説明

救急通信システム

【課題】 専用のネットワーク構築が必要でなく、しかもセキュリティ上の問題の少ない緊急通信システムを提供する。
【解決手段】 病院コンピュータ2からは、アドレス信号が所定間隔で救急車コンピュータ4に与えられている。患者データの送信を行う場合には、救急車コンピュータ4の開始認識可能信号送信手段20が、アドレス信号に応答して、送信開始認識可能信号を病院コンピュータ2に返信する。救急車コンピュータ4のデータ送信手段22は、これに接続された心電計やカメラなどによって取得した患者データを、病院コンピュータ4からのアドレス信号に対する返信として送信する。病院コンピュータ2のデータ受信手段12は、このようにして送信されてきた患者データを受信して取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、救急車において取得した患者の生体データなどの患者データを、病院などの医療機関に送信するための救急通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
救急車にて患者を搬送している際に、患者の心電図を取得することが提案されている。いち早く患者の状態を取得することで、病院への搬送後の治療に役立てるためである。このような用途に適合するものとして、たとえば、携帯型の解機能付き多機能心電計(大日本住友製薬(株)のレーダーサーク(商標)など)が用いられている。
さらに、救急車にて搬送中の患者について、病院から遠隔にて医者から治療の指示を与えるため、救急車で搬送中の患者の状態を取得することが提案されている(特許文献1、2)。
【0003】
また、救急車から病院への心電図などの送信のために図1に示すような送信システムが用いられている。救急車A1、A2には、心電計(図示せず)が搭載されている。また、救急車A1、A2には、心電計によって計測した心電情報を、病院に送信するための送信装置S1、S2が設けられている。送信装置S1、S2は、携帯電話回線を通じてインターネットのアクセスポイントに接続するためのデータ通信カードF1、F2を有している。
【0004】
一方、病院Hには、固定IPの付与されたコンピュータC1、C2、C3が設置されている。これらコンピュータC1、C2、C3は、専用ルータRを介して、インターネットに接続されている。
【0005】
救急車A1、A2から、病院HのコンピュータC1、C2、C3に対して、心電図データを送信する場合には、送信装置S1、S2は、まず、データ通信カードF1、F2により、インターネットにダイヤルアップ接続を行う。次に、可搬性記録媒体SD1、SD2に予め記録されている病院HのコンピュータC1、C2、C3のIPアドレスを取得する。そして、IPアドレスを特定して、いずれかのコンピュータC1、C2、C3との通信を確立し、インターネットを介して、心電図データを送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−178800
【特許文献2】特開平11−33000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記図1に示すシステムでは、救急車A1、A2の側から呼び出しができるように、病院HのコンピュータC1、C2、C3に固定IPアドレスを割り当てておき、救急車A1、A2の送信装置S1、S2から、この固定IPアドレスに対して呼び出しを行うようにしている。したがって、病院HのコンピュータC1、C2、C3の固定IPアドレスが何らかの要因で外部に漏れてしまうと、インターネットを介してアクセス可能となるというセキュリティ上の問題がある。特に、コンピュータC1、C2、C3が病院内のLANに接続されている場合には、当該LANを介して他のコンピュータの情報(カルテなどの個人情報など)も取得されてしまうおそれがある。したがって、コンピュータC1、C2、C3は、他のコンピュータが接続されているLANとは別の専用のネットワークを構築しなければならなかった。
【0008】
この発明は上記のような従来技術の問題点を解決して、専用のネットワーク構築が必要でなく、しかもセキュリティ上の問題の少ない緊急通信システムを提供することを目的とする。
【0009】
また、セキュリティ上の問題などにより病院のコンピュータの側から救急車のコンピュータを呼び出すようにする場合には、救急車側のコンピュータは常にインターネットに接続されていなければならない。しかし、救急車側のコンピュータが、ダイヤルアップ接続にてインターネットに接続されている場合、データ通信がなされないと接続が切れてしまうという問題があった。
【0010】
この発明は上記のような問題点を解決して、救急車側のコンピュータがダイヤルアップ接続にてインターネットに接続されている場合であっても、必要なデータ通信がなされるか否かに拘わらず接続を維持することのできる緊急通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)この発明に係る救急通信システムは、
医療機関において使用される医療機関コンピュータと救急車に搭載された救急車コンピュータとを備えた救急通信システムであって、
前記医療機関コンピュータは、各救急車コンピュータを識別するため、各救急車コンピュータに割り当てられた識別アドレスを記録する記録部と、救急車コンピュータと通信するための通信部と、記録部に記録された各救急車コンピュータの識別アドレスを用い、通信部を介して、各救急車コンピュータに対し、動的な識別アドレスに変換される識別アドレスを含むアドレス信号を送信するアドレス信号送信手段と、通信部を介して、救急車コンピュータから送信されてくる患者データを受信するデータ受信手段とを備え、
前記救急車コンピュータは、医療機関コンピュータと通信するための通信部と、救急車コンピュータの要求にて患者データを送信する場合、通信部を介して、医療機関コンピュータからのアドレス信号を受けた時に、これに対する返信として、当該アドレス信号に含まれる医療機関コンピュータの前記動的な識別アドレスを用いて、医療機関コンピュータに対して送信開始認識可能信号を送信する開始認識可能信号送信手段と、通信部を介して、医療機関コンピュータに対して送信開始認識可能信号を送信した後に、医療機関コンピュータからのアドレス信号に対する返信として、当該アドレス信号に含まれる医療機関コンピュータの前記動的な識別アドレスを用いて、当該医療機関コンピュータに対して、患者データを送信するデータ送信手段とを備えることを特徴としている。
【0012】
したがって、救急車コンピュータの側から呼び出しが可能であるとともに、医療機関コンピュータは、動的な識別アドレスに変換される識別アドレスを用いて救急車コンピュータと通信を行うので、外部からの意図しないアクセスを避けることができ、セキュリティ上の問題も少ない。
【0013】
(6)この発明に係る救急通信システムは、医療機関コンピュータが、医療機関コンピュータの要求にて患者データを送信する場合、記録部に記録された対象とする救急車コンピュータの識別アドレスを用い、通信部を介して、当該対象とする救急車コンピュータに対し、データ送信開始指令を送信する送信開始指令手段を備え、救急車コンピュータの前記データ送信手段が、医療機関コンピュータからのデータ送信開始指令に続いて送られてくるアドレス信号に対する返信として、または医療機関コンピュータに対して送信可能認識信号を送信した後に送られてくるアドレス信号に対する返信として、当該アドレス信号に含まれる医療機関コンピュータの前記動的な識別アドレスを用いて、当該医療機関コンピュータに対して、通信部を介して、患者データを送信するデータ送信手段を備えたことを特徴としている。
【0014】
したがって、医療機関の側からも呼び出しを行うことが可能となる。
【0015】
