画像変換パネルの製造装置1について説明する。
【0025】
図1に示すように、放射線画像変換パネルの製造装置1は真空容器2を備えており、真空容器2には真空容器2の内部の排気及び大気の導入を行う真空ポンプ3が備えられている。
【0026】
真空容器2の内部の上面付近には、支持体4を保持する支持体ホルダ5が設けられている。
【0027】
支持体4は従来の放射線画像変換パネルの支持体として公知の材料から任意に選ぶことができるが、本実施形態の支持体4としては、石英ガラスシート、アルミニウム、鉄、スズ、クロムなどからなる金属シート又は炭素繊維強化シートなどが好ましい。
【0028】
また、支持体4は、その表面を平滑な面とするために樹脂層を有していてもよい。樹脂層は、ポリイミド、ポリエチレンフタレート、パラフィン、グラファイトなどの化合物を含有することが好ましく、その膜厚は、約5μm〜50μmであることが好ましい。この樹脂層は、支持体4の表面に設けてもよく、裏面に設けてもよい。
【0029】
また、支持体4の表面に接着層を設ける手段としては、貼合法、塗設法などの手段がある。このうち貼合法は加熱、加圧ローラを用いて行い、加熱条件は約80〜150℃、加圧条件は4.90×10〜2.94×102N/cm、搬送速度は0.1〜2.0m/sが好ましい。
【0030】
支持体4の表面には、輝尽性蛍光体層が気相堆積法によって形成される。気相堆積法としては、蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法その他を用いることができるが、本発明では特に蒸着法が好ましい。
【0031】
ここで、本発明に係る輝尽性蛍光体層は、下記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体を含有することが好ましい。
【0032】
一般式(1)
1X・aM2X'2・bM3X"3:eA
[式中、M1はLi、Na、K、Rb及びCsの各原子から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子であり、M2はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Cu及びNiの各原子から選ばれる少なくとも1種の二価金属原子であり、M3はSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInの各原子から選ばれる少なくとも1種の三価金属原子であり、X、X'、X"はF、Cl、Br及びIの各原子から選ばれる少なくとも1種のハロゲン原子であり、AはEu、Tb、In、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、Ag、Cu及びMgの各原子から選ばれる少なくとも1種の金属原子であり、また、a、b、eはそれぞれ0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<e<1.0の範囲の数値を表す。]
【0033】
上記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体において、M1は、Na、K、Rb及びCsなどの各原子から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子を表し、中でもRb及びCsの各原子から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属原子が好ましく、さらに好ましくはCs原子である。
【0034】
2は、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Cu及びNiなどの各原子から選ばれる少なくとも1種の二価の金属原子を表すが、中でも好ましく用いられるのは、Be、Mg、Ca、Sr及びBaなどの各原子から選ばれる二価の金属原子である。
【0035】
3は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInなどの各原子から選ばれる少なくとも1種の三価の金属原子を表すが、中でも好ましく用いられるのはY、Ce、Sm、Eu、Al、La、Gd、Lu、Ga及びInなどの各原子から選ばれる三価の金属原子である。
【0036】
