説明

方向検出装置、空調装置及び空調システム

【課題】被制御装置が位置する方向を検出する。
【解決手段】通信端末50を構成する方向検出装置60のアンテナ61を順次選択し、当該選択したアンテナ61を介して電波を出力する。次に、当該電波が空調装置30に受信されたときの電界強度が最大になったときに選択されていたアンテナを特定する。そして、特定したアンテナが向く方向を、空調装置30が位置する方向として検出する。これにより、簡素な装置を用いて、方向の検出を行うことができる。また、検出結果に基づいて、空調装置30の出力を調整することで、効率よく空調装置30を制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方向検出装置、空調装置及び空調システムに関し、更に詳しくは、通信装置が位置する方向を検出する方向検出装置、前記方向検出装置を備える空調装置及び空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化やエネルギー資源の枯渇などの問題への対応が急務となっており、オフィスビルや家屋に設置される電気設備の省エネ化が推進されている。空調設備で消費される電力量の割合は、年間を通して比較的高い。したがって、空調設備で消費される電力を削減することができれば、大きな省エネ効果が期待できる。
【0003】
このため、オフィス等の作業スペースでは、各作業者の机上の温度を監視しながら、空調装置を制御する空調システムが提案されている。この種の空調システムでは、温度や湿度等を計測した結果を発信する通信端末と空調装置との位置関係が既知である必要がある。
【0004】
そこで、制御対象機器と通信端末との位置関係を容易に計測するための技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載された装置は、オフィス内での位置が既知である複数の受信端末を有している。そして、通信端末からの電波が受信端末に到達するまでの時間に基づいて、通信端末の位置を検出する。特許文献1に記載された装置を用いることで、例えばオフィスの模様替えなどによって、机上の温度や照度等を監視するための通信端末の位置が変わっても、継続して空調装置や照明装置等を効率的に運用することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−253494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された装置を用いる場合には、通信端末からの電波を受信するための受信端末を、オフィス内に設置する必要がある。このため、装置の製造コストや、ランニングコストが比較的高価になるという問題がある。
【0007】
また、空調装置や照明装置の制御では、空調装置等を基準として、通信端末がどちらの方向に位置しているかが重要である。例えば、空調装置の制御を例にすると、通信端末が多少移動したとしても、空調装置から見た通信端末が位置する方向に変化がなければ、空調装置からの出力を大幅に変更することなく、快適な空調を実現することができる。
【0008】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、被制御装置が位置する方向を検出することにより、被制御機器の制御を効率よく行うとともに、装置の低コスト化を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の方向検出装置は、
通信機器が位置する方向を検出する方向検出装置であって、
指向性を有するアンテナと、
前記アンテナを介して、前記通信機器へ信号を出力する通信手段と、
前記通信機器によって受信された前記信号の強度と、前記アンテナの向きに基づいて、前記通信機器が位置する方向を検出する方向検出手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、指向性を有するアンテナを介して出力される信号が受信されたときの信号強度に基づいて、通信機器が位置する方向が検出される。したがって、検出結果を用いて、被制御機器を効率よく制御することが可能となる。また、位置関係が既知な受信装置を用いることなく、簡易な構成の装置で通信装置が位置する方向を検出することができる。したがって、装置の製造コスト及びランニングコストを削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態に係る制御システムのブロック図である。
【図2】制御システムを構成する装置の配置を示す図である。
