説明

放送装置、放送方法、放送受信装置および放送受信方法

【課題】 チャンネルの切替えなどによって別のコンテンツにジャンプするときに、ユーザにジャンプ先のコンテンツを直ぐに視聴させることができる放送装置、放送方法、放送受信装置および放送受信方法を提供する。
【解決手段】 ストリーム生成部15は、タイムスタンプを含むパケットの連続で構成されるストリームを生成する。キーシーケンステーブル生成部12は、タイムスタンプに対応させてスクランブル鍵のデータを記述したキーシーケンステーブルを生成する。暗号処理部16は、暗号化データ伝送用のパケットに含まれるタイムスタンプに対応するスクランブル鍵のデータを用いて暗号化データ伝送用のパケットで伝送するデータを暗号化する。ストリーム生成部15は、キーシーケンステーブル伝送用のパケットを暗号化データ伝送用のパケットよりも送信される時刻が先になるようなストリームを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送装置、放送方法、放送受信装置および放送受信方法に関し、特に暗号化された映像データなどを送信する放送装置、放送方法、暗号化された映像データなどを受信する放送受信装置、放送受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル放送では、コンテンツ保護および視聴制限などのために、映像および音声データが暗号化されて伝送される(たとえば、非特許文献1参照)。
【0003】
図9は、従来のデジタル放送で用いられている暗号化方式を説明するための図である。
図9を参照して、放送装置では、スクランブル鍵を用いて、伝送する映像および音声データが暗号化される。このスクランブル鍵は約1秒ごとに更新される。さらに、ワーク鍵を用いて、スクランブル鍵が暗号化されて、暗号化されたスクランブル鍵を含むECM(Entitlement Control Message)が作成される。
【0004】
図10は、従来のデジタル放送における暗号化された映像および音声データとECMの伝送方法を説明するための図である。
【0005】
図10を参照して、放送装置は、スクランブル鍵で暗号化された映像および音声データと、暗号化されたスクランブル鍵(ECM)が多重化して伝送する。
【0006】
すなわち、スクランブル鍵Aで暗号化された映像および音声データを伝送する前に、ワーク鍵で暗号化されたスクランブル鍵A(ECM)が伝送され、スクランブル鍵Bで暗号化された映像および音声データを伝送する前に、ワーク鍵で暗号化されたスクランブル鍵B(ECM)が伝送され、スクランブル鍵Cで暗号化された映像および音声データを伝送する前に、ワーク鍵で暗号化されたスクランブル鍵C(ECM)が伝送される。ここで、図10に示すように、ワーク鍵で暗号化されたスクランブル鍵が伝送される間隔は約1秒である。
【0007】
図11は、従来のデジタル放送で用いられている暗号復号化方式を説明するための図である。
【0008】
図11を参照して、放送受信装置では、ワーク鍵を用いて、暗号化されたスクランブル鍵が復号され、さらに復号されたスクランブル鍵を用いて、暗号化された映像および音声データが復号される。
【非特許文献1】デジタル放送における映像符号化、音声符号化及び多重化方式標準規格 ARIB STD−B32、1.8版、H16年12月、社団法人 電波産業会
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、放送受信装置において、ユーザがチャンネルの切替えなどによって、別のコンテンツへジャンプしたときに、ユーザがジャンプ先のコンテンツの映像および音声を直ぐに視聴できないという問題がある。
【0010】
図12は、従来のデジタル放送の伝送方式におけるジャンプ時の問題点を説明するための図である。
【0011】
図12を参照して、放送受信装置において、スクランブル鍵Aで暗号化された映像および音声データを復号して再生している時に(図12の時刻t1)、チャンネル切替えによって、スクランブル鍵Bで暗号化された映像および音声データのポイント(図12の時刻t2)にジャンプしたとする。
【0012】
放送受信装置は、スクランブル鍵Bを取得していないので、スクランブル鍵Bで暗号化された映像および音声データを復号できず、これらのデータを再生することができない。放送受信装置は、時刻t3になってスクランブル鍵Cを取得し、その後、スクランブル鍵Cで暗号化された映像および音声データを取得し、これらのデータをスクランブル鍵Cで復号して再生する。
【0013】