Aは、Eu、Tb、In、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、Ag、Cu及びMgの各原子から選ばれる少なくとも1種の金属原子である。中でも好ましくはEu原子である。
【0037】
輝尽性蛍光体の輝尽発光輝度向上の観点から、X、X'及びX"はF、Cl、Br及びIの各原子から選ばれる少なくとも1種のハロゲン原子を表すが、F、Cl及びBrから選ばれる少なくとも1種のハロゲン原子が好ましく、Br原子が更に好ましい。
【0038】
また、一般式(1)において、b値は0≦b<0.5であるが、好ましくは、0≦b<10-2である。
【0039】
本発明の一般式(1)で表される輝尽性蛍光体は、例えば下記(a)〜(c)に示す蛍光体原料を用いて、以下に述べる方法により製造される。
【0040】
(a)NaF、NaCl、NaBr、NaI、KF、KCl、KBr、KI、RbF、RbCl、RbBr、RbI、CsF、CsCl、CsBr及びCsIから選ばれる少なくとも1種もしくは2種以上の化合物が用いられる。
【0041】
(b)MgF2、MgCl2、MgBr2、MgI2、CaF2、CaCl2、CaBr2、CaI2、SrF2、SrCl2、SrBr2、SrI2、BaF2、BaCI2、BaBr2、BaBr2・2H2O、BaI2、ZnF2、ZnCl2、ZnBr2、ZnI2、CdF2、CdCl2、CdBr2、CdI2、CuF2、CuCl2、CuBr2、CuI、NiF2、NiCl2、NiBr2及びNiI2の化合物から選ばれる少なくとも1種又は2種以上の化合物が用いられる。
【0042】
(c)前記一般式(1)において、Eu、Tb、In、Cs、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、Ag、Cu及びMgなどの各原子から選ばれる金属原子を有する化合物が用いられる。
【0043】
上記の数値範囲の混合組成となるように、前記(a)〜(c)の蛍光体原料を秤量し、純水によって溶解する。
この際、乳鉢、ボールミル、ミキサーミルなどを用いて充分に混合しても良い。
【0044】
次に、得られた水溶液のpH値Cを0<C<7に調整するように所定の酸を加えた後、水分を蒸発気化させる。
【0045】
次に、得られた原料混合物を石英るつぼあるいはアルミナるつぼなどの耐熱性容器に充填して電気炉中で焼成を行う。焼成温度は500〜1000℃が好ましい。焼成時間は原料混合物の充填量、焼成温度などによって異なるが、0.5〜6時間が好ましい。
【0046】
焼成雰囲気としては少量の水素ガスを含む窒素ガス雰囲気、少量の一酸化炭素を含む炭酸ガス雰囲気などの弱還元性雰囲気、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気などの中性雰囲気あるいは少量の酸素ガスを含む弱酸化性雰囲気が好ましい。
【0047】
なお、前記の焼成条件で一度焼成した後、焼成物を電気炉から取り出して粉砕し、しかる後、焼成物粉末を再び耐熱性容器に充填して電気炉に入れ、前記と同じ焼成条件で再焼成を行えば輝尽性蛍光体の発光輝度を更に高めることができ、また、焼成物を焼成温度より室温に冷却する際、焼成物を電気炉から取り出して空気中で放冷することによっても所望の輝尽性蛍光体を得ることができるが、焼成時と同じ、弱還元性雰囲気もしくは中性雰囲気のままで冷却しても良い。
【0048】
また、焼成物を電気炉内で加熱部より冷却部へ移動させて、弱還元性雰囲気、中性雰囲気もしくは弱酸化性雰囲気で急冷することにより、得られた輝尽性蛍光体から発せられる輝尽光の輝度をより一層高めることができ好ましい。
【0049】
さらに、必要に応じて、輝尽性蛍光体層の支持体とは反対の側の面に、物理的にあるいは化学的に輝尽性蛍光体層を保護するための保護層を設けてもよい。保護層は、保護層用の塗布液を輝尽性蛍光体層の表面に直接塗布して形成もよいし、また、予め別途形成した保護層を輝尽性蛍光体層に接着してもよい。
【0050】
保護層の材料としては、酢酸セルロース、ニトロセルロース、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリ四フッ化エチレン、ポリ三フッ化−塩化エチレン、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体などの通常の保護層用材料が用いられる。他に透明なガラス基板を保護層として用いることもできる。
【0051】
