説明

新規のent−カウレン型ジテルペン化合物及びその誘導体、その調製方法及び用途

本発明は、新規のent-カウレン型ジテルペン化合物及びその誘導体、その合成方法及びその応用を提供するものである。本発明のent-カウレン型ジテルペンは、非対称有機化合物及び薬物合成の理想的な中間体となることができ、また抗腫瘍、抗炎症、免疫等の薬物として使用することができる。それをヒドロキシル化合物と縮合させて各種アセタール誘導体を得、それをアミン化合物と反応させて各種アミノ誘導体を得、それをハロゲン化アシル、酸無水物と反応させて各種アシル化誘導体を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一連の有機化合物及びその調製方法に関するもので、特にent-カウレン型ジテルペン化合物及びその誘導体と、その抽出、調製方法及び用途に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シソ科ヤマハッカ属の植物である冬凌草中にはジテルペン成分が豊富に含まれており、これまでこの属の植物中から既に500余りのジテルペンが分離、同定されており、そのうちのent-カウレン型構造を有する多くのジテルペンは、抗菌活性、細胞毒活性、抗腫瘍活性、ミトコンドリアの酸化的リン酸化作用の阻害、昆虫拒食活性、植物生長調節剤活性、抗炎症及び心血管系統等の方面の活性を有することが発見されている(a、S Tanabe and H Nishikawa, Jpn J Bact, 1954, (9), 475;b、M Yamaguchi, M Taniguchi, I Kubo and T Kubota, Agr Biol Chem, 1977, 41, 2475;c、T Arai, Y Koyama, T Suenaga and T Morita, Chemotherapy, 1962, 10, 197;d、M Taniguchi, M Yamaguchi, I Kubo and T Kubota, Agr Bioi Chem, 1979, 43, 71;e、李▲き▼,陳正,劉潔,孫漢董,林中文,中国薬理学通報,1992, 8(1), 3;f、李恵蘭,王懋徳,張肇玖,中薬通報,1988, 18(10), 46)。よって、該属植物、特に良好な抗腫瘍活性を有するent-カウレン型ジテルペンが重要な理論及び実用価値を有することに関し研究開発がなされている。
【0003】
α−環外メチレンシクロペンタノンユニットを含むent-カウレン型ジテルペンの構造は以下の通りである。
【0004】
【化1】

【0005】
ここで、α−環外メチレンシクロペンタノンユニットは研究によって、抗腫瘍の活性中心であることが確認されている(a、S Tanabe and H Nishikawa, Jpn J Bact, 1954, (9), 475;b、T Arai, Y Koyama, T Suenaga and T Morita, J Antibiotics Ser, 1963, A16, 132;c、I Kubo, M Taniguchi, Y Satomura and T Kubota, Agr Biol Chem, 1974, 38, 1261;d、T Arai, Y Koyama, T Morita and H Kaji, Chemotherapy, 1961, 9, 403;f、I Kubo, M Taniguchi and T Kubota, Rev Latinoamer Quim, 1978, (9), 157)。オリドニンはこうした構造の代表であり、現在、オリドニンに関する研究は活発で、河南医科大学の張覃沐研究グループ、日本のFujita研究グループ等はいずれもそれについて数多くの薬理実験を行っており、オリドニンが確実な体外、体内抗腫瘍活性を有し、その抗腫瘍スペクトルも比較的広く、ヒト鼻咽頭癌細胞、ヒト肝癌細胞、ヒト子宮頸癌細胞、食道癌細胞等のいずれに対しても明らかな殺傷作用を有することが証明されている。しかし、オリドニンは安定性が悪く、水溶性も比較的低く、したがってオリドニン抽出液は品質管理が容易ではなく、そのため冬凌草の開発は一定の制限を受けている。我々はかつてオリドニンを原料として一連のグルコシド及びエステル類化合物を合成したが(中国特許ZL99101179.3)、かつての研究作業を基礎として冬凌草が比較的多く含有する抗腫瘍活性に優れたジテルペン成分を利用し、新しい薬物化合物を開発することは、我が国の漢方薬草冬凌草の開発上高い応用価値及び現実的な意義を有する。我々はその活性中心を破壊しないことを出発点として、抗腫瘍活性がより高く、毒性がより低く、性質のより優れた更に多くの誘導体を合成及び発見する。
【特許文献1】中国特許ZL99101179.3
【非特許文献1】S Tanabe and H Nishikawa, Jpn J Bact, 1954, (9), 475
【非特許文献2】M Yamaguchi, M Taniguchi, I Kubo and T Kubota, Agr Biol Chem, 1977, 41, 2475
【非特許文献3】T Arai, Y Koyama, T Suenaga and T Morita, Chemotherapy, 1962, 10, 197
【非特許文献4】M Taniguchi, M Yamaguchi, I Kubo and T Kubota, Agr Bioi Chem, 1979, 43, 71
【非特許文献5】李▲き▼,陳正,劉潔,孫漢董,林中文,中国薬理学通報,1992, 8(1), 3
