説明

新規な安定化されたケイ皮酸エステルサンスクリーン組成物

該サンスクリーン組成物中に有効量の少なくとも1種の追加の非カプセル化サンスクリーンを導入することを含む、局所用サンスクリーン組成物中のカプセル化ケイ皮酸エステル誘導体の光安定性を強化する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、カプセル化したケイ皮酸エステル、ならびに皮膚を紫外線から遮蔽するための少なくとも1種の追加の非カプセル化UV−Aおよび/またはUV−Bおよび/または広領域サンスクリーンを含有する、光に安定な化粧用または医薬用光遮蔽組成物に関する。さらに、本発明は、少なくとも1種の追加の非カプセル化サンスクリーンを添加することによって、カプセル化したケイ皮酸エステル誘導体の光安定性を強化する方法に関する。本発明の好ましい組成物および方法においては、マイクロカプセル化した4−メトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(EHMC)サンスクリーン、追加の非カプセル化サンスクリーン、および化粧用として許容できるビヒクルが使用される。追加のサンスクリーンは、UV−Aおよび/またはUV−Bおよび/または広領域サンスクリーンから、あるいは好ましくはそれらの組合せから選択できる。
【0002】
メトキシケイ皮酸エチルヘキシルなどのケイ皮酸エステル誘導体は、例えば化粧用配合物中において特にヒトの皮膚を保護するためのサンスクリーン剤として有用であることが知られている。このようなサンスクリーン剤の好ましくない影響、例えばアレルギー反応を防止するため、あるいは他のサンスクリーン有効成分(例えば、ブチルメトキシジベンゾイルメタン)との交差反応性を回避するために、これらの成分を各種被覆マトリックス中にカプセル化することが提案されており、被覆マトリックスは、例えばシリカまたは有機的に改質したシリカなどでよい(国際出願WO00/09652、WO00/71084およびWO00/72806を参照のこと)。驚くべきことに、これらのカプセル化したケイ皮酸エステル誘導体それ自体が、照射中に光分解を受け、かなりの吸収低下およびそれに伴う光防護性の低下を来たすことが見出された。
【0003】
本発明によれば、驚くべきことに、ヒトの皮膚に塗布するための処方物中におけるカプセル化したケイ皮酸エステル誘導体(以下、「カプセル化ケイ皮酸エステル」と呼ぶ)の光安定性は、このような処方物に対して有効な量の少なくとも1種の追加の非カプセル化サンスクリーンを添加することによって改善できることが見出された。
【0004】
従って、本発明は、このようなサンスクリーン組成物中に有効な量の少なくとも1種の追加の非カプセル化サンスクリーン、好ましくはUV−Bまたは広領域サンスクリーンあるいはUV−Bおよび/またはUV−Aおよび/または広領域サンスクリーンの組合せを導入することによって、局所用サンスクリーン組成物中のカプセル化ケイ皮酸エステルの光安定性を強化する方法に関する。
【0005】
用語「カプセル化ケイ皮酸エステル」とは、適切なカプセル壁材料で被覆されコア−シェル型のマイクロカプセルを形成した独立の液体または固体粒子であるUVを吸収するケイ皮酸誘導体を指す。これらのマイクロカプセルは、ゾル−ゲル法、溶媒蒸発法、コアセルベーション法、界面重合法または乳化/界面乳化重合法など、当技術分野で周知の各種重合技術によって調製できる。コア材料としてUVを吸収するケイ皮酸誘導体を含むこれらのカプセルは、典型的には、約0.01μm〜約100μmの平均直径を有する。特に重要なのは、0.1〜10μmの直径を有するカプセルである。
【0006】
被覆は、例えばポリアクリレート、ポリウレタン、ポリアミド、またはケイ素をベースにしたポリマーなど、通常使用される任意のポリマーから形成できる。特に重要なのは、「ゾル−ゲルガラス」、例えばWO00/72806およびEP934773にそれぞれ開示されているようなケイ素をベースにしたネットワークポリマーまたは「シリコーン樹脂ポリペプチド」など、ケイ素をベースにしたポリマーのシェルで囲まれたケイ皮酸誘導体をコアとしたマイクロカプセルである。
【0007】
本発明の目的に対して、ケイ皮酸エステル誘導体は、一般式I
【化1】