このように、チャンネル切替えなどによって別のコンテンツにジャンプしたときには、ユーザは、ジャンプ先のコンテンツの直後のフレームの映像および音声のデータを直ぐに見ることができず、しばらく待って初めて(最大でECMが挿入される間隔である1秒間)、ジャンプ先から数フレーム後の映像および音声データを見ることができる。
【0014】
それゆえに、本発明の目的は、チャンネルの切替えなどによって別のコンテンツにジャンプするときに、ユーザにジャンプ先のコンテンツを直ぐに視聴させることができる放送装置、放送方法、放送受信装置および放送受信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の放送装置は、タイムスタンプを含むパケットの連続で構成されるストリームを生成するストリーム生成部と、タイムスタンプに対応させてスクランブル鍵のデータを記述したテーブルを生成するテーブル生成部と、暗号化データ伝送用のパケットに含まれるタイムスタンプに対応するスクランブル鍵のデータを用いて暗号化データ伝送用のパケットで伝送するデータを暗号化する暗号処理部とを備え、ストリーム生成部は、テーブル伝送用のパケットを暗号化データ伝送用のパケットよりも送信される時刻が先になるようなストリームを生成し、テーブル伝送用のパケットにはテーブルのデータを含ませ、暗号化データ伝送用のパケットには、そのパケットで伝送するデータを暗号処理部で暗号化したデータを含ませる。
【0016】
好ましくは、パケットは、TSパケットの先頭にタイムスタンプを付したものである。
また、本発明の放送方法は、タイムスタンプに対応させてスクランブル鍵のデータを記述したテーブルを生成するステップと、暗号化データ伝送用のパケットに含まれるタイムスタンプに対応するスクランブル鍵のデータを用いて暗号化データ伝送用のパケットで伝送するデータを暗号化するステップとを含み、タイムスタンプを含むパケットの連続で構成されるストリームを生成するストリーム生成ステップとを含み、ストリーム生成ステップは、テーブル伝送用のパケットを暗号化データ伝送用のパケットよりも送信される時刻が先になるようなストリームを生成し、テーブル伝送用のパケットにはテーブルのデータを含ませ、暗号化データ伝送用のパケットにはそのパケットで伝送するデータを暗号化したデータを含ませる。
【0017】
好ましくは、パケットは、TSパケットの先頭にタイムスタンプを付したものである。
また、本発明の放送受信装置は、タイムスタンプを含むパケットの連続で構成されるストリームを受信する受信部と、受信したパケットがテーブル伝送用のパケットの場合に、テーブル伝送用のパケットのデータからタイムスタンプに対応させてスクランブル鍵のデータを記述したテーブルを生成するテーブル処理部と、受信したパケットが暗号化データ伝送用のパケットの場合に、暗号化データ伝送用のパケットに含まれるタイムスタンプに対応するスクランブル鍵のデータを生成したテーブルから抽出して、抽出したスクランブル鍵のデータを用いて暗号化データ伝送用のパケットに含まれる暗号化されたデータを復号する暗号復号処理部とを備え、暗号復号処理部は、ジャンプ指定があると、ジャンプ先のパケットの直後の暗号化データ伝送用のパケットをジャンプ後の復号開始パケットとし、復号を実行する。
【0018】
好ましくは、パケットは、TSパケットの先頭にタイムスタンプを付したものである。
また、本発明の放送受信方法は、タイムスタンプを含むパケットの連続で構成されるストリームを受信する受信ステップと、受信したパケットがテーブル伝送用のパケットの場合に、テーブル伝送用のパケットのデータからタイムスタンプに対応させてスクランブル鍵のデータを記述したテーブルを生成するステップと、受信したパケットが暗号化データ伝送用のパケットの場合に、暗号化データ伝送用のパケットに含まれるタイムスタンプに対応するスクランブル鍵のデータを生成したテーブルから抽出して、抽出したスクランブル鍵のデータを用いて暗号化データ伝送用のパケットに含まれる暗号化されたデータを復号する暗号復号処理ステップとを含み、暗号復号処理ステップは、ジャンプ指定があると、ジャンプ先のパケットの直後の暗号化データ伝送用のパケットをジャンプ後の復号開始パケットとし、復号を実行する。
【0019】
好ましくは、パケットは、TSパケットの先頭にタイムスタンプを付したものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、チャンネルの切替えなどによって別のコンテンツにジャンプするときに、ユーザにジャンプ先のコンテンツを直ぐに視聴させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
(放送装置の構成)
図1は、本発明の実施形態に係る放送装置の機能ブロック図である。
【0022】