【非特許文献6】李恵蘭,王懋徳,張肇玖,中薬通報,1988, 18(10), 46
【非特許文献7】T Arai, Y Koyama, T Suenaga and T Morita, J Antibiotics Ser, 1963, A16, 132
【非特許文献8】I Kubo, M Taniguchi, Y Satomura and T Kubota, Agr Biol Chem, 1974, 38, 1261
【非特許文献9】T Arai, Y Koyama, T Morita and H Kaji, Chemotherapy, 1961, 9, 403
【非特許文献10】I Kubo, M Taniguchi and T Kubota, Rev Latinoamer Quim, 1978, (9), 157
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、冬凌草中から抽出した新しいジテルペン化合物及び該ジテルペン化合物の一連の誘導体を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、該ジテルペン化合物の抽出及びその誘導体の合成方法を提供することにある。
【0008】
本発明の更に別の目的は、該ジテルペン化合物及びその誘導体の応用を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的を実現するための本発明の技術的構想は以下の通りである。
【0010】
本発明は、済源冬凌草を原料として、一定の抽出分離条件下で、ent-カウレン型ジテルペンを得るものであり、これは未だ報告されていない新規の天然ジテルペンである。
【0011】
本発明のent-カウレン型ジテルペンの構造式は以下に示す通りである。
【0012】
【化2】

(I)
【0013】
これは、以下の方法により抽出、分離、精製する。冬凌草の地上部分を有機溶媒で浸漬する。40〜60℃で、3時間〜3日間浸漬し、その後、85〜90%の溶媒を濃縮除去し、濃縮液をLSA−10型マクロポーラス吸着樹脂及びシリカゲルによりカラムクロマトグラフィーで分離を繰り返して、該ent-カウレン型ジテルペンを得、再結晶させてその純品を得る。
【0014】
ここで、用いる抽出溶媒はエタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル、又は石油エーテルのうちの一種であり、再結晶で用いる溶媒はメタノール、エタノール、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、又はイソプロパノールのうちの一種である。
【0015】
得られた前記ent-カウレン型ジテルペン(I)をヒドロキシル化合物と反応させて式(II)で示される化合物を得る。
【0016】
【化3】


(II)
【0017】
式(II)で示される化合物は、具体的には以下の方法により調製する。本発明で分離して得られたent-カウレン型ジテルペン(I)を有機溶媒に溶かし、酸触媒の存在下で、0〜100℃の条件下でヒドロキシル化合物と縮合反応させ、反応物のモル比を1:1〜100とし、又はヒドロキシル化合物を同時に反応溶媒とし、1〜72時間反応させる。反応終了後、溶媒を蒸発乾固し、再結晶させて式(II)で示される化合物を得る。
【0018】
ここで、用いる有機溶媒はニトロメタン、アセトニトリル、エタノール、メタノール、イソプロパノール、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジオキサン、又はテトラヒドロフランのうちの一種であり、縮合反応で用いる触媒は塩酸、塩化アンモニウム、硫酸、硫酸アンモニウム、p−メチルベンゼンスルホン酸のうちの一種であり、再結晶で用いる溶媒はアセトニトリル、エタノール、メタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、又は酢酸エチルのうちの一種である。
【0019】
本発明のent-カウレン型ジテルペン(I)又は式(II)で示されるその誘導体をアミン化合物と反応させて式(III)で示される化合物を得る。
【0020】
【化4】


(III)
【0021】
式(III)で示される化合物は、以下の方法により調製する。本発明で調製されたent-カウレン型ジテルペン(I)又は式(II)で示されるその誘導体を有機溶媒に溶かし、酸触媒の存在下でアミン化合物と反応させ、反応物のモル比を1:1〜20とし、反応温度を10〜90℃に制御し、反応時間を2〜72時間とし、薄層クロマトグラフィーによって、原料が消失し反応が終了するまでモニターする。溶媒を蒸発乾固し、再結晶又はカラムクロマトグラフィーで分離して生成物を得る。
【0022】
ここで、用いる溶媒はニトロメタン、アセトニトリル、エタノール、メタノール、イソプロパノール、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、又はジオキサンのうちの一種であり、付加反応で用いる触媒は塩酸、塩化アンモニウム、硫酸、硫酸アンモニウム、p−メチルベンゼンスルホン酸のうちの一種であり、再結晶で用いる溶媒はアセトニトリル、エタノール、メタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、イソプロパノール又は酢酸エチルのうちの一種である。
【0023】
前記で得られたent-カウレン型ジテルペン(I)又は式(II)で示されるその誘導体を酸無水物又はハロゲン化アシルと反応させて式(IV)で示される化合物を得る。
【0024】
