説明

放送素材情報管理装置および記録媒体

【課題】 再収録を行なわずに素材コードの再割り付けを実行でき、以ってパフォーマンスの低下を招かないようにする。
【解決手段】 放送素材情報管理装置(201)は、データベース(300)のレコードデータの移動によって、放送素材の識別情報(素材コード)の再割り付けを行なう。一般にデータベースのレコードデータ移動は極めて短い時間(瞬時といってよい)で行われるから、例えば、ビデオサーバ・システムにおける収録情報の消去や再収録の時間に比べて遥かに短い時間で再割り付けを行なうことができ、パフォーマンスの低下を招かないようにできる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放送素材情報管理装置に関し、特に、報道番組などの放送素材情報(その放送素材の識別情報やタイトルおよび収録長などの付帯情報ならびにその放送素材の収録位置情報など)の管理に用いて好適な放送素材情報管理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に放送局で取り扱うすべての放送素材には、ユニークな識別情報(以下「素材コード」という)が付与されており、この素材コードによって制作や送出はもちろん保管や破棄に至るまで一意に管理されている。このため、放送素材にとって素材コードは戸籍のようなものであり、絶対に間違って付与されてはならないものであるが、実際には、しばしば誤ったコードが付与されてしまうことがある。
【0003】例えば、近年注目を集めているノンリニアのビデオサーバ・システム(詳細は後述)を例にすると、このシステムでは、(1)ファイリング端末を操作して放送素材を収めたリソース(例えば、VTR)を指定し、(2)同端末に表示された素材リストの該当コード行を指定して放送素材と素材コードとの関連付け、すなわち当該放送素材への素材コードの割り付けを行ない、(3)ファイリングを実行して上記リソースからビデオサーバ・システムへ放送素材を記録(以下「収録」という)する、というファイリング作業を行なうが、素材コードの割り付けは、上記(2)のとおり、人為的であるが故に過誤(ミス)が避けられないうえ、特に、事件報道のように突発的なファイリング作業を行なう場合は、確認がおろそかになり易く、しばしば素材コードの割り付けミスが発生していた。
【0004】したがって、割り付けミスを発見した場合は、速やかに正しい素材コードに訂正(以下「再割り付け」という)しなければならないことはいうまでもなく、このような場合は、従来から、ファイリング端末を操作して間違った素材コードの行を指定し、その行に関連付けられている収録済みの素材をビデオサーバ・システムから消し去り、正しい素材コードの行を指定して上記(1)〜(3)を繰り返すことにより、収録をし直して素材コードの再割り付けを行なうという手順を踏んでいた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記再割り付け手順にあっては、収録済みの素材をビデオサーバ・システムから消去するステップと、同じ素材をあらためてビデオサーバ・システムに再収録するステップとを含むため、これら二つのステップの実行時間に相当する少なくない待ち時間が発生してパフォーマンスの低下を招くという不都合があり、特に複数の素材コードの再割り付けを繰り返す際には、くり返し回数をN、上記待ち時間をTとすると、少なくともN×Tもの待機時間が発生するという問題点があった。
【0006】したがって、本発明が解決しようとする課題は、再収録を行なわずに素材コードの再割り付けを実行でき、以ってパフォーマンスの低下を招かないようにした放送素材情報管理装置の提供にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を達成するために、放送素材を識別するための識別情報を含む放送素材情報を管理する放送素材情報管理装置において、前記放送素材情報を前記識別情報ごとにレコード化して記憶するデータベースからすべてのレコードまたは所定の条件に合致した一部のレコードの情報を受け取りその受け取った情報をレコード単位に区域分けされた形式のオブジェクトを用いて表示する表示手段と、前記表示手段によって表示されたオブジェクトの任意の二つの区域を選択する選択手段と、前記選択手段によって選択された二つの区域に表示されている第一の識別情報を移動元のキーワードとし他方の識別情報を移動先のキーワードとして前記データベースに対して該識別情報を除くレコード情報の移動を指示する移動指示手段と、を備えたものである。
【0008】
【作用】本発明では、オブジェクト上で選択された二つの識別情報(第一の識別情報と第二の識別情報)を移動元と移動先のキーワードにしてデータベースのレコードの情報(データ)が移動される。この移動に際し、レコードの情報のうちの識別情報は移動対象から除かれているため、例えば、移動元の識別情報(第一の識別情報)をA、識別情報Aを持つ移動前のレコードの情報をaとし、移動先の識別情報(第二の識別情報)をBとすると、上記移動により、識別情報Bのレコードの情報がaに書き換えられるとともに、識別情報Aの情報が初期値(既定値)に戻されることになる。一般にデータベースのレコードデータの移動は極めて短い時間(瞬時といってよい)で行われる。もちろんこの移動時間はデータベースの構造やアーキテクチャによって多少の長短はあるものの、例えば、ビデオサーバ・システムにおける収録情報の消去や再収録の時間に比べて遥かに短いことは明らかである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、報道番組用のビデオサーバ・システムを例にして図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明における様々な細部の特定ないし実例および数値や文字列その他の記号の例示は、本発明の思想を明瞭にするための、あくまでも参考であつて、それらのすべてまたは一部によって本発明の思想が限定されないことは明らかである。また、周知の手法、周知の手順、周知のアーキテクチャおよび周知の回路構成等(以下「周知事項」)についてはその細部にわたる説明を避けるが、これも説明を簡潔にするためであって、これら周知事項のすべてまたは一部を意図的に排除するものではない。かかる周知事項は本発明の出願時点で当業者の知り得るところであるので、以下の説明に当然含まれている。
【0010】図1は、放送局内に設置されたビデオサーバ・システム1000の全体構成図である。なお、この構成図は、実際のビデオサーバ・システムの全体像を正確に表すものではない。本発明の思想を理解する上で必要となる構成要素を含ませるべく、概括的かつ代表的に模式化して示すものである。図示のビデオサーバ・システム1000は、その役割別に、局内上位サブシステム100、操作サブシステム200、データベースサブシステム300、大容量記憶サブシステム400、送出系サブシステム500などに分類することができる。これらのサブシステムは、それぞれ後述の役割を担うものであり、各サブシステムは、その担当役割の全てまたは一部を効率的かつ低コストで実現するために、必要に応じ、汎用のオペレーティングシステム(以下「OS」)を搭載したパーソナルコンピュータもしくはワークステーション(以下「パソコン」という)を含むことができる。特に、操作サブシステム200は、以下の説明からも明らかになるが、操作員との良好なマン・マシン・インターフェースを図るために、GUI(グラフィカル・ユーザインターフェース)環境に優れた所定の汎用OS(例えば、Windows95/98/NT:Microsoft社の登録商標)を搭載したネットワーク対応のパソコン(ネットワークカードやハードディスクドライブを実装したパソコン本体、ディスプレイ装置およびキーボードやマウス等の入力装置を含む)を少なくとも1台(図では便宜的に5台)含む。
