説明

有機ポリマー系の低レベル放射性廃棄物の処理方法

【課題】非ハロゲン有機ポリマー系の低レベル放射性廃棄物を酸化ルテニウム触媒存在下で酸化分解反応により減容化処理するに際して、高減容化可能な低レベル放射性廃棄物の処理方法を提供すること。
【解決手段】非ハロゲン有機ポリマー系の低レベル放射性廃棄物を、酸化ルテニウム触媒とを超臨界水反応させることで、低レベル放射性廃棄物を分解気化・液状化させた後、該液状化物に不溶化生成剤として、1)不溶性水酸化物生成剤、2)炭酸塩生成剤、3)不溶性テトラフェニルホウ酸塩生成剤及び3)ヨウ化銀(AgI)生成剤の内、不溶性水酸化物生成剤を含む二つ以上を同時的または経時的に添加し、不溶化物を生成させて固相移行(分離)させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ポリマー系の低レベル放射性廃棄物の減容化を目的とする低レベル放射性廃棄物の処理方法及び処理プラントに関する。特に非ハロゲン系有機ポリマーを含有する低レベル放射性廃棄物を超臨界水反応により分解気化・液状化して、全体量を減容化するのに好適な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所で代表される放射性物質取扱施設から発生する低レベル放射性廃棄物の多くは、ゴム手袋、放射線防護服、内装シート、ALARA(As Low As Reasonably Achievable)シート等の有機ポリマー系のものがほとんどである。ここで、有機ポリマー(有機高分子)とは、無機ポリマー(無機高分子)に対する語であって、プラスチック、熱可塑性エラストマー、天然ゴム、合成ゴム、さらには、天然繊維、合成繊維、紙等を含む概念である。
【0003】
これらの有機ポリマー系廃棄物は、圧縮、焼却、溶融等の工程を経てモルタル(又はコンクリート)で固めてドラム缶(200L)内に詰めて、埋設しているのが現状である。
【0004】
しかし、埋設箇所は限定されるため、これらの廃棄物の減容化は重大な課題である。そこで本発明者らは、有機ポリマー系の低レベル放射性廃棄物を減容化処理する方法として、下記構成の触媒(酸化ルテニウム)の存在下で超臨界水を用いて分解する技術を応用した下記処理方法を提案した(特許文献1・非特許文献1・2等参照)。
【0005】
「超臨界水において酸化ルテニウム(IV)を触媒として用い、高分子化合物を気体に変換すると共に、これに付着していた放射性の鉄およびコバルト等の放射性金属を(水)不溶性酸化物に変換し、然る後、ガラス固化を図った後に廃棄するようにした低レベル放射性廃棄物の処理方法。」
しかし、特許文献1、非特許文献1・2等には、放射性核種としてストロンチウム、テクネチウム、ヨウ素、セシウム等の低レベル放射性廃棄物処理方法、低レベル放射性廃棄物を、非塩素系と塩素系の難燃物を分けて処理すること、及び、酸化物で沈殿可能でない放射性核種の沈降分離する技術については、何ら開示若しくは示唆されていない。
【0006】
また、本発明の発明性に直接影響を与えるものではないが、放射性廃棄物を超臨界水反応で分解後の液相中の、Co60等の放射性核種を、水酸化鉄とともに共沈・分離する技術が非特許文献3に記載されている。
【特許文献1】特開2003−232891号公報(請求項1等)
【非特許文献1】W.Sugiyama et.al "An extreme disposition method for low-level-radioactive wastes supercritical water(2)", The 2nd International Symposium Supercritical Fluid Technology for Energy and Enviromental Applications SUPER GREEN 2003 Proceedings,Nagoya Univ. November 9-12, 2003, p180-182
【非特許文献2】杉山亘他「超臨界水を用いた低レベル放射性廃棄物の処理手法(3)」日本原子力学界2003年秋の大会予稿集、2003年9月24日、p542
【非特許文献3】山田他「超臨界水を用いた放射性廃イオン交換樹脂処理システム」、(社)火力原子力発電発電技術学会発行「火力原子力発電」2002年7月号No.550Vol.53、p47〜55
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記にかんがみて、有機ポリマー系の低レベル放射性廃棄物を酸化ルテニウム触媒存在下の分解反応により減容化処理するに際して、高減容化可能な低レベル放射性廃棄物の処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的(課題)を解決するために、本発明者らは、鋭意開発に努力をした結果、下記構成の低レベル放射性廃棄物の処理方法に想到した。
