説明

新規化合物

【課題】優れた薬理効果を有する新規チオフェンカルボキサミド誘導体を提供すること。
【解決手段】式(I)


のチオフェンカルボキサミド誘導体、その製造において用いる方法および中間体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チオフェンカルボキサミド誘導体、その調製に用いられる方法および中間体、それを含有する医薬組成物、およびその治療における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
NF−κB(核因子κB)ファミリーは、転写因子のRelファミリーのホモ−およびヘテロダイマーから構成される。これら転写因子の主な役割は、サイトカイン、ケモカイン、インターフェロン、MHCタンパク質、増殖因子および細胞接着分子を含む広範な炎症誘発性遺伝子の発現を誘導および調整することである(概説として、Verma et. al.、Genes Dev. 9:2723-35、1995; Siebenlist et. al.、Ann. Rev. Cell. Biol. 10:405-455、1994; Bauerleおよび Henkel、Ann. Rev. Immunol.、12:141-179、1994; Barnes and Karin、New Engl. J. Med.、336:1066-1071、1997を参照されたい)。
【0003】
最も一般的にみられるRelファミリーダイマー複合体は、p50NFkBとp65RelAから構成される(Baeuerle and Baltimore、Cell 53:211-217、1988; Baeuerle and Baltimore、Genes Dev. 3:1689-1698、1989)。静止条件下では、NF−κBダイマーは、阻害タンパク質であるIκBファミリーのメンバーによって細胞質内に保持される(Beg et. al.、Genes Dev.、7:2064-2070、1993; Gilmore and Morin、Trends Genet. 9:427-433、1993; Haskil et. al.、Cell 65:1281-1289、1991)。しかし種々のサイトカインまたはその他の外部刺激によって細胞が活性化されると、IκBタンパク質は2つの必須セリン残基がリン酸化され(Traenckner et. al.、EMBO J.、14:2876、1995)、そしてユビキチン化とプロテオソーム−媒介分解の標的となる(Chen、Z.J. et. al.、Genes and Dev. 9:1586-1597、1995; Scherer、D.C. et. al.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:11259-11263、1996; Alkalay、I. et. al.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:10599-10603、1995)。放出されたNF−κBは次いで核へと移動し、遺伝子転写を活性化することができる(Beg et.al.、Genes Dev.、6:1899-1913、1992)。
【0004】
広範な外部刺激がNF−κBを活性化することができることが示された(Baeuerle、P.A.、and Baichwal、V.R.、Adv. Immunol.、65:111-136、1997)。NF−κB活性化因子の大部分は、IκBリン酸化を導くが、この重要な事象を導く複数の経路があることは明らかである。受容体−媒介NF−κB活性化は、受容体およびアダプター/シグナル伝達分子(例えば、TRADD、RIP、TRAF、MyD88)および関連キナーゼ(IRAK、NIK)の間の特異的相互作用に依存している(Song et. al.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:9792-9796、1997; Natoli et. al.、JBC 272:26079-26082、1997)。UV光およびγ−照射などの環境ストレスは、代わりとなる、よく解明されていない機構によってNF−κBを刺激するようである。
【0005】
最近の刊行物によると、部分的にNF−κB活性化が解明されている。この研究により、特異的IκB/NF−κB相互作用を調節する3つの鍵となる酵素が同定された:NF−κB誘導性キナーゼ(NIK)(Boldin et. al.、Cell 85:803-815、1996)、IκBキナーゼ−1(IKK−1)(Didonato et. al.、Nature 388:548、1997; Regnier at. al.、Cell 90:373 1997)およびIκBキナーゼ−2(IKK−2)(Woronicz et. al.、Science 278:866、1997; Zandi et. al.、Cell 91:243、1997)である。
【0006】
NIKは、腫瘍壊死因子とインターロイキン−1によってトリガーされるNF−κBシグナル伝達カスケード共通のメディエーターであり、IκBリン酸化の強力な誘導物質であるようである。しかしNIKはIκBを直接リン酸化することはできない。
【0007】
IKK−1とIKK−2はNIKのすぐ下流にあり、3つのすべてのIκBサブタイプを直接リン酸化することができると考えられている。IKK−1とIKK−2はアミノ酸レベルで52%同一であるが、類似の基質特異性を有しているようである;しかし、酵素活性は異なるようである:IKK−2はIKK−1よりも数倍強力である。発現データと、突然変異誘発研究により、IKK−1とIKK−2はそのC−末端ロイシンジッパーモチーフによってホモ−およびヘテロダイマーを形成することができ、ヘテロダイマー形態が優性であることが示唆された(Mercurio et. al.、Mol. Cell Biol.、19:1526、1999; Zandi et. al.、Science; 281:1360、1998; Lee et. al、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:9319、1998)。
【0008】
NIK、IKK−1およびIKK−2はすべてセリン/トレオニンキナーゼである。最近のデータにより、チロシンキナーゼもNF−κBも活性化の調節に役割を果たしていることが示された。多くのグループによりTNF−αに誘導されるNF−κB活性化がタンパク質チロシンホスファターゼ(PTP)およびチロシンキナーゼにより制御され得ることが示された(Amer et. al.、JBC 273:29417-29423、1998; Hu et. al.、JBC 273:33561-33565、1998; Kaekawa et. al.、Biochem. J. 337:179-184、1999; Singh et. al.、JBC 271 31049-31054、1996)。これらの酵素の作用機構はIκBのリン酸化状態の調節にあるようである。例えば、PTP1Bおよび未同定のチロシンキナーゼが直接IκB−αのリジン残基(K42)のリン酸化を制御しているようであり、これは、IKKによるリン酸化の標的としての隣接セリン残基の接触性に重要な影響を及ぼす。
【0009】
複数のグループによりIKK−1とIKK−2がIKAP(Cohen et. al.、Nature 395:292-296、1998; Rothwarf et. al.、Nature 395:297-300、1998)、MEKK−1、推定MAPキナーゼホスファターゼ(Lee et. al.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:9319-9324、1998)、そしてNIKおよびIκBを含むその他のタンパク質とともに「シグナロソーム」構造の一部を形成することが示された。現在明らかになっているデータにより、IKK−1とIKK−2はともにNIKに結合するが、それらの活性化は異なり、それゆえ一連のNF−κBを活性化するシグナルの重要な統合点として存在する可能性があることが示唆されている。重要なことに、MEKK−1(推定シグナロソームの成分の1つであり、UV光、LPS誘導性シグナル伝達分子および小GTPaseの標的である)がIKK−2を活性化するがIKK−1は活性化しないことが判明した。同様に、IKK−1のNIKリン酸化の結果、IKK−1活性が劇的に上昇するが、IKK−2にはあまり影響がない(概説として、Mercurio、F.、and Manning、A.M.、Current Opinion in Cell Biology、11:226-232、1999を参照されたい)。
【0010】
NF−κB活性化の阻害はおそらく炎症性疾患の治療において広範な有用性を有する。
【0011】
NF−κBシグナル伝達が癌と転移の進展において重要な役割を有するという証拠が増えつつある。c−Rel、NF−κB2またはIκBαの異常な発現が、多数の腫瘍型および腫瘍細胞系について報告されており、現在のデータによるとIKK2を介する構成的NF−κBシグナル伝達が広範な腫瘍細胞系において起こっていることが示されている。この活性は増殖因子シグナル伝達における様々な上流の欠陥と関連している。欠陥とは例えば自己分泌ループの確立、または癌遺伝子産物、例えばRas、AKT、Her2の存在であり、これは、IKK複合体の活性化に関与している。構成的NF−κB活性は、一連の抗アポトーシス遺伝子、例えばA1/Bfi−1、IEX−1、XIAPの活性化による発癌に寄与していると考えられており、これによって細胞死の経路が抑制され、細胞増殖を促進するサイクリンD1の転写が上方制御される。別のデータによると、この経路は、細胞接着および細胞表面プロテアーゼの調節にも関与している可能性があることが示されている。これにより、転移の発達におけるNF−κB活性の可能性のあるさらなる役割が示唆される。発癌におけるNF−κB活性の関与を確認する証拠には、修飾形態のIκBα(サプレッサーIκBα)の発現によるインビトロおよびインビボでの腫瘍細胞増殖の阻害が含まれる。
【0012】
