説明

有機リン酸中毒の治療用の医薬組成物

(i)カルバマート、(ii)第一抗コリン作用薬、(iii)第二抗コリン作用薬及び(iv)ピリジニウム塩を含む医薬組成物。この医薬組成物は、神経ガス及び殺虫剤中毒を含む、有機リン酸中毒の治療のために適している。この医薬組成物は、神経ガスの致命的影響に対して有効な治療を与え、無能力化の影響から有効な保護を与え、前処置の使用を必要としない。この医薬組成物を含むキットも記載され、特許請求されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬組成物及び有機リン酸中毒の治療のためのこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
有機リン酸は、殺虫剤及び神経ガスを含む高毒性の化合物の1種である。神経ガスは、化学戦争薬剤としてのこれらの可能性のある使用及び更に最近はテロリズムに於けるこれらの可能性のある使用のために、軍隊集団及び市民集団の両方に対する危険性を有する。また、有機リン酸殺虫剤の普及した使用に対する増大しつつある心配が存在する。これらの殺虫剤は、農業、家庭、公園及び獣医業務に於いて使用され、これらの全ては、ヒトに対して或るレベルの毒性を示す。両タイプの有機リン酸は、末梢及び中枢アセチルコリンエステラーゼ(AChE)を不可逆的に阻害することによって作用し、この結果、ムスカリン性受容体及びニコチン受容体の過刺激を起こす、アセチルコリンの急速な蓄積になる。中毒の徴候には、分泌過多、痙攣、呼吸逼迫、昏睡及び死が含まれる。有機リン酸中毒からこれら危険状態を治療し、保護するために、適切な医療対策を特定し、開発する必要がある。
【0003】
これら危険状態は、前処置と即時治療との組合せによって、神経ガスの影響から保護することができる。例えば、個人にピリドスチグミン前処置が施され、これは、コンボペン(ComboPen)(登録商標)自動注入器(メリディアン・メディカル・テクノロジーズ社(Meridian Medical Technologies Inc.)、米国メリーランド州)からの3回以下の投与で達成される、硫酸アトロピン(ムスカリン拮抗薬)、メシル酸プラリドキシム(P2S;ピリジニウムオキシム)及びアビザフォン(avizafone)(抗痙攣性ジアゼパムの水溶性プロドラッグ)の薬物組合せによる後曝露治療(post−exposure treatment)によって支持される。この薬物組合せは、神経ガス中毒の致命的影響に対して、モルモット(Leadbeaterら、Fund.Appl.Toxicol.、第5巻(1985年)、第S225−231頁)及び非ヒト霊長類(Dirnhuberら、J.Pharm.Pharmacol.、第31巻(1979年)、第295−299頁)を保護することが示されたが、これは、中毒に起因して観察される無能力化(incapacitation)に対して、あまり有効ではない。
【0004】
現在のアプローチでの及び一般的に前処置の使用での顕著な問題点は、前処置の適用が可能でないか又は実際的でない状況が存在することである。神経ガス脅威下にある連隊(Regiment)全体に前処置を施すことは可能であるけれども、感知したテロリズム脅威の間に一般国民の大部分に又は殺虫剤中毒の危険状態あるものに同じ前処置を施すことは、極めて実際的ではない。更に、前処置は、一般的に、健康な(中毒していない)個人に施され、これ自体、末梢コリンエステラーゼの一部を阻害し、そうして神経ガスによる不可逆阻害からこれを保護することによる副作用、例えば、ピリドスチグミン作用をもたらすかもしれない。従って、ピリドスチグミンは、性能を弱めることなく保護が確実に与えられるように、制御された用量で投与されなくてはならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
有機リン酸中毒の治療方法を更に特定する必要性が残っている。理想的には、このような治療は、神経ガスの致命的影響に対して保護する際に、現在の治療よりも有効でないとしても同等であろうが、無能力化の影響に対して改良された保護を示すであろう。前処置の必要なしに、1回用量治療として投与することができる治療を開発できれば、理想的であろう。
【0006】
今や、有機リン酸中毒の治療で有効であることが示された、新規な治療が開発されている。この治療は、1回用量として投与することができ、前処置の使用を必要としない薬物組合せを含む。実験結果は、ダンキン−ハートレイ(Dunkin−Hartley)モルモットに於いて、神経ガス中毒に対するこの新規な治療を試験することによって得られた。これらの結果は、この新規な治療が、GA及びGDを含む、神経ガスの致命的影響に対して保護し、また、中毒に続く無能力化を最小にすることを示している。更に、この結果は、この薬物組合せが、殺虫剤を含む広範囲の有機リン酸化合物からの中毒に対して有効であるらしいことを示唆している。
【0007】
