説明

新規複素環式ジフェニルエーテル

本発明は、新規複素環式ジフェニルエーテル及びジフェニルアミン化合物、それらの誘導体、類似体、互変異性体の形態、立体異性体、多形、水和物、溶媒和化合物、医薬的に許容され得る塩及び医薬的に許容され得る溶媒和化合物、及びこれらを単一で又はコンビネーションにおいて含む医薬的に許容され得る組成物に関する。本発明の化合物は、血糖、血清インスリン、遊離脂肪酸、コレステロール及びトリグリセリドレベルの低減に有効であり、糖尿病の治療及び/又は予防に有効である。本発明の化合物は、肥満、炎症、自己免疫疾患、例えば、多発性硬化症及び慢性関節リウマチ及び自己免疫疾患、例えば癌の治療に有効である。さらに、その化合物は、インスリン抵抗性に関する疾患の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般式(I)の新規複素環式化合物、それらの誘導体、類似体、互変異性体、立体異性体、多形、水和物、医薬的に許容され得る塩及び医薬的に許容され得る溶媒和化合物、及びそれらのいずれかを単独又はコンビネーションにおいて含む医薬的に許容され得る組成物に関する。本発明は、より具体的には、一般式(I)の新規化合物を提供する:
【0002】

【0003】
(式中、R1〜R7、W、X、Y、Z及びVは本明細書に定義の通りである)。
【0004】
発明の背景
I型及びII型糖尿病の原因は、未だ明らかになっていないが、遺伝及び環境の両方が原因と思われる。I型は、自己免疫疾患であり、患者は生存するためにインスリンを用いなければならない。II型糖尿病は、より一般的な形態であり、十分な量のインスリンを作ること又は生成されるインスリンを適切に使用することができない体の状態から生じる代謝性疾患である。インスリン分泌(secretion)及びインスリン抵抗性は主要な欠陥(defects)と考えられるが、そのメカニズムに関連する正確な遺伝的因子は未知のままである。
【0005】
糖尿病患者には、通常、一つ以上の以下の欠陥がある:
膵臓によるインスリンの少ない産生;
肝臓によるグルコースの分泌過多;
骨格筋によるグルコース取り込みの非依存性;
グルコーストランスポーターにおける欠陥、インスリンレセプターの脱感作;及び
ポリサッカライドの代謝性分解の欠陥。
【0006】
インスリンの非経口又は皮下への投与以外に、約4つのクラスの、使用される経口血糖降下剤、即ち、スルホニル尿素系、ビグアナイド系、αグルコシダーゼインヒビター系及びチアゾリジンジオン系がある。
【0007】
糖尿病の治療への使用に入手可能な現在の各薬剤には、一定の欠点がある。従って、糖尿病の治療用に経口投与可能な新規薬剤の同定及び開発に、継続的に興味が持たれる。
前記チアゾリジンジオンクラスは、II型糖尿病の治療のために近年より広く使用され、「インスリン抵抗性」(患者のインスリンの作用に対する応答が低下する状態)と闘うインスリン感受性物質として特に有用なことが示された。非毒性であり、より広く有効なインスリン感受性物質が、引き続き必要とされている。
【0008】
その発現がIKKβ-NF-κBにより調節されている誘導性一酸化窒素合成酵素(iNOS、またNOS2と称される)は、炎症関連インスリン抵抗性を媒介する候補の一つと仮定される。蓄積されている証拠は、iNOSとインスリン抵抗性の間の密接な関連を示している。iNOSは、元々マクロファージ内に同定されていたが、通常のげっ歯類及びヒトのインスリン感受性器官を含む多くの組織、例えば骨格筋、脂肪組織及び肝臓に広く発現されていることが今では知られている(フジモトら、Diabetes、2005年、54、1340)。iNOSの発現は、全てではないが多くのインスリン抵抗性の誘導物質、例えば前炎症性サイトカイン、肥満、遊離脂肪酸、高血糖、エンドトキシン及び酸化ストレスによりアップレギュレートされる。実際、iNOSの高い発現は、高脂肪食餌マウスの骨格筋、ズッカー糖尿病脂肪ラットの心臓及び、II型糖尿病を患う患者の骨格筋及び血小板に観察された。ニトロソ化(nitrosative)タンパク修飾、例えばiNOS発現に多くの場合関連するチロシンニトロソ化は、患者の血漿、骨格筋、脈管構造及び網膜及びII型又は肥満関連糖尿病のげっ歯類モデルにおいて上昇した。さらに、iNOS誘導は、培養骨格筋細胞における弱毒化インスリン刺激グルコース取り込みを生じた。
【0009】
急性及び慢性炎症性疾患及び癌に関連するメディエーターの科学的理解について近年進歩することにより、有効な治療の探索への新規戦略が導かれた。伝統的なアプローチとしては、直接的な標的の介入、例えば、特定の抗体、レセプターアンタゴニスト又は酵素インヒビターの使用が挙げられる。様々なメディエーターの転写及び翻訳に関連する調節性メカニズムの解明において近年大きく進歩することにより、遺伝子転写のレベルでの治療アプローチにおいて大きな興味がもたれた。
【0010】
また、前記のように、本発明は、免疫疾患又は炎症、特に、サイトカイン又はシクロオキシゲナーゼにより媒介される、そのような疾患に関する。免疫系の主要な要素は、マクロファージ又は抗原提示細胞、T細胞及びB細胞である。他の免疫細胞、例えばNK細胞、好塩基球、マスト細胞及び樹状細胞の役割は公知であるが、主な免疫学的疾患のそれらの役割は不確かである。マクロファージは、炎症及びT細胞刺激及び増殖に必要な「ヘルプ」の提供の両方の重要なメディエータである。最も重要なマクロファージは、IL 1、IL 12及びTNF-αを成し、それらの全ては強力な炎症誘発性分子であり、またT細胞へのヘルプを提供する。さらに、マクロファージの活性化は、酵素、例えばシクオロキシゲナーゼII(COX-2)、誘導性一酸化窒素合成酵素(iNOS)の誘導及び通常細胞を傷害し得るフリーラジカルの産生を導く。多くの因子は、マクロファージ、例えば細菌生成物、スーパー抗原及びインターフェロンガンマ(IFNγ)を活性化する。ホスホチロシンキナーゼ(PTKs)及び他の不確定の細胞性キナーゼは、活性化プロセスに関連していると考えられている。
【0011】
サイトカインは、免疫応答の介在において重要な、免疫細胞により分泌される分子である。サイトカイン産生は、他のサイトカインの分泌、変化した細胞機能、細胞分裂又は分化を導くかもしれない。炎症は、傷害又は感染に対する体の通常の応答である。しかし、炎症性疾患、例えば、慢性関節リウマチにおいて、病原性炎症プロセスは、罹患及び死亡を導き得る。サイトカイン腫瘍ネクローシス因子-α(TNF-α)は、炎症性応答に中心的役割を担い、炎症性疾患における介入のポイントとして標的とされてきた。TNF-αは、活性化マクロファージ及び他の細胞により放出されるポリペプチドホルモンである。低濃度において、TNF-αは、白血球の活性化及び炎症の血管外部位へのそれらの遊走の促進による、保護的炎症応答に関連する(モーザーら、J Clin Invest、83:444〜55、1989年)。高濃度において、TNF-αは、強力な発熱物質として作用し、他の炎症誘発性サイトカインの産生を誘導し得る(ハワースら、Eur J Immunol、21:2575〜79、1991年;ブレナンら、ランセット、2:244〜7、1989年)。また、TNF-αは、急性段階のプロテインの合成を刺激する。成人米国人口の約1%が患う、慢性かつ進行性の炎症性疾患である慢性関節リウマチにおいて、TNF-αは、関節の損傷及び破壊を導くサイトカインカスケードを媒介する(アレンドら、Arthritis Rheum、38:151〜60、1995年)。TNF-αのインヒビター、例えば可溶性TNFレセプター(エタナーセプト)(ゴールデンベルグ、Clin Ther、21:75〜87、1999年)及び抗-TNF-α抗体(インフリキシマブ)(ルーオング(Luong)ら、Ann Pharmacother、34:743〜60、2000年)は、慢性関節リウマチの治療剤として、米国食品医薬品局(FDA)により、近年認められた。
【0012】
また、高レベルのTNF-αは、多くの他の症候及び疾患状態、例えば、悪液質、感染性ショック症候群、変形性関節炎、炎症性腸疾患、例えばクローン病及び潰瘍性大腸炎と関連付けられた。
【0013】