図1を参照して、この放送装置10は、スクランブル鍵記憶部11と、キーシーケンステーブル生成部12と、キーシーケンステーブル記憶部13と、コンテンツ記憶部14と、暗号処理部16と、ストリーム生成部15とを備える。
【0023】
ストリーム生成部15は、TTS(Timestamped Transport Stream)パケットからなるストリームを生成する。
【0024】
図2は、TTSパケットの構成を示す図である。
図2を参照して、TTSパケットは、TS(Transport Stream)パケットの先頭にタイムスタンプを付けたものであって、タイムスタンプと、ヘッダと、ペイロードとからなる。
【0025】
タイムスタンプは、TTSパケットの送信順序を表わすものである。先頭のTTSパケットのタイムスタンプは0(0x0000_0000)であり、後続のTTSパケットのタイムスタンプは1ずつ増加する。
【0026】
ヘッダは、TSパケットのヘッダと同一のものである。ヘッダは、PID(パケット識別子)を含む。PIDは、TTSパケットが伝送するデータの種類を表わす。
【0027】
ペイロードは、TSパケットのペイロードと同一のものである。キーシーケンステーブル、同一コンテンツ(同一チャンネル)の映像データ、同一コンテンツ(同一チャンネル)の音声データ、および同一種類のセクションデータは、同一のPIDを有するTTSパケットに分割して伝送される。
【0028】
スクランブル鍵記憶部11は、スクランブル鍵のデータを記憶する。
キーシーケンステーブル生成部12は、スクランブル鍵記憶部11内のスクランブル鍵のデータを用いてキーシーケンステーブルを生成する。
【0029】
キーシーケンステーブルは、TTSパケットに付されるタイムスタンプに対応させてスクランブル鍵のデータを記述したものである。TTSパケットのペイロードが暗号化される映像または音声データの場合に、そのTTSパケットのタイムスタンプに対応するスクランブル鍵のデータがキーシーケンステーブルに記述されている。
【0030】
図3は、キーシーケンステーブルの例を表わす図である。
図3を参照して、映像データまたは音声データを伝送するTTSパケットは、そのタイムスタンプが0x0000_0010〜0x0000_001fの場合には、ペイロード部分を暗号化するスクランブル鍵のデータが第1奇数鍵のデータの欄に記述されており、そのタイムスタンプが0x0000_1010〜0x0000_101fの場合には、ペイロード部分を暗号化するスクランブル鍵のデータが第1偶数鍵のデータの欄に記述されており、そのタイムスタンプが0x0000_2010〜0x0000_201fの場合には、ペイロード部分を暗号化するスクランブル鍵のデータが第2奇数鍵のデータの欄に記述されており、そのタイムスタンプが0x0000_3010〜0x0000_301fの場合には、ペイロード部分を暗号化するスクランブル鍵のデータが第2偶数鍵のデータの欄に記述されている。
【0031】
キーシーケンステーブル記憶部13は、キーシーケンステーブル生成部12で生成されたキーシーケンステーブルを記憶する。
【0032】
コンテンツ記憶部14は、多重化伝送の対象である複数個のコンテンツデータ(すなわち同一時間帯の複数個のチャンネルのコンテンツデータ)およびセクションデータ(番組表など)を記憶する。本発明の実施形態では、コンテンツデータは、映像データおよび音声データからなるものとする。映像データおよび音声データは、MPEG(Moving Picture Experts Group)−2規格にしたがってエンコードされているものとする。
【0033】
暗号処理部16は、暗号化を要するデータ、すなわち映像データおよび音声データをスクランブル鍵で暗号化する。すなわち、暗号処理部16は、暗号化を要するデータ、すなわち映像データまたは音声データの伝送用のTTSパケットに含まれるタイムスタンプに対応するスクランブル鍵のデータをキーシーケンステーブルから抽出して、抽出したスクランブル鍵のデータで、コンテンツ記憶部14内の映像データのうちのそのTTSパケットで伝送するデータ、またはコンテンツ記憶部14内の音声データのうちのそのTTSパケットで伝送するデータを暗号化する。
【0034】
図4は、TTSストリームの例を表わす図である。
図4を参照して、TTSストリームは、TTSパケットの連続で構成される。先頭の16個のTTSパケット、すなわち、タイムスタンプが0x0000_0000〜0x0000_000fのTTSパケットのペイロードには、キーシーケンステーブルが分割されて挿入される。それ以降のTTSパケット、すなわち、タイムスタンプが0x0000_0010以降のTTSパケットのペイロードには、多重化伝送の対象である複数のコンテンツデータ(すなわち同一時間帯の複数個のチャンネルのコンテンツデータ)およびセクションデータ(番組表など)が分割されて挿入される。ただし、コンテンツデータを構成する映像データおよび音声データは暗号化されて挿入される。
