説明

昇降装置

【課題】ワイヤが乱巻き状態となることを防ぐための構成を簡素にして軽量化することができる昇降装置を提供する。
【解決手段】支柱14に沿って昇降自在に案内される昇降体11を吊下げ支持するワイヤ15を、巻き取りドラム19の正逆回転により繰り出し及び巻き取られるように構成し、昇降体11における被支持部45に対して上方への移動不能に且つ下方への移動自在に接当する吊下げ支持部材31を、ワイヤ15の端部に連結し、吊下げ支持部材31を被支持部45に対して下方側に付勢する引張りスプリング32を、吊下げ支持部材31と昇降体11における被支持部45よりも下方のスプリング取付け部44との間に配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支柱に沿って昇降自在に案内される昇降体を吊下げ支持するワイヤが、巻き取りドラムの正逆回転により繰り出し及び巻き取られるように構成された昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる昇降装置は、巻き取りドラムを正逆回転させてワイヤを繰り出し及び巻き取ることによって昇降体を昇降させるものであり、昇降体に支持させた物品を昇降移動させる際に用いられるものである。
そして、このような昇降装置では、昇降体を上昇移動させているときに巻き取りドラムを急停止させると昇降体が慣性によって上昇移動する場合があり、このように巻き取りドラムを停止させた状態で昇降体が慣性によって上昇移動すると、停止した巻き取りドラムに対しワイヤが巻取り方向に昇降体側から送り込まれることになり、巻取りドラムに巻き取られているワイヤが弛んで乱巻き状態となることによって、正常なワイヤの巻き取りや繰り出しが行えなく可能性がある。
そこで、従来では、一対のパッドにて昇降体と巻き取りドラムとの間でワイヤを挾持する制動状態と一対のパッドによるワイヤの挾持が解除された制動解除状態とに切り換え操作自在なワイヤ制動手段と、ワイヤ制動手段の作動を制御する制御手段とを備え、巻き取りドラムを急停止させた際に制御手段にてワイヤ制動手段を制動状態とすることによって、巻き取りドラムを急停止させた際に昇降体が慣性により上昇移動したとしても、ワイヤにおけるワイヤ制動手段にて挾持した箇所よりも巻き取りドラム側の部分が弛まないようにして、巻き取りドラムに巻き取られているワイヤが乱巻き状態になることを防ぐように構成されているものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
ちなみに、ワイヤ制動手段は、ワイヤを挾持する一対のパッドの他に、一方のパッドを他方のパッドから離間させる側に付勢するスプリングや、このスプリングの付勢力に抗して一方のパッドを他方のパッド側に押し操作するソレノイドを備えて構成されており、制御装置は、ワイヤ制動手段におけるソレノイドの作動を制御するように構成されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−302186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の昇降装置では、昇降体が慣性により浮上した際に巻き取りドラムにてワイヤが乱巻き状態となることを防ぐために、一対のパッド、スプリング並びにソレノイドを備えたワイヤ制動手段とこれの作動を制御する制御手段とを備えなければならず、そのためにワイヤが乱巻き状態となることを防ぐ構成が複雑で重量化を招くものとなっていた。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、ワイヤが乱巻き状態となることを防ぐための構成を簡素にして軽量化することができる昇降装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明にかかる昇降装置は、支柱に沿って昇降自在に案内される昇降体を吊下げ支持するワイヤが、巻き取りドラムの正逆回転により繰り出し及び巻き取られるように構成されたものであって、その第1特徴構成は、
