説明

有機性廃棄物の再利用処理方法

【課題】 生ごみ等の有機性廃棄物を短時間の処理で、低コストの有機質肥料、土壌改良材、発酵促進材及び飼料として再利用することができる方法を提供する。
【解決手段】 密閉容器内において、有機性廃棄物を攪拌しながら加熱して、前記容器内の温度を、100乃至175℃に上昇させると共に、圧力を常圧を超え0.8MPa以下にさせて、有機性廃棄物の少なくとも一部を分解して細粒化させて、有機性廃棄物分解物の懸濁物を形成させ、次いで、密閉容器内を大気に開放して容器内の圧力を大気圧に戻し、前記細粒化した有機性廃棄物分解物の懸濁物に、配合材料を混合して、平均含水率を40乃至70重量%の前記有機性廃棄物分解物と前記配合材料の混合物を調製し、この調製された混合物を、大気圧下において、70℃乃至130℃の範囲内の温度に加熱しながら、通気して、該混合物の平均含水率を40%以下に乾燥して粉状物とする有機性廃棄物の処理方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗や家庭から排出される調理屑、残飯、売れ残りの弁当といった食品残渣を含む生ごみ及び魚のアラを含む魚腸骨などの海産廃棄物等の高含水率の有機性廃棄物等の再資源化のための再利用処理方法に関し、特に、前記有機性廃棄物を処理して、有機質肥料、土壌改良材、堆肥発酵促進材、家畜用、特に、家禽及びブタ用飼料及び養殖用飼料に適した粉状物とする処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生ごみ等の有機性廃棄物は、有機質肥料、土壌改良材、堆肥発酵促進材又は飼料に使用する目的で処理されている。このような生ごみ等の有機性廃棄物を処理して製造された有機肥料及び土壌改良材を利用した場合、従来の化学肥料及び農薬で疲弊した土壌を活性化させ、作物の根毛を増やして栄養分の吸収機能を増大させることができる。また、その作物の根の周囲には、代謝により剥落した根を利用する微生物が増殖し、また、この微生物の排出物を作物の根が吸収するという作物と共生関係にある微生物相を、根の表面及び周囲に形成させることができ、さらに、このように形成された前記微生物相は抗菌物質を産出して、フザリウム等の植物病原菌の繁殖を防ぐことができる。
【0003】
また、養殖産業においては、魚価の低迷による養殖用飼料に係る費用の削減のため、生魚に魚粉やビタミンを混ぜたモイストペレット及びドライペレットが主流になってきている。家畜用飼料は、牛海面状脳症(BSE)に端を発して、原料や製造所等について明確であることが要求されており、出所が明確で新鮮な食品廃棄物を家畜用飼料の原料とすることは家畜用飼料を廉価にするが、黴や腐敗を避けるために、保管上、乾燥状態としなければならない。
【0004】
生ごみ等の有機性廃棄物を加熱して有機肥料や家畜用及び養殖用飼料とする場合、生ごみ等の有機性廃棄物に窒素同化の機能を有する高温耐熱性菌を加えて、80〜100℃の温度に加熱して、生ごみ等の有機性廃棄物の窒素をアミノ酸に発酵させて、その後、温度を下げて乾燥して、有機質肥料又は飼料を製造することは、特開2001−347248号公報に示されている。
また、有機性廃棄物に米ヌカを微生物の栄養源として加えて、約40乃至80℃の温度で嫌気性及び好気性発酵処理を交互に行って、悪臭を発生させることなく、また含有される水分を発酵熱により蒸発させて、乾燥状態の肥料とする方法は、特開2001−276783号公報に示されている。そしてまた、有機性廃棄物を加熱分解し炭化して、肥料等に使用される炭を製造する方法は特開平09−14621号公報に示されている。
【特許文献1】特開2001−347248号公報
【特許文献2】特開2001−276783号公報
【特許文献3】特開平09−14621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、発酵法の場合、生ごみ等の含水率が高いときは、オガコや米ヌカ等を混ぜた上で、さらに好気性の高温醗酵用の醗酵菌を混入させることが必要であり、手間がかかり問題である。また、米ヌカ等を基質として、有機性廃棄物に混合する生ごみの醗酵処理は、醗酵に長時間を要して問題である。また、有機性廃棄物をマイクロ波で発火させずに加熱して熱分解させることにより炭化する方法は、電気消費量が高く、処理コストが非常に高くなるので問題である。
本発明は、生ごみ等の有機性廃棄物を処理して、有機質肥料、土壌改良材及び飼料として再利用する従来の方法において、処理に長時間を要し、コストが高くなるという問題点を解決することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、高い含水率の有機性廃棄物を湿潤状態で加圧加熱することにより短時間で分解させて、細粒化させることができることを発見した。また、この分解物は油分を多く含み、乾燥過程で凝集して塊状になり易いが、分解物懸濁物粒子の結着防止機能を有する配合材料を添加混合することにより、この乾燥時の分解物懸濁物粒子の塊状化を避けることができることをも発見した。さらに、前記細粒化した分解物は、土壌微生物の栄養分となって良質の有機肥料や土壌改良材として利用でき、さらにまた、家畜、特に家禽及びブタ類にとって、消化の良い飼料となることを発見した。また新鮮な海産廃棄物を原料とした場合は、安価な良質の養殖魚用の飼料原料となることを発見した。
本発明は、これらの発見に基づくものであり、生ごみ等の有機性廃棄物を短時間の処理で、低コストの有機質肥料、土壌改良材及び飼料として再利用することができる方法を提供することを目的としている。
また、本発明は、上記のような土壌改良を目的とした堆肥を製造するために、家畜の糞尿に混ぜて、短期間で発酵させるための発酵促進材として、有機性廃棄物を低コストで再資源化するための方法を提供することを目的としている。
【0007】
