更生管の製管方法
【課題】既設管を更生する更生管の製管作業を間欠的に施工しなければならない場合において、既設管の全施工区間を更生する更生管を簡単確実に製管する方法を提供する。
【解決手段】マンホールM内に製管機1を設置し、帯状部材100を地上側から製管機1に引き入れて螺旋状に巻き回し、互いに隣接する帯状部材100の一側縁部および他側縁部を重ね合わせて接合して設定長さの更生管Saを製管する。そして、製管された更生管Saを切断し、更生管Saを既設管Kに残置する一方、製管機1を地上に退避させる。また、後日に製管機1を組み立てた後、製管作業を再開して更生管Sbを製管する。そして、新たな更生管Sbを先の更生管Saに突き当てた後、両者を一体に接続する。次いで、製管機1によって再び新たな更生管Sbの製管作業を開始し、先の更生管Saと一体化した新たな更生管Sbの後端に帯状部材100を付加して更生管Sbを連続的に製管する。
【解決手段】マンホールM内に製管機1を設置し、帯状部材100を地上側から製管機1に引き入れて螺旋状に巻き回し、互いに隣接する帯状部材100の一側縁部および他側縁部を重ね合わせて接合して設定長さの更生管Saを製管する。そして、製管された更生管Saを切断し、更生管Saを既設管Kに残置する一方、製管機1を地上に退避させる。また、後日に製管機1を組み立てた後、製管作業を再開して更生管Sbを製管する。そして、新たな更生管Sbを先の更生管Saに突き当てた後、両者を一体に接続する。次いで、製管機1によって再び新たな更生管Sbの製管作業を開始し、先の更生管Saと一体化した新たな更生管Sbの後端に帯状部材100を付加して更生管Sbを連続的に製管する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、老朽化した下水管路、上水管路、農業用水路、ガス管路などの既設管を更生する更生管の製管方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、既設管内において、長尺の帯状部材をマンホール内に支持した製管機に供給し、供給された帯状部材を製管機によって螺旋状に巻き回す一方、螺旋状に巻き回されて隣接する帯状部材の一側縁部および他側縁部の少なくとも一方に帯状部材と同じ材質の溶融樹脂を塗布するとともに、隣接する帯状部材の一側縁部および他側縁部を重ね合わせて接合し、更生管を製管するとともに、製管された更生管を回転させながら既設管内に挿入することにより、既設管を更生することが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2005−528243号公報
【特許文献2】特表2008−536027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した製管機による更生管の製管作業は、既設管に水が流下している状態においても施工できる利点があるが、帯状部材を接合するために製管機に設けられた押出溶接機には温度センサーを始めとして多くの電気部品が配設されており、押出溶接機が水に濡れると致命的なダメージを被り、高価な製管機が使用不能となる。このため、交通事情などによって夜間などの短時間にのみ施工する場合や、突発的な雨によって急激に既設管の流量が増加した場合などのように、製管作業を後日、または、作業環境が整った際など間欠的に施工しなければならないときには、休業時の増水によって製管機が影響を受けないように、製管作業が終了した時点で製管機をマンホール内から撤去しなければならない。そして、翌日以降などの製管作業において、前日までに先に製管された更生管と、当日に新たに製管された更生管とを接続する必要がある。すなわち、先に製管された更生管の帯状部材の後端と、新たに製管される更生管の帯状部材の先端とを接続して製管作業を再開する必要がある。
【0005】
しかしながら、隣接する帯状部材の一側縁部および他側縁部を溶融樹脂を介して接合して更生管を製管する製管機の構造上、先に製管された更生管の帯状部材の後端に新たに製管される更生管の帯状部材の先端を強度や水密性などを確保して接続することは非常に困難であり、事実上不可能である。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、既設管を更生する更生管の製管作業を間欠的に施工しなければならない場合において、既設管の全施工区間を更生する更生管を簡単確実に製管することのできる更生管の製管方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、開口部内に製管機を設置し、帯状部材を地上側から製管機に引き入れて螺旋状に巻き回し、互いに隣接する帯状部材の一側縁部および他側縁部の少なくとも一方に溶融樹脂を塗布するとともに、それらを重ね合わせて接合して更生管を製管し、製管された更生管を回転させながら既設管内に挿入する更生管の製管方法において、設定長さの更生管を製管するとともに、製管された更生管を切断した後、新たに更生管を製管して先に製管された更生管に突き当てまたは接近させ、新たな更生管と先の更生管とを一体に接続し、次いで、先の更生管と一体化した新たな更生管を連続的に製管することを特徴とするものである。
【0008】
本発明によれば、製管機によって設定長さの更生管を製管した後、製管された更生管の帯状部材を切断して製管機から切り離し、製管された更生管を既設管に残置するとともに、製管機を地上に退避させる。一方、後日などにおいて、再び製管機を搬入して組み立てた後、製管作業を再開して新たに更生管を製管する。そして、新たに製管された更生管の先端を先に製管された更生管の後端に突き当てた後、あるいは、接近させた後、両者を一体に接続する。次いで、製管機によって再び新たな更生管の製管作業を開始すれば、先に製管された更生管と一体化した新たな更生管の後端に更生管を付加して新たな更生管を連続的に製管する。
【0009】
この結果、先に製管された更生管に翌日以降などにおいて新たに製管された更生管を一体に接続して新たな更生管とし、新たな更生管の後端に更生管を付加して新たな更生管を連続的に製管することにより、既設管を更生する更生管の製管作業を間欠的に施工しなければならない場合においても、既設管の全施工区間を更生する更生管を簡単確実に製管することができる。
【0010】
本発明は、開口部内に製管機を設置し、帯状部材を地上側から製管機に引き入れて螺旋状に巻き回し、互いに隣接する帯状部材の一側縁部および他側縁部の少なくとも一方に溶融樹脂を塗布するとともに、それらを重ね合わせて接合して更生管を製管し、製管された更生管を回転させながら既設管内に挿入する更生管の製管方法において、設定長さの更生管を製管するとともに、製管された更生管を切断した後、先の更生管の製管位置とは異なる位置において新たに更生管を製管して先に製管された更生管に突き当てまたは接近させ、新たな更生管と先の更生管とを一体に接続することを特徴とするものである。
【0011】
本発明によれば、製管機によって設定長さの更生管を製管した後、製管された更生管の帯状部材を切断して製管機から切り離し、製管された更生管を既設管に残置するとともに、製管機を地上に退避させる。一方、後日などにおいて、先に更生管を製管した位置とは異なる位置に製管機を搬入して組み立てた後、製管作業を再開して先に製管された更生管方向に向けて新たに更生管を製管する。そして、新たに製管された更生管の先端を先に製管された更生管の先端に突き当てた後、あるいは、接近させた後、両者を一体に接続する。
【0012】
この結果、先に製管された更生管に、翌日以降などにおいて異なる位置から新たに製管された更生管を一体に接続することにより、既設管を更生する更生管の製管作業を間欠的に施工しなければならない場合においても、既設管の全施工区間を更生する更生管を簡単確実に製管することができる。
【0013】
なお、本発明における帯状部材としては、帯板状の基板の裏面に複数本の断面I字状のリブが基板と直交して立設されるとともに、各リブには、金属製の補強ストリップが埋設されていることが好ましく、これにより、帯状部材によって製管された更生管の自立強度を確保することができる。
【0014】
また、製管機を設置する開口部としては、マンホールや立坑の他、マンホールなどの近傍の既設管や既設管の開口端部などを挙げることができる。
【0015】
本発明において、新たな更生管と先の更生管との対向する突き合わせ部を溶接によって接続することが好ましい。これにより、更生管の対向する突き合わせ部をその帯状部材と同じ材質の溶融樹脂を介して一体に接合することができる。このような更生管の溶接による接続は、その帯状部材がポリエチレンやポリプロピレンなどのように、接着剤による接着が困難な材質の帯状部材から製管された更生管の接続に好適となる。
【0016】
本発明において、新たな更生管と先の更生管との対向する突き合わせ部を接続部材を介して溶接によって接続することが好ましい。これにより、新たな更生管と先の更生管とにわたって接続部材を介在することで、新たな更生管と接続部材との隅肉部、および、先の更生管と接続部材との隅肉部などをそれぞれその帯状部材および接続部材と同じ材質の溶融樹脂を介して一体に接合することができ、より大きな接続強度を確保することができる。このような更生管の溶接による接続は、その帯状部材がポリエチレンやポリプロピレンなどのように、接着剤による接着が困難な材質の帯状部材から製管された更生管の接続に好適となる。
【0017】
この場合、接続部材を円筒状の基板の外周面に1本又は複数本のリブを全周にわたって立設して形成し、先に製管された更生管の端面と新たに製管された更生管の端面との間からリブを更生管の外周面側に突出させた状態で接続することにより、新旧の更生管の突き合わせ部の強度低下を防止することができる。
【0018】
本発明は、開口部内に製管機を設置し、両側縁部に嵌合部が形成された帯状部材を地上側から製管機に引き入れて螺旋状に巻き回し、互いに隣接する帯状部材の嵌合部同士を嵌合して更生管を製管し、製管された更生管を回転させながら既設管内に挿入する更生管の製管方法において、設定長さの更生管を製管するとともに、製管された更生管を切断した後、新たに更生管を製管して先に製管された更生管に突き当てまたは接近させ、新たな更生管と先の更生管とを一体に接続し、次いで、先の更生管と一体化した新たな更生管を連続的に製管することを特徴とするものである。
【0019】
本発明によれば、製管機によって設定長さの更生管を製管した後、製管された更生管の帯状部材を切断して製管機から切り離し、製管された更生管を既設管に残置するとともに、製管機を地上に退避させる。一方、後日などにおいて、再び製管機を搬入して組み立てた後、製管作業を再開して新たに更生管を製管する。そして、新たに製管された更生管の先端を先に製管された更生管の後端に突き当てた後、あるいは、接近させた後、両者を一体に接続する。次いで、製管機によって再び新たな更生管の製管作業を開始すれば、先に製管された更生管と一体化した新たな更生管の後端に更生管を付加して新たな更生管を連続的に製管する。
【0020】
この結果、先に製管された更生管に翌日以降などにおいて新たに製管された更生管を一体に接続して新たな更生管とし、新たな更生管の後端に更生管を付加して新たな更生管を連続的に製管することにより、既設管を更生する更生管の製管作業を間欠的に施工しなければならない場合においても、既設管の全施工区間を更生する更生管を簡単確実に製管することができる。
【0021】
本発明は、開口部内に製管機を設置し、両側縁部に嵌合部が形成された帯状部材を地上側から製管機に引き入れて螺旋状に巻き回し、互いに隣接する帯状部材の嵌合部同士を嵌合して更生管を製管し、製管された更生管を回転させながら既設管内に挿入する更生管の製管方法において、設定長さの更生管を製管するとともに、製管された更生管を切断した後、先の更生管の製管位置とは異なる位置において新たに更生管を製管して先に製管された更生管に突き当てまたは接近させ、新たな更生管と先の更生管とを一体に接続することを特徴とするものである。
