説明

新規のヒドロキシインドール、該ヒドロキシインドールのホスホジエステラーゼ4の阻害剤としての使用および該ヒドロキシインドールの製造法

本発明は、式(I)の置換された4−ヒドロキシインドールおよび/または7−ヒドロキシインドール、該ヒドロキシインドールの製造法、該化合物を含有する医薬調剤ならびに免疫拮抗細胞(例えば、マクロファージおよびリンパ球)中でのホスホジエステラーゼ4の活性の阻害が本発明による化合物によって影響を受けている疾病を治療するための作用物質としてのホスホジエステラーゼ4の阻害剤である前記化合物の製薬学的使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換された4−ヒドロキシインドールおよび/または7−ヒドロキシインドール、該ヒドロキシインドールの製造法、該化合物を含有する医薬調剤ならびに免疫拮抗細胞(例えば、マクロファージおよびリンパ球)中でのホスホジエステラーゼ4の活性の阻害が本発明による化合物によって影響を受けている疾病を治療するための作用物質としてのホスホジエステラーゼ4の阻害剤である前記化合物の製薬学的使用に関する。
【0002】
伝達物質による細胞膜の受容体の活性化は、”第2メッセンジャー”系の活性化を生じる。アデニル酸シクラーゼは、AMPおよびGMPから有効な環状AMP(cAMP)または環状GMP(cGMP)を合成する。アデニル酸シクラーゼは、例えば平滑筋細胞中で弛緩を生じるかまたは炎症細胞中でメディエーターの放出または合成の抑制を生じる。”第2メッセンジャー”cAMPおよびcGMPの分解は、ホスホジエステラーゼ(PDE)によって行なわれる。これまで、PDE酵素の11個の系統(PDE1−11)が公知であり、この系統は、基質の特異性(cAMP、cGMPまたはこれら双方)および別の基質(例えば、カルモジュリン)の依存性によって区別される。このイソ酵素は、体内での異なる機能を有し、個々の細胞種中で顕著に異なるものである(Beavo, JA, Conti, MおよびHeaslip, RJ, Multiple cyclic nucleotide phosphodiesterases, Mol. Pharmacol. 1994, 46:399-405; Hall, IP, Isoenzyme selective phosphodiesterase inhibitors: potential clinical uses, Br. J. clin. Pharmacol. 1993, 35:1-7)。種々のPDEイソ酵素型の阻害によって、細胞内にcAMPまたはcGMPの蓄積を生じ、このことは、治療的に利用されることができる(Torphy, TJ, Livi, GP, Christensen, SB, Novel Phosphodiesterase Inhibitors for the Therapy of Asthma, Drug News and Perspectives 1993, 6:203-214)。
【0003】
アレルギー性の炎症にとって重要な細胞(リンパ球、肥満細胞、好酸球顆粒細胞、マクロファージ)中には、型4の優勢であるPDEイソ酵素が存在する(Torphy, JTおよびUndem, BJ, Phosphordiesterase inhibitors: new opportunities for the treatment of asthma, Thorax 1991, 46:512-523)。従って、適当な阻害剤によるPDE4の抑制は、アレルギーにより誘発される多数の疾患を治療するための重要な手掛かりと見なされる(Schudt, Ch, Dent, G, Rabe, K, Phosphodiesterase Inhibitors, Academic Press London 1996)。
【0004】
ホスホジエステラーゼ4阻害剤の重要な性質は、炎症細胞からの主要壊死因子α(TNFα)の遊離を抑制することである。TNFαは、重要な前炎症性サイトカインであり、これは、多数の生物学的プロセスに影響を及ぼす。TNFαは、例えば活性化されたマクロファージ、活性化されたT−リンパ球、肥満細胞、好塩基球、線維芽細胞、内皮細胞および神経膠星状細胞から脳内で遊離される。このTNFαそれ自体は、好中球、好酸球、線維芽細胞および内皮細胞に対して活性作用を有し、それによって種々の組織破壊性メディエーターは、遊離される。単細胞、マクロファージおよびT−リンパ球中で、TNFαは、他の前炎症性サイトカイン、例えばGM−CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)またはインターロイキン−8の増殖された生産を生じる。TNFαは、炎症を促進する作用および異化作用のために、多数の疾病、例えば気道の炎症、関節炎、内毒素性ショック、組織の損傷、エイズおよび数多くの別の免疫性疾患の場合に中心的な役を演じる。従って、このようなTNFαと結合した疾患を治療するためには、ホスホジエステラーゼ4の阻害剤が同様に適している。
【0005】
慢性の閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary diseases, COPD)は、或る地域の住民には、広く蔓延しており、経済的にも著しく重要である。即ち、発生された国々における全ての疾病費用の約10〜15%および米国における全ての死亡例の約25%の惹起されるCOPD疾病は、前記の原因に帰因しうる(Norman, P: COPD:New developments and therapeutic opportunities, Drug News Perspect. 11 (7), 431-437, 1998)が、しかし、患者は、死亡時点で多くの場合に55歳を上廻る年齢である(Nolte, D: Chronische Bronchitis - eine Volkskrankheit multifaktorieller Genese, Atemw,-Lungenkrkh. 20(5), 260-267, 1994)。WHOは、COPDが次の20年間で3番目に頻発する死亡原因になると予想している。
【0006】
慢性の閉塞性肺疾患(COPD)の疾病像の中には、咳および喀痰の症状を伴なう慢性気管支炎ならびに肺機能(特に驚愕するのは、呼気である)の進行の劣化および不可逆の劣化の種々の疾病像が含められる。疾病の経過は、推進力的であり、しばしば細菌の感染によって複雑化される(Rennard, SI: COPD: Overview of definitions, Epidemiology, and factors influencing its development, Chest, 113 (4) Suppl., 235S-241S, 1998)。疾病の経過中に肺の機能は、絶えず衰え、肺気腫は、ますます増加し、患者の呼吸困難は、明白となる。この疾病は、明らかに患者の生命品質を損ない(直ぐ息切れし、耐性が僅かになる)、予想される生命を著しく短くする。環境因子とともに主要な危険因子は、喫煙であり(Kummer,F: Asthma und COPD. Atemw.-Lungenkrkh. 20(5), 299-302, 1994; Rennard, SI: COPD: Overview of definitions, Epidemiology, and factors influencing its development, Chest, 113 (4) Suppl., 235S-241S, 1998)、したがって女性よりも男性の方が明らかにしばしばこれに関係する。しかし、生活形式の変化および女性の喫煙者数の増加によって、この観念は、この先、忘れられることになる。
【0007】
現在の治療は、症状の軽減のみを目的とし、元々、疾病の進行に介入することがない。長く作用するβ2−アゴニスト(例えば、Salmeterol)の使用は、場合によってはムスカリン様アンタゴニスト(muscarinergen Antagonisten)(例えば、Ipratropium)と組み合わせて気管支拡張による肺機能を改善し、日常的に使用される(Norman, P: COPD:New developments and therapeutic opportunities, Drug News Perspect. 11 (7), 431-437, 1998)。抗生物質で処置されなければならない細菌による感染は、COPD病勢憎悪の場合に大きな役を演じる(Wilson, R: The role of infection in COPD, Chest, 113 (4) Suppl, 242S-248S, 1998; Grossman, RF: The value of antibiotics and the outcomes of antibiotic therapy in exacerbations of COPD, Chest, 113 (4) Suppl., 249S-255S, 1998)。これまで、この疾病の治療は、特に肺機能の絶えることのない衰えの点で満足できるものではなかった。炎症のメディエーター、プロテアーゼまたは付着分子について取り組むことができた新規な治療法のきっかけは、極めて成果を期待できるものであった(Barnes, PJ: Chronic obstructive disease: new opportunities for drug development, TiPS 10 (19), 415-423, 1998。
【0008】
疾病を複雑化する細菌による感染とは無関係に、好中球顆粒細胞によって占められている慢性の炎症が気管支中に見出される。なかんずく好中球顆粒細胞によって遊離されるメディエーターおよび酵素は、気道内で観察される構造的変化(肺気腫)に対して責任を負っている。従って、好中球顆粒細胞の活性を阻害することは、COPDの進行(肺機能パラメーターの劣化)を抑制するかまたは緩和させるための合理的なきっかけである。顆粒細胞を活性化するのに重要な刺激は、前炎症性サイトカインTNFα(腫瘍ネクロシス因子 tumour necrosis factor)である。即ち、TNFαが酸素ラジカルの形成を好中球顆粒細胞によって刺激することは、公知である(Jersmann, HPA; Rathjen, DA およびFerrante, A: Enhancement of LPS-induced neutrophil oxygen radical production by TNSα, infection and Immunity, 4, 1744-1747, 1998)。PDE4阻害剤は、多数の細胞からのTNFαの放出を極めて有効に阻害することができ、したがって好中球顆粒細胞の活性を抑制することができる。非特異的なPDE阻害剤ペントキシフィリンは、酸素ラジカルの形成ならびに好中球顆粒細胞の食作用能を阻害する状態にある(Wenisch, C; Zedtwitz-Liebenstein, K; Parschalk, BおよびGraninger, W: Effect of pentxifylline in vitro on neutrophil reactive oxygen production and phagocytic ability assessed by flow cytometry, Clin. Drug Invest., 13 (2): 99-104, 1997)。
【0009】
既に、種々のPDE4阻害剤は、公知である。有利に、この阻害剤は、キサンチン誘導体、ロリプラム類似物質またはニトラクアゾン(Nitraquazon)誘導体である(概要:Karlsson, J-A, Aldos, D, Phosphodiesterase 4 inhibitors for the treatment of asthma, Exp. Opin. Ther. Patents 1997, 7: 989-1003)。これらの化合物は、従来、臨床的に使用されることができなかった。公知のPDE4阻害剤は、種々の副作用、例えば嘔気および嘔吐を有することが確認され、これらの副作用は、これまで十分に抑制することができなかった。従って、よりいっそう良好な治療的幅を有する新規のPDE4阻害剤を開発することが必要とされている。
【0010】
インドール−3−イルグリオキシル酸アミドおよびその製造方法は、既に何回か記載された。あらゆる場合において、商業的に入手可能なインドールを1位で置換することによって合成される、3位で未置換のインドールは、蓚酸ハロゲン化物との反応によってインドール−3−イルグリオキシル酸ハロゲン化物に変換され、このインドール−3−イルグリオキシル酸ハロゲン化物は、引続きアンモニアまたは第1アミンもしくは第2アミンとの反応によって相応するインドール−3−イルグリオキシル酸アミドを生じる(反応式1)。
【0011】
【化1】