即ち、本発明は、有機性廃棄物を高温及び高圧下で分解した有機性廃棄物の分解物懸濁物を、該分解物懸濁物粒子の結着防止機能を有する配合材料の存在下で70℃乃至130℃の範囲内の温度に加熱しながら、通気して、その平均含水率を40%以下に乾燥して、有機性廃棄物を粉状物とすることを特徴とする有機性廃棄物の処理方法にあり、また本発明は、密閉容器内において、有機性廃棄物を攪拌しながら加熱して、前記容器内の温度を、100乃至175℃に上昇させ、容器内の圧力を常圧より高い圧力とすることにより、有機性廃棄物の少なくとも一部を分解して細粒化させて、有機性廃棄物分解物の懸濁物を形成させ、次いで、密閉容器内を大気に開放して容器内の圧力を大気圧に戻し、前記細粒化した有機性廃棄物分解物の懸濁物に、配合材料を混合して、平均含水率を40乃至70重量%の前記有機性廃棄物分解物と前記配合材料の混合物を調製し、この調製された混合物を、大気圧下において、70℃乃至130℃の範囲内の温度に加熱しながら、通気して、該混合物の平均含水率を40%以下に乾燥して粉状物とすることを特徴とする有機性廃棄物の処理方法にあり、さらに、本発明は、密閉容器内において、配合材料が配合されて含水率が40乃至70重量%に調整された有機性廃棄物を攪拌しながら加熱して、前記容器内の温度を、100乃至175℃に上昇させ、容器内の圧力を常圧より高い圧力とすることにより、有機性廃棄物の少なくとも一部を分解して細粒化させて、有機性廃棄物分解物の懸濁物を形成させ、次いで、密閉容器内を大気に開放して容器内の圧力を大気圧に戻し、次いで、大気圧下において、70℃乃至130℃の範囲内の温度に加熱しながら、通気して、該混合物の平均含水率を40%以下に乾燥して粉状物とすることを特徴とする有機性廃棄物の処理方法にあり、さらにまた、本発明は、密閉容器内において、有機性廃棄物を攪拌しながら加熱して、前記容器内の温度を、100乃至175℃に上昇させ、容器内の圧力を常圧より高い圧力とすることにより、有機性廃棄物の少なくとも一部を分解して細粒化し、次いで、密閉容器内を大気に開放して容器内の圧力を大気圧に戻し、前記細粒化した有機性廃棄物分解物の分析試料を採取し、分析試料採取された有機性廃棄物分解物に、配合材料を混合して、前記混合物の含水率を40乃至70重量%に調製し、この調製された混合物を、大気圧下において、70℃乃至130℃の範囲内の温度に加熱しながら、通気して、該混合物の平均含水率を40%以下に乾燥して粉状物とし、この粉状物に、前記分析試料についての成分分析により求めた前記有機性廃棄物分解物の成分組成において、飼料として不足する成分組成を、飼料用配合材料を混合して補うことを特徴とする有機性廃棄物の処理方法にある。
本発明において、配合材料は、有機性廃棄物分解物の細粒の結着防止機能を有する穀類又は豆類の廃材粉砕物又はこれら二種類以上の混合物であり、例えば、フスマ、米ヌカ若しくは大豆粕又はこれら二種類以上の混合物、又はこの混合物に、更に、もみ殻粉砕物、茸の廃菌床粉砕物、おがくず若しくは選定枝粉砕物又はこれら二種類以上の混合物を混合させたものとすることができる。また、飼料用配合材料としては、穀類、マメ、イモ類、植物油脂類、ヌカ類、製造粕類、動物質飼料又は油脂類の飼料又はこれら二以上の混合物であり、例えば、トウモロコシ粉砕物、大麦、小麦、フスマ、米ヌカ、アルコール粕類、コーングルテンフィード、コーングルテンミール若しくは大豆粕又はこれら二種類以上の混合物とすることができる。また、本発明において、成分の分析項目は、含水率、粗タンパク率、粗脂肪率若しくは粗灰分率又はこれらの二以上の分析項目とすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、有機性廃棄物の高温下の分解物懸濁物を、該分解物懸濁物粒子の結着防止機能を有する配合材料の存在下で70℃乃至130℃の範囲内の温度に加熱しながら、通気して、その平均含水率を40%以下に乾燥して、有機性廃棄物の細粒化された分解物を粉状物とするので、分解物は粉状物で乾燥された状態であり、取扱いが容易であり、更に、分解物の含水率を20重量%以下にすれば保存中の腐敗を避けることができ、好ましい。分解物は、原料の食材の動植物成分が低分子化されて、細粒化されるので、消化がし易い飼料であり、また、土壌に散布しても、微生物の栄養源となって、土壌の微生物を増殖させることができる。また、本発明は、密閉容器内において、有機性廃棄物を攪拌しながら加熱して、前記容器内の温度を、100乃至175℃に上昇させることにより、有機性廃棄物の少なくとも一部を分解して細粒化させて、有機性廃棄物分解物の懸濁物を形成させ、次いで、密閉容器内を大気に開放して容器内の圧力を大気圧に戻し、前記細粒化した有機性廃棄物分解物の懸濁物に、配合材料を混合して、平均含水率を40乃至70重量%の前記有機性廃棄物分解物と前記配合材料の混合物を調製し、この調製された混合物を、大気圧下において、70℃乃至130℃の範囲内の温度に加熱しながら、通気して、該混合物の平均含水率を40%以下に乾燥して粉状物とするので、有機性廃棄物を、短時間で加熱下及び該加熱に基づく圧力上昇下に分解させて、分解物懸濁物を製造することができる。この懸濁物は、結着防止機能を有する配合材料を添加混合して、加熱下に乾燥して、流動性を有する乾燥粉とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、密閉容器内において、有機性廃棄物を攪拌しながら加熱して、前記容器内の温度を、100乃至175℃に上昇させることにより、有機性廃棄物の少なくとも一部を化学的に分解して細かくさせる、即ち細粒化させることができ、有機性廃棄物分解物の懸濁物を形成させることができる。密閉容器内において、有機性廃棄物を攪拌しながら加熱して、前記容器内の温度を、100乃至175℃にすると、有機性廃棄物に含まれている水が蒸発して、前記容器内の空気と水蒸気により齎される圧力は、常圧を超え0.9MPa未満となる。