説明

映像配信装置及び映像配信方法

【課題】 特に映像を必要としているユーザーに優先的に映像を提供する。
【解決手段】 映像配信装置200は、各端末100から、当該端末100の移動情報及び映像要求を受信する映像要求受信部21と、複数の端末100からの移動情報に基づき、映像要求を満たし得る特定映像を撮影する外部の撮影装置を決定し、複数の端末を撮影装置のカテゴリ毎に分類する要求分類部23と、当該複数の端末100のうち、所定数の端末100の映像要求が単一の撮影装置のカテゴリに分類される場合、前記所定数の端末100の移動情報を参照して、前記所定数の端末100に対し特定映像を配信する優先度を決定する優先度決定部25と、映像要求を受け、特定映像を撮影装置から取得する映像取得部27と、優先度に従って、特定映像を所定数の端末100に順次配信する映像配信部29とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像配信装置及び映像配信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路、各車両などに設けられたカメラにより撮影された画像を、運転者等のユーザーに配信する種々の技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1は、交差点付近にカメラを設け、カメラにより撮影された道路の画像を、当該道路を走行する予定の車両に送信する技術を開示している.車両の運転者は、走行予定道路の状況を表わす画像を車内で確認することができ、当該道路の状況を前もって知ることができる。
【0004】
また、特許文献2は、各車両に取り付けたカメラより取得した映像をサーバーに集め、サーバーにアクセスしたクライアントに所望の車両の配信するライブビュー装置を開示している。
【0005】
【特許文献1】特開2004−061232号公報
【特許文献2】特開2003−085690号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、各ユーザーの緊急度、優先度に応じ、映像を配信するカメラへのアクセス制御を行う技術は提案されていない。例えば、一人のユーザーが所定のカメラに対するアクセス権を支配している場合、他のユーザーは当該カメラにアクセスすることができず、本当に当該カメラの映像を欲しがっているユーザーが、映像を入手できない状態が生じ得る。また、該アクセス制御がなされていない状況下、もし多数のユーザーから特定のカメラにアクセスが集中すると、映像表示、カメラ制御が円滑に行われないという障害も生じ得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、各ユーザーの緊急度、優先度に応じ、映像を配信する映像配信装置、映像配信方法を提供する。
【0008】
本発明の映像配信装置は、各端末から、当該各端末の移動情報及び映像要求を受信する映像要求受信部と、複数の端末からの移動情報に基づき、映像要求を満たし得る特定映像を撮影する外部の撮影装置を決定し、複数の端末を撮影装置のカテゴリ毎に分類する要求分類部と、当該複数の端末のうち、所定数の端末の映像要求が単一の撮影装置のカテゴリに分類される場合、前記所定数の端末の移動情報を参照して、前記所定数の端末に対し特定映像を配信する優先度を決定する優先度決定部と、映像要求を受け、特定映像を撮影装置から取得する映像取得部と、優先度に従って、特定映像を所定数の端末に順次配信する映像配信部とを備える。
【0009】
優先度決定部が、前記の所定数に基づき、優先度を決定する必要があるか否かを判定するように構成してもよい。端末の数が所定数以下の場合、すなわち一つの撮影装置への集中度が所定の程度以下の場合は、優先度を決定しないように構成することができる。
【0010】
また、映像要求受信部は、複数の端末から複数の撮影装置の複数カテゴリに分類される映像要求を受信し、要求分類部は、当該分類に従って端末を撮影装置のカテゴリ毎に分類することもある。
【0011】
上述の場合においては、複数のカテゴリの各々において、優先度決定部は端末の優先度を決定することとなる。
【0012】
