説明

有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法

【課題】ショートやダークスポットの発生を抑制しつつ、光の取り出し効率を高めることができる有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法を得る。
【解決手段】基板1上に、第1の電極2、発光層を含む有機層10、及び第2の電極8を積層した有機エレクトロルミネッセンス素子であって、第1の電極2の表面に凹凸が形成されており、該第1の電極2の上に凹凸を平坦化するための有機材料からなる平坦化層3が形成されており、該平坦化層3の上に有機層10が形成されていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報機器の多様化に伴い、従来から一般に使用されているCRTに比べ、消費電力の少ない平面表示素子として、有機EL素子を用いたディスプレイの開発が期待されている。また、有機EL素子は、蛍光灯などに代わる無公害(水銀レス)の照明デバイスとしても期待されている。
【0003】
有機EL素子は、電界を印加することにより、陽極より注入されたホールと陰極より注入された電子の再結合エネルギーにより蛍光性物質が発光する原理を利用した自発光素子である。C.W.Tangらによる低電圧駆動有機EL素子の報告(非特許文献1)がなされて以来、有機材料を構成材料とする有機EL素子に関する研究が盛んに行われいる。Tangらは、トリス(8−キノリノール)アルミニウムを発光層に、トリフェニルジアミン誘導体をホール輸送層に用いている。積層構造の利点としては、発光層へのホールの注入効率を高めること、陰極より注入された電子をブロックして再結合により生成する励起子の生成効率を高めること、発光層内で生成した励起子を閉じ込めることなどが挙げられる。この例のように有機EL素子の素子構造としては、ホール輸送(注入)層、電子輸送性発光層の2層型、またはホール輸送(注入)層、発光層、電子輸送(注入)層の3層型等がよく知られている。こうした積層型構造素子では、注入されたホールと電子の再結合効率を高めるため、素子構造や形成方法の工夫がなされている。
【0004】
しかしながら、有機EL素子においてはキャリア再結合の際にスピン統計の依存性により一重項生成の確率に制限があり、従って発光確率に上限が生じる。この上限の値はおよそ25%であることが知られている。さらに、有機EL素子のような面発光素子では、発光体屈折率の影響のため、臨界角以上の出射角の光は全反射を起こし、外部に取り出すことができない。このため発光体の屈折率が1.6であるとすると、発光量全体の20%程度しか有効に利用できないものと見積もられる。このため、エネルギーの変換効率の限界としては、一重項生成確率を併せ、全体で5%程度と低効率にならざるを得ない。
【0005】
近年、発光材料に三重項発光材料を用いることにより、3倍のエネルギー効率の向上が図られているが、光取り出し効率の低さが有機EL素子の発光効率の低下を招く主要因になっている。
【0006】
有機EL素子の全反射による光閉じ込め作用は、有機層、透明電極及び基板材料の屈折率の差に依存して層界面で全反射が生じることに基づく。図2は、この全反射を説明するための模式図である。図2において、第1の電極2と第2の電極8との間に有機層10が設けられており、第1の電極2の上に基板1が設けられている。有機層10から発光した光は、透明電極である第1の電極2と基板1との界面、基板1と外部との界面でそれぞれ反射される。有機層10、透明電極2、及び基板1(ガラス基板)の屈折率をそれぞれ1.7、2.0及び1.5としたとき、有機層10及び透明電極2を合わせた薄膜層内での光の損失は47%であり、ガラス基板1内での損失は34%となる。従って、光取り出し効率は19%となる。全反射により薄膜層内及び基板内に閉じ込められた光は、横方向に伝搬した後、基板の端面で発光したり、あるいは伝搬途中で非輻射的に消失する。
【0007】
光取り出し効率を向上させる方法として、光損失が最も大きい薄膜層内に閉じ込められた光を取り出す方法と、ガラス基板内に閉じ込められた光を取り出す方法が検討されている。
【0008】
ガラス基板内に閉じ込められた光を取り出す方法としては、ガラス基板と空気との界面に散乱部を設けた構造(特許文献1)、2次元周期構造を有する光学フィルムを貼り合わせた構造(特許文献2)、及びフォトニック結晶を形成した構造(非特許文献2)などが提案されている。
【0009】
薄膜層内の光を取り出す方法としては、有機層と透明電極の界面に回折格子を設けた構造(特許文献3、特許文献4及び特許文献5)、モスアイ構造の金属電極を設けた構造(特許文献6)、透明導電膜にフォトニック結晶を設けた構造(非特許文献3)などが提案されている。
【0010】
しかしながら、特許文献1の方法では、発光した光の色純度が低下するという問題がある。また、特許文献2の方法では、ディスプレイとして用いたときに、モアレ干渉や色にじみが発生し、表示特性が低下するという問題がある。
【0011】
特許文献3及び4では、基板上に回折格子を形成した後、透明導電膜と同程度の屈折率を有する高屈折率層を形成し、その後高屈折率層を研磨して平坦化した後に透明導電膜を形成しており、研磨工程が必要となる。
【0012】