従って、TNF-αのインヒビターは、広範囲の疾患の治療に潜在的に有用と考えることができる。TNF-α、IL-1、IL-6、COX-2を阻害する化合物、又は免疫応答、炎症又は炎症性疾患、例えば関節炎に応答すると考えられる他の薬剤を提供するように予め努力されてきたが、そのような疾患を効率的に治療し阻害する新規かつ改良された化合物が依然として必要とされている。
【0014】
TNF-αは、インスリン抵抗性の改良に重要な役割を担っている。それは、脂肪分解を促進し、循環における遊離脂肪酸レベルを増加する。それは、インスリンレセプター、インスリンレセプター基質-1(IRS-1)及びグルコース輸送体(GLUT-4)の合成をダウンレギュレートする。それは、IRS-1セリン-トレオニンのリン酸化及びホスホチロシンホスファターゼ(PTPase)活性を増加する。それは、インスリンレセプター自己リン酸化、IRS-1のチロシンリン酸化、PPAR-γ合成及びインスリン刺激グルコース輸送を阻害する。
【0015】
II型糖尿病における血糖、遊離脂肪酸、コレステロール及びトリグリセリドレベルを低下するための新規化合物を開発すること、及び、自己免疫疾患、例えば多発性硬化症及び慢性関節リウマチを治療することを目的として、本発明者らは、同一出願人による米国特許第6,794,401号に開示されている化合物、5-[4-(4-(2-アミノ-2-メトキシカルボニルエチル)フェノキシ)ベンジル]-チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩が、一般式(I)の範囲内の{4-[4-(2,4-ジオキソチアゾリジン-5-イルメチル)-フェノキシ]-フェニル}-酢酸に代謝されることを見い出した。
【0016】
従って、本発明の目的は、一般式(I)の新規複素環式化合物、それらの誘導体、類似体、互変異性体、立体異性体、多形、水和物、医薬的に許容され得る塩及び医薬的に許容され得る溶媒和化合物、並びにこれらのいずれかを単独で又はコンビネーションにおいて含む医薬的に許容され得る組成物を提供することである。
【0017】
本発明の他の目的は、インスリン抵抗性に関連する疾患、例えば多嚢胞性卵巣症候群、並びに抗脂血症、冠状動脈疾患及び末梢血管疾患の治療用、及び炎症及び免疫疾患、特にサイトカイン、例えばTNF-α、IL-1、IL-6、IL-1β及びシクロオキシゲナーゼ、例えばCOX-2により媒介されるものの治療のための、これらの化合物及び組成物の使用方法を提供することである。また、サイトカイン、例えばTNFαの媒介により、癌の治療のための、そのような化合物の使用方法を提供してもよい。
【0018】
本発明の他の目的は、活性が増強されるが、毒性作用なしに又は毒性作用が低減されているそのような化合物及び組成物を提供することである。
【0019】
発明の概要
本発明は、一般式(I)の新規複素環式化合物、それらの類似体、互変異性体の形態、それらの立体異性体、それらの多形、それらの水和物、それらの医薬的に許容され得る塩及びそれらの医薬的に許容され得る溶媒和化合物に関する:
【0020】

【0021】
(式中、---は任意の結合を示し、VはCH又はNを示し;YはO又はSを示し;WはO又はNR8を示し;R8は、水素又は線状又は分岐の置換又は非置換(C1-C6)アルキル基から選ばれ;XはCR9、O又はSを示し、R9は水素であるか又はR9とZが一緒に5又は6員の芳香族又はO、S又はNから選ばれる1〜2ヘテロ原子を含む複素環系を形成し;ZはO、Sを示すか又はR9と一緒にO、S又はNから選ばれる1〜2ヘテロ原子を含む5〜6員芳香族又は複素環系を形成し;R1とR2は同一でも異なっていてもよく、水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、アミノ基、COR10又は線状、分岐、置換又は非置換の(C1-C6)アルキル基;又は置換又は非置換(C1-C6)アルコキシ基から独立して選ばれ;R10は、-OR11又はNR12R13を示し、R11は水素、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基又は対イオンから選ばれる置換基又は非置換基を示し;R12とR13は、同一でも異なっていてもよく、独立してH又は置換又は非置換アルキル基、アルケニル基又はアリール基を示すか;又はR12とR13は、一緒になってヘテロ脂肪族又は複素環式芳香族環を形成し;R3、R4、R5及びR6は水素、ハロゲン;ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、アミノ基、線状又は分岐の置換又は非置換(C1-C6)アルキル基又はアルコキシ基;ハロアルキル基、カルボン酸及びその誘導体;置換又は非置換(C1-C6)アルコキシ基;チオール基、チオアルキル基、置換又は非置換スルホンアミド基、スルホニルメチル基から選ばれ;R7は、水素、置換又は非置換アルキル基、アルケニル基、-CH2COOR、アリール基又は対イオンを示し;Rは、H又は(C1-C6)アルキル基を示す)。
【0022】
化合物の有用なクラスは、式中、YがOであり、XがS又はCR9であり;R1がCOR10であり、R2が水素又はアルキルである、一般式(I)のものが挙げられる。このクラスの特定のサブクラスとしては、式中、R3が水素又はハロであり;R4及びR6が水素;R5が水素、ハロ、ハロアルキル又はアルコキシであり;R7が水素、-CH2COOR又は対イオンの化合物が挙げられる。
【0023】
一般式(I)の化合物の他の有用なサブクラスとしては、式中、VがCHであり;XがSであり;Y、Z及びWがOであり;R10が-OR11であり;R11が水素又は対イオンであり;R2、R3、R4、R5及びR6が水素であり;R7が水素又は対イオンであるものが挙げられる。
【0024】
有用なクラスの、一般式(I)の化合物の医薬的に許容され得る塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ベシレート(besylate)、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩が挙げられる。
【0025】
被験者においてグルコース、脂肪酸、コレステロール又はトリグリセリド及び医薬的に許容され得るキャリヤー、希釈剤、賦形剤又は溶媒和化合物の血漿レベルを低減するのに十分な、治療上有効な量の一般式(I)による化合物又は化合物の混合物、それらの類似体、互変異性体の形態、立体異性体、多形、医薬的に許容され得る塩又は医薬的に許容され得る溶媒和化合物を含む、医薬組成物を本発明により提供する。
【0026】
さらに、被験者において肥満、自己免疫疾患、炎症、免疫学的疾患、糖尿病又はインスリン抵抗性に関する疾患を治療するのに十分な、治療上有効な量の一般式(I)による化合物又は化合物の混合物、それらの類似体、互変異性体の形態、立体異性体、多形、医薬的に許容され得る塩又は医薬的に許容され得る溶媒和化合物を含む、医薬組成物を提供する。
【0027】
医薬組成物は、錠、カプセル、粉末、シロップ、エアロゾル又はサスペンジョンの形態の経口用が好ましい。
【0028】
有効量の、一般式(I)の化合物又は化合物の混合物、それらの類似体、互変異性体の形態、立体異性体、多形、水和物、医薬的に許容され得る塩又は医薬的に許容され得る溶媒和化合物を、それらを必要とする患者に投与する、糖尿病、肥満、自己免疫疾患、炎症及び免疫学的疾患の治療、例えば、癌の治療方法を提供する。
【0029】
有効量の、一般式(I)の化合物又は化合物の混合物、類似体、互変異性体の形態、立体異性体、多形、水和物、医薬的に許容され得る塩又は医薬的に許容され得る溶媒和化合物を、それらを必要とする患者に投与することを含む、血漿中のグルコース、遊離脂肪酸、コレステロール及びトリグリセリドレベルを低減する方法を提供する。
【0030】
有効量の、一般式(I)の化合物又は化合物の混合物、それらの類似体、互変異性体の形態、立体異性体、多形、水和物、医薬的に許容され得る塩又は医薬的に許容され得る溶媒和化合物を、それらを必要とする患者に投与することを含む、インスリン抵抗性に関連する疾患の治療方法を提供する。
【0031】
発明の詳細な説明
