説明

放送受信装置

【課題】スクランブル放送信号のチャンネルを選局する際の利便性を改善する。
【解決手段】放送受信装置100は、論理チャンネル毎に番組を放送するデジタルテレビジョン放送による放送番組のスクランブルを、着脱自在のICカード41により解除する。放送受信装置100にICカード41が装着されたことをカードディテクタ28が検出したことに応じて、チューナ16、デジタル復調器18およびMPEGデコーダ22が抽出するべき番組放送の論理チャンネルを、メモリ10Bに格納された情報が指すスクランブルがされた放送番組に対応する所定の論理チャンネルに指定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は放送受信装置に関し、特に、スクランブルがかけられた放送信号のスクランブルデコードがデコードの為の情報を記録したIC(Integrated Circuit)カードなどのモジュールの使用によって可能となる放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からデジタル放送においては、料金を支払う契約者だけが受信できるよう、放送事業者側で放送に電波を乱す暗号化(スクランブル)をかけて送信するCAS(Condition Access System:限定受信システム)による有料視聴サービスが行なわれている。たとえば、衛星デジタル放送では、放送局は、有料視聴サービスの契約者に予め鍵コードを記録したICカードなどの記録媒体を配布する。放送局からスクランブルがかかった有料放送番組の信号を受信する装置に、ユーザが記録媒体を挿入すると、受信装置では記録媒体に記録された鍵コードを用いて、受信した放送信号のスクランブルの解除(暗号化のための符号を復号する:デスクランブル)がされる。これにより、スクランブルがかけられたために画像が極端にゆがんだり、モザイクがかかったりした画面は、正常な画面に戻されて、ユーザは有料番組を視聴することが可能となる。
【0003】
装置に記憶機能を有する媒体を挿入することでスクランブル放送の受信を可能とする構成は、たとえば特許文献1〜5に開示がある。
【0004】
特許文献1はプリペイドカード利用の衛星放送受信機に関し、カード挿入により情報をカードから読出し、読出した情報に基づきスクランブルを解除する構成を示す(特許文献1の段落0004を参照)。
【0005】
特許文献2はデジタル放送受信再生システムに関し、カードの挿入を検出してデスクランブルを行なう構成を示す(特許文献2の段落0006を参照)。
【0006】
特許文献3はデジタル放送受信装置に関し、カードの挿入を判定し、挿入されていない場合には視聴案内番組に切替える構成を示す(特許文献3の段落0012を参照)。
【0007】
特許文献4は放送受信システムに関し、ICカードを挿入し、コンテンツのスクランブルを解除する構成を示す(特許文献4の段落0016を参照)。
【0008】
特許文献5はIDカードの挿入を検出し、画像の表示を開始する構成を示す(特許文献5の段落0005を参照)。
【特許文献1】特開平5−207464号公報
【特許文献2】特開2006−270151号公報
【特許文献3】特開2005−303759号公報
【特許文献4】特開2000−13773号公報
【特許文献5】特開平11−122549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ユーザが放送受信装置にデスクランブル用のカードを挿入するのは、有料放送を視聴したいとの要求を示すものであるから、カード挿入を検出するとスクランブル放送チャンネル選局の動作に速やかに移行すれば、ユーザの要求に応えることができ、利便性が増す。
【0010】
しかしながら、上述した各文献など従来技術では、カードの挿入を検出すると自動的に有料放送番組を選局する動作を行なうことはないので、ユーザの要求には応えることができなかった。
【0011】
それゆえにこの発明の目的は、スクランブル放送信号のチャンネルを選局する際の利便性が改善された放送受信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明のある局面に従うと、物理チャンネルに多重化した複数の論理チャンネルを形成し、この論理チャンネル毎に番組を放送するデジタルテレビジョン放送による放送番組のスクランブルを、着脱自在のモジュールにより解除する放送受信装置は、物理チャンネルに多重化した複数の論理チャンネルのうち、スクランブルされた番組放送に対応する論理チャンネルを指す情報を格納するチャンネル格納部と、放送局から送信されるデジタルテレビジョン放送を受信し、指定された物理チャンネルの放送を選局して抽出する選局部と、選局部が抽出する放送から、指定された論理チャンネルによる番組放送を選択的に抽出する放送受信部と、放送受信装置にモジュールが装着されたか否かを検出するモジュール検出部と、モジュールが装着されたことをモジュール検出部が検出したことに応じて、放送受信部が抽出するべき番組放送の論理チャンネルを、チャンネル格納部に格納された情報が指す所定の論理チャンネルに指定する制御部と、を備える。