【0035】
送信部17は、生成されたTTSストリームを送信する。
(放送装置の動作)
図5は、放送装置の動作手順を表わすフローチャートである。
【0036】
図5を参照して、キーシーケンステーブル生成部12は、TTSパケットに付されるタイムスタンプに対応させてスクランブル鍵のデータを記述するキーシーケンステーブルを生成して、キーシーケンステーブル記憶部13に保存する(ステップS101)。
【0037】
ストリーム生成部15は、制御変数NTを0とする(ステップS102)。
ストリーム生成部15は、キーシーケンステーブル記憶部13内のキーシーケンステーブルのすべてのデータを読出していないときには(ステップS103でYES)、未読出し部分の先頭から184バイトのデータを読出す。ストリーム生成部15は、未読出し部分が184バイト未満の場合には、未読出し部分をすべて読出し、読出したデータの後をゼロパディングして、184バイトのデータを生成する(ステップS104)。
【0038】
ストリーム生成部15は、キーシーケンステーブルのすべてのデータを読出している場合には(ステップS103でNO)、全ビットが0の184バイトのデータを生成する(ステップS105)。
【0039】
ストリーム生成部15は、キーシーケンステーブル伝送用のTTSパケットを生成する。すなわち、ストリーム生成部15は、タイムスタンプを制御変数NTとし、ヘッダ部分のPIDにキーシーケンステーブルを表わすIDとし、ペイロード部分を前述のように生成または読出した184バイトのデータとしたTTSパケットを生成する(ステップS106)。
【0040】
送信部17は、生成されたTTSパケットを送信する(ステップS107)。
ストリーム生成部15は、制御変数NTを1だけインクリメントする(ステップS108)。
【0041】
ストリーム生成部15は、制御変数NTが16未満のときには(ステップS109でNO)、ステップS103に戻り、制御変数NTが16以上のときには(ステップS109でYES)、ステップS110に進む。
【0042】
次に、ストリーム生成部15は、コンテンツ記憶部14内の多重化伝送の対象の複数個のコンテンツデータおよびセクションデータのすべてを読出していないときには(ステップS110でYES)、コンテンツ記憶部14から所定の順序にしたがって、多重化伝送の対象である複数個のコンテンツデータ(映像データおよび音声データ)またはセクションデータのいずれかの未読出しデータを読出す。すなわち、ストリーム生成部15は、セクションデータの未読出し部分の先頭から184バイトのデータ、映像データの未読出し部分の先頭から184バイトのデータ、または音声データの未読出し部分の先頭から184バイトのデータを読出す。ストリーム生成部15は、未読出し部分が184バイト未満の場合には、未読出し部分をすべて読出し、読出したデータの後をゼロパディングして、184バイトのデータを生成する(ステップS111)。
【0043】
ストリーム生成部15は、前述のように読出しまたは生成したデータがセクションデータを含む場合は(ステップS112でYES)、セクションデータ伝送用のTTSパケットを生成する。すなわち、ストリーム生成部15は、タイムスタンプを制御変数NTとし、ヘッダ部分のPIDを読出したセクションデータの種類を表わすIDとし、ペイロード部分を前述のように生成または読出したデータとしたTTSパケットを生成する(ステップS113)。
【0044】
ストリーム生成部15は、読出したデータが映像データを含む場合には(ステップS112でNO、ステップS114でYES)、キーシーケンステーブルを参照して、制御変数NTに対応するスクランブル鍵のデータを抽出し(ステップS115)、暗号処理部16を指示して、抽出したスクランブル鍵のデータで、読出した映像データを暗号化させる(ステップS116)。
【0045】
次に、ストリーム生成部15は、映像データ伝送用のTTSパケットを生成する。すなわち、ストリーム生成部15は、タイムスタンプを制御変数NTとし、ヘッダ部分のPIDを読出した映像データの種類(チャンネルと映像を表わす)を表すIDとし、ペイロード部分を暗号化した映像データとしたTTSパケットを生成する(ステップS117)。
【0046】
ストリーム生成部15は、読出したデータが音声データを含む場合には(ステップS114でNO)、キーシーケンステーブルを参照して、制御変数NTに対応するスクランブル鍵のデータを抽出し(ステップS118)、暗号処理部16を指示して、抽出したスクランブル鍵のデータで、読出した音声データを暗号化させる(ステップS119)。
【0047】
