施設管理システムおよび方法
【課題】複数の利用者により複数の部屋を共用する施設利用形態の場合でも、利用者による各部屋の利用効率を高める。
【解決手段】入室要求時、部屋20ごとに最大収容人数と在室者数とを比較して当該部屋への入室可否を判定し、入室可と判定された部屋であって、かつ当該部屋の優先順位が最も高い部屋を入室先として選択し、この入室先が入室要求元の部屋と同じ場合にのみ当該部屋のドア制御端末23に対して入室許可を送信する。退室要求時、移動先候補のうちの1つ以上の部屋へ移動元の在室者すべてが移動可能か否かを判定し、移動可と判定された際、移動元の操作端末22に対して退室指示を送信する。
【解決手段】入室要求時、部屋20ごとに最大収容人数と在室者数とを比較して当該部屋への入室可否を判定し、入室可と判定された部屋であって、かつ当該部屋の優先順位が最も高い部屋を入室先として選択し、この入室先が入室要求元の部屋と同じ場合にのみ当該部屋のドア制御端末23に対して入室許可を送信する。退室要求時、移動先候補のうちの1つ以上の部屋へ移動元の在室者すべてが移動可能か否かを判定し、移動可と判定された際、移動元の操作端末22に対して退室指示を送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設管理技術に関し、特に複数の利用者により複数の部屋を共用する際に用いられる施設管理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスビルでは、施設の有効利用を目的として、不特定の利用者により複数の部屋を共用する、いわゆるフリーアドレス制が導入されつつある。フリーアドレス制とは、個々人に割り当てられていない非占用の席が部屋に複数設けられており、これら席のうち任意の空席を利用して社員が仕事を行う施設利用形態である。
【0003】
このような施設利用形態では、実際には、利用者規模に応じて複数の部屋をフリーアドレス制の部屋として割り当てて利用されている。このため、利用者は、他者からの干渉を避けるため、比較的空席の多い部屋から順に選んで利用する傾向があり、また部屋の利用効率を考慮して、自主的に仕事を中断して混み合っている部屋の席へ移ることもほとんどないことから、部屋ごとに空席が発生しやすくなる。
【0004】
一方、オフィスビルなどの比較的規模の大きい施設では、施設に設けられた部屋ごとに、空調機器や照明機器などの環境制御機器を個別に設け、これらを空調システムや照明システムなどの環境制御システムで一括制御するものとなっている。
【0005】
従来、このような環境制御システムでは、省エネルギーと快適性を両立させるために、各部屋に人感センサを設け、部屋に人が存在する場合には、当該部屋に設けられている空調機器や照明機器などの環境制御機器を通常運転して快適な環境を提供し、部屋に人が存在しない場合には、当該部屋に設けられている空調機器や照明機器などの環境制御機器を低負荷運転するという制御技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献2】特開平11−006644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような従来技術によれば、部屋における人の存在有無に応じて各部屋の空調機器や照明機器などの環境制御機器を制御していることから、人がいない部屋の環境制御機器で消費されるエネルギーを削減することができる。
しかしながら。フリーアドレス制のように、複数の利用者により複数の部屋を共用する場合、前述したように、各部屋に空席が発生しやすく、利用者による部屋の利用効率が悪くなる傾向がある。したがって、このような施設利用形態の施設に対して従来技術を適用した場合、利用者が少ない部屋、さらには利用者が1人でもいる部屋でも、最適な室内環境となるよう環境制御機器が制御されるため、これら部屋の環境制御機器で消費されるエネルギーを効果的に削減できないという問題点があった。
【0008】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、複数の利用者により複数の部屋を共用する施設利用形態の場合でも、利用者による各部屋の利用効率を高めることができ、結果として各部屋でのエネルギー消費を効果的に削減できる施設管理技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために、本発明にかかる施設管理システムは、複数の利用者により複数の部屋を共用する施設について、利用者による個々の部屋の利用を管理する施設管理システムであって、部屋ごとに設置されて、当該部屋へ入室を希望する利用者の入室要求操作を受け付ける操作端末と、部屋ごとに設置されて、当該部屋のドアの開扉を規制するドア制御端末と、操作端末およびドア制御端末とデータ通信を行うことにより、これら操作端末およびドア制御端末を制御して、利用者が部屋の利用を開始する際、当該利用者を部屋のうちのいずれかへ誘導する管理装置とを備え、管理装置は、部屋ごとに、当該部屋で収容可能な利用者人数を示す最大収容人数と、当該部屋が利用される順序を示す優先順位とを含む部屋情報を記憶する部屋情報記憶部と、部屋ごとに、当該部屋に在室している利用者の人数を示す在室者数を含む使用状況を記憶する使用状況記憶部と、入室要求操作に応じて操作端末から送信された入室要求を受信した際、部屋ごとに、当該部屋の最大収容人数と在室者数とを比較することにより、当該部屋への入室可否を判定する判定部と、部屋のうち、判定部で入室可と判定された部屋であって、かつ当該部屋の優先順位が最も高い部屋を入室先として選択する部屋選択部と、部屋選択部で選択された入室先が入室要求元である操作端末の部屋と同じ場合には当該部屋のドア制御端末に対して入室許可を送信し、当該入室先が入室要求元である操作端末の部屋とは異なる場合には当該操作端末に対して入室不可を送信する端末制御部とを含み、ドア制御端末は、管理装置から送信された入室許可の受信に応じて、当該部屋のドアの開扉を許可し、操作端末は、管理装置から送信された入室不可の受信に応じて、当該部屋の入室不可を利用者へ報知する。
【0010】
この際、判定部で、最大収容人数と在室者数との差が入室要求で指定された入室要求人数以上か否かに応じて、当該部屋への入室可否を判定するようにしてもよい。
【0011】
また、本発明にかかる他の施設管理システムは、複数の利用者により複数の部屋を共用する施設について、利用者による個々の部屋の利用を管理する施設管理システムであって、部屋ごとに設置されて、当該部屋から退室を希望する利用者の退室要求操作を受け付ける操作端末と、部屋ごとに設置されて、当該部屋のドアの開扉を規制するドア制御端末と、操作端末およびドア制御端末とデータ通信を行うことにより、これら操作端末およびドア制御端末を制御して、部屋のいずれかに在室する利用者が当該部屋から退室した際、部屋のうち任意の部屋に在室する利用者を部屋のうちの他の部屋へ誘導する管理装置とを備え、管理装置は、部屋ごとに、当該部屋で収容可能な利用者人数を示す最大収容人数と、当該部屋が利用される順序を示す優先順位とを含む部屋情報を記憶する部屋情報記憶部と、部屋ごとに、当該部屋に在室している利用者の人数を示す在室者数を含む使用状況を記憶する使用状況記憶部と、退室要求操作に応じて操作端末から送信された退室要求を受信した際、各部屋の部屋情報および使用状況に基づいて、部屋のうち利用者が在室する在室部屋を、移動元となる部屋と、当該移動元以外の部屋からなる移動先候補とに区分し、これら移動先候補のうちの1つ以上の部屋へ当該移動元に在室する全ての利用者が移動可能か否かを判定する判定部と、判定部で移動可と判定された際、移動先候補ごとに、当該部屋の最大収容人数と在室者数とを比較することにより、当該移動先候補のうちから、移動元に在室する利用者のすべてを収容可能な1つ以上の部屋を移動先として選択する部屋選択部と、退室要求を受信した際、当該退室要求元の操作端末の部屋のドア制御端末に対して退室許可を送信し、判定部で移動可と判定された際、移動元の操作端末に対して退室指示を送信する端末制御部とを含み、ドア制御端末は、管理装置から送信された退室許可または入室許可の受信に応じて、当該ドアの開扉を許可し、操作端末は、管理装置から送信された退室指示の受信に応じて、当該部屋からの退室を当該部屋内の利用者へ報知する。
【0012】
この際、判定部で、移動先候補のそれぞれの最大収容人数と在室者数とから当該移動先候補の部屋全体で収容可能な収容可能総数を算出し、この収容可能総数と移動元の在室者数とを比較することにより、当該移動元から移動先候補への移動可否を判定するようにしてもよい。
【0013】
また、判定部で、移動先候補ごとに、当該部屋の最大収容人数と在室者数との差から当該部屋で収容可能な収容可能人数をそれぞれ算出し、これら収容可能人数を移動元の在室者数とそれぞれ比較することにより、当該移動元に在室する利用者のすべてが移動先候補のうちのいずれか1つの部屋へ移動可能か否かを判定するようにしてもよい。
【0014】
また、判定部で、在室部屋のうち当該部屋の優先順位が最低の部屋を移動元として選択するようにしてもよい。
【0015】
また、判定部で、在室部屋のうち当該部屋の在室者数が最小の部屋を移動元として選択するようにしてもよい。
【0016】
また、本発明にかかる施設管理方法は、複数の利用者により複数の部屋を共用する施設について、部屋ごとに設置されて、当該部屋へ入室を希望する利用者の入室要求操作を受け付ける操作端末と、部屋ごとに設置されて、当該部屋のドアの開扉を規制するドア制御端末と、操作端末およびドア制御端末とデータ通信を行うことにより、これら操作端末およびドア制御端末を制御して、利用者が部屋の利用を開始する際、当該利用者を部屋のうちのいずれかへ誘導する管理装置とを備え、複数の利用者により複数の部屋を共用する施設について、利用者による個々の部屋の利用を管理する施設管理システムで用いられる施設管理方法であって、管理装置の部屋情報記憶部が、部屋ごとに、当該部屋で収容可能な利用者人数を示す最大収容人数と、当該部屋が利用される順序を示す優先順位とを含む部屋情報を記憶する部屋情報記憶ステップと、管理装置の使用状況記憶部が、部屋ごとに、当該部屋に在室している利用者の人数を示す在室者数を含む使用状況を記憶する使用状況記憶ステップと、管理装置の判定部が、入室要求操作に応じて操作端末から送信された入室要求を受信した際、部屋ごとに、当該部屋の最大収容人数と在室者数とを比較することにより、当該部屋への入室可否を判定する判定ステップと、管理装置の部屋選択部が、部屋のうち、判定ステップで入室可と判定された部屋であって、かつ当該部屋の優先順位が最も高い部屋を入室先として選択する部屋選択ステップと、管理装置の端末制御部が、部屋選択ステップで選択された入室先が入室要求元である操作端末の部屋と同じ場合には当該部屋のドア制御端末に対して入室許可を送信し、当該入室先が入室要求元である操作端末の部屋とは異なる場合には当該操作端末に対して入室不可を送信する端末制御ステップと、ドア制御端末が、管理装置から送信された入室許可の受信に応じて、当該部屋のドアの開扉を許可するステップと、操作端末が、管理装置から送信された入室不可の受信に応じて、当該部屋の入室不可を利用者へ報知するステップとを備えている。
【0017】
また、本発明にかかる他の施設管理方法は、複数の利用者により複数の部屋を共用する施設について、部屋ごとに設置されて、当該部屋から退室を希望する利用者の退室要求操作を受け付ける操作端末と、部屋ごとに設置されて、当該部屋のドアの開扉を規制するドア制御端末と、操作端末およびドア制御端末とデータ通信を行うことにより、これら操作端末およびドア制御端末を制御して、部屋のいずれかに在室する利用者が当該部屋から退室した際、部屋のうち任意の部屋に在室する利用者を部屋のうちの他の部屋へ誘導する管理装置とを備え、複数の利用者により複数の部屋を共用する施設について、利用者による個々の部屋の利用を管理する施設管理システムで用いられる施設管理方法であって、管理装置の部屋情報記憶部が、部屋ごとに、当該部屋で収容可能な利用者人数を示す最大収容人数と、当該部屋が利用される順序を示す優先順位とを含む部屋情報を記憶する部屋情報記憶ステップと、管理装置の使用状況記憶部が、部屋ごとに、当該部屋に在室している利用者の人数を示す在室者数を含む使用状況を記憶する使用状況記憶ステップと、管理装置の判定部が、退室要求操作に応じて操作端末から送信された退室要求を受信した際、各部屋の部屋情報および使用状況に基づいて、部屋のうち利用者が在室する在室部屋を、移動元となる部屋と、当該移動元以外の部屋からなる移動先候補とに区分し、これら移動先候補のうちの1つ以上の部屋へ当該移動元に在室する全ての利用者が移動可能か否かを判定する判定ステップと、管理装置の部屋選択部が、判定ステップで移動可と判定された際、移動先候補ごとに、当該部屋の最大収容人数と在室者数とを比較することにより、当該移動先候補のうちから、移動元に在室する利用者のすべてを収容可能な1つ以上の部屋を移動先として選択する部屋選択ステップと、管理装置の端末制御部が、退室要求を受信した際、当該退室要求元の操作端末の部屋のドア制御端末に対して退室許可を送信し、判定ステップで移動可と判定された際、移動元の操作端末に対して退室指示を送信する端末制御ステップと、ドア制御端末が、管理装置から送信された退室許可または入室許可の受信に応じて、当該ドアの開扉を許可するステップと、操作端末が、管理装置から送信された退室指示の受信に応じて、当該部屋からの退室を当該部屋内の利用者へ報知するステップとを備えている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、入室要求時、各部屋の優先順位に基づいて、当該部屋の在室者数が最大収容人数に達するように、利用者を各部屋へ誘導することができる。また、任意の部屋において利用者が退室した際、各部屋のうち任意の部屋に在室する利用者を各部屋のうちの他の部屋へ誘導することができる。
したがって、フリーアドレス制のように、複数の利用者により複数の部屋を共用する施設利用形態であっても、利用者による各部屋の利用効率を高めることができる。このため、任意の部屋に空席があるにもかかわらず優先順位の低い部屋の使用が開始されることはなくなり、優先順位が高い部屋で退室により空席が発生した場合には、他の優先順位が低い部屋より優先して利用者が誘導されることになり、優先順位の低い部屋が利用者のいない空室となる割合が増加する。
【0019】
この結果、部屋における人の存在有無に応じて各部屋の空調機器や照明機器などの環境制御機器を制御する環境制御システムが、当該施設に併設されている場合、本発明により空室が発生する割合を増加させることができるため、この空室の環境制御機器を低負荷で運転したり、停止したりすることができ、より効果的に消費エネルギーを削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる施設管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】管理装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】部屋情報の構成例である。
【図4】使用状況を示す構成例である。
【図5】第1の実施の形態にかかる設備管理システムの入室動作を示すシーケンス図である。
【図6】第1の実施の形態にかかる管理装置の入室処理を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施の形態にかかる管理装置の入室処理を示す説明図である。
【図8】第2の実施の形態にかかる管理装置の入室処理を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態にかかる管理装置の入室処理を示す説明図である。
【図10】第3の実施の形態にかかる設備管理システムの退室動作を示すシーケンス図である。
【図11】第3の実施の形態にかかる管理装置の退室処理を示すフローチャートである。
【図12】第3の実施の形態にかかる管理装置の退室処理を示す説明図である。
【図13】第4の実施の形態にかかる管理装置の退室処理を示すフローチャートである。