【0013】
そして、指定される物理チャンネルが切換えられる毎に、選局部は、放送局から受信するデジタルテレビジョン放送のうち、切換え後の物理チャンネルの放送を選局して抽出し、かつ、チャンネル格納部は、格納する情報を、選局部が抽出する放送のうち、スクランブルされた番組放送に対応する論理チャンネルを指す情報を用いて更新し、論理チャンネルを指す情報は、当該論理チャンネルの番号を指し、制御部は、放送受信部が抽出するべき論理チャンネルを、チャンネル格納部に格納された論理チャンネルの番号のうち、最小値の番号を指す論理チャンネルに指定し、放送番組に対応する論理チャンネルを指す情報は、物理チャンネルの放送に多重化されており、選局部が抽出する物理チャンネルの放送から、放送番組に対応する論理チャンネルを指す情報を抽出して前記チャンネル格納部に出力するチャンネル情報処理部をさらに備える。
【0014】
デジタルテレビジョン放送は、DVB−T(Digital Video Broadcasting for Terrestrial)方式に従う放送であり、モジュールは、ICカードからなる。
【0015】
この発明の他の局面に従うと、物理チャンネルに多重化した複数の論理チャンネルを形成し、この論理チャンネル毎に番組を放送するデジタルテレビジョン放送による放送番組のスクランブルを、着脱自在のモジュールにより解除する放送受信装置は、物理チャンネルに多重化した複数の論理チャンネルのうち、スクランブルされた番組放送に対応する論理チャンネルを指す情報を格納するチャンネル格納部と、放送局から送信されるデジタルテレビジョン放送を受信し、指定された物理チャンネルの放送を選局して抽出する選局部と、選局部が抽出する放送から、指定された論理チャンネルによる番組放送を選択的に抽出する放送受信部と、放送受信装置にモジュールが装着されたか否かを検出するモジュール検出部と、モジュールが装着されたことをモジュール検出部が検出したことに応じて、放送受信部が抽出するべき番組放送の論理チャンネルを、チャンネル格納部に格納された情報が指す所定の論理チャンネルに指定する制御部と、を備える。
【0016】
好ましくは、指定される物理チャンネルが切換えられる毎に、選局部は、放送局から受信するデジタルテレビジョン放送のうち、切換え後の物理チャンネルの放送を選局して抽出し、かつ、チャンネル格納部は、格納する情報を、選局部が抽出する放送のうち、スクランブルされた番組放送に対応する論理チャンネルを指す情報を用いて更新する。
【0017】
好ましくは、論理チャンネルを指す情報は、当該論理チャンネルの番号を指し、制御部は、放送受信部が抽出するべき論理チャンネルを、チャンネル格納部に格納された論理チャンネルの番号のうち、最小値の番号を指す論理チャンネルに指定する。
【0018】
好ましくは、放送番組に対応する論理チャンネルを指す情報は、物理チャンネルの放送に多重化されており、選局部が抽出する物理チャンネルの放送から、放送番組に対応する論理チャンネルを指す情報を抽出してチャンネル格納部に出力するチャンネル情報処理部をさらに備える。
【0019】
好ましくは、デジタルテレビジョン放送は、DVB−T(Digital Video Broadcasting for Terrestrial)方式に従う放送である。
【0020】
好ましくは、モジュールは、ICカードからなる。
【発明の効果】
【0021】
発明のよれば、論理チャンネル毎に番組を放送するデジタルテレビジョン放送による放送番組のスクランブルを、着脱自在のモジュールにより解除する放送受信装置は、当該放送受信装置にモジュールが装着されたことをモジュール検出部が検出したことに応じて、放送受信部が抽出するべき番組放送の論理チャンネルを、チャンネル格納部に格納された情報が指すスクランブルがされた放送番組に対応する所定の論理チャンネルに指定する。
【0022】
したがって、ユーザがスクランブル放送を視聴したいとの要望に応じて、言い換えるとユーザがスクランブルを解除するためのモジュールを放送受信装置に装着したことを検出したことに応じて、放送受信装置は、スクランブルがされた放送番組に対応する所定の論理チャンネルを選局するように動作するので、スクランブル放送信号のチャンネルを選局する際の利便性が改善される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図面の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0024】
本実施の形態では、放送受信装置は、スクランブル放送信号のデスクランブルのための情報を記録したICカードの装着を検出したことに応答して、スクランブル放送信号のチャンネルを自動的に選局する。
【0025】
図1は、この発明の実施の形態に係る放送受信装置100の概略構成図である。