【0009】
有機ポリマー系の低レベル放射性廃棄物を、酸化ルテニウム触媒の存在下で超臨界水反応させることで、前記低レベル放射性廃棄物を分解気化・液状化させ、該低レベル放射性廃棄物に含まれている放射性核種のうち少なくともテクネチウム、ニッケル及びストロンチウムのいずれか一種以上の不溶化物を生成させて固相移行(分離)させることを特徴とする。又は、
有機ポリマー系の低レベル放射性廃棄物を、酸化ルテニウム触媒とを超臨界水反応させることで、低レベル放射性廃棄物を分解気化・液状化させた後、該液状物に不溶化物生成剤として、1)不溶性水酸化物生成剤、2)不溶性炭酸塩生成剤、3)不溶性テトラフェニルホウ酸塩生成剤及び3)ハロゲン化銀生成剤の内、一つ以上を使用し、不溶化物を生成させて固相移行(分離)させることを特徴とする。
【0010】
上記不溶性水酸化物生成剤は通常アルカリ及び/又はアルカリ土類の水酸化物の群から選択することが望ましい。
【0011】
上記不溶性炭酸塩生成剤は、通常、アルカリ及び/又はアルカリ土類の炭酸塩の群から選択することが望ましい。
【0012】
上記不溶性テトラフェニルホウ酸塩生成剤としては、テトラフェニルホウ酸ナトリウムを使用することが望ましい。
【0013】
上記超臨界水反応に際して、該超臨界水に非放射性酸化鉄 (水酸化鉄を含む。)を含有させることが望ましい。鉄族元素の固相移行割合が増大して、放射性鉄族核種の分離回収率(Fe、Ni、Coなど)が良好となる。また、ストロンチウムの分離回収率も15%であったものが92%となり(表9、10参照)、テクネチウムの分離回収率も良好となる。
【0014】
上記において、有機ポリマー系の低レベル放射性廃棄物を、分別した非ハロゲン系有機ポリマーとすることが望ましい。ハロゲン系有機ポリマーは、本発明における酸化ルテニウム触媒存在下での分解率が低いためである(約50%)。
【0015】
そして、上記低レベル放射性廃棄物の処理方法は、下記構成の処理プラントを用いて行うことが望ましい。
【0016】
低レベル放射性廃棄物(以下「放射性廃棄物」という。)の処理プラントであって、
前処理装置、超臨界水反応装置、不溶化分離装置、油水分離装置及び排ガス処理装置とを備えてなり、
前処理装置は、放射性廃棄物を粉砕する前処理可能とされ、
超臨界水反応装置は、酸化ルテニウム及び前処理された放射性廃棄物を導入して超臨界水反応可能とされ、
不溶化分離装置は、超臨界水反応後の液状化物を、不溶化物生成剤を導入し、放射性核種を固相移行可能とされ、
油水分離装置は、放射性廃液処理装置からの液成分を導入して油水分離可能とされ、さらに、
排ガス処理装置に、超臨界水反応処理後のガス(気相)成分を導入して、炭酸ガスと燃料成分に分離する可能とされている、ことを特徴とする。
【0017】
上記装置において、前記油水分離装置より分離された水分を、前記超臨界水反応装置へ循環供給させるための循環水供給装置を有する構成とすることが望ましい。反応に使用した水を循環使用することにより、水循環の可及的にクローズド化が可能となる。
【手段(構成)の詳細な説明】
【0018】
(1)本発明の有機ポリマー系低レベル放射性廃棄物(以下単に「放射性廃棄物」という。)の処理方法は、PVC等のハロゲン系有機ポリマーを含むものにも適用可能であるが、ハロゲン系有機ポリマーを含まない非ハロゲン系有機ポリマーのみからなる放射性廃棄物に適用することが、前述の理由により本発明の効果が顕著となる。
【0019】
ここで非ハロゲン系有機ポリマーとしては、ポリエチレン(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等の非極性、飽和ポリエステル(PET、PBT)、ポリアミド(PA)、アクリル樹脂(PMMA)、セルロースエステル(CA)等の極性の各樹脂系・繊維系ポリマー、さらには、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM)等の天然・合成ゴムを材料とする廃棄物を挙げることができる。そして、通常、原子力発電所等では、ハロゲン系高分子(PVC等)と非ハロゲン系高分子材料とは、当初から分別保管していることが多い。
【0020】
(2)超臨界水反応とは、超臨界水(Tc:374.1K、Pc:22.1MPa以上)で、反応させることをいう。そして酸化ルテニウム(IV)存在下で超臨界水反応では、有機ポリマー廃棄物の可燃・難燃を問わず、短時間で完全に分解して可能であることを確認している(特許文献1段落(0007)参照)。すなわち、有機物を酸化分解すると、難分解性であっても、有機物を構成する炭素は二酸化炭素に、水素は水に分解される。