【化5】

(IV)
【0025】
式(IV)で示される化合物は、以下の方法により調製する。本発明で得られたent-カウレン型ジテルペン(I)又は式(II)で示されるその誘導体を有機溶媒に溶かし、塩基性触媒の存在下で、酸無水物又はハロゲン化アシルと反応させ、反応物のモル比を1:1〜20とし、反応温度を0〜90℃に制御し、反応時間を1〜72時間とし、薄層クロマトグラフィーによって、原料が消失し反応が終了するまでモニターし、溶媒を蒸発乾固し、更に再結晶又はカラムクロマトグラフィーで分離して生成物を得る。
【0026】
ここで、用いる有機溶媒はニトロメタン、アセトニトリル、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ピリジン、又はトリエチルアミンのうちの一種であり、アシル化反応で用いる触媒はナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、フッ化カリウム、ピリジン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、又は4−N,N−ジメチルアミノピリジンのうちの一種又は二種であり、再結晶で用いる溶媒はアセトニトリル、エタノール、メタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、又は酢酸エチルのうちの一種である。
【0027】
本発明に記載のent-カウレン型ジテルペン及びその誘導体は、抗炎症薬、抗腫瘍薬及び免疫調節剤として使用することができ、更にグリコシダーゼ阻害剤としても使用することができ、その他の疾病に対する薬物として使用することができ、各種医薬品の中間体として使用することができ、キラル合成及び有機合成の中間体として使用することができる。
【0028】
本発明に記載のent-カウレン型ジテルペン及びその誘導体の合成方法は、行うのが容易であり、条件が穏やかであり、得られる生成物の収率が比較的高い。
【0029】
該方法で抽出されたent-カウレン型ジテルペンは、各種の活性を有することが研究で確認されているα−環外メチレンシクロペンタノンユニットを含んでおり、また7、20位にヘミアセタール構造を有し、20位のヘミアセタールのヒドロキシル基は非常に活発であり、11β−OH及び14β−OHも腫瘍細胞中の特殊酵素との結合点として抗癌活性を増強する作用を発揮する可能性がある。初歩的な生物活性スクリーニングによってent-カウレン型ジテルペン及びそれを基質として合成された誘導体はいずれも比較的高い抗炎症、抗腫瘍、免疫調節活性、及びグリコシダーゼ阻害活性を有することがわかっており、本発明は抗腫瘍薬物用の更に多くの候補化合物を提供するとともに、我が国の漢方薬草冬凌草の開発のための更に多くの手段を提供するものであり、バイオ医薬科学の発展に伴い、本発明は今後、すばらしい応用の将来性があるものと考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下の実施例は本発明を説明するためのものであるが、本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例1】
【0031】
ent-カウレン型ジテルペン(済源冬凌草素A)の抽出分離
冬凌草の乾燥した地上部分(3kg)を浸漬釜に入れ、50℃で、70%のアセトン40Lを加え、3時間抽出する。抽出が終了した後、抽出液を3Lに濃縮し、この濃縮液をLSA−10型マクロポーラス樹脂カラム上で粗分画し、30%アセトン溶出部分の濃縮後、更にカラムクロマトグラフィーを繰り返し、アセトンを溶媒として再結晶を行って、ent-カウレン型ジテルペンを得た。実験データは以下の通りである。
【0032】
白色粉末状固体;融点211〜212℃;[α]D25 -80.3°(MeOH,c 0.22);λmaxMeOH nm(logε):233(3.96);IR νmaxKBr cm-1:3590、3394、2932、1722、1646、1334、1254、1096、1032及び990;HR-ESIMS m/z:371.1829 C20H28O5(計算値 371.1834)の[M+Na]+1H-NMRスペクトルデータ(400MHz,DMSO-d6):2.02(1H,d,J=12.0Hz,H-1α)、1.29(1H,m,H-1β)、1.36(2H,br s,H-2)、1.06(1H,m,H-3α)、1.42(1H,d,J=13.4,H-3β)、1.15(1H,重複,H-5β)、1.52(1H,m,H-6α)、2.63(1H,t,J=12.0Hz,H-6β)、3.94(1H,d,J=2.9Hz,H-7β)、1.14(1H,d,J=8.4Hz,H-9β)、4.60(1H,q,J=8.4Hz,H-11α)、2.56(1H,m,H-12α)、1.25(1H,m,H-12β)、2.78(1H,d,J=9.1Hz,H-13α)、4.74(1H,s,H-14α)、5.77(1H,s,H-17a)、5.35(1H,s,H-17b)、0.82(3H,s,H-18)、0.90(3H,s,H-19)、5.69(1H,s,H-20);13C-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 206.2、152.9、115.9、92.5、69.6、64.9、63.4、57.7、56.4、48.5、42.8、42.1、40.7、39.6、33.9、33.0、30.7、24.7、21.0、18.0。
【実施例2】
【0033】
式(II)で示される誘導体(R=CHCH)の調製