特許文献5では、透明導電膜上に高屈折率材料で回折格子を形成した構造であるため、回折格子の膜厚以上に有機層の膜厚が必要となり、有機層の膜厚が薄くなると、ショートやダークスポットの発生が生じるおそれがある。
【0013】
特許文献6では、円錐または角円錐状の微細構造が電極上に形成された構造であるが、基板上にこのような微細構造を形成した場合、ショートやダークスポットが発生するという問題がある。
【特許文献1】特開平8−83688号公報
【特許文献2】特開2004−39272号公報
【特許文献3】特開2003−115377号公報
【特許文献4】特開2003−163075号公報
【特許文献5】特開2004−14529号公報
【特許文献6】特開2004−258364号公報
【非特許文献1】C.W.Tang,S.A.VanSlyke、ApplIedPhysIcsLetters)、51巻、913頁 1987年
【非特許文献2】第65回応用物理学会学術講演会 予稿集3p−ZC−17(2004.9)
【非特許文献3】第50回応用物理学関係連合講演会 予稿集23p−YN−12(2003.3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、ショートやダークスポットの発生を抑制しつつ、光の取り出し効率を高めることができる有機EL素子及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の有機EL素子は、基板上に、第1の電極、発光層を含む有機層、及び第2の電極を積層した有機EL素子であり、第1の電極の表面に凹凸が形成されており、該第1の電極の上に凹凸を平坦化するための有機材料からなる平坦化層が形成されており、該平坦化層の上に上記有機層が形成されていることを特徴としている。
【0016】
本発明においては、第1の電極の表面に凹凸が形成されており、この第1の電極の凹凸面の上に有機材料からなる平坦化層が設けられ、この平坦化層の上に有機層が設けられている。有機層の下地層となる平坦化層の表面の凹凸は、第1の電極の表面の凹凸よりも緩やかになっているため、有機層の膜厚を薄くしても、第1の電極と第2の電極がショートするのを抑制することができ、また素子構造の不良によるダークスポットの発生を抑制することができる。一方、平坦化層は有機材料から形成されており、第1の電極と平坦化層の界面において凹凸が形成されているので、第1の電極と平坦化層の界面において全反射するのを抑制することができる。このため、光の取り出し効率を高めることができる。
【0017】
第1の電極において平坦化層と接する層と、平坦化層との屈折率の差は0.2以上であることが好ましい。また、平坦化層と有機層との屈折率の差は界面での反射をなくすために0.2以下であることが好ましい。
【0018】
本発明において、平坦化層を形成する有機材料は高分子材料であることが好ましい。また、平坦化層を形成する有機材料は、導電性を有する材料であることが好ましい。このような材料を用いることにより、有機EL素子の特性を損なうことなく、第1の電極と平坦化層の界面の凹凸により、全反射を低減させ、あるいは光を薄膜内で散乱させることにより、光の取り出し効率を向上させることができる。
【0019】
また、平坦化層の形成方法は、有機材料の溶液を塗布することにより形成させる方法であることが好ましい。このような方法を用いることにより、第1の電極の凹凸面の凹凸を緩やかにして、平坦化層の表面を平坦化することができる。
【0020】
本発明において、第1の電極の表面に形成される凹凸は、表面粗さRaとして2nm以上であることが好ましく、さらに5〜100nmの範囲内である。また、平坦化層を設けることにより、凹凸を緩和させ、平坦化層の表面が表面粗さRaとして30nm以下となるように平坦化させることが好ましい。表面粗さRaは、例えば、原子間力顕微鏡(AFM)により測定することができる。
【0021】
本発明の第1の局面に従う有機EL素子は、ボトムエミッション型の有機EL素子であり、第1の電極が光取り出し側電極であり、第2の電極が反射電極であることを特徴としている。
【0022】
第1の局面の有機EL素子は、ボトムエミッション型であり、有機層内の発光層から出射された光は、光取り出し側電極を通り、基板から外部に出射される。第1の電極である光取り出し側電極と有機層の間には、平坦化層が存在しており、光取り出し側電極と平坦化層の間の界面に凹凸が形成されている。平坦化層は有機材料から形成されるものであるため、全反射が生じる場合には、第1の電極と有機材料の界面において生じる。第1の局面においては、第1の電極と平坦化層の界面に凹凸が形成されているので、第1の電極と平坦化層の界面における全反射を低減することができ、光取り出し効率を向上させることができる。
【0023】
また、第1の局面において、有機層は平坦化層の上に形成されているので、平坦化層によって凹凸が緩和され、有機層に大きな凹凸が形成されない。このため、有機層の膜厚が薄くしても、ショートやダークスポットの発生を抑制することができる。
【0024】
第1の局面において、光取り出し側電極は、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)やインジウム−錫酸化物(ITO)などの透明導電膜から形成することが好ましい。また、第2の電極である反射電極は、金属薄膜から形成することが好ましく、例えば、Al、Au、Ag、Mgなどの単体またはこれらを含む合金から形成されることが好ましい。