図1を参照して、放送受信装置100は、アンテナ43およびモニタ40を接続するとともに、外部のリモコン(リモートコントローラの略)42から指令信号を受信する。アンテナ43は、放送信号を受信し、受信した放送信号を放送受信装置100に出力する。モニタ40は、放送受信装置100から出力された映像信号および音声信号を入力し、画面に画像を出力するとともに、スピーカから音声を出力する。
【0026】
アンテナ43は、図示のないテレビ放送局から電波で送信されてくる高周波数のRF(Radio Frequency)信号であるデジタルテレビジョン放送信号を受信し、IF(Intermediate Frequency:中間周波数信号)に変換し放送受信装置100に出力する。
【0027】
リモコン42は、ユーザによる操作を受付けて、操作に応じた指令信号を赤外線で放送受信装置100に送信する。なお、リモコン42から出力されるのは、赤外線の信号に限定されず、無線の信号であってもよい。また、リモコン42および後述するリモコン受信部26に代替して、または、リモコン42およびリモコン受信部26とともに、放送受信装置100の本体に、ユーザからの操作を受付けて、操作信号を後述の制御部10に出力する操作受付部を設けるようにしてもよい。
【0028】
放送受信装置100は、制御部10、チューナ16、デジタル復調器18、MPEG(Moving Picture Experts Group)に従う復号機能を有するMPEGデコーダ22、信号処理部23、TS(Transport Stream)信号を処理するTS処理部24、TS処理部24から出力された後述のSI(program Specific Information)に基づき後述のチャンネルのリストを作成し、作成したリストを制御部10のメモリ10Bに格納する情報作成・格納部25を含む。
【0029】
さらに放送受信装置100は、デジタル復調器18とMPEGデコーダ22の間に設けられるスイッチ(図面ではSWと略す)部21、外部のICカード41が着脱自在に装着されるカードI/F(インターフェイスの略)27、カードI/F27にICカード41が装着されているか否かを検出するためのカードディテクタ28および放送受信装置100の各部に電力を供給するための電源(図面ではPWRと略す)部29を含む。
【0030】
制御部10は、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)10Aと、各種のデータを記憶するメモリ10Bとを含む。
【0031】
チューナ16は、アンテナ43を介して受信した放送信号を入力し、入力した放送信号の中から、CPU10Aからの指示(選局すべき物理チャンネルの情報を含む)に応じて選択した物理チャンネルに対応する放送信号を抽出して出力する。チューナ16は、抽出した放送信号をデジタル復調器18へ出力する。
【0032】
デジタル復調器18は、チューナ16から放送信号を受けて、放送信号を映像および音声がデジタル符号化されたTS信号に復調し、出力する。
【0033】
スイッチ部21は、デジタル復調器18から与えられるTS信号を、CPU10Aからの切換信号に応じて、MPEGデコーダ22およびカードI/F27のいずれか一方に出力する。
【0034】
MPEGデコーダ22は、与えられるTS信号を入力し、映像信号および音声信号に復号する。そして、復号した映像信号および音声信号を信号処理部23に出力する。信号処理部23は、MPEGデコーダ22から入力した映像信号および音声信号をモニタ40に出力可能なように信号を処理し、信号処理した映像信号および音声信号をモニタ40に出力する。モニタ40は、与えられる映像信号を画像として表示し、音声信号をスピーカ(図示せず)から出力する。
【0035】
また、MPEGデコーダ22は、与えられるTS信号を、TS処理部24に出力する。TS処理部24は、入力するTS信号から所定の情報を抽出し、抽出した後述のSIを情報作成・格納部25に出力する。情報作成・格納部25は、簡単なマイクロプロセッサの機能を有し、与えられるSIに基づき、チャンネルのリスト11および12(後述する図2参照)を作成する。作成したチャンネルのリスト11および12は、情報作成・格納部25によって、制御部10のメモリ10Bの所定領域に格納される。
【0036】
カードディテクタ28は、ICカード41がカードI/F27に装着されているか取り外されているかを検出し、その検出結果を制御部10に出力する。ここで、ICカード41は、接触式ICカードであると想定する。その場合、ICカード41がカードI/F27に装着されると、ICカード41側に設けられた図示のない接点(端子)とカードI/F27側に設けられた図示のない接点(端子)とが接触し、カードI/F27側の接点の電位が変化する。カードディテクタ28はカードI/F27側の接点の電位を検出し、その検出結果に基づき、ICカード41がカードI/F27に装着されたか否かを検出する。
【0037】
