説明

放送装置および放送受信装置

【課題】極力少ない消費電力で、選局時間が短縮可能な放送受信装置を実現するための、放送装置および放送受信装置を提供する。
【解決手段】放送装置100は、サービスに含まれる映像データから分離されたIフレームもしくはIフレームを含む数フレームのデータにより生成された第1のストリームデータと、サービスに含まれる映像データのうち分離されたフレームのデータを除くデータから生成された第2のストリームデータと、に基づくブロードキャスト信号を送信する。放送受信装置101は、受信したブロードキャスト信号のうち、第1のストリームデータの受信を開始し、受信が開始された後にサービスの選局が行われた場合、受信された第1のストリームデータの映像データを表示部に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多チャンネルデジタル放送を送信する放送装置、およびその放送を受信する放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末向けの放送サービスとしてMediaFLO(登録商標)が知られている。MediaFLOとは、携帯端末向け多チャンネルデジタル放送サービスであり、移動体環境に適した技術によって、映像や音楽を配信するものである。MediaFLOのエアインターフェースはFLO(Forward Link Only)と呼ばれ、FLOの物理層には直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:OFDM)が採用される(非特許文献1参照)。
【0003】
例えば、現在商用サービスを行っているアメリカのMediaFLOの仕様を説明する。図14は、FLOのインタレース構成を示す図である。FLOは6MHzの帯域幅を使用し、サブキャリアの本数は4096本である。この4096本のサブキャリアのうち、実際に使用するサブキャリアは、ガードサブキャリア96本を除いた4000本である。MediaFLOは、4000本のサブキャリアを、8つのインタレースと呼ばれるグループに分割する。各インタレースは、4000本のサブキャリアから8本おきに選択した500本のサブキャリアから構成される。1つのインタレースはパイロットシンボルとして使用されるため、残りの7つのインタレースがデータ送信に使用される。MediaFLOでは、1つのインタレースを最小の単位として、周波数帯域に対するサービス(映像、音声、字幕など)の割り当てが行われる。
【0004】
図15は、インタレースに対するサービスの割り当て例を示す図である。縦軸のインタレースは周波数軸における分割を表し、横軸は時間軸の分割を表している。MediaFLOの各サービスは、MLC(Multicast Logical Channel)と呼ばれる論理チャンネル上で運ばれる。MLCは、1つ以上のインタレースと、1つ以上のOFDMシンボルとから構成される。図15の太線で囲まれた範囲はそれぞれ異なるMLCを表すものであり、各MLCには、映像、音声および字幕などのデータが格納されている。例えば1つの映像と1つの音声とからなるサービス(番組)は、2つのMLCから構成される。また、例えば図15の斜線で示すMLCのみで構成されるサービスを視聴するには、当該MLCを構成するインタレースおよびOFDMシンボルのみをデコードすれば良い。このように、MediaFLOでは、時間領域、周波数領域を細かく分割したサービスの割り当てが行われており、必要なMLCのみを選択的にデコードする(間欠受信する)ことによって、受信装置の省電力化を図ることができる。なお、MediaFLOでは、1つのチューナでMediaFLOデータ送信用のインタレースおよびOFDMシンボルにおいて配置された全てのMLCを受信することができるため、さらに数多くのMLCを同時にデコードし、複数のサービスを同時に視聴することも可能である。
【0005】
また、MediaFLOでは図16に示すようなスーパーフレーム(Super Frame)と呼ばれるデータ伝送単位によりデータの伝送を行う。1スーパーフレームの時間幅は約1秒でその中に1200個のOFDMシンボルを含む。また、スーパーフレームは、TDMパイロット1チャンネル、TDMパイロット2チャンネル(以下、パイロットチャンネルという)および複数のデータフレーム等からなる。複数のデータフレームには、映像データとしてIフレームまたはPフレームが配置されている。ここで、スーパーフレーム内の先頭データフレームには、図17に示すように、必ずIフレームが配置されているわけではない。映像データのデコードは、Iフレームから始まる。