(7)この発明に係る救急通信システムは、救急車コンピュータが、医療機関コンピュータからのアドレス信号を受け、患者データを当該医療機関コンピュータに送信可能かどうかという状態を、アドレス信号に対する返信として、当該アドレス信号に含まれる医療機関コンピュータの前記動的な識別アドレスを用いて、当該医療機関コンピュータに対して、通信部を介して、返信する状態返信手段を備えることを特徴としている。
【0016】
したがって、医療機関コンピュータの側において、各救急車コンピュータの現在の状態を知ることができる。
【0017】
(8)この発明に係る救急通信システムは、救急車コンピュータが、通信部によってインターネットのアクセスポイントに接続する接続手段と、アクセスポイントとの通信のない状態が継続する場合には、前記接続が遮断されることを防止するため、所定時間ごとに接続確立のためのダミーパケットを、通信部によって送信するダミーパケット送信手段とを備えることを特徴としている。
【0018】
したがって、救急車コンピュータは、インターネットへの接続を継続することができ、再接続に時間をとられるおそれがない。
【0019】
(9)この発明に係る救急通信システムは、各救急車コンピュータに割り当てられた識別アドレスが、前記医療機関コンピュータと通信可能な救急車識別アドレスサーバ装置から、前記医療機関コンピュータが取得するものであることを特徴としている。
【0020】
したがって、救急車コンピュータの識別アドレスの追加や変更があった場合に、救急車識別アドレスサーバ装置の記録内容を変更するだけで対応することができる。
【0021】
(10)この発明に係る救急通信システムは、各救急車コンピュータの識別アドレスが、グローバルIPアドレスであり、医療機関コンピュータの識別アドレス、ローカルIPアドレスであることを特徴としている。
【0022】
(12)この発明に係る救急通信システムは、医療機関において使用される医療機関コンピュータと救急車に搭載された救急車コンピュータとを備えた救急通信システムであって、
前記医療機関コンピュータは、各救急車コンピュータを識別するため、各救急車コンピュータに割り当てられた識別アドレスを記録する記録部と、救急車コンピュータと通信するための通信部と、記録部に記録された各救急車コンピュータの識別アドレスを用い、通信部を介して、各救急車コンピュータに対し、動的な識別アドレスに変換される識別アドレスを含むアドレス信号を送信するアドレス信号送信手段と、医療機関コンピュータの要求にて患者データを送信する場合、記録部に記録された対象とする救急車コンピュータの識別アドレスを用い、通信部を介して、当該対象とする救急車コンピュータに対し、動的な識別アドレスに変換される識別アドレスを含むデータ送信開始指令を送信する送信開始指令手段と、通信部を介して、救急車コンピュータから送信されてくる患者データを受信するデータ受信手段とを備え、
前記救急車コンピュータは、医療機関コンピュータと通信するための通信部と、医療機関コンピュータからのデータ送信開始指令に続いて送られてくるアドレス信号に対する返信として、当該アドレス信号に含まれる医療機関コンピュータの前記動的な識別アドレスを用いて、当該医療機関コンピュータに対して、通信部を介して、患者データを送信するデータ送信手段とを備えることを特徴としている。
【0023】
したがって、医療期間コンピュータの側から呼び出しが可能であるとともに、医療機関コンピュータは、動的な識別アドレスに変換される識別アドレスを用いて救急車コンピュータと通信を行うので、外部からの意図しないアクセスを避けることができ、セキュリティ上の問題も少ない。
【0024】
(17)この発明に係る救急通信システムは、救急車コンピュータが、医療機関コンピュータからのアドレス信号を受け、患者データを当該医療機関コンピュータに送信可能かどうかという状態を、アドレス信号に対する返信として、当該アドレス信号に含まれる医療機関コンピュータの前記動的な識別アドレスを用いて、当該医療機関コンピュータに対して、通信部を介して、返信する状態返信手段を備えることを特徴としている。
【0025】
したがって、医療機関コンピュータの側において、各救急車コンピュータの現在の状態を知ることができる。
【0026】
(18)この発明に係る救急通信システムは、救急車コンピュータが、通信部によってインターネットのアクセスポイントに接続する接続手段と、アクセスポイントとの通信のない状態が継続する場合には、前記接続が遮断されることを防止するため、所定時間ごとに接続確立のためのダミーパケットを、通信部によって送信するダミーパケット送信手段とを備えることを特徴としている。
【0027】
したがって、救急車コンピュータは、インターネットへの接続を継続することができ、再接続に時間をとられるおそれがない。
【0028】
(19)この発明に係る救急通信システムは、各救急車コンピュータに割り当てられた識別アドレスが、前記医療機関コンピュータと通信可能な救急車識別アドレスサーバ装置から、前記医療機関コンピュータが取得するものであることを特徴としている。
【0029】
したがって、救急車コンピュータの識別アドレスの追加や変更があった場合に、救急車識別アドレスサーバ装置の記録内容を変更するだけで対応することができる。
【0030】
(20)この発明に係る救急通信システムは、各救急車コンピュータの識別アドレスが、グローバルIPアドレスであり、医療機関コンピュータの識別アドレスが、ローカルIPアドレスであることを特徴としている。
【0031】
(22)この発明に係る救急通信システムは、医療機関において使用される医療機関コンピュータと救急車に搭載された救急車コンピュータとを備えた救急通信システムであって、
前記医療機関コンピュータは、各救急車コンピュータを識別するため、各救急車コンピュータに割り当てられた識別アドレスを記録する記録部と、救急車コンピュータと通信するための通信部と、通信部を介して、救急車コンピュータから送信されてくる患者データを受信するデータ受信手段とを備え、
前記救急車コンピュータは、医療機関コンピュータと通信するための通信部と、前記通信部によってインターネットのアクセスポイントに接続する接続手段と、前記アクセスポイントとの通信のない状態が継続する場合には、前記接続が遮断されることを防止するため、所定時間ごとに接続確立のためのダミーパケットを、通信部によって送信するダミーパケット送信手段と、通信部を介して、医療機関コンピュータに対して、患者データを送信するデータ送信手段とを備えることを特徴としている。
【0032】
したがって、救急車コンピュータは、インターネットへの接続を継続することができ、再接続に時間をとられるおそれがない。
【0033】
(26)この発明に係る救急通信システムは、データ送信手段が、医療機関コンピュータからのアドレス信号に対する返信として、当該アドレス信号に含まれる医療機関コンピュータの動的な識別アドレスを用いて、当該医療機関コンピュータに対して、患者データを送信することを特徴としている。
【0034】
したがって、医療機関コンピュータは、動的な識別アドレスに変換される識別アドレスを用いて救急車コンピュータと通信を行うので、外部からの意図しないアクセスを避けることができ、セキュリティ上の問題も少ない。
【0035】
この発明において、「識別アドレス」とは、通信のためにコンピュータなどを特定するためのアドレスをいい、実施形態では、IPアドレスがこれに該当する。また、IPアドレスにポート番号が含まれる場合には、ポート番号を含んだものがこれに該当する。
【0036】
「アドレス信号送信手段」とは、少なくとも自らの識別アドレスを含む信号を送信する手段をいい、実施形態においては、図8の状態K1に示す状態要求送信処理がこれに対応する。
【0037】
「データ受信手段」は、実施形態においては、図8の状態K5に示すデータ受信記録処理がこれに対応する。
【0038】
「開始認識可能信号送信手段」とは、少なくとも送信開始認識可能信号を含む信号を送信する手段をいい、実施形態においては、図7の状態J4の送信開始通知返信処理がこれに対応する。
【0039】