【0022】
本発明によれば、製管機によって設定長さの更生管を製管した後、製管された更生管の帯状部材を切断して製管機から切り離し、製管された更生管を既設管に残置するとともに、製管機を地上に退避させる。一方、後日などにおいて、先に更生管を製管した位置とは異なる位置に製管機を搬入して組み立てた後、製管作業を再開して先に製管された更生管方向に向けて新たに更生管を製管する。そして、新たに製管された更生管の先端を先に製管された更生管の先端に突き当てた後、あるいは、接近させた後、両者を一体に接続する。
【0023】
この結果、先に製管された更生管に、翌日以降などにおいて異なる位置から新たに製管された更生管を一体に接続することにより、既設管を更生する更生管の製管作業を間欠的に施工しなければならない場合においても、既設管の全施工区間を更生する更生管を簡単確実に製管することができる。
【0024】
なお、本発明における帯状部材としては、帯板状の基板の裏面に複数本の断面T字状のリブが基板と直交して立設されるとともに、複数本のリブにわたってW字状などに折曲された金属製の補強材が配設されていることが好ましく、これにより、帯状部材によって製管された更生管の自立強度を確保することができる。
【0025】
また、製管機を設置する開口部としては、マンホールや立坑の他、マンホールなどの近傍の既設管や既設管の開口端部などを挙げることができる。
【0026】
本発明において、新たな更生管と先の更生管との対向する突き合わせ部を接着によって接続することが好ましい。これにより、更生管の対向する突き合わせ部を接着剤を介して一体に接合することができる。このような更生管の接着による接続は、その帯状部材が硬質塩化ビニルなどのように、接着剤による接着が容易な材質の帯状部材から製管された更生管の接続に好適となる。
【0027】
本発明において、新たな更生管と先の更生管との対向する突き合わせ部を接続部材を介して接着によって接続することが好ましい。これにより、新たな更生管と先の更生管とにわたって接続部材を介在することで、新たな更生管と接続部材との重ね合わせ部、および、先の更生管と接続部材との重ね合わせ部などをそれぞれ接着剤を介して一体に接合することができ、より大きな接続強度を確保することができる。このような更生管の接着による接続は、その帯状部材が硬質塩化ビニルなどのように、接着剤による接着が容易な材質の帯状部材から製管された更生管の接続に好適となる。
【0028】
この場合、接続部材を円筒状の基板の外周面に1本又は複数本のリブを全周にわたって立設して形成し、先に製管された更生管の端面と新たに製管された更生管の端面との間からリブを更生管の外周面側に突出させた状態で接続することにより、前後の更生管の突き合わせ部の強度低下を防止することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、既設管を更生する更生管の製管作業を間欠的に施工しなければならない場合において、既設管の全施工区間を更生する更生管を簡単確実に製管することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の更生管の製管方法に用いられる帯状部材の一例を示す断面図である。
【図2】図1の帯状部材の接合工程を説明する断面図である。
【図3】本発明の更生管の製管方法を実施する製管機の一例を示す斜視図である。
【図4】図3の製管機の駆動機構を一部省略して示す斜視図である。
【図5】図4の駆動機構のピンチローラーを帯状部材とともに示す平面図である。
【図6】本発明の更生管の製管方法の一実施形態を説明する地中管路の縦断面図である。
【図7】本発明の更生管の製管方法の一実施形態を説明する地中管路の縦断面図である。
【図8】本発明の更生管の製管方法の一実施形態を説明する地中管路の縦断面図である。
【図9】本発明の更生管の製管方法の一実施形態を説明する地中管路の縦断面図である。
【図10】新旧の更生管を接続部材によって接合した状態を示す縦断面図である。
【図11】本発明の更生管の製管方法の他の実施形態を説明する地中管路の縦断面図である。
【図12】本発明の更生管の製管方法の他の実施形態を説明する地中管路の縦断面図である。
【図13】本発明の更生管の製管方法の他の実施形態を説明する地中管路の縦断面図である。
【図14】本発明の更生管の製管方法の他の実施形態を説明する地中管路の縦断面図である。
【図15】本発明の更生管の製管方法に用いられる帯状部材の他の例を示す断面図である。
【図16】図15の帯状部材の嵌合工程を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0032】
まず、本発明の更生管の製管方法の実施形態を説明するのに先立って、使用する帯状部材100および製管機1について説明する。
【0033】
帯状部材100は、図1に示すように、可撓性を有するプラスチック、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを押出成形して形成され、中空円筒状に巻き重ねられて輸送用巻重体D(図6参照)に形成されて現場に輸送される。この帯状部材100は、帯板状の基板101の裏面に複数本(実施例においては3本)の断面I字状のリブ102が基板101と直交して立設されて形成されている。そして、基板101の一方の側縁部(以下、一側縁部という。)には、隣接する帯状部材100における基板101の他方の側縁部(以下、他側縁部という。)を配置することができるように、基板101の厚みだけ裏面側に段落ちした段落ち部103に形成されている。また、各リブ102には、鋼板などの補強ストリップ104が埋設されている。
【0034】
このような帯状部材100は、基板101の裏面側、すなわち、リブ102が立設された側が外周面側となるよう、後述する製管機1に供給されて螺旋状に巻き回される。この際、図2(a),(b)に示すように、互いに隣接する帯状部材100,100のうち、後続する帯状部材100の一側縁部(段落ち部103)に溶融樹脂cを塗布するとともに、溶融樹脂cを塗布した後続する帯状部材100の一側縁部を、先行する帯状部材100の他側縁部に外側(先行する帯状部材100の外周面側)から重ね合わせことにより、後続する帯状部材100の基板101の一側縁部(段落ち部103)を先行する帯状部材100の基板101の他側縁部に配置して接合し、所定の管径の更生管S(図3参照)を製管するものである。
【0035】
次に、製管機1について図3乃至図5に基づいて説明する。
【0036】
製管機1は、帯状部材100を螺旋状に巻き回すガイドフレーム2および該ガイドフレーム2に周方向に間隔をおいて回転自在に設けられた複数個の案内ローラー3と、ガイドフレーム2に設けられ、螺旋状に巻き回されて先行する帯状部材100の他側縁部および後続して製管機1に供給される帯状部材100の一側縁部(段落ち部103)を重ね合わせるとともに、隣接する帯状部材100,100を挟み込んで送り出す駆動機構4と、駆動機構4の前段に位置してガイドフレーム2に設けられ、隣接する帯状部材100,100のうち、後続して製管機1に供給される帯状部材100の一側縁部103を軟化させるとともに、溶融樹脂cを吐出する押出溶接機5とから構成されている。
【0037】
ガイドフレーム2は、前後一対の環状フレーム21,21を周方向に間隔をおいて複数本の連結材22によって一体に連結して形成されている。そして、ガイドフレーム2は、複数個(実施例においては、120度ずつ3個)に分割されるようになっており、分割された状態で開口部としてのマンホール内に搬入され、マンホール内において、環状に組み立てられる。
【0038】
なお、製管方向に対して後方側の環状フレーム21は、後述する駆動機構4および押出溶接機5に対応して円弧の一部が内方に向けてL字状に屈曲されている他、この屈曲部211に対応する部分には、円弧状の補助フレーム23が前後の環状フレーム21,21間に位置して製管方向前方の環状フレーム21に連結材22を介して連結されている。
【0039】
案内ローラー3は、ガイドフレーム2を構成する前後の環状フレーム21,21間に固定された各連結軸31回りに軸受(図示せず)を介して回転自在に支持されている。
【0040】
ただし、製管方向に対して前方側の環状フレーム21の屈曲部211に対応する部分の案内ローラー3は、補助フレーム23と後方の環状フレーム21との間において回転自在に支持されており、前後の環状フレーム21,21間に設けられた案内ローラー3の略半分の長さに形成されている。
【0041】
ここで、案内ローラー3は、金属あるいは合成樹脂よりなり、帯状部材100の各リブ102を余裕を持って収容可能な幅と深さの複数個の溝3a(図4参照)が帯状部材100の各リブ102に対応して形成されている。これにより、案内ローラー3の外周面は、更生管Sを形成する帯状部材100における基板101の裏面に接触するようになっている。また、案内ローラー3によって裏面が規制されて螺旋状に巻き回される帯状部材100は、360度1周した際、先行する帯状部材100が後続する帯状部材100に対して帯状部材100の幅に略相当する長さだけ製管方向に向かってずれるように設定されている。すなわち、案内ローラー3は、周方向へ移動するにしたがって溝3aが管軸方向に徐々にずれるように、連結軸31に対する案内ローラー3の管軸方向の取付位置が調整されている。また、詳細には図示しないが、案内ローラ3の、帯状部材100の一側縁部(段落ち部103)に対応するローラー部は、その他のローラー部よりも若干小径に形成されている。
【0042】
駆動機構4は、ガイドフレーム2における製管方向に対して後方側の環状フレーム21の屈曲部211および補助フレーム23間の空間を利用してガイドフレーム2に固定された取付フレーム41と、取付フレーム41に設けられた外面ローラー421および内面ローラー422が組になったピンチローラー42と、取付フレーム41に固定されて減速機構43を介してピンチローラー42を回転させる油圧モータ(図示せず)とから構成されている。
【0043】
ここで、減速機構43は、取付フレーム41に設けた油圧モータの出力軸および外面ローラー421の回転軸にそれぞれ設けられたスプロケット431(外面ローラー421の回転軸に設けたスプロケットのみを図5に示す。)と、これらのスプロケット431間に巻回されたチェーン432と、外面ローラー421の回転軸および内面ローラー432の回転軸にそれぞれ設けられて互いに噛み合う歯車433,433からなり、油圧モータを回転駆動させることにより、スプロケット431、チェーン432を介して外面ローラー421を回転させるとともに、互いに噛み合う歯車433,433を介して内面ローラー422を外面ローラー421の回転方向とは逆方向に回転させるものである。
【0044】
また、外面ローラー421は、その外周面が帯状部材100の隣接するリブ102,102間において、その基板101の裏面、すなわち、更生管Sの外周面となる側の面に接して回転する。この際、外面ローラー421の外周面にはローレット加工が施されており、帯状部材100を滑ることなく送り出すことができる。
【0045】
なお、外面ローラー421の、帯状部材100の一側縁部(段落ち部103)に対応する位置のローラーは、その他のローラーよりも若干小径に形成されるとともに、ローレット加工は施されていない。
【0046】
一方、内面ローラー422は、例えば、鉄やプラスチックなどの比較的硬い素材によって円筒状に形成され、その外周面が帯状部材100における基板101の平坦な表面、すなわち、更生管Sの内周面となる側の面に接触して回転する。