次に、ストリーム生成部15は、音声データ伝送用のTTSパケットを生成する。すなわち、ストリーム生成部15は、タイムスタンプを制御変数NTとし、ヘッダ部分のPIDを読出した音声データの種類(チャンネルと音声を表わす)を表すIDとし、ペイロード部分を暗号化した音声データとしたTTSパケットを生成する(ステップS120)。
【0048】
ステップS113、S117、S120の後、送信部17は、生成されたTTSパケットを送信し、ステップS110に戻る(ステップS121)。
【0049】
ステップS110でNOのとき、すなわち、コンテンツ記憶部14内の多重化伝送の対象に属するコンテンツデータおよびセクションデータのすべてを読出しているときには、終了する。
【0050】
(放送受信装置の構成)
図6は、本発明の実施形態に係る放送受信装置の機能ブロック図である。
【0051】
図6を参照して、この放送受信装置20は、受信部21と、TTSデコーダ22と、キーシーケンステーブル処理部23と、キーシーケンステーブル記憶部24と、セクション処理部25と、暗号復号化処理部26と、映像デコーダ27と、音声デコーダ29と、映像再生部28と、音声再生部30とを備える。
【0052】
受信部21は、TTSパケットが連続して構成されるTTSストリームを受信する。
TTSデコーダ22は、通常の再生のときには、順次受信したTTSパケットについて、ジャンプ指定があったときにはジャンプ先のTTSパケット以降に順次受信したTTSパケットについてその種類を調べる。TTSデコーダ22は、キーシーケンステーブル伝送用のTTSパケットをキーシーケンステーブル処理部23に出力し、TTSパケットが暗号化データ伝送用のTTSパケットを暗号復号化処理部26に出力し、セクションデータ伝送用のTTSパケットをセクション処理部25に出力する。
【0053】
キーシーケンステーブル処理部23は、TTSデコーダ22からキーシーケンステーブル伝送用のTTSパケットを受けると、そのTTSパケットのペイロード部分のデータを抽出してキーシーケンステーブルを構築して、キーシーケンステーブル記憶部24に保存する。
【0054】
キーシーケンステーブル記憶部24は、キーシーケンステーブル処理部23で構築されたキーシーケンステーブルを記憶する。
【0055】
セクション処理部25は、TTSデコーダ22からセクションデータ伝送用のTTSパケットを受けると、そのTTSパケットのペイロード部分のデータを抽出してセクションデータを構築して、セクションデータに基づく各種の処理、たとえば番組表の表示などを行なう。
【0056】
暗号復号化処理部26は、TTSデコーダ22から暗号化データ伝送用のTTSパケットを受けると、そのTTSパケットのタイムスタンプに対応するスクランブル鍵のデータをキーシーケンステーブルから抽出し、抽出したスクランブル鍵のデータでそのTTSパケットのペイロード部分のデータを復号する。暗号復号化処理部26は、ジャンプ指定があると、TTSデコーダ22からジャンプ先のTTSパケットの直後の暗号化データ伝送用のTTSパケットを受けて、そのTTSパケットを復号開始パケットとして、復号を実行する。
【0057】
映像デコーダ27は、MPEG2規格にしたがって映像データをデコードする。
音声デコーダ29は、MPEG2規格にしたがって音声データをデコードする。
【0058】
映像再生部28は、デコードされた映像データを再生する。
音声再生部30は、デコードされた音声データを再生する。
【0059】
(放送受信装置の動作)
図7は、放送受信装置のTTSストリームの受信処理の動作手順を表わすフローチャートである。
【0060】
まず、受信部21は、TTSパケットが連続して構成されるTTSストリームを受信する(ステップS201)。
【0061】
TTSデコーダ22は、通常の再生のときには、順次受信したTTSパケットについて、ジャンプ指定があったときにはジャンプ先のTTSパケット以降に順次受信したTTSパケットについてその種類を調べる。
【0062】
TTSデコーダ22は、TTSパケットがキーシーケンステーブル伝送用のパケットの場合、すなわち、TTSパケットのタイムスタンプが(0x0000_0000〜0x0000_000f)の場合に(ステップS202でYES)、TTSパケットをキーシーケンステーブル処理部23に出力する(ステップS203)。
【0063】
次に、キーシーケンステーブル処理部23は、TTSパケットのペイロード部分のデータを抽出してキーシーケンステーブルを構築して、キーシーケンステーブル記憶部24に保存する(ステップS204)。
【0064】
