最小限のオンボード処理による航法システム
【課題】
位置評価を与える航法システムを提供する。
【解決手段】
1つの実施例において、方法は3次元各々で加速度評価を積分することを含む。各次元の速度雑音エラーを決定するために、各次元の積分加速度評価から、各次元のGPS速度を減算する。各次元で速度雑音エラーをフィルタする。各次元の速度評価を得るために、各次元の積分加速度評価にフィルタした速度雑音エラーを加算する。各次元の積分速度評価を決定するために、各次元の速度評価を積分する。各次元の位置雑音エラーを決定するために、各次元の積分速度評価から、各次元のGPS位置を減算する。各次元の位置雑音エラーをフィルタし、各次元のフィルタされた位置雑音エラーを積分速度評価へ加算して、各次元の位置評価を得る。
位置評価を与える航法システムを提供する。
【解決手段】
1つの実施例において、方法は3次元各々で加速度評価を積分することを含む。各次元の速度雑音エラーを決定するために、各次元の積分加速度評価から、各次元のGPS速度を減算する。各次元で速度雑音エラーをフィルタする。各次元の速度評価を得るために、各次元の積分加速度評価にフィルタした速度雑音エラーを加算する。各次元の積分速度評価を決定するために、各次元の速度評価を積分する。各次元の位置雑音エラーを決定するために、各次元の積分速度評価から、各次元のGPS位置を減算する。各次元の位置雑音エラーをフィルタし、各次元のフィルタされた位置雑音エラーを積分速度評価へ加算して、各次元の位置評価を得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は一般的に航法システムに関し、特に最小限のオンボード処理による航法システムに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機、宇宙船、軌道船、船舶、自動車等の乗り物によって用いられる航法システムは、地球に関する位置或いは配置を決定するために用いられる。通常の航法システムは、乗り物が位置及び速度を評価するために用いる信号を提供する全地球測位衛星(GPS)を用いる。ある応用では、測定されたGPS位置及びGPS速度評価が、GPS信号の雑音係数のために要求された精度を与えない。カルマンフィルタが位置及び速度評価の精度を上げるために用いられている。カルマンフィルタ・システムは、最小自乗法によって実時間における動きの雑音のある方程式による時間従属状態ベクトルを追跡するための計算可能な解である。カルマンフィルタは信号を雑音から分離して、時間に対するモデル化システムの最適予想をするために用いられる。典型的なカルマンフィルタ・システムは、比較的大きな処理容量を必要とする、比較的複雑なシステムである。複雑でないシステムが必要な、或いは処理容量が限定されている応用では、典型的なカルマンフィルタ・システムは非現実的な選択である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の理由と、この明細書を読み、理解している当業者には分る出あろう後述する他の理由により、比較的小さな処理容量を必要とする、比較的簡単な速度及び位置評価のための技術分野の要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
現在のシステムの上述の問題は、本願発明の実施例によって取り組まれ、明細書の以下を読み、検討する事によって理解されるであろう。
【0005】
1つの実施例では、相補的なフィルタを用いる方法が提供される。この方法は、積分加速度評価を決定するために、加速度評価を積分することを含む。速度雑音エラーを決定するために、積分加速度評価からGPS速度を減算する。速度雑音エラーをフィルタし、フィルタされた速度雑音エラーを積分加速度評価に加算して速度評価を得る。
【0006】
もう1つの実施例では、目標物の位置評価を決定する方法が提供される。この方法は、3次元の各々に対する積分加速度評価を決定するために、各次元の加速度評価を積分する事からなる。各次元の速度雑音エラーを決定するために、各次元に対する積分加速度評価から各次元内のGPS速度を減算する。各次元内の速度雑音エラーをフィルタする。フィルタされた速度雑音エラーを各次元内の積分加速度評価に加算して、各次元内の速度評価を得る。各次元内の速度評価を積分して、各次元内の積分加速度評価を決定する。各次元内の位置雑音エラーを決定するために、各次元内の積分速度評価から各次元内のGPS位置を減算する。各次元内の位置雑音エラーをフィルタし、フィルタされた各次元内の位置雑音エラーを積分速度評価に加算して、各次元内の位置評価を得る。
【0007】
なお1つの実施例では、3次元における目標物の位置評価を生成するための命令を記憶する機械可読媒体が提供される。各次元に対する機械可読命令の方法は、積分加速度評価を決定するために、加速度評価を積分することを含む。速度雑音エラーを決定するために、積分加速度評価からGPS速度を減算する。速度雑音エラーをフィルタする。フィルタされた速度雑音エラーを積分加速度評価に加算して速度評価を得る。速度評価を積分して位置を決定する。位置雑音エラーを決定するために、積分速度評価からGPS位置を減算する。位置雑音エラーをフィルタし、フィルタされた位置雑音エラーを積分速度評価に加算して位置評価を得る。
【0008】
更に1つの実施例では、3次元における目標物の位置を評価するための位置評価装置が提供される。各次元における位置評価の決定は加速度評価を決定する手段を含む。加速度評価を積分する手段が、積分加速度評価を決定する。積分加速度評価からGPS速度を減算する手段が、速度雑音エラーを決定する。速度雑音エラーをフィルタする手段が含まれる。フィルタされた速度雑音エラーを積分加速度評価に加算する手段が、速度評価を得る。速度評価を積分する手段が、積分速度評価を決定する。積分速度評価からGPS位置を減算する手段が、位置雑音エラーを決定する。位置雑音エラーをフィルタする手段と、フィルタされた位置雑音エラーを積分速度評価に加算する手段が、位置評価を得る。
【0009】
尚更に1つの実施例では、相補フィルタ位置決定装置が提供される。この装置は第1のフィルタ回路及び第2のフィルタ回路を含む。第1のフィルタ回路は、第1の積分器、第1の減算器、第1のローパスフィルタ及び第1の加算器を含む。第1の積分器は、積分加速度を決定するために、加速度評価を積分するように適合されている。第1の減算器は、速度雑音エラーを決定するために、決定された積分加速度評価からGPS速度を減算するように適合されている。第1のローパスフィルタは速度雑音エラーをフィルタするように適合され、加算器はフィルタされた速度雑音エラーを積分加速度評価に加算して速度評価を決定するように適合されている。第2のフィルタ回路は、第2の積分器、第2の減算器、第2のローパスフィルタ及び第2の加算器を含む。第2の積分器は、積分速度評価を決定するために、速度評価を積分するように適合されている。第2の減算器は、位置雑音エラーを決定するために、決定された積分速度評価からGPS位置を減算するように適合されている。第2のローパスフィルタは位置雑音エラーをフィルタするように適合され、第2の加算器はフィルタされた位置雑音エラーを積分速度評価に加算して位置評価を決定するように適合されている。