【0006】
MediaFLOにおける選局フローは、以下のとおりである。まず、ユーザにより選局指示がされた後に、パイロットチャンネルの補足が行われる。次に、その補足したパイロットチャンネルに基づきスーパーフレームの補足が行われる。補足されたスーパーフレーム内に複数あるデータフレームを、先頭データフレームから検出し、データフレーム内にIフレームが配置されていた場合、Iフレームのデコードを行い、デコードデータに基づき選局されたサービスを表示する。
【0007】
なお、特許文献1には、デジタル放送の受信がユーザに選択されていない場合に、受信チャンネルごとの映像信号を映像信号メモリに少なくとも1フレーム格納し、デジタル放送番組の受信がユーザに選択された場合に、前記映像信号メモリに格納された映像信号を読み出してユーザに選択させる受信装置制御に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−128942号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】日経エレクトロニクス、2007年12月17日号、p.150〜161、デジタル・テレビ・セミナー、第1回 MediaFLO、「ワンセグと共存可能な移動体向け放送 6MHz幅に20チャンネル強を収容」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したMediaFLOは、選局に時間が掛かるという問題を抱えており、選局には約1.5秒の時間を要する。この問題は、スーパーフレームの単位時間幅が約1秒であるため、ユーザによる選局指示後の、パイロットチャンネルの補足に時間が掛かる場合があること、および、スーパーフレーム内に複数あるデータフレームにおける、先頭データフレームに必ずIフレームのデータが配置されているわけではなく、Iフレームを検出するまでに時間が掛かる場合があること、に起因している。
したがって、選局時における実際の画面表示の切り替わりは図18のようになり、選局したサービスの映像が表示されるまでは画面に何も表示されない。
また、特許文献1に開示された技術では、ユーザに選択されていないチャンネルごとの映像信号を映像信号メモリに少なくとも1フレーム格納する際に、Iフレームが受信できるまで受信しなければならないので、消費電力が大きくなる。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、極力少ない消費電力で、選局時間が短縮可能な放送受信装置を実現するための、放送装置および放送受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、ブロードキャスト信号を送信する放送装置であって、各サービスに含まれる映像データからIフレームまたはIフレームを含む数フレームのデータを分離して第1のストリームデータを生成するとともに、前記サービスに含まれる映像データのうち前記分離したフレームのデータを除くデータから第2のストリームデータを生成するように制御する制御部と、前記第1のストリームデータと、前記第2のストリームデータと、に基づくブロードキャスト信号を送信する送信部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、ブロードキャスト信号を受信する放送受信装置であって、各サービスに含まれる映像データから分離されたIフレームまたはIフレームを含む数フレームのデータにより生成された第1のストリームデータと、前記サービスに含まれる映像データのうち前記分離されたフレームのデータを除くデータから生成された第2のストリームデータと、に基づくブロードキャスト信号を受信する受信部と、映像データを表示する表示部と、前記第1のストリームデータおよび前記第2のストリームデータに基づき、サービスの映像データを前記表示部に表示するように制御する制御部と、を備え、前記制御部が、前記ブロードキャスト信号のうち、前記第1のストリームデータの受信を開始し、該受信が開始された後にサービスの選局が行われた場合、前記受信された第1のストリームデータの映像データを前記表示部に表示するように制御することを特徴とする。
【0013】