【0021】
このときの反応条件は、放射性廃棄物の処理量、酸化ルテニウム触媒の添加量により異なるが通常、温度673〜773Kで、圧力31〜53MPa、時間5〜180minとする。
【0022】
そして、酸化ルテニウム(IV)(RuO2)の添加量は、5〜70g/L、望ましくは7〜50g/Lとする。超臨界水反応により放射性廃棄物中の放射性核種のうち、鉄、コバルト、ニッケルの大部分とストロンチウム及びテクネチウムの一部が回収可能となる。
【0023】
(3)上記酸化ルテニウム超臨界水反応により分解気化・液状化により生成した液状化物に含まれている放射性核種は、該液状化物に不溶化物生成剤を添加して、不溶化物を生成させて固相移行(分離)させる。ここで、液状化物とは、液体及び液体中に固形微粒子が分散しているものを含む概念である。また、分離の態様としては、通常、沈殿(沈降分離)により行うが、遠心分離、蒸発、晶析、濾過、固体抽出等任意である。
【0024】
ここで、不溶化物生成剤とは、液状化物中の放射性核種と主として反応不溶化させるものであるが、凝集剤(フロック剤)のようなものも含む概念である。
【0025】
不溶化物生成剤としては、1)不溶性水酸化物生成剤、2)不溶性炭酸塩生成剤、3)不溶性テトラフェニルホウ酸塩生成剤及び4)ハロゲン化銀生成剤を挙げることができ、通常、全てを使用するが、望ましくは、1)不溶性水酸化物生成剤、さらに望ましくは2)不溶性炭酸塩生成剤を必須として、適宜選択可能である。
【0026】
そして、後述の如く、上記3)、4)の添加工程は、液状化物を塩基(アルカリ)性にする必要があるため、不溶化物生成剤の添加により液状化物が塩基性となる1)及び2)の添加工程を先に行うことが望ましい。
【0027】
上記1)不溶性水酸化物(酸化物)生成剤は、通常、水溶性のアルカリ及び/又はアルカリ土類金属水酸化物となる群、すなわち、アルカリ及び/又はアルカリ土類金属水酸化物またはそれらの酸化物の群から選択する。これらの内で、アルカリ金属水酸化物、さらには、KOH、NaOH等が好適に使用できる。それらの添加量は、不溶性水酸化物(酸化物)が生成(沈殿)可能な中性域から塩基性域になる量とする。したがって、超臨界水反応処理後の液状化物が不溶性水酸化物を生成可能な中性域以上であれば、当該不溶性水酸化物生成剤の添加は改めて行う必要はない。
【0028】
不溶性水酸化物として沈殿させることのできる放射性核種は、下記のようなものを挙げることができる。これらの内には、半減期が長くて放射性廃棄物中の残存率の高い放射性鉄(Fe)、放射性ニッケル(Ni)、放射性コバルト(Co)、放射性クロム(Cr)、放射性ストロンチウム(Sr)、放射性テクネチウム(Tc)が含まれており有効な固相移行(沈殿分離)法である。
【0029】
放射性鉄(Fe)、放射性コバルト(Co)、放射性ニッケル(Ni)、放射性ベリリウム(Be)、放射性マグネシウム(Mg)、放射性ストロンチウム(Sr)放射性アルミニウム(Al)、放射性カルシウム(Ca)、放射性チタン(Ti)、放射性バナジウム(V)、放射性クロム(Cr)、放射性マンガン(Mn)、放射性銅(Cu)、放射性亜鉛(Zn)、放射性ガリウム(Ga)、放射性イットリウム(Y)、放射性ジルコニウム(Zr)、放射性ニオブ(Nb)、放射性ルテニウム(Ru)、テクネチウム(Tc)、放射性パラジウム(Pd)、放射性銀(Ag)、放射性カドミウム(Cd)、放射性インジウム(In)、放射性スズ(Sn)、放射性ランタン(La)、放射性セリウム(Ce)、放射性サマリウム(Sm)、放射性ユウロピウム(Eu)、放射性ガドリニウム(Gd)、放射性テルビウム(Tb)、放射性ジスプロシウム(Dy)、放射性エルビウム(Er)、放射性ツリウム(Tm)、放射性イッテルビウム(Yb)、放射性ルテチウム(Lu)、放射性ハフニウム(Hf)、放射性金(Au)、放射性水銀(Hg)、放射性鉛(Pb)、アクチニウム(Ac)、トリウム(Th)、ウラン(U)、プルトニウム(Pu)とアメリシウム(Am)。
【0030】
上記2)不溶性炭酸塩生成剤としては、通常、アルカリ及び/又はアルカリ土類の水溶性炭酸塩(水素塩を含む。)の群から選択する。これらのうちで、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムを好適に使用できる。それらの添加量は、放射性核種の含有量により異なるが、例えば、Na2CO3(1N)水溶液の場合、過剰量(モル比で10倍)を添加する。
【0031】
ここで、炭酸塩として不溶化物を生成(沈殿)させることのできる放射性核種は、下記ののようなものを挙げることができる。これらの内には、半減期が長くて放射性廃棄物中の残存率の高く、かつ、水酸化物としてはさほど沈殿し難いストロンチウム(Sr)が含まれており、有効な固相移行(沈殿分離)法である。
