説明

有効なパッドコンディショニングのための閉ループ制御

ポリシングパッドをコンディショニングする方法および装置が提供される。コンディショニング要素は、ベースに対し枢動点で回転可能に装着されたコンディショニングアームにより保持される。アクチュエータは、アームを枢動点の周りに枢動させる。コンディショニング要素は、ポリシングパッドの表面に押し付けられて、ポリシングパッドに対して並進させられ、これにより、ポリシングパッドから材料が除去され、その表面が粗面化される。研磨コンディショニング面のポリシングパッド面との相互作用により、摩擦力が発生する。この摩擦力は、枢動点に付加されるトルク、およびそれにより制御される材料の除去をモニタすることにより、モニタすることができる。コンディショニング時間、ダウンフォース、並進レート、またはコンディショニングパッドの回転は、測定されたトルクに基づいて調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般に、電気化学機械的処理システムにおいて、ポリシング面をコンディショニングするための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学機械的ポリシング(CMP)は、半導体デバイスの製造において広く使用される処理である。半導体基板上には、様々な処理により、複数の層や構造物が堆積され形成される。通常は、これらの形成処理によりもたらされるのは、平坦ではない表面、すなわち、基板に形成され、被覆されていて露出される必要がある、ある種のフィーチャである。CMPは、基板表面から材料が除去される処理であり、これにより、基板はより平坦になり(この処理は、化学機械的平坦化と呼ばれる場合がある)、所望のフィーチャが露出される。
【0003】
CMP処理中、基板から材料を除去するためにポリシングパッドが使用されるが、これはこの処理の機械的な側面である。このパッドは基板表面を磨減させるが、通常は、このパッドに付加される研磨組成物が助力となっている。この研磨組成物は、この除去処理を化学的に強化するために選択された成分を含んでもよく、これがこの処理の化学的な側面をもたらす。一部の変形形態では、この処理(電気化学機械的平坦化またはポリシング)をさらに強化するために、電気化学的手段がさらに使用される。材料が基板から除去される際、その材料はパッド上にたまり、研磨組成物内で集積する。また、パッドは使用されるにつれて、その研磨の質は摩耗のために低化する。ポリシング副産物材料の集積、およびポリシングパッドの摩耗のため、パッドはそのポリシング機能を復活させるようにコンディショニングされる必要がある。新しいパッドもまた、有用に使用され得る前にコンディショニングされなければならない。
【0004】
パッドのコンディショニングでは、一般に、パッドの研磨面を汚染する可能性がある材料を除去し、パッドの粗さを復活させるために、研磨物を用いてパッドを擦り磨く必要がある。コンディショニングパッドはポリシングパッドと接触し、パッドからの材料を磨減させ、パッドの表面に溝およびフィーチャを切削して、粗さを復活させる。
【0005】
半導体業界においては、半導体基板上に形成されるデバイスが、時とともにより小さく高密度になることは、不変の課題である。デバイスがより小さくなることと並行して、これらのデバイスの形成に必要な全ての処理では、これらのデバイスを高い信頼性で製造することに挑んでいる。CMP処理も例外ではない。デバイスがより小さくなる程精巧になり、基板から除去すべき層はより薄くなり、維持する必要があるその下の層もより薄くなり、そしてポリシングにより露出すべきフィーチャはより小さく、より損傷しやすくなる。全ての処理において変動の許容差はより小さく、これらの許容差を満たす新しい方法が必要とされている。
【0006】
図1は、従来技術のコンディショニング処理の結果を示すグラフである。所与のコンディショニングパッドでは、パッドのコンディショニングの有効性は、装置で複数の基板が連続して処理されるにつれて減少する。線102は、その傾向を示している。したがって、基板のポリシングにおけるパッドの有効性は時間とともに変動し、基板毎に不均一な結果が生じる。この変動の原因を除去し、処理の結果を改善するためには、線104で仮想的に示したように、コンディショニングの有効性がより均一であることが望ましい。
【0007】
このように、複数のポリシングパッドを連続してコンディショニングする場合に、コンディショニングパッドの寿命にわたって均一のパッド性能をもたらすポリシングパッドをコンディショニングする方法および装置に対しての、継続的なニーズがある。
【発明の概要】
【0008】