「送信開始認識可能信号」とは、少なくとも、受信した相手方においてデータ送信が開始されることを認識する信号をいい、実施形態においては「送信開始通知」がこれに該当する。また、「送信開始通知」を用いない場合に、一連のデータ送信の最初に送信したデータによって相手方がデータ送信の開始を認識する場合、当該最初に送信したデータもこれに該当する。
【0040】
「データ送信手段」は、実施形態においては、図7の状態J6のデータ送信処理がこれに対応する。
【0041】
「送信開始指令手段」は、実施形態においては、図8の状態K3の送信開始指令送信処理がこれに対応する。
【0042】
「返信手段」は、アドレス信号に対して何らかの返信を行う手段をいう。「状態返信手段」は、アドレス信号に対して、自らの状態を返信する手段をいい、実施形態においては、図7の状態J1、J8の返信処理がこれに対応する。
【0043】
「接続手段」は、実施形態においては、図7の状態J10の接続処理がこれに対応する。
【0044】
「ダミーパケット送信手段」は、実施形態においては、図7の状態J2のPING送信処理がこれに対応する。
【0045】
「ダミーパケット」とは、インターネットへの接続の維持を目的として送信するパケットをいう。
【0046】
「プログラム」とは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソース形式のプログラム、圧縮処理がされたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】従来の救急通信システムの構成図である。
【図2】この発明の一実施形態による救急通信システムの機能ブロック図である。
【図3】図2の救急通信システムのハードウエア構成図である。
【図4】病院コンピュータC11のハードウエア構成を示す図である。
【図5】救急車コンピュータMC1のハードウエア構成を示す図である。
【図6】救急車の側からの操作によって患者データを送信する場合の処理の流れを示す図である。
【図7】救急車側制御プログラムによる処理を状態遷移図として示したものである。
【図8】病院側制御プログラムによる処理を状態遷移図として示したものである。
【図9】対象救急車一覧データの例を示す図である。
【図10】救急車コンピュータMC1のタッチパネルディスプレイ52における表示例を示す図である。
【図11】病院の側からの操作によって患者データを送信する場合の処理の流れを示す図である。
【図12】各救急車コンピュータの状態を示すデータ例である。
【図13】他の実施形態による救急通信システムのハードウエア構成図である。
【図14】救急車識別アドレスサーバ装置ASに記録された対象救急車一覧データの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
1.機能ブロック図
図2に、この発明の一実施形態による救急通信システムの機能ブロック図を示す。医療機関コンピュータである病院コンピュータ2と、救急車コンピュータ4とを備えて構成されている。なお、図においては、病院コンピュータ2、救急車コンピュータ4ともに一つだけ表示したが、それぞれ複数個配置されている。
【0049】
病院コンピュータ2は、記録部6、アドレス信号送信手段8、送信開始指令手段10、データ受信手段12、通信部14を備えている。救急車コンピュータ4は、通信部16、返信手段18、開始認識可能信号送信手段20、データ送信手段22を備えている。
【0050】
この実施形態では、各救急車コンピュータ4には固定的な識別アドレスが付与されている。病院コンピュータ2にも識別アドレスが与えられている。しかし、この識別アドレスは、動的な識別アドレスに変換されて救急車コンピュータ4に与えられる。
【0051】
病院コンピュータ2のアドレス信号送信手段8は、記録部6に記録されている各救急車コンピュータ4の識別アドレスを読み出し、各救急車コンピュータ4に対して、アドレス信号を通信部14を介して送信する。このアドレス信号には、返信のため、病院コンピュータ2に対して割り当てられた識別アドレスの情報が含まれる。ただし、この識別アドレスは、救急車コンピュータ4に対しては、動的な識別アドレスに変換されて与えられる。
【0052】
このアドレス信号を、通信部16を介して受けた救急車コンピュータ4の返信手段18は、少なくともアドレス信号を受け取ったことを、通信部16を介して病院コンピュータ2に返信する。なお、救急車コンピュータ4は、アドレス信号を受け取っても、必要がある場合以外は何も返信しないようにしてもよい。
【0053】
特に、患者データ(少なくとも患者の生体データを含むデータ)を送信する必要がない場合には、上記の処理が繰り返される。救急車コンピュータ4の側から病院コンピュータ2に対して患者データの送信を行う事を伝える場合には、次のようにして処理を行う。
【0054】
アドレス信号を病院コンピュータ2から受け取ると、平常時であれば上記のように返信手段18がこれに対して返信する。患者データの送信を行う場合には、救急車コンピュータ4の開始認識可能信号送信手段20が、アドレス信号に応答して、送信開始認識可能信号を病院コンピュータ2に返信する。これにより、病院コンピュータ2は、引き続き、救急車コンピュータ4から患者データが送られてくることを知ることができる。
【0055】
続いて、救急車コンピュータ4のデータ送信手段22は、これに接続された心電計やカメラなどによって取得した患者データを、病院コンピュータ2からの返信要求である送信要求指令に対する返信として送信する。
【0056】
病院コンピュータ2のデータ受信手段12は、このようにして送信されてきた患者データを受信して取得する。
【0057】
以上のようにして、救急車コンピュータ4からの要請をきっかけとして、病院コンピュータ2に対して患者データを送信することができる。
【0058】
一方、この実施形態では、病院コンピュータ2からの要請をきっかけとして、患者データを送信することもできる。この場合、救急車コンピュータ4の返信手段18は、病院コンピュータ2からのアドレス信号に対して、現在、患者データを送信可能な状態にあるか否かを返信することが好ましい。たとえば、当該救急車コンピュータ4が、他の病院コンピュータ2と患者データのやり取りを行っている最中であって確認元の病院コンピュータ2に対しては患者データを送信することができないビジー状態であるか、他の病院コンピュータ2とは患者データのやり取りを行っておらず確認元の病院コンピュータ2に対して患者データを送信することが可能であるウエイト状態であるかを返信する。これにより、病院コンピュータ2は、各救急車コンピュータ4が現在ビジー状態であるかウエイト状態であるかを知ることができる。
【0059】
病院コンピュータ2の側から患者データの送信を求める場合、病院コンピュータ2の送信開始指令手段10は、特定の救急車コンピュータ4(上記のウエイト状態にある救急車コンピュータ4のいずれか)に対し、送信開始指令を送信し、引き続いて送信要求指令を送信する。送信開始指令を受けた救急車コンピュータ4は、これにより、病院コンピュータ2が患者データの送信を求めていることを知る。したがって、救急車コンピュータ4のデータ送信手段22は、送信開始指令に続いて送られてくる送信要求指令に対する返信として、患者データを送信する。
【0060】
2.全体構成
図3に、図2の実施形態による救急通信システムを実現するための全体的な構成を示す。病院H1には、病院コンピュータC11、C12、C13が設けられている。これら病院コンピュータC11、C12、C13は、院内ローカルエリアネットワーク(LAN)L1に接続されている。院内ローカルエリアネットワークL1には、これら病院コンピュータC11、C12、C13の他、患者のカルテなどを記録したコンピュータなども接続されている。病院コンピュータC11、C12、C13は、ルータR1、ファイアウオールFW1を介して、インターネットINに接続されている。
【0061】
この実施形態では、HTTPプロトコルを用い、ルータR1において、病院コンピュータC11、C12、C13に与えられたローカルIPアドレスを、グローバルIPアドレスに変換して、救急車コンピュータA1、A2、A3と通信を行うようにしている。
