説明

放射線画像撮影システム、接続部材、放射線画像撮影装置、電源供給切替方法およびプログラム

【課題】煩雑な操作を伴うことなく、内蔵電源による消費電力を抑制することのできる放射線画像撮影システム、接続部材、放射線画像撮影装置、電源供給切替方法およびプログラムを得る。
【解決手段】ダミー・コネクタ50が電子カセッテ32の有線接続用の接続部32Bに接続された場合に当該電子カセッテ32における内蔵電源60からの給電を遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影システム、接続部材、放射線画像撮影装置、電源供給切替方法およびプログラムに係り、特に、駆動用の内蔵電源および有線接続用の接続部を備えた放射線画像撮影装置を有する放射線画像撮影システム、当該放射線画像撮影装置の前記有線接続用の接続部に接続される接続部材、前記放射線画像撮影装置、前記内蔵電源からの給電状態を切り替える電源供給切替方法および前記放射線画像撮影装置または前記接続部材において実行されるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可搬型の放射線画像撮影装置は、内蔵された放射線検出器等に対して駆動用の電力を供給する内蔵電源が設けられている。
【0003】
ところで、この種の放射線画像撮影装置には、撮影時における誤操作や、血液等の侵入防止のため密閉性を確保するために、電源スイッチが設けられていないものがあり、この種の放射線画像撮影装置には、放射線検出器等の電力によって駆動する各部に対して、内蔵電源から電力が常時供給されているものがあった。
【0004】
しかしながら、この種の放射線画像撮影装置では、昼食時を跨いで撮影を行う場合や回診車による移動時等のように、撮影を行わない期間が比較的長い場合には、内蔵電源による電力が無駄に消費されてしまう、という問題があった。
【0005】
これに対し、特許文献1には、外部からの供給電力を伝送する給電線とデジタル画像データを伝送するデータ通信線/撮像制御信号線とをあわせ持ったケーブルをケーブルコネクタに接続可能な放射線撮像装置が開示されており、この放射線撮像装置では、ケーブルの接続を検知した場合に、装置本体に内蔵された電池を装置本体の電源として使用しないことを装置本体側で選択していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−6979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、消費電力を抑制するためには、放射線画像撮影装置にケーブルを接続する必要があり、作業が煩雑である、という問題点があった。
【0008】
なお、放射線画像撮影装置との間で通信可能に構成されたコンソールから、未使用時には内蔵電源からの電力供給を遮断する指示を放射線画像撮影装置に送信することにより、当該電力供給を遮断させることも考えられるが、この場合は、当該指示を行うための作業が煩雑である、という問題点があった。
【0009】
なお、この問題点は、電源スイッチが設けられていない放射線画像撮影装置に限らず、電源スイッチが設けられている放射線画像撮影装置にも生じ得る問題点である。
【0010】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、煩雑な操作を伴うことなく、内蔵電源による消費電力を抑制することのできる放射線画像撮影システム、接続部材、放射線画像撮影装置、電源供給切替方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の放射線画像撮影システムは、駆動用の内蔵電源、および有線接続用の接続部を備えた放射線画像撮影装置と、前記接続部に接続可能に構成された接続部材と、前記接続部材が前記接続部に接続された場合に前記放射線画像撮影装置における前記内蔵電源からの給電を遮断する遮断手段と、を有している。
【0012】
請求項1に記載の放射線画像撮影システムによれば、駆動用の内蔵電源、および有線接続用の接続部を備えた放射線画像撮影装置における当該接続部に接続可能に構成された接続部材が用いられる。
【0013】
そして、本発明では、前記接続部材が前記接続部に接続された場合に、遮断手段によって前記放射線画像撮影装置における前記内蔵電源からの給電が遮断される。
【0014】
このように、請求項1に記載の放射線画像撮影システムによれば、接続部材が放射線画像撮影装置の有線接続用の接続部に接続された場合に当該放射線画像撮影装置における内蔵電源からの給電を遮断しているので、接続部材を取り付けるという簡易な操作のみにより、煩雑な操作を伴うことなく、内蔵電源による消費電力を抑制することができる。
【0015】
なお、本発明は、請求項2に記載の発明のように、前記接続部が、前記放射線画像撮影装置と外部装置との間を接続するケーブルに設けられた外部接続コネクタが接続されるものであり、前記接続部材が、前記外部接続コネクタのダミー・コネクタとしてもよい。これにより、本発明の接続部材を簡易に製作することができる。
【0016】
特に、請求項2に記載の発明は、請求項3に記載の発明のように、前記ケーブルが、少なくとも外部からの電力を供給する役割を有してもよい。これにより、外部接続コネクタを接続部に接続した状態で外部からの給電が可能となる結果、内蔵電源による消費電力を、より抑制することができる。
【0017】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項4に記載の発明のように、前記外部接続コネクタが前記接続部に接続された場合に、前記内蔵電源に代えて前記ケーブルから給電するように切り替える切替手段をさらに備えてもよい。これにより、より確実に内蔵電源による消費電力を抑制することができる。
【0018】
また、本発明は、請求項5に記載の発明のように、前記接続部材が前記接続部に接続された場合に前記内蔵電源からの給電が遮断されることを示す電源遮断情報を送信する送信手段をさらに備え、前記遮断手段が、前記送信手段によって前記電源遮断情報が送信された後に前記内蔵電源からの給電を遮断してもよい。これにより、外部装置に対して、放射線画像撮影装置の不具合等によって給電が遮断されたのではなく、接続部材が接続されたことによって給電が遮断されたことを把握させることができる。
【0019】
また、本発明は、請求項6に記載の発明のように、前記接続部材が、前記内蔵電源からの電力の供給および遮断の状態を切り替えるためのスイッチを備えていてもよい。これにより、利用者にとっての利便性を、より向上させることができる。
【0020】
また、本発明は、請求項7に記載の発明のように、前記遮断手段が、前記放射線画像撮影装置または前記接続部材に備えられていてもよい。これにより、前記遮断手段をこれら以外に別個に設ける場合に比較して、当該遮断手段に要するスペースを削減することができる。