【0032】
放射性マグネシウム(Mg)、放射性カルシウム(Ca)、放射性マンガン(Mn)、放射性鉄(Fe)、放射性ニッケル(Ni)、放射性銅(Cu)、放射性亜鉛(Zn)、放射性ストロンチウム(Sr)、放射性イットリウム(Y)、放射性銀(Ag)、放射性カドミウム(Cd)、放射性バリウム(Ba)、放射性ランタン(La)、放射性サマリウム(Sm)、放射性ガドリニウム(Gd)、放射性ジスプロシウム(Dy)、放射性イッテルビウム(Yb)、放射性水銀(Hg)、放射性鉛(Pb)とウラン(U)。
【0033】
上記3)不溶性テトラフェニルホウ酸塩生成剤(以下「不溶性TFB塩生成剤」)としては、通常、テトラフェニルホウ酸ナトリウム(以下「TFB−Na」)を使用する。TFB−Naは、アルカリ金属を効果的に沈殿させる試薬であり、その添加量は、該試薬により沈殿する放射性核種(アルカリ金属)の含有量により異なるが、通常、過剰量(モル比で2倍)を添加する。
ここで、TFB塩として沈殿させることのできる放射性核種は、下記のようなものを挙げることができる。これらの内には、半減期が長く放射性金属として残存率の高く、かつ、上記水酸化物や炭酸塩としては沈降しないCsが含まれており、有効な沈殿剤である。
【0034】
放射性カリウム(K)、放射性ルビジウム(Rb)、放射性セシウム(Cs)、放射性タリウム(Tl)。
【0035】
上記4)ハロゲン化銀生成剤は、通常、硝酸銀を使用する。それらの添加量は、溶出放射性金属の量により異なるが、例えば、AgNO3(1M/L)水溶液の場合、過剰量(モル比で2倍)を添加する。
ここで、ハロゲン化銀として沈殿させることのできる放射性核種は、下記のようなものを挙げることができる。これらの内には、放射性廃棄物中の残存率の高く、かつ、上記各不溶化物生成剤では不溶化させ難いヨウ素(I)が含まれており、有効な沈降剤である。
【0036】
放射性ヨウ素(I)、放射性臭素(Br)、放射性フッ素(F)
(4)上記において、該超臨界水に非放射性酸化鉄(III)(水酸化鉄を含む。)を添加させることが望ましい。その添加量は、放射性コバルト等の放射性鉄族元素の含有量により異なるが、モル比で、850〜1000倍とする。水酸化鉄の固相を液状化物中に存在させることにより、放射性鉄族核種の固相移行割合が増大して、鉄族元素の分離効率が増大する。
【0037】
(5)本発明の低レベル放射性廃棄物(以下「放射性廃棄物」という。)の処理方法は、図1〜6に示すような構成の処理プラントを用いて行うことが望ましい。
【0038】
なお、図3・6では硝酸ナトリウム(酸化剤)による超臨界水反応(多段酸化)に使用する反応装置(反応容器)(B)及びそれに対応する不溶化分離装置、油水分離装置等を接続した図であるが硝酸多段酸化処理法のシステムは必然的ではない。しかし、酸化ルテニウム触媒法と硝酸多段酸化法とを併用することが、非ハロゲン系とハロゲン系を同時に処理する際に、効率処理が可能となる。
【0039】
本発明のプラントは、基本的に1)前処理装置12、2)超臨界水反応装置14、3)不溶化分離装置16、3)油水分離装置18、及び4)排ガス処理装置19を備えている。
【0040】
上記1)前処理装置12は、前記放射性廃棄物を粉砕するとともに酸化ルテニウム(IV)を混合する前処理可能とされている。前処理装置12に使用する粉砕装置(粉砕手段)としては、放射性廃棄物の空中飛散抑制及び分解効率の見地から、通常、1〜30mmの大きさに裁断可能な中間粉砕機を使用することが望ましい。この、粉砕時に酸化ルテニウムを同時混合して、超臨界水反応装置14に投入可能としてもよい。図2に前処理系(システム)の一例を示す。
【0041】
上記2)超臨界水反応装置(反応容器)14は、酸化ルテニウム(IV)及び前処理された前記放射性廃棄物を導入して超臨界水反応可能とされている。すなわち、超臨界状態を形成可能な加熱手段と加圧手段とを備えている。そして、該反応装置14には、前処理装置12と、適当な輸送手段(スクリュー、ポンプ等)を介して前処理物(粉砕物)を定量供給可能に投入装置20とを備えた前処理系21が接続されるとともに、純水供給系22及び不溶化物生成剤供給系26が接続されている。なお純水供給系22には純水予熱器28を備えている。また、図3に多槽の超臨界水反応装置14のシステムの一例を示す。
【0042】
不溶化分離装置16は、超臨界水反応後の液状物を、該生成液状物に放射性核種不溶化物生成剤を導入して放射性核種を反応不溶化して沈殿分離操作可能とされている。図4の不溶化分離装置のシステムの一例を示す。
【0043】