【0062】
たとえば、病院コンピュータC11に与えられたローカルIPアドレスが「111.23.XXX.56」であったとする。病院コンピュータC11が、救急車コンピュータA1に対して通信を行う場合、発信元のアドレスとしてローカルIPアドレス「111.23.XXX.56」を付して送信する。これを受けたルータR1は、ローカルIPアドレス「111.23.XXX.56」を、ルータR1のグローバルIPアドレス「123.34.XXX.34:2002」に変換して、救急車コンピュータA1に送信する。なお、「:2002」は動的に付されるポート番号である。ルータR1は、ローカルIPアドレスとグローバルIPアドレスの対応テーブルを記録するので、救急車コンピュータA1からの返信を、正しく、病院コンピュータC11に与えることができる。
【0063】
このように、病院コンピュータC11、C12、C13のIPアドレスが、外部に流出しない。したがって、外部からアクセスされる可能性の少ない構成とすることができる。
【0064】
他の病院H2においても、同様の構成によって、病院コンピュータC21、C22、C23がインターネットINに接続されている。なお、図においては、病院H1、H2のみを示したが、他にも病院が存在し同様の構成を有している。
【0065】
救急車A1には、患者の心電図を計測する心電計CG1などの機器が搭載されいている。心電計CG1等の出力は、救急車コンピュータMC1に取り込まれている。救急車コンピュータMC1は、携帯電話通信部を有しており、接続装置CCを介して、インターネットINに接続することができる。
【0066】
他の救急車A2、A3も、同様の構成である。なお、図においては、救急車A1、A2、A3のみを示したが、他にも救急車が存在し同様の構成を有している。
【0067】
3.ハードウエア構成
(1)病院コンピュータのハードウエア構成
図4に、病院コンピュータC11のハードウエア構成を示す。CPU36には、メモリ30、ディスプレイ32、LAN通信回路34、ハードディスク38、マウス/キーボード40、CD−ROMドライブ46が接続されている。メモリ30は、CPU36のワークエリアとしての役割を有するものである。LAN通信回路34は、院内ローカルネットワークL1に接続するための回路である。マウス/キーボード40は、操作者が指令などを入力するためのものである。
【0068】
ハードディスク38には、オペレーティングシステム(たとえば、マイクロソフト社のWINDOWS(商標))42、病院側制御プログラム44、対象救急車一覧45が記録されている。病院側制御プログラム44は、オペレーティングシステム42と協働してその機能を発揮するものである。なお、病院側制御プログラム44は、オペレーティングシステム42と協働せず、単独で機能を発揮するものとしてもよい。また、オペレーティングシステム42,病院側制御プログラム44ともに、CD−ROM48に記録されていたものを、CD−ROMドライブ46を介してインストールしたものである。対象救急車一覧45は、図9に示すように、その病院に患者を運び込む可能性のある救急車に搭載された救急車コンピュータのIPアドレスを記録したものである。
【0069】
他の病院コンピュータのハードウエア構成も同様である。
【0070】
(2)救急車コンピュータのハードウエア構成
図5に、救急車コンピュータMC1のハードウエア構成を示す。CPU60には、メモリ50、タッチパネルディスプレイ52、携帯電話通信回路54、CD−ROMドライブ56、フラッシュメモリ62、LAN通信回路68、USBカメラ74が接続されている。メモリ50は、CPU60のワークエリアとしての役割を有するものである。タッチパネルディスプレイ52は、操作者に対して情報を表示するとともに、指示を受け付けるものである。携帯電話通信回路54は、携帯電話の回線を使用してデータ通信を行うための通信回路である。たとえば、NTT株式会社のFOMA(商標)カードを用いることができる。
【0071】
LAN通信回路68には、心電計/血圧計70や固定カメラ72が接続されており、これらと通信を行ってデータのやり取りを行うものである。心電計/血圧計70は、救急車にて搬送中の患者の心電図や血圧を測定するためのものであり、たとえば、大日本住友製薬株式会社のレーダーサーク(商標)を用いることができる。固定カメラは、救急車にて搬送中の患者の状態を撮像するために、救急車の所定の位置に固定されたカメラである。
【0072】
USBカメラ74は、救急隊員のヘルメットなどに装着されたカメラであり、長いコード(あるいは無線通信)によって、救急車コンピュータMC1と接続されている。USBカメラにより、救急車に乗せるまでの(たとえば担架にて救急車まで搬送する途中の)患者の状況を撮像することができる。
【0073】
フラッシュメモリ62は、オペレーティングシステム64、救急車側制御プログラム66が記録されている。救急車側制御プログラム66は、オペレーティングシステム64と協働してその機能を発揮するものである。なお、救急車側制御プログラム66は、オペレーティングシステム64と協働せず、単独で機能を発揮するものとしてもよい。また、オペレーティングシステム64,救急車側制御プログラム66ともに、CD−ROM58に記録されていたものを、CD−ROMドライブ56を介してインストールしたものである。
【0074】
他の救急車コンピュータのハードウエア構成も同様である。
【0075】
4.データ送信処理
(1)救急車の側からの操作による患者データの送信
図6に、救急車A1の側からの操作をきっかけとして、病院に対して患者データを送信する場合の処理の流れを示す。図7に救急車側制御プログラム66の状態遷移図を、図8に病院側制御プログラム44の状態遷移図を示す。
【0076】
この実施形態では、病院コンピュータの側から救急車コンピュータに対して、所定時間ごとにアドレス信号として状態要求を送信し、これに応じて、救急車コンピュータが現在の状況を返信するようにしている。
【0077】
救急車A1の救急車コンピュータMC1を立ち上げると、CPU60は、携帯電話通信回路54により、予め記録されているアクセスポイントに電話をかけ、インターネットに接続する(図7の状態J10参照)。これにより、救急車コンピュータMC1は、インターネットに接続された状態となる。
【0078】
アクセスポイントへの接続が完了すると、救急車コンピュータMC1は、図7に示す未接続(ウエイト)状態J3に入る。ここで、未接続状態とは、その救急車A1が、いずれの病院とも患者データの送信中でない状態をいう。この状態において、救急車A1のCPU60は、各病院H1、H2から送られてくる状態要求を待っている。
【0079】
一方、病院H2の病院コンピュータC22のCPU36は、図8に示す状態要求送信状態K1にある。したがって、所定時間ごとに、予めハードディスク38に記録されている対象救急車一覧の救急車に対し、順次そのIPアドレスを用いて、状態要求を送信する。この状態要求を行う際には、病院コンピュータC22は、自らのローカルIPアドレスを返信アドレスとして付加して送信する。このローカルIPアドレスは、ルータR2によって動的なグローバルIPアドレス(変換IPアドレスと呼ぶ)に変換されて、救急車コンピュータMC1に与えられる。
【0080】
状態要求を受けた救急車コンピュータMC1のCPU60は、上記病院コンピュータC22の変換IPアドレスに対して、現在の状態(=未接続)を返信する(図7の状態J1参照)。CPU60は、返信を完了すると、未接続状態J3に戻る。
【0081】
このように、救急車側も病院側も、患者搬送中でないときには、病院コンピュータC22からの状態要求に対して、救急車コンピュータMC1が未接続状態を返信することを繰り返している。
【0082】