【図3】制御システムを構成する各装置のブロック図である。
【図4】アンテナのE面指向性を示す図である。
【図5】アンテナのH面指向性を示す図である。
【図6】アンテナの配置を示す図である。
【図7】方向検出処理を示すフローチャートである。
【図8】第2の実施形態に係る通信端末のブロック図である。
【図9】通信端末が実行する処理を示すフローチャートである。
【図10】第3の実施形態に係る方向検出装置が備えるシールドを、アンテナとともに示す斜視図である。
【図11】第4の実施形態に係る通信端末のブロック図である。
【図12】アンテナを回転させるモータの斜視図である。
【図13】制御システムの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る制御システム10の概略的な構成を示すブロック図である。制御システム10は、机が配置されるオフィス等のスペースに設けられた空調装置30、及び照明装置40の制御を行うシステムである。図1に示されるように、この制御システム10は、空調装置30、4台の照明装置40〜40、方向検出装置60を備える3つの通信端末50〜50を有している。
【0013】
図2は、制御システム10を構成する装置の配置を示す図である。図2に示されるように、空調装置30は、スペース100の天井の中央部に配置されている。空調装置30は、スペース100の空気を冷却、或いは加熱することにより空調空気を生成し、スペース100に吐出する。
【0014】
図3は、制御システム10を構成する各装置のブロック図である。図3を参照するとわかるように、空調装置30は、通信部31と出力制御部32を有している。
【0015】
通信部31は、例えばUWB(Ultra Wide Band)の電波を用いて、パケット通信を行う通信インタフェースを含んで構成されている。通信部31は、通信端末50と無線通信を行う。そして、通信端末50から出力される情報を受信すると、受信した情報を出力制御部32へ出力する。また、受信した情報に対応する情報を通信端末50へ出力する。
【0016】
出力制御部32は、通信端末50から出力された情報を、通信部31を介して受信する。そして、受信した情報の内容に応じて、スペース100に吐出する空調空気の量や、吐出方向の調整を行う。例えば、空調装置30は、空調空気を4方向へ吐出するための4つの吹き出し口を有している。出力制御部32は、空調装置30が備えるファンの回転数を調整することによって、各吹き出し口から出力される空調空気の量を調整する。そして、各吹き出し口に配置されたルーバーそれぞれの角度を調整することによって、空調空気の吐出方向を調整する。
【0017】
図2に示されるように、照明装置40〜40は、長手方向をY軸方向とする長方形の照明装置である。照明装置40,40は、スペース100の左側(−X側)の内壁面に沿って配置されている。また照明装置40,40は、スペース100の右側(+X側)の内壁面に沿って配置されている。
【0018】
図3を参照するとわかるように、照明装置40〜40は、通信部41と調光部42を有している。
【0019】
通信部41は、上述した空調装置30の通信部31と同様に、UWBの電波を用いて、パケット通信を行う通信インタフェースを含んで構成されている。この通信部41は、通信端末50と無線通信を行う。そして、通信端末50から出力される情報を受信すると、受信した情報を調光部42へ出力する。また、受信した情報に対応する情報を通信端末50へ出力する。
【0020】
調光部42は、通信端末50から出力された情報を、通信部41を介して受信する。そして、受信した情報の内容に応じて、照明装置40から射出される照明光の光量の調整を行う。例えば、照明装置40〜40は、光源として、複数のLED或いは蛍光灯を有している。調光部42は、点灯するLEDの数や、蛍光灯の数を増減することにより、照明装置40〜40から射出される照明光の光量を調整する。
【0021】
通信端末50〜50は、例えば周囲の温度や照度等を検出し、検出結果に関する情報を、空調装置30或いは照明装置40へ出力する。この通信端末50〜50は、図3に示されるように、方向検出装置60を構成する複数(例えば4つ)のアンテナ61〜61、アンテナ切替部62、通信部63、方向検出部64、及び制御部65を有している。
【0022】
アンテナ61は、特定の方向の感度が高くなるような指向性を有している。具体的には、アンテナ61は、図4に示されるE面指向性と、図5に示されるH面指向性とを有している。アンテナ61としては、例えばループアンテナ、或いはコーリニアアンテナを用いることができる。