一方、TTSデコーダ22は、TTSパケットが暗号化データ(映像データおよび音声データ)伝送用のパケットの場合、すなわち、TTSパケットのタイムスタンプが(0x0000_0010〜)の場合で(ステップS202でNO)、かつTTSヘッダのPIDが指定されたチャンネルの映像データまたは音声データに対応する場合には(ステップS205でYES)、TTSパケットを暗号復号化処理部26に出力する(ステップS206)。
【0065】
次に、暗号化復号処理部は、TTSデコーダ22から出力されたTTSパケットのタイムスタンプに対応するスクランブル鍵のデータをキーシーケンステーブルから抽出し(ステップS207)、抽出したスクランブル鍵のデータでTTSパケットのペイロード部分のデータを復号して、映像データの場合には映像デコーダ27に出力し、音声データの場合には音声デコーダに出力する(ステップS208)。
【0066】
復号されたデータが映像データの場合には(ステップS209でYES)、映像デコーダ27は、暗号復号処理部から出力される映像データをデコードして、映像再生部28に出力する(ステップS210)。
【0067】
次に、映像再生部28は、映像デコーダ27から出力されるデータから映像データを構築して、映像データを再生する(ステップS211)。
【0068】
復号されたデータが音声データの場合には(ステップS209でNO)、音声デコーダ29は、暗号復号処理部から出力される音声データをデコードして、音声再生部30に出力する(ステップS212)。
【0069】
次に、音声再生部30は、音声デコーダ29から出力されるデータから音声データを構築して、音声データを再生する(ステップS213)。
【0070】
また、TTSデコーダ22は、TTSパケットがセクションデータ伝送用のパケットの場合、すなわち、TTSパケットのタイムスタンプが(0x0000_0010〜)の場合で(ステップS202でNO)、かつTTSヘッダのPIDがセクションデータに対応する場合には(ステップS205でNO)、TTSパケットをセクション処理部25に出する(ステップS214)。
【0071】
次に、セクション処理部25は、TTSパケットのペイロード部分のデータを抽出してセクションデータを構築して、セクションデータに基づく各種の処理、たとえば番組表の表示などを行なう(ステップS215)。
【0072】
ステップS204、S211、S213およびS215の後、受信したTTSストリームのうち、未処理のTTSパケットがある場合(ステップS216でYES)、ステップS202に戻る。
【0073】
(具体例)
図8は、本発明の実施形態の伝送方式におけるジャンプ時の動作を説明するための図である。
【0074】
図8を参照して、放送受信装置において、タイムスタンプが0x0000_0102であるTTSパケットを復号して再生している時に(図のt1)、チャンネル切替えによって、タイムスタンプが0x0000_0105であるTTSパケット(図のt2)にジャンプしたとする。
【0075】
放送受信装置は、ジャンプ先のTTSパケットの直後の暗号化データ伝送用のTTSパケットを受信すると、そのTTSパケットのタイムスタンプが0x0000_0106であるのがわかり、放送受信装置は、タイムスタンプが0x0000_0106に対応するスクランブル鍵のデータをキーシーケンステーブルから抽出する。そして、放送受信装置は、抽出したスクランブル鍵でTTSパケットのペイロードを復号する。
【0076】
このように、本発明の実施形態では、チャンネル切替えなどによって別のコンテンツにジャンプしたときには、ジャンプ先のTTSパケットの直後の暗号化データ伝送用のTTSパケットのタイムスタンプからキーシーケンステーブルを用いて、その直後の暗号化データ伝送用のTTSパケットのペイロードを暗号化したスクランブル鍵のデータを抽出できるので、その直後の暗号化データ伝送用のTTSパケットから復号ができ、ユーザは待ち時間を感じることなくジャンプ先のコンテンツを視聴することができる。これにより、従来のように最大1秒間(ECMが挿入される間隔)も待たないとジャンプ先のコンテンツが視聴できないという問題を回避することができる。
【0077】
(変形例)
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、たとえば、以下の変形例も包含する。
【0078】
(1) キーシーケンステーブルについて
本発明の実施形態では、放送装置は、まず、スクランブル鍵のデータを含むキーシーケンステーブルを生成して、暗号化を行なう際に、キーシーケンステーブルからスクランブル鍵のデータを抽出したが、これに限定するものではない。
【0079】
放送装置は、タイムスタンプとスクランブル鍵との対応のみを定めたテーブルを作成し(あるいは予め作成されたものを記憶しておき)、暗号化を行なう際に、このテーブルに基づいてスクランブル鍵を特定して、特定したスクランブル鍵のデータをスクランブル鍵記憶部から読出すものとしてもよい。