【0011】各サブシステムの好ましい構成例を説明すると、まず、局内上位サブシステム100は、報道部門等に設置された上位管理システム101を備える。この上位管理システム101は、報道番組のスケジュール(番組構成表)を作成したりするものである。なお、上位管理システム101は、厳密にはビデオサーバ・システム1000とは別系統のワークグループに属するネットワークに接続されており、このネットワークとビデオサーバ・システム1000とを連接(LAN−LAN接続)して、いわゆるWAN(Wide Area Network)を構築するために、局内上位サブシステム100にデータゲートウェイ102が設けられている。図示のデータゲートウェイ102はネットワーク対応のパソコンで構成されており、例えば、2枚のネットワークカードをスロットに挿入し、一方のカードを上位管理システム101に接続するとともに、他方のカードをビデオサーバ・システム1000のネットワーク媒体600(例えば、イーサネットやATMなどの汎用プロトコルを用いたLAN回線)に接続して、両ネットワーク間における必要なデータの選択的転送を可能にする。上位管理システム101からビデオサーバ・システム1000へのデータ転送方向を“下り”その逆を“上り”と称することにすると、下りデータは番組構成表などであり、上りデータは放送を完了した放送素材のリスト(送出結果リスト)などである。
【0012】次に、操作サブシステム200は、既述のとおり、GUI環境に優れた汎用OSを搭載した複数のパソコン(図では便宜的に5台のパソコン;符号201〜205参照)を備える。これらのパソコンは、それぞれ、「収録」、「編集」、「送出監視」、「素材管理」および「システム管理」の各担当局員によって操作される。もし、これらの担当局員が同一人物の場合、または、「収録」、「編集」、「送出監視」、「素材管理」および「システム管理」の各作業が同時に行われない場合、パソコンは1台でよい。すなわち、1台のパソコンに、収録作業用、編集作業用、送出監視作業用、素材管理作業用およびシステム管理作業用の各アプリケーションプログラムソフト(またはこれらを統合したアプリケーションプログラムソフト)をインストールし、実行すべき作業内容に応じて適切なアプリケーションプログラムを起動すればよい。しかし、実際には、上記各作業の全てまたは一部を並行して行うことが多いため、パソコンは、各作業毎、すなわち、収録作業用のパソコン(以下「収録端末」)201、編集作業用のパソコン(以下「編集端末」)202、送出監視作業用のパソコン(以下「送出監視端末」)203、素材管理作業用の端末(以下「素材管理端末」)204およびシステム管理作業用の端末(以下「システム管理端末」)205のように別々に設置することが望ましい。なお、収録作業とは放送素材を大容量記憶サブシステム400に蓄積(収録)する作業であり、編集作業とは大容量記憶サブシステム400に蓄積された放送素材を実際に放送する素材に直す作業であり、送出監視とは大容量記憶サブシステム400に蓄積された放送素材のスケジュールに従った送出動作を監視する作業であり、素材管理とは大容量記憶サブシステム400に蓄積された放送素材を管理する作業であり、システム管理とはビデオサーバ・システム1000の動作環境を管理したりシステム設定値等を設定したりする作業である。各端末201〜205はスロットに挿入された不図示のネットワークカードを介してネットワーク媒体600に接続されている。各端末201〜205は同一の作業を複数の局員で分担して行う場合に備えて、作業単位毎に複数台設けられていてもよい。例えば、収録作業用の収録端末201を複数台備えてもよい。
【0013】次に、データベースサブシステム300は、ネットワーク対応のデータベースエンジン(例えば、SQLデータベースエンジン;SQLはStructured Query Languageの略)を搭載しており、このデータベースエンジンを介して、操作サブシステム200の各端末201〜205から自由にレコードデータの参照、更新、移動および追加を行うことが可能なデータベーステーブル(以下「DB_TBL」と略す)を備える。DB_TBLは、例えば、図2に示すようなテーブル構造を有している。
【0014】図2において、横長の桝目の一つ一つはそれぞれデータフィールド(以下、単に「フィールド」)を表しており、全体の枠線は一つのレコードを表している。各フィールドには、例えば、“Materiai ID”、“Title”、“Duration”、“Status”、“Filing Date”、“Start/End Time”、“Source”、“Timer”、“Preview”、“Program Name”・・・・といった適当な名前(フィールド名)がつけられており、これらのフィールドの意味と役割は、以下のとおりである。
<Materiai IDフィールド>放送素材(Material)を一意に識別するための素材コード(ID:Identification)を格納するためのフィールドであり、特に、DB_TBLのキーコードフィールド(インデックスフィールドともいう)としても用いられる特別なフィールドである。キーコードフィールドの値の重複は許されず、また、空白やNull値およびEmpty値も許されない。データベースエンジンはこのキーフィールドの情報(Material ID;以下「素材コード」という)を参照して各レコードを一意に識別する。素材コードは新規レコードの追加時にデータベースエンジンによって自動発行された一連番号であってもよいし、あるいは、報道部門等に設置された上位管理システム101によって自動発行されたユニークな情報であってもよいが、本実施の形態では、放送素材の局内における担当部門を識別するために後者の素材コードを用いることにする。例えば、報道番組の素材であれば、報道局を表す任意の文字列(例:“ARC”)と同局内でユニークな一連番号を連結したものを素材コードとして使用することとし、さらに、素材コードの桁数を揃えるために一連番号をゼロサプレスすること(一連番号の最大桁数に満たない場合に先頭に“0”を付けて桁数を揃えること)とする。
【0015】また、レコードデータの更新を表す情報(以下「バージョン情報」という)を素材コードに付加することとし、そのために素材コードの桁数を増やすこととする。増やす桁数はバージョンアップの予想最大回数に依存し、例えば、桁の表示形式を10進数とすると、1桁の追加で0〜9までを表現できるので、当該追加桁の初期値を0(更新無し)とするとともに、以降、レコード更新の度に当該追加桁の値を+1することにより、最大で9回までのバージョンアップを表現できる。なお、以下の説明において、単に「素材コード」という場合は、上記バージョン情報を含まないものとする。
<Titleフィールド>放送素材のタイトル(一般に番組構成表を作成する際などに担当者によって付けられたその放送素材の内容を表す適当な文字列)を格納するためのフィールドである。既定値はNull値である。
<Durationフィールド>放送素材の長さ(いわゆる素材長)を格納するためのフィールドである。書式は「hh:mm:ss:ff」である。但し、hhは時、mmは分、ssは秒、ffはフレーム数を表すいずれも二桁の数値である。既定値はNull値である。