類似体という用語には、一つ以上のC、N、O又はS原子による、親構造とは異なる化合物が含まれる。一方、親構造の一つのN原子が、S原子により置換されている化合物において、後者の化合物は前者の類似体である。
【0032】
立体異性体という用語には、原子が空間において配列される方向において互いに異なるが、その化学式及び構造は一方で同様である異性体が含まれる。立体異性体にはエナンチオマー及びジアステレオ異性体が含まれる。
【0033】
互変異性体という用語には、平衡状態にある化合物の直ちに相互変換可能な異性体形態が含まれる。エノール-ケト互変異性体が例として挙げられる。
【0034】
多形という用語には、化学的に同じ構造の化合物の結晶学的に異なる形態が含まれる。
医薬的に許容され得る溶媒和化合物という用語には、溶媒分子と、溶質の化合物の分子又はイオンとのコンビネーションが含まれる。
【0035】
一つ以上の水素原子が置換基、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルキレンジオキシ基、アミノ基、アミジノ基、アリール基、アラルキル基(例えばベンジル基)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基)、アラルコキシ基(例えばベンジルオキシ基)、カルボアルコキシ基(例えばアシルオキシ基)、カルボキシアルキル基(例えばエステル基)、カルボキシアミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、カルボニル基、ハロ基、ヒドロキシ基、ヘテロアリール基、ヘテロアラルキル基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアラルコキシ基、ニトロ基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基及びチオ基(それらに限定されない)により置換されることを、置換という用語は意味している。さらに、置換基は置換されていてもよい。
【0036】
誘導体という用語は、一般式(I)の化合物、それらの類似体、互変異性体の形態、立体異性体、多形、水和物、医薬的に許容され得る塩又は医薬的に許容され得る溶媒和化合物から、一つ以上の官能基を変換する単純な化学的方法、例えば酸化、水素化、アルキル化、エステル化、ハロゲン化等により得られる化合物を指す。
【0037】
R8により表される好適な基は、水素、線状又は分岐の、置換又は非置換の(C1-C6)アルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基等から選ばれ;Xは、CR9、O又はS(R9は水素であるか、又はR9はZと一緒になってO、S又はNから選ばれる1〜2ヘテロ原子を含む5又は6員の芳香族環又は複素環式芳香族環系を形成する)を示し;Zは、O、Sを示すか、又はR9と一緒に、O、S又はNから選ばれる1又は2ヘテロ原子を含む5又は6員芳香族又は複素環式芳香族環系を形成し;R1及びR2は、水素、ハロゲン、例えば、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素;ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、アミノ基、COR10基、線状又は分岐の置換又は非置換(C1-C6)アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基等;置換又は非置換(C1-C6)アルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等から選ばれ;R10は、-OR11又はNR12R13を示し;式中、R11は、水素、置換又は非置換(C1-C6)アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基等;(C2-C20)アルケニル基、例えばエテニル基、プロペニル基、ブテニル基等(置換されていてもよい);アリール基、例えば5〜14員の単環、二環又は三環系、例えば、フェニル基、ナフチル基等(置換されていてもよい)、アラルキル基、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等、ヘテロアリール基、例えば5〜14員の単環、二環又は三環系、例えばピリジル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、チアジアゾリル基、テトラゾリル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、キノリニル基、ジヒドロキノリニル基、テトラヒドロキノリニル基、イソキノリニル基、ジヒドロイソキノリニル基、テトラヒドロイソキノリニル基等(置換されていてもよい)又は対イオン、例えばナトリウム、カリウム又はマグネシウムを示し;R12とR13は、同一でも異なっていてもよく、独立してH、置換又は非置換(C1-C6)アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基等;(C2-C20)アルケニル基、例えばエテニル基、プロペニル基、ブテニル基等(置換されていてもよい);アリール基、例えばフェニル基、ナフチル基等(置換されていてもよい)を示すか;又はR12とR13は一緒になってヘテロ脂肪族又は複素環式芳香族環、例えばモルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、アゼチジニル環等を形成し;R3、R4、R5及びR6は、水素、ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素又はヨウ素;ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、アミノ基、線状又は分岐の、置換又は非置換の(C1-C6)アルキルアルコキシ基、例えばメチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基等;(C1-C6)ハロアルキル基、例えばクロロメチル基、クロロエチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、ジクロロメチル基、ジクロロエチル基、トリクロロメチル基、ジフルオロメチル基等(置換されていてもよい);カルボン酸及びその誘導体(置換されていてもよい)、置換又は非置換(C1-C6)アルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等;チオール基、チオアルキル基(置換されていてもよい)、置換又は非置換スルホンアミド基及びスルホニルメチル基から選ばれ;R7は、水素、置換又は非置換(C1-C6)アルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基等;(C2-C20)アルケニル基、例えばエテニル基、プロペニル基、ブテニル基等(置換されていてもよい);;アリール基、例えば5〜14員単環、二環又は三環系、例えばフェニル基、ナフチル基等(置換されていてもよい)、-CH2COOR、又は対イオン;式中RはH又は(C1-C6)アルキル基(置換されていてもよい)を示す。
【0038】
R3、R4、R5、R6及びR7が置換されている場合、置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アジド基、アミノ基、ヒドラジン基、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、ハロアシル基、アシルオキシアシル基、ヘテロシクリル基、ヘテロアリール基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシアルキル基、アリールオキシカルボニルオキシアルキル基、シクロアルコキシカルボニルオキシアルキル基、アルカノイルオキシアルキル基、シクロアルカノイルオキシアルキルアルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、アルコキシアルキル基又はカルボン酸及びその誘導体から選ばれてもよい。