【0023】
これら4つのアンテナ61,61,61,61は、図6を参照するとわかるように、感度が最も高くなる方向が、矢印a1,a2,a3,a4によって示されるように、それぞれ+Y方向、+X方向、−Y方向、−X方向に一致するように配置されている。
【0024】
アンテナ切替部62は、図6に示されるように、アンテナ61〜61が接続された端子を選択するための選択スイッチSWを有している。そして、制御部65の指示に基づいて、選択スイッチSWを操作することにより、アンテナ61〜61のうちのいずれかのアンテナ61を選択する。選択されたアンテナ61は、通信部63に接続される。
【0025】
通信部63は、制御部65の指示を受けると、所定の情報に基づいて変調された電波を出力する。これにより、アンテナ切替部62によって選択されたアンテナ61を介して電波が射出される。また、通信部63は、空調装置30の通信部31、或いは照明装置40の通信部41から送信された情報を受信し、方向検出部64へ出力する。
【0026】
方向検出部64は、通信部63から出力される情報と、アンテナ切替部62によって選択されたアンテナ61に関する情報に基づいて、通信端末50を基準とする空調装置30が位置する方向、或いは照明装置40が位置する方向を検出する。
【0027】
制御部65は、CPU(Central Processing Unit)、主記憶部及び補助記憶部等から構成され、上記各部を統括的に制御する。
【0028】
次に、上述のように構成された通信端末50の方向検出動作について、図7を参照しつつ説明する。通信端末50を構成する方向検出装置60の制御部65は、まず、通信部63に、空調装置30に対する方向探索要求信号Sd(1)の出力を指示する(ステップS101)。これにより、アンテナ切替部62によって選択されたアンテナ61を介して、空調装置30へ、方向探索要求信号Sd(1)が出力される。
【0029】
空調装置30は、方向探索要求信号Sd(1)を受信すると、通信端末50に対して、探索許可信号Sp(1)を出力する(ステップS201)。
【0030】
制御部65は、探索許可信号Sp(1)の受信を確認すると、内蔵するカウンタのカウンタ値Nを零に初期化する(ステップS102)。
【0031】
次に、カウンタ値Nをインクリメントする(ステップS103)。
【0032】
次に、制御部65は、アンテナ切替部62に対して、カウンタ値Nに対応するアンテナ61の選択を指示する(ステップS104)。例えば、カウンタ値Nが1である場合には、アンテナ61が選択され、カウンタ値Nが2である場合には、アンテナ61が選択される。また、制御部65は、合わせて方向検出部64に、選択されたアンテナ61に関する情報を送信する。
【0033】
次に、制御部65は、通信部63に対して、所定の情報の送信を指示する。これにより、通信部63は、上述の情報に基づいて変調した電波を生成し、選択されたアンテナ61を介して出力する(ステップS105)。
【0034】
空調装置30は、通信端末50から射出された電波を受信すると、当該電波の電界強度Eを計測する(ステップS202)。そして、計測結果に関する情報を、通信端末50へ出力する(ステップS203)。
【0035】
この電界強度Eに関する情報は、通信部63を介して、方向検出部64に送信される。方向検出部64は、通信部63から電界強度Eに関する情報を受信すると、当該電界強度Eと、選択されたアンテナ61に関する情報とを関連づけて記憶する。
【0036】
制御部65は、通信部63によって、電界強度の計測結果に関する情報が受信されたことを確認すると、カウンタ値が4以上であるか否かを判断する(ステップS106)。カウンタ値が4より小さい場合には(ステップS106:No)、制御部65は、ステップS103に戻り、ステップS106での判断が肯定されるまで、ステップS103〜ステップS106までの処理を繰り返し実行する。これにより、アンテナ61,61,61が順次選択され、各アンテナ61を介して出力された電波の電界強度E,E,Eに関する情報が、順次方向検出部64に出力される。
【0037】
一方、カウンタ値が4以上である場合には(ステップS106:Yes)、制御部65は、方向検出部64に対して、空調装置30が位置する方向の検出を指示する。方向検出部64は、制御部65からの指示を受けると、選択されたアンテナ61,61,61,61に関する情報と、電界強度E,E,E,Eに関する情報とに基づいて、空調装置30が位置する方向を検出する。具体的には、電界強度E,E,E,Eのうちから値が最も大きい電界強度Eを選択する。そして、選択した電界強度Eに関連づけられたアンテナ61を特定し、当該アンテナ61が向く方向を、空調装置30が位置する方向として検出する。