多くの腫瘍型において観察される構成的NF−κBシグナル伝達に加えて、NF−κBは特定のタイプの化学療法に応答して活性化されることが報告された。サプレッサー形態のIκBαの発現によるNF−κB活性化の阻害と化学療法処理を並用することで異種移植片モデルにおける化学療法の抗腫瘍効果が増強されることが示された。NF−κB活性はそれゆえ誘導性化学物質耐性にも関与している。
【発明の概要】
【0013】
(発明の開示)
本発明によると、式(I)の化合物:
【化1】

[式中:
はNHを表すかまたはRはC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、C−Cアルコキシ、S(O)CHおよびNRから独立に選択される1または複数の基によって任意に置換されていてもよいメチル基を表す;
XはOまたはSを表す;
は水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−NR、−CONR、−COOR、−NRCOR、−S(O)、−SONR、−NRSO、C−Cアルキル、トリフルオロメチル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、トリフルオロメトキシ、C−CアルコキシまたはC−Cアルカノイルを表す;
Aは縮合二環式環系を表し、ここで一方の環はフェニル環またはO、NおよびSから独立に選択される1から3のヘテロ原子を含む5−から7−員環複素芳香族環であり;他方の環は縮合フェニル環またはO、NおよびSから独立に選択される1から3のヘテロ原子を含む縮合5−から7−員環複素芳香族環あるいは任意に酸素、窒素および硫黄から独立に選択される1から3のヘテロ原子を含んでいてもよい縮合5−から7−員環飽和環である;該縮合二環式環系は任意にハロゲン、シアノ、ニトロ、−NRCOR、−S(O)、−SONR、−NRSOおよびC−Cアルキルから独立に選択される1または複数の置換基によって置換されていてもよい;
nは0、1または2の整数を表し、nが2の場合、それぞれのR基は独立に選択されてよい;
は基−W−Y−Zを表し、ここで:
WはO、S(O)、NR13、CH、−CH−O−または結合手を表す;
Yは結合手を表すか、またはYは基−(CH−X−(CH−を表し、ここでpおよびqは独立に整数0、1または2を表す;そして、
XはO、−CO−またはCR1415を表す;
14およびR15は独立にH、CHまたはFを表すか、あるいはR14はHまたはCHを表し、R15はヒドロキシルまたはOCHを表す;あるいは基CR1415はともにC−Cシクロアルキル環を表す;
Zは以下の(a)〜(c)のいずれかを表す:
(a)フェニル環またはO、NおよびSから独立に選択される1から3のヘテロ原子を含む5−または6−員環複素芳香族環;該フェニルまたは複素芳香族環は任意にハロゲン、シアノ、−NR1617、−CONR1617、−COOR16、−COR16、−NR16COR17、−S(O)16、−SONR1617、−NR16SO17、ヒドロキシル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−CアルキルおよびC−Cアルコキシから独立に選択される1または複数の置換基によって置換されていてもよい;該アルキルまたはアルコキシ基は任意にさらにハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、C−CアルコキシおよびNR1819から選択される1または複数の基によって置換されていてもよい;または、
(b)任意にO、NおよびSから独立に選択される1または2のヘテロ原子を含んでいてもよく、任意にカルボニル基を含んでいてもよい飽和3−から7−員環であり;該飽和環は任意にハロゲン、シアノ、−NR1617、−CONR1617、−COOR16、−COR16、−NR16COR17、−S(O)16、−SONR1617、−NR16SO17、ヒドロキシル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−CアルキルおよびC−Cアルコキシから独立に選択される1または複数の置換基によって置換されていてもよい;該アルキルまたはアルコキシ基はさらに任意にハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、C−CアルコキシおよびNR1819から選択される1または複数の基によって置換されていてもよい;または、
(c)Zはヒドロキシル、C−Cアルコキシ、CF、CHF、CHFまたはNR2021を表し、ここでR20およびR21は独立に水素またはC−Cアルコキシによって任意に置換されていてもよいC−Cアルキルである;
およびRは独立にHまたはC−Cアルキルを表す;あるいは基NRは任意にさらにO、SまたはNR23基を含んでいてもよい5−または6−員環飽和アザ環式環を表す;ここでR23は水素またはC−Cアルキルである;
およびRは独立にHまたはC−Cアルキルを表す;
およびRは独立にHまたはC−Cアルキルを表す;
13はHまたはC−Cアルキルを表す;
16およびR17は独立にHまたはC−Cアルキルを表す;あるいは基NR1617は任意にさらにO、SまたはNR24基を含んでいてもよい5−または6−員環飽和アザ環式環を表す;ここでR24は水素またはC−Cアルキルである;
18およびR19は独立にHまたはC−Cアルキルを表す;あるいは基NR1819は任意にさらにO、SまたはNR25基を含んでいてもよい5−または6−員環飽和アザ環式環を表す;ここでR25は水素またはC−Cアルキルである;
m、r、s、uおよびvは独立に整数0、1または2を表す]
およびその医薬上許容される塩が提供される。
【0014】
特定の式(I)の化合物は、立体異性形態で存在し得る。本発明は式(I)の化合物のすべての幾何異性体および光学異性体およびラセミ体を含むその混合物を含むことが理解されよう。互変異性体およびその混合物も本発明の態様を形成する。
【0015】
1つの態様において、Xは酸素を表す。
【0016】
別の態様において、RはCHまたはNHを表す。さらに特別の態様において、RはNHを表す。
【0017】
式(I)の化合物およびその医薬上許容される塩は、酵素IKK2の阻害剤であるという利点を有する。
【0018】
本発明はさらに式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩、鏡像異性体あるいはラセミ体の調製方法を提供する。
【0019】
本発明によると、薬物としての使用のための式(I)の化合物、またはその医薬上許容される塩も提供される。
【0020】
本発明の別の態様は、IKK2活性の阻害が望ましい疾患または症状の治療または予防のための薬物の製造における式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩の使用を提供する。
【0021】
本発明の別の態様は、炎症性疾患の治療または予防のための薬物の製造における式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩の使用を提供する。
【0022】
本発明によると、IKK2活性の阻害が望ましい疾患または症状の治療方法またはかかる疾患または症状の危険を減少させる方法も提供され、該方法は、該疾患または症状を患うかその危険にある対象に、治療有効量の式(I)の化合物、またはその医薬上許容される塩を投与することを含む。
【0023】
また、炎症性疾患を患うかその危険にある対象の炎症性疾患の治療方法またはその危険を減少させる方法も提供され、ここで該方法は、該対象に治療有効量の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を投与することを含む。
【0024】
特別の態様において縮合二環式環系Aは、任意に置換されていてもよいキノリン、インドール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、テトラヒドロイソキノリン、1,3−ベンゾジオキソラン(メチレンジオキシフェニル)および1,4−ベンゾジオキサン(エチレンジオキシフェニル)を表す。
【0025】
1つの態様において、式(I)における基RはH、ハロゲンまたはC−Cアルキルを表す。別の態様において、基RはHまたはメチルを表す。さらに別の態様において、式(I)における基RはHを表す。
【0026】
特別の本発明の化合物には以下に例示するものが含まれる:
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(2−ベンゾフラニル)−3−チオフェンカルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(3−キノリニル)−3−チオフェンカルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(8−キノリニル)−3−チオフェンカルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(2−ベンゾチオフェニル)−3−チオフェンカルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(3−ベンゾチオフェニル)−3−チオフェンカルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(5−インドリル)−3−チオフェンカルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−4−メチル−5−(1,4−ベンゾジオキサン−6−イル)−3−チオフェンカルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−4−メチル−5−(3−インドリル)−3−チオフェンカルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−4−メチル−5−(1,3−ベンゾジオキソ−5−イル)−3−チオフェンカルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(1H−インドール−2−イル)チオフェン−3−カルボキサミド;