なお、救急車コンピュータMC1は、いずれかの病院から状態要求があると、これを受信して状態を返信するので、アクセスポイントを介してのインターネットへの接続が維持される。しかし、いずれの病院の病院コンピュータも電源がオフになっていれば、状態要求が届かないことになる。救急車コンピュータMC1のアクセスポイントを介してのインターネットとのやり取りが、所定時間以上にわたって無い場合には、アクセスポイントへの電話接続が切断されてしまうことになる。一旦アクセスポイントへの接続が切断されると、再び、接続を確立するためには時間を要することになる。
【0083】
そこで、この実施形態では、タイマを用いて10秒間継続して病院コンピュータからの状態要求がない場合には、救急車コンピュータMC1のCPU60は、インターネットへの接続を維持するため、ダミーパケットを送信する。この実施形態では、仮想IPアドレス(実在しないIPアドレス)に対してPING信号を送信することでダミーパケットの送信を行っている(図7の状態J2参照)。ダミーパケットを送信すると、CPU60は10秒を計測するためのタイマをリセットする。このようにして、いずれの病院コンピュータからも状態要求がない場合であっても、救急車コンピュータMC1のインターネットへの接続を維持するようにしている。
【0084】
次に、救急車A1に患者が乗せられ、病院H2に向かったとする。この時に、救急車A1に搭載された心電計CG1やカメラなどの患者データを、搬送中に病院H2の病院コンピュータC22に送る場合について説明する。
【0085】
救急車コンピュータMC1のCPU60は、状態要求を送信してきた病院コンピュータがいずれであるかをメモリ50に随時記録している。そして、図10Aに示すように、タッチパネルディスプレイ52の画面に、状態要求を送信してきている病院コンピュータの一覧を表示する。救急車A1の隊員(あるいは救急救命士)は、タッチパネルディスプレイ52を操作し、これから向かおうとしている病院H2のコンピュータC21、C22、C23のいずれかを選択する。ここでは、コンピュータC22を選択したものとする。
【0086】
病院コンピュータC22が選択されると、救急車コンピュータMC1のCPU60は、次に病院コンピュータC22から状態要求を受けたときに、これに対し送信開始通知を返信する(図6の(1)参照)。つまり、図7の状態J3から状態J4に移行する。
【0087】
これを受けた病院コンピュータC22のCPU36は、状態要求として送信開始指令を救急車コンピュータMC1に送信する(図6の(2)参照)。つまり、図8の状態K2から状態K3に移行する。
【0088】
これを受けた救急車コンピュータMC1のCPU60は、患者データが送信可能である旨を示す「許可」を返信する(図6の(3)参照)。つまり、図7の状態J4から状態J5に移行する。
【0089】
許可を受けた病院コンピュータC22のCPU36は、状態要求として送信要求指令を救急車コンピュータMC1に送信する(図6の(4)参照)。つまり、図8の状態K3から状態K4に移行する。
【0090】
救急車コンピュータMC1は、送信要求指令を受けると、病院コンピュータC22に対し患者データを返信する(図6の(5)参照)。つまり、図7の状態J5から状態J6に移行する。
【0091】
以下、病院コンピュータC22からの送信要求指令に対して、救急車コンピュータMC1が患者データを返信するという処理を繰り返すことで、患者データの送信がなされ記録される。つまり、図7の状態J6の状態にある。なお、この実施形態では、患者データの送信間隔は、200ミリ秒ごととし、伝送速度は115Kbpsとした。
【0092】
次に、救急車コンピュータMC1の側からの操作により、患者データの送信を中止したい場合には、次のようにする。救急車A1の隊員は、救急車コンピュータMC1のタッチパネルディスプレイ52に表示されている図10Bの画面から、データ送信中止のボタンを押下する。
【0093】
これにより、救急車コンピュータMC1のCPU60は、次に送られてくる送信要求指令に対し、送信終了通知を返信する(図6の(6)参照)。つまり、図7の状態J6から状態J7に移行する。
【0094】
この送信終了通知を受けた病院コンピュータC22のCPU36は、患者データ送信の終了を認識し、所定時間ごとに状態要求を送信する状態になる(図6の(7)参照)。つまり、図8の状態K4から状態K1に移行する。
【0095】
状態要求を受けた救急車コンピュータMC1のCPU60は、これに対して、未接続状態である旨を返信する(図6の(8)参照)。つまり、図7の状態J7から状態J3に移行する。
【0096】
上記の患者データ送信中においても、救急車コンピュータMC1に対しては、他の病院コンピュータC11などからも状態要求がなされる。たとえば、図6の(10)に示すタイミングにて、病院H1の病院コンピュータC11から救急車コンピュータMC1に状態要求がなされたとする。この時点において、救急車コンピュータMC1は、他のコンピュータC22との間で患者データをやりとりしており、図7の接続状態(ビジー状態)にある。したがって、救急車コンピュータMC1は、他のコンピュータと既に接続済みであるビジー状態である旨を返信する。
【0097】
(2)病院の側からの操作による患者データの取得
上記では、救急車の側からの操作で病院を選択し、患者データを送信する場合について説明した。しかし、以下に説明するように、病院の側からの操作で救急車を選択し、患者データを取得することもできる。このときの処理の流れを図11に示す。
【0098】
ここでは、救急車A1にて病院H2に向けて患者を搬送中に、その患者データを、病院H2側の操作によって取得したい場合について説明する。前述のように、病院コンピュータC22は、図9に記録されている対象救急車のそれぞれに対して、順次状態要求を行っている。病院コンピュータC22は、その返信を受けて、図12に示すように、メモリ30にこれを記録している。
【0099】
図12に示すように、救急車A1、A2は、現在未接続状態であり患者データの送信が可能であること、救急車A4は現在他の病院コンピュータC12との間で患者データのやり取り中であって、病院コンピュータC22へは患者データの送信ができないことが記録されている。なお、救急車A3は、電源オフあるいは携帯電話の圏外などの理由により、状態要求に対して所定時間内に返信がないことが記録されている。
【0100】
病院コンピュータC22のCPU36は、図12に基づいて、各救急車コンピュータの状態を、ディスプレイ32に表示する。病院コンピュータC22の操作者は、ディスプレイ32の表示を見ながら、マウス/キーボード40により、救急車A1を選択する。
【0101】
これにより、病院コンピュータC22のCPU36は、救急車A1のコンピュータMC1に対し、状態要求として送信開始指令を送信する(図11の(21)参照)。すなわち、図8の状態K2から状態K3に移行する。
【0102】
これを受けた救急車コンピュータMC1のCPU60は、患者データが送信可能である旨を示す「許可」を返信する(図11の(22)参照)。つまり、図7の状態J3から状態J5に移行する。
【0103】
許可を受けた病院コンピュータC22のCPU36は、状態要求として送信要求指令を救急車コンピュータMC1に送信する(図11の(23)参照)。つまり、図8の状態K3から状態K4に移行する。
【0104】
救急車コンピュータMC1は、送信要求指令を受けると、病院コンピュータC22に対し患者データを返信する(図11の(24)参照)。つまり、図7の状態J5から状態J6に移行する。
【0105】
以下、病院コンピュータC22からの送信要求指令に対して、救急車コンピュータMC1が患者データを返信するという処理を繰り返すことで、患者データの送信がなされ記録される。つまり、図7の状態J6の状態にある。
【0106】
次に、病院コンピュータC22の側からの操作により、患者データの取得を中止したい場合には、次のようにする。病院コンピュータC22の操作者は、ディスプレイ32の表示を見ながら、マウス/キーボード40を操作して、データ取得中止のボタンを選択する。