【0021】
また、本発明は、請求項8に記載の発明のように、前記遮断手段が、前記内蔵電源からの給電を電気的に遮断してもよく、請求項9に記載の発明のように、前記遮断手段が、前記内蔵電源からの給電を機械的に遮断してもよい。これにより、電気的に遮断する場合は、機械的に遮断する場合に比較して、遮断手段の耐久性を向上させることができる一方、機械的に遮断する場合は、電気的に遮断する場合に比較して、当該遮断のための消費電力の発生を防止することができる。
【0022】
また、本発明は、請求項10に記載の発明のように、前記接続部材が、前記接続部に接続されている際に当該接続部位周辺の密閉性を有してもよい。これにより、放射線画像撮影装置を医療現場で用いる場合の、血液等の液体の装置内部への流入を防止することができる。
【0023】
さらに、本発明は、請求項11に記載の発明のように、前記接続部材が前記接続部から取り外された場合に前記放射線画像撮影装置における前記内蔵電源からの給電を再開する再開手段をさらに有してもよい。これにより、より確実に煩雑な操作を回避することができる。
【0024】
一方、上記目的を達成するために、請求項12に記載の接続部材は、駆動用の内蔵電源、および有線接続用の接続部を備えた放射線画像撮影装置の前記接続部に接続される第2接続部と、前記接続部に前記第2接続部が接続された場合に前記放射線画像撮影装置における前記内蔵電源からの給電を遮断する遮断手段と、を備えている。
【0025】
請求項12に記載の接続部材によれば、駆動用の内蔵電源、および有線接続用の接続部を備えた放射線画像撮影装置の前記接続部に第2接続部が接続されるものとされている。
【0026】
ここで、本発明では、遮断手段により、前記接続部に前記第2接続部が接続された場合に前記放射線画像撮影装置における前記内蔵電源からの給電が遮断される。
【0027】
このように、請求項12に記載の接続部材によれば、放射線画像撮影装置の有線接続用の接続部に接続された場合に当該放射線画像撮影装置における内蔵電源からの給電を遮断しているので、接続部材を取り付けるという簡易な操作のみにより、煩雑な操作を伴うことなく、内蔵電源による消費電力を抑制することができる。
【0028】
なお、本発明は、請求項13に記載の発明のように、前記内蔵電源からの電力の供給および遮断の状態を切り替えるためのスイッチをさらに備えてもよい。これにより、利用者にとっての利便性を、より向上させることができる。
【0029】
一方、上記目的を達成するために、請求項14に記載の放射線画像撮影装置は、駆動用の内蔵電源と、有線接続用の接続部と、前記接続部に接続可能に構成された接続部材が当該接続部に接続された場合に、前記内蔵電源からの給電を遮断する遮断手段と、を備えている。
【0030】
請求項14に記載の放射線画像撮影装置によれば、有線接続用の接続部に接続可能に構成された接続部材が当該接続部に接続された場合に、遮断手段によって駆動用の内蔵電源からの給電が遮断される。
【0031】
このように、請求項14に記載の放射線画像撮影装置によれば、有線接続用の接続部に接続可能に構成された接続部材が当該接続部に接続された場合に、駆動用の内蔵電源からの給電を遮断しているので、接続部材を取り付けるという簡易な操作のみにより、煩雑な操作を伴うことなく、内蔵電源による消費電力を抑制することができる。
【0032】
一方、上記目的を達成するために、請求項15に記載の電源供給切替方法は、駆動用の内蔵電源、および有線接続用の接続部を備えた放射線画像撮影装置の前記接続部に接続可能に構成された接続部材が前記接続部に接続された場合に前記放射線画像撮影装置における前記内蔵電源からの給電を遮断する遮断ステップと、前記接続部材が前記接続部から取り外された場合に前記内蔵電源からの給電を再開する再開ステップと、を備えている。
【0033】
従って、請求項15に記載の電源供給切替方法によれば、請求項1に記載の発明と同様に作用するので、請求項1に記載の発明と同様に、煩雑な操作を伴うことなく、内蔵電源による消費電力を抑制することができる。
【0034】
一方、上記目的を達成するために、請求項16に記載のプログラムは、コンピュータを、駆動用の内蔵電源、および有線接続用の接続部を備えた放射線画像撮影装置の前記接続部に接続可能に構成された接続部材が前記接続部に接続された場合に前記放射線画像撮影装置における前記内蔵電源からの給電を遮断する遮断手段と、前記接続部材が前記接続部から取り外された場合に前記内蔵電源からの給電を再開する再開手段と、として機能させるためのものである。
【0035】
従って、請求項16に記載のプログラムによれば、請求項1に記載の発明と同様に作用するので、請求項1に記載の発明と同様に、煩雑な操作を伴うことなく、内蔵電源による消費電力を抑制することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、接続部材が放射線画像撮影装置の有線接続用の接続部に接続された場合に当該放射線画像撮影装置における内蔵電源からの給電を遮断しているので、接続部材を取り付けるという簡易な操作のみにより、煩雑な操作を伴うことなく、内蔵電源による消費電力を抑制することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施の形態に係る放射線画像撮影システムの構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係る電子カセッテおよび通信ケーブルの構成および当該通信ケーブルの電子カセッテへの接続方法を示す正面図である。
【図3】実施の形態に係るダミー・コネクタの構成および電子カセッテへの接続方法を示す正面図である。
【図4】実施の形態に係る通信ケーブルおよびダミー・コネクタの構成を示す透視正面図である。
【図5】第1の実施の形態に係る電子カセッテの電気系の要部構成と、通信ケーブルおよびダミー・コネクタの電子カセッテへの接続方法を示すブロック図(一部回路図)である。
【図6】第1の実施の形態に係る電源切替部の構成を示す回路図である。
【図7】第1の実施の形態に係る電子カセッテに通信ケーブルを接続した場合の構成を示す回路図である。
【図8】第1の実施の形態に係る電子カセッテにダミー・コネクタを接続した場合の構成を示す回路図である。
【図9】第2の実施の形態に係る電子カセッテの電気系の要部構成と、通信ケーブルおよびダミー・コネクタの電子カセッテへの接続方法を示すブロック図(一部回路図)である。
【図10】第2の実施の形態に係る電源切替部の構成およびダミー・コネクタを接続した場合の構成を示す回路図である。
【図11】第2の実施の形態に係る電源切替処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】第3の実施の形態に係るダミー・コネクタの構成を示す正面図である。