【0016】<Statusフィールド>放送素材の収録状況を示す情報(ステータス情報)を格納するためのフィールドである。ステータス情報には、収録済みを表す“Filed”と未収録を表す“Not Filed”がある。さらにこれらに加えて、ノンリニア編集特有のEDL(Edit Decision List)形式で収録されていることを表す“EDL”を含むこともある。因みに、EDLとは放送素材の編集情報(例えば、素材の収録場所や素材名および編集点情報など)をテキスト形式で記述したファイルであり、EDL形式の放送素材は送出時または編集時に上記編集情報に従って一連の放送素材として取り扱われる。既定値は“Not Filed”である。
<Filing Dateフィールド>収録日を表す日時情報を格納するフィールドである。日時情報は、例えば、過去の特定日時を初期値(0)としてそれからの経過時間を示す数値の形で格納されており、この情報を表示する際などに適切な形式(例えば、yy/mm/dd;但しyyは年、mmは月、ddは日を表す二桁の数値)に変換して使用するようになっている。なお、他の日時形式のフィールドについても同様である。既定値はNull値である。
<Start/End Timeフィールド>収録の開始日時と終了日時の二つの日時情報を格納するフィールドである。既定値はNull値である。
【0017】<Sourceフィールド>放送素材の収録に用いるリソースを表す情報を格納するフィールドである。リソースの種類は局によって様々であるが、例えば、1台ないし数台のVTR、固定のテレビカメラ、放送素材を局外から取り込む1本ないし数本の通信回線などがある。これらのリソースを見分けるための適切な文字列(例えば“VTR1”や“LINE1”等)を選択して格納する。既定値はNull値である。
<Timerフィールド>時刻指定による自動収録を行なうか否かを表す情報を格納するフィールドであり、True(自動収録する)とFalse(自動収録しない)のいずれかを格納する。既定値はFalseである。
【0018】<Previewフィールド>収録素材のプレビュー確認を行なったか否かを表す情報を格納するフィールドであり、True(確認済み)とFalse(未確認)のいずれかを格納する。既定値はFalseである。
<Program Nameフィールド>収録素材を使用する放送番組の名前(一般に番組構成表を作成する際などに担当者によって付けられた文字列)を格納するためのフィールドである。既定値はNull値である。
【0019】因みに、図示のDB_TBLには、ある素材コード(“ARC00001 0”;実質的な素材コードは“ARC00001”であり最下位桁の“0”はバージョン情報である)の放送素材に関する属性として、Title“朝のニュース”、Duration“00:00:18:00”、Status“EDL”、Filing Date“99/03/24”、Start/End Time“15:00:13:00、15:54:31:00”、Source“VTR1”、Timer“しない”、Preview“確認済み”、ProgramName“○×○△”が格納されている。そして、これらの情報より、“ARC00001 0”のレコードはバージョンアップされておらず、且つ、番組名“○×○△”に使用されるEDL形式の長さ“00:00:18:00”の放送素材がすでに収録済みであってその収録日は“99/03/24”、収録の開始と終了は“15:00:13:00、15:54:31:00”であることを知ることができ、さらに自動収録されたものでなく、また、プレビュー確認も完了していることを知ることができる。
【0020】次に、大容量記憶サブシステム400は、本実施の形態のビデオサーバ・システム1000の中核をなすものであり、要するに、公知の大容量ハードディスク管理技術、典型的には、RAID(Redundant Array of Inexpensive Disk)技術を駆使して構築された大容量のハードディスクアレイシステムである。図示の大容量記憶サブシステム400は、特に限定しないが、映像データの記憶にRAID3を使用するとともに、音声データの記憶にRAID1を使用し、さらに、障害耐性を向上するために、その主要部をA系とB系のデュアル構成にして各系に同一の素材データを記憶する。A系はSMS(Server Management System)401a、IDC(Intelligent Device Controller)402aおよびビデオサーバ403aを備え、また、B系も同じくSMS(同)401b、IDC(同)402bおよびビデオサーバ403bを備える。さらに、大容量記憶サブシステム400は、各系共通のカセットオートチェンジャー制御装置404、カセットオートチェンジャー405、各系のIDC402a、402bによって制御される素材機406、プレビュー画像等を表示するモニター装置407およびコマンド中継装置408を備える。
【0021】コマンド中継装置408は、操作サブシステム200と大容量記憶サブシステム400の間のコマンドインターフェースをとるための装置である。なお、コマンド中継装置408の機能を、操作サブシステム200(の各端末201〜205)や大容量記憶サブシステム400(のSMS401a、401b)に振り分けて実装してもよい。コマンド中継装置408を不要にすることができる。但し、操作サブシステム200や大容量記憶サブシステム400の構成(例えば、端末やビデオサーバの台数または端末のGUI機能)がユーザ毎に異なることがあるため、汎用性の観点から、実用上は操作サブシステム200と大容量記憶サブシステム400の間にコマンド中継装置408を設けておくことが望ましい。構成の違いをコマンド中継装置408で吸収し、ユーザ要求に応じたシステム構成を柔軟に構築できるからである。
【0022】モニター装置407は、操作サブシステム200からの指示によって大容量記憶サブシステム400から読み出された放送素材をプレビューする。カセットオートチェンジャー405は、旧来のテープ方式による送出素材蓄積装置に相当する。ビデオサーバ403a、403bの蓄積データを磁気テープに記憶してライブラリデータとして保存したり、この磁気テープデータを利用して両系のビデオサーバー403a、403bの緊急予備機として利用したりできる。なお、カセットオートチェンジャー制御装置404は、収録端末201や編集端末202または送出監視端末203からのリソース要求に応答してカセットオートチェンジャー405の各種リソースの割り当てを調停するものであり、その基本機能はSMS401a、401bの機能と類似するので、ここでの説明は省略する。
【0023】図3は、大容量記憶サブシステム400の一つの系(図では便宜的にA系)を示す構成図である。なお、図3において、供給部715〜719および送出部720〜724は、図1の素材機406に相当し、ルータ704は、図1のマスタースイッチャー503に相当する。すなわち、ビデオサーバは厳密には、図3の破線で囲まれた部分(符号725、726参照)であるが、以下の説明では便宜上、一点鎖線で囲まれた部分(符号403a参照)をビデオサーバと称することにする。
【0024】SMS401aはネットワーク媒体600を介してコマンド中継装置408につながっており(破線A参照)、コマンド中継装置408は同じくネットワーク媒体600を介して操作サブシステム200(の各端末201〜205)につながっている(破線B参照)。SMS401aは、ネットワーク媒体600およびコマンド中継装置408を介して伝えられた操作サブシステム200(正確には操作サブシステム200の各端末201〜205)からの制御コマンドに応答して、ビデオサーバ403aの各種リソース割り当てを調停するとともに、IDC402aに制御コマンドを送出する。IDC402aは、SMS401aからのコマンドに対して、内部タイマあるいは外部からのGPI(マニュアル操作に基づく制御信号)をトリガにして発火する、リアルタイム制御を司る。なお、リソース(Resource;資源ともいう)とは、ビデオサーバ403aの入出力チャネル、ルータの接続点、RAIDを構成するハードディスクなどのデバイスのことをいう。操作サブシステム200の各端末201〜205は割り当てを受けたデバイスをその割り当て期間中、占有して使用することができる。リソース割り当ては操作サブシステム200の各端末201〜205からの要求に応じて動的に行われなければならない。固定割り当ては端末の数だけリソースを備える必要があり、効率的でないうえ、システム規模が大きくなるので現実的でないからである。ところで、リソースの割り当てを動的にした場合、同一リソースへの競合や優先割り当ての対策を講じる必要がある。SMS401aは、かかる競合および優先割り当ての調停を行う。