前記昇降体における被支持部に対して上方への移動不能に且つ下方への移動自在に接当する吊下げ支持部材が、前記ワイヤの端部に連結され、前記吊下げ支持部材を前記被支持部に対して下方側に付勢する引張りスプリングが、前記吊下げ支持部材と前記昇降体における前記被支持部よりも下方のスプリング取付け部との間に配設されている点にある。
【0007】
すなわち、ワイヤの端部に連結された吊下げ支持部材が、昇降体における被支持部に対して上方への移動不能に且つ下方への移動自在に接当しており、ワイヤの端部に連結された吊下げ支持部材にて昇降体が受け止め支持されているため、巻き取りドラムがワイヤを繰り出すことにより、吊下げ支持部材とともに昇降体が下降し、また、巻き取りドラムがワイヤを巻き取ることにより、吊下げ支持部材とともに昇降体が上昇する。
【0008】
そして、吊下げ支持部材を被支持部に対して下方側に付勢する引張りスプリングが、吊下げ支持部材と昇降体における被支持部よりも下方のスプリング取付け部との間に配設されているから、昇降体を上昇移動させているときに巻き取りドラムを急停止させることにより慣性によって昇降体が上昇移動したとしても、引張りスプリングの引張り作用によって吊下げ支持部材を被支持部に対して下方に移動させることによって、引張りスプリングが昇降体の慣性による上昇移動に応じて短縮してワイヤの緊張状態を維持することができるため、巻き取りドラムに巻き取られているワイヤが乱巻き状態になることを防ぐことができる。
【0009】
そして、吊下げ支持部材を被支持部に対して下方に移動させるために昇降体が慣性により上昇移動した量以上の大きなストロークが必要であるが、昇降体の慣性による上昇移動に応じて引張りスプリングを短縮させるように構成しているので、昇降体の慣性による上昇移動に応じて圧縮スプリングを伸長させるように構成したものに比べて、吊下げ支持部材を被支持部に対して下方に移動させるために大きなストロークが得られるように構成し易いものである。
説明を加えると、吊下げ支持部材を被支持部に対して下方側に付勢する圧縮スプリングを吊下げ支持部材と被支持部との間に配設して、昇降体が慣性により上昇移動した場合に、圧縮スプリングが昇降体の慣性による上昇移動に応じて伸長してワイヤの緊張状態を維持するように構成したものであれば、圧縮スプリングを長いものとすると圧縮状態に変形する際に座屈し易いから、圧縮スプリングが座屈しないように圧縮スプリングを案内する案内部材が必要であるため、圧縮スプリングを長いものにして吊下げ支持部材を被支持部に対して下方に移動させるのに大きなストロークが得られるように構成し難いものであるが、上述の如く、引張りスプリングが昇降体の上昇移動に応じて短縮してワイヤの緊張状態を維持するように構成したものであれば、引張りスプリングを長いものとしたとしても圧縮状態とならないから、引張りスプリングが座屈しないように引張りスプリングを案内する案内部材が特に必要ないため、引張りスプリングを長いものにして吊下げ支持部材を被支持部に対して下方に移動させるのに大きなストロークが得られるように構成し易いものである。
【0010】
したがって、昇降体における被支持部に対して上方への移動不能に且つ下方への移動自在に接当する吊下げ支持部材をワイヤの端部に連結し、吊下げ支持部材と昇降体における被支持部よりも下方のスプリング取付け部との間に、吊下げ支持部材を被支持部に対して下方側に付勢する引張りスプリングを配設するだけの簡素な構成で、巻き取りドラムに巻き取られているワイヤが乱巻き状態になることを防ぐことができるため、ワイヤが乱巻き状態となることを防ぐための構成が簡素で軽量化を図ることができるものとなり、もって、ワイヤが乱巻き状態となることを防ぐための構成を簡素にして軽量化することができる昇降装置を提供することができるに至った。
【0011】
本発明にかかる昇降装置の第2特徴構成は、第1特徴構成において、前記吊下げ支持部材が、前記被支持部における挿通孔に対して上下動自在に挿通され且つ上端部に前記ワイヤが連結された棒状体と、前記被支持部に対して上方への移動不能に且つ下方への移動自在に接当し且つ前記棒状体にその長手方向での位置を調整自在に装着された接当体とから構成されている点にある。
【0012】