(式中、R、Rは、独立に水素、あるいは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、および2−エチル−ヘキシルなど、1〜21個、好ましくは1〜8個の炭素原子を含む飽和の直鎖または分岐鎖アルキルである)を有することが好ましい。
【0008】
特に重要な式Iのケイ皮酸エステル誘導体は、メトキシケイ皮酸2−エチル−ヘキシル(PARSOL(登録商標)MCX)、メトキシケイ皮酸エトキシエチル、およびメトキシケイ皮酸イソアミルである。
【0009】
本発明で使用するための「カプセル化ケイ皮酸エステル」は、各種の有効なカプセル化技術およびカプセル化材料を使用して調製できる。適切なマイクロカプセル化は、それに限定はされないが、ゾル−ゲル法(例えばWO00/72806に記載された)、溶媒蒸発法(例えばEuropean Polymer Journal、2001年、37巻(5)、955〜963頁、J.Controlled release、13巻、33〜41頁に開示された)、コアセルベーション法(例えばWO9822210に記載された)、界面重合法(例えばDE2722973に記載された)、溶媒蒸発法、乳化/界面乳化重合によって、あるいは例えばEP0934773およびFragrance Journal、2002年、(30)7、62〜67頁に記載の方法によって達成できる。このようなカプセル化技術は、当業者にとって周知である。EHMCなどのケイ皮酸エステル誘導体に対するカプセル材料の比率は、1〜99%、好ましくは10〜90%の間で変更できる。最終生成物は、様々な正味量および容積分率の水性懸濁液、あるいは乾燥粉末とすることができる。
【0010】
ゾル−ゲル法、好ましくはゾル−ゲルシリカでは(国際出願WO00/09652およびWO00/72806を参照のこと)、ケイ皮酸エステル誘導体をゾル−ゲル前駆物質中に溶解するが、この場合、ゾル−ゲル前駆物質は、金属もしくはセミ金属アルコキシドモノマー、またはそれらの部分水解および部分縮合ポリマー、または前記のいずれかの混合物でよい。この溶液を、乳化物の安定化に寄与するセチルトリメチルアンモニウムクロリドなどの界面活性剤および/またはPVP(ポリビニルピロリドン)、PVA(ポリビニルアルコール)などの保護コロイドを含有する水溶液中で強い剪断力の下に乳化する。得られた乳液を、カプセル化ケイ皮酸エステル誘導体を含む球が形成されるまで、適切に選択されたpH(塩基性、中性、または酸性)の水溶液と混合する。
【0011】
溶媒蒸発法では、サンスクリーンの有効成分を水に溶けない揮発性溶媒に溶解する。同溶液にポリ乳酸などのポリマーを溶解する。その後、該溶液を、モノラウリン酸エトキシル化ソルビタン(Tween(登録商標)20、ICI)、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−3、オレイン/ステアリン酸のポリグリセロールエステル、ヘキサリシノール酸ポリグリセリル−6、オレイン酸ポリグリセリル−4、オレイン酸ポリグリセリル−4/ヤシ油脂肪酸PEG−8プロピレングリコール、オレアミドDEA、ミリスチン酸TEA、ステアリン酸TEA、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、リシノール酸カリウム、ヤシ油脂肪酸ナトリウム、牛脂脂肪酸ナトリウム、ヒマシ油脂肪酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、およびそれらの混合物などの乳化剤を含有する水溶液に添加する。さらなる適した乳化剤は、リン酸セチル(Amphisol(登録商標)A)、セチルリン酸ジエタノールアミン(Amphisol(登録商標))、セチルリン酸カリウム(Amphisol(登録商標)K)、リン酸オレイン酸グリセリルナトリウム、リン酸水添植物グリセリドおよびそれらの混合物など、リン酸エステルおよびそれらの塩である。さらに、乳化剤として1種または複数の合成ポリマーを使用してもよい。例えば、PVP−エイコセンコポリマー、アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマー、アクリレート/ステアレス−20メタクリレートコポリマー、PEG−22/ドデシルグリコールコポリマー、PEG−45/ドデシルグリコールコポリマー、およびそれらの混合物である。高剪断混合の後に、乳液が形成される。減圧下に蒸発によって溶媒を除去すると、ポリマーマトリックス内に閉じ込められたケイ皮酸エステルスクリーニング剤を含む微小球が形成される。
【0012】
コアセルベーション法では、ケイ皮酸エステル誘導体を、非揮発性溶媒(すなわち、大豆油、ミネラルオイルなど)に溶解、あるいは液体のように使用し、ゼラチン、グリアジンなどの水溶性ポリマーを含む水中で乳化する。適切な粒子径を有する乳液を形成した後、NaSO、MgSOなどのコアセルベーション化剤を添加して各小滴の周りに水溶性ポリマーのコアセルベーション化を生じさせる。その後、適切な架橋剤を添加し、それによって小さな油滴の周りに堅い壁を形成する。
【0013】
界面重合法では、適切なモノマーまたはモノマー混合物を、ケイ皮酸エステル誘導体中に(液体の場合)、あるいはケイ皮酸エステル誘導体を含む溶液中に溶解し、次いで、適切な乳化剤を含む水溶液中で乳化させる。エマルションを形成した後、そのエマルションに水溶性である第二のモノマーまたはモノマー混合物を添加する。小滴の油−水の界面で重合が起こり、壁が形成される。モノマーは、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレア、あるいは、ポリエステルウレタン、ポリエステルアミドなどの混合縮合生成物など、壁材料としての各種界面重合生成物を促進するように選択できる。
【0014】
乳化重合/界面乳化重合では、ケイ皮酸エステル誘導体(液体の場合)、またはケイ皮酸エステル誘導体を含む溶液を、適切な乳化剤(例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド)を含む水溶液中で乳化する。エマルションを形成した後、そのエマルションに適切なモノマーまたはモノマー混合物を添加する。適切な触媒の添加は必須ではないが、必要なら、例えばケイ皮酸エステル誘導体に、あるいはモノマーを添加した後に添加できる。重合は、小滴の油−水の界面で起こり、壁が形成される。
【0015】
局所用サンスクリーン組成物の調製は、当業者にとって周知である。前記の局所用サンスクリーン組成物の調製、特に日常化粧品のための皮膚保護およびサンスクリーン処方物など、皮膚科学および/または化粧上の使用のための調製において、「カプセル化ケイ皮酸エステル」および少なくとも1種の追加の非カプセル化サンスクリーニング有効薬剤は、助剤中に、例えば、このような処方物に通常的に使用される化粧品基剤中に組み込むことができる。都合によっては、その他通常のUV−Aおよび/またはUV−Bおよび/または広領域遮蔽剤も添加できる。UV遮蔽物の組合せが相乗効果を示すこともある。「カプセル化ケイ皮酸エステル」およびその他の既知UV−遮蔽物の量は、それほど決定的ではない。「カプセル化ケイ皮酸エステル」の適切な量は、約10〜約50重量%(マイクロカプセルの正味量および容積分率に左右される)であり、0.5〜12重量%の少なくとも1種の追加の親水性および/または親油性UV−AまたはUV−Bまたは広領域遮蔽剤である。これら追加の遮蔽剤は、それに限定はされないが、有利には以下に挙げる化合物の中から選択される。