制御部10のCPU10Aは、カードディテクタ28からの検出信号に基づき、ICカード41がカードI/F27に装着されていることを検出すると、スイッチ部21に対し、“H”レベルの信号を出力する。スイッチ部21は、“H”レベルの信号を入力すると、応じてデジタル復調器18から入力するTS信号を、カードI/F27側に出力する。逆に、制御部10は、カードディテクタ28からの検出信号に基づき、ICカード41がカードI/F27に装着されていないことを検出すると、応じて“L”レベルの信号をスイッチ部21に出力する。スイッチ部21は、“L”レベルの信号が与えられると、デジタル復調器18から入力するTS信号を、MPEGデコーダ22側に出力する。
【0038】
CPU10Aはメモリ10BのフラグFを、カードディテクタ28からの検出信号を入力する毎に、当該検出信号が指す値に更新する。したがって、CPU10Aは、カードディテクタ28から検出信号を入力するとき、メモリ10BのフラグFが指す状態と、カードディテクタ28から入力した検出信号が指す状態とを比較することにより、ICカード41が抜き→装着に状態変化したか、または装着→抜きに状態変化したかを検出することができる。
【0039】
カードI/F27にICカード41が装着されているとき、デジタル復調器18から出力されるTS信号は、スイッチ部21、カードI/F27を介してICカード41に入力する。
【0040】
ICカード41は、簡単なマイクロプロセッサの機能を有し、スクランブルのかかった有料放送を視聴を可能にするモジュールを構成する。具体的には、解除キー411を内部メモリに予め記憶するとともに、デスクランブル部412を有する。
【0041】
デスクランブル部412は、カードI/F27から入力するTS信号を解析し、スクランブルがかけられているか否かを検出する。スクランブルがかかっている場合には、スクランブル解除(デスクランブル)の動作を行なう。具体的には、デスクランブル部412は、解除キー411を用いて暗号化されたデジタルのTS信号の復号処理を行なって、復号したTS信号を、カードI/F27に出力する。したがって、スクランブルが解かれたTS信号は、カードI/F27からMPEGデコーダ22に与えられる。
【0042】
ICカード41にスクランブル化されていないTS信号が与えられたときは、ICカード41のデスクランブル部412は動作せず、当該TS信号はICカード41をそのままスルーして出力される。そして、カードI/F27を介してMPEGデコーダ22に与えられる。
【0043】
信号処理部23は、OSD(On Screen Display)回路231を有する。OSD回路231は、制御部10から与えられるデータに基づく画像信号を生成し、その生成した信号を、信号処理部23から出力される映像信号に重畳してモニタ40に出力する。これにより、データに基づく画像が重畳した番組の映像がモニタ40の画面に映し出される。
【0044】
このように、放送信号にスクランブルがかけられた有料番組を放送するデジタルテレビ放送には、日本のISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting for Terrestrial)方式の他に、米国のATSC(Advanced Television Systems Committee)方式およびヨーロッパのDVB−T(Digital Video Broadcasting for Terrestrial)方式がある。いずれの方式においても、CASのために有料番組の放送信号はスクランブルの符号化(暗号化)がされて送信される。これらのデジタルテレビジョン放送では、物理チャンネルに多重化した複数の仮想的な論理チャンネルを形成し、この論理チャンネル毎に番組を放送する。
【0045】
本実施の形態では、たとえばヨーロッパのDVB−T方式(ETSI(European Telecommunications Standards Institute) EN 300 468)における、デジタルテレビ放送を例示して説明する。
【0046】
図3には、本実施の形態に係るDVB−T規格に従うTS信号の一例が模式的に示される。TS信号は、1つの物理チャンネルに対応し1つ存在する。物理チャンネルとは、実際にアンテナ43およびチューナ16が受信する周波数を表すチャンネルであり、番号で指示される。また、1つのTS信号には、複数の論理チャンネルの放送用のコンテンツの符号化された信号(映像信号および音声信号など)が含まれる。符号化された画像・音声のそれぞれを、ES(エレメンタリストリーム:Elementary Stream)と呼ぶ。このように、1つの物理チャンネルに複数の論理チャンネルが多重化されている。
【0047】
図3では、TS信号に、たとえば、TV(テレビジョン)局AとTV局Bという2つの放送局が送信する番組コンテンツのための論理チャンネルそれぞれに対応して、映像と音声のコンテンツが含まれる。また、TS信号では複数の番組(プログラム)を取り扱うことが可能であるが、そのTS信号にどのような番組が存在し、TS信号に含まれる各ESがどの番組に属しているかを記した情報をSI(program Specific Information)という。SIは動画や音声とは、別にTS信号に挿入されて送信される。SIは、当該TS信号に含まれる論理チャンネルに関する情報として、EIT、SDT、PMTおよびBATを含む。これらの情報は、放送局によって生成されて重畳されて放送される。