【0010】
最後のもう1つの実施例では、位置評価システムが提供される。この位置評価システムは、加速度決定機能と、xフィルタ回路と、yフィルタ回路と及びzフィルタ回路とを含む。加速度決定機能は、目標物の第1、第2及び第3次元における加速度評価を決定するように適合されている。xフィルタ回路は、第1次元における加速度評価と、第1次元におけるGPS加速度の少なくとも一部に基づいて、第1次元における位置評価を決定するように適合されている。yフィルタ回路は、第2次元における加速度評価と、第2次元におけるGPS加速度の少なくとも一部に基づいて、第2次元における位置評価を決定するように適合されており、zフィルタ回路は、第3次元における加速度評価と、第3次元におけるGPS加速度の少なくとも一部に基づいて、第3次元における位置評価を決定するように適合されている。
【0011】
好適な実施例と以下の図面の説明を参照して考察すれば、本願発明はより容易に理解でき、その更なる利点と応用もより容易に理解できるであろう。
【0012】
通常の習慣に従って、種々の提示された特徴は、同一の尺度でなく本願発明に関する特定の特徴を強調するように図示されている。参照符号は図面と文章において同じ要素を示すように用いられている。
【0013】
以下の詳細な説明において、添付の図面を参照するが、それらはこの文章の部分をなし、本願発明が実施される特定の実施例の例示を意図するものである。これらの実施例は、当業者が本願発明を実施するために充分な程度に説明され、他の実施例を用いることも可能で、本願発明の精神及び範囲を離れずに論理的、機械的及び電気的な変更が可能であることを理解すべきである。従って以下の詳細な説明は、限定を意図するものでなく、本願発明の範囲は請求項及びそれに等価なものによってのみ定義される。
【0014】
本願発明の実施例は、高速かつ効果的に目標物の位置を評価する航法システムを提供する。特に、本願発明の実施例において、目標物の位置を決定するために相補フィルタ・システムが用いられる。相補フィルタ・システムは、典型的なカルマンフィルタ・システムより比較的小さな処理容量を必要とするだけの比較的単純なシステムを提供する。これは典型的なカルマンフィルタ・システムに比較して、より少ないソフトウエア・コード、より少ないソフトウエアのテスト、より小さなオンボード処理装置の必要性、より小さな重量及びより少ない電力消費のような利点を提供する。
【0015】
図1を参照すると、従来技術の相補フィルタ構造100が、更なる背景情報を提供するために示される。図1において、相補フィルタ構造は、2つの比較的雑音のある信号x及びyから変数Z^の評価を決定するために用いられる。図1において、2つの信号x=z+n1及びy=z+n2が、相補フィルタ100に導入される。信号x=z+n1及びy=z+n2は、同じ変数zを測定する。しかしながら、x測定値は高周波数に対して正確であり、y測定値は低周波数に対して正確である。変数n1及びn2は、第1及び第2の信号の雑音を表わす。図1に示したように、信号x及びyは、雑音エラーn2−n1を得るために減算器102によって減算される。この雑音エラーは次に、フィルタ104を通してフィルタされる。そしてフィルタされた雑音エラーは、評価された変数Z^を得るためにz信号に加算される。
【0016】
図2は、本願発明の1つの実施例の、2つのカスケード接続相補フィルタを含む位置決定装置200を示す。図示のように、位置決定装置200は速度評価装置201と位置評価装置203を含む。速度評価装置201は、加速度評価を速度(即ち積分加速度評価)に積分する速度(または第1の)積分器202を含む。速度減算器204は、速度雑音エラーを得るために、GPS速度から積分加速度評価を減算するために用いられる。速度ローパスフィルタ206は、速度雑音エラーをフィルタするために用いられる。速度加算器208は、速度評価を得るために、フィルタされた速度雑音を積分加速度評価に加算するために用いられる。
【0017】
速度評価は、位置を決定するために位置評価装置203で用いられる。位置評価装置203は、位置(または第2の)積分器210を含む。位置積分器210は、速度評価を位置(即ち積分速度評価)に積分する。位置減算器212は、位置雑音エラーを決定するために、GPS位置から積分速度評価を減算するために用いられる。位置ローパスフィルタ214は、位置雑音エラーをフィルタする。位置加算器216は、位置評価を決定するために、位置雑音エラーを積分速度評価に加算するために用いられる。本願発明の実施例においては、位置評価は3次元のそれぞれに対して決定される。
【0018】
図3は本願発明の1つの実施例の、位置決定装置300の最上位レベルのサミュリンク(sumulink)・ブロック図である。位置決定装置300は、加速度出力312、Xフィルタ回路306、Yフィルタ回路308及びZフィルタ回路310を含む。加速度出力312は、出力313でのx、y及びz次元における加速度評価を提供する加速度ファンクションを含む。図3に示すように、この実施例における加速度出力312からの加速度評価は、各X、Y及びZフィルタ306、308及び310から提供される位置及び速度評価の少なくとも1部に基づいている。GPS位置データは、ルータ301を介してX、Y及びZフィルタ306、308及び310へ発送される。同様にGPS速度データは、ルータ303を介してX、Y及びZフィルタ306、308及び310へ発送される。GPS位置302及びGPS速度304信号は、位置決定装置300に入力される。各X、Y、Zフィルタ306、308及び310は、それらの各々の次元に対して、速度評価と位置評価を決定する。クロック回路314は、各次元において決定された速度評価と位置評価の時間基準として用いられる。
【0019】
本願発明の1つの実施例の位置決定装置の実装の流れ図400が、図2に示されたものと同様に、図4に示される。本願発明の実施例において、流れ図400に示されたステップは、3次元において位置評価を決定するために、各次元において繰り返される。図4の流れ図を参照すると、プロセスは第1の積分器に加速度評価を与える(401)ことによって開始される。第1の積分器は、速度(即ち積分加速度)を決定するために加速度評価を積分する(402)。積分された加速度評価は、速度減算器及び速度加算器に与えられる。GPS速度も速度減算器に与えられる(403)。速度減算器は、GPS速度から積分加速度を減算する(404)。速度減算器は速度雑音エラーを決定し、それはフィルタされる(406)。フィルタされた速度雑音エラーは、次に速度評価を決定するために速度加算器によって積分加速度と加算される(410)。速度評価はそこで利用するために出力される(405)。
【0020】