【図14】第4の実施の形態にかかる管理装置の退室処理を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる施設管理システムについて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる施設管理システムの構成を示すブロック図である。
【0022】
この施設管理システム1は、複数の利用者により複数の部屋を共用する施設について、利用者による個々の部屋の利用を管理する機能を有している。
この入退室管理システム1には、操作端末22、ドア制御端末23、制御装置30、および管理装置40が含まれている。各部屋20のドア21に対して設置されている操作端末22およびドア制御端末23は、通信回線L1を介してそれぞれデータ通信可能に制御装置30と接続されている。管理装置40には、通信回線L2を介して制御装置30と環境制御システム50とがデータ通信可能に接続されている。
【0023】
環境制御システム50は、サーバ装置などの情報処理装置からなり、各部屋20に設けられた環境制御機器24を制御するシステムである。環境制御機器24は、環境制御システム50と通信回線L3を介してデータ通信可能に接続された、空調機器や照明機器などの機器装置からなり、当該部屋20の室内環境を制御する機能を有している。
環境制御システム50は、環境制御機器24の人感センサで検出した当該部屋20に存在する利用者の有無、あるいは各部屋20の利用状況に基づく管理装置40からの指示に応じて、当該部屋20の環境制御機器24の運転を制御することにより、当該部屋20の環境制御機器24におけるエネルギー消費を削減する機能を有している。
【0024】
操作端末22は、複数の操作キーと表示画面が設けられたインターホンやカード処理装置などの小型通信端末からなり、部屋20のドア21ごとに、当該部屋20の外側と内側にそれぞれ併設されて、当該部屋20へ入室を希望する利用者の入室要求操作を受け付ける機能と、この入室要求操作に応じて、予め自己に設定されている当該部屋20に固有の部屋IDを含む入室要求を、通信回線L1および制御装置30を介して管理装置40へ送信する機能と、通信回線L1および制御装置30を介して管理装置40から通知された指示を受信して、入室不可などの指示内容を利用者へ報知する機能とを有している。
【0025】
ドア制御端末23は、部屋20のドア21ごとに設けられた電動式の錠前、いわゆる電気錠からなり、通信回線L1および制御装置30を介して管理装置40から受信した入室許可に応じて、ドア21の開錠/施錠を行うことにより開扉を許可する機能を有している。なお、ドア制御端末23は、常時、施錠されており、入室許可が通知された場合にのみ所定期間だけ開錠して開扉を許可する。この際、開錠に加えてドア21に対して開扉を指示するようにしてもよい。
【0026】
操作端末22の具体例としてカードリーダなどのカード処理装置を用いる場合、利用者に固有の利用者IDなどの利用者識別情報を記録するメモリカードやICカードなどの携帯可能な情報処理用のIDカードが、予め各利用者に配布される。利用者が部屋20で入退室を行う場合、当該ドア21に併設されている操作端末22(カード処理装置)は、当該カードスロットへIDカードを挿入した際(接触型)、あるいはカードアンテナへIDカードをかざした際に(非接触型)、利用者が提示したIDカードから利用者IDなどの利用者識別情報を読み出して、入室要求や退室要求により制御装置30や管理装置40へ通知する。
【0027】
これにより、制御装置30や管理装置40は、通知された利用者識別情報に基づいて、予め設定されている当該利用者の通行可能ドア情報と照合することにより、当該ドア21の通行可否を判定し、通行可能な場合にのみ、当該ドア21のドア制御端末23へ開扉許可を通知する。これにより、各部屋20での入退室を制限でき、高いセキュリティ性が得られる。
【0028】
制御装置30は、設備の管理・監視を行う各種制御システムで用いられるコントローラなどの制御装置からなり、各部屋20に設けられた操作端末22からの入室要求や退室要求を管理装置40へ通知し、管理装置40からの指示を各部屋20の操作端末22やドア制御端末23へ通知する機能を有している。
【0029】
管理装置40は、全体としてサーバ装置やパソコンなどの情報処理装置からなり、操作端末22およびドア制御端末23と制御装置30を介してデータ通信を行うことにより、これら操作端末22およびドア制御端末23を制御する機能と、利用者が部屋20の利用を開始する際、当該利用者を部屋20のうちのいずれかへ誘導する機能を有している。
【0030】
図2は、管理装置の構成例を示すブロック図である。
管理装置40には、主な機能部として、通信I/F部41、操作入力部42、画面表示部43、記憶部44、部屋情報記憶部44A、使用状況記憶部44B、判定部45、部屋選択部46、および端末制御部47が設けられており、これら機能部は、内部バスを介して相互にデータやり取り可能に接続されている。
【0031】
通信I/F部41は、通信回線L2を介して制御装置30や環境制御システム50などの外部装置とデータ通信を行う機能を有している。
操作入力部42は、キーボードやマウスなどの操作入力装置からなり、オペレータ操作を検出して、判定部45などの各種機能部へ出力する機能を有している。
画面表示部43は、LCDやPDPなどの画面表示装置からなり、端末制御部47などの各種機能部から出力された各種情報を画面表示する機能を有している。
記憶部44は、メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、管理装置40での処理動作に用いる各種情報やプログラムを記憶する機能を有している。
【0032】
部屋情報記憶部44Aは、メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、入退室を管理する部屋20ごとに、当該部屋20を識別するための部屋IDと、当該部屋20に収容可能な利用者の数を示す最大収容人数と、各部屋20のうち当該部屋を利用する順番を示す優先順位とを含む部屋情報を記憶する記憶部である。
【0033】
図3は、部屋情報の構成例である。ここでは、部屋IDごとに、最大収容人数と優先順位とが登録されている。前述したフリーアドレス制では、最大収容人数が当該部屋に設けられている席の数に相当する。各部屋には、その優先順位が高い「1」から順に利用者が誘導される。この優先順位については、例えば日時による部屋の利用傾向や、利用者数と各部屋の最大収容人数との関係、あるいは各部屋の環境制御機器24での消費エネルギー効率などが考慮して予め設定される。
【0034】
使用状況記憶部44Bは、メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、入退室を管理する部屋20ごとに、当該部屋を識別するための部屋IDと、各部屋20に在室している利用者の人数を示す在室者数とを含む使用状況を記憶する記憶部である。
図4は、使用状況を示す構成例である。ここでは、部屋IDごとに、在室者数が登録されている。この在室者数は、操作端末22から送信された入室要求や退室要求に応じて入退室を許可した際に合わせて更新される。
【0035】
判定部45は、入室要求操作に応じて操作端末22から送信された入室要求を通信I/F部41を介して受信した際、部屋20ごとに、当該部屋の最大収容人数と在室者数とを比較することにより、当該部屋への入室可否を判定する機能を有している。
部屋選択部46は、入室要求時、部屋20のうち、判定部45で入室可と判定された部屋であって、かつ当該部屋の優先順位が最も高い部屋を入室先として選択する機能を有している。
【0036】
端末制御部47は、入室要求時、部屋選択部46で選択された入室先が入室要求元である操作端末22の部屋と同じ場合には部屋のドア制御端末23に対して入室許可を送信し、当該入室先が入室要求元である操作端末22の部屋とは異なる場合には当該操作端末22に対して入室不可を送信する機能と、入室許可送信時に環境制御システム50へ環境制御指示を送信する機能とを有している。
【0037】
管理装置40の機能部のうち、判定部45、部屋選択部46、および端末制御部47については、CPUとプログラムとが協働してなる演算処理部により構成されている。
記憶部44、部屋情報記憶部44A、および使用状況記憶部44Bについては、別個の記憶装置で構成してもよく、これら複数あるいはすべてを1つの記憶装置で構成してもよい。
【0038】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図5を参照して、本実施の形態にかかる設備管理システムの動作について説明する。図5は、第1の実施の形態にかかる設備管理システムの入室動作を示すシーケンス図である。
設備管理システム1は、任意の部屋20の操作端末22で入室要求操作が行われた場合、図5の入室動作を実行する。
【0039】
操作端末22は、利用者の入室要求操作を受け付けて、予め自己に設定されている当該部屋20に固有の部屋IDを含む入室要求を、通信回線L1を介して制御装置30へ送信する(ステップ100)。
管理装置40は、制御装置30で中継転送された操作端末22からの入室要求を、通信回線L2を介して通信I/F部41で受信し、後述する入室処理を実行することにより、部屋20のうちから当該利用者の入室先を選択する(ステップ101)。
【0040】
ここで、すべての部屋20において在室者数が最大収容人数に達していて、入室可能な部屋20、すなわち入室先が存在しない場合(ステップ102:NO)、管理装置40の端末制御部47は、通信I/F部41から入室要求元の操作端末22に対して、入室不可を送信する(ステップ103)。
操作端末22は、制御装置30で中継転送された管理装置40からの入室不可に応じて、入室先となる部屋が存在しない旨を、画面表示や音声メッセージにより、利用者へ報知する(ステップ104)。
【0041】
一方、ステップ102において、入室先が存在する場合(ステップ102:YES)、端末制御部47は、当該入室先の部屋IDと入室要求元である操作端末22の部屋の部屋IDとを比較して、当該入室先が入室要求元である操作端末22の部屋と同じかどうか確認し(ステップ110)、当該入室先が入室要求元である操作端末22の部屋と異なる場合(ステップ110:NO)、端末制御部47は、通信I/F部41から入室要求元の操作端末22に対して、入室先となる部屋の名前を含む入室先情報を送信する(ステップ111)。
操作端末22は、制御装置30で中継転送された管理装置40からの入室先情報に応じて、入室先が他の部屋である旨や入室先の部屋名を、画面表示や音声メッセージにより、利用者へ報知する(ステップ112)。
【0042】
また、ステップ110において、当該入室先が入室要求元である操作端末22の部屋と同じである場合(ステップ110:YES)、端末制御部47は、使用状況記憶部44Bで記憶している使用状況のうち、入室先である部屋の使用状況について、在室者数を1だけ加算することにより在室者数を更新し(ステップ120)、通信I/F部41から入室要求元の操作端末22に対して入室許可を送信するとともに(ステップ121)、通信I/F部41から入室先のドア制御端末23に対して入室許可を送信する(ステップ122)。
【0043】
操作端末22は、制御装置30で中継転送された管理装置40からの入室許可に応じて、当該部屋20への入室が許可された旨を、画面表示や音声メッセージにより、利用者へ報知する(ステップ123)。
また、ドア制御端末23は、制御装置30で中継転送された管理装置40からの入室許可に応じて、当該ドア21の開錠を行うことにより開扉を許可する(ステップ124)。これにより、利用者は、当該ドア21を通行して部屋20へ入室することになる。
【0044】
また、管理装置40の端末制御部47は、通信I/F部41から環境制御システム50に対して、入室先を示す部屋IDを含む環境制御指示を送信する(ステップ130)。
環境制御システム50は、通信回線L2を介して受信した管理装置40からの環境制御指示に応じて、当該環境制御指示に含まれる部屋IDと対応する部屋20の環境制御機器24を制御して、空調や照明など当該部屋20の室内環境を制御する(ステップ131)。
【0045】
したがって、空き部屋に対して最初に利用者を誘導する場合、環境制御指示により当該部屋の利用開始を通知すれば、環境制御機器に対する利用者操作を必要とすることなく、環境制御システム50により、空調や照明など快適な室内環境を提供するための動作が自動的に開始される。
また、環境制御指示により、当該部屋の在室者数を通知すれば、この在室者数に基づき当該部屋における熱源数を環境制御システム50が把握でき、快適な室内環境を提供するための動作に利用できる。
【0046】
[入室処理]
次に、図6および図7を参照して、管理装置40における入室処理について説明する。図6は、第1の実施の形態にかかる管理装置の入室処理を示すフローチャートである。図7は、第1の実施の形態にかかる管理装置の入室処理を示す説明図である。
ここでは、部屋20としてR1,R2,R3の3つの部屋が設けられており、このうち部屋R1の優先順位が最も高く、部屋R3の優先順位が最も低く、部屋R1の在室者数が最大収容人数に達しており、部屋R1へ入室することができない利用状況で、新たな利用者が部屋R1への入室を要求した場合を例として説明する。
【0047】
管理装置40は、図5のステップ111において、図6の入室処理を実行する。
まず、判定部45は、入室要求操作に応じて操作端末22から送信された入室要求を通信I/F部41を介して受信した際、部屋情報記憶部44Aの部屋情報から、各部屋Ri(i=1〜3)の最大収容人数Max(Ri)と優先順位Jun(Ri)とを取得するとともに(ステップ150)、使用状況記憶部44Bの使用状況から、各部屋Ri(i=1〜3)の在室者数N(Ri)を取得する(ステップ151)。
【0048】
次に、判定部45は、部屋Riごとに、最大収容人数Max(Ri)と在室者数N(Ri)とを比較して、Max(Ri)>N(Ri)である入室可能な部屋、すなわち入室先候補Rcを確認する(ステップ152)。
【0049】
ここで、Max(Ri)>N(Ri)である入室先候補Rcが1つ以上見つかった場合(ステップ152:YES)、部屋選択部46は、これら入室先候補Rcの優先順位Jun(Rc)に基づいて、入室先候補Rcのうち最も優先順位の高い部屋を入室先Rdとして選択し(ステップ153)、一連の入室処理を終了する。
一方、ステップ152において、入室先候補Rcが1つ見つからない場合(ステップ152:NO)、判定部45は、入室先なしと判定して(ステップ154)、一連の入室処理を終了する。
【0050】
図7において、部屋R1のMax(R1)とN(R1)が等しいことから、部屋R1が満席である。一方、部屋R2,R3のN(R2),N(R3)はともに「0」(ゼロ)であることから、Max(Ri)>N(Ri)が成立することから、これらR2,R3が入室先候補Rcとして選択される。ここで、部屋R2,R3のうちJun(R2)が最高順位を示すことから、部屋R2が入室先Rdとして選択される。
【0051】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、入室要求を受信した際、判定部45において、部屋20ごとに、当該部屋の最大収容人数と在室者数とを比較することにより、当該部屋への入室可否を判定し、部屋選択部46において、各部屋20のうち、判定部45で入室可と判定された部屋であって、かつ当該部屋の優先順位が最も高い部屋を入室先として選択し、端末制御部47において、この入室先が入室要求元である操作端末22の部屋と同じ場合には当該部屋のドア制御端末23に対して入室許可を送信し、当該入室先が入室要求元である操作端末の部屋とは異なる場合には当該操作端末22に対して入室不可を送信するようにしたので、各部屋の優先順位に基づいて、当該部屋の在室者数が最大収容人数に達するように、利用者を各部屋へ誘導することができる。
【0052】