本明細書において開示する実施形態では、ポリシング要素をコンディショニングする方法であって、コンディショニング要素の表面をポリシング要素の表面に接触させるステップと、コンディショニング時間中にコンディショニング要素に対し、コンディショニング力を付加するステップと、ポリシング要素に対し、コンディショニング要素を移動させるステップと、コンディショニング要素とポリシング要素との間の摩擦力を測定するステップと、コンディショニング時間を調整するステップと、コンディショニング力を調整するステップとを含む方法が提供される。コンディショニング時間は、基板をポリシングするためにポリシング要素が使用される時間の一部分に制限される場合があり、ダウンフォースとともに、または別々に、調整することができる。
【0009】
他の実施形態では、ポリシング要素をコンディショニングする方法であって、アクチュエータに枢動点で回転可能に連結したコンディショニングアームの一端に、研磨コンディショニング要素を配置するステップと、ポリシング要素から材料を除去するために、研磨コンディショニング要素がポリシング要素の表面に接触する間に、コンディショニングアームをポリシング要素全域にスイープ(sweep)するためにアクチュエータを使用するステップと、研磨コンディショニング要素に対し下方力を付加するステップと、アクチュエータにより枢動点に対し付加されるトルクを測定するステップと、測定されたトルクを標準値と比較するステップと、研磨コンディショニング要素によりポリシング要素の表面から除去される材料の量を調整するステップとを含む方法が提供される。材料の除去の調整は、コンディショニング時間、コンディショニング要素とポリシング要素との間の接触力、またはポリシング要素に対するコンディショニング要素の移動レートの調整により達成することができる。
【0010】
他の実施形態では、処理要素の表面から材料を除去する方法であって、研磨要素を処理要素の表面に接触させるステップと、研磨要素に対し接触力を付加するステップと、処理時間中に処理要素の表面全域に研磨要素を並進させるステップと、処理要素の表面全域に研磨要素を並進させるために必要な並進力をモニタするステップと、測定された並進力と標準の比較に基づいて処理時間および接触力を調整するためにコントローラを使用するステップとを含む方法が提供される。
【0011】
本発明の上記特徴が詳細に理解され得るように、上で簡潔に要約した、本発明のより詳細な説明が、実施形態を参照してなすことができ、その一部は、添付図面に示されている。しかしながら、この添付図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示すものであり、したがって、本発明の範囲を制限するものと見なされるべきでなく、それは、本発明は、他の同等に有効な実施形態を許容することができるからであるということに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来技術のコンディショニング処理の結果を示すグラフである。
【図2】本発明の一実施形態によるコンディショニング装置の上面図である。
【図3】図2のコンディショニング装置の断面図である。
【図4】本発明の一実施形態による方法を要約した流れ図である。
【図5】本発明の別の実施形態による方法を要約した流れ図である。
【図6】本発明の別の実施形態による方法を要約した流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
理解を容易にするため、複数の図において共通な同一の要素を示すのに、可能である限り、同一の参照符号を使用している。一実施形態で開示した要素は、特に詳説することなく、他の実施形態に有用に利用することができるものと考えられる。
【0014】
本発明は、一般に、平坦化処理用のポリシングパッドをコンディショニングする装置および方法を提供する。本明細書中で説明する実施形態は、CMP処理で使用するポリシングパッドのポリシング面のコンディショニング用のコンディショニングディスクに関するものであり、このコンディショニングには、スコアリング(scoring)、および/またはドレッシングが含まれる。コンディショニングディスクは、一般に、バッキングプレート上に配置された環状体を備える。バッキングプレートはコンディショニングヘッドアセンブリに連結するように構成されており、このアセンブリは、コンディショニングディスクをポリシングパッドのポリシング面に押し付けるために使用される。環状体は、ポリシング面に接触した場合にポリシング面をリフレッシュ、スコアリング、またはコンディショニングするようになされている、多結晶ダイヤモンドの被覆またはコーティングを備える。一部の実施形態では、多結晶ダイヤモンドの被覆は、ポリシングパッドのポリシング面をコンディショニングする複数のほぼ同一の構造物を含むように機械加工されている。これら複数の構造物の大きさ、ピッチ、および高さは、厳しい許容差で制御され、これにより、ポリシング面の表面粗さを不都合に増加させることなく切削レートが向上するとともに、ポリシング副産物の詰まりまたは蓄積が防がれる。このポリシング副産物とは、金属粒子、ならびに/または、使用済みとなる、かつ/もしくはポリシング面から引き裂かれ得るポリシング面の部分等である。