【0012】
即ち、米国特許第2825734号明細書および米国特許第3188313号明細書には、反応式1により製造される種々のインドール−3−イルグリオキシル酸アミドが記載されている。この化合物は、還元によって生成されるインドール誘導体を製造するための中間生成物として使用された。また、米国特許第3642803号明細書には、インドール−3−イルグリオキシル酸アミドが記載されている。
【0013】
Farmaco 22 (1967), 229-244には、5−メトキシインドール−3−イルグリオキシル酸アミドの製造が記載されている。使用されるインドール誘導体は、塩化オキサリルと再度反応され、生成されたインドール−3−イルグリオキシル酸クロリドは、アミンと反応される。
【0014】
また、更に、米国特許第6008231号明細書には、インドール−3−イルグリオキシル酸アミドおよびその製造法が記載されている。反応式1で示された反応工程および反応条件が再度、使用される。4−ヒドロキシインドール誘導体または7−ヒドロキシインドール誘導体は、記載されていない。
【0015】
置換された5−ヒドロキシインドリル−グリオキシル酸アミドおよび6−ヒドロキシインドリル−グリオキシル酸アミドならびにこれらの製造法およびそのPDE4阻害剤としての使用は、初めてドイツ連邦共和国特許出願公開第19818964号明細書A1に記載された。しかし、4−ヒドロキシインドール誘導体または7−ヒドロキシインドール誘導体、これらの製造および使用は、開示されていない。
【0016】
本発明は、一般式1
【0017】
【化2】

