説明

放送無線信号標識を用いた位置識別

【課題】位置識別システムにおいて、複数の放送無線信号の特性を使用して位置識別を行う。
【解決手段】システム100は使用者端末102と位置サーバー104と複数の送信器106A−Nから構成される。使用者端末102は一つ以上の無線信号を受信し、各無線信号の一つ以上の特性の測定値を得る測定回路112を含む。位置サーバー104は使用者端末102によって得られた測定値を受信し、測定値と各々が可能な位置の一つを可能な位置の一つのための測定の期待値に関連付ける複数の関連性に基づいて使用者端末102の一つ以上の複数の可能な位置を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して位置決定に関わるものである。さらに限定して言えば、本発明は放送無線信号の特性を使用しての位置識別に関わるものである。
【発明の概要】
【0002】
概して、一形態において、本発明は一つ以上の無線信号を受信する受信機と、各無線信号の一つ以上の特性の測定を行う測定回路と、そこで装置の一つ以上の複数の可能な位置が測定と複数の関連性に基づいて選択され、各々は可能な位置の一つを可能な位置の一つの測定の期待値に関係付けること、を包含する装置を特徴付けるものである。
【0003】
幾つかの実施態様において、無線信号は一つ以上の放送テレビジョン信号と、一つ以上のナビゲーション支援信号と、一つ以上の携帯電話ネットワーク信号と、一つ以上のローカルエリア・ネットワーク(LAN)信号で構成されるグループから選択され、ここで、測定は無線信号の信号強度と、無線信号の型と、無線信号の情報内容と、無線信号の周波数と、既定の周波数からの無線信号の周波数のオフセットとからなるグループから選択される。幾つかの実施態様に於いては装置の正確な位置は一つ以上の可能な位置と、一つ以上の無線信号と、一つ以上の無線信号の送信機の位置に基づいて決定される。
【0004】
幾つかの実施態様は位置サーバーに測定値を送信する送信機を含み、ここで位置サーバーは装置の一つ以上の可能な位置を選択する。幾つかの実施態様はその関連性を保存するメモリとその装置の一つ以上の可能な位置を選択するためのプロセッサーを包含する。
【0005】
概して、一形態において、本発明は、遠隔装置によって得られる一つ以上の無線信号の各々の一つ以上の特性の測定を受信するための受信機と、その測定と複数の関連性、その各々は可能な位置の測定期待値を可能な位置の一つに関係付けるのであるが、その関連性に基づいて遠隔装置の一つ以上の複数の可能な位置を選択するためのプロセッサーとを含む装置を特徴づけるものである。幾つかの実施態様においては、遠隔装置の一つ以上の複数の可能な位置を選択するためにプロセッサーは受信機によって受信された測定を含む第1のベクトルと各々が測定の期待値を含む一つ以上の第2のベクトルとの距離を決定し、その距離に基づいて遠隔装置の一つ以上の複数の可能な位置を選択する。幾つかの実施態様においては、その測定は無線信号の一つ以上の周波数測定を含み、遠隔装置の一つ以上の複数の可能な位置を選択するためにプロセッサーは周波数測定の比率を周波数測定の期待値の対応する比率と比較する。幾つかの実施態様においては、無線信号は一つ以上の放送テレビジョン信号と、一つ以上の放送ラジオ信号と、一つ以上のナビゲーション支援信号と、一つ以上の携帯電話ネットワーク信号と、一つ以上のローカルエリアネットワーク(LAN)信号と、を含むグループから選択され、そこではその測定は無線信号の強さと、ある型の無線信号と、その無線信号の情報内容と、無線信号の周波数と、予め決められた周波数からの無線信号の周波数オフセットとから成るグループから選択される。幾つかの実施態様は、遠隔装置の一つ以上の可能な位置を示す信号を送信する送信機を包含する。幾つかの実施態様においては、プロセッサーは一つ以上の可能な位置と、一つ以上の無線信号と、一つ以上の無線信号の送信機の位置に基づいて、遠隔装置の正確な位置を決定する。幾つかの実施態様は、関連性を保存するためのメモリーを包含する。ここで、プロセッサーは、遠隔装置のために測定された正確な位置と遠隔装置によって得られた測定に基づいて一つ以上の関連性の測定期待値を修正する。