速度評価はまた、位置(即ち積分速度評価)を決定するために第2の積分器で積分される(412)。積分速度評価は位置減算器及び位置加算器に与えられる。GPS位置も位置減算器に与えられる(407)。位置減算器は、位置雑音エラーを決定するためにGPS位置から積分速度評価を減算する(414)。位置雑音エラーはフィルタされる(416)。位置加算器は次に位置評価を決定するために、積分速度評価をフィルタされた雑音エラーと加算する(420)。位置評価はそこで出力される(409)。
【0021】
上述のように、本願発明の位置決定装置は、それに入力される加速度評価を用いる。加本願発明の実施例で用いることの出来る速度評価の例は、下記の式1で与えられる。式1は軌道上または地球上の乗り物のような空間内の乗り物の加速度を評価する。
【0022】
【数1】
【0023】
式1において、Rは乗り物から地球中心までの半径距離であり、Re(6378.137Km)は地球の赤道半径であり、μ(0.3986x106Km2/sec2)は重力定数であり、Ωe(7.292115147x10−5rad/sec)は地球の回転速度であり、J2(1.0826299x10−3)は地球の重力を記述する帯球関数(zonal harmonics)である。図5は、3次元に対して軌道加速度評価を決定するための式1の実装の流れ図500を示す。
【0024】
図5に示されるように、各次元における位置評価は、ブロック501に与えられる。Rは、逆数にされ重力定数μの平方根と乗算されて、項
【0025】
【数2】
【0026】
を形成する。この項はブロック(508)で2乗されてμ/R2を形成し、これはブロック(510)でRで除算されてμ/R3を形成する。位置評価ベクトル
【0027】
【数3】
【0028】
がブロック(510)の出力と乗算されて
【0029】
【数4】
【0030】
を形成し、これはブロック(514)で否定演算されて
【0031】
【数5】
【0032】
を形成する。Rは逆数にされてブロック(520)で地球の半径Reと乗算されてRe/Rを形成し、これは次にブロック(522)で2乗されてRe2/R2を形成する。ブロック(522)の出力はJ2倍され(524)、次に1.5倍されて(526)項1.5J2・Re2/R2を形成する。位置評価z^のz成分はブロック(534)でRで除算され、その結果が2乗されて5倍されて
【0033】
【数6】
【0034】
を形成する。ブロック(548)において、ブロック(534)の出力が3から減算(546)されて
【0035】
【数7】
【0036】
が形成される。ブロック(536)において、ブロック(534)の出力が1から減算されて
【0037】
【数8】
【0038】
が形成される。ブロック(536)及び(548)の出力はベクトル形式にされ、ブロック(526)の出力と乗算(528)されて
【0039】
【数9】
【0040】
が形成される。ブロック(528)の出力は1(532)と加算(530)されてベクトル
【0041】
【数10】
【0042】
が形成される。ブロック(514)の出力は(530)の出力と乗算(516)されてベクトル
【0043】
【数11】
【0044】
が形成される。ブロック(540)のΩeは(542)で2乗され、位置評価(501)のx及びy成分と乗算されて項Ωe2x^及びΩe2y^を形成する。ブロック(540)のΩeもまた2(550)及び−2(552)と乗算されて、それぞれ項2Ωe及び−2Ωeを形成する。(550)および(552)の出力は速度評価(502)のy及びz成分と乗算(554)されて、項2Ωeν^y及び2Ωeν^zを形成する。(544)及び(554)の出力は加算(545)され、(556)の出力0とともに、(518)の入力であるベクトル
【0045】
【数12】
【0046】
を形成するために用いられる。(518)への入力は加算され式1によって定義された加速評価を形成する(505)。
【0047】
速度雑音エラー及び位置雑音エラーをフィルタするための本願発明の実施例において用いられるフィルタ率は、本願発明の実施例の位置決定装置の能力に影響する。例えば図6A乃至図6Dを参照すると、軽くフィルタした位置及び速度雑音エラー信号を用いる例が提供されている。この例では、信号は10秒の時定数でフィルタされる。特に図6Aは、ある時間に亘っての位置評価信号602の位置エラーのグラフを示す。図示のように、1つの点で10メートルのエラーが起っている。これは図6Bのグラフに示されたGPS位置信号エラー604よりたいして改善されていない。図6Cでは、ある時間に亘っての速度評価信号606のグラフを示す。図示のように、10秒の時定数では、1秒当り約0.15メートルの最大エラーが記録されている。これを図6Dに示されたグラフのGPS速度信号エラー608と比較すると、改善が見られる。最大のGPS信号エラー608は1秒当り約0.29メートルが記録されている。
【0048】
図7A乃至図7Dは、各信号を中程度にフィルタした場合の効果を示している。特にこの実施例では、信号は100秒の時定数でフィルタされる。図7Aに示されているように、位置評価信号702は最大エラー約7.6メートルを有する。それに比較してGPS位置信号704は、約10.1メートルの最大エラーを有する。従ってGPS位置信号に対して実質的な改善が見られる。図7Cを参照すると、このグラフの速度評価信号705は非常に低い。特に1秒当り約0.05メートルの最大エラーが記録されている。これを図7DのグラフのGPS速度エラー信号708の最大記録エラーと比較すると、大きな改善が見られる。特に図7DのGPS速度エラー信号708には約0.29のエラーが記録されている。
【0049】
図8A乃至図8Dは、各信号を多量にフィルタした場合の効果を示している。特にこの実施例では、信号は1000秒の時定数でフィルタされる。図8Aに示されているように、位置評価信号802は最大エラー約20メートルを有する。それに比較してGPS位置信号804は、約10.1メートルの最大エラーを有する。従ってGPS位置信号は、位置雑音エラー信号をこの率でフィルタした場合の位置評価信号より正確である。図8Cを参照すると、このグラフの速度評価信号806はまだ非常に低い。特に1秒当り約0.04メートルの最大エラーが記録されている。これを図8DのグラフのGPS速度エラー信号808の最大記録エラーと比較すると、速度の正確性に大きな改善が見られる。特に図8DのGPS速度エラー信号808には約0.29のエラーが記録されている。しかしながら、位置評価の貧弱な動作の故に、1000秒の時定数のフィルタは位置評価の決定には望ましくない。従って本願発明の実施例は所望の出力の最適化された正確性を指定するフィルタ率を用いる。
【0050】