また、前記放送受信装置において、前記制御部は、前記ブロードキャスト信号のうち、前記表示部に表示されている映像データのサービス以外のサービスに係る第1のストリームデータの受信を開始し、該受信が開始された後にサービスの選局が行われた場合、前記受信した第1のストリームデータの映像データを前記表示部に表示するように制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明による放送装置および放送受信装置によれば、放送装置が各サービスに含まれる映像データのうちIフレームまたはIフレームを含む数フレームのデータを分離して第1のストリームデータを生成するとともに、前記分離したフレームのデータを除くデータから第2のストリームデータを生成し、第1のストリームデータと第2のストリームデータに基づくブロードキャスト信号を送信し、放送受信装置が前記ブロードキャスト信号のうち、前記第1のストリームデータの受信を開始し、該受信が開始された後にサービスが選局された場合、前記第1のストリームデータの映像データを表示部に表示するため、選局を行った際に、映像データが表示されるまでの待ち時間を短くすることができる。また、放送受信装置は、選局時間を短縮するために、第1のストリームデータのみを予め受信しておけばよいので、極力少ない消費電力で選局時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の放送装置および放送受信装置を示す図である。
【図2】放送装置の構成例を示す図である。
【図3】放送受信装置の構成例を示す図である。
【図4】放送装置がサービスの映像データを生成してから送信するまでの動作を示すフローチャートである。
【図5】放送受信装置における第1実施の形態に係るザッピング処理のフローチャートである。
【図6】放送受信装置における第2実施の形態に係るザッピング処理のフローチャートである。
【図7】放送受信装置における第3実施の形態に係るザッピング処理のフローチャートである。
【図8】放送受信装置における第4実施の形態に係るザッピング処理のフローチャートである。
【図9】放送装置において別MLCが各スーパーフレーム中の先頭Iフレームのみの場合のメインMLCと別MLCの生成方法を示す図である。
【図10】放送装置において別MLCが各スーパーフレーム中の先頭Iフレームを含む数フレームの場合のメインMLCと別MLCの生成方法を示す図である。
【図11】放送装置におけるサブMLCの生成方法を示す図である。
【図12】本発明において別MLCが各スーパーフレームの先頭Iフレームのみの場合の放送受信装置における選局時の映像の切り替わりを示す図である。
【図13】本発明において別MLCが各スーパーフレームの先頭Iフレームを含む数フレーム場合の放送受信装置における選局時の映像の切り替わりを示す図である。
【図14】FLOのインタレース構成を示す図である。
【図15】インタレースに対するサービスの割り当て例を示す図である。
【図16】MediaFLOのスーパーフレーム(Super Frame)を示す図である。
【図17】スーパーフレームにおける、あるサービスのMLCの映像データの並びを示す図である。
【図18】従来の映像表示の切り替わりを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の放送装置および放送受信装置を示す図である。放送受信装置101は、放送装置100から送信されるブロードキャスト信号を受信し、各種データをデコードし、出力する。
【0017】
図2は、図1に示す放送装置の構成例を示す図である。放送装置は、放送データ生成部200と、多重化処理部204と、変調部205と、送信部206により構成されている。放送データ生成部200は、サービス生成部201と、データ分離部202と、ストリーム生成部203により構成されている。
【0018】
サービス生成部201は、放送する1つ以上のサービスのデータを生成する。データ分離部202は、各サービスの映像データから、例えば1秒毎に先頭のIフレームもしくは先頭のIフレームを含む数フレームのデータを分離する。ストリーム生成部203は、データ分離部202で分離したサービスのデータ(第1のストリームデータ)と、データ分離部202で分離した後に残ったサービスのデータ(第2のストリームデータ)を、それぞれ別ストリーム、メインストリームとして生成し直す。
多重化処理部204は、ストリーム生成部203で生成された複数のサービスの別ストリームを、必要があればまとめて1つのサブストリームとして多重化する。
変調部205は、ストリーム生成部203で生成されたストリームおよび多重化処理部204で多重化されたストリームをOFDM信号に変調する。