【0107】
これにより、病院コンピュータC22のCPU36は、送信要求指令の送信を止め、状態要求を救急車コンピュータMC1に送信する状態となる(図11の(25)参照)。つまり、図8の状態K4から状態K1に遷移する。このようにして、患者データの送信が中止される。
【0108】
5.その他の実施形態
(1)上記実施形態では、救急車の側からの操作によって患者データの送信を開始し、終了するようにしている。また、病院の側からの操作によって患者データの送信を開始し、終了するようにしている。しかし、救急車の側からの操作によって患者データの送信を開始し、病院の側からの操作によって患者データの送信を終了するようにしてもよい。また、病院の側からの操作によって患者データの送信を開始し、救急車の側からの操作によって患者データの送信を終了するようにしてもよい。
【0109】
(2)上記実施形態では、仮想IPアドレス(実在しないIPアドレス)に対してPING信号を送信してダミーパケットの送信を行うことで、救急車コンピュータMC1のCPU60によるインターネットへの接続を維持するようにしている。
【0110】
しかし、回線を維持できるのであれば、TCP/IPやLCPによるダミーパケットを送信するようにしてもよい。
【0111】
(3)上記実施形態では、図9に示す対象救急車一覧を、予め各病院コンピュータC11、C12・・・のハードディスク38に記録するようにしている。しかし、図13に示すように、インターネットINに接続された救急車識別アドレスサーバ装置ASを設け、各病院コンピュータC11、C12・・・から救急車識別アドレスサーバ装置ASにアクセスして対象救急車一覧を取得するようにしてもよい。
【0112】
たとえば、救急車識別アドレスサーバ装置ASには、図14に示すような対象救急車一覧が記録されている。この一覧において、管区は消防署の管轄を示している。各病院コンピュータC11、C12・・・には、救急車識別アドレスサーバ装置ASのIPアドレスが知らされているので、各病院コンピュータC11、C12・・・は、救急車識別アドレスサーバ装置ASに対して、対象救急車一覧データの要求を送信し、返信としてそのデータを受け取ることができる。対象救急車一覧を受け取った各病院コンピュータC11、C12・・・は、自らの病院が属する管区の救急車に対して、状態要求を順次送信する。
【0113】
なお、各病院コンピュータC11、C12・・・から、所定時間ごと(たとえば1時間ごと)に、対象救急車一覧データの要求を救急車識別アドレスサーバ装置ASに対して送信するようにすれば、対象救急車の台数や構成に変動があった場合、救急車識別アドレスサーバ装置ASの対象救急車一覧データを更新するだけでよく、利便性が高い。
【0114】
(4)上記実施形態において、状態要求に対する返信データ中に、GPS受信機によって取得した救急車の現在位置を含めるようにすれば、病院コンピュータにおいて、これをディスプレイ32などに表示して、各救急車の位置を把握することもできる。
【0115】
(5)上記実施形態において、救急隊員のヘルメットに取り付けたカメラの画像を患者データとして送信してもよい。
【0116】
(6)上記各実施形態では、携帯電話通信回路54を用いて、ダイヤルアップ接続によりインターネットとの接続を行っている。しかし、無線LANなどを用いてインターネットとの接続を行うようにしてもよい。
【0117】
(7)上記実施形態では、救急車コンピュータから、または医療機関コンピュータからの、いずれの要求に基づいても患者データの送信を開始することができる。しかし、救急車コンピュータからの要求のみに基づいて患者データの送信を開始できるようにしてもよい。また、医療機関コンピュータからの要求のみに基づいて患者データの送信を開始できるようにしてもよい。
【0118】
(8)上記実施形態では、セキュリティの問題を考慮して、病院側のグローバルIPアドレスを救急車コンピュータに対して明らかにしていない。しかし、セキュリティの問題を考慮しないのであれば、図1に示す従来技術において、アクセスポイントにダミーパケットを送信するダミーパケット送信手段を設けるようにしてもよい。この場合、セキュリティの確保という効果は得られないが、接続の維持という効果を得ることはできる。つまり、従来技術であれば、所定時間継続してアクセスポイントに対する通信がないと回線が切断され、再接続をしなければならなかった。これに対し、ダミーパケット送信手段を設けることで、回線接続が維持され、上記の問題を解決することができる。
【0119】
(9)上記実施形態では、医療機関として病院を例として説明したが、診療所など、救急車によって患者を搬送する可能性のある機関であれば同様に適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機関において使用される医療機関コンピュータと救急車に搭載された救急車コンピュータとを備えた救急通信システムであって、
前記医療機関コンピュータは、
各救急車コンピュータを識別するため、各救急車コンピュータに割り当てられた識別アドレスを記録する記録部と、
救急車コンピュータと通信するための通信部と、
記録部に記録された各救急車コンピュータの識別アドレスを用い、通信部を介して、各救急車コンピュータに対し、動的な識別アドレスに変換される識別アドレスを含むアドレス信号を送信するアドレス信号送信手段と、
通信部を介して、救急車コンピュータから送信されてくる患者データを受信するデータ受信手段とを備え、
前記救急車コンピュータは、
医療機関コンピュータと通信するための通信部と、
救急車コンピュータの要求にて患者データを送信する場合、通信部を介して、医療機関コンピュータからのアドレス信号を受けた時に、これに対する返信として、当該アドレス信号に含まれる医療機関コンピュータの前記動的な識別アドレスを用いて、医療機関コンピュータに対して送信開始認識可能信号を送信する開始認識可能信号送信手段と、
通信部を介して、医療機関コンピュータに対して送信開始認識可能信号を送信した後に、医療機関コンピュータからのアドレス信号に対する返信として、当該アドレス信号に含まれる医療機関コンピュータの前記動的な識別アドレスを用いて、当該医療機関コンピュータに対して、患者データを送信するデータ送信手段と、
を備えることを特徴とする救急通信システム。
【請求項2】
各救急車コンピュータを識別するため、各救急車コンピュータに割り当てられた識別アドレスを記録する記録部と、
救急車コンピュータと通信するための通信部と、
記録部に記録された各救急車コンピュータの識別アドレスを用い、通信部を介して、各救急車コンピュータに対し、動的な識別アドレスに変換される識別アドレスを含むアドレス信号を送信するアドレス信号送信手段と、
通信部を介して、救急車コンピュータから送信されてくる患者データを受信するデータ受信手段と、
を備えた医療機関コンピュータ。
【請求項3】
医療機関コンピュータと通信するための通信部と、
救急車コンピュータの要求にて患者データを送信する場合、通信部を介して、医療機関コンピュータからのアドレス信号を受けた時に、これに対する返信として、当該アドレス信号に含まれる医療機関コンピュータの前記動的な識別アドレスを用いて、医療機関コンピュータに対して送信開始認識可能信号を送信する開始認識可能信号送信手段と、
通信部を介して、医療機関コンピュータに対して送信可能認識信号を送信した後に、医療機関コンピュータからのアドレス信号に対する返信として、当該アドレス信号に含まれる医療機関コンピュータの前記動的な識別アドレスを用いて、当該医療機関コンピュータに対して、患者データを送信するデータ送信手段と、
を備える救急車コンピュータ。
【請求項4】
各救急車コンピュータを識別するため、各救急車コンピュータに割り当てられた識別アドレスを記録するための記録部と、救急車コンピュータと通信するための通信部とを有する医療機関コンピュータを、