したがって、フリーアドレス制のように、複数の利用者により複数の部屋を共用する施設利用形態であっても、利用者による各部屋の利用効率を高めることができる。このため、任意の部屋に空席があるにもかかわらず優先順位の低い部屋の使用が開始されることはなくなり、優先順位が高い部屋で退室により空席が発生した場合には、他の優先順位が低い部屋より優先して利用者が誘導されることになり、優先順位の低い部屋が利用者のいない空室となる割合が増加する。
【0053】
この結果、部屋における人の存在有無に応じて各部屋の空調機器や照明機器などの環境制御機器を制御する環境制御システムが、当該施設に併設されている場合、本発明により空室が発生する割合を増加させることができるため、この空室の環境制御機器を低負荷で運転したり、停止したりすることができ、より効果的に消費エネルギーを削減することが可能となる。
【0054】
[第2の実施の形態]
次に、図8および図9を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる設備管理システムについて説明する。図8は、第2の実施の形態にかかる管理装置の入室処理を示すフローチャートであり、図6と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。図9は、第2の実施の形態にかかる管理装置の入室処理を示す説明図である。
【0055】
第1の実施の形態では、管理装置の入室処理において、入室を希望する利用者が1人の場合を例として説明した。本実施の形態では、入室を希望する利用者が複数同時に発生し、これら利用者が同一の部屋へ入室を希望する場合について説明する。なお、本実施の形態にかかる設備監視システム1の構成については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0056】
入室要求操作時、操作端末22から入室要求人数Ninが入力され、入室要求により管理装置40へ通知される。
管理装置40の判定部45は、入室要求操作に応じて操作端末22から送信された入室要求を通信I/F部41を介して受信した際、部屋情報記憶部44Aの部屋情報から、各部屋Ri(i=1〜3)の最大収容人数Max(Ri)と優先順位Jun(Ri)とを取得するとともに(ステップ150)、使用状況記憶部44Bの使用状況から、各部屋Ri(i=1〜3)の在室者数N(Ri)を取得する(ステップ151)。また、判定部45は、当該入室要求から入室要求人数Ninを取得する(ステップ200)。
【0057】
次に、判定部45は、部屋Riごとに、最大収容人数Max(Ri)と在室者数N(Ri)と差と、入室要求人数Ninとを比較して、Max(Ri)−N(Ri)≧Ninである入室可能な部屋、すなわち入室先候補Rcを確認する(ステップ201)。
【0058】
ここで、Max(Ri)−N(Ri)≧Ninである入室先候補Rcが1つ以上見つかった場合(ステップ201:YES)、部屋選択部46は、これら入室先候補Rcの優先順位Jun(Rc)に基づいて、入室先候補Rcのうち最も優先順位の高い部屋を入室先Rdとして選択し(ステップ153)、一連の入室処理を終了する。
一方、ステップ201において、入室先候補Rcが1つ見つからない場合(ステップ201:NO)、判定部45は、入室先なしと判定して(ステップ154)、一連の入室処理を終了する。
【0059】
図9において、部屋R1のMax(Ri)−N(Ri)が「2」で、Ninが「3」であることから、部屋R1は利用者全員が着席不可である。一方、部屋R2,R3のN(R2),N(R3)はともに「0」(ゼロ)であり、Max(Ri)−N(Ri)≧Ninが成立することから、これらR2,R3が入室先候補Rcとして選択される。ここで、部屋R2,R3のうちJun(R2)が最高順位を示すことから、部屋R2が入室先Rdとして選択される。
【0060】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態では、判定部45において、最大収容人数と在室者数との差が入室要求で指定された入室要求人数以上か否かに応じて、当該部屋への入室可否を判定するようにしたので、入室を希望する利用者が複数同時に発生し、これら利用者が同一の部屋へ入室を希望する場合でも、各部屋の優先順位に基づいて、当該部屋の在室者数が最大収容人数に達するように、利用者を各部屋へ誘導することができる。
したがって、フリーアドレス制のように、複数の利用者により複数の部屋を共用する施設利用形態であっても、利用者による各部屋の利用効率を高めることができる。
【0061】
[第3の実施の形態]
次に、図10を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかる設備管理システムについて説明する。図10は、第3の実施の形態にかかる設備管理システムの退室動作を示すシーケンス図である。
ここでは、任意の部屋20において利用者が退室した際、部屋のうち任意の部屋に在室する利用者を部屋のうちの他の部屋へ誘導する場合について説明する。
【0062】
本実施の形態において、操作端末22は、部屋20から退室を希望する利用者の退室要求操作を受け付ける機能と、この退室要求操作に応じて、予め自己に設定されている当該部屋20に固有の部屋IDを含む退室要求を、通信回線L1および制御装置30を介して管理装置40へ送信する機能と、通信回線L1および制御装置30を介して管理装置40から通知された指示を受信して、退室指示などの指示内容を利用者へ報知する機能とを有している。
【0063】
ドア制御端末23は、通信回線L1および制御装置30を介して管理装置40から受信した退室許可に応じて、ドア21の開錠/施錠を行うことにより開扉を許可する機能を有している。なお、ドア制御端末23は、常時、施錠されており、退室許可が通知された場合にのみ所定期間だけ開錠して開扉を許可する。この際、開錠に加えてドア21に対して開扉を指示するようにしてもよい。
【0064】
管理装置40は、部屋20のいずれかに在室する利用者が当該部屋20から退室した際、これら部屋20のうち任意の部屋20に在室する利用者を部屋20のうちの他の部屋20へ誘導する機能を有している。
【0065】
判定部45は、退室要求操作に応じて操作端末22から送信された退室要求を通信I/F部41を介して受信した際、各部屋20の部屋情報および使用状況に基づいて、部屋20のうち利用者が在室する在室部屋を、移動元となる部屋と、当該移動元以外の部屋からなる移動先候補とに区分し、これら移動先候補のうちの1つ以上の部屋へ当該移動元に在室する全ての利用者が移動可能か否かを判定する機能を有している。
【0066】
部屋選択部46は、退室要求時、判定部45で移動可と判定された際、移動先候補ごとに、当該部屋の最大収容人数と在室者数とを比較することにより、当該移動先候補のうちから、移動元に在室する利用者のすべてを収容可能な1つ以上の部屋を、移動先として選択する機能とを有している。
【0067】
端末制御部47は、退室要求を受信した際、当該退室要求元の操作端末22の部屋のドア制御端末23に対して退室許可を送信し、判定部45で移動可と判定された際、移動元の操作端末22に対して退室指示を送信する機能と、退室許可送信時に環境制御システム50へ環境制御指示を送信する機能とを有している。
本実施の形態にかかる設備管理システム1および管理装置40のうち、これら以外の構成について第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0068】
[第3の実施の形態の動作]
次に、図10を参照して、本実施の形態にかかる設備管理システム1の動作について説明する。
設備管理システム1は、任意の部屋20の操作端末22で退室要求操作が行われた場合、図10の退室動作を実行する。
【0069】
操作端末22は、利用者の退室要求操作を受け付けて、予め自己に設定されている当該部屋20に固有の部屋IDを含む退室要求を、通信回線L1を介して制御装置30へ送信する(ステップ300)。
管理装置40は、制御装置30で中継転送された操作端末22からの退室要求を、通信回線L2を介して通信I/F部41で受信し、管理装置40の端末制御部47は、使用状況記憶部44Bで記憶している使用状況のうち、退室要求元である部屋の使用状況について、在室者数を1だけ減算することにより在室者数を更新する(ステップ301)。
【0070】
また、端末制御部47は、通信I/F部41から退室要求元の操作端末22に対して退室許可を送信するとともに(ステップ302)、通信I/F部41から退室要求元のドア制御端末23に対して退室許可を送信する(ステップ303)。
操作端末22は、制御装置30で中継転送された管理装置40からの退室許可に応じて、当該部屋20からの退室が許可された旨を、画面表示や音声メッセージにより、利用者へ報知する(ステップ304)。
【0071】
また、ドア制御端末23は、制御装置30で中継転送された管理装置40からの退室許可に応じて、当該ドア21の開錠を行うことにより開扉を許可する(ステップ305)。
これにより、利用者は、当該ドア21を通行して部屋20から退室することができる。
【0072】
また、管理装置40は、後述する退室処理を実行することにより、部屋20のうち任意の部屋20に在室する利用者を部屋20のうちの他の部屋20へ移動可能か否かを確認する(ステップ310)。
ここで、移動先となる部屋がなく、部屋の移動が不可能な場合、一連の退室動作を終了する。
【0073】
一方、移動先となる部屋が存在しており、部屋の移動が可能な場合(ステップ311:YES)、端末制御部47は、通信I/F部41から移動元の操作端末22に対して退室指示を送信する(ステップ312)。
操作端末22は、制御装置30で中継転送された管理装置40からの退室指示に応じて、当該部屋20から退室して他の部屋への移動を、画面表示や音声メッセージにより、利用者へ報知する(ステップ313)。この際、退室処理で選択した移動先を退室指示で操作端末22へ通知して、操作端末22から利用者へ報知するようにしてもよい。
【0074】
これにより、移動元に在室する利用者は、当該移動元の操作端末22において、退室要求操作を行って移動元から退室し、移動先の操作端末22において、入室要求操作を行って移動元へ入室することになる。
これら退室および入室における設備管理システム1での退室動作や入室動作については、前述した動作を実行すればよい。なお、これら部屋間の移動にかかる時間が短い場合には、移動元および移動先のドア制御端末23に対して端末制御部47から退室許可および入室許可を送信することにより、移動元および移動先のドアを開錠してもよい。これにより、利用者の操作を必要とすることなく、部屋間を移動することができる。
【0075】
また、管理装置40の端末制御部47は、通信I/F部41から環境制御システム50に対して、入室先を示す部屋IDを含む環境制御指示を送信する(ステップ320)。
環境制御システム50は、通信回線L2を介して受信した管理装置40からの環境制御指示に応じて、当該環境制御指示に含まれる部屋IDと対応する部屋20の環境制御機器24を制御して、空調や照明など当該部屋20の室内環境を制御する(ステップ321)。
【0076】
したがって、環境制御指示により移動元の利用終了を通知すれば、当該移動元での環境制御機器に対する利用者操作を必要とすることなく、環境制御システム50により、空調や照明などの環境制御機器の動作を、低負荷動作あるいは停止状態へ自動的に制御される。これにより、移動元の室内環境が悪化するため、移動元に在室する利用者は、他の部屋への移動を余儀なくされ、操作端末22から利用者へ報知だけを行う場合に比較して、他の部屋への移動を促進することができる。特に、冷房運転時期における冷房停止や、暖房運転時期における暖房停止、さらには照明機器の消灯や点滅を行うことにより、さらなる促進を行うようにしてもよい。
また、環境制御指示により、移動先の在室者数を通知すれば、この在室者数に基づき当該部屋における熱源数を環境制御システム50が把握でき、快適な室内環境を提供するための動作に利用できる。
【0077】
[退室処理]
次に、図11および図12を参照して、管理装置40における退室処理について説明する。図11は、第3の実施の形態にかかる管理装置の退室処理を示すフローチャートである。図12は、第3の実施の形態にかかる管理装置の退室処理を示す説明図である。
ここでは、部屋20としてR1,R2,R3の3つの部屋が設けられており、このうち部屋R1の優先順位が最も高く、部屋R3の優先順位が最も低く、部屋R1からの利用者退室に応じて、部屋R3に在室する利用者を矢R1,R2へ誘導する場合を例として説明する。
【0078】
管理装置40は、図10のステップ310において、図11の退室処理を実行する。
まず、判定部45は、退室要求操作に応じて操作端末22から送信された退室要求を通信I/F部41を介して受信した際、部屋情報記憶部44Aの部屋情報から、各部屋Ri(i=1〜3)の最大収容人数Max(Ri)と優先順位Jun(Ri)とを取得するとともに(ステップ350)、使用状況記憶部44Bの使用状況から、各部屋Ri(i=1〜3)の在室者数N(Ri)を取得する(ステップ351)。
【0079】
次に、判定部45は、部屋Riごとに、最大収容人数Max(Ri)から在室者数N(Ri)を引き算することにより、当該部屋Riで利用者を収容できる人数を示す収容可能人数M(Ri)をそれぞれ算出する(ステップ352)。
また、判定部45は、各部屋Riのうち、在室者数N(Ri)>0の部屋を、利用者が存在する在室部屋Rnとして選択し(ステップ353)、これら在室部屋Rnのうち優先順位Jnu(Rn)が最も低い部屋を移動元Rsとして選択するとともに(ステップ354)、在室部屋Rnのうち移動元Rs以外の部屋を移動先候補Rcとして選択する(ステップ355)。
【0080】
この後、判定部45は、各移動先候補Rcの収容可能人数M(Rc)を合計して、これら移動先候補Rc全体で収容可能な利用者数を示す収容可能総数Msumを算出し(ステップ356)、この収容可能総数Msumを移動元Rsに在室する在室者数、すなわち移動者数N(Rs)と比較することにより、移動元Rsに在室する利用者すべての移動可否を判定する(ステップ357)。
【0081】
ここで、Msum≧N(Rs)であり、移動元Rsに在室する利用者すべての移動が可能な場合(ステップ357:YES)、部屋選択部46は、これら移動先候補Rcのうち収容可能人数M(Rc)>0の部屋を移動先Rdとして選択し(ステップ358)、一連の退室処理を終了する。
一方、ステップ357において、Msum<N(Rs)であり、移動元Rsに在室する利用者すべての移動が不可能な場合(ステップ357:NO)、判定部45は、移動先なしと判定して(ステップ359)、一連の入室処理を終了する。
【0082】
図12において、部屋R1,R2,R3のN(R1),N(R2),N(R3)がすべて「0」(ゼロ)より大きいことから、R1,R2,R3のすべてが在室部屋Rnとして選択され、このうちJun(R3)が最低順位を示すことからR3が移動元Rsとして選択され、R1,R2が移動先候補Rcとして選択される。この後、移動先候補RcについてMsumが算出され、Msum≧N(R3)が成立することから、R3の在室者すべてがR1,R2へ移動可能と判定される。ここで、M(R1),M(R2)がともに「0」(ゼロ)より大きいことから、これらR1,R2が移動先Rdとして選択される。
【0083】
[第3の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態では、退室要求を受信した際、判定部45において、各部屋20のうち利用者が在室する在室部屋を、移動元となる部屋と、当該移動元以外の部屋からなる移動先候補とに区分して、これら移動先候補のうちの1つ以上の部屋へ当該移動元に在室する全ての利用者が移動可能か否かを判定し、移動可と判定された際、部屋選択部46において、移動先候補ごとに、当該部屋の最大収容人数と在室者数とを比較することにより、当該移動先候補のうちから、移動元に在室する利用者のすべてを収容可能な1つ以上の部屋を移動先として選択し、端末制御部47において、移動元の操作端末22に対して退室指示を送信するようにしたので、任意の部屋20において利用者が退室した際、部屋20のうち任意の部屋に在室する利用者を部屋20のうちの他の部屋へ誘導することができる。