前記で調製されたent-カウレン型ジテルペン(174mg、0.5mmol)をエタノール(20ml)に溶かし、p−メチルベンゼンスルホン酸5mgを加えて、25℃で3時間反応させる。反応終了後、反応液を濃縮し、メタノールで再結晶させて、式(II)で示される誘導体190gを得た。収率は95%である。実験データは以下の通りである。
【0034】
白色角柱状結晶;融点183.2〜185.8℃;[α]D25 -42.0°(c MeOH,0.22);λmaxMeOH nm(logε):233(3.99);IR νmaxKBr cm-1:3347、2958、2933、1724、1645、1361、1263、1099、1025、994及び935;HR-ESIMS m/z:399.2145 C22H32O5(計算値 399.2147)の[M+Na]+1H-NMRスペクトルデータ(400MHz,CDCl3):2.03(1H,d,J=11.2Hz,H-1α)、1.37(1H,重複,H-1β)、1.51(2H,br s,H-2)、1.13(1H,m,H-3α)、1.48(1H,d,J=13.2,H-3β)、1.34(1H,重複,H-5β)、1.69(1H,m,H-6α)、2.79(1H,重複,H-6β)、4.07(1H,d,J=4.0Hz,H-7β)、1.41(1H,d,J=9.6Hz,H-9β)、4.41(1H,q,J=8.8Hz,H-11α)、2.58(1H,重複,H-12α)、1.25(1H,重複,H-12β)、2.97(1H,d,J=9.4Hz,H-13α)、4.85(1H,s,H-14α)、6.03(1H,s,H-17a)、5.41(1H,s,H-17b)、0.86(3H,s,H-18)、0.96(3H,s,H-19)、5.21(1H,s,H-20)、3.84(1H,m,H-21a)、3.42(1H,m,H-21b)、1.23(3H,s,H-22);13C-NMR(400MHz,CDCl3):δ 205.3、150.8、117.5、99.8、71.5、66.3、65.2、63.9、58.1、56.8、48.4、42.0、41.4、40.5、39.8、34.0、32.8、30.5、24.6、20.9、18.2、15.4。
【実施例3】
【0035】
式(II)で示される誘導体(R=(CHCH)の調製
前記で調製されたent-カウレン型ジテルペン(174mg、0.5mmol)をTHF(20ml)に溶かし、n−オクタノール(400mg、3.1mmol)及びp−メチルベンゼンスルホン酸5mgを加えて、25℃で36時間反応させる。反応終了後、反応液を濃縮し、メタノールで再結晶させて、式(II)で示される誘導体145mgを得た。収率は63%である。実験データは以下の通りである。
【0036】
白色角柱状結晶;融点198.5〜201.3℃;[α]D25 -40.8°(c MeOH,0.25);λmaxMeOH nm(logε):235(3.92);IR νmaxKBr cm-1:3354、2961、2925、1730、1645、1358、1267、1094、1019、991及び933;HR-ESIMS m/z:481.2935 C28H42O5(計算値 481.2930)の[M+Na]+1H-NMRスペクトルデータ(400MHz,CDCl3):2.01(1H,d,J=11.2Hz,H-1α)、1.35(1H,重複,H-1β)、1.49(2H,br s,H-2)、1.11(1H,m,H-3α)、1.46(1H,d,J=13.2,H-3β)、1.32(1H,重複,H-5β)、1.67(1H,m,H-6α)、2.77(1H,重複,H-6β)、4.05(1H,d,J=4.0Hz,H-7β)、1.38(1H,d,J=9.6Hz,H-9β)、4.40(1H,q,J=8.8Hz,H-11α)、2.58(1H,重複,H-12α)、1.23(1H,重複,H-12β)、2.95(1H,d,J=9.4Hz,H-13α)、4.83(1H,s,H-14α)、6.01(1H,s,H-17a)、5.40(1H,s,H-17b)、0.82(3H,s,H-18)、0.92(3H,s,H-19)、5.21(1H,s,H-20)、3.82(1H,m,H-21a)、3.39(1H,m,H-21b)、1.21(3H,s,H-22);13C-NMR(400MHz,CDCl3):δ 205.4、150.8、117.7、99.9、71.7、66.4、65.4、64.0、58.3、57.1、48.6、42.2、41.5、40.7、40.1、34.2、32.9、30.7、24.8、21.1、18.4、15.6。
【実施例4】
【0037】
式(II)で示される誘導体(R=C11)の調製
前記で調製されたent-カウレン型ジテルペン(174mg、0.5mmol)をTHF(20ml)に溶かし、無水グルコース(900mg、5mmol)及びp−メチルベンゼンスルホン酸5mgを加えて、25℃で約3日間反応させる。反応終了後、クロロホルムで抽出し、抽出液を濃縮し、メタノールで再結晶させて、式(II)で示される誘導体142mgを得た。収率は55%である。実験データは以下の通りである。
【0038】