また、撮影装置は道路に設置されたカメラを用いることができ、端末が車両に搭載された車載装置であってもよい。この場合、移動情報としては、車両の走行方向、車両のカメラの設置位置までの距離、車両がカメラにより撮影される道路を移動した移動回数の少なくともいずれかを採用することができる。
【0013】
また、本発明の車載装置は、車両に搭載されサーバーに対し映像要求を送信するものであり、ユーザーが目的地を設定するための目的地設定部と、現在位置を検出する位置検出部と、地図データを保存する地図データ保存部と、目的地、現在位置、及び地図データを参照し、現在位置から前記目的地までの経路を探索する経路探索部と、車両の走行情報を蓄積する走行ログ蓄積部と、映像要求を作成し、この映像要求と走行情報をサーバーに送信する送信情報作成部と、サーバーから走行情報に関連した映像要求に対応する映像を受信する映像受信部とを備える。
【0014】
走行情報としては、車両の走行方向情報、車両の経路に設置されたカメラの設置位置までの距離、車両の経路に設置されたカメラにより撮影される道路の移動回数の少なくともいずれかを採用することができる。
【0015】
また、ユーザーが目的地を設定しない場合、経路探索部は、現在位置、地図データ及び走行ログ蓄積部に蓄積された走行情報としての走行履歴を参照し、経路を作成するようにしてもよい。
【0016】
さらに本発明の映像配信方法は、各端末から、当該端末の移動情報及び映像要求を受信するステップと、複数の端末からの移動情報に基づき、映像要求を満たし得る特定映像を撮影する外部の撮影装置を決定し、複数の端末を撮影装置のカテゴリ毎に分類するステップと、当該複数の端末のうち、所定数の端末の映像要求が単一の撮影装置のカテゴリに分類される場合、前記所定数の端末の移動情報を参照して、前記所定数の端末に対し特定映像を配信する優先度を決定するステップと、映像要求を受け、特定映像を撮影装置から取得するステップと、優先度に従って、特定映像を複数の端末に順次配信するステップと、を備える。各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムも本発明に含まれる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の映像配信装置、映像配信方法によれば、特に映像を必要としているユーザーに優先的に映像を提供することができ、その後の経路選択、目的地決定等を円滑に行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施にあたって使用される車載装置100の概略構成を示す。この車載装置は一般的なカーナビゲーション装置の一部を構成するものであるが、特にこの使用態様は限定されない。カーナビゲーション装置とは別個独立に構成することもできる。また、車載装置100は、後述するサーバー200に対し、当該サーバーに対する端末を構成するものととらえることができる。すなわち、車載装置は、端末の使用の一例である。
【0020】
車載装置100は、目的地設定部1、位置検出部3、地図データ保存部5、経路探索部7、走行ログ蓄積部9、送信情報作成部11、映像受信部13を含んで構成される。
【0021】
目的地設定部1は、ユーザー(運転者)が希望する目的地を設定入力するためのもので、視覚的に認識可能なように所定のディスプレイ(図示せず)上に表示される。目的地設定部1は、例えば、ナビゲーション時の地図情報、操作メニュー、入力データ等の表示を行うディスプレイ上に、タッチスイッチの形で表示形成される。ディスプレイは、一般的には液晶ディスプレイによって構成され、車両搭載時は、カーナビゲーション装置のディスプレイを兼ねる。
【0022】
液晶ディスプレイ周辺にはカーナビゲーション装置の各種操作を行う、操作スイッチ群やリモコン装置(いずれも図示せず)が設けられる。これらの操作スイッチ群やリモコン装置によって、目的地設定部1を構成することもできる。また、目的地の入力方式も特に限定はされない。ユーザーがディスプレイ上に表現されたデジタル地図上の所定場所に接触する方式、直接目的地を文字入力する方式、音声によって入力する方式等を採用することができる。
【0023】
位置検出部3は、車両の現在位置を検出するものである。例えば、位置検出部3はGPS装置より構成され、GPS衛星からの情報に基づき位置情報を構成する経度情報、緯度情報を出力する。検出精度を向上させるための各種センサとして、車両の方位を検出する地磁気センサや角速度センサ、ステアリングの回転センサ、車両の走行距離を検出する車速センサ等を含んでいてもよい。位置検出部3には、カーナビゲーション装置に一般的に用いられるものが適用され得る。