【0016】
本発明化合物との組合せが考えられるUV−Bまたは広領域遮蔽剤、すなわち、約290nm〜340nmの間に吸収極大を有する物質の例は、例えば以下の有機および無機化合物である。
【0017】
…2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル(オクトクリレン、PARSOL(登録商標)340)、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチルなどのアクリル酸エステル;
【0018】
…4−メチルベンジリデンカンファー(PARSOL(登録商標)5000)、3−ベンジリデンカンファー、カンファーベンザルコニウムメトサルフェート、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、スルホベンジリデンカンファー、スルホメチルベンジリデンカンファー、テレフタリデンジカンファースルホン酸などのカンファー誘導体;
【0019】
…メトキシケイ皮酸オクチル(PARSOL(登録商標)MCX)、メトキシケイ皮酸エトキシエチル、メトキシケイ皮酸ジエタノールアミン(PARSOL(登録商標)Hydro)、メトキシケイ皮酸イソアミルなどのケイ皮酸エステル誘導体、ならびにシロキサンに結合したケイ皮酸誘導体;
【0020】
…p−アミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N−オキシプロピレン化p−アミノ安息香酸エチル、p−アミノ安息香酸グリセリルなどのp−アミノ安息香酸誘導体;
【0021】
…ベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−4、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;
【0022】
…4−メトキシベンザルマロン酸ジ−(2−エチルヘキシル)などのベンザルマロン酸のエステル、
【0023】
…欧州特許公開EP0895776に記載されている2−(4−エトキシアニリノメチレン)プロパン二酸ジエチルエステルなどの2−(4−エトキシ−アニリノメチレン)プロパン二酸のエステル、
【0024】
…欧州特許公開EP0358584B1、EP0538431B1およびEP0709080A1に記載されている、ベンズマロン酸エステル基を含む有機シロキサン化合物;
【0025】
…ドロメトリゾールトリシロキサン(Mexoryl XL)、
【0026】
…微粒化TiOなどの顔料。用語「微粒化」とは、約5nm〜約200nm、特に約15nm〜約100nmの粒子径を指す。TiO粒子は、アルミニウムまたはジルコニウムの酸化物などの金属酸化物で、あるいは、ポリオール、メチコン、ステアリン酸アルミニウム、アルキルシランなどの有機被覆剤で被覆されてもよい。このような被覆は当業界で周知である。
【0027】
…例えば、2−フェニルベンズイミダゾールスルホン酸およびその塩(PARSOL(登録商標)HS)などのイミダゾール誘導体。2−フェニルベンズイミダゾールスルホン酸の塩は、例えばナトリウムもしくはカリウム塩などのアルカリ塩、アンモニウム塩、モルホリン塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩などのような第一級、第二級および第三級アミンの塩である。
【0028】
…サリチル酸イソプロピルベンジル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ブチル、サリチル酸オクチル(NEO HELIOPAN OS)、サリチル酸イソオクチルまたはサリチル酸ホモメンチル(ホモサラート、HELIOPAN)などのサリチル酸エステル誘導体;
【0029】
…オクチルトリアゾン(UVINUL T−150)、ジオクチルブタミドトリアゾン(UVASORB HEB)、ビスエトキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(Tinosorb S)などのトリアジン誘導体。
【0030】
本発明化合物との組合せが考えられる広領域またはUV−A遮蔽剤、すなわち約320〜400nmに吸収極大を有する物質の例は、例えば次の有機もしくは無機化合物である。
【0031】
…4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(PARSOL(登録商標)1789)、ジメトキシジベンゾイルメタン、イソプロピルジベンゾイルメタンなどのジベンゾイルメタン誘導体;
【0032】
…2,2’−メチレン−ビス−(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノール(TINOSORB M)などのベンゾトリアゾール誘導体;
【0033】
…2,2−(1,4−フェニレン)ビス−(1H−ベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸(Neoheliopan AP)などのフェニレン−1,4−ビス−ベンズイミダゾールスルホン酸または塩、
【0034】
…欧州特許公開EP1046391に記載の2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシ−ベンゾイル)−安息香酸ヘキシルエステルなどのアミノ置換ヒドロキシベンゾフェノン、
【0035】
…微粒化ZnOまたはTiOなどの顔料。用語「微粒子化」とは、約5nm〜約200nm、特に約15nm〜約100nmの粒子径を指す。粒子は、アルミニウムまたはジルコニウムの酸化物などのその他の金属酸化物で、あるいは、ポリオール、メチコン、ステアリン酸アルミニウム、アルキルシランなどの有機皮膜で被覆されてもよい。このような被覆は当業界で周知である。
【0036】
ジベンゾイルメタン誘導体は光安定性に限界があるので、これらのUV−A遮蔽剤を光安定化することが望ましい。従って、用語「従来型UV−A遮蔽剤」とは、例えば、
…欧州特許公開EP0514491B1およびEP0780119A1に記載の3,3−ジフェニルアクリル酸エステル誘導体;
…米国特許第5,605,680号に記載のベンジリデンカンファー誘導体;
…欧州特許公開EP0358584B1、EP0538431B1およびEP0709080A1に記載のベンズマロン酸エステル基を含有する有機シロキサン、
によって安定化された例えばPARSOL(登録商標)1789などのジベンゾイルメタン誘導体を指す。
【0037】