〔式中、
nは、1または2であることができ、
は、
(i)場合によっては1回または数回−OH、−SH、−NH、−NHC〜C−アルキル、−N(C〜C−アルキル)、−NHC〜C14−アリール、−N(C〜C14−アリール)、−N(C〜C−アルキル)(C〜C14−アリール)、−NO、−CN、−F、−Cl、−Br、−I、−O−C〜C−アルキル、−O−C〜C14−アリール、−S−C〜C−アルキル、−S−C〜C14−アリール、−SOH、−SO〜C−アルキル、−SO〜C14−アリール、−OSO〜C−アルキル、−OSO〜C14−アリール、−COOH、−(CO)C〜C−アルキル、−O(CO)C〜C−アルキルで置換されたか、3〜14個の環員を有する単環式、二環式または三環式の飽和炭素環または1個もしくは数個の不飽和炭素環で置換されたか、5〜15個の環員を有しかつ有利にN、OおよびSである1〜6個のヘテロ原子を有する単環式、二環式または三環式の飽和複素環または1個もしくは数個の不飽和複素環で置換された直鎖状または分枝鎖状の−C〜C10−アルキルを表わし、
この場合C〜C14−アリール基ならびに炭素環および複素環の置換基は、その側で場合によっては1回または数回−C〜C−アルキル、−OH、−NH、−NHC〜C−アルキル、−N(C〜C−アルキル)、−NO、−CN、−F、−Cl、−Br、−I、−O−C〜C−アルキル、−S−C〜C−アルキル、−SOH、−SO〜C−アルキル、−OSO〜C−アルキル、−COOH、−(CO)C〜C−アルキル、−O(CO)C〜C−アルキルで置換されていてよく、および
この場合アルキル基は、炭素環および複素環の置換基上でその側で場合によっては1回または数回−OH、−SH、−NH、−F、−Cl、−Br、−I、−SOH、−COOHで置換されていてよいか、または
(ii)場合によっては1回または数回−OH、−SH、−NH、−NHC〜C−アルキル、−N(C〜C−アルキル)、−NHC〜C14−アリール、−N(C〜C14−アリール)、−N(C〜C−アルキル)(C〜C14−アリール)、−NO、−CN、−F、−Cl、−Br、−I、−O−C〜C−アルキル、−O−C〜C14−アリール、−S−C〜C−アルキル、−S−C〜C14−アリール、−SOH、−SO〜C−アルキル、−SO〜C14−アリール、−OSO〜C−アルキル、−OSO〜C14−アリール、−COOH、−(CO)C〜C−アルキル、−O(CO)C〜C−アルキルで置換されたか、3〜14個の環員を有する単環式、二環式または三環式の飽和炭素環または1個もしくは数個の不飽和炭素環で置換されたか、5〜15個の環員を有しかつ有利にN、OおよびSである1〜6個のヘテロ原子を有する単環式、二環式または三環式の飽和複素環または1個もしくは数個の不飽和複素環で置換された、1個または数個の不飽和で直鎖状または分枝鎖状の−C〜C10−アルケニルを表わし、
この場合C〜C14−アリール基ならびに炭素環および複素環の置換基は、その側で場合によっては1回または数回−C〜C−アルキル、−OH、−NH、−NHC〜C−アルキル、−N(C〜C−アルキル)、−NO、−CN、−F、−Cl、−Br、−I、−O−C〜C−アルキル、−S−C〜C−アルキル、−SOH、−SO〜C−アルキル、−OSO〜C−アルキル、−COOH、−(CO)C〜C−アルキル、−O(CO)C〜C−アルキルで置換されていてよく、および
この場合アルキル基は、炭素環および複素環の置換基上でその側で場合によっては1回または数回−OH、−SH、−NH、−F、−Cl、−Br、−I、−SOH、−COOHで置換されていてよく、
およびRは、
(i)それぞれ無関係に、水素を表わすかまたは場合によっては1回または数回−OH、−SH、−NH、−NHC〜C−アルキル、−N(C〜C−アルキル)、−NO、−CN、−F、−Cl、−Br、−I、−O−C〜C−アルキル、−S−C〜C−アルキル、−フェニル、−ピリジル、−フェニルで置換されたか、
場合によっては1回または数回−C〜C−アルキル、−OH、−SH、−NH、−NHC〜C−アルキル、−N(C〜C−アルキル)、−NO、−CN、−COOH、−COOC〜C−アルキル、−F、−Cl、−Br、−I、−O−C〜C−アルキル、−S−C〜C−アルキル、−O(CO)−C〜C−アルキル、−ピリジルで置換されたか、
場合によっては1回または数回−C〜C−アルキル、−OH、−SH、−NO、−CN、−COOH、−COOC〜C−アルキル、−F、−Cl、−Br、−I、−O−C〜C−アルキル、−S−C〜C−アルキル、−O(CO)C〜C−アルキルで置換された−C〜C−アルキルを表わし、この場合RおよびRの一方だけは、水素を表わし、および
この場合アルキル基は、炭素環および複素環の置換基上でその側で場合によっては1回または数回−OH、−SH、−NH、−F、−Cl、−Br、−I、−SOH、−COOH、−(CO)C〜C−アルキルまたは−O(CO)C〜C−アルキルで置換されていてよいか、または
(ii)NRは、一緒になって、場合によっては1回または数回−C〜C−アルキル、−OH、−SH、−NO、−CN、−COOH、−COOC〜C−アルキル、−F、−Cl、−Br、−I、−O−C〜C−アルキル、−S−C〜C−アルキルまたは−O(CO)C〜C−アルキルで置換された、3個までのヘテロ原子、特にN、SおよびOを含有していてよい、飽和または不飽和の5員環または6員環を形成し、
およびRは、−Hまたは−OHを表わし、この場合これら双方の少なくとも1個は、−OHでなければならない〕で示される置換されたヒドロキシインドールに関する。
【0018】
特に、nは、化合物1の場合には、2を表わす。更に、Rは、−OHを表わし、Rは、Hを表わす。NRは、有利に1個以上のハロゲン原子、例えばF、Cl、Br、Iで置換されたフェニルアミノ基またはピリジルアミノ基を表わす。Rは、有利に置換されたベンジル基であり、この場合置換基は、フェニル環上で有利にベンジル−メチレン基に対してオルト位にある。更に、特に好ましいのは、実験例に記載された化合物である。
【0019】
更に、本発明は、式1による化合物の生理的に認容性の塩に関する。
【0020】
生理的に認容性の塩は、常法で塩基を無機酸もしくは有機酸で中和するかまたは酸を無機塩基もしくは有機塩基で中和することによって得ることができる。無機酸としては、例えば塩酸、硫酸、燐酸または臭化水素酸がこれに該当し、無機酸としては、例えばカルボン酸、スルホ酸またはスルホン酸、例えば酢酸、酒石酸、乳酸、プロピオン酸、グリコール酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、タンニン酸、コハク酸、アルギン酸、安息香酸、2−フェノキシ安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、クエン酸、リンゴ酸、サリチル酸、3−アミノサリチル酸、アスコルビン酸、エンボン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、蓚酸、アミノ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸またはナフタリン−2−スルホン酸がこれに該当する。無機塩基としては、例えば苛性ソーダ液、苛性カリ液、アンモニアがこれに該当し、ならびに有機塩基としては、アミン、好ましくは第3アミン、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、キノリン、イソキノリン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、キナルジンまたはピリミジンがこれに該当する。
【0021】
更に、式1による化合物の生理的に認容性の塩は、第3アミノ基を有する誘導体を自体公知の方法で四級化剤を用いて相応する第4アンモニウム塩に変換することによって取得されることができる。四級化剤としては、例えばアルキルハロゲン化物、例えばヨウ化メチル、臭化エチルおよび塩化n−プロピルがこれに該当するが、しかし、アリールアルキルハロゲン化物、例えば塩化ベンジルまたは2−フェニルエチルブロミドもこれに該当する。
【0022】
更に、本発明は、D形、L形およびD,L形の不斉炭素原子を含有する式1の化合物ならびに多数の不斉炭素原子の場合には、ジアステレオマー形の不斉炭素原子を含有する式1の化合物に関する。不斉炭素原子を含有しかつ一般にラセミ化合物として生じる式1の化合物は、自体公知の方法で、例えば光学活性の酸を用いて光学活性の異性体に分離されることができる。しかし、元々、光学活性の出発物質を使用することも可能であり、この場合には、最終製品として相応する光学活性化合物またはジアステレオマー化合物を得ることができる。
【0023】
本発明による化合物については、治療的に利用されうる薬理学的に重要な性質が見出された。式1の化合物は、単独で使用されてもよいし、互いに組合せ物で使用されてもよいし、別の作用物質との組合せ物で使用されてもよい。本発明による化合物は、ホスホジエステラーゼ4の阻害剤である。従って、本発明の対象は、式1の化合物およびその塩ならびにこの化合物またはその塩を含有する医薬調剤を疾病の治療に使用することができることにあり、この場合には、ホスホジエステラーゼ4の阻害剤が有用である。
【0024】
前記の疾病には、例えば関節炎およびリューマチ様関節炎を含む関節の炎症ならびに別の関節炎の疾病、例えばリュウマチ様脊椎炎および変形性関節炎が属する。他の使用可能性は、骨粗鬆症、敗血症、敗血症性ショック、グラム陰性敗血症、毒性ショック症候群、呼吸困難症候群、喘息または別の慢性肺疾患、例えばCOPD、骨吸収疾患もしくは移植組織の反撥反応または別の自己免疫疾病、例えば紅斑性狼そう、多発性硬化症、糸球体腎炎およびブドウ膜炎、インスリンに依存する真性糖尿病ならびに慢性の髄鞘脱落に罹病している患者の治療である。
【0025】
更に、本発明の化合物は、感染、例えばウィルス感染および寄生虫感染の治療、例えばマラリア、リーシュマニア症、感染により誘発される発熱、感染により誘発される筋肉痛、AIDSおよび悪液質ならびに非アレルギー性鼻炎の治療に使用されてもよい。
【0026】
本発明による化合物は、気管支拡張薬として使用されてもよいし、喘息を予防するために使用されてもよい。
【0027】
更に、式1の化合物は、好酸球の蓄積および好酸球の活性の阻害剤である。従って、本発明による化合物は、好酸球が1つの役を演じる疾病の場合に使用されてもよい。この疾病には、例えば炎症性の気道疾病、例えば気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、湿疹、アレルギー性血管炎、好酸球によって媒介される炎症、例えば好酸球性筋膜炎、好酸球性肺炎およびPIE症候群(好酸球による肺の浸潤)、蕁麻疹、潰瘍性大腸炎、クローン病および増殖性皮膚疾病、例えば乾癬または角化症が属する。
【0028】
更に、本発明の対象は、式1の化合物およびその塩がラットの場合のLPSにより誘発された、好中球による肺の浸潤をインビボで阻害しうることである。見出された薬理学的に重要な性質は、式1の化合物およびその塩ならびにこの化合物またはその塩を含有する医薬調剤が慢性の閉塞性肺疾患を処置するために治療的に有用であることができることを証明する。
【0029】
更に、本発明による化合物は、神経保護性の性質を有し、疾病の治療に使用されることができ、この場合には、神経保護が役に立つ。このような疾病は、例えば老人性痴呆症(アルツハイマー病)、記憶減退、パーキンソン病、抑圧、卒中発作および間歇跛行(かんけつはこう)である。
【0030】
更に、本発明による化合物の使用可能性は、前立腺疾病、例えば良性前立腺増生、頻尿症、夜尿症の予防および治療、ならびに失禁、尿結石によって触発される疝痛ならびに男性の性的機能障害および女性の性的機能障害の治療である。
【0031】
最後に、本発明による化合物は、同様に鎮痛薬、例えばモルフィンが繰返し使用される際の医薬依存性の発生を抑制するため、ならびに前記鎮痛薬が繰返し使用される際の許容差の展開を減少させるために使用されてよい。
【0032】
医薬品の製造のために、通常の助剤、担持剤および添加剤とともに、有効な用量の本発明による化合物またはその塩が使用される。作用物質の用量は、投与形、患者の年齢、体重、治療すべき疾病の種類および重さならびに類似の因子により変動しうる。日用量は、1回で投与すべき単独用量として与えることができるかまたは2回以上の日用量に分けて与えることができ、一般に0.001〜100mgである。特に好ましくは、0.1〜50mgの日用量が投与される。
【0033】
投与形としては、経口的調剤、非経口的調剤、静脈内調剤、経皮的調剤、局所的調剤、吸入調剤および鼻腔内調剤がこれに該当する。特に好ましくは、本発明による化合物の局所的調剤、吸入調剤および鼻腔内調剤が使用される。通常のガレヌス調剤形、例えば錠剤、施糖衣剤、カプセル剤、分散可能な粉末剤、顆粒剤、水溶液、水性懸濁液または油性懸濁液、シロップ剤、果汁または滴下剤が使用される。
【0034】
固体の医薬形は、不活性の内容物および担持剤、例えば炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、燐酸ナトリウム、乳糖、澱粉、マンニット、アルギン酸塩、ゼラチン、グアールゴム、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸アルミニウム、メチルセルロース、タルク、高分散性珪酸、シリコーン油、高分子量脂肪酸(例えば、ステアリン酸)、ゼラチン、寒天または植物性油脂または動物性油脂、固体の高分子量ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)を含有することができ;経口的投与に適した調剤は、所望に応じて付加的な矯味剤および/または甘味料を含有することができる。
【0035】
液状の医薬形は、滅菌されていてもよくおよび/または場合によっては助剤、例えば保存剤、安定剤、湿潤剤、浸透剤、乳化剤、拡散剤、溶剤助剤、塩、糖または糖アルコールを浸透圧の調節のためまたは緩衝および/または粘度調節のために含有されていてよい。
【0036】
この種の添加剤は、例えば酒石酸緩衝液およびクエン酸緩衝液、エタノール、錯形成剤(例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸およびその非毒性塩)である。粘度の調節のために、高分子量ポリマー、例えば液状ポリエチレンオキシド、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デキストランまたはゼラチンがこれに該当する。固体の担持剤は、例えば澱粉、乳糖、マンニット、メチルセルロース、タルク、高分散性珪酸、高分子量脂肪酸(例えば、ステアリン酸)、ゼラチン、寒天、燐酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、動物性脂肪および植物性脂肪、固体の高分子量ポリマー、例えばポリエチレングリコールである。
【0037】
非経口的使用または局所的使用のための油性懸濁液は、植物性の合成油または半合成油、例えば脂肪酸鎖中にそれぞれ8〜22個のC原子を有する液状脂肪酸、例えばパルミチン酸、ラウリン酸、トリデシル酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸、ペンタデシル酸、リノール酸、エライジン酸、ブラシジン酸、エルカ酸または1〜6個のC原子を有する1価ないし3価アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノールまたはその異性体、グリコールまたはグリセロールでエステル化されている油酸であることができる。この種の脂肪酸エステルは、例えば市販のミグリコール(Miglyole)、イソプロピルミリスタート、イソプロピルパルミタート、イソプロピルステアレート、PEG6−カプリン酸、飽和脂肪アルコールのカプリル/カプリン酸エステル、ポリオキシエチレングリセロール−トリオレエート、エチルオレエート、ワックス状脂肪酸エステル、例えばアヒルの合成尾腺脂肪(Entenbuerzeldruessenfett)、ヤシ油脂肪酸−イソプロピルエステル、油酸オレイルエステル、油酸デシルエステル、乳酸エチルエステル、ジブチルフタレート、アジピン酸ジイソプロピルエステル、ポリオール−脂肪酸エステル等である。同様に適当なのは、種々の粘度のシリコーン油または脂肪アルコール、例えばイソトリデシルアルコール、2−オクチルドデカノール、セチルステアリル−アルコールまたはオレイルアルコール、脂肪酸、例えば油酸である。更に、植物性油、例えばひまし油、マンデル油、オリーブ油、ごま油、綿実油、落花生油または大豆油を使用することができる。
【0038】
溶剤、ゲル形成剤および溶解助剤としては、水または水と混合可能な溶剤がこれに該当する。適当なのは、例えばアルコール、例えばエタノールまたはイソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、2−オクチルドデカノール、ポリエチレングリコール、フタレート、アジペート、プロピレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコールまたはトリプロピレングリコール、ワックス、メチルセロソルブ、セロソルブ、エステル、モルホリン、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン等である。
【0039】
皮膜形成剤としては、水中ならびに有機溶剤中で溶解することができるかまたは膨潤することができるセルロースエステル、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースまたは可溶性澱粉を使用することができる。
【0040】
ゲル形成剤ないし皮膜形成剤の混合形も、同様に十分に可能である。この場合には、なかんずくイオン性巨大分子、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸およびその塩、ナトリウムアミルオペクチンセミグリコラート、アルギン酸またはナトリウム塩としてのプロピレングリコール−アルギネート、アラビアゴム、キサンタンゴム、グアールゴムまたはカラギナンが使用される。更に、調製助剤としては、次のものを使用することができる:グリセリン、異なる粘度のパラフィン、トリエタノールアミン、コラーゲン、アラントイン、ノバンチソール酸(Novantisolsaeure)。また、界面活性剤、乳化剤または湿潤剤、例えばNa−ラウリルスルフェート、脂肪アルコールエーテルスルフェート、ジ−Na−N−ラウリル−β−イミノジプロピオネート、ポリオキシエチル化ひまし油またはソルビタン−モノオレエート、ソルビタン−ものステアレート、ポリソルベート(例えば、Tween)、セチルアルコール、レシチン、グリセリンモノステアレート、ポリオキシエチレンステアレート、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、セチルトリメチルアンモニウムクロリドまたはモノ−/ジアルキルポリグリコールエーテル−オルト燐酸−モノエタノールアミン塩。安定剤、例えばモンモリロン石またはコロイド状珪酸は、乳濁液の安定化のため、または活性物質、例えば酸化防止剤、例えばトコフェロールまたはブチルヒドロキシアニソールの分解を阻止するために使用されることができるか、或いは保存剤、例えばp−ヒドロキシ安息香酸−エステルは、同様に望ましい調製物の調合のために使用されることができる。
【0041】
非経口的投与のための調剤は、別々の単位用量形、例えばアンプルまたはバイアルで存在することができる。有利には、作用物質の溶液、有利に水溶液、なかんずく等張溶液が使用されるが、しかし、懸濁液も使用される。この注入形は、完成プレパラートとして使用されることができるかまたは使用の直前に初めて作用を有する化合物、例えば凍結乾燥物を、場合によっては他の固体の担持剤、望ましい溶解剤または懸濁剤と混合することによって調合することができる。
【0042】
鼻腔内調剤は、水溶液もしくは油溶液または水性懸濁液もしくは油性懸濁液として存在することができる。また、この鼻腔内調剤は、凍結乾燥物として存在することもでき、この凍結乾燥物は、使用前に適当な溶解剤または懸濁剤と一緒にして調合されてよい。
【0043】
プレパラートの製造、充填および閉鎖は、通常の抗菌条件下および無菌性条件下で行なわれる。
【0044】
更に、本発明は、本発明による化合物の製造法に関する。
【0045】
本発明によれば、R、R、R、R、Rが前記の意味を有し、nが1である一般式1:
【0046】
【化3】