【0024】
地図データ保存部5も、一般のカーナビゲーション装置に用いられるものが使用される。地図データ保存部5は、例えばハードディスクのような情報記録装置や、CD−ROMやDVD−ROMのような大容量の情報記録媒体及びその読み取り装置等によって構成され、ナビゲーション時に利用する地図データ等の各種情報を記憶するものである。
【0025】
地図データ保存部5には、地図上の所定場所毎に関連付けられた地図データが埋め込まれており、ここでの地図データは地図上の所定の場所を特定するための情報を少なくとも有する。このような情報としては、道路名、施設名、住居表示情報等の地名情報、山や高層建築物等、視覚的に目立って特定地域の景観を特徴づける目印であるランドマーク情報等を利用することができる。
【0026】
経路探索部7は、目的地設定部1から入力された目的地、位置検出部3によって検出された車両の現在位置、及び地図データ保存部5に保存された地図データを参照し、目的地までの経路を探索、提示するものである。経路探索部7には通常のカーナビゲーション装置に用いられるものが使用され得る。経路探索の方法は後述する。
【0027】
走行ログ蓄積部9は、車両の走行状況を記録し、蓄積するものであって、位置検出部3から得られた車両の現在位置情報を記録し、所定のタイミングで刻々更新する。
【0028】
送信情報作成部11は、経路探索部7より得られた目的地までの経路、及び走行ログ蓄積部9に蓄積保存されている走行情報、走行履歴を参照し、車両の走行情報(車載装置の移動情報)を作成する。さらに送信情報作成部11は、車載装置が自己に有益な道路や場所の映像を要求する旨の映像要求と、前述の走行情報を合わせて送信情報を作成し、ネットワークN1を介して、後述するサーバー200に送信する。走行情報の詳細は後述する。
【0029】
映像受信部13は、車載装置100から送信された映像要求に対応して、サーバー200から送られてきた映像を受信するものである。受信された映像は、上述した所定のディスプレイにより表示され、ユーザーは所望の道路状況を映像にて確認することができる。
【0030】
一方、サーバー200は映像配信装置を構成するものであり、図2に示すように、映像要求受信部21、要求分類部23、優先度決定部25、制御権管理部27、映像配信部29を含んで構成される。サーバー200と車載装置100の間では、ネットワークN1を介して情報のやり取りがなされる。図1の車載装置100と同等の複数の車載装置100a,100b,100c・・・がネットワークN1に接続されている。
【0031】
映像要求受信部21は、各端末を構成する各車載装置100a,100b,100c・・・から、移動情報及び映像要求を含む上述した送信情報を受信するものである。
【0032】
要求分類部23は、映像要求受信部21によって受信された車載装置の映像要求を、所定の属性、すなわち同じ車載装置からの走行情報(移動情報)従って分類するものである。この分類は、走行情報より、映像要求を満たし得る特定の映像を撮影するカメラ(外部の撮影装置)を、各車載装置毎に決定し、カメラごとにユーザー(車載装置)をカテゴリ分けすることによりなされる。
【0033】
優先度決定部25は、要求分類部23によって分類された各カメラに対するユーザーからのアクセスの集中度を判定する部分である。本実施形態では、単一のカメラに対するユーザーからの映像要求の集中度(当該ユーザーの数)が、所定の度合いよりも少ない場合、優先度決定部25は当該要求に映像配信の優先度を付与しない。一方、映像要求の集中度が、所定の度合いよりも大きい場合、優先度決定部25は各要求に優先度を付与する。もちろん、一つのカメラに対し複数のユーザーからの映像要求が集中した場合、いつでも当該複数のユーザーに対し優先度を付与するようにしてもよい。
【0034】
映像取得部を構成する制御権管理部27は、優先度決定部25により付与された優先度に基づき、ネットワークN2を経由して、カメラ1、カメラ2・・・カメラM・・・から、配信の優先度に関連付けられた特定映像を受信する(又はカメラから受信した特定映像に優先度を付与する)。また、制御管理部27は、各カメラのパン・チルト等の制御も行う。