【0047】
押出溶接機5は、ボディ51に熱風機ユニット、可塑化ユニット、溶接棒供給ユニットから構成され、外気を取り入れて加熱し、吹出しノズル52を通して熱風を噴出させるとともに、ポリエチレンやポリプロピレンなどの線状プラスチックからなる溶接棒10(図3参照)を導いて加熱溶融させ、その溶融樹脂cを押出しノズル53から押し出すものである。そして、押出溶接機5は、吹出しノズル52および押出しノズル53が製管機1における駆動機構4のピンチローラー42に供給される直前の帯状部材100の一側縁部(段差部103)に略接触状態で対向するように、ガイドフレーム2における前方の環状フレーム21の屈曲部211と補助フレーム23間の空間を利用してガイドフレーム2に固定されている。
【0048】
なお、溶接棒10は、帯状部材100を形成するプラスチック材料と同一材料を線状に形成したものであり、リール状に巻き重ねられて溶接棒リールRに形成されて押出溶接機5の近傍に位置してガイドフレーム2に設けられている。
【0049】
ここで、押出溶接機5は、ガイドフレーム2の内方に位置して、かつ、吹出しノズル52および押出しノズル53を帯状部材100の一側縁部に略接触するように取り付けられており、帯状部材100の一側縁部を確実に熱風によって略溶融状態に軟化させるとともに、軟化させた一側縁部に溶融樹脂cを確実に塗布することができる。
【0050】
なお、隣接する帯状部材100,100の溶融樹脂cによる接合に際しては、後続する帯状部材100の一側縁部とともに、該後続する帯状部材100の一側縁部が重ね合わされる先行する帯状部材の他側縁部についても略溶融状態に軟化させることが好ましい。この場合は、新たな加熱空気の吹出しノズルを先行する帯状部材100の他側縁部に対向して配設すればよい。
【0051】
次に、このように構成された製管機1を用いて既設管を更生する更生管Sの製管方法について開口部の一例としてマンホールを利用する場合を説明する。
【0052】
まず、既設管Kは所定スパン毎にマンホールが設けられており、隣接するマンホールにおいて、一方のマンホールM1を施工区間の発進マンホールに設定するとともに、他方のマンホールM2を到達マンホールに設定し、発進マンホールM1から到達マンホールM2に向けて既設管K内に更生管Sを製管する場合を説明する。
【0053】
施工前の準備として、更生管Sの製管には、帯状部材100を巻き重ねた輸送用巻重体D、製管機1、動力ユニットPなどを用意し、輸送用巻重体D、動力ユニットPを発進マンホールM1側の地上に設置する。また、製管機1は、案内ローラー3を設けたガイドフレーム2、駆動機構4、押出溶接機5に分解されるとともに、ガイドフレーム2はさらに複数個に分割される。そして、分割された製管機1の各要素は、マンホールM1を通して内部に搬入された後、組み立てられる。組み立てられた製管機1は、発進マンホールM1において、トラッククレーンなどを利用して吊下げ状態に支持される(図3参照)。
【0054】
このような準備作業が完了すれば、地上に配置した輸送用巻重体Dから帯状部材100を引き出して発進マンホールM1内に引き込み、発進マンホールM1内に支持されている製管機1における駆動機構4の取付フレーム41を経てピンチローラー42に供給するとともに、ピンチローラー42から引き出してガイドフレーム2に設けた案内ローラー3の内周側に送り出す。ここで、ピンチローラー42から引き出されて案内ローラー3の内周側に送り出された帯状部材100は、そのリブ102が案内ローラー3の溝3aに案内されて螺旋状に巻き回される。そして、帯状部材100は、ガイドフレーム2の案内ローラー3に沿って360度螺旋状に巻き回されて再び駆動機構4のピンチローラー42に達した際には、その幅の分だけ製管方向にずれてピンチローラー42の前方に位置しており、その他側縁部に、連続的に供給される後続する帯状部材100の一側縁部が重なり合うようになっている。
【0055】
ここで、押出溶接機5を作動させると、外気を吸引して加熱するとともに、その加熱空気を吹出しノズル52から後続する帯状部材100の一側縁部に向けて噴出させて略溶融状態に軟化させるとともに、溶接棒リールRから溶接棒10を内部に引き込んで加熱溶融させ、溶融樹脂cを押出しノズル53から押し出して後続する帯状部材100の一側縁部(段落ち部103)に塗布する。この場合、押出溶接機5は、ガイドフレーム2の内方において取り付けられるとともに、その押出ノズル53が後続する帯状部材100の一側縁部に略接触状態で対向していることにより、溶融樹脂cを帯状部材100の一側縁部に確実に塗布することができる。
【0056】
この状態で、駆動機構4の油圧モータを回転駆動すれば、スプロケット431、チェーン432を介して外面ローラー421を回転させるとともに、互いに噛み合う歯車433,433を介して内面ローラー422を外面ローラー421の回転方向とは逆方向に回転させ、先行する帯状部材100および後続する帯状部材100を挟み込み、先行する帯状部材100の他側縁部に後続する帯状部材100の一側縁部(段落ち部103)を重ね合わせて周方向に向けて送り出す。この際、後続する帯状部材100の一側縁部が略溶融状態に軟化されているとともに、その一側縁部に溶融樹脂cが塗布されていることにより、ピンチローラー42に挟み込まれた隣接する帯状部材100,100は、先行する帯状部材100の他側縁部に後続する帯状部材100の一側縁部が一体に接合されて周方向に向けて送り出される。すなわち、案内ローラー3に沿って螺旋状に巻き回された隣接する帯状部材100,100は、ピンチローラー42から送り出される際に、それらの他側縁部および一側縁部が螺旋状に巻き回された状態で一体に接合されて管体に製管され、更生管Sとして回転しつつ前方に向けて送り出される。
【0057】
以下、帯状部材100は、一側縁部が略溶融状態に軟化されるとともに、その一側縁部に溶融樹脂cが塗布されて連続的に駆動機構4のピンチローラー42に供給されることにより、ピンチローラー42において、先行する帯状部材100の他側縁部に後続する帯状部材100の一側縁部を一体に接合して周方向に押し出し、更生管Sを連続的に製管するものである。そして、製管された更生管Sは、回転しつつ押し出されることにより、製管機1より離脱し、到達マンホールM2に向けて既設管Kに挿入される(図6参照)。
【0058】
このようにして、製管機1に連続的に供給される帯状部材100から更生管Sを製管し、製管された更生管Sを既設管K内に回転しつつ挿入し、更生管Sの先端が到達マンホールM2に到達して既設管Kの施工対象区間の全長にわたって更生管Sの製管が終了すれば、更生管Sの管端部の帯状部材100を切断した後、製管機1を分解し、発進マンホールM1から撤去する。すなわち、ガイドフレーム2から駆動機構4および押出溶接機5を取り外すとともに、ガイドフレーム2を複数個に分割し、発進マンホールM1から引き上げる。
【0059】
その後、詳細には図示しないが、既設管Kと更生管Sの両端部との隙間にシール部材を配設して隙間に水などが浸入しないように密封するとともに、シール部材を通して裏込め材を隙間に充填する。裏込め材が固化すれば、固化した裏込め材によって更生管Sが既設管Kに固定される。次いで、更生管Sの、マンホールM1,M2内への突出部分を切除して作業完了となる。
【0060】
ところで、全施工区間にわたって更生管Sを連続的に製管できない場合、例えば、複数の日にわたって施工しなければならない場合において、翌日以降に新たに更生管Sを製管して全施工区間にわたる更生管Sを製管する施工要領について、先に製管された更生管Sを更生管Sa、新たに製管された更生管Sを更生管Sbとして以下説明する。
【0061】
まず、一日の製管作業が終了すれば、帯状部材100を切断して製管機1と更生管Saを切り離し、更生管Saを既設管Kに残置する一方、製管機1を分解して発進マンホールM1から地上に引き上げておく(図7参照)。
【0062】
一方、翌日以降において、分解された製管機1を発進マンホールM1に降ろして組み立てた後、帯状部材100を製管機1に引き入れて新たな更生管Sbの製管作業を開始する(図8参照)。そして、新たに製管された更生管Sbの先端を前日までに製管された更生管Saの後端に突き当て、あるいは、接近させたならば、前日までに先に製管された更生管Saの後端縁部を更生管Saの軸線に対して直交する垂直面で切断し、端面処理を施す。同様に、新たに製管された更生管Sbの先端縁部を更生管Sbの軸線に対して直交する垂直面で切断し、端面処理を施す。次いで、新たな更生管Sbの先端面と先の更生管Saの後端面とを突き合わせ、それらの対向する突き合わせ部を溶接する(図9参照)。
【0063】
ここで、新たな更生管Sbと先の更生管Saとの対向する突き合わせ部の溶接に際しては、ハンディタイプの押出溶接機が使用される。この押出溶接機は、詳細には図示しないが、外気を取り入れて加熱し、吹出しノズルを通して熱風を噴出させるとともに、帯状部材100を形成するプラスチック材料と同一材料であるポリエチレンやポリプロピレンなどの線状プラスチックからなる溶接棒を導いて加熱溶融させ、その溶融樹脂を押出しノズルから押し出すものである。
【0064】
すなわち、更生管Sa,Sbの内部に押出溶接機を搬入し、更生管Sa,Sbの突き合わせ部を熱風によって略溶融状態に軟化させるとともに、軟化させた突き合わせ部に溶融樹脂を充填することで、両者を突き合わせ溶接することができる。これにより、先の更生管Saと新たな更生管Sbとを一体に接続することができる。
【0065】
この場合、先の更生管Saと新たな更生管Sbの接続位置が発進マンホールM1と既設管Kとの接続部近傍に位置する場合には、更生管Sa,Sbの内周側からの溶接に限らず外周側から溶接することもできる。
【0066】
また、先に製管された更生管Saと新たに製管された更生管Sbとの対向する突き合わせ部を、それらの内周面にわたる接続部材110を介して間接的に接続するようにしてもよい(図10参照)。
【0067】
ここで、接続部材110は、例えば、図10に示すように、更生管Sa,Sbの内径に対応する外径の円筒状の基板111および該基板111に対してリブ112を直交するように一体に立設して形成したものであり、帯状部材100と同一の樹脂によって形成される。
【0068】
この接続部材110を用いる場合は、新たな更生管Sbの製管に先立って、先に製管された更生管Saの後端面を端面処理するとともに、接続部材110を既設管K内に引き込み、接続部材110を先に製管された更生管Saの後端側内周面に嵌挿しておく。そして、先に製管された更生管Saに接近するまで新たに製管された更生管Sbの先端面を端面処理した後、その先端側内周面を接続部材110に嵌挿し、リブ112を更生管Saの後端面と更生管Sbの前端面との間から突出させる。次いで、接続部材110における基板111の前端面と更生管Saの後端側内周面との周方向に連続する隅角部およびその後端面と更生管Sbの先端側内周面との周方向に連続する隅角部をそれぞれ押出溶接機を利用して加熱し、略溶融状態に軟化させるとともに、溶接棒を溶融させ、溶融樹脂をそれらの隅角部に充填して隅肉溶接することにより、先の更生管Saと新たな更生管Sbとを接続部材110を介して強度低下を発生させることなく一体に接続することができる。
【0069】
なお、接続部材110のリブ112の本数は、1本に限らず複数本であってもよい他、基板111またはリブ112、あるいは、基板111およびリブ112に鋼板などの補強ストリップを埋設してもよい。
【0070】