支持体ホルダ5は、支持体4のうち輝尽性蛍光体層を形成する面が真空容器2の底面に対して平行となるように支持体4を保持するようになっている。
【0052】
また、支持体ホルダ5には、支持体4を加熱する加熱ヒータ(図示せず)を備えることが好ましい。この加熱ヒータで支持体4を加熱することによって、支持体4の支持体ホルダ5に対する密着性の強化や、輝尽性蛍光体層の膜質調整を行う。また、支持体4の表面の吸着物を離脱・除去し、支持体4の表面と輝尽性蛍光体との間に不純物層が発生することを防止する。
【0053】
また、加熱手段として温媒又は熱媒を循環させるための機構(図示せず)を有していてもよい。この手段は輝尽性蛍光体の蒸着時における支持体4の温度を50〜150℃といった比較的低温に保持して蒸着する場合に適している。
【0054】
さらに、支持体ホルダ5には、支持体4を水平方向に回転させる支持体回転機構6が設けられている。支持体回転機構6は、支持体ホルダ5を支持すると共に支持体4を回転させる支持体回転軸7及び真空容器2の外部に配置されて支持体回転軸7の駆動源となるモータ(図示せず)から構成されている。
【0055】
また、図1に示すように、真空容器2の内部の底面付近には、支持体4の中心から放射状に延びる一つの直線上に複数の蒸発源8が配置されている。この場合において、支持体4と蒸発源8との間隔は100mm〜1500mmとされるのが好ましく、より好ましくは200mm〜1000mmである。また、支持体4に垂直な中心線と蒸発源8との間隔は100mm〜1500mmとされるのが好ましく、より好ましくは200mm〜1000mmである。
【0056】
なお、本発明の放射線画像変換パネル製造装置においては、支持体4の中心から放射状に延びる複数の直線上に蒸発源8を配置してもよい。また、3個以上の多数の蒸発源8を設けることも可能であり、各々の蒸発源8は等間隔に配置してもよく、間隔を変えて配置してもよい。
【0057】
蒸発源8は、輝尽性蛍光体を収容して抵抗加熱法で加熱するため、ヒータを巻いたアルミナ製のるつぼから構成しても良いし、ボートや、高融点金属からなるヒータから構成しても良い。また、輝尽性蛍光体を加熱する方法は、抵抗加熱法以外に電子ビームによる加熱や、高周波誘導による加熱等の方法でも良いが、本発明では、比較的簡単な構成で取り扱いが容易、安価、かつ、非常に多くの物質に適用可能である点から抵抗加熱法が好ましい。また、蒸発源8は分子源エピタキシャル法による分子線源でも良い。
【0058】
また、それぞれの蒸発源8と支持体4との間には、蒸発源8から支持体4に至る空間を遮断するシャッタ9が水平方向に開閉自在に設けられており、このシャッタ9によって、蒸発源8において輝尽性蛍光体の表面に付着した目的物以外の物質が蒸着の初期段階で蒸発し、支持体4に付着するのを防ぐことができるようになっている。
【0059】
次に、前述の放射線画像変換パネル製造装置1を用いた本発明の放射線画像変換パネル製造方法について説明する。
【0060】
まず、支持体ホルダ5に支持体4を取付ける。
【0061】
また、真空容器2の底面付近において、支持体4の中心から放射状に延びる直線上に、複数の蒸発源8を配置する。この場合において、支持体4と蒸発源8との間隔は100mm〜1500mmとされるのが好ましく、より好ましくは200mm〜1000mmである。また、支持体4の水平方向に垂直な中心線と蒸発源8との間隔は100mm〜1500mmとされるのが好ましく、より好ましくは200mm〜1000mmである。
【0062】
次いで、真空容器2の内部を真空排気し、所望の真空度に調整する。その後、支持体回転機構6により支持体ホルダ5を蒸発源8に対して回転させ、蒸着可能な真空度に真空容器2が達したら、加熱した蒸発源8から輝尽性蛍光体を蒸発させて、支持体4の表面に輝尽性蛍光体を所望の厚さに成長させる。
【0063】
なお、支持体4の表面に輝尽性蛍光体を成長させる工程を複数回に分けて行って輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。
【0064】
また、蒸着法においては、蒸着時、必要に応じて、被蒸着体(支持体4、保護層又は中間層)を冷却あるいは加熱しても良い。
【0065】
さらに、蒸着終了後、輝尽性蛍光体層を加熱処理しても良い。また、蒸着法においては必要に応じてO2、H2などのガスを導入して蒸着する反応性蒸着を行っても良い。