上記油水分離装置18は、前記不溶化分離装置からの液相(沈殿残液)を導入して油水分離可能とされている。ここで油水分離装置は沈降分離装置や遠心分離装置等の汎用装置を使用可能である。そして、前記油水分離装置18より分離された水は、前記超臨界水反応装置へ循環供給させるための循環水供給装置(再利用水タンク)30及び給水予熱器32を経て超臨界水反応装置14に戻す。また油水分離装置18より分離された油分は、超臨界用反応装置用燃料又は廃棄処分とする。図5に油水分離装置システム図の一例を示す。
【0044】
上記排ガス処理装置19は、超臨界水反応処理で発生したガス成分を導入して、炭酸ガスと燃料成分に分離可能とされている。分離手段としては、特に限定されないが、アルカリ及び/又はアルカリ土類水酸化物(例えば、苛性ソーダ)の水溶液中をガス成分を通過させることによって、簡単に行える。なお、分離後の燃料成分は、通常、超臨界水反応装置用燃料として使用するが、タンク等に貯留しておいて別用途として使用してもよい。図6に排ガス処理装置19のシステム図の一例を示す。
【0045】
上記プラントを使用しての放射性廃棄物処理の概略は、下記の如くである。
【0046】
1)超臨界水反応装置(反応容器)内に、非塩素有機ポリマー系の低レベル放射性廃棄物、酸化ルテニウム(IV)、非放射性水酸化鉄(酸化鉄)(III)を加え超臨界水反応を実施する。常温まで降温後、有機ポリマー分解に由来する気体を排気筒より放出する。反応容器内に、非放射性水酸化鉄が酸化鉄となることで、放射性の鉄、コバルト、ニッケル、ストロンチウムの沈殿が形成し保持されると共に、処理後の水溶液と有機ポリマー分解により発生する油分が保持される。
【0047】
2)上記反応容器内容物(液状化物)を沈殿槽などで構成する不溶化分離装置(放射性廃液処理装置)に移送し、触媒である酸化ルテニウムを回収する。その後、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムの水溶液を添加することにより放射性ストロンチウムを沈殿させる。この操作により、放射性廃液は弱アルカリ性となる。弱アルカリ性となった放射性廃液にテトラフェニルホウ酸ナトリウム水溶液を添加することで放射性セシウムが沈殿し、硝酸銀水溶液を添加することで放射性ヨウ素が沈殿する。
【0048】
3)放射性物質を沈殿させた後、沈殿槽(不溶化分離装置)から液相を油水分離装置に移送し、油分と水溶液に分離する。
<実験例>
【0049】
以下、本発明の効果を確認するために行った代表的放射性核種の不溶化分離における固相移行割合を測定した実験例について説明する。
【0050】
また、本実験に使用した放射性・非放射性水酸化鉄は、いずれも、塩化鉄(III)六水和物から合成したものであり、その配合質量は該FeCl3・6H2Oからの換算値である。
(1)放射能測定を反応前に添加した放射性物質、超臨界水反応後の固体(固相)、液体(液相)、気体(気相)について実施した。さらに、反応後の液体に不溶化物生成剤を添加後の固体(固相)、液体(液相)、について実施した。
【0051】
放射能測定に用いたGe半導体γ線スペクトロメータはORTEC Inc., GEM-28185-Pである。代表的な測定時間についてであるが、実験前の全放射性物質は30min、放射能が高い固体又は液体は30min、放射能が低い固体又は液体は1h、気体は12hである。バックグラウンド測定は12hである。
【0052】
放射性物質の固相、液相、気相の各相への移行割合を、下記に数式(1)を定義して求めた。
【0053】
phase=Aphase/(Asol+Aliq+Agas)・・・(1)
ここで、Dphaseは各相の移行割合を示す。すなわちDsol、Dliq及びDgasはそれぞれ固相、液相および気相への各移行割合を示す。また、Aphaseは各相の放射能を、Asol、Aliq、Agasはそれぞれ固相、液相、気相における放射能を示す。実験後の各相の放射能についてであるが、放射性物質の半減期(1)を考慮するため実験前に添加した放射性物質の放射能を測定した時刻に換算し決定した。
【0054】
測定器を補正するために放射線源のユウロピウム−152を用いた。放射能を測定する場合には、天然に存在する放射性元素(バックグラウンド)に由来する測定誤差を考慮する必要がある。以下に記す結果には測定誤差を付記する。なお、測定誤差の考え方を付録に記す。測定位置による誤差を無くすために、各試料測定は常に同じ位置で実施した。
(2)結果及び考察
<実験例1:放射性鉄について>
放射性水酸化鉄としその添加質量を変化させた実験を図7に従って実施した。
【0055】
各相への移行割合を示す表1から、反応後の液相にはほとんど放射性鉄が存在していないことが分かる。
【0056】
【表1】