【0025】
本発明の第1の局面の有機EL素子は、例えば、基板上に透明導電膜からなる光取り出し側電極を形成する工程と、光取り出し側電極の表面をエッチングすることにより該表面に凹凸を形成する工程と、光取り出し側電極の凹凸面の上に、有機材料の溶液を塗布し平坦化層を形成する工程と、平坦化層の上に有機層及び反射電極を順次形成する工程とを備える製造方法により製造することができる。
【0026】
透明導電膜は、例えば、酸またはアルカリ溶液に接触させることにより、その表面をエッチングすることができる。エッチングにより形成する凹凸の程度は、使用する酸またはアルカリ溶液の種類、濃度及び処理時間などをコントロールすることにより適宜調整することができる。エッチングによって凹凸を形成することにより、透明導電膜の表面にはランダムな形状の凹凸が形成される。
【0027】
本発明の第2の局面は、トップエミッション型の有機EL素子であって、第1の電極が反射電極とその上に形成される透明導電膜とから構成され、該透明導電膜の表面に凹凸が形成されており、第2の電極が光取り出し側電極であることを特徴としている。
【0028】
第2の局面においては、第1の電極が反射電極とその上に形成される透明導電膜とから構成されており、透明導電膜の表面に凹凸が形成されている。従って、その表面に凹凸が形成された透明導電膜の上に平坦化層が形成され、その上に有機層及び光取り出し側電極である第2の電極が順に形成される。
【0029】
第2の局面においては、反射電極上の透明導電膜と平坦化層との界面に凹凸が形成されている。このため、有機層から出射された光は反射電極で反射される前及び反射された後に透明導電膜と平坦化層の界面を通過するが、この際この界面に大きな凹凸が形成されているため、反射電極に入射する光及び反射電極から反射された光が種々の角度となるように変更され、これによって光の取り出し効率を高めることができる。
【0030】
本発明の第2の局面に従う有機EL素子は、例えば、基板上に反射電極及び透明導電膜を順次形成する工程と、透明導電膜の表面をエッチングすることにより表面に凹凸を形成する工程と、透明導電膜の凹凸面の上に、有機材料の溶液を塗布し平坦化層を形成する工程と、平坦化層の上に有機層及び光取り出し側電極を順次形成する工程とを備える製造方法により製造することができる。
【0031】
透明導電膜は、第1の局面と同様に、IZOやITOなどの金属酸化物から形成することができる。
【0032】
透明導電膜のエッチングは上記と同様にして行うことができる。
【0033】
本発明の第3の局面に従う有機EL素子は、トップエミッション型の有機EL素子であって、第1の電極が、第1の透明導電膜と、反射電極と、第2の透明導電膜をこの順で積層することにより構成され、第1の透明導電膜の表面に凹凸が形成されることにより、反射電極の表面及び第2の透明導電膜の表面に凹凸が引き継いで形成されており、第2の電極が光取り出し側電極であることを特徴としている。
【0034】
第3の局面においては、第1の透明導電膜の表面に凹凸を形成し、この凹凸を反射電極の表面及び第2の透明導電膜の表面に引き継がせることにより、第2の透明導電膜の表面に凹凸を形成させている。平坦化層は、この第2の透明導電膜の表面上に形成されるものであり、従って、第2の局面と同様に、反射電極に入射する前及び反射電極で反射された後に第2の透明導電膜と平坦化層の界面を通過する。第3の局面では、この界面に大きな凹凸が形成されているため、種々の方向に光を変化させて散乱させることができ、これによって光の取り出し効率を高めることができる。
【0035】
さらに、第3の局面においては、反射電極の表面にも凹凸が形成されているので、この反射電極の表面の凹凸によってもさらに光を散乱させることができ、光の取り出し効率を高めることができる。
【0036】
本発明の第3の局面に従う有機EL素子は、例えば、基板上に第1の透明導電膜を形成する工程と、第1の透明導電膜の表面をエッチングすることにより、該表面に凹凸を形成する工程と、第1の透明導電膜の凹凸面の上に、該凹凸をそれぞれ引き継ぐように反射電極及び第2の透明導電膜を順次形成する工程と、第2の透明導電膜の凹凸面の上に、有機材料の溶液を塗布し平坦化層を形成する工程と、平坦化層の上に有機層及び光取り出し側電極を順次形成する工程とを備える製造方法により製造することができる。
【0037】
第1及び第2の透明導電膜は、第1の局面と同様に、IZOやITOから形成することができる。
【0038】
第1の透明導電膜のエッチングは、上記と同様にして行うことができる。
【0039】
本発明において、有機層を構成する層としては、発光層以外に、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層及び電子注入層などが挙げられる。なお、後述する実施例における平坦化層は、ホール注入層としても用いることができるものである。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、ショートやダークスポットの発生を抑制しつつ、光の取り出し効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0042】