【0080】
(2) タイムスタンプについて
本発明の実施形態では、TTSパケットのタイムスタンプは、後続のものほど1ずつ増加するようにしたが、これに限定するものではなく、タイムスタンプとスクランブル鍵との対応を定めたテーブルを伝送しさえすれば、タイムスタンプはどのようなものであってもよい。したがって、増加させる数は、任意の数でもよく、変化するものであってもよい。あるいは後続のものほど減少するものであってもよい。
【0081】
(3) TTSパケットについて
本発明の実施形態では、伝送するパケットは、TSパケットの先頭にタイムスタンプを付したパケットとしたが、これに限定するものではなく、タイムスタンプを含むパケットであればよい。ただし、ジャンプ時の視聴待ち時間を従来よりも少なくするため、パケットのサイズが大きすぎないようにする必要がある。具体的には、従来よりもジャンプ時の待ち時間を少なくするために、パケットの伝送時間=(パケットのサイズ/伝送速度)が1秒を超えないようなパケットのサイズにする必要がある。
【0082】
(4) 番組内ジャンプについて
本発明の実施形態では、チャンネルの切替えによって番組間ジャンプが生じた場合について説明したが、番組内のジャンプが生じた場合についても同様の方法で復号処理を行なうことができる。
【0083】
(5) キーシーケンステーブルからのスクランブル鍵の抽出について
本発明の実施形態では、ジャンプ処理時には、ジャンプ先のTTSパケットの直後の暗号化データ伝送用のTTSパケットを受信して(つまりジャンプした後)、そのTTSパケットのタイムスタンプを調べて、そのタイムスタンプに対応するスクランブル鍵のデータをキーシーケンステーブルから抽出し、抽出したスクランブル鍵で受信したTTSパケットのペイロードを復号したが、これに限定するものではない。たとえば時間を指定した番組内ジャンプなどでは、ジャンプ先のTTSパケットの直後の暗号化データ伝送用のTTSパケットのタイムスタンプが算出できることもあるので、このような場合には、ジャンプ前にキーシーケンステーブルからスクランブル鍵のデータを抽出してもよい。
【0084】
すなわち、ジャンプ先のTTSパケットの直後の暗号化データ伝送用のTTSパケットのタイムスタンプを算出できるような場合には、キーシーケンステーブルから算出したタイムスタンプに対応するスクランブル鍵のデータを抽出してから、ジャンプ先のTTSパケットの直後の暗号化データ伝送用のTTSパケットを受信して(つまりジャンプした後)、抽出したスクランブル鍵でTTSパケットのペイロードを復号するものとしてもよい。
【0085】
(6) キーシーケンステーブルの繰返し送信について
本発明の実施形態では、ストリーム内の先頭の16個のTSパケットでキーシーケンステーブルを伝送することによって、コンテンツデータの伝送前にキーシーケンステーブルを伝送することにしたが、キーシーケンステーブルを周期的、あるいはランダムにストリームに埋め込んで伝送するものとしてもよい。これによりコンテンツを途中から視聴することも可能となる。
【0086】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施形態に係る放送装置の機能ブロック図である。
【図2】TTSパケットの構成を示す図である。
【図3】キーシーケンステーブルの例を表わす図である。
【図4】TTSストリームの例を表わす図である。
【図5】放送装置の動作手順を表わすフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係る放送受信装置の機能ブロック図である。
【図7】放送受信装置のTTSパケットの受信処理の動作手順を表わすフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態の伝送方式におけるジャンプ時の動作を説明するための図である。
【図9】従来のデジタル放送で用いられている暗号化方式を説明するための図である。
【図10】従来のデジタル放送における暗号化された映像または音声データとECMの伝送方法を説明するための図である。
【図11】従来のデジタル放送で用いられている暗号復号化方式を説明するための図である。
【図12】従来のデジタル放送の伝送方式におけるジャンプ時の問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
【0088】