本発明の組成物は、防腐剤/抗酸化剤、脂肪物質/油、水、有機溶媒、シリコーン、増粘剤、柔軟剤、乳化剤、追加のサンスクリーン、消泡剤、保湿剤、芳香剤、界面活性剤、フィラー、金属イオン封鎖剤、アニオン、カチオン、ノニオンもしくは両性ポリマーまたはそれらの混合物、噴射剤、酸性化もしくは塩基化剤、染料、着色剤、顔料もしくはナノ顔料、特に、紫外線を物理的に遮断することによってさらなる光防御効果を提供するのに適した顔料、あるいは化粧品中に、特にサンスクリーン/抗紫外線(antisun)組成物の製造のために通常的に処方される任意のその他成分など、通常の化粧品用助剤および添加剤を含むこともできる。化粧品および皮膚科学上の助剤および添加剤の必要量は、所望される製品に基づいて当業者が容易に選択可能であり、それに限定するものではないが実施例で示す。
【0038】
追加的量の抗酸化剤/防腐剤が、一般に好ましい。本発明に基づいて、化粧品中に通常処方されるすべての既知抗酸化剤を使用できる。特に好ましいのは、アミノ酸(例えばグリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびそれらの誘導体、イミダゾール(例えばウロカニン酸)および誘導体、D,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシンおよび誘導体(例えばアンセリン)などのペプチド、カロテノイド、カロテン(例えばα−カロテン、β−カロテン、リコペン)および誘導体、クロロゲン酸および誘導体、リポ酸および誘導体(例えばジヒドロリポ酸)、オーロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよびその他のチオール(例えばチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンおよびそのグリコシル−、N−アセチル、メチル−、エチル−、プロピル−、アミル−、ブチル−およびラウリル−、パルミトイル−、オレイル−、γ−リノレイル−、コレステリル−およびグリセリルエステル)およびそれらの塩、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸およびその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)ならびに極く低い相溶投与量(例えば、pモル〜μモル/kg)のスルホキシミン化合物(ブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタチオニンスルホキシミンなど)、さらに(金属)−キレート化剤(α−ヒドロキシ脂肪酸、パルミン酸(palmic acid)、フィチン酸(phytinic acid)、ラクトフェリンなど)、β−ヒドロキシ酸(クエン酸、乳酸、リンゴ酸など)、フミン酸(huminic acid)、没食子酸、没食子抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびその誘導体、不飽和脂肪酸およびそれらの誘導体(γ−リノール酸、リノリン酸、オレイン酸など)、葉酸およびその誘導体、ユビキノンおよびユビキノールおよびそれらの誘導体、ビタミンCおよび誘導体(アスコルビン酸パルミチン酸エステルおよびアスコルビン酸テトライソパルミチン酸エステル、Mg−アスコルビン酸リン酸エステル、Na−アスコルビン酸リン酸エステル、アスコルビン酸乳酸エステルなど)、トコフェロールおよび誘導体(ビタミンEアセテートなど)、天然ビタミンEの混合物、ビタミンAおよび誘導体(ビタミンA−パルミチン酸エステルおよび−酢酸エステル)ならびに安息香酸コニフェリル、ルチン酸および誘導体、α−グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、トリヒドロキシブチロフェノン、尿素およびその誘導体、マンノースおよび誘導体、亜鉛および誘導体(例えばZnO、ZnSO)、セレンおよび誘導体(例えばセレノメチオニン)、スチルベンおよび誘導体(スチルベンオキシド、trans−スチルベンオキシドなど)、ならびに指定した有効成分の適切な誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質)からなる群から選択される抗酸化剤である。1種または複数の防腐剤/抗酸化剤は、本発明組成物の総重量の約0.01wt%〜約10wt%の量で存在できる。好ましくは、1種または複数の防腐剤/抗酸化剤が約0.1wt%〜約1wt%の量で存在する。
【0039】
典型的には、処方物に、乳化剤、可溶化剤などの表面活性成分も加える。乳化剤は、2つまたはそれ以上の混和しない成分を均一に混合できるようにする。さらに、乳化剤は、組成物を安定化するように作用する。O/W、W/O、O/W/OまたはW/O/W型のエマルション/ミクロエマルションを形成するために本発明で使用できる乳化剤には、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−3、オレイン/ステアリン酸のポリグリセロールエステル、ヘキサリシノール酸ポリグリセリル−6、オレイン酸ポリグリセリル−4、オレイン酸ポリグリセリル−4/ヤシ油脂肪酸PEG−8プロピレングリコール、オレアミドDEA、ミリスチン酸TEA、ステアリン酸TEA、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、リシノール酸カリウム、ヤシ油脂肪酸ナトリウム、牛脂脂肪酸ナトリウム、ヒマシ油脂肪酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、およびそれらの混合物が含まれる。さらなる適した乳化剤は、リン酸セチル(Amphisol(登録商標)A)、セチルリン酸ジエタノールアミン(Amphisol(登録商標))、セチルリン酸カリウム(Amphisol(登録商標)K)、リン酸オレイン酸グリセリルナトリウム、リン酸水添植物グリセリドおよびそれらの混合物などのリン酸エステルおよびそれらの塩である。さらに、乳化剤として1種または複数の合成ポリマーを使用してもよい。例えば、PVP−エイコセンコポリマー、アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマー、アクリレート/ステアレス−20メタクリレートコポリマー、PEG−22/ドデシルグリコールコポリマー、PEG−45/ドデシルグリコールコポリマー、およびそれらの混合物である。好ましい乳化剤は、リン酸セチル(Amphisol(登録商標)A)、セチルリン酸ジエタノールアミン(Amphisol(登録商標))、セチルリン酸カリウム(Amphisol(登録商標)K)、PVPエイコセンコポリマー、アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマー、イソステアリン酸PEG−20ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、およびそれらの混合物である。1種または複数の乳化剤が、本発明組成物の総重量の約0.01wt%〜約20wt%の合計量で存在する。好ましくは、約0.1wt%〜約10wt%の乳化剤が使用される。