【0025】ビデオサーバ403aは、図3に示すように、n+1台(図では便宜的にn=2)のサブIDC(以下「SIDC」)701〜703と、ルータ704と、n台のコントローラ(以下「CNT」)705、706と、m×n個(図では便宜的にm=3)の入出力処理部(以下「IOP」)707〜712と、n個のRAID部713、714と、j個(図では便宜的にj=5)の供給部715〜719と、j個の送出部720〜724とを備えており、CNT705、IOP707〜709およびRAID部713で第1サーバ725を構成し、残りのCNT706、IOP710〜712およびRAID部714で第2サーバ726を構成する。なお、第1サーバ部725のCNT705およびIOP707〜709とRAID部713の間はRAID用のバス727で接続され、また、第2サーバ部726のCNT706およびIOP710〜712とRAID部714の間はRAID用のバス728で接続されている。
【0026】第1サーバ725および第2サーバ726は、ルータ704を介してSIDC701〜703および供給部715〜719ならびに送出部720〜724に接続されている。供給部715〜719は、不図示のVTRや回線にも接続されており、供給部715〜719に入力された素材データ、すなわち、素材機406またはVTRもしくは回線からの素材データをルータ704を介して第1サーバ725または第2サーバ726のRAID部713、714に記録できるようになっている。IOP707〜709、710〜712のそれぞれを1チャネルと数えると、図示のルータ704はmチャネルの同時入出力が可能であり、“収録先”に相当する収録チャネルの数はm×2個になる。また、供給部715〜719は“収録元”に相当し、図示の例の場合、収録元の数は5個である。
【0027】SMS401aの制御下でルータ704の接続点を切替えることにより、第1サーバ725の各IOP707〜709と供給部715〜719(または送出部720〜724)との組合わせを動的に変更できる。もしくは、第2サーバ726の各IOP710〜712と供給部715〜719(または送出部720〜724)との組合わせを動的に変更できる。例えば、供給部715を“収録元”に指定するとともに、第1サーバ725のIOP707を“収録先”に指定すれば、この供給部715にセットされた素材データをIOP707から取り込み、第1サーバ715のRAID部713に記録(収録)できる。
【0028】次に、送出系サブシステム500は、送出部門に設置された上位制御システム(以下、便宜的に「送出制御システム」という)501を含むとともに、さらに、この送出制御システム501からの通知データ(スタンバイコマンドやスタンバイステータスデータ等)に従ってデータベースサブシステム300のデータを更新するA系の送出制御ゲートウェイ502aおよびB系の送出制御ゲートウェイ502bと、各系共通のマスタースイッチャー503などを含む。なお、送出制御システム501から各系のIDC402a、402bに対して送出プレイ制御情報(PLAYコマンド)が送信されるとともに、マスタースイッチャー503から各系のIDC402a、402bに対してオンエアタリー情報(OA−TALLYコマンド)が供給される。
【0029】次に、本実施の形態のビデオサーバ・システム1000の全体動作について、報道番組の素材収録を例にして説明する。報道番組の素材は、番組構成表に従って選択された、例えば、ライブラリ素材や中継車等からの映像音声素材(以下「中継素材」)などである。ライブラリ素材はカセットオートチェンジャー405によって事前に磁気テープに記録されたものであり、収録に先立ち、必要なライブラリ素材が収められたカセットテープがあらかじめ所定のVTRにセットされる。また、中継素材はマイクロウェーブや通信衛星などを介して局に伝えられ、事前に打ち合わせられた所定の回線を通してビデオサーバ・システム1000に入力される。
【0030】例えば、図3の供給部715が所定のVTRに接続され、かつ、図3の供給部716が所定の回線に接続されていたとすると、上記のライブラリ素材または中継素材を大容量記憶サブシステム400に収録する際の動作は、次のようになる。まず、収録端末201を操作して大容量記憶サブシステム400に供給部715または供給部716を含むリソース要求を出力する。次いで、大容量記憶サブシステム400からのリソース確保通知(すなわち「スタンバイ状態」の通知)を受け取ると、収録端末201から大容量記憶サブシステム400に収録開始指示を出力して、供給部715または供給部716を介して第1サーバ部725のRAID部713や第2サーバ部726のRAID部714に、上記ライブラリ素材または中継素材を収録(記憶)させる。
【0031】図4は、収録端末201に表示されるFormオブジェクトの一つを示す図である。なお、Formオブジェクトとは、GUIに優れた開発環境(例えば「VisualC++」や「Visual Basic」、いずれもMicrosoft社の登録商標)によって設計されたアプリケーションプログラムに含まれるユーザインターフェースの一種である。特に、図示のFormオブジェクト1は、収録端末201で実行される、ビデオサーバ・システム1000のためのユーザアプリケーションプログラム(収録操作専用または編集操作等の他の操作機能と兼用のアプリケーションプログラム)のFormsコレクション(オープンされたすべてのFormオブジェクトのコレクション)のメンバの一つであり、そのオブジェクト名を「ファイリングフォーム」とするとともに、以下の様々なコントロール(Controlオブジェクト)やプロパティ設定値を含むものである。収録作業担当の局員は、このFormオブジェクト1(以下「ファイリングフォームオブジェクト1」という)を見ながら対話的に所要の作業を行う。“コントロール”とは、再利用可能なプログラムモジュールの一種であって、特に、Visualなプログラム開発ツールにあらかじめ付属する(または別売される)フォームオブジェクト設計用の様々な部品のことをいう。例えば、VBX(Visual Basic Extension)、OCX(OLEカスタムコントロール)、クラスライブラリ、リモートOLE、ActiveXコントロールなどが代表例である。フォームオブジェクトを設計する際に、用途に応じた適切なコントロールを選択し、そのコントロールを画面(Formオブジェクト)に貼り付けるだけで画面をレイアウトできるので、開発工数を大幅に短縮できる。あらゆるコントロールは、プロパティ、メソッドまたはイベントと呼ばれるプログラミングインターフェース(のすべてまたは一部)を持つ。これらのプログラミングインターフェースはオブジェクト指向におけるスケルトン(骨格)に相当するものである。プロパティはそのコントロールの静的な属性、メソッドはそのコントロールの動作、イベントはそのコントロールの外的要因に対応する動作を規定する。例えば、一般的なコマンドボタンコントロールはプロパティとイベントの二つを持つので、Formオブジェクト上またはコード上でこれらのインターフェースに所望の値をセットすることにより、そのコマンドボタンコントロールの静的な属性と外的要因に対応する動作を任意にプログラミングできる。