3−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(1−ベンゾチエン−3−イル)チオフェン−2−カルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(2−モルホリン−4−イルメチルベンゾ[b]チオフェン−5−イル)チオフェン−3−カルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[4−(2−モルホリン−4−イルエトキシ)−1−ベンゾチエン−2−イル]−3−チオフェンカルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−{2−[4−メチルフェニルスルホニル]−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−イル}チオフェン−3−カルボキサミド;
3−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(1−ベンゾチエン−2−イル)チオフェン−2−カルボキサミド;
およびこれらの医薬上許容される塩。
【0027】
特にことわりのない限り、本明細書中の「C−Cアルキル」の語は、1から6の炭素原子を有する直鎖状または分子鎖状アルキル基を示す。かかる基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチルおよびt−ブチルが含まれる。「C−Cアルキル」および「C−Cアルキル」の語も同様に解釈される。
【0028】
特にことわりのない限り、本明細書中の「C−Cアルケニル」の語は、2または3の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する直鎖状または分子鎖状アルキル基を意味する。かかる基の例としては、エテニルおよびプロペニルが含まれる。「C−Cアルケニル」の語も同様に解釈される。
【0029】
特にことわりのない限り、本明細書中の「C−Cアルキニル」の語は、2または3の炭素原子を有し、1つの炭素−炭素三重結合を有する直鎖状アルキル基を示す。かかる基の例としては、エチニルおよびプロピニルが含まれる。「C−Cアルキニル」の語も同様に解釈される。
【0030】
特にことわりのない限り、本明細書中の「C−Cシクロアルキル」の語は、3から6の炭素原子を有する飽和炭素環式環を意味する。かかる基の例としては、シクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが含まれる。
【0031】
特にことわりのない限り、本明細書中の「C−Cアルコキシ」の語は、1から4の炭素原子を有する直鎖状または分子鎖状アルコキシ基を意味する。かかる基の例としては、メトキシ、エトキシおよびイソプロポキシが含まれる。「C−Cアルコキシ」および「C−Cアルコキシ」の語も同様に解釈される。
【0032】
特にことわりのない限り、本明細書中の「C−Cアルカノイル」の語は、ホルミルまたはアセチル基を意味する。
【0033】
特にことわりのない限り、本明細書中の「ハロゲン」の語は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを意味する。
【0034】
O、NおよびSから独立に選択される1から3のヘテロ原子を含有する5−から7−員環複素芳香族環の例には、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジンおよびピラジンが含まれる。「O、NおよびSから独立に選択される1から3のヘテロ原子を含有する5−または6−員環複素芳香族環」の語も同様に解釈される。
【0035】
O、NおよびSから独立に選択される1から3のヘテロ原子を任意に含んでいてもよい飽和5−から7−員環の例には、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンおよびモルホリンが含まれる。
【0036】
縮合二環式環系であって一方の環がフェニル環またはO、NおよびSから独立に選択される1から3のヘテロ原子を含む5−から7−員環複素芳香族環であって他方の環が縮合フェニル環またはO、NおよびSから独立に選択される1から3のヘテロ原子を含む縮合5−から7−員環複素芳香族環あるいは、酸素、窒素および硫黄から独立に選択される1から3のヘテロ原子を任意に含んでいてもよい縮合5−から7−員環飽和環であるものの例には、ナフチル、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、インドール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾイミダゾール、1,3−ベンゾジオキソラン(メチレンジオキシフェニル)および1,4−ベンゾジオキサン(エチレンジオキシフェニル)が含まれる。
【0037】
任意にさらにO、SまたはNR基を含んでいてもよい5−または6−員環飽和アザ環式環の例には、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンおよびモルホリンが含まれる。
【0038】
任意にO、NおよびSから独立に選択される1または2のヘテロ原子を含んでいてもよく、任意にカルボニル基を含んでいてもよい飽和3−から7−員環の例には、シクロプロピル、シクロヘキシル、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、テトラヒドロフラン、ピペリジン−2−オンおよびピペリジン−4−オンが含まれる。
【0039】
本発明によると、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩、鏡像異性体あるいはラセミ体の調製方法が提供され、該方法は以下を含む:
(a)式(II)の化合物:
【化2】

[式中、A、R、Rおよびnは式(I)において定義した通りである]
とイソシアネートまたはイソチオシアネートまたはアシル誘導体、R−CO−L(ここでLは離脱基)との反応
;または、
(b)式(III)の化合物
【化3】

[式中、R、nおよびAは式(I)において定義した通りである]
と式(IV)の化合物
【化4】

[式中、X、RおよびRは式(I)において定義した通りであり、LGは離脱基を表す]
との反応
;あるいは
(c)式(V)の化合物
【化5】

[式中、R、nおよびAは式(I)において定義した通りであり、LGは離脱基を表す]
と式(VI)の化合物
【化6】

[式中、X、RおよびRは式(I)において定義した通りである]
との反応、および;
所望により、結果として得られる式(I)の化合物、またはその他のその塩を、その医薬上許容される塩に変換すること;
あるいは結果として得られる式(I)の化合物を更に別の式(I)の化合物に変換すること;そして、
所望により結果として得られる式(I)の化合物をその光学異性体へと変換すること。
【0040】
方法(a)において、好適なイソシアネート試薬にはトリメチルシリルイソシアネート、トリメチルシリルイソチオシアネート、クロロスルホニルイソシアネート、トリクロロアセチルイソシアネートおよびナトリウムイソシアネートが含まれる。トリメチルシリルイソシアネートまたはトリメチルシリルイソチオシアネートとの反応はジクロロメタン/ジメチルホルムアミドなどの溶媒中で好適な加熱温度下で例えば反応混合物の還流温度において行なうとよい。クロロスルホニルイソシアネートとの反応はトルエンなどの溶媒中で周囲温度で行なうとよい。ナトリウムイソシアネートとの反応は、酢酸水溶液などの好適な溶媒系において周囲温度にて行なうとよい。トリクロロアセチルイソシアネート反応はアセトニトリルなどの好適な溶媒系で周囲温度で行ない、その後混合物をアンモニアで処理すると一般式(I)の化合物が得られる。式R−CO−Lの好適なアシル誘導体にはハロゲン化アシル、特に塩化アシル、および酸無水物が含まれる。かかるアシル誘導体との反応は一般に周囲温度でピリジンなどの好適な溶媒中、あるいはジクロロメタンなどの溶媒中で、トリエチルアミンまたはピリジンなどの好適な塩基の存在下で行なえばよい。式(I)の化合物であって、XがOを表すものは次いで対応する式(I)の化合物であってXがSを表すものへと、例えばロウソン(Lawesson)試薬との反応によって変換するとよい。
【0041】
方法(b)および(c)において、式(III)および(IV)の化合物または式(V)および(VI)の化合物をパラジウムまたはニッケルなどの遷移金属の複合体によって提供される触媒の存在下でともに反応させる。式(III)および(VI)の化合物において、適当な条件下で、「金属」は金属であってもセミ金属であってもよく、例えばマグネシウム、亜鉛、銅、スズ、ケイ素、ジルコニウム、アルミニウムまたはホウ素が含まれる。好適な離脱基には、ヨード、ブロモ、クロロ、トリフレートまたはホスホネートが含まれる。
【0042】
当業者であれば本発明の方法において、開始試薬または中間体化合物における特定の官能基、例えばヒドロキシルまたはアミノ基は保護基によって保護する必要がある場合があることが理解されよう。したがって、式(I)の化合物の調製には、適当な段階で1または複数の保護基の付加および除去を伴うことがある。
【0043】
官能基の保護および脱保護は、「Protective Groups in Organic Chemistry」、編集J. W. F. McOmie、Plenum Press (1973)および「Protective Groups in Organic Synthesis」、3rd edition、T. W. Greene & P. G. M. Wuts、Wiley-Interscience (1999)において詳細に記載されている。
【0044】
本発明は塩の形態、特に酸付加塩の形態における式(I)の化合物を含む。好適な塩には有機酸および無機酸によって形成されるものがともに含まれる。かかる酸付加塩は通常医薬上許容されるものであるが、医薬上許容されない酸との塩も目的の化合物の調製および精製において利用することができる。したがって好適な塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸およびベンゼンスルホン酸から形成されるものが含まれる。
【0045】
式(I)の化合物の塩は、遊離塩基、またはその塩、鏡像異性体あるいはラセミ体と1または複数の当量の好適な酸を反応させることによって形成させることができる。反応は塩がそれに不溶な溶媒または媒体中、あるいはそれに塩が可溶な溶媒中で行なえばよく、例えば、水、ジオキサン、エタノール、テトラヒドロフランまたはジエチルエーテル、あるいは溶媒混合物であって、真空又は凍結乾燥によって除去できるものが含まれる。反応はまた複分解方法であってもよく、あるいはイオン交換樹脂において行なってもよい。