<実験例2:放射性コバルト>
図7において、キャリヤーを放射性水酸化コバルトとしその添加質量を変化させた実験を実施した。
【0057】
移行割合を示す表2から、コバルトは、固体に移行するが液体にも少なからず移行することが分かる。
【0058】
【表2】

反応後の液相に溶解するコバルトを固相(固体)として回収することについて、図7に示す手法に従って、非放射性水酸化鉄:200mg、CoCl2・6H2O:0.5mg、Co−60 0.5mol/L HCl水溶液:数滴を添加した実験を実施した。
【0059】
移行割合を示す表3から、コバルトの固相への移行割合は鉄のみの場合(表1)と同等になることが分かる。このことは、水溶液中のCo(II)が水酸化鉄(Fe(OH)3)で共沈することに他ならない。したがって、溶液中のコバルトを固相(固体)として回収する場合には、Fe(OH)3を添加することが有効であることが分かる。
【0060】
【表3】

<実験例3:放射性セシウムについて>
図7において、キャリヤーを非放射性硝酸セシウムとしその添加質量を変化させた実験を実施した。
【0061】
各相への移行割合を示す表4の結果から、セシウムはほとんど液相に移行することが分かる。セシウムの物理化学的性質として気体に成りやすい性質が知られているが、セシウムは気体には移行しないことが分かる。さらに興味深い結果として、固相に移行することが示唆された。このため、過剰の水で固相(沈殿物)を良く洗浄後、遠心機を用いて上澄み液(液体)と固体(固相)に分離した。この操作を10回程度繰り返し、その都度、固相の放射能測定を実施したが、やはり固相にセシウムを確認する結果を得た。したがって、触媒のルテニウムが水溶液中のセシウムを沈殿させる能力を有すると考えられる。
【0062】
【表4】

このため、酸化ルテニウム(IV)触媒添加量とセシウムの固相への移行割合に依存性が
あると考えて、上記実験手法において、キャリヤーとしての硝酸セシウムを無添加とするとともに5倍の酸化ルテニウム(IV)触媒添加量(150mg)に増加させた実験を実施し
た。
【0063】
放射性セシウムの移行割合を示す表5から、固相への移行割合が飛躍的に高くなることが分かる。したがって、溶液中のセシウムを固相として回収するには酸化ルテニウム(IV
)触媒の添加量を増加させることが有効である。
【0064】
【表5】

しかし、触媒添加量を増加させることは本処理手法のコストを増加させることになる。したがって、他の手法により水溶液中のセシウムを固相として回収することを検討した。
【0065】
水溶液中のセシウムはテトラフェニルホウ酸ナトリウムで沈殿することが公知である(「岩波理化学事典第5版」204p参照)。このことにより、テトラフェニルホウ酸ナトリウム水溶液で放射性セシウムを沈殿させる実験を、上記手法で得た反応液状化物(10mLプラスチック製試験管に回収したもの。)について、図9に示す実験手法に従って実施した。
【0066】
すなわち、水3mLを入れたプラスチック製試験管に一定量(0.5mg、5mg)の非放射性硝酸セシウムを投入し、前述のセシウム−137塩酸水溶液1滴を加え良く撹拌した。別のプラスチック製試験管に水1mLを入れセシウムに対して過剰mol濃度となるテトラフェニルホウ酸ナトリウム(キシダ化学株式会社製、特級試薬)を添加し良く撹拌した。このテトラフェニルホウ酸ナトリウム水溶液を1滴ずつ放射性セシウム溶液に加え、1mL全てを添加した。その結果、白色微粉末沈殿が形成された。
【0067】
この懸濁液を遠心機で固相と液相に分離した。テトラフェニルホウ酸ナトリウムは、水溶液が酸性の場合には化学構造が破壊されてしまうためである。しかし、アルカリ性水溶液では安定である。
【0068】
したがって、0.1M/L及び0.01M/Lの各炭酸水素ナトリウム水溶液を用いた実験も実施した。
【0069】
移行割合を示す表6から、中性、アルカリ性を問わず、水溶液中のセシウムは完全に固相に移行することが分かる。したがって、テトラフェニルホウ酸ナトリウムは水溶液中のセシウムを固相として回収する物質として有効であることが支持される。
【0070】
【表6】