この場合、予め円筒状に形成された接続部材110を例示したが、帯状部材100と同一樹脂によって形成される帯板状の基板を更生管Sa,Sbの対向する突き合わせ部の内周面に沿うように順に湾曲させて接続部材を形成することもできる。このような接続部材と更生管Sa,Sbとの接続に際しては、接続部材の基板と更生管Sa,Sbとの周方向に連続するそれぞれの隅角部を押出溶接機を利用してそれぞれ全周にわたって隅肉溶接するとともに、基板を360度巻き回すことで対向する先端縁と後端縁との突き合わせ部を押出溶接機を利用して突き合わせ溶接すればよい。
【0071】
このようにして、先の更生管Saと新たな更生管Sbとを一体に接続したならば、再び製管機1を駆動することで、新たな更生管Sbの後方に再び帯状部材100を供給して更生管Sbを付加製管するとともに、製管された新たな更生管Sbを回転させながら既設管K内に挿入する。この場合、新たな更生管Sbと先の更生管Saとは一体に接続されていることから、新たな更生管Sbを製管するときには、先の更生管Saも新たな更生管Sbと一体の新たな更生管Sbとして振る舞うものとなる。
【0072】
この場合、増水などにより施工区間の製管作業が中断された際には、翌日以降など作業環境が整った際に再び製管作業を再開して新たな更生管Sbを先の更生管Saに一体に接続した後、新たな更生管Sbを製管することを繰り返せばよい。
【0073】
また、他の実施形態として、先に製管された設定長さの更生管Saと翌日以降などに新たに製管された設定長さの更生管Sbとを接続して既設管Kの全施工区間を更生する更生管Sを製管するようにしてもよい。
【0074】
例えば、前述したように、発進マンホールM1において組み立てた製管機1に帯状部材100を引き入れて更生管Saを製管し、製管された更生管Saを到達マンホールM2に向けて回転しつつ送り出す(図11参照)。そして、一日の製管作業が終了し、設定長さの更生管Saを製管したならば、製管された更生管Saの帯状部材100を切断して製管機1から更生管Saを切り離し、更生管Saを既設管Kに残置する一方、製管機1を分解して発進マンホールM1から地上に引き上げる(図12参照)。
【0075】
一方、翌日などにおいて、製管作業を再開する場合は、先に更生管Saを製管した発進マンホールM1とは異なる位置、例えば、隣接する到達マンホールM2に分解された製管機1を運ぶとともに、到達マンホールM2に降ろして組み立てた後、帯状部材100を製管機1に引き入れて製管作業を開始し、新たに製管された更生管Sbを発進マンホールM1に向けて回転しつつ送り出す(図13参照)。そして、新たに設定長さの更生管Sbを製管することにより、新たな更生管Sbの先端を前日までに製管された更生管Saの先端に接近させ、あるいは、突き当てたならば、前日までに先に製管された更生管Saの先端縁部を更生管Saの軸線に対して直交する垂直面で切断し、端面処理を施す。同様に、新たに製管された更生管Sbの先端縁部を更生管Sbの軸線に対して直交する垂直面で切断し、端面処理を施す。次いで、新たな更生管Sbの先端面と先の更生管Saの先端面とを突き合わせ、それらの対向する突き合わせ部を押出溶接機を利用して溶接する。これにより、先の更生管Saと新たな更生管Sbとを一体に接続することができる(図14参照)。
【0076】
この場合、先の更生管Saと新たな更生管Sbとを接続部材110を介して間接的に接続してもよい。
【0077】
このような製管方法を採用した場合には、施工区間を全長にわたって更生管を連続的に製管する場合に比較して、既設管Kと更生管Sとの摩擦が減少することから、結果的に製管機1が必要とする回転トルクを小さくすることができ、小型の製管機1を利用できるものとなる。
【0078】
なお、前述した実施形態においては、製管機1を設置する開口部としてマンホールMを例示したが、例えば、山間部などにおいて、地上から掘削された立坑内に製管機1を設置することもできる。また、マンホールなどの近傍の既設管に製管機を設置したり、両端部が開口された既設管を更生する際に、既設管の一端部に製管機を設置することもできる。したがって、マンホール内や立坑内に製管機を設置する場合に限らず、マンホールなどの近傍の既設管内に製管機を設置する場合、既設管の開口端部内に製管機を設置する場合、さらには、マンホールなどと既設管に跨がって製管機を設置する場合も、開口部内に製管機を設置する場合に含めるものとする。
【0079】
ところで、前述した実施形態においては、螺旋状に巻き回した隣接する帯状部材100の一側縁部および他側縁部を溶融樹脂cを介して接合することにより更生管Sを製管する場合を説明したが、このような帯状部材100による更生管Sの製管方法に限定されるものではない。例えば、図15に示すように、硬質塩化ビニルなどを押出成形して形成された帯状部材210と、該帯状部材210に装着された補強材220とから構成された補強材付き帯状部材200を製管機(図示せず)に引き入れて螺旋状に巻き回し、隣接する補強材付き帯状部材200の嵌合部同士を嵌合して更生管Sを製管する製管方法に適用することもできる。
【0080】
以下、この補強材付き帯状部材200について説明する。
【0081】
補強材付き帯状部材200を構成する帯状部材210は、帯板状の基板211の裏面に複数本の断面T字状の補強リブ212が先端を基板211と平行に位置して設けられ、基板211の一方の側縁部の裏面に嵌合部としての嵌合凸部213が立設され、また、他方の側縁部に嵌合凸部213が設けられた基板211の側縁部が配置されるように、基板211の厚みだけ裏面側に段落ちした段落ち部214に形成され、その段落ち部214に嵌合凸部213が嵌入し得る嵌合部としての嵌合凹部215が設けられている。嵌合凹部215には、基板211から離れるにつれて嵌合凹部215の突出側に位置するように傾斜された傾斜リブ216が形成されている。
【0082】
補強材付き帯状部材200を構成する補強材220は、長手方向に連続した帯板状の鋼板を断面略W字状などに折曲形成されたものであり、帯状部材210の複数本の補強リブ212にわたって装着されている。
【0083】
このような補強材付き帯状部材200は、ドラムDから引き出され、基板211の裏面側、すなわち、補強リブ212などが立設された側が外周側になるように製管機に引き入れられて螺旋状に巻き回され、図示しない駆動機構のピンチローラーによる嵌合過程において、図16に示すように、互いに隣接する補強材付き帯状部材200のうち、一方の帯状部材210の嵌合凸部213に、他方の帯状部材200の嵌合凹部215を外側(先行する帯状部材200の外周側)から嵌め込むことにより互いに隣接する帯状部材200,200を相互に嵌合して所定の管径の更生管Sを製管するものである。
【0084】
この際、先行する帯状部材200の嵌合凸部213が設けられた基板211の側縁部に後続する帯状部材200の段落ち部214が配置されるとともに、先行する帯状部材200の嵌合凸部213が設けられた側の補強リブ212に後続する帯状部材200の傾斜リブ216が係止される。
【0085】
このような補強材付き帯状部材200を製管機によって螺旋状に巻き回して更生管Sを製管し、先に製管された更生管Saと、新たに製管された更生管Sbとを接続する場合は、帯状部材210が硬質塩化ビニルなどから成形されることに対応して、接着剤による接着を採用することができる。具体的には、先の更生管Saと新たな更生管Sbとの対向する突き合わせ部に接着剤を塗布し、接着剤による接着によって両者を接続すればよい。
【0086】
一方、先の更生管Saと新たな更生管Sbとを接続部材110を介して接続するには、接続部材110を帯状部材210と同一の樹脂である硬質塩化ビニルなどによって形成する。そして、接続部材110の外周面および各更生管Sa,Sbの各端縁部内周面の少なくとも一方に接着剤を塗布し、接続部材110を先の更生管Saの端縁部と新たな更生管Sbの端縁部とにわたって嵌挿することにより、各更生管Sa,Sbを接続部材110を介して接着剤による接着によって接続することができる。
【0087】
この場合、接続部材としては、帯状部材210と同一の樹脂によって形成される帯板状の基板を更生管Sa,Sbの対向する突き合わせ部の内周面に沿うように順に湾曲させて形成してもよい。このような接続部材を用いるときには、帯板状の基板の外面に接着剤を塗布し、湾曲させながら接着すればよい。そして帯板状の基板を360度巻き回すことで対向する先端縁と後端縁との突き合わせ部を接着剤による接着によって接続する。
【0088】
なお、前述した補強材付き帯状部材200は、複数本の補強リブ212にわたって断面略W字状に折曲された鋼板性補強材220を装着して構成したが、補強材220は必ずしも必要とするものではなく、帯状部材210のみによって更生管Sを製管することもできる。
【符号の説明】
【0089】
1 製管機
2 ガイドフレーム
3 案内ローラー
4 駆動機構
5 押出溶接機
100,210 帯状部材
110 接続部材
200 補強材付き帯状部材
S,Sa,Sb 更生管
K 既設管
M1,M2 マンホール
【技術分野】
【0001】
この発明は、老朽化した下水管路、上水管路、農業用水路、ガス管路などの既設管を更生する更生管の製管方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、既設管内において、長尺の帯状部材をマンホール内に支持した製管機に供給し、供給された帯状部材を製管機によって螺旋状に巻き回す一方、螺旋状に巻き回されて隣接する帯状部材の一側縁部および他側縁部の少なくとも一方に帯状部材と同じ材質の溶融樹脂を塗布するとともに、隣接する帯状部材の一側縁部および他側縁部を重ね合わせて接合し、更生管を製管するとともに、製管された更生管を回転させながら既設管内に挿入することにより、既設管を更生することが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2005−528243号公報
【特許文献2】特表2008−536027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した製管機による更生管の製管作業は、既設管に水が流下している状態においても施工できる利点があるが、帯状部材を接合するために製管機に設けられた押出溶接機には温度センサーを始めとして多くの電気部品が配設されており、押出溶接機が水に濡れると致命的なダメージを被り、高価な製管機が使用不能となる。このため、交通事情などによって夜間などの短時間にのみ施工する場合や、突発的な雨によって急激に既設管の流量が増加した場合などのように、製管作業を後日、または、作業環境が整った際など間欠的に施工しなければならないときには、休業時の増水によって製管機が影響を受けないように、製管作業が終了した時点で製管機をマンホール内から撤去しなければならない。そして、翌日以降などの製管作業において、前日までに先に製管された更生管と、当日に新たに製管された更生管とを接続する必要がある。すなわち、先に製管された更生管の帯状部材の後端と、新たに製管される更生管の帯状部材の先端とを接続して製管作業を再開する必要がある。
【0005】
しかしながら、隣接する帯状部材の一側縁部および他側縁部を溶融樹脂を介して接合して更生管を製管する製管機の構造上、先に製管された更生管の帯状部材の後端に新たに製管される更生管の帯状部材の先端を強度や水密性などを確保して接続することは非常に困難であり、事実上不可能である。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、既設管を更生する更生管の製管作業を間欠的に施工しなければならない場合において、既設管の全施工区間を更生する更生管を簡単確実に製管することのできる更生管の製管方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、開口部内に製管機を設置し、帯状部材を地上側から製管機に引き入れて螺旋状に巻き回し、互いに隣接する帯状部材の一側縁部および他側縁部の少なくとも一方に溶融樹脂を塗布するとともに、それらを重ね合わせて接合して更生管を製管し、製管された更生管を回転させながら既設管内に挿入する更生管の製管方法において、設定長さの更生管を製管するとともに、製管された更生管を切断した後、新たに更生管を製管して先に製管された更生管に突き当てまたは接近させ、新たな更生管と先の更生管とを一体に接続し、次いで、先の更生管と一体化した新たな更生管を連続的に製管することを特徴とするものである。