すなわち、被支持部に対して上方への移動不能に且つ下方への移動自在に接当する当接体が、被支持部における挿通孔に対して上下動自在に挿通され且つ上端部にワイヤが連結された棒状体に、その長手方向での位置を調整自在に装着されているから、棒状体における接当体が装着される位置を棒状体の長手方向に調節することによって、ワイヤにて吊り下げ支持される昇降体の高さを調節することができるため、経年変化によるワイヤの伸びにより昇降体の位置が予め設定された設定位置より低くなった場合でも、接当体を長手方向の上端側に移動させるように調節することによって、昇降体の位置を予め設定された設定位置とすることができるものであり、もって、経年変化によってワイヤが伸びた場合でも対応することができる昇降装置を提供することができるに至った。
【0013】
本発明にかかる昇降装置の第3特徴構成は、第1又は第2特徴構成において、前記吊下げ支持部材の前記被支持部に対する位置が前記被支持部に接当する適正位置から設定量以上下降したことを検出する下降検出手段が設けられている点にある。
【0014】
すなわち、吊下げ支持部材の被支持部に対する位置が被支持部に接当する適正位置から設定量以上下降すると下降検出手段にて検出されるから、巻き取りドラムを急停止させたことによって昇降体が大きく浮上した場合やワイヤが切断した場合に、下降検出手段にて検出することができ、もって、昇降体が大きく浮上した場合やワイヤが切断したことを検出することができる昇降装置を提供することができるに至った。
【0015】
本発明にかかる昇降装置の第4特徴構成は、第1〜第3特徴構成のいずれか1つにおいて、前記支柱が、走行台車から立設され、前記昇降体に物品移載装置が装備されている点にある。
【0016】
すなわち、ワイヤが乱巻き状態となることを防ぐための構成を上述の如く簡素で軽量化を図ることができるから、走行台車に支柱を立設し、昇降体に物品移載装置を装備した、例えばスタッカークレーンのように自走するものに装備した場合に、小さな動力で走行台車を走行させることができるものとなり、このように走行台車に設けた際に有利なものとなる昇降装置を提供することができるに至った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明による昇降装置を物品収納設備に備えたスタッカークレーンに適用した場合について実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、物品収納設備は、複数の収納部1を縦横に並べて備えた物品収納棚2と、その物品収納棚2と入出庫用の載置搬送装置3との間で物品を搬送するスタッカークレーン4とを備えて構成されている。
【0018】
前記物品収納棚2は、物品出し入れ方向が互いに対向するように間隔を隔てて2つ設置されている。そして、2つの物品収納棚2の間には走行レール7が床面に設置されており、スタッカークレーン4は走行レール7に沿って2つの物品収納棚2の間を往復移動するように設けられている。
前記載置搬送装置3は、物品を載置搬送するローラ式搬送装置5と、そのローラ式搬送装置5における物品収納棚2側の端部に備えられた昇降自在なベルト式搬送装置6とを備えて構成されており、ベルト式搬送装置6を昇降移動させることにより物品をローラ式搬送装置5とベルト式搬送装置6との間で移載することができ、また、ベルト式搬送装置6を上昇移動させた状態においてスタッカークレーン4と自己との間で物品を移載することができるように構成されている。
以下、スタッカークレーン4の走行方向(前後方向)の一方側をHP側(図2上左側)、他方側をOP側(図2上右側)と称する。
【0019】
次に、スタッカークレーン4について具体的に説明する。
図2に示すように、スタッカークレーン4には、支柱14に沿って昇降自在に案内される昇降体としての昇降台11を吊り下げ支持するワイヤ15が、巻き取りドラム19の正逆回転により繰り出し及び巻き取られるように構成された昇降装置Aが備えられている。
そして、昇降用電動モータ20にて巻き取りドラム19を正逆に回転駆動させることにより、ワイヤ15が繰り出し操作や巻き取り操作されることによって昇降台11が昇降移動するように構成されている。