概して、一形態において、本発明は、遠隔装置によって得られる一つ以上の無線信号の各々の一つ以上の特性の測定を受信することと、測定と各々が可能な位置の測定の期待値に可能な位置の一つを関係付けるものであるが、その複数の関連性に基づいて、遠隔装置の一つ以上の複数の可能な位置を選択すること、を含む計算機プログラムを特徴づけるものである。幾つかの実施態様においては、一つ以上の複数の位置遠隔装置の一つ以上の複数の可能な位置を選択することは、受信機によって受信される測定を含む第一のベクトルと各々が測定の期待値を含む一つ以上の第二のベクトルとの距離を決定することとその距離に基づいて遠隔装置の一つ以上の複数の可能な位置を選択することを包含する。幾つかの実施態様においては、測定は無線信号の一つ以上の周波数測定と、遠隔装置の一つ以上の複数の可能な位置を選択することと、周波数測定の比率を周波数測定の期待値の対応する比率と比較することを包含する。幾つかの実施態様においては、無線信号は一つ以上の放送テレビジョン信号と一つ以上の放送ラジオ信号と一つ以上の無線ローカルエリアネットワーク(LAN)を含むグループから選択され、ここで、測定は、無線信号の強度、アナログ/デジタル型の無線信号、ある周波数の無線信号と所定の周波数からの無線信号の周波数オフセットで構成されるグループから選択される。幾つかの実施態様は、遠隔装置の一つ以上の可能な位置を示す信号を送信機に送信させることを包含する。幾つかの実施態様は、遠隔装置の正確な位置を一つ以上の可能な位置と、一つ以上の無線信号と、一つ以上の無線信号の送信機の位置に基づいて決定することを包含する。幾つかの実施態様は、関連性を保存することと、遠隔装置のために決定された正確な位置と遠隔装置によって得られた測定に基づいて一つ以上の関連性の期待された測定を修正することを包含する。
【0006】
一つ以上の実施は以下のように付随する図と記述によって述べられている。他の特徴は記述と図、及び請求項から明らかである。
【0007】
この明細書で使用されている各参照数字の最初の桁はその参照数字が最初に現れる図の番号を表している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施態様は放送無線信号標識を用いた位置識別のための装置、方法、計算機プログラムを与えるものである。無線信号が放送テレビジョン信号を好ましくは包含し、かつその言葉で討議されるが、一方において無線信号は、放送ラジオ信号、ラジオナビゲーション支援、無線ローカルエリアネットワーク(LAN)信号、携帯電話ネットワーク及び同じようなものを併用するか、または代わりに包含することができる。本発明の実施態様は、信号強度、周波数、周波数オフセット、情報内容および同様なもののような無線信号の特徴の測定から集められた標識を既知の位置に対する同様な既知の標識と比較することによって、装置の一つ以上の可能な位置を選択するものである。選択された位置は無線信号の測定と併せて装置の正確な位置を計算するために使用することができる。
【0009】
テレビジョン位置決め技術は電子装置の正確な位置を決定するために放送TV信号を使用する。この技術は、多重TVチャネルからの測定を結合し、多重遅延を介して装置の正確な位置を計算してTV放送塔と装置の間の伝播遅延を測定する原理を使用するものであり、これは多重信号の到着時間差を参照して位置を固定するものである。テレビジョン位置決め技術は2004年6月14日出願の出願番号10/867,577と、2001年8月17日出願の出願番号09/932,010と、2001年8月17日出願の出願番号09/932,010と、2003年3月24日出願の出願番号10/397,068と、2002年11月8日出願の出願番号10/290,984の特許出願で開示されている。その開示物は全体が参考としてここで引用されている。デジタルオーデオ放送信号を用いた位置決め技術は、2003年12月18日出願の出願番号10/741,431の特許出願で開示されており、その開示物は全体が参考としてここで引用されている。
【0010】
しかしながら、どの放送源がこのプロセスで検出されようとしているかを正確に知ることが望ましい。テレビジョンチャネルは異なった都市で再利用されることができ、ニューヨークからのチャネル2に対してロスアンゼルスからのチャネル2を用いた場合には多重遅延の結果は全く異なったものとなる。この位置計算は各検出されたチャネルに対して正しい送信機の場所の知識に依存し、それはTVの受信可能領域内での装置の概略の位置を知ることに依存する。一度、装置の概略の位置(例えば、最も近い都市に対して)が識別されると、特定のローカルのテレビジョン送信機を使うことに決めることは容易である。