【0032】ファイリングフォームオブジェクト1の好ましいフォームレイアウトを説明すると、ファイリングフォームオブジェクト1の最上部には、FormオブジェクトのディフォルトControlオブジェクトの一つであるタイトルバー2が表示されている。このタイトルバー2には、適当なタイトルメッセージ(図では“ファイリング”)が表示されるとともに、その左端に適当にデザインされたイメージオブジェクト2a、その右端にファイリングフォームオブジェクト1を閉じるためのボタン2b、最大化ボタン2cおよび最小化ボタン2dなどが表示されている。さらに、タイトルバー2の下には、MenuBarコントロール3、フォームヘッダセクション4、フォーム詳細セクション5およびフォームフッターセクション6が配置されている。
【0033】図5(a)はMenuBarコントロール3とフォームヘッダセクション4の拡大図である。MenuBarコントロール3には、ファイリングフォームオブジェクト1のMenuBarプロパティに設定されたメニュー項目文字列、例えば、図では、符号3a〜3fで示す“File”、“Edit”、“View”、“Operation”、“Window”および“Help”などが表示されており、任意のメニュー項目文字列をクリック(マウスの左ボタン操作;以下単に「クリック」または「選択」という)することによって、プルダウン式のサブメニューリストが表示されるようになっている。メニュー項目文字列3a〜3fは、Windows95やNT等でよく用いられるメニュースタイルと同様にそれぞれ「ファイル操作」、「編集操作」、「表示」、「ウィンドウ」および「ヘルプ」などを意味するが、“Operation”については、ビデオサーバ・システム1000のファイリング操作に特有のサブメニュー(後述の“Reassign File”)を含む。なお、メニュー項目文字列3a〜3fのアンダーライン付きのアルファベット文字はショートカットキーを表している。当該ショートカットキーとキーボード上の所定の機能キー(例えばAltキー)とを同時に押すことにより、マウスを操作することなく、当該メニュー項目を選択することができる。
【0034】次に、フォームヘッダセクション4には複数個(図では7個)のコマンドボタンコントロール4a〜4gが配置されている。これらのコマンドボタンコントロール4a〜4gはファイリングフォームオブジェクト1のControlオブジェクトコレクションに含まれるControlオブジェクトであり、それぞれのコマンドボタンコントロール4a〜4gをクリックすることによって、そのコントロールのOnClickイベントプロパティに登録されたプロシージャ(一連の処理手続きを所定のプログラム言語によって記述したもの)を実行する。
【0035】例えば、図示の例では、左端のコマンドボタンコントロール4aをクリックすると後述のデータシートコントロールに表示されているデータを印刷するためのプロシージャを実行する。左から二番目のコマンドボタンコントロール4bをクリックすると同データシートコントロールにデータを追加するためのプロシージャを実行する。左から三番目のコマンドボタンコントロール4cをクリックすると同データシートコントロールの選択データを編集すめためのプロシージャを実行する。左から四番目のコマンドボタンコントロール4dをクリックすると同データシートコントロールの選択データをクリップボードにコピーするためのプロシージャを実行する。左から五番目のコマンドボタンコントロール4fクリックすると同データシートコントロールの選択データをタイムシフト(Start/End Time等の時間データを所定量前後にシフトすること)するためのプロシージャを実行する。右端のコマンドボタンコントロール4gをクリックするとヘルプファイルをオープンするためのプロシージャを実行する。なお、これらのプロシージャは、ファイリングフォームオブジェクト1を用いて対話的に行われるユーザ操作の便宜を図るためのものであり、上記例示のものに限定されない。また、図示の例では、それぞれのコマンドボタンコントロール4a〜4gのTitleプロパティに“PRINT”、“ADD”、“EDIT”、“COPY”、“PASTE”、“TIME SHIFT”および“HELP”の各文字列をセットし、これらの文字列によって各々のコマンドボタンコントロール4a〜4gを識別しているが、適切にデザインされたグラフィックアイコン(例えば“PRINT”の代わりにプリンタをデザインしたアイコン)を使用して識別するようにしてもよい。
【0036】次に、フォーム詳細セクション5にはテキストボックスコントロール5aとデータシートコントロール10が設けられている。テキストボックスコントロール5aはデータシートコントロール10の抽出条件を表す文字列(図では“最新バージョン”)を表示し、データシートコントロール10は前述のDB_TBLのレコードデータ(但し上記抽出条件に対応したレコードデータ)をリスト表示する。
【0037】図6はデータシートコントロール10のレイアウト図である。データシートコントロール10は、タイトル行11とデータ表示エリア12とからなり、データ表示エリア12は横線で区域分けされた複数の行(「Row」ともいう)と、複数の列(「Column」ともいう)11a〜11eで構成されている。データ表示エリア12の各行にはDB_TBLの一つのレコードのフィールドデータが表示されるようになっており、その表示順は行の左端列から順に“Material ID”、“Title”、“Duration”、“Status”、“Filing Date”、“Start/End Time”、“Source”、“Timer”、“Preview”、“Program Name”、……である。タイトル行11の各列にはこれらのデータ名を表す適当な名前(図ではDB_TBLのフィールド名と同一の名前)がつけられている。データ表示エリア12の縦方向のスクロールバー13と横方向のスクロールバー14は使用化の状態になっており、これらのスクロールバー13、14を操作することにより、すべての行およびすべての列をスクロール表示できるようになっている。
【0038】データシートコントロール10のデータ表示エリア12には上記テキストボックス5aの抽出条件に従ってDB_TBLから抽出されたレコードデータがレコード単位に“区域分け”されて表示される。ここで、区域とは、データ表示エリア12の1選択単位、すなわち、マウスでクリックしたときに選択(セレクト)される範囲(この例では“行”)のことをいう。なお、図示のデータシートコントロール10のマルチセレクトプロパティはTrueに設定されており、複数の区域(行)を同時にまたは連続して選択できるようになっている。
【0039】次に、フォームフッターセクション6にはオンラインヘルプ用のテキストボックスコントロール6aが設けられており、オンフォーカス中のオブジェクトに関連付けられた操作説明(図では便宜的に“○○××△△”)が表示されるようになっている。
【0040】次に、本実施の形態にとって重要なサブメニュー(“Reassign File”)について説明する。図7(a)はMenuBarコントロール3の要部を示す図であり、この図は“Operation”と表記されたメニュー項目3dを選択した時の状態を表している。すなわち、メニュー項目3dの下にサブメニューリスト15が表示されており、このサブメニューリスト15の“Reassign File”と表記されたサブメニュー15aを選択することによって、次に説明する「素材コード再割り付け処理」を実行するようになっている。なお、上記のサブメニューは、図7(b)に示すように、データシートコントロール10の上で右クリックすることによって開かれるメニューリスト16に設けてもよい。図示のメニューリスト16の“Reassign File”と表記されたサブメニュー16aを選択することによっても、後述の「素材コード再割り付け処理」を実行できる。