【0048】
EIT(Event Information Table)は、各局が放送する番組の名称や放送日時、放送内容など、番組に関連する情報を含む。具体的には、各局の現在および次の放送番組に関する情報が含まれる。SDT(Service Description Table)には、TV局が放送する各番組に対応する論理チャンネルを識別するために論理チャンネルの番号が含まれる。PMT(Program Map Table)は、番組毎に、当該番組を構成する画像や音声などに共通して割当された識別情報を格納する。PMTを解析することで、TS信号に含まれる各画像や音声などのコンテンツの識別情報を得ることができるので、得られた同一の識別情報を有する映像または音声をTS信号から抽出することで、各番組を再生することができる。BATは、各TV局の番組の放送信号についてスクランブルがかかっているか否かを指すサービス情報を含む。
【0049】
TS処理部24は、MPEGデコーダ22から出力されたTS信号を解析し、SIを抽出し、情報作成・格納部25に与える。情報作成・格納部25には、また、CPU10Aから、チューナ16によって現在、選局されている物理チャンネルの情報である物理チャンネルの番号が与えられる。
【0050】
情報作成・格納部25は、与えられるSIと選局中の物理チャンネルの情報を入力し、入力した情報に基づいて、図2に示す物理チャンネルと論理チャンネルの対応付けを示すリスト11と、論理チャンネルのみの情報からなるリスト12を作成し、作成したリストをメモリ10Bに格納する。
【0051】
図2を参照して、リスト11は、放送受信装置100が受信する物理チャンネル111のそれぞれに対応して、複数の論理チャンネル(LCN)の番号を指すデータ112が格納される。データ112のそれぞれに対応して、当該データ112が指す論理チャンネルを用いて番組を放送するTV局名を示すデータ113および当該番組のスクランブルの有無を指すデータ114を格納する。
【0052】
また、リスト12は、リスト11から抽出したデータ112、113および114を用いて作成される。リスト12は、リスト11のデータ112、TV局名を示す113および114のそれぞれに対応する、論理チャンネル(LCN)の番号を指すデータ122、データ123およびスクランブルの有無を指すデータ124を格納する。
【0053】
図2のリスト11と12は、放送受信装置100のチャンネルスキャンモードにおいて予め作成されてメモリ10Bに格納される。チャンネルスキャンモードでは、デジタル復調器18から出力されたTS信号は、スイッチ部21を介してMPEGデコーダ22側に出力される。
【0054】
チャンネルスキャンモードにおいては、CPU10Aは、当該放送受信装置100で受信可能な物理チャンネルのそれぞれについて、チューナ16に指示して選局動作を行なわせる。この受信可能な物理チャンネルの情報はメモリ10Bに予め格納されていると想定する。したがって、チューナ16が各物理チャンネルの放送信号を受信するとき、各物理チャンネルについてのTS信号は、MPEGデコーダ22からTS処理部24に与えられる。TS処理部24はTS信号からSIを抽出して、情報作成・格納部25に出力する。また、受信中の物理チャンネルの情報は、CPU10Aから情報作成・格納部25に与えられる。
【0055】
情報作成・格納部25では、入力する物理チャンネルを指示する情報および当該物理チャンネルのTS信号から抽出したSIに基づき、リスト11および12を作成してメモリ10Bに格納する。これにより、リスト11と12は予め作成されて格納される。
【0056】
次に、図4のフローチャートを参照し、放送受信装置100における物理チャンネルおよび論理チャンネルのリスト11および12の更新手順について説明する。なお、図中の‘CH’はチャンネルの略称である。
【0057】
ここで、放送受信装置100の電源はONされているとする。
まず、CPU10Aは、リモコン受信部26を介して入力する指令信号に基づき、ユーザがリモコン42を操作し、物理チャンネルの切換操作をしたか否かを検出する(ステップS3)。物理チャンネルの切換操作の指令ではないと検出されると、処理はステップS3を繰返す。
【0058】
物理チャンネルの切換指令であると検出されると(ステップS3でYES)、CPU10Aは、チューナ16に指示して、切換え後の新たな物理チャンネルの選局動作を行なわせる(ステップS5)。
【0059】
チューナ16は、指定された新たな物理チャンネルの選局動作を行なうので、選局されたチャンネルの放送信号は、チューナ16から出力されてデジタル復調器18に与えられる。デジタル復調器18は受信した放送信号を復調処理して、TS信号をスイッチ部21に出力する。物理チャンネルの切換指令においては、スイッチ部21は与えられるTS信号をMPEGデコーダ22に出力するようにCPU10Aにより切換えられている。したがって、MPEGデコーダ22は与えられるTS信号をデコード処理して、TS処理部24に与える。