本発明は、密閉容器内において、有機性廃棄物を攪拌しながら加熱して、前記容器内の温度を、100乃至175℃に上昇させると共に、前記容器内の圧力を常圧を超え0.9MPa未満、又は常圧を超え0.8MPa以下とすることとにより、有機性廃棄物を有機性廃棄物の少なくとも一部を化学的に分解して細粒化させることができ、有機性廃棄物分解物の懸濁物を形成させることができる。本発明においては、有機性廃棄物を、短時間で、加熱下及び該加熱に基づく圧力上昇下に分解させて、分解物懸濁物を製造することができる。この加熱分解後に、密閉容器内を大気に開放して容器内の圧力を大気圧に戻し、加熱分解により細粒化した有機性廃棄物分解物を含む懸濁物に、配合材料、特に、有機性廃棄物分解物の細粒の結着防止機能を有する配合材料を混合して、平均含水率を40乃至70重量%の前記有機性廃棄物分解物と前記配合材料の混合物を調製し、この調製された混合物を、大気圧下において、70℃乃至130℃の範囲内の温度に加熱しながら、通気することにより乾燥して、該混合物の平均含水率を40%以下の粉状物とすることができる。前記細粒化された有機性廃棄物分解物の懸濁液には油分が含まれており、その侭乾燥すると、粒子相互が結着して凝集塊を形成するが、前記結着防止機能を有する配合材料を混合させることにより、乾燥時における前記懸濁液中の油分の作用を緩和して、有機性廃棄物分解物の細粒の結着を防止し、流動性を有するさらさらとした乾燥物粉体を形成することができる。本発明において、有機性廃棄物は、3時間以下の加熱時間で分解させることができる。
【0010】
本発明において、前記結着防止機能を有する配合材料としては、フスマ、米ぬか及び脱脂処理された米ヌカ、若しくは大豆粕及び脱脂処理された大豆粕、もみ殻粉砕物、茸の廃菌床粉砕物、おがくず若しくは選定枝粉砕物又はこれら二種以上の混合物がある。
【0011】
本発明において、有機性廃棄物の含水率は一般に70重量%以上であるが、予備乾燥等の前処理をしないで、その侭処理されるのが、効率的であり、好ましい。有機性廃棄物の平均含水率が40%以下であると、有機性廃棄物の分解反応が著しく遅くなり、細粒化が遅れて好ましくない。有機性廃棄物の含水率が70重量%以上であると、乾燥工程で大量の水が蒸発することにより、乾燥後に得られる粉体状物の収量が少なくなり、非効率であるので、収集された生ごみ等の有機性廃棄物に、反応後に配合される前記結着防止機能を有する配合材料を、反応前に有機性廃棄物に加えて、その含水率を40%〜70%の範囲内に調整して、有機性廃棄物を含む反応混合物とすることができる。したがって、本発明においては、有機性廃棄物又は有機性廃棄物を含む反応混合物を、100乃至175℃の温度に加熱上昇させると共に、圧力を常圧を超え0.8MPa以下にさせて加熱分解処理を行うことができる。本発明においては、反応後の有機性廃棄物分解物に、前記結着防止機能を有する配合材料を加えて、その含水率を40%〜70%の範囲に調整して、有機性廃棄物分解物についての乾燥を行う。乾燥工程の前に、前記結着防止機能を有する配合材料を混合して、前記有機性廃棄物反応物と前記結着防止機能を有する配合材料の混合物の含水率を40%〜70%の範囲に調整すると、前記有機性廃棄物と前記結着防止機能を有する配合材料の混合物に含有される水分量が既知となり、乾燥に要する時間を割出すことが容易となる。
【0012】
本発明において、本体を密閉して本体内部が、予め設定された温度及び予め設定された圧力に到達するまで密閉状態で強制的に攪拌しながら加熱される。有機性廃棄物の高温高圧下の分解反応は、温度及び圧力が高くなるほど進行するが、分解物の品質劣化を少なくするために、この昇温昇圧工程及び反応工程における温度は、100℃から175℃内の温度であり、好ましくは100乃至130℃であり、さらに好ましくは、100乃至110℃である。また、この昇温昇圧工程及び反応工程における圧力は、常圧を超え0.9MPa未満の圧力、好ましくは常圧を超え0.8MPa以下の圧力、さらに好ましくは常圧を超え0.5MPa以下の圧力とるのが好ましい。本発明においては、昇温昇圧工程に続けて、本体の密閉下に、前記温度及び圧力を保ちつつ時々攪拌することにより、有機物を分解して細粒化させる分解工程を比較的短時間に行うことができる。さらに本発明においては、続く、本体内部の圧力を大気圧に減圧した後、該混合物を攪拌しつつ該混合物を、70℃から130℃の範囲の温度に加熱しながら外部からキャリア用空気を流入させて、即ち通気させて水分を含んだ内部の空気を外部に排気する乾燥工程で、比較的短時間で該混合物の含水率を40%以下に低下させることができる。この場合、乾燥工程で通気される外気は、適宜の手段により加熱することができる。
【0013】
本発明は、有機性廃棄物の熱分解物を養殖魚用の餌とする場合、新鮮な魚腸骨などの海産廃棄物の熱分解物に配合材料として、前記結着防止機能を有する配合材料の、例えば大豆粕及び米ヌカを用いて、短時間でモイストペレット用及びドライペレット用飼料原料とすることができる。本発明は、新鮮な有機性廃棄物を短時間で熱分解して細粒化して、細粒化された有機性廃棄物分解物とし、家畜の餌に再利用するものであり、分解物から採取したサンプルの成分を短時間で分析して、前記分解物の組成を求め、前記飼料用の配合材料を乾燥後の粉状の有機性廃棄物分解物に混合して、必要な製品の組成に合わせることができ、成分の安定した家畜用飼料を安価に提供することができる。また、本発明は、有機性廃棄物を短時間で熱分解して細粒化して有機性廃棄物分解物とし、この分解物を、肥料、土壌改良材及び発酵促進材等の製品に再利用するものである。
【0014】