【0041】<素材コード再割り付け処理>図8は本実施の形態の「素材コード再割り付け処理」を、オペレータの操作を主体にして説明する手順図である。この図において、収録担当のオペレータは、まず、収録端末201を操作して、図4のファイリングフォームオブジェクト1をオープンする(ステップS1)。ファイリングフォームオブジェクト1のForm_Openイベントには、後述のプロシージャ(図12のForm_Openイベントプロシージャ)が登録されており、詳細は後述するが、そのプロシージャによってDB_TBLのレコードデータ取得と、その取得データのデータシートコントロール10への表示を行なう。
【0042】オペレータはデータシートコントロール10の表示を確認し、素材コードの再割り付けを行なうかどうかを判断する。今、例えば、“お昼のニュース”というTitleの素材コードが間違っていると仮定し、正しい素材コードを“ARC00004 0”と仮定すると、オペレータは、次の手順で素材コードの再割り付けを行なう。(A)まず、データシートコントロール10の“ARC00002 0”の行を選択する(ステップS2)。この行は素材コードの再割り付けを希望する行であり、以下「再割り付け元行」ということにすると、この選択により、図9に示すように再割り付け元行12aの表示が反転状態になる。データシートコントロール10の選択イベントプロパティには、後述のプロシージャ(図13のデータシートコントロール選択イベントプロシージャ)が登録されており、詳細は後述するが、そのプロシージャによって、前述の “Reassign File”サブメニュー15a、16a(図7参照)が使用可能になる。
【0043】(B)次に、MenuBarコントロール3の“Operation”メニュー項目3dを選択してサブメニューリスト15を表示させ、そのリスト中の“Reassign File”サブメニュー15aを選択する(ステップS3)。または、データシートコントロール10のデータ表示エリア12の上で右クリックしてサブメニューリスト16を表示させ、そのリスト中の“ReassignFile”サブメニュー16aを選択する。いずれの場合も、“Reassign File”サブメニュー15a、16aには、後述のプロシージャ(図15のReassign File選択イベントプロシージャ)が登録されており、詳細は後述するが、そのプロシージャによって、データシートコントロール10の現在の選択行(再割り付け元行12a)の素材コードが(所定のグローバル変数CUR_IDに)保持される。
【0044】(C)次に、データシートコントロール10の“ARC00004 0”の行を選択する(ステップS4)。この行は素材コードの再割り付け先の行であり、以下「再割り付け先行」ということにすると、この選択により、図10に示すように再割り付け先行12bの表示が反転状態になる。先にも述べたように、データシートコントロール10の選択イベントプロパティには、後述のプロシージャ(図13のデータシートコントロール選択イベントプロシージャ)が登録されている。詳細は後述するが、そのプロシージャによって、データシートコントロール10の現在の選択行(再割り付け先行12b)の素材コードを(所定のグローバル変数TGT_IDに)保持し、その素材コード(“ARC00004 0”)と先に保持しておいた再割り付け元行12aの素材コード(“ARC000020”)とを用いたDB_TBLのレコードデータの移動処理、および、DB_TBLの最新データによるデータシートコントロール10の表示リフレッシュなどの一連の処理が自動的に行なわれる。
【0045】(D)なお、この自動処理の開始に先立ち、再割り付け先行12bの選択に誤りがないかどうかをオペレータに尋ねるダイアログ(図14参照)を表示するようになっており(ステップS5)、ダイアログ中の「はい」ボタンを押したときに上記の自動処理を実行し、「いいえ」ボタンを押したときに現在の再割り付け先行12bの選択を解除して、再割り付け先行の再指定を行なうようになっている。なお、自動処理の完了後、他の素材の再割り付けを行なう場合は、再び(A)以降を繰り返す(ステップS6)。(E)今、上記の自動処理を完了すると、データシートコントロール10の表示は、図11に示すように変化する。すなわち、再割り付け元行12aの素材コードを除くすべてのデータ(“Title”、“Duration”、“Status”、“Filing Date”……の各列のデータ)が再割り付け先行12bの同じ列に移動する。これは、DB_TBLの二つのレコードのデータを入れ換えたからであり、正確には、再割り付け元行12aの素材コード(“ARC00002 0”)に対応するレコードのデータを、再割り付け先行12bの素材コード(“ARC00004 0”)に対応するレコードに移動し、その移動後のDB_TBLのレコードデータを用いてデータシートコントロール10の表示をリフレッシュしたからである。
【0046】次に、以上の(A)〜(E)の手順に必要なイベントプロシージャについて説明する。図12はファイリングフォームオブジェクト1のオープン時に実行される「Form_Openイベントプロシージャ」のフローチャートである。このプロシージャを実行すると、まず、抽出条件(テキストコントロールボックス5aに表示される抽出条件)に従って抽出用のSQLコマンド列を生成する(ステップS11)。次に、そのSQLコマンド列をデータベースサブシステム300のSQLデータベースエンジンに発行し、データベースサブシステム300のSQLデータベースエンジンからの応答データ(上記抽出条件に従って抽出されたDB_TBLのレコードデータ)を取得(ステップS12)した後、その取得データをデータシートコントロール10のデータ表示エリア12にセット(ステップS13)してプロシージャを終了する。
【0047】したがって、このプロシージャによれば、ファイリングフォームオブジェクト1のオープン時に、そのデータシートコントロール10のデータ表示エリア12に、所定の抽出条件に合致したDB_TBLのレコードデータを表示することができる。これにより、例えば、抽出条件が“最新バージョン”であれば、各々の素材コードについて、その最終桁の数値が最大のレコードをDB_TBLから抽出して、図6に示すようにデータシートコントロール10のデータ表示エリア12に表示することができる。
【0048】図13はデータシートコントロール10のデータ表示エリア12を選択したときに実行される「データシートコントロール選択イベントプロシージャ」のフローチャートである。このプロシージャを実行すると、まず、データ表示エリア12がすでに選択済みであるか否かを判定する(ステップS21)。この判定はデータシートコントロール10のSelectedプロパティの値を調べることによって行なうことができる。Selectedプロパティの値がTrueであればすでに選択済みであり、Falseであれば未選択である。今、再割り付け元行12aの指定時にこのプロシージャが実行された場合、プロシージャの実行直後はステップS21の判定結果は“NO”である。この場合、“Reassign File”サブメニュー15a、16aを使用可能(ステップS22)にした後、プロシージャを終了する。なお、ステップS21の判定結果が“YES”となるときは、再割り付け先行12bの指定時であり、この場合の動作は後述する。