【0039】
有用なクラスの化合物としては、式中、YがOであり;XがS又はCR9であり;R1がCOR10であり、R2が水素又はアルキルである一般式(I)のものである。このクラスの特定のサブクラスとしては、式中R3が水素又はハロであり;R4及びR6が水素であり;R5が水素、ハロ、ハロアルキル又はアルコキシであり;R7が水素、-CH2COOR又は対イオンであるそれらの化合物が挙げられる。
【0040】
一般式(I)の化合物の他の有用なサブクラスとしては、式中、VがCHであり;XがSであり;Y、Z及びWがOであり;R10が-OR11であり;R11が水素又は対イオンであり;R2、R3、R4、R5及びR6が水素であり;R7が水素又は対イオンであるものが挙げられる。
【0041】
本発明の化合物は、血糖、血清インスリン、遊離脂肪酸、コレステロール及びトリグリセリドレベルの低下に有用であり、II型糖尿病の治療及び/又は予防に有用である。本発明の化合物は、肥満、炎症、自己免疫疾患、例えば多発性硬化症及び慢性関節リウマチの治療に有用である。驚くべきことに、これらの化合物は、レプチンレベルを増加し、肝毒性がない。
【0042】
さらに、本発明の化合物は、インスリン抵抗性に関連した疾患、例えば多嚢胞性卵巣症候群、並びに抗脂血症、冠動脈疾患及び末梢血疾患の治療及び炎症及び自己免疫疾患、特にサイトカイン、例えばTNF-α、IL-1、IL-6、IL-1β及びシクロオキシゲナーゼ、例えばCOX-2により介在されるものの治療に有用であり、癌の治療を含む。このクラスの化合物は、網膜症、神経障害、腎障害等のような糖尿病合併症の治療にも有用である。
【0043】
本発明の一部を形成する医薬的に許容され得る塩という用語は、塩基付加塩、例えばアルカリ金属塩、例えばLi、Na及びK塩、アルカリ土類金属塩、例えばCa及びMg塩、有機塩基、例えばリジン、アルギニン、グアニジン、ジエタノールアミン、コリン等、アンモニウム又は置換アンモニウム塩が挙げられる。塩としては、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩、ホウ酸塩、ハロゲン化水素酸塩(hydrohalides)、酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、パルモエート(palmoates)、メタンスルホン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩(hydroxynaphthoates)、ベンゼンスルホン酸塩、アスコルビン酸塩、グリセロリン酸塩、ケトグルタル酸塩等の酸付加塩が挙げられる。塩の好ましいクラスとしては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ベシル酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩が挙げられる。医薬的に許容され得る溶媒和化合物は、水和物又は結晶化の他の溶媒、例えばアルコールを含んでいてもよい。本発明は、肥満、自己免疫疾患、炎症、免疫学的疾患、糖尿病又は被験者におけるインスリン抵抗性に関連する疾患の治療に有用な、前記一般式(I)の化合物、誘導体、類似体、互変異性体の形態、立体異性体、多形、水和物、医薬的に許容され得る塩及び医薬的に許容され得る溶媒和化合物を単独で又はコンビネーションにおいて、通常の医薬的に使用されるキャリヤー、希釈剤等とのコンビネーションにおいて含む医薬組成物を提供する。
【0044】
医薬組成物は、通常使用される形態、例えば、錠、カプセル、粉末、シロップ、溶液、エアロゾル、サスペンジョン等であってもよく;矯味矯臭剤、甘味剤等を好適な固形物又は液体キャリヤー又は希釈剤において、又は注入用溶液又はサスペンジョンを形成するための好適な滅菌媒体において含んでいてもよい。そのような組成物は、一般的に活性化合物1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%を一般的に含み、組成物の残りは医薬的に許容され得るキャリヤー、希釈剤又は溶媒である。経口投与用の好ましい組成物は、錠、カプセル、粉末、シロップ、エアロゾル又はサスペンジョンの形態である。
【0045】
用語「医薬的に許容され得るキャリヤー(希釈剤、賦形剤又は溶媒)」としては、いずれか及び全ての溶媒、分散媒体、コーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張性及び吸収遅延剤等が挙げられる。そのような媒体及び医薬的に活性な物質用の薬剤の使用は、当技術分野に公知である。いずれかの慣用の媒体又は薬剤が活性成分と不適合である場合を除いて、治療用組成物におけるその使用は、一時的である。また、補足の活性成分を組成物に導入することができる。
【0046】
用語「治療上有効な量」または「有効量」は、そのような治療を必要とする哺乳類、例えばヒトに投与する場合、以下に定義するように治療を有効にするのに十分な化合物の量をいう。治療上有効な量は、治療されるべき被験者及び疾患状態、被験者の体重及び年齢、疾患状態の重篤度、選ばれた特定の化合物、行われる投与措置、投与タイミング、投与方法等により変ると考えられ、その全ては、当業者により容易に決定され得る。
【0047】
用語「治療」又は「治療する」は、以下のことを含む哺乳類における疾患のいずれかの治療を意味する:
a) 疾患の予防、即ち、疾患の臨床症候を進行しないようにすること;
b) 疾患の阻害、即ち、臨床症候の進行を遅延又は停止させること;及び/又は
c) 疾患の軽減、即ち、臨床症候を退縮させること。
【0048】
本発明による有用な化合物としては以下のものが挙げられる:
1. {4-[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
2. {4-[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-フェノキシ]-フェニル}-酢酸二ナトリウム塩;
3. {4-[4-(4-オキソ-2-チオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
4. {4-[4-(3-カルボキシメチル-4-オキソ-2-チオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
5. {4-[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-2-フルオロ-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
6. {4-[2-クロロ-4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
7. {4-[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-2-トリフルオロメチル-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
8. {4-[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-2-メトキシ-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
9. {4-[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-3-フルオロ-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
10. {4-[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イリデンメチル)-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