【0035】
映像配信部29は、制御権管理部27によって取得された特定映像を、優先度に従って、ネットワークN1を介して、特定映像を配信すべき各車載装置に、順次送信、配信するものである。映像に優先度が付与されていない場合は、通常どおり各車載装置に映像を一斉に配信する。
【0036】
尚、図2においてネットワークN1,N2は別々に図示されたが、共通の単一ネットワークにより、ネットワークN1,N2を構築してもよい。また、図示はされていないが、一般的には所定の基地局(BS)が、車載装置100とネットワークN1、ネットワークN1とサーバー200の間に配置されている。同様に、サーバー200とネットワークN2、ネットワークN2と各カメラの間にBSが配置されている。通信方式については特に限定はされない。
【0037】
上述の通り、映像配信部29から送信された映像は、各車載装置(ユーザー)100a,100b,100c・・・に優先度に従って配信される。
【0038】
図3は、サーバー200の外部の撮影装置を構成するカメラの設置例を示すものである。ここでは、単一特定のカメラ1が、国道1号線と海岸道路との交差点に設置されている。また、国道1号線の西行きの車線で渋滞が発生している。カメラは、制御管理部27の制御に従い、パン・チルト等の動作に付されるとともに、道路状況を撮影する。
【0039】
図4は、カメラ1に対する各ユーザー(車載装置)の状況を表形式で示したものである。この表は、要求分類部23による各ユーザーのカメラ1のカテゴリへの分類と、優先度決定部25による、各ユーザーへの優先度の付与を同時に表示するものである。この表一つが1カテゴリに対応し、この中で上から順に優先度が付与されたユーザーが列挙されている。
【0040】
ここでは、各ユーザーから得られた送信情報に含まれる走行情報により、カメラ1の映像が、各ユーザーの映像要求の対象となったものである。走行情報は、ユーザーの現在位置に関する状況及び今後ユーザーが向かう状況を少なくとも示すものである。ユーザー1から4は比較的交差点の近くにおり、しかも交差点の道路上を交差点に向かって走行している。このような、走行情報が示す事実に基づき、要求分類部23は、各車載装置(ユーザー)の映像要求が、単一の撮影装置であるカメラ1により得られる特定映像により満たされ得ると判断し、ユーザー1から4をカメラ1のカテゴリに分類する。
【0041】
もちろん、要求分類部23は、他のカメラ2、・・・カメラM・・・の映像が、その要求を満たす他の車載装置も判別する。複数の車載装置からの要求が、複数の異なるカメラにより得られる複数種の映像要求であると判断された場合、映像要求部23は、各カメラごとに(カメラの設置場所に対応した場所属性に従って)、映像要求(特定映像要求)を分類する(図4の如きテーブルが各カメラに対応して作成される)。この場合、後述する優先度の決定は、各々のテーブルに属する車載装置の間で行われる。
【0042】
各ユーザーの、所定カメラに対する状況を示す走行情報の項目(状況属性)として、1)走行方向、2)カメラ設置位置までの距離、3)走行回数の三つが挙げられている。表中の1行の情報が各車載装置一台分(1ユーザー)から得られる送信情報に該当する。言い換えると、本実施形態において走行情報は、走行方向情報と、カメラ設置位置までの距離と、過去の走行履歴に該当する走行回数の情報を含む。もちろん他の情報を走行情報に含ませてもよい。
【0043】
1)走行方向は、車載装置100の走行ログ蓄積部9に蓄積されている走行履歴の更新変化によって、判定され得る。2)カメラ設置位置までの距離も、走行ログ蓄積部9に蓄積された走行履歴中の最新位置により判定され得る。
【0044】
3)走行回数は、車載装置100が、各カメラ(本例においてはカメラ1)から、予め当該カメラの設置された道路(又はカメラから所定の距離内の道路)を走行した事実を示す信号を受信し、受信信号を走行ログ蓄積部9内に蓄積することで取得され得る。当該信号を受信するたびに蓄積された走行回数を更新すればよい。
【0045】
また、単なる走行履歴を走行ログ蓄積部9側に蓄積しておき、当該走行履歴を、送信情報作成部11から送信情報に含めてサーバー200に送信してもよい。サーバー200は受信した走行履歴から、所定のカメラが設置された道路をユーザーが何回走行したか、すなわち走行回数を判定する。