本願発明の航法システムを構成する装置の実施例は、デジタル電子回路やプログラム可能処理装置(例えば特定用途プロセッサ又はコンピュータ・ファームウエア・ソフトウエアのような汎用プロセス、或いはそれらの組み合わせ)で実装され得る。これらの技術を実施する装置には、適切な入出力装置、プログラム可能処理装置、及びそのプログラム可能処理装置で実行するプログラム命令を実体的に実装する記憶媒体が含まれ得る。これらの技術を実施するプロセスには、入力データを処理し適切な出力を発生することによって所望の機能を実行するためのプログラム命令を実行するプログラム可能処理装置によって実行され得る。この技術は、データ記憶システムからデータ及び命令を受け取り、かつそこへデータ及び命令を転送するように、当該データ記憶システムに接続された少なくとも1つのプログラム可能処理装置と、少なくとも1つの入力装置と、少なくとも1つの出力装置とを含むプログラム可能システムで実行され得る1つ以上のプログラムで実装され得る。一般的に処理装置は命令とデータを、読み取り専用メモリ及び/又はランダムアクセス・メモリから受け取る。実体的にコンピュータ・プログラム命令及びデータを実装するために好適な記憶装置には、例えばEPROM、EEPROM及びフラッシュ・メモリ装置のような半導体メモリ装置、内部ハードディスク及び取り外し可能ディスクのような磁気ディスク、磁気―光学ディスク、及びCD−ROMディスクを含む不揮発性メモリの全ての形式を含む。以上の全ては特殊設計応用特定集積回路(ASICs)によって充足され、或いは組み込まれ得る。
【0051】
特定の実施例が示され説明されたが、当業者には同一の目的を達成するように計算された任意の設計が、示された特定の実施例を置き換え得ることは明白であろう。この出願は、本願発明の全ての適用或いは変形を包含することを意図するものである。従って本願発明は、請求項及びその等価物によってのみ限定されることを明確に意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は本願発明の1つの実施例で用いられる相補フィルタ構造のブロック図である。
【図2】図2は本願発明の1つの実施例の位置決定装置のブロック図である。
【図3】図3は本願発明の1つの実施例の最上位レベルのサミュリンク(sumulink)・ブロック図である。
【図4】図4は本願発明の1つの実施例のカスケード配列相補フィルタの流れ図である。
【図5】図5は本願発明の1つの実施例の軌道加速度評価装置の流れ図である。
【図6A】図6Aは本願発明の1つの実施例の10秒の割合におけるフィルタ動作のグラフである。
【図6B】図6Bは本願発明の1つの実施例の10秒の割合におけるフィルタ動作のグラフである。
【図6C】図6Cは本願発明の1つの実施例の10秒の割合におけるフィルタ動作のグラフである。
【図6D】図6Dは本願発明の1つの実施例の10秒の割合におけるフィルタ動作のグラフである。
【図7A】図7Aは本願発明の1つの実施例の100秒の割合におけるフィルタ動作のグラフである。
【図7B】図7Bは本願発明の1つの実施例の100秒の割合におけるフィルタ動作のグラフである。
【図7C】図7Cは本願発明の1つの実施例の100秒の割合におけるフィルタ動作のグラフである。
【図7D】図7Dは本願発明の1つの実施例の100秒の割合におけるフィルタ動作のグラフである。
【図8A】図8Aは本願発明の1つの実施例の1000秒の割合におけるフィルタ動作のグラフである。
【図8B】図8Bは本願発明の1つの実施例の1000秒の割合におけるフィルタ動作のグラフである。
【図8C】図8Cは本願発明の1つの実施例の1000秒の割合におけるフィルタ動作のグラフである。
【図8D】図8Dは本願発明の1つの実施例の1000秒の割合におけるフィルタ動作のグラフである。
【技術分野】
【0001】
この発明は一般的に航法システムに関し、特に最小限のオンボード処理による航法システムに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機、宇宙船、軌道船、船舶、自動車等の乗り物によって用いられる航法システムは、地球に関する位置或いは配置を決定するために用いられる。通常の航法システムは、乗り物が位置及び速度を評価するために用いる信号を提供する全地球測位衛星(GPS)を用いる。ある応用では、測定されたGPS位置及びGPS速度評価が、GPS信号の雑音係数のために要求された精度を与えない。カルマンフィルタが位置及び速度評価の精度を上げるために用いられている。カルマンフィルタ・システムは、最小自乗法によって実時間における動きの雑音のある方程式による時間従属状態ベクトルを追跡するための計算可能な解である。カルマンフィルタは信号を雑音から分離して、時間に対するモデル化システムの最適予想をするために用いられる。典型的なカルマンフィルタ・システムは、比較的大きな処理容量を必要とする、比較的複雑なシステムである。複雑でないシステムが必要な、或いは処理容量が限定されている応用では、典型的なカルマンフィルタ・システムは非現実的な選択である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の理由と、この明細書を読み、理解している当業者には分る出あろう後述する他の理由により、比較的小さな処理容量を必要とする、比較的簡単な速度及び位置評価のための技術分野の要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
現在のシステムの上述の問題は、本願発明の実施例によって取り組まれ、明細書の以下を読み、検討する事によって理解されるであろう。
【0005】
1つの実施例では、相補的なフィルタを用いる方法が提供される。この方法は、積分加速度評価を決定するために、加速度評価を積分することを含む。速度雑音エラーを決定するために、積分加速度評価からGPS速度を減算する。速度雑音エラーをフィルタし、フィルタされた速度雑音エラーを積分加速度評価に加算して速度評価を得る。
【0006】
もう1つの実施例では、目標物の位置評価を決定する方法が提供される。この方法は、3次元の各々に対する積分加速度評価を決定するために、各次元の加速度評価を積分する事からなる。各次元の速度雑音エラーを決定するために、各次元に対する積分加速度評価から各次元内のGPS速度を減算する。各次元内の速度雑音エラーをフィルタする。フィルタされた速度雑音エラーを各次元内の積分加速度評価に加算して、各次元内の速度評価を得る。各次元内の速度評価を積分して、各次元内の積分加速度評価を決定する。各次元内の位置雑音エラーを決定するために、各次元内の積分速度評価から各次元内のGPS位置を減算する。各次元内の位置雑音エラーをフィルタし、フィルタされた各次元内の位置雑音エラーを積分速度評価に加算して、各次元内の位置評価を得る。
【0007】
なお1つの実施例では、3次元における目標物の位置評価を生成するための命令を記憶する機械可読媒体が提供される。各次元に対する機械可読命令の方法は、積分加速度評価を決定するために、加速度評価を積分することを含む。速度雑音エラーを決定するために、積分加速度評価からGPS速度を減算する。速度雑音エラーをフィルタする。フィルタされた速度雑音エラーを積分加速度評価に加算して速度評価を得る。速度評価を積分して位置を決定する。位置雑音エラーを決定するために、積分速度評価からGPS位置を減算する。位置雑音エラーをフィルタし、フィルタされた位置雑音エラーを積分速度評価に加算して位置評価を得る。