【図13】第3の実施の形態に係るスイッチ操作時処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】第3の実施の形態に係るダミー・コネクタの変形例の構成を示す回路図である。
【図15】第3の実施の形態に係る通信ケーブルの変形例の構成を示す回路図である。
【図16】第4の実施の形態に係る電子カセッテの構成およびダミー・コネクタを接続した場合の構成を示す回路図である。
【図17】他のダミー・コネクタおよび電子カセッテの構成例を示すブロック図(一部回路図)である。
【図18】他の接続部材の構成例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、ここでは、本発明を、可搬型の放射線画像撮影装置(以下、「電子カセッテ」という。)を用いて放射線画像の撮影を行う放射線画像撮影システムに適用した場合の形態例について説明する。
【0039】
[第1の実施の形態]
図1には、本実施の形態に係る放射線画像撮影システム10の概略構成の一例が示されている。
【0040】
同図に示すように、本実施の形態に係る放射線画像撮影システム10は、放射線(本実施の形態では、X線)画像を撮影するための撮影室(以下、「X線室」という。)に設置されており、撮影制御装置(以下、「コンソール」という。)90、放射線発生装置92、および電子カセッテ32が備えられている。
【0041】
コンソール90は、電子カセッテ32と無線通信が可能に構成されている。また、コンソール90と電子カセッテ32とは通信ケーブル43を介して有線接続された状態で、有線通信が可能となっている。
【0042】
コンソール90は、有線通信方式および無線通信方式のいずれかの通信方式で通信を行って、制御信号を伝送することにより電子カセッテ32に対して様々な制御を行う。また、コンソール90は、通信ケーブル94を介して放射線発生装置92と接続されており、放射線を発生するタイミングを制御する。
【0043】
コンソール90の制御に基づいたタイミングで、放射線発生装置92は、放射線を被写体12に照射する。放射線発生装置92から照射された放射線は、被写体12を透過して電子カセッテ32に照射される。電子カセッテ32は、照射された放射線から放射線画像を示す画像データを生成する。生成された画像データは、有線通信または無線通信によりコンソール90に送信される。
【0044】
図2には、本実施の形態に係る電子カセッテ32および通信ケーブル43の構成および当該通信ケーブル43の電子カセッテ32への接続方法を示す正面図が示されている。
【0045】
本実施の形態に係る電子カセッテ32は、誤操作の防止および密閉性の確保のため、電源スイッチが設けられていない一方、通信ケーブル43に設けられたコネクタ43Aが接続可能とされた接続部32Bが設けられている。
【0046】
なお、本実施の形態に係る電子カセッテ32は、後述する放射線検出器等の内蔵された電力駆動する各部に対して内蔵電源60から常時電力が供給される一方、通信ケーブル43のコネクタ43Aが接続部32Bに接続されている場合には、内蔵電源60から上記各部への電力供給が遮断されると共に、当該通信ケーブル43を介して当該各部への駆動用の電力が供給される。
【0047】
一方、図3に示すように、本実施の形態に係る電子カセッテ32には、接続部32Bに接続可能に構成されたダミー・コネクタ50が用意されている。
【0048】
ダミー・コネクタ50は、電子カセッテ32に接続されることにより、電子カセッテ32の内蔵電源60から各部への電力供給を遮断することができる。なお、本実施の形態に係るダミー・コネクタ50は、本来、接続部32Bに接続される通信ケーブル43のコネクタ43Aと形状、寸法等の仕様が略同一でケーブルが接続されていないコネクタとされており、電子カセッテ32に接続された状態で、当該接続部位周辺の密閉性を有するものとされている。
【0049】
図4には本実施の形態に係る通信ケーブル43のコネクタ43Aおよびダミー・コネクタ50の構成を示す透視正面図が示されている。
【0050】
図4(A)に示すように、本実施の形態に係る通信ケーブル43のコネクタ43Aは接続部43Cを有しており、接続部43Cには、ケーブル本体43Bを介して供給された電力が出力される電力出力端子43A1と、互いに電気的に接続された短絡用第1端子43A2および短絡用第2端子43A3と、が設けられている。なお、図示は省略するが、本実施の形態に係る通信ケーブル43のケーブル本体43Bには、各種の制御信号や電子カセッテ32による撮影によって得られた画像データ等をコンソール90との間で送受信するための信号線が設けられており、当該信号線の端部に電気的に接続された端子も接続部43Cに設けられている。
【0051】
また、本実施の形態に係るダミー・コネクタ50は、通信ケーブル43のコネクタ43Aに設けられた接続部43Cと同一の仕様とされた接続部50Bを有しており、接続部50Bには、互いに電気的に接続された短絡用第1端子50A2および短絡用第2端子50A3が設けられている。
【0052】
一方、図5には、本実施の形態に係る電子カセッテ32の電気系の要部構成が示されている。
【0053】
同図に示すように、本実施の形態に係る電子カセッテ32は、TFT(Thin Film Transistor)基板21上に光吸収性の低い接着樹脂等を用いて図示しないシンチレータが貼り付けられた放射線検出器20を備えている。
【0054】
TFT基板21には、上記シンチレータが発する光を吸収して電荷を発生するセンサ部22A、センサ部22Aにおいて発生した電荷を蓄積するコンデンサ22B、およびコンデンサ22Bに蓄積された電荷を電気信号に変換して出力する電界効果型薄膜トランジスタ(以下、単に「薄膜トランジスタ」という。)22Cを含んで構成される画素22が一定方向(図5の行方向)、および当該一定方向に対する交差方向(図5の列方向)に2次元状に複数設けられている。
【0055】
また、放射線検出器20には、上記一定方向(行方向)に延設され、各薄膜トランジスタ22Cをオン・オフさせるための複数本のゲート配線27と、上記交差方向(列方向)に延設され、オン状態の薄膜トランジスタ22Cを介して電荷を読み出すための複数本のデータ配線28と、が設けられている。放射線検出器20は、平板状で、かつ平面視において外縁に4辺を有する四辺形状、より具体的には、矩形状に形成されている。
【0056】
放射線検出器20は、隣り合う2辺の一辺側にゲート線ドライバ23が配置され、他辺側に信号処理部24が配置されている。TFT基板21の個々のゲート配線27はゲート線ドライバ23に接続され、TFT基板21の個々のデータ配線28は信号処理部24に接続されている。
【0057】
また、電子カセッテ32の筐体32Aの内部には、画像メモリ25と、カセッテ制御部26と、無線通信部27と、を備えている。