【0060】
TS処理部24はTS信号を入力し、入力したTS信号からSIを抽出して情報作成・格納部25に与える。したがって、情報作成・格納部25は、与えられるSIに基づき、図2に示した物理チャンネルのリスト11と論理チャンネルのリスト12を新たに作成しメモリ10Bに格納する(ステップS7、S9)。これにより、メモリ10Bに格納されていた以前のリスト11と12は新たなリストにより上書きされて更新される。
【0061】
このように、物理チャンネルの切換操作がされる都度、物理チャンネルのリスト11と論理チャンネルのリスト12とを更新することができる。したがって、物理チャンネルに重畳される論理チャンネルの情報が、TV放送局の都合で比較的頻繁に、且つダイナミックに変更されるなどの事情がある場合には(たとえばATSC方式など)、図4に従う更新処理を行なうようにすれば、当該変更に追従してリスト11と12の内容を実際の放送状態を指す最新の内容に近づけることが可能となる。
【0062】
なお、図4のリスト更新処理は、物理チャンネルの切換え毎に行なうとしたが、実施のタイミングはこれに限定されない。たとえば、上述のチャンネルスキャンモードの処理を定期的に繰返すことで、リストの内容を最新状態に近づけるようにしてもよい。
【0063】
次に、図5を参照して、ICカード41の挿入を検出すると、自動的に有料(スクランブル)放送の論理チャンネルを選局する動作について説明する。
【0064】
ここでは、予めICカード41が抜かれていると想定し、説明を簡単にするために物理チャンネルの切換えに関する処理は略す。
【0065】
まず、CPU10Aはカードディテクタ28から入力する検出信号に基づき、ICカード41が抜かれた状態→挿入状態に変化したか否かを検出する(ステップS11)。
【0066】
抜かれた状態→挿入状態に変化するまでは、ステップS11の処理が繰返されるが、抜かれた状態→挿入状態に変化したことが検出されると(ステップS11でYES)、CPU10Aは、メモリ10Bのチャンネルのリスト11と12を検索する(ステップS13)。具体的には、リスト12を検索して、論理チャンネル番号のデータ122のうち、対応するデータ124が‘スクランブル有り’を指すデータ122であって、且つ最小値を指示するデータ122を特定して読出す。次に、読出したチャンネル番号のデータ122に基づきリスト11を検索して、データ122の値と一致するデータ112を特定し、特定したデータ112に対応の物理チャンネルのデータ111をリスト11から読出す。ここで、CPU10Aは、リスト12から読出したデータ122に基づく画像データを生成し、OSD231に出力する。
【0067】
次に論理チャンネルの選局動作が行なわれる(ステップS15)。具体的には、CPU10Aは、リスト11から読出したデータ112が指示する物理チャンネルの選局を指示する信号をチューナ16に出力する。また、CPU10Aは、リスト12から読出したデータ122に基づく論理チャンネルの選局の指令信号をMPEGデコーダ22に出力する。
【0068】
このとき、スイッチ部21はCPU10Aから‘H’レベルの信号を入力するので、スイッチ部21はデジタル復調器18から入力するTS信号を、カードI/F27側に出力する。したがって、TS信号はカードI/F27に装着されたICカード41のデスクランブル部412により解除キー411を用いてデスクランブル処理がされる。その後、当該TS信号はカードI/F27を介してMPEGでコーダ22に与えられる。
【0069】
MPEGデコーダ22はCPU10Aからの指令信号に基づき、データ122が指示する論理チャンネルの番組のコンテンツ(映像・音声のデータ)を、カードI/F27から入力するTS信号から、SIに基づき抽出し、抽出した番組コンテンツのデータをデコード処理してモニタ4側へ出力する。
【0070】
したがって、ユーザが有料放送を視聴したいときにはICカード41を挿入するだけで、放送番組にスクランブル(有料)がかかった論理チャンネルのうち、最小番号の論理チャンネルを自動的に選局して、その番組の映像と音声をモニタ40に出力することができる。
【0071】
このときのモニタ40の画面の表示例が図6に示される。図6(A)のようにスクランブル無しの無料放送番組(たとえば、論理チャンネル‘15’)を視聴していた場合に、ICカード41が挿入されると、図6(B)のように最小値を指すスクランブルがかかった論理チャンネル(図2のリスト11によれば論理チャンネル‘24’)の放送番組に切換えられる。画面には、デスクランブルされた番組の映像とともにOSD回路231によって論理チャンネルの番号が表示される。
【0072】
なお、本実施の形態のステップS15では、リスト11に登録された論理チャンネル番号のうち最小値の論理チャンネルを選局するようにしているが、CPU10Aが選局する基準はこれに限定されない。たとえば、同一ユーザであれば趣味・嗜好から、同一の論理チャンネルの放送番組を視聴する傾向が大きいであろうことに鑑みて、直前に視聴(選局)していた論理チャンネルを自動選局するようにしてもよい。