【0008】
更に1つの実施例では、3次元における目標物の位置を評価するための位置評価装置が提供される。各次元における位置評価の決定は加速度評価を決定する手段を含む。加速度評価を積分する手段が、積分加速度評価を決定する。積分加速度評価からGPS速度を減算する手段が、速度雑音エラーを決定する。速度雑音エラーをフィルタする手段が含まれる。フィルタされた速度雑音エラーを積分加速度評価に加算する手段が、速度評価を得る。速度評価を積分する手段が、積分速度評価を決定する。積分速度評価からGPS位置を減算する手段が、位置雑音エラーを決定する。位置雑音エラーをフィルタする手段と、フィルタされた位置雑音エラーを積分速度評価に加算する手段が、位置評価を得る。
【0009】
尚更に1つの実施例では、相補フィルタ位置決定装置が提供される。この装置は第1のフィルタ回路及び第2のフィルタ回路を含む。第1のフィルタ回路は、第1の積分器、第1の減算器、第1のローパスフィルタ及び第1の加算器を含む。第1の積分器は、積分加速度を決定するために、加速度評価を積分するように適合されている。第1の減算器は、速度雑音エラーを決定するために、決定された積分加速度評価からGPS速度を減算するように適合されている。第1のローパスフィルタは速度雑音エラーをフィルタするように適合され、加算器はフィルタされた速度雑音エラーを積分加速度評価に加算して速度評価を決定するように適合されている。第2のフィルタ回路は、第2の積分器、第2の減算器、第2のローパスフィルタ及び第2の加算器を含む。第2の積分器は、積分速度評価を決定するために、速度評価を積分するように適合されている。第2の減算器は、位置雑音エラーを決定するために、決定された積分速度評価からGPS位置を減算するように適合されている。第2のローパスフィルタは位置雑音エラーをフィルタするように適合され、第2の加算器はフィルタされた位置雑音エラーを積分速度評価に加算して位置評価を決定するように適合されている。
【0010】
最後のもう1つの実施例では、位置評価システムが提供される。この位置評価システムは、加速度決定機能と、xフィルタ回路と、yフィルタ回路と及びzフィルタ回路とを含む。加速度決定機能は、目標物の第1、第2及び第3次元における加速度評価を決定するように適合されている。xフィルタ回路は、第1次元における加速度評価と、第1次元におけるGPS加速度の少なくとも一部に基づいて、第1次元における位置評価を決定するように適合されている。yフィルタ回路は、第2次元における加速度評価と、第2次元におけるGPS加速度の少なくとも一部に基づいて、第2次元における位置評価を決定するように適合されており、zフィルタ回路は、第3次元における加速度評価と、第3次元におけるGPS加速度の少なくとも一部に基づいて、第3次元における位置評価を決定するように適合されている。
【0011】
好適な実施例と以下の図面の説明を参照して考察すれば、本願発明はより容易に理解でき、その更なる利点と応用もより容易に理解できるであろう。
【0012】
通常の習慣に従って、種々の提示された特徴は、同一の尺度でなく本願発明に関する特定の特徴を強調するように図示されている。参照符号は図面と文章において同じ要素を示すように用いられている。
【0013】
以下の詳細な説明において、添付の図面を参照するが、それらはこの文章の部分をなし、本願発明が実施される特定の実施例の例示を意図するものである。これらの実施例は、当業者が本願発明を実施するために充分な程度に説明され、他の実施例を用いることも可能で、本願発明の精神及び範囲を離れずに論理的、機械的及び電気的な変更が可能であることを理解すべきである。従って以下の詳細な説明は、限定を意図するものでなく、本願発明の範囲は請求項及びそれに等価なものによってのみ定義される。
【0014】
本願発明の実施例は、高速かつ効果的に目標物の位置を評価する航法システムを提供する。特に、本願発明の実施例において、目標物の位置を決定するために相補フィルタ・システムが用いられる。相補フィルタ・システムは、典型的なカルマンフィルタ・システムより比較的小さな処理容量を必要とするだけの比較的単純なシステムを提供する。これは典型的なカルマンフィルタ・システムに比較して、より少ないソフトウエア・コード、より少ないソフトウエアのテスト、より小さなオンボード処理装置の必要性、より小さな重量及びより少ない電力消費のような利点を提供する。
【0015】
図1を参照すると、従来技術の相補フィルタ構造100が、更なる背景情報を提供するために示される。図1において、相補フィルタ構造は、2つの比較的雑音のある信号x及びyから変数Z^の評価を決定するために用いられる。図1において、2つの信号x=z+n1及びy=z+n2が、相補フィルタ100に導入される。信号x=z+n1及びy=z+n2は、同じ変数zを測定する。しかしながら、x測定値は高周波数に対して正確であり、y測定値は低周波数に対して正確である。変数n1及びn2は、第1及び第2の信号の雑音を表わす。図1に示したように、信号x及びyは、雑音エラーn2−n1を得るために減算器102によって減算される。この雑音エラーは次に、フィルタ104を通してフィルタされる。そしてフィルタされた雑音エラーは、評価された変数Z^を得るためにz信号に加算される。
【0016】
図2は、本願発明の1つの実施例の、2つのカスケード接続相補フィルタを含む位置決定装置200を示す。図示のように、位置決定装置200は速度評価装置201と位置評価装置203を含む。速度評価装置201は、加速度評価を速度(即ち積分加速度評価)に積分する速度(または第1の)積分器202を含む。速度減算器204は、速度雑音エラーを得るために、GPS速度から積分加速度評価を減算するために用いられる。速度ローパスフィルタ206は、速度雑音エラーをフィルタするために用いられる。速度加算器208は、速度評価を得るために、フィルタされた速度雑音を積分加速度評価に加算するために用いられる。
【0017】
速度評価は、位置を決定するために位置評価装置203で用いられる。位置評価装置203は、位置(または第2の)積分器210を含む。位置積分器210は、速度評価を位置(即ち積分速度評価)に積分する。位置減算器212は、位置雑音エラーを決定するために、GPS位置から積分速度評価を減算するために用いられる。位置ローパスフィルタ214は、位置雑音エラーをフィルタする。位置加算器216は、位置評価を決定するために、位置雑音エラーを積分速度評価に加算するために用いられる。本願発明の実施例においては、位置評価は3次元のそれぞれに対して決定される。
【0018】