で示される化合物は、Rが上記と同じ意味を有する式2:
【0047】
【化4】

〔式中、RおよびRは、−H、−ORを表わし、この場合これら双方の基の少なくとも一方は、−ORでなければならず、Rは、保護基または離脱基、殊にアルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基、N−置換アミノカルボニル基、シリル基、スルホニル基ならびに錯形成剤、例えば硼酸の化合物、燐酸の化合物、ならびに共有結合したかまたは配位結合した金属、例えば亜鉛、アルミニウムまたは銅を表わす〕で示されるインドール−3−カルボン酸を、自体公知の方法で酸クロリド、有利に塩化チオニルまたは塩化オキサリルにより最初に式3:
【0048】
【化5】

で示される類似のインドール−3−カルボン酸クロリドに変換することにより、製造される。
【0049】
次に、式3の単離されたインドール−3−カルボン酸クロリドから、第1アミンまたは第2アミンとの反応によって、R、R、Rが前記の意味を有し、nが1であり、式2および3に記載された、RおよびRの意味を有する一般式1の化合物が生成される。補助塩基としては、過剰量の反応成分として使用されるアミン、第3アミン、有利にピリジンまたはトリエチルアミン、ならびに無機塩基、有利にアルカリ金属水酸化物またはアルカリ水素化物が使用されうる。
【0050】
式1の本発明による化合物は、なおRおよび/またはR中に含まれている離脱基Rの分解によって遊離される。
【0051】
置換基−Rの分解には、酸ならびに塩基、例えば臭化水素酸、塩化水素酸もしくはヨウ化水素酸または苛性ソーダ液、苛性カリ液ならびに炭酸ナトリウムもしくは炭酸カリウムが使用されるが、しかし、活性ルイス酸、例えばAlCl、BF、BBrまたはLiClが使用されてもよい。分解反応は、それぞれ添加される活性剤、例えばエタン−1,2−ジチオールまたはベンジルメルカプタンならびにエーテル分解生成物の不在下または存在下で水素により、高められた圧力下または常圧下で適当な触媒、例えばパラジウム触媒またはイリジウム触媒の存在下で行なわれる。
【0052】
本発明によれば、R、R、Rが前記の意味を有し、nが2である一般式1:
【0053】
【化6】

で示される化合物は、Rが上記と同じ意味を有する式4:
【0054】
【化7】

〔式中、RおよびRは、−H、−ORを表わし、この場合これら双方の基の少なくとも一方は、−ORでなければならず、Rは、保護基または離脱基、殊にアルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基、N−置換アミノカルボニル基、シリル基、スルホニル基ならびに錯形成剤、例えば硼酸の化合物、燐酸の化合物、ならびに共有結合したかまたは配位結合した金属、例えば亜鉛、アルミニウムまたは銅を表わす〕で示されるインドールを、自体公知の方法で塩化オキサリルにより最初に式5:
【0055】
【化8】

