説明

新規ピリダジン化合物およびそれらの使用

式(1)の化合物およびその塩および溶媒和物が、C型肝炎ウイルス感染の処置または予防のために提供される。化合物(1)を作製および処方するための方法が提供される。別の実施形態は、哺乳動物(より具体的には、ヒト)におけるHCV感染の予防または処置のための医薬の製造のための化合物(1)の使用を含む。本発明の別の実施形態は、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む、式(1)の化合物の薬学的組成物に関する。


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
C型肝炎ウイルスは、フラビウイルス科のエンベロープ型/一本鎖正センスRNAウイルスである。HCVは主に肝臓の肝細胞中で複製する。循環HCV粒子は、肝細胞の表面上でレセプターに結合し、および続いて細胞に侵入する。一度肝細胞の中に入ると、HCVは細胞内機械様必要物を利用して、自身の複製を達成する。非特許文献1。HCVゲノムは、翻訳され、およそ3011個のアミノ酸の単一タンパク質を生成する。この「ポリタンパク質」は次いで、ウイルス性および細胞性プロテアーゼにより、蛋白分解性プロセシングをされ、3つの構造タンパク質(ビリオン関連の)および7つの非構造(NS)タンパク質を生成する。
【0002】
HCVは、2つのプロテアーゼ、NS2システインオートプロテアーゼおよびNS3−4Aセリンプロテアーゼをコードする。NSタンパク質は、次いでウイルス性ゲノムをRNA複製複合体に補充し、再配列された細胞質膜に結合される。RNA複製は、NS5Bのウイルス性RNA依存RNAポリメラーゼを介して起こり、負の鎖RNA中間体を生成する。この負の鎖RNAは次いで、新しい正の鎖ウイルスゲノムの生成のためのテンプレートとして働く。発生期のゲノムは次いで翻訳され得、さらに複製され得、新しいウイルス粒子内に包まれ得る。新しいウイルス粒子は、おそらく分泌系経路内に発芽され、ならびに細胞表面に放出される。
【0003】
HCVは、感染した個体において、1日に生成された約1兆個の粒子による高い複製速度を有する。HCV RNAポリメラーゼによるプルーフリーディングの欠如により、HCVはまた、異例の高い変異率、宿主の免疫応答を逃れることを助け得る因子を有する。
【0004】
HCV単離物間の遺伝子の違いに基づき、C型肝炎ウイルス種は、いくつかのサブタイプを各々の遺伝子型に有する6つの遺伝子型(1〜6)に分類される。サブタイプはさらに、それらの遺伝子の多様性に基づき、準種(quasispecies)に分けられる。HCV遺伝子型の優勢および分布は、世界中で変化する。例えば、北アメリカでは、遺伝子型1aが優勢で、次いで1b、2a、2bおよび3aである。欧州では、遺伝子型1bが優勢で、次いで2a、2b、2cおよび3aである。遺伝子型4および5は、ほとんど排他的にアフリカで見られる。遺伝子型は、インターフェロンベースの治療に対する潜在的な応答、およびそのような治療が必要な期間を決定するのに臨床的に重要である。遺伝子型1および4はその他の遺伝子型(2、3、5および6)よりも、インターフェロンベースの処置に対する応答性が少ない。遺伝子型1および4のための標準的なインターフェロンベースの治療の期間は48週間であるが、一方で遺伝子型2および3のための処置は24週間で完了される。
【0005】
世界保健機関は、世界中で1億7千万〜2億人(世界の人口の3%)がHCVに慢性的に感染している、と見積る。これらの個体の約75%は、血漿中で検出可能なHCV RNAに慢性的に感染している。これらの慢性的なキャリアは、肝硬変および/または肝臓癌を発達させるリスクとなる。7〜16年間の追跡調査による研究では、7〜16%の患者は肝硬変を発達させ、0.7〜1.3%は肝細胞癌を発達させ、ならびに1.3〜3.7%は肝臓関連疾患により死亡した。
【0006】
現在利用可能な唯一の処置の選択は、インターフェロンα−2(またはそのPEG化形態)を単独でか、またはリバビリンと組み合わせてかのいずれかで使用することである。しかし、持続的な応答は、約40%の患者でのみ観察され、そして処置は有害影響を伴う。したがって、効力がありかつ選択的なHCVのインヒビターの早急な必要性がある。
【0007】
関連の開示としては、特許文献1、2、米国特許番号
【0008】
【化7−2】

が挙げられる。さらに、特許文献3を見よ。
【0009】
所望の抗HCV治療の、および/または予防の特質を有する化合物の必要性が存在し、上記特質としては、高い効力、選択性および経口生物学的利用能(1日に1回または2回の投与に適切)、低い毒性(hERGパッチ鉗子アッセイにおいて許容可能な性能、肺透過浮腫が存在しないこと、およびQT間隔に影響がないこと、を含む)、代謝活性化/グルタチオン付加物形成が最小であるかまったくないこと、遺伝子毒性の証拠がないこと、低い代謝回転数、および低い血漿クリアランス、HCV遺伝子型(特に1aおよび1b、2、3、ならびに4)に対する幅広いスペクトル効力、HCV耐性変異に対する効力(臨床試験における他の非ヌクレオシドNS5Bインヒビターとの耐性プロフィールにおいて制限されたオーバーラップ)、および他のHCV治療薬(例えば、インターフェロンおよびリバビリン)との適合性が挙げられる。安全なプロフィールは、少なくとも1年の期間の慢性投薬が許されるべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許番号4,914,108明細書
【特許文献2】米国特許番号4,988,707明細書
【特許文献3】国際公開番号WO05/063744パンフレット
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Lindenbach,B. Nature 436(7053):932−8(2005)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の要旨)
本発明の前述の目的を達成することに従って、式(1)
【0013】
【化8】

を有する化合物が、その塩および溶媒和物と共に提供される。IUPAC:5−({6−[2,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリダジン−3−イル}メチル)−2−(2−フルオロフェニル)−5H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン。CAS:5H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン,5−[[6−[2,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリダジン−3−イル]メチル]−2−(2−フルオロフェニル)。
【0014】
化合物(1)は、HCV感染の治療または予防のための方法に有用であり、この方法は、被験体に、治療用量または予防用量の化合物(1)を投与することを含む。別の実施形態は、哺乳動物 (より具体的には、ヒト)におけるHCV感染の予防または処置のための医薬の製造のための化合物(1)の使用を含む。
【0015】
本発明の別の実施形態は、式(1)の化合物
【0016】
【化9】

を作製する方法であって、(a)5−[6−クロロ−ピリダジン−3−イルメチル]−2−(2−フルオロ−フェニル)−5H−イミダゾ[4,5−c]ピリジンを、2,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸と、RORO(RO)(式中、R、R、RおよびRの各々は、C1〜C6アルキルから独立して選択され、そしてaは0または1である)の構造を有する溶媒の存在下で、反応させる工程、および(b)化合物(1)を回収する工程、を含む方法である。
【0017】
化合物(1)の製造のための別の実施形態において、中間体(2)
【0018】
【化10】

を提供する工程、
2,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸を3−クロロ−6−メチルピリダジンとカップリングさせて化合物(2a)
【0019】
【化11】