【0084】
したがって、フリーアドレス制のように、複数の利用者により複数の部屋を共用する施設利用形態であっても、利用者による各部屋の利用効率を高めることができる。このため、優先順位の高い部屋に十分な空席があるにもかかわらず優先順位の低い部屋の使用が継続されることはなくなり、優先順位が低い部屋の利用者が優先順位が高い部屋に対して誘導されることになり、優先順位の低い部屋が利用者のいない空室となる割合が増加する。
【0085】
この結果、部屋における人の存在有無に応じて各部屋の空調機器や照明機器などの環境制御機器を制御する環境制御システムが、当該施設に併設されている場合、本発明により空室が発生する割合を増加させることができるため、この空室の環境制御機器を低負荷で運転したり、停止したりすることができ、より効果的に消費エネルギーを削減することが可能となる。
【0086】
また、本実施の形態では、判定部45において、移動先候補のそれぞれの最大収容人数と在室者数とから当該移動先候補の部屋全体で収容可能な収容可能総数を算出し、この収容可能総数と移動元の在室者数とを比較することにより、当該移動元から移動先候補への移動可否を判定するようにしたので、移動元の在室者を複数の移動先へ収容することができ、移動可能な確率が高くなる。このため、利用者による各部屋の利用効率をより高めることができる。
【0087】
[第4の実施の形態]
次に、図13および図14を参照して、本実施の形態にかかる第4の実施の形態について説明する。図13は、第4の実施の形態にかかる管理装置の退室処理を示すフローチャートであり、図11と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。図14は、第4の実施の形態にかかる管理装置の退室処理を示す説明図である。
【0088】
第3の実施の形態では、移動先が1つ以上の部屋からなる場合を例として説明した。本実施の形態では、移動先が1つの部屋からなる場合を例として説明する。なお、本実施の形態にかかる設備監視システム1の構成については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0089】
図13のステップ355において、在室部屋Rnのうち移動元Rs以外の部屋を移動先候補Rcとして選択した後、判定部45は、これら移動先候補Rcごとに、当該収容可能人数M(Rc)を移動元Rsに在室する在室者数、すなわち移動者数N(Rs)と比較することにより、移動先候補Rcのいずれか1つへ、移動元Rsに在室する利用者すべてが移動可能か否かを判定する(ステップ400)。
【0090】
ここで、M(Rn)≧N(Rs)が成立し、移動元Rsに在室する利用者すべてを収容可能な移動候補先Rcが1つ以上見つかった場合(ステップ400:YES)、部屋選択部46は、これら移動先候補Rcのうち優先順位Jun(Rc)が最も高い部屋を移動先Rdとして選択し(ステップ401)、一連の退室処理を終了する。
一方、ステップ400において、M(Rn)<N(Rs)であり、移動元Rsに在室する利用者すべてを収容可能な移動候補先Rcが見つからなかった場合(ステップ400:NO)、判定部45は、移動先なしと判定して(ステップ359)、一連の入室処理を終了する。
【0091】
図14において、部屋R1,R2,R3のN(R1),N(R2),N(R3)がすべて「0」(ゼロ)より大きいことから、R1,R2,R3のすべてが在室部屋Rnとして選択され、このうちJun(R3)が最低順位を示すことからR3が移動元Rsとして選択され、R1,R2が移動先候補Rcとして選択される。この後、移動先候補RcごとにM(Rc)とN(R3)とが比較され、M(R1)≧N(R3)が成立することから、R3の在室者すべてがR1へ移動可能と判定される。
【0092】
[第4の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、判定部45において、移動先候補ごとに、当該部屋の最大収容人数と在室者数との差から当該部屋で収容可能な収容可能人数をそれぞれ算出し、これら収容可能人数を移動元の在室者数とそれぞれ比較することにより、当該移動元に在室する利用者のすべてが移動先候補のうちのいずれか1つの部屋へ移動可能か否かを判定するようにしたので、移動元の在室者すべてを1つの移動先へ一括して誘導することができる。これにより、移動先の部屋が1つに特定されるため、利用者をスムーズに移動先へ誘導することが可能となる。
【0093】
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態にかかる施設管理システムについて説明する。
第3の実施の形態および第4の実施の形態では、判定部45において、移動元Rsを選択する際、在室部屋Rnのうち優先順位Jun(Rn)が最も低い部屋を移動元Rsとして選択する場合について説明したが、在室部屋Rnのうち在室者数N(Rn)が最も少ない部屋を移動元Rsとして選択してもよい。
【0094】
これにより、移動者数を少なくすることができ、移動可能な確率が高くなる。このため、利用者による各部屋の利用効率をより高めることができる。
この際、在室部屋Rnのうち移動元Rs以外の部屋すべてを移動先候補Rcとして選択してもよく、在室部屋Rnのうち移動元Rsより優先順位が高い部屋を移動先候補Rcとして選択してもよい。
【0095】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【0096】
また、各実施の形態では、入室動作と退室動作とをそれぞれ個別に説明したが、これらを任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0097】
1…施設管理システム、20…部屋、21…ドア、22…操作端末、23…ドア制御端末、24…環境制御機器、30…制御装置、40…管理装置、41…通信I/F部、42…操作入力部、43…画面表示部、44…記憶部、44A…部屋情報記憶部、44B…使用状況記憶部、45…判定部、46…部屋選択部、47…端末制御部、50…環境制御システム、L1,L2,L3…通信回線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設管理技術に関し、特に複数の利用者により複数の部屋を共用する際に用いられる施設管理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスビルでは、施設の有効利用を目的として、不特定の利用者により複数の部屋を共用する、いわゆるフリーアドレス制が導入されつつある。フリーアドレス制とは、個々人に割り当てられていない非占用の席が部屋に複数設けられており、これら席のうち任意の空席を利用して社員が仕事を行う施設利用形態である。
【0003】
このような施設利用形態では、実際には、利用者規模に応じて複数の部屋をフリーアドレス制の部屋として割り当てて利用されている。このため、利用者は、他者からの干渉を避けるため、比較的空席の多い部屋から順に選んで利用する傾向があり、また部屋の利用効率を考慮して、自主的に仕事を中断して混み合っている部屋の席へ移ることもほとんどないことから、部屋ごとに空席が発生しやすくなる。
【0004】
一方、オフィスビルなどの比較的規模の大きい施設では、施設に設けられた部屋ごとに、空調機器や照明機器などの環境制御機器を個別に設け、これらを空調システムや照明システムなどの環境制御システムで一括制御するものとなっている。
【0005】
従来、このような環境制御システムでは、省エネルギーと快適性を両立させるために、各部屋に人感センサを設け、部屋に人が存在する場合には、当該部屋に設けられている空調機器や照明機器などの環境制御機器を通常運転して快適な環境を提供し、部屋に人が存在しない場合には、当該部屋に設けられている空調機器や照明機器などの環境制御機器を低負荷運転するという制御技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献2】特開平11−006644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような従来技術によれば、部屋における人の存在有無に応じて各部屋の空調機器や照明機器などの環境制御機器を制御していることから、人がいない部屋の環境制御機器で消費されるエネルギーを削減することができる。
しかしながら。フリーアドレス制のように、複数の利用者により複数の部屋を共用する場合、前述したように、各部屋に空席が発生しやすく、利用者による部屋の利用効率が悪くなる傾向がある。したがって、このような施設利用形態の施設に対して従来技術を適用した場合、利用者が少ない部屋、さらには利用者が1人でもいる部屋でも、最適な室内環境となるよう環境制御機器が制御されるため、これら部屋の環境制御機器で消費されるエネルギーを効果的に削減できないという問題点があった。
【0008】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、複数の利用者により複数の部屋を共用する施設利用形態の場合でも、利用者による各部屋の利用効率を高めることができ、結果として各部屋でのエネルギー消費を効果的に削減できる施設管理技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために、本発明にかかる施設管理システムは、複数の利用者により複数の部屋を共用する施設について、利用者による個々の部屋の利用を管理する施設管理システムであって、部屋ごとに設置されて、当該部屋へ入室を希望する利用者の入室要求操作を受け付ける操作端末と、部屋ごとに設置されて、当該部屋のドアの開扉を規制するドア制御端末と、操作端末およびドア制御端末とデータ通信を行うことにより、これら操作端末およびドア制御端末を制御して、利用者が部屋の利用を開始する際、当該利用者を部屋のうちのいずれかへ誘導する管理装置とを備え、管理装置は、部屋ごとに、当該部屋で収容可能な利用者人数を示す最大収容人数と、当該部屋が利用される順序を示す優先順位とを含む部屋情報を記憶する部屋情報記憶部と、部屋ごとに、当該部屋に在室している利用者の人数を示す在室者数を含む使用状況を記憶する使用状況記憶部と、入室要求操作に応じて操作端末から送信された入室要求を受信した際、部屋ごとに、当該部屋の最大収容人数と在室者数とを比較することにより、当該部屋への入室可否を判定する判定部と、部屋のうち、判定部で入室可と判定された部屋であって、かつ当該部屋の優先順位が最も高い部屋を入室先として選択する部屋選択部と、部屋選択部で選択された入室先が入室要求元である操作端末の部屋と同じ場合には当該部屋のドア制御端末に対して入室許可を送信し、当該入室先が入室要求元である操作端末の部屋とは異なる場合には当該操作端末に対して入室不可を送信する端末制御部とを含み、ドア制御端末は、管理装置から送信された入室許可の受信に応じて、当該部屋のドアの開扉を許可し、操作端末は、管理装置から送信された入室不可の受信に応じて、当該部屋の入室不可を利用者へ報知する。
【0010】
この際、判定部で、最大収容人数と在室者数との差が入室要求で指定された入室要求人数以上か否かに応じて、当該部屋への入室可否を判定するようにしてもよい。
【0011】
また、本発明にかかる他の施設管理システムは、複数の利用者により複数の部屋を共用する施設について、利用者による個々の部屋の利用を管理する施設管理システムであって、部屋ごとに設置されて、当該部屋から退室を希望する利用者の退室要求操作を受け付ける操作端末と、部屋ごとに設置されて、当該部屋のドアの開扉を規制するドア制御端末と、操作端末およびドア制御端末とデータ通信を行うことにより、これら操作端末およびドア制御端末を制御して、部屋のいずれかに在室する利用者が当該部屋から退室した際、部屋のうち任意の部屋に在室する利用者を部屋のうちの他の部屋へ誘導する管理装置とを備え、管理装置は、部屋ごとに、当該部屋で収容可能な利用者人数を示す最大収容人数と、当該部屋が利用される順序を示す優先順位とを含む部屋情報を記憶する部屋情報記憶部と、部屋ごとに、当該部屋に在室している利用者の人数を示す在室者数を含む使用状況を記憶する使用状況記憶部と、退室要求操作に応じて操作端末から送信された退室要求を受信した際、各部屋の部屋情報および使用状況に基づいて、部屋のうち利用者が在室する在室部屋を、移動元となる部屋と、当該移動元以外の部屋からなる移動先候補とに区分し、これら移動先候補のうちの1つ以上の部屋へ当該移動元に在室する全ての利用者が移動可能か否かを判定する判定部と、判定部で移動可と判定された際、移動先候補ごとに、当該部屋の最大収容人数と在室者数とを比較することにより、当該移動先候補のうちから、移動元に在室する利用者のすべてを収容可能な1つ以上の部屋を移動先として選択する部屋選択部と、退室要求を受信した際、当該退室要求元の操作端末の部屋のドア制御端末に対して退室許可を送信し、判定部で移動可と判定された際、移動元の操作端末に対して退室指示を送信する端末制御部とを含み、ドア制御端末は、管理装置から送信された退室許可または入室許可の受信に応じて、当該ドアの開扉を許可し、操作端末は、管理装置から送信された退室指示の受信に応じて、当該部屋からの退室を当該部屋内の利用者へ報知する。
【0012】
この際、判定部で、移動先候補のそれぞれの最大収容人数と在室者数とから当該移動先候補の部屋全体で収容可能な収容可能総数を算出し、この収容可能総数と移動元の在室者数とを比較することにより、当該移動元から移動先候補への移動可否を判定するようにしてもよい。
【0013】
また、判定部で、移動先候補ごとに、当該部屋の最大収容人数と在室者数との差から当該部屋で収容可能な収容可能人数をそれぞれ算出し、これら収容可能人数を移動元の在室者数とそれぞれ比較することにより、当該移動元に在室する利用者のすべてが移動先候補のうちのいずれか1つの部屋へ移動可能か否かを判定するようにしてもよい。
【0014】
また、判定部で、在室部屋のうち当該部屋の優先順位が最低の部屋を移動元として選択するようにしてもよい。
【0015】
また、判定部で、在室部屋のうち当該部屋の在室者数が最小の部屋を移動元として選択するようにしてもよい。
【0016】
また、本発明にかかる施設管理方法は、複数の利用者により複数の部屋を共用する施設について、部屋ごとに設置されて、当該部屋へ入室を希望する利用者の入室要求操作を受け付ける操作端末と、部屋ごとに設置されて、当該部屋のドアの開扉を規制するドア制御端末と、操作端末およびドア制御端末とデータ通信を行うことにより、これら操作端末およびドア制御端末を制御して、利用者が部屋の利用を開始する際、当該利用者を部屋のうちのいずれかへ誘導する管理装置とを備え、複数の利用者により複数の部屋を共用する施設について、利用者による個々の部屋の利用を管理する施設管理システムで用いられる施設管理方法であって、管理装置の部屋情報記憶部が、部屋ごとに、当該部屋で収容可能な利用者人数を示す最大収容人数と、当該部屋が利用される順序を示す優先順位とを含む部屋情報を記憶する部屋情報記憶ステップと、管理装置の使用状況記憶部が、部屋ごとに、当該部屋に在室している利用者の人数を示す在室者数を含む使用状況を記憶する使用状況記憶ステップと、管理装置の判定部が、入室要求操作に応じて操作端末から送信された入室要求を受信した際、部屋ごとに、当該部屋の最大収容人数と在室者数とを比較することにより、当該部屋への入室可否を判定する判定ステップと、管理装置の部屋選択部が、部屋のうち、判定ステップで入室可と判定された部屋であって、かつ当該部屋の優先順位が最も高い部屋を入室先として選択する部屋選択ステップと、管理装置の端末制御部が、部屋選択ステップで選択された入室先が入室要求元である操作端末の部屋と同じ場合には当該部屋のドア制御端末に対して入室許可を送信し、当該入室先が入室要求元である操作端末の部屋とは異なる場合には当該操作端末に対して入室不可を送信する端末制御ステップと、ドア制御端末が、管理装置から送信された入室許可の受信に応じて、当該部屋のドアの開扉を許可するステップと、操作端末が、管理装置から送信された入室不可の受信に応じて、当該部屋の入室不可を利用者へ報知するステップとを備えている。