【0015】
図2は、コンディショニングデバイス215上に配置されたパッドドレッサ210の一実施形態を有する、処理システム200の一部の一実施形態の上面図である。一実施形態では、システム200は、半導体基板を平坦化またはポリシングするように構成され、一般にはポリシングモジュール208を含み、ポリシングモジュール208は、その中に配置された1つまたは複数のポリシングステーション220A〜220Cを含む。各ポリシングステーション220A〜220Cは、ポリシング材225を支持するプラテン230を含む。処理中、基板は、基板キャリアヘッド224によりポリシング材225に押し付けられ、プラテン230が回転することにより、基板とポリシング材225との間の相対的なポリシング運動の少なくとも一部分がもたらされる。本明細書で説明する実施形態の利点を得るように構成することができる処理システムには、Santa Clara、CaliforniaにあるApplied Materials,Inc.から入手可能なREFLEXION(登録商標)およびSYCAMOREポリシングシステムが含まれるが、他のポリシングシステムも利用可能である。
【0016】
コンディショニングデバイス215は、各ポリシングステーション220A〜220Cのすぐ近くに配置され、各プラテン230上に配置されたポリシング材225をコンディショニングするように構成されている。各コンディショニングデバイス215は、図2に示すような、ポリシング材225およびプラテン230がない位置と、ポリシングステーション220Bおよび220Cに関して示すような、ポリシング材225上のコンディショニング位置との間を移動するように構成されている。コンディショニング位置では、コンディショニングデバイス215は選択的にポリシング材225と係合し、それにより、ポリシング材225の表面が、所望のポリシングの結果を生成する状態になる。コンディショニングデバイス215は、コンディショニング中には、ポリシング材225に対してスイープ、かつ/または回転することができ、ポリシング材225もさらに、プラテン230上で回転することができる。コンディショニング処理の動作は、あらかじめプログラムされた処理レシピ、装置の操作者による手動入力等に応じて、コントローラにより制御することができる。別法として、または組み合わせで、システム200から離れて位置するスタンドアローンのコンディショニング装置(図示せず)も、ポリシング材225をコンディショニングするのに利用することができる。
【0017】
ポリシング材225は、少なくとも部分的に導電性を有することができるポリシング面を含む。ポリシング材225の例としては、誘電性材料および導電性材料の組み合わせを含むことができ、または、完全に誘電性のもの、もしくは完全に導電性のものである場合もある。一実施形態では、ポリシング材225は、その中に導電性要素が配置された誘電性材料または導電性材料を含むことができる。導電性要素は、高分子材料等の誘電性材料または導電性材料中に配置されたフレーク、粒子等であってよい。導電性要素、および/または導電性材料として使用される導電性材料の例として、銅、炭素系材料、金、白金、銀、スズ、亜鉛、ニッケル、コバルト、およびこれらの組み合わせが、ポリシングの化学的性質に対して耐性を有する他の導電性材料の中でも挙げられる。炭素系材料には、カーボンブラック、黒鉛、およびカーボン粒子が含まれる。導電性炭素系材料の例に含まれるものとして、炭素粉末、炭素繊維、カーボンナノチューブ、カーボンナノフォーム、カーボンエアロゲル、黒鉛、およびこれらの組み合わせがある。一実施形態では、導電性ポリシング材に含むことができるものとして、導電箔、その中に導電性材料が配置された複数高分子の高分子材料、導電性メッシュ、導電性フレーク、導電性繊維、または導電性繊維が織り合わされた織布がある。これらの導電性材料、繊維、または織布は、高分子材料内に配置することができる。
【0018】