図3は本願発明の1つの実施例の、位置決定装置300の最上位レベルのサミュリンク(sumulink)・ブロック図である。位置決定装置300は、加速度出力312、Xフィルタ回路306、Yフィルタ回路308及びZフィルタ回路310を含む。加速度出力312は、出力313でのx、y及びz次元における加速度評価を提供する加速度ファンクションを含む。図3に示すように、この実施例における加速度出力312からの加速度評価は、各X、Y及びZフィルタ306、308及び310から提供される位置及び速度評価の少なくとも1部に基づいている。GPS位置データは、ルータ301を介してX、Y及びZフィルタ306、308及び310へ発送される。同様にGPS速度データは、ルータ303を介してX、Y及びZフィルタ306、308及び310へ発送される。GPS位置302及びGPS速度304信号は、位置決定装置300に入力される。各X、Y、Zフィルタ306、308及び310は、それらの各々の次元に対して、速度評価と位置評価を決定する。クロック回路314は、各次元において決定された速度評価と位置評価の時間基準として用いられる。
【0019】
本願発明の1つの実施例の位置決定装置の実装の流れ図400が、図2に示されたものと同様に、図4に示される。本願発明の実施例において、流れ図400に示されたステップは、3次元において位置評価を決定するために、各次元において繰り返される。図4の流れ図を参照すると、プロセスは第1の積分器に加速度評価を与える(401)ことによって開始される。第1の積分器は、速度(即ち積分加速度)を決定するために加速度評価を積分する(402)。積分された加速度評価は、速度減算器及び速度加算器に与えられる。GPS速度も速度減算器に与えられる(403)。速度減算器は、GPS速度から積分加速度を減算する(404)。速度減算器は速度雑音エラーを決定し、それはフィルタされる(406)。フィルタされた速度雑音エラーは、次に速度評価を決定するために速度加算器によって積分加速度と加算される(410)。速度評価はそこで利用するために出力される(405)。
【0020】
速度評価はまた、位置(即ち積分速度評価)を決定するために第2の積分器で積分される(412)。積分速度評価は位置減算器及び位置加算器に与えられる。GPS位置も位置減算器に与えられる(407)。位置減算器は、位置雑音エラーを決定するためにGPS位置から積分速度評価を減算する(414)。位置雑音エラーはフィルタされる(416)。位置加算器は次に位置評価を決定するために、積分速度評価をフィルタされた雑音エラーと加算する(420)。位置評価はそこで出力される(409)。
【0021】
上述のように、本願発明の位置決定装置は、それに入力される加速度評価を用いる。加本願発明の実施例で用いることの出来る速度評価の例は、下記の式1で与えられる。式1は軌道上または地球上の乗り物のような空間内の乗り物の加速度を評価する。
【0022】
【数1】
【0023】
式1において、Rは乗り物から地球中心までの半径距離であり、Re(6378.137Km)は地球の赤道半径であり、μ(0.3986x106Km2/sec2)は重力定数であり、Ωe(7.292115147x10−5rad/sec)は地球の回転速度であり、J2(1.0826299x10−3)は地球の重力を記述する帯球関数(zonal harmonics)である。図5は、3次元に対して軌道加速度評価を決定するための式1の実装の流れ図500を示す。
【0024】
図5に示されるように、各次元における位置評価は、ブロック501に与えられる。Rは、逆数にされ重力定数μの平方根と乗算されて、項
【0025】
【数2】
【0026】
を形成する。この項はブロック(508)で2乗されてμ/R2を形成し、これはブロック(510)でRで除算されてμ/R3を形成する。位置評価ベクトル
【0027】
【数3】
【0028】
がブロック(510)の出力と乗算されて
【0029】
【数4】
【0030】
を形成し、これはブロック(514)で否定演算されて
【0031】
【数5】
【0032】
を形成する。Rは逆数にされてブロック(520)で地球の半径Reと乗算されてRe/Rを形成し、これは次にブロック(522)で2乗されてRe2/R2を形成する。ブロック(522)の出力はJ2倍され(524)、次に1.5倍されて(526)項1.5J2・Re2/R2を形成する。位置評価z^のz成分はブロック(534)でRで除算され、その結果が2乗されて5倍されて
【0033】
【数6】
【0034】
を形成する。ブロック(548)において、ブロック(534)の出力が3から減算(546)されて
【0035】
【数7】
【0036】
が形成される。ブロック(536)において、ブロック(534)の出力が1から減算されて
【0037】
【数8】
【0038】
が形成される。ブロック(536)及び(548)の出力はベクトル形式にされ、ブロック(526)の出力と乗算(528)されて
【0039】
【数9】
【0040】
が形成される。ブロック(528)の出力は1(532)と加算(530)されてベクトル
【0041】
【数10】
【0042】
が形成される。ブロック(514)の出力は(530)の出力と乗算(516)されてベクトル
【0043】
【数11】
【0044】
が形成される。ブロック(540)のΩeは(542)で2乗され、位置評価(501)のx及びy成分と乗算されて項Ωe2x^及びΩe2y^を形成する。ブロック(540)のΩeもまた2(550)及び−2(552)と乗算されて、それぞれ項2Ωe及び−2Ωeを形成する。(550)および(552)の出力は速度評価(502)のy及びz成分と乗算(554)されて、項2Ωeν^y及び2Ωeν^zを形成する。(544)及び(554)の出力は加算(545)され、(556)の出力0とともに、(518)の入力であるベクトル
【0045】
【数12】
【0046】
を形成するために用いられる。(518)への入力は加算され式1によって定義された加速評価を形成する(505)。
【0047】
速度雑音エラー及び位置雑音エラーをフィルタするための本願発明の実施例において用いられるフィルタ率は、本願発明の実施例の位置決定装置の能力に影響する。例えば図6A乃至図6Dを参照すると、軽くフィルタした位置及び速度雑音エラー信号を用いる例が提供されている。この例では、信号は10秒の時定数でフィルタされる。特に図6Aは、ある時間に亘っての位置評価信号602の位置エラーのグラフを示す。図示のように、1つの点で10メートルのエラーが起っている。これは図6Bのグラフに示されたGPS位置信号エラー604よりたいして改善されていない。図6Cでは、ある時間に亘っての速度評価信号606のグラフを示す。図示のように、10秒の時定数では、1秒当り約0.15メートルの最大エラーが記録されている。これを図6Dに示されたグラフのGPS速度信号エラー608と比較すると、改善が見られる。最大のGPS信号エラー608は1秒当り約0.29メートルが記録されている。
【0048】