10 放送装置、11 スクランブル鍵記憶部、12 キーシーケンステーブル生成部、13 キーシーケンステーブル記憶部、14 コンテンツ記憶部、15 ストリーム生成部、16 暗号処理部、17 送信部、20 放送受信装置、21 受信部、22 TTSデコーダ、23 キーシーケンステーブル処理部、24 キーシーケンステーブル記憶部、25 セクション処理部、26 暗号復号化処理部、27 映像デコーダ、28 映像再生部、29 音声デコーダ、30 音声再生部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイムスタンプを含むパケットの連続で構成されるストリームを生成するストリーム生成部と、
前記タイムスタンプに対応させてスクランブル鍵のデータを記述したテーブルを生成するテーブル生成部と、
暗号化データ伝送用のパケットに含まれるタイムスタンプに対応するスクランブル鍵のデータを用いて前記暗号化データ伝送用のパケットで伝送するデータを暗号化する暗号処理部とを備え、
前記ストリーム生成部は、テーブル伝送用のパケットを暗号化データ伝送用のパケットよりも送信される時刻が先になるようなストリームを生成し、前記テーブル伝送用のパケットには前記テーブルのデータを含ませ、前記暗号化データ伝送用のパケットには、そのパケットで伝送するデータを前記暗号処理部で暗号化したデータを含ませる、放送装置。
【請求項2】
前記パケットは、TSパケットの先頭に前記タイムスタンプを付したものである、請求項1記載の放送装置。
【請求項3】
タイムスタンプに対応させてスクランブル鍵のデータを記述したテーブルを生成するステップと、
暗号化データ伝送用のパケットに含まれるタイムスタンプに対応するスクランブル鍵のデータを用いて前記暗号化データ伝送用のパケットで伝送するデータを暗号化するステップとを含み、
前記タイムスタンプを含むパケットの連続で構成されるストリームを生成するストリーム生成ステップとを含み、
前記ストリーム生成ステップは、テーブル伝送用のパケットを暗号化データ伝送用のパケットよりも送信される時刻が先になるようなストリームを生成し、前記テーブル伝送用のパケットには前記テーブルのデータを含ませ、前記暗号化データ伝送用のパケットにはそのパケットで伝送するデータを暗号化したデータを含ませる、放送方法。
【請求項4】
前記パケットは、TSパケットの先頭に前記タイムスタンプを付したものである、請求項3記載の放送方法。
【請求項5】
タイムスタンプを含むパケットの連続で構成されるストリームを受信する受信部と、
受信したパケットがテーブル伝送用のパケットの場合に、前記テーブル伝送用のパケットのデータからタイムスタンプに対応させてスクランブル鍵のデータを記述したテーブルを生成するテーブル処理部と、
受信したパケットが暗号化データ伝送用のパケットの場合に、前記暗号化データ伝送用のパケットに含まれるタイムスタンプに対応するスクランブル鍵のデータを前記生成したテーブルから抽出して、前記抽出したスクランブル鍵のデータを用いて前記暗号化データ伝送用のパケットに含まれる暗号化されたデータを復号する暗号復号処理部とを備え、
前記暗号復号処理部は、ジャンプ指定があると、ジャンプ先のパケットの直後の暗号化データ伝送用のパケットをジャンプ後の復号開始パケットとし、前記復号を実行する、放送受信装置。
【請求項6】
前記パケットは、TSパケットの先頭に前記タイムスタンプを付したものである、請求項5記載の放送受信装置。
【請求項7】
タイムスタンプを含むパケットの連続で構成されるストリームを受信する受信ステップと、
受信したパケットがテーブル伝送用のパケットの場合に、前記テーブル伝送用のパケットのデータからタイムスタンプに対応させてスクランブル鍵のデータを記述したテーブルを生成するステップと、
受信したパケットが暗号化データ伝送用のパケットの場合に、前記暗号化データ伝送用のパケットに含まれるタイムスタンプに対応するスクランブル鍵のデータを前記生成したテーブルから抽出して、前記抽出したスクランブル鍵のデータを用いて前記暗号化データ伝送用のパケットに含まれる暗号化されたデータを復号する暗号復号処理ステップとを含み、
前記暗号復号処理ステップは、ジャンプ指定があると、ジャンプ先のパケットの直後の暗号化データ伝送用のパケットをジャンプ後の復号開始パケットとし、前記復号を実行する、放送受信方法。
【請求項8】
前記パケットは、TSパケットの先頭に前記タイムスタンプを付したものである、請求項7記載の放送受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−13610(P2007−13610A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−192061(P2005−192061)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】