これはテレビジョン放送ネットワークが全てのチャネルで最大の明瞭度を持つように設計されているためであり、これはすべてのチャネルで受ける混信が最小であることを意味している。潜在的にお互いに混信し得る同一チャネル上の送信機は重なりを避けるために大きな距離をおいて分離される。このようにして、全ての検出されるチャネルに関して特定の送信機源が殆ど曖昧さのない状態で識別することができる。例えば、その装置がロスアンゼルスの何処かにあるということが分かっていて、チャネル2を検出していれば、それはロスアンゼルスを受け持っているKCBSを受信しているのであってニューヨークを受け持っているWCBSではないということが明らかである。
【0011】
それでもまだ、最初の場所で装置の元となる大雑把な位置をどのように識別するかという問題が残る。この情報を与えることができる多くの代わりの技術(例えば、GPS、携帯電話ネットワーク、その他)があるが、これらの他の技術が利用できないか、または受信できる範囲にない(例えば、GPSは室内では動作しない)という場合が多く存在する。事実、テレビジョンを基礎に置いた位置決めの強さの一つは他の技術が失敗することが知られている所で使用することができるということである。
【0012】
一つの可能性は、この最初の評価をするためにテレビジョン信号それ自身を使用することであり、また場合によっては他の信号を使用することである。テレビジョン、ナビゲーション支援及び他の無線放送は局地的なものであるから何処の場所においても信号の組み合わせは一つである。充分な信号特性を受信チャネルから測定することが出来るとき、“無線チャネル標識”に基づいておおよその位置を識別することが可能である。
【0013】
本発明の実施態様によれば、未知の位置にある装置は局地の無線チャネル標識を測定し、かつ装置の概略の位置を識別するための標識を使用し、それから正確なテレビジョン位置の計算を行うために概略の位置を随意に使用するものである。このようにして、GPSや同様な他の技術の助け無しで2ステップで装置の正確な位置を決定することが可能である。つまり、ステップ1は無線チャネル標識で概略の位置を識別することであり、ステップ2は基準点としてこの概略の位置を使用して正確な位置を多重遅延で計算することである。このようにして、GPSのような他の情報なしで“コールド スタート”から装置は自分自身で位置決めをすることができる。
【0014】
図1は本発明の好ましい実施態様による位置識別システム100を示すものである。システム100は使用者端末102と、位置サーバー104と複数の送信器106A−Nを包含している。使用者端末102は受信器108と、送信機110と、測定回路112と、プロセッサー114とオプションメモリ116を包含している。位置サーバー104は受信機122と、送信機124と、プロセッサー118とオプションメモリ120を包含している。他の形態も考えられるのだけれども、使用者端末102は好ましくは位置サーバー104と無線で通信する。
【0015】
図1は本発明のいろいろな側面を示すのに用いられるが、本発明はこの実施例に制限されるものではない。例えば、“使用者端末”という語句はここで述べられる技術を実施することができる任意の対象を語るのに使われている。技術者端末の例はPDAと、移動電話と、自動車と他の乗り物とこの技術を実施するチップまたはソフトウェアを包含することができる任意の対象である。使用者端末102は“端末”または“使用者”によって操作される対象に制限されることを意図していない。
【0016】
図2は本発明の好ましい実施態様によるシステム100のためのプロセス200を示している。使用者端末200の受信機108は一つ以上の無線信号を受信する(ステップ202)。この無線信号は好ましくは一つ以上の放送テレビジョン信号を含んでいるが、一つ以上の放送ラジオ信号と一つ以上の無線ローカルエリアネットワーク(LAN)信号と同様ものを併用または代わりに包含することができる。測定回路112は一つ以上の無線信号の各々の特性の測定を行うものである(ステップ204)。以下に詳細に述べるように、これらの測定は一緒に使用者端末102のために一つ以上の可能な位置を選択するために使用される標識を形成する。無線信号の測定は信号強度と、型と、周波数と、周波数オフセットとその他のような特性を包含することができる。例えば、幾つかのTV局はTV信号の一部として局の呼び出し文字を示す信号を放送する。その他の例としては、幾つかのTV局信号は字幕信号とゴースト消去参照信号と同様なもののような実用的な信号の混在したものを含んでいる。そのような信号は信号標識に包含することができる。