本発明は、有機性廃棄物分解物を家畜の飼料とする場合は、有機性廃棄物分解物は、飼料として成分的に不足するから、有機性廃棄物分解物のサンプルを採取して、その含水率、粗タンパク率、粗脂肪率、粗繊維率及び/又は粗灰分率を分析し、その分析結果の含水率、粗タンパク率、粗脂肪率、粗繊維率及び/又は粗灰分率を、家畜の飼料の含水率、粗タンパク率、粗脂肪率、粗繊維率及び/又は粗灰分率と比較して不足する成分を求め、飼料としてその不足する成分を補うために、飼料用配合材料を配合する。本発明において、前記飼料用配合材料としては、例えば、1995年版の「日本標準飼料成分表」(中央畜産会発行)に示されている、穀類、マメ類、イモ類、植物性油脂類、ヌカ類、製造粕類、動物質飼料、又は油脂類の飼料又はこれら二種以上の混合物があり、例えば、魚粉、トウモロコシ粉砕品、大麦、小麦、フスマ、米ぬか、アルコール粕類、コーングルテンフィード、コーングルテンミール、若しくは大豆粕又はこれら二種以上の混合物がある。
【0015】
本発明において、前記結着防止機能を有する配合材料としては、フスマ、米ヌカ若しくは大豆粕又はこれら二以上を含む混合物がある。これら前記結着防止機能を有する配合材料の夫々についての、含水率、粗タンパク率、粗脂肪率、粗繊維率及び/又は粗灰分率は、日本標準飼料成分表に示されている。そこで目的の飼料の組成に対する有機性廃棄物分解物の組成上不足する成分及びその量は、放圧後に混ぜる前記結着防止機能を有する配合材料の一種以上を有機性廃棄物分解物に配合して、更に不足する成分を前記飼料用配合材料を前記乾燥後の粉状物に配合することにより、近似させることができる。
本発明においては、成分分析に用いる装置としては、短時間で分析結果が判る分析装置が適しており、このような分析装置としては、例えば、ケット(Kett)社製型式KJT−270のような近赤外分析計がある。
【実施例】
【0016】
以下に、添付図面を参照して、本発明の一実施例を説明するが、本発明は、以下の例示及び説明により何ら限定されるものではない。
図1は本発明の一実施例の有機性廃棄物の再資源化処理方法を実施する装置の概略を示す概念図である。
【0017】
例1
図1において、密閉可能に形成されている横型円筒状の有機性廃棄物処理装置Aの本体1の外周には、蒸気加熱用ジャケット2が設けられている。前記本体1の胴部3の上部には、有機性廃棄物及び前記結着防止機能を有する配合材料の投入口4が設けられている。前記配合材料の投入口部4は、配合材料投入後、蓋を閉じて気密性が保持できるように密閉可能な開閉構造に形成されている。外気取入口5には閉じたときに気密性を保持することができる外気取入れ用開閉弁6が設けられ、また同様に、排気口7にも閉じたときに気密性を保持することができる排気用開閉弁8が設けられている。本例においては、本体1の排気口7が設けられている側の端壁部9の下部には、蓋を閉じたときに気密性が保持できるように密閉可能な開閉構造に形成されている有機性廃棄物分解物取出し口10が設けられている。本体1の外気取入口5側の端壁部13には、シール部材14を備える軸受け部材15が、本体1の外側に突出て設けられており、また本体1の排気口7側の端壁部9には、シール部材11を備える軸受け部材12が、本体1の外側に突出て設けられている。両軸受け12及び15に回転可能に支持されて、本体1の内部を貫通して攪拌軸16が設けられている。
【0018】
本例において、前記攪拌軸16は、全長に亙って中空に形成されている。攪拌軸16の中空部17の壁部18には開口18が形成されており、該開口18を囲んで中空の攪拌羽根19が形成されている。本例においてを、中空の攪拌羽根19は複数段に設けられている。前記攪拌軸16の中空部17は、加熱用蒸気の流路に形成されており、前記攪拌軸16の中空部17に流入した蒸気は、開口18を通って攪拌羽根19の中空部20に流入して攪拌軸16及び攪拌羽根19を加熱する。加熱用蒸気ジャケット2及び攪拌軸16の中空部17は、夫々の流路21及び22を介して蒸気供給路23に接続している。蒸気供給路23は蒸気流量調節弁24を介して加熱用蒸気の蒸気供給源25に接続している。
【0019】
前記本体1の端壁9及び13において、前記攪拌軸16が貫通する部分には、夫々、本体内の気密性を保持するために、シール装置11及び14が付設されており、また、夫々、その外側には軸受12又は15が設けられている。該攪拌軸16は、その一方の端部に、駆動装置(図示されていない)にチェーン26を介して回転可能に連結されているスプロケット27が設けられており、回転軸16は、駆動装置の作動によりチェーン26を介して回転する。本例においては、本体1の排気口7が設けられている側の端壁部9の下部に有機性廃棄物分解物取出し口10が設けられているが、有機性廃棄物分解物取出し口10は、本体1の何れの側の端壁部に設けることができるので、攪拌軸16の駆動用スプロケットが設けられた側に対し反対側であれば、排気口7側の端壁部9の下部に設けてもよく、また、外気取入口5側の端壁部13下部に設けることができる。
【0020】
該本体1の下部には、本体内部の温度及び圧力を検出する温度検出器28が挿入されており、該温度及び圧力検出器29で測定された温度データ若しくは圧力データ又は温度データ及び圧力データは、温度信号線30及び/又は圧力信号線31を介して、温度及び圧力制御装置32に送られて、対応する設定された温度データ及び/又は圧力データと比較される。測定温度データが設定温度データよりも高いときは、温度及び圧力制御装置32は、信号線33を介して、蒸気流量調節弁24の開きを小さくするように制御して、加熱用蒸気の流量を少なくし、また、測定温度が設定温度よりも低いときは、温度及び圧力制御装置32は、信号線33を介して、蒸気流量調節弁24の開きを大きくするように制御して、加熱用蒸気の流量を大きくさせる。また、測定圧力データが設定圧力データよりも高いときは、温度及び圧力制御装置32は、信号線33を介して、蒸気流量調節弁24の開きを小さくするように制御して、加熱用蒸気の流量を少なくし、また、測定圧力データが設定温度データよりも低いときは、温度及び圧力制御装置32は、信号線33を介して、蒸気流量調節弁24の開きを大きくするように制御して、加熱用蒸気の流量を大きくさせる。
【0021】