【0038】
例えば、図6を参照するとわかるように、最大となる電界強度Eに対応するアンテナが、アンテナ61である場合には、方向検出部64は、アンテナ61が向く+Y方向を、空調装置30が位置する方向として検出する。
【0039】
制御部65は、空調装置が位置する方向を検出すると、検出結果に関する情報を空調装置30へ出力し、方向検出動作を終了する。
【0040】
一方、空調装置30は、通信端末50の制御部65から出力された検出結果に基づいて、当該空調装置30を基準として、通信端末50が位置する方向を特定する。そして、例えば特定した方向へ、空調空気が吐出されるように、出力を調整する。
【0041】
同様に、通信端末50,50と空調装置30との間でも、上述した処理が実行される。
【0042】
また、通信端末50,50と空調装置30との間、通信端末50〜50と照明装置40〜40との間でも上述した処理と同様の処理が実行される。これにより、通信端末が位置する方向を、優先的に照明することが可能となる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態では、通信端末50を構成する方向検出装置60のアンテナ61〜61が順次選択され、当該選択されたアンテナ61を介して電波が出力される。次に、当該電波が空調装置30に受信されたときの電界強度が最大になったときに選択されていたアンテナ61が特定される。そして、特定されたアンテナ61が向く方向が、空調装置30が位置する方向として検出される。したがって、検出された方向に基づいて、空調装置30の出力を調整することで、効率よく空調装置30を制御することが可能となる。
【0044】
本実施形態によれば、空調装置30が設置されるスペースに、位置関係が既知な受信装置等を設置することなく、空調装置30が位置する方向を検出することができる。しがたって、制御システム10の構成を簡素化することができ、ひいては製造コスト及びランニングコストを削減することが可能となる。
【0045】
本実施形態では、指向性を有するアンテナ61〜61のうちから、通信対象となる空調装置30に向いたアンテナが特定される。したがって、当該アンテナを用いて、通信を行うことで、混信が生じる頻度の低減を図ることが可能となる。
【0046】
本実施形態では、空調装置30を基準として、通信端末50が位置する方向が検出され、検出結果に基づいて、空調装置30の出力が調整される場合について説明した。これに限らず、各通信端末50〜50から発信された電波が空調装置30に受信された際に、電界強度が最大となる電波を発信した通信端末50を特定し、当該通信端末50から出力される情報に基づいて、空調装置30を運転することとしてもよい。
【0047】
本実施形態では、制御部65は、通信端末50から、方向探索要求信号Sd(N)が送信された後、探索許可信号Sp(N)が受信されたのを確認してから、方向を判定するための一連の動作を実行した。これに限らず、方向探索要求信号Sd(N)の送信、及び探索許可信号Sp(N)の受信の確認を行うことなく、方向探索処理を実行することとしてもよい。
【0048】
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態ついて、図面を参照しつつ説明する。なお、第1の実施形態と同一又は同等の構成については、同等の符号を用いるとともに、その説明を省略又は簡略する。
【0049】
図8は、第2の実施形態に係る通信端末50Aのブロック図である。通信端末50Aは、加速度センサ66を有している点で、第1の実施形態に係る通信端末50と相違している。
【0050】
加速度センサ66は、通信端末50の加速度を検出し、検出した加速度に応じた信号α(t)を出力する。
【0051】
制御部65は、加速度センサ66から出力される信号α(t)に、下記の計算式によって示される演算を施して、所定間隔(例えば5秒間隔)で、通信端末50の移動距離dを算出する。そして、制御部65は、通信端末50の移動距離が所定距離(例えば3m)以上になった場合に、方向探索処理を実行する。
【0052】
【数1】

【0053】