【0046】
式(II)の化合物は文献(例えば、J. Het. Chem. 36、333 (1999))に記載の標準的化学合成によって調製することができ、あるいは式(VII)の化合物:
【化7】

[式中A、R、Rおよびnは式(I)において定義した通りであり、Lは離脱基を表す]
と、アンモニアとの反応によって調製することもできる。好適な基Lには、ハロゲン、特にクロロが含まれる。
【0047】
Lがハロである式(VII)の化合物は、対応する式(VIII)の化合物から、ハロゲン化試薬、例えば塩化チオニルで処理することによって調製することができる:
【化8】

[式中A、R、Rおよびnは式(I)において定義した通りである]。
【0048】
式(III)、(IV)、(V)、(VI)および(VIII)の化合物は市販のものでもよいし、本明細書に例示しているような標準的化学合成を用いて調製してもよい。
【0049】
特定の新規中間体化合物は本発明のさらなる態様を形成する。
【0050】
式(I)の化合物は医薬としての活性、特にIKK2酵素阻害剤としての活性を有し、IKK2の阻害が望ましいヒトおよび非ヒト動物における症状/疾患の治療(治療又は予防)において使用され得る。かかる症状/疾患の例には、炎症性疾患または炎症性要素を含む疾患が含まれる。具体的な疾患には、関節リウマチ、骨関節炎、脊椎炎、ライター症候群、乾癬性関節炎、狼瘡および骨吸収疾患を含む炎症性関節炎;多発性硬化症、クローン病を含む炎症性腸疾患;喘息、慢性閉塞性肺疾患、気腫、鼻炎、重症筋無力症、グラーベ病、同種移植拒絶反応、乾癬、皮膚炎、アレルギー性疾患、免疫複合体病、悪液質、ARDS、毒素性ショック、心不全、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、再潅流傷害、AIDS、癌およびインシュリン抵抗性によって特徴付けられる障害、例えば、糖尿病、高血糖症、高インシュリン症、脂質不良症(dyslipidemia)、肥満、多嚢胞卵巣、高血圧、循環器疾患および症候群Xが含まれる。
【0051】
発癌および化学物質耐性の両方におけるNF−κBの報告されている役割から、IKK2阻害剤、例えば小分子IKK2阻害剤の使用によるこの経路の阻害により、新規な癌の単一療法および/または重要な化学耐性腫瘍の治療のためのアジュバント療法が提供されうることが示唆される。
【0052】
本発明者らは特に喘息、関節リウマチ、乾癬、クローン病を含む炎症性腸疾患、多発性硬化症、慢性閉塞性肺疾患、骨吸収疾患、骨関節炎、糖尿病/血糖コントロールおよび癌から選択される疾患に興味を有する。
【0053】
したがって、本発明は治療における使用のための上記のように定義される式(I)の化合物、またはその医薬上許容される塩を提供する。
【0054】
さらなる態様において、本発明は、上記のように定義した式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩の、治療に使用の薬物の製造における使用を提供する。
【0055】
さらなる態様において、本発明は上記のように定義した式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩の、IKK2酵素活性の調節が望まれる疾患または症状の治療用薬物の製造における使用を提供する。
【0056】
本明細書において、「治療」の語には、特にことわりのない限り「予防」の意味も含まれる。「治療の」および「治療的」なる語も同様に解釈する。
【0057】
予防とは、問題の疾患又は症状の、症状が以前にみられたまたはその危険が高いと考えられている対象の処置に特に関すると考えられる。特定の疾患又は症状の発症の危険にある対象には一般に、疾患又は症状の家族病歴があるもの、または、疾患又は症状を発症する可能性が特に高いと遺伝的試験またはスクリーニングによって同定されたものが含まれる。
【0058】
本発明はさらにIKK2媒介疾患の治療方法も提供し、該方法は、患者に治療有効量の上記に定義した式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を投与する工程を含む。
【0059】
本発明はまた、炎症性疾患、特に、喘息、関節リウマチまたは多発性硬化症を患うかその危険にある患者における該疾患の治療方法も提供し、該方法は、治療有効量の上記に定義した式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を患者に投与することを含む。
【0060】
上述の治療用途において投与される用量はもちろん使用する化合物、投与方法、所望の治療および目的の障害によって異なる。
【0061】
式(I)の化合物およびその医薬上許容される塩はそのものを用いてもよいが、一般的には医薬組成物の形態で投与され、ここで式(I)の化合物/塩(活性成分)は医薬上許容されるアジュバント、希釈剤または担体と組合される。投与形態に応じて、医薬組成物は好ましくは0.05から99%w(重量%)、より好ましくは0.05から80%w、さらに好ましくは0.10から70%w、とりわけ0.10から50%wの活性成分を含み、これらパーセンテージはすべて組成物全体の重量に基く。
【0062】
本発明はまた、上記に定義した式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を医薬上許容されるアジュバント、希釈剤または担体と組合せて含む医薬組成物を提供する。
【0063】
本発明はさらに本発明の医薬組成物の調製方法も提供し、該方法は、上記に定義した式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩と、医薬上許容されるアジュバント、希釈剤または担体を混合することを含む。
【0064】
医薬組成物は、溶液、懸濁液、ヘプタフルオロアルカンエアロゾルおよび乾燥粉末製剤の形態で局所投与してもよく(例えば肺および/または気道または皮膚);あるいは全身投与してもよい。後者には例えば錠剤、カプセル、シロップ、散剤または顆粒の形態の経口投与が挙げられる。また溶液又は懸濁液の形態で非経口投与してもよく、皮下投与してもよく、坐薬の形態で直腸投与してもよく、経皮投与してもよい。好適な医薬製剤の選択および調製についての常套の方法は、例えば、「Pharmaceuticals - The Science of Dosage Form Designs」、M. E. Aulton、Churchill Livingstone、1988に記載されている。
【0065】
本発明を以下の実施例によって例示的に説明するがこれは本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0066】
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(2−ベンゾフラニル)−3−チオフェンカルボキサミド
a)2−アミノ−3−チオフェンカルボキサミド
表題の化合物をBull.Soc.Chim.France 2804 (1974)に記載の方法を用いて以下のように合成した。
エタノール(120ml)中の2,5−ジヒドロキシ−1,4−ジチアン(25g)およびシアノアセトアミド(19.3g)の懸濁液を攪拌し、50℃に加熱した。トリエチルアミン(9.2ml)を15分かけて添加し、混合物を50℃でさらに2時間攪拌した。氷中で冷却した後、固体をろ過し乾燥させた(21.4g)。
MS(ES)143(M+H)
【0067】
b)2−[(アミノカルボニル)アミノ]−3−チオフェンカルボキサミド
2−アミノ−3−チオフェンカルボキサミド(0.44g)をアセトニトリル(25ml)中に懸濁し、トリクロロアセチルイソシアネート(0.2ml)を10分間攪拌しながら滴下した。攪拌をさらに3時間室温で続け、そしてメタノール中のアンモニア溶液(2M溶液、10ml)を添加し、攪拌をさらに2時間続けた。溶媒を蒸発させ、残渣を水で処理した。その結果得られた固体をろ過し、多量の水で洗浄した。エーテルでの粉砕により表題のウレアを得た(0.2g)。
MS(ES)186(M+H)
【0068】
c)2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−ブロモ−3−チオフェンカルボキサミド
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−3−チオフェンカルボキサミド(1.0g)を酢酸(20ml)に溶解し、酢酸(5ml)中の臭素(0.35ml)溶液を迅速に攪拌しながら5分間かけて添加した。混合物を90分間攪拌し、水(50ml)に添加した。生成物をろ過し、水で洗浄し、真空下で乾燥させた(0.55g)。
MS(ES)262/264(M−H)
H NMR(DMSO−D6)7.15(m、1H)、7.35(m、1H)、7.8(s、1H)、7.9(m、1H)、10.63(brs、1H)
【0069】
d)2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(2−ベンゾフラニル)−3−チオフェンカルボキサミド
ジメトキシエタン(60ml)および水(2ml)中の2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−ブロモ−3−チオフェンカルボキサミド(0.26g)、炭酸ナトリウム(0.23g)およびベンゾフラン−2−ボロン酸(0.32g)の溶液をアルゴンで10分間パージした。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.2g)を次いで添加し、混合物を攪拌しながら7時間還流した。冷却後、混合物を選別し(screened)、蒸発させた。残渣を酢酸エチルと3N炭酸ナトリウム溶液に分配し、固体界面層をろ過した(0.2g)。
MS(ES)300(M−H)
H NMR(DMSO−D6)6.9(s、1H)、7.05(m、2H)、7.2(m、2H)、7.3(m、1H)、7.6(m、3H)、7.8(m、2H)、11.15(brs、1H).