【0046】
また、走行回数を、車載装置100の走行ログ蓄積部9ではなく、サーバー200側に各車載装置100a,100b,100c・・・に対応して保持してもよい。送信情報がいずれの車載装置のものであるかを判定し、当該車載装置に対応した走行回数を取り出せばよい。
【0047】
上述の1)走行方向、2)カメラ設置位置までの距離、3)走行回数は、次の各見地から、重視されるべき状況属性である。
【0048】
1)走行方向:ユーザーが、渋滞地に向かっているか否かを示す尺度であり、渋滞に巻き込まれる可能性を示し得る点から、重視すべき属性である。渋滞方向と一致するルートを走行するユーザーに、映像を優先的に配信すべきである。
【0049】
2)カメラ設置位置までの距離:ユーザーからカメラまでの距離を示し、渋滞に巻き込まれる可能性を示し得る点から、重視すべき属性である。カメラ設置位置までの距離が近いユーザーに、映像を優先的に配信すべきである。
【0050】
3)走行回数:ユーザー当該道路の走行頻度(使用頻度)を示し、道路走行に対する慣れの点から、重視すべき属性である。走行回数が少ないユーザーに、映像を優先的に配信すべきである。
【0051】
図4の例においては、優先度決定部25は、ユーザー1、2、3、4の順でカメラ映像を必要とすると判定し、映像配信の優先度をユーザー1、2、3、4の順に付与する。すなわち、三つの要素1)、2)、3)の総合判断により優先度が付与されるが、重視する順序は1)、2)、3)である。
【0052】
ただし、上述の3)走行回数においては、走行回数が多いユーザーに、映像を優先的に配信するようにしてもよい。また、三つの要素1)2)3)の重視する順序は、所定のポリシーに基づいて、変更することが可能である。
【0053】
図5は、サーバー200の処理フローを示す。まず、映像要求受信部21が各車載装置100a,100b,100c・・・から映像要求を含む送信情報を受信すると(ステップS1)、要求分類部23は、受信した映像要求に対応したカメラに従って分類する(ステップS2)。そして、要求されたカメラに対する集中度が過剰であるかどうか判断する(ステップS3)。もし集中度が過度の場合は、優先度決定部25が各要求に対し優先度を付与する(ステップS4)。これを受け、制御管理部27がネットワークN2より所定のカメラから映像を受信し(ステップS5)、配信するユーザー情報に対応した優先度とともに、受信したカメラ映像を映像配信部に送る。映像配信部29は当該受信した映像を、優先度に従い、所定の車載装置100(100a等)に順次送信する(ステップS6)。
【0054】
要求分類部23における集中度の判定の際に用いる基準は、種々のものを採用することができる。例えば、予め決められたアクセス数(閾値アクセス数)が特定のカメラに集中した際は、優先度を各要求に付与するようにしてもよい。言い換えると、特定のカメラに対する映像要求を発した車載装置の数が所定数以上の場合のみ、優先度を付与するものとする。また、時間帯に応じて、閾値アクセス数(車載装置の数)を変動させるようにしてもよい。
【0055】
また、図6は、経路探索部7における経路探索の方法、及びサーバー200の要求分類部23における、設置カメラの特定方法を模式的に示す。まず、図6(a)における実線R1は、経路探索部7が目的地Dまでの最短距離R1を計算により取得し、当該最短距離R1を経路として提示した例である。要求分類部23は、この経路上のカメラC1を要求されたカメラであると判断し、当該カメラC1に対する集中度をチェックする。
【0056】
また、図6(a)における点線R2は、経路探索部7が目的地Dまでの一つの経路R2を走行ログ蓄積部9から取得した例である。本例では、予め走行ログ蓄積部9は、走行時間帯と関連させて走行ルートを記憶しておき、次にある時間帯を走行する際に、経路探索部7は、以前に当該時間帯と同じ走行時間帯に走行した経路を走行ログ蓄積部9から探索して提示する。要求分類部23は、この経路上のカメラC2,C3,C4を要求されたカメラであると判断し、カメラC2,C3,C4に対する集中度を順次チェックする。本例では、R1上のカメラ映像と、R2上のカメラ映像は同時には表示されない。
【0057】