【0017】
また、本発明にかかる他の施設管理方法は、複数の利用者により複数の部屋を共用する施設について、部屋ごとに設置されて、当該部屋から退室を希望する利用者の退室要求操作を受け付ける操作端末と、部屋ごとに設置されて、当該部屋のドアの開扉を規制するドア制御端末と、操作端末およびドア制御端末とデータ通信を行うことにより、これら操作端末およびドア制御端末を制御して、部屋のいずれかに在室する利用者が当該部屋から退室した際、部屋のうち任意の部屋に在室する利用者を部屋のうちの他の部屋へ誘導する管理装置とを備え、複数の利用者により複数の部屋を共用する施設について、利用者による個々の部屋の利用を管理する施設管理システムで用いられる施設管理方法であって、管理装置の部屋情報記憶部が、部屋ごとに、当該部屋で収容可能な利用者人数を示す最大収容人数と、当該部屋が利用される順序を示す優先順位とを含む部屋情報を記憶する部屋情報記憶ステップと、管理装置の使用状況記憶部が、部屋ごとに、当該部屋に在室している利用者の人数を示す在室者数を含む使用状況を記憶する使用状況記憶ステップと、管理装置の判定部が、退室要求操作に応じて操作端末から送信された退室要求を受信した際、各部屋の部屋情報および使用状況に基づいて、部屋のうち利用者が在室する在室部屋を、移動元となる部屋と、当該移動元以外の部屋からなる移動先候補とに区分し、これら移動先候補のうちの1つ以上の部屋へ当該移動元に在室する全ての利用者が移動可能か否かを判定する判定ステップと、管理装置の部屋選択部が、判定ステップで移動可と判定された際、移動先候補ごとに、当該部屋の最大収容人数と在室者数とを比較することにより、当該移動先候補のうちから、移動元に在室する利用者のすべてを収容可能な1つ以上の部屋を移動先として選択する部屋選択ステップと、管理装置の端末制御部が、退室要求を受信した際、当該退室要求元の操作端末の部屋のドア制御端末に対して退室許可を送信し、判定ステップで移動可と判定された際、移動元の操作端末に対して退室指示を送信する端末制御ステップと、ドア制御端末が、管理装置から送信された退室許可または入室許可の受信に応じて、当該ドアの開扉を許可するステップと、操作端末が、管理装置から送信された退室指示の受信に応じて、当該部屋からの退室を当該部屋内の利用者へ報知するステップとを備えている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、入室要求時、各部屋の優先順位に基づいて、当該部屋の在室者数が最大収容人数に達するように、利用者を各部屋へ誘導することができる。また、任意の部屋において利用者が退室した際、各部屋のうち任意の部屋に在室する利用者を各部屋のうちの他の部屋へ誘導することができる。
したがって、フリーアドレス制のように、複数の利用者により複数の部屋を共用する施設利用形態であっても、利用者による各部屋の利用効率を高めることができる。このため、任意の部屋に空席があるにもかかわらず優先順位の低い部屋の使用が開始されることはなくなり、優先順位が高い部屋で退室により空席が発生した場合には、他の優先順位が低い部屋より優先して利用者が誘導されることになり、優先順位の低い部屋が利用者のいない空室となる割合が増加する。
【0019】
この結果、部屋における人の存在有無に応じて各部屋の空調機器や照明機器などの環境制御機器を制御する環境制御システムが、当該施設に併設されている場合、本発明により空室が発生する割合を増加させることができるため、この空室の環境制御機器を低負荷で運転したり、停止したりすることができ、より効果的に消費エネルギーを削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる施設管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】管理装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】部屋情報の構成例である。
【図4】使用状況を示す構成例である。
【図5】第1の実施の形態にかかる設備管理システムの入室動作を示すシーケンス図である。
【図6】第1の実施の形態にかかる管理装置の入室処理を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施の形態にかかる管理装置の入室処理を示す説明図である。
【図8】第2の実施の形態にかかる管理装置の入室処理を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態にかかる管理装置の入室処理を示す説明図である。
【図10】第3の実施の形態にかかる設備管理システムの退室動作を示すシーケンス図である。
【図11】第3の実施の形態にかかる管理装置の退室処理を示すフローチャートである。
【図12】第3の実施の形態にかかる管理装置の退室処理を示す説明図である。
【図13】第4の実施の形態にかかる管理装置の退室処理を示すフローチャートである。
【図14】第4の実施の形態にかかる管理装置の退室処理を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる施設管理システムについて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる施設管理システムの構成を示すブロック図である。
【0022】
この施設管理システム1は、複数の利用者により複数の部屋を共用する施設について、利用者による個々の部屋の利用を管理する機能を有している。
この入退室管理システム1には、操作端末22、ドア制御端末23、制御装置30、および管理装置40が含まれている。各部屋20のドア21に対して設置されている操作端末22およびドア制御端末23は、通信回線L1を介してそれぞれデータ通信可能に制御装置30と接続されている。管理装置40には、通信回線L2を介して制御装置30と環境制御システム50とがデータ通信可能に接続されている。
【0023】
環境制御システム50は、サーバ装置などの情報処理装置からなり、各部屋20に設けられた環境制御機器24を制御するシステムである。環境制御機器24は、環境制御システム50と通信回線L3を介してデータ通信可能に接続された、空調機器や照明機器などの機器装置からなり、当該部屋20の室内環境を制御する機能を有している。
環境制御システム50は、環境制御機器24の人感センサで検出した当該部屋20に存在する利用者の有無、あるいは各部屋20の利用状況に基づく管理装置40からの指示に応じて、当該部屋20の環境制御機器24の運転を制御することにより、当該部屋20の環境制御機器24におけるエネルギー消費を削減する機能を有している。
【0024】
操作端末22は、複数の操作キーと表示画面が設けられたインターホンやカード処理装置などの小型通信端末からなり、部屋20のドア21ごとに、当該部屋20の外側と内側にそれぞれ併設されて、当該部屋20へ入室を希望する利用者の入室要求操作を受け付ける機能と、この入室要求操作に応じて、予め自己に設定されている当該部屋20に固有の部屋IDを含む入室要求を、通信回線L1および制御装置30を介して管理装置40へ送信する機能と、通信回線L1および制御装置30を介して管理装置40から通知された指示を受信して、入室不可などの指示内容を利用者へ報知する機能とを有している。
【0025】
ドア制御端末23は、部屋20のドア21ごとに設けられた電動式の錠前、いわゆる電気錠からなり、通信回線L1および制御装置30を介して管理装置40から受信した入室許可に応じて、ドア21の開錠/施錠を行うことにより開扉を許可する機能を有している。なお、ドア制御端末23は、常時、施錠されており、入室許可が通知された場合にのみ所定期間だけ開錠して開扉を許可する。この際、開錠に加えてドア21に対して開扉を指示するようにしてもよい。
【0026】
操作端末22の具体例としてカードリーダなどのカード処理装置を用いる場合、利用者に固有の利用者IDなどの利用者識別情報を記録するメモリカードやICカードなどの携帯可能な情報処理用のIDカードが、予め各利用者に配布される。利用者が部屋20で入退室を行う場合、当該ドア21に併設されている操作端末22(カード処理装置)は、当該カードスロットへIDカードを挿入した際(接触型)、あるいはカードアンテナへIDカードをかざした際に(非接触型)、利用者が提示したIDカードから利用者IDなどの利用者識別情報を読み出して、入室要求や退室要求により制御装置30や管理装置40へ通知する。
【0027】
これにより、制御装置30や管理装置40は、通知された利用者識別情報に基づいて、予め設定されている当該利用者の通行可能ドア情報と照合することにより、当該ドア21の通行可否を判定し、通行可能な場合にのみ、当該ドア21のドア制御端末23へ開扉許可を通知する。これにより、各部屋20での入退室を制限でき、高いセキュリティ性が得られる。
【0028】
制御装置30は、設備の管理・監視を行う各種制御システムで用いられるコントローラなどの制御装置からなり、各部屋20に設けられた操作端末22からの入室要求や退室要求を管理装置40へ通知し、管理装置40からの指示を各部屋20の操作端末22やドア制御端末23へ通知する機能を有している。
【0029】
管理装置40は、全体としてサーバ装置やパソコンなどの情報処理装置からなり、操作端末22およびドア制御端末23と制御装置30を介してデータ通信を行うことにより、これら操作端末22およびドア制御端末23を制御する機能と、利用者が部屋20の利用を開始する際、当該利用者を部屋20のうちのいずれかへ誘導する機能を有している。
【0030】
図2は、管理装置の構成例を示すブロック図である。
管理装置40には、主な機能部として、通信I/F部41、操作入力部42、画面表示部43、記憶部44、部屋情報記憶部44A、使用状況記憶部44B、判定部45、部屋選択部46、および端末制御部47が設けられており、これら機能部は、内部バスを介して相互にデータやり取り可能に接続されている。
【0031】
通信I/F部41は、通信回線L2を介して制御装置30や環境制御システム50などの外部装置とデータ通信を行う機能を有している。
操作入力部42は、キーボードやマウスなどの操作入力装置からなり、オペレータ操作を検出して、判定部45などの各種機能部へ出力する機能を有している。
画面表示部43は、LCDやPDPなどの画面表示装置からなり、端末制御部47などの各種機能部から出力された各種情報を画面表示する機能を有している。
記憶部44は、メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、管理装置40での処理動作に用いる各種情報やプログラムを記憶する機能を有している。
【0032】
部屋情報記憶部44Aは、メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、入退室を管理する部屋20ごとに、当該部屋20を識別するための部屋IDと、当該部屋20に収容可能な利用者の数を示す最大収容人数と、各部屋20のうち当該部屋を利用する順番を示す優先順位とを含む部屋情報を記憶する記憶部である。
【0033】
図3は、部屋情報の構成例である。ここでは、部屋IDごとに、最大収容人数と優先順位とが登録されている。前述したフリーアドレス制では、最大収容人数が当該部屋に設けられている席の数に相当する。各部屋には、その優先順位が高い「1」から順に利用者が誘導される。この優先順位については、例えば日時による部屋の利用傾向や、利用者数と各部屋の最大収容人数との関係、あるいは各部屋の環境制御機器24での消費エネルギー効率などが考慮して予め設定される。
【0034】
使用状況記憶部44Bは、メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、入退室を管理する部屋20ごとに、当該部屋を識別するための部屋IDと、各部屋20に在室している利用者の人数を示す在室者数とを含む使用状況を記憶する記憶部である。
図4は、使用状況を示す構成例である。ここでは、部屋IDごとに、在室者数が登録されている。この在室者数は、操作端末22から送信された入室要求や退室要求に応じて入退室を許可した際に合わせて更新される。
【0035】
判定部45は、入室要求操作に応じて操作端末22から送信された入室要求を通信I/F部41を介して受信した際、部屋20ごとに、当該部屋の最大収容人数と在室者数とを比較することにより、当該部屋への入室可否を判定する機能を有している。
部屋選択部46は、入室要求時、部屋20のうち、判定部45で入室可と判定された部屋であって、かつ当該部屋の優先順位が最も高い部屋を入室先として選択する機能を有している。
【0036】
端末制御部47は、入室要求時、部屋選択部46で選択された入室先が入室要求元である操作端末22の部屋と同じ場合には部屋のドア制御端末23に対して入室許可を送信し、当該入室先が入室要求元である操作端末22の部屋とは異なる場合には当該操作端末22に対して入室不可を送信する機能と、入室許可送信時に環境制御システム50へ環境制御指示を送信する機能とを有している。
【0037】
管理装置40の機能部のうち、判定部45、部屋選択部46、および端末制御部47については、CPUとプログラムとが協働してなる演算処理部により構成されている。
記憶部44、部屋情報記憶部44A、および使用状況記憶部44Bについては、別個の記憶装置で構成してもよく、これら複数あるいはすべてを1つの記憶装置で構成してもよい。
【0038】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図5を参照して、本実施の形態にかかる設備管理システムの動作について説明する。図5は、第1の実施の形態にかかる設備管理システムの入室動作を示すシーケンス図である。
設備管理システム1は、任意の部屋20の操作端末22で入室要求操作が行われた場合、図5の入室動作を実行する。
【0039】
操作端末22は、利用者の入室要求操作を受け付けて、予め自己に設定されている当該部屋20に固有の部屋IDを含む入室要求を、通信回線L1を介して制御装置30へ送信する(ステップ100)。
管理装置40は、制御装置30で中継転送された操作端末22からの入室要求を、通信回線L2を介して通信I/F部41で受信し、後述する入室処理を実行することにより、部屋20のうちから当該利用者の入室先を選択する(ステップ101)。
【0040】
ここで、すべての部屋20において在室者数が最大収容人数に達していて、入室可能な部屋20、すなわち入室先が存在しない場合(ステップ102:NO)、管理装置40の端末制御部47は、通信I/F部41から入室要求元の操作端末22に対して、入室不可を送信する(ステップ103)。
操作端末22は、制御装置30で中継転送された管理装置40からの入室不可に応じて、入室先となる部屋が存在しない旨を、画面表示や音声メッセージにより、利用者へ報知する(ステップ104)。
【0041】
一方、ステップ102において、入室先が存在する場合(ステップ102:YES)、端末制御部47は、当該入室先の部屋IDと入室要求元である操作端末22の部屋の部屋IDとを比較して、当該入室先が入室要求元である操作端末22の部屋と同じかどうか確認し(ステップ110)、当該入室先が入室要求元である操作端末22の部屋と異なる場合(ステップ110:NO)、端末制御部47は、通信I/F部41から入室要求元の操作端末22に対して、入室先となる部屋の名前を含む入室先情報を送信する(ステップ111)。
操作端末22は、制御装置30で中継転送された管理装置40からの入室先情報に応じて、入室先が他の部屋である旨や入室先の部屋名を、画面表示や音声メッセージにより、利用者へ報知する(ステップ112)。
【0042】
また、ステップ110において、当該入室先が入室要求元である操作端末22の部屋と同じである場合(ステップ110:YES)、端末制御部47は、使用状況記憶部44Bで記憶している使用状況のうち、入室先である部屋の使用状況について、在室者数を1だけ加算することにより在室者数を更新し(ステップ120)、通信I/F部41から入室要求元の操作端末22に対して入室許可を送信するとともに(ステップ121)、通信I/F部41から入室先のドア制御端末23に対して入室許可を送信する(ステップ122)。