白色粉末状固体;融点165.5〜169.0℃;[α]D25 -53.8°(c MeOH,0.27);λmaxMeOH nm(logε):233(4.10);IR νmaxKBr cm-1:3392、2970、2929、1732、1646、1371、1272、1088、1013、985及び931;HR-ESIMS m/z:533.2357 C26H38O10(計算値 533.2363)の[M+Na]+1H-NMRスペクトルデータ(400MHz,DMSO):2.07(1H,d,J=11.2Hz,H-1α)、1.40(1H,重複,H-1β)、1.55(2H,br s,H-2)、1.18(1H,m,H-3α)、1.53(1H,d,J=13.2,H-3β)、1.38(1H,重複,H-5β)、1.73(1H,m,H-6α)、2.84(1H,重複,H-6β)、4.11(1H,d,J=4.0Hz,H-7β)、1.45(1H,d,J=9.6Hz,H-9β)、4.45(1H,q,J=8.8Hz,H-11α)、2.64(1H,重複,H-12α)、1.29(1H,重複,H-12β)、3.03(1H,d,J=9.4Hz,H-13α)、4.90(1H,s,H-14α)、6.08(1H,s,H-17a)、5.43(1H,s,H-17b)、0.88(3H,s,H-18)、0.96(3H,s,H-19)、5.25(1H,s,H-20)、3.81(1H,d,J=11.6Hz,H-6’)、3.59(1H,dd,J=11.2,4.8Hz,H-6’)、3.35-3.17(4H,m,H-3’,H-4’,H-5’,H-2’);13C-NMR(400MHz,CDCl3):206.9、153.1、116.1、99.8、92.7、77.5、73.5、71.8、70.0、69.8、65.4、63.6、63.1、57.9、56.6、48.7、43.0、42.3、40.9、39.7、34.0、33.1、30.9、24.9、21.2、18.1。
【実施例5】
【0039】
式(III)で示される誘導体(RがCHCH、RがC)の調製
実施例2で調製されたent-カウレン型ジテルペン誘導体(200mg、0.5mmol)をテトラヒドロフラン(15ml)に溶かし、アミノベンゼン56mg(0.6mmol)を加え、更に触媒のp−メチルベンゼンスルホン酸(2mg)を加えて、50℃で24時間攪拌する。反応終了後、反応液を濃縮し、メタノールで結晶化させて、式(III)で示される誘導体210mgを得た。収率は89%である。実験データは以下の通りである。
【0040】
白色粉末状固体;融点175.5〜177.5℃;[α]D25 -72.3°(c MeOH,0.22);λmaxMeOH nm(logε):230(3.95);IR νmaxKBr cm-1:3595、3452、2955、1747、1589、1512、1453、1376、1273、702;HR-ESIMS m/z:492.2730 C28H39NO5(計算値 492.2726)の[M+Na]+1H-NMRスペクトルデータ(400MHz,DMSO-d6):2.03(1H,d,J=12.0Hz,H-1α)、1.27(1H,m,H-1β)、1.36(2H,重複,H-2)、1.07(1H,m,H-3α)、1.45(1H,d,J=13.4,H-3β)、1.15(1H,d,J=12Hz,H-5β)、1.54(1H,m,H-6α)、2.65(1H,重複,H-6β)、3.98(1H,m,H-7β)、1.10(1H,s,H-9β)、4.57(1H,q,J=8.4Hz,H-11α)、2.44(1H,m,H-12α)、1.23(1H,m,H-12β)、2.89(1H,m,J=9.1Hz,H-13α)、4.64(1H,s,H-14α)、3.56(1H,m,H-16)、4.00(1H,m,H-17a)、3.49(1H,m,H-17b)、0.83(3H,s,H-18)、0.90(3H,s,H-19)、5.63(1H,s,H-20)、3.81,3.37(各1H,m,H-21)、1.20(3H,s,H-22)、6.56(2H,d,J=8.0Hz,H-2’)、7.06(2H,t,J=8.0Hz,H-3’)、6.50(1H,t,J=7.2Hz,H-4’);13C-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 206.2、149.0、129.1、115.5、112.1、98.6、67.3、65.6、64.2、63.1、57.8、55.6、49.0、43.2、40.1、39.8、38.5、37.8、34.0、33.3、30.8、28.7、24.9、21.3、18.2、16.2。
【実施例6】
【0041】
式(III)で示される誘導体(Rがグルコース基、RがC13)の調製
実施例2で調製されたent-カウレン型ジテルペン誘導体(255mg、0.5mmol)をテトラヒドロフラン(15ml)に溶かし、n−アミノヘキサン60mg(0.6mmol)を加え、更に触媒のp−メチルベンゼンスルホン酸(2mg)を加えて、50℃で10時間攪拌する。反応終了後、反応液を濃縮し、メタノールで結晶化させて、式(III)で示される誘導体210mgを得た。収率は71%である。実験データは以下の通りである。
【0042】
白色粉末状固体;融点154.6〜157.2℃;[α]D25 -75.5°(c MeOH,0.25);λmaxMeOH nm(logε):235(4.05);IR νmaxKBr cm-1:3601、3395、3460、2975、1753、1646、1607、1371、1272、991及び942; HR-ESIMS m/z:634.3562 