【0040】
脂質相は、有利には、
ミネラルオイルおよびミネラルワックス;
カプリニック酸(caprinic acid)またはカプリル酸のトリグリセリドなどの油、好ましくはヒマシ油;
油またはワックスおよびその他の天然もしくは合成油、好ましい実施形態ではアルコール、例えばイソプロパノール、プロピレングリコール、グリセリンと脂肪酸のエステル、または炭酸もしくは脂肪酸と脂肪族アルコールのエステル;
安息香酸アルキル;および/または
ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、シクロメチコンおよびそれらの混合物などのシリコーン油、
から選択される。
【0041】
本発明のエマルション、ミクロエマルション、含油ゲル、水分散液または脂肪分散液の油相に組み込むことのできる典型的な脂肪物質は、有利には、飽和および/または不飽和で直鎖または分岐の3〜30個の炭素原子を有するアルキルカルボン酸と、飽和および/または不飽和で直鎖および/または分枝状3〜30個の炭素原子を有するアルコールとのエステル、ならびに、芳香族カルボン酸と飽和および/または不飽和で直鎖または分岐の3〜30個の炭素からなるアルコールとのエステルから選択される。このようなエステルは、有利には、パルミチン酸オクチル、ヤシ油脂肪酸オクチル、イソステアリン酸オクチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソノナン酸セテアリール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、ステアリン酸n−ブチル、ラウリン酸n−ヘキシル、オレイン酸n−デシル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、ヘキシルパルミチン2−エチル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−オクチルドデシル、ヘプタン酸ステアリル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシル、エルカ酸エルシル、ステアリン酸トリデシル、トリメリト酸トリデシル、ならびに、このようなエステルの合成、半合成または天然混合物、例えばホホバ油から選択できる。
【0042】
本発明の処方物に使用するのに適したその他の脂肪成分には、レシチンおよび好ましくは合成、半合成または天然油(例えば、ヤシ油グリセリド、オリーブオイル、ヒマワリ油、大豆油、ピーナッツ油、菜種油、スイートアーモンド油、パーム油、ココナツ油、ヒマシ油、水添ヒマシ油、小麦油、グレープシード油、マカダミアナッツ油、その他)から選択される脂肪酸トリグリセリド、すなわち飽和および/または不飽和で直鎖または分岐の8〜24個の炭素原子、好ましくは12〜18個の炭素原子を有するカルボン酸のトリグリセロールエステルなどの極性油;直鎖および/または分岐の炭化水素およびワックス、例えばミネラルオイル、ワセリン(ペトロラタム)、パラフィン、スクアランおよびスクアレン、ポリオレフィン、水添ポリイソブテンおよびイソヘキサデカンなどの無極性油(好ましいポリオレフィンはポリデセンである);ジカプリルエーテルなどのジアルキルエーテル;好ましくはシクロメチコンなどの直鎖または環状シリコーン油(オクタメチルシクロテトラシロキサン、セチルジメチコン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)、およびそれらの混合物)が含まれる。
【0043】
本発明の処方物に有利に組み込むことのできるその他の脂肪成分は、イソエイコサン、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール、カプリル酸/カプリン酸/コハク酸ジグリセリル、カプリル酸/カプリン酸ブチレングリコール、酢酸C12〜13−アルキル、酒石酸ジ−C12〜13−アルキル、トリイソステアリン、ヘキサカプリル酸/ヘキサカプリン酸ジペンタエリスリチル、モノイソステアリン酸プロピレングリコール、トリカプリリン、ジメチルイソソルビッドである。安息香酸C12〜15−アルキルとイソステアリン酸2−エチルヘキシルの混合物、安息香酸C12〜15−アルキルとイソノナン酸イソトリデシルの混合物、ならびに安息香酸C12〜15−アルキル、イソステアリン酸2−エチルヘキシルおよびイソノナン酸イソトリデシルの混合物の使用が特に有利である。
【0044】
本発明処方物の油相には、蜜蝋、シナ蝋、マルハナバチ蜜蝋、およびその他昆虫のワックス、ならびにシアバタ−およびココアバターなどの天然の植物または動物ワックスを含めることができる。
【0045】
本発明の組成物に保湿剤を組み込んで皮膚の水和または再水和を維持してもよい。保護皮膜を提供することによって皮膚から水が蒸発することを防ぐ保湿剤は、エモリエント(柔軟剤)と呼ばれる。さらに、エモリエントは、皮膚表面に軟化または緩和効果を提供し、一般に局所使用に対して安全と考えられる。好ましいエモリエントには、ミネラルオイル、ラノリン、ペトロラタム、カプリン/カプリルトリグリセルアルデヒド、コレステロール、ジメチコン、シクロメチコンなどのシリコーン、アーモンド油、ホホバ油、アボカド油、ヒマシ油、ゴマ油、ヒマワリ油、ココナツ油およびグレープシード油、ココアバター、オリーブ油、アロエ抽出物、オレイン酸およびステアリン酸などの脂肪酸、セチルおよびヘキサデシル(ENJAY)などの脂肪族アルコール、アジピン酸ジイソプロピル、ヒドロキシ安息香酸エステル、C9〜15−アルコールの安息香酸エステル、イソノナン酸イソノニル、ポリオキシプロピレンブチルエーテルおよびポリオキシプロピレンセチルエーテルなどのエーテル、安息香酸C12〜15−アルキル、およびそれらの混合物が含まれる。最も好ましいエモリエントは、ヒドロキシ安息香酸エステル、アロエベラ、安息香酸C12〜15−アルキル、およびそれらの混合物である。エモリエントは、組成物総重量の約1wt%〜約20wt%の量で存在する。エモリエントの好ましい量は、約2wt%〜約15wt%、最も好ましくは約4wt%〜約10wt%である。
【0046】
水を捕捉し、それによって水を皮膚表面に保持する保湿剤は、湿潤剤と呼ばれる。本発明組成物には、グリセリン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、乳酸、ピロリドンカルボン酸、尿素、ホホリピド(phopholipids)、コラーゲン、エラスチン、セラミド、レシチン、ソルビトール、PEG−4、およびそれらの混合物などの適切な湿潤剤を組み込むことができる。さらなる適した保湿剤は、ヒアルロン酸、キトサンおよび/または例えばSOLABIA SからFucogel(登録商標)1000(CAS番号178463−23−5)として入手できるフコースに富んだ多糖など、水溶性で、かつ/または膨潤可能で、かつ/または水でゲル化する多糖類の部類の高分子保湿剤である。本発明組成物中には、任意選択で、1種または複数の湿潤剤が、約0.5wt%〜約8wt%、好ましくは約1wt%〜約5wt%存在する。