【0058】
TFT基板21の各薄膜トランジスタ22Cは、ゲート線ドライバ23からゲート配線27を介して供給される信号により行単位で順にオンされ、オン状態とされた薄膜トランジスタ22Cによって読み出された電荷は、電気信号としてデータ配線28を伝送されて信号処理部24に入力される。これにより、電荷は行単位で順に読み出され、二次元状の放射線画像が取得可能となる。
【0059】
図示は省略するが、信号処理部24は、個々のデータ配線28毎に、入力される電気信号を増幅する増幅回路およびサンプルホールド回路を備えており、個々のデータ配線28を伝送された電気信号は増幅回路で増幅された後にサンプルホールド回路に保持される。また、サンプルホールド回路の出力側にはマルチプレクサ、A/D(アナログ/デジタル)変換器が順に接続されており、個々のサンプルホールド回路に保持された電気信号はマルチプレクサに順に(シリアルに)入力され、A/D変換器によってデジタルの画像データへ変換される。
【0060】
信号処理部24には画像メモリ25が接続されており、信号処理部24のA/D変換器から出力された画像データは画像メモリ25に順に記憶される。画像メモリ25は所定枚分の画像データを記憶可能な記憶容量を有しており、放射線画像の撮影が行われる毎に、撮影によって得られた画像データが画像メモリ25に順次記憶される。
【0061】
画像メモリ25はカセッテ制御部26と接続されている。カセッテ制御部26はマイクロコンピュータを含んで構成され、CPU(中央処理装置)26A、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含むメモリ26B、フラッシュメモリ等からなる不揮発性の記憶部26Cを備えており、電子カセッテ32全体の動作を制御する。
【0062】
さらに、カセッテ制御部26には無線通信部27が接続されている。無線通信部27は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11a/b/g等に代表される無線LAN(Local Area Network)規格に対応しており、無線通信による外部機器との間での各種情報の伝送を制御する。カセッテ制御部26は、無線通信部27を介して、コンソール90などの外部装置と無線通信が可能とされており、コンソール90等との間で各種情報の送受信が可能とされている。
【0063】
また、電子カセッテ32には前述した内蔵電源60が設けられており、各種回路や各種素子(ゲート線ドライバ23、信号処理部24、画像メモリ25、無線通信部27、カセッテ制御部26として機能するマイクロコンピュータ等)は、内蔵電源60から供給された電力によって作動する。内蔵電源60は、電子カセッテ32の可搬性を損なわないように、バッテリ(充電可能な二次電池)を内蔵しており、充電されたバッテリから各種回路・素子へ電力を供給する。
【0064】
一方、本実施の形態に係る電子カセッテ32には、内蔵電源60の電力出力端子に接続されると共に、接続部32Bに設けられている端子と接続された電源切替部70が備えられている。
【0065】
図6に示すように、本実施の形態に係る電源切替部70は、2入力1出力のセレクタ72と、トランジスタ74と、2つのプル・アップ抵抗器76,78と、を備えており、セレクタ72の一方の入力端子は内蔵電源60の電力出力端子に接続されている。なお、本実施の形態に係るセレクタ72は、制御端子がロー・レベル(Low Level)となっている場合に一方の入力端子が出力端子に接続され、制御端子がハイ・レベル(High Level)となっている場合に他方の入力端子が出力端子に接続される。但し、このセレクタ72の論理は逆であってもよい。
【0066】
一方、接続部32Bには、通信ケーブル43のコネクタ43Aが接続された場合に電力出力端子43A1に接触される一方、ダミー・コネクタ50が接続された場合に開放状態とされる電力入力端子32B1が備えられており、セレクタ72の他方の入力端子は電力入力端子32B1に接続されている。
【0067】
同様に、接続部32Bは、通信ケーブル43のコネクタ43Aが接続された場合に短絡用第1端子43A2に接触される一方、ダミー・コネクタ50が接続された場合に短絡用第1端子50A2に接触される短絡用第1端子32B2が備えられている。さらに、接続部32Bは、コネクタ43Aが接続された場合に短絡用第2端子43A3が接触される一方、ダミー・コネクタ50が接続された場合に短絡用第2端子50A3に接触される短絡用第2端子32B3が備えられている。そして、短絡用第1端子32B2は、トランジスタ74のベースに接続されると共に、プル・アップ抵抗器76を介して、トランジスタ74をオン状態とすることのできる所定の電圧にプル・アップされている。
【0068】
一方、トランジスタ74のコレクタはセレクタ72の制御端子に接続されると共に、プル・アップ抵抗器78を介してセレクタ72の制御端子をオン状態(ハイ・レベル)とすることのできる所定の電圧にプル・アップされている。なお、トランジスタ74のエミッタは接地されている。
【0069】
そして、短絡用第2端子32B3は接地されており、セレクタ72の出力端子は各電力供給先との間に介在された図示しないDC/DCコンバータの入力端子に接続されている。
【0070】
なお、本実施の形態に係る電源切替部70では、プル・アップ抵抗器76およびプル・アップ抵抗器78に、内蔵電源60からのプル・アップ電圧が常時印加されている。
【0071】
次に、本実施の形態に係る放射線画像撮影システム10の作用を説明する。まず、図5を参照して、本実施の形態に係る電子カセッテ32の放射線画像の撮影時における作用を説明する。
【0072】
本実施の形態に係る電子カセッテ32は、放射線画像の撮影を行う場合、放射線発生装置92と間隔を空けて配置され、撮影領域上に被写体12の撮影対象部位が配置される。その後、放射線発生装置92は予め与えられた撮影条件等に応じた放射線量の放射線を射出する。
【0073】
放射線発生装置92から射出された放射線は、撮影対象部位を透過することで画像情報を担持した後に電子カセッテ32に照射される。これにより、電子カセッテ32に内蔵された放射線検出器20の各センサ部22Aには照射された放射線の線量に応じた電荷が発生し、コンデンサ22Bにはセンサ部22Aで発生した電荷が蓄積される。
【0074】
カセッテ制御部26は、放射線の照射終了後に、ゲート線ドライバ23を制御し、ゲート線ドライバ23から放射線検出器20の各ゲート配線27に1ラインずつ順にオン信号を出力させて画像情報の読み出しを行う。放射線検出器20から読み出された画像情報は上記A/D変換器によってデジタルの画像データに変換され、画像メモリ25に記憶された後、無線通信部27を介して無線にてコンソール90に送信される。