C32H53NO10(計算値634.3567)の[M+Na]+1H-NMRスペクトルデータ(400MHz,DMSO-d6):2.05(1H,d,J=12.0Hz,H-1α)、1.29(1H,m,H-1β)、1.38(2H,重複,H-2)、1.09(1H,m,H-3α)、1.46(1H,d,J=13.4,H-3β)、1.17(1H,d,J=12Hz,H-5β)、1.57(1H,m,H-6α)、2.67(1H,重複,H-6β)、4.00(1H,m,H-7β)、1.12(1H,s,H-9β)、4.59(1H,q,J=8.4Hz,H-11α)、2.45(1H,m,H-12α)、1.26(1H,m,H-12β)、2.90(1H,m,J=9.1Hz,H-13α)、4.66(1H,s,H-14α)、3.58(1H,m,H-16)、4.02(1H,m,H-17a)、3.51(1H,m,H-17b)、0.85(3H,s,H-18)、0.92(3H,s,H-19)、5.25(1H,s,H-20)、3.83(1H,d,J=11.6Hz,H-6’)、3.62(1H,dd,J=11.2,4.8Hz,H-6’)、3.38-3.15(4H,m,H-3’,H-4’,H-5’,H-2’)、2.58(2H,m,H-1”)、1.45(2H,m,H-2”)、1.31-1.36(6H,m,H-3”,H-4”,H5”)、0.98(3H,t,J=7.0Hz,H-6”);13C-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 207.0、99.9、92.7、77.6、73.5、71.8、70.0、69.8、65.4、63.6、63.1、57.9、56.6、53.4、50.1、43.0、42.3、41.0、40.5、39.8、39.7、34.0、33.2、31.6、30.9、30.8、26.9、25.0、22.9、21.2、18.1、14.2。
【実施例7】
【0043】
式(IV)で示される誘導体(RがH、R、RがCO)の調製
ent-カウレン型ジテルペン(174g、0.5mmol)をピリジン(20ml)に溶かし、無水酢酸2ml(21mmol)を加えて、80℃で10時間攪拌し反応させる;氷水浴で20℃まで温度を下げ、気泡が放出されなくなるまで、飽和NaHCO水溶液を加え攪拌する。酢酸エチルで3回抽出を行い、有機層を水で反復洗浄し、更に無水NaSOで乾燥させる。減圧し溶媒を蒸発乾固し、エタノール:水(3:1)で再結晶させて、白色の固体183mgを得た。生産率は81%である。実験データは以下の通りである。
【0044】
白色粉末状固体;融点163.5〜166℃;[α]D25 -68.5°(c MeOH,0.25);λmaxMeOH nm(logε):235(4.02);IR νmaxKBr cm-1:3592、3352、2964、2938、1738、1734、1724、1648、1361、1284、1247、1157、1118、1081、1040及び1007;HR-ESIMS m/z:455.2049 C24H32O7(計算値 455.2046)の[M+Na]+1H-NMRスペクトルデータ(400MHz,CDCl3):2.01(1H,d,J=11.2Hz,H-1α)、1.38(1H,重複,H-1β)、1.53(2H,br s,H-2)、1.09(1H,m,H-3α)、1.51(1H,d,J=13.2,H-3β)、1.35(1H,重複,H-5β)、1.69(1H,m,H-6α)、2.75(1H,重複,H-6β)、4.09(1H,d,J=4.0Hz,H-7β)、1.40(1H,d,J=9.6Hz,H-9β)、4.56(1H,q,J=8.8Hz,H-11α)、2.61(1H,重複,H-12α)、1.25(1H,重複,H-12β)、3.01(1H,d,J=9.4Hz,H-13α)、4.93(1H,s,H-14α)、6.05(1H,s,H-17a)、5.45(1H,s,H-17b)、0.86(3H,s,H-18)、0.96(3H,s,H-19)、5.67(1H,s,H-20)、2.15(3H,s,H-22)、2.08(3H,s,H-24);13C-NMR(400MHz,CDCl3):δ 205.8、170.5、169.3、148.5、114.9、93.2、68.5、64.1、62.5、58.2、56.2、47.8、42.5、41.6、41.2、39.9、33.3、33.0、30.7、24.7、21.0、20.5、19.9、18.3。
【実施例8】
【0045】
式(IV)で示される誘導体(RがCH、RがC15O、RがH)の調製
ent-カウレン型ジテルペン(181mg、0.5mmol)をピリジン(20ml)に溶かし、n−オクタン酸(145mg、1mmol)を加えて、80℃で24時間攪拌し反応させる。氷水浴で20℃まで温度を下げ、気泡が放出されなくなるまで、飽和NaHCO水溶液を加え攪拌する。酢酸エチルで3回抽出を行い、有機層を水で反復洗浄し、更に無水NaSOで乾燥させる。減圧し溶媒を蒸発乾固し、エタノール:水(4:1)で再結晶させて、白色の固体170mgを得た。生産率は70%である。実験データは以下の通りである。
【0046】
白色針状結晶;融点231〜234℃;[α]D25 -55.8°(c MeOH,0.22);λmaxMeOH nm(logε):242(4.15);IR νmaxKBr cm-1:3603、3426、2939、1733、1718、1644、1263、1106、1032、942、747及び615;HR-ESIMS m/z:511.3028 C29H44O6(計算値 511.3036)の[M+Na]+1H-NMRスペクトルデータ(400MHz,CDCl3):1.98(1H,d,J=12.0Hz,H-1α)、1.34(1H,dd,J=12.0,4.0Hz,H-1β)、1.36(2H,br s,H-2)、1.42(1H,d,J=13.2Hz,H-3α)、1.07(1H,dt,J=13.2,4.0Hz,H-3β)、1.19(1H,m,H-5β)、1.57(1H,m,H-6α)、2.66(1H,t,J=12.6Hz,H-6β)、3.98(1H,d,J=2.8Hz,H-7β)、1.17(1H,d,J=9.2Hz,H-9β)、4.41(1H,q,J=8.8Hz