を生成する工程、
化合物(2a)を塩素化剤で処理してアルキル化剤(3)
【0020】
【化12】

を生成する工程、
ならびにアルキル化剤(3)を使用して、塩基性条件下で中間体(2)をアルキル化し、化合物(1)
【0021】
【化13】

を生成する工程を包含する方法が提供される。
【0022】
上記アルキル化剤(3)は、新規であり、本発明の一部であり、クロロメチルではなくメチル置換体、あるいはクロロの代わりにブロモ、フルオロ、またはヨードを有する化合物も同様である。
【0023】
本発明の別の実施形態は、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む、式(1)の化合物の薬学的組成物に関する。1つの実施形態において、上記式(1)の化合物は、有機酸で処方され、ならびに任意に、カプセルのような薬学剤形に処方される。別の実施形態において、化合物(1)は、微粉化され、ならびに懸濁物として処方される。
【0024】
本発明の化合物(1)または薬学的組成物は、C型肝炎の処置もしくは予防に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、実施例1bの方法によって得られた、結晶形態の化合物(1)(参照基準)に対して得られた粉末X線回折パターンを示す。
【図2】図2は、実施例1aの方法によって得られた、非結晶形態の化合物(1)(研究ロット6)に対して得られた粉末X線回折パターンを示す。
【図3】図3は、実施例1bの方法によって得られた、結晶形態の化合物(1)(参照基準、1℃/分スキャン)に対して得られたDSCサーモグラムを表す。
【図4】図4は、実施例1aの方法によって得られた、非結晶形態の化合物(1)(研究ロット6、5℃/分スキャン)に対して得られたDSCサーモグラムを表す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(発明の詳細な説明)
本発明の治療化合物は、対象哺乳動物(ヒトを含む)に、任意の当該分野で周知の手法(すなわち、経口、鼻腔内、皮下、筋肉内、経皮内、静脈内、動脈内、非経口)によってか、または治療上有効な量(すなわち、HCV阻害量またはHCV複製阻害量)のカテーテル挿入によって投与される。この量は、約100nMの血漿レベル、3回のタンパク質調整EC90を確実にする量であると考えられる。これは通常、ヒトの体重に対して、約0.5〜約5mg/kg、代表的には、約0.7〜2.2mg/kg、最も通常では約1.2mg/kgの経口投与により達成されると期待される。
【0027】
本発明の化合物の最適用量は、技術者にとって公知の多くの因子に依存し、この因子としては、得られた処方物における化合物の生物学的利用能、被験体における化合物の代謝および分布、被験体の絶食状態または摂食状態、処方物におけるキャリアおよび賦形剤の選択、ならびに他の因子が挙げられる。適切な投薬は代表的に、前臨床設定および臨床設定において決定され、ならびに当業者の技術の範囲内に十分にある。本発明の化合物の治療上有効な量は、感染の性質、患者の一般的な状態および本発明の化合物の処方に依存して、任意に、1日においていくつかのサブユニットに分けられるか、または毎日もしくは1日以上の間隔で投与される。一般的に、化合物は、1日2回投与される。
【0028】
本発明の化合物は、HCV感染に対して有効な他の薬剤と合わせて使用される。これらは、任意に治療の工程において別々に投与されるか、例えば錠剤、静脈用溶液、またはカプセルのような単一の剤形において、化合物(1)と合わせられる。このような他の薬剤としては、例えば、インターフェロン−α、リバビリン、ならびに/または、EP1162196、WO03/010141、WO03/007945、WO00/204425および/もしくはWO03/010140の開示に含まれる化合物(およびこれらの特許のファミリーに含まれる他のもの)が挙げられる。本発明の化合物による治療の工程における投与のための他の薬剤としては、現在臨床試験中の化合物、具体的には、HCVプロテアーゼインヒビター(例えば、VX−950(Vertex Pharmaceuticals)、SCH5030347(Schering Plough)およびBILN−2061(Boehringer Ingelheim))、ヌクレオシドHCVインヒビター(例えば、NM283、NM107(両方ともIdenix/Novartis)およびR1626(Hoffmann−LaRoche))ならびに非ヌクレオシドHCVインヒビター(HCV−086および−796(両方ともViroPharma/Wyeth)を含む)が挙げられる。補助的な抗ウイルス剤は、本発明の化合物および補助的な化合物の効力が相加的である場合、各々の活性な薬剤が任意に同様に低減され、ならびにこの薬剤が相乗的に働く場合はさらに低減されるものの、慣習的な量で使用される。しかし、一般的に上記薬剤は、単一の組み合わせの組成物において、その通常の活性量で使用される。
【0029】
同時投与される薬剤は、上記同時投与される薬剤が化学的に適合可能であり、ならびに同様の経路によって投与されることが意図される限り、一般的に本発明の化合物を有する単一の組成物中に処方される。そうでない場合、上記同時投与される薬剤は任意に、別個の容器または区画に2つの薬剤を含む医薬キットまたは医薬パッケージの形態で提供される。
【0030】
本発明の化合物は、遊離の塩基または塩として提供される。塩は、一般的に有機酸および/または無機酸の遊離の塩基への酸付加により調製される。例としては、(1)ヒドロハロゲン酸(hydrohalogen acid)(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸およびスルファミン酸)のような無機酸、または(2)酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、安息香酸、2−ヒドロキシプロパン酸、2−オキソプロパン酸、乳酸、フマル酸、酒石酸、ピルビン酸、マレイン酸、マロン酸、リンゴ酸、サリチル酸(例えば、2−ヒドロキシ安息香酸)、p−アミノサリチル酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、コハク酸、シュウ酸、およびクエン酸;有機スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、C1〜C6アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、およびシクロヘキサンスルファミン酸)が挙げられる。代表的な塩は、塩化物、硫酸塩、重硫酸塩、メシル酸塩、ベシル酸塩(besylate)、エシル酸塩(esylate)、リン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、および/またはフマル酸塩である。本発明の範囲内にはまた、本発明の化合物の塩と、1つ以上のアミノ酸、代表的には、例えばタンパク質中に見出されるアミノ酸のうちの1つのような、天然に存在するアミノ酸が含まれる。所望される酸性の対イオンは、上記塩が、毒性は関係しない化合物の調製において中間体として使用される場合を除き、生理学的に無害および非毒性であるか、そうでなければ、薬学的に許容可能である。通常、化合物(1)は遊離の塩基として投与されるが、適切な塩としては、メシル酸塩(メタンスルホン酸)およびHClが挙げられる。
【0031】
本発明の化合物としては、本発明の化合物により形成される溶媒和物、またはそれらの塩、例えば、水和物、アルコラートなどが挙げられる。
【0032】
本発明の薬学的化合物は、慣習的な薬学的キャリアおよび賦形剤により任意に処方され、これらは通常実施に従って選択される。錠剤は、賦形剤、流動促進剤、充填剤、バインダーなどを含む。水性処方物は、無菌形態で調製され、ならびに経口投与以外による送達が意図される場合、一般的に等張性である。処方物は、「Handbook of Pharmaceutical Excipients」(2005)に規定のもののような賦形剤を任意に含み、そしてアスコルビン酸および他の抗酸化剤、キレート化剤(例えば、EDTA)、炭化水素(例えば、デキストリン)、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ならびに/または有機酸(例えば、オレイン酸および/もしくはステアリン酸)を含む。
【0033】
本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に許容可能なキャリア」は、その調製、および/または、処置される部位に対するその適用もしくは播種を容易にするための、活性な成分より処方された任意の材料または物質を意味する。本発明の組成物において使用される適切な薬学的キャリアは、当業者に周知である。上記キャリアとしては、湿潤剤、分散剤、接着剤、乳化剤、溶媒、流動促進剤、コーティング、抗菌剤、抗真菌剤(例えば、フェノール、ソルビン酸、クロロブタノール)および等張剤(例えば、糖または塩化ナトリウム)のような添加剤が挙げられるが、ただしこれらは薬学的実施に一致する、すなわちこれらは哺乳動物に対して毒性がない。