図6(b)は、図6(a)、図6(b)におけるR1、R2に加え、さらにR2と同様に以前走行した経路で他の経路であるR3を示したものである。そして、この例においては、三つの経路上のカメラ映像が車載端末に配信され表示可能となっている。例えば、車載端末100は、出発したばかりの地点において、カメラC1,C2,C5という各経路の最初のカメラからの映像が受信可能である。映像が配信されるためには、カメラC1,C2,C5においてアクセスが集中していないか、本例のユーザーの優先度が高いことが必要である。
【0058】
尚、上述の実施形態は、端末が車両に搭載された車載装置の例を示した。しかしながら、端末は車載装置に限られず、何らかの移動体におけるモニタ装置や、携帯電話の如き携帯情報端末等、遠隔地の映像を要求する一般的な装置であってもよい。
【0059】
また、「映像」とは動画のみならず、静止画、所定のアニメーション画像など、道路等所定場所の状況を視覚的に知らせることができる種々の形式のものであれば、特に限定はされない。
【0060】
サーバー200の構成は実施態様のものに限られず、たとえばいずれかの部分をネットワーク上に構成してもよい。すなわち、各構成部分が単一の装置に収まっている必要はない。
【0061】
さらに、本発明は、各端末に映像を配信する映像配信方法をも含む。この方法は、(1)各端末から、当該端末の移動情報及び映像要求を受信するステップと、(2)複数の端末からの移動情報に基づき、映像要求を満たし得る特定映像を撮影する外部の撮影装置を決定し、複数の端末を撮影装置のカテゴリ毎に分類するステップと、(3)当該複数の端末のうち、所定数の端末の映像要求が単一の撮影装置のカテゴリに分類される場合、前記所定数の端末の移動情報を参照して、前記所定数の端末に対し特定映像を配信する優先度を決定するステップと、(4)映像要求を受け、特定映像を撮影装置から取得するステップと、(5)優先度に従って、特定映像を前記複数の端末に順次配信するステップとを含む。
【0062】
上述の各ステップを、サーバーを構成するコンピュータに実行させるためのプログラムも本発明に含まれる。このようなプログラムは、種々の形式で全体のシステムに組み込まれる。例えばサーバー内又はサーバーの外部の装置内の所定のメモリにプログラムを記録することができる。また、ハードディスクのような情報記録装置や、CD−ROMやDVD−ROM、メモリカードのような情報記録媒体にプログラムを記録してもよい。
【0063】
以上、本発明の各種実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、特許請求の範囲及び明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその変更・応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、特に映像を必要としているユーザーに、優先的に映像を提供することができる、映像配信装置、映像配信方法に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】車載装置の概略構成を示す図
【図2】サーバーの概略構成示す図
【図3】カメラの設置例を示す図
【図4】各ユーザーの走行履歴の例を示す図
【図5】サーバーの処理フローを示す図
【図6】経路探索部における経路探索の方法及び要求分類部における設置カメラの特定方法を模式的に示す図
【符号の説明】
【0066】
1 目的地設定部
3 位置検出部
5 地図データ保存部
7 経路探索部
9 走行ログ蓄積部
11 送信情報作成部
13 映像受信部
21 映像要求受信部
23 要求分類部
25 優先度決定部
27 制御権管理部
29 映像配信部
100 車載装置
200 サーバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各端末から、当該各端末の移動情報及び映像要求を受信する映像要求受信部と、
複数の端末からの前記移動情報に基づき、前記映像要求を満たし得る特定映像を撮影する外部の撮影装置を決定し、前記複数の端末を前記撮影装置のカテゴリ毎に分類する要求分類部と、
当該複数の端末のうち、所定数の端末の映像要求が単一の前記撮影装置のカテゴリに分類される場合、前記所定数の端末の移動情報を参照して、前記所定数の端末に対し前記特定映像を配信する優先度を決定する優先度決定部と、