【実施例2】
【0070】
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(3−キノリニル)−3−チオフェンカルボキサミド
実施例1(d)の方法により、ただし、キノリン−3−ボロン酸を用いて調製した。
MS(ES)311(M−H)
H NMR(DMSO−D6)7.0(m、2H)、7.4(m、1H)、7.6(m、2H)、7.65(m、2H)、8.0(m、2H)、8.4(s、1H)、9.15(s、1H)、11.06(brs、1H)
【実施例3】
【0071】
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(8−キノリニル)−3−チオフェンカルボキサミド
実施例1(d)の方法によって、ただし、キノリン−8−ボロン酸を用いて調製した。
MS(ES)311(M−H)
H NMR(DMSO−D6)6.9(m、2H)、7.2(m、1H)、7.6(m、2H)、7.7(m、1H)、7.8(d、1H)、8.1(m、2H)、8.4(d、1H)、9.0(m、1H)、11.01(brs、1H)
【実施例4】
【0072】
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(2−ベンゾチオフェニル)−3−チオフェンカルボキサミド
実施例1(d)の方法によって、ただし、ベンゾチオフェン−2−ボロン酸を用いて調製した。
MS(ES)316(M−H)
H NMR(DMSO−D6)7.0(m、2H)、7.35(m、3H)、7.4(s、1H)、7.6(s、1H)、7.8(d、1H)、7.85(m、1H)、7.9(d、1H)、11.09(s、1H)
【実施例5】
【0073】
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(3−ベンゾチオフェニル)−3−チオフェンカルボキサミド
実施例1(d)の方法によって、ただし、ベンゾチオフェン−3−ボロン酸を用いて調製した。
MS(ES)316(M−H)
H NMR(DMSO−D6)6.95(m、2H)、7.25(m、1H)、7.4(m、2H)、7.65(s、1H)、7.7(s、1H)、7.8(m、1H)、8.0(d、1H)、8.2(d、1H)、11.08(brs、1H)
【実施例6】
【0074】
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(5−インドリル)−3−チオフェンカルボキサミド
実施例1(d)の方法によって、ただし、インドール−5−ボロン酸を用いて調製した。
MS(ES)299(M−H)
H NMR(DMSO−D6)6.4(s、1H)、6.8(m、2H)、7.2(m、1H)、7.3(m、3H)、7.6(s、1H)、7.65(m、1H)、7.7(s、1H)、10.91(s、1H)、11.0(brs、1H)
【実施例7】
【0075】
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−4−メチル−5−(1,4−ベンゾジオキサン−6−イル)−3−チオフェンカルボキサミド
a)2−アミノ−4−メチル−5−(1,4−ベンゾジオキサン−6−イル)−3−チオフェンカルボキサミド
エタノール(5ml)中の1,4−ベンゾジオキサン−6−イルアセトン(1.7g)、シアノアセトアミド(0.84g)、硫黄(0.36g)およびモルホリン(1ml)を攪拌し、55℃に6時間加熱した。反応混合物を冷却し、少量の不溶物から選別し、水(150ml)に添加した。沈殿した固体をろ過し、水で洗浄し、乾燥させた。生成物を次いでエーテルで粉砕して回収した(1.0g)。
MS(EI)266(M)
H NMR(DMSO−D6)7.4(2H、d)、7.3(2H、d)、6.9(2H、s)、6.8(2H、s)、2.2(3H、s)
【0076】
b)2−[(アミノカルボニル)アミノ]−4−メチル−5−(1,4−ベンゾジオキサン−6−イル)−3−チオフェンカルボキサミド
2−アミノ−4−メチル−5−(1,4−ベンゾジオキサン−6−イル)−3−チオフェンカルボキサミド(0.44g)をテトラヒドロフラン(10ml)に溶解し、0℃に冷却し、トリクロロアセチルイソシアネート(0.11ml)を攪拌しながら滴下した。攪拌をさらに30分間室温で続け、次いでメタノール中のアンモニア溶液(8ml、10%溶液)を添加し、攪拌をさらに3時間続けた。溶媒を蒸発させ、残渣を酢酸エチルで処理し、生成物をろ過した。
MS(ES)332(M−H)
H NMR(DMSO−D6)2.2(s、3H)、4.25(s、4H)、6.7(m、2H)、6.8(m、2H)、6.9(m、1H)、7.2(br、1H)、10.01(brs、1H)
【実施例8】
【0077】
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−4−メチル−5−(3−インドリル)−3−チオフェンカルボキサミド
実施例7の方法によって、ただしインドール−3−アセトンを用いて調製した。
MS(ES)313(M−H)
H NMR(DMSO−D6)2.2(s、3H)、6.65(brs、2H)、7.05(m、1H)、7.1(m、1H)、7.2(m、2H)、7.4(m、1H)、7.45(d、1H)、7.55(d、1H)、10.14(brs、1H)、11.3(m、1H)
【実施例9】
【0078】
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−4−メチル−5−(1,3−ベンゾジオキソラン−5−イル)−3−チオフェンカルボキサミド
実施例7の方法によって、ただし1,3−ベンゾジオキソラン−5−アセトンを用いて調製した。
MS(ES)318(M−H)
H NMR(DMSO−D6)2.2(s、3H)、6.05(s、2H)、6.8(m、1H)、6.9(m、1H)、6.95(m、1H)、7.1(m、2H)、7.2(m、2H)
【実施例10】
【0079】
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(1H−インドール−2−イル)チオフェン−3−カルボキサミド
a)2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(1H−1−tert−ブチルオキシカルボニルインドール−2−イル)チオフェン−3−カルボキサミドを90%トリフルオロ酢酸/10%水の混合物で周囲温度で4時間処理して表題の化合物を調製した。蒸発により固体(250mg)を得、これを水で洗浄した。
MS(ES)301(M+H)
H NMR(DMSO−D6)6.5(s、1H)、6.95(m、4H)、7.35(m、2H)、7.45(d、1H)、7.6(s、1H)、7.62(brs、1H)、10.9(s、1H)、11.32(brs、1H)
【0080】
b)2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(1H−1−tert−ブチルオキシカルボニルインドール−2−イル)チオフェン−3−カルボキサミド
表題の化合物(500mg)を1H−1−(tert−ブトキシカルボニル)インドール−2−イルボロン酸から実施例1(d)と同様にして調製した。ただし、生成物は反応混合物のろ過により固体として得、これを2N水酸化ナトリウム溶液、水およびメタノールで続けて洗浄した。
MS(ES)401(M+H)
H NMR(DMSO−D6)1.4(s、9H)、6.7(m、1H)、6.95(brs、2H)、7.2(m、3H)、7.4(m、1H)、7.6(s、1H)、7.65(brs、1H)、8.0(m、1H)、11.04(brs、1H)
【実施例11】
【0081】
3−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(1−ベンゾチエン−3−イル)チオフェン−2−カルボキサミド
a)2−ブロモチオフェン−4−カルボン酸
J. Am. Chem. Soc.、1954、76、2445に記載の方法にしたがって調製した。
MS(ES)205(M−H)
H NMR(DMSO−D6)7.45(s、1H)、8.22(s、1H)、12.94(brs、1H)
【0082】
b)2−ブロモ−4−(N−t−ブチルオキシカルボニル)アミノチオフェン
2−ブロモチオフェン−4−カルボン酸(3g)を乾燥温t−ブタノール(24ml)に溶解した。トリエチルアミン(2.02ml)を添加し、次いでジフェニルホスホリルアジド(3.12ml)を添加した。溶液を徐々に加熱して還流し、加熱を還流しながら一晩続けた。反応混合物を次いで放冷し、水(150ml)に注ぎ、酢酸エチル(3x100ml)で抽出した。混合抽出物を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。溶出は、ヘキサン中の5%酢酸エチルで行ない、白色固体(1.69g)を得た。
MS(ES)276(M−H)
H NMR(DMSO−D6)1.44(s、9H)、7.03(s、1H)、7.51(s、1H)、9.65(s、1H)
【0083】
c)5−ブロモ−3−[(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]チオフェン−2−カルボン酸
2−ブロモ−4−(N−t−ブチルオキシカルボニル)アミノチオフェン(1.68g)をアルゴン下で乾燥THF(45ml)中で攪拌し、溶液を−78℃に冷却した。リチウムジイソプロピルアミド(7.55ml、2M溶液)を滴下し、攪拌を3.5時間続けた。粉末CO(過剰量)を添加し、混合物をさらに10分間攪拌し、室温まで昇温させた。水(50ml)を添加し、THFを真空下で除去し、水相を酢酸エチル(3x40ml)で抽出した。混合抽出物を1M HCl溶液(50ml)、水(50ml)および塩水(50ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、ろ過し、溶媒を蒸発させた。残渣をジクロロメタンで粉砕し、そして生成物を淡黄色固体(1.57g)としてろ過によって回収した。