【0017】
テレビジョン放送は限定された一連の共通のチャネルで信号品質を最も高くするように注意深く調整されている。送信機は同じチャネルを使う放送局が混信を起こさないようにお互いに充分に距離を保てるように選択的に配置されている。しかしながら、都市は地形的に不規則な形、大きさ、間隔で並んでいる。そして、さらに送信機は不規則な間隔、受信可能領域をもって配置されている。これは、送信機が“きれいな”ネットワークを維持するように配置されている順序を入れ替えたり、ランダム化したりする。
【0018】
チャネル再利用パターンでのこのような変化は、使用されている一連のTV信号(つまり、ある領域で使用されている全てのチャネル)を一都市から次の都市に変えさせることになる。各業界は全てのテレビジョン送信(米国ではチャネル2から69)の一部でサービスを受けている。同様に、ほかの無線放送は、AM/FMラジオ、ナビゲーション支援、携帯電話ネットワークのような、ほかの無線放送は地域的に独特な一連のチャネルを形成するように結合することが可能である。その一連のチャネルが識別されて、充分に独特なものであるとき、それは理論的なチャネル集合を興味のある都市に適合するか、あるいは少なくとも探索を非常に小さな数の候補に狭めることができる。
【0019】
チャネルの存否に加えて、特定の送信機と都市の識別を支援するために集められ、比較することのできる別種の情報がある。チャネル情報のすべての断片が集められ、結合されると、それらは位置確認に使用できる無線信号標識を共同で形成する。本発明の実施態様によると、ある未知の都市における電子装置によって決定された標識は比較されて無線チャネル標識のデータベースに対して一つ以上の適合を見つける。無線信号標識で使用されるチャネル特性は好ましくはチャネル配置(あるチャネルがそこにあるか、どうか)、チャネル型(あるチャネルがアナログか、デジタルか、またはある他の型または予備の放送型を持っているか、どうか)、周波数、周波数オフセット(公称周波数からの偏差)及び同様なものを包含する。
【0020】
TVチャネル配置に関しては、殆どの都市は受信範囲内の聴視者に数個のチャネルを提供している。これで一般市民がいろいろな番組を選べるようにしている。例えば、典型的な米国の都市では多重のネットワークチャネル(例えば、ABC,CBS,NBC,FOX)、公共チャネル(例えば、PBS)、買い物ネットワーク、地域アクセスチャネルなどを持っている。これらのテレビジョン送信機の各々は利用できるテレビジョン帯域内に特別な放送チャネルを配置してきた。米国では67個の可能なチャネル配置がある(2chから36ch、38chから69ch)。これらの配置は、信号がお互いに妨害を与えることなく、かつ結果的に市民に最良の画像信号を提供することを保障するためにFCCによって規制されている。この配置手法は信号強度、伝播損失、地形特徴および多くの他の要因を考慮してどのチャネルを各市場に配置するかを決定するものである。同様なチャネル配置規則は殆ど全ての放送信号に適応する(例えば、AM/FMラジオ、ナビゲーション支援、その他)。
【0021】
本質的には、これは近隣する如何なる二都市も同じチャネルを使用しないということを意味している。多くの近隣する都市が一緒に考えられるとき、各都市に於けるチャネル配置はその近隣の全てに影響を与え、その逆も成り立つ。各都市の周りに配置されるチャネルの組み合わせは変化する。米国において、4,000以上のテレビジョン放送局が認可されており、その各々が67可能チャネルのうちの一つに割り当てられている。これは各チャネルは国の到る所で多くの送信機によって同時に使用されているということを明らかに意味している。FCCの最適化の努力は、全ての同じチャネルの放送が重畳を避けるためにお互いに分離されることを確かにしている。
【0022】
TVチャネル型に関しては、放送テレビジョン技術は最初は米国ではNTSC,他の国ではPAL,SBCAMや他の改良型などのアナログ変調技術で始まったものである。今や、米国ではATSC、ヨーロッパではDVB−T、日本ではISDB−Tのようにデジタルテレビジョン標準が導入されようとしている。