前記支柱14は、走行台車10におけるOP側端部から立設されており、この支柱14にて昇降台11のOP側端部が昇降自在に案内されるように構成されている。
【0020】
走行台車10には、走行レール7上を走行自在な前後二つの車輪24が設けられ、二つの車輪24のうちの水平移動方向の一端側の車輪24が、走行用電動モータ25にて駆動される駆動輪24aとして構成され、水平移動方向の他端側の車輪24が、遊転自在な従動輪24bとして構成されている。
そして、走行用電動モータ25にて駆動輪24aを正逆に回転駆動させることにより、走行台車10が前後方向に沿って走行するように構成されている。
【0021】
図2に示すように、昇降装置Aは、昇降台11を吊り下げ支持するワイヤ15、並びに、ワイヤ15を繰り出し及び巻き取り操作する巻き取りドラム19を備えて構成されており、昇降台11はワイヤ15にて吊下げ支持され、そのワイヤ15は、支柱14の上端部に連結され且つガイドレール8に沿って案内される上部フレーム16に設けられた案内プーリ17に巻き掛けられて、走行台車10のOP側端部に設けられた巻き取りドラム19に連結されている。
【0022】
昇降台11について説明を加えると、図3に示すように、昇降台11は、前後方向に沿う姿勢の一対の前後向きフレーム41と上下方向に沿う姿勢の上下向きフレーム42とを備えて構成されており、前後向きフレーム41のOP側端部に上下向きフレーム42を立設させて、側面視での形状がL字状に形成されている。
そして、図4に示すように、前後向きフレーム41並びに上下向きフレーム42の夫々は、横幅方向に間隔を隔てる形態で一対備えられており、一対の前後向きフレーム41が、そのHP側の先端部において前端側連結部材43にて連結されており、また、一対の上下向きフレーム42が、上端部において被支持部としての上端側連結部材45にて連結され、且つ、下端部においてスプリング取付け部としての下端側連結部材44にて連結されている。
【0023】
一対の上下向きフレーム42の夫々には、OP側に突出するようにローラ支持用板材46が片持ち状に連結されており、そのローラ支持用板材46に、昇降台11が支柱14に対して横幅方向に移動すること、昇降台11が支柱14に対して前後方向に移動すること、並びに、昇降台11が支柱14に対して傾くことを規制するための複数の規制ローラ47が備えられている。
また、前記昇降台11にはコンベア式の物品移載装置12が装備されており、この物品移載装置12にて、自己と収納部1又は載置搬送装置3との間で物品を移載するように構成されている。
【0024】
図6に示すように、スタッカークレーン4には、スタッカークレーン4の運転を制御するクレーン制御装置28が備えられており、このクレーン制御装置28と地上側コントローラ9との間では、各種の情報が通信自在であり、地上側コントローラ9がクレーン制御装置28に対して各種の指令を行うように構成されている。ちなみに、地上側コントローラ9は、図1に示すように、物品支持台3よりHP側の床面上に設けられている。
そして、走行台車10には、走行台車10の走行に伴ってパルスを出力する走行用ロータリエンコーダ21が備えられ、昇降台11には、昇降台11の昇降に伴ってパルスを出力する昇降用ロータリエンコーダ22が備えられており、クレーン制御装置28は、走行用ロータリエンコーダ21が出力するパルス信号に基づいて走行台車10の走行位置を管理し、昇降用ロータリエンコーダ22が出力するパルス信号に基づいて昇降台11の昇降位置を管理するように構成されている。
つまり、クレーン制御装置28は、地上側コントローラ9からの指令に基づいて、走行台車10の走行位置を管理しながら走行台車10を走行させ、また、昇降台11の昇降位置を管理しながら昇降台11を昇降させて、入出庫用の載置搬送装置3に存在する物品を物品収納棚2の収納部1に収納する入庫作業、及び、物品収納棚2の収納部1に収納されている物品を入出庫用の載置搬送装置3に取り出す出庫作業を行うように構成されている。
【0025】
次に、昇降装置Aによる昇降台11の支持構造について説明する。