以下、制御部65の動作について、図9に示されるフローチャートを用いて説明する。まず、制御部65は、第1の実施形態で述べた手順で、方向探索処理を実行する(ステップS301)。次に、制御部65は、周囲の温度及び照度の計測(センシング処理)を行い、必要に応じて計測結果を出力する(ステップS302)。次に、制御部65は、上記式に示される演算を行い、通信端末50の移動距離dを算出し、移動距離dが閾値(例えば3m)より大きい場合に(ステップS303:Yes)、ステップS301へ戻り、再度方向探索処理を実行する。一方、移動距離dが閾値以下の場合には(ステップS303:No)、方向探索処理を実行することなく、ステップS302でセンシング処理を行う。
【0054】
以上説明したように、本実施形態では、通信端末50が移動した場合にのみ、方向探索処理が実行される。したがって、通信端末50で消費されるエネルギーを削減することができる。これにより、例えば通信端末50がバッテリーによって駆動されている場合には、バッテリーの消費が抑制され、長時間にわたる通信端末50の稼動が期待できる。また、必要な場合にのみ方向探索処理が実行されるため、通信端末50と空調装置30との間の無線通信の輻輳が軽減される。
【0055】
《第3の実施形態》
次に、本発明の第3の実施形態ついて、図面を参照しつつ説明する。なお、上記実施形態と同一又は同等の構成については、同等の符号を用いるとともに、その説明を省略又は簡略する。
【0056】
図10は、本実施形態に係るアンテナ61〜61の配置を示す斜視図である。図10に示されるように、本実施形態に係る通信端末50Bの方向検出装置60は、シールド68を有している点で、上記実施形態に係る通信端末と相違している。
【0057】
シールド68は、アンテナ61,61とアンテナ61,61間に配置されたシールド板68aと、アンテナ61,61とアンテナ61,61間に配置されたシールド板68bとから構成されている。各シールド板68a,68bそれぞれは、電波の吸収性に優れたカーボンやフェライト等を素材とする。
【0058】
本実施形態では、各アンテナ61から射出され、隣接するアンテナに到達する電波が減衰する。また、シールド板68a,68bへ入射する電波の入射角が大きい場合には、当該電波がアンテナが向く方向へ反射される。このため、シールド68を考慮した各アンテナの指向性は、各アンテナが向く方向の感度が一層強調された特性となる。これにより、更に正確に通信端末50が位置する方向を検出することが可能となる。
【0059】
《第4の実施形態》
次に、本発明の第4の実施形態ついて、図面を参照しつつ説明する。なお、上記実施形態と同一又は同等の構成については、同等の符号を用いるとともに、その説明を省略又は簡略する。
【0060】
図11は、第4の実施形態に係る通信端末50Cのブロック図である。通信端末50Cは、アンテナ切替部62に代わるアンテナ回転部67を有している点で、上記各実施形態と相違している。
【0061】
アンテナ回転部67は、図12に示されるモータ70を有している。このモータ70は、アンテナ61が固定された回転軸70bと、回転軸70bをZ軸に平行な軸Sを中心に回転させる駆動部70aを有するステッピングモータである。アンテナ回転部67は、制御部65からの指示に基づいて、モータ70を駆動することで、アンテナ61を所定の方向へ向ける。
【0062】
制御部65は、方向探索処理を実行させる際には、まずアンテナ回転部67を介して、アンテナ61の向きを、例えば90°ずつ順次変更しながら1回転させる。同時に、通信部63を介して、空調装置30へ電波を射出する。これにより、方向検出部64には、アンテナの向きdと、電界強度Eとからなるデータ(d,E)が蓄積される。
【0063】
方向検出部64は、蓄積されたデータ(d,E)から、電界強度Eが最大となるときのアンテナの向きdを特定し、空調装置30が位置する方向として検出する。
【0064】
以上説明したように、本実施形態では、複数のアンテナを用いることなく、空調装置30が位置する方向を検出することができる。したがって、装置を更に簡素化することができ、制御システム10の製造コスト、及びランニングコストを削減することが可能となる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態によって限定されるものではない。例えば、上記各実施形態では、図1に示されるように、通信端末50が、方向検出装置60を備える場合について説明した。これに限らず、図13に示されるように、空調装置30が方向検出装置60を備えていてもよい。
【0066】
この場合は、通信端末50が受信した電波の電界強度の計測を行い、計測結果に関する情報を、空調装置30へ出力する(ステップS202,S203)。そして、空調装置30の方向検出装置60が、方向探索処理(ステップS101〜S107)を実行する。