送信部206は、OFDM信号を設定された値まで増幅し、送信アンテナから出力(ブロードキャスト信号の送信)する。このとき、メインストリーム、別ストリーム、サブストリームは、送信部206から、それぞれメインMLC、別MLC、サブMLCとして送信される。
【0019】
図3は、図1に示す放送受信装置の構成例を示す図である。放送受信装置は、チューナ300と、復調部301と、音声デコーダ部302と、音声出力部303と、映像デコーダ部304と、映像表示部305と、制御部306と、記憶部315と、操作部320により構成されている。
制御部306は、ザッピング判定部307と、映像データ統合部308と、受信MLC制御部309と、別MLC・サブMLCデコードデータ表示制御部310と、サービス視聴継続時間計測部311と、サービス視聴継続時間判定部312と、受信別MLC選択モード切替制御部313と、サブMLCデータ分離部314により構成されている。
記憶部315は、別MLC・サブMLC映像データ記憶部316と、サービス視聴継続時間記憶部317と、視聴モード記憶部318と、受信別MLC記憶部319を備えている。
また、操作部320は、サービス選局操作部321と、ザッピングモード・通常視聴モード切替部322と、受信別MLC選択モード切替部323により構成されている。
【0020】
チューナ300は、放送波を受信(ブロードキャスト信号の受信)する。復調部301は、チューナ300が受信した放送波を復調し、必要なデータを取り出す。音声デコーダ部302は、視聴サービスの音声データをデコードする。音声出力部303は、音声デコーダ部302でデコードされた音声データを出力する。映像デコーダ部304は、視聴サービスの映像データをデコードする。映像表示部305は、映像デコーダ部304でデコードされた映像データを表示する。
【0021】
ザッピング判定部307は、ザッピングが行われているか否かを判定する。映像データ統合部308は、メインMLC、別MLC、またはメインMLCおよびサブMLCの映像データを統合する。受信MLC制御部309は、受信するMLCを制御する。別MLC・サブMLCデコードデータ表示制御部310は、ザッピングの際に選局したサービスの別MLCまたはサブMLCのデコードデータを表示するように制御する。サービス視聴継続時間計測部311は、視聴中サービスの視聴継続時間を計測する。サービス視聴継続時間判定部312は、サービス視聴継続時間が視聴中サービス以外のサービスの別MLCの受信を停止する閾値を超えたか否かを判定する。受信別MLC選択モード切替制御部313は、受信別MLC選択モード(ザッピング開始時に受信中のサービス以外で受信する別MLCを選択するモード)への切替を制御する。サブMLCデータ分離部314は、サブMLCのデータをサービスごとのデータに分離する。
【0022】
別MLC・サブMLC映像データ記憶部316は、受信した別MLCおよびサブMLCの映像データを記憶しておく。サービス視聴継続時間記憶部317は、サービスの視聴継続時間を記憶しておく。視聴モード記憶部318は、視聴モードとしてザッピングモード(1つ以上のサービスに対する別MLCを受信するモード)または通常視聴モード(別MLCの内、選局しているサービスの別MLCのみを受信するモード)を記憶しておく。受信別MLC記憶部319は、受信別MLC選択モードで選択された別MLCを記憶しておく。
【0023】
サービス選局操作部321は、サービスの選局を行う。ザッピングモード・通常視聴モード切替部322は、ザッピングモードと通常視聴モードの切替を行う。受信別MLC選択モード切替部323は、受信別MLC選択モードと選局中のサービスを視聴するモードの切替を行う。
【0024】
図4は、本発明の放送装置がサービスの映像データを生成してから送信するまでの動作を示すフローチャートである。
放送装置は、最初に、サービス生成部201により、送信する1つ以上のサービスのデータを生成する(S101)。次に、データ分離部202により、各サービスの映像データのストリームにおいて例えば1秒単位で先頭のIフレームまたは先頭のIフレームを含む数フレームのデータを分離する(S102)。更に、ストリーム生成部203により、残ったデータと分離したデータから、それぞれメインストリームと別ストリームを生成する(S103)。また、多重化処理部204により、必要があれば複数のサービスの別ストリームを1つのサブストリームとして多重化する(S104、S105)。その後、変調部205により、各ストリームをOFDM信号に変調し(S106)、送信部206により、メインストリーム、別ストリーム、サブストリームをそれぞれメインMLC、別MLC、サブMLCとして送信する(S107)。