図7A乃至図7Dは、各信号を中程度にフィルタした場合の効果を示している。特にこの実施例では、信号は100秒の時定数でフィルタされる。図7Aに示されているように、位置評価信号702は最大エラー約7.6メートルを有する。それに比較してGPS位置信号704は、約10.1メートルの最大エラーを有する。従ってGPS位置信号に対して実質的な改善が見られる。図7Cを参照すると、このグラフの速度評価信号705は非常に低い。特に1秒当り約0.05メートルの最大エラーが記録されている。これを図7DのグラフのGPS速度エラー信号708の最大記録エラーと比較すると、大きな改善が見られる。特に図7DのGPS速度エラー信号708には約0.29のエラーが記録されている。
【0049】
図8A乃至図8Dは、各信号を多量にフィルタした場合の効果を示している。特にこの実施例では、信号は1000秒の時定数でフィルタされる。図8Aに示されているように、位置評価信号802は最大エラー約20メートルを有する。それに比較してGPS位置信号804は、約10.1メートルの最大エラーを有する。従ってGPS位置信号は、位置雑音エラー信号をこの率でフィルタした場合の位置評価信号より正確である。図8Cを参照すると、このグラフの速度評価信号806はまだ非常に低い。特に1秒当り約0.04メートルの最大エラーが記録されている。これを図8DのグラフのGPS速度エラー信号808の最大記録エラーと比較すると、速度の正確性に大きな改善が見られる。特に図8DのGPS速度エラー信号808には約0.29のエラーが記録されている。しかしながら、位置評価の貧弱な動作の故に、1000秒の時定数のフィルタは位置評価の決定には望ましくない。従って本願発明の実施例は所望の出力の最適化された正確性を指定するフィルタ率を用いる。
【0050】
本願発明の航法システムを構成する装置の実施例は、デジタル電子回路やプログラム可能処理装置(例えば特定用途プロセッサ又はコンピュータ・ファームウエア・ソフトウエアのような汎用プロセス、或いはそれらの組み合わせ)で実装され得る。これらの技術を実施する装置には、適切な入出力装置、プログラム可能処理装置、及びそのプログラム可能処理装置で実行するプログラム命令を実体的に実装する記憶媒体が含まれ得る。これらの技術を実施するプロセスには、入力データを処理し適切な出力を発生することによって所望の機能を実行するためのプログラム命令を実行するプログラム可能処理装置によって実行され得る。この技術は、データ記憶システムからデータ及び命令を受け取り、かつそこへデータ及び命令を転送するように、当該データ記憶システムに接続された少なくとも1つのプログラム可能処理装置と、少なくとも1つの入力装置と、少なくとも1つの出力装置とを含むプログラム可能システムで実行され得る1つ以上のプログラムで実装され得る。一般的に処理装置は命令とデータを、読み取り専用メモリ及び/又はランダムアクセス・メモリから受け取る。実体的にコンピュータ・プログラム命令及びデータを実装するために好適な記憶装置には、例えばEPROM、EEPROM及びフラッシュ・メモリ装置のような半導体メモリ装置、内部ハードディスク及び取り外し可能ディスクのような磁気ディスク、磁気―光学ディスク、及びCD−ROMディスクを含む不揮発性メモリの全ての形式を含む。以上の全ては特殊設計応用特定集積回路(ASICs)によって充足され、或いは組み込まれ得る。
【0051】
特定の実施例が示され説明されたが、当業者には同一の目的を達成するように計算された任意の設計が、示された特定の実施例を置き換え得ることは明白であろう。この出願は、本願発明の全ての適用或いは変形を包含することを意図するものである。従って本願発明は、請求項及びその等価物によってのみ限定されることを明確に意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は本願発明の1つの実施例で用いられる相補フィルタ構造のブロック図である。
【図2】図2は本願発明の1つの実施例の位置決定装置のブロック図である。
【図3】図3は本願発明の1つの実施例の最上位レベルのサミュリンク(sumulink)・ブロック図である。
【図4】図4は本願発明の1つの実施例のカスケード配列相補フィルタの流れ図である。
【図5】図5は本願発明の1つの実施例の軌道加速度評価装置の流れ図である。
【図6A】図6Aは本願発明の1つの実施例の10秒の割合におけるフィルタ動作のグラフである。
【図6B】図6Bは本願発明の1つの実施例の10秒の割合におけるフィルタ動作のグラフである。
【図6C】図6Cは本願発明の1つの実施例の10秒の割合におけるフィルタ動作のグラフである。
【図6D】図6Dは本願発明の1つの実施例の10秒の割合におけるフィルタ動作のグラフである。
【図7A】図7Aは本願発明の1つの実施例の100秒の割合におけるフィルタ動作のグラフである。
【図7B】図7Bは本願発明の1つの実施例の100秒の割合におけるフィルタ動作のグラフである。
【図7C】図7Cは本願発明の1つの実施例の100秒の割合におけるフィルタ動作のグラフである。
【図7D】図7Dは本願発明の1つの実施例の100秒の割合におけるフィルタ動作のグラフである。
【図8A】図8Aは本願発明の1つの実施例の1000秒の割合におけるフィルタ動作のグラフである。
【図8B】図8Bは本願発明の1つの実施例の1000秒の割合におけるフィルタ動作のグラフである。
【図8C】図8Cは本願発明の1つの実施例の1000秒の割合におけるフィルタ動作のグラフである。
【図8D】図8Dは本願発明の1つの実施例の1000秒の割合におけるフィルタ動作のグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相補フィルタ(400)を用いる方法であって、
積分加速度評価を決定するために、加速度評価を積分するステップ(402)と、
速度雑音エラーを決定するために、積分加速度評価(402)からGPS速度(403)を減算するステップ(404)と、
速度雑音エラーをフィルタするステップ(406)と、及び、
速度評価(405)を得るために、フィルタされた速度雑音エラーと積分加速度評価を加算するすてっぷ(410)と、
からなる方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記速度雑音エラーをフィルタするステップが更に、
所望の出力に基づいて選択された時定数で前記速度雑音エラーをフィルタする(406)ことからなることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、更に、
積分速度評価を決定するために、速度評価を積分するステップ(412)と、
位置雑音エラーを決定するために、積分速度評価からGPS位置(407)を減算するステップ(414)と、
位置雑音エラーをフィルタするステップ(416)と、及び、
位置評価を得るために、フィルタされた位置雑音エラーと積分速度評価を加算するステップ(420)と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、前記位置雑音エラーをフィルタするステップが更に、