【0067】
上記第1の実施形態では、通信端末50を構成する方向検出装置60が、4つのアンテナ61を備えている場合について説明した。これは一例であり、方向検出装置60は、例えば5つ以上のアンテナを有していてもよい。方向検出装置60が備えるアンテナの数が多いほど、空調装置30等が位置する方向を精度よく検出することが可能となる。
【0068】
上記第4の実施形態では、アンテナ回転部67が、アンテナ61を90°ずつ回転させる場合について説明した。これに限らず、アンテナ61を、例えば30°或いは45°ずつ回転させてもよい。これにより、空調装置30等が位置する方向を精度よく検出することが可能となる。
【0069】
上記第2の実施形態では、加速度センサ66からの出力に基づいて算出された通信端末50の移動距離が、閾値以上になった場合に、方向探索処理を実行することとした。これに限らず、加速度センサ66からの出力が、閾値以上になった状態が所定時間継続した場合に、方向探索処理を実行することとしてもよい。例えば、加速度センサ66が9.8m/s以上の加速度を検出した状態が、5秒以上継続した場合に、方向検出装置60が方向検出処理を行うことが考えられる。
【0070】
上記実施形態では、制御システム10が、3つの通信端末50を備えている場合について説明した。これに限らず、制御システムは、2つ以下、或いは4つ以上の通信端末50を備えていてもよい。同様に、2つ以上の空調装置30を有していてもよい。
【0071】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の方向検出装置は、当該方向検出装置からの電波を受信する受信装置が位置する方向を検出するのに適している。また、本発明の空調装置及び空調システムは、居住スペースの空調に適している。
【符号の説明】
【0073】
10 制御システム
30 空調装置
31 通信部
32 出力制御部
40 照明装置
41 通信部
42 調光部
50,50A〜50C 通信端末
60 方向検出装置
61 アンテナ
62 アンテナ切替部
63 通信部
64 方向検出部
65 制御部
66 加速度センサ
67 アンテナ回転部
68 シールド
68a,68b シールド板
70 モータ
70a 駆動部
70b 回転軸
100 スペース
SW 選択スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信機器が位置する方向を検出する方向検出装置であって、
指向性を有するアンテナと、
前記アンテナを介して、前記通信機器へ信号を出力する通信手段と、
前記通信機器によって受信された前記信号の強度と、前記アンテナの向きに基づいて、前記通信機器が位置する方向を検出する方向検出手段と、
を備える方向検出装置。
【請求項2】
相互に異なる指向性を有する複数のアンテナと、
複数の前記アンテナのいずれかを選択する選択手段と、
を備え、
前記通信手段は、選択された前記アンテナを介して、前記信号を出力する請求項1に記載の方向検出装置。
【請求項3】
前記方向検出装置の移動を検出する移動検出手段を備え、
前記方向検出手段は、前記移動検出手段によって移動が検出された場合に、前記通信機器が位置する方向の検出を行う請求項1又は2に記載の方向検出装置。
【請求項4】
複数の前記アンテナ相互間に、前記アンテナから射出される電波を減衰させるシールドが配置される請求項2に記載の方向検出装置。
【請求項5】
前記アンテナを回転させる回転手段を備える請求項1に記載の方向検出装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方向検出装置を備える空調装置。
【請求項7】
前記通信機器は、前記空調装置への指令を入力するためのリモートコントロール装置である請求項6に記載の空調装置。
【請求項8】
空調装置と、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方向検出装置を備え、前記空調装置への指令を入力するためのリモートコントロール装置と、
を備える空調システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−184968(P2012−184968A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47003(P2011−47003)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】