【0066】
形成する輝尽性蛍光体層の膜厚は、放射線画像変換パネルの使用目的により、また輝尽性蛍光体の種類により異なるが、本発明の効果を得る観点から50μm〜2000μmであり、好ましくは50μm〜1000μmであり、さらに好ましくは100μm〜800μmである。
【0067】
また、輝尽性蛍光体層が形成される支持体4の温度は、室温(rt)〜300℃に設定することが好ましく、さらに好ましくは50〜200℃である。
【0068】
以上のようにして輝尽性蛍光体層を形成した後、必要に応じて、輝尽性蛍光体層の支持体4とは反対の側の面に、物理的にあるいは化学的に輝尽性蛍光体層を保護するための保護層を設けてもよい。保護層は、保護層用の塗布液を輝尽性蛍光体層の表面に直接塗布して形成してもよく、また、予め別途形成した保護層を輝尽性蛍光体層に接着してもよい。これらの保護層の層厚は0.1μm〜2000μmが好ましい。
【0069】
また、保護層は蒸着法、スパッタリング法などにより、SiC、SiO2、SiN、Al23などの無機物質を積層して形成してもよい。
【0070】
以上の放射線画像変換パネルの製造装置1又は製造方法によれば、複数の蒸発源8を設けることによって、各蒸発源8の蒸気流が重なり合う部分が整流化され、支持体4の表面に蒸着する輝尽性蛍光体の結晶性は均一になる。また、複数の蒸発源8を支持体4の中心から放射状に延びる直線上に配置することから、複数の蒸発源8は互いに狭い間隔で配置されることになり、蒸発源8の蒸気流は支持体4のうち各蒸発源8の上部付近に蒸着するため、蒸発源8と支持体4との距離を近づけても、輝尽性蛍光体の特性は劣化しない。したがって、蒸発源8と支持体4との距離を近づけて蒸着効率を高めることができる。こうした傾向は、多数の蒸着源8を設けるほど顕著になる。また、複数の蒸発源8を直線上に配置することから、支持体4の表面における膜厚分布を一定にすることができる。これによって、輝尽性蛍光体層の感度ムラを低下させて、放射線画像変換パネルから得られる放射線画像の鮮鋭性を向上させることができる。
【0071】
また、本実施形態においては各蒸発源8の間隔が狭く、蒸発源8の蒸気流は支持体4のうち各蒸発源8の上部付近に蒸着するので、支持体4に到達する輝尽性蛍光体の入射角のばらつきは少なく、結晶性は均一となる。このような傾向も多数の蒸着源を設けるほど顕著になる。ここで、入射角とは、支持体4のうち輝尽性蛍光体層が形成される面と輝尽性蛍光体の入射方向とが成す鋭角θをいう。
【0072】
さらに、支持体回転機構6によって支持体4を回転しながら輝尽性蛍光体の蒸着を行うことによって、支持体4の表面全体に均一に輝尽性蛍光体を蒸着させることができる。
【0073】
以上述べたように本発明の放射線画像変換パネル製造装置1又は製造方法によれば、輝尽性蛍光体の結晶性を均一にすると共に、蒸着効率の向上と膜厚分布の向上とを両立させて、輝尽性蛍光体層の感度ムラを低下させ、放射線画像変換パネルから得られる放射線画像の鮮鋭性を向上させることができる。
また、複数の蒸発源8の間隔を狭くすることにより輝尽性蛍光体の入射角のばらつきが少なくなることから、所定の入射角で支持体4に到達する輝尽性蛍光体を遮蔽する遮蔽板などをシャッタと別に設けることなく、結晶性を均一にして放射線画像の鮮鋭性を向上させることができる。
【0074】
なお、以上は支持体ホルダ5が支持体回転機構6を備える場合について説明したが、本実施形態は必ずしもこれに限らず、支持体ホルダ5が支持体4を保持して静止した状態で蒸着を行う場合や、支持体4を蒸発源8に対して水平方向に移動させることによって蒸発源8からの輝尽性蛍光体を蒸着させる場合などについても適用可能である。
【実施例】
【0075】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれに限定されるものではない。
【0076】
[実施例1]
(放射線像変換パネルの作製)
アルミニウムからなる支持体の片面に輝尽性蛍光体(CsBr:0.0005Eu)を蒸着させて輝尽性蛍光体層を形成した。