所望の出力に基づいた時定数で前記位置雑音エラーをフィルタする(416)ことからなることを特徴とする方法。
【請求項5】
相補フィルタ位置決定装置(200)であって、
積分加速度を決定するために、加速度評価を積分するように適合された第1の積分器(202)と、
速度雑音エラーを決定するために、決定された積分加速度評価からGPS速度を減算するように適合された第1の減算器(204)と、
速度雑音エラーをフィルタするように適合された第1のローパス・フィルタ(206)と、
速度評価を決定するために、フィルタされた速度雑音エラーと積分加速度評価を加算するように適合された第1の加算器(208)と、
を含む第1のフィルタ回路(201)と、及び、
積分速度評価を決定するために、速度評価を積分するように適合された第2の積分器(210)と、
位置雑音エラーを決定するために、決定された積分速度評価からGPS位置を減算するように適合された第2の減算器(212)と、
位置雑音エラーをフィルタするように適合された第2のローパス・フィルタ(214)と、及び、
位置評価を決定するために、フィルタされた位置雑音エラーと積分速度評価を加算するように適合された第2の加算器(216)と、
を含む第2のフィルタ回路(203)と、
からなる装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、更に、
装置(300)の出力に対する時間基準を与えるように適合されたクロック(314)、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項5に記載の装置において、更に、
GPS位置を受け取るように適合されたGPS位置入力ルータ(301)と、及び、
GPS速度を受け取るように適合されたGPS速度入力ルータ(303)と、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項5に記載の装置において、更に、
第1の積分器に加速度評価を与えるように適合された加速度出力(311)を含むことを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置において、前記加速度出力が更に、
軌道上の乗り物の加速度を3次元で決定するように適合された、軌道加速度方程式機能(500)を含むことを特徴とする装置。
【請求項1】
相補フィルタ(400)を用いる方法であって、
積分加速度評価を決定するために、加速度評価を積分するステップ(402)と、
速度雑音エラーを決定するために、積分加速度評価(402)からGPS速度(403)を減算するステップ(404)と、
速度雑音エラーをフィルタするステップ(406)と、及び、
速度評価(405)を得るために、フィルタされた速度雑音エラーと積分加速度評価を加算するすてっぷ(410)と、
からなる方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記速度雑音エラーをフィルタするステップが更に、
所望の出力に基づいて選択された時定数で前記速度雑音エラーをフィルタする(406)ことからなることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、更に、
積分速度評価を決定するために、速度評価を積分するステップ(412)と、
位置雑音エラーを決定するために、積分速度評価からGPS位置(407)を減算するステップ(414)と、
位置雑音エラーをフィルタするステップ(416)と、及び、
位置評価を得るために、フィルタされた位置雑音エラーと積分速度評価を加算するステップ(420)と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、前記位置雑音エラーをフィルタするステップが更に、
所望の出力に基づいた時定数で前記位置雑音エラーをフィルタする(416)ことからなることを特徴とする方法。
【請求項5】
相補フィルタ位置決定装置(200)であって、
積分加速度を決定するために、加速度評価を積分するように適合された第1の積分器(202)と、
速度雑音エラーを決定するために、決定された積分加速度評価からGPS速度を減算するように適合された第1の減算器(204)と、
速度雑音エラーをフィルタするように適合された第1のローパス・フィルタ(206)と、
速度評価を決定するために、フィルタされた速度雑音エラーと積分加速度評価を加算するように適合された第1の加算器(208)と、
を含む第1のフィルタ回路(201)と、及び、
積分速度評価を決定するために、速度評価を積分するように適合された第2の積分器(210)と、
位置雑音エラーを決定するために、決定された積分速度評価からGPS位置を減算するように適合された第2の減算器(212)と、
位置雑音エラーをフィルタするように適合された第2のローパス・フィルタ(214)と、及び、
位置評価を決定するために、フィルタされた位置雑音エラーと積分速度評価を加算するように適合された第2の加算器(216)と、
を含む第2のフィルタ回路(203)と、
からなる装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、更に、
装置(300)の出力に対する時間基準を与えるように適合されたクロック(314)、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項5に記載の装置において、更に、
GPS位置を受け取るように適合されたGPS位置入力ルータ(301)と、及び、
GPS速度を受け取るように適合されたGPS速度入力ルータ(303)と、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項5に記載の装置において、更に、
第1の積分器に加速度評価を与えるように適合された加速度出力(311)を含むことを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置において、前記加速度出力が更に、
軌道上の乗り物の加速度を3次元で決定するように適合された、軌道加速度方程式機能(500)を含むことを特徴とする装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【公開番号】特開2007−132935(P2007−132935A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−297955(P2006−297955)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−297955(P2006−297955)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】
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