【0047】
本発明組成物の水相には、アルコール、特に低級アルコール、好ましくはエタノールおよび/またはイソプロパノール、低級ジオールまたはポリオールおよびそれらのエーテル、好ましくはプロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、エチレングリコールのモノエチル−もしくはモノブチルエーテル、プロピレングリコールのモノメチル−もしくはモノエチル−もしくはモノブチルエーテル、ジエチレングリコールのモノメチル−もしくはモノエチルエーテルおよび類似物、ポリマー類、泡安定化剤、電解質および特に1種または複数の増粘剤など、通常の化粧品添加剤を含めることができる。製品に適した粘稠度にするのを助けるために本発明処方物に使用できる増粘剤には、カルボマー、二酸化ケイ素、マグネシウムおよび/またはアルミニウムのケイ酸塩、蜜蝋、ステアリン酸、ステアリルアルコール、多糖類およびその誘導体のキサンガムなど、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリルアミド、アクリレートクロスポリマー、好ましくはCarbopole(登録商標)980、981、1382、2984、5984型の単独またはそれらの混合物などのカルボマーが含まれる。例えば乳化剤または泡立て剤/泡安定剤などの成分を中和するために本発明組成物に含め得る適切な中和剤には、それに限定しないが、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、アミノメチルプロパノール、およびそれらの混合物などの有機塩基、アルギニン、リシンなどのアミノ酸、および前記いずれかのものの任意の組合せが含まれる。本発明組成物中で、中和剤は約0.01wt%〜約8wt%、好ましくは1wt%〜約5wt%の量で存在できる。
【0048】
疎水性乳化剤の挙動を変えるために、本発明組成物中に電解質を添加することが必要かもしれない。従って、本発明のエマルション/ミクロエマルションには、それらに限定されないが、塩化物、硫酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩およびアルミン酸塩などのアニオンを含む1種または数種の電解質を含めてもよい。その他の適した電解質は、それに限定はしないが、乳酸、酢酸、安息香酸、プロピオン酸、酒石酸およびクエン酸イオンなどの有機アニオンをベースにすることもできる。カチオンとして、好ましくは、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカリまたはアルカリ土類金属、マグネシウムイオンまたは亜鉛イオンが選択される。特に好ましい塩は、塩化カリ、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛およびそれらの混合物である。電解質は、本発明組成物中に約0.01wt%〜約8wt%の量で存在できる。
【0049】
本発明の化粧品組成物は、紫外線の損傷効果からヒトの表皮または毛髪を光防護するための組成物、すなわちサンスクリーン組成物として有用である。このような組成物は、詳細には、ローション、粘性ローション、ゲル、クリーム、乳液、軟膏、粉末または固形チューブスティックの形態で供給することができ、場合によってはエアゾールとして容器に詰めることができ、ムース、泡またはスプレーの形態で供給することができる。本発明による化粧品組成物を、ヒトの表皮をUV線から保護するために、またはサンスクリーン組成物として供給する場合、それらの組成物は、溶媒または脂肪物質中の懸濁液または分散液の形態、あるいは、クリームまたは乳液、ベシクル分散液など、エマルションまたはミクロエマルションの形態(詳細には、O/WまたはW/O型、O/W/OまたはW/O/W型の)、軟膏、ゲル、固形チューブスティックまたはエアゾールムースの形態とすることができる。エマルションには、アニオン性、ノニオン性、カチオン性または両性界面活性剤を含めることもできる。
【0050】
以下の実施例を提供して本発明の方法および組成物をさらに説明する。これらの実施例は、例示にすぎず、いかなる意味でも本発明の範囲を限定するものではない。
【0051】
(実施例1)
局所用サンスクリーン組成物中のカプセル化ケイ皮酸エステル誘導体の、(非カプセル化)UV−Aおよび/またはUV−Bおよび/または広領域遮蔽剤の添加による、光安定性の改善。
【0052】
表1に示したエマルションを使用した。このエマルション中に、対照として5%の4−メトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(EHMC)または対応量のカプセル化EHMC(Eusolex(登録商標)UV−pearls(商標)OMCまたは類似のマイクロカプセル化EHMC)、および表2に示した追加の非カプセル化UV−A、UV−Bまたは広領域サンスクリーンの追加量または組合せを組み込んだ。当業者に周知のように、EHMCなどの親油性UV遮蔽剤は油相に添加され、親水性UV−遮蔽剤は水相に添加される。「カプセル化ケイ皮酸エステル」をどの段階でエマルションに添加するかはそれほど重要ではない。例えば水相に添加してもよいし、ホモジネート化の前または後で最終処方物に組み込むこともできる。
【0053】
エマルションの光安定性は、G.BersetおよびH.Gonzenbach(COLIPA委員会)、すなわち、光安定性判定用プロトコール案その1、化粧用UV−フィルター、Int.J.Cosmet.Sci.、18巻、167〜177頁(1996年)に従って判定した。
【0054】
照射中に対照品の吸収が70%まで減少するのは、市販E−EHMCのE/Z異性化によるものであり、それら異性体の吸光係数の相違(E−EHMCのε=24,300、Z−EHMCのε=14,500)に基づく。
【0055】
カプセル化ケイ皮酸エステル誘導体は、例えば、ゾル−ゲル法例えばWO00/72806(ゾル−ゲルマイクロカプセルを含有するサンスクリーン組成物)、界面重合法例えばDE2722973(界面重合による製品のカプセル化)、コアセルベーション法例えばWO9822210(疎水性サンスクリーンを含有するキチンまたはキチン誘導体のマイクロカプセル)または溶媒蒸発法例えばEuropian Polymer Journal(2001年)、37巻(5号)、955〜963頁(溶媒蒸発によるマイクロカプセル化)、J.Controlled release、13巻、33〜41頁(ヒアルロン酸エステルの微小球)、乳化/界面乳化重合またはEP0934773(特定の壁を有するマイクロカプセルおよびその製造方法)およびFragrance Journal、2000年、30巻(7号)62〜67頁(UV防護用新規成分、UV吸収剤を含むマイクロカプセルの特性および応用)に記載の方法など、各種の有効なカプセル化法によって調製できる。
【0056】
【表1】