【0023】
現在、米国ではアナログ(NTSC)とデジタル(ATSC)の放送の両方を同時に行っていて、これは消費者に古いアナログ受信機から新しいデジタル受信機に遷移する時間を与えるためである。これは、どこの都市であっても幾つかの放送局が別のチャネルでアナログとデジタルの両方で送信しているかも知れないことを意味している。チャネル混信を最小にする同じ規則を用いて、これらのデジタルチャネルは各市場に導入されてきた。そして、市場から市場に変わるアナログとデジタルチャネルの混合が生じた。例えば、もし装置がチャネルCiでデジタル信号を検出するならば、その装置がチャネルCiでの信号がアナログである都市には位置していないことは明らかである。同じ事が他の検出された全てのチャネル、つまりCj、Ck、その他についても言える。全てのチャネルを一緒に考えると、特定の型のアナログとデジタル信号は特定の地形領域の特徴になる。
【0024】
周波数と周波数オフセットに関しては、個々の送信のために周波数オフセットを特定することによってFCCは更にチャネルの配置の最適化を行っている。
【0025】
これは設計されたチャネルで正確に送信するかわりに幾つかの放送局は送信を少し高い方か、低い方の周波数にシフトすることを意味している。これは周波数で放送局を互いに拡散するのを助け、その結果として更に近隣放送局からの混信の可能性を減少させるものである。
【0026】
オフセットの方向(高い方または低い方)と量は各送信機に対して個々に決定され、それはどの他の送信機が近くにあるかということに依存するからである。他の都市の同じチャネルでの他の送信機と比較してさえも、これは各送信機に幾つかの異なった特性を与える。そこで、チャネルの存在に加えて、その特別な周波数オフセットは独自性をさらに洗練するチャネル標識に更なる特殊性を与え、これは標識照合プロセスに更なる高い精度を与えるものである。例えば、もし装置が負の10kHzオフセットをもつチャネル2での信号を検出するならば、地域チャネル2のオフセットが正の10kHzである都市にはその装置はおそらく存在していない。
【0027】
図1と2を再び参照すると、一つ以上の複数の使用者端末の可能な位置が測定と複数の関連性に基づいて選択される。各関連性はその位置に関して可能な位置の一つをその測定の期待値(即ち、標識)に関連付けるものである。幾つかの実施態様において、位置サーバー104はその選択を実行する。そのような実施態様によれば、使用者端末102の送信機110は測定を位置サーバー104に送信する。位置サーバー104の受信機122はその測定を受信する。位置サーバー104のプロセッサー118は受信した測定とメモリ120に保存された関連性(即ち、標識データベース)を使用して選択を実行する。送信機124は使用者端末102に選択された位置を随意に送信する。
【0028】
いくつかの実施態様において、使用者端末102は選択を局地的に行う。そのような実施態様においては使用者端末102のプロセッサー114はメモリ116に保存された関連性を用いてその選択を実行する。
【0029】
各都市または領域はその地域の利用できるチャネルを表わす標識と関連する。これらの期待される無線チャネル標識は刊行された送信機情報、受信できるチャネルのシミュレーション、各地域から取られる実際の測定、またはこれらの技術の組み合わせの使用を含んだ多くの方法で生成される。
【0030】
データベース内で標識に関する適合を見つけることは標識の各々に対する“距離”を見つけることと等価である。お互いに“近い”標識は良い適合を示すが、一方において“ずっと離れた”標識はよく適合しない。明らかにするために、米国のような環境を考えて見よう。ここでは、理論的に全体で201の“自由度”に対して67の可能なTVチャネルスロット(オン/オフ)と、67のチャネル型スロット(アナログ/デジタル)と、67の周波数オフセットがある。各標識はこのN次元空間内の一点であって、点の間の距離は標識の間の差またはΔを示していると考えることができる。
【0031】
好ましくはこの距離は、使用者端末102によって為される測定を含む第1ベクトルxと各々が測定の期待値を含む一つ以上の第2ベクトルxとの間で決定される。それらのベクトルが
【0032】
【数1】