MS(ES)320(M−H)
H NMR(DMSO−D6)9.38(s、1H)、7.79(s、1H)、1.42(s、9H)
【0084】
d)5−ブロモ−3−(t−ブチルオキシカルボニル)アミノチオフェン−2−カルボキサミド
5−ブロモ−3−[(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]チオフェン−2−カルボン酸(0.80g)をアセトニトリル(80ml)中で攪拌した。ヒドロキシベンゾトリアゾール(1.41g)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(2.62g)を添加し、攪拌を室温で10分間続けた。濃アンモニア水溶液(8ml)を添加し、反応混合物を加熱して1時間還流した。アセトニトリルを蒸発によって除去した。水(100ml)を添加し、混合物を超音波処理して粉砕した。その結果得られたオフホワイトの固体を次いでろ過により回収し、水で洗浄し、真空下で乾燥させた(0.763g)。
MS(ES)319(M−H)
H NMR(DMSO−D6)1.45(s、9H)、7.63(brs、2H)、7.78(s、1H)、10.40(s、1H)
【0085】
e)3−アミノ−5−ブロモチオフェン−2−カルボキサミド
5−ブロモ−3−(t−ブチルオキシカルボニル)アミノチオフェン−2−カルボキサミド(0.76g)をジクロロメタン(30ml)中で攪拌した。トリフルオロ酢酸(5ml)を添加し、溶液を室温で1時間攪拌し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200ml)に注ぎ、ジクロロメタン(3x100ml)で抽出した。混合抽出物を塩水(150ml)で洗浄し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、ろ過し、蒸発させて黄色固体(0.511g)を得た。
MS(ES)221(M+H)
H NMR(DMSO−D6)6.50(brs、2H)、6.69(s、1H)、6.87(brs、2H)
【0086】
f)3−[(アミノカルボニル)アミノ−5−ブロモチオフェン−2−カルボキサミド
表題の化合物を3−アミノ−5−ブロモチオフェン−2−カルボキサミドから実施例1(b)と同様にして調製した。
MS(ES)264(M+H)
H NMR(DMSO−D6)6.63(brs、2H)、7.41(brs、2H)、7.97(s、1H)、10.02(s、1H)
【0087】
g)3−[(アミノカルボニル)アミノ−5−(1−ベンゾチエン−3−イル)チオフェン−2−カルボキサミド
3−[(アミノカルボニル)アミノ−5−ブロモチオフェン−2−カルボキサミド(0.222g)および1−ベンゾチエン−3−イルボロン酸(0.449g)を1,2−ジメトキシエタン(15ml)および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(3.5ml)中で超音波処理し、アルゴンでパージした。テトラキス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(95mg)を添加し、混合物を還流下で攪拌しながら4.5時間加熱し、次いで放冷して、室温で一晩攪拌した。溶液をろ過し1,2−ジメトキシエタンおよび水で洗浄した。ろ液を真空下で濃縮し、ジクロロメタン(20ml)および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20ml)中で処理した。固体生成物をろ過によって回収し、ジクロロメタン、水、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させた(226mg)。
MS(ES)318(M+H)
H NMR(DMSO−D6)6.60(brs、2H)、7.35−7.56(m、4H)、8.04(s、1H)、8.10(t、2H)、8.25(s、1H)、10.08(s、1H)
【実施例12】
【0088】
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(2−モルホリン−4−イルメチルベンゾ[b]チオフェン−5−イル)チオフェン−3−カルボキサミド
乾燥THF中の4−(5−ブロモベンゾ[b]チオフェン−2−イルメチル)モルホリン(Beilstein Reg. No. 1115497)(230mg)をホウ酸トリイソプロピル(291mg)で処理し、攪拌しながらアルゴン下で<−70℃に冷却した。n−ブチルリチウム(0.921ml、ヘキサン中1.6M)の滴下後、反応を室温まで昇温させた。溶媒を蒸発させ、ジメトキシエタン(20ml)および飽和炭酸水素ナトリウム水(9ml)の混合物と置換した。この混合物にアルゴン下で2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−ブロモチオフェン−3−カルボキサミド(98mg)およびテトラキス−トリフェニルホスフィンパラジウム(0)(25mg)を添加し、反応を90℃に1.5時間加熱した。反応混合物を蒸発させて大量の有機物を除去し、残渣を2M水酸化ナトリウム水溶液(30ml)とジクロロメタンとに分配した。ろ過後、有機相を分離し、さらなる容量の水酸化ナトリウム溶液(10ml)で抽出した。混合水性抽出物をpH8まで酸性化し、ろ過した。乾燥後、固体をジエチルエーテルで粉砕し、乾燥させて粉末を得た(27mg)。
LCMS 417(M+H)
H NMR(DMSO−D6)2.47(m、4H)、3.65(m、4H)、3.80(s、2H)、6.95(brs、2H)、7.3(brs、1H)、7.33(s、1H)、7.5(m、1H)、7.69(brs、1H)、7.75(s、1H)、7.91(m、2H)、11.0(s、1H)
【実施例13】
【0089】
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[4−(2−モルホリン−4−イルエトキシ)−1−ベンゾチエン−2−イル]−3−チオフェンカルボキサミド
a)表題の化合物を4−[2−(1−ベンゾチエン−4−イルオキシ)エチル]モルホリンから実施例12と同様にして調製した。ただし、反応混合物を4時間90℃に加熱した。溶媒を真空下で除去した後、残渣を3M炭酸ナトリウム/ジクロロメタンで処理し、固体を界面からろ過した。分取HPLCによる精製により生成物を得た。
MS(ES)447(M+H)
H NMR(DMSO−D6)2.5(m、4H)、2.8(t、2H)、3.55(m、4H)、4.25(t、2H)、7.0(m、3H)、7.15(m、2H)、7.35(m、3H)、7.8(m、1H)、11.05(brs、1H)
【0090】
b)4−[2−[(1−ベンゾチエン−4−イルオキシ)エチル]モルホリン
ジメチルホルムアミド(15ml)中の4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩(0.74g)、1−ベンゾチオフェン−4−オール(0.5g)および炭酸カリウム(1.1g)を加熱し80℃で6時間攪拌した。冷却後、混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで2回抽出した。混合溶媒相を塩水で2回洗浄し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、蒸発させて生成物(0.7g)を得た。
MS(ES)264(M+H)
H NMR(DMSO−D6)2.5(m、4H)、2.8(t、2H)、3.55(m、4H)、4.25(t、2H)、6.9(d、1H)、7.25(t、1H)、7.4(d、1H)、7.55(d、1H)、7.6(d、1H)
【0091】
c)1−ベンゾチオフェン−4−オール
化合物をJ.Amer.Chem.Soc.、1955、77、5939に記載のように調製した。
【実施例14】
【0092】
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−{2−[4−メチルフェニルスルホニル]−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−イル}チオフェン−3−カルボキサミド
a)表題の化合物を6−ブロモ−2−[4−メチルフェニルスルホニル]−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンから実施例13と同様にして調製した。ただし、反応混合物を80℃に18時間加熱した。溶媒を真空下で除去した後、残渣を2M水酸化ナトリウムとジクロロメタンで処理し、分離した水相を36%塩酸を用いてpH8に調整した。粗生成物を分取HPLCによって精製した。
MS(ES)471(M+H)
H NMR(DMSO−D6)2.4(s、3H)、2.8(m、2H)、3.2(m、2H)、4.1(s、2H)、6.9(br、2H)、7.15(m、1H)、7.3(m、1H)、7.4(m、2H),7.5(m、1H)、7.7−7.9(m、5H)、11.0(s、1H)
【0093】
b)6−ブロモ−2−[4−メチルフェニルスルホニル]−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン
2−[3−ブロモフェニル]−N−(4−メチルフェニルスルホニル)エチルアミン(7.44g)をアルゴン下で5℃でクロロホルム(100ml)中で攪拌しつつ、順次37−40%ホルムアルデヒド(3.5ml)およびオキシ塩化リン(30ml)を添加した。混合物を次いで3時間還流し、冷却し、ジクロロメタン(250ml)/飽和重炭酸ナトリウム(300ml)に注ぎ、固体重炭酸ナトリウム(160g)を一部ずつ5℃で注意深く添加した。水相をさらにジクロロメタンで抽出し、混合有機相を飽和重炭酸ナトリウムおよび水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて油を得、これをイソヘキサン/トルエンから結晶化させて生成物を得た(3.48g)。