【0057】
手順:
撹拌しながら成分A)およびB)を85℃まで加熱する。追加の非カプセル化UV−Aおよび/またはUV−Bおよび/または広領域遮蔽剤を、それらの溶解度を基にした所望の濃度で、水相または油相に添加する。均一になったら、撹拌下に成分B)を成分A)に添加する。撹拌しながら約45℃まで冷却する、次いで、C)を添加する。撹拌しながら外界温度まで冷却する。再度ホモジナイズして小さな粒子径を得る。
【0058】
【表2】



【0059】
上記の結果から明らかなように、カプセル化したEHMCを使用することによって、エマルション中での光安定性が「非加工EHMC」に比べて有意に減少する。しかし、追加の非カプセル化UV−Aおよび/またはUV−Bおよび/または広領域遮蔽剤を添加すると、光安定性が強化され、対照品と同様に安定な組成物を得ることが可能である。
【0060】
前述の説明は、本発明の例示にすぎないことを理解されたい。当業者は、本発明から逸脱することなしに様々な代替および修正を考案できる。従って、本発明は、付随の特許請求の範囲に含まれるこのような代替、修正、変形のすべてを包含することを意味する。
【0061】
(実施例2)
【表3】



【0062】
手順:
撹拌しながら成分A)およびB)を85℃まで加熱する。均一になったら、撹拌下に成分B)を成分A)に添加する。撹拌しながら外界温度まで冷却し、次いで、成分C)を添加する。ホモジネート化して小さな粒子径を得る。
【0063】
(実施例3)
【表4】