前記映像要求を受け、前記特定映像を前記撮影装置から取得する映像取得部と、
前記優先度に従って、前記特定映像を前記所定数の端末に順次配信する映像配信部と、を備える映像配信装置。
【請求項2】
請求項1記載の映像配信装置であって、
前記優先度決定部は、前記所定数に基づき前記優先度を決定する必要があるか否かを判定する、映像配信装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の映像配信装置であって、
前記映像要求受信部は、前記複数の端末から複数の撮影装置の複数カテゴリに分類される映像要求を受信し、前記要求分類部は、当該分類に従って前記端末を撮影装置のカテゴリ毎に分類する、映像配信装置。
【請求項4】
請求項3記載の映像配信装置であって、
前記複数のカテゴリの各々において、前記優先度決定部は端末の優先度を決定する、映像配信装置。
【請求項5】
請求項1ないし4記載の映像配信装置であって、
前記撮影装置は道路に設置されたカメラであって、
前記端末が車両に搭載された車載装置である、映像配信装置。
【請求項6】
請求項5記載の映像配信装置であって、
前記移動情報が前記車両の走行方向情報を含む、映像配信装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載の映像配信装置であって、
前記移動情報が前記車両の前記カメラの設置位置までの距離を含む、映像配信装置。
【請求項8】
請求項5ないし7記載の映像配信装置であって、
前記移動情報が、前記車両が前記カメラにより撮影される道路を移動した移動回数を含む、映像配信装置。
【請求項9】
車両に搭載され、サーバーに対し映像要求を送信する車載装置であって、
ユーザーが目的地を設定するための目的地設定部と、
現在位置を検出する位置検出部と、
地図データを保存する地図データ保存部と、
前記目的地、前記現在位置、及び前記地図データを参照し、前記現在位置から前記目的地までの経路を探索する経路探索部と、
前記車両の走行情報を蓄積する走行ログ蓄積部と、
前記映像要求を作成し、当該映像要求と前記走行情報を前記サーバーに送信する送信情報作成部と、
前記サーバーから前記走行情報に関連した前記映像要求に対応する映像を受信する映像受信部と、を備える車載装置。
【請求項10】
請求項9記載の車載装置であって、
前記走行情報が前記車両の走行方向情報を含む、車載装置。
【請求項11】
請求項9又は10記載の車載装置であって、
前記走行情報が前記車両の前記経路に設置されたカメラの設置位置までの距離を含む、車載装置。
【請求項12】
請求項9ないし11記載の車載装置であって、
前記走行情報が前記車両の前記経路に設置されたカメラにより撮影される道路の移動回数を含む、車載装置。
【請求項13】
請求項9ないし12のいずれか1項記載の車載装置であって、
ユーザーが前記目的地を設定しない場合、
前記経路探索部は、前記現在位置、前記地図データ及び前記走行ログ蓄積部に蓄積された前記走行情報としての走行履歴を参照し、前記経路を作成する、車載装置。
【請求項14】
各端末から、当該端末の移動情報及び映像要求を受信するステップと、
複数の端末からの前記移動情報に基づき、前記映像要求を満たし得る特定映像を撮影する外部の撮影装置を決定し、前記複数の端末を前記撮影装置のカテゴリ毎に分類するステップと、
当該複数の端末のうち、所定数の端末の映像要求が単一の前記撮影装置のカテゴリに分類される場合、前記所定数の端末の移動情報を参照して、前記所定数の端末に対し前記特定映像を配信する優先度を決定するステップと、
前記映像要求を受け、前記特定映像を前記撮影装置から取得するステップと、
前記優先度に従って、前記特定映像を前記複数の端末に順次配信するステップと、を備える映像配信方法。
【請求項15】
請求項14記載の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−99176(P2006−99176A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−281146(P2004−281146)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】