で示される類似のインドール−3−イル−グリオキシル酸クロリドに変換することにより、製造される。
【0056】
次に、式5の単離されたインドール−3−イル−グリオキシル酸クロリドから、第1アミンまたは第2アミンとの反応によって、R、R、Rが前記の意味を有し、nが2であり、式4および5に記載された、RおよびRの意味を有する一般式1の化合物が生成される。補助塩基としては、過剰量の反応成分として使用されるアミン、第3アミン、有利にピリジンまたはトリエチルアミン、ならびに無機塩基、有利にアルカリ金属水酸化物またはアルカリ水素化物が使用されうる。
【0057】
式1の本発明による化合物は、なおRおよび/またはR中に含まれている離脱基Rの分解によって遊離される。
【0058】
置換基−Rの分解には、酸ならびに塩基、例えば臭化水素酸、塩化水素酸もしくはヨウ化水素酸または苛性ソーダ液、苛性カリ液ならびに炭酸ナトリウムもしくは炭酸カリウムが使用されるが、しかし、活性ルイス酸、例えばAlCl、BF、BBrまたはLiClが使用されてもよい。分解反応は、それぞれ添加される活性剤、例えばエタン−1,2−ジチオールまたはベンジルメルカプタンならびにエーテル分解生成物の不在下または存在下で水素により、高められた圧力下または常圧下で適当な触媒、例えばパラジウム触媒またはイリジウム触媒の存在下で行なわれる。
【0059】
実施例
例1:N−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)−4−ヒドロキシインドール−3−イル]−カルボン酸アミドの製造
nが1である式1の本発明による化合物のための例示的な製造方法は、重要である。
【0060】
4−ベンジルオキシ−1−(4−フルオロベンジル)−インドール−3−カルボン酸3.22g(8.6ミリモル)をジクロロメタン15ml中に懸濁させる。水で冷却しながら、塩化オキサリル1.8ml(17.4ミリモル)を添加する。反応混合物を8時間攪拌する。この場合、4−ベンジルオキシ−1−(4−フルオロベンジル)−インドール−3−カルボン酸クロリドが晶出する。この化合物を単離し、テトラヒドロフラン18ml(THF)中に溶解する。
【0061】
水素化ナトリウム1.14g(60%で)をTHF21ml中に懸濁させる。約10℃で攪拌しながら、THF21ml中の4−アミノ−3,5−ジクロロピリジン1.5g(8.6ミリモル)を滴加する。約15分後、4−ベンジルオキシ−1−(4−フルオロベンジル)−インドール−3−カルボン酸クロリドの先に得られた溶液を反応混合物に滴加する。その後に、全部を還流下に3時間煮沸する。冷却後、反応混合物に酢酸エチルエステル36mlおよび水36mlを添加する。相を分離し、有機相を水で洗浄する。溶剤を留去し、残留物をエタノールから再結晶させ、乾燥させる。
【0062】
こうして取得されたN−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−[4−ベンジルオキシ−1−(4−フルオロベンジル)−インドール−3−イル]−カルボン酸アミドをジクロロメタン100ml中に溶解する。この混合物を還流下に加熱し、ジクロロメタン10ml中のBBr1mlの溶液を滴加する。その後に、この混合物をさらに3時間攪拌しながら還流下に加熱する。10℃への冷却後、1M NaHCO溶液100mlを添加し、それによって8〜9のpHを達成させる。この場合、温度は、20℃未満に維持されなければならない。この混合物をなお3時間さらに攪拌する。晶出された生成物を吸着し、水で洗浄し、乾燥させる。粗製生成物をエタノールから再結晶させる。
収量:1.4g(理論値の37.8%)
融点:263〜265℃。
【0063】
例2:N−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−[1−(4−クロロベンジル)−7−ヒドロキシインドール−3−イル]−グリオキシル酸アミドの製造
nが2である式1の本発明による化合物のための例示的な製造方法は、重要である。
【0064】
7−ベンジルオキシ−1−(4−クロロベンジル)−インドール5.9g(17ミリモル)を第三ブチルメチルエーテル50ml中に溶解する。0℃で攪拌しながら第三ブチルメチルエーテル10ml中の塩化オキサリル2.6ml(30ミリモル)の溶液を滴加する。その後に、この混合物を還流下に2時間煮沸する。引続き、溶剤を真空中で留去する。生成された7−ベンジルオキシ−1−(4−クロロベンジル)−インドール−3−イル−グリオキシル酸クロリドを固体の残留物として得ることができ、この残留物をテトラヒドロフラン50ml(THF)中に懸濁させる。
【0065】
THF80ml中の水素化ナトリウム2.7gの懸濁液に−5℃でTHF20ml中の4−アミノ−3,5−ジクロロピリジン2.77g(17ミリモル)の溶液を滴加する。その後に、この混合物を攪拌しながら1時間20℃に温度調節する。引続き、4−ベンジルオキシ−1−(4−クロロベンジル)−インドール−3−グリオキシル酸クロリドの先に得られた懸濁液を約0℃で滴加する。最後に、この反応混合物を還流下に4時間煮沸する。溶剤を真空中で除去する。残留物を酢酸エチルエステル50mlおよび水50mlと一緒にして攪拌する。相を分離する。有機相を水で洗浄する。溶剤を真空中で留去する。残留物をイソプロパノールから再結晶させる。
【0066】
こうして取得されたN−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−[7−ベンジルオキシ−1−(4−クロロベンジル)−インドール−3−イル]−グリオキシル酸アミドをジクロロメタン100ml中に溶解する。この混合物を還流下に加熱し、ジクロロメタン10ml中のBBr1mlの溶液を滴加する。その後に、この混合物をさらに3時間攪拌しながら還流下に加熱する。10℃への冷却後、1M NaHCO溶液100mlを添加し、それによって8〜9のpHを達成させる。この場合、温度は、20℃未満に維持されなければならない。この混合物をなお3時間さらに攪拌する。晶出された生成物を吸着し、水で洗浄し、乾燥させる。粗製生成物をエタノールから再結晶させる。
収量:3.8g(理論値の47.5%)
融点:245〜247℃。
【0067】
例3:他の化合物の製造
記載された製造法を使用しながら、式1の数多くの他の化合物を製造することができ、この中で次のものは、例示的に記載されている:
【0068】
【化9】

【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【0071】
本発明による化合物は、ホスホジエステラーゼ4の強力な阻害剤である。この本発明による化合物の治療的な潜在能力は、インビボで、例えば喘息の末期段階の反応の阻害(好酸球)ならびにラットの場合のLPSにより誘発された好中球の阻害によって証明される。
【0072】
例4:ホスホジエステラーゼ4の阻害
PDE4活性をヒトの多形核リンパ球(PMNL)からの酵素調製物を用いて測定する。ヒトの血液(軟膜)をクエン酸塩で抗凝血させた。700×gで室温(RT)で20分間遠心分離することによって、血小板に富んだ血漿を赤血球および白血球の上澄み液中で分離する。PDE4の測定のためのPMNLsを次のデキストラン沈降および引続く勾配遠心分離によってフィコール−ハイパーク法(Ficoll-Paque)で単離する。細胞を2回洗浄した後に、なお含有されている赤血球を高張緩衝液10ml(NHCl 155mM、NaHCO 10mM、EDTA 0.1mM、pH=7.4)の添加によって4℃で6分間で溶解する。なお無傷のPMNLsをなお2回PBSで洗浄し、超音波により溶解する。48000×gで4℃で1時間遠心分離した上澄み液は、PDE4の細胞質ゾル画分を含有し、PDE4の測定に使用される。
【0073】
ホスホジエステラーゼ活性をAmersham Pharmacia Biotech社の変更された方法、SPAアッセイ(Scintillation Proximity Assay)を実施して測定する。反応混合物は、緩衝液(Tris-HCl 50mM(pH7.4)、MgCl 5mM、cGMP 100μM)、変動する濃度の阻害剤および相応する酵素調製物を含有する。基質[H]−cAMP 0.5μMの添加によって、反応を開始させる。最終的な容量は、100μlである。試験物質をDMSO中の基本溶液(Stammloesungen)として設定する。反応混合物中のDMSO濃度は、1%v/vである。このDMSO濃度の場合、PDE活性は、影響を受けない。基質の添加による反応の開始後、試料を37℃で30分間恒温保持する。定義された量のSPAビーズの添加によって、反応を停止させ、試料を1時間後にβ線カウンター中で測定する。非特異性の酵素活性(空試験値)をRolipram 100μMの存在下で測定し、試験値から引き算する。PDE4アッセイの恒温保持バッチ量は、cGMP 100μMを含有し、PDE3による場合による汚染を阻害する。
【0074】
本発明による化合物のために、阻害に関連して、ホスホジエステラーゼ4のIC50値を10−9〜10−5の範囲内で測定する。PDEの型3、5および7に対する選択性は、100倍ないし10000倍である。
【0075】
例示的に、選択された使用例について、PDE4の阻害の結果を次表中に記載した:
【0076】
【表3】