【0075】
次に、接続部32Bに何も接続されていない場合の電子カセッテ32の作用を、図6を参照しつつ詳細に説明する。
【0076】
同図に示すように、このとき、電子カセッテ32の接続部32Bに設けられた電力入力端子32B1が開放状態とされる一方、短絡用第1端子32B2と短絡用第2端子32B3ともまた、開放状態とされる。この結果、トランジスタ74がオン状態となり、セレクタ72の制御端子がロー・レベルとされ、セレクタ72における上記一方の入力端子が出力端子に接続された状態(図6に示す状態)となる。
【0077】
以上の動作により、電子カセッテ32の各電力供給先には、内蔵電源60からの電力が上記DC−DCコンバータ等を介して供給される。
【0078】
次に、通信ケーブル43が接続部32Bに接続されている場合の電子カセッテ32の作用を、図7を参照しつつ詳細に説明する。
【0079】
同図に示すように、このとき、通信ケーブル43のコネクタ43Aに設けられた電力出力端子43A1が電子カセッテ32の接続部32Bに設けられた電力入力端子32B1に接触される。
【0080】
一方、このとき、接続部32Bに設けられた短絡用第1端子32B2と短絡用第2端子32B3とが、コネクタ43Aに設けられた短絡用第1端子43A2および短絡用第2端子43A3を介して短絡される。この結果、トランジスタ74がオフ状態となり、セレクタ72の制御端子がプル・アップ抵抗器78を介してハイ・レベルとされ、セレクタ72における上記他方の入力端子が出力端子に接続された状態(図7に示す状態)となる。
【0081】
以上の動作により、内蔵電源60からの電力供給が遮断される一方、電子カセッテ32の各電力供給先には、通信ケーブル43を介して入力された電力が上記DC−DCコンバータ等を介して供給される。
【0082】
次に、ダミー・コネクタ50が接続部32Bに接続されている場合の電子カセッテ32の作用を、図8を参照しつつ詳細に説明する。
【0083】
同図に示すように、このとき、接続部32Bに設けられた電力入力端子32B1は開放状態となる。
【0084】
一方、このとき、接続部32Bに設けられた短絡用第1端子32B2と短絡用第2端子32B3とが、ダミー・コネクタ50に設けられた短絡用第1端子50A2および短絡用第2端子50A3を介して短絡される。この結果、トランジスタ74がオフ状態となり、セレクタ72の制御端子がプル・アップ抵抗器78を介してハイ・レベルとされ、セレクタ72における上記他方の入力端子が出力端子に接続された状態(図8に示す状態)となる。
【0085】
以上の動作により、内蔵電源60からの電力供給が遮断され、電子カセッテ32の各電力供給先には電力が供給されることはない。なお、ここで、ダミー・コネクタ50が接続部32Bから取り外された場合に内蔵電源60からの給電が再開されることは言うまでもない。
【0086】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、接続部材(ここでは、ダミー・コネクタ50)が放射線画像撮影装置(ここでは、電子カセッテ32)の有線接続用の接続部(ここでは、接続部32B)に接続された場合に当該放射線画像撮影装置における内蔵電源(ここでは、内蔵電源60)からの給電を遮断しているので、接続部材を取り付けるという簡易な操作のみにより、煩雑な操作を伴うことなく、内蔵電源による消費電力を抑制することができる。
【0087】
また、本実施の形態によれば、前記接続部を、前記放射線画像撮影装置と外部装置(ここでは、コンソール90)との間を接続するケーブル(ここでは、ケーブル本体43B)に設けられた外部接続コネクタ(ここでは、コネクタ43A)が接続されるものとし、前記接続部材を、前記外部接続コネクタのダミー・コネクタとしているので、上記接続部材を簡易に製作することができる。
【0088】
特に、本実施の形態によれば、前記ケーブルを、少なくとも外部からの電力を供給する役割を有するものとしているので、外部接続コネクタを接続部に接続した状態で外部からの給電が可能となる結果、内蔵電源による消費電力を、より抑制することができる。
【0089】
特に、本実施の形態によれば、前記外部接続コネクタが前記接続部に接続された場合に、前記内蔵電源に代えて前記ケーブルから給電するように切り替えているので、より確実に内蔵電源による消費電力を抑制することができる。
【0090】
また、本実施の形態によれば、前記内蔵電源からの給電を遮断する遮断手段を前記接続部材に設けているので、前記遮断手段を別個に設ける場合に比較して、当該遮断手段に要するスペースを削減することができる。
【0091】
また、本実施の形態によれば、前記遮断手段により、前記内蔵電源からの給電を電気的に遮断しているので、機械的に遮断する場合に比較して、遮断手段の耐久性を向上させることができる。
【0092】
さらに、本実施の形態によれば、前記接続部材を、前記接続部に接続されている際に当該接続部位周辺の密閉性を有するものとしているので、放射線画像撮影装置を医療現場で用いる場合の、血液等の液体の装置内部への流入を防止することができる。
【0093】
[第2の実施の形態]
まず、図9を参照して、本第2の実施の形態に係る電子カセッテ32の電気系の要部構成を説明する。なお、同図における図5と同一の構成要素には図5と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0094】
同図に示すように、本第2の実施の形態に係る電子カセッテ32は、電源切替部70に代えて、内部構成が異なる電源切替部70’が適用されている点のみが上記第1の実施の形態と異なっている。
【0095】
図10には、本第2の実施の形態に係る電源切替部70’の構成が示されている。なお、同図における図6と同一の構成要素には図6と同一の符号を付して、その説明を極力省略する。
【0096】
同図に示すように、電源切替部70’は、トランジスタ80およびレジスタ82が備えられており、トランジスタ80のコレクタはセレクタ72の制御端子に接続される一方、エミッタは接地されている。
【0097】
一方、レジスタ82のクリア端子および入力端子はカセッテ制御部26のCPU26Aに接続される一方、レジスタ82の出力端子はトランジスタ80のベースに接続されている。
【0098】
本第2の実施の形態に係る電源切替部70’では、トランジスタ80およびレジスタ82を除く部分については上記第1の実施の形態に係る電源切替部70と同様に動作する。すなわち、ダミー・コネクタ50が接続部32Bに接続された状態では、接続部32Bに設けられた電力入力端子32B1が開放状態になると共に、短絡用第1端子32B2と短絡用第2端子32B3とが短絡され、この結果としてセレクタ72の制御端子がハイ・レベルとされて、内蔵電源60からの電力供給が遮断される。
【0099】