【0033】
【数2】

として表わされるとき、
それらの間の距離は多くの方法(例えば、ハミング距離、その他)で測定することができるが、殆どの場合は標準ユークリッド距離の式を用いることで充分かつ最も容易である。
【0034】
【数3】

最も相違点の少ない標識は最良の適合品質を有している。“信号空間”での各次元は標識の間の選択度を最適化するために各測定に異なった重み付けを与えることによって伸縮することができる。例えば、アナログチャネルが期待されるところでデジタルチャネルを検出することは通常は不適合の重要な表示である。ところが一方において、周波数オフセット(おそらくは、小さな測定誤差による)に於ける変化を検出することは標識不適合の表示としては弱い。それ故に、チャネル型不適合は好ましくは周波数オフセットの変動よりは多く重み付けされる。一緒に考慮されるとき、適当な重み付けが適用された後、標識距離は全体の標識適合品質を示すものである。
【0035】
しかしながら、これらの装置に使われる局部発振器は通常はどんな絶対的なタイミング基準(例えば、原始時計やGPSなど)で校正されていないので、殆どの消費者電子装置は相対的な周波数測定を行うことができるだけである。この結果、特定な装置からの全ての周波数測定は組み込みスケーリング誤差を有している。例えば、ある装置は公称値よりも1%速い発振器を有することがある。この装置の見込みから、全ての測定周波数は実際の値の約99.01%であるように見えるだろう。スケーリング係数がどのようなものであろうと、これは全ての周波数に同じように適合するので、スケーリング係数sと公称周波数Fに関して、その装置での測定周波数は次のように与えられる。
【0036】
【数4】

この周波数測定スケーリングに関して補正なしでは、周波数オフセットの評価は非常に偏ったものになり得る。例えば、チャンネル2での米国NTSC TV放送は55.250MHzの公称パイロット周波数を有している。公称値よりも0.1%速いクロックを持つ装置は55.195 MHzにこのチャネルを見るだろう。これは約55kHzの負のオフセットのように見える。同じ受信機はチャネル69、公称801.250MHzを800.450MHzに見るだろう。これは約800kHzの負のオフセットのように見える。もっと高い周波数のチャネルは更に大きな周波数オフセット誤差を持つだろう。
【0037】
スケーリング係数に関して補正することは望ましいことであるが、その値は一般には未知であり、かつ時間的にゆっくりとドリフトすることさえあり得る。それ故に、測定周波数fを標識データベースの中にある期待周波数Fと直接的に比較することは有効ではない。スケーリング係数の効果を無効にするために本発明の実施態様は周波数比を代わりに比較する。即ち、周波数測定値の比が対応する周波数測定値の期待値の比と比較される。絶対値とオフセット周波数の測定を含めて、この技術は好ましくは全ての周波数測定に適用される。例えば、第2測定周波数fとその期待値Fが与えられるとその比較は次のように与えられる。
【0038】
【数5】

測定周波数の比は常に装置の周波数スケーリング誤差に拘わらず理論的に完全な周波数の比に等しい筈である。周波数の単位で比較するために、(数式5)の両辺に公称周波数Fを乗ずると次式が得られる。
【0039】
【数6】

周波数fとfの対比をマトリクス形で構成すると次式を与える。
【0040】
【数7】

これは次式で与えられる期待値マトリクスに対して比較される。
【0041】
【数8】

(数式6)の関係式を使ってマトリクスを書き換えると次式になる。
【0042】
【数9】

これは次式で与えられる期待値マトリクスに対して比較される。
【0043】
【数10】

ここで、マトリクス(9)と(10)の如何なる相違点も期待周波数オフセットから一つ以上のチャネルの逸脱を示すものである。
【0044】
周波数比とその逆数を比較することは冗長なので、この比較は少し単純化することができる。それ故に、どんな情報も失うことなくマトリクスの下方の三角は捨てられる。周波数の自分自身に対する比も無駄なので、すべての対角要素は同様に捨てられる。結果的に得られるマトリクスは次のように与えられる。
【0045】
【数11】

及び
【0046】
【数12】

全ての非ゼロ要素は、容易に比較ができるように単純なベクトル形に折りたたむことができる。例えば、N=4のとき、そのベクトルは次のようになる。
【0047】
【数13】