図3は、パッドドレッサ210の一実施形態を示す図2の、コンディショニングデバイス215の断面図である。パッドドレッサ210は、ポリシング材225の上方に配置される。コンディショニングデバイス215は、一般に、アーム306により支持部材304に連結されたコンディショニングヘッドアセンブリ302を含む。支持部材304は、ポリシングモジュール208のベースを貫通して配置される。支持部材304の回転を容易にするために、ベースと支持部材304との間には、ベアリングが設けられている。支持部材304の回転方向を制御するために、ベースと支持部材304との間には、アクチュエータ310が連結されている。アクチュエータ310は、支持部材304から延在するアーム306が、支持部材304の周りを回転することを可能にし、それにより、ポリシングステーション226Aに対するコンディショニングヘッドアセンブリ302の横方向の位置決めを行う。コンディショニングデバイス215、および/またはコンディショニングヘッド350の上昇は、一般に、コンディショニングヘッドアセンブリ302内に配置された隔壁と部分的に隣り合う膨張性空洞390の加圧、または排気により制御される。
【0019】
パッドドレッサ210は、コンディショニングヘッドアセンブリ302に連結され、ポリシング材225をコンディショニングするために回転している間は、ポリシング材225に選択的に押し付けることができる。パッドドレッサ210は、バッキングプレート、およびコンディショニング面を含む。バッキングプレート、および/またはコンディショニング面は、典型的には、円形、ディスク形状、または環状であり、これにより、パッドドレッサ210の回転が容易になり、ポリシング材225のコンディショニング、および/またはコンディショニング処理の制御が強化される。大部分の実施形態では、ポリシング材225は、ポリシング面370、およびバッキングプレート230に付着する付着部372を有するポリシングパッドを備える。
【0020】
ポリシング中、基板(図示せず)は、所望の除去レートを実現するように計算された下方力で、ポリシング材225に押し付けられる。ポリシング材225は、基板表面全域にポリシング材の隆起および溝を並進させるように、プラテン230上で回転することができる。ポリシング材の研磨要素は、基板表面から材料を擦り磨き磨減させ、基板表面によりポリシング材の各研磨要素に付加される抵抗力によって、基板とポリシング材との間に摩擦力が発生する。基板はまた、除去レートを上昇させるように回転することができる。プラテン230および基板の一方または両方が回転すると、電気化学的な力および機械的な力により、導電性材料が基板の面から除去される。
【0021】
ポリシング処理の前、最中、または後で、ポリシング面276は、既定の処理結果を維持するために、パッドポリシング面のコンディショニングが必要になる場合がある。コンディショニングでは、ポリシング面276の溝、および/または凹凸(asperities)を生成、改善、かつ/または浄化することができる。別の応用例では、ポリシング面276のコンディショニングは、ポリシング面276をリフレッシュする。リフレッシュに含まれることとしては、ポリシング面276上の新しいすなわち未使用の材料の露出、ポリシング副産物の除去、ポリシング面276の使用済みもしくは引き裂かれた部分の除去、および/または、ポリシング面276の中もしくは上に配置された酸化物について除去もしくは最小限に抑えることの、少なくとも1つが挙げられる。ポリシング面276のコンディショニングは、新しいポリシングパッドを用いたポリシングの前に、ポリシング面276の表面粗さおよび除去レートの維持ならびに/もしくは向上のためにポリシング処理中に、またはポリシングすべき新しい基板に対するポリシング面276の準備を行うために後処理中に、それぞれ実行することができる。
【0022】
本明細書で説明したようなコンディショニング要素は、ポリシング面に押し付けられる。上述のように、コンディショニング要素およびポリシング面は、回転することが可能であり、コンディショニング要素は、ポリシング面全域にスイープすることが可能である。ポリシング面の所望の程度の擦り磨き、溝切り、および粗面化が生じるように、コンディショニング要素に対し下方力が付加される。コンディショニング要素の研磨要素とポリシング面との相互作用により摩擦力が発生するが、この摩擦力は、アクチュエータ310の動作により打ち負かされる。センサ312は、アクチュエータ310により支持部材304に発生するトルクを測定することにより、摩擦力をモニタし、アクチュエータ310への制御信号を生成するように構成されているコントローラ314に対し、その測定結果を提供することができる。コントローラ314はまた、コンディショニング要素に対し付加される下方力を制御するために、膨張性空洞390内部の圧力を調整するように構成することもできる。
【0023】