そして、本例の有機性廃棄物処理装置Aは、以上のように構成されているので、先ず有機性廃棄物処理装置Aの本体1は、その外気取入れ用開閉弁6及び排気用開閉弁8が閉じられ、その有機性廃棄物分解物取出し口10が閉じられている。上部に付設された投入口部4の蓋部材34を開け、予め含水率が測定されている有機性廃棄物35を計量し、本体1内に投入して、投入口部4の蓋部材34を閉じる。そして、蒸気流量調節弁24を開いて、蒸気ジャケット2及び攪拌軸16の蒸気通路用中空部17に加熱用蒸気を供給し、投入された有機性廃棄物を加熱し、有機性廃棄物中の水分を蒸発させる。蒸気ジャケット2及び攪拌軸16の蒸気通路用中空部17への加熱用蒸気の供給を継続して、該本体1の内部温度若しくは内部圧力又は内部温度及び内部圧力を、本体に配置された温度検出器28及び/又は圧力検出器29により測定し、また、温度及び圧力制御装置32を作動させて、測定された温度及び/又は圧力に応じて、蒸気流量調節弁24の開閉を制御して、本体内の温度を、100℃から175℃内の予め設定された温度、例えば、105℃に到達させ、又は、本体内の圧力を常圧を超え0.8MPa以下の範囲内の予め設定された圧力、例えば、0.2MPaに到達させる(昇温昇圧工程)。さらに温度及び圧力制御装置32による該蒸気流量調節弁24の開度の制御を続けて、蒸気ジャケット2及び攪拌軸16の蒸気通路用中空部17への加熱用蒸気の供給を制御して、予め設定された温度及び/又は圧力下において、予め設定された時間中、攪拌軸16及び攪拌羽根19を回転させながら、有機性廃棄物を加熱処理して、有機性廃棄物を分解して細粒化する(分解工程)。予め設定された時間を経過したところで、排気口7の排気用開閉弁8を開いて、該本体1の内部を放圧して本体1内の圧力を大気圧と等しくさせる(放圧工程)。
【0022】
次に、有機性廃棄物処理装置Aの本体1の上部に付設された投入口部4の蓋部材34を開け、有機性廃棄物分解物を飼料に起用する場合は、有機性廃棄物分解物はサンプリングされて、採取したサンプルは分析される。本体1内の有機性廃棄物分解物に、所定量の、例えば米ぬか及び大豆粕等の配合材料を投入して、全体の含水率を40%から70%の範囲に調整し、蓋部材34を閉じる。外気取入れ用開閉弁6及び排気用開閉弁8を開き、排気用開閉弁8に流路36を介して接続する排気ファン37の運転を開始し、温度及び圧力制御装置32の設定温度を変えて、蒸気流量調節弁24の開きを制御して、該蒸気ジャケット2、該攪拌軸16の蒸気通路用中空部17及び攪拌羽根19の中空部20へ流入する蒸気流量を変えて、本体1内を70℃から130℃の範囲の温度に加熱すると共に、攪拌羽根19を回転させて、有機性廃棄物分解物中の水分を蒸発させて、排気ファン37の排気流路38から本体1外に排出される。本例において、排気流路38は脱臭焼却炉39に接続しており、排気流路38を流れる臭気を有するガスは、脱臭焼却炉39において、バーナー40の燃焼熱により熱分解され、燃焼され脱臭される。脱臭焼却炉39からの燃焼ガスは、脱臭焼却炉39の燃焼排ガス流路41が接続する熱交換器42に送入される。熱交換器42に送入された燃焼排ガスは、外気導入口43より熱交換器42の冷却管部44に送入され、外気排出口45から排出される外気により冷却されて排気管47から大気に排出される。熱交換器42において加熱された外気は外気排出口45から本体1の外気取入れ用開閉弁6に接続する加熱された外気用排出管46に排出され、外気取入れ用開閉弁6から本体1内に導入され、有機性廃棄物分解物の乾燥用ガスとして使用される。
【0023】
本例においては、有機性廃棄物分解物の乾燥用ガスとして使用され、水分の蒸発の際に、本体1に取込まれる外気は、運転温度に設定されている脱臭焼却炉39の燃焼排ガスにより加熱される。予め設定された時間中、有機性廃棄物分解物は蒸発処理されて、有機性廃棄物分解物の含水率は40%以下にされる(乾燥工程)。最終的に、有機性廃棄物分解物取出し口の蓋部材48を開いて、該攪拌軸16を回して該攪拌軸16の周囲に配設された攪拌羽根19により、有機性廃棄物分解物を該本体1の有機性廃棄物分解物取り出し口10から排出する。加熱ジャケット2内及び攪拌軸16の蒸気通路用中空部17内で凝縮した蒸気は、夫々、流路49及び50に排出され、共に接続する合流流路51より蒸気トラップ52に排出される。
本例において、本体1から取り出された有機性廃棄物分解物はサラサラした粉状物として得られる。
【0024】
例2
図1の有機性廃棄物処理装置Aによる別の実施例においては、先ず有機性廃棄物処理機Aの本体1は、その外気取入れ用開閉弁6及び排気用開閉弁8が閉じられ、その有機性廃棄物分解物取出し口10が閉じられている。上部に付設された投入口部4の蓋部材34を開け、予め含水率が測定されている有機性廃棄物35を計量し、本体1内に投入する。続いて、配合材料47として、所定量の米ぬか及び大豆粕を投入して、全体の含水率を40%から70%の範囲にし、蓋部材34を閉じる。そして、該蒸気ジャケット2及び該攪拌軸16の蒸気通路に加熱用蒸気を供給し、混合物中の水分を蒸発させて、投入口部4を閉じる。そして、蒸気流量調節弁24を開いて、蒸気ジャケット2及び攪拌軸16の蒸気通路用中空部17に加熱用蒸気を供給し、投入された有機性廃棄物を加熱し、有機性廃棄物中の水分を蒸発させる。蒸気ジャケット2及び攪拌軸16の蒸気通路用中空部17への加熱用蒸気の供給を継続して、該本体1の内部温度及び内部圧力を、本体に配置された温度検出器28及び圧力検出器29により測定し、また、温度及び圧力制御装置32を作動させて、測定された温度及び圧力に応じて、蒸気流量調節弁24の開閉を制御して、本体内の温度を、100℃から175℃内の予め設定された温度、例えば、105℃に到達させ、又は、本体内の圧力を常圧を超え0.8MPa以下の範囲内の予め設定された圧力、例えば、0.2に到達させる(昇温昇圧工程)。さらに温度及び圧力制御装置32による該蒸気流量調節弁24の開度の制御を続けて、蒸気ジャケット2及び攪拌軸16の蒸気通路用中空部17への加熱用蒸気の供給を制御して、予め設定された温度及び圧力下において、予め設定された時間中、攪拌軸16及び攪拌羽根19を回転させながら、有機性廃棄物を加熱処理して、有機性廃棄物を分解して細粒化する(分解工程)。予め設定された時間を経過したところで、排気口7の排気用開閉弁8を開いて、該本体1の内部を放圧して本体1内の圧力を大気圧と等しくさせる(放圧工程)。