11. {4-[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イリデンメチル)-2-トリフルオロメチル-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
12. {4-[4-(4-オキソ-2-チオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-2-トリフルオロメチル-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
13. {4-[4-(4-オキソ-2-チオキソ-チアゾリジン-5-イリデンメチル)-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
14. {4-[4-(3-カルボキシメチル-4-オキソ-2-チオキソ-チアゾリジン-5-イリデンメチル)-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
15. {4-[4-(3-カルボキシメチル-4-オキソ-2-チオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-3-フルオロ-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
16. {6-[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-フェノキシ]-ピリジン-3-イル}-酢酸;
17. {6-[4-(4-オキソ-2-チオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-フェノキシ]-ピリジン-3-イル}-酢酸;
18. {6-[4-(3-カルボキシメチル-4-オキソ-2-チオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-フェノキシ]-ピリジン-3-イル}-酢酸;
19. {6-[4-(2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-3-イルメチル)-フェノキシ]-ピリジン-3-イル}-酢酸;
20. {6-[4-(2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-3-イルメチル)-2-トリフルオロメチル-フェノキシ]-ピリジン-3-イル}-酢酸;
21. {4-[4-(2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-3-イルメチル)-2-トリフルオロメチル-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
22. {4-[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-フェノキシ]-2-フルオロ-フェニル}-酢酸;
23. 2-{4-[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-フェノキシ]-フェニル}-N,N-ジメチル-アセトアミド;
24. 2-{4-[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-フェノキシ]-フェニル}-アセトアミド;
25. 5-{4-[4-(2-オキソ-2-ピペラジン-1-イル-エチル)-フェノキシ]-ベンジル}-チアゾリジン-2,4-ジオン;
26. 5-{4-[4-(2-モルホリン-4-イル-2-オキソ-エチル)-フェノキシ]-ベンジル}-チアゾリジン-2,4-ジオン;
27. 2-{4-[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-フェノキシ]-フェニル}-酪酸;
28. (4-{[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-フェニル]-メチル-アミノ}-フェニル)-酢酸;及び
29. 5-{4-[4-(2-オキソ-2-ピペラジン-1-イル-エチル)-フェノキシ]-3-トリフルオロメチル-ベンジル}-チアゾリジン-2,4-ジオン。
【0049】
本発明の他の特徴により、一般式(I)の化合物の製造方法を提供する。
一般的なスキーム
【0050】

【0051】
前記方法において記載した反応は、本明細書に記載の方法を使用することにより好ましく行われる:
【0052】
工程-I:
一般式(Ib)の化合物を製造するための一般式(Ia)の化合物と4-フルオロベンズアルデヒドの反応は、溶媒、例えばテトラヒドロフラン、ジメチルホアルムアミド、ジメチルスルホキシド、DME等の存在下で行ってもよいか、又は溶媒の混合物を使用してもよい。反応は、不活性雰囲気中で行ってもよい。反応は、塩基、例えばK2CO3、Na2CO3、tert-ブトキシドカリウム、NaH又はそれらの混合物の存在下で行ってもよい。反応温度は、60℃〜100℃、好ましくは80℃〜100℃の範囲内であってもよい。反応期間は、1〜24時間、好ましくは15〜20時間の範囲であってもよい。
【0053】
工程-II:
一般式(Ib)の化合物と一般式(Ic)の化合物との反応は、塩基の存在下及び溶媒、例えばトルエン、メトキシエタノール又はそれらの混合物の存在下で行い、一般式(I)の化合物を生成する。反応温度は、60℃〜180℃であってもよい。好適な触媒、例えば酢酸又は安息香酸のピペリジニウム(piperidinium)塩、酢酸ナトリウム又は触媒の混合物を使用してもよい。反応中に生成される水は、Dean Stark水分離器を使用するか又は水吸収剤、例えば分子篩を使用することにより除去してもよい。
【0054】
工程-III:
本発明の他の態様において、一般式(I)(式中---は結合を示す)の終わりから2番目の工程を減らすことにより、一般式(I)の化合物の製造方法を提供する。---が結合を示さず、他の全ての記号が前記定義の通りである場合に、還元工程は必要とされない。一般式(I)の一般的な化合物を製造するために、一般式(I)の化合物の還元を、水素ガス及び触媒、例えばPd/C、Rh/C、Pt/C及びラネーニッケル等の存在下で行ってもよい。触媒の混合物を使用してもよい。反応を、溶媒、例えばメタノール、ジクロロメタン、ジオキサン、酢酸及び酢酸エチル等の存在下で行ってもよい。溶媒の混合物を使用してもよい。大気圧〜0.69MPa(100psi)の圧力を使用してもよい。触媒は5〜10%Pd/Cであってもよく、使用される触媒の量は50〜300%w/wであってもよい。
【0055】
前記のいずれかの反応において、基質分子のいずれかの反応官能基は、従来の化学的操作により保護されてもよい。いずれかのこれらの反応における好適な保護基は、当技術分野において従来使用されるものであり、そのような保護基の形成及び除去の方法は、保護されるべき分子に対して好適な従来の方法である。
【0056】
本発明は、以下の実施例により詳細に説明するが、それは単に説明のために提供するものであり、従って本発明の範囲を制限すると理解されるべきではない。
【0057】
実施例
【0058】
{4-[4-(2,4-ジオキソチアゾリジン-5-イルメチル)フェノキシ]-フェニル}酢酸(化合物1)の合成
【0059】

【0060】
工程I:[4-(4-ホルミルフェノキシ)フェニル]酢酸の合成

【0061】
アルゴン下、乾燥DMF(50mL)中に4-ヒドロキシフェニル酢酸(5.8g、38.2ミリモル)を含むサスペンジョンに、K2CO3(15.8g、114.5ミリモル)及び4-フルオロベンズアルデヒド(23.7g、190.8ミリモル)を加え、その反応混合物を78±2℃で18時間、アルゴン下で攪拌した(注:4-フルオロベンズアルデヒドの添加後すぐに、反応混合物は非常に粘稠になり、再びゆっくり液化する)。その後、反応混合物を室温まで冷まし、水(250mL)に注ぎ、15分間攪拌した。水層を酢酸エチルで抽出し(2×75mL);有機層を廃棄し、得られた水層をHCl(〜6M)でpH2.0に酸性化した。水層を酢酸エチルで抽出し(2×100mL)、合わせた有機層を鹹水(50mL)で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させ、溶出液として1%酢酸を含むヘキサン-酢酸エチル(7:3)を使用したシリカゲルクロマトグラフィにより精製した混合物を与え、薄黄色固形物を生成した(2.5g、25.6%)。1H NMR(400MHz、DMSO-d6):δ ppm:12.34(br, 1H)、9.92 (s, 1H)、7.92 (d, J = 8.8 Hz, 2H)、7.35 (d, J = 8.8 Hz, 2H)、7.11 (オーバーラップ d, J = 8.8 Hz, 2H)、7.10 (オーバーラップ d, J = 8.8 Hz, 2H)、3.61 (s, 2H)。