ここで、本第2の実施の形態に係る電源切替部70’では、レジスタ82の出力端子がベースに接続されると共に、エミッタが接地されたトランジスタ80のコレクタがセレクタ72の制御端子に接続されている。このため、レジスタ82に出力端子がハイ・レベルとなるデータを設定することにより、トランジスタ80をオン状態とし、セレクタ72の制御端子をロー・レベルとすることができ、この結果として、内蔵電源60からの電力が上記DC−DCコンバータ等を介して供給される。
【0100】
これに対し、レジスタ82に出力端子がロー・レベルとなるデータを設定することにより、トランジスタ80をオフ状態とし、セレクタ72の制御端子をハイ・レベルとすることができ、この結果として、内蔵電源60からの電力供給が遮断される。
【0101】
なお、本実施の形態に係る電子カセッテ32では、CPU26Aに内蔵電源60からの駆動用の電力が常時入力されている。
【0102】
本実施の形態に係る電子カセッテ32は、コンソール90から内蔵電源60の使用を指示する内蔵電源使用指示情報、または内蔵電源60からの給電を遮断することを指示する内蔵電源遮断指示情報が無線通信部27を介して受信された場合に、受信した情報に応じて内蔵電源60からの給電状態を制御する電源切替処理を実行する。
【0103】
次に、図11を参照して、電源切替処理を実行する際の本第2の実施の形態に係る電子カセッテ32の作用を説明する。なお、図11は、この際にカセッテ制御部26のCPU26Aにより実行される電源切替処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは記憶媒体としてのメモリ26Bの所定領域に予め記憶されている。
【0104】
同図のステップ100では、コンソール90から受信した情報が内蔵電源遮断指示情報であったか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ102に移行して、レジスタ82にロー・レベルを出力させる情報を設定した後、本電源切替処理プログラムを終了する。
【0105】
一方、上記ステップ100において否定判定となった場合には、受信した情報が内蔵電源使用指示情報であったと見なしてステップ104に移行し、レジスタ82にハイ・レベルを出力させる情報を設定した後、本電源切替処理プログラムを終了する。
【0106】
本電源切替処理プログラムの実行により、コンソール90からの指示情報の送信によって、内蔵電源60からの給電状態を制御することができる。
【0107】
以上詳細に説明したように、本実施の形態でも、上記第1の実施の形態と略同様の効果を奏することができると共に、前記内蔵電源からの給電を遮断する遮断手段を前記放射線画像撮影装置に設けているので、前記遮断手段を別個に設ける場合に比較して、当該遮断手段に要するスペースを削減することができる。
【0108】
[第3の実施の形態]
まず、図12を参照して、本第3の実施の形態に係る放射線画像撮影システムにおいて用いられるダミー・コネクタ50’の構成を説明する。
【0109】
同図に示すように、本第3の実施の形態に係るダミー・コネクタ50’は、上記第1の実施の形態に係るダミー・コネクタ50に対し、外部に押圧部が露出された状態でスイッチ52が設けられている点のみがダミー・コネクタ50と異なっている。ここで、スイッチ52は、押圧部が押圧操作される度にオン状態およびオフ状態が切り替えられる所謂オルタネート型のものが用いられており、本実施の形態に係る電子カセッテ32は、ダミー・コネクタ50’が接続部32Bに接続された状態でスイッチ52のオン/オフ状態を把握することができる。
【0110】
なお、ダミー・コネクタ50’および電子カセッテ32以外の構成は、上記第2の実施の形態と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0111】
次に、図13を参照して、ダミー・コネクタ50’が接続部32Bに接続され、かつダミー・コネクタ50’のスイッチ52が押圧操作された際の本第3の実施の形態に係る電子カセッテ32の作用を説明する。なお、図13は、この際にカセッテ制御部26のCPU26Aにより実行されるスイッチ操作時処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはメモリ26Bの所定領域に予め記憶されている。
【0112】
同図のステップ200では、内蔵電源60から各電力供給先への電力供給が行われているか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ202に移行して、内蔵電源60からの給電を遮断することを示す電源遮断情報を、無線通信部27を介してコンソール90に送信し、次のステップ204にて、レジスタ82にロー・レベルを出力させる情報を設定することにより、内蔵電源60からの給電を遮断した後、本スイッチ操作時処理プログラムを終了する。
【0113】
一方、上記ステップ200において否定判定となった場合にはステップ206に移行し、レジスタ82にハイ・レベルを出力させる情報を設定することにより、内蔵電源60からの給電経路を接続し、次のステップ208にて、内蔵電源60からの給電経路を接続したことを示す電源接続情報を、無線通信部27を介してコンソール90に送信した後、本スイッチ操作時処理プログラムを終了する。
【0114】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、上記第2の実施の形態と同様の効果を奏することができると共に、前記接続部材が前記接続部に接続された場合に前記内蔵電源からの給電が遮断されることを示す電源遮断情報を送信し、前記電源遮断情報を送信した後に前記内蔵電源からの給電を遮断しているので、外部装置に対して、放射線画像撮影装置の不具合等によって給電が遮断されたのではなく、接続部材が接続されたことによって給電が遮断されたことを把握させることができる。
【0115】
また、本実施の形態によれば、前記接続部材に、前記内蔵電源からの電力の供給および遮断の状態を切り替えるためのスイッチ(ここでは、スイッチ52)を設けているので、利用者にとっての利便性を、より向上させることができる。
【0116】
なお、本第3の実施の形態では、ダミー・コネクタ50’が電子カセッテ32に接続された場合で、かつスイッチ52に対する操作に応じて内蔵電源60からの給電が遮断される場合に電源遮断情報を送信する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ダミー・コネクタ50’が電子カセッテ32に接続された場合に電源遮断情報を送信し、その後に内蔵電源60からの給電を遮断する形態としてもよい。
【0117】