【0025】
次に、外気取入れ用開閉弁6及び排気用開閉弁8を開き、排気用開閉弁8に流路36を介して接続する排気ファン37の運転を開始し、本体1外に排出される臭気を有する排気を脱臭焼却炉39に送って、バーナー40により熱分解乃至燃焼させる。本例において、脱臭焼却炉39内の温度は、熱交換器42に冷却用外気導入口43より導入される乾燥用外気の加熱温度を保つ上で、例えば、650℃に設定される。有機性廃棄物分解物の乾燥工程に入るところで、温度制御装置32の設定温度を変えて、蒸気流量調節弁24の開きを制御して、該蒸気ジャケット2、該攪拌軸16の蒸気通路用中空部17及び攪拌羽根19の中空部20へ流入する蒸気流量を変えて、本体1内を70℃から130℃の範囲の温度に加熱すると共に、攪拌羽根19を回転させて、有機性廃棄物分解物中の水分を蒸発させて、排気ファン37の排気流路38から本体1外に排出される。本例においては、本体部材1内において、予め設定された時間中、有機性廃棄物分解物は蒸発処理されて、有機性廃棄物分解物の含水率は40%以下にされる(乾燥工程)。最終的に、有機性廃棄物分解物取出し口の蓋部材48を開いて、該攪拌軸16を回して該攪拌軸16の周囲に配設された攪拌羽根19により、有機性廃棄物分解物を該本体1から排出する。本例において、有機性廃棄物分解物はサラサラした粉状物として得られた。本例においては、乾燥時に本体1に導入される外気を、脱臭焼却炉39の燃焼排ガスにより加熱するために、脱臭焼却炉39の燃焼排ガス流路41に接続して、外気加熱用の熱交換器42が設けられている。本体1の外気取入れ用開閉弁6は、熱交換器42の外気用排出管46に接続しており、有機性廃棄物分解物の乾燥時に、本体1に導入される外気は、排気ファン37の排気流路38から本体1外に排出された排気を脱臭焼却炉39でバーナにより熱分解及び燃焼して脱臭された燃焼排ガスの廃熱により、予め設定された温度に加熱されている熱交換器42において加熱され、熱交換器42の外気用排出管46に接続する外気取入れ用開閉弁6から本体1内に流入して、乾燥時に有機性廃棄物分解物の水分の蒸発を行う。
加熱ジャケット2内及び攪拌軸16の蒸気通路用中空部17内の蒸気及びドレンは、夫々、流路49及び50に排出され、共に接続する合流流路45より蒸気トラップ52に排出される。
【0026】
例3
(1)養殖魚用飼料原料の製造例
図1に示す、内容量300リットルの有機性廃棄物処理装置Aを用いて、魚腸骨の再利用化処理を行った。1回の処理に使用された魚腸骨の重量は77.3kgであり、その含水率は58重量%であった。
有機性廃棄物処理装置Aの本体1の外気取入れ用開閉弁6及び排気用開閉弁8を閉じ、有機性廃棄物分解物取出し口10を閉じて、上部に付設された投入口部4の蓋部材34を開け、前記含水率58重量%の魚腸骨77.3kgが本体1内に投入して、投入口部4の蓋部材34を閉じた。次いで、温度及び圧力制御装置32の設定温度を102℃に設定して、蒸気流量調節弁24を開き、蒸気ジャケット2及び攪拌軸16の蒸気通路用中空部17に加熱用蒸気を供給し、投入された有機性廃棄物を33分掛けて102℃の温度にまで加熱した。(昇温昇圧工程)。次いで、温度及び圧力制御装置32を作動させて、蒸気流量調節弁24の開閉を制御して、本体内の温度を、102℃の予め設定された温度に維持し、また、本体1の蒸気ジャケット2内へ供給する蒸気発生源圧力を0.7MPaに維持した。このように予め設定された温度及び圧力下において、本例においては30分、攪拌軸16及び攪拌羽根19を回転させながら、有機性廃棄物を加熱処理して、有機性廃棄物を分解して細粒化した(分解工程)。30分を経過したところで、排気口7の排気用開閉弁8を開いて、該本体1の内部を5分掛けて放圧して本体1内の圧力を大気圧と等しくさせた(放圧工程)。
【0027】
次に、有機性廃棄物処理装置Aの本体1の上部に付設された投入口部4の蓋部材34を開け、本体1内に、所定量の配合材料の含水率が6.2重量%の加熱大豆粕38.6kgを投入して、蓋部材34を閉じる。外気取入れ用開閉弁6及び排気用開閉弁8を開き、排気用開閉弁8に流路36を介して接続する排気ファン37の運転を開始し、温度及び圧力制御装置32の設定温度を90℃に変えて、蒸気流量調節弁4の開きを制御して、該蒸気ジャケット2、該攪拌軸16の蒸気通路用中空部17及び回転する攪拌羽根19の中空部20へ流入する蒸気流量を変えて、本体1内を90℃の範囲の温度に加熱すると共に、熱交換器42において加熱された外気を本体1内に導いて、有機性廃棄物分解物中の水分を蒸発させた。この乾燥時に発生する排気は、排気ファン37により排気流路38から本体1外に排出させ、脱臭焼却炉39に送りバーナー40により燃焼及び熱分解されて脱臭された。本例において、有機性廃棄物分解物は、3時間に亙って加熱蒸発処理されて、含水率が8.8%になるまで乾燥された。(乾燥工程)。最終的に、有機性廃棄物分解物取出し口の蓋部材42を開いて、該攪拌軸16を回して該攪拌軸16の周囲に配設された攪拌羽根19により、有機性廃棄物分解物を該本体1から排出する。本例において、得られた有機性廃棄物分解物の乾燥物は、含水率8.8重量%で収量が73.6kgであり、サラサラした粉状物であって養殖魚用飼料原料とされた。
本例において得られた養殖魚用飼料原料の組成は、粗蛋白:42重量%、粗灰分:6.5重量%、粗脂肪:25.6重量%、ペプシン消化率:89%であった。
【0028】
例4
養鶏用配合飼料の製造例