図4及び図5に示すように、前記昇降台11における上端側連結部材45に対して上方への移動不能に且つ下方への移動自在に接当する吊下げ支持部材31が、前記ワイヤ15の端部に連結され、前記吊下げ支持部材31を上端側連結部材45に対して下方側に付勢する引張りスプリング32が、前記吊下げ支持部材31と前記昇降台11における上端側連結部材45よりも下方の下端側連結部材44との間に配設されている。
そして、前記吊下げ支持部材31が、上端側連結部材45における挿通孔45aに対して上下動自在に挿通され且つ上端部に前記ワイヤ15が連結された棒状体36と、上端側連結部材45に対して上方への移動不能に且つ下方への移動自在に接当し且つ前記棒状体36にその長手方向での位置を調整自在に装着された接当体37とから構成されている。
【0026】
説明を加えると、図4に示すように、ワイヤ15の端部が連結された棒状体36には、3個のナット38が上下方向に並ぶように螺合されている。また、接当体37は、円形状の底部37aに円筒状の周壁部37bを立設させたコップ状に形成されている。
そして、接当体37は、底部37aに形成された孔に棒状体36が挿通された状態で、且つ、棒状体36に螺合された3個のナット38における上から1個目のナット38と上から2個目のナット38との間に底部が挟まる状態で棒状体36に装着されており、3個のナット38を回転操作して棒状体36に対して上下方向に操作することによって、棒状体36の長手方向での接当体37の位置を調節することができるように構成されている。
【0027】
接当体37における周壁部37bの径は、上端側連結部材45における挿通孔45aの径より大きく形成されており、ワイヤ15にて昇降台11を吊り下げ支持している状態では、接当体37が上端側連結部材45に対して上方への移動不能に接当するように構成されている。
また、上端側連結部材45の下面は平坦面に形成されており、接当体37の下方への移動を規制するものがなく、ワイヤ15にて昇降台11を吊り下げ支持している状態では、接当体37が上端側連結部材45に対して下方への移動自在に接当するように構成されている。
【0028】
引張りスプリング32は、吊下げ支持部材31における棒状体36と下端側連結部材44との間に棒状体36と一直線状に並ぶように配設されており、図7(イ)に示すように、巻き取りドラム19を回転させて昇降台11を上昇させている際に、巻き取りドラム19の回転を急停止させたとしても、図7(ロ)に示すように、昇降台11が慣性により浮き上がることによるワイヤ15の撓みは、引張りスプリング32が短縮することによって円滑に吸収することができるように構成されている。
【0029】
図4に示すように、接当体37の下方には、前記吊下げ支持部材31の前記上端側連結部材45に対する位置が前記上端側連結部材45に接当する適正位置から設定量以上下降したことを検出するリミットスイッチにて構成された下降検出手段48が設けられている。そして、クレーン制御装置28は、下降検出手段48からの検出信号に基づいて、警報装置49の作動を制御するように構成されている。
つまり、例えば、浮き上がると、棒状体36が引張りスプリング32にて下方に引っ張られて接当体37が上方側連結部材45に接当する適性位置から設定量以上下降すると、その接当体37の下降移動が下降検出手段48にて検出され、この検出信号に基づいて、クレーン制御装置28にて警報装置49を作動させて警報灯を点灯させるように構成されている。
【0030】
〔別実施の形態〕
(1) 上記実施の形態では、支柱14を走行台車10におけるOP側端部から立設し、この支柱14にて昇降台11のOP側端部を昇降自在に案内するように構成したが、支柱14を走行台車10におけるHP側端部とOP側端部とから立設し、これらの支柱14にて昇降台11におけるHP側端部とOP側端部とを昇降自在に案内するように構成してもよい。
【0031】
(2) 上記実施の形態では、接当体37を底部と円筒部とでカップ状に構成したが、接当体37を板状に構成してもよく、接当体37の形状は適宜変更可能である。
【0032】