すなわち、まず、支持体回転機構を備えた支持体ホルダに支持体を設置した。次に、上記蛍光体原料を蒸着材料として抵抗加熱るつぼに充填し、2個の抵抗加熱るつぼを真空容器の内部の底面付近であって支持体の中心から放射状に延びる直線上に配置した。このとき、支持体と蒸発源との間隔を200mmに調節すると共に、支持体に垂直な中心線と蒸発源との間隔を300mmに調節した。続いて真空容器の内部を一旦排気し、Arガスを導入して0.1Paに真空度を調整した後、10rpmの速度で支持体を回転させながら支持体の温度を100℃に保持した。次いで、抵抗加熱るつぼを加熱して輝尽性蛍光体を蒸着し、輝尽性蛍光体層の膜厚が500μmとなったところで蒸着を終了させた。
次いで、乾燥空気内で輝尽性蛍光体層を保護層袋に入れ、輝尽性蛍光体層が密封された構造の放射線像変換パネルを得た。
【0077】
[実施例2]
実施例1の蒸発源の数を3個として放射線画像変換パネルを得た。
【0078】
[比較例1]
図2に示すように、実施例1の蒸発源の数を1個とし、蒸発源と支持体との距離を800mmとして放射線画像変換パネルを得た。
【0079】
[比較例2]
実施例1の蒸発源の数を1個とし、蒸発源と支持体との距離を400mmとして放射線画像変換パネルを得た。
【0080】
[比較例3]
実施例1の蒸発源の数を1個として放射線画像変換パネルを得た。
そして、以上のようにして得られた放射線画像変換パネルについて下記のような評価を行った。
【0081】
<蒸着効率>
蒸着効率は、蒸発源に充填した輝尽性蛍光体材料のうち、支持体に蒸着した輝尽性蛍光体の割合を示すものである。蒸着効率は、下記式(2)により算出した。
【数1】

【0082】
<膜厚分布>
膜厚分布は、輝尽性蛍光体層における輝尽性蛍光体の膜厚のばらつきの程度を示す指標値となるものである。膜厚分布は、輝尽性蛍光体層における最大膜厚DMax及び最小膜厚
minを測定して、下記式(3)により算出した。
【0083】
【数2】

【0084】
<鮮鋭性>
放射線画像変換パネルにCTFチャートを貼り付けて、管電圧80kVP−PのX線を10mR(管球から放射線画像変換パネルまでの距離:1.5m)照射した後、半導体レーザ光(発振波長:780nm、ビーム径:100μm)で走査して輝尽励起し、CTFチャート像を輝尽性蛍光体層から放射される輝尽発光として読み取り、光検出器(光電子増倍管)で光電変換して画像信号を得た。この信号値により、画像の変調伝達関数(MTF)を調べた。そして、実施例1の蒸発源の数を1個とし、蒸発源と支持体との距離を800mmとした場合(比較例1)の値を100として相対値で示した。なお、MTFは、空間周波数が1サイクル/mmの時の値である。
【0085】
【表1】

【0086】
以上、表1の結果から明らかなように、実施例1で蒸発源と支持体との距離を200mmとして蒸発源の数を2個とした場合は、蒸着効率が12、鮮鋭性が110、膜厚分布が12%であり、比較例1で蒸発源と支持体との距離を800mmとして蒸発源の数を1個とした場合の蒸着効率5、鮮鋭性100、膜厚分布15%と比較すると、蒸発源と支持体との距離を近づけることによって蒸着効率が向上すると共に、蒸発源と支持体との距離を近づけても鮮鋭性が向上し、また、蒸発源の個数を増やすことによって膜厚分布が向上することがわかる。
【0087】
また、実施例2で蒸発源の数を3個とした場合の蒸着効率は15、鮮鋭性は121、膜厚分布は10%であり、蒸発源の数を増やすと蒸着効率、鮮鋭性及び膜厚分布はさらに向上することがわかる。
【0088】
これに対し、比較例2で蒸発源の数を1個としたままで蒸発源と支持体との距離を400mに近づけた場合は、比較例1より、蒸発源と支持体との距離を近づけることによって蒸着効率は向上するが、鮮鋭性は90と下降し、膜厚分布も21%と悪くなることがわかる。
【0089】
さらに、比較例3で蒸発源の数を1個としたままで蒸発源と支持体との距離を200mに近づけた場合は、比較例1より、蒸発源と支持体との距離を近づけることによって比較例2よりさらに蒸着効率は向上するが、鮮鋭性は80とさらに下降し、膜厚分布も32%とさらに悪くなることがわかる。
【0090】
すなわち、複数の蒸発源を支持体の中心から放射状に延びる直線上に配置することによって、蒸着効率の向上と膜厚分布の向上とを両立させて、蒸発源と支持体との距離を近づけても鮮鋭性は向上することが示された。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の放射線画像変換パネルの製造装置を示す断面図である。
【図2】比較例1の放射線画像変換パネルの製造装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0092】