図4は、本発明の一実施形態による方法400を要約した流れ図である。方法400は、ポリシングパッドの有用寿命を通じて均一に有効なコンディショニング処理を実現する。402では、図3のアクチュエータ310のようなモータにより、図3の支持部材304のようなコンディショニングアームの枢動点に付加されるトルクが、任意の適切なデバイスにより測定される。一部の実施形態では、抵抗トーションメータ、または電気ひずみゲージを使用する場合がある。
【0024】
404では、測定されたトルクが標準値と比較されるが、この標準値は目標値であってもよい。標準値は、コンディショニング要素とポリシング面との間で所望される摩擦量により決定される。摩擦力は、コンディショニングの有効性と関係がある。摩擦力が大きいということは、材料がポリシング面から高いレートで除去されていることを示すが、大きすぎると、除去レートがパッドの寿命を縮める結果となる。摩擦力が小さいということは、基板の有効な処理を提供するのに十分な程には、ポリシング面が粗面化されていないことを示す場合がある。
【0025】
406では、上記の比較に基づいた調整がなされる。1つの調整は、コンディショニング時間に対するものである。コンディショニング時間が経過したとき、基板のポリシングが継続中であっても、コンディショニング要素をポリシング面から引き上げることにより、コンディショニングを中断することができる。摩擦力が大きい場合、ポリシング面はより短い時間で有効にコンディショニングすることができるので、ポリシング面およびコンディショニング要素の過剰な摩耗を防ぐために、コンディショニング時間は短縮される。摩擦力が小さい場合、所望の結果を実現するために、コンディショニング時間は長くすることができる。コンディショニング時間は、一般に、基板に対するポリシング時間の50%と100%との間で制御されることになる。ポリシング面のコンディショニングは、基板が処理されている間に排他的に行われる場合もあり、または基板の処理の間に実施される場合もある。一部の実施形態では、基板が装置に配置され、処理され、装置から取り出される間、コンディショニングが継続している場合もある。他の実施形態では、コンディショニングはポリシングの前、最中、または後に開始することができ、ポリシングの前、最中、または後に終了することができる。
【0026】
一部の実施形態では、コンディショニング時間に対する調整を通して、可能である以上にコンディショニングの強さを増大または減衰させる必要がある場合がある。408では、摩擦力を増大または減衰させるために、ダウンフォースもまた調整することができる。ポリシング面の有効で再現可能なコンディショニングが、結果として実現される。
【0027】
図5は、本発明の別の実施形態による方法500を要約した流れ図である。502では、コンディショニング要素をポリシング面全域にスイープする摩擦が測定される。測定は、コンディショニング要素を保持するアームの枢動点に付加されるトルクによるものでもよいし、または、音響的手段もしくは熱物理的手段等、他の任意の適切な手段によるものでもよい。
【0028】
504では、測定された摩擦力が、標準値と比較される。標準値は、ポリシング面からの材料除去の所望のレート、ならびに表面の所望のスコアリングおよび溝切りにより決定される。測定された値が標準値から外れた場合、506で調整がなされる。506では、ポリシング面からの材料除去を増加または減少させるように、コンディショニング時間を調整することができる。コンディショニング時間に対する調整は、一般に、上限および下限により制限されており、これらの上限および下限は、基板のポリシング時間、または、プラテンの回転速度もしくはアームのスイープ速度等の、他の処理で考慮すべき点により決定することができる。例えば、コンディショニング要素による少なくとも1回のスイープで、プラテンの全体の幅の適用範囲を包含するのに十分な程に、コンディショニング時間を確実に長くすることが、有利な場合がある。一部の処理では、1回を超えるスイープを完了するためのコンディショニング時間が必要な場合がある。方法400に関連して上述したように、コンディショニングはポリシングの前、最中、または後に開始することができ、ポリシングの前、最中、または後に終了することができる。コンディショニング時間は、ポリシング時間と比較して、短い、同じ、または長い場合がある。一般には、コンディショニングは、ポリシングの開始と同時に開始し、ポリシングの終了と同時に、またはポリシングの終了の前に終了することが好ましい。
【0029】