【0008】
本発明によれば、製管機によって設定長さの更生管を製管した後、製管された更生管の帯状部材を切断して製管機から切り離し、製管された更生管を既設管に残置するとともに、製管機を地上に退避させる。一方、後日などにおいて、再び製管機を搬入して組み立てた後、製管作業を再開して新たに更生管を製管する。そして、新たに製管された更生管の先端を先に製管された更生管の後端に突き当てた後、あるいは、接近させた後、両者を一体に接続する。次いで、製管機によって再び新たな更生管の製管作業を開始すれば、先に製管された更生管と一体化した新たな更生管の後端に更生管を付加して新たな更生管を連続的に製管する。
【0009】
この結果、先に製管された更生管に翌日以降などにおいて新たに製管された更生管を一体に接続して新たな更生管とし、新たな更生管の後端に更生管を付加して新たな更生管を連続的に製管することにより、既設管を更生する更生管の製管作業を間欠的に施工しなければならない場合においても、既設管の全施工区間を更生する更生管を簡単確実に製管することができる。
【0010】
本発明は、開口部内に製管機を設置し、帯状部材を地上側から製管機に引き入れて螺旋状に巻き回し、互いに隣接する帯状部材の一側縁部および他側縁部の少なくとも一方に溶融樹脂を塗布するとともに、それらを重ね合わせて接合して更生管を製管し、製管された更生管を回転させながら既設管内に挿入する更生管の製管方法において、設定長さの更生管を製管するとともに、製管された更生管を切断した後、先の更生管の製管位置とは異なる位置において新たに更生管を製管して先に製管された更生管に突き当てまたは接近させ、新たな更生管と先の更生管とを一体に接続することを特徴とするものである。
【0011】
本発明によれば、製管機によって設定長さの更生管を製管した後、製管された更生管の帯状部材を切断して製管機から切り離し、製管された更生管を既設管に残置するとともに、製管機を地上に退避させる。一方、後日などにおいて、先に更生管を製管した位置とは異なる位置に製管機を搬入して組み立てた後、製管作業を再開して先に製管された更生管方向に向けて新たに更生管を製管する。そして、新たに製管された更生管の先端を先に製管された更生管の先端に突き当てた後、あるいは、接近させた後、両者を一体に接続する。
【0012】
この結果、先に製管された更生管に、翌日以降などにおいて異なる位置から新たに製管された更生管を一体に接続することにより、既設管を更生する更生管の製管作業を間欠的に施工しなければならない場合においても、既設管の全施工区間を更生する更生管を簡単確実に製管することができる。
【0013】
なお、本発明における帯状部材としては、帯板状の基板の裏面に複数本の断面I字状のリブが基板と直交して立設されるとともに、各リブには、金属製の補強ストリップが埋設されていることが好ましく、これにより、帯状部材によって製管された更生管の自立強度を確保することができる。
【0014】
また、製管機を設置する開口部としては、マンホールや立坑の他、マンホールなどの近傍の既設管や既設管の開口端部などを挙げることができる。
【0015】
本発明において、新たな更生管と先の更生管との対向する突き合わせ部を溶接によって接続することが好ましい。これにより、更生管の対向する突き合わせ部をその帯状部材と同じ材質の溶融樹脂を介して一体に接合することができる。このような更生管の溶接による接続は、その帯状部材がポリエチレンやポリプロピレンなどのように、接着剤による接着が困難な材質の帯状部材から製管された更生管の接続に好適となる。
【0016】
本発明において、新たな更生管と先の更生管との対向する突き合わせ部を接続部材を介して溶接によって接続することが好ましい。これにより、新たな更生管と先の更生管とにわたって接続部材を介在することで、新たな更生管と接続部材との隅肉部、および、先の更生管と接続部材との隅肉部などをそれぞれその帯状部材および接続部材と同じ材質の溶融樹脂を介して一体に接合することができ、より大きな接続強度を確保することができる。このような更生管の溶接による接続は、その帯状部材がポリエチレンやポリプロピレンなどのように、接着剤による接着が困難な材質の帯状部材から製管された更生管の接続に好適となる。
【0017】
この場合、接続部材を円筒状の基板の外周面に1本又は複数本のリブを全周にわたって立設して形成し、先に製管された更生管の端面と新たに製管された更生管の端面との間からリブを更生管の外周面側に突出させた状態で接続することにより、新旧の更生管の突き合わせ部の強度低下を防止することができる。
【0018】
本発明は、開口部内に製管機を設置し、両側縁部に嵌合部が形成された帯状部材を地上側から製管機に引き入れて螺旋状に巻き回し、互いに隣接する帯状部材の嵌合部同士を嵌合して更生管を製管し、製管された更生管を回転させながら既設管内に挿入する更生管の製管方法において、設定長さの更生管を製管するとともに、製管された更生管を切断した後、新たに更生管を製管して先に製管された更生管に突き当てまたは接近させ、新たな更生管と先の更生管とを一体に接続し、次いで、先の更生管と一体化した新たな更生管を連続的に製管することを特徴とするものである。
【0019】
本発明によれば、製管機によって設定長さの更生管を製管した後、製管された更生管の帯状部材を切断して製管機から切り離し、製管された更生管を既設管に残置するとともに、製管機を地上に退避させる。一方、後日などにおいて、再び製管機を搬入して組み立てた後、製管作業を再開して新たに更生管を製管する。そして、新たに製管された更生管の先端を先に製管された更生管の後端に突き当てた後、あるいは、接近させた後、両者を一体に接続する。次いで、製管機によって再び新たな更生管の製管作業を開始すれば、先に製管された更生管と一体化した新たな更生管の後端に更生管を付加して新たな更生管を連続的に製管する。
【0020】
この結果、先に製管された更生管に翌日以降などにおいて新たに製管された更生管を一体に接続して新たな更生管とし、新たな更生管の後端に更生管を付加して新たな更生管を連続的に製管することにより、既設管を更生する更生管の製管作業を間欠的に施工しなければならない場合においても、既設管の全施工区間を更生する更生管を簡単確実に製管することができる。
【0021】
本発明は、開口部内に製管機を設置し、両側縁部に嵌合部が形成された帯状部材を地上側から製管機に引き入れて螺旋状に巻き回し、互いに隣接する帯状部材の嵌合部同士を嵌合して更生管を製管し、製管された更生管を回転させながら既設管内に挿入する更生管の製管方法において、設定長さの更生管を製管するとともに、製管された更生管を切断した後、先の更生管の製管位置とは異なる位置において新たに更生管を製管して先に製管された更生管に突き当てまたは接近させ、新たな更生管と先の更生管とを一体に接続することを特徴とするものである。
【0022】
本発明によれば、製管機によって設定長さの更生管を製管した後、製管された更生管の帯状部材を切断して製管機から切り離し、製管された更生管を既設管に残置するとともに、製管機を地上に退避させる。一方、後日などにおいて、先に更生管を製管した位置とは異なる位置に製管機を搬入して組み立てた後、製管作業を再開して先に製管された更生管方向に向けて新たに更生管を製管する。そして、新たに製管された更生管の先端を先に製管された更生管の先端に突き当てた後、あるいは、接近させた後、両者を一体に接続する。
【0023】
この結果、先に製管された更生管に、翌日以降などにおいて異なる位置から新たに製管された更生管を一体に接続することにより、既設管を更生する更生管の製管作業を間欠的に施工しなければならない場合においても、既設管の全施工区間を更生する更生管を簡単確実に製管することができる。
【0024】
なお、本発明における帯状部材としては、帯板状の基板の裏面に複数本の断面T字状のリブが基板と直交して立設されるとともに、複数本のリブにわたってW字状などに折曲された金属製の補強材が配設されていることが好ましく、これにより、帯状部材によって製管された更生管の自立強度を確保することができる。
【0025】
また、製管機を設置する開口部としては、マンホールや立坑の他、マンホールなどの近傍の既設管や既設管の開口端部などを挙げることができる。
【0026】
本発明において、新たな更生管と先の更生管との対向する突き合わせ部を接着によって接続することが好ましい。これにより、更生管の対向する突き合わせ部を接着剤を介して一体に接合することができる。このような更生管の接着による接続は、その帯状部材が硬質塩化ビニルなどのように、接着剤による接着が容易な材質の帯状部材から製管された更生管の接続に好適となる。
【0027】
本発明において、新たな更生管と先の更生管との対向する突き合わせ部を接続部材を介して接着によって接続することが好ましい。これにより、新たな更生管と先の更生管とにわたって接続部材を介在することで、新たな更生管と接続部材との重ね合わせ部、および、先の更生管と接続部材との重ね合わせ部などをそれぞれ接着剤を介して一体に接合することができ、より大きな接続強度を確保することができる。このような更生管の接着による接続は、その帯状部材が硬質塩化ビニルなどのように、接着剤による接着が容易な材質の帯状部材から製管された更生管の接続に好適となる。
【0028】
この場合、接続部材を円筒状の基板の外周面に1本又は複数本のリブを全周にわたって立設して形成し、先に製管された更生管の端面と新たに製管された更生管の端面との間からリブを更生管の外周面側に突出させた状態で接続することにより、前後の更生管の突き合わせ部の強度低下を防止することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、既設管を更生する更生管の製管作業を間欠的に施工しなければならない場合において、既設管の全施工区間を更生する更生管を簡単確実に製管することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の更生管の製管方法に用いられる帯状部材の一例を示す断面図である。
【図2】図1の帯状部材の接合工程を説明する断面図である。
【図3】本発明の更生管の製管方法を実施する製管機の一例を示す斜視図である。
【図4】図3の製管機の駆動機構を一部省略して示す斜視図である。
【図5】図4の駆動機構のピンチローラーを帯状部材とともに示す平面図である。
【図6】本発明の更生管の製管方法の一実施形態を説明する地中管路の縦断面図である。
【図7】本発明の更生管の製管方法の一実施形態を説明する地中管路の縦断面図である。
【図8】本発明の更生管の製管方法の一実施形態を説明する地中管路の縦断面図である。
【図9】本発明の更生管の製管方法の一実施形態を説明する地中管路の縦断面図である。
【図10】新旧の更生管を接続部材によって接合した状態を示す縦断面図である。
【図11】本発明の更生管の製管方法の他の実施形態を説明する地中管路の縦断面図である。
【図12】本発明の更生管の製管方法の他の実施形態を説明する地中管路の縦断面図である。
【図13】本発明の更生管の製管方法の他の実施形態を説明する地中管路の縦断面図である。
【図14】本発明の更生管の製管方法の他の実施形態を説明する地中管路の縦断面図である。
【図15】本発明の更生管の製管方法に用いられる帯状部材の他の例を示す断面図である。