【0073】
その後、CPU10Aは、ユーザがリモコン42により論理チャンネルの切換操作をしたか否かを、リモコン受信部26から入力する信号に基づき検出する(ステップS17)。論理チャンネルの切換はされていないと検出すると(ステップS17でNO)、処理は次のステップS23に移る。
【0074】
ステップS23においては、CPU10Aは、リモコン42の操作を介して電源OFFの指示がされたか否かを検出する。電源OFFの指示がされたと検出すると(ステップS23でYES)、電源部29を制御して電源オフの動作を行なわせ、一連の処理を終了する。一方、電源OFFの指示がされていないと検出すると(ステップS23でNO)、処理はステップS25に移る。
【0075】
ステップS25では、CPU10Aは、再度、ICカード41が挿入状態→抜かれた状態に変化したか否かをカードディテクタ28から入力する検出信号に基づき検出する(ステップS25)。ICカード41が抜かれたと検出すると(ステップS25でYES)、ステップS11の処理に戻り、ステップS11以降の処理を前述と同様に行なう。
【0076】
一方、ICカード41が抜かれていない、すなわち依然として挿入された状態であると検出すると(ステップS25でNO)、処理はステップS17に移る。
【0077】
ステップS17において、CPU10Aは論理チャンネルの切換操作がされたことを検出すると(ステップS17でYES)、切換えられた新たな論理チャンネルについての情報を得るために、論理チャンネルのリスト12を検索する(ステップS19)。
【0078】
ステップS19の検索により、次位の論理チャンネルの情報をリスト12から読出し、読出した情報に基づき、ステップS15と同様な選局の動作が行なわれる。これにより、次位のスクランブルされた論理チャンネルの放送番組の映像・音声がモニタ40から出力される(ステップS21)。その後、処理はステップS23に移り、以降、前述と同様の処理が行なわれる。
【0079】
図7には、本実施の形態に係る放送受信装置100と一体的に構成されるモニタ40とリモコン42の概観が示される。図を参照して、モニタ40は、画面402を有し、前面部には、ICカード41を着脱自在に装着するためのカードスロット部403およびリモコン42から送信された指令信号を受信するための受信部404を有する。カードスロット部403はカードI/F27に関連して設けられる。
【0080】
リモコン42は、ボタン群およびボタン群の操作に応じた指令信号を送信するための送信部431を含む。ボタン群は、放送受信装置100の電源をON/OFFするために操作されるボタン420、チャンネルを指定・切換えるためのボタン421、カーソル移動ボタン422および論理チャンネルの指定のために操作されるボタン423を有する。
【0081】
チャンネル切換えは、ボタン421の操作に限定されず、ボタン422を操作してもよい。ボタン422を操作することでチャンネルのUP操作(現在の選局チャンネルから番号が大きいチャンネルに切換える操作)、またはDOWN操作(現在の選局チャンネルから番号が小さいチャンネルに切換える操作)の指令信号を送信するとができる。
【0082】
ボタン421は物理チャンネルおよび論理チャンネルの指定・切換えのために兼用される。この兼用を可能にするために、次のように操作が認識される。つまり、ボタン423に続いてボタン421が操作された場合には、ボタン421の操作は論理チャンネルの切換え操作であると検出されて、論理チャンネル切換えの指令信号が送信される。そうでない場合には、ボタン421の操作は物理チャンネルの切換え操作であると検出されて、物理チャンネル切換えの指令信号が送信される。
【0083】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本実施の形態に係る放送受信装置の構成図である。
【図2】本実施の形態に係るメモリに格納されるチャンネルのリストの一例を示す図である。
【図3】本実施の形態に係るTS信号の構成を模式的に指す図である。
【図4】本実施の形態に係るチャンネルのリスト作成の処理フローチャートである。
【図5】本実施の形態に係るICカード挿入時の論理チャンネル選局の処理フローチャートである。
【図6】(A)と(B)は、本実施の形態に係る画面の表示例を示す図である。
【図7】本実施の形態に係る装置の概観を示す図である。
【符号の説明】
【0085】
10 制御部、11 物理チャンネルのリスト、12 論理チャンネルのリスト、16 チューナ、18 デジタル復調器、21 スイッチ部、22 MPEGデコーダ、23 信号処理部、24 TS処理部、25 情報作成・格納部、27 カードI/F、28 カードディテクタ、40 モニタ、41 ICカード、42 リモコン、100 放送受信装置、411 解除キー、412 デスクランブル部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理チャンネルに多重化した複数の論理チャンネルを形成し、この論理チャンネル毎に番組を放送するデジタルテレビジョン放送による放送番組のスクランブルを、着脱自在のモジュールにより解除する放送受信装置であって、