図3は、本発明の第1の局面に従う有機EL素子の一実施例を示す模式的断面図である。図3に示す有機EL素子は、ボトムエミッション型の有機EL素子である。
【0043】
図3に示すように、ガラスまたはプラスチック等からなる透明な基板1の上に、例えば、酸化シリコン(SiO)からなる層と窒化シリコン(SiN)からなる層との積層膜11が形成されている。
【0044】
積層膜11の上には、複数のTFT(薄膜トランジスタ)20が、赤色領域R、緑色領域G、及び青色領域Bに対応して形成されている。各TFT20は、チャネル領域12、ドレイン電極13d、ソース電極13s、ゲート酸化膜14及びゲート電極15から構成されている。
【0045】
積層膜11の上の一部の領域には、例えばポリシリコン層等からなるチャネル領域12が形成されている。チャネル領域12の上には、ドレイン電極13d及びソース電極13sが形成されている。チャネル領域12の上に、ゲート酸化膜14が形成されている。ゲート酸化膜14の上には、ゲート電極15が形成されている。各TFT20のドレイン電極13dは、後述のホール注入電極2に接続され、各TFT20のソース電極13sは電源線(図示せず)に接続されている。
【0046】
ゲート電極15を覆うように、ゲート酸化膜14の上に第1の層間膜16が形成されている。ドレイン電極13d及びソース電極13sを覆うように、第1の層間絶縁膜16上に、第2の層間絶縁膜17が形成されている。ゲート電極15は、信号線(図示せず)に接続されている。なお、ゲート酸化膜14は、例えば窒化シリコンからなる層と酸化シリコンからなる層との積層構造を有している。また、第1の層間絶縁膜16は、例えば、酸化シリコンからなる層と窒化シリコンからなる層の積層構造を有し、第2の層間絶縁膜17は、例えば窒化シリコンから形成されている。
【0047】
図3に示す実施例においては、第2の層間絶縁膜17の上の領域R、領域G及び領域Bの位置に、赤色カラーフィルター層GFR、緑色カラーフィルターCFG、及び青色カラーフィルターCFBがそれぞれ設けられている。赤色カラーフィルターCFRは、赤色の波長領域の光を透過させる。緑色カラーフィルターCFGは、緑色の波長領域の光を透過させる。青色カラーフィルターCFBは、青色の波長領域の光を透過させる。
【0048】
図4は、赤色カラーフィルターCFR、緑色カラーフィルターCFG、及び青色カラーフィルターCFBの吸収スペクトルの一例を示す図である。図4において、縦軸はカラーフィルター層に対する光の透過率を示し、横軸はカラーフィルターを通過する光の波長を示す。図4では、赤色カラーフィルターCFRの吸収スペクトルを〇、緑色カラーフィルターCFGの吸収スペクトルを△、及び青色カラーフィルターCFBの吸収スペクトルを□で示している。上記の各フィルター層は、例えばガラスまたはプラスチック等の材料からなる。また、カラーフィルター層として、CCM(色彩転換媒体)を用いてもよく、ガラスまたはプラスチック等の材料とCCMの両方を用いてもよい。
【0049】
図3に示すように、赤色カラーフィルター層CFR、緑色カラーフィルター層CFG、及び青色カラーフィルター層CFBを覆うように、第2の層間膜17の上に、平坦化膜18が形成されている。
【0050】
平坦化膜18は、以下のようにして形成する。例えば、アクリル系の感光性樹脂をスピンコート法により塗布した後、恒温槽やホットプレート等でプリベーク(例えば、80℃で10分間)を行う。その後、ドレイン電極13dの上の感光性樹脂を露光し、現像することにより、コンタクトホールを形成し、さらにポストベーク(例えば、190℃で15分間)を行うことにより、樹脂を完全に硬化させる。
【0051】
次に、平坦化膜18の上に、スパッタリング法等によりインジウム−亜鉛酸化物(IZO)からなる透明導電膜を100nmの厚さで形成する。本実施例においては、透明導電膜を形成した後、0.1%の塩酸で30分間エッチングし、透明導電膜の表面に凹凸を形成した。この透明導電膜は、公知の方法、例えば、スパッタリング法、CVD法、電子ビーム蒸着法などにより形成することができるが、これらの中でもスパッタリング法が好ましい。
【0052】
透明導電膜をエッチングした後、透明導電膜の表面をイソプロピルアルコールで洗浄し、透明導電膜の上にフォトリソプロセスによりレジストパターンを形成し、その後エッチングすることにより光取り出し側電極であるホール注入電極2を形成する。ホール注入電極2とドレイン電極13dは、コンタクトホールにより電気的に接続する。
【0053】
次に、平坦化膜18の形成に用いたのと同じ材料を用いて、画素分離膜19を、領域R、G及びBの間において、ホール注入電極2を覆うように形成する。
【0054】
次に、図3に示すように、領域R、G及びBの上に、有機EL素子WLを、以下のようにして形成する。
【0055】
有機EL素子WLは、ホール注入電極2、平坦化層3、ホール輸送層4、オレンジ色に発光するオレンジ色発光層5a、青色に発光する青色発光層5b、電子輸送層6、電子注入層7、及び電子注入電極8から構成されている。ホール輸送層4〜電子注入層7までの層が、本発明における有機層に相当する。
【0056】
ホール注入電極2及び画素分離膜19を覆うように、平坦化層3を全体の領域上に形成する。平坦化層3は、PEDT:PSSから形成する。具体的には、表面に凹凸が形成されたホール注入電極2の上に、PEDT:PSSの溶液をスピンコートした後、約200℃で約10分間空気中で加熱し、次に80℃で30分間真空中で加熱する。これによりホール注入電極2の上に平坦化層3を形成することができ、ホール注入電極2の表面の凹凸を平坦化層3によって平坦化することができる。