【0049】したがって、このプロシージャによれば、データシートコントロール10のデータ表示エリア12をはじめて選択(図9参照)すると、“ReassignFile”サブメニュー15a、16aを使用可能にして、以降の素材コードの再割り付け処理を実行可能にすることができる。
【0050】図15は“Reassign File”サブメニュー15aまたは16aを選択したときに実行される「Reassign File選択イベントプロシージャ」のフローチャートである。このプロシージャを実行すると、まず、データシートコントロール10のデータ表示エリア12の現在の選択行(再割り付け元行12a)の素材コードを所定のグローバル変数CUR_IDにセット(ステップS31)した後、データシートコントロール10のデータ表示エリア12の現在の選択行(再割り付け元行12a)の背景色(BackColor)または文字色(ForeColor)を所定色に変更(ステップS32)してプロシージャを終了する。なお、所定色に変更する理由は、再割り付け先行12bとの区別を付けるためである。
【0051】この状態で、データシートコントロール10のデータ表示エリア12を選択(再割り付け先行12bを選択)すると、図13の「データシートコントロール選択イベントプロシージャ」が再び実行されるが、この実行時においては、データシートコントロール10のデータ表示エリア12がすでに選択済み(再割り付け元行12aを選択済み)であるため、ステップS21の判定結果が“YES”となる。したがって、この場合は、まず、新たに選択された行(再割り付け先行12b)の素材コードを所定のグローバル変数TGT_IDにセットし(ステップS23)、次いで、MsgBox関数を用いて、図14に示すダイアログ17を表示する(ステップS24)。
【0052】このダイアログ17は、例えば、タイトルバー17aに所定の文字列(図では“Reassign File”)を表示するとともに、クライアントエリアに適当なアイコン(例えば、問い合わせアイコン)17b、プロンプト17c、「はい」ボタン17dおよび「いいえ」ボタン17eを配置して構成する。プロンプト17cの内容は、選択中の再割り付け元行12aと再割り付け先行12bに誤りがないかどうかを尋ねるものであればよく、例えば、図示のとおり、“選択された素材のMaterial IDをARC00002 0からARC00004 0に変更します。よろしいですか?”の文字列にしてもよい。因みに、同文字列中の“ARC00002 0”はグローバル変数CUR_IDの値、“ARC00004 0”はグローバル変数TGT_IDの値である。
【0053】MsgBox関数は「はい」ボタン17dが押されたときに所定の数値(例えば「6」)を返し、「いいえ」ボタン17eが押されたときに他の数値(例えば「7」)を返すので、このMsgBoxの戻り値を調べることによって、「はい」ボタン17dが押されたか、または、「いいえ」ボタン17eが押されたかを判定(ステップ25)することができる。
【0054】そして、「はい」ボタン17dが押された場合は、素材コードの再割り付け処理を継続してもよいので、後述のデータベース更新処理(ステップS28)を実行し、"Reassign File“サブメニュー15a、16aを使用不可にして(ステップS29)プロシージャを終了する一方、「いいえ」ボタン17eが押された場合は、素材コードの再割り付け処理をやり直すために、グローバル変数TGT_IDをクリア(ステップS26)し、再割り付け先行12bの選択状態を解除(ステップS27)してプロシージャを終了する。
【0055】図16は「データベース更新処理」(図13R>3のステップS28)を示すフローチャートである。このフローチャートは、上述のとおり、ダイアログ17の「はい」ボタン17dが押されたときに実行される。このフローチャートを実行すると、まず、データベースサブシステム300にアクセスしてグローバル変数CUR_IDで示されたレコード(以下「再割り付け元レコード」という)と、グローバル変数TGT_IDで示されたレコード(以下「再割り付け先レコード」という)を抽出し、再割り付け元レコードのMaterial IDフィールドを除く各フィールドのデータを再割り付け先レコードの同一名フィールドに移動する(ステップS41)。この移動により、再割り付け元レコードのMateriai IDフィールド以外のフィールドデータは既定値に戻り、再割り付け先レコードのMateriai IDフィールド以外のフィールドデータは、上記移動前の再割り付け元レコードの各フィールドの値を持つこととなる。
【0056】そして、上記移動操作を完了すると、次に、抽出条件(テキストコントロールボックス5aに表示される抽出条件)に従って抽出用のSQLコマンド列を生成し(ステップS42)、そのSQLコマンド列をデータベースサブシステム300のSQLデータベースエンジンに発行し、データベースサブシステム300のSQLデータベースエンジンからの応答データ(上記抽出条件に従って抽出されたDB_TBLのレコードデータ)を取得(ステップS43)した後、その取得データをデータシートコントロール10のデータ表示エリア12にセット(ステップS44)してプロシージャを終了する。
【0057】したがって、以上の「データベース更新処理」を含む「データシートコントロール選択イベントプロシージャ」によれば、再割り付け先行12bの素材コードをグローバル変数TGT_IDにセットし、このグローバル変数TGT_IDの値と、先の「Reassign Fileプロシージャ」でセットされたグローバル変数CUR_IDの値を用いて、DB_TBLの一のレコード(再割り付け元レコード)の各フィールドデータ(但し、Meterial IDフィールドを除く)を、DB_TBLの二のレコード(再割り付け先レコード)の同名フィールドに移動することができ、且つ、その移動操作により、一のレコード(再割り付け元レコード)の各フィールドデータ(但し、Meterial IDフィールドを除く)を既定値に戻すことができる。その結果、DB_TBLの更新操作のみで素材コードの再割り付けを行なうことができる。
【0058】以上のとおり、本実施の形態によれば、DB_TBLの更新処理によって素材コードの再割り付けを行なうようにしたが、一般にデータベースの更新時間は、ビデオサーバ・システム1000に収録された素材データ(音声映像データ)の消去や再収録時間に比べて格段に早い(瞬時といっても差し支えない)から、従来手順のようなパフォーマンスの低下を招くことがないという特有の効果を得ることができる。しかも、複数の素材コードの再割り付けを繰り返す場合でも、瞬時といっても差し支えないきわめて短い時間を、その繰り返し回数倍するだけであるから、殆ど待ち時間を実感することがないという格別な効果を得ることができる。
【0059】なお、上記実施の形態では、データベースサブシステム300、収録端末201および大容量記憶サブシステム400などを組み合わせて一つのビデオサーバ・システム1000を構成する大規模システムを例にしたが、本発明の適用は、このような特定のシステムに限定されない。要は、放送素材の実体(音声映像データ)を収録するビデオサーバと、この放送素材と素材コードとを関連付けて管理するDB_TBLとを含むものであればよく、そのシステムの規模の大小は問わない。また、実施の形態では、SQLコマンドを用いてデータべースサブシステム300にアクセスしているが、これはデータベースアクセスの一例を示したにすぎず、他のアクセス方法であっても構わないことはもちろんである。