【0025】
図5は、放送受信装置における第1実施の形態に係るザッピング処理のフローチャートである。第1実施の形態は、視聴継続時間が閾値を超えることを各サービスの別MLC受信終了のトリガーとした場合の動作である。開始の時点では受信装置の電源が入っており、視聴アプリケーション起動中は、このフローチャートの処理を継続して行うものとする。
放送受信装置は、最初に、制御部306が、サービス選局操作部321によりサービスの選局処理が行われたか否かの判定を行う(S201)。サービスの選局処理が行われた場合(Yesの場合)は、サービス視聴継続時間記憶部317を初期化する(S202)。次に、受信MLC制御部309により、各サービスの別MLCが受信されている(表示部に表示されている映像データのサービス以外のサービスに係る第1のストリームデータの受信を開始している)か否かの判定を行う(S203)。各サービスの別MLCが受信されている場合(Yesの場合)は、予め取得して別MLC・サブMLC映像データ記憶部316に保存しておいた、選局したサービスの別MLCのデータを、別MLC・サブMLCデコードデータ表示制御部310の制御により、デコードしてデコードデータを映像表示部305に表示する(S204)。各サービスの別MLCが受信されていない場合(Noの場合)は、受信MLC制御部309の制御により、各サービスの別MLCを受信し(表示部に表示されている映像データのサービス以外のサービスに係る第1のストリームデータの受信を開始し)(S205)、その後、選局したサービスのメインMLCを受信する(S206)。その後、映像データ統合部308により、メインMLCの映像データと別MLCの映像データを組み合わせて1つのサービスとしてデコードし(S207)、そして、そのサービスのデコードデータを映像表示部305に表示する(S208)。次に、サービス視聴継続時間計測部311において、サービス視聴開始後の視聴継続時間の計測を開始する(S209)。
【0026】
サービス視聴継続時間の計測開始後、もしくはS201においてサービスの選局処理が行われなかった場合(Noの場合)、サービス視聴継続時間判定部312により、サービス視聴継続時間を計測中であるか否かの判定を行う(S210)。計測中でない場合(Noの場合)、アプリケーション起動中であれば、再度、サービスの選局処理の判定を行う(S201)。計測中である場合(Yesの場合)は、サービス視聴継続時間判定部312により、視聴継続時間が閾値を超えたか否かの判定を行う(S211)。サービス視聴継続時間が閾値を超えていない場合(Noの場合)、再度、サービスの選局処理の判定を行う(S201)。サービス視聴継続時間が閾値を超えた場合(Yesの場合)、ユーザは、選局したサービスを視聴し続ける可能性が高いので、ザッピングが終了したと判断して、省電力を図るため、受信MLC制御部309の制御により、選局したサービス以外のサービスの別MLCの受信を停止し(S212)、サービス視聴継続時間の計測を停止する(S213)。アプリケーション起動中であれば、再度、サービスの選局処理の判定を行う(S201)。アプリケーション起動中でなければ、フローチャートの処理を終了する。
【0027】
図6は、放送受信装置における第2実施の形態に係るザッピング処理のフローチャートである。第2実施の形態は、受信する別MLCを選択するモードを有している場合の動作である。開始の時点では受信装置の電源が入っており、視聴アプリケーション起動中は、このフローチャートの処理を継続して行うものとする。
放送受信装置は、最初に、制御部306が、サービス選局操作部321によりサービスの選局処理が行われたか否かの判定を行う(S301)。サービスの選局処理が行われた場合(Yesの場合)は、受信MLC制御部309により、選局したサービスの別MLCが受信されている(表示部に表示されている映像データのサービス以外のサービスに係る第1のストリームデータの受信を開始している)か否かの判定を行う(S302)。選局したサービスの別MLCを受信している場合(Yesの場合)は、予め取得して別MLC・サブMLC映像データ記憶部316に保存しておいた、当該サービスの別MLCのデータを、別MLC・サブMLCデコードデータ表示制御部310の制御により、デコードしてデコードデータを映像表示部305に表示する(S303)。デコードデータを表示してから、受信MLC制御部309の制御により、選局したサービスのメインMLCを受信する(S304)。