【0057】
平坦化層3の上に、ホール輸送層4、オレンジ色発光層5aを順に形成する。ホール輸送層4は、例えば厚さ60nmとなるように、NPBから形成する。オレンジ色発光層5aは、ホスト材料に第1のドーパント及び第2のドーパントがドープされた組成であり、例えば厚さ30nmとなるように形成する。
【0058】
オレンジ色発光層5aのホスト材料としては、例えばホール輸送層4の材料と同じNPBを用いる。オレンジ色発光層5aの第1のドーパントとしては、tBuDPNを用い、オレンジ色発光層5aに対して20重量%となるようにドープする。
【0059】
オレンジ色発光層5aの第2のドーパントとしては、例えばDBzRを用い、オレンジ色発光層5aに対して3重量%となるようにドープする。
【0060】
オレンジ色発光層5aの第2のドーパントが発光し、第1のドーパントは、その最高被占分子軌道(HOMO)レベルと最低空分子軌道(LUMO)レベルが共に、ホスト材料と第2のドーパントのレベルの中間の値を有するため、ホスト材料から第2のドーパントへのエネルギー移動を促進することにより、第2のドーパントの発光を補助する役割を担う。従って、オレンジ色発光層5aは、500nmよりも大きく650nmよりも小さいピーク波長を有するオレンジ色を発光する。
【0061】
次に、オレンジ色発光層5aの上に、青色発光層5bを形成する。青色発光層5bは、ホスト材料に第1のドーパント及び第2のドーパントがドープされた組成を有し、例えば厚さ40nmとなるように形成する。
【0062】
青色発光層5bのホスト材料としては、例えば、TBADNを用いる。青色発光層5bの第1のドーパントとしては、例えば、ホール輸送層4の材料と同じNPBを用い、青色発光層5bに対して10重量%となるようにドープする。
【0063】
青色発光層5bの第2のドーパントとしては、例えば、TBPを用い、青色発光層5bに対して2.5重量%となるようにドープする。
【0064】
青色発光層5bの第2のドーパントが発光し、第1のドーパントはホール輸送性材料からなり、ホール輸送を促進することにより、青色発光層5b内でのキャリアの再結合を促進し、第2のドーパントの発光を補助する役割を担う。従って、青色発光層5bは、400nmよりも大きく500nmよりも小さいピーク波長を有する青色光を発光する。
【0065】
次に、青色発光層5bの上に、電子輸送層6、電子注入層7、及び電子注入電極(反射電極)8を形成する。
【0066】
電子注入層6は、例えば厚さ10nmとなるように形成し、Alq3から形成する。
【0067】
電子注入層7は、例えば厚さ1nmとなるようにフッ化リチウム(LiF)から形成し、電子注入電極8は、例えば厚さ200nmとなるようにアルミニウム(Al)から形成する。
【0068】
NPBは、N,N′−ジ(ナフタセン−1−イル)−N,N′−ジフェニルベンジジンであり、以下の構造を有している。
【0069】
【化1】

【0070】
tBuDPNは、5,12−ビス(4−ターシャリー−ブチルフェニル)ナフタセンであり、以下の構造を有している。
【0071】
【化2】

【0072】
DBzRは、5,12−ビス{4−(6−メチルベンゾチアゾール−2−イル)フェニル}−6,11−ジフェニルナフタセンであり、以下の構造を有している。
【0073】
【化3】

【0074】
TBADNは、2−ターシャリー−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセンであり、以下の構造を有している。
【0075】
【化4】

【0076】
TBPは、1,4,7,10−1テトラ−ターシャリー−ブチルペリレンであり、以下の構造を有している。
【0077】
【化5】

【0078】
Alq3は、トリス−(8−ヒドロキシキノリラト)アルミニウム(III)であり、以下の構造を有している。
【0079】
【化6】

【0080】
PEDT:PSSは、ポリ(エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホナート)であり、以下の構造を有している。PEDOT:PSSは、例えばバイエルン社から市販されている。PEDOT:PSSは、ホール輸送性を有する高分子材料であり、本実施例における平坦化層3は、ホール注入層としても機能するものである。
【0081】
【化7】

【0082】
図1は、基板1上に形成したホール注入電極2、平坦化層3、有機層10、及び電子注入電極8における各層間の界面の状態を模式的に示す断面図である。有機層10は、ホール輸送層4、オレンジ色発光層5a、青色発光層5b、電子輸送層6及び電子注入層7の積層構造を含んでいる。
【0083】
図1に示すように、ホール注入電極2の表面には、上述のようにエッチング加工が施され、凹凸が形成されている。ホール注入電極2の凹凸面の上には、平坦化層3が設けられており、この平坦化層3は溶液を塗布することにより形成されるものであるので、その表面の凹凸は僅かなものとなり、ホール注入電極2の表面の凹凸を平坦化することができる。従って、その上に積層される有機層10との界面も平坦化された界面となり、有機層10とその上に積層される電子注入電極8との界面も平坦化された界面となる。従って、有機層10の厚みを薄くしても、電子注入電極8とホール注入電極2とが接触してショートするのを抑制することができる。また、有機層10内の各層の界面も平坦化されるため、素子構造が乱れてダークスポットが発生するのを抑制することができる。