MS(ES)365(M)
H NMR(CDCl)2.43(s、3H)、2.89(t、2H)、3.34(t、2H)、4.18(s、2H)、6.89(d、1H)、7.23−7.30(m、2H不明瞭)、7.33(d、2H)、7.72(d、2H)
【0094】
c)2−[3−ブロモフェニル]−N−(4−メチルフェニルスルホニル)エチルアミン
3−ブロモフェニルエチルアミン塩酸塩(9.44g)をトリエチルアミン(12.24ml)を含有するTHF(60ml)に添加し、アルゴン下で5℃で攪拌しつつ、15分間4−メチルフェニルスルホニルクロリド(11.44g)を一部ずつ添加した。スラリーをTHF(50ml)で希釈し、16時間攪拌した。固体をろ過し、THFで洗浄し、ろ液を蒸発させた。残渣を酢酸エチルに溶解し、1N塩酸、水、塩水で洗浄し、乾燥させた(MgSO)。イソヘキサン中の0から25%の酢酸エチルで溶出を行なうフラッシュシリカでのクロマトグラフィーにより生成物を得た(9.67g)。
MS(ES)352(M−H)
H NMR(CDCl)2.44(s、3H)、2.74(t、2H)、3.23(q、2H)、4.36(t、1H)、7.03(d、1H)、7.14(t、1H)、7.17(m、1H)、7.30(d、2H)、7.35(dd、1H)、7.69(dd、2H)
【0095】
d)3−ブロモフェニルエチルアミン塩酸塩
表題の化合物の遊離塩基は、CAS登録番号58971-11-2であり、Beilstein登録番号2716071である。
【実施例15】
【0096】
3−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(1−ベンゾチエン−2−イル)チオフェン−2−カルボキサミド
表題の化合物を3−[(アミノカルボニル)アミノ−5−ブロモチオフェン−2−カルボキサミドおよび1−ベンゾチエン−2−イルボロン酸から実施例11(g)と同様にして調製した。
MS(ES)318(M+H)
H NMR(DMSO−D6)6.64(brs、2H)、7.33−7.47(m、2H)、7.49(brs、2H)、7.71(s、1H)、7.80−7.90(m、1H)、7.90−8.02(m、1H)、8.23(s、1H)、10.05(s、1H)
【0097】
化合物の薬理評価
IKK2フィルターキナーゼアッセイ
化合物をIKK2の阻害についてフィルターキナーゼアッセイを用いて試験した。被験化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)中、10mMとなるように溶解した。化合物を次いでキナーゼバッファー(0.1mM EGTA、0.1mMオルトバナジン酸ナトリウムおよび0.1%β−メルカプトエタノールを含有する50mM Tris、pH7.4)中、40分の1に希釈した。3分の1の連続希釈をこの溶液とキナーゼバッファー中の2.5%DMSOから作成した。20μlの化合物希釈液を96ウェルプレートのウェルに二連で添加した。化合物の代わりにキナーゼバッファー中の20μlの2.5%DMSOを対照ウェルに添加した(0%阻害)。20μlの0.5M EDTAを化合物の代わりにバックグラウンドウェルに添加した(100%阻害)。
【0098】
最終濃度が10mM酢酸マグネシウム、1μM ATPおよび0.1μCi33P ATPとなるように、酢酸マグネシウム、非標識化ATP、および33P−標識化ATPの10μlの混合物を各ウェルに添加した。20μlのIKK2(0.15μg/ウェル)、1−53GST−IκB(0.5μg/ウェル)およびウシ血清アルブミン(BSA)(8.5μg/ウェル)の混合物を各ウェルに添加して反応を開始させた。最終反応容積は50μlとした。
【0099】
キナーゼ反応を21℃で80分間インキュベートし、反応を等量(50μl)の20%トリクロロ酢酸(TCA)の添加によりタンパク質を沈降させて停止させた。10分間沈殿を形成させ、GF/Cユニフィルター96ウェルプレートでろ過した。各フィルターをおよそ1mlの2%TCAで2回洗浄した。フィルタープレートを30−40℃で60分間乾燥させ、20μlのシンチラント(scintillant)を各ウェルに添加し、プレートを密封して放射能をPackard Topcountマイクロプレートシンチレーションカウンターでカウントした。
【0100】
上記アッセイで試験した場合、実施例1から15の化合物は10μM未満のIC50値を示し、これらが有用な治療活性を有することが示された。
【0101】
IKK1フィルターキナーゼアッセイ
化合物の選択性をフィルターキナーゼアッセイを用いてIKK1の阻害についてそれらを試験することにより評価した。アッセイ条件は、IKK1(0.25μg/ウェル)と1−53GSTIκB(9μg/ウェル)の混合物を各ウェルに添加して反応を開始させる以外は、IKK2フィルターキナーゼアッセイと同じとした。
【0102】
PBMCによるLPS−誘導性TNFα産生の阻害
細胞における核因子カッパB(NFκB)活性化に対する被験化合物の効果を、細菌リポ多糖(LPS)により刺激されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)による腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)の産生の阻害を測定することによって評価した。
【0103】
ヘパリンで抗凝固処理したヒト血液(250ml)を、健康なボランティアから集めた。血液のアリコット(25ml)を50mlのポリプロピレン遠心管中で20mlのLymphoprep (Nycomed)上に層にした。遠心管を2,500rpmで30分間遠心した(Sorval RT600B)。PBMCを含有する濁った層を先細のパスツールピペットで回収し、8本の新しいポリプロピレン遠心管(遠心管当たりおよそ10ml)に移し、リン酸緩衝食塩水(PBS)で50mlに希釈した。これらの遠心管を2,000rpmで8分間遠心した。PBS(10ml)を各細胞ペレットに添加し、細胞を穏やかに再懸濁した。細胞を4本の遠心管にプールし、PBSを各遠心管に添加し、容積を50mlとし、遠心管を1,400rpmで8分間遠心した。細胞ペレットを再び10mlのPBSに再懸濁し、2本の遠心管にプールし、容積をPBSで50mlとし、そして遠心管を900rpmで10分間遠心した。
【0104】
最終的な細胞ペレットをおだやかに10mlの組織培養培地(1%熱不活性化ヒト血清、L−グルタミンおよびペニシリンおよびストレプトマイシンを含有するRPMI)に再懸濁し、1本の遠心管中に混合し、RPMI培地で容積を30mlとした。細胞を計数し、細胞懸濁液を希釈して2.6x10細胞/mlとした。
【0105】
被験化合物をDMSOに溶解して10mMとし、RPMI培地で250分の1に希釈した(40μM)。化合物を次いでRPMI培地中の0.4%DMSOで3分の1に連続希釈した。被験化合物希釈液のアリコット(50μl)を96−ウェルプレートのウェルに移した。対照ウェルは化合物の代わりにRPMI中の0.4%DMSOを含むものとした。
【0106】
細胞懸濁液のアリコット(100μl)を各ウェルに添加し、プレートを37℃で30分間インキュベートした。50μlの40μg/ml LPS(Sigma、L-4130)をウェルに添加して細胞によるTNFα産生を刺激し、プレートを37℃で一晩インキュベートした。LPSの代わりにRPMI培地(50μl)を陰性対照ウェルに添加した。最終インキュベーション容積を200μlとした。
【0107】
プレートを1,200rpmで4分間遠心し、上清を取り出してTNFα濃度を測定した。残りの細胞ペレットの生存度をWST−1試薬(Boehringer Mannheim、1044807)を用いて測定した。10μlのWST−1試薬を含有する100μlのRPMI培地を各ウェルに添加し、プレートを0.5から3時間インキュベートした。450nmにおける吸光度を96−ウェルプレート分光光度計を用いて測定した。
【0108】
上清中のTNFα(新たに収集したものあるいは−20℃で冷凍保存したもの)を固相酵素免疫検定法(ELISA)を用いて測定した。ELISAプレートは、96ウェルプレートのウェルをヒツジ抗−ヒトTNFαモノクローナル抗体(コーティングバッファー(0.2g/lナトリウムアジドを含有する0.5M炭酸/重炭酸バッファー、pH9.6)で希釈した1μg/mlの抗体100μl)でコーティングし、4℃で一晩インキュベートすることによって調製した。ブランクのウェルはコーティングしなかった。ウェルを0.05%Tweenを含有するPBS(PBS/Tween)中の0.1%BSAで1回洗浄し、次いでコーティングバッファー中の1%BSA(200μl)とともに室温で1時間インキュベートした。ウェルをPBS/Tween中の0.1%BSAで3回洗浄した。
【0109】
PBMCインキュベーションからの上清のサンプルをPBS/Tween中の1%BSAで3分の1に希釈した。100μlのこれらの希釈液のアリコットをELISAプレートに添加した。その他のウェルは100μlTNFαスタンダード(10、3.3、1.1、0.37、0.12、0.04、0.014および0ng/ml)を含むものとした。ELISAプレートを室温で2時間インキュベートし、ウェルをPBS/Tween中の0.1%BSAで3回洗浄した。ウサギ抗−ヒトTNFα抗体(2.5μg/ml溶液を100μl)を各ウェルに添加し、プレートを室温で1.5時間インキュベートした。ウェルを次いでPBS/Tween中の0.1%BSAで3回洗浄した。ヤギ抗−ウサギIgG−西洋わさびペルオキシダーゼコンジャゲート(ICN、674371;10,000分の1希釈液を100μl)を各ウェルに添加し、プレートを室温で1.5時間インキュベートした。ウェルをPBS/Tween中の0.1%BSAで3回洗浄した。
【0110】