所望のコンディショニングの有効性が506の調整により実現できない場合、508でダウンフォースを調整することができる。コンディショニング要素に対し、より大きな、またはより小さな力を付与するように、コンディショニングヘッド内部の圧力を調整することができる。一部の実施形態では、ダウンフォースおよびコンディショニング時間は、一緒に、または同時に調整することができる。例えば、測定された摩擦力が、材料の高すぎる除去レートを示す場合は、コンディショニング時間およびダウンフォースは、両方とも同時に減少させることができる。除去レートが低すぎる場合は、両方とも同時に増加させることができる。
【0030】
図6は、本発明の別の実施形態による方法600を要約した流れ図である。方法600では、ポリシング面のコンディショニング処理における、材料除去のレートの制御が実現される。602では、ポリシング面から除去されている材料の量が測定される。一実施形態では、材料の除去レートは、ポリシング面に対してコンディショニング要素を保持するコンディショニングアームの枢動点アクチュエータに付加されているトルクを検知することにより、測定することができる。604では、測定結果がコントローラに提供され、コントローラは測定された値を標準値と比較する。標準値は、除去される材料の所望の量、割り当てられた時間内でのポリシング面の有効なコンディショニングをもたらす量を表す値である。606では、コントローラは、2つの値の比較に基づいて、制御信号を生成する。制御信号は、1つまたは複数のアクチュエータに提供され、これらのアクチュエータは、コンディショニング時間、コンディショニング要素とポリシング面との間の接触力、またはその両方を調整するように構成されている。
【0031】
一部の実施形態では、接触時間が制限される場合がある。例えば、基板がポリシング面上で処理されていないとき、コンディショニングは中断される場合がある。一部の実施形態では、基板がポリシング面上にあり、処理されているときに、ポリシング面をコンディショニングすることが望ましい場合がある。他の実施形態では、接触時間を、基板がポリシング面上で処理される時間の一部分に制限することが、有益である場合がある。例えば、一部の実施形態では、接触時間は、ポリシング時間の約50%と約100%との間である場合がある。コンディショニング要素が、ポリシング面全域に並進する実施形態では、接触時間が、コンディショニング要素をポリシング面の1次元全体の全域に並進させるために必要な時間以上であることを求めるのが、望ましい場合がある。ポリシング面が、環状、またはディスク形状の表面であり、コンディショニング要素が、ポリシング面の内半径から外半径に、またはポリシング面の外半径から内半径に並進する実施形態では、ポリシング面全体が確実にコンディショニングされるように、接触時間が、コンディショニング要素を内半径から外半径に、またはその逆に並進させるのに必要な時間以上であることを求めるのが、有利な場合がある。
【0032】
他の実施形態では、コンディショニング要素の寿命にわたって、有効なコンディショニングの結果を実現するために、他の変数を調整する場合がある。一部の実施形態では、コンディショニング要素は回転することができ、回転のレートを調整することができる。他の実施形態では、コンディショニング要素がポリシング面全域に並進するレートを調整することができる。さらに他の実施形態では、コンディショニング要素が、指定のパターンに従って並進、および回転することができ、このパターンは、ポリシングパッドから除去される材料の量に影響を与えるように調整することができる。
【0033】
以上は本発明の実施形態に向けたものであるが、本発明の他の、およびさらなる実施形態が、本発明の基本的な範囲を逸脱することなく考案することができ、その範囲は以下の特許請求の範囲により決定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリシング要素をコンディショニングする方法であって、
コンディショニング要素の表面を前記ポリシング要素の表面に接触させるステップと、
コンディショニング時間中に前記コンディショニング要素に対し、コンディショニング力を付加するステップと、
前記ポリシング要素に対し、前記コンディショニング要素をスイープする方向に移動させるステップと、
前記コンディショニング要素と前記ポリシング要素との間の、前記スイープする方向の摩擦力を測定するステップと、
前記コンディショニング時間を調整するステップと、
前記コンディショニング力を調整するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記摩擦力を標準値と比較するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンディショニング時間をポリシング時間の一部分に制限するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ポリシング要素をコンディショニングする方法であって、