【0084】
また、平坦化層3は有機材料から形成されるものであるので、平坦化層3とホール注入電極2との間で屈折率の差が0.2以上となり、全反射を生じる界面となるが、平坦化層3とホール注入電極2の界面には、大きな凹凸が形成されているため、有機層10から発光された光が、この界面において全反射するのを抑制することかでき、光の取り出し効率を高めることができる。
【0085】
(比較例1)
実施例1において、ホール注入電極2を形成した後、ホール注入電極2をエッチング処理しなかったこと以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
【0086】
(比較例2)
実施例1において、ホール注入電極2をエッチング処理した後、ホール注入電極2の凹凸面の上に平坦化層3を形成する代わりに、フッ化炭素(CFx)からなるホール注入層(厚さ1nm)を形成した。それ以外は、実施例1と同様にして有機EL表示装置を作製した。
【0087】
(実施例2)
実施例2においては、平坦化層の上に形成する有機層を、発光層、電子輸送層、電子注入層、及び電子注入電極を積層した構造とし、発光層及び電子輸送層を高分子材料から形成した。
【0088】
発光層は、MEH−PPVのo−ジクロロベンゼン溶液をスピンコート法により平坦化層の上に塗布し、窒素雰囲気中において80℃で30分間ベークすることにより形成した。
【0089】
電子輸送層は、PF8−Pyのトルエン溶液をスピンコート法により発光層の上に塗布することにより形成した。この電子輸送層は、ホール阻止層としても機能する。
【0090】
電子輸送層の上には、膜厚6nmのカルシウムからなる電子注入層と、膜厚200nmのアルミニウムからなる電子注入電極を真空蒸着法により形成した。
【0091】
MEH−PPVは、以下に示す構造を有する高分子発光材料である。
【0092】
【化8】

【0093】
PF8−Pyは、以下に示す構造を有する電子輸送性高分子材料である。
【0094】
【化9】

【0095】
上記以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
【0096】
(比較例3)
実施例2において、ホール注入電極を形成した後エッチング処理を行わないこと以外は、実施例2と同様にして有機EL素子を作製した。
【0097】
(実施例3)
図5は、本発明の第2の局面及び第3の局面に従うトップエミッション型の有機EL素子の一実施例を示す模式的断面図である。図3に示すボトムエミッション型の有機EL素子との構造上の違いは、以下の通りである。
【0098】
すなわち、図5に示すトップエミッション型の有機EL表示装置においては、アルミニウム(Al)からなる反射電極2bを形成し、この上にIZOからなる透明導電膜2aを形成し、この透明導電膜2aの上に、平坦化層3、ホール輸送層4、オレンジ色発光層5a、青色発光層5b、電子輸送層6、電子注入層7、及び電子注入電極8を形成している。
【0099】
電子注入電極8としては、金(Au)を用い、かつ厚さを20nmとして半透過性の電極としている。この電子注入電極8の上に、防湿のためにSiNなどからなる無機保護膜9をCVD法などで形成し、この保護膜9の上に光硬化樹脂または熱硬化樹脂からなる接着剤層22を介して、封止基板21を取り付けている。カラーフィルタCFR、CFG及びCFB、並びにブラックマトリックスBMは、封止基板21の上に形成されている。
【0100】
図6は、本実施例の有機EL素子の素子構造における各層間の界面の凹凸状態を示す模式的断面図である。図6に示すように、反射電極2b上に形成した透明導電膜2aの表面には、実施例1と同様のエッチング処理条件で、凹凸が形成されている。この透明導電膜2aの上に、平坦化層3が形成され、透明導電膜2aの表面の凹凸が平坦化されている。この平坦化層3により、実施例1と同様に、有機層10と電子注入電極8の界面の凹凸が平坦化され、ショートやダークスポットの発生が抑制されている。
【0101】
本実施例の有機EL素子においては、電子注入電極8が光取り出し側電極となり、有機層10で発光した光は、基板1と反対側の封止基板21側から取り出される。反射電極2bでは、有機層中で発光した光を封止基板21側に反射する。有機層10で発光した光が反射電極2bに向かう際、及び反射電極2bで反射された後に封止基板21に向かう際に、平坦化層3と透明導電膜2aの界面を通過する。平坦化層と透明導電膜2aの界面には、上述のように大きな凹凸が形成されており、この界面を光が通過する際、光の進行方向が種々の角度に変更されて散乱される。これによって、光の取り出し効率を高めることができる。
【0102】
(比較例4)
実施例3において、透明導電膜2aをエッチング処理しない以外は、実施例3と同様にして有機EL素子を作製した。
【0103】
(実施例4)