1 放射線画像変換パネルの製造装置
2 真空容器
3 真空ポンプ
4 支持体
5 支持体ホルダ
6 支持体回転機構
7 支持体回転軸
8 蒸発源
9 シャッタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空容器と、
前記真空容器内に設けられた支持体ホルダと、
前記支持体ホルダに保持された支持体と、
前記支持体の中心から放射状に延びる直線上に配置され、下記一般式(1)により表される輝尽性蛍光体を蒸発させて前記支持体に前記輝尽性蛍光体を蒸着させる複数の蒸発源と、
を備えることを特徴とする放射線画像変換パネルの製造装置。
一般式(1)
1X・aM2X'2・bM3X"3:eA
[式中、M1はLi、Na、K、Rb及びCsの各原子から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子であり、M2はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Cu及びNiの各原子から選ばれる少なくとも1種の二価金属原子であり、M3はSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInの各原子から選ばれる少なくとも1種の三価金属原子であり、X、X'、X"はF、Cl、Br及びIの各原子から選ばれる少なくとも1種のハロゲン原子であり、AはEu、Tb、In、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、Ag、Cu及びMgの各原子から選ばれる少なくとも1種の金属原子であり、また、a、b、eはそれぞれ0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<e<1.0の範囲の数値を表す。]
【請求項2】
前記支持体ホルダは、前記蒸着源から前記輝尽性蛍光体を蒸着させる際に前記支持体を回転させる支持体回転機構を備えていることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像変換パネルの製造装置。
【請求項3】
真空容器内において、支持体を支持体ホルダによって保持する工程と、
前記支持体の中心から放射状に延びる直線上に下記一般式(1)により表される輝尽性蛍光体を蒸発させる複数の蒸発源を配置する工程と、
前記複数の蒸発源から蒸発する前記輝尽性蛍光体を前記支持体に蒸着させて輝尽性蛍光体層を形成する工程と、
を備えることを特徴とする放射線画像変換パネルの製造方法。
一般式(1)
1X・aM2X'2・bM3X"3:eA
[式中、M1はLi、Na、K、Rb及びCsの各原子から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子であり、M2はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Cu及びNiの各原子から選ばれる少なくとも1種の二価金属原子であり、M3はSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInの各原子から選ばれる少なくとも1種の三価金属原子であり、X、X'、X"はF、Cl、Br及びIの各原子から選ばれる少なくとも1種のハロゲン原子であり、AはEu、Tb、In、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、Ag、Cu及びMgの各原子から選ばれる少なくとも1種の金属原子であり、また、a、b、eはそれぞれ0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<e<1.0の範囲の数値を表す。]
【請求項4】
前記支持体ホルダは、前記蒸着源から前記輝尽性蛍光体を蒸着させる際に前記支持体を回転させる支持体回転機構を備えていることを特徴とする請求項3に記載の放射線画像変換パネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−90852(P2006−90852A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−276990(P2004−276990)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】