【0062】
工程II:{4-[4-(2,4-ジオキソチアゾリジン-5-イリデンメチル)フェノキシ]フェニル}酢酸の合成
【0063】

【0064】
工程Iで得られたアルデヒド(2.22g、8.67ミリモル)を、トルエン(30mL)に溶解し、安息香酸(0.16g、1,30ミリモル)、ピペリジン(0.096g、1.13mM)及び2,4-チアゾリジンジオン(1.22g、10.40ミリモル)を連続的にそれに加えた。水を、約2時間、前記反応混合物から共沸的に除去した。その後、その反応混合物を室温に冷まし、濾過した。分離した淡黄色固形物を、酢酸エチル(50mL)中で5分間沸騰させ、冷却し、濾過した。この方法をもう一度繰り返し、生成物2.63g、85.4%を生成した。1H NMR (MHz, DMSO-d6) δ ppm:12.42 (br, 1H)、 7.64 (s, 1H)、 7.59 (d, J = 8.4 Hz, 2H)、 7.32 (d, J = 8.8 Hz, 2H)、 7.08 (d, J = 8.8 Hz, 2H)、 7.05 (J = 8.8 Hz, 2H)、 3.58 (s, 2H)。
【0065】
工程III:{4-[4-(2,4-ジオキソチアゾリジン-5-イルメチル)フェノキシ]フェニル}酢酸の合成
【0066】

【0067】
炭素上のパラジウム(10%、0.5g)、ギ酸アンモニウム(3.55g、56.34 ミリモル)及び工程IIの物質(1.0g、2.82ミリモル)を不活性雰囲気下、酢酸(10mL)に連続的に加え、反応混合物を15時間還流した。反応は15時間後に未だ不完全であったため、炭素上のパラジウム(10%、0.5g)及びギ酸アンモニウム(3.55g、56.34ミリモル)を再び加え、その反応物をさらに15時間還流した。その後、反応混合物を室温に冷まし、CeliteTM ベッドを通して濾過した。ベッドを酢酸エチル(2×50mL)を通して洗い、溶媒を蒸発させた。酢酸(1%)を含むヘキサン-酢酸エチル(3:2)混合物を使用して、シリカゲルクロマトグラフィにより残渣の精製を行い、所望の化合物を得た。収量:0.52g、52%。m.p. 166℃。1H NMR (MHz, DMSO-d6) δ ppm:12.28 (br, 1H)、12.05 (br, 1H)、7.26 (オーバーラップ d, J = 8.8 Hz, 2H)、7.25 (オーバーラップ d, J = 8.8 Hz, 2H)、6.94 (オーバーラップ d, J = 8.8 Hz, 2H)、6.93 (J = 8.8 Hz, 2H)、4.90 (dd, J = 9.6及び4.4 Hz, 1H)、3.55 (s, 2H)、3.36(dd, 14.4及び4.8 Hz, 1H)及び3.11(dd, 14.4及び9.2 Hz, 1H);MS m/z 356 [M-1]。二ナトリウム塩、化合物2を、化合物1とNaCl 2当量と溶液中で混合し、その混合物を凍結乾燥することにより製造した。
【0068】
生物学的試験
グルコース取り込み
図1に関して言及すると、3T3-L1線維芽細胞は、インスリン、デキサメタゾン及びIBMXを含有するカクテルにより、4日間で脂肪細胞に分化した。完全に分化した脂肪細胞を72時間で化合物(1.0μM濃度)又は0.1%DMSOで処理し、その後グルコース取り込みが、インスリンの添加なしに10分間で行われた。基本的な取り込みは、放射活性14C-2-デオキシグルコースの添加により開始され、10分後、それらを冷グルコースと混合した冷PBSで洗った。最後に、その細胞を0.1%SDSで溶解し、ベックマンシンチレーションカウンター中で計数した。化合物1及び化合物2の両方が、基礎レベルを超えるグルコース取り込みを誘導した。
【0069】
細胞毒性
図2に関して言及すると、ヒト肝臓細胞(HepG2)は、前に報告されているように薬物を代謝することができる。最初に市販されたチアゾリジンジオンであるトログリタゾンは、深刻な肝毒性のために、市場から取り下げられた。新規チアゾリジンジオン化合物(TZD)のこのクラスの細胞毒性作用を見い出すために、それらをHepG2細胞中で24時間インキュベートし、その後、その生存度をMTSでの比色反応により測定した。化合物1及び2は共に、100μM濃度であっても、いずれの毒性も示さなかった。
【0070】
脂肪生成
全て公知のPPAR-γアゴニスト(TZD又は非TZDの両方)は、線維芽細胞中での分化を誘導する。これらの化合物の脂肪生成力は、このレセプターへのそれらの親和性と相関する。図3に関して言及すると、化合物1及び2がこれらのレセプターにいずれかの親和性を有するか否かをチェックするために、3T3-L1線維芽細胞を、DMSOコントロール又はポジティブコントロールとしてのロシグリタゾン(全て10μM濃度)又は異なる濃度で7日間これら二つの化合物で処理した。11日目に、分化した脂肪細胞を、オイル-レッド-O(シグマ)で染色し、全体的に洗い、未結合の着色剤を除去した。着色した分化脂肪細胞を、高解像度顕微鏡で視覚化した。PPAR-γアゴニストであるロシグリタゾンは、この細胞系中の脂肪生成を強力に誘導する一方、化合物1及び2は共に未変化のままであり、即ち、それらは非脂肪生成性であり、おそらくそれらは脂肪生成をしない。
【0071】
血糖低下及び体重
図4に関して言及すると、10週齢の加齢雄性db/db(自然発生モデル)糖尿病マウスを、50mg/kg体重の量で、化合物1で経口的に処理し、血糖を、次の投与の前に毎朝ワンタッチグルコメーターによりモニタリングした。
【0072】
グルコース抵抗性
図5に関して言及すると、db/dbマウス(6〜8週齢)を、化合物2(50mg/kg)で1日1回、14日間処理した。14日目にその動物を一晩絶食させ、経口グルコースチャレンジ(2g/kgBW)の1時間前に、化合物2で強制飼養した。血糖値を、30、60、90、120、180及び210分でプレドーズ(pre-dose)をモニタリングし、グルコース抵抗性における向上を示した。
【0073】
血清コレステロール
図6に関して言及すると、db/dbマウス(6〜8週齢)を、化合物2(50mg/kg)で1日1回、14日間処理した。実験の終わりに、血清コレステロールを、比色法により測定した。
【0074】
TNFα阻害
化合物1及び2は、ボランティアから単離したヒト末梢血単核細胞中の多くの炎症誘発性サイトカインを阻害した。図7に関して言及すると、ヒトPBMC細胞を培養し、10μM濃度の化合物1及び2でインキュベートした。細胞(1×106/mL)は濃度(100ng/mL)のリポ多糖で20時間曝露した。TNFをELISAにより測定した。
【0075】
LPS-誘導NO産生の阻害
マウスマクロファージ(RAW264.7)を6穴プレート(200万細胞/穴)中で培養し、37℃で、LPS(200ng/mL+IFN-γ10U/mL)と18時間インキュベートした。亜硝酸塩レベルをグリース試薬により測定した。結果を図8に示した。全ての化合物を30μM濃度で試験した。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の化合物1及び2の3T3-L1脂肪細胞における基本的なグルコース取り込みの結果を示すグラフである。
【図2】トログリタゾン(TZD)と比較した化合物1及び2の相対細胞毒性を示す。
【図3】ロシグリタゾン及び化合物1及び2により誘導される相対脂肪生成と比較する染色した線維芽細胞の顕微鏡像を示す。
【図4】化合物2で糖尿病マウスを経口治療した場合の血糖低下効果及び体重への影響を示す。