S302において、選局したサービスの別MLCを受信していない場合(Noの場合)は、受信MLC制御部309の制御により、選局したサービスのメインMLCと別MLCをともに受信する(S305)。その後、映像データ統合部308により、メインMLCの映像データと別MLCの映像データを組み合わせて1つのサービスとしてデコードし(S306)、そして、そのデコードデータを映像表示部305に表示する(S307)。
【0028】
サービスの選局処理に対するサービス表示処理後、もしくはS301においてサービスの選局処理が行われなかった場合(Noの場合)、受信MLC制御部309により、受信別MLC選択モード切替ボタン(受信別MLC選択モード切替部323)が押下されたか否かの判定を行い(S308)、受信別MLC選択モード切替ボタンが押下された場合(Yesの場合)、映像表示部305が受信別MLC選択モード画面であるか否かの判定を行う(S309)。受信別MLC選択モード画面であれば(Yesの場合)、受信別MLC選択モード切替制御部313の制御により、映像表示部305を、選局しているサービスに切り替える(S310)。この場合は、ユーザが、現在のサービスを視聴し続ける可能性が高いので、省電力を図るため、選局しているサービス以外のサービスの別MLCの受信を停止する(S311)。
S309において、映像表示部305が受信別MLC選択モード画面でなく、選局したサービスの映像であれば(Noの場合)、受信別MLC選択モード切替制御部313の制御により、映像表示部305を、受信別MLC選択モード画面に切り替える(S312)。次に、ユーザが受信する別MLCを選択すると、受信MLC制御部309の制御により、選択した別MLCの受信を開始する(表示部に表示されている映像データのサービス以外のサービスに係る第1のストリームデータの受信を開始する)(S313)。
S308の受信別MLC選択モード切替ボタンの押下判定において、ボタンが押下されなかった場合(Noの場合)、および、S311において別MLCの受信を停止した場合、アプリケーション起動中であれば、再度、サービスの選局処理の判定を行う(S301)。アプリケーション起動中でなければ、フローチャートの処理を終了する。
【0029】
図7は、放送受信装置における第3実施の形態に係るザッピング処理のフローチャートである。第3実施の形態は、ザッピングモードと視聴モードを有する場合の動作である。なお、ザッピングモードでは、全てのサービスに対する別MLCを受信する(第1のストリームデータの受信を開始する)。開始の時点では受信装置の電源が入っており、視聴アプリケーション起動中は、このフローチャートの処理を継続して行うものとする。
放送受信装置は、最初に、制御部306が、サービス選局操作部321によりサービスの選局処理が行われたか否かの判定を行う(S401)。サービスの選局処理が行われた場合(Yesの場合)は、ザッピング判定部307により、視聴モード記憶部318を参照して視聴モードがザッピングモードであるか否かの判定を行う(S402)。視聴モードがザッピングモードの場合(Yesの場合)は、予め取得して別MLC・サブMLC映像データ記憶部316に保存しておいた選局したサービスの別MLCデータを、別MLC・サブMLCデコードデータ表示制御部310の制御により、デコードしてデコードデータを映像表示部305に表示する(S403)。そして、受信MLC制御部309の制御により、選局したサービスのメインMLCを受信する(S404)。S402において、視聴モードがザッピングモードでなく、通常視聴モードである場合(Noの場合)は、受信MLC制御部309の制御により、選局したサービスのメインMLCと別MLCをともに受信する(S405)。
その後、映像データ統合部308により、メインMLCの映像データと別MLCの映像データを組み合わせて1つのサービスとしてデコードし(S406)、サービスのデコードデータを映像表示部305に表示する(S407)。
【0030】
サービスの選局処理があった場合のサービス表示処理後か、もしくはS401においてサービスの選局処理が行われなかった場合(Noの場合)、受信MLC制御部309により、ザッピングモード切替ボタン(ザッピングモード通常視聴モード切替部322)が押下されたか否かの判定を行う(S408)。ザッピングモード切替ボタンが押下された場合(Yesの場合)、ザッピング判定部307により、視聴モードがザッピングモードであるか否かの判定を行う(S409)。視聴モードがザッピングモードである場合(Yesの場合)は、受信MLC制御部309の制御により、通常視聴モードに切替え(S410)、選局しているサービス以外の別MLCの受信を停止する(S411)。S409において、通常視聴モードであれば(Noの場合)、受信MLC制御部309の制御により、ザッピングモードに切替え(S412)、各サービスの別MLCを受信する(S413)。