アクチュエータに枢動点で回転可能に連結したコンディショニングアームの一端に、研磨コンディショニング要素を配置するステップと、
前記ポリシング要素から材料を除去するために、前記研磨コンディショニング要素が前記ポリシング要素の表面に接触する間に、前記コンディショニングアームを前記ポリシング要素全域にスイープするために前記アクチュエータを使用するステップと、
前記研磨コンディショニング要素に対し下方力を付加するステップと、
前記アクチュエータにより前記枢動点に対し付加されるトルクを測定するステップと、
前記測定されたトルクを標準値と比較するステップと、
前記研磨コンディショニング要素により前記ポリシング要素の前記表面から除去される材料の量を調整するステップと
を含む方法。
【請求項5】
前記研磨コンディショニング要素により前記ポリシング要素の前記表面から除去される材料の量を調整するステップが、前記研磨コンディショニング要素と前記ポリシング要素との間の摩擦力を調整するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記研磨コンディショニング要素により前記ポリシング要素の前記表面から除去される材料の量を調整するステップが、前記ポリシング要素全域での前記コンディショニングアームのスイープ速度を調整するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記研磨コンディショニング要素により前記ポリシング要素の前記表面から除去される材料の量を調整するステップが、前記コンディショニングアームにより前記研磨コンディショニング要素に対し付加される前記下方力を調整するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記研磨コンディショニング要素により前記ポリシング要素の前記表面から除去される材料の量を調整するステップが、前記コンディショニングアームにより前記研磨コンディショニング要素に対し付加される前記下方力、および前記コンディショニング要素が前記ポリシング面に接触する時間を同時に調整するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記接触時間は前記ポリシング面上で基板が処理される時間の少なくとも50%である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記接触時間は前記ポリシング面上で基板が処理される時間の50%と100%との間である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
処理要素の表面から材料を除去する方法であって、
研磨要素を前記処理要素の前記表面に接触させるステップと、
前記研磨要素に対し接触力を付加するステップと、
処理時間中に前記処理要素の前記表面全域に前記研磨要素を並進させるステップと、
前記処理要素の前記表面全域に前記研磨要素を並進させるために必要な並進力をモニタするステップと、
前記測定された並進力と標準との比較に基づいて前記処理時間および接触力を調整するためにコントローラを使用するステップと
を含む方法。
【請求項12】
前記処理時間が制限され、前記処理時間が限度に到達した後で、前記コントローラが前記接触力を調整する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記接触力は、空気圧手段により調整される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記処理時間はワークピースが前記処理要素の前記表面上に配置される時間の50%以上である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記処理時間は前記研磨要素を前記処理要素の前記表面の1次元の全域に並進させるために必要な時間以上である、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−525705(P2011−525705A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514895(P2011−514895)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/048243
【国際公開番号】WO2010/008824
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】