【図5】化合物2の経口投与による糖尿病マウスにおけるグルコース耐糖性を示す。
【図6】糖尿病マウスにおける化合物1の血清コレステロール低下効果を示す。
【図7】化合物1及び2によるヒト末梢血細胞におけるTNFα阻害効果を示す。
【図8】化合物1及び2によるマウスマクロファージにおけるLPS-誘導NO産生(亜硝酸塩濃度の測定による)の阻害を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物、それらの類似体、互変異性体の形態、立体異性体、多形、水和物、医薬的に許容され得る塩及び医薬的に許容され得る溶媒和化合物:


(式中、---は任意の結合を示し、VはCH又はNを示し;YはO又はSを示し;WはO又はNR8を示し;R8は、水素又は線状又は分岐の置換又は非置換(C1-C6)アルキル基から選ばれ;XはCR9、O又はSを示し、R9は水素であるか又はR9とZが一緒に5又は6員の芳香族又はO、S又はNから選ばれる1〜2ヘテロ原子を含む複素環系を形成し;ZはO、Sを示すか又はR9と一緒にO、S又はNから選ばれる1〜2ヘテロ原子を含む5〜6員芳香族又は複素環系を形成し;R1とR2は同一でも異なっていてもよく、水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、アミノ基、COR10又は線状、分岐、置換又は非置換の(C1-C6)アルキル基;又は置換又は非置換(C1-C6)アルコキシ基から独立して選ばれ;R10は、-OR11又はNR12R13を示し、R11は水素、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基又は対イオンから選ばれる置換基又は非置換基を示し;R12とR13は、同一でも異なっていてもよく、独立してH又は置換又は非置換アルキル基、アルケニル基又はアリール基を示すか;又はR12とR13は、一緒になってヘテロ脂肪族又は複素環式芳香族環を形成し;R3、R4、R5及びR6は水素、ハロゲン;ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、アミノ基、線状又は分岐の置換又は非置換(C1-C6)アルキル基又はアルコキシ基;ハロアルキル基、カルボン酸及びその誘導体;非置換スルホンアミド基、スルホニルメチル基から選ばれ;R7は、水素、置換又は非置換アルキル基、アルケニル基、-CH2COOR、アリール基又は対イオンを示し;Rは、H又は(C1-C6)アルキル基を示す)。
【請求項2】
式中、YがOであり、XがS又はCR9であり;R1がCOR10であり、R2が水素又はアルキルである、請求項1に記載の化合物、それらの類似体、互変異性体の形態、立体異性体、多形、水和物、医薬的に許容され得る塩及び医薬的に許容され得る溶媒和化合物。
【請求項3】
式中、R3が水素又はハロであり;R4及びR6が水素であり;R5が水素、ハロ、ハロアルキル又はアルコキシであり;R7が水素、-CH2COOR又は対イオンである、請求項2に記載の化合物、それらの類似体、互変異性体の形態、立体異性体、多形、水和物、医薬的に許容され得る塩及び医薬的に許容され得る溶媒和化合物。
【請求項4】
式中、VがCHであり;XがSであり;Y、Z及びWがOであり;R10が-OR11であり;R11が水素又は対イオンであり;R2、R3、R4、R5及びR6が水素であり;R7が水素又は対イオンである請求項3に記載の化合物、それらの類似体、互変異性体の形態、立体異性体、多形、水和物、医薬的に許容され得る塩及び医薬的に許容され得る溶媒和化合物。
【請求項5】
以下のものから選ばれる請求項3に記載の化合物、それらの類似体、互変異性体の形態、立体異性体、多形、水和物、医薬的に許容され得る塩及び医薬的に許容され得る溶媒和化合物:
{4-[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
{4-[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-フェノキシ]-フェニル}-酢酸二ナトリウム塩;
{4-[4-(4-オキソ-2-チオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
{4-[4-(3-カルボキシメチル-4-オキソ-2-チオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
{4-[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-2-フルオロ-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
{4-[2-クロロ-4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
{4-[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-2-トリフルオロメチル-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
{4-[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-2-メトキシ-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
{4-[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-3-フルオロ-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
{4-[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イリデンメチル)-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
{4-[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イリデンメチル)-2-トリフルオロメチル-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
{4-[4-(4-オキソ-2-チオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-2-トリフルオロメチル-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
{4-[4-(4-オキソ-2-チオキソ-チアゾリジン-5-イリデンメチル)-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
{4-[4-(3-カルボキシメチル-4-オキソ-2-チオキソ-チアゾリジン-5-イリデンメチル)-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
{4-[4-(3-カルボキシメチル-4-オキソ-2-チオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-3-フルオロ-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
{6-[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-フェノキシ]-ピリジン-3-イル}-酢酸;
{6-[4-(4-オキソ-2-チオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-フェノキシ]-ピリジン-3-イル}-酢酸;
{6-[4-(3-カルボキシメチル-4-オキソ-2-チオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-フェノキシ]-ピリジン-3-イル}-酢酸;
{6-[4-(2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-3-イルメチル)-フェノキシ]-ピリジン-3-イル}-酢酸;