ザッピングモード切替ボタンの押下に対する処理終了後、もしくはS408におけるザッピングモード切替ボタンの押下判定において、ボタンが押下されていないと判定された場合(Noの場合)、アプリケーション起動中であれば、再度、選局処理の判定を行う(S401)。アプリケーション起動中でなければ、フローチャートの処理を終了する。
【0031】
図8は、放送受信装置における第4実施の形態に係るザッピング処理のフローチャートである。第4実施の形態は、放送装置が、各サービスの別ストリームをまとめて1つのサブストリームとし、サブストリームをサブMLCとして送信した場合の動作である。なお、本実施の形態においては、常にサブMLCを受信している(第1のストリームデータの受信を開始している)。開始の時点では受信装置の電源が入っており、視聴アプリケーション起動中は、このフローチャートの処理を繰り返すものとする。
放送受信装置は、最初に、受信MLC制御部309が、サービス選局操作部321によりサービスの選局処理が行われたか否かの判定を行う(S501)。サービスの選局処理が行われた場合(Yesの場合)は、サブMLCデータ分離部314により、サブMLCデータ中の選局したサービスのデータを分離し(S502)、次に、分離したデータをデコードし(S503)、デコードしたデータを映像表示部305に表示する(S504)。その後、受信MLC制御部309の制御により、メインMLCを受信し(S505)、映像データ統合部308により、メインMLCの映像データとサブMLC中の選局したサービスの映像データとを組み合わせて1つのサービスとしてデコードし(S506)、そのデコードデータを映像表示部305に表示する(S507)。アプリケーション起動中であれば、再度、サービスの選局処理の判定を行う(S401)。アプリケーション起動中でなければ、フローチャートの処理を終了する。
【0032】
図9は、本発明の放送装置において別MLCが各スーパーフレーム中の先頭Iフレームのみの場合のメインMLCと別MLCの生成方法を示す図である。
サービス1の映像データを含むMLC1の別MLCは、各スーパーフレームにおけるMLC1の映像データの先頭Iフレームを分離して生成される。残ったPフレームのデータがメインMLCとなる。なお、分離したフレームの時系列は、デコードの際のデータの同期に重要になるので、分離後も分離前から変化させない。
【0033】
図10は、本発明の放送装置において別MLCが各スーパーフレーム中の先頭Iフレームを含む数フレームの場合のメインMLCと別MLCの生成方法を示す図である。
別MLCに含まれる映像フレームデータが、各スーパーフレームにおける別MLC生成の対象となるMLCの映像データの先頭Iフレームを含む数フレームである点を除いて、図9と同様である。
【0034】
図11は、本発明の放送装置におけるサブMLCの生成方法を示す図である。
MLC1、MLC2、MLC3・・・の別MLCが存在するとして、図9、図10の場合と同様、時系列を維持する必要があるので、これらの別MLCを時間領域において重畳し、サブMLCを生成する。サブMLC中の映像データは、どのMLCから分離されたものかという情報を有する。
【0035】
図12は、本発明において別MLCが各スーパーフレームの先頭Iフレームのみの場合の放送受信装置における選局時の映像の切り替わりを示す図である。
選局された際に、まず記憶部に保存されている、選局されたサービスの別MLCのデータをデコードしてIフレーム1枚のデコードデータを表示し、メインMLCと別MLCの映像データを組み合わせて1つのサービスとしてデコードされ次第、組み合わせデータの表示を行う。組み合わせデータが表示されるまでは、別MLCのIフレーム1枚のデコードデータが静止画として表示されたままとなる。
【0036】
図13は、本発明において別MLCが各スーパーフレームの先頭Iフレームを含む数フレーム場合の放送受信装置における選局時の映像の切り替わりを示す図である。
選局された際に、まず記憶部に保存されている、選局されたサービスの別MLCのデータをデコードしてIフレームから始まる数フレームを表示し、メインMLCと別MLCの映像データを組み合わせて1つのサービスとしてデコードされ次第、組み合わせデータの表示を行う。組み合わせデータが表示されるまでは、別MLCのIフレームから始まる数フレームの最後のフレームが静止画として表示されたままとなる。