【0043】
操作端末22は、制御装置30で中継転送された管理装置40からの入室許可に応じて、当該部屋20への入室が許可された旨を、画面表示や音声メッセージにより、利用者へ報知する(ステップ123)。
また、ドア制御端末23は、制御装置30で中継転送された管理装置40からの入室許可に応じて、当該ドア21の開錠を行うことにより開扉を許可する(ステップ124)。これにより、利用者は、当該ドア21を通行して部屋20へ入室することになる。
【0044】
また、管理装置40の端末制御部47は、通信I/F部41から環境制御システム50に対して、入室先を示す部屋IDを含む環境制御指示を送信する(ステップ130)。
環境制御システム50は、通信回線L2を介して受信した管理装置40からの環境制御指示に応じて、当該環境制御指示に含まれる部屋IDと対応する部屋20の環境制御機器24を制御して、空調や照明など当該部屋20の室内環境を制御する(ステップ131)。
【0045】
したがって、空き部屋に対して最初に利用者を誘導する場合、環境制御指示により当該部屋の利用開始を通知すれば、環境制御機器に対する利用者操作を必要とすることなく、環境制御システム50により、空調や照明など快適な室内環境を提供するための動作が自動的に開始される。
また、環境制御指示により、当該部屋の在室者数を通知すれば、この在室者数に基づき当該部屋における熱源数を環境制御システム50が把握でき、快適な室内環境を提供するための動作に利用できる。
【0046】
[入室処理]
次に、図6および図7を参照して、管理装置40における入室処理について説明する。図6は、第1の実施の形態にかかる管理装置の入室処理を示すフローチャートである。図7は、第1の実施の形態にかかる管理装置の入室処理を示す説明図である。
ここでは、部屋20としてR1,R2,R3の3つの部屋が設けられており、このうち部屋R1の優先順位が最も高く、部屋R3の優先順位が最も低く、部屋R1の在室者数が最大収容人数に達しており、部屋R1へ入室することができない利用状況で、新たな利用者が部屋R1への入室を要求した場合を例として説明する。
【0047】
管理装置40は、図5のステップ111において、図6の入室処理を実行する。
まず、判定部45は、入室要求操作に応じて操作端末22から送信された入室要求を通信I/F部41を介して受信した際、部屋情報記憶部44Aの部屋情報から、各部屋Ri(i=1〜3)の最大収容人数Max(Ri)と優先順位Jun(Ri)とを取得するとともに(ステップ150)、使用状況記憶部44Bの使用状況から、各部屋Ri(i=1〜3)の在室者数N(Ri)を取得する(ステップ151)。
【0048】
次に、判定部45は、部屋Riごとに、最大収容人数Max(Ri)と在室者数N(Ri)とを比較して、Max(Ri)>N(Ri)である入室可能な部屋、すなわち入室先候補Rcを確認する(ステップ152)。
【0049】
ここで、Max(Ri)>N(Ri)である入室先候補Rcが1つ以上見つかった場合(ステップ152:YES)、部屋選択部46は、これら入室先候補Rcの優先順位Jun(Rc)に基づいて、入室先候補Rcのうち最も優先順位の高い部屋を入室先Rdとして選択し(ステップ153)、一連の入室処理を終了する。
一方、ステップ152において、入室先候補Rcが1つ見つからない場合(ステップ152:NO)、判定部45は、入室先なしと判定して(ステップ154)、一連の入室処理を終了する。
【0050】
図7において、部屋R1のMax(R1)とN(R1)が等しいことから、部屋R1が満席である。一方、部屋R2,R3のN(R2),N(R3)はともに「0」(ゼロ)であることから、Max(Ri)>N(Ri)が成立することから、これらR2,R3が入室先候補Rcとして選択される。ここで、部屋R2,R3のうちJun(R2)が最高順位を示すことから、部屋R2が入室先Rdとして選択される。
【0051】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、入室要求を受信した際、判定部45において、部屋20ごとに、当該部屋の最大収容人数と在室者数とを比較することにより、当該部屋への入室可否を判定し、部屋選択部46において、各部屋20のうち、判定部45で入室可と判定された部屋であって、かつ当該部屋の優先順位が最も高い部屋を入室先として選択し、端末制御部47において、この入室先が入室要求元である操作端末22の部屋と同じ場合には当該部屋のドア制御端末23に対して入室許可を送信し、当該入室先が入室要求元である操作端末の部屋とは異なる場合には当該操作端末22に対して入室不可を送信するようにしたので、各部屋の優先順位に基づいて、当該部屋の在室者数が最大収容人数に達するように、利用者を各部屋へ誘導することができる。
【0052】
したがって、フリーアドレス制のように、複数の利用者により複数の部屋を共用する施設利用形態であっても、利用者による各部屋の利用効率を高めることができる。このため、任意の部屋に空席があるにもかかわらず優先順位の低い部屋の使用が開始されることはなくなり、優先順位が高い部屋で退室により空席が発生した場合には、他の優先順位が低い部屋より優先して利用者が誘導されることになり、優先順位の低い部屋が利用者のいない空室となる割合が増加する。
【0053】
この結果、部屋における人の存在有無に応じて各部屋の空調機器や照明機器などの環境制御機器を制御する環境制御システムが、当該施設に併設されている場合、本発明により空室が発生する割合を増加させることができるため、この空室の環境制御機器を低負荷で運転したり、停止したりすることができ、より効果的に消費エネルギーを削減することが可能となる。
【0054】
[第2の実施の形態]
次に、図8および図9を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる設備管理システムについて説明する。図8は、第2の実施の形態にかかる管理装置の入室処理を示すフローチャートであり、図6と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。図9は、第2の実施の形態にかかる管理装置の入室処理を示す説明図である。
【0055】
第1の実施の形態では、管理装置の入室処理において、入室を希望する利用者が1人の場合を例として説明した。本実施の形態では、入室を希望する利用者が複数同時に発生し、これら利用者が同一の部屋へ入室を希望する場合について説明する。なお、本実施の形態にかかる設備監視システム1の構成については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0056】
入室要求操作時、操作端末22から入室要求人数Ninが入力され、入室要求により管理装置40へ通知される。
管理装置40の判定部45は、入室要求操作に応じて操作端末22から送信された入室要求を通信I/F部41を介して受信した際、部屋情報記憶部44Aの部屋情報から、各部屋Ri(i=1〜3)の最大収容人数Max(Ri)と優先順位Jun(Ri)とを取得するとともに(ステップ150)、使用状況記憶部44Bの使用状況から、各部屋Ri(i=1〜3)の在室者数N(Ri)を取得する(ステップ151)。また、判定部45は、当該入室要求から入室要求人数Ninを取得する(ステップ200)。
【0057】
次に、判定部45は、部屋Riごとに、最大収容人数Max(Ri)と在室者数N(Ri)と差と、入室要求人数Ninとを比較して、Max(Ri)−N(Ri)≧Ninである入室可能な部屋、すなわち入室先候補Rcを確認する(ステップ201)。
【0058】
ここで、Max(Ri)−N(Ri)≧Ninである入室先候補Rcが1つ以上見つかった場合(ステップ201:YES)、部屋選択部46は、これら入室先候補Rcの優先順位Jun(Rc)に基づいて、入室先候補Rcのうち最も優先順位の高い部屋を入室先Rdとして選択し(ステップ153)、一連の入室処理を終了する。
一方、ステップ201において、入室先候補Rcが1つ見つからない場合(ステップ201:NO)、判定部45は、入室先なしと判定して(ステップ154)、一連の入室処理を終了する。
【0059】
図9において、部屋R1のMax(Ri)−N(Ri)が「2」で、Ninが「3」であることから、部屋R1は利用者全員が着席不可である。一方、部屋R2,R3のN(R2),N(R3)はともに「0」(ゼロ)であり、Max(Ri)−N(Ri)≧Ninが成立することから、これらR2,R3が入室先候補Rcとして選択される。ここで、部屋R2,R3のうちJun(R2)が最高順位を示すことから、部屋R2が入室先Rdとして選択される。
【0060】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態では、判定部45において、最大収容人数と在室者数との差が入室要求で指定された入室要求人数以上か否かに応じて、当該部屋への入室可否を判定するようにしたので、入室を希望する利用者が複数同時に発生し、これら利用者が同一の部屋へ入室を希望する場合でも、各部屋の優先順位に基づいて、当該部屋の在室者数が最大収容人数に達するように、利用者を各部屋へ誘導することができる。
したがって、フリーアドレス制のように、複数の利用者により複数の部屋を共用する施設利用形態であっても、利用者による各部屋の利用効率を高めることができる。
【0061】
[第3の実施の形態]
次に、図10を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかる設備管理システムについて説明する。図10は、第3の実施の形態にかかる設備管理システムの退室動作を示すシーケンス図である。
ここでは、任意の部屋20において利用者が退室した際、部屋のうち任意の部屋に在室する利用者を部屋のうちの他の部屋へ誘導する場合について説明する。
【0062】
本実施の形態において、操作端末22は、部屋20から退室を希望する利用者の退室要求操作を受け付ける機能と、この退室要求操作に応じて、予め自己に設定されている当該部屋20に固有の部屋IDを含む退室要求を、通信回線L1および制御装置30を介して管理装置40へ送信する機能と、通信回線L1および制御装置30を介して管理装置40から通知された指示を受信して、退室指示などの指示内容を利用者へ報知する機能とを有している。
【0063】
ドア制御端末23は、通信回線L1および制御装置30を介して管理装置40から受信した退室許可に応じて、ドア21の開錠/施錠を行うことにより開扉を許可する機能を有している。なお、ドア制御端末23は、常時、施錠されており、退室許可が通知された場合にのみ所定期間だけ開錠して開扉を許可する。この際、開錠に加えてドア21に対して開扉を指示するようにしてもよい。
【0064】
管理装置40は、部屋20のいずれかに在室する利用者が当該部屋20から退室した際、これら部屋20のうち任意の部屋20に在室する利用者を部屋20のうちの他の部屋20へ誘導する機能を有している。
【0065】
判定部45は、退室要求操作に応じて操作端末22から送信された退室要求を通信I/F部41を介して受信した際、各部屋20の部屋情報および使用状況に基づいて、部屋20のうち利用者が在室する在室部屋を、移動元となる部屋と、当該移動元以外の部屋からなる移動先候補とに区分し、これら移動先候補のうちの1つ以上の部屋へ当該移動元に在室する全ての利用者が移動可能か否かを判定する機能を有している。
【0066】
部屋選択部46は、退室要求時、判定部45で移動可と判定された際、移動先候補ごとに、当該部屋の最大収容人数と在室者数とを比較することにより、当該移動先候補のうちから、移動元に在室する利用者のすべてを収容可能な1つ以上の部屋を、移動先として選択する機能とを有している。
【0067】
端末制御部47は、退室要求を受信した際、当該退室要求元の操作端末22の部屋のドア制御端末23に対して退室許可を送信し、判定部45で移動可と判定された際、移動元の操作端末22に対して退室指示を送信する機能と、退室許可送信時に環境制御システム50へ環境制御指示を送信する機能とを有している。
本実施の形態にかかる設備管理システム1および管理装置40のうち、これら以外の構成について第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0068】
[第3の実施の形態の動作]
次に、図10を参照して、本実施の形態にかかる設備管理システム1の動作について説明する。
設備管理システム1は、任意の部屋20の操作端末22で退室要求操作が行われた場合、図10の退室動作を実行する。
【0069】
操作端末22は、利用者の退室要求操作を受け付けて、予め自己に設定されている当該部屋20に固有の部屋IDを含む退室要求を、通信回線L1を介して制御装置30へ送信する(ステップ300)。
管理装置40は、制御装置30で中継転送された操作端末22からの退室要求を、通信回線L2を介して通信I/F部41で受信し、管理装置40の端末制御部47は、使用状況記憶部44Bで記憶している使用状況のうち、退室要求元である部屋の使用状況について、在室者数を1だけ減算することにより在室者数を更新する(ステップ301)。
【0070】
また、端末制御部47は、通信I/F部41から退室要求元の操作端末22に対して退室許可を送信するとともに(ステップ302)、通信I/F部41から退室要求元のドア制御端末23に対して退室許可を送信する(ステップ303)。
操作端末22は、制御装置30で中継転送された管理装置40からの退室許可に応じて、当該部屋20からの退室が許可された旨を、画面表示や音声メッセージにより、利用者へ報知する(ステップ304)。
【0071】
また、ドア制御端末23は、制御装置30で中継転送された管理装置40からの退室許可に応じて、当該ドア21の開錠を行うことにより開扉を許可する(ステップ305)。
これにより、利用者は、当該ドア21を通行して部屋20から退室することができる。
【0072】
また、管理装置40は、後述する退室処理を実行することにより、部屋20のうち任意の部屋20に在室する利用者を部屋20のうちの他の部屋20へ移動可能か否かを確認する(ステップ310)。
ここで、移動先となる部屋がなく、部屋の移動が不可能な場合、一連の退室動作を終了する。
【0073】
一方、移動先となる部屋が存在しており、部屋の移動が可能な場合(ステップ311:YES)、端末制御部47は、通信I/F部41から移動元の操作端末22に対して退室指示を送信する(ステップ312)。
操作端末22は、制御装置30で中継転送された管理装置40からの退室指示に応じて、当該部屋20から退室して他の部屋への移動を、画面表示や音声メッセージにより、利用者へ報知する(ステップ313)。この際、退室処理で選択した移動先を退室指示で操作端末22へ通知して、操作端末22から利用者へ報知するようにしてもよい。
【0074】
これにより、移動元に在室する利用者は、当該移動元の操作端末22において、退室要求操作を行って移動元から退室し、移動先の操作端末22において、入室要求操作を行って移動元へ入室することになる。
これら退室および入室における設備管理システム1での退室動作や入室動作については、前述した動作を実行すればよい。なお、これら部屋間の移動にかかる時間が短い場合には、移動元および移動先のドア制御端末23に対して端末制御部47から退室許可および入室許可を送信することにより、移動元および移動先のドアを開錠してもよい。これにより、利用者の操作を必要とすることなく、部屋間を移動することができる。
【0075】
また、管理装置40の端末制御部47は、通信I/F部41から環境制御システム50に対して、入室先を示す部屋IDを含む環境制御指示を送信する(ステップ320)。
環境制御システム50は、通信回線L2を介して受信した管理装置40からの環境制御指示に応じて、当該環境制御指示に含まれる部屋IDと対応する部屋20の環境制御機器24を制御して、空調や照明など当該部屋20の室内環境を制御する(ステップ321)。
【0076】