記録部に記録された各救急車コンピュータの識別アドレスを用い、通信部を介して、各救急車コンピュータに対し、動的な識別アドレスに変換される識別アドレスを含むアドレス信号を送信するアドレス信号送信手段、
通信部を介して、救急車コンピュータから送信されてくる患者データを受信するデータ受信手段、
として機能させるための医療機関プログラム。
【請求項5】
医療機関コンピュータと通信するための通信部を有する救急車コンピュータを、
救急車コンピュータの要求にて患者データを送信する場合、通信部を介して、医療機関コンピュータからのアドレス信号を受けた時に、これに対する返信として、当該アドレス信号に含まれる医療機関コンピュータの前記動的な識別アドレスを用いて、医療機関コンピュータに対して送信開始認識可能信号を送信する開始認識可能信号送信手段、
通信部を介して、医療機関コンピュータに対して送信可能認識信号を送信した後に、医療機関コンピュータからのアドレス信号に対する返信として、当該アドレス信号に含まれる医療機関コンピュータの前記動的な識別アドレスを用いて、当該医療機関コンピュータに対して、患者データを送信するデータ送信手段、
として機能させるための救急車プログラム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかのシステム、装置またはプログラムにおいて、
前記医療機関コンピュータは、
医療機関コンピュータの要求にて患者データを送信する場合、記録部に記録された対象とする救急車コンピュータの識別アドレスを用い、通信部を介して、当該対象とする救急車コンピュータに対し、データ送信開始指令を送信する送信開始指令手段を備え、
前記救急車コンピュータの前記データ送信手段は、
医療機関コンピュータからのデータ送信開始指令に続いて送られてくるアドレス信号に対する返信として、または医療機関コンピュータに対して送信可能認識信号を送信した後に送られてくるアドレス信号に対する返信として、当該アドレス信号に含まれる医療機関コンピュータの前記動的な識別アドレスを用いて、当該医療機関コンピュータに対して、通信部を介して、患者データを送信するデータ送信手段を備えたことを特徴とするもの。
【請求項7】
請求項6のシステム、装置またはプログラムにおいて、
前記救急車コンピュータは、医療機関コンピュータからのアドレス信号を受け、患者データを当該医療機関コンピュータに送信可能かどうかという状態を、アドレス信号に対する返信として、当該アドレス信号に含まれる医療機関コンピュータの前記動的な識別アドレスを用いて、当該医療機関コンピュータに対して、通信部を介して、返信する状態返信手段を備えることを特徴とするもの。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかのシステム、装置またはプログラムにおいて、
前記救急車コンピュータは、
前記通信部によってインターネットのアクセスポイントに接続する接続手段と、
前記アクセスポイントとの通信のない状態が継続する場合には、前記接続が遮断されることを防止するため、所定時間ごとに接続確立のためのダミーパケットを、通信部によって送信するダミーパケット送信手段と、
を備えることを特徴とするもの。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかのシステム、装置またはプログラムにおいて、
前記各救急車コンピュータに割り当てられた識別アドレスは、前記医療機関コンピュータと通信可能な救急車識別アドレスサーバ装置から、前記医療機関コンピュータが取得するものであることを特徴とするもの。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかのシステム、装置またはプログラムにおいて、
前記各救急車コンピュータの識別アドレスは、グローバルIPアドレスであり、
前記医療機関コンピュータの識別アドレスは、ローカルIPアドレスであること
を特徴とするもの。
【請求項11】
医療機関において使用される医療機関コンピュータと救急車に搭載された救急車コンピュータとを用いた救急通信方法であって、
前記医療機関コンピュータは、
各救急車コンピュータを識別するため、各救急車コンピュータに割り当てられた識別アドレスを記録部に記録しており、
記録部に記録された各救急車コンピュータの識別アドレスを用い、各救急車コンピュータに対し、動的な識別アドレスに変換される識別アドレスを含むアドレス信号を送信し、
救急車コンピュータから送信されてくる患者データを受信し、
前記救急車コンピュータは、
救急車コンピュータの要求にて患者データを送信する場合、医療機関コンピュータからのアドレス信号を受けた時に、これに対する返信として、当該アドレス信号に含まれる医療機関コンピュータの前記動的な識別アドレスを用いて、医療機関コンピュータに対して送信開始認識可能信号を送信し、
医療機関コンピュータに対して送信開始認識可能信号を送信した後に、医療機関コンピュータからのアドレス信号に対する返信として、当該アドレス信号に含まれる医療機関コンピュータの前記動的な識別アドレスを用いて、当該医療機関コンピュータに対して、患者データを送信すること
を特徴とする救急通信方法。
【請求項12】
医療機関において使用される医療機関コンピュータと救急車に搭載された救急車コンピュータとを備えた救急通信システムであって、
前記医療機関コンピュータは、
各救急車コンピュータを識別するため、各救急車コンピュータに割り当てられた識別アドレスを記録する記録部と、
救急車コンピュータと通信するための通信部と、
記録部に記録された各救急車コンピュータの識別アドレスを用い、通信部を介して、各救急車コンピュータに対し、動的な識別アドレスに変換される識別アドレスを含むアドレス信号を送信するアドレス信号送信手段と、
医療機関コンピュータの要求にて患者データを送信する場合、記録部に記録された対象とする救急車コンピュータの識別アドレスを用い、通信部を介して、当該対象とする救急車コンピュータに対し、動的な識別アドレスに変換される識別アドレスを含むデータ送信開始指令を送信する送信開始指令手段と、
通信部を介して、救急車コンピュータから送信されてくる患者データを受信するデータ受信手段とを備え、
前記救急車コンピュータは、
医療機関コンピュータと通信するための通信部と、
医療機関コンピュータからのデータ送信開始指令に続いて送られてくるアドレス信号に対する返信として、当該アドレス信号に含まれる医療機関コンピュータの前記動的な識別アドレスを用いて、当該医療機関コンピュータに対して、通信部を介して、患者データを送信するデータ送信手段と、
を備えることを特徴とする救急通信システム。
【請求項13】
各救急車コンピュータを識別するため、各救急車コンピュータに割り当てられた識別アドレスを記録する記録部と、
救急車コンピュータと通信するための通信部と、
記録部に記録された各救急車コンピュータの識別アドレスを用い、通信部を介して、各救急車コンピュータに対し、動的な識別アドレスに変換される識別アドレスを含むアドレス信号を送信するアドレス信号送信手段と、
医療機関コンピュータの要求にて患者データを送信する場合、記録部に記録された対象とする救急車コンピュータの識別アドレスを用い、通信部を介して、当該対象とする救急車コンピュータに対し、動的な識別アドレスに変換される識別アドレスを含むデータ送信開始指令を送信する送信開始指令手段と、
通信部を介して、救急車コンピュータから送信されてくる患者データを受信するデータ受信手段と、
を備えた医療機関コンピュータ。
【請求項14】
医療機関コンピュータと通信するための通信部と、
医療機関コンピュータからのデータ送信開始指令に続いて送られてくるアドレス信号に対する返信として、当該アドレス信号に含まれる医療機関コンピュータの前記動的な識別アドレスを用いて、当該医療機関コンピュータに対して、通信部を介して、患者データを送信するデータ送信手段と、
を備えた救急車コンピュータ。
【請求項15】
各救急車コンピュータを識別するため、各救急車コンピュータに割り当てられた識別アドレスを記録するための記録部と、救急車コンピュータと通信するための通信部とを有する医療機関コンピュータを、