【0037】
上述したように、本発明による放送装置および放送受信装置は、放送装置が各サービスに含まれる映像データのうちIフレームまたはIフレームを含む数フレームのデータを分離して第1のストリームデータを生成するとともに、前記分離したフレームのデータを除くデータから第2のストリームデータを生成し、第1のストリームデータと第2のストリームデータに基づくブロードキャスト信号を送信し、放送受信装置が前記ブロードキャスト信号のうち、前記第1のストリームデータの受信を開始し、該受信が開始された後にサービスが選局された場合、前記第1のストリームデータの映像データを表示部に表示するため、選局を行った際に、映像データが表示されるまでの待ち時間を短くすることができる。また、放送受信装置は、選局時間を短縮するために、第1のストリームデータのみを予め受信しておけばよいので、極力少ない消費電力で選局時間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0038】
100 放送装置
101 放送受信装置
200 放送データ生成部
201 サービス生成部
202 データ分離部
203 ストリーム生成部
204 多重化処理部
205 変調部
206 送信部
300 チューナ部
301 復調部
302 音声デコーダ部
303 音声出力部
304 映像デコーダ部
305 映像表示部
306 制御部
307 ザッピング判定部
308 映像データ統合部
309 受信MLC制御部
310 別MLC・サブMLCデコードデータ表示制御部
311 サービス視聴継続時間計測部
312 サービス視聴継続時間判定部
313 受信別MLC選択モード切替制御部
314 サブMLCデータ分離部
315 記憶部
316 別MLC・サブMLC映像データ記憶部
317 サービス視聴継続時間記憶部
318 視聴モード記憶部
319 受信別MLC記憶部
320 操作部
321 サービス選局操作部
322 ザッピングモード・通常視聴モード切替部
323 受信別MLC選択モード切替部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロードキャスト信号を送信する放送装置であって、
各サービスに含まれる映像データからIフレームまたはIフレームを含む数フレームのデータを分離して第1のストリームデータを生成するとともに、前記サービスに含まれる映像データのうち前記分離したフレームのデータを除くデータから第2のストリームデータを生成するように制御する制御部と、
前記第1のストリームデータと、前記第2のストリームデータと、に基づくブロードキャスト信号を送信する送信部と、
を備えた放送装置。
【請求項2】
ブロードキャスト信号を受信する放送受信装置であって、
各サービスに含まれる映像データから分離されたIフレームまたはIフレームを含む数フレームのデータにより生成された第1のストリームデータと、前記サービスに含まれる映像データのうち前記分離されたフレームのデータを除くデータから生成された第2のストリームデータと、に基づくブロードキャスト信号を受信する受信部と、
映像データを表示する表示部と、
前記第1のストリームデータおよび前記第2のストリームデータに基づき、サービスの映像データを前記表示部に表示するように制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記ブロードキャスト信号のうち、前記第1のストリームデータの受信を開始し、該受信が開始された後にサービスの選局が行われた場合、前記受信された第1のストリームデータの映像データを前記表示部に表示するように制御することを特徴とする放送受信装置。
【請求項3】
請求項2に記載の放送受信装置において、
前記制御部は、前記ブロードキャスト信号のうち、前記表示部に表示されている映像データのサービス以外のサービスに係る第1のストリームデータの受信を開始し、該受信が開始された後にサービスの選局が行われた場合、前記受信した第1のストリームデータの映像データを前記表示部に表示するように制御することを特徴とする放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−177962(P2010−177962A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17341(P2009−17341)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】