及び
【0048】
【数14】

この問題は2つの理由で全く扱いやすいものである。第1に問題の大きさに上限がある。どんな国においても可能な放送チャネルの総数は有限である。第2に受信チャネルの部分集合のみを比較する必要がある。各都市は通常は全ての決められたチャネルスロットの中から小さな部分集合を利用しており、隣の都市が使用するために幾つかの空きチャネルを残している。均一な数百の周波数比の計算はたとえ中ぐらいの計算資源の能力であっても充分である。ベクトル形で、周波数測定をTVチャネル標識の他の部分と組み合わせて、照合品質を決定するためにN次元空間での普通の“距離”計算を用いることは容易である。
【0049】
図1と2を再び参照して、一つ以上の可能な位置が使用者端末のために一度選択されると、可能な位置と、使用者端末102によって受信された無線信号と、無線信号の送信機106の位置に基づいてプロセス200は随意に使用者端末102の詳細な位置を決定する(ステップ208)。この詳細な位置は好ましくは前に引用された特許申請書の中で開示されている技術に従って決定され、そして使用者端末102、位置サーバー104、あるいは2つの何かの組み合わせによって決定する事ができる。1つ以上の可能な位置が選択されるときは詳細な位置は各々に対して決定する事ができる。その時、詳細な位置の最良なものが選ばれる。
【0050】
使用者端末102の詳細な位置が一度分かると、使用者端末102によって集められた無線信号標識は随意に標識データベースを改定するために、例えば、誤りを訂正したり、新しいデータを導入するために使用される(ステップ210)。
【0051】
本発明の実施態様はデジタル電子回路、または計算機ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせで実施することができる。本発明の装置はプログラム可能なプロセッサーによる実行のために機械読み取り可能な保存装置に明らかに具備された計算機プログラム生産物で実施することができ、本発明の手段ステップは入力データの上で動作し、かつ出力を生成することによって本発明の機能を果たすために命令プログラムを実行するプログラム可能なプロセッサーによって実行することができる。本発明はデータと命令を受信し、データと命令を送信するために結合された少なくとも一つのプログラム可能なプロセッサーと、データ保存システムと、少なくとも一つの入力装置と、少なくとも一つの出力装置と、を含むプログラム可能なシステム上で実行可能な一つ以上の計算機プログラムで有利に実施することができる。各計算機プログラムは上位、またはオブジェクト指向のプログラム言語、またはアセンブリ、または必要ならば機械語で実施可能である。更に、どのような場合にもこの言語はコンパイルされたものか、または翻訳されたもので有り得る。適切なプロセッサーは、一例としては汎用と専用マイクロプロセッサーの両方を含んでいる。一般に、プロセッサーはROMまたはRAM、あるいは両方から命令とデータを受け取る。一般にデータファイルを保存するために計算機は一つ以上の大容量記憶装置を包含する。内部ハードデスク、リムーバブルデスク、光磁気デスクおよび光デスクのような磁気デスクを含んでいる。計算機プログラム命令とデータを明らかに具備するのに適した記憶装置は全ての型の不揮発性メモリを含んでおり、一例としてはEPROM、EEPROMやフラッシュメモリのような半導体メモリであり、内部ハードデスクとリムーバブルデスクのような磁気デスクであり、そしてCD−ROMデスクを含んでいる。前述の物は何れもASIC(用途特定型集積回路)で補完、または組み入れることができる。本発明の多くの実施例を述べてきた。さもなければ、いろいろな改良版が本発明の精神や展望から出発することなしで為され得るということが理解できるであろう。従って、ほかの実施態様は次の請求の展望の内にあるものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の好ましい実施態様による位置識別システムのブロック図である。
【図2】本発明の好ましい実施態様による図1のシステムのプロセスのフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の一つ以上の複数の可能な位置が、各々が可能な位置の一つのための測定の期待値に可能な位置の一つを関連づける測定と複数の関連性に基づいて選択される、一つ以上の無線信号を受信する受信機と、各無線信号の一つ以上の特性の測定値を得る測定回路、を含む装置。
【請求項2】
無線信号が一つ以上の放送テレビジョン信号と、一つ以上の放送ラジオ信号と、一つ以上のナビゲーション支援信号と、一つ以上の携帯電話ネットワーク信号と一つ以上の無線ローカルエリアネットワーク(LAN)信号によって構成されるグループから選択され、かつ測定値が 無線信号の信号強度と、無線信号の型と、無線信号の情報内容と、無線信号の周波数と、既定の周波数からの無線信号の周波数オフセットで構成されるグループから選択される、請求項1記載の装置。
【請求項3】