H-11α)、2.58(1H,dt,J=14.0,9.2Hz,H-12α)、1.25(1H,dd,J=14.0,8.4Hz,H-12β)、2.80(1H,d,J=9.2Hz,H-13α)、4.49(1H,s,H-14α)、5.78,5.36(各1H,s,H-17)、0.90(3H,s,H-18)、0.93(3H,s,H-19)、5.01(1H,s,H-20)、3.32(3H,s,H-21)、2.23(2H,m,H-2’)、1.67(2H,m,H-3’)、1.28-1.33(8H,m,H-4’-H7’)、0.91(3H,t,J=6.8Hz,H-8’);13C NMR(CDCl3):206.0、175.2、152.6、116.1、100.6、69.7、65.3、63.3、57.5、56.4、55.1、48.6、42.7、42.0、40.6、39.6、34.6、33.9、32.9、32.2、30.3、29.4、29.4、25.5、24.5、23.1、20.9、18.0、15.0。
【0047】
実験例1
本実験例は、本発明に記載の化合物の抗食道癌Ec109細胞活性を研究することにある。
【0048】
【表1】

【0049】
活性テストの方法は以下の通りである。ヒト食道癌Ec109細胞(河南省医学科学研究所)を標的細胞として、10%の牛胎児血清(TBD)を含むRPMI1640培養基(GIBCO)で、37度、5%COの存在下で培養する。対数生長期にある細胞を取り、96穴マイクロプレートの各穴中に6×10個の細胞を植菌し、24時間培養した後、対応する穴に異なる濃度の化合物である済源冬凌草素A(実施例1で得られた化合物)、誘導体1及び誘導体2のサンプルを加え、48時間継続して培養し、注意して薬液を吸い取り、血清を含まないRPMI1640培養液で3回洗う。各穴に0.2mg/mLのMTTを含む培養基200μLを加え、37℃で4h培養し、上清液を吸い取り、DMSOを200μL加え、10分間振盪させ、ELISAマイクロプレートリーダーで対照グループと各サンプル添加グループのOD値を比色測定する。測定波長は570nm、参照波長は450nmである。薬物添加濃度処理した各薬物の細胞に対する阻害率を計算し、細胞阻害曲線により薬物の50%阻害濃度IC50(μg/mL)を計算する。
【0050】
結論:済源冬凌草素A及びその20−メトキシ基、20−エトキシ基誘導体は、体外でEc109細胞に対して比較的高い細胞毒活性を有し、済源冬凌草素Aの活性が最も高い。
【0051】
実験例2
本実験例は、本発明に記載の化合物のグリコシダーゼ阻害活性を研究することにある。
【0052】
【表2】

【0053】
グリコシダーゼ阻害活性の測定:96穴マイクロプレートにおいて各穴に40μlの薬物(初期スクリーニングでは0.067Mリン酸カリウム緩衝液を用いて10%DMSOを含む溶液0.25mMを調製し、IC50測定では0.067Mリン酸カリウム緩衝液を用いて10%DMSOを含む一連の濃度スケールの溶液を調製する)及び0.1u/mlのグリコシダーゼ(baker's yeast、米国Sigma社)40μlを加え、37℃に40分間保温した後、各穴に2.5mMの反応基質p−ニトロフェニルグルコシド20μlを加え、37℃に5分間保温した後、ストップ緩衝液である0.1MのNaCoを100μl加え、405nmでOD値を比色測定する。陰性対照は10%DMSOを含む0.067Mリン酸塩緩衝液で薬物の代わりとする。阻害率=(1−薬品のOD値/陰性対照のOD値)×100%であり、IC50は作図によって求める。
【0054】
結論:済源冬凌草素A及びその20−メトキシ基、20−エトキシ基誘導体は、体外でα−グルコシダーゼ及びβ−グルコシダーゼに対して一定の阻害活性を有する。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、済源冬凌草を原料として抽出、分離を行いent-カウレン型ジテルペンを得た後、ヒドロキシル化合物と縮合させて各種アセタール誘導体を得、それをアミン化合物と反応させて各種アミノ誘導体を得、それをハロゲン化アシル、酸無水物と反応させて各種アシル化誘導体を得る。本発明のent-カウレン型ジテルペン及びその誘導体は、抗炎症薬、抗腫瘍薬及び免疫調節剤として使用することができ、更にグリコシダーゼ阻害剤としても使用することができ、その他の疾病に対する薬物として使用することができ、各種医薬品の中間体として使用することができ、キラル合成及び有機合成の中間体として使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造式を有することを特徴とする、ent-カウレン型ジテルペン。
【化1】


(I)
【請求項2】
以下の一般構造式を有することを特徴とする、請求項1に記載のent-カウレン型ジテルペンの誘導体。
【化2】


(II)
【請求項3】
以下の一般構造式を有することを特徴とする、請求項1に記載のent-カウレン型ジテルペンの誘導体。
【化3】


(III)
【請求項4】
以下の一般構造式を有することを特徴とする、請求項1に記載のent-カウレン型ジテルペンの誘導体。
【化4】


(IV)
【請求項5】