【0077】
例5:活性に感作されたブラウン・ノルウェー・ラット(Brown Norway Ratte)についての吸入オバルミン感染された48時間後の末期段階の好酸球の阻害
好酸球による肺の浸潤を本発明による物質によって阻害することを、オバルブミン(OVA)に対して活性に感作された雄のブラウン・ノルウェー・ラット(200〜250g)について試験する。感作は、動物1匹当たり生理的食塩溶液0.5ml中の助剤としての水酸化アルミニウム20mgと一緒のOVA10μgからなる懸濁液を1日目、14日目および21日目に皮下注射することによって行なわれる。これに加えて、動物に同じ時点で動物1匹当たりBordetella pertussis vaccineの希釈液0.25mlを腹腔内注射したままにする。28日目の試験日に、動物を個別的に開いた1 lのプレキシガラス箱中に置き、この場合このプレキシガラス箱は、頭−鼻の暴露装置(Kopf-Nasen Expositionsgeraete)に接続されている。動物を1.0%のオバルブミン懸濁液からのエアロゾルに暴露する(アレルゲン感染)。オバルブミンエアロゾルを圧縮空気(0.2MPa)で動作される噴霧器(Bird micro nebulizer, Palm Springer CA, USA)によって発生させる。暴露時間は、1時間であり、この場合標準の対照は、0.9%の食塩溶液からのエアロゾルで同様に1時間噴霧される。
【0078】
アレルゲンの感染の48時間後に、動物の肺内への好酸球顆粒細胞の実質的な移動が生じる。この時点で、動物を過剰用量のエチルウレタン(1.5g/kg体重 腹腔内)で麻酔に掛け、気管支肺胞の灌注(BAL)をハンクス平衡塩類溶液3×4mlで実施する。引続き、全細胞数およびプールされたBAL液体の好酸球顆粒細胞の数を、自動細胞分化装置(Bayer Diagnostics Technicon H1E)で測定する。全ての動物について、BAL中の好酸球(EOS)をMio(百万個)/動物で計算する:
EOS/μl × BAL回収量(ml) = EOS/動物。全ての試験の場合に、2つの対照群(生理的食塩溶液での噴霧およびOVA溶液での噴霧)を一緒に使用する。
【0079】
物質で処理された試験群の好酸球の百分率での阻害率を次の式により計算する:
{((OVAC − SC)−(OVAD − SC))/(OVAC − SC)}×
100% = 阻害率%
(SC=賦形剤で処理されかつ0.9%の食塩溶液で感染された対照群;OVAC=賦形剤で処理されかつ1%のオバルブミン懸濁液で感染された対照群;OVAD=物質処理されかつ1%のオバルブミン懸濁液で感染された試験群)
試験物質をポリエチレングリコール300 10%および0.5%の5−ヒドロキシエチルセルロース中の懸濁液としてアレルゲンの感染の2時間前に腹腔内投与または経口投与する。対照群を試験物質の投与形に相応して賦形剤で処理する。
【0080】
本発明による化合物は、末期段階の好酸球を10mg/kgの腹腔内投与後に30%〜100%阻害し、30mg/kgの経口投与後に30%〜75%阻害する。
【0081】
従って、本発明による化合物は、好酸球の作用と関連する疾病を治療するための医薬品の製造に特に好適である。
【0082】
例6:ルイス・ラット(Lewis Ratte)においてリポ多糖(LPS)により誘発された肺の好中球の阻害
好中球による肺の浸潤を本発明による物質によって阻害することを、雄のルイス・ラット(250〜350g)について試験する。試験日に、動物を個別的に開いた1 lのプレキシガラス箱中に置き、この場合このプレキシガラス箱は、頭−鼻の暴露装置(Kopf-Nasen Expositionsgeraete)に接続されている。動物をPBS中のリポ多糖懸濁液(LPS100μg/0.1%のヒドロキシルアミン溶液ml)からのエアロゾルに暴露する(LPSの誘発)。LPS/ヒドロキシルアミン−エアロゾルを圧縮空気(0.2MPa)で動作される噴霧器(Bird micro nebulizer, Palm Springer CA, USA)によって発生させる。暴露時間は、40分間であり、この場合標準の対照は、PBS中の0.1%のヒドロキシルアミン溶液からのエアロゾルで同様に40分間噴霧される。
【0083】
LPSの誘発の6時間後に、動物の肺内への好中球顆粒細胞の最大の実質的な移動が生じる。この時点で、動物を過剰用量のエチルウレタン(1.5g/kg体重 腹腔内)で麻酔に掛け、気管支肺胞の灌注(BAL)をハンクス平衡塩類溶液3×4mlで実施する。引続き、全細胞数およびプールされたBAL液体の好中球顆粒細胞の数を、自動細胞分化装置(Bayer Diagnostics Technicon H1E)で測定する。全ての動物について、BAL中の好中球(NEUTRO)をMio(百万個)/動物で計算する:NEUTRO/μl × BAL回収量(ml) = NEUTRO/動物。
【0084】
全ての試験の場合に、2つの対照群(PBS中の0.1%のヒドロキシルアミン溶液での噴霧およびPBS中のLPS100μg/0.1%ヒドロキシルアミン溶液mlでの噴霧)を一緒に使用する。物質で処理された試験群の好中球の百分率での阻害率を次の式により計算する:
{((LPSC − SC)−(LPSD − SC))/(LPSC − SC)}×
100% = 阻害率%
SC=賦形剤で処理されかつ0.1%のヒドロキシルアミン溶液で感染された対照群;LPSC=賦形剤で処理されかつLPS(100μg/0.1%のヒドロキシルアミン溶液ml)で感染された対照群;LPSD=物質処理されかつLPS(100μg/0.1%のヒドロキシルアミン溶液ml)で感染された試験群。
【0085】
試験物質をポリエチレングリコール300 10%および0.5%の5−ヒドロキシエチルセルロース中の懸濁液としてLPSの誘発の2時間前に経口投与する。対照群を試験物質の投与形に相応して賦形剤で処理する。
【0086】
本発明による化合物は、好中球を1mg/kgの経口内投与後に30%〜90%阻害し、したがって好中球の作用と関連する疾病を治療するための医薬品の製造に特に好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式1
【化1】