この新規な治療は、幾つかの利点を有する。この新規な薬物組合せは、神経ガスの致命的影響に対して保護する際に、少なくとも現在の治療と同様に有効であり、無能力化の影響に対してより大きい保護を与える。この治療は、1回用量治療として施すことができ、これを前処置の必要なしに施すことができるという追加の利点を有する。
【0008】
本発明の目的は、神経ガス及び殺虫剤を含む、有機リン酸による中毒の治療のための新規な医薬組成物を特定することである。本発明の他の目的は、この医薬組成物が、神経ガス中毒の致命的影響からの保護を提供することである。本発明の追加の目的は、この医薬組成物が、神経ガス中毒の無能力化影響からの、改良された保護を提供することである。また、本発明の目的は、1回用量治療として施すことができる薬物治療を提供することである。本発明の更なる目的は、用量が前処置の使用を必要としない、薬物治療を提供することである。本発明の更に他の目的は、ヒトを含む哺乳動物に於ける有機リン酸中毒の治療方法であって、有効量の医薬組成物の投与を含む方法を提供することである。本発明のこれらの及び他の目的は、下記の開示に照らして明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第一側面に従って、本発明は、
(i)カルバマート、
(ii)第一抗コリン作用薬、
(iii)第二抗コリン作用薬及び
(iv)ピリジニウム塩
を含む医薬組成物に関する。
【0010】
第二側面に従って、本発明は、
(i)カルバマート、
(ii)第一抗コリン作用薬、
(iii)第二抗コリン作用薬及び
(iv)ピリジニウム塩
を含み、それぞれの成分が、同時に、逐次的に又は別々に投与されるキットに関する。
【0011】
第三側面に従って、本発明は、神経ガス及び殺虫剤を含む有機リン酸による中毒の治療用の薬物の製造のための、
(i)カルバマート、
(ii)第一抗コリン作用薬、
(iii)第二抗コリン作用薬及び
(iv)ピリジニウム塩
を含む医薬組成物の使用に関する。
【0012】
第四側面に従って、本発明は、ヒトを含む哺乳動物に於ける有機リン酸中毒の治療方法であって、有効量の
(i)カルバマート、
(ii)第一抗コリン作用薬、
(iii)第二抗コリン作用薬及び
(iv)ピリジニウム塩
を含む医薬組成物を投与することを含む方法に関する。
【0013】
発明の詳細な説明
本明細書中に引用した全ての刊行物は、他の方法で示さない限り、これらの全部を参照により本明細書中に取り込まれる。
【0014】
本発明の要素を、以下更に詳細に説明する。
【0015】
本発明の化合物の幾つかは、非対称的に置換された炭素原子を含んでいてよい。このような非対称的に置換された炭素原子は、特に非対称的に置換された炭素原子での立体異性体の混合物又は単一の立体異性体を含む、本発明の薬物になり得る。この結果、本発明の化合物のラセミ混合物、ジアステレオ異性体の混合物及び単一のジアステレオ異性体は、本発明に含まれる。
【0016】
本発明は、
(i)カルバマート、
(ii)第一抗コリン作用薬、
(iii)第二抗コリン作用薬及び
(iv)ピリジニウム塩
を含む医薬組成物に関する。
【0017】
本明細書で使用されるとき、用語「カルバマート」は、塩及びウレタンを含むエステル(カルバミン酸のエチルエステル)を含む、カルバミン酸の誘導体を意味する。カルバマートは、アセチルコリンエステラーゼの部分的阻害により、アセチルコリンの分解を遅くする、このような誘導体の何れであってもよい。カルバマートは、カルバミン酸エステル又はこの医薬適合性の塩であることが好ましい。このようなエステルには、これらに限定されないが、リバスチグミン、ネオスチグミン、ピリドスチグミン、フィゾスチグミン、米国特許第5,081,117号明細書に記載されているもののようなフィゾスチグミンの誘導体、チアフィゾベニン(thiaphysovenine)及びこのアナログ(米国特許第5,378,723号明細書に記載されているようなもの)、フェンセリン(phenserine)及びこのアナログ(米国特許第5,171,750号明細書に記載されているようなもの)並びにこれらの医薬適合性の塩が含まれる。カルバマートは、フィゾスチグミン又はこの誘導体であることが好ましい。適切なカルバマートには、また、カルバマート、例えばノルフィゾスチグミン(norphysostigmine)の代謝物並びにアセチルコリンの破壊を遅くする他の代謝物及びこの医薬適合性の塩が含まれる。カルバマートはサリチル酸フィゾスチグミンであることが最も好ましい。
【0018】
本明細書で使用されるとき、用語「抗コリン作用薬」は、神経伝達物質アセチルコリンの作用の部分的又は全体的遮断阻害を引き起こす、あらゆるの化学薬品、薬物又は薬物効果を意味する。
【0019】
本発明の医薬組成物の第一抗コリン作用薬は、抗ニコチン効果及び/又は抗ムスカリン効果を示すコリン様作用性アルカロイドであることが好ましい。適切な抗コリン作用薬には、これらに限定されないが、アニソトロピン、アトロピン、ベラドンナ、クリニジウム(clinidium)、ジシクロミン、グリコピロレート、ホマトロピン、ヒヨスチアミン、メペンゾラート、メタンテリン、メトスコポラミン、ピレンゼピン、プロパンテリン及びヒヨスチン(スコポラミンとしても知られている)が含まれる。この抗コリン作用薬は、アプロフェン(aprophen)、アトロピン、アザプロフェン(azaprophen)、ベナクチジン、ビペリデン、プロシクリジン、ヒヨスチン及びこれらの医薬適合性の塩からなる群から選択されることが好ましい。抗コリン作用薬は、ヒヨスチンの医薬適合性の塩、例えば臭化水素酸ヒヨスチンであることが更に好ましい。
【0020】
第二抗コリン作用薬は、第一抗コリン作用薬について上記列挙したものの何れであってもよい。第二抗コリン作用薬は、第二抗コリン作用薬が第一抗コリン作用薬に対して異なるように、アプロフェン、アトロピン、アザプロフェン、ベナクチジン、ビペリデン、プロシクリジン、ヒヨスチン及びこれらの医薬適合性の塩からなる群から選択されることが好ましい。第一抗コリン作用薬及び第二抗コリン作用薬は、同じ抗コリン作用薬の異なる塩であってよい。第二抗コリン作用薬は、ヒヨスチンの医薬適合性の塩であることが更に好ましい。第一抗コリン作用薬が臭化水素酸ヒヨスチンであるとき、第二抗コリン作用薬はメチル硝酸ヒヨスチン(hyoscine methyl nitrate)であることがなお更に好ましい。
【0021】
本発明の医薬組成物のピリジニウム塩は、好ましくは、一般式:
【0022】
【化5】

(式中、Rは、水素、低級アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールオキシ、シクロアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、イミノ、ニトロ、シアノ、カルバミル、ホルミル、ピリジニウム、アルキルピリジニウム及びアルコキシピリジニウムからなる群から選択される。)
のピリジニウムオキシムである。
【0023】
ピリジニウム塩は、少なくとも1個のオキシム官能基を含有するモノ若しくはビス−ピリジニウム化合物であるか又はこのようなオキシムのデ−オキシミノメチルアナログであることが好ましい。ピリジニウム塩は、式I:
【0024】
【化6】

(式中、R1は、水素及び−CONHからなる群から選択され、R2は、水素、−CONH、−COC及び−COC11からなる群から選択され、R3は、水素及び−CHNOHからなる群から選択される。)
に従った化合物並びにこの医薬適合性の誘導体及び医薬適合性の塩、
式II:
【0025】
【化7】

(式中、Zが酸素であるとき、R4は、水素、−CHNOH及び−C(CHからなる群から選択され、Zが−CH−であるとき、R4は、水素及び−CHNOHからなる群から選択される。)
に従った化合物及びこの医薬適合性の塩、
式III:
【0026】
【化8】

に従った化合物並びにこの医薬適合性の誘導体及び医薬適合性の塩、
式IV:
【0027】
【化9】

に従った化合物並びにこの医薬適合性の誘導体及び医薬適合性の塩、
並びにこれらの混合物からなる群から選択されることが更に好ましい。
【0028】
ピリジニウム塩は、式I(式中、R1、R2及びR3は、全て水素であるか又はR1は水素であり、R2は−CONHでありそしてR3は水素であるか又はR1は−CONHでありそしてR2及びR3は水素である。)に従ったビス−ピリジルオキシム化合物である。当業者によって容易に合成することができる適切な化合物の例には、これらに限定されないが、French,M.C.、Wetherell,J.R.及びWhite,P.D.T.、Eur.J.Pharmacol.、第91巻(1983年)、第399頁に記載されているもの、特に、1−(2’−ヒドロキシイミノメチル−1’−ピリジニウム)−3−(1”−ピリジニウム)−2−オキサプロパンジカチオン(一般的に当該技術分野に於いてHS14として知られている。)並びに(1−(2’−ヒドロキシイミノメチル−1’−ピリジニウム)−3−(3”−カルバモイル−1”−ピリジニウム)−2−オキサプロパンジカチオン(一般的に当該技術分野に於いてHS6として知られている。)及びこの構造異性体である(1−(2’−ヒドロキシイミノメチル−1’−ピリジニウム)−3−(4”−カルバモイル−1”−ピリジニウム)−2−オキサプロパンジカチオン(一般的に当該技術分野に於いてHSI6として知られている。)の医薬適合性の塩が含まれる。ピリジニウム塩は、HI6の医薬適合性の塩であることが、なお更に好ましい。
【0029】
(i):(ii)の重量比が約1:5から約1:20の範囲内であり、(i):(iii)の重量比が約1:5から約1:20の範囲内であり、(i):(iv)の重量比が約1:200から約1:800の範囲内であり、(ii):(iii)の重量比が約1:2から約2:1の範囲内であり、(ii):(iv)の重量比が約1:20から約1:80の範囲内であり、及び(iii):(iv)の重量比が約1:20から約1:80の範囲内であることが好ましい。(i):(ii):(iii):(iv)の比が約1:10:10:500であることが更に好ましい。
【0030】
本発明の医薬組成物には、追加的に、第五の薬物化合物(以下薬物添加物と呼ぶ)、例えば第二ピリジニウム塩が含有されていてよい。適切な薬物添加物の例には、これらに限定されないが、前記列挙したピリジニウム塩のいずれかが含まれる。薬物添加物は、式II(式中、Zは酸素であり、R4は、水素、−CHNOH及び−C(CHからなる群から選択される)に従ったビス−ピリジニウムオキシムの医薬適合性の塩であることが好ましい。薬物添加物は、トキソゴニン(toxogonin)の医薬適合性の塩であることが、更に好ましい。また、薬物添加物は、医薬組成物のピリジニウム塩とは異なったピリジニウム塩であることが好ましい。医薬組成物のピリジニウム塩がHI−6であるとき、薬物添加物がトキソゴニンであることが、更に好ましい。
【0031】
薬物添加物の医薬組成物に対する重量比が、1:4から1:20の範囲内であることが好ましい。薬物添加物の医薬組成物に対する重量比が、1:6から1:12の範囲内であることが更に好ましく、約1:8の範囲内であることがなお更に好ましい。
【0032】
本発明の医薬組成物を製造するために、無機酸又は有機酸から誘導された塩の形で化合物を使用することが必要であろう。このような塩は、配合者によって望まれるように、水溶性、油溶性又は分散性である物質に至り得る。有機塩には、下記のものに限定されないが、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、炭酸塩、ジグルコン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩及びウンデカン酸塩が含まれる。医薬適合性の塩を形成するために使用できる無機酸の例には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸が含まれる。医薬適合性の塩には、これらに限定されないが、アルカリ金属及びアルカリ土類金属、例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム塩等をベースにするカチオンが含まれる。更に、塩基性窒素含有基は、低級アルキルハロゲン化物、例えば、メチル、エチル、プロピル及びブチルの塩化物、臭化物及びヨウ化物、硫酸ジアルキル、例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチル及び硫酸ジアミル、長鎖ハロゲン化物、例えば、デシル、ラウリル、ミリスチル及びステアリルの塩化物、臭化物及びヨウ化物、アラルキルハロゲン化物、例えば、臭化ベンジル及び臭化フェネチルなどのような試薬によって、四級化することができる。四級化剤の好ましい例には、アンモニア又は有機第一級、第二級若しくは第三級アミンが含まれる。
【0033】
本発明は、また、
(i)カルバマート、
(ii)第一抗コリン作用薬、
(iii)第二抗コリン作用薬及び
(iv)ピリジニウム塩
を含み、この4種の成分は、これらを、同時に、逐次的に又は別々に投与することができるように包装されているキットに関する。
【0034】
別の実施態様に於いて、このキットには、
(i)ピリジニウム塩並びに
(ii)第一抗コリン作用薬、第二抗コリン作用薬及びカルバマートを含む医薬組成物
が含まれ、ここで(i)及び(ii)は、同時に、逐次的に又は別々に投与される。
【0035】
他の実施態様に於いて、このキットには、更に、同時に、逐次的に又は別々に添加したとき、医薬組成物の作用を促進又は改良することができる薬物添加物が含有されている。薬物添加物が医薬組成物に分離して追加される場合、これは、医薬組成物の投与の6時間以内に追加されることが好ましい。この添加物は医薬組成物の投与の4時間以内に追加されることが更に好ましく、これは、2時間以内に追加されることがなお更に好ましい。薬物添加物は、上記のピリジニウム塩の何れであってもよいが、これはトキソゴニンの薬物塩であることが好ましい。
【0036】
医薬組成物及びキットに関するこれらの実施態様のそれぞれに於いて、成分を、適切な形態、例えば、固体剤形、液体剤形又は注射可能剤形で配合することが好ましい。
【0037】
経口投与のための固体剤形には、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤及び顆粒剤が含まれてよい。このような固体剤形に於いて、活性成分は、少なくとも1種の不活性希釈剤、例えば、スクロース、ラクトース若しくはデンプン又はこれらの混合物と混合することができる。このような剤形には、また、通常の実施であるように、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、ステアリン酸マグネシウムのような滑剤が含まれてよい。カプセル剤、錠剤及び丸剤の場合に、剤形にはまた、緩衝剤が含まれてよい。錠剤及び丸剤は、更に、腸溶剤皮付きで製造することができる。
【0038】
経口投与のための液体剤形には、水のような、当該技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤を含有する、医薬適合性のエマルジョン剤、水剤、懸濁剤、シロップ剤及びエリキシル剤が含まれてよい。このような組成物には、また、湿潤剤、乳化及び懸濁剤並びに甘味剤、矯味・矯臭剤及び芳香剤が含有されてよい。
【0039】
注射可能製剤、例えば、滅菌注射可能水性又は油性懸濁剤は、適切な分散又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して、公知の技術に従って配合することができる。滅菌注射可能製剤は、また、非毒性非経口的に許容される希釈剤又は溶剤中の滅菌注射可能溶液又は懸濁液、例えば、1/3プロパンジオール中の溶液であってよい。使用できる許容されるビヒクル及び溶剤の中には、水、リンゲル液及び生理食塩液がある。更に、滅菌不揮発性油が、溶剤又は懸濁媒体として一般的に使用される。この目的のために、合成モノ又はジグリセリドを含むあらゆる刺激のない不揮発性油を使用することができる。更に、オレイン酸のような脂肪酸が、注射性剤の製剤に於いて用途を見出している。
【0040】
医薬組成物には、また、最適配合を達成するために必要な他の成分が含有されていてよく、これらには、これらに限定されないが、保存剤、安定剤、賦形剤及び天然の又は合成のレシチンが含まれてよい。本発明の組成物には、また、リポソームが含まれてよい。当該技術分野で公知のように、リポソームは、一般的に、リン脂質又は他の脂質物質から誘導される。リポソームは、水性媒体中に分散された、単膜又は多重膜水和液晶によって形成されている。リポソームを形成することができる、あらゆる非毒性で生理学的に許容され、代謝性である脂質を使用することができる。
【0041】
この医薬組成物は、注射可能製剤として配合されることが好ましい。
【0042】
本発明は、また、神経ガス及び殺虫剤中毒を含む有機リン酸中毒の治療用の薬物の製造のための、この医薬組成物の使用に関する。この医薬組成物は、あらゆる適切な経路によって、有機リン酸による中毒の治療のために投与することができる。投与の方法は、組成物を含有するように製造された配合物の性質、中毒の種類及び酷度、患者などを含む幾つかの要因に依存するであろう。この治療は、これが、生じた中毒の種類のために有効な治療になるような、あらゆる医学的に適切な経路によって投与することができる。例えば、この治療は、神経ガス中毒の場合に、急速な応答を得るために筋肉内又は静脈内注射によって投与することができる。代わりの例として、この治療は、殺虫剤からのような、あまり酷くない種類の有機リン酸中毒のために一層適切である、経口で、皮内で又は鼻腔内で投与することができる。最も有効で及び/又は急速な応答を得るために、この医薬組成物を静脈内で又は筋肉内で投与することが好ましい。この医薬組成物は、筋肉内で投与することが更に好ましい。
【0043】
他の側面に従って、本発明は、有効量のこのような医薬組成物の投与を含む、ヒトを含む哺乳動物に於ける有機リン酸中毒の治療方法に関する。全ての特定の患者のための特定の用量は、使用する化合物の活性、体重、健康、性、食事、投与の時間、投与の経路、排泄の速度、薬物組合せ及び疾患状態の酷度を含む、種々の要因に依存するであろうことが理解されるであろう。
【0044】
使用方法には、患者が有機リン毒の源泉に曝露された直後に又は中毒の最初の徴候の際に直ちに、患者に治療化合物の最初の用量を投与することが含まれることが好ましい。治療は、曝露の10分以内に、好ましくは5分以内に、更に好ましくは3分以内に、なお更に好ましくは2分以内に、最も好ましくは1分以内に施すことが更に好ましい。曝露と治療の実施との間の時間の長さは、患者を、有機リン中毒のための前処置で治療したか否かに依存するであろう。しかしながら、この治療は、曝露の前に、どのような前処置を施したか否かに無関係に使用することができる。特に、前処置と関連させてこの治療を使用するとき、両方の効果が付加的であり、例えば、前処置を受けた人は、より少ない酷度の中毒の徴候を示し、この治療を施した際に一層急速に回復するであろう。
【0045】
薬物添加物を、医薬組成物とは分離して投与する場合、添加物を、医薬組成物の投与の6時間以内、好ましくは4時間以内、更に好ましくは2時間以内に追加することが好ましい。
【0046】
本発明を、添付する略図を参照して、実施例によって特に説明する。
【0047】
(実施例)
これらの実施例は、本発明の範囲内である好ましい実施態様を更に示す。これらの実施例は、単に例示の目的のために示され、本発明の多数の変形が、この精神又は範囲から逸脱することなく可能であるので、本発明の限定として解釈されるべきではない。
【0048】
材料及び方法
全ての実験は、動物(科学的手順)法(Animals (Scientific Procedures) Acts)1986年に基づくプロジェクトライセンスの条件に従って実施した。
【0049】
雄ダンキン−ハートレイモルモット(300から350g)を、食餌ペレット及び水に自由にアクセスできるようにし、少量の干し草を与えた。神経ガスチャレンジの13日前に、全ての動物に、局所麻酔(2%キシロカイン0.07mL、皮下)で、認識/温度トランスポンダー(バイオメディック・データ・システムズ社(Biomedic Data Systems Inc.)、米国)を、皮下に移植した。それぞれの動物の温度及び体重を、一般的良好な健康の指標として毎日測定した。この動物を5日間実験室内に1匹で収容し、この後神経ガスを与えた。この室の照明は、24時間明:暗サイクル(06:00から18:00時に明)で300ルックスであり、室温は18から20℃であり、湿度は30から50%であった。
【0050】
有機リン酸神経ガスである、ピナコリルメチルホスホノフルオリダート(pinacolyl methyl phosphonofluoridate)(GD)及びジメチルホスホノシアニダート(dimethyl phosphonocyanidate)(GA)を、公知の方法(例えば、「有機リン化学戦薬品の化学(The Chemistry of Organophosphorus Chemical Warfare Agents)」、第4巻、F.R.Hartley編、John Wiley社、1996年刊の第10章参照)を使用して、防衛科学技術研究所(Defence Science and Technology Laboratory)(Dstl)、(ポートン・ダウン(Porton Down)、英国)で、約95%純度に製造し、イソプロパノール中の約5.0mg/mL溶液として貯蔵した。サリチル酸フィゾスチグミン、臭化水素酸ヒヨスチン及びメチル硝酸ヒヨスチンは、シグマ社(Sigma)から得た。二塩酸塩としてのHI6((1−(2’−ヒドロキシイミノメチル−1’−ピリジニウム)−3−(4”−カルバモイル−1”−ピリジニウム)−2−オキサプロパン)は、DRDC(Defence Research and Development、カナダ国サフィールド(Suffield))から贈り物として得た。神経ガス及び薬物は、生理食塩水中の適切な濃度(0.9%)にした。
【0051】
モルモットを、5×LD50のGD(135μg/kg)及びGA(625μg/kg)で皮下的にチャレンジさせた。治療薬物は、中毒後1分で、一緒にした1回注射として筋肉内に投与した(0.33mL/kg)。動物を24時間まで綿密に観察し、あらゆる観察された症状を、下記のように特徴付けた。
【0052】
(a)−症状無し
(b)−軽度の症状
(c)−中度の無能力化
(d)−重度の無能力化
(e)−死
中毒後5時間、6時間及び24時間で、あらゆる動物を体重及び温度によって点検した。20%よりも大きい体重低下、低温度を示した又はなお中毒の臨床的症状を示していたあらゆる動物を殺した(一般的に、「ヒト終点」として定義される。)。24時間後に健康であると見られた動物を、更に7日間モニターした。モルモットが治療を受けなかった対照サンプルを、それぞれの実験のために使用し、試験サンプルについて上記したものと正確に同じ条件及び観察に付した。
【実施例1】
【0053】
上記のプロトコルを使用して、モルモットを5×LD50のGDでチャレンジを受けさせ、1分後に、サリチル酸フィゾスチグミン(0.2mg/kg)、臭化水素酸ヒヨスチン(2mg/kg)、メチル硝酸ヒヨスチン(2mg/kg)及びHI−6(二塩酸塩)(93.6mg/kg)を含む1回用量で治療した。
【0054】
結果
GD中毒の1分後に治療を受けた6匹の動物の全ては、5分以内に軽度又は中度の症状を発生した(図1a)。二つのケースで、30分後に重度の無能力化まで悪化した。しかしながら、1時間後に、6匹全ての動物は軽度の症状のみを示し、24時間後に6匹の内5匹は症状を示さなかった。6匹全ての動物は、7日後に健康であると観察された。
【0055】
この実験に於いて6匹の対照サンプルを使用した(図1b)。中毒後5分以内に全て重度の無能力化を示し、12分を超えて動物は全く生き残らなかった。
【実施例2】
【0056】
上記のプロトコルを使用して、モルモットを5×LD50のGAでチャレンジを受けさせ、1分後に、サリチル酸フィゾスチグミン(0.2mg/kg)、臭化水素酸ヒヨスチン(2mg/kg)、メチル硝酸ヒヨスチン(2mg/kg)及びHI−6(二塩酸塩)(93.6mg/kg)を含む1回用量で治療した。
【0057】
結果
GA中毒の1分後に治療した7匹のサンプルの全ては、1時間以内に重度の無能力化を示した(図2a)。7匹全部は、3時間以内に中度の症状のみを示して改善された。1匹の動物は5時間で死んだが、他の6匹は改善し続け、24時間で軽度又は中度の症状のみを示していた。24時間で残った6匹の動物の内、2匹を、48時間後に、ヒト終点に到達したので間引いた。残りの4匹の動物は、7日後に健康であると観察された。
【0058】
6匹の対照サンプルを使用した(図2b)。5分以内に全ての動物について、重度の無能力化又は死が観察され、6分を超えて生き残りは残らなかった。
【実施例3】
【0059】
上記のプロトコルを使用して、4組のモルモットを5×LD50のGAでチャレンジを受けさせ、1分後に、サリチル酸フィゾスチグミン(0.2mg/kg)、臭化水素酸ヒヨスチン(2mg/kg)、メチル硝酸ヒヨスチン(2mg/kg)及びHI−6(二塩酸塩)(93.6mg/kg)を含む1回用量で治療した。更に、この組の2組を、曝露の4時間後及び2時間後に、薬物添加物であるトキソゴニン(11.7mg/kg)で治療した。第四組のモルモットを、初期治療と同時に11.7mg/kgで治療した。
【0060】
結果
GA中毒の1分後に治療した全てのサンプルは、1時間以内に重度の無能力化を示した(図3aからd)。薬物添加物を受け取らなかったサンプルの組は、3から6時間以内に中度の症状を示すまで回復した(図3a)。1匹の動物は4時間で死に、他の2匹は、24時間後に死ぬか又は殺した。残りの4匹の動物は、7日後に健康であると観察された。4時間後にトキソゴニンを受け取った動物は、同様の回復時間を示し(図3b)、4から6時間後に経度乃至中度の症状を示した。どのサンプルも死なないか又は間引きされず、全て7日後に健康であると観察された。図(3b)は、2時間後に薬物添加物を受け取った2匹の動物を示す。4時間で、共に経度の症状のみを示し、24時間以内に完全に回復した。図(3c)は、初期治療の一部としてトキソゴニンを受け取った動物を示し、全ての動物は2時間後に経度の症状のみを示した。全ての動物は、24時間で完全に回復した。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、神経ガスGDに曝露した後のモルモットへの影響を示す。図1(a)は、神経ガスに曝露して1分後に投与した、医薬組成物による治療後の、24時間に亘るモルモットへの神経ガスの影響を示し、中毒後7日までの生き残り時間を記録する。図1(b)は、治療を施さなかった対照サンプルへの同じ時間に亘る神経ガスの影響を示し、それぞれの対照サンプルの生き残り時間を記録する。
【図2】図2は、神経ガスGAに曝露した後のモルモットへの影響を示す。図2(a)は、神経ガスに曝露して1分後に投与した、同じ医薬組成物による治療後の、24時間に亘るモルモットへの神経ガスの影響を示し、中毒後7日までの生き残り時間を記録する。上記のように、図2(b)は、治療を施さなかった対照サンプルへの同じ時間に亘る神経ガスの影響を示す。
【図3】図3は、神経ガスGAに曝露した後のモルモットへの影響を示す。図3(a)は、神経ガスに曝露して1分後に投与した、医薬組成物による治療後の、24時間に亘るモルモットへの神経ガスの影響を示し、中毒後7日までの生き残り時間を記録する。図3(b)は、治療に、曝露後約4時間で、追加的に、薬物添加物であるトキソゴニンの投与が含まれるときの、モルモットへの影響を示す。図3(c)は、同じ薬物添加物を曝露後約2時間で投与したときの影響を示し、図3(d)は、薬物添加物を最初の治療の一部として追加したときの影響を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)カルバマート、
(ii)第一抗コリン作用薬、
(iii)第二抗コリン作用薬及び
(iv)ピリジニウム塩
を含む医薬組成物。
【請求項2】
カルバマートが、リバスチグミン、ネオスチグミン、ピリドスチグミン、フィゾスチグミン、フェンセリン、これらの誘導体及びこれらの医薬適合性の塩からなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
カルバマートがフィゾスチグミン又はこの医薬適合性の塩である、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
カルバマートがサリチル酸フィゾスチグミンである、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
第一抗コリン作用薬が、アプロフェン、アトロピン、アザプロフェン、ベナクチジン、ビペリデン、プロシクリジン、ヒヨスチン及びこれらの医薬適合性の塩からなる群から選択される、請求項1から4の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
第一抗コリン作用薬がヒヨスチン又はこの医薬適合性の塩である、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
第一抗コリン作用薬が臭化水素酸ヒヨスチンである、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
第二抗コリン作用薬が、これが第一抗コリン作用薬に対して異なっていることを特徴として、アプロフェン、アトロピン、アザプロフェン、ベナクチジン、ビペリデン、プロシクリジン、ヒヨスチン及びこれらの医薬適合性の塩からなる群から選択される、請求項1から7の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
第二抗コリン作用薬が、これが第一抗コリン作用薬に対して異なった塩であることを特徴として、ヒヨスチンの医薬適合性の塩である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
第二抗コリン作用薬がメチル硝酸ヒヨスチンである、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
ピリジニウム塩が、ピリジニウムオキシムであるか又はこのようなオキシムのデオキシミノメチルアナログである、先行請求項の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
ピリジニウム塩が、式I:
【化1】

(式中、R1は、水素及び−CONHからなる群から選択され、R2は、水素、−CONH、−COC及び−COC11からなる群から選択され、R3は、水素及び−CHNOHからなる群から選択される。)
に従った化合物及びこの医薬適合性の塩、
式II:
【化2】

(式中、Zが酸素であるとき、R4は、水素、−CHNOH及び−C(CHからなる群から選択され、Zが−CH−であるとき、R4は、水素及び−CHNOHからなる群から選択される。)
に従った化合物及びこの医薬適合性の塩、
式III:
【化3】

に従った化合物及びこの医薬適合性の塩、
式IV:
【化4】

に従った化合物並びにこの異性体及び医薬適合性の塩、
並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
ピリジニウム塩が、(1−(2’−ヒドロキシイミノメチル−1’−ピリジニウム)−3−(4”−カルバモイル−1”−ピリジニウム)−2−オキサプロパン)の医薬適合性の塩である、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
(i):(ii)の重量比が約1:5から約1:20の範囲内であり、
(i):(iii)の重量比が約1:5から約1:20の範囲内であり、
(i):(iv)の重量比が約1:200から約1:800の範囲内であり、
(ii):(iii)の重量比が約1:2から約2:1の範囲内であり、
(ii):(iv)の重量比が約1:20から約1:80の範囲内であり、及び
(iii):(iv)の重量比が約1:20から約1:80の範囲内である、請求項1から13の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
(i):(ii):(iii):(iv)の重量比が約1:10:10:500である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項16】
(i)カルバマート、
(ii)第一抗コリン作用薬、
(iii)第二抗コリン作用薬及び
(iv)ピリジニウム塩
を含み、それぞれの成分が、同時に、逐次的に又は別々に投与されるキット。
【請求項17】
(i)ピリジニウム塩並びに
(ii)第一抗コリン作用薬、第二抗コリン作用薬及びカルバマートを含み、(i)及び(ii)が、同時に、逐次的に又は別々に投与される、請求項15に記載のキット。
【請求項18】
神経ガス及び殺虫剤を含む有機リン酸による中毒の治療用の薬物の製造のための、
(i)カルバマート、
(ii)第一抗コリン作用薬、
(iii)第二抗コリン作用薬及び
(iv)ピリジニウム塩
を含む医薬組成物の使用。
【請求項19】
医薬組成物を、筋肉内、静脈内、皮内、鼻腔内又は経口で投与する、請求項17に記載の医薬組成物の使用。
【請求項20】
医薬組成物を静脈内又は筋肉内で投与する、請求項18に記載の医薬組成物の使用。
【請求項21】
医薬組成物を筋肉内で投与する、請求項19に記載の医薬組成物の使用。
【請求項22】
ヒトを含む哺乳動物に於ける有機リン酸中毒の治療方法であって、有効量の
(i)カルバマート、
(ii)第一抗コリン作用薬、
(iii)第二抗コリン作用薬及び
(iv)ピリジニウム塩
を含む医薬組成物を投与することを含む、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−505870(P2007−505870A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526680(P2006−526680)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003913
【国際公開番号】WO2005/027905
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(390040604)イギリス国 (58)
【氏名又は名称原語表記】THE SECRETARY OF STATE FOR DEFENCE IN HER BRITANNIC MAJESTY’S GOVERNMENT OF THE UNETED KINGDOM OF GREAT BRITAIN AND NORTHERN IRELAND
【Fターム(参考)】