<実験例4:放射性ヨウ素について>
図7において、キャリヤーを非放射性ヨウ化ナトリウムとしその添加量を変化させた実験を実施した。
【0071】
移行割合を示す表7から、ヨウ化ナトリウム(NaI)として添加した放射性ヨウ素は気体にまったく移行せず、ほとんどが液相に移行することが分かる。興味深い結果として、NaI質量が0.5mgの実験で特に顕著であったが、固相としてヨウ素が回収されることである。これは、回収した沈殿物を過剰の水とアセトンで良く洗浄し遠心機で固相と液相に分離する操作を5回実施したが、最終的に回収した固相からヨウ素−131に由来するγ線を確認した。
【0072】
【表7】

次に、放射性ヨウ化銀(AgI)をキャリヤーとした実験を同様にして行った。それらの結果を示す表8から、ヨウ化銀が本反応で分解することが示唆される。つまり、固体として添加したにも関わらず、液相に移行する。投入した放射性ヨウ化銀は黄色であったが、固相は黒色であった。なお、発生する気体にはヨウ素は移行しないこともわかった。
【0073】
ヨウ化銀が分解する理由であるが、下記化学式1の標準電極電位が-0.1524V (vs SHE)であることから、AgIはFe(III)やCo(III)と比較して還元されにくい。したがって、還元とは別の反応によって分解すると考えられる。
【0074】
【化1】

AgIの融点は552℃である。超臨界水の反応温度は450℃なので融点まで約100℃の状態にあり、超臨界水という非常に過酷な条件下にあるため、下記化学反応式のように分解して酸化銀(I)になると考えられる。
【0075】
2AgI(固体)+H2O(超臨界水)→Ag2O(固体)+2I-+2H+
油分残渣がヨウ素特有の黄色を帯びることから、ヨウ素イオンの一部分は分解途中の難燃物に取り込まれるものと考えられる。
【0076】
処理後の液相に存在するヨウ素を回収する場合には、硝酸銀水溶液を添加し、ヨウ化銀とすることが有効である。ヨウ化銀の溶解度積(Ksp)は(log10Ksp=-16.08)であり、非常に水に難溶である。
【0077】
【表8】

<実験例5:放射性ストロンチウムについて>
図7において、キャリヤーを放射性・非放射性炭酸ストロンチウムとしそれらの添加量を変化させ実施をした。
【0078】
移行割合を示す表9から、固体の放射性炭酸ストロンチウムは溶液に移行することがわかる。炭酸ストロンチウムの溶解度は0.9mg / 100g水 (25℃)であることから、難溶性の炭酸塩であると言える。結果から、液相にも放射性ストロンチウムが存在するため炭酸ストロンチウムは超臨界水処理により分解すると考えられる。
【0079】
放射性ストロンチウムは酸化ルテニウム(IV)触媒超臨界水処理後に難燃物が分解する
ことにより発生する気体には含まれていない。したがって、低レベル放射性廃棄物にストロンチウムが含まれている場合にも、ストロンチウムは反応装置内に保持されると考えられる。
【0080】
【表9】

処理後の液相に放射性ストロンチウムが存在することから、これを固相として回収する実験を、図7においてキャリヤーをそれぞれ1)固体の放射性炭酸ストロンチウムと2)液状の放射性硝酸ストロンチウムに下記組成の如く大過剰の水酸化鉄添加したものとし実施した。
【0081】
1)放射性炭酸ストロンチウム(固体):0.5,5mg
水酸化鉄(III):200mg
2)放射性硝酸ストロンチウム(1M/L硝酸水溶液):10μL
非放射性硝酸ストロンチウム:5mg
水酸化鉄(III):200mg
放射性炭酸ストロンチウム及び放射性硝酸ストロンチウムにおける各結果を表10・11にそれぞれ示す。それらの結果から、ストロンチウムがある程度以上、反応装置内に含まれている場合、ストロンチウムは水酸化鉄により固相として回収可能であることがわかった。
【0082】
【表10】

【0083】
【表11】

水溶液中のストロンチウムを炭酸ナトリウム水溶液及び炭酸水素ナトリウム水溶液を用いて炭酸ストロンチウムの沈殿を形成させた実験を、図13に示す手法に従って行った。
【0084】
それらの結果を示す表12及び表13から、炭酸ナトリウム(水溶液)及び炭酸水素ナトリウム(水溶液)は、ストロンチウムを固相(沈殿)として回収するのが有効であることが分かる。
【0085】
【表12】