本実施例では、実施例3における反射電極2bと透明導電膜2aの積層構造を、図7に示すように、第1の透明導電膜2a、反射電極2b、及び第2の透明導電膜2aの積層構造とし、第1の透明導電膜2aの表面にエッチング処理を施して、凹凸を形成した構造としている。それ以外は実施例3と同様にしてトップエミッション型の有機EL素子を作製した。
【0104】
図7に示すように、第1の透明導電膜2aの上に、反射電極2bが形成されており、反射電極2bの表面にも第1の透明導電膜2aの表面と同様の凹凸が引き継いで形成されている。また、反射電極2bの上に、第2の透明導電膜2aが形成されており、第2の透明導電膜2aの表面にも、第1の透明導電膜2aと同様の凹凸が引き継いで形成されている。平坦化層3は、この第2の透明導電膜2aの上に形成されている。
【0105】
本実施例では、図7に示すように、反射電極2bの表面にも凹凸が形成されているので、反射電極2bの表面で反射する際にも光を種々の方向に反射させることができる。
【0106】
(比較例5)
実施例4において、第1の透明導電膜にエッチング処理を行わなかった以外は、実施例4と同様にして有機EL素子を作製した。
【0107】
〔有機EL素子の評価〕
<表面粗さの測定>
実施例1〜4及び比較例1〜5の有機EL素子を作製する際の有機層の下地層の表面粗さを測定した。表面粗さの測定は、原子間顕微鏡(AFM)(日本ビーコ社製ナノスコープIIIa)を用いて測定した。測定した表面粗さRaを表1に示す。
【0108】
実施例1〜4については、平坦化層の表面粗さを測定し、比較例1〜3については光取り出し側電極である透明電極の表面粗さを測定し、比較例4においては透明導電膜の表面粗さを測定し、比較例5においては第2の透明導電膜の表面粗さを測定している。
【0109】
図8は、AFM観察により得られた実施例1の平坦化層の表面状態を示す図であり、図9は比較例1の光取り出し側電極の表面状態を示す図であり、図10は比較例2における光取り出し側電極の表面の状態を示す図である。図10は、エッチング処理後の光取り出し側電極の表面の凹凸を示しており、エッチング処理していない図9に比べ、大きな凹凸が形成されていることがわかる。図8は、平坦化層を形成した後の表面状態を示しており、図10で示される大きな凹凸が、平坦化層の形成により緩和され平坦化されていることがわかる。
【0110】
<光の取り出し効率の測定>
実施例1〜4及び比較例1〜5の有機EL素子について、トプコン社製BM5Aを用いて輝度を測定し、光の取り出し効率を求めた。測定結果を表1に示す。
【0111】
<非点灯画素数の測定>
実施例1〜4及び比較例1〜5の各有機EL素子について、ショートまたはダークスポットによる非点灯画素数を測定した。測定結果を表1に示す。
【0112】
【表1】

【0113】
表1に示すように、平坦化層を設けた実施例1においては、比較例2に比べ、有機層の下地層の表面粗さが小さくなっており、平坦化層を設けることにより、凹凸が緩和され平坦化されていることがわかる。本発明に従い電極構造に凹凸を形成し、凹凸面の上に平坦化層を設けた実施例1〜4においては、電極構造に凹凸を形成していない比較例1及び3〜5に比べ、光取り出し効率が高くなっていることがわかる。
【0114】
電極構造に凹凸を形成し、平坦化層を設けていない比較例2においては、本発明の各実施例と同程度に高い光取り出し効率が得られているが、ショートまたはダークスポットが多く発生し、非点灯画素数が100p以上となっており、表示品位において劣っていることがわかる。
【0115】
以上のことから、本発明に従えば、ショートやダークスポットの発生を抑制しつつ、光の取り出し効率を高め得ることがわかる。
【0116】
図11は、本発明に従うさらに他の実施例の有機EL素子を示す模式的断面図である。本実施例の有機EL素子は、図1に示す有機EL素子と同様にボトムエミッション型の有機EL素子であり、透明導電膜から形成されているホール注入電極2に、孔2cを形成することにより、ホール注入電極2に凹凸が形成されている。図12は、ホール注入電極2を示す平面図である。図12に示すように、孔2cがホール注入電極2に複数形成されている。このような孔2cは、例えばフォトリソグラフィ法により形成することができる。
【0117】
上記のように、孔2cが形成されたホール注入電極2の上に平坦化層3を形成すると、図11に示すように、平坦化層3がホール注入電極2の孔2c内に侵入し、埋め込まれた状態となる。このように透明導電膜であるホール注入電極2が部分的に存在しない構造であっても、平坦化層3を形成する材料として導電性を有する材料を用いれば、有機EL素子からの発光に問題を生じることなく有機EL素子を駆動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】実施例1及び2の有機EL素子における各層の界面の凹凸状態を示す模式的断面図。
【図2】有機EL素子内の光閉じ込めによる光取り出し効率の低下を説明するための模式図。
【図3】本発明に従う一実施例のボトムエミッション型の有機EL素子の素子構造を示す模式的断面図。
【図4】本発明に従う実施例において用いた各カラーフィルタの波長と透過率の関係を示す図。
【図5】本発明に従う他の実施例のトップエミッション型の有機EL素子の素子構造を示す模式的断面図。
【図6】実施例3の有機EL素子における各層の界面の凹凸状態を示す模式的断面図。
【図7】実施例4の有機EL素子における各層の界面の凹凸状態を示す模式的断面図。
【図8】実施例1における平坦化層の表面の凹凸状態を示す図。