〔式中、
nは、1または2であることができ、
は、
(i)場合によっては1回または数回−OH、−SH、−NH、−NHC〜C−アルキル、−N(C〜C−アルキル)、−NHC〜C14−アリール、−N(C〜C14−アリール)、−N(C〜C−アルキル)(C〜C14−アリール)、−NO、−CN、−F、−Cl、−Br、−I、−O−C〜C−アルキル、−O−C〜C14−アリール、−S−C〜C−アルキル、−S−C〜C14−アリール、−SOH、−SO〜C−アルキル、−SO〜C14−アリール、−OSO〜C−アルキル、−OSO〜C14−アリール、−COOH、−(CO)C〜C−アルキル、−O(CO)C〜C−アルキルで置換されたか、3〜14個の環員を有する単環式、二環式または三環式の飽和炭素環または1個もしくは数個の不飽和炭素環で置換されたか、5〜15個の環員を有しかつ有利にN、OおよびSである1〜6個のヘテロ原子を有する単環式、二環式または三環式の飽和複素環または1個もしくは数個の不飽和複素環で置換された直鎖状または分枝鎖状の−C〜C10−アルキルを表わし、
この場合C〜C14−アリール基ならびに炭素環および複素環の置換基は、その側で場合によっては1回または数回−C〜C−アルキル、−OH、−NH、−NHC〜C−アルキル、−N(C〜C−アルキル)、−NO、−CN、−F、−Cl、−Br、−I、−O−C〜C−アルキル、−S−C〜C−アルキル、−SOH、−SO〜C−アルキル、−OSO〜C−アルキル、−COOH、−(CO)C〜C−アルキル、−O(CO)C〜C−アルキルで置換されていてよく、および
この場合アルキル基は、炭素環および複素環の置換基上でその側で場合によっては1回または数回−OH、−SH、−NH、−F、−Cl、−Br、−I、−SOH、−COOHで置換されていてよいか、または
(ii)場合によっては1回または数回−OH、−SH、−NH、−NHC〜C−アルキル、−N(C〜C−アルキル)、−NHC〜C14−アリール、−N(C〜C14−アリール)、−N(C〜C−アルキル)(C〜C14−アリール)、−NO、−CN、−F、−Cl、−Br、−I、−O−C〜C−アルキル、−O−C〜C14−アリール、−S−C〜C−アルキル、−S−C〜C14−アリール、−SOH、−SO〜C−アルキル、−SO〜C14−アリール、−OSO〜C−アルキル、−OSO〜C14−アリール、−COOH、−(CO)C〜C−アルキル、−O(CO)C〜C−アルキルで置換されたか、3〜14個の環員を有する単環式、二環式または三環式の飽和炭素環または1個もしくは数個の不飽和炭素環で置換されたか、5〜15個の環員を有しかつ有利にN、OおよびSである1〜6個のヘテロ原子を有する単環式、二環式または三環式の飽和複素環または1個もしくは数個の不飽和複素環で置換された、1個または数個の不飽和で直鎖状または分枝鎖状の−C〜C10−アルケニルを表わし、
この場合C〜C14−アリール基ならびに炭素環および複素環の置換基は、その側で場合によっては1回または数回−C〜C−アルキル、−OH、−NH、−NHC〜C−アルキル、−N(C〜C−アルキル)、−NO、−CN、−F、−Cl、−Br、−I、−O−C〜C−アルキル、−S−C〜C−アルキル、−SOH、−SO〜C−アルキル、−OSO〜C−アルキル、−COOH、−(CO)C〜C−アルキル、−O(CO)C〜C−アルキルで置換されていてよく、および
この場合アルキル基は、炭素環および複素環の置換基上でその側で場合によっては1回または数回−OH、−SH、−NH、−F、−Cl、−Br、−I、−SOH、−COOHで置換されていてよく、
およびRは、
(i)それぞれ無関係に、水素を表わすかまたは場合によっては1回または数回−OH、−SH、−NH、−NHC〜C−アルキル、−N(C〜C−アルキル)、−NO、−CN、−F、−Cl、−Br、−I、−O−C〜C−アルキル、−S−C〜C−アルキル、−フェニル、−ピリジル、−フェニルで置換されたか、
場合によっては1回または数回−C〜C−アルキル、−OH、−SH、−NH、−NHC〜C−アルキル、−N(C〜C−アルキル)、−NO、−CN、−COOH、−COOC〜C−アルキル、−F、−Cl、−Br、−I、−O−C〜C−アルキル、−S−C〜C−アルキル、−O(CO)−C〜C−アルキル、−ピリジルで置換されたか、
場合によっては1回または数回−C〜C−アルキル、−OH、−SH、−NO、−CN、−COOH、−COOC〜C−アルキル、−F、−Cl、−Br、−I、−O−C〜C−アルキル、−S−C〜C−アルキル、−O(CO)C〜C−アルキルで置換された−C〜C−アルキルを表わし、この場合RおよびRの一方だけは、水素を表わし、および
この場合アルキル基は、炭素環および複素環の置換基上でその側で場合によっては1回または数回−OH、−SH、−NH、−F、−Cl、−Br、−I、−SOH、−COOH、−(CO)C〜C−アルキルまたは−O(CO)C〜C−アルキルで置換されていてよいか、または
(ii)NRは、一緒になって、場合によっては1回または数回−C〜C−アルキル、−OH、−SH、−NO、−CN、−COOH、−COOC〜C−アルキル、−F、−Cl、−Br、−I、−O−C〜C−アルキル、−S−C〜C−アルキルまたは−O(CO)C〜C−アルキルで置換された、3個までのヘテロ原子、特にN、SおよびOを含有していてよい、飽和または不飽和の5員環または6員環を形成し、
およびRは、−Hまたは−OHを表わし、この場合これら双方の少なくとも1個は、−OHでなければならない〕で示されるヒドロキシインドールまたは式1の化合物の塩。
【請求項2】
D形もしくはL形またはD,L形の不斉炭素原子を有し、ならびに多数の不斉炭素原子の場合には、ジアステレオマー形を有する、請求項1記載の式1の化合物。
【請求項3】
nは2である、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
は−OHであり、Rは−Hである、請求項1から3までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
−NRは、1個以上のハロゲン原子で置換されたフェニルアミノまたはピリジルアミノを表わす、請求項1から4までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
は、置換されたベンジル基である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
ベンジル基は、オルト位でフェニル環上に少なくとも1個の置換基を含有する、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
N−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)−4−ヒドロキシインドール−3−イル]−カルボン酸アミド、
N−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−[1−(4−クロロベンジル)−7−ヒドロキシインドール−3−イル]−グリオキシル酸アミド、
N−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−[1−(4−クロロベンジル)−7−ヒドロキシインドール−3−イル]−カルボン酸アミド、
N−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)−4−ヒドロキシインドール−3−イル]−グリオキシル酸アミド、
N−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)−7−ヒドロキシインドール−3−イル]−グリオキシル酸アミド、
N−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−[1−(2−フルオロベンジル)−7−ヒドロキシインドール−3−イル]−グリオキシル酸アミド、
N−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−[1−(3−ニトロベンジル)−7−ヒドロキシインドール−3−イル]−グリオキシル酸アミド、
N−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−[1−(2,6−ジフルオロベンジル)−7−ヒドロキシインドール−3−イル]−グリオキシル酸アミド、
N−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−[1−(2,4−ジフルオロベンジル)−7−ヒドロキシインドール−3−イル]−グリオキシル酸アミド、
N−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−[1−(2−クロロベンジル)−7−ヒドロキシインドール−3−イル]−グリオキシル酸アミド、
N−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−[1−(2,6−ジクロロベンジル)−7−ヒドロキシインドール−3−イル]−グリオキシル酸アミド、
N−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−[1−(2−メチルベンジル)−7−ヒドロキシインドール−3−イル]−グリオキシル酸アミド、
N−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−[1−(2,6−ジメチルベンジル)−7−ヒドロキシインドール−3−イル]−グリオキシル酸アミド、
N−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−[1−ヘキシル−7−ヒドロキシインドール−3−イル)−グリオキシル酸アミド、
N−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−[1−イソブチル−7−ヒドロキシインドール−3−イル)−グリオキシル酸アミド、
N−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−[1−シクロプロピルメチル−7−ヒドロキシインドール−3−イル)−グリオキシル酸アミド、
N−(2,6−ジクロロフェニル)−[1−(4−フルオロベンジル)−7−ヒドロキシインドール−3−イル]−グリオキシル酸アミド、
N−(2,6−ジクロロフェニル)−[1−(2−フルオロベンジル)−7−ヒドロキシインドール−3−イル]−グリオキシル酸アミド、
N−(4−ピリジル)−[1−(2−フルオロベンジル)−7−ヒドロキシインドール−3−イル]−グリオキシル酸アミド、
N−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−[1−(4−ピリジルメチル)−7−ヒドロキシインドール−3−イル)−グリオキシル酸アミド、
1−(4−フルオロベンジル)−7−ヒドロキシインドール−3−イル)−グリオキシル酸ピペリジド、
N−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−[1−(4−ヒドロキシベンジル)−7−ヒドロキシインドール−3−イル)−グリオキシル酸アミド、
N−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−[1−(2−クロロ−6−フルオロベンジル)−7−ヒドロキシインドール−3−イル]−グリオキシル酸アミド、
N−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−[1−(2−トリフルオロメチルベンジル)−7−ヒドロキシインドール−3−イル]−グリオキシル酸アミド、
N−メチル−N−(ピリジン−4−イル)−[1−(2−フルオロベンジル)−7−ヒドロキシインドール−3−イル]−グリオキシル酸アミド、
N−(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)−[1−(2−フルオロベンジル)−7−ヒドロキシインドール−3−イル]−グリオキシル酸アミド、
N−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−[1−(2−カルボキシベンジル)−7−ヒドロキシインドール−3−イル]−グリオキシル酸アミドおよび
これらの生理的認容性の塩から選択された、請求項1から7までのいずれか1項に記載の式1の化合物。
【請求項9】
nが1である、請求項1記載の式1の化合物の製造法において、
式2のインドール−3−カルボン酸を酸クロリドにより式3の類似のインドール−3−カルボン酸クロリドに変換し、第1アミンまたは第2アミンとの反応によって相応するアミドに変換し、保護基の分解によって、nが1である式1の化合物を遊離することを特徴とする、nが1である、請求項1記載の式1の化合物の製造法。
【請求項10】
塩化チオニルまたは塩化オキサニルを酸クロリドとして、式3のインドール−3−カルボン酸クロリドの合成に使用する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
式3のインドール−3−カルボン酸クロリドを第1アミンまたは第2アミンと補助塩基の存在、有利に反応成分として使用されるアミン、第3アミン、例えばピリジンまたはトリエチルアミン、ならびに無機塩基、有利にアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属水素化物の過剰量の存在下で反応させる、請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
nが2である、請求項1記載の式1の化合物の製造法において、
式4のインドールを塩化オキサリルにより式5の類似のインドール−3−イル−グリオキシル酸クロリドに変換し、第1アミンまたは第2アミンとの反応によって相応するアミドに変換し、保護基の分解によって、nが2である式1の化合物を遊離することを特徴とする、nが2である、請求項1記載の式1の化合物の製造法。
【請求項13】
式5のインドール−3−イル−グリオキシル酸クロリドを第1アミンまたは第2アミンと補助塩基の存在、有利に反応成分として使用されるアミン、第3アミン、例えばピリジンまたはトリエチルアミン、ならびに無機塩基、有利にアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属水素化物の過剰量の存在下で反応させる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
ホスホジエステラーゼ4の阻害を治療的に必要とするような疾病を治療する医薬品を製造するための治療的作用物質としての請求項1から8までのいずれか1項に記載の式1の化合物の使用。
【請求項15】
好酸球の作用と結合している疾病を治療する医薬品を製造するための治療的作用物質としての請求項1から8までのいずれか1項に記載の式1の化合物の使用。
【請求項16】
好中球の作用と結合している疾病を治療する医薬品を製造するための治療的作用物質としての請求項1から8までのいずれか1項に記載の式1の化合物の使用。
【請求項17】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の1つ以上の化合物を通常の生理的に認容性の担持剤および/または希釈剤または助剤とともに含有する医薬品。
【請求項18】
請求項17記載の医薬品の製造法において、
請求項1から8までのいずれか1項に記載の1つ以上の化合物を常用の製薬学的担持剤および/または希釈剤または他の助剤と一緒にして医薬調剤に加工するかまたは治療的に使用可能な形に変えることを特徴とする、請求項17記載の医薬品の製造法。
【請求項19】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の一般式1の化合物および/または製薬学的作用物質の互いの組み合わせまたは別の製薬学的作用物質との組み合わせでの請求項17記載の医薬品の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式1
【化1】