【0034】
本発明の薬学的組成物は、任意の公知の様式で、例えば、活性な成分と、選択されたキャリア材料、および適切である場合、界面活性剤のような他の添加剤とを、1ステップ、もしくは複数のステップで、均一に混合、コーティングおよび/またはすりつぶすことで、調製される。マイクロスフェア(通常約1〜10gmの直径を有する)に処方された本発明の化合物を含む組成物は、処方物の制御放出、または徐放に有用である。
【0035】
1つの最適処方物として、化合物(1)は、微細な分離形態、代表的に、任意の点において約1〜20ミクロンの範囲内の平均粒径に粉砕される。実施例1bの生成物は、針状結晶であり、代表的に約25〜40ミクロンの結晶サイズの範囲を示す。この生成物は任意に、Jet mill−00において、約60〜80psiで微粉化され、約3〜4ミクロンで、および約7〜8平方メートル/gの表面積を有する粒子を得る。しかし、初期の結晶サイズはロットからロットへと変化し、ミクロ化の度合いは選択の問題である。さらに、微粉化された化合物(1)は、本明細書中の実施例のようなミクロ化方法に供されて、単に結晶または非結晶の化合物(1)として規定される。生じた粒子のサイズまたは表面面積のどちらも重大ではない。上記微粉化された化合物(1)は、水性溶液中に懸濁され、さらに以下に記載されるように、任意で懸濁剤、乳化剤および/または界面活性剤により援助される。
【0036】
代表的に、薬学的処方物は化合物(1)の可溶化形態であり、ここで化合物(1)は適切な溶媒、または可溶化剤、またはそれらの組み合わせ中に溶解される。有機溶媒中に可溶化した化合物(1)は、結晶形化合物(1)の調製のための中間体として有用であるが、代表的に化合物(1)は治療上または予防上の投与のために薬学的に許容可能な賦形剤中に可溶化される。
【0037】
化合物(1)の薬学的調製のための適切な溶液としては、水と一緒に、種々の有機酸(代表的にC4〜C24)、通常は脂肪酸(例えば、カプリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、カプリン酸、パルミチン酸、および/またはミリスチン酸)が挙げられる。上記脂肪酸は、任意に飽和であるか、不飽和であるか、またはそれらの混合物である。さらに、ポリエチレングリコール(PEG)および/または短鎖、中鎖、もしくは長鎖の、モノ、ジ、またはトリグリセリドが有機酸の補助として、または代わりに使用される。Peg化された短鎖、中鎖、もしくは長鎖の脂肪酸はまた、任意に同様の様式で使用される。
【0038】
最も一般的な有機酸は、カルボン酸であり、その酸性度はカルボキシ基−COOHに関連する。OSOH基を含むスルホン酸は、本明細書の使用には比較的強い酸である。一般的に、所望される酸は、脂溶性領域を含む。モノ−、もしくはジ−カルボン酸が適切である。
【0039】
適切な界面活性剤は、本発明の処方物のうちのいずれか(任意の1つ以上の以下の薬剤、代表的には以下の薬剤のうちの任意の1つ)と共に任意に使用される。このような薬剤はまた、エマルジェント(emulgent)または乳化剤として公知であり、ならびに本発明の薬学的組成物として有用である。これらは、適切な乳化性質、分散性質、および/または湿潤性質を有する、非イオン性材料、カチオン性材料および/またはアニオン性材料である。適切なアニオン性界面活性剤は、水溶性石鹸および水溶性合成界面活性剤の両方を含む。適切な石鹸は、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、非置換もしくは置換の高次脂肪酸(C10〜C22)のアンモニウム塩、例えば、オレイン酸もしくはステアリン酸、またはココナツ油もしくは獣脂より得られ得る天然の脂肪酸混合物の、ナトリウム塩またはカリウム塩である。合成界面活性剤としては、ポリアクリル酸、脂肪スルホン酸、および硫酸の、ナトリウム塩もしくはカルシウム塩、スルホン化されたベンズイミダゾール誘導体、ならびにアルキルアリールスルホネートが挙げられる。脂肪スルホン酸塩または硫酸塩が、通常アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、非置換のアンモニウム塩、または8〜22個の炭素原子を有するアルキル基またはアシル基で置換されたアンモニウム塩(例えば、リグノスルホン酸もしくはドデシルスルホン酸のナトリウム塩またはカリウム塩、または、天然の脂肪酸、硫酸エステルもしくはスルホン酸エステル、および脂肪アルコール/エチレンオキシド付加物の硫酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)より得られた脂肪アルコール硫酸エステル塩の混合物)の形態である。適切なスルホン化されたベンズイミダゾール誘導体は好ましくは、8〜22個の炭素原子を含む。
【0040】
アルキルアリールスルホン酸塩の例は、ドデシルベンゼンスルホン酸もしくはジブチルナフタレンスルホン酸のナトリウム塩、カルシウム塩、またはアルコールアミン塩、またはナフタレン−スルホン酸/ホルムアルデヒド縮合生成物である。対応するリン酸塩、例えばリン酸エステル塩、およびp−ノニルフェノールとエチレンおよび/またはプロピレンオキシドとの付加物、またはリン脂質もまた適切である。本目的に適切なリン脂質は、ケファリン型またはレシチン型の、天然の(動物細胞または植物細胞より由来の)または合成リン脂質(例えば、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセリン、リゾレシチン、カルジオリピン、ジオクタニルホスファチジル−クロリン、ジパルミトイルホスファチジルクロリン、およびこれらの混合物)である。このような薬剤を有する水性エマルジョンは本発明の範囲内にある。
【0041】
適切な非イオン性界面活性剤としては、アルキルフェノール、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪族アミン、または分子内に少なくとも12個の炭素原子を含むアミド、アルキルアレーンスルホン酸エステル、およびジアルキルスルホコハク酸エステルの、ポリエトキシ化およびポリプロポキシ化誘導体(例えば、脂肪族および脂環式アルコールのポリグリコールエーテル誘導体、飽和および不飽和の脂肪酸およびアルキルフェノール)、が挙げられ、上記誘導体は、好ましくは3〜10個のグリコールエーテル基、および(脂肪族)炭化水素部分に8〜20個の炭素原子、およびアルキルフェノールのアルキル部分に6〜18個の炭素原子を含む。さらに適切な非イオン性界面活性剤は、ポリエチレンオキシドとポリプロピレングリコールとの水溶性付加物、アルキル鎖に1〜10個の炭素原子を含むエチレンジアミノポリプロピレングリコールであり、この付加物は20〜250個のエチレングリコールエーテル基および/または10〜100個のポリプロピレングリコールエーテル基を含む。このような化合物は通常、プロピレングリコール単位に対し1〜5個のエチレングリコール単位を含む。非イオン性界面活性剤の代表例は、ノニルフェノール−ポリエイトキシエタノール、ヒマシ油、ポリグリコールエーテル、ポリプロピレン/ポリエチレンオキシド付加物、トリブチルフェノキシポリエトキシエタノール、ポリエチレングリコールおよびオクチルフェノキシポリエトキシエタノールである。ポリエチレンソルビタンの脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート)、グリセロール、ソルビタン、スクロースおよびペンタエリトリトールもまた、非イオン性界面活性剤として適切である。
【0042】
適切なカチオン性界面活性剤としては、四級アンモニウム塩、特に、ハロ、フェニル、置換フェニルまたはヒドロキシで任意に置換された4つの炭化水素基を有するハライドが挙げられ;例えば、少なくとも1つのC8〜C22アルキル基(例えば、セチル、ラウリル、パルミチル、ミリスチル、およびオレイル)のN−置換体を含む四級アンモニウム塩、およびさらなる置換体、非置換の、もしくはハロゲン化された低級アルキル、ベンジル、および/またはヒドロキシ−低級アルキル基が挙げられる。
【0043】
本目的に適切な界面活性剤のより詳細な記載は、「McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers Annual」(MC Publishing Crop.,Ridgewood,New Jersey,1981)、「Tensid−Taschenbucw」,2nd ed.(Hanser Verlag,Vienna,1981)、および「Encyclopaedia of Surfactants」(Chemical Publishing Co.,New York,1981)に見出される。
【0044】
本発明の化合物は、処置される状態に適切な任意の経路で、例えば、経口、直腸、鼻腔内、局所(眼球、口腔、および舌下を含む)、膣、および非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、髄腔内、および硬膜外を含む)で投与される。好ましい投与経路は、例えば受容者の状態によって変化し得るが、一般的には経口である。