また、本第3の実施の形態では、ダミー・コネクタ50’に設けられたスイッチ52に対する押圧操作に応じた内蔵電源60からの給電状態の切り替えをCPU26Aによるソフトウェアの処理により実行する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、当該給電状態の切り替えを電子回路による回路構成により実現する形態としてもよい。
【0118】
図14には、この場合のダミー・コネクタ50’の構成例が示されている。なお、この形態における電子カセッテ32の電源切替部70の構成は上記第1の実施の形態に係るものと同一である。
【0119】
同図に示すように、この形態に係るダミー・コネクタ50’では、電子カセッテ32の接続部32Bに接続された状態において、スイッチ52の押圧部に対する押圧操作に応じて接続/切断状態が切り替えられる一対の接点のうち、一方が電子カセッテ32に設けられた接続部32Bにおける短絡用第1端子32B2に接続される一方、他方が短絡用第2端子32B3に接続される。
【0120】
従って、ユーザは、スイッチ52の押圧部に対する押圧操作により、トランジスタ74のオン/オフ状態を切り替えることができる。
【0121】
なお、同様に、一例として図15に示すように、通信ケーブル43のコネクタ43Aに対して、内蔵電源60からの電力の供給および遮断の状態を切り替えるためのスイッチ43Dを設け、当該スイッチ43Dに対する押圧操作により、内蔵電源60からの給電状態を切り替えることができるように構成してもよい。
【0122】
[第4の実施の形態]
まず、図16を参照して、本第4の実施の形態に係る放射線画像撮影システムにおいて用いられるダミー・コネクタ50’’および電子カセッテ32の構成を説明する。
【0123】
同図に示すように、本第4の実施の形態に係るダミー・コネクタ50’’は、上記第1の実施の形態に係るダミー・コネクタ50に対し、短絡用第1端子50A2および短絡用第2端子50A3が設けられていない点、および一対の位置決め用ピン50Cが設けられている点のみがダミー・コネクタ50と異なっている。
【0124】
一方、本実施の形態に係る電子カセッテ32は、ダミー・コネクタ50’’が接続された際に上記一対の位置決め用ピン50Cが個別に挿入される一対の孔32Cが設けられている。また、本実施の形態に係る電子カセッテ32では、内蔵電源60から各電力供給先との間に介在された図示しないDC/DCコンバータの入力端子に至る経路上で、かつダミー・コネクタ50’’が接続された際に一方の位置決め用ピン50Cの先端部によってオフ状態(切断状態)とされる位置にスイッチ98が介在されている。
【0125】
なお、ダミー・コネクタ50’’および電子カセッテ32以外の構成は、上記第1の実施の形態と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0126】
本実施の形態に係る電子カセッテ32では、ダミー・コネクタ50’’が接続されていない状態では、スイッチ98がオン状態(図16の実線の状態)とされており、内蔵電源60から各電力供給先に対して電力が常時供給される。
【0127】
これに対し、ダミー・コネクタ50’’が接続されている状態では、一方の位置決め用ピン50Cの先端部によってスイッチ98がオフ状態(図16の一点鎖線の状態)とされるため、内蔵電源60から各電力供給先に対する給電が遮断される。
【0128】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と略同様の効果を奏することができると共に、前記遮断手段が、前記内蔵電源からの給電を機械的に遮断しているので、電気的に遮断する場合に比較して、当該遮断のための消費電力の発生を防止することができる。
【0129】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0130】
また、上記の実施の形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合わせにより種々の発明を抽出できる。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0131】
例えば、上記各実施の形態では、電子カセッテ32側の構成や処理によって内蔵電源60からの給電状態を制御する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ダミー・コネクタによって能動的に内蔵電源60の給電状態を制御する形態としてもよい。
【0132】
図17には、この場合のダミー・コネクタおよび電子カセッテ32の構成例が示されている。なお、ここでは、ダミー・コネクタに上記第3の実施の形態に係るダミー・コネクタ50’と同様のスイッチ52が設けられると共に、各種情報を表示可能な表示部56が設けられている場合について例示する。
【0133】
同図に示すように、このダミー・コネクタは、CPU51、ROM53、およびRAM54が備えられると共に、表示部56に接続された表示制御部55、およびスイッチ52に接続されたインタフェース部(I/F)57が備えられており、これら各部はシステム・バスにより相互かつ電気的に接続されている。従って、CPU51は、ROM53およびRAM54へのアクセス、表示部56に対する各種情報の表示、およびスイッチ52の状態の把握を各々行うことができる。
【0134】
また、このダミー・コネクタは、接続部50Bに接続されたI/F58が備えられており、当該I/F58もまた上記システム・バスに接続されている。従って、CPU51は、ダミー・コネクタが電子カセッテ32に接続されている場合における接続部50Bを介した電子カセッテ32との各種情報の授受を行うことができる。
【0135】
一方、この形態に係る電子カセッテ32では、接続部32Bがカセッテ制御部26に電気的に接続されており、ダミー・コネクタのCPU51は、電子カセッテ32に接続された状態で、内蔵電源60からの給電状態を、CPU26Aを介して制御することができる。
【0136】
この構成によれば、CPU51はカセッテ制御部26のCPU26Aとの通信可否の状況によって電子カセッテ32に接続されたことを把握することができる。そこで、CPU51は、電子カセッテ32に接続されている場合に、内蔵電源60からの給電を遮断するようにCPU26Aを介して制御すると共に、コンソール90に対し、電源遮断情報を、無線通信部27等を介して送信するように制御する。
【0137】
なお、この構成では、内蔵電源60からの給電状態を示す情報や、電子カセッテ32の作動状態を示す情報等の各種情報を表示部56により表示することができるため、より利便性を向上させることができる。
【0138】