本例は、例3に示す再利用処理の例に倣って魚腸骨及び事業系生ごみ混合物について再利用処理した例である。
図1に示す、内容量300リットルの有機性廃棄物処理装置Aを用いて、魚腸骨及び事業系生ごみの再利用化処理を行った。事業系生ごみについては、処理する前に分別処理した。1回の処理に使用された事業系生ごみの重量は49.5kgであり、含水率は57重量%であり、魚腸骨の重量は67.1kgであり、含水率は57重量%であった。本体1内の設定温度は、105℃であり、本体1の蒸気ジャケット2内部の設定圧力は、蒸気発生源圧力の圧力で0.7MPaであった。本例において、昇温昇圧工程に要した時間は36分であり、分解工程は、設定温度が、105℃であり、本体1の蒸気ジャケット2内の設定圧力は、蒸気発生源圧力の圧力で0.7MPaとした。分解工程に要した時間は30分であり、放圧工程に要した時間は3分であった。
【0029】
次に、有機性廃棄物処理装置Aの本体1の上部に付設された投入口部4の蓋部材34を開け、分析用のサンプルを採取し、分析に供した。分析結果は、含水率57重量%、粗蛋白:12重量%、粗脂肪:16重量%、粗繊維率:2重量%であった。分析用サンプルの採取後、本体1内に、所定量の配合材料として含水率が12重量%の米ヌカ50.8kgを投入して、乾燥処理をした。本例においては、乾燥工程の温度は81℃であり、乾燥処理に要した時間は、5時間であった。本例において、有機性廃棄物分解物の乾燥物に、含水率6.2重量%の大豆粕39.4kg、含水率7.9重量%の魚粉17.9kg、含水率10.3重量%のコーングルテンミール28.2kg、含水率13.5重量%のとうもろこし粉砕品130.5kg及び含水率5重量%の動物性油脂等51.9kgを加えて養鶏用配合飼料とした。
本例において得られた養鶏用配合飼料は、含水率10重量%、可消化蛋白質22.2重量%及び代謝エネルギー2668キロカロリー/kgであった。
【0030】
例5
土壌改良材の製造例
本例は、例4に示す再利用処理の例に倣って事業系生ごみについて再利用処理した例である。
図1に示す、内容量300リットルの有機性廃棄物処理装置Aを用いて、予め分別処理した事業系生ごみを土壌改良材とするため、事業系生ごみに米ヌカを混合して再利用処理をした。1回の処理に使用された事業系生ごみの重量は105kgであり、その含水率は75重量%であった。また、混合された米ヌカの重量は45kgであり、その含水率は12重量%であった。本体1内の設定温度を110℃とし、本体1の蒸気ジャケット2内の設定圧力を蒸気発生源圧力の圧力で0.7MPaとした。本例において、昇温昇圧工程に要した時間は40分であった。
本例において分解工程の設定温度は110℃であり、設定圧力は、蒸気発生源圧力の圧力で0.7MPaであった。分解工程に要した時間は30分であり、放圧工程に要した時間は15分であった。
【0031】
このようにして分解工程で得られた事業系生ごみ及び米ぬかの分解物は、次いで、乾燥工程において乾燥処理された。本例においては、乾燥工程の温度は102℃であり、乾燥処理に要した時間は、5.5時間であった。本例においては、有機性廃棄物分解物の含水率は8重量%にまで乾燥された。乾燥により得られた有機性廃棄物分解物の乾燥物は、68kgであり、その含水率は8重量%で、サラサラした粉状物であった。
本例において得られた有機性廃棄物分解物の乾燥物の粉状物は土壌改良剤として使用された。10aあたり前記粉状物600kgを土壌に散布し、深さ10cmで耕運した。3日後、白色の菌が大量発生したが、3週間後には、菌の発生が見られず、土壌はふかふかの団粒構造状態となった。
【0032】
例6
堆肥発酵促進材の製造法
例5において、乾燥処理時間を2.5時間にして得られた乾燥物は、100kgであり、含水率は38重量%であった。この乾燥物を堆肥発酵促進剤として使用した。即ち、含水率38重量%の乾燥物100kgを、含水率80重量%の生牛糞1000kg及び含水率40重量%の戻し堆肥900kgと混合して、屋根付きの堆肥舎に高さ2mに積み上げて、含水率60重量%の堆肥2000kgとした。1週間に1回、ホイルローダーで切返して、2ヶ月後に堆肥とした。この堆肥の堆肥成分は、含水率46.9重量%、窒素分:1.4重量%、リン分:0.96重量%、カリウム分:1.7重量%、ナトリウム分:0.2重量%、鉄分:700ppm、炭素―窒素(C/N)比:15、塩素分:0.43重量%、電気伝導度:7.9mS/cm、強熱残渣:15.8重量%であった。
【産業上の利用可能性】
【0033】
生ごみや魚腸骨のような有機性廃棄物を加熱して常圧より高い圧力で加熱加圧処理することにより、短時間で分解して微細化し、配合材料の存在下に乾燥後の処理物は、土壌中の微生物の餌となって土壌の団粒構造化を促進したり、家畜ふん尿の発酵促進材として利用することができる。また、一般に、食品残さや魚腸骨等の有機性廃棄物は、日々成分が変動する傾向にあるが、本発明によると、この有機性廃棄物は、加熱加圧処理により分解して微細化した状態でスラリー状となるので、その成分はほぼ均一となり、これに飼料用配合材料を混合することにより、トレーザビリティーに適合する消化の良い成分の安定した家畜用配合飼料を低コストで得ることができる。このように、本発明は、新鮮な食品残さや魚腸骨を、トレーザビリティーに適合する消化の良い家畜や養殖魚用飼料原料とすることができ、低コストで循環型社会を構築でき、延いては食の安全に貢献し、社会的に利用価値が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明の一実施例の有機性廃棄物の再利用化処理方法を実施する装置の概略の概念図である。
【符号の説明】
【0035】
A 有機性廃棄物処理装置
1 本体
2 蒸気加熱用ジャケット
3本体1の胴部
4 配合材料の投入部
5 乾燥用外気取入れ口
6 乾燥用外気取入れ用開閉弁
7 排気口
8 排気用開閉弁
9及び13 端壁部