(3) 上記実施の形態では、下降検出手段48にて、巻き取りドラム19を急停止させた際に昇降台11が浮上したことを検出するように構成したが、下降検出手段48にて、ワイヤ15が切断したことを検出するように構成してもよい。
つまり、上記した実施の形態では、クレーン制御装置28を、下降検出手段48の検出情報に基づいて警報を発するように警報装置49の作動を制御するように構成して、昇降台11が大きく浮上した場合では、例えば昇降台11の浮上によって昇降台11にて支持されている物品が荷崩れしている可能性がある等により、警報装置49を作動させて警報を発するように構成したが、昇降台11を2本のワイヤ15にて吊り下げ支持する場合において、クレーン制御手段28を、下降検出手段48の検出情報に基づいて巻き取りドラムを急停止させるように巻き取りドラム19の作動を制御するように構成して、下降検出手段48にて2本のワイヤ15のどちらかの切断が検出されると、その下降検出手段48の検出情報に基づいて、巻き取りドラム19を急停止させるように構成してもよく、また、昇降台11を1本のワイヤ15にて吊り下げ支持する場合、昇降台11の落下を防止する落下防止手段を備えさせて、下降検出手段48にてワイヤ15の切断が検出されると、その下降検出手段48の検出情報に基づいて、落下防止手段を作動させて昇降台11の落下を防止するように構成してもよい。
尚、下降検出手段48にてワイヤ15が切断したことを検出する場合は、下降検出手段48を上記実施の形態において設けた位置よりも下方に配設し、昇降台11が浮上した程度では検出しないように構成する。また、下降検出手段48を複数備えて、昇降台11が浮上したこととワイヤ15が切断したこととの両方を検出することができるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】物品収納設備の斜視図
【図2】スタッカークレーンの側面図
【図3】昇降台の側面図
【図4】昇降台の平面図
【図5】昇降台の背面図
【図6】スタッカークレーンの制御ブロック図
【図7】スタッカークレーンの作用図
【符号の説明】
【0034】
10 走行台車
11 昇降体
12 物品移載装置
14 支柱
15 ワイヤ
19 巻き取りドラム
31 吊下げ支持部材
32 引張りスプリング
36 棒状体
37 接当体
44 スプリング取付け部
45 被支持部
45a 挿通孔
48 下降検出手段
A 昇降装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱に沿って昇降自在に案内される昇降体を吊下げ支持するワイヤが、巻き取りドラムの正逆回転により繰り出し及び巻き取られるように構成された昇降装置であって、
前記昇降体における被支持部に対して上方への移動不能に且つ下方への移動自在に接当する吊下げ支持部材が、前記ワイヤの端部に連結され、
前記吊下げ支持部材を前記被支持部に対して下方側に付勢する引張りスプリングが、前記吊下げ支持部材と前記昇降体における前記被支持部よりも下方のスプリング取付け部との間に配設されている昇降装置。
【請求項2】
前記吊下げ支持部材が、前記被支持部における挿通孔に対して上下動自在に挿通され且つ上端部に前記ワイヤが連結された棒状体と、前記被支持部に対して上方への移動不能に且つ下方への移動自在に接当し且つ前記棒状体にその長手方向での位置を調整自在に装着された接当体とから構成されている請求項1記載の昇降装置。
【請求項3】
前記吊下げ支持部材の前記被支持部に対する位置が前記被支持部に接当する適正位置から設定量以上下降したことを検出する下降検出手段が設けられている請求項1又は2記載の昇降装置。
【請求項4】
前記支柱が、走行台車から立設され、前記昇降体に物品移載装置が装備されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−184279(P2008−184279A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−19326(P2007−19326)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】