また、上記各実施の形態では、本発明の接続部材として、電子カセッテ32の接続部32Bに本来接続される通信ケーブル43のコネクタ43Aと略同一の形状および寸法とされたダミー・コネクタを適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、一例として図18に示すような、コネクタ43Aとは異なる形状や、異なる寸法の接続部材を適用する形態としてもよい。なお、図18に示す接続部材は、上記各実施の形態に記載のダミー・コネクタに比較して薄型のものとされているため、電子カセッテ32に接続した場合における当該接続部材による突出部を低くすることができる結果、電子カセッテ32を持ち運ぶ際の利便性等を向上させることができる。
【0139】
また、上記各実施の形態では、ダミー・コネクタの一部が接触/離脱することによって内蔵電源からの給電の遮断/再開を切り替える場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ダミー・コネクタが電子カセッテに接続された場合に当該ダミー・コネクタからの電磁誘導や磁気等によって非接触で開閉する開閉素子を内蔵電源と各電力供給先との間の給電経路上に設けておき、当該開閉素子の開閉動作によって内蔵電源からの給電の遮断/再開を切り替える形態としてもよい。
【0140】
また、上記各実施の形態では、本発明の遮断手段としてダミー・コネクタを適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電子カセッテ32の接続部32Bを覆う単なるカバーを適用する形態としてもよい。
【0141】
その他、上記各実施の形態で説明した放射線画像撮影システム、電子カセッテ、通信ケーブル、ダミー・コネクタの構成(図1〜図6,図9〜図10,図12,図14〜図18参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したり、構成を変更したりすることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0142】
10 放射線画像撮影システム
12 被写体
26 カセッテ制御部
26A CPU
27 無線通信部
32 電子カセッテ(放射線画像撮影装置)
32B 接続部
43 通信ケーブル
43A コネクタ(外部接続コネクタ)
43B ケーブル本体
43C 接続部
50,50’,50’’ ダミー・コネクタ(接続部材)
50B 接続部(遮断手段)
52 スイッチ
60 内蔵電源
70,70’ 電源切替部(遮断手段、切替手段、再開手段)
90 コンソール
92 放射線発生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動用の内蔵電源、および有線接続用の接続部を備えた放射線画像撮影装置と、
前記接続部に接続可能に構成された接続部材と、
前記接続部材が前記接続部に接続された場合に前記放射線画像撮影装置における前記内蔵電源からの給電を遮断する遮断手段と、
を有する放射線画像撮影システム。
【請求項2】
前記接続部は、前記放射線画像撮影装置と外部装置との間を接続するケーブルに設けられた外部接続コネクタが接続されるものであり、
前記接続部材は、前記外部接続コネクタのダミー・コネクタである
請求項1記載の放射線画像撮影システム。
【請求項3】
前記ケーブルは、少なくとも外部からの電力を供給する役割を有する
請求項2記載の放射線画像撮影システム。
【請求項4】
前記外部接続コネクタが前記接続部に接続された場合に、前記内蔵電源に代えて前記ケーブルから給電するように切り替える切替手段
をさらに備えた請求項3記載の放射線画像撮影システム。
【請求項5】
前記接続部材が前記接続部に接続された場合に前記内蔵電源からの給電が遮断されることを示す電源遮断情報を送信する送信手段をさらに備え、
前記遮断手段は、前記送信手段によって前記電源遮断情報が送信された後に前記内蔵電源からの給電を遮断する
請求項1から請求項4の何れか1項記載の放射線画像撮影システム。
【請求項6】
前記接続部材は、前記内蔵電源からの電力の供給および遮断の状態を切り替えるためのスイッチを備えている
請求項1から請求項5の何れか1項記載の放射線画像撮影システム。
【請求項7】
前記遮断手段は、前記放射線画像撮影装置または前記接続部材に備えられている
請求項1から請求項6の何れか1項記載の放射線画像撮影システム。
【請求項8】
前記遮断手段は、前記内蔵電源からの給電を電気的に遮断する
請求項1から請求項7の何れか1項記載の放射線画像撮影システム。
【請求項9】
前記遮断手段は、前記内蔵電源からの給電を機械的に遮断する
請求項1から請求項8の何れか1項記載の放射線画像撮影システム。
【請求項10】
前記接続部材は、前記接続部に接続されている際に当該接続部位周辺の密閉性を有する
請求項1から請求項9の何れか1項記載の放射線画像撮影システム。
【請求項11】
前記接続部材が前記接続部から取り外された場合に前記放射線画像撮影装置における前記内蔵電源からの給電を再開する再開手段
をさらに有する請求項1から請求項10の何れか1項記載の放射線画像撮影システム。
【請求項12】
駆動用の内蔵電源、および有線接続用の接続部を備えた放射線画像撮影装置の前記接続部に接続される第2接続部と、
前記接続部に前記第2接続部が接続された場合に前記放射線画像撮影装置における前記内蔵電源からの給電を遮断する遮断手段と、
を備えた接続部材。
【請求項13】
前記内蔵電源からの電力の供給および遮断の状態を切り替えるためのスイッチ
をさらに備えた請求項12記載の接続部材。
【請求項14】
駆動用の内蔵電源と、
有線接続用の接続部と、
前記接続部に接続可能に構成された接続部材が当該接続部に接続された場合に、前記内蔵電源からの給電を遮断する遮断手段と、
を備えた放射線画像撮影装置。
【請求項15】
駆動用の内蔵電源、および有線接続用の接続部を備えた放射線画像撮影装置の前記接続部に接続可能に構成された接続部材が前記接続部に接続された場合に前記放射線画像撮影装置における前記内蔵電源からの給電を遮断する遮断ステップと、
前記接続部材が前記接続部から取り外された場合に前記内蔵電源からの給電を再開する再開ステップと、
を備えた電源供給切替方法。
【請求項16】
コンピュータを、
駆動用の内蔵電源、および有線接続用の接続部を備えた放射線画像撮影装置の前記接続部に接続可能に構成された接続部材が前記接続部に接続された場合に前記放射線画像撮影装置における前記内蔵電源からの給電を遮断する遮断手段と、
前記接続部材が前記接続部から取り外された場合に前記内蔵電源からの給電を再開する再開手段と、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−7658(P2013−7658A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140739(P2011−140739)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】