【0045】
経口投与のための本発明の化合物の処方物は、各々活性な成分の所定量を含む、カプセル、カシェ(cachet)または錠剤;粉末または顆粒形態;水性液体もしくは非水性液体中の溶液または懸濁物;水中油型液体エマルジョンまたは油中水型液体エマルジョンなどの通常別個の単位として示される。本発明の化合物は任意に、ボーラス、舐剤またはペーストとして示される。
【0046】
錠剤は、圧縮もしくは成形により作製され、任意で1つ以上の付属成分を有する。圧縮された錠剤は、適切な機械において本発明の化合物を、粉末または顆粒のような自由流動形態に、任意でバインダー、潤滑剤、不活性な希釈剤、保存剤、界面活性剤、および/もしくは分散剤と混合して、圧縮することよって調製される。成形された錠剤は、代表的に適切な機械において、不活性な液体希釈剤で湿らせた粉末状化合物の混合物を成形することにより作製される。上記錠剤は任意でコーティングまたは刻み目を入れられ得、そして中にある活性な成分を徐放または制御放出するために処方され得る。
【0047】
処方物は、活性な成分を例えば、0.075〜20%w/w(0.1%w/wの増加の0.1%と20%との間の範囲(例えば、0.6%w/w、0.7%w/w)の活性な成分を含む)、好ましくは0.2〜15%w/w、および最も好ましくは0.5〜10%w/wの量で含む、局所軟膏またはクリームとして任意に適用される。軟膏に処方された場合、上記化合物はパラフィン系または水混和性の軟膏基材と共に使用される。あるいは、化合物は水中油型クリーム基材と共にクリームとして処方される。所望であれば、クリーム基材の水相としては、例えば少なくとも30%w/wの多価アルコール、すなわち2つ以上のヒドロキシル基を有するアルコール、例えばプロピレングリコール、ブタン1,3−ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロールおよびポリエチレングリコール(PEG400を含む)、およびこれらの混合物が挙げられ得る。局所処方物は、活性な成分の皮膚または他の羅患した領域への吸収または浸透を強化する化合物を望ましくは含み得る。このような皮膚浸透強化剤の例としては、ジメチルスルホキシドおよび関連の類似体が挙げられる。
【0048】
本発明のエマルジョンの油相は、公知の様式における公知の成分より構成される。この相が単に乳化剤(そうでなければエマルジェントとして公知のもの)を含み得る場合、この相は少なくとも1つの乳化剤と、脂もしくは油、または脂と油の両方との混合物を望ましくは含む。随意に、親水性乳化剤は、安定剤として働く脂溶性乳化剤を一緒に含む。この乳化剤は、油および脂の両方を含むこともまた好まれる。同時に、安定剤を有するもしくは有さない乳化剤は、いわゆる乳化蝋を構成し、そしてこの油および脂と一緒になった蝋はいわゆる乳化軟膏基材を構成し、この乳化軟膏基材はクリーム処方物の油性分散相を形成する。
【0049】
処方物への適切な油または脂の選択は、所望される化粧用性質の達成に基づく。したがって上記クリームは随意に、べたべたせず、汚れておらず、かつ洗浄可能な製品で、チチューブまたは他の容器からの漏れを避ける適切なコンシステンシー(consistency)を有すべきである。直鎖または分枝鎖の、モノまたはジ塩基性アルキルエステル(例えば、ジ−イソアジピン酸エステル、イソセチルステアリン酸エステル、ココナツ脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、イソプロピルミリスチン酸エステル、デシルオレイン酸エステル、イソプロピルパルミチン酸エステル、ブチルステアリン酸エステル、2−エチルヘキシルパルミチン酸エステル、またはCrodamol CAPとして公知の分枝鎖エステルの混合物)が使用され得、最後から3つが好ましいエステルである。これらは単独でまたは必要とされる性質に依存した組み合わせで使用され得る。あるいは、白色軟パラフィンおよび/または液体パラフィンのような高融点脂質または他の鉱油が使用され得る。
【0050】
目への局所投与のために適切な処方物はまた目薬を含み、ここで活性な成分は適切なキャリア、特に活性な成分のための水性溶媒中に溶解されるか、懸濁される。活性な成分はこのような処方物中に、0.5〜20%、有利には0.5〜10%、具体的には約1.5%w/wで、随意に存在する。
【0051】
口への局所投与のために適切な処方物としては、風味用基礎材料(通常スクロースおよびアカシアまたはトラガカント)中に活性な成分を含むトローチ剤;不活性基礎材料(例えば、ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシア)中に活性な成分を含むトローチ;ならびに適切な液体キャリア中に活性な成分を含むうがい薬が挙げられる。
【0052】
直腸への投与のための処方物は、適切な基材(例えばココアバターまたはサリチレートを含む)を有する座薬として存在し得る。キャリアが固体である場合の鼻腔内投与に適切な処方物は、例えば20〜500ミクロンの範囲の粒径(5ミクロンの増加で20と500ミクロンとの間の範囲(例えば30ミクロン、35ミクロンなど、)の粒径を含む)を有する粗い粉末を含み、この処方物はエーロゾルまたは粉末吸入器により投与され、この処方物の非常に多くの例が利用可能である。キャリアが液体である場合の、例えば鼻腔スプレーまたは点鼻薬としての投与に適切な処方物は、活性な成分の水性溶液または油性溶液を含む。
【0053】
膣投与に適切な処方物は、活性な成分に加えて当該分野で適切であると公知のキャリアを含む、ペッサリー、タンポン、クリーム、ジェル、ペースト、発泡体、またはスプレー処方物として存在し得る。
【0054】
非経口投与に適切な処方物は、水性および非水性の滅菌注入溶液を含み、この溶液は抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、および処方物を意図される受容者の血液と等張にする溶質を含み得;ならびに水性および非水性の滅菌懸濁物を含み、この懸濁物は懸濁剤および濃化剤を含み得る。上記処方物は、単位用量または複数用量の容器、例えば密封されたアンプルおよびバイアル中に存在し、ならびにフリーズドライ(凍結乾燥)状態中に保存され得、滅菌液体キャリア(例えば、注入のための水)の添加のみが使用の直前に必要とされる。即座の注入溶液および懸濁物は、前述に記載の種類の滅菌粉末、顆粒および錠剤より調製され得る。
【0055】
本発明の化合物は、制御放出組成物に随意に処方され、ここで化合物の放出は、本発明の化合物のより少ない投薬頻度を可能とする、または薬物動的プロフィールまたは毒性プロフィールを改善するように制御され、ならびに調節される。制御放出組成物は、公知の方法に従い調製され、これらの方法の多くは、活性な化合物を1つ以上のポリマーキャリア(例えば、ポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニルピロリドン、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロールおよび/またはプロタミンスルフェート)と処方することを含む。薬物放出の速度および活性の持続期間は、活性な成分をポリマー性物質(例えば、ヒドロゲル、ポリ乳酸、ヒドロキシメチルセルロール、ポリメチルメタクリレート、および他の上記に記載のポリマー)の粒子(例えば、マイクロカプセル)に組み合わせることにより、制御される。コロイド薬物輸送系(例えば、リポソーム、マイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、ナノカプセルなど)もまた適切である。投与経路に依存して、上記薬学的組成物(例えば、錠剤)は保護コーティングを必要とし得る。
【0056】
本発明は、以下の実施例に対する参照によって、より完全に認識され、この実施例は単に例示であり、ならびに請求される本発明の範囲を制限しない、と考えられるべきである。
【実施例】
【0057】
実施例1a
5−({6−[2,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリダジン−3−イル}メチル)−2−2−フルオロフェニル)−5H−イミダゾ[4,5−c]ピリジンの合成
本方法では、ジメトキシエタンまたは関連の溶媒(すべてRORO(RO)(式中、R、R、RおよびRの各々は、C1〜C6アルキルから独立して選択され、そしてaは0または1である)の一般式を有する)は、従来の溶媒DMFよりも特に有利であることが見出された。代表的に、R、R、RおよびRの各々は、独立してC〜Cアルキルであり、ならびに通常aは0である。C〜Cアルキルは、1〜6個の炭素原子を有する完全に飽和な第一級、第二級または第三級炭化水素基を含み、したがって以下に限定されないが、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどを含む。
【0058】
工程1
【0059】
【化14】