したがって、環境制御指示により移動元の利用終了を通知すれば、当該移動元での環境制御機器に対する利用者操作を必要とすることなく、環境制御システム50により、空調や照明などの環境制御機器の動作を、低負荷動作あるいは停止状態へ自動的に制御される。これにより、移動元の室内環境が悪化するため、移動元に在室する利用者は、他の部屋への移動を余儀なくされ、操作端末22から利用者へ報知だけを行う場合に比較して、他の部屋への移動を促進することができる。特に、冷房運転時期における冷房停止や、暖房運転時期における暖房停止、さらには照明機器の消灯や点滅を行うことにより、さらなる促進を行うようにしてもよい。
また、環境制御指示により、移動先の在室者数を通知すれば、この在室者数に基づき当該部屋における熱源数を環境制御システム50が把握でき、快適な室内環境を提供するための動作に利用できる。
【0077】
[退室処理]
次に、図11および図12を参照して、管理装置40における退室処理について説明する。図11は、第3の実施の形態にかかる管理装置の退室処理を示すフローチャートである。図12は、第3の実施の形態にかかる管理装置の退室処理を示す説明図である。
ここでは、部屋20としてR1,R2,R3の3つの部屋が設けられており、このうち部屋R1の優先順位が最も高く、部屋R3の優先順位が最も低く、部屋R1からの利用者退室に応じて、部屋R3に在室する利用者を矢R1,R2へ誘導する場合を例として説明する。
【0078】
管理装置40は、図10のステップ310において、図11の退室処理を実行する。
まず、判定部45は、退室要求操作に応じて操作端末22から送信された退室要求を通信I/F部41を介して受信した際、部屋情報記憶部44Aの部屋情報から、各部屋Ri(i=1〜3)の最大収容人数Max(Ri)と優先順位Jun(Ri)とを取得するとともに(ステップ350)、使用状況記憶部44Bの使用状況から、各部屋Ri(i=1〜3)の在室者数N(Ri)を取得する(ステップ351)。
【0079】
次に、判定部45は、部屋Riごとに、最大収容人数Max(Ri)から在室者数N(Ri)を引き算することにより、当該部屋Riで利用者を収容できる人数を示す収容可能人数M(Ri)をそれぞれ算出する(ステップ352)。
また、判定部45は、各部屋Riのうち、在室者数N(Ri)>0の部屋を、利用者が存在する在室部屋Rnとして選択し(ステップ353)、これら在室部屋Rnのうち優先順位Jnu(Rn)が最も低い部屋を移動元Rsとして選択するとともに(ステップ354)、在室部屋Rnのうち移動元Rs以外の部屋を移動先候補Rcとして選択する(ステップ355)。
【0080】
この後、判定部45は、各移動先候補Rcの収容可能人数M(Rc)を合計して、これら移動先候補Rc全体で収容可能な利用者数を示す収容可能総数Msumを算出し(ステップ356)、この収容可能総数Msumを移動元Rsに在室する在室者数、すなわち移動者数N(Rs)と比較することにより、移動元Rsに在室する利用者すべての移動可否を判定する(ステップ357)。
【0081】
ここで、Msum≧N(Rs)であり、移動元Rsに在室する利用者すべての移動が可能な場合(ステップ357:YES)、部屋選択部46は、これら移動先候補Rcのうち収容可能人数M(Rc)>0の部屋を移動先Rdとして選択し(ステップ358)、一連の退室処理を終了する。
一方、ステップ357において、Msum<N(Rs)であり、移動元Rsに在室する利用者すべての移動が不可能な場合(ステップ357:NO)、判定部45は、移動先なしと判定して(ステップ359)、一連の入室処理を終了する。
【0082】
図12において、部屋R1,R2,R3のN(R1),N(R2),N(R3)がすべて「0」(ゼロ)より大きいことから、R1,R2,R3のすべてが在室部屋Rnとして選択され、このうちJun(R3)が最低順位を示すことからR3が移動元Rsとして選択され、R1,R2が移動先候補Rcとして選択される。この後、移動先候補RcについてMsumが算出され、Msum≧N(R3)が成立することから、R3の在室者すべてがR1,R2へ移動可能と判定される。ここで、M(R1),M(R2)がともに「0」(ゼロ)より大きいことから、これらR1,R2が移動先Rdとして選択される。
【0083】
[第3の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態では、退室要求を受信した際、判定部45において、各部屋20のうち利用者が在室する在室部屋を、移動元となる部屋と、当該移動元以外の部屋からなる移動先候補とに区分して、これら移動先候補のうちの1つ以上の部屋へ当該移動元に在室する全ての利用者が移動可能か否かを判定し、移動可と判定された際、部屋選択部46において、移動先候補ごとに、当該部屋の最大収容人数と在室者数とを比較することにより、当該移動先候補のうちから、移動元に在室する利用者のすべてを収容可能な1つ以上の部屋を移動先として選択し、端末制御部47において、移動元の操作端末22に対して退室指示を送信するようにしたので、任意の部屋20において利用者が退室した際、部屋20のうち任意の部屋に在室する利用者を部屋20のうちの他の部屋へ誘導することができる。
【0084】
したがって、フリーアドレス制のように、複数の利用者により複数の部屋を共用する施設利用形態であっても、利用者による各部屋の利用効率を高めることができる。このため、優先順位の高い部屋に十分な空席があるにもかかわらず優先順位の低い部屋の使用が継続されることはなくなり、優先順位が低い部屋の利用者が優先順位が高い部屋に対して誘導されることになり、優先順位の低い部屋が利用者のいない空室となる割合が増加する。
【0085】
この結果、部屋における人の存在有無に応じて各部屋の空調機器や照明機器などの環境制御機器を制御する環境制御システムが、当該施設に併設されている場合、本発明により空室が発生する割合を増加させることができるため、この空室の環境制御機器を低負荷で運転したり、停止したりすることができ、より効果的に消費エネルギーを削減することが可能となる。
【0086】
また、本実施の形態では、判定部45において、移動先候補のそれぞれの最大収容人数と在室者数とから当該移動先候補の部屋全体で収容可能な収容可能総数を算出し、この収容可能総数と移動元の在室者数とを比較することにより、当該移動元から移動先候補への移動可否を判定するようにしたので、移動元の在室者を複数の移動先へ収容することができ、移動可能な確率が高くなる。このため、利用者による各部屋の利用効率をより高めることができる。
【0087】
[第4の実施の形態]
次に、図13および図14を参照して、本実施の形態にかかる第4の実施の形態について説明する。図13は、第4の実施の形態にかかる管理装置の退室処理を示すフローチャートであり、図11と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。図14は、第4の実施の形態にかかる管理装置の退室処理を示す説明図である。
【0088】
第3の実施の形態では、移動先が1つ以上の部屋からなる場合を例として説明した。本実施の形態では、移動先が1つの部屋からなる場合を例として説明する。なお、本実施の形態にかかる設備監視システム1の構成については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0089】
図13のステップ355において、在室部屋Rnのうち移動元Rs以外の部屋を移動先候補Rcとして選択した後、判定部45は、これら移動先候補Rcごとに、当該収容可能人数M(Rc)を移動元Rsに在室する在室者数、すなわち移動者数N(Rs)と比較することにより、移動先候補Rcのいずれか1つへ、移動元Rsに在室する利用者すべてが移動可能か否かを判定する(ステップ400)。
【0090】
ここで、M(Rn)≧N(Rs)が成立し、移動元Rsに在室する利用者すべてを収容可能な移動候補先Rcが1つ以上見つかった場合(ステップ400:YES)、部屋選択部46は、これら移動先候補Rcのうち優先順位Jun(Rc)が最も高い部屋を移動先Rdとして選択し(ステップ401)、一連の退室処理を終了する。
一方、ステップ400において、M(Rn)<N(Rs)であり、移動元Rsに在室する利用者すべてを収容可能な移動候補先Rcが見つからなかった場合(ステップ400:NO)、判定部45は、移動先なしと判定して(ステップ359)、一連の入室処理を終了する。
【0091】
図14において、部屋R1,R2,R3のN(R1),N(R2),N(R3)がすべて「0」(ゼロ)より大きいことから、R1,R2,R3のすべてが在室部屋Rnとして選択され、このうちJun(R3)が最低順位を示すことからR3が移動元Rsとして選択され、R1,R2が移動先候補Rcとして選択される。この後、移動先候補RcごとにM(Rc)とN(R3)とが比較され、M(R1)≧N(R3)が成立することから、R3の在室者すべてがR1へ移動可能と判定される。
【0092】
[第4の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、判定部45において、移動先候補ごとに、当該部屋の最大収容人数と在室者数との差から当該部屋で収容可能な収容可能人数をそれぞれ算出し、これら収容可能人数を移動元の在室者数とそれぞれ比較することにより、当該移動元に在室する利用者のすべてが移動先候補のうちのいずれか1つの部屋へ移動可能か否かを判定するようにしたので、移動元の在室者すべてを1つの移動先へ一括して誘導することができる。これにより、移動先の部屋が1つに特定されるため、利用者をスムーズに移動先へ誘導することが可能となる。
【0093】
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態にかかる施設管理システムについて説明する。
第3の実施の形態および第4の実施の形態では、判定部45において、移動元Rsを選択する際、在室部屋Rnのうち優先順位Jun(Rn)が最も低い部屋を移動元Rsとして選択する場合について説明したが、在室部屋Rnのうち在室者数N(Rn)が最も少ない部屋を移動元Rsとして選択してもよい。
【0094】
これにより、移動者数を少なくすることができ、移動可能な確率が高くなる。このため、利用者による各部屋の利用効率をより高めることができる。
この際、在室部屋Rnのうち移動元Rs以外の部屋すべてを移動先候補Rcとして選択してもよく、在室部屋Rnのうち移動元Rsより優先順位が高い部屋を移動先候補Rcとして選択してもよい。
【0095】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【0096】
また、各実施の形態では、入室動作と退室動作とをそれぞれ個別に説明したが、これらを任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0097】
1…施設管理システム、20…部屋、21…ドア、22…操作端末、23…ドア制御端末、24…環境制御機器、30…制御装置、40…管理装置、41…通信I/F部、42…操作入力部、43…画面表示部、44…記憶部、44A…部屋情報記憶部、44B…使用状況記憶部、45…判定部、46…部屋選択部、47…端末制御部、50…環境制御システム、L1,L2,L3…通信回線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の利用者により複数の部屋を共用する施設について、前記利用者による個々の部屋の利用を管理する施設管理システムであって、
前記部屋ごとに設置されて、当該部屋へ入室を希望する前記利用者の入室要求操作を受け付ける操作端末と、
前記部屋ごとに設置されて、当該部屋のドアの開扉を規制するドア制御端末と、
前記操作端末および前記ドア制御端末とデータ通信を行うことにより、これら操作端末およびドア制御端末を制御して、前記利用者が前記部屋の利用を開始する際、当該利用者を前記部屋のうちのいずれかへ誘導する管理装置と
を備え、
前記管理装置は、
前記部屋ごとに、当該部屋で収容可能な利用者人数を示す最大収容人数と、当該部屋が利用される順序を示す優先順位とを含む部屋情報を記憶する部屋情報記憶部と、
前記部屋ごとに、当該部屋に在室している利用者の人数を示す在室者数を含む使用状況を記憶する使用状況記憶部と、
前記入室要求操作に応じて前記操作端末から送信された入室要求を受信した際、前記部屋ごとに、当該部屋の前記最大収容人数と前記在室者数とを比較することにより、当該部屋への入室可否を判定する判定部と、
前記部屋のうち、前記判定部で入室可と判定された部屋であって、かつ当該部屋の前記優先順位が最も高い部屋を入室先として選択する部屋選択部と、
前記部屋選択部で選択された前記入室先が入室要求元である操作端末の部屋と同じ場合には当該部屋の前記ドア制御端末に対して入室許可を送信し、当該入室先が入室要求元である操作端末の部屋とは異なる場合には当該操作端末に対して入室不可を送信する端末制御部と
を含み、
前記ドア制御端末は、前記管理装置から送信された前記入室許可の受信に応じて、当該部屋のドアの開扉を許可し、
前記操作端末は、前記管理装置から送信された前記入室不可の受信に応じて、当該部屋の入室不可を前記利用者へ報知する
ことを特徴とする施設管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の施設管理システムにおいて、
前記判定部は、前記最大収容人数と前記在室者数との差が前記入室要求で指定された入室要求人数以上か否かに応じて、当該部屋への入室可否を判定することを特徴とする施設管理システム。
【請求項3】
複数の利用者により複数の部屋を共用する施設について、前記利用者による個々の部屋の利用を管理する施設管理システムであって、
前記部屋ごとに設置されて、当該部屋から退室を希望する前記利用者の退室要求操作を受け付ける操作端末と、
前記部屋ごとに設置されて、当該部屋のドアの開扉を規制するドア制御端末と、
前記操作端末および前記ドア制御端末とデータ通信を行うことにより、これら操作端末およびドア制御端末を制御して、前記部屋のいずれかに在室する利用者が当該部屋から退室した際、前記部屋のうち任意の部屋に在室する利用者を前記部屋のうちの他の部屋へ誘導する管理装置と
を備え、
前記管理装置は、
前記部屋ごとに、当該部屋で収容可能な利用者人数を示す最大収容人数と、当該部屋が利用される順序を示す優先順位とを含む部屋情報を記憶する部屋情報記憶部と、
前記部屋ごとに、当該部屋に在室している利用者の人数を示す在室者数を含む使用状況を記憶する使用状況記憶部と、
前記退室要求操作に応じて前記操作端末から送信された退室要求を受信した際、前記各部屋の前記部屋情報および前記使用状況に基づいて、前記部屋のうち前記利用者が在室する在室部屋を、移動元となる部屋と、当該移動元以外の部屋からなる移動先候補とに区分し、これら移動先候補のうちの1つ以上の部屋へ当該移動元に在室する全ての利用者が移動可能か否かを判定する判定部と、
前記判定部で移動可と判定された際、前記移動先候補ごとに、当該部屋の前記最大収容人数と前記在室者数とを比較することにより、当該移動先候補のうちから、前記移動元に在室する前記利用者のすべてを収容可能な1つ以上の部屋を移動先として選択する部屋選択部と、
前記退室要求を受信した際、当該退室要求元の操作端末の部屋の前記ドア制御端末に対して退室許可を送信し、前記判定部で移動可と判定された際、前記移動元の操作端末に対して退室指示を送信する端末制御部と
を含み、
前記ドア制御端末は、前記管理装置から送信された前記退室許可または前記入室許可の受信に応じて、当該ドアの開扉を許可し、
前記操作端末は、前記管理装置から送信された前記退室指示の受信に応じて、当該部屋からの退室を当該部屋内の利用者へ報知する
ことを特徴とする施設管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の施設管理システムにおいて、
前記判定部は、前記移動先候補のそれぞれの前記最大収容人数と前記在室者数とから当該移動先候補の部屋全体で収容可能な収容可能総数を算出し、この収容可能総数と前記移動元の在室者数とを比較することにより、当該移動元から前記移動先候補への移動可否を判定することを特徴とする施設管理システム。
【請求項5】
請求項3に記載の施設管理システムにおいて、