【0060】本実施の形態の主要な機能は、マイクロコンピュータを含むハードウェア資産と、OSや各種プログラムなどのソフトウェア資産との有機的結合によって機能的に実現されるものであるが、ハードウェア資産およびOSは汎用のものを利用できるから、本発明にとって欠くことのできない必須の事項は、実質的に、前記ファイリングフォームオブジェクト1を表示するためのプログラムに集約されているということがいえる。したがって、本発明は、前記フォームオブジェクト1を表示するためのプログラムのすべてまたはその要部を格納した、フロッピィディスク、光ディスク、コンパクトディスク、磁気テープ、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記憶媒体もしくはこれらの記憶媒体を含む構成品(ユニット品や完成品または半完成品)を包含する。なお、上記記憶媒体または構成品は、それ自体が流通経路にのるものはもちろんのこと、ネットワーク上にあって記録内容だけを提供するものも含まれる。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、データベースのレコードデータの移動によって、放送素材の識別情報(素材コード)の再割り付けを行なうようにしたので、一般にデータベースのレコードデータ移動は極めて短い時間(瞬時といってよい)で行われるから、例えば、ビデオサーバ・システムにおける収録情報の消去や再収録の時間に比べて遥かに短い時間で再割り付けを行なうことができ、パフォーマンスの低下を招かない放送素材情報管理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ビデオサーバ・システムの全体構成図である。
【図2】DB_TBLの構造図である。
【図3】大容量記憶サブシステムのA系を示す構成図である。
【図4】ファイリングフォームオブジェクトを示す図である。
【図5】MenuBarコントロールとフォームヘッダセクションの拡大図である。
【図6】データシートコントロールのレイアウト図である。
【図7】MenuBarコントロールの要部を示す図である。
【図8】素材コード再割り付け処理をオペレータ操作を主体にして説明する手順図である。
【図9】割り付け元行の選択状態図である。
【図10】割り付け元行と割り付け先行の選択状態図である。
【図11】割り付け完了後の表示状態図である。
【図12】Form_Openイベントプロシージャのフローチャートを示す図である。
【図13】データシートコントロール選択イベントプロシージャのフローチャートを示す図である。
【図14】ダイアログの構成図である。
【図15】Reassign File選択イベントプロシージャのフローチャートを示す図である。
【図16】データベース更新処理のフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
S11……ステップ(表示手段)、S12……ステップ(表示手段)、S13……ステップ(表示手段)、S41……ステップ(移動指示手段)、S42……ステップ(再表示手段)、S43……ステップ(再表示手段)、S44……ステップ(再表示手段)、10……データシートコントロール(オブジェクト)、12……データ表示エリア(選択手段)、12a……再割り付け元行(区域)、12b……再割り付け先行(区域)、201……収録端末(放送素材情報管理装置)、300……データベースサブシステム(データベース)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 放送素材を識別するための識別情報を含む放送素材情報を管理する放送素材情報管理装置において、前記放送素材情報を前記識別情報ごとにレコード化して記憶するデータベースからすべてのレコードまたは所定の条件に合致した一部のレコードの情報を受け取りその受け取った情報をレコード単位に区域分けされた形式のオブジェクトを用いて表示する表示手段と、前記表示手段によって表示されたオブジェクトの任意の二つの区域を選択する選択手段と、前記選択手段によって選択された二つの区域に表示されている第一の識別情報を移動元のキーワードとし他方の識別情報を移動先のキーワードとして前記データベースに対して該識別情報を除くレコード情報の移動を指示する移動指示手段と、を備えたことを特徴とする放送素材情報管理装置。
【請求項2】 放送素材を識別するための識別情報を含む放送素材情報を管理する放送素材情報管理装置において、前記放送素材情報を前記識別情報ごとにレコード化して記憶するデータベースからすべてのレコードまたは所定の条件に合致した一部のレコードの情報を受け取りその受け取った情報をレコード単位に区域分けされた形式のオブジェクトを用いて表示する表示手段と、前記表示手段によって表示されたオブジェクトの任意の二つの区域を選択する選択手段と、前記選択手段によって選択された二つの区域に表示されている第一の識別情報を移動元のキーワードとし他方の識別情報を移動先のキーワードとして前記データベースに対して該識別情報を除くレコード情報の移動を指示する移動指示手段と、前記データベースから移動後のレコードの情報を受け取りその受け取った情報を前記オブジェクトを用いて再表示する再表示手段と、を備えたことを特徴とする放送素材情報管理装置。
【請求項3】 前記二つの区域の一方は放送素材の収録位置を示す情報を含むことを特徴とする請求項1記載の放送素材情報管理装置。
【請求項4】 前記二つの区域の一方は放送素材の収録位置を示す情報を含むことを特徴とする請求項2記載の放送素材情報管理装置。
【請求項5】 放送素材情報を識別情報ごとにレコード化して記憶するデータベースからすべてのレコードまたは所定の条件に合致した一部のレコードの情報を受け取りその受け取った情報をレコード単位に区域分けされた形式のオブジェクトを用いて表示する表示手段と、前記表示手段によって表示されたオブジェクトの任意の二つの区域を選択する選択手段と、前記選択手段によって選択された二つの区域に表示されている第一の識別情報を移動元のキーワードとし他方の識別情報を移動先のキーワードとして前記データベースに対して該識別情報を除くレコード情報の移動を指示する移動指示手段と、を実現するためのプログラムを格納したことを特徴とする記録媒体。
【請求項6】 放送素材情報を識別情報ごとにレコード化して記憶するデータベースからすべてのレコードまたは所定の条件に合致した一部のレコードの情報を受け取りその受け取った情報をレコード単位に区域分けされた形式のオブジェクトを用いて表示する表示手段と、前記表示手段によって表示されたオブジェクトの任意の二つの区域を選択する選択手段と、前記選択手段によって選択された二つの区域に表示されている第一の識別情報を移動元のキーワードとし他方の識別情報を移動先のキーワードとして前記データベースに対して該識別情報を除くレコード情報の移動を指示する移動指示手段と、前記データベースから移動後のレコードの情報を受け取りその受け取った情報を前記オブジェクトを用いて再表示する再表示手段と、を実現するためのプログラムを格納したことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図14】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2001−169218(P2001−169218A)
【公開日】平成13年6月22日(2001.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−352980
【出願日】平成11年12月13日(1999.12.13)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】