{6-[4-(2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-3-イルメチル)-2-トリフルオロメチル-フェノキシ]-ピリジン-3-イル}-酢酸;
{4-[4-(2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-3-イルメチル)-2-トリフルオロメチル-フェノキシ]-フェニル}-酢酸;
{4-[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-フェノキシ]-2-フルオロ-フェニル}-酢酸;
2-{4-[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-フェノキシ]-フェニル}-N,N-ジメチル-アセトアミド;
2-{4-[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-フェノキシ]-フェニル}-アセトアミド;
5-{4-[4-(2-オキソ-2-ピペラジン-1-イル-エチル)-フェノキシ]-ベンジル}-チアゾリジン-2,4-ジオン;
5-{4-[4-(2-モルホリン-4-イル-2-オキソ-エチル)-フェノキシ]-ベンジル}-チアゾリジン-2,4-ジオン;
2-{4-[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-フェノキシ]-フェニル}-酪酸;
(4-{[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-フェニル]-メチル-アミノ}-フェニル)-酢酸;又は
5-{4-[4-(2-オキソ-2-ピペラジン-1-イル-エチル)-フェノキシ]-3-トリフルオロメチル-ベンジル}-チアゾリジン-2,4-ジオン。
【請求項6】
化合物{4-[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-フェノキシ]-フェニル}-酢酸。
【請求項7】
化合物{4-[4-(2,4-ジオキソ-チアゾリジン-5-イルメチル)-フェノキシ]-フェニル}-酢酸二ナトリウム塩。
【請求項8】
前記医薬的に許容され得る塩が、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ベシレート、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩からなる群より選ばれる、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
被験者においてグルコース、脂肪酸、コレステロール又はトリグリセリド及び医薬的に許容され得るキャリヤー、希釈剤、賦形剤又は溶媒和化合物の血漿レベルを低減するのに十分な、治療上有効な量の請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物又は化合物の混合物、それらの類似体、互変異性体の形態、立体異性体、多形、水和物、医薬的に許容され得る塩又は医薬的に許容され得る溶媒和化合物を含む、医薬組成物。
【請求項10】
被験者において肥満、自己免疫疾患、炎症、免疫学的疾患、糖尿病又はインスリン抵抗性に関する疾患を治療するのに十分な、治療上有効な量の請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物又は化合物の混合物、それらの類似体、互変異性体の形態、立体異性体、多形、水和物、医薬的に許容され得る塩又は医薬的に許容され得る溶媒和化合物を含む、医薬組成物。
【請求項11】
錠、カプセル、粉末、シロップ、エアロゾル又はサスペンジョンの形態における、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
錠、カプセル、粉末、シロップ、エアロゾル又はサスペンジョンの形態における、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
有効量の、請求項1に記載の化合物又は化合物の混合物、それらの類似体、互変異性体の形態、立体異性体、多形、水和物、医薬的に許容され得る塩又は医薬的に許容され得る溶媒和化合物を、それらを必要とする患者に投与することを含む、血漿中のグルコースレベルの低減方法。
【請求項14】
有効量の、請求項1に記載の化合物又は化合物の混合物、それらの類似体、互変異性体の形態、立体異性体、多形、水和物、医薬的に許容され得る塩又は医薬的に許容され得る溶媒和化合物を、それらを必要とする患者に投与することを含む、血漿中の遊離脂肪酸レベルの低減方法。
【請求項15】
有効量の、請求項1に記載の化合物又は化合物の混合物、それらの類似体、互変異性体の形態、立体異性体、多形、水和物、医薬的に許容され得る塩又は医薬的に許容され得る溶媒和化合物を、それらを必要とする患者に投与することを含む、血漿中のコレステロールレベルの低減方法。
【請求項16】
有効量の、請求項1に記載の化合物又は化合物の混合物、それらの類似体、互変異性体の形態、立体異性体、多形、水和物、医薬的に許容され得る塩又は医薬的に許容され得る溶媒和化合物を、それらを必要とする患者に投与することを含む、血漿中のトリグリセリドレベルの低減方法。
【請求項17】
有効量の、請求項1に記載の化合物又は化合物の混合物、それらの類似体、互変異性体の形態、立体異性体、多形、水和物、医薬的に許容され得る塩又は医薬的に許容され得る溶媒和化合物を、それらを必要とする患者に投与することを含む、糖尿病の治療方法。
【請求項18】
有効量の、請求項1に記載の化合物又は化合物の混合物、それらの類似体、互変異性体の形態、立体異性体、多形、水和物、医薬的に許容され得る塩又は医薬的に許容され得る溶媒和化合物を、それらを必要とする患者に投与することを含む、肥満の治療方法。
【請求項19】
有効量の、請求項1に記載の化合物又は化合物の混合物、それらの類似体、互変異性体の形態、立体異性体、多形、水和物、医薬的に許容され得る塩又は医薬的に許容され得る溶媒和化合物を、それらを必要とする患者に投与することを含む、自己免疫疾患の治療方法。
【請求項20】
有効量の、請求項1に記載の化合物又は化合物の混合物、それらの類似体、互変異性体の形態、立体異性体、多形、水和物、医薬的に許容され得る塩又は医薬的に許容され得る溶媒和化合物を、それらを必要とする患者に投与することを含む、癌の治療方法。
【請求項21】
有効量の、請求項1に記載の化合物又は化合物の混合物、それらの類似体、互変異性体の形態、立体異性体、多形、水和物、医薬的に許容され得る塩又は医薬的に許容され得る溶媒和化合物を、それらを必要とする患者に投与することを含む、炎症の治療方法。
【請求項22】
有効量の、請求項1に記載の化合物又は化合物の混合物、それらの類似体、互変異性体の形態、立体異性体、多形、水和物、医薬的に許容され得る塩又は医薬的に許容され得る溶媒和化合物を、それらを必要とする患者に投与することを含む、免疫学的疾患の治療方法。
【請求項23】
有効量の、請求項1に記載の化合物又は化合物の混合物、それらの類似体、互変異性体の形態、立体異性体、多形、水和物、医薬的に許容され得る塩又は医薬的に許容され得る溶媒和化合物を、それらを必要とする患者に投与することを含む、インスリン抵抗性に関する疾患の治療方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−528997(P2009−528997A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556356(P2008−556356)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/004007
【国際公開番号】WO2007/097992
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(505268758)ベクセル ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】