【図16】図15の帯状部材の嵌合工程を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0032】
まず、本発明の更生管の製管方法の実施形態を説明するのに先立って、使用する帯状部材100および製管機1について説明する。
【0033】
帯状部材100は、図1に示すように、可撓性を有するプラスチック、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを押出成形して形成され、中空円筒状に巻き重ねられて輸送用巻重体D(図6参照)に形成されて現場に輸送される。この帯状部材100は、帯板状の基板101の裏面に複数本(実施例においては3本)の断面I字状のリブ102が基板101と直交して立設されて形成されている。そして、基板101の一方の側縁部(以下、一側縁部という。)には、隣接する帯状部材100における基板101の他方の側縁部(以下、他側縁部という。)を配置することができるように、基板101の厚みだけ裏面側に段落ちした段落ち部103に形成されている。また、各リブ102には、鋼板などの補強ストリップ104が埋設されている。
【0034】
このような帯状部材100は、基板101の裏面側、すなわち、リブ102が立設された側が外周面側となるよう、後述する製管機1に供給されて螺旋状に巻き回される。この際、図2(a),(b)に示すように、互いに隣接する帯状部材100,100のうち、後続する帯状部材100の一側縁部(段落ち部103)に溶融樹脂cを塗布するとともに、溶融樹脂cを塗布した後続する帯状部材100の一側縁部を、先行する帯状部材100の他側縁部に外側(先行する帯状部材100の外周面側)から重ね合わせことにより、後続する帯状部材100の基板101の一側縁部(段落ち部103)を先行する帯状部材100の基板101の他側縁部に配置して接合し、所定の管径の更生管S(図3参照)を製管するものである。
【0035】
次に、製管機1について図3乃至図5に基づいて説明する。
【0036】
製管機1は、帯状部材100を螺旋状に巻き回すガイドフレーム2および該ガイドフレーム2に周方向に間隔をおいて回転自在に設けられた複数個の案内ローラー3と、ガイドフレーム2に設けられ、螺旋状に巻き回されて先行する帯状部材100の他側縁部および後続して製管機1に供給される帯状部材100の一側縁部(段落ち部103)を重ね合わせるとともに、隣接する帯状部材100,100を挟み込んで送り出す駆動機構4と、駆動機構4の前段に位置してガイドフレーム2に設けられ、隣接する帯状部材100,100のうち、後続して製管機1に供給される帯状部材100の一側縁部103を軟化させるとともに、溶融樹脂cを吐出する押出溶接機5とから構成されている。
【0037】
ガイドフレーム2は、前後一対の環状フレーム21,21を周方向に間隔をおいて複数本の連結材22によって一体に連結して形成されている。そして、ガイドフレーム2は、複数個(実施例においては、120度ずつ3個)に分割されるようになっており、分割された状態で開口部としてのマンホール内に搬入され、マンホール内において、環状に組み立てられる。
【0038】
なお、製管方向に対して後方側の環状フレーム21は、後述する駆動機構4および押出溶接機5に対応して円弧の一部が内方に向けてL字状に屈曲されている他、この屈曲部211に対応する部分には、円弧状の補助フレーム23が前後の環状フレーム21,21間に位置して製管方向前方の環状フレーム21に連結材22を介して連結されている。
【0039】
案内ローラー3は、ガイドフレーム2を構成する前後の環状フレーム21,21間に固定された各連結軸31回りに軸受(図示せず)を介して回転自在に支持されている。
【0040】
ただし、製管方向に対して前方側の環状フレーム21の屈曲部211に対応する部分の案内ローラー3は、補助フレーム23と後方の環状フレーム21との間において回転自在に支持されており、前後の環状フレーム21,21間に設けられた案内ローラー3の略半分の長さに形成されている。
【0041】
ここで、案内ローラー3は、金属あるいは合成樹脂よりなり、帯状部材100の各リブ102を余裕を持って収容可能な幅と深さの複数個の溝3a(図4参照)が帯状部材100の各リブ102に対応して形成されている。これにより、案内ローラー3の外周面は、更生管Sを形成する帯状部材100における基板101の裏面に接触するようになっている。また、案内ローラー3によって裏面が規制されて螺旋状に巻き回される帯状部材100は、360度1周した際、先行する帯状部材100が後続する帯状部材100に対して帯状部材100の幅に略相当する長さだけ製管方向に向かってずれるように設定されている。すなわち、案内ローラー3は、周方向へ移動するにしたがって溝3aが管軸方向に徐々にずれるように、連結軸31に対する案内ローラー3の管軸方向の取付位置が調整されている。また、詳細には図示しないが、案内ローラ3の、帯状部材100の一側縁部(段落ち部103)に対応するローラー部は、その他のローラー部よりも若干小径に形成されている。
【0042】
駆動機構4は、ガイドフレーム2における製管方向に対して後方側の環状フレーム21の屈曲部211および補助フレーム23間の空間を利用してガイドフレーム2に固定された取付フレーム41と、取付フレーム41に設けられた外面ローラー421および内面ローラー422が組になったピンチローラー42と、取付フレーム41に固定されて減速機構43を介してピンチローラー42を回転させる油圧モータ(図示せず)とから構成されている。
【0043】
ここで、減速機構43は、取付フレーム41に設けた油圧モータの出力軸および外面ローラー421の回転軸にそれぞれ設けられたスプロケット431(外面ローラー421の回転軸に設けたスプロケットのみを図5に示す。)と、これらのスプロケット431間に巻回されたチェーン432と、外面ローラー421の回転軸および内面ローラー432の回転軸にそれぞれ設けられて互いに噛み合う歯車433,433からなり、油圧モータを回転駆動させることにより、スプロケット431、チェーン432を介して外面ローラー421を回転させるとともに、互いに噛み合う歯車433,433を介して内面ローラー422を外面ローラー421の回転方向とは逆方向に回転させるものである。
【0044】
また、外面ローラー421は、その外周面が帯状部材100の隣接するリブ102,102間において、その基板101の裏面、すなわち、更生管Sの外周面となる側の面に接して回転する。この際、外面ローラー421の外周面にはローレット加工が施されており、帯状部材100を滑ることなく送り出すことができる。
【0045】
なお、外面ローラー421の、帯状部材100の一側縁部(段落ち部103)に対応する位置のローラーは、その他のローラーよりも若干小径に形成されるとともに、ローレット加工は施されていない。
【0046】
一方、内面ローラー422は、例えば、鉄やプラスチックなどの比較的硬い素材によって円筒状に形成され、その外周面が帯状部材100における基板101の平坦な表面、すなわち、更生管Sの内周面となる側の面に接触して回転する。
【0047】
押出溶接機5は、ボディ51に熱風機ユニット、可塑化ユニット、溶接棒供給ユニットから構成され、外気を取り入れて加熱し、吹出しノズル52を通して熱風を噴出させるとともに、ポリエチレンやポリプロピレンなどの線状プラスチックからなる溶接棒10(図3参照)を導いて加熱溶融させ、その溶融樹脂cを押出しノズル53から押し出すものである。そして、押出溶接機5は、吹出しノズル52および押出しノズル53が製管機1における駆動機構4のピンチローラー42に供給される直前の帯状部材100の一側縁部(段差部103)に略接触状態で対向するように、ガイドフレーム2における前方の環状フレーム21の屈曲部211と補助フレーム23間の空間を利用してガイドフレーム2に固定されている。
【0048】
なお、溶接棒10は、帯状部材100を形成するプラスチック材料と同一材料を線状に形成したものであり、リール状に巻き重ねられて溶接棒リールRに形成されて押出溶接機5の近傍に位置してガイドフレーム2に設けられている。
【0049】
ここで、押出溶接機5は、ガイドフレーム2の内方に位置して、かつ、吹出しノズル52および押出しノズル53を帯状部材100の一側縁部に略接触するように取り付けられており、帯状部材100の一側縁部を確実に熱風によって略溶融状態に軟化させるとともに、軟化させた一側縁部に溶融樹脂cを確実に塗布することができる。
【0050】
なお、隣接する帯状部材100,100の溶融樹脂cによる接合に際しては、後続する帯状部材100の一側縁部とともに、該後続する帯状部材100の一側縁部が重ね合わされる先行する帯状部材の他側縁部についても略溶融状態に軟化させることが好ましい。この場合は、新たな加熱空気の吹出しノズルを先行する帯状部材100の他側縁部に対向して配設すればよい。
【0051】
次に、このように構成された製管機1を用いて既設管を更生する更生管Sの製管方法について開口部の一例としてマンホールを利用する場合を説明する。
【0052】
まず、既設管Kは所定スパン毎にマンホールが設けられており、隣接するマンホールにおいて、一方のマンホールM1を施工区間の発進マンホールに設定するとともに、他方のマンホールM2を到達マンホールに設定し、発進マンホールM1から到達マンホールM2に向けて既設管K内に更生管Sを製管する場合を説明する。
【0053】
施工前の準備として、更生管Sの製管には、帯状部材100を巻き重ねた輸送用巻重体D、製管機1、動力ユニットPなどを用意し、輸送用巻重体D、動力ユニットPを発進マンホールM1側の地上に設置する。また、製管機1は、案内ローラー3を設けたガイドフレーム2、駆動機構4、押出溶接機5に分解されるとともに、ガイドフレーム2はさらに複数個に分割される。そして、分割された製管機1の各要素は、マンホールM1を通して内部に搬入された後、組み立てられる。組み立てられた製管機1は、発進マンホールM1において、トラッククレーンなどを利用して吊下げ状態に支持される(図3参照)。
【0054】
このような準備作業が完了すれば、地上に配置した輸送用巻重体Dから帯状部材100を引き出して発進マンホールM1内に引き込み、発進マンホールM1内に支持されている製管機1における駆動機構4の取付フレーム41を経てピンチローラー42に供給するとともに、ピンチローラー42から引き出してガイドフレーム2に設けた案内ローラー3の内周側に送り出す。ここで、ピンチローラー42から引き出されて案内ローラー3の内周側に送り出された帯状部材100は、そのリブ102が案内ローラー3の溝3aに案内されて螺旋状に巻き回される。そして、帯状部材100は、ガイドフレーム2の案内ローラー3に沿って360度螺旋状に巻き回されて再び駆動機構4のピンチローラー42に達した際には、その幅の分だけ製管方向にずれてピンチローラー42の前方に位置しており、その他側縁部に、連続的に供給される後続する帯状部材100の一側縁部が重なり合うようになっている。
【0055】
ここで、押出溶接機5を作動させると、外気を吸引して加熱するとともに、その加熱空気を吹出しノズル52から後続する帯状部材100の一側縁部に向けて噴出させて略溶融状態に軟化させるとともに、溶接棒リールRから溶接棒10を内部に引き込んで加熱溶融させ、溶融樹脂cを押出しノズル53から押し出して後続する帯状部材100の一側縁部(段落ち部103)に塗布する。この場合、押出溶接機5は、ガイドフレーム2の内方において取り付けられるとともに、その押出ノズル53が後続する帯状部材100の一側縁部に略接触状態で対向していることにより、溶融樹脂cを帯状部材100の一側縁部に確実に塗布することができる。
【0056】