【0086】
【表13】

【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の超臨界水反応を用いた低レベル放射性廃棄物プラント(システム)の一例を示す概略流れ図である。
【図2】同じく前処理系のシステムの一例図である。
【図3】同じく超臨界水反応装置のシステムの一例図である。
【図4】同じく不溶化分離装置のシステムの一例図である。
【図5】同じく油水分離装置のシステムの一例図である。
【図6】同じく排ガス処理装置のシステムの一例図である。
【図7】放射性核種における各相位相割合の測定における超臨界水反応実験の手法を示す流れ図である。
【図8】テトラフェニルホウ酸ナトリウム水溶液の水溶液中セシウム回収実験の手法を示す流れ図である。
【図9】放射性炭酸ストロンチウムと水酸化鉄の共沈実験の手法を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0088】
12・・・前処理装置
14・・・超臨界水反応装置
16・・・不溶化分離装置
18・・・油水分離装置
19・・・排ガス処理装置
22・・・純水供給系
24・・・水酸化鉄供給系
28・・・純水予熱器
30・・・再利用水タンク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機ポリマー系の低レベル放射性廃棄物を、酸化ルテニウム触媒の存在下で超臨界水反応させることで、前記低レベル放射性廃棄物を分解気化・液状化させ、該低レベル放射性廃棄物に含まれている放射性核種のうち少なくともテクネチウム、ニッケル及びストロンチウムのいずれか一種以上の不溶化物を生成させて固相移行(分離)させることを特徴とする低レベル放射性廃棄物の処理方法。
【請求項2】
有機ポリマー系の低レベル放射性廃棄物を、酸化ルテニウム触媒の存在下で超臨界水反応させることで、前記低レベル放射性廃棄物を分解気化・液状化させた後、該液状化物に不溶化物生成剤として、1)不溶性水酸化物生成剤、2)不溶性炭酸塩生成剤、3)不溶性テトラフェニルホウ酸塩生成剤及び4)ハロゲン化銀生成剤のうち1つ以上を使用することを特徴とする低レベル放射性廃棄物の処理方法。
【請求項3】
前記不溶性水酸化物生成剤をアルカリ及び/又はアルカリ土類の水酸化物の群から選択することを特徴とする請求項2記載の低レベル放射性廃棄物の処理方法。
【請求項4】
前記不溶性炭酸塩生成剤をアルカリ及び/又はアルカリ土類の水溶性炭酸塩(炭酸水素塩を含む。)の群から選択することを特徴とする請求項2記載の低レベル放射性廃棄物の処理方法。
【請求項5】
前記不溶性テトラフェニルホウ酸塩生成剤をテトラフェニルホウ酸ナトリウムとすることを特徴とする請求項2記載の低レベル放射性廃棄物の処理方法。
【請求項6】
前記ハロゲン化銀生成剤を、硝酸銀とすることを特徴とする請求項2記載の低レベル放射性廃棄物の処理方法。
【請求項7】
前記超臨界水反応に際して、超臨界水に非放射性酸化鉄(水酸化物を含む。)を含有させることを特徴とする請求項1又は2記載の低レベル放射性廃棄物の処理方法。
【請求項8】
前記有機ポリマー系の低レベル放射性廃棄物を、分別した非ハロゲン系有機ポリマーとすることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の低レベル放射性廃棄物の処理方法。
【請求項9】
低レベル放射性廃棄物(以下「放射性廃棄物」という。)の処理プラントであって、
前処理装置、超臨界水反応装置、不溶化分離装置、油水分離装置及び排ガス処理装置とを備えてなり、
前記前処理装置は、前記放射性廃棄物を粉砕する前処理可能とされ、
前記超臨界水反応装置は、酸化ルテニウム及び前処理された前記放射性廃棄物を導入して超臨界水反応可能とされ、
前記不溶化分離装置は、超臨界水反応で発生した液状化物を、不溶化物生成剤を導入し、放射性核種を固相移行可能とされ、
前記油水分離装置は、前記不溶化分離装置からの液成分を導入して油水分離可能とされ、さらに、
前記排ガス処理装置は、超臨界水反応処理で発生したガス成分を導入して、炭酸ガスと燃料成分に分離可能とされている、
ことを特徴とする低レベル放射性廃棄物処理プラント。
【請求項10】
前記油水分離装置より分離された水分を、前記超臨界水反応装置へ循環供給させるための循環水供給装置を有することを特徴とする請求項9記載の低レベル放射性廃棄物処理プラント。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−84237(P2006−84237A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−267357(P2004−267357)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【出願人】(502045057)
【Fターム(参考)】