市販の出発原料(SM)のCHCl中の溶液に、トリクロロイソシアヌル酸(TCCA)を60℃で加えた。次いで、この溶液を1.5時間撹拌し、冷却し、HiFlo−セライトでろ過した。ろ液を濃縮し、真空乾燥した。収量は5.037gであった。
【0060】
工程2
【0061】
【化15】

コア溶液(DMF(ジメチルホルムアミド)中文献に記載のとおり得られた)に、NaOHを加えた。次いで本工程のSM(工程1より得られた)をDMF(20ml)に溶解し、ならびに上記溶液をゆっくり加えた。この反応を3時間撹拌し、水で希釈し、ならびにEtOAcで抽出した。有機層をNaSOで乾燥した。この溶媒を除去し、そして生成物をDCM(ジクロロメタン)で再結晶した。収量は5.7gであった。
【0062】
工程3
【0063】
【化16】

化合物Aをジメトキシエタン(DME)に溶解した。この溶液に、2,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸および2NのNaCO水溶液を加えた。生じた二相混合物にPd(PPhを加え、そして次いでこの反応を80℃で72時間加熱した。この反応を室温まで冷却し、ならびにセライトでろ過し、そしてこのセライトをEtOAcで洗浄した。ろ液を真空で濃縮した。残渣を6gのSiO2上で、MeOH/CH2Cl2を使用して精製し、化合物を溶出した。このように得られた化合物は、PPh(O)で汚染されていた。この生成物を1mm Chromatotronプレート上で、0〜5%のMeOH/CHClで1%ステップにより再精製した。純粋な留分を合わせて、真空で濃縮し、次いで高真空で12時間乾燥した。化合物(1)の遊離の塩基11.8mgをPPh汚染物なしで得た。
【0064】
【化17】


【0065】
実施例1b
5−({6−[2,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリダジン−3−イル}メチル)−2−(2−フルオロフェニル)−5H−イミダゾ[4,5−c]ピリジンの合成
本実施例は、化合物(1)の作製のための追加の方法に関し、以下のスキームを使用する。
【0066】
スキーム1
【0067】
【化18】

メタンスルホン酸を、反応器中の2−フルオロ安息香酸に、T≦50℃を維持する活性な冷却において加えた。次いで3,4−ジアミノピリジンをこの冷却したスラリーに、T≦35℃を維持しながら滴下して加えた。反応器の内容物を次いで50℃に加熱した。五酸化リンを単独分量で加えた。この反応を次いで90〜110℃で少なくとも3時間加熱した。この反応をHPLC分析により完了をサンプリングした。この反応を室温まで冷却し、そして水を滴下してゆっくり加えて反応をクエンチした。この反応を次いで水で希釈した。不溶性物質はろ過で除去した。ろ液のpHを、水酸化アンモニウムで5.5〜5.8に調整した。この反応を周囲温度で約4時間自然に反応させ、ならびに粒状化した。次いで、このpHを水酸化アンモニウムで8.0〜9.3に調整した。このスラリーを周囲温度で少なくとも2時間維持した。この固体をろ過により単離し、ならびに水、続いてIPEで洗浄した。湿ったケークを60℃までで≦1%水残量まで真空乾燥した。乾燥生成物はコア(2)である。
【0068】
【化19】

【0069】
【化20】


【0070】
1,2−ジクロロエタン中の化合物(2a)の溶液を40〜45℃に加熱した。トリクロロイソシアヌル酸を加え、そして混合物を60〜70℃で少なくとも2時間加熱した。この反応をHPLC分析により完了をサンプリングした。この反応を周囲温度まで冷却した。セライトを加えて不溶性物質を吸着させ、次いで固体をろ過により除去した。ろ液を0.5N水酸化ナトリウム溶液で洗浄した。この有機層を、最も少ない撹拌可能な容量まで濃縮し、ならびにDMFで置き換えた。コア(2)および10%水酸化ナトリウム溶液を加えた。この反応を周囲温度で少なくとも8時間撹拌した。この反応をHPLC分析により完了をサンプリングした。10%水酸化ナトリウム溶液の追加の10%分量をこの反応に加えた。この反応を次いで水に充填し、粗生成物を単離した。少なくとも1時間粒状化した後、固体を単離し、ならびに水およびイソプロピルエーテルで洗浄した。酢酸エチルを加え、ならびに1〜5時間還流して(内部T=70〜77℃)生成物を溶解し、次いで18〜23℃まで4〜8時間かけてゆっくり冷却した。反応内容物を18〜23℃で8〜20時間撹拌し、そして固体をろ過により集め、ならびに酢酸エチルでリンスした。低融解(すなわち、約220℃のDSC)非結晶の化合物(1)を流出した。非結晶の化合物(1)を還流での(内部T=70〜77℃)1〜5時間の加熱により酢酸エチル中に溶解した。水含有量は、共沸による水除去により約0.2%に制御される(酢酸エチルを有する場合、水含有量の上限は約0.6重量%であり;約0.9重量%の水において、上記非結晶の材料は再沈殿され、そして結晶は得られない)。反応内容物を18〜23℃まで4〜8時間かけてゆっくり冷却し、18〜23℃で8〜20時間撹拌し、そして固体をろ過により集めた。この固体を酢酸エチルでリンスし、ならびに60℃までで真空乾燥し、乾燥結晶の化合物(1)を得た。
【0071】
【化21】