装置の詳細な位置が一つ以上の可能な位置と、一つ以上の無線信号と、一つ以上の無線信号の送信機の位置に基づいて決定される請求項1記載の装置。
【請求項4】
位置サーバーが装置の一つ以上の可能な位置を選択する、測定値を位置サーバーに送信する送信機を更に含む請求項1記載の装置。
【請求項5】
関連性を保存するメモリと装置の一つ以上の可能な位置を選択するプロセッサーを更に含む請求項1記載の装置。
【請求項6】
遠隔装置によって得られた一つ以上の無線信号の各々の一つ以上の特性の測定値を受信するための受信機と、測定値と各々が可能な位置の一つを可能な位置の一つのための測定の期待値に関連付ける複数の関連性に基づいて遠隔装置の一つ以上の複数の可能な位置を選択するプロセッサーを含む装置。
【請求項7】
遠隔装置の一つ以上の複数の可能な位置を選択するために、プロセッサーが、受信機によって受信される測定値を含む第1のベクトルと各々が測定値の期待値を含む一つ以上の第2のベクトルの間の距離を決定し、その距離に基づいて遠隔装置の一つ以上の複数の可能な位置を選択する請求項6記載の装置。
【請求項8】
測定値が無線信号の一つ以上の周波数測定値を含み、かつ遠隔装置の一つ以上の複数の可能な位置を選択するためにプロセッサーが周波数測定値の比を対応する周波数測定期待値の比と比較する、請求項6記載の装置。
【請求項9】
無線信号が一つ以上の放送テレビジョン信号と、一つ以上の放送ラジオ信号と、一つ以上のナビゲーション支援信号と、一つ以上の携帯電話ネットワーク信号と一つ以上の無線ローカルエリアネットワーク(LAN)で構成されるグループから選択され、かつ測定値が無線信号の信号強度と、無線信号の型と、無線信号の情報内容と、無線信号の周波数と、既定周波数からの無線信号の周波数オフセットで構成されるグループから選択される、請求項6記載の装置。
【請求項10】
遠隔装置の一つ以上の可能な位置を示す信号を送信するための送信機を更に含む請求項6記載の装置。
【請求項11】
一つ以上の可能な位置と、一つ以上の無線信号と、一つ以上の無線信号の送信機の位置に基づいてプロセッサーが遠隔装置の詳細な位置を決定する請求項6記載の装置。
【請求項12】
遠隔装置のために決定される詳細な位置と遠隔装置によって得られる測定値に基づいてプロセッサーが一つ以上の関連性の測定期待値を変更する関連性を保存するメモリを更に含む請求項11記載の装置。
【請求項13】
遠隔装置によって得られる一つ以上の無線信号の各々の一つ以上の特性の測定値を受信することと、測定値と各々が可能な位置の一つを可能な位置の一つのために測定の期待値と関係付ける複数の関連性に基づいて遠隔装置の一つ以上の複数の可能な位置を選択すること、を含む計算機プログラム。
【請求項14】
遠隔装置の一つ以上の複数の可能な位置を選択することが、受信機によって受信される測定値を含む第1のベクトルと各々が測定の期待値を含む一つ以上の第2のベクトルとの間の距離を決定することと、その距離に基づいて遠隔装置の一つ以上の複数の可能な位置を選択することと、を含む請求項13記載の計算機プログラム。
【請求項15】
測定値が無線信号の一つ以上の周波数測定値を含み、かつ一つ以上の複数の遠隔装置の可能な位置を選択することが周波数測定値の比を周波数測定値の期待値の対応する比に比較することを含む、請求項13記載の計算機プログラム。
【請求項16】
無線信号が一つ以上の放送テレビジョン信号と、一つ以上の放送ラジオ信号と、一つ以上の無線ローカルエリアネットワーク(LAN)信号で構成されるグループから選択され、かつ測定値が無線信号の信号強度と、無線信号のアナログ/デジタル型と、無線信号の周波数と、既定周波数からの無線信号の周波数オフセットで構成されるグループから選択される請求項13記載の計算機プログラム。
【請求項17】
送信機に一つ以上の遠隔装置の可能な位置を表わす信号を送信させることを更に含む請求項13記載の計算機プログラム。
【請求項18】
一つ以上の可能な位置と、一つ以上の無線信号と、一つ以上の無線信号の送信機の位置に基づいて遠隔装置の詳細な位置を決定することを、更に含む請求項13記載の計算機プログラム。
【請求項19】
関連性を保存することと、遠隔装置のために決定された詳細な位置と遠隔装置によって得られた測定値に基づいて一つ以上の関連性の測定期待値を変更することを、さらに包含する請求項18記載の計算機プログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−27696(P2009−27696A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−143961(P2008−143961)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【分割の表示】特願2003−343729(P2003−343729)の分割
【原出願日】平成14年1月31日(2002.1.31)
【出願人】(503274753)ロザム コーポレイション (6)
【Fターム(参考)】