記録部に記録された各救急車コンピュータの識別アドレスを用い、通信部を介して、各救急車コンピュータに対し、動的な識別アドレスに変換される識別アドレスを含むアドレス信号を送信するアドレス信号送信手段、
医療機関コンピュータの要求にて患者データを送信する場合、記録部に記録された対象とする救急車コンピュータの識別アドレスを用い、通信部を介して、当該対象とする救急車コンピュータに対し、動的な識別アドレスに変換される識別アドレスを含むデータ送信開始指令を送信する送信開始指令手段、
通信部を介して、救急車コンピュータから送信されてくる患者データを受信するデータ受信手段、
として機能させるための医療機関プログラム。
【請求項16】
医療機関コンピュータと通信するための通信部を有する救急車コンピュータを、
医療機関コンピュータからのデータ送信開始指令に続いて送られてくるアドレス信号に対する返信として、当該アドレス信号に含まれる医療機関コンピュータの前記動的な識別アドレスを用いて、当該医療機関コンピュータに対して、通信部を介して、患者データを送信するデータ送信手段、
として機能させるための救急車プログラム。
【請求項17】
請求項12〜16のいずれかのシステム、装置またはプログラムにおいて、
前記救急車コンピュータは、医療機関コンピュータからのアドレス信号を受け、患者データを当該医療機関コンピュータに送信可能かどうかという状態を、アドレス信号に対する返信として、当該アドレス信号に含まれる医療機関コンピュータの前記動的な識別アドレスを用いて、当該医療機関コンピュータに対して、通信部を介して、返信する状態返信手段を備えることを特徴とするもの。
【請求項18】
請求項12〜17のいずれかのシステム、装置またはプログラムにおいて、
前記救急車コンピュータは、
前記通信部によってインターネットのアクセスポイントに接続する接続手段と、
前記アクセスポイントとの通信のない状態が継続する場合には、前記接続が遮断されることを防止するため、所定時間ごとに接続確立のためのダミーパケットを、通信部によって送信するダミーパケット送信手段と、
を備えることを特徴とするもの。
【請求項19】
請求項12〜18のいずれかのシステム、装置またはプログラムにおいて、
前記各救急車コンピュータに割り当てられた識別アドレスは、前記医療機関コンピュータと通信可能な救急車識別アドレスサーバ装置から、前記医療機関コンピュータが取得するものであることを特徴とするもの。
【請求項20】
請求項12〜19のいずれかのシステム、装置またはプログラムにおいて、
前記各救急車コンピュータの識別アドレスは、グローバルIPアドレスであり、
前記医療機関コンピュータの識別アドレスは、ローカルIPアドレスであること
を特徴とするもの。
【請求項21】
医療機関において使用される医療機関コンピュータと救急車に搭載された救急車コンピュータとを用いた救急通信方法であって、
前記医療機関コンピュータは、
各救急車コンピュータを識別するため、各救急車コンピュータに割り当てられた識別アドレスを記録部に記録しており、
記録部に記録された各救急車コンピュータの識別アドレスを用い、各救急車コンピュータに対し、動的な識別アドレスに変換される識別アドレスを含むアドレス信号を送信し、
医療機関コンピュータの要求にて患者データを送信する場合、記録部に記録された対象とする救急車コンピュータの識別アドレスを用い、当該対象とする救急車コンピュータに対し、動的な識別アドレスに変換される識別アドレスを含むデータ送信開始指令を送信し、
救急車コンピュータから送信されてくる患者データを受信し、
前記救急車コンピュータは、
医療機関コンピュータからのデータ送信開始指令に続いて送られてくるアドレス信号に対する返信として、当該アドレス信号に含まれる医療機関コンピュータの前記動的な識別アドレスを用いて、当該医療機関コンピュータに対して、患者データを送信する
ことを特徴とする救急通信方法。
【請求項22】
医療機関において使用される医療機関コンピュータと救急車に搭載された救急車コンピュータとを備えた救急通信システムであって、
前記医療機関コンピュータは、
各救急車コンピュータを識別するため、各救急車コンピュータに割り当てられた識別アドレスを記録する記録部と、
救急車コンピュータと通信するための通信部と、
通信部を介して、救急車コンピュータから送信されてくる患者データを受信するデータ受信手段とを備え、
前記救急車コンピュータは、
医療機関コンピュータと通信するための通信部と、
前記通信部によってインターネットのアクセスポイントに接続する接続手段と、
前記アクセスポイントとの通信のない状態が継続する場合には、前記接続が遮断されることを防止するため、所定時間ごとに接続確立のためのダミーパケットを、通信部によって送信するダミーパケット送信手段と、
通信部を介して、医療機関コンピュータに対して、患者データを送信するデータ送信手段と、
を備えることを特徴とする救急通信システム。
【請求項23】
医療機関コンピュータと通信するための通信部と、
前記通信部によってインターネットのアクセスポイントに接続する接続手段と、
前記アクセスポイントとの通信のない状態が継続する場合には、前記接続が遮断されることを防止するため、所定時間ごとに接続確立のためのダミーパケットを、通信部によって送信するダミーパケット送信手段と、
通信部を介して、医療機関コンピュータに対して、患者データを送信するデータ送信手段と、
を備えた救急車コンピュータ。
【請求項24】
医療機関コンピュータと通信するための通信部を有する救急車コンピュータを、
前記通信部によってインターネットのアクセスポイントに接続する接続手段、
前記アクセスポイントとの通信のない状態が継続する場合には、前記接続が遮断されることを防止するため、所定時間ごとに接続確立のためのダミーパケットを、通信部によって送信するダミーパケット送信手段、
通信部を介して、医療機関コンピュータに対して、患者データを送信するデータ送信手段、
として機能させるための救急車プログラム。
【請求項25】
請求項22の救急車通信システムにおいて、
前記医療機関コンピュータは、記録部に記録された各救急車コンピュータの識別アドレスを用い、通信部を介して、各救急車コンピュータに対し、動的な識別アドレスに変換される識別アドレスを含むアドレス信号を送信するアドレス信号送信手段、
を備えることを特徴とする救急車通信システム。
【請求項26】
請求項22〜25のいずれかのシステム、コンピュータまたはプログラムにおいて、
前記データ送信手段は、医療機関コンピュータからのアドレス信号に対する返信として、当該アドレス信号に含まれる医療機関コンピュータの動的な識別アドレスを用いて、当該医療機関コンピュータに対して、患者データを送信することを特徴とするもの。
【請求項27】
医療機関において使用される医療機関コンピュータと救急車に搭載された救急車コンピュータとを用いた救急通信方法であって、
前記医療機関コンピュータは、
各救急車コンピュータを識別するため、各救急車コンピュータに割り当てられた識別アドレスを記録部に記録しており、
救急車コンピュータから送信されてくる患者データを受信し、
前記救急車コンピュータは、
インターネットのアクセスポイントに接続し、
前記アクセスポイントとの通信のない状態が継続する場合には、前記接続が遮断されることを防止するため、所定時間ごとに接続確立のためのダミーパケットを送信し、
医療機関コンピュータに対して、患者データを送信する
ことを特徴とする救急通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−29898(P2011−29898A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173152(P2009−173152)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】