核磁気共鳴(H−、13C−、および19F−NMR)スペクトル
化合物(1)の核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、提唱される構造と一致する。DMSO−d中の化合物(1)の13C、19F、およびH−NMRスペクトルを、Varian UnityInova−400 FT−NMR分光器を用いて測定した。スペクトルを以下の表に示す。NMRケミカルシフトの割り当てを、2D相関実験(COSY、HSQC、HMBCおよびHSQCTOCSY)を使用して確立した。
【0072】
化合物(1)の参照基準のH−および13C−NMRケミカルシフト割り当て
【0073】
【化22】

a.多重度、s:一重項、d:二重項、q:四重項、m:多重項
b.互換性のあるシグナル。
【0074】
示差走査熱量測定法
実施例1aの方法に従って作製された化合物(1)のサンプル(研究ロット6)および実施例1bの方法に従って作製された化合物(1)のサンプル(残りのサンプル)を、示差走査熱量測定(DSC)器具(DSC2010、TA Instruments Corporationより製造)を使用しての、窒素雰囲気下、サンプル重量5±1mg、温度上昇率:1℃/分、5℃/分または10℃/分、開放アルミニウム皿(pan)、および参照としてのインジウム基準において、測定に供した。得られたDSC曲線上の吸熱ピークでのエンタルピー、外挿開始温度および最高温度を決定した。
【0075】
代表的な化合物(1)群のDSC結果を表1に要約した。実施例1bの方法により生成された化合物(1)の結晶形態を1℃/分のDSCスキャンに供した場合、吸熱ピークのエンタルピーは約81J/g±1J/gであり、そして外挿開始温度は233.2℃±2.0℃である。吸熱ピークの頂点温度は、233.9℃±3.0℃である。
【0076】
表1.化合物(1)群に対して得たDSC値の例
【0077】
【化23】

注釈:エンタルピーを除き、すべて℃である。
**ロット6に対しては5℃/分スキャンで報告された。
【0078】
X線粉末回折法
方法1aおよび1bにより作製されたサンプルを、受容した状態、分析の前にスパチュラで混合したのみの状態で分析した。サンプルをアルミニウムセルに固定し、そして測定をX線粉末回折器(XRD−6000、Shimadzu Lab X、Shimadzu Corporationにより製造、X線供給源:Cu−Kα1光線、管電圧:35kV、管電流:40mA、スキャンスピード:2°/分、連続スキャンモード、サンプリング勾配:0.02°、スキャン範囲:4〜35°、β軸回転:60rpm)を使用して実施した。
【0079】
実施例1bの方法により得られた非微粉化の針状結晶の化合物(1)は、X線粉末回折器により測定されるように、13.46、15.59、16.90、17.48、23.05および30.15の回折角2θ(°)に特徴的な回折ピークを有する、X線粉末回折パターンを有する(図1)。この実施例で試験された非微粉化の「高融解」235℃融解の針状結晶の化合物(1)は、優先方位および粒径のためのある効果を示すことに注意のこと。結果として、図1は、結晶サイズおよび方位がプロットにおけるピークの大きさを変化するため、単に例示であると考えられるべきである。さらに、上記に記載の回折角2θ(°)における回折ピーク値は、測定機器または測定条件などによるわずかな測定誤差を示し得る。代表的に、測定誤差は一般的に約±0.3の範囲内である。Shimadzu XRD−6000の仕様は、±0.04である。さらに、ピーク位置におけるある変数が、製品および実験的変数によって予測され得、したがってこれらはおおよそで考慮されなければならない。
【0080】
実施例1aの方法(または再スラリー工程より前の方法1b)にしたがって作製された生成物によって構成される、220℃「低融解」固体状態形態の化合物(1)は、非結晶の物質と一致するX線粉末回折パターンを与える(図2)。
【0081】
この方法1bの生成物は、非結晶の化合物を実質的に含まない結晶の化合物(1)である。この生成物は、示差走査熱量測定法(DSC)プロフィールにおいて、約235℃の吸熱開始温度を示す。この生成物は、81J/g(42KJ/モル)±1J/gの適切な融解熱(DH)を示す。結晶の化合物(1)は、上記に記載のように反応生成物を実質的に無水の結晶化溶媒中で再スラリー化することにより、非結晶の化合物を実質的に含まずに生成される。この結晶化溶媒は、化合物(1)が溶解する、任意の溶媒または共溶媒混合物である。適切な溶媒としては、酢酸イソプロピル/酢酸エチル共溶媒、または酢酸エチル単独が挙げられる。
【0082】
実質的に無水の溶媒は、十分に少量の水を含む溶媒として定義され、方法1bに従って生成された化合物(1)の組成物は、結晶の化合物(1)および、生成組成物中の化合物(1)のすべての形態の全量の約40重量%未満の、通常約30、20、10、5、3、2または1重量%の任意の他の形態の化合物(1)(非結晶の化合物(1)を含む)を含む。
【0083】
許容される水の量は方法の目的に基づいて変化するが、一般的に、実質的に無水の溶媒は、結晶化溶媒の約0.5重量%〜0.6重量%未満を水として含む。例えば、所望の生成物が、より多い割合の非結晶の化合物(1)を含む場合、より多くの水が存在し得る。許容される水の量の決定および選択は、全体として当業者の知識の範囲内にあり、ならびに多くの因子(溶媒の性質および固有性、水を除去するための薬剤の存在、反応温度、ならびに他の条件)に依存する。
【0084】
実施例1bによる化合物(1)は代表的に、0.7マイクログラム/mlの固有の溶解度、5.8のpKa、2.8のlogP;ならびにpH2において458マイクログラム/ml、およびpH7.3において0.7マイクログラム/mlの相乗平均(3ロット)pH溶解プロフィールを示す。疑似腸液中の相乗平均溶解度(3ロット)(絶食時:pH6.4、0.75mMレシチン、3mMタウロコール酸ナトリウム、270ミリオスモル;摂食時:pH5.0、3.75mMレシチン、15mMタウロコール酸ナトリウム、635ミリオスモル)は、19.1マイクログラム/ml(絶食時)および122マイクログラム/ml(摂食時)である。
【0085】
測定されたパラメーターはロットからロットへ変化し、したがって分子量を除く前述のパラメーターのすべてはおおよそであると考えられるべきである。
【0086】
酸滴定は、塩化物対イオン(約0.6mg/mL)または硫酸塩対イオン(約0.5mg/mL)と比較して、ミリスチン酸塩(>20mg/ml)に高い溶解性を啓示した。
【0087】
実施例2
化合物(1)の処方物
化合物(1)の処方物は重量基準の重量で作製され、10%w/wの活性を達成する。12kgの溶液の作製のために、例示的かつ定量的な化合物(1)の組成物のカプセル、20mgおよび40mgを以下に列挙した。
【0088】
定量的な化合物(1)組成物のカプセル、20mgおよび40mg
【0089】
【化24−1】