【0064】
手順:
撹拌しながら成分A)およびB)を85℃まで加熱する。均一になったら、撹拌下に成分B)を成分A)に添加する。撹拌しながら外界温度まで冷却し、そしてC)を添加する。ホモジネート化して小さな粒子径を得る。
【0065】
(実施例4)
【表5】



【0066】
手順:
撹拌しながら成分A)およびB)を85℃まで加熱する。均一になったら、撹拌下に成分B)を成分A)に添加する。撹拌しながら外界温度まで冷却し、そしてC)を添加する。ホモジネート化して小さな粒子径を得る。
【0067】
(実施例5)
【表6】



【0068】
手順:
撹拌しながら成分A)およびB)を85℃まで加熱する。均一になったら、撹拌下に成分B)を成分A)に添加する。撹拌しながら外界温度まで冷却し、そしてC)およびD)を添加する。ホモジネート化して小さな粒子径を得る。
【0069】
(実施例6)
【表7】



【0070】
手順:
撹拌しながら成分A)およびB)を混合する。均一になったら、撹拌下に成分C)およびD)を添加する。
【0071】
(実施例7)
【表8】



【0072】
手順:
撹拌しながら成分A)およびB)を85℃まで加熱する。均一になったら、撹拌下に成分B)を成分A)に添加する。撹拌しながら外界温度まで冷却し、そしてC)およびD)を添加する。ホモジネート化して小さな粒子径を得る。
【0073】
(実施例8)
【表9】



【0074】
手順:
撹拌しながら成分A)、B)およびC)を85℃まで加熱する。均一になったら、撹拌下に成分B)およびC)を成分A)に添加する。撹拌しながら外界温度まで冷却し、そしてD)およびE)を添加する。ホモジネート化して小さな粒子径を得る。
【0075】
(実施例9)
【表10】



【0076】
手順:
撹拌しながら成分A)、B)およびC)を85℃まで加熱する。均一になったら、撹拌下に成分B)およびC)を成分A)に添加する。撹拌しながら外界温度まで冷却し、そしてD)およびE)を添加する。ホモジネート化して小さな粒子径を得る。
【0077】
(実施例10)
【表11】



【0078】
手順:
撹拌しながら成分A)、B)およびC)を85℃まで加熱する。均一になったら、撹拌下に成分B)およびC)を成分A)に添加する。撹拌しながら外界温度まで冷却し、そしてD)およびE)を添加する。ホモジネート化して小さな粒子径を得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンスクリーン組成物中に有効量の少なくとも1種の追加の非カプセル化サンスクリーンを導入することを含む、局所用サンスクリーン組成物中のカプセル化ケイ皮酸エステル誘導体の光安定性を強化する方法。
【請求項2】
追加の非カプセル化サンスクリーンが、UV−B、または広領域、またはUV−Bおよび/もしくは広領域およびUV−Aサンスクリーンの組合せである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
カプセル化ケイ皮酸エステルが、ゾル−ゲル法、溶媒蒸発法、コアセルベーション法、界面重合法または乳化/界面乳化重合法によって調製されるものである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
マイクロカプセルが、「ゾル−ゲルガラス」、ケイ素をベースにしたネットワークポリマー、「シリコーン樹脂ポリペプチド」などのケイ素をベースにしたポリマー、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステルまたはそれらの組合せからなるシェルで囲まれたケイ皮酸誘導体をコアとして有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
カプセル化ケイ皮酸エステルが、ゾル−ゲル法によって調製される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
ケイ皮酸エステルが式I
【化1】



(式中、R、Rは、独立に、水素、またはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−エチル−ヘキシル、およびオクチルなど、1〜21個、好ましくは1〜8個の炭素原子を含む飽和の直鎖もしくは分枝状アルキルである)を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ケイ皮酸エステルがp−メトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルである、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
追加の非カプセル化サンスクリーンが、メトキシケイ皮酸DEA、ジエチルヘキシルブタミドトリアジン、ケイ皮酸ジイソプロピルメチル、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,4−ジメチル−1,3−ペンタンジオン、ドロメトリゾールトリシロキサン、ベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−4、3−ベンジリデンカンファー、ベンジリデンカンファースルホン酸、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、カンファーベンザルコニウムメトサルフェート、ジイソプロピルケイ皮酸エチル、2−エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオネート、エチルヘキシルジメチルPABA、サリチル酸エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、エチルPABA、ホモサラート、p−メトキシケイ皮酸イソアミル、アントラニル酸メンチル、4−メチルベンジリデンカンファー、メチレン−ビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、オクトクリレン、PABA、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、ポリシリコーン−15、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸カリウム、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸ナトリウム、サリチル酸TEA、テレフタリデンジカンファースルホン酸、2,2−(1,4−フェニレン)ビス−(1H−ベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸、2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシ−ベンゾイル)−安息香酸ヘキシルエステル、ミクロファイン二酸化チタンおよびミクロファイン酸化亜鉛から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2006−514661(P2006−514661A)
【公表日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−567745(P2004−567745)
【出願日】平成15年9月25日(2003.9.25)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010685
【国際公開番号】WO2004/069216
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(505220217)デーエスエム アイピー アセッツ ベー. ヴェー. (29)
【Fターム(参考)】