〔式中、
nは、1または2であることができ、
R1は、
(i)場合によっては1回または数回3〜14個の環員を有する単環式、二環式または三環式の飽和炭素環または1個もしくは数個の不飽和炭素環で置換された直鎖状または分枝鎖状の−C〜C10−アルキルを表わし、
この場合炭環の置換基は、その側で1回または数回−NO2で置換されておりかつ場合によっては1回または数回−C〜C−アルキル、−OH、−NH、−NHC〜C−アルキル、−N(C〜C−アルキル)、−NO、−CN、−F、−Cl、−Br、−I、−O−C〜C−アルキル、−S−C〜C−アルキル、−SOH、−SO〜C−アルキル、−OSO〜C−アルキル、−COOH、−(CO)C〜C−アルキル、−O(CO)C〜C−アルキルで置換されていてよく、および
この場合アルキル基は、炭素環の置換基上でその側で場合によっては1回または数回−OH、−SH、−NH、−F、−Cl、−Br、−I、−SOH、−COOHで置換されていてよく、
およびRは、
(i)それぞれ無関係に、水素を表わすかまたは場合によっては1回または数回−OH、−SH、−NH、−NHC〜C−アルキル、−N(C〜C−アルキル)、−NO、−CN、−F、−Cl、−Br、−I、−O−C〜C−アルキル、−S−C〜C−アルキル、−フェニル、−ピリジル、−フェニルで置換されたか、
場合によっては1回または数回−C〜C−アルキル、−OH、−SH、−NH、−NHC〜C−アルキル、−N(C〜C−アルキル)、−NO、−CN、−COOH、−COOC〜C−アルキル、−F、−Cl、−Br、−I、−O−C〜C−アルキル、−S−C〜C−アルキル、−O(CO)−C〜C−アルキル、−ピリジルで置換されたか、
場合によっては1回または数回−C〜C−アルキル、−OH、−SH、−NO、−CN、−COOH、−COOC〜C−アルキル、−F、−Cl、−Br、−I、−O−C〜C−アルキル、−S−C〜C−アルキル、−O(CO)C〜C−アルキルで置換された−C〜C−アルキルを表わし、この場合RおよびRの一方だけは、水素を表わし、および
この場合アルキル基は、炭素環および複素環の置換基上でその側で場合によっては1回または数回−OH、−SH、−NH、−F、−Cl、−Br、−I、−SOH、−COOH、−(CO)C〜C−アルキルまたは−O(CO)C〜C−アルキルで置換されていてよいか、または
(ii)NRは、一緒になって、場合によっては1回または数回−C〜C−アルキル、−OH、−SH、−NO、−CN、−COOH、−COOC〜C−アルキル、−F、−Cl、−Br、−I、−O−C〜C−アルキル、−S−C〜C−アルキルまたは−O(CO)C〜C−アルキルで置換された、3個までのヘテロ原子、特にN、SおよびOを含有していてよい、飽和または不飽和の5員環または6員環を形成し、
およびRは、−Hまたは−OHを表わし、この場合これら双方の少なくとも1個は、−OHでなければならない〕で示される化合物または式1の化合物の塩。
【請求項2】
D形もしくはL形またはD,L形の不斉炭素原子を有し、ならびに多数の不斉炭素原子の場合には、ジアステレオマー形を有する、請求項1記載の式1の化合物。
【請求項3】
nは2である、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
は−OHであり、Rは−Hである、請求項1から3までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
−NRは、1個以上のハロゲン原子で置換されたフェニルアミノまたはピリジルアミノを表わす、請求項1から4までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
は、置換されたベンジル基である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
ベンジル基は、オルト位でフェニル環上に少なくとも1個の置換基を含有する、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−[1−(3−ニトロベンジル)−7−ヒドロキシインドール−3−イル]−グリオキシル酸アミドおよび
この生理的認容性の塩から選択された、請求項1から7までのいずれか1項に記載の式1の化合物。
【請求項9】
nが1である、請求項1記載の式1の化合物の製造法において、
式2のインドール−3−カルボン酸を酸クロリドにより式3の類似のインドール−3−カルボン酸クロリドに変換し、第1アミンまたは第2アミンとの反応によって相応するアミドに変換し、保護基の分解によって、nが1である式1の化合物を遊離することを特徴とする、nが1である、請求項1記載の式1の化合物の製造法。
【請求項10】
塩化チオニルまたは塩化オキサニルを酸クロリドとして、式3のインドール−3−カルボン酸クロリドの合成に使用する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
式3のインドール−3−カルボン酸クロリドを第1アミンまたは第2アミンと補助塩基の存在、有利に反応成分として使用されるアミン、第3アミン、例えばピリジンまたはトリエチルアミン、ならびに無機塩基、有利にアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属水素化物の過剰量の存在下で反応させる、請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
nが2である、請求項1記載の式1の化合物の製造法において、
式4のインドールを塩化オキサリルにより式5の類似のインドール−3−イル−グリオキシル酸クロリドに変換し、第1アミンまたは第2アミンとの反応によって相応するアミドに変換し、保護基の分解によって、nが2である式1の化合物を遊離することを特徴とする、nが2である、請求項1記載の式1の化合物の製造法。
【請求項13】
式5のインドール−3−イル−グリオキシル酸クロリドを第1アミンまたは第2アミンと補助塩基の存在、有利に反応成分として使用されるアミン、第3アミン、例えばピリジンまたはトリエチルアミン、ならびに無機塩基、有利にアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属水素化物の過剰量の存在下で反応させる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
ホスホジエステラーゼ4の阻害を治療的に必要とするような疾病を治療する医薬品を製造するための治療的作用物質としての請求項1から8までのいずれか1項に記載の式1の化合物の使用。
【請求項15】
好酸球の作用と結合している疾病を治療する医薬品を製造するための治療的作用物質としての請求項1から8までのいずれか1項に記載の式1の化合物の使用。
【請求項16】
好中球の作用と結合している疾病を治療する医薬品を製造するための治療的作用物質としての請求項1から8までのいずれか1項に記載の式1の化合物の使用。
【請求項17】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の1つ以上の化合物を通常の生理的に認容性の担持剤および/または希釈剤または助剤とともに含有する医薬品。
【請求項18】
請求項17記載の医薬品の製造法において、
請求項1から8までのいずれか1項に記載の1つ以上の化合物を常用の製薬学的担持剤および/または希釈剤または他の助剤と一緒にして医薬調剤に加工するかまたは治療的に使用可能な形に変えることを特徴とする、請求項17記載の医薬品の製造法。
【請求項19】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の一般式1の化合物および/または製薬学的作用物質の互いの組み合わせまたは別の製薬学的作用物質との組み合わせでの請求項17記載の医薬品の使用。

【公表番号】特表2006−508141(P2006−508141A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−552596(P2004−552596)
【出願日】平成15年11月14日(2003.11.14)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012742
【国際公開番号】WO2004/045607
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(502332957)エルビオン アクチエンゲゼルシャフト (9)
【Fターム(参考)】