組成物は、1:1w/wエタノール:水の溶液である。
カプセル密封プロセスの間に除去された。
・容器/器:12kgステンレス鋼
・以下の順に秤量した:
・0.012kg ブチル化ヒドロキシトルエン(0.10%)
・0.035kg ブチル化ヒドロキシアニソール(0.35%)
・1.2kg 化合物(1)遊離塩基(10%).
・0.6kg Polysorbate 80(5%)(秤量済)
・10.153 kg オレイン酸(84.55gに相当(84.55%))
化合物(1)のカプセル、20mgまたは40mgは単位プロセス工程の連続を通して製造される。化合物(1)の薬物物質、オレイン酸、polysorbate 80、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、およびブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)は、溶液が達成されるまで混合される。この溶液は、2つの硬ゼラチンカプセル中に詰められる。閉じたカプセルは続いて含水アルコール溶液で密封され、この溶液は密封プロセスの間に蒸発される。真空リーク試験は、パッキングの前に密封されたカプセルで実施される。
【0090】
代替処方物
式(1)の化合物は、以下の薬剤により可溶性形態に任意に処方される:
・脂肪酸(短鎖、中鎖、および長鎖の、ならびに飽和のおよび不飽和の)、代表的にC4〜C22。代表的な脂肪酸はラウリン酸、カプリン酸またはオレイン酸である。
・アルコール(例えば、エタノール、ベンジルアルコール、グリセロール、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400)
・界面活性剤(イオン性と非イオン性界面活性剤との両方を含む)。非イオン性界面活性剤の例は、ポリオキシエチレンソルビタンの脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレングリセロールオキシステアリン酸エステル、ポリエチレングリコール60、硬化ヒマシ油、および/またはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマーである。
・化学的安定性のための抗酸化剤、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ビタミンE、および/またはビタミンE PEG 1000 コハク酸エステル。
・粘性導入剤(二酸化ケイ素、ポリエチレングリコール、酸化チタンなど)
・ならびに上記の混合物。
【0091】
カプセル化は、軟弾性ゼラチンまたは硬ゼラチンまたは硬ヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルにおいて実施され得る。液体処方物(溶液またはカプセル化溶液)は改善された経口生物学的利用能を提供する。
【0092】
カプセル充填
軟弾性ゼラチンカプセルの組成物および調製は、当該分野で周知である。組成物は代表的に30〜50重量%のゼラチン、10〜40%の可塑剤または可塑剤の混合物、および約25〜40重量%の水を含む。可塑剤は、グリセリン、ソルビトール、もしくはソルビトール誘導体、プロピレングリコールなど、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0093】
種々の方法が軟弾性ゼラチンカプセルの製造および充填のために使用され、例えば回転式、線引き、またはアコーゲル(accogel)機械などによる。硬ゼラチンまたはHPMCカプセルは、Capsugel,Greenwood,S.C.および他の供給者より購入され得る。カプセルは、手動で、またはカプセル充填機械により充填される。
【0094】
処方物の調製
一般的に、本発明の組成物は、以下の様式で調製され得る。成分は、適切な容器サイズにおいて、オーバーヘッド撹拌器を使用して混合される(混合タンクは窒素でパージされ得る)。薬学的に許容可能な脂肪酸および薬学的に許容可能な抗酸化剤は、室温で混合される(溶液は、脂肪酸を液化するために、必要な場合、適切な温度(例えば、ラウリン酸の場合、約45℃)に温められ得る)。式(1)の化合物は加えられ、ならびに溶解されるまで撹拌される。薬学的に許容可能な界面活性剤は加えられて、混合される。生じた混合物の適切な重量は硬ゼラチンカプセル中に充填される。
【0095】
追加の処方組成物
【0096】
【化24−2】

【0097】
【化24−3】


【0098】
実施例2a
微粉化された化合物(1)の処方物
微粉化された薬物物質(Jet mill−00、60〜80psi;3〜4ミクロン平均サイズ、約7〜8平方メートル/gで)をラクトース、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、酒石酸、およびヒドロキシプロピルセルロールと乾燥混合した。この混合物を、混合溶液をスプレーすることにより顆粒化した。この顆粒を流動層にて乾燥した。この乾燥した顆粒は、ふるいを通して大きさを分け(size)、ならびに次いで追加の微結晶セルロースおよびクロスカルメロースナトリウムと混合した。粉末混合物をステアリン酸マグネシウムを加えることにより潤滑化し、ならびに次いで回転型錠剤プレスを使用して錠剤に圧縮した。錠剤を続いてフィルム−コーティングした。
【0099】
以下の表は、イヌに40mgの化合物(1)(約4mg/kgに対応する)で投薬され試験された様々な処方物のまとめである。この表は、可溶化された化合物(1)の処方物のより優れた性能を示す。
【0100】
インビボデータのまとめ
【0101】
【化25】

微粉化されたAPIを使用する。
ペンタガストリンで処置され、胃のpHを低減したイヌへの投薬。
【0102】
実施例3
化合物(1)の抗ウイルス活性
本発明の化合物は、遺伝子型1aと1bの両方に対する抗HCVレプリコン活性(WO05/063744に記載のアッセイ)、極めて低い細胞毒性(Huh−7、HepG2およびMT4細胞において>50,000nM)および非常に好ましい選択性指数を示す。化合物は、遺伝子型2aに対して実質的に低い活性を有する。
【0103】
HCV遺伝子型1bおよび1aレプリコンに対する化合物1の活性
HCV遺伝子型1b(Con−1/lucneo)および1a(H77/neo)レプリコン細胞を、化合物(1)、2’C−メチルアデノシン(2’CMeA)またはIFNαの40mg/mLヒト血清アルブミン(HSA)の非存在または存在下での、3日間の連続希釈によりインキュベートした。インキュベート後、処置された細胞におけるレプリコンRNAレベルを、ルシフェラーゼレポーターアッセイ(1bレプリコン)または定量的同時PCRアッセイ(1aレプリコン)のどちらかにより決定し、そしてデータ点を使用してインヒビターのEC50(50%の有効な阻害濃度)値を計算した。化合物(1)は、それぞれ0.6および3.6nMのEC50値で、遺伝子型1bおよび遺伝子型1aの両方を阻害することを示した(表A)。ヒト血清アルブミンの存在下で、化合物(1)のEC50値は11nMに増加した。
【0104】
表A:HCV遺伝子型1aおよび1bレプリコンに対する化合物(1)の活性
【0105】
【化26】

n.d. 決定されず;HSA ヒト血清アルブミン
少なくとも4つの独立した研究より決定された平均EC50値および標準誤差。
【0106】
HCV遺伝子型1aレプリコンおよびウイルスに対する化合物(1)の活性
HCV遺伝子型2aに対する化合物(1)の抗ウイルス活性を、遺伝子型2aウイルスで慢性的に感染した細胞内、ならびにサブゲノム2aレプリコンを複製する細胞内で試験した。HCV遺伝子型2a(J6/JFH−Rluc)ウイルス、またはサブゲノムレプリコンを慢性的に複製することを含むHuh−7細胞を、化合物(1)または2’CMeAで、3日間、ヒト血清アルブミンの非存在下で培養した。培養後、2aウイルス含有細胞おけるルシフェラーゼの量、および2aレプリコン含有細胞におけるHCV NS3プロテアーゼ活性を、それぞれPromega’s ルシフェラーゼアッセイ、および新規の時間分解蛍光アッセイを用いて決定した。
【0107】
化合物(1)の抗ウイルス活性は、HCV−2a慢性感染細胞培養モデル(EC50=2.9μM)および2aサブゲノムレプリコンモデル(EC50=21.9μM)の両方において、HCV−1bサブゲノムレプリコンを複製するHuh−7細胞(EC50=0.0006μM)と比べて著しく低減された(表2)。一緒にすると、これらの結果は、HCV遺伝子型2aに対する化合物(1)の効力の低減は、HCVの遺伝子型1と遺伝子型2との間の遺伝子の違いによるものであり得ることを示す。
【0108】
表B:HCV遺伝子型1bおよび2aに対する化合物(1)の活性
【0109】
【化27】