以下の工程、即ち、冬凌草の地上部分を有機溶媒で浸漬する工程であって、用いる抽出溶媒がエタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル、又は石油エーテルのうちの一種であり、40〜60℃で、3時間〜3日間浸漬する工程と、その後に、85〜90%の溶媒を濃縮除去する工程と、濃縮液をLSA−10型マクロポーラス吸着樹脂及びシリカゲルでクロマトグラフィー分離を繰り返す工程と、更に再結晶させる工程であって、再結晶に用いる溶媒がメタノール、エタノール、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、又はイソプロパノールのうちの一種である工程とを含むことを特徴とする、請求項1に記載のent-カウレン型ジテルペンの抽出方法。
【請求項6】
以下の工程、即ち、式(I)のent-カウレンジテルペンを有機溶媒に溶かす工程であって、用いる有機溶媒がニトロメタン、アセトニトリル、エタノール、メタノール、イソプロパノール、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジオキサン、又はテトラヒドロフランのうちの一種である工程と、酸性触媒の存在下で、0〜100℃の条件下でヒドロキシル化合物と縮合反応させる工程であって、反応物のモル比を1:1〜100とし、又はヒドロキシル化合物を同時に反応溶媒とし、反応時間を1〜72時間とする工程と、反応終了後に、溶媒を蒸発乾固する工程と、再結晶させる工程であって、再結晶に用いる溶媒がアセトニトリル、エタノール、メタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、又は酢酸エチルのうちの一種である工程とを含むことを特徴とする、請求項2に記載のent-カウレン型ジテルペン誘導体の合成方法。
【請求項7】
以下の工程、即ち、式(I)のent-カウレンジテルペン又は式(II)で示される誘導体を有機溶媒に溶かす工程であって、用いる溶媒がニトロメタン、アセトニトリル、エタノール、メタノール、イソプロパノール、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、又はジオキサンのうちの一種である工程と、酸性触媒の存在下で、アミン化合物と反応させる工程であって、反応物のモル比が1:1〜20であり、反応温度を10〜90℃に制御し、反応時間を2〜72時間とし、薄層クロマトグラフィーで、原料が消失し反応が終了するまでモニターする工程と、溶媒を蒸発乾固する工程と、再結晶又はカラムクロマトグラフィーで分離して式(III)で示される化合物を得る工程であって、再結晶に用いる溶媒がアセトニトリル、エタノール、メタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、又は酢酸エチルのうちの一種である工程とを含むことを特徴とする、請求項3に記載のent-カウレン型ジテルペン誘導体の合成方法。
【請求項8】
以下の工程、即ち、式(I)のent-カウレンジテルペン又は式(II)で示される誘導体を有機溶媒に溶かす工程であって、用いる有機溶媒がニトロメタン、アセトニトリル、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ピリジン、又はトリエチルアミンのうちの一種である工程と、塩基性触媒の存在下で、酸無水物又はハロゲン化アシルと反応させる工程であって、反応物のモル比が1:1〜20であり、反応温度を0〜90℃に制御し、反応時間を1〜72時間とし、薄層クロマトグラフィーで、原料が消失し反応が終了するまでモニターする工程と、溶媒を蒸発乾固する工程と、更に再結晶又はカラムクロマトグラフィーで分離する工程であって、再結晶に用いる溶媒がアセトニトリル、エタノール、メタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、又は酢酸エチルのうちの一種である工程とを含むことを特徴とする、請求項4に記載のent-カウレン型ジテルペン誘導体の合成方法。
【請求項9】
用いる酸性触媒が塩酸、塩化アンモニウム、硫酸、硫酸アンモニウム、又はp−メチルベンゼンスルホン酸のうちの一種であり、用いる塩基性触媒がナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、フッ化カリウム、ピリジン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、又は4−N,N−ジメチルアミノピリジンのうちの一種であることを特徴とする、請求項6又は7又は8に記載のent-カウレン型ジテルペン誘導体の合成方法。
【請求項10】
請求項1〜9に記載のent-カウレン型ジテルペン及びその誘導体の、抗炎症薬、抗腫瘍薬、又は免疫調節剤、及びグリコシダーゼ阻害剤の調製における応用。

【公表番号】特表2009−523742(P2009−523742A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550617(P2008−550617)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際出願番号】PCT/CN2007/000187
【国際公開番号】WO2007/082475
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(508202784)フレン ファーマシューティカル グループ シーオー., エルティーディー. (1)
【氏名又は名称原語表記】FUREN PHARMACEUTICAL GROUP CO., LTD.
【出願人】(508202795)ツェンゾウ ユニバーシティー (1)
【氏名又は名称原語表記】ZHENGZHOU UNIVERSITY
【Fターム(参考)】