この状態で、駆動機構4の油圧モータを回転駆動すれば、スプロケット431、チェーン432を介して外面ローラー421を回転させるとともに、互いに噛み合う歯車433,433を介して内面ローラー422を外面ローラー421の回転方向とは逆方向に回転させ、先行する帯状部材100および後続する帯状部材100を挟み込み、先行する帯状部材100の他側縁部に後続する帯状部材100の一側縁部(段落ち部103)を重ね合わせて周方向に向けて送り出す。この際、後続する帯状部材100の一側縁部が略溶融状態に軟化されているとともに、その一側縁部に溶融樹脂cが塗布されていることにより、ピンチローラー42に挟み込まれた隣接する帯状部材100,100は、先行する帯状部材100の他側縁部に後続する帯状部材100の一側縁部が一体に接合されて周方向に向けて送り出される。すなわち、案内ローラー3に沿って螺旋状に巻き回された隣接する帯状部材100,100は、ピンチローラー42から送り出される際に、それらの他側縁部および一側縁部が螺旋状に巻き回された状態で一体に接合されて管体に製管され、更生管Sとして回転しつつ前方に向けて送り出される。
【0057】
以下、帯状部材100は、一側縁部が略溶融状態に軟化されるとともに、その一側縁部に溶融樹脂cが塗布されて連続的に駆動機構4のピンチローラー42に供給されることにより、ピンチローラー42において、先行する帯状部材100の他側縁部に後続する帯状部材100の一側縁部を一体に接合して周方向に押し出し、更生管Sを連続的に製管するものである。そして、製管された更生管Sは、回転しつつ押し出されることにより、製管機1より離脱し、到達マンホールM2に向けて既設管Kに挿入される(図6参照)。
【0058】
このようにして、製管機1に連続的に供給される帯状部材100から更生管Sを製管し、製管された更生管Sを既設管K内に回転しつつ挿入し、更生管Sの先端が到達マンホールM2に到達して既設管Kの施工対象区間の全長にわたって更生管Sの製管が終了すれば、更生管Sの管端部の帯状部材100を切断した後、製管機1を分解し、発進マンホールM1から撤去する。すなわち、ガイドフレーム2から駆動機構4および押出溶接機5を取り外すとともに、ガイドフレーム2を複数個に分割し、発進マンホールM1から引き上げる。
【0059】
その後、詳細には図示しないが、既設管Kと更生管Sの両端部との隙間にシール部材を配設して隙間に水などが浸入しないように密封するとともに、シール部材を通して裏込め材を隙間に充填する。裏込め材が固化すれば、固化した裏込め材によって更生管Sが既設管Kに固定される。次いで、更生管Sの、マンホールM1,M2内への突出部分を切除して作業完了となる。
【0060】
ところで、全施工区間にわたって更生管Sを連続的に製管できない場合、例えば、複数の日にわたって施工しなければならない場合において、翌日以降に新たに更生管Sを製管して全施工区間にわたる更生管Sを製管する施工要領について、先に製管された更生管Sを更生管Sa、新たに製管された更生管Sを更生管Sbとして以下説明する。
【0061】
まず、一日の製管作業が終了すれば、帯状部材100を切断して製管機1と更生管Saを切り離し、更生管Saを既設管Kに残置する一方、製管機1を分解して発進マンホールM1から地上に引き上げておく(図7参照)。
【0062】
一方、翌日以降において、分解された製管機1を発進マンホールM1に降ろして組み立てた後、帯状部材100を製管機1に引き入れて新たな更生管Sbの製管作業を開始する(図8参照)。そして、新たに製管された更生管Sbの先端を前日までに製管された更生管Saの後端に突き当て、あるいは、接近させたならば、前日までに先に製管された更生管Saの後端縁部を更生管Saの軸線に対して直交する垂直面で切断し、端面処理を施す。同様に、新たに製管された更生管Sbの先端縁部を更生管Sbの軸線に対して直交する垂直面で切断し、端面処理を施す。次いで、新たな更生管Sbの先端面と先の更生管Saの後端面とを突き合わせ、それらの対向する突き合わせ部を溶接する(図9参照)。
【0063】
ここで、新たな更生管Sbと先の更生管Saとの対向する突き合わせ部の溶接に際しては、ハンディタイプの押出溶接機が使用される。この押出溶接機は、詳細には図示しないが、外気を取り入れて加熱し、吹出しノズルを通して熱風を噴出させるとともに、帯状部材100を形成するプラスチック材料と同一材料であるポリエチレンやポリプロピレンなどの線状プラスチックからなる溶接棒を導いて加熱溶融させ、その溶融樹脂を押出しノズルから押し出すものである。
【0064】
すなわち、更生管Sa,Sbの内部に押出溶接機を搬入し、更生管Sa,Sbの突き合わせ部を熱風によって略溶融状態に軟化させるとともに、軟化させた突き合わせ部に溶融樹脂を充填することで、両者を突き合わせ溶接することができる。これにより、先の更生管Saと新たな更生管Sbとを一体に接続することができる。
【0065】
この場合、先の更生管Saと新たな更生管Sbの接続位置が発進マンホールM1と既設管Kとの接続部近傍に位置する場合には、更生管Sa,Sbの内周側からの溶接に限らず外周側から溶接することもできる。
【0066】
また、先に製管された更生管Saと新たに製管された更生管Sbとの対向する突き合わせ部を、それらの内周面にわたる接続部材110を介して間接的に接続するようにしてもよい(図10参照)。
【0067】
ここで、接続部材110は、例えば、図10に示すように、更生管Sa,Sbの内径に対応する外径の円筒状の基板111および該基板111に対してリブ112を直交するように一体に立設して形成したものであり、帯状部材100と同一の樹脂によって形成される。
【0068】
この接続部材110を用いる場合は、新たな更生管Sbの製管に先立って、先に製管された更生管Saの後端面を端面処理するとともに、接続部材110を既設管K内に引き込み、接続部材110を先に製管された更生管Saの後端側内周面に嵌挿しておく。そして、先に製管された更生管Saに接近するまで新たに製管された更生管Sbの先端面を端面処理した後、その先端側内周面を接続部材110に嵌挿し、リブ112を更生管Saの後端面と更生管Sbの前端面との間から突出させる。次いで、接続部材110における基板111の前端面と更生管Saの後端側内周面との周方向に連続する隅角部およびその後端面と更生管Sbの先端側内周面との周方向に連続する隅角部をそれぞれ押出溶接機を利用して加熱し、略溶融状態に軟化させるとともに、溶接棒を溶融させ、溶融樹脂をそれらの隅角部に充填して隅肉溶接することにより、先の更生管Saと新たな更生管Sbとを接続部材110を介して強度低下を発生させることなく一体に接続することができる。
【0069】
なお、接続部材110のリブ112の本数は、1本に限らず複数本であってもよい他、基板111またはリブ112、あるいは、基板111およびリブ112に鋼板などの補強ストリップを埋設してもよい。
【0070】
この場合、予め円筒状に形成された接続部材110を例示したが、帯状部材100と同一樹脂によって形成される帯板状の基板を更生管Sa,Sbの対向する突き合わせ部の内周面に沿うように順に湾曲させて接続部材を形成することもできる。このような接続部材と更生管Sa,Sbとの接続に際しては、接続部材の基板と更生管Sa,Sbとの周方向に連続するそれぞれの隅角部を押出溶接機を利用してそれぞれ全周にわたって隅肉溶接するとともに、基板を360度巻き回すことで対向する先端縁と後端縁との突き合わせ部を押出溶接機を利用して突き合わせ溶接すればよい。
【0071】
このようにして、先の更生管Saと新たな更生管Sbとを一体に接続したならば、再び製管機1を駆動することで、新たな更生管Sbの後方に再び帯状部材100を供給して更生管Sbを付加製管するとともに、製管された新たな更生管Sbを回転させながら既設管K内に挿入する。この場合、新たな更生管Sbと先の更生管Saとは一体に接続されていることから、新たな更生管Sbを製管するときには、先の更生管Saも新たな更生管Sbと一体の新たな更生管Sbとして振る舞うものとなる。
【0072】
この場合、増水などにより施工区間の製管作業が中断された際には、翌日以降など作業環境が整った際に再び製管作業を再開して新たな更生管Sbを先の更生管Saに一体に接続した後、新たな更生管Sbを製管することを繰り返せばよい。
【0073】
また、他の実施形態として、先に製管された設定長さの更生管Saと翌日以降などに新たに製管された設定長さの更生管Sbとを接続して既設管Kの全施工区間を更生する更生管Sを製管するようにしてもよい。
【0074】
例えば、前述したように、発進マンホールM1において組み立てた製管機1に帯状部材100を引き入れて更生管Saを製管し、製管された更生管Saを到達マンホールM2に向けて回転しつつ送り出す(図11参照)。そして、一日の製管作業が終了し、設定長さの更生管Saを製管したならば、製管された更生管Saの帯状部材100を切断して製管機1から更生管Saを切り離し、更生管Saを既設管Kに残置する一方、製管機1を分解して発進マンホールM1から地上に引き上げる(図12参照)。
【0075】
一方、翌日などにおいて、製管作業を再開する場合は、先に更生管Saを製管した発進マンホールM1とは異なる位置、例えば、隣接する到達マンホールM2に分解された製管機1を運ぶとともに、到達マンホールM2に降ろして組み立てた後、帯状部材100を製管機1に引き入れて製管作業を開始し、新たに製管された更生管Sbを発進マンホールM1に向けて回転しつつ送り出す(図13参照)。そして、新たに設定長さの更生管Sbを製管することにより、新たな更生管Sbの先端を前日までに製管された更生管Saの先端に接近させ、あるいは、突き当てたならば、前日までに先に製管された更生管Saの先端縁部を更生管Saの軸線に対して直交する垂直面で切断し、端面処理を施す。同様に、新たに製管された更生管Sbの先端縁部を更生管Sbの軸線に対して直交する垂直面で切断し、端面処理を施す。次いで、新たな更生管Sbの先端面と先の更生管Saの先端面とを突き合わせ、それらの対向する突き合わせ部を押出溶接機を利用して溶接する。これにより、先の更生管Saと新たな更生管Sbとを一体に接続することができる(図14参照)。
【0076】
この場合、先の更生管Saと新たな更生管Sbとを接続部材110を介して間接的に接続してもよい。
【0077】
このような製管方法を採用した場合には、施工区間を全長にわたって更生管を連続的に製管する場合に比較して、既設管Kと更生管Sとの摩擦が減少することから、結果的に製管機1が必要とする回転トルクを小さくすることができ、小型の製管機1を利用できるものとなる。
【0078】
なお、前述した実施形態においては、製管機1を設置する開口部としてマンホールMを例示したが、例えば、山間部などにおいて、地上から掘削された立坑内に製管機1を設置することもできる。また、マンホールなどの近傍の既設管に製管機を設置したり、両端部が開口された既設管を更生する際に、既設管の一端部に製管機を設置することもできる。したがって、マンホール内や立坑内に製管機を設置する場合に限らず、マンホールなどの近傍の既設管内に製管機を設置する場合、既設管の開口端部内に製管機を設置する場合、さらには、マンホールなどと既設管に跨がって製管機を設置する場合も、開口部内に製管機を設置する場合に含めるものとする。
【0079】
ところで、前述した実施形態においては、螺旋状に巻き回した隣接する帯状部材100の一側縁部および他側縁部を溶融樹脂cを介して接合することにより更生管Sを製管する場合を説明したが、このような帯状部材100による更生管Sの製管方法に限定されるものではない。例えば、図15に示すように、硬質塩化ビニルなどを押出成形して形成された帯状部材210と、該帯状部材210に装着された補強材220とから構成された補強材付き帯状部材200を製管機(図示せず)に引き入れて螺旋状に巻き回し、隣接する補強材付き帯状部材200の嵌合部同士を嵌合して更生管Sを製管する製管方法に適用することもできる。