【図9】比較例1における光取り出し側電極の表面の凹凸状態を示す図。
【図10】比較例2における光取り出し側電極の表面の凹凸状態を示す図。
【図11】本発明に従うさらに他の実施例の有機EL素子を示す模式的断面図。
【図12】図11に示す有機EL素子におけるホール注入電極を示す平面図。
【符号の説明】
【0119】
1…基板
2…ホール注入電極
2a…透明導電膜
2b…反射電極
3…平坦化層
4…ホール輸送層
5a…オレンジ色発光層
5b…青色発光層
6…電子輸送層
7…電子注入層
8…電子注入電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、第1の電極、発光層を含む有機層、及び第2の電極を積層した有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記第1の電極の表面に凹凸が形成されており、該第1の電極の上に前記凹凸を平坦化するための有機材料からなる平坦化層が形成されており、該平坦化層の上に前記有機層が形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項2】
前記平坦化層を形成する有機材料が高分子材料であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項3】
前記平坦化層を形成する有機材料が導電性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】
ボトムエミッション型の有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記第1の電極が光取り出し側電極であり、前記第2の電極が反射電極であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項5】
トップエミッション型の有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記第1の電極が、反射電極とその上に形成される透明導電膜とから構成され、該透明導電膜の表面に前記凹凸が形成されており、前記第2の電極が光取り出し側電極であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項6】
トップエミッション型の有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記第1の電極が、第1の透明導電膜と、反射電極と、第2の透明導電膜をこの順で積層することにより構成され、前記第1の透明導電膜の表面に凹凸が形成されることにより、前記反射電極の表面及び前記第2の透明導電膜の表面に凹凸が引き継いで形成されており、前記第2の電極が光取り出し側電極であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項7】
請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する方法であって、
基板上に透明導電膜からなる前記光取り出し側電極を形成する工程と、
前記光取り出し側電極の表面をエッチングすることにより該表面に凹凸を形成する工程と、
前記光取り出し側電極の前記凹凸面の上に、前記有機材料の溶液を塗布し前記平坦化層を形成する工程と、
前記平坦化層の上に、前記有機層及び前記反射電極を順次形成する工程とを備えることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【請求項8】
請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する方法であって、
基板上に前記反射電極及び前記透明導電膜を順次形成する工程と、
前記透明導電膜の表面をエッチングすることにより該表面に凹凸を形成する工程と、
前記透明導電膜の前記凹凸面の上に、前記有機材料の溶液を塗布し前記平坦化層を形成する工程と、
前記平坦化層の上に、前記有機層及び前記光取り出し側電極を順次形成する工程とを備えることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【請求項9】
請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する方法であって、
基板上に前記第1の透明導電膜を形成する工程と、
前記第1の透明導電膜の表面をエッチングすることにより該表面に凹凸を形成する工程と、
前記第1の透明導電膜の前記凹凸面の上に、該凹凸をそれぞれ引き継ぐように前記反射電極及び前記第2の透明導電膜を順次形成する工程と、
前記第2の透明導電膜の凹凸面の上に、前記有機材料の溶液を塗布し前記平坦化層を形成する工程と、
前記平坦化層の上に、前記有機層及び前記光取り出し側電極を順次形成する工程とを備えることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−234254(P2007−234254A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−51111(P2006−51111)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】