n.d. 決定されず;HSA ヒト血清アルブミン
少なくとも4つの独立した研究より決定された平均EC50値および標準誤差。
【0110】
化合物(1)は、種々の細胞型(HCVレプリコン含有細胞系(Huh−7、SL3およびMH4)ならびに非レプリコン含有細胞系(HepG2、MT4))において、CellTiter−Glo発光細胞生存(Luminescence Cell Viability)アッセイ(Promega)を使用して、その細胞毒性を評価された。毒性効力は、試験された最も高濃度(50μM)においていかなる細胞系からも観測されなかった(表C)。これらの結果は、HCV−1bおよびHCV−1aレプリコンにおけるその強力な抗ウイルス活性(EC50=0.62〜3.6nM)と組み合わせて、化合物(1)の高い選択性指数(CC50/EC50>13,000〜80,000)を示す。
【0111】
表C:HCVレプリコン含有細胞系における化合物(1)の細胞毒性
【0112】
【化28】

n.d. 決定されず;HSA ヒト血清アルブミン
少なくとも4つの独立した研究より決定された平均CC50値および標準誤差。
HCVレプリコン含有細胞系。
【0113】
インビトロでのIFNと組み合わせての化合物(1)の抗HCV活性
PEG化インターフェロン−α(PEG−IFN−α)は、リバビリンと組み合わせて、HCV感染患者のための現在の標準的な治療を代表する。インビトロでの化合物(1)およびIFN−αの組み合わせ研究を、レプリコン細胞で実施した。データを、PrichardおよびShipmanにより開発されたMacSynergyテンプレートを使用して分析した。これらの研究の結果は、化合物(1)とIFN−αとの間に相加的相互作用を示唆する。
【0114】
実施例4
フェーズ1における化合物(1)の抗ウイルス、薬物動的および安全性データ
HCV遺伝子型1に感染した被験体に対する最初のヒトにおける試験
ランダム化された、二重盲式の、プラシーボ制御された試験を、化合物(1)(オレイン酸溶液、前述)の単独用量(パートA)および複数用量(パートB)の安全性/耐性、薬物動的、および抗ウイルス活性を、非代償性肝硬変のない、HCV遺伝子型1(GT−1)に慢性感染した被験体において評価することを設計した。予想される被験体は、18〜60歳で、HCV未処置であり、ならびに一般的に良好な健康状態である。
【0115】
パートAを完了する際、6人の被験体より5人の連続した群が無作為に選ばれ(5:1)、化合物1の単一の上昇用量(40、120、240、食料と共に240、または480mg)か、またはプラシーボを受容した。続くパートBにおいて、12人の被験体より4人の連続した群が無作為に選ばれ(10:2)、化合物1の複数の上昇用量(40mg 1日2回、120mg 1日2回、240mg 1日1回、240mg 1日2回)か、またはプラシーボを8日にわたり受容した。
【0116】
パートAに登録された31人の被験体は、平均年齢43.6歳、大部分は男性(20/31)、白人(25/31)であり、およびHCV遺伝子1a(24)または1b(6)のどちらかに感染していた。HCVウイルス負荷の中央(範囲)基準線は、6.6Log10RNA IU/mL(5.2〜7.3)であった。化合物(1)の単独用量は、良好な耐性があり、深刻なまたは処置を限定する有害事象(AE)の報告はなかった。最も一般的なAEは頭痛であった。すべてのAEは、中程度の頭痛を除いて、重大度は穏やかであった。これらはグレード3または4の緊急処置研究異常を有さなかった。
【0117】
化合物(1)の血漿半減期の中央値は、群にわたり10〜15時間の範囲であった。化合物(1)が高脂肪の食事と共に投与された場合は、全身暴露は、約2倍に増加された。240mgの絶食での用量が投薬された後、化合物(1)の24時間の平均濃度は、タンパク質結合に調節されたインビトロでのHCV GT−1bレプリコンEC50値より約7倍高かった。単独用量暴露の後、最大の抗ウイルス効力が24時間で観測され、中央値は群にわたり0.46〜1.49Log10HCV RNA IU/mLの範囲に減少した。個別のHCV RNAはすべての化合物(1)の受容者において、単独用量暴露の後、0.19〜2.54Log10 IU/mLの範囲に減少した。
【0118】
このことは、化合物(1)の抗ウイルス活性の最初の臨床的実証である。化合物(1)への単独用量暴露は、良好な耐性があり、好ましいPK性質および強力な抗ウイルス活性を示した。
【0119】
実施例5
化合物(1)の抗HCVレプリコン活性は、先行技術(WO05/063744)の化合物である、式(4)の化合物
【0120】
【化29】

のものと比較された。
【0121】
予想外に、化合物(1)は、式(4)の化合物より約330倍強力であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)の化合物
【化1】

を作製する方法であって、該方法は、
(a)5−[6−クロロ−ピリダジン−3−イルメチル]−2−(2−フルオロ−フェニル)−5H−イミダゾ[4,5−c]ピリジンを2,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸とRORO(RO)(式中、R、R、RおよびRの各々は、C1〜C6アルキルから独立して選択され、そしてaは0または1である)の構造を有する溶媒の存在下で、反応させる工程、および
(b)化合物(1)を回収する工程、を含む、方法。
【請求項2】
aが0である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶媒がジメトキシエタンである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
aが1である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
式(1)
【化2】

を有する化合物、ならびにその塩、および溶媒和物。
【請求項6】
遊離の塩基としての、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
微粉化されている、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
懸濁物としての、請求項5に記載の化合物。
【請求項9】
水性媒体中の、請求項5に記載の懸濁物。
【請求項10】
溶液としての、請求項5に記載の化合物。
【請求項11】
C4-〜C22脂肪酸を有する溶液中の請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
前記脂肪酸がオレイン酸またはラウリン酸である、請求項11に記載の溶液。
【請求項13】
請求項5に記載の化合物および薬学的に許容可能な賦形剤を含む、組成物。
【請求項14】
前記賦形剤がC4-〜C22脂肪酸である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が水性溶液であり、そしてここで、前記脂肪酸がオレイン酸である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
HCV感染の治療または予防のための方法であって、被験体にHCVの治療用量または予防用量の請求項5に記載の化合物を投与する工程を含む、方法。
【請求項17】
前記被験体がヒトである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記方法が、前記被験体に、HCV感染の処置または予防のための治療上有効な用量の別の薬剤を投与することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記薬剤がインターフェロンである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記治療上有効な用量が、1日2回で約0.5〜5.0mg/kgである、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記用量が、1日2回で約0.7〜2.2mg/kgである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
医薬品としての使用のための、請求項5に記載の化合物。
【請求項23】
哺乳動物における、HCV感染の予防または処置のための医薬の製造のための、請求項5に記載の化合物の使用。
【請求項24】
ウイルス感染がHCVによる感染である、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
前記哺乳動物がヒトである、請求項23に記載の使用。
【請求項26】
化合物(1)の調製方法であって、該方法は、中間体(2)
【化3】

を提供する工程、
2,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸を3−クロロ−6−メチルピリダジンとカップリングさせて化合物(2a)
【化4】

を生成する工程、
化合物(2a)を塩素化剤で処理してアルキル化剤(3)
【化5】

を生成する工程、ならびに
アルキル化剤(3)を使用して、塩基性条件下で中間体(2)をアルキル化し、化合物(1)
【化6】

を生成する工程、
を含む、方法。
【請求項27】
式(3)
【化7−1】

の化合物、およびクロロメチルではなくメチルで置換されたその類似体、およびクロロの代わりにブロモ、フルオロ、またはヨードで置換されたその類似体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2009−542692(P2009−542692A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518381(P2009−518381)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/015553
【国際公開番号】WO2008/005519
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(500029420)ギリアード サイエンシーズ, インコーポレイテッド (141)
【出願人】(509006842)
【出願人】(507028664)
【Fターム(参考)】