ペルオキシダーゼ基質を100μlのDMSO(100μl)中に1mgのTMBタブレット(Sigma、T-5525)を溶解し、これと36μlのUHPO(BDH、30559;1gのタブレットを25mlの滅菌水に溶解したもの)を10mlの0.1Mクエン酸/酢酸バッファー、pH6に添加することによって調製した。100μlの基質を各ウェルに添加し、プレートを暗条件下で室温でおよそ30分間インキュベートした。反応を各ウェルに25μlの2M硫酸を添加することによって停止させた。450nmでの吸光度を96ウェルプレート分光光度計で測定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】

[式中:
はNHを表すかまたはRはC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、C−Cアルコキシ、S(O)CHおよびNRから独立に選択される1または複数の基によって任意に置換されていてもよいメチル基を表す;
XはOまたはSを表す;
は水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−NR、−CONR、−COOR、−NRCOR、−S(O)、−SONR、−NRSO、C−Cアルキル、トリフルオロメチル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、トリフルオロメトキシ、C−CアルコキシまたはC−Cアルカノイルを表す;
Aは縮合二環式環系を表し、ここで一方の環はフェニル環またはO、NおよびSから独立に選択される1から3のヘテロ原子を含む5−から7−員環複素芳香族環であり;他方の環は縮合フェニル環またはO、NおよびSから独立に選択される1から3のヘテロ原子を含む縮合5−から7−員環複素芳香族環あるいは任意に酸素、窒素および硫黄から独立に選択される1から3のヘテロ原子を含んでいてもよい縮合5−から7−員環飽和環である;該縮合二環式環系は任意にハロゲン、シアノ、ニトロ、−NRCOR、−S(O)、−SONR、−NRSOおよびC−Cアルキルから独立に選択される1または複数の置換基によって置換されていてもよい;
nは0、1または2の整数を表し、nが2の場合、それぞれのR基は独立に選択されてよい;
は基−W−Y−Zを表し、ここで:
WはO、S(O)、NR13、CH、−CH−O−または結合手を表す;
Yは結合手を表すか、またはYは基−(CH)−X−(CH)−を表し、ここでpおよびqは独立に整数0、1または2を表す;そして、
XはO、−CO−またはCR1415を表す;
14およびR15は独立にH、CHまたはFを表すか、あるいはR14はHまたはCHを表し、R15はヒドロキシルまたはOCHを表す;あるいは基CR1415はともにC−Cシクロアルキル環を表す;
Zは以下の(a)〜(c)のいずれかを表す:
(a) フェニル環またはO、NおよびSから独立に選択される1から3のヘテロ原子を含む5−または6−員環複素芳香族環;該フェニルまたは複素芳香族環は任意にハロゲン、シアノ、−NR1617、−CONR1617、−COOR16、−COR16、−NR16COR17、−S(O)16、−SONR1617、−NR16SO17、ヒドロキシル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−CアルキルおよびC−Cアルコキシから独立に選択される1または複数の置換基によって置換されていてもよい;該アルキルまたはアルコキシ基は任意にさらにハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、C−CアルコキシおよびNR1819から選択される1または複数の基によって置換されていてもよい;または、
(b) 任意にO、NおよびSから独立に選択される1または2のヘテロ原子を含んでいてもよく、任意にカルボニル基を含んでいてもよい飽和3−から7−員環であり;該飽和環は任意にハロゲン、シアノ、−NR1617、−CONR1617、−COOR16、−COR16、−NR16COR17、−S(O)16、−SONR1617、−NR16SO17、ヒドロキシル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−CアルキルおよびC−Cアルコキシから独立に選択される1または複数の置換基によって置換されていてもよい;該アルキルまたはアルコキシ基はハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、C−CアルコキシおよびNR1819から選択される1または複数の基によってさらに任意に置換されていてもよい;または、
(c) Zはヒドロキシル、C−Cアルコキシ、CF、CHF、CHFまたはNR2021を表し、ここでR20およびR21は独立に水素またはC−Cアルコキシによって任意に置換されていてもよいC−Cアルキルである;
およびRは独立にHまたはC−Cアルキルを表す;あるいは基NRはO、SまたはNR23基を任意にさらに含んでいてもよい5−または6−員環飽和アザ環式環を表す;ここでR23は水素またはC−Cアルキルである;
およびRは独立にHまたはC−Cアルキルを表す;
およびRは独立にHまたはC−Cアルキルを表す;
13はHまたはC−Cアルキルを表す;
16およびR17は独立にHまたはC−Cアルキルを表す;あるいは基NR1617は任意にさらにO、SまたはNR24基を含んでいてもよい5−または6−員環飽和アザ環式環を表す;ここでR24は水素またはC−Cアルキルである;
18およびR19は独立にHまたはC−Cアルキルを表す;あるいは基NR1819は任意にさらにO、SまたはNR25基を含んでいてもよい5−または6−員環飽和アザ環式環を表す;ここでR25は水素またはC−Cアルキルである;
m、r、s、uおよびvは独立に整数0、1または2を表す]
またはその医薬上許容される塩。
【請求項2】
Xが酸素を表す、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
がNHを表す、請求項1または2に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
がHまたはメチルを表す、請求項1から3のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
以下から選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物:
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(2−ベンゾフラニル)−3−チオフェンカルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(3−キノリニル)−3−チオフェンカルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(8−キノリニル)−3−チオフェンカルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(2−ベンゾチオフェニル)−3−チオフェンカルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(3−ベンゾチオフェニル)−3−チオフェンカルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(5−インドリル)−3−チオフェンカルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−4−メチル−5−(1,4−ベンゾジオキサン−6−イル)−3−チオフェンカルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−4−メチル−5−(3−インドリル)−3−チオフェンカルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−4−メチル−5−(1,3−ベンゾジオキソ−5−イル)−3−チオフェンカルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(1H−インドール−2−イル)チオフェン−3−カルボキサミド;
3−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(1−ベンゾチエン−3−イル)チオフェン−2−カルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(2−モルホリン−4−イルメチルベンゾ[b]チオフェン−5−イル)チオフェン−3−カルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[4−(2−モルホリン−4−イルエトキシ)−1−ベンゾチエン−2−イル]−3−チオフェンカルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−{2−[4−メチルフェニルスルホニル]−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−イル}チオフェン−3−カルボキサミド;
3−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(1−ベンゾチエン−2−イル)チオフェン−2−カルボキサミド;
およびこれらの医薬上許容される塩。

【公開番号】特開2010−111683(P2010−111683A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291103(P2009−291103)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【分割の表示】特願2003−515522(P2003−515522)の分割
【原出願日】平成14年7月19日(2002.7.19)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】