前記判定部は、前記移動先候補ごとに、当該部屋の前記最大収容人数と前記在室者数との差から当該部屋で収容可能な収容可能人数をそれぞれ算出し、これら収容可能人数を前記移動元の在室者数とそれぞれ比較することにより、当該移動元に在室する前記利用者のすべてが前記移動先候補のうちのいずれか1つの部屋へ移動可能か否かを判定することを特徴とする施設管理システム。
【請求項6】
請求項3に記載の施設管理システムにおいて、
前記判定部は、前記在室部屋のうち当該部屋の優先順位が最低の部屋を前記移動元として選択することを特徴とする施設管理システム。
【請求項7】
請求項3に記載の施設管理システムにおいて、
前記判定部は、前記在室部屋のうち当該部屋の前記在室者数が最小の部屋を前記移動元として選択することを特徴とする施設管理システム。
【請求項8】
複数の利用者により複数の部屋を共用する施設について、前記部屋ごとに設置されて、当該部屋へ入室を希望する前記利用者の入室要求操作を受け付ける操作端末と、前記部屋ごとに設置されて、当該部屋のドアの開扉を規制するドア制御端末と、前記操作端末および前記ドア制御端末とデータ通信を行うことにより、これら操作端末およびドア制御端末を制御して、前記利用者が前記部屋の利用を開始する際、当該利用者を前記部屋のうちのいずれかへ誘導する管理装置とを備え、前記利用者による個々の部屋の利用を管理する施設管理システムで用いられる施設管理方法であって、
前記管理装置の部屋情報記憶部が、前記部屋ごとに、当該部屋で収容可能な利用者人数を示す最大収容人数と、当該部屋が利用される順序を示す優先順位とを含む部屋情報を記憶する部屋情報記憶ステップと、
前記管理装置の使用状況記憶部が、前記部屋ごとに、当該部屋に在室している利用者の人数を示す在室者数を含む使用状況を記憶する使用状況記憶ステップと、
前記管理装置の判定部が、前記入室要求操作に応じて前記操作端末から送信された入室要求を受信した際、前記部屋ごとに、当該部屋の前記最大収容人数と前記在室者数とを比較することにより、当該部屋への入室可否を判定する判定ステップと、
前記管理装置の部屋選択部が、前記部屋のうち、前記判定ステップで入室可と判定された部屋であって、かつ当該部屋の前記優先順位が最も高い部屋を入室先として選択する部屋選択ステップと、
前記管理装置の端末制御部が、前記部屋選択ステップで選択された前記入室先が入室要求元である操作端末の部屋と同じ場合には当該部屋の前記ドア制御端末に対して入室許可を送信し、当該入室先が入室要求元である操作端末の部屋とは異なる場合には当該操作端末に対して入室不可を送信する端末制御ステップと、
前記ドア制御端末が、前記管理装置から送信された前記入室許可の受信に応じて、当該部屋のドアの開扉を許可するステップと、
前記操作端末が、前記管理装置から送信された前記入室不可の受信に応じて、当該部屋の入室不可を前記利用者へ報知するステップと
を備えることを特徴とする施設管理方法。
【請求項9】
複数の利用者により複数の部屋を共用する施設について、前記部屋ごとに設置されて、当該部屋から退室を希望する前記利用者の退室要求操作を受け付ける操作端末と、前記部屋ごとに設置されて、当該部屋のドアの開扉を規制するドア制御端末と、前記操作端末および前記ドア制御端末とデータ通信を行うことにより、これら操作端末およびドア制御端末を制御して、前記部屋のいずれかに在室する利用者が当該部屋から退室した際、前記部屋のうち任意の部屋に在室する利用者を前記部屋のうちの他の部屋へ誘導する管理装置とを備え、複数の利用者により複数の部屋を共用する施設について、前記利用者による個々の部屋の利用を管理する施設管理システムで用いられる施設管理方法であって、
前記管理装置の部屋情報記憶部が、前記部屋ごとに、当該部屋で収容可能な利用者人数を示す最大収容人数と、当該部屋が利用される順序を示す優先順位とを含む部屋情報を記憶する部屋情報記憶ステップと、
前記管理装置の使用状況記憶部が、前記部屋ごとに、当該部屋に在室している利用者の人数を示す在室者数を含む使用状況を記憶する使用状況記憶ステップと、
前記管理装置の判定部が、前記退室要求操作に応じて前記操作端末から送信された退室要求を受信した際、前記各部屋の前記部屋情報および前記使用状況に基づいて、前記部屋のうち前記利用者が在室する在室部屋を、移動元となる部屋と、当該移動元以外の部屋からなる移動先候補とに区分し、これら移動先候補のうちの1つ以上の部屋へ当該移動元に在室する全ての利用者が移動可能か否かを判定する判定ステップと、
前記管理装置の部屋選択部が、前記判定ステップで移動可と判定された際、前記移動先候補ごとに、当該部屋の前記最大収容人数と前記在室者数とを比較することにより、当該移動先候補のうちから、前記移動元に在室する前記利用者のすべてを収容可能な1つ以上の部屋を移動先として選択する部屋選択ステップと、
前記管理装置の端末制御部が、前記退室要求を受信した際、当該退室要求元の操作端末の部屋の前記ドア制御端末に対して退室許可を送信し、前記判定ステップで移動可と判定された際、前記移動元の操作端末に対して退室指示を送信する端末制御ステップと、
前記ドア制御端末が、前記管理装置から送信された前記退室許可または前記入室許可の受信に応じて、当該ドアの開扉を許可するステップと、
前記操作端末が、前記管理装置から送信された前記退室指示の受信に応じて、当該部屋からの退室を当該部屋内の利用者へ報知するステップと
を備えることを特徴とする施設管理方法。
【請求項1】
複数の利用者により複数の部屋を共用する施設について、前記利用者による個々の部屋の利用を管理する施設管理システムであって、
前記部屋ごとに設置されて、当該部屋へ入室を希望する前記利用者の入室要求操作を受け付ける操作端末と、
前記部屋ごとに設置されて、当該部屋のドアの開扉を規制するドア制御端末と、
前記操作端末および前記ドア制御端末とデータ通信を行うことにより、これら操作端末およびドア制御端末を制御して、前記利用者が前記部屋の利用を開始する際、当該利用者を前記部屋のうちのいずれかへ誘導する管理装置と
を備え、
前記管理装置は、
前記部屋ごとに、当該部屋で収容可能な利用者人数を示す最大収容人数と、当該部屋が利用される順序を示す優先順位とを含む部屋情報を記憶する部屋情報記憶部と、
前記部屋ごとに、当該部屋に在室している利用者の人数を示す在室者数を含む使用状況を記憶する使用状況記憶部と、
前記入室要求操作に応じて前記操作端末から送信された入室要求を受信した際、前記部屋ごとに、当該部屋の前記最大収容人数と前記在室者数とを比較することにより、当該部屋への入室可否を判定する判定部と、
前記部屋のうち、前記判定部で入室可と判定された部屋であって、かつ当該部屋の前記優先順位が最も高い部屋を入室先として選択する部屋選択部と、
前記部屋選択部で選択された前記入室先が入室要求元である操作端末の部屋と同じ場合には当該部屋の前記ドア制御端末に対して入室許可を送信し、当該入室先が入室要求元である操作端末の部屋とは異なる場合には当該操作端末に対して入室不可を送信する端末制御部と
を含み、
前記ドア制御端末は、前記管理装置から送信された前記入室許可の受信に応じて、当該部屋のドアの開扉を許可し、
前記操作端末は、前記管理装置から送信された前記入室不可の受信に応じて、当該部屋の入室不可を前記利用者へ報知する
ことを特徴とする施設管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の施設管理システムにおいて、
前記判定部は、前記最大収容人数と前記在室者数との差が前記入室要求で指定された入室要求人数以上か否かに応じて、当該部屋への入室可否を判定することを特徴とする施設管理システム。
【請求項3】
複数の利用者により複数の部屋を共用する施設について、前記利用者による個々の部屋の利用を管理する施設管理システムであって、
前記部屋ごとに設置されて、当該部屋から退室を希望する前記利用者の退室要求操作を受け付ける操作端末と、
前記部屋ごとに設置されて、当該部屋のドアの開扉を規制するドア制御端末と、
前記操作端末および前記ドア制御端末とデータ通信を行うことにより、これら操作端末およびドア制御端末を制御して、前記部屋のいずれかに在室する利用者が当該部屋から退室した際、前記部屋のうち任意の部屋に在室する利用者を前記部屋のうちの他の部屋へ誘導する管理装置と
を備え、
前記管理装置は、
前記部屋ごとに、当該部屋で収容可能な利用者人数を示す最大収容人数と、当該部屋が利用される順序を示す優先順位とを含む部屋情報を記憶する部屋情報記憶部と、
前記部屋ごとに、当該部屋に在室している利用者の人数を示す在室者数を含む使用状況を記憶する使用状況記憶部と、
前記退室要求操作に応じて前記操作端末から送信された退室要求を受信した際、前記各部屋の前記部屋情報および前記使用状況に基づいて、前記部屋のうち前記利用者が在室する在室部屋を、移動元となる部屋と、当該移動元以外の部屋からなる移動先候補とに区分し、これら移動先候補のうちの1つ以上の部屋へ当該移動元に在室する全ての利用者が移動可能か否かを判定する判定部と、
前記判定部で移動可と判定された際、前記移動先候補ごとに、当該部屋の前記最大収容人数と前記在室者数とを比較することにより、当該移動先候補のうちから、前記移動元に在室する前記利用者のすべてを収容可能な1つ以上の部屋を移動先として選択する部屋選択部と、
前記退室要求を受信した際、当該退室要求元の操作端末の部屋の前記ドア制御端末に対して退室許可を送信し、前記判定部で移動可と判定された際、前記移動元の操作端末に対して退室指示を送信する端末制御部と
を含み、
前記ドア制御端末は、前記管理装置から送信された前記退室許可または前記入室許可の受信に応じて、当該ドアの開扉を許可し、
前記操作端末は、前記管理装置から送信された前記退室指示の受信に応じて、当該部屋からの退室を当該部屋内の利用者へ報知する
ことを特徴とする施設管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の施設管理システムにおいて、
前記判定部は、前記移動先候補のそれぞれの前記最大収容人数と前記在室者数とから当該移動先候補の部屋全体で収容可能な収容可能総数を算出し、この収容可能総数と前記移動元の在室者数とを比較することにより、当該移動元から前記移動先候補への移動可否を判定することを特徴とする施設管理システム。
【請求項5】
請求項3に記載の施設管理システムにおいて、
前記判定部は、前記移動先候補ごとに、当該部屋の前記最大収容人数と前記在室者数との差から当該部屋で収容可能な収容可能人数をそれぞれ算出し、これら収容可能人数を前記移動元の在室者数とそれぞれ比較することにより、当該移動元に在室する前記利用者のすべてが前記移動先候補のうちのいずれか1つの部屋へ移動可能か否かを判定することを特徴とする施設管理システム。
【請求項6】
請求項3に記載の施設管理システムにおいて、
前記判定部は、前記在室部屋のうち当該部屋の優先順位が最低の部屋を前記移動元として選択することを特徴とする施設管理システム。
【請求項7】
請求項3に記載の施設管理システムにおいて、
前記判定部は、前記在室部屋のうち当該部屋の前記在室者数が最小の部屋を前記移動元として選択することを特徴とする施設管理システム。
【請求項8】
複数の利用者により複数の部屋を共用する施設について、前記部屋ごとに設置されて、当該部屋へ入室を希望する前記利用者の入室要求操作を受け付ける操作端末と、前記部屋ごとに設置されて、当該部屋のドアの開扉を規制するドア制御端末と、前記操作端末および前記ドア制御端末とデータ通信を行うことにより、これら操作端末およびドア制御端末を制御して、前記利用者が前記部屋の利用を開始する際、当該利用者を前記部屋のうちのいずれかへ誘導する管理装置とを備え、前記利用者による個々の部屋の利用を管理する施設管理システムで用いられる施設管理方法であって、
前記管理装置の部屋情報記憶部が、前記部屋ごとに、当該部屋で収容可能な利用者人数を示す最大収容人数と、当該部屋が利用される順序を示す優先順位とを含む部屋情報を記憶する部屋情報記憶ステップと、
前記管理装置の使用状況記憶部が、前記部屋ごとに、当該部屋に在室している利用者の人数を示す在室者数を含む使用状況を記憶する使用状況記憶ステップと、
前記管理装置の判定部が、前記入室要求操作に応じて前記操作端末から送信された入室要求を受信した際、前記部屋ごとに、当該部屋の前記最大収容人数と前記在室者数とを比較することにより、当該部屋への入室可否を判定する判定ステップと、
前記管理装置の部屋選択部が、前記部屋のうち、前記判定ステップで入室可と判定された部屋であって、かつ当該部屋の前記優先順位が最も高い部屋を入室先として選択する部屋選択ステップと、
前記管理装置の端末制御部が、前記部屋選択ステップで選択された前記入室先が入室要求元である操作端末の部屋と同じ場合には当該部屋の前記ドア制御端末に対して入室許可を送信し、当該入室先が入室要求元である操作端末の部屋とは異なる場合には当該操作端末に対して入室不可を送信する端末制御ステップと、
前記ドア制御端末が、前記管理装置から送信された前記入室許可の受信に応じて、当該部屋のドアの開扉を許可するステップと、
前記操作端末が、前記管理装置から送信された前記入室不可の受信に応じて、当該部屋の入室不可を前記利用者へ報知するステップと
を備えることを特徴とする施設管理方法。
【請求項9】
複数の利用者により複数の部屋を共用する施設について、前記部屋ごとに設置されて、当該部屋から退室を希望する前記利用者の退室要求操作を受け付ける操作端末と、前記部屋ごとに設置されて、当該部屋のドアの開扉を規制するドア制御端末と、前記操作端末および前記ドア制御端末とデータ通信を行うことにより、これら操作端末およびドア制御端末を制御して、前記部屋のいずれかに在室する利用者が当該部屋から退室した際、前記部屋のうち任意の部屋に在室する利用者を前記部屋のうちの他の部屋へ誘導する管理装置とを備え、複数の利用者により複数の部屋を共用する施設について、前記利用者による個々の部屋の利用を管理する施設管理システムで用いられる施設管理方法であって、
前記管理装置の部屋情報記憶部が、前記部屋ごとに、当該部屋で収容可能な利用者人数を示す最大収容人数と、当該部屋が利用される順序を示す優先順位とを含む部屋情報を記憶する部屋情報記憶ステップと、
前記管理装置の使用状況記憶部が、前記部屋ごとに、当該部屋に在室している利用者の人数を示す在室者数を含む使用状況を記憶する使用状況記憶ステップと、
前記管理装置の判定部が、前記退室要求操作に応じて前記操作端末から送信された退室要求を受信した際、前記各部屋の前記部屋情報および前記使用状況に基づいて、前記部屋のうち前記利用者が在室する在室部屋を、移動元となる部屋と、当該移動元以外の部屋からなる移動先候補とに区分し、これら移動先候補のうちの1つ以上の部屋へ当該移動元に在室する全ての利用者が移動可能か否かを判定する判定ステップと、
前記管理装置の部屋選択部が、前記判定ステップで移動可と判定された際、前記移動先候補ごとに、当該部屋の前記最大収容人数と前記在室者数とを比較することにより、当該移動先候補のうちから、前記移動元に在室する前記利用者のすべてを収容可能な1つ以上の部屋を移動先として選択する部屋選択ステップと、
前記管理装置の端末制御部が、前記退室要求を受信した際、当該退室要求元の操作端末の部屋の前記ドア制御端末に対して退室許可を送信し、前記判定ステップで移動可と判定された際、前記移動元の操作端末に対して退室指示を送信する端末制御ステップと、
前記ドア制御端末が、前記管理装置から送信された前記退室許可または前記入室許可の受信に応じて、当該ドアの開扉を許可するステップと、
前記操作端末が、前記管理装置から送信された前記退室指示の受信に応じて、当該部屋からの退室を当該部屋内の利用者へ報知するステップと
を備えることを特徴とする施設管理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−76343(P2011−76343A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226750(P2009−226750)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】
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