【0080】
以下、この補強材付き帯状部材200について説明する。
【0081】
補強材付き帯状部材200を構成する帯状部材210は、帯板状の基板211の裏面に複数本の断面T字状の補強リブ212が先端を基板211と平行に位置して設けられ、基板211の一方の側縁部の裏面に嵌合部としての嵌合凸部213が立設され、また、他方の側縁部に嵌合凸部213が設けられた基板211の側縁部が配置されるように、基板211の厚みだけ裏面側に段落ちした段落ち部214に形成され、その段落ち部214に嵌合凸部213が嵌入し得る嵌合部としての嵌合凹部215が設けられている。嵌合凹部215には、基板211から離れるにつれて嵌合凹部215の突出側に位置するように傾斜された傾斜リブ216が形成されている。
【0082】
補強材付き帯状部材200を構成する補強材220は、長手方向に連続した帯板状の鋼板を断面略W字状などに折曲形成されたものであり、帯状部材210の複数本の補強リブ212にわたって装着されている。
【0083】
このような補強材付き帯状部材200は、ドラムDから引き出され、基板211の裏面側、すなわち、補強リブ212などが立設された側が外周側になるように製管機に引き入れられて螺旋状に巻き回され、図示しない駆動機構のピンチローラーによる嵌合過程において、図16に示すように、互いに隣接する補強材付き帯状部材200のうち、一方の帯状部材210の嵌合凸部213に、他方の帯状部材200の嵌合凹部215を外側(先行する帯状部材200の外周側)から嵌め込むことにより互いに隣接する帯状部材200,200を相互に嵌合して所定の管径の更生管Sを製管するものである。
【0084】
この際、先行する帯状部材200の嵌合凸部213が設けられた基板211の側縁部に後続する帯状部材200の段落ち部214が配置されるとともに、先行する帯状部材200の嵌合凸部213が設けられた側の補強リブ212に後続する帯状部材200の傾斜リブ216が係止される。
【0085】
このような補強材付き帯状部材200を製管機によって螺旋状に巻き回して更生管Sを製管し、先に製管された更生管Saと、新たに製管された更生管Sbとを接続する場合は、帯状部材210が硬質塩化ビニルなどから成形されることに対応して、接着剤による接着を採用することができる。具体的には、先の更生管Saと新たな更生管Sbとの対向する突き合わせ部に接着剤を塗布し、接着剤による接着によって両者を接続すればよい。
【0086】
一方、先の更生管Saと新たな更生管Sbとを接続部材110を介して接続するには、接続部材110を帯状部材210と同一の樹脂である硬質塩化ビニルなどによって形成する。そして、接続部材110の外周面および各更生管Sa,Sbの各端縁部内周面の少なくとも一方に接着剤を塗布し、接続部材110を先の更生管Saの端縁部と新たな更生管Sbの端縁部とにわたって嵌挿することにより、各更生管Sa,Sbを接続部材110を介して接着剤による接着によって接続することができる。
【0087】
この場合、接続部材としては、帯状部材210と同一の樹脂によって形成される帯板状の基板を更生管Sa,Sbの対向する突き合わせ部の内周面に沿うように順に湾曲させて形成してもよい。このような接続部材を用いるときには、帯板状の基板の外面に接着剤を塗布し、湾曲させながら接着すればよい。そして帯板状の基板を360度巻き回すことで対向する先端縁と後端縁との突き合わせ部を接着剤による接着によって接続する。
【0088】
なお、前述した補強材付き帯状部材200は、複数本の補強リブ212にわたって断面略W字状に折曲された鋼板性補強材220を装着して構成したが、補強材220は必ずしも必要とするものではなく、帯状部材210のみによって更生管Sを製管することもできる。
【符号の説明】
【0089】
1 製管機
2 ガイドフレーム
3 案内ローラー
4 駆動機構
5 押出溶接機
100,210 帯状部材
110 接続部材
200 補強材付き帯状部材
S,Sa,Sb 更生管
K 既設管
M1,M2 マンホール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部内に製管機を設置し、帯状部材を地上側から製管機に引き入れて螺旋状に巻き回し、互いに隣接する帯状部材の一側縁部および他側縁部の少なくとも一方に溶融樹脂を塗布するとともに、それらを重ね合わせて接合して更生管を製管し、製管された更生管を回転させながら既設管内に挿入する更生管の製管方法において、設定長さの更生管を製管するとともに、製管された更生管を切断した後、新たに更生管を製管して先に製管された更生管に突き当てまたは接近させ、新たな更生管と先の更生管とを一体に接続し、次いで、先の更生管と一体化した新たな更生管を連続的に製管することを特徴とする更生管の製管方法。
【請求項2】
開口部内に製管機を設置し、帯状部材を地上側から製管機に引き入れて螺旋状に巻き回し、互いに隣接する帯状部材の一側縁部および他側縁部の少なくとも一方に溶融樹脂を塗布するとともに、それらを重ね合わせて接合して更生管を製管し、製管された更生管を回転させながら既設管内に挿入する更生管の製管方法において、設定長さの更生管を製管するとともに、製管された更生管を切断した後、先の更生管の製管位置とは異なる位置において新たに更生管を製管して先に製管された更生管に突き当てまたは接近させ、新たな更生管と先の更生管とを一体に接続することを特徴とする更生管の製管方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の更生管の製管方法において、新たな更生管と先の更生管との対向する突き合わせ部を溶接によって接続することを特徴とする更生管の製管方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の更生管の製管方法において、新たな更生管と先の更生管との対向する突き合わせ部を接続部材を介して溶接によって接続することを特徴とする更生管の製管方法。
【請求項5】
開口部内に製管機を設置し、両側縁部に嵌合部が形成された帯状部材を地上側から製管機に引き入れて螺旋状に巻き回し、互いに隣接する帯状部材の嵌合部同士を嵌合して更生管を製管し、製管された更生管を回転させながら既設管内に挿入する更生管の製管方法において、設定長さの更生管を製管するとともに、製管された更生管を切断した後、新たに更生管を製管して先に製管された更生管に突き当てまたは接近させ、新たな更生管と先の更生管とを一体に接続し、次いで、先の更生管と一体化した新たな更生管を連続的に製管することを特徴とする更生管の製管方法。
【請求項6】
開口部内に製管機を設置し、両側縁部に嵌合部が形成された帯状部材を地上側から製管機に引き入れて螺旋状に巻き回し、互いに隣接する帯状部材の嵌合部同士を嵌合して更生管を製管し、製管された更生管を回転させながら既設管内に挿入する更生管の製管方法において、設定長さの更生管を製管するとともに、製管された更生管を切断した後、先の更生管の製管位置とは異なる位置において新たに更生管を製管して先に製管された更生管に突き当てまたは接近させ、新たな更生管と先の更生管とを一体に接続することを特徴とする更生管の製管方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載の更生管の製管方法において、新たな更生管と先の更生管との対向する突き合わせ部を接着によって接続することを特徴とする更生管の製管方法。
【請求項8】
請求項5または6に記載の更生管の製管方法において、新たな更生管と先の更生管との対向する突き合わせ部を接続部材を介して接着によって接続することを特徴とする更生管の製管方法。
【請求項1】
開口部内に製管機を設置し、帯状部材を地上側から製管機に引き入れて螺旋状に巻き回し、互いに隣接する帯状部材の一側縁部および他側縁部の少なくとも一方に溶融樹脂を塗布するとともに、それらを重ね合わせて接合して更生管を製管し、製管された更生管を回転させながら既設管内に挿入する更生管の製管方法において、設定長さの更生管を製管するとともに、製管された更生管を切断した後、新たに更生管を製管して先に製管された更生管に突き当てまたは接近させ、新たな更生管と先の更生管とを一体に接続し、次いで、先の更生管と一体化した新たな更生管を連続的に製管することを特徴とする更生管の製管方法。
【請求項2】
開口部内に製管機を設置し、帯状部材を地上側から製管機に引き入れて螺旋状に巻き回し、互いに隣接する帯状部材の一側縁部および他側縁部の少なくとも一方に溶融樹脂を塗布するとともに、それらを重ね合わせて接合して更生管を製管し、製管された更生管を回転させながら既設管内に挿入する更生管の製管方法において、設定長さの更生管を製管するとともに、製管された更生管を切断した後、先の更生管の製管位置とは異なる位置において新たに更生管を製管して先に製管された更生管に突き当てまたは接近させ、新たな更生管と先の更生管とを一体に接続することを特徴とする更生管の製管方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の更生管の製管方法において、新たな更生管と先の更生管との対向する突き合わせ部を溶接によって接続することを特徴とする更生管の製管方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の更生管の製管方法において、新たな更生管と先の更生管との対向する突き合わせ部を接続部材を介して溶接によって接続することを特徴とする更生管の製管方法。
【請求項5】
開口部内に製管機を設置し、両側縁部に嵌合部が形成された帯状部材を地上側から製管機に引き入れて螺旋状に巻き回し、互いに隣接する帯状部材の嵌合部同士を嵌合して更生管を製管し、製管された更生管を回転させながら既設管内に挿入する更生管の製管方法において、設定長さの更生管を製管するとともに、製管された更生管を切断した後、新たに更生管を製管して先に製管された更生管に突き当てまたは接近させ、新たな更生管と先の更生管とを一体に接続し、次いで、先の更生管と一体化した新たな更生管を連続的に製管することを特徴とする更生管の製管方法。
【請求項6】
開口部内に製管機を設置し、両側縁部に嵌合部が形成された帯状部材を地上側から製管機に引き入れて螺旋状に巻き回し、互いに隣接する帯状部材の嵌合部同士を嵌合して更生管を製管し、製管された更生管を回転させながら既設管内に挿入する更生管の製管方法において、設定長さの更生管を製管するとともに、製管された更生管を切断した後、先の更生管の製管位置とは異なる位置において新たに更生管を製管して先に製管された更生管に突き当てまたは接近させ、新たな更生管と先の更生管とを一体に接続することを特徴とする更生管の製管方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載の更生管の製管方法において、新たな更生管と先の更生管との対向する突き合わせ部を接着によって接続することを特徴とする更生管の製管方法。
【請求項8】
請求項5または6に記載の更生管の製管方法において、新たな更生管と先の更生管との対向する突き合わせ部を接続部材を介して接着によって接続することを特徴とする更生管の製管方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−101485(P2012−101485A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253044(P2010−253044)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
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