前記物理チャンネルに多重化した複数の論理チャンネルを指す情報を格納するチャンネル格納部と、
放送局から送信される前記デジタルテレビジョン放送を受信し、指定された物理チャンネルの放送を選局して抽出する選局部と、
前記選局部が抽出する放送から、指定された論理チャンネルによる番組放送を選択的に抽出する放送受信部と、
前記放送受信装置に前記モジュールが装着されたか否かを検出するモジュール検出部と、
前記モジュールが装着されたことを前記モジュール検出部が検出したことに応じて、前記放送受信部が抽出するべき番組放送の論理チャンネルを、前記チャンネル格納部に格納された情報が指す所定の論理チャンネルに指定する制御部と、を備え、
前記指定される物理チャンネルが切換えられる毎に、
前記選局部は、放送局から受信する前記デジタルテレビジョン放送のうち、切換え後の物理チャンネルの放送を選局して抽出し、かつ、
前記チャンネル格納部は、格納する情報を、前記選局部が抽出する放送のうち、スクランブルされた番組放送に対応する論理チャンネルを指す情報を用いて更新し、
前記論理チャンネルを指す情報は、当該論理チャンネルの番号を指し、
前記制御部は、前記放送受信部が抽出するべき前記論理チャンネルを、前記チャンネル格納部に格納された論理チャンネルの番号のうち、最小値の番号を指す前記論理チャンネルに指定し、
放送番組に対応する論理チャンネルを指す情報は、物理チャンネルの放送に多重化されており、
前記選局部が抽出する物理チャンネルの放送から、放送番組に対応する論理チャンネルを指す情報を抽出して前記チャンネル格納部に出力するチャンネル情報処理部をさらに備え、
前記デジタルテレビジョン放送は、DVB−T(Digital Video Broadcasting for Terrestrial)方式に従う放送であり、
前記モジュールは、ICカードからなる、放送受信装置。
【請求項2】
物理チャンネルに多重化した複数の論理チャンネルを形成し、この論理チャンネル毎に番組を放送するデジタルテレビジョン放送による放送番組のスクランブルを、着脱自在のモジュールにより解除する放送受信装置であって、
前記物理チャンネルに多重化した複数の論理チャンネルのうち、スクランブルされた番組放送に対応する論理チャンネルを指す情報を格納するチャンネル格納部と、
放送局から送信される前記デジタルテレビジョン放送を受信し、指定された物理チャンネルの放送を選局して抽出する選局部と、
前記選局部が抽出する放送から、指定された論理チャンネルによる番組放送を選択的に抽出する放送受信部と、
前記放送受信装置に前記モジュールが装着されたか否かを検出するモジュール検出部と、
前記モジュールが装着されたことを前記モジュール検出部が検出したことに応じて、前記放送受信部が抽出するべき番組放送の論理チャンネルを、前記チャンネル格納部に格納された情報が指す所定の論理チャンネルに指定する制御部と、を備える放送受信装置。
【請求項3】
前記指定される物理チャンネルが切換えられる毎に、
前記選局部は、放送局から受信する前記デジタルテレビジョン放送のうち、切換え後の物理チャンネルの放送を選局して抽出し、かつ、
前記チャンネル格納部は、格納する情報を、前記選局部が抽出する放送のうち、スクランブルされた番組放送に対応する論理チャンネルを指す情報を用いて更新する、請求項2に記載の放送受信装置。
【請求項4】
前記論理チャンネルを指す情報は、当該論理チャンネルの番号を指し、
前記制御部は、前記放送受信部が抽出するべき前記論理チャンネルを、前記チャンネル格納部に格納された論理チャンネルの番号のうち、最小値の番号を指す前記論理チャンネルに指定する、請求項2または3に記載の放送受信装置。
【請求項5】
放送番組に対応する論理チャンネルを指す情報は、物理チャンネルの放送に多重化されており、
前記選局部が抽出する物理チャンネルの放送から、放送番組に対応する論理チャンネルを指す情報を抽出して前記チャンネル格納部に出力するチャンネル情報処理部をさらに備える、請求項2から4のいずれかに記載の放送受信装置。
【請求項6】
前記デジタルテレビジョン放送は、DVB−T(Digital Video Broadcasting for Terrestrial)方式に従う放送である、請求項2から5のいずれかに記載の放送受信装置。
【請求項7】
前記モジュールは、ICカードからなる、請求項2から6のいずれかに記載の放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−177709(P2009−177709A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−16448(P2008−16448)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】