10 有機性廃棄物分解物取出し口
11及び14 シール部材
12及び15 軸受け部材
16 攪拌軸
17 攪拌軸16の中空部
18 中空部17の壁部の開口
19 攪拌羽根
20 攪拌羽根19の中空部
21及び22 流路
23 蒸気供給路
24 蒸気流量調節弁
25 蒸気供給源
26 チェーン
27 スプロケット
28 温度検出器
29 圧力検出器
30 温度信号線
31 圧力信号線
32 温度及び圧力制御装置
33 信号線
34 蓋部材
35 有機性廃棄物
36 流路
37 排気ファン
38 排気流路
39 脱臭焼却炉
40 バーナ
41 脱臭焼却炉39の燃焼排ガス流路
42 熱交換器
43 外気導入口
44 熱交換器42の冷却管部
45 外気排出口
46 外気用排出管
47 熱交換器42の排気管
48 蓋部材
49及び50 流路
51 合流流路
52 蒸気トラップ






































【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性廃棄物を高温及び高圧下で分解した有機性廃棄物の分解物懸濁物を、該分解物懸濁物粒子の結着防止機能を有する配合材料の存在下で70℃乃至130℃の範囲内の温度に加熱しながら、通気して、その平均含水率を40%以下に乾燥して、有機性廃棄物を粉状物とすることを特徴とする有機性廃棄物の処理方法。
【請求項2】
密閉容器内において、有機性廃棄物を攪拌しながら加熱して、前記容器内の温度を、100乃至175℃に上昇させ、容器内の圧力を常圧より高い圧力とすることにより、有機性廃棄物の少なくとも一部を分解して細粒化させて、有機性廃棄物分解物の懸濁物を形成させ、次いで、密閉容器内を大気に開放して容器内の圧力を大気圧に戻し、前記細粒化した有機性廃棄物分解物の懸濁物に、配合材料を混合して、平均含水率を40乃至70重量%の前記有機性廃棄物分解物と前記配合材料の混合物を調製し、この調製された混合物を、大気圧下において、70℃乃至130℃の範囲内の温度に加熱しながら、通気して、該混合物の平均含水率を40%以下に乾燥して粉状物とすることを特徴とする有機性廃棄物の処理方法。
【請求項3】
密閉容器内において、配合材料が配合されて含水率が40乃至70重量%に調整された有機性廃棄物を攪拌しながら加熱して、前記容器内の温度を、100乃至175℃に上昇させ、容器内の圧力を常圧より高い圧力とすることにより、有機性廃棄物の少なくとも一部を分解して細粒化させて、有機性廃棄物分解物の懸濁物を形成させ、次いで、密閉容器内を大気に開放して容器内の圧力を大気圧に戻し、次いで、大気圧下において、70℃乃至130℃の範囲内の温度に加熱しながら、通気して、該混合物の平均含水率を40%以下に乾燥して粉状物とすることを特徴とする有機性廃棄物の処理方法。
【請求項4】
密閉容器内において、有機性廃棄物を攪拌しながら加熱して、前記容器内の温度を、100乃至175℃に上昇させ、容器内の圧力を常圧より高い圧力とすることにより、有機性廃棄物の少なくとも一部を分解して細粒化し、次いで、密閉容器内を大気に開放して容器内の圧力を大気圧に戻し、前記細粒化した有機性廃棄物分解物の分析試料を採取し、分析試料採取された有機性廃棄物分解物に、配合材料を混合して、前記混合物の含水率を40乃至70重量%に調製し、この調製された混合物を、大気圧下において、70℃乃至130℃の範囲内の温度に加熱しながら、通気して、該混合物の平均含水率を40%以下に乾燥して粉状物とし、この粉状物に、前記分析試料についての成分分析により求めた前記有機性廃棄物分解物の成分組成において、飼料として不足する成分組成を、飼料用配合材料を混合して補うことを特徴とする有機性廃棄物の処理方法。
【請求項5】
分析項目が、含水率、粗タンパク率、粗脂肪率若しくは粗灰分率又はこれらの二以上の分析項目であることを特徴とする請求項4に記載の有機性廃棄物の処理方法。
【請求項6】
配合材料が、有機性廃棄物分解物の細粒の結着防止機能を有する穀類又は豆類の粉砕物又はこれら二種以上の混合物であることを特徴とする請求項1乃至4に記載の有機性廃棄物の処理方法。
【請求項7】
配合材料が、フスマ、米ヌカ、大豆粕、籾殻粉砕物、茸の廃菌床粉砕物、おがくず若しくは選定枝粉砕物又はこれら二以上の混合物であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の有機性廃棄物の処理方法。
【請求項8】
配合材料が、フスマ、米ヌカ若しくは大豆粕又はこれら二以上の混合物であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の有機性廃棄物の処理方法。
【請求項9】
飼料用配合材料が、穀類、マメ類、イモ類、植物性油脂類、ヌカ類、製造粕類、動物質飼料又は油脂類の飼料又はこれら二以上の混合物であることを特徴とする請求項4に記載の有機性廃棄物の処理方法。
【請求項10】
飼料用配合材料が、トウモロコシ粉砕品、大麦、小麦、フスマ、米ヌカ、アルコール粕類、コーングルテンフィード、コーングルテンミール若しくは大豆粕又はこれら二以上の混合物であることを特徴とする請求項4に記載の有機性廃棄物の処理方法。







































【図1】
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【公開番号】特開2006−26539(P2006−26539A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−